平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。
 議長から御指名いただきましたので、早速、一般質問に入りたいと思います。
 ことしの第68回国民体育大会、第13回全国障害者スポーツ大会は、東京で開催されました。県会議員にならしていただいて何度か応援にも行かしていただきましたけども、ことしは、東京武道館で行われました剣道成年男子の部の応援に行ってまいりました。全国からの有力者が集まる、本当に緊張感あふれる、そういう内容でございました。その中で和歌山県は5位入賞ということを果たし、全国トップレベルの実力を果たしたことに、大変な誇りと安堵感に浸って帰ってまいりました。ことしの男女総合の結果は、皆さん御存じのとおり、点数こそ目標に及びませんでしたけども、18位目標を達成いたしました。関係各位の御苦労に感謝申し上げたいと存じます。
 そして、いよいよ再来年の紀の国わかやま国体での総合優勝が視野に入ってまいりました。あと655日ということでございます。昭和46年の黒潮国体で、和歌山県のスポーツは大きく変わりました。国体強化策は、和歌山県に人材を集め、育て、その後、スポーツ王国和歌山を築いてまいりました。紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会は、再びスポーツ王国を築く大きなチャンス到来でございます。
 国体開催の基本方針として、「スポーツを通じて『和歌山を元気にする』ことを目指し、県民に夢と感動を与え、交流の輪を広げるとともに、生きがいのある社会の形成に繋げるなど、本県にふさわしい大会として開催する」、また、「大会の開催に当たっては、簡素・効率化を図り、新しい時代に適応しながらも、和歌山の魅力を最大限に活かしたいつまでも心に残るまごころのこもった大会を目指す」、そして「この大会の開催を契機に、スポーツに対する県民の認識や意欲を更に高揚させるとともに、単に一過性ではなく、活力に満ちたふるさとづくりや心豊かでたくましい人づくりなどの地域おこしを推進することにより、『スポーツ王国・和歌山』を復活させる」となっています。
 スポーツ王国としての条件は、幾つかあると思います。県民の関心が高く、いずれかのスポーツに参加している、スポーツを楽しむ場所が身近に存在する、人材発掘事業を行っている、指導者の育成が行われている、結果として、オリンピアンを継続的に何人も輩出していると私は考えております。
 昨年のロンドンオリンピックは、過去最高のメダル38個を獲得し、さまざまな感動を与えてくれました。日本代表選手団の凱旋パレードには、金メダリスト7人を含む総勢71人のメダリストが参加し、沿道にはおよそ50万人の大観衆が集まり、スポーツの持つ底力を改めて実感した次第です。そして、先日の2020年東京オリンピック決定の9月7日は、日本中が歓喜いたしました。朝までテレビを見ていて、感動した1人です。
 文部科学省は、平成22年にスポーツ立国戦略を策定し、翌年、平成23年6月にはスポーツ振興法を50年ぶりに全面改定しました。そして、スポーツ基本法として施行いたしました。これまではスポーツを教育活動の一環として位置づけておりましたけども、今回施行された同法では、全ての国民がスポーツをする権利と楽しむ権利があることを明確にし、国や自治体はそれを保障する責任を負うということが特徴になっております。
 青少年の自己責任、克己心やフェアプレーの精神を培い、コミュニケーション能力を育成し、スポーツを通じて住民が交流を深めることによる地域住民間の連帯が醸成、高齢化社会に対応した生涯スポーツの増進、社会・経済の活力の創造、我が国の国際的地位の向上など、スポーツの有する多様な役割を明確化し、プロスポーツや障害者スポーツも新たに法律の対象とし、地域スポーツクラブの事業支援や国際競技大会の招致・開催支援に特別の措置を規定するなど、施策が盛り込まれております。
 また、文科省や厚労省に分かれていたスポーツの役割を一元化し、選手やスポーツ団体への支援を強化すべく、新たにスポーツ庁を設置する構想を進めております。
 スポーツツーリズムやスポーツコンベンションの推進、さらにはプロスポーツの支援、観光や産業の振興などにスポーツの持つ多様な役割を総合的に推進していくためには、教育行政中心の教育委員会では対応が難しくなってきていますし、そこには限界が来てると私は思います。
 法律も改正されました。時代のニーズに対応できるように、平成20年4月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が施行されております。これにより、教育委員会所管の文化やスポーツ行政について、学校における体育及び文化財の保護、学校教育活動と一体不可分なものを除き、知事部局に移管することが可能となりました。スポーツ基本法が制定され、県の取り組み次第でスポーツがより幅広く浸透し、スポーツを通して真に県民に希望と勇気を与えていくものと考えます。
