平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、2点についてお伺いをいたします。
 1点目は、安心の老後の問題です。
 県の平成24年度の「指標からみた和歌山県のすがた」によると、65歳以上の老齢人口の割合は、県では27.0%、全国で7番目です。そして、ひとり暮らしの老人世帯の割合では、県は12.8%、全国3番目となっております。2015年には、推計老年人口の割合が、和歌山県31.4%、全国は26.9%です。県の高齢化はさらに進展します。
 これまで日本では、長い歴史の間、お年寄りをそれなりに敬いの対象として考えられてきました。長生きはめでたいことの1つとし、お年寄りだけを対象としたさまざまな優遇制度が設けられ、9月15日の敬老の日にはプレゼントを贈り、敬老会を開くなどして長寿をたたえてきました。ところが、今では、財政難を理由に規模を縮小した自治体も多くなっています。
 もともと、日本の高齢者に対する福祉・医療制度は貧しい水準でしかありませんでしたが、いっとき老人福祉法や老人医療費の無料化策が施行された時期もありました。しかし、1981年の第二次臨調で、高齢者にも負担については特別扱いしないという考え方になってきました。活力ある福祉社会をつくるには、民間の自由な活動と、社会保障に頼らない個人の自助、自立を柱とするということです。社会保障費を中心に徹底的な制度改革の推進を行い、いわゆる過剰な行政サービスを改めさせることが非常に重要という考え方です。
 2001年12月、閣議決定された高齢社会対策大綱では、「高齢者は、全体としてみると健康で活動的であり、経済的にも豊かになっている」から、「健康面でも経済面でも恵まれないという旧来の画一的な高齢者像にとらわれることなく、施策の展開を図る」と述べられています。もはや高齢者は弱者ではないということが強調されるようになったと思います。
 これからの高齢社会にふさわしい政策の考え方は、個人の自立や家庭の役割を対象とした自助、共助が中心であり、それに公助も組み合わせた形で、安心できる暮らしを確保するということです。
 このような中で、現在、年金の引き下げや消費税、医療、介護などの費用負担がふえる一方、電気代などの値上げで生活が一層厳しくなっています。お年寄りをめぐる悲惨な事件も後を絶たず、火災や事故、孤立死、虐待など、さまざまなことが地域で起こっています。ある地区の自治会長さんは、ひとり暮らしの方が続けて御近所で3人も亡くなり、とてもショックを受けていました。中には、自治会に入られていない方もいて、亡くなられていたことがすぐにはわからなかったようです。
 そこで、県として、高齢者の生活実態をまずどのように認識しているのかお尋ねをいたします。福祉保健部長、お答えください。
○議長(山田正彦君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県は、高齢化率に加え、ひとり暮らし高齢者世帯や高齢者夫婦のみ世帯の割合が全国的にも高く、増加傾向にあります。
 また、生活保護世帯や、世帯全員が非課税で本人の年金収入が年間80万円以下の介護保険の保険料段階が第2段階以下の低所得の方の割合は、平成23年度末で全国平均の19.0%に対して和歌山県は25.3%と多く、また、平成20年度末の25.0%から、わずかながら増加しております。
 このような中、自分の健康や病気、介護、生活費などに悩みや不安を持っている方や、事故、犯罪被害なども増加しており、議員御指摘のように、さまざまな困り事があるものと認識しております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 ぜひここで要望をさせていただきたいんですけども、高齢者の生活実態について、やはり生活保護世帯とか低所得の方が多いということでしたので、各市町村を通して、生活が困難な方々のその生活が、一人一人の暮らしが手のひらに乗るように実態をぜひ把握していただきたいと思います。よろしくお願いして、次の質問に行かせていただきます。
 2つ目は、介護保険制度の改正が老後の安心につながるものかということです。
 介護保険制度は、2000年4月に始まった社会保険制度です。この制度の目的は、年をとって老化のために心身が衰え、要介護状態となった人が、尊厳が保たれ、その有する能力に応じ自立した生活を営むことができるよう必要なサービスを保険で給付する、これは介護保険法第1条に述べられているものです。
 介護保険を運営するのは、市町村となっています。加入するのは65歳以上の人全員と40歳以上の医療保険加入者で、65歳以上の人は、住んでいる市町村が決めた介護保険料を納めます。非課税でも、同じ世帯に市民税課税の人がいれば基準額を納めなければなりません。市民税を払わなくてもよい人でも、年間、和歌山市の場合は3万4870円の負担をしなければなりません。大変重い負担となっています。世帯の全員が所得がなく非課税で、本人の年金が年額80万円以下という人でも、和歌山市では月2900円余り払わなければなりません。介護保険料を払っていないと、介護保険を利用することが非常に困難な制度です。
