平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 質問に入ります前に、先日、国会では、特定秘密保護法が国民の反対や不安を押し切って強行採決されました。特定秘密は、我が国の安全保障にとって著しく支障を与えるおそれがあるなど、広範かつ曖昧な要件で政府が指定し、何が秘密かも秘密です。私たちも、この県議会でオスプレイの訓練の問題などを取り上げましたが、特定秘密とされれば質問することや答弁することもできなくなるのではないでしょうか。議会制民主主義の根本が脅かされます。特定秘密保護法の成立に強い抗議の意志を表明するものであります。
 それでは、質問をさせていただきます。
 最初に、日置川の河川整備の問題について伺います。
 私は、平成23年の9月県議会でもダムの問題を中心に河川の問題を取り上げましたが、来年7月に殿山ダムの水利権が更新時期を迎えるに当たり、流域住民の命と暮らしを守る立場から再度質問をさせていただきます。
 日置川については、現在、2度にわたる河川審議会やパブリックコメントの手続も経て、県管理二級河川日置川水系の河川整備基本方針が策定されようとしています。この中で、治水については、40年に一度の確率で起こる規模の洪水に対して被害が出ないような方針になっています。
 県内の河川では、国管理の紀の川水系が150年に一度の洪水に対応する方針、熊野川水系は100年に一度の洪水に対応することになっています。県管理の河川では、有田川、日高川も100年の一度の洪水に対応することになっています。一方、一昨年大災害が起こった那智川は30年に一度、日置川は先ほど申し上げたように40年に一度の洪水への対応でよしとする案になっております。同じ県管理河川でもなぜ河川整備基本方針の治水の部分でこのような違いがあるのか、その根拠について県土整備部長に伺います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県における河川整備基本方針の計画規模決定ルールは、平成11年の第2回和歌山県河川審議会においてお示ししておりますが、流域面積や洪水により氾濫した場合に想定される区域内の面積、人口、資産額の指標を基本に、過去に発生した水害の規模等を総合的に勘案し、決定しております。
 日置川水系河川整備基本方針につきましては現在策定中でありますが、この指標からは、計画規模は年超過確率30分の1となりますが、昭和33年に発生した水害の規模を考慮して40分の1の計画規模で検討しているところです。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、治水方針を定めるためのルールがあるということでございます。事前に資料をいただいたので、議場にもお配りしております。資料1でございます。
 ここで、上の表で書いておる50分の1とか100分の1といいますのは、それぞれ50年に1回、100年に1回の洪水に対応する計画ということです。この上の表でいいますと4つの評価項目があって、流域面積ですとか氾濫区域の面積、人口、資産、こういうものを評価して、①のところにも書いてありますが、この4項目のうち最低の規模を採用するというところになっております。
 日置川で言えば、人口が足りないために40年に一度の洪水への対応でいいということになっておるわけですが、この表で見ますと、日置川は氾濫想定区域内の人口が──ちょっと緑色になっておりますが──877人ということで1000人に満たないから、ここが1つのネックになって、40年に一度の洪水への対応ということでいいとなっているというふうに思います。
 資料の表の真ん中にあるように、877人ですから基準の1000人に123人足りないわけで、1段下のランクの治水方針ということになっておるわけなんですが、住民基本台帳なんかで見ますと、この川筋には少なくとも1500名ぐらいの人口が住んでおられます。なぜここは877人というふうにカウントをされてるんでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 氾濫想定区域ですが、洪水時による河川の氾濫により浸水するおそれのある区域を求めたものでございます。その区域の人口につきましては、日置川においては平成12年国勢調査のデータをもとに算定して877人としております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 お答えでは、川筋全体の人口ではなくて氾濫が想定をされる区域の人口が877だということなんですが、では、氾濫が想定されるというその氾濫、これは何年に1回の確率の洪水規模の氾濫を予測してこの877人になっているんでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 氾濫想定区域は、洪水時の河川の水位、これは計画高水でございますが、年超過確率40分の1により、その水位よりも地盤の高さが低い沿川の地域等の氾濫区域であります。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、御答弁をいただきましたように、40年に1回の洪水でつかるという地域の人口が877人だと。ですから、それが1000人に満たないから40年に一度の計画規模でなってるということですから、これは鶏が先か卵が先かというような話で、決め方がどうもよくわかりません。