 学校教育でのスポーツは重要ですが、それとは別に、教育委員会の枠組みを超えて、これからのスポーツの持つ多様な役割を総合的に推進し、スポーツ王国和歌山を目指すために、全庁的な推進体制を構築していく必要があると考えます。知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツコミッションの設立についてお伺いします。
 スポーツコミッションについては、昨年、同僚の谷口和樹議員からも質問がございました。和歌山県にとりまして、観光産業の振興は重要なテーマの1つであります。
 スポーツを観光資源として位置づけるスポーツツーリズム。スポーツは、「観る」スポーツ、「する」スポーツ、そして「支える」スポーツとあります。スポーツ・ツーリズム推進連絡会議では、平成23年にスポーツツーリズム推進基本方針を策定し、スポーツを活用した観光まちづくり、大会・合宿の招致・開催、地域資源を生かした商品開発など、幅広く活用されることを目指しております。
 スポーツツーリズムとは、スポーツ資源・環境とツーリズムの融合です。スポーツコミッションは、市町村や地域総合型スポーツクラブ、宿泊施設など、関係団体とともにスポーツツーリズムを総合的に支援する組織になりますし、スポーツ大会やイベント、合宿の誘致や運営、財政支援を行い、地域振興も担うことになります。昨年には一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構が設立され、スポーツツーリズムと地方のスポーツコミッション創出支援を目的とするなど、スポーツコミッション創設への機運も高まっております。
 日本では、平成23年にさいたま市が日本初のスポーツコミッションを創設し、昨年4月にはスポーツコミッション関西が設立されてきております。和歌山県でも、野球の紀州レンジャーズ、バスケットの和歌山トライアンズなど、プロとして活躍し、注目も集めております。スポーツコミッションの設立で、もっと広がりが期待できるのではないでしょうか。
 そこで、スポーツツーリズムの取り組みとスポーツコミッションの必要性についてどのように認識されているのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピック合宿会場誘致活動についてお尋ねをしたいと思います。
 オリンピックの合宿会場地として、既に誘致活動は進んでいると聞いております。下村東京オリンピック・パラリンピック担当大臣も、地方にも積極的に名乗りを上げてほしいとおっしゃっておられております。
 先日、和歌山市出身のフランス在住の私の友人からメールが届いております。彼は、フランスで日本文化の講師をしています。また、ガイドもやっていて、たびたび日本に帰ってきているようです。2007年、大阪で世界陸上が開催されたとき、フランスのメンバーが合宿地に和歌山を選んでいます。そのときの通訳をした1人です。和歌山での合宿は大変魅力だったようで、翌年の北京オリンピックの合宿地を和歌山でと、そのときに決めておられたようです。先日のワールドマスターズのカイ・ホルム会長も、和歌山のスポーツ施設やすばらしい環境に満足して帰られたように、自信を持って合宿候補地として手を上げるべきと考えます。
 また、合宿地として、施設面だけでなく、一緒に練習できる全国レベルの選手がそろっていることも選定の大きな要素となるはずです。2006年から取り組んでいるゴールデンキッズのメンバーもその対象になるでしょうし、和歌山県は何といっても、昨年、ロンドンオリンピックに11名、パラリンピックに1名が出場しております。
 オリンピック・パラリンピック選手関連施設が全国で進められ、開催前の5年前となる2015年までをめどに整備が進められるようです。県内には、和歌山県立医科大学みらい医療推進センターが国内唯一の障害者スポーツ医科学研究拠点として文科省に認定された最先端の設備と研究体制が整備されており、アスリートがトレーニングするには最適な候補地と言えます。ぜひ合宿会場として誘致活動をしてはどうかと申し上げます。
 以上、3点について仁坂知事の御見解と御所見をお伺いいたします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) スポーツは、生涯にわたって健全な心と身体を育む上で重要なものでありますけれども、その基盤となる基礎的な力は子供の時期の学校教育の中で培われるものであることから、学校教育の中でのスポーツも大変大事でございます。
