平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、B型肝炎にかかわる問題です。
 皆さんのお手元にチラシをお配りしています。片面を見ると、「肝臓の悪い方を捜しています」と書いています。裏側を見ると、「推定患者は、全国で約45万人。和歌山の認定訴訟者はたった44名なのです」という見出しがあります。そして、その一番下には、「『和歌山からB型肝炎を掘り起こすボランティア』前田幸彦です」という、このチラシをつくられた方の名前が入っています。
 前田さんは、B型肝炎で奥さんを亡くされ、ふるさと紀美野町に帰ってこられてから、B型肝炎訴訟大阪弁護団の支援を得て訴訟に取り組まれました。
 B型肝炎というのはウイルス性の肝臓病ですが、成人が感染してもほとんどが一過性感染で、免疫を獲得して、その後、感染することはないそうです。一方、乳幼児期に感染した場合、抗体をつくらずウイルスのキャリアとなり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんを発症して亡くなる方が出てきます。その乳幼児期感染の40%が、かつての集団予防接種のときの注射器の使い回しにあると言われています。
 お手元のチラシのほうに「この注射方法に問題があったのです」として、そして集団接種の挿絵が入っております。この救済を国に求める裁判が行われたんですが、2011年6月、当時の政権が国の責任を認めて全国原告弁護団に謝罪し、和解の基本合意が調印されました。そして、和解金を支払う特別措置法が制定されました。この特別措置法は時限立法です。2017年1月までに書類を提出しなくてはなりません。
 前田さんの奥さんは2005年に亡くなられていましたが、提訴し、ことしの2月に和解に持ち込まれました。被害者であることの証明は大変だったそうです。「接種痕を示せ」と言われるんですが、本人は亡くなっておられる。「母子手帳があるか」と言われるんだが、自分が子供のときの母子手帳など保存していない。幸い写真があり、東大病院のお医者さんが証言してくれたので、提訴、和解にこぎつけることができたそうです。
 肝臓は、沈黙の臓器と言われます。年月を経てウイルスが活動を始めると、長い闘いになります。この問題の和解や救済の法律のことも知らずに、自分が被害者であることにも気づいていない多くの皆さんにお知らせしたいと、前田さんは自費でこのチラシをつくり、県内4大全国紙に折り込みをされたんだそうです。
 そこで、質問です。
 B型肝炎対策には、2つの段階があると思います。1つは、肝炎対策基本法に基づく早期発見のための検査の呼びかけです。もう1つは、特別措置法に基づく救済の制度を知らせることです。
 まず、第1の基本法に基づく取り組みはどうなっているんでしょうか。福祉保健部長からお話しください。
○議長(山田正彦君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 肝炎対策基本法に基づくB型肝炎対策につきましては、現在、早期発見のための肝炎ウイルス検査を保健所及び契約医療機関約500カ所で無料で受けていただくことができ、治療が必要な方については医療費助成を実施しております。
 さらに、県立医科大学附属病院と国立病院機構南和歌山医療センターの2カ所を肝疾患診療連携拠点病院に指定し、肝疾患相談支援センターを設けるとともに、専門医療機関22カ所を指定するなど、早期に適切な治療を受けられる体制を整えております。
 県といたしましては、肝炎ウイルス感染者の早期発見のため、多くの方に肝炎検査を受けていただくよう、積極的な啓発、広報等に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この点では一生懸命やっていただいていると思います。
 いま1つは、特別措置法に基づく救済です。これには手続が必要だし、時限が限られており、急がなくてはなりません。
 B型肝炎を予防注射が原因で広げたことの責任を国が認めた以上、国はそのことを広く知らせ、被害者の掘り起こしをする必要があると思います。前田さんが自費でこうしたチラシをつくって努力をされている姿を見ると、もっともっと行政の支援が必要ではないかと思うのでございます。一般的な検査の呼びかけにとどめるのでなく、掘り起こしを急いでほしいのです。
 献血の際には、血液検査があります。献血を検査がわりにしてはいけないのはもちろんですが、健康だと思い込んでいた方がこの検査でB型肝炎陽性と判明した場合、結果だけの通知ではそのことの意味がわからず、そのまま放置することになります。結果の通知だけでなく、特別措置法による国の救済を受けられる場合もあるということを知らせるなど、丁寧なフォローをしてほしいのです。