 50年から100年に一度の洪水で想定すれば、もっと区域内の人口はふえるはずです。少なくとも、明治の水害では日置川付近で49名が亡くなられ、家屋の流失、倒壊が500戸以上となっていることから、大きな洪水ではその氾濫区域の中にもっと多くの人口が含まれてくることになります。こうしたことも考えに入れて検討をいただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 被害を受ける住民にとっては、どこに住んでいようが、ほかの地域と同様に守ってもらいたいと思うのは当然です。洪水被害を受けたときの補償が一部しかない今の状況の中で、流域の安全度はここまでしか保障できないというのでは、私は、これではますますこの日置川流域の過疎化に拍車がかかるのではないかと心配をしております。計画規模決定のルールというのをこの際見直して、地域間の格差をなくせとは申しませんが、少なくするという方向で考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 河川整備基本方針の計画規模決定ルールにつきましては、国や他の府県も同様ではございますが、河川の重要度を重視するとともに、既往洪水による被害の実態、経済効果等を総合的に考慮して定めるものとしており、現時点で見直す考えはございません。
 具体的には、県内の河川の計画規模は、先ほど述べましたように、流域の大きさや氾濫した場合に想定される被害の大きさ等によって決定をしております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 見直されないということでございますが、私は、日高川、有田川は100年に1回の規模に対応すると、しかし日置川は40年に1回ということでは、本当に、先ほども申し上げましたが、過疎化が進む地域での住民はつらい思いをされると思います。そういう答弁ですが、ぜひこれは見直していただけるよう重ねて要望をさせていただきます。
 次の質問です。次に、殿山ダムに関して伺います。
 殿山ダムの発電用水利権は、来年7月に30年目の更新時期を迎えます。昭和29年に知事によって許可された水利権は、昭和59年に更新をされ、今回更新されれば2回目となります。30年ごとの更新ですが、今回は期間を20年ということで短くするようです。地元の日置川では、昭和33年の大水害、平成2年の19号台風でダムからの大放流を経験し、裁判にもなりましたし、ダムが水害を増してきたという意見は根強くあります。
 一昨年9月の一般質問でこのダムの問題を取り上げ、ダムの改良や運用の改善を水利権更新時期に関電に求めてはどうかと質問したところ、知事が「水利権という問題を使わなくても理を尽くして議論する」と答弁をいただき、その後、一定の運用改善が図られました。このことについては御努力に感謝をしたいと思います。
 今回取り上げるのは、そもそも論であります。殿山ダムの当時の設計が、現在的な知見から見て妥当なものであったかどうかということであります。これは、今回、先ほども取り上げた日置川の河川整備基本方針を勉強する中で疑問に持ったことです。
 では、質問をいたします。
 県がこのたび策定しようとしている日置川水系の河川整備基本方針では、40年に一度とされる洪水に対応するものになっておりますが、そのとき基準地点となる下流の安宅という地区があります。安宅という地区では毎秒4100トンの流量になるという予想になっております。では、この量が下流で流れているときに殿山ダムの地点ではどれぐらいの流量となる予測をされておりますか。答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 現在策定中の日置川水系河川整備基本方針(案)では、年超過確率40分の1の洪水時における殿山ダム地点の流量の計算値は毎秒約3400立方メートルとなっております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今お答えいただいたように、毎秒3400トンの流量ということです。