 もちろん、スポーツには、人と人、地域と地域の交流を促進し、地域を活性化させるなどの役割もありまして、こうしたスポーツの持つ多様な役割を総合的に推進していくためには、教育委員会だけでスポーツ行政、スポーツに関することを担うのではなくて、議員御指摘のとおり、全庁体制で取り組む必要があると考えております。
 事実、これまでも、スポーツ合宿誘致等については知事部局と教育委員会とで連携を図りながら取り組んでおります。また、施設の建設についても、これは教育委員会と、それから県土整備部などが連携を図りながら取り組んでまいりました。また、適当な役割分担のもとにさまざまな施策を推進していかなきゃいけないと考えております。
 今後とも、知事部局と教育委員会が一体となって、国体を契機としたスポーツ機運のさらなる醸成や、県民がいつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しめる環境づくりを推進していきたいと考えております。
 次に、いわゆるスポーツコミッションの設立の話でございます。
 その前提といたしまして、地域の観光とスポーツが結びついたスポーツツーリズムを展開することは、地域経済に及ぼす波及効果が大変大きいと考えております。例えば、上富田で毎年2月に開催される紀州口熊野マラソンは、今回で19回目を数えますけれども、上富田の方々が一生懸命育ててまいりまして、全国から約6000人のランナーが参加しておりまして、半数以上は県外からの参加である。このため、近隣の白浜町なども含めまして、宿泊、飲食等の波及効果が大変出ております。
 これを受けて、今度は県と地元では、白浜─羽田間の定期便をこの日に限っては大型機にかえてくれないかというような対応をいたしまして、県外のランナーが参加しやすい環境を整え、参加者増加に努めたところであります。
 また、県では、県内の観光施設、スポーツ施設、宿泊施設を網羅したスポーツ王国わかやま合宿ガイド、実はこんなものでございますけれども(資料を示す)、これを観光振興課が中心になってつくりまして、そのホームページもつくっております。これを活用して、本県がスポーツ合宿に適した施設整備や地元受け入れ態勢が整っていることをスポーツ団体とか大学等にPRして、ぜひ使ってください、あるいは来てくださいというように大学等々あるいはその仲介をする旅行会社に働きかけているところであります。その結果、Jリーグのジュビロ磐田などのプロスポーツの合宿も実績を重ねてきております。
 今後は、さらに、本県の誇る特産品の販売、PRなどアフタースポーツの観光メニューを充実することにより、リピーター増加と消費拡大を図っていきたいと思っております。
 その中で、スポーツコミッションは、国内外のスポーツイベントや合宿の誘致、スポーツに関する情報やサービスの提供など、大きな役割を担うものであり、必要性は高いと思います。
 現在、上富田のように、スポーツイベントや合宿の誘致、これに伴う受け入れ態勢の整備に取り組む市町村も出てきておりまして、県はわがまち元気プロジェクトとして支援しているところでありますが、こうした動きを民間団体にも広げていくことが重要であると考えております。したがって、県では、スポーツコミッションの重要性を発信いたしまして、これをそれぞれ元気を出してやってくれるところを束ねて県全体を視野に入れながら、地域の特徴や強みをよく知り、きめ細かいサービスが提供できる市町村や民間団体によるスポーツコミッションの設立に向けて支援していきたいと思います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックの合宿会場誘致でございます。
 議員御指摘のとおり、東京オリンピック・パラリンピックの合宿誘致は、本県のスポーツの振興や地域の活性化にもつながることから、大変よい提案であると思います。
 考えてみますると、2002年のサッカーのワールドカップのときにデンマークチームが和歌山で合宿をしてくれました。また、2007年の世界陸上のときも、フランスチームがやはり紀三井寺競技場を合宿場に選んでくれました。大変よかったと思います。
 本県は、関西空港からのアクセスにもすぐれ、国体に向けて整備した紀三井寺公園陸上競技場や秋葉山公園県民水泳場等の施設も整っておりまして、また、国体で培ったボランティア活動のノウハウもそのとき十分あるというふうに思っておりますから、誘致を実現する条件は整っていると思います。