 また、紀美野町の広報紙には、B型肝炎救済の問題を囲み記事で入れてくれています。和解による救済を紹介するものです。「県民の友」でも広く知らせていただいてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お願いします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 献血による検査結果につきましては、赤十字血液センターが献血に御協力をいただいた方に希望により血液の検査結果を通知しているところです。B型肝炎ウイルス検査は、検査結果に異常を認めた場合に、別途、通知しております。この通知には詳細な検査結果内容やパンフレットを同封し、B型肝炎ウイルスに感染している可能性が高い方に受診勧奨を実施しております。
 なお、問い合わせ窓口では、肝疾患相談支援センターの紹介などを行っておりますが、あわせて特別措置法の紹介を行うよう、赤十字血液センターに伝えてまいります。
 また、県では、全国B型肝炎訴訟大阪弁護団による和歌山県での相談会に職員を派遣し、県肝炎対策事業の説明を行っているところです。今後、ホームページや広報紙等を通じ、厚生労働省の相談窓口等の情報を提供していきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございます。
 特別措置法による救済についても紹介していただけるように赤十字の血液センターに伝えていただけるそうで、大変ありがたいと思います。「県民の友」などにも紹介する機会もあるでしょう。そういう場合も、そういう点に御配慮いただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 第2番目の柱は、学校での教職員の長時間勤務の問題です。
 きのう、奥村県議も触れましたが、今、ブラック企業というものが大きな問題になっています。それは、若者を長時間働かせ、使い捨てにする企業です。日本共産党は、その実態を厳しく批判するとともに、ブラック企業規制法を議員提案しています。中身はいろいろありますが、例えば、サービス残業は残業代を2倍にする制度をつくる、年間の総残業時間は360時間に制限するなどのことがそこには含まれています。
 きょうは、その民間企業の問題じゃなくて、公務労働、学校現場にもある教員の長時間労働の問題について取り上げたいと思います。
 このたび、教職員の全国組織である全日本教職員組合が教職員の勤務実態調査を行い、報告書を発表いたしました。(資料を示す)この分厚い報告書でありますが、その調査によると、教職員の1カ月の平均時間外勤務は69時間32分となっています。1カ月です。夏休みの期間などは時間外勤務が短いということを勘案したとしても、年間700時間を超すのではないでしょうか。共産党が提案するブラック企業規制の2倍です。しかも、それが平均値の話です。教員の勤務条件は、学級規模などとともに重要な教育条件です。教員にゆとりがなくては豊かな教育というものはできません。
 そこで、まず教育長にお伺いいたします。
 教育長は、この報告をごらんになっているでしょうか。県教育委員会は、県下小中学校、県立学校の教職員の勤務の実態をどう把握されているでしょうか。教育長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の全日本教職員組合の教職員の超過時間調査につきましては、報道されている教育雑誌等で概要を拝見しております。
 県立学校の教職員の超過勤務につきましては、平成23年度から全ての教員を対象に毎年6月に勤務時間実態把握調査を実施し、勤務状況の把握に努めているところです。
 本年度の調査では、1940人、約70%の教員から回答があり、1カ月の超過勤務の平均は32.5時間でした。昨年度と比べて2時間減少しており、引き続き効率的な学校運営を行うなど、超過勤務が少なくなるよう指導してまいります。
 小中学校の教員につきましては、所管する市町村教育委員会に県立学校と同様に取り組むよう働きかけていますが、現在、詳細な超過勤務の状況は把握しておりません。
 以上でございます。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 県立学校の教員の勤務実態については、お答えいただきました。平均32.5時間。これは平均ですから、私もそのデータは見せていただきましたが、月100時間を超える方が全日制高校では102人もいらっしゃいます。