 また、要介護認定を受けないと制度は使えません。要介護認定は、要支援1、2、要介護度1、2、3、4、5の7つのランクに分けられています。
 平成25年10月末現在の65歳以上の介護保険加入者数は28万7546人、要介護認定者数は6万3075人、うち要支援者が1万9748人、要介護者が4万3327人となっています。また、平成25年8月のサービス利用者数は5万2687人、うちサービス別の割合は、要支援者の居宅サービスが23.4%、地域密着型サービスが0.1%、要介護者の居宅サービスが半数の52.9%、地域密着型サービスが5.8%、施設サービスが17.8%となっています。このようなことからも、居宅サービスの利用者が圧倒的に多いということがうかがわれます。
 これまで制度改定のたびにサービスの利用が制限される一方、保険料の引き上げで自己負担がふえてきました。特に居宅サービスを支えるホームヘルパーの時間短縮の問題は深刻です。ホームヘルプサービスは、在宅生活を支える大きな役割を果たすサービスです。厚生労働省は、報酬改定のたびにこれを切り縮めるような変更を繰り返してきました。
 2012年度報酬改定では、これまで1時間で区切られてきたヘルパーの生活援助、掃除、洗濯、調理、買い物などの家事援助が45分とされました。介護報酬も45分未満では1900円、45分以上でも2350円で打ちどめとなっています。現場では、挨拶以外は何も話さず黙々と掃除をして45分でさようなら、味つけも相談せず、調理したおかずを並べて帰るだけのヘルパーの仕事、洗濯機が回っている間に45分が過ぎるので洗濯干し、取り込みは自費サービスという事態になっています。
 ある自治体の事業所調査では、時間変更の影響として、利用者の話や相談を聞く時間が減少したことが圧倒的です。掃除や調理内容の見直しや利用者の変化の観察などの情報収集が減少という結果が出ています。ヘルパーが利用者の話を聞く時間もなくなり、掃除や調理の手を抜かなければならなくなっていることがわかります。これでは、利用者への自立への働きかけさえできないということではないでしょうか。
 その上に、今、社会保障審議会介護保険部会で検討されている要支援者の保険外し、介護給付の停止は、関係者の皆さんに大きな衝撃を与えています。要支援1、2と認定されている方は全国で154万人、そのうち約100万人が、予防給付で訪問介護やデイサービス、訪問看護、訪問リハビリテーションなど利用をしています。要支援2であれば、認知症対応のグループホームの利用もできます。今度の介護保険制度の見直しでは、それを市町村が行う地域支援事業に移し変え、サービスは、全国一律の種類、内容、運営基準、単価などによるのではなく、内容、料金設定など、市町村の裁量で決める、担い手はボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人などを効率的に活用するというものです。これで、本当に安心の老後につながるものでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 現在、社会保障審議会介護保険部会で介護保険制度の改正が検討されているところですが、介護予防給付の見直しにつきましては、要支援者の訪問介護と通所介護に限り、地域支援事業として実施されることとなっております。そのための財源は介護保険制度内で確保され、市町村はサービスに必要な受け皿整備を行い、高齢者の多様なニーズに対応していくものとされております。
 このとおり改正されるならば不安は生じないと考えますが、改正により、今まで利用していた人がサービスを利用できなくなったり、質が低下して不都合が生じることのないよう、今後とも国の動向に注視し、国に対して必要な提案、要望を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この改正で不安は生じないと言われましたが、私は、全く高齢者の方は不安に感じると思うんです。議会の参考資料に今回の改正についてのいろんなシステムのこととか、そういったことで上げられていますが、予防給付を市町村主体の地域支援事業にということですが、私は国の責任放棄につながっていくと思います。市町村に丸投げをして高齢者の生活を支える援助は継続できるのか、そういったことでは大変疑問に思います。必要な支援が受けられない事態が生じるのではないかということで心配です。
 介護保険サービスの給付事業は、その質を担保するため、人員、職員の資格、施設運営など、厚労省が定めた全国一律の基準に基づき実施されているのが介護保険サービスです。