 今後、合宿誘致実現のためには、対象となる国や競技種目の選定、あるいは競技団体の要望や誘致のための要件等の分析、研究を深める必要があります。答弁の打ち合わせのときにちょっといろいろ議論をしておりましたら、少し受け身だなあという感じもいたしまして、それでは機先を制せられますので、こういうことを事前に十分、分析、研究を深めておきまして、国内や海外からの合宿誘致に積極的に取り組んでまいりたい。
 また、ワールドカップのラグビーもございます。これも、分析だと、会場としてはどうもちょっと難しそうだということではありますけれども、合宿場としては十分使ってもらえる余地があると思いますので、そういうとこも頑張りたいと思いますし、それからワールドマスターズにつきましては、これは本番で和歌山でたくさんやってもらいたいということで、これから努力をしてまいりたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 もとより、学校教育並びに生涯教育としてのスポーツというのは非常に私も大事だと思っております。その上で、先ほど御紹介さしていただきましたように、いろんな法律の改正、そして他府県での取り組みなんかもいろいろ私なりに勉強さしていただきました。当局で調べていただいた結果、大体16府県ぐらいが、今、知事部局に移していると、こんな状況もございます。だからといって短絡的に知事部局にということではございませんけども、それよりも、スポーツというのを今後どういうふうに捉まえて県行政に生かしていけるのかと、こういうことが非常に大事だと思います。
 先ほどの答弁ではまだまだ私自身は満足できておりませんけども、今後、スポーツの持つ力は多様化して、大きなエネルギーを生む可能性もあると思います。そのときに行政の受け皿も変わっていく必要もあるのかなと、多少そのための時間もかかるのかなと思いますので、きょうはこれぐらいにさしていただいて、次の質問に移らしていただきたいと思います。
 2点目に、関空・紀淡・四国高速交通インフラ整備についてお伺いしたいと思います。
 午前中も服部議員のほうからお話がございました。9月21日にこの期成協議会が設立され、その記念のシンポジウムに参加さしていただきました。インフラの全体像として、関空高速交通アクセス、大阪都心から関空間41キロを超高速鉄道で連絡する。また、四国新幹線として大阪市から九州大分市を結ぶ高速鉄道約480キロの基本計画。そして、関西大環状道路、和歌山、奈良、京都、兵庫県一周約300キロ、大阪湾環状道路、大阪湾沿岸の環状道路との位置づけで、大阪府、兵庫県など10府県が構成府県となっております。仁坂知事が会長に就任されております。
 国土の均衡ある発展は大変重要な考え方だと思っております。「交流軸の上にある都市は栄える」、これは、1995年にお亡くなりになりました歴史学者の宮崎市定氏がよく使われていた言葉でございます。和歌山の発展は、この新しい国土軸を形成できるかどうかに大きくかかわっている、私もそう思います。シンポジウムの講師を務めていただいた藤井聡京都大学の教授がお示しいただいたデータは、この20年間、人口減少に至った和歌山の原因を改めて確認したものでございました。
 現在の第一国土軸に加えて、太平洋新国土軸は、東海から伊勢湾口、紀伊半島、紀淡海峡を経て四国、九州に至る新しい国土軸を形成し、東日本大震災以来、首都圏一極集中に対するリダンダンシー、第一国土軸との相互補完、首都機能の代替機能を高め、災害に強い多重型ネットワークを形成するためにも、大変重要な国土軸という考え方です。
 この構想は、昭和40年、ワイズマン報告で、第二東西道路を中心とする新たな国土幹線交通軸の整備と地域格差の重要性を指摘した提案が原点となっております。その後、伊勢湾口道路、紀淡海峡ルート、豊予海峡ルートの3つの海峡横断プロジェクトの交通軸の構想となりました。
 44年、紀淡海峡ルートにつながる東海南海連絡道路は、近畿圏と中部圏を結ぶ新全国総合開発計画の中で構想として発表され、昭和54年には仮谷県知事が紀淡海峡トンネル構想を発表し、昭和62年、第四次全国総合開発計画、多極分散型国土の形成が提唱されてきております。九州地方の西瀬戸インターブロックの交流圏構想、長期的視点から九州─四国間交通体系を検討する大阪湾環状交通体系として位置づけられております。昭和63年12月には、鉄建公団が四国・九州海底トンネル、10年の工期で建設可能と最終報告を行い、平成元年11月には17府県による第二国土軸シンポジウムを開催、平成2年10月には17府県と8経済団体による第二国土軸構想推進協議会が設立され、同じく5年5月には、第11次道路整備5箇年計画で、紀淡海峡道路を含む大阪湾環状道路、伊勢湾口道路の具体化を図るとなりました。