 小中学校については、調べるように言っているけれども結果は聞いていないというんでは困ります。問題の深刻さの受けとめ方がこれでいいのかなとも思います。
 さらに言えば、こういう調査結果が出たというのを新聞や雑誌報道で見たなら、教職員組合の方もしょっちゅういらっしゃるわけだから、すぐにでも「おい、持ってきてくれよ」、こう言うぐらいの関心は持っていただきたいなあという気持ちも持ちます。
 私は、海南市教育委員会が教員の勤務について調査したものをいただいて、ここに持っております。中学校が特に多いんですが、中学校でいうと、週12時間以上、月当たりにすると50時間以上ということになるでしょうか、「超過勤務をしている」と答えている教員が69%に上っています。平均ではありません、以上です。しかも、これは教職員組合の調査ではなくて教育委員会の調査です。きょうは、このデータを使って議論を進めたいと思います。
 まず、民間労働者であれば、時間外労働をすれば25%から50%の割り増し賃金がつきます。県庁の職員も同様です。しかし、教員の場合は、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給されません。それは、どういう根拠に基づいて時間外労働を命じておられるのか、教育長から説明をいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員には、教育職員の給与等に関する特別措置法により、給料月額の4%に相当する教職調整額が支給されており、学校行事や職員会議等のいわゆる超勤4項目について時間外勤務を命ずることができることとなっております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 教育長がお答えになったとおりだと思います。教職調整額4%が支給されているというふうに言われました。これが超過勤務手当にかわるものだとすれば、25%の割り増しを含めて計算すれば、1日16分足らずの超過勤務手当に相当します。1カ月に換算すれば、5時間余りになるでしょうか。
 一方では、1カ月50時間以上の超過勤務をしている。それに対して教職調整額は、時間に換算すれば月に5時間しかない。まさに違法状態だと思いますが、教育長はどうお考えでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の点につきましては、教員の勤務実態につきましては、課題があるというふうに考えております。そのため、報告書の簡素化などによる事務時間の軽減や週休日の振りかえ期間の拡大などの勤務時間制度の充実に努めているところでございます。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、「課題がある」とお答えいただきました。課題があると認識されているのは結構ですが、前々から問題が指摘されていながら、見るべき改善がなかなか進んでいないのが実態です。
 昔から、先生というのは、勤務時間など余り問題にせずに、子供のためならと一生懸命やられてきました。しかし、夏休みなどは、割合にゆったりと自宅研修ということもできていたと思います。しかし、最近は、子供は学校に来ないのに、夏休み中でも先生方はそろって学校にいらっしゃる。子供は夏休みでも教員は勤務を要する日です──もちろん当然です。
 しかし、専門職である教員については、自由な研修ができるという法律的に認められた制度があります。図書館に行って調べ物をする、理科の先生が生石山に行って自然観察をする、自宅のほうに資料がたくさんあって教材研究ができるから、きょうは自宅で教材研究をしますという場合もあるでしょう。こうした自主的な研修が、教育公務員特例法によって、勤務場所を離れて研修することができると教員には認められているのです。夏休みぐらいは豊かな研修をしてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員には、さまざまな経験や知識に基づく幅広い力が求められておりますから、長期休業中に休暇制度等を利用して見聞を広げ、教養を身につけることは重要であると考えております。
 勤務場所を離れての研修については教育公務員特例法に規定されており、その内容が研修としてふさわしいものであり、職務に反映できるものであれば認めているところです。議員御指摘の場合については、その内容が研修としてふさわしいものであり、職務に反映できるものであるかどうかによると考えます。