 人員、運営基準も示されない中で市町村事業に丸投げするのでは、財政難の自治体が事業メニューを絞り込んで、ボランティアなど専門職以外に任せるなど、費用を削減することも当然考えられるのではないでしょうか。地域によっては受け皿が整わない事態が生まれ、地域格差が生じるのではないでしょうか。また、ボランティアに専門家の代替、公的介護保険サービスの代替を求めること自体が間違いと考えますが、福祉保健部長、再度御答弁お願いします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 地域支援事業への移行が検討されている訪問介護等の受け皿整備につきましては、必要な財源措置を全国知事会などを通じて国に要望しているところです。
 また、サービスの質の担保ができるのかという点につきましては、国においてガイドラインの作成が予定されております。
 いずれにしましても、市町村での事業実施が円滑にできるよう、格差が生じないよう、県として支援してまいりたいと考えてございます。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これは要望なんですが、訪問介護を担うホームヘルパーが行う援助というのは、単なる家事の代行ではないということをぜひしっかりと受けとめていただきたいと思います。そういった点から、そういう専門家をどう養成していくのかということを県としても政策の中でしっかりと位置づけて支援をしていく施策を考えていくことをよろしくお願いします。
 ホームヘルパーさんは、利用者と関係を築きながら生活援助を行う中で、体の状態とか、また、生活環境に応じて働きかけて生活への意欲を引き出していくという専門職だと思うんです。そんな点で、ボランティアには行政から独立した独自の役割が──ボランティアさんというのは、やはり自主的な活動に基づいてやるべきことだと思いますので、そういった点を考えて、専門職の養成、ホームヘルパーさんの養成が市町村で円滑に成り立っていくように、ぜひ県としても考えてほしいなというふうに要望して、3つ目の質問に移らせていただきます。
 3つ目は、老人福祉法に基づく高齢者施策の充実をどのように考え、取り組むのかという質問です。
 先ほど、要支援、要介護の認定者数は6万3075人、サービスの利用者数は、そのうち5万2687人と申し上げました。地域では、認定を受けてもサービス利用が大変、介護保険料を納めるのが精いっぱい、認定は受けているがサービス利用料まで払えない、限度額いっぱい使えない、我慢しているなどの声をよく聞きます。
 介護を社会保険方式で行っているのは、日本以外には、ドイツ、オランダ、韓国など、ほんのわずかな国だけです。手厚いサービスで老後の安心をつくり出している北欧の諸国は、税方式で、国と自治体の責任で原則無償のサービス提供をする仕組みです。
 介護の仕組みの根本的改善は、保険方式を廃止することだと私は考えています。介護難民、介護漂流、介護のための退職などといった問題の根本解決を図るために、介護保険制度の枠内だけに問題解決を限定する制度至上主義的思考から抜け出ることが大事ではないでしょうか。そのためには、県としては、必要な介護が本当に受けられているのか実態を把握し、老人福祉法を生かした取り組みをもっとすべきだと思いますが、県としての取り組み状況をお聞かせください。福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 市町村では、介護保険に関する住民のニーズを把握するとともに、うまく介護サービスにつなげられていない場合には、地域包括支援センター、民生委員などと連携して、そういった方々が介護サービスを適切に利用できるよう対応しているところです。
 介護サービスの利用を控えがちな低所得の方に対しては、利用者負担に対する負担軽減措置があることを引き続き周知に努めてまいります。
 次に、老人福祉法を生かした取り組みについてですが、老人福祉法は、老人の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的としており、市町村が実施する養護老人ホームへの入所措置などがあります。
 そのほか、県としても、介護保険制度など既存事業の充実はもとより、地域で困っているひとり暮らし高齢者などに対しては、さりげない気配りや声かけなどの見守り活動を行う見守り協力員制度や民間事業者との見守り協力協定の締結により、今後も高齢者が老後を安心して暮らすことができるよう、市町村と連携して適切な対応を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 受け皿の問題で、養護老人ホームは措置制度で入所されるということはお聞きしてるんですけども、ある町の町会議員さんにお尋ねすると、特別養護老人ホームなどは、なかなか介護保険制度が優先されてるような形で、実際、老人福祉法に基づく措置で利用するということが非常に少ないというのか、そんな現状になってると思うんです。