 また、同6年6月、大阪湾環状紀淡連絡道路推進協議会を設立し、西口勇和歌山県知事が会長に就任されております。四全総の総合的な点検報告において、第二国土軸から太平洋新国土軸構想推進協議会に名称が変更されております。8年8月には、この時点で紀淡海峡を含め、海峡を横断するプロジェクトは全国に6カ所ございました。その後も、新道路整備5箇年計画において構想を進めると記述されたり、第五次四国地方開発促進計画や近畿圏基本整備計画にもこの構想は記述され続けております。その後も、講演会や紀淡海峡交流会議をほぼ毎年開催し、平成20年の国土形成計画において、長期的な視点から取り組みを進めるとされてきております。
 着工の具体的な見通しはないままに、これまで道路特定財源などから68億円の調査費が支出され、国会などで無駄な公共事業との批判が浮上し、海峡横断プロジェクトの調査は、効率的な道路整備のあり方等の議論を踏まえ、今後行わない。夢として検討され候補路線として挙げられてきましたけども、現状から見て着手はとてもできる状態ではないとして、個別プロジェクトに関する調査は今後行わないと明言されました。また、紀淡道路など計画路線に格上げする場合は、国会に判断を委ねる考えも示しております。計画そのものが消えてなくなったわけではございません。凍結状態になっております。
 長々と経過を説明してまいりました。この問題につきましては、紀淡海峡ルート早期実現として、9月、この県議会で門三佐博議員が、また、関西広域連合議会でも尾崎要二議員や、ことしになって山下直也議員など県選出議員だけでなく、大阪府や徳島県の議員も関心と賛同の意を持って発言されております。しかし、大変難しい課題でもあります。
 いみじくも、先週4日の日に、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法が成立いたしました。今の政権において、国土強靭化、防災・減災の考え方を進めていく中で、国家戦略としてこの計画が取り上げてもらえるチャンスの到来と思います。
 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
 まず1点目に、かつての紀淡海峡ルート構想の凍結を踏まえ、今回の協議会を今度どのように進めていかれるのか。
 2点目に、関西広域連合との協調について。
 3点目に、昭和40年、ワイズマン報告での第二東西道路構想より約50年がたちます。遠大な計画になるかもしれません。今、計画を再度立ち上げ、進めていこうとする仁坂知事としての覚悟についてお聞かせ願いたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関空・紀淡・四国高速交通インフラ整備については、議員御指摘のとおり、これまで国や県、さらに鉄道・運輸機構においてそれぞれのプロジェクトに関して、例えば紀淡海峡ルート構想の実現などに向けて取り組んでまいりました。しかしながら、残念ながら紀淡海峡ルート構想については、平成20年度以降、個別の調査が凍結されて、いまだにあんまり前へ進んでいないということでございます。
 ただ、凍結はされましたけれども、計画が廃止とか、やってはいかんというふうに結論が出たわけではございません。紀淡海峡ルートの実現には、それ自体というだけではなくて、日本にとってこれがいかに必要かということについて、いろいろな力を合わせていく必要があると思います。
 1番目には、いわゆる第二国土軸としての国全体のリダンダンシーの確保、2番目に、西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現、3番目に、四国新幹線の整備とあわせることで、関西国際空港の機能強化につながる大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備、4番目に、関西大環状道路の実現に資する、あるいは大阪湾環状道路の実現に資するという4つの意義があると考えております。
 東日本大震災の経験や巨大地震の発生が近い将来に予想される中で、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保、強靭な国土づくり、国づくりについて議論が高まっている時期に、これまで個々別々に取り組まれてきたものを1つのプロジェクトとして統合するとお互いに力を得て実現に近づけることができるのではないかと考えまして、関係府県の知事さんに働きかけを行い、その結果、本年9月に関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を設立いたしました。
 先月は、設立記念シンポジウムを東京で開催いたしまして、その実現に向けて機運醸成を図ったところでありまして、また、そのプロセスの中で、関西でももう一度やろうというふうに我々の中で合意ができて、今準備を始めたところでございます。