 教員には、今後もより一層研修に励み、資質、能力の向上に努めていただきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 休暇制度を利用するんなら、別にこれは家族サービスであろうが何でも関係ないんですが、私は、後半で言われた、教育公務員特例法に求められた専門職としての、教員としての豊かさを追求する研修について申し上げているわけです。
 一例を挙げてみたいと思います。
 先日、私、教職員組合の教育研究集会で、外国語教育の分科会を傍聴してきました。そこで若い英語の先生が報告されたのは、「この夏休みに16日かけて自転車でイギリスを北の端から南の端までずっと回ってきました」、こういう話をして、それで写真も紹介しながら、その中で何回もパンクをしながら、地域の皆さんと一緒に話もしながら回ってきたという話をしておられまして、大変おもしろく聞かしていただきました。
 本来は、教育委員会が予算をつけてこのようなさまざまな海外留学の機会を保障したらいいと思うんですが、なかなかその予算もないわけです。しかし、そんな中でも、例えば英語の先生が英語圏を回って、そして自分が実際に英語で話をし、帰ってきたら、こういうことをしてきたよというふうに子供に語れるという、こういうことというのは教員の力を高めると思います。ですから、これは、教育公務員特例法に言う勤務時間を離れての研修として扱うこともできるというふうに私は思うんですが、教育長はどうお考えでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の研修のあり方については、先ほど申し上げましたように、その内容が本当に研修としてふさわしいものかどうか、それから、さらにそれを子供たちにどう反映できるのか、さまざまな面から幅広く研究していくことが大切ではないかというふうに考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 もっともっと、教員が自主的で自由な研修をすることを奨励していただきたいわけです。
 よく、こういうことを自主的な研修と言うたら、それは報告書を出してもらわなくてはいけませんとおっしゃる。もちろん、そうです。しかし、そんなことでも、例えば、そういうイギリスを自転車で回ってくる、そして実際、自分の英語の力も試してみる、力を鍛える、こういうときに、そしたら、帰ってきたら分厚い報告書を出さなきゃならないんかといったら、もうそれやったらやめとこかと、こうなるわけですから。例えばこういうことであれば、日程表と地図と、そして現地の写真などを幾つか添えればもういいじゃないですか。あるいは、生石山を回ってきた先生には、その日付と観察した植物の写真を張りつけたレポートを出してもらったらいいと思うんです。
 もっと広く言えば、教員というものは、時には映画、音楽、演劇などを楽しみ、スポーツを楽しむというゆとりがないと心が干上がってしまう。心が干上がってしまうと、子供の悩みにも共感することができなくなってしまう。自転車でイギリスを回ってきたというような、そういう夢やロマンを持った先生であってこそ、子供の心をつかむことができると思います。
 ところが、一方では、学校に縛りつけられて月50時間の長時間労働、管理体制のもとでは、教員の心を干上がらせて、夢やロマンを持てなくしてしまっているのではないか。私は、そういう心配をして申し上げているわけでございます。
 ですから、もちろん4時間の調整手当に対する50時間の超過勤務という、こういう矛盾も重大な問題ですが、何よりも学校現場の先生方が、そういう豊かな心を育んで子供の声に耳を傾けられるようにしていく。そのためにも、長時間労働の問題を解消しなければならないと思います。
 そこで、勤務の軽減のためにやってほしい1つに、学力テストの採点の問題であります。ごくわずかの問題でありますけれども、県独自の学力テストの是非はさておいて、国の学力テストなら、国が指定した学校については民間業者が採点を引き受けてくれると思います。そしたら、県がやるテストなら、県が採点業務ぐらい、これだけ長時間労働が問題になってる中ですから、予算化されてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本年度から県独自で実施する学習到達度調査というのは、当該学年で学習した内容を確実に身につけさせることを目的といたしております。