 そういった点で、この特別養護老人ホームというのも、老人福祉法との関係ではどういう施設になるんでしょうか。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 老人福祉法の中では、虐待などやむを得ない事由により、市町村が特別養護老人ホームに入所を措置するということができる制度がございます。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 特別養護老人ホームは、介護保険の指定施設である以前に、老人福祉法に基づく設置要件を満たしていないと介護保険法による指定介護老人福祉施設となれず、介護報酬を支給することはできないということになっていると思います。そして、老人福祉法では、今も、身寄りのない生活困窮者など緊急な入所を必要とする高齢者のための措置という制度があると思いますが、特別養護老人ホームも、そういった老人福祉法に基づく措置制度が適用されるということで受けとめてよろしいでしょうか。再度質問いたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 先ほど申し上げたとおり、虐待などやむを得ない事由により特別養護老人ホームに入所を措置するという制度はございます。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 4つ目の質問をさせていただきます。介護職の養成の強化への取り組みについてお聞きします。
 ホームヘルプサービスは、在宅生活を支える大きな役割を果たすサービスです。国は、報酬改定のたびに、これを切り縮めるような変更を繰り返してきました。最初に述べましたが、ヘルパーが利用者の話を聞く時間もなくなり、掃除や調理の手を抜かなければやっていけない状況になっています。
 介護現場は、非正規職員の割合が高く、賃金格差も依然として産業平均より大幅に低い状態で、人材不足は深刻です。高齢化の進展に伴い、介護職の養成は重要です。養成の強化への取り組みをお聞かせください。また、介護職員人材確保や質の向上の取り組みをされているということですが、確保数、定着の状況はいかがでしょうか。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県では、介護分野への新規就業を目指す方を支援する「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムや就職相談会、介護体験事業などを実施し、昨年度は約350名が事業所に雇用されたところです。介護雇用プログラム事業では、平成21年度の事業開始から昨年度までに約420名が新規雇用され、当事業による雇用期間の終了後も、約6割の方が引き続き雇用されているところです。
 一方、介護技術を初め、認知症やたんの吸引など専門性を高めるための各種研修を実施し、良質なサービスを提供できる介護職員の養成に取り組んでいるところであり、このことが介護職に対する評価を高めるとともに職員の定着にもつながるものと考えております。
 また、昨年度から介護報酬に介護職員処遇改善加算が創設され、賃金の引き上げにつながっていることから、全ての事業者において活用されるよう積極的に働きかけているところです。
 今後とも、県といたしましては、関係団体等と連携して介護職場への人材の参入を促進するとともに介護職員のキャリアアップ等の支援に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 雇用実績をお伺いして、介護職を選んでいく新規雇用もふえているということなんですが、実態としてはまだまだ求人が多い分野で、そういった中では人材不足というのが今の現実の問題ではないかなあと思いますので、ぜひその点で一層の取り組みをよろしくお願いしたいなと思います。
 2007年から2009年にかけて、介護従事者の人材確保を目的とする賃金・労働条件改善の声に対して、当時の自公政権が介護職員処遇改善交付金を臨時的措置として全額国庫負担で行い、さらに民主党政権では、2009年の政権交代時のマニフェストで4万円賃上げを明記しました。しかし、今日まで微々たる改善しか行われていないと思います。依然として、全産業平均よりも大幅に低い賃金水準のままです。
 国は、この前答弁していただきましたが、処遇改善交付金を2012年3月で廃止をしました。2015年度報酬改定に向けて、介護職員に限定せずに、事業所従事者に全額国庫負担による処遇改善をぜひ県としても求めていってほしいと思います。これは、済みません、要望にさせていただきます。
 最後に、新政策に関して知事にお尋ねいたします。
 高齢化率が、さきに述べましたように大変高くなってきますし、なっています。また、低い所得の人も多い県にとって、誰もが安心して老後が送れるようにするためにどのようなことが必要とお考えでしょうか。知事にお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高齢社会の進展を迎えた今後の本県における高齢者施策として、中長期的な高齢者人口の推移等を踏まえ、健康状態や所得など、それぞれの状況に応じた施策を用意し、和歌山に住んでいれば老後は安心だと見通しが立てられるようにしていきたいと念願しております。
 そのため、大きな次のような4本柱で安全・安心の施策を推進してはどうかということで、現在、新施策としていろいろ検討をしているところでございます。