 それでは、殿山ダムの設計時の設計流量はどれぐらいの量で、それは何年に1回の割合で起こる洪水に対応するものになっているのでしょうか。答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 殿山ダムの設計洪水流量は、年超過確率100分の1で、毎秒3000立方メートルです。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 これについては、資料2のほうの簡単な表にまとめております。答弁がありましたように、昭和29年当時、関電が設計した当時は、ダムの地点では毎秒3000トン流れると、これは100年に一度起こるぐらいの確率だということです。ところが、河川整備基本方針の見直しのために県が改めて流量の予測をした平成22年の時点で、3400トンあそこの地点では流れると、それは40年に1回の確率で起こるということになっているわけです。これは大変大きな矛盾を抱えていると思います。
 このダムの設計というのは、昭和33年、日置川の大水害が起きた年の県議会でも大問題になってきたものです。当時の議事録を見ますと、最初関電が出してきた案では毎秒2000トンぐらいでいいと、ダムを放流する能力は。ところが、これでは少ないということで県が指導して毎秒3000トンに改めて、さらに2割の余裕を乗せて3600トンにしたという経過が載っております。
 ところが、御承知のように、ダムが完成した翌年の昭和33年──1958年ですが──100年に一度と言われた毎秒3000トンの流量を超える毎秒4000トン以上の水が出て、ダムの堰堤を越えるような大洪水が起こったのであります。また、それに近い2700トンもの洪水が平成2年(1990年)、19号台風のときにも起こりました。どちらもダムのゲートを6門全部あけての放流です。
 なぜ、100年に一度と聞いていたはずの毎秒3000トン前後の洪水がたった40年の中で2度も起こるのか、おかしいじゃないかという気持ちは地元ではずっとあったのですが、今回、県が河川整備の方針をつくる際の計算で見れば、あの洪水は40年に一度起こる規模としてはあり得るものだということが明らかになったわけです。
 40年に満たない期間の間に、関電が予測した100年に一度規模以上と、それに近い洪水が2回起きている。これは、ダム設計当時の流量予測がどう見ても誤っております。この際、現在の知見で殿山ダムの計画洪水の流量予測、これを見直すべきではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 殿山ダムの設計洪水流量は、昭和4年7月の既往最大水位記録と昭和14年から昭和27年までの水位データ等を用いて、その時点での最新の知見に基づいて算定しているものであります。
 また、関西電力からは、設計洪水流量を超えるある程度の洪水に対して、ダム天端を越流しても堤体の安全性には問題がないという報告を受けております。
 いずれにしましても、県としましては、日置川の洪水対策につきましては、堤防の築堤や殿山ダムの洪水時における事前の水位低下を平成24年6月より運用開始するなど、今後ともハード、ソフト両面から洪水時の被害軽減に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 関電が設計した流量予測の見直しを求めてはどうですかという質問をしたのですが、御答弁では、するかしないかよくわかりません。部長は、当時の関電の設計流量が今日的に見てこれでいいと思われてるんですか、それともよくないというふうに思われてるんですか。どうでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 関西電力から、設計洪水流量を超えるある程度の洪水に対しては、先ほど申しましたように、ダム天端を越流しても堤体の安全性には問題がないという報告を受けております。
 仮に、今後、殿山ダムの改築等がされる場合には、現在の河川管理施設等構造令に適合する施設に改築するよう指導するものと考えておりますが、現時点では見直すことを考えてはおりません。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、私は、やはりもう県がきちんと独自で計算したデータを今回持っているんですから、今の知見からすれば、あのダムの流量予測を根本から見直すよう求めてもいいのではないかと思います。その上で、必要ならばダムの改良も含めて検討をさせるべきだと思います。これは、水利権の更新時期でもあるので、しっかり関電と議論されるよう要望をさせていただきます。
 それと、今も御答弁にありましたが、河川管理施設等構造令というのもあります。現在の政令では、ダムの設計については200年に一度の洪水でも安全に流せることを求めております。それに比べて、40年に一度の洪水でさえ天端を越えて流れっ放しになるようでは、ダムはとても怖くて認めるわけにはいきません。
 ここに、前回の水利権──更新当時ですね──昭和59年に当時の日置川町長坂本三郎氏が関電に回答を求めた文書があります。防災目的を加味したダムに改造してほしいという町民の要望に、関電は次のように回答しています。「明治22年に田辺市内で記録した日雨量901.7ミリの雨が万一ダム上流に降った場合、ダム地点の流入量は推定で毎秒約8700トンになり、ダム天端を越流することになりますが、この場合でもダムが決壊する心配は全くありません」と、このような回答でございました。これは今部長が答弁されたことと通じるものがあると思いますが、しかし、仮にダムが大丈夫でも、毎秒8700トンもの洪水が下流を襲ったら、流域では多数の死者が出るでしょう。こんな予測までしておきながらそれに対する備えがされていないことは、私は許されるものではないということを申し上げておきたいと思います。
