平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、こんにちは。
 質問に先立ちまして、日本・トルコ合作によるエルトゥールル号の映画制作について、経過を簡単にさせていただきたいと思います。
 その前に、今月9日にトルコのカッパドキアで事件があり、亡くなられました栗原舞さんに、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、命は取りとめたものの重体の寺松星絵さんに対しても、心よりお見舞いを申し上げるものでございます。
 大変な親日国であるトルコでのこの事件、大変ショックでございましたが、その後のトルコの国民の行動──立派な花祭壇を飾り、多くの花を手向け、「ごめんなさい」と日本語で書かれたプラカードを持って、本当に大勢の皆様が故人に対して哀悼の誠をささげ行進している映像を見て、痛ましい事件ではありましたが、少し心が癒され、やはりトルコと日本は友人同士であることを再認識いたしました。
 それでは、映画制作のお話に入らしていただきます。
 映画制作は、目標を2014年春から夏ごろ制作に入れるように、今、努力をしているところでございます。
 問題は資金面でございまして、トルコ国のほうでは、現行法では他国と合同の映画の制作はできません。そこで、法整備も含め、助成金を捻出できるように、今、根回しをしているところでございます。エルトゥールルの映画はトルコと日本の友情関係を永遠のものとするプロジェクトで非常に重要である、文化観光省として全面バックアップをしていきたい、そのようなコメントもいただいております。
 トルコ国はそうですが、日本のほうの資金は、助成金、文化庁の芸術文化振興基金、和歌山県も映画製作事業補助金、串本町はふるさと納税という形で参加をしております。
 企業支援といたしまして、トヨタ自動車、パナソニック、伊藤忠、また我が県の島精機さん、日本製粉、丸紅、住友商事、トルコ航空など、いろんな面で協賛をしていただけるようになっておりますが、資金としての現物のお金としては、まだ全部が決めてくれたわけではないようでございます。
 また、出資といたしまして、配給会社や広告代理店、テレビ、ビデオ販売会社やレコード会社、音楽出版など、多数申し出があるようでございます。
 また、個人の寄附や中小企業の事業主さんなどの寄附を集める組織としましてNPO法人の「エルトゥールルが世界を救う」という法人がございまして、法人の皆様方の寄附をお願いしております。
 議員の皆様方にも寄附をいただきたいのでございますが、法的に寄附はできないんだと、皆さんに気持ちよく断られております。しかしながら、出資という方法がございます。ここにおる皆様方が1人1000万円ほど寄附をいただけると、4億近い金がもうすぐに集まる。きっとこの映画は大成功をしますので、変な投資話には乗るなとか今言っておりますが、必ず利益を上げると思いますので、皆さんの御出資を心より期待しております。
 また、この問題、トルコのほうの資金もまだ決まっておりませんが、一応監督と脚本家が決まっておりますので、少しだけ御紹介をさしていただきたいと思います。
 監督は、串本町長と同級生、田中さんというんですけれど、「化粧師」とか「精霊流し」、「火天の城」とか、いろいろと映画をつくっております。皆さんももう御承知かと思いますけれど、市川海老蔵主演の「利休にたずねよ」という映画を制作しておりまして、もうすぐ公開になろうかと思いますが、その「利休にたずねよ」は直木賞を受賞しました山本兼一さんの同名小説が原作の話でございますが、このたびモントリオール映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞しております。
 また、小松さんは脚本家でございますが、代表はやはり2009年のNHKの大河ドラマ「天地人」を担当したり、日本人の心や触れ合いを取り上げ、放送文化に大きく貢献した番組や人物に贈られる橋田賞を2008年には受賞しております。
 監督も脚本家も一流であり、心配はないかと思うんですけれど、やはり問題は資金面でございます。何とぞ、皆様方の出資を期待しております。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、本県とトルコとの交流の歴史の教育現場への活用についてお伺いをいたします。
 日本とトルコ共和国の交流における和歌山県のかかわりについては、改めて申し上げるまでもなく、大変意義深いものがあります。1890年のトルコ軍船エルトゥールル号の串本沖での遭難の際、大島の人たちの献身的な救助活動により69人の乗組員が救出されました。
 その後、大島の樫野崎にはエルトゥールル号殉難将士慰霊碑が建立され、今も5年ごとに追悼式典が行われております。また、この出来事はトルコの歴史教科書にも載せられており、その後の串本町とトルコのメルシン市との間での姉妹提携やトルコでのエルトゥールル号120年慰霊式典につながるなど、継続的で幅広い交流活動に発展しております。
 このような交流の歴史は、和歌山県として誇るべきであり、次世代に引き継ぐべき遺産であります。今後、さらに発展さしていくためには、県民の方々、特に青少年への啓発、教育が大切であると考えております。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 本県におけるエルトゥールル号の史実、トルコとの交流の歴史について取り上げて教育現場で活用している学校はどのくらいあるのでしょうか。また、その内容はどのようなものでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) エルトゥールル号に関しましては、中学校社会科の4つの出版社の教科書に掲載されており、県内では、県立中学校5校を含めた101校がそのうちの2社の教科書を使用しています。高等学校では、日本史や英語科の教科書に掲載されており、18校で使用しています。