 1つ目は、高齢者の地域での見守り。隣近所のつながりが希薄になってまいりまして、地域での助け合いが重要となっております。既に地域見守り協力員や民間事業者による見守り協力協定は、制度ができ上がっておりまして、これに関しては既に和歌山県はもう全国一だと思いますけれども、これからも一層の充実に努めてまいりたいと思います。
 2つ目は、高齢者に元気で楽しく老後を過ごしていただくため、健康推進員制度の創設を図りまして、健康長寿のための施策実施に努めてまいりたいと思います。あわせて、元気な高齢者には介護サービスの担い手となってもらって、元気な高齢者の活躍の場の提供にもつなげていきたいというふうに思っております。
 3つ目は、有料老人ホームあるいはサービスつき高齢者向け住宅、さまざまな高齢者ビジネスが全国で展開されつつあります。そういう高齢者が安心してお住まいいただけるようなものの整備促進や、あるいは、おうちにいらっしゃるんだけども、家事やいろんな機能、そういうものを代行して高齢者が便利に過ごしていただけるような、そういう生活サービスの普及促進をしていきたいと思っております。
 これは、民間の事業を盛んにしてやっていくということだろうと思いますが、それによって、その需要者である高齢者に幸せに暮らしてもらうとともに、そこで働ける人の雇用を大いにふやしていきたい、こういうふうに思っております。
 4つ目は、長期的な高齢者人口の動向を踏まえて、特別養護老人ホームなど各種施設やあるいは在宅も含めた各種介護サービスを、需要予測に応じて適切に整備していくこととしたいと思います。所得の低い人やあるいは資産が少ない人でも、老後はまあまあ安心だというふうに思ってもらえるような制度整備をしておくということが大事で、これは多くの部分は国の制度にかかってるんですが、その運用その他も含めまして、あるいは国の制度がちょっと問題と思ったら、それに働きかけをするというようなことも含めまして、県民それぞれが将来に不安を抱くことがなく安心して人生設計を描くことができるような環境づくりを進めていきたいというふうに思います。
 このような4つの項目から成るような政策を整備してまいりまして、安心して老後を暮していただける県だというふうにしたいもんだというふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、特別養護老人ホームの入所待ちという人が、直近というのか、2800人ほど和歌山県でいらっしゃるということで聞いてるんですが、その中でも、やはり介護で仕事をやめざるを得ないとか、そういった実態もあります。
 そういう中で、さまざまな高齢者の人が、先ほど知事がおっしゃってくださったような、一人一人の方がやはり安心して住める和歌山県にしていっていただきたいということで、そういった点では、私は、やはり最初に言われた見守りとか、地域での協働をぜひ進めていくという方向とあわせて、やはり基盤整備をしっかりしていかないと、見守り協力員とかそういった方たちや、地域で大変いろいろ困ってくることが起こるんじゃないかと思いますので、あわせて、やはり基盤整備をしっかりと進めていっていただきたいなというふうに思います。
 それとあわせて、そういったことを担っていく、やはり中核になるヘルパーさんの処遇改善も、県としてもぜひ強めていっていただきたいなと思うんですが、よろしくお願いいたします。
 次に2点目は、若者の雇用問題についてお尋ねをいたします。
 雇用問題については9月にお尋ねをしておりますが、そのときの答弁の内容は、和歌山県においても全国と同様に非正規労働者の増加が見られること、若者の雇用促進対策として、県出身大学生のUターン就職や工業高校への支援を県独自で取り組んでいること、パワーハラスメントに対する取り組み、ブラック企業に関する労働相談の受け付けも行い、労働関係法令の遵守を広く呼びかけていくということでした。
 若者がやりがいを持って生き生きと働くことができる環境を整えることは、将来の県の発展にとって欠かせません。今、子供に「夢は」と聞くと、「正社員になること」と答えたというお話を聞きました。また、今どきの若者は真面目に働こうとしないというニート・フリーター論によって、若者を批判する声も根強くあります。そして、就職できないのは自分の能力が足らないからと、自分の責任と考えて、ひきこもりや鬱病になって自分自身を追い詰めていくといった話もよく聞きます。
 このような若者の就業困難の背景には雇用環境が大きく変わってきたことにあると考えますが、そこで商工観光労働部長にお尋ねいたします。和歌山県における雇用の現状をどう把握し、取り組みをされているでしょうか。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 雇用の現状については、本年10月の有効求人倍率が0.96倍と改善傾向にあるものの、求人と求職のミスマッチも生じており、加えて非正規労働の増加など、若者の雇用就労環境は依然厳しいものと考えております。