 この目的を達成するためには、調査実施後、教師みずからが児童生徒一人一人の答案を直接確認し、学力の定着状況の把握と課題の分析を行い、速やかに学力の向上対策に取り組むことが必要です。そのためにも、担当する教師みずからが採点をすることは重要であると考えておりまして、予算化することは考えておりません。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、一方では、月に50時間というような超過勤務という実態が報告されている──これは教育委員会の調査です。そういう中だからこういうことを言ってるんです。そういうことがなかったら、もちろん、テストの結果を先生が採点したほうがいいということもあるでしょう。しかし、一方では、国のテストについては国でちゃんと予算化するわけだから、これだけ長時間労働が問題になって、教育長も課題があると言ってるけども、なかなか手の打ちようがないわけだから、ですから、やれるところから少しでも勤務の軽減をしたらいいと考えてこういうことを申し上げてるわけでございます。
 それでは次へ行きますが、教員の勤務というものは、そんなにきちっとはかるわけにいかない面があります。
 例えば、駅伝が盛んな学校で、子供たちが自主的に朝練をやりたい、朝から来て走りたいと。子供たちが頑張ってるんやから、わしらも出てきて一緒につき合うか、こういうふうに教員というものはもちろんなります。あるいは、部活動に多少熱が入って遅くなって、その結果、あすの準備のために帰りが遅くなるということもあります。そういう問題を、教員の仕事というのは持ってるわけです。
 その中で、教員に一体どこで自由な研修の時間を保障するかという、教特法に言われる研修の自由というものも保障しなければならないわけですが、そんな中で、長時間勤務をなくすという課題意識をもっと管理職は持たなくてはいけないと思います。
 ところが、勤務時間が終わってから職員会議を招集することがしばしばあるという話を聞くときがあります。もちろん、子供が家出したから、先生方、緊急に集まってくださいと、こういう緊急のときには文句なしに、勤務時間外であろうが、教員というものは働きます。しかし、別に勤務時間外にやらなくてもいい職員会議や現職教育が勤務時間外に開かれるということが余り疑問もなしに行われてるということがあるとすれば──もちろん、全ての学校だと思いませんが──問題があると思うんですが、教育長はどうお考えでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ただいま議員の御指摘は、そのとおりだと思います。緊急の場合を除き、職員会議は勤務時間内に行われるべきであり、議員御指摘のような職員会議が常に時間外に行われているという状態であるとすれば、これは極めて遺憾であり、今後とも適切な指導をしていきたいというふうに考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 緊急の事態でもないのに時間外に職員会議が行われるのが当たり前になってるのは問題だというふうに、はっきりお答えいただきました。
 教員の勤務というのは、そういうふうに、朝練で子供たちがやるから早く出てくる、そういう時間までなかなか全部はつかみにくいという面はあるんですが、しかし、職員会議あるいは現職教育という、こういうものについては、どれだけ時間外にはみ出しているかということは、校長から報告させればすぐわかることです。校長の管轄下においてやられていて、それが縛られてるわけですから。ぜひとも、その実態をつかんでいただきたいと思いますし、またの機会にお伺いしたいと思います。
 次へ行かせてもらいます。
 第3の柱は、博物館のあり方についてであります。
 このたび、博物館施設の機能強化として、博物館、美術館などの所管見直しが発表されました。その後、事務を教育委員会から知事部局に変更するという、こういうことで検討されているようですが、どうしてそういう必要があるのかよくわからない。変更の対象になったのは、県立自然博物館と県立近代美術館でございます。
 まず、自然博物館についてお伺いいたします。
 この博物館は、社会教育上、どういう位置づけがあり、どういう役割を果たしてきたのか、教育長にお伺いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 和歌山県立自然博物館につきましては、博物館法に基づく登録博物館として設置し、和歌山県の自然や生物に関する資料の収集及び調査研究を行うとともに、これを広く県民の方々に展示公開する等の活動を通じて県民文化の向上に大きく寄与してきたものと考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えがありましたが、大変人気のある博物館であります。この博物館の行事で子供が化石を発見したというニュースがよく報道されます。子供たちを化石の世界に導いていく。館内に展示されているのは、県内の化石ばかりだそうです。