 そういう中で、関西広域連合では、関西大都市圏を充実するために、環状あるいは放射線のネットワークをつくり陸海空の玄関からの関西3時間圏域を実現することとか、あるいは大規模災害等への備えとしてリダンダンシーを確保することなど、広域交通インフラの基本的な考え方、これをみんなで合意したところなんでございます。
 これをもとに広域インフラマップの作成に今、取りかかっておるんですが、鉄道がちょっといろいろ事情がありましてなかなかできないのですが、道路については既にできておりまして、この道路の中では紀淡連絡道路は掲載するようにいたしましたし、それによって、連合の構成府県市が共通認識を持ってみんなで応援しようということになってるわけでございます。鉄道についても、大阪から関空、紀淡海峡を経て四国、九州に至る高速鉄道が今後盛り込まれるように、私としては取り組んでいきたいと思います。
 紀淡海峡ルートの実現には、地域から、これらがいかに必要であるか、またいかに理にかなっているかを言い続けなければいけないと思います。今後、この機を逃がさず、県内はもとより関西においてシンポジウム開催などの情報発信に努めて機運醸成を図るとともに、国に対してはどんどん要望、提言活動を行って、このプロジェクトに対する理解と支援が得られるように積極的に取り組みを進めてまいりたいと思います。
 これら高速交通インフラ整備への機運を再び高めてその実現に至るには、多分、長く険しい道のりがあると思います。しかし、これは、絶対に本県のみならず日本全体のためになるというふうに確信して頑張っていきたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 本当に国土軸という問題につきましては大変大事だと思いますし、和歌山のこれからの10年、20年、30年、もっと未来も決めていくんじゃないかと思いますんで、ぜひ仁坂知事には頑張っていただきたいと、このように思います。
 続いて、じゃ3番目の質問に移らしていただきます。高速道路情報の充実についてお聞きしたいと思います。
 11月30日午前9時15分ごろ、日高川町小熊の湯浅御坊道路下り線で中型トラックから火が出る車両火災があり、上り線の御坊南─川辺間と下り線の広川─御坊南間が3時間半、一時通行どめとなっておりました。火はおよそ30分後に消しとめられ、いずれも午後1時に解除されております。
 ちょうどこの時間に御坊で所用があり、高速道路を利用して海南からインターチェンジに入ろうとして、御坊南まで通行どめとの情報を知りました。下の道は由良町の付近から数珠つなぎの渋滞となっており、予定の時間を1時間程度おくれて到着となってしまいました。
 予定を済ませ、帰りに御坊インターに行った際、パトカーが規制をしており、通行どめがまだ続いていることがわかりました。その場にいた警察官の方に何時ごろ再開するのか見通しを確認したところ、わからない、情報が入っていないということでございました。後でわかったことですが、それからしばらくして再開した模様でございます。改めて、高速道路における情報の重要性を確認した次第でございます。
 平成23年の台風12号の際は、国道が冠水により分断され、このときは高速が命の道としてそのリダンダンシーを発揮しましたし、その前年の3.11のときは、津波のおそれのため一般車両通行規制がなされました。いずれもその後にわかったことが多く、高速情報が利用者に十分提供されているか疑問でございます。
 まして、今回のように土曜日の行楽時に、しばらく待てば再開するのか、和歌山に行くのを諦めたほうがよいのか、「火災通行どめ」だけでは判断ができません。観光客、利用客のための開通見通しや、山火事なのか、火事に伴うその他危険な状況なのか、甚だ不親切な情報としか言えません。観光振興の面において、命の道として紀南地方への高速道路情報の提供をもっとわかりやすくしたほうがよいのではないでしょうか。
 折しも、この時間帯、県の防災訓練が行われたというふうに聞いております。高速道路利用者への情報提供のあり方について、県土整備部長に御所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 道路交通情報の提供は、安全かつ円滑、快適な道路交通を実現するために大変重要であると考えております。このため、西日本高速道路株式会社では、渋滞状況や災害時または交通事故時の通行どめ区間や原因などについて、道路情報板やハイウェイラジオ、サービスエリアの情報ターミナルなどで情報提供を行っております。また、お客さまセンターでは、事故の状況や作業の状況等についても問い合わせに対して情報提供を行っております。