 一方で、高校卒業生のうち、毎年約9割の学生が県外の大学等へ進学し、多くの若者が県外で就職しております。このような現状を踏まえ、若者の県内企業への就職促進は、県内産業の発展にとっても極めて重要であると考え、さまざまな施策に取り組んでいるところです。
 具体的には、求人拡大のための経済界への働きかけ等により高校生の県内就職の促進に取り組むとともに、大学生等のU・Iターンを促進するため、県内や大阪、東京での企業面談会や大学等での就職セミナー等を開催するほか、県内企業情報等を掲載した冊子を作成し、今年度は約4000人の県出身学生に提供することにしています。
 また、和歌山市の若年就職支援センター「ジョブカフェわかやま」では、若者がそれぞれの希望に応じた職につけるよう、カウンセリングから職業紹介、職場定着フォローアップまでワンストップで対応しながら、若年者の就労支援に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを工夫しながら、県内企業への若者の就職促進に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 2つ目は、高校生の就職状況と取り組みについてお尋ねいたします。
 県内の高等学校では、就職希望者の進路実現のために、企業の協力のもと、インターンシップや職業人講話、実習授業への講師派遣など、さまざまな取り組みを推進していると聞いております。県内の就職を希望する高校生の就職状況はいかがでしょうか。教育長に御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県高校生の平成25年3月末の就職希望者数は2115名で、そのうち就職内定者は1902名、就職内定率は89.9%でありました。近年、内定率は90%前後で推移しており、全国平均と比べて約5ポイントから6ポイント下回る厳しい状況にあります。
 また、県内就職を希望する生徒の割合は高い傾向にありまして、就職希望者全体の8割弱を占めております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 教育長に再度お尋ねいたします。
 県内の就職希望者が8割近くを占めるということで、県内で就職をしたいという方が高校生の場合は大変多いというふうに受けとめたんですけど、内定率については、全国的に見て厳しい状況にあるんではないかなと思うんです。この原因についてどのようにお考えかということと、どんな取り組みをそれについてされているのか、再度御答弁、よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内の就職状況が厳しい原因といたしましては、平成25年3月卒業生の全国の求人倍率が1.37倍に対して県内は0.91倍と、全国と比べて極めて低い状況にあることが挙げられます。また、生徒が希望する職種の求人が少ないということなど、さまざまな要因が考えられます。
 こうした状況の中、各学校では、教職員が企業訪問を行うなど、就職先の開拓に力を入れるとともに、企業から強く求められている基礎学力やコミュニケーション能力を身につけさせるためのきめ細かな指導に力を入れています。また、教育委員会といたしましても、経済5団体に対する求人要請を行うとともに、学校やハローワーク、企業関係者等が密接な情報交換を行い、雇用拡大に向けた対策を講じているところでございます。
 今後とも、関係部局とも協議しながら、さらなる求人開拓と教員の就職指導力強化のための仕組みづくりを積極的に進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この問題については、最後、要望をしておきたいんですが、私はやっぱり教育現場だけに任せずに──そうなってないと思うんですけども──県全体として高校生の求人開拓に取り組んでいくように教育委員会としてもしっかりと発信をしていただきたいなあと思いますので、よろしくお願いします。
 3つ目に移らせていただきます。これについては、知事にお尋ねしたいと思います。
 国会では、若者を使い捨て、使い潰す働かせ方が問題になりました。厚労省は、平成25年9月1日に若者の使い捨てが疑われる企業等に関する無料電話相談を行い、全国から1042件──これは速報値ですが──相談が寄せられました。主な相談内容は、賃金の不払い残業と長時間過重労働、パワーハラスメントが上位3項目を占めています。現在も、都道府県労働局・労働基準監督署で労働相談を受け付けています。
 国会で安倍首相は、この問題に対する認識として、「政府としては、若者の使い捨てが疑われる企業は社会的に大きな問題だと考えており、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化するなど、現行の労働基準法等の遵守についてしっかりと取り組んでまいります」と答弁し、対策強化を表明されました。そのことも踏まえ、厚労省は、さきに述べた電話調査に加え、4000社への調査などの対策を進め、和歌山県内でも調査が行われました。県においても、若者の働く環境を考える上で見過ごせない問題だと考えます。