 水族館では、いろいろな工夫があるでしょうが、その中でも、職員がサンタクロースの格好をして、水槽掃除を兼ねて子供を喜ばせるのが前から人気です。もちろん、これは水族館の本来の仕事ではありませんけども。
 入館者数も、10数年前と比べて6万人、7万人台から、昨年は12万3000人を超しています。レジャーが多様化している中で、大したもんだと思います。
 こうした人気のある博物館でありますが、建設後30年を超しています。私も、文教委員会で、「昆虫などの展示のスペースが狭いんではないですか」などと申し上げたこともあります。このたびの計画を拝見すると、自然博物館のスペースの狭さも意識され、将来的な機能拡張も視野に入れながら施設整備を検討されるということは、大変結構なことだと歓迎をいたします。
 しかし、どうして事務委任しなくてはならないんだろうか。博物館法の第19条に、「公立博物館は、当該博物館を設置する地方公共団体の教育委員会の所管に属する。」と定められております。事務委任だけなら、それを変えるわけでもないんでしょうけども、しかし委任ありきではなくて、まず現在の教育委員会のもとで機能強化を考えるべきではないかという疑問があるわけです。
 自然博物館の場合、環境生活総務課自然環境室に委任するというのですが、自然博物館というのは、主として子供たちを相手にした社会教育の施設であったと思います。
 よく似た自然博物館を知事部局が管轄している1つに、滋賀県の琵琶湖博物館があります。この場合はよくわかるんですね。琵琶湖の水質汚染が問題になって、県民の合成洗剤を使わない運動まで起こった。滋賀県庁には、琵琶湖環境政策課という課まである。そこで、琵琶湖博物館がそういう部局の管轄になるのは自然な流れです。また、福井県の恐竜博物館は、観光などを扱う部局の管轄にしているそうです。それも、そうだろうなと思います。
 しかし、和歌山県の場合、教育委員会が管轄し、子供たちに親しまれてきたわけです。自然博物館の整備等について、長年、この博物館を育ててきた教育委員会のもとで計画を立てて、そしてじっくりとさまざまな意見を聞いて検討されてはどうかと思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県立自然博物館は、議員御指摘のように、毎年10万人を超える多数の入館者が訪れる、大変県民に親しまれている博物館でございます。
 ただし、現在の同館の展示内容や学芸員の配置等については、御指摘のとおり、水族を中心とした分野に大きく偏っており、今後は、動物、植物、地学等を含む県全体の自然を学び体験する施設として博物館の展示や教育普及等のあり方を見直していく必要があります。
 今回の機能強化に当たりましては、自然博物館の使命や事業との関連性が高く、自然や環境に関する専門的な情報の蓄積が豊富で、国等の関係機関とのかかわり合いが深い環境生活部において、指導、助言を行っていくことが最も適当であると考え、来年当初から事務委任をすることにしたものでございます。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も、それを充実することについては異議を申し立ててはおりません。しかし、この移管の問題について、また後から全体の問題について申し上げることにして、先にもう1つの事務委任をされる県立近代美術館の問題のほうへ行きたいと思います。
 黒川紀章の設計になり、第一級の収蔵施設と収蔵物を持つ県立近代美術館は、地方の美術館としては高いレベルを誇っていると思います。そのことは、第一級の収蔵家である田中恒子さん──京都にお住まいの方で、大学の名誉教授か何か、そういう方ですが、たくさんのコレクションを持っておられる。そのコレクションを置いてもらうんなら和歌山県立美術館にということで、和歌山県立美術館を指定してそっくり寄贈された。そういうことによっても示されます。
 ところが、私の知り合いのある美術家が、県立近代美術館の原勝四郎展という展覧会に行ったそうです。原勝四郎さんというのは田辺出身の絵描きさんだそうですが、そこで、いい展覧会だったので──展示作品の写真冊子である、これをカタログと言うんだそうですが──「カタログを下さい」というふうに言ったら、「実は予算がないんでつくってないんです」、こういうふうに言われて、その方は他府県の美術館も訪れる方なので、「ああ、そうか、そんなに苦労してるんか」とびっくりしたというふうに私に語ってくれました。