 次の質問に移ります。洪水ハザードマップについてです。
 関電が設計を見直すかどうかということとは全く無関係に、現実には、40年に一度の洪水やそれ以上の規模の洪水はいつ起こってもおかしくありません。
 そこで、現在、県の浸水想定区域図をもとに白浜町のほうで作成をした日置川の洪水ハザードマップというのがございます。きれいなやつをつくっていただいておりますが、この洪水ハザードマップですが、先ほど議論しました河川整備の基本方針と同じように、40年に一度の洪水で予想をしております。方針が40年に一度だからといって、ハザードマップまで40年に一度の洪水でやるというふうにこだわらなくてもいいと私は思います。
 日置川では100年に一度の洪水も起こるはずです。この際、このハザードマップ、市町村がつくってくれておりますが、この作成のための、県がもとのデータをつくっています浸水想定区域図、これを見直して検討を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 日置川につきましては、県が平成18年7月に水位周知河川に指定するとともに、年超過確率40分の1の降雨による浸水想定区域を公表し、これに基づき、白浜町が平成20年3月に洪水ハザードマップを作成したところです。
 また、公表に際しましては、「支川のはん濫、想定を超える降雨、高潮、内水によるはん濫等を考慮していませんので、この浸水想定区域に指定されていない区域においても浸水が発生する場合や、想定される水深が実際の浸水深と異なる場合があります」と文章で掲載し、注意を促しております。
 加えて、現在、県としましては、紀伊半島大水害を受けて、計画規模を超える洪水に対する浸水想定区域の洪水レベルの考え方やその活用の方策などについて検討を行っているところであり、大規模な洪水に対しても早目に安全な避難が行えるように取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、ハザードマップについてはそれを超える部分もあるということで、確かに文字で小さく書かれておりますけれども、それではやはり困ったことが起こるということになります。
 といいますのも、洪水ハザードマップという考え方なんですが、和歌山県もお世話になっております群馬大学の片田敏孝先生がこの分野の権威でもあります。片田先生が、この間お借りしたんですが、「消防科学と情報」という専門の雑誌がありますが、この2002年の夏号にハザードマップについて注意点を書いてくれております。
 第1のハザードマップの問題点は、マップを配布しても、それを捨ててしまったりなくしたりしている住民が多いことであるということを述べられてます。
 2つ目の問題点は、「洪水ハザードマップに示される情報が、洪水水害のイメージを固定化してしまうことである」、「洪水ハザードマップは、降雨や堤防の破堤についてシナリオを与えて、洪水氾濫のシミュレーションを行った結果が示されているに過ぎず、洪水氾濫がそのシナリオにとどまる保証は何もない」ということです。
 3つ目の問題点は、洪水ハザードマップの表現能力の問題です。一般的な洪水ハザードマップは、これもそうなんですが(資料を示す)、紙の地図にカラーで予想浸水深というのを色分けして書かれておるんですが、流速――速度ですね――を表示することは難しい。「流速が速い場合、例え浸水深が浅くても水の中を歩いて避難することは危険であるにも関わらず、住民は浅い浸水深に安心する傾向が強い」、このように注意をされています。
 4つ目の問題点は「洪水ハザードマップが“洪水安全地図”に変わってしまう場合がある」というようなことを述べられて、洪水ハザードマップの公表のあり方が重要になると言われております。
 今、検討を始めていただいたということで御答弁をいただきました。こうした今申し上げた点に注意して検討を進めていただき、なるべく早く成果を出していただけますよう要望をしておきます。
 次の質問です。これも一昨年の9月議会で質問をした問題です。