 そこで、知事に、いわゆるブラック企業に関する点で認識をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど、奥村議員から、安倍総理の国会答弁でございましょうかね、御紹介されましたけども、私は全くそのとおりだと思います。
 日本の産業のいいところは、長い目で見てうまくいくように誠実にみんなが対応するということだったと思うんですが、それが短期的にお金がもうかればいいやというようなことで、大事な若者を使い捨てするような過重労働とか賃金不払い残業とか、そういうものがあってはいかんということだろうと思います。
 和歌山県においては、労働委員会における個別相談というのが大変定評のあるところでございます。一生懸命やっていただいてるんですが、内部部局におけるそういう情報収集なども踏まえていろいろなアンテナを高くして、問題になりそうなものが我々として認識されるならば企業への注意喚起を行うというようなことをやっていきたいと思いますし、場合に応じては、より強力な、法律的な規制権能を持っている労働基準監督署に情報提供したり、そういうふうなこともやって、若者が泣かないようにしていきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事のほうから、対策をしっかりやっていきたいということで答弁をしていただきました。私も、本当にそのことを願っています。その上に立って、やはり何といっても、使い捨てとか使い潰しとか、そういったことがなぜ起こってきてるのか、どうしてなくせるのかということで、ぜひそういう立場で取り組んでいただけたらなあと思います。
 現行法の厳格な実施により、もっと使い捨て、使い潰しをなくしていくという、そういう根本問題から含めて、1番目に現行法の厳格な実施によって違法な状態から若者を救う、また第2に企業や事業者に現行法を守らせる、第3に労働者に労働法関連の労働者保護の現行法を身につけられるようにするということが大事だと思います。
 そういった点で、以前、和歌山県でも2008年に若者向けにリーフレットをつくってくれました。「労働法の基礎知識」というようなリーフレットなんですが、そういった点で、しっかりと引き続いて、やはりよりいいものにしながら活用をぜひしていってほしいと思います。これは、要望をしておきます。
 4つ目に、働きやすい環境づくりについて商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
 法律の弱点をかいくぐって違法行為を隠蔽したり、脱法的な手法で過酷な労働を強いることは、知事も言われたように許せないことです。ブラック企業を規制することが大事だと考えますが、9月の一般質問の際、ハローワーク前でのアンケート調査や労基局でお話を伺いました。今回も関係機関で御意見をお聞きしました。ブラック企業の問題の背景は、非正規雇用がふえたこと、労働者の知識不足、法体系の問題ではないかと述べられていました。県として、若者が安心して働き続けるためにどのような取り組みをされていますか。御答弁をよろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 若者が働きやすい環境づくりを進めるに当たっては、雇用する側、される側双方が、労働基準法を初めとする雇用に関するさまざまなルールの基礎的な知識を習得し、これを遵守することが重要であると考えております。
 このため、県としましては、毎年、労使を対象として労働関係法規や労務管理手法、職場のパワハラ対策などをテーマにした各種セミナーを開催し、その周知に努めているところです。
 また、ジョブカフェわかやまから高等学校へ講師を派遣し、就職する生徒を対象に実施している講習において、教育委員会とも連携し、よりわかりやすく工夫をしながら働く上での基礎知識の向上を図るなど、若者の働きやすい環境づくりのため取り組みを行ってまいります。
 また、県が運営している労働相談室には、年間250件程度の労働相談も寄せられておりますが、その内容を詳細に把握し、若者の雇用環境の悪化につながるような問題については、場合に応じて労働基準監督署に情報提供を行うことや企業等に対する注意喚起を促すなどの対応を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に要望をして質問を終わらせていただきたいんですが、これは神奈川県が出されてる「過酷な働き方をさせられていませんか?」ということで、労政福祉課が出してるこういうチラシなんですけど(資料を示す)、こういったことを含めて、やっぱり若者ということだけでなくって、全県民にぜひ周知徹底という形でよろしくお願いしたいと思います。要望して、この質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時50分休憩
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