 県としましては、渋滞の緩和、利便性の向上、観光振興の観点から、今後も、道路情報板の表示の改善や広域情報板の新設など、さらに丁寧でわかりやすい情報提供について、西日本高速道路株式会社を初め関係する機関に働きかけてまいります。
○副議長(花田健吉君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁、今の段階ではいたし方ないかなと思いますけども、もっといろいろ工夫する必要性もあると思いますし、工夫もできると思うんですね。お話にありましたように、道路情報板、まだ文字数が少ないんですね。それを改良していただくとか、せっかくやっぱり和歌山に来ようという、こういう動機を失うことのないように、観光振興の面でもよろしくお願いをしたいと思います。
 最後の感染症対策に移りたいと思います。風しん対策についてお伺いします。
 ことしの風しんは、首都圏や近畿圏を中心に流行が続き、3月末時点で既に昨年を上回り、全数報告疾患となった平成20年以降、最も速いペースでふえ続けてきました。全国では6月時点で累計1万人を超える流行となり、本県においても、昨年の10人から、ことし5月7日時点で38人の届け出がされております。
 免疫を持たない妊婦が風しんに感染することで先天性風しん症候群につながるなど、胎児に重大な影響が危惧されるところから、本年5月に、公明党県議団として仁坂知事に、風しん予防ワクチン接種の対策に関する申し入れを緊急にいたしたところでございます。同時に、自民党県議団からも要望が提出されておりました。知事の英断で県独自の補助事業を実施していただき、県当局の働きかけで、30市町村全ての地域で県と協調することが実現できました。利用者において自己負担することなく予防接種が可能となり、全国的にも画期的な先進事例となっております。
 風しんの流行はまだ続くと予想され、来年度も春先の早い段階から対策を講じる必要があります。県の対応を待って市町村が動くことは十分考えられます。風しん予防の包囲網を築くため、しっかりとワクチン接種を周知し、補助制度を来年度も継続して行う必要があると考えます。ことしにおける風しん感染やワクチン接種の状況と来年度に向けての対策について、福祉保健部長にそのお考えをお尋ねしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県内のことしの風疹の流行はほぼ終息しており、9月19日以降の発生はなく、患者数は247名となっております。これは、昨年の約25倍の報告数で、20代の女性と20代から40代の男性に多く発生しています。なお、人口100万人当たりでは大阪府、東京都に次いで多くなっております。
 風疹ワクチン接種緊急助成事業による接種状況につきましては、10月末時点での接種者は5701名で他府県と比較すると多くなっていますが、まだ接種されていない人も多数いらっしゃいます。
 議員御指摘のとおり、春先から風疹の流行が繰り返されるおそれがあることから、来年度に向けての対策の必要性は十分感じております。一方、現時点では、対象年齢の全ての人が接種できる予算を確保し、全市町村において個人負担なしでワクチン接種を受けられる体制を整えたところであり、今年度中に速やかに接種していただけるよう、積極的な啓発、広報等に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 非常に驚くべき数字だと思います。昨年の25倍でことしは風しんがはやっているということも驚きですけども、大阪、東京に次いで3番目にという、こういうことでございますので、対策を継続的に行う必要があるんじゃないかと思います。
 御答弁いただきましたように、時期的には終息してきておりますので、これから春先にかけてどういう手を打つかということになるんでしょうけども、国は、風しんの免疫を持ってるかどうかを調べる抗体検査は実施しておりますけども、それだけでは根本的な防止には至ってないと思います。これから、今年度の予算もまだ残ってるようでございますんで、ぜひこのワクチン接種を呼びかけていただきたいと思いますけども、早い段階で県の判断をお示しいただければという気持ちで質問さしていただきました。
 その対応で本当に春先からできるのか、あと、今年度みたいに年度の途中で補正予算で補っていくのか、その違いは大きいと思いますので、仁坂知事の判断を期待して、私の質問とさしていただきます。大変ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

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