 熊野川水系の電源開発のダム群については、県のホームページで、今、リアルタイムで放流の状況がわかるように改善をされました。ところが、殿山ダムについてはいまだにそうなっておりません。実は、殿山ダムにはテレホンサービスという自動の応答の設備がありまして、電話をすると自動音声で今何トン放流していますということが流れるんですけども、私たちは、洪水が起こりそうだと何度もダムのテレホンサービスに電話をして聞いております。大変不便ですし、情報の提供ルートは二重、三重とあったほうが安心です。殿山ダムの放流状況についても県ホームページで確認をできるようにするべきだと思いますが、御答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 河川の水位やダムの放流情報等の提供は、洪水時の住民の避難行動や水防活動等に重要であると考えております。このため、和歌山県では、紀伊半島大水害を踏まえ、平成24年10月から国土交通省の「川の防災情報」で公表されている一級水系である紀の川や熊野川の国土交通省管理のダムや電源会社管理のダムの情報についても、県のホームページで提供しております。
 一方、二級水系である殿山ダムの情報につきましては「川の防災情報」に接続されておらず、ダム管理者である関西電力に県ホームページでのデータの公表の協力を呼びかけておりますが、データ伝送に係るネットワークやシステムの構築が必要であるとのことから実現ができておりません。
 県としましては、今後も引き続き協力を働きかけてまいりたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 働きかけてはおるけれどもまだだという御答弁だったと思いますが、私は、また、水利権を使うなというふうに言われますけれども、やはり水利権の更新という重要な時期に来ているわけですから、こうした問題についても、ぜひ水利権の更新までにはきちんと実現をして、住民に安全・安心の情報を提供するということをしっかり指導していただきたいというふうに思います。これも要望をしておきます。
 次の質問です。
 次に日置川は、現在、水防法という法律の定める水位周知河川ということになっておりますが、気象庁と共同して水位等の予測を行う洪水予報河川、これは現に日高川や有田川が指定されておりますが、この洪水予報河川に指定できないものかどうかというのを御答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 現在、河川の流域面積が大きく、洪水による大きな損害が生じる可能性のある有田川、日高川、古座川、熊野川の4河川につきましては、区間を定めて今後の雨量の見通しと河川水位の予測を行う洪水予報河川の指定を行っております。
 日置川につきましては、河川水位が設定された水位に到達したときに水位情報を関係市町等に通知する水位周知河川として指定するとともに、テレビのデータ放送や防災わかやまメールなどで住民の方々へも情報提供を行っているところです。
 議員御指摘の日置川における洪水予報河川指定につきましては、同流域での実績データから予報精度の確保等の技術的検討も必要であるということから、現時点での指定は難しいものと考えております。
 なお、県としましては、流域の雨量や上流の水位情報などの防災情報につきまして、今後も県のホームページや多くのメディア等を活用して提供してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 現時点では洪水予報河川への指定は難しいということでございますけれども、私は、これはやはり費用と人員も含めて投入をしていただければできるのではないかと考えております。
 といいますのも、ちょっと戻りますが、資料1にもあるように、日置川は流域面積で言えば有田川や日高川と並ぶぐらい、419平方キロですから大変広いわけです。広いわけですから、流域の小さな河川ですと洪水がどれだけ出てくるという予報は大変難しいというのは、これはよくわかるんですが、流域は広いわけですから、それに見合ったシステムとして、私は洪水予報河川というのは十分可能だというふうに考えております。ぜひ今後の検討をお願いしたいというふうに思います。
 4番目の利水と環境への配慮について伺います。
 今回の河川整備基本方針では、日置川の河口から6キロメートルまでの範囲の河川整備は洪水時の流量を確保するため河床の掘削をしていくということになっておりますが、これには地元からも心配の声が上がっております。
 まず、最近特にひどくなっていると言われているのが、水田のための用水の塩分、塩です。河床が下がって、海の潮が田野井地区という河口から4キロメートルの地点まで上がっていると言われていて、既に以前から稲作への影響も出ております。
 また、日置川はアユで有名ですが、河床の掘削はその産卵への影響も指摘をされております。
 さらに、日置川の河口の部分ですが、ヨシ原が一部発達しているところがございます。そこにはシオクグという聞きなれないカヤツリグサの仲間の植物や、県のレッドデータブックにも載っていて絶滅危惧種にも心配をされている、本県では日置川の河口にしかいないというヨドシロヘリハンミョウという昆虫もおります。これらへの影響はないかと心配の声もあります。こうした心配にどうお応えになるのか、答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 日置川におきましては、これまでも河川水辺の国勢調査や河川整備基本方針策定時における調査の中で、動植物の生育・生息実態を把握するなどの環境調査を実施しているところです。