 昨年開催した田中恭吉展というのも、内容は大変すぐれていて、担当した学芸員の方は、近代日本美術の研究者に与えられる倫雅美術奨励賞という賞を受賞された。これもカタログがつくれずに、出版社が出資してくれたことによって関連の書籍が出版をできて、そこに載せた論文でこの賞をいただいたそうですが、こういう苦労をしていらっしゃる。
 それで、近代美術館の運営予算はどうなってるんだろうというて、よその県と比べてみたいと思ったんですが、なかなか当局からも資料がいただけませんでしたので、滋賀県立近代美術館のホームページを見ました。展覧会開催事業費は、平成23年度で6166万円となっています。和歌山県の資料は当局からいただきましたから、これは同じ年で3852万円、大体60%余りの予算しかありません。
 美術館活動の大きな柱である展覧会事業が十分できるように、もっと前から予算の確保を図っていく必要があったんではないかと思うんですが、教育長はどうお考えでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県立近代美術館につきましては、県民に多様な芸術鑑賞の機会を提供するため、川口軌外等の本県出身やゆかりの作家の作品、ピカソを初めとする国内外の貴重な版画類、さらには現代美術作品のコレクションを収集するとともに、各種の展覧会事業を行ってきたところです。
 ただし、近年は、議員御指摘のように、予算の制約等もあり、展覧会事業の内容について工夫や見直しを行ってきております。
 こうした中、今回の博物館の機能強化策の一環として、展覧会の開催の仕組みを改めるとともに、おおむね3年に1回程度は通常予算とは別に大規模な展覧会も開催できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいまお答えいただいた3年に1回という話も、今度の県立美術館も文化国際課に委任するという記者発表された方針の中に盛り込まれているものです。
 感想は後に申し上げますが、美術館というのは、展覧会をするだけじゃなくて、美術品を収納するという大事な博物館機能もあります。県展などは、これまでも文化国際課と協力してやってこられたわけで、ですから、これからも連携して、そういう今構想されてるようなこともできるんではないかというふうに思うんですが、どうしても連携ではやれないんでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 和歌山県の美術、芸術の振興拠点であり、県民が気軽に芸術文化に親しむことのできる県立美術館の運営につきましては、和歌山県文化芸術振興条例や同振興基本計画を所掌し、本県の芸術文化振興に係る業務を総合的に担っている企画部において、連携ではなくて、直接指導、助言を行っていくことが最もふさわしいと考え、事務を委任するものでございます。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 いろいろお伺いしましたが、私は、このたびの博物館の管轄の移管あるいは事務委任は、余りにも唐突であるという気がしてなりません。
 さっき、滋賀県の近代美術館の話をしたんですが、滋賀県の近代美術館というのは、周りに、京都を初め、たくさんの美術館があるわけです。だから、その中でこの博物館はどういう役割を果たすのかということが大きな問題になったようでして、(資料を示す)そして、これが近代美術館の現状と課題、そしてこれがこれからのあり方を検討した冊子なんですが、有識者を含めて今後のあり方についての報告書をまとめています。そして、これからどういうふうにしたらいいのかということを、ただ教育委員会と知事部局の担当課が話をするという、そんな話じゃなくて、本当に真剣に検討されているというふうに思います。
 ただ、この近代美術館の場合は、管轄は知事部局になっています。だから、知事部局になっているかどうかということよりも、いかにそれぞれの博物館が県民に親しまれ、本来の役割を果たせるかということが一番大事なことだと思っています。
 それぞれの博物館や美術館を支えている職員や学芸員の皆さんが一番よくわかっていますから、その皆さんの意見を大事にする、同時に広く県民や有識者の意見を聞きながら発展の方向を検討していくことが、私は大変大事なんではないかと思っています。ちょっときついことを言いますが、そういうプロセスを決定的に欠いていたのが今回の博物館の移管問題であったというのが、私の感想でございます。
 以上で、私の今回の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
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