 また、現在策定中の日置川水系河川整備基本方針(案)におきましては、適切な技術的知見に基づき、できるだけ河川環境への影響の回避・低減に努めるとともに、必要に応じ代償措置を講じることとしており、実際の河床掘削等におきましても可能な限り環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 これは今後の課題ですから、ぜひ影響のないような研究をしていただきたいというふうに思います。
 次に、潮どめ堰堤設置要望についてです。
 地元の水利組合や区長さんらから、県と町に宛てて潮どめ堰堤の設置要望が上がっております。これらの地区では、稲作への塩害は以前から問題になっておりましたが、水をくみ上げるポンプを上流につけかえたりしてしのいでまいりました。日置川では、これまで、ダムの建設やあるいは砂利採取ということもあり、下流部では河床が低下していると関係者は言っています。河川管理をしている県土整備部で潮どめ堰堤をつくるなど対応していただきたいというのが要望でございますが、この要望についていかがお応えになるでしょうか。お願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 平成25年7月、本年7月に、日置川区長会から和歌山県及び白浜町に対して潮どめ堰堤の設置要望があったことは承知しております。また、白浜町からは、満潮時にはJR鉄橋付近まで潮が遡上しており、近年の海面上昇と渇水時の河川流量の減少など、悪条件が重なったときに塩害が発生していると聞いております。
 しかしながら、日置川におきましては、平成3年と平成23年の両方の河道の測量データを比較しましても、河床高に大きな変化がないのが現状でございます。したがいまして、潮どめ堰堤を河川管理者で設置することは考えておりません。
 なお、白浜町からは、ポンプ工法による上流地点での取水も1つの選択肢として検討する旨、伺っております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁では河川管理者として県は設置することは考えていないということなんですが、やはり地元の要望は、これはいろいろな自然現象もあるのかもしれないが、河川の管理の影響で、昔は上がってこなかった潮がどんどん上流まで上がってきているという主張です。
 ぜひそうした要望に応えるためにも次の質問へ行きたいんですが、先ほどの水稲の塩害を心配する声に応えるためにも、いわゆる汽水域と言われる潮が入っていく部分、この塩分濃度が季節や潮回りでどう変化をしているのか、まず、河川整備の前にきちんと調査をしてデータを蓄積していく必要があると思うんですが、この調査についていかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県では、日置川を初め県内河川におきまして河川の水質を監視するための測定を行っております。日置川におきましても、平成19年から安宅橋地点で年4回、塩化物イオン等の測定を行っており、データを蓄積しているところです。
 県としましては、この測定値も参考にしつつ、河川工事を行う場合には必要に応じて調査を追加するなどしながら、利水と環境にも配慮してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 調査の追加という御答弁もいただきました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、2番目の住宅新築資金等の滞納分解決へ向けての質問に移ります。
 報道によりますと、9月6日に県市長会が来年度予算に関する要望を知事に提出されたそうであります。その中で、御坊市長さんから、同和対策として実施された住宅新築資金等貸付事業について、制度をつくった国や県に対して滞納整理について強い要請があったようであります。
 この住宅新築資金は、歴史的、社会的理由によって生活環境などの安定向上が阻害されている地域の環境の改善を図るため、住宅の新築や改修または土地の取得について、必要な資金の貸し付けを行う制度であります。国の制度は、国の補助金と市町の起債によって原資をつくり、それを個人に貸し付けております。この制度を使った36府県の大部分は国の制度のみで運用しておりますが、和歌山県、高知県、神奈川県だけが県独自の制度をつくっております。
 中でも、和歌山県は、国の制度、それから県の制度、このどちらをどのように使ってもよいということで運用しておりますから、実際は、借り入れをした個人の中には、家の建物には県の資金、土地を買うのには国の資金というような使い方をされている、まさに家と屋敷で違う制度を使っている例がたくさんございます。
 この和歌山県独自の制度は、当時の民生部同和室が窓口になって、市町村振興資金特別会計の中で市町への原資の貸し付けを行い、市町が個人に貸し付けるという制度になっておりました。国制度も県制度も、あくまでお金の貸し借りは借り入れた個人と市町との間の関係になります。個人が滞納した場合は、市町はいわば肩がわりするような形で、一般会計から持ち出しで国や県に償還をするということになっております。
 滞納の状況は、資料を出していただきましたので資料3をごらんください。左が国制度、右が県制度です。昨年末時点で、国制度で約31億円、県制度で約23億円の滞納があります。償還率で見ると、低い市町では60%台というところもございますが、平均すれば22市町で93%程度となっております。
 こうした状況のもとで、貸付金の償還が最大で25年の長期に及ぶため、その間における市町の事務費負担を軽減し償還事務の適正化を図ることを目的として、国は、償還推進助成事業として平成4年から債権回収や法的措置への補助制度をつくりました。これには県も応分の負担をしております。
 また、その後、平成14年6月県議会で、日本共産党県議団にいた金田眞議員が住宅新築資金等貸付制度について質問。県の市町村振興資金から貸し付けた分の滞納については補助制度がなかったことから県の支援を求めましたところ、平成17年になって滞納処分促進対策補助金として県独自の制度ができております。補助制度の実績は、制度発足当初からの合計で、国の補助制度で約6億円、県の補助制度は約2300万円となっています。
 国の補助制度については、事務経費のほかに、法的措置のための費用に4分の3の補助が出ます。また、債権回収のため強制執行などをした場合には、どうしても滞納した分と強制執行した分の差額が出てまいります。これについても回収不能になった金額の4分の3は国が面倒見ましょうと──国と県ですね。県も入っておりますが、補助をします。事務経費は、対象外になっている県の補助制度でも、回収不能金額の2分の1は県が補助を出してくれるということになっております。
 ただ、県の回収不能になった金額への補助は、いわゆる債権放棄を補助要件としているために実績が伸びていないという意見が市町の中にございます。具体的に言えば、それぞれの市町の議会において、貸し付けを受けた個人名を公にして債権放棄の議案を通さねばならないという、このハードルがあるために使いにくいという御意見が出ているようであります。
 そこで、伺います。
 県のつくっている補助制度の狙いというのは一体何なのか、企画部長に答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 県補助制度の狙いでございますが、県は、ただいまの議員の御質問の中にもございましたけれども、市町が貸し付けました同和対策住宅新築資金等貸付金の回収に当たりまして、借受人からの滞納が発生しておりますので、この問題を解決するために、弁護士費用などの事務的経費のほか、債権放棄を要件として、未償還額と強制執行等による取立額との差額などを対象とした同和対策住宅新築資金等貸付金滞納処分促進対策補助金を平成17年度に創設いたしました。
 この制度は、市町における滞納債権の回収と回収困難な債権の整理を促進することによりまして、市町の財政負担の軽減を図ることを目的といたしております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁では、回収困難な債権の整理ということも促進するためにということで、1つ債権放棄も要件に入っているというふうに私は捉えましたけれども、やはり、いずれにしても、国の補助制度と県の補助制度の違いから補助金が利用しにくいんだという、この市町の声があります。ただ、一方で、田辺市さんのように県の補助制度をしっかり活用して大きな実績を上げているというところもあるというのも事実であります。市長会から上がっているさまざまな要望について今後も真摯に対応していただけるよう、この場で要望しておきます。
 2つ目です。これは要望です。
 市町の債権管理への支援なんですが、この資金の滞納は、先ほど申し上げましたが、国や県の制度を合わせて約55億円となっておりますが、そのうち法的な措置などによって国や県の補助金を使えるのは一部です。償還が滞っている方の大半は、経済状況もあって、契約変更もして細々と償還を続けている世帯が多いと伺っております。もちろん、現に家族がそこで生活をしているんですから、金融機関などのように抵当権を執行するというわけにもいかない状況があるのもわかります。
 そんな状況の中、今後も相当長期にわたる債権管理の負担が市や町、担当者にもかかってまいります。こうした市町の負担に対して、私は新たな支援の枠組みが必要な時期が必ずやってくると思っております。今のうちからこの部分をしっかり研究して、もうこれ以上、国や県のつくった制度で市町の負担がふえないように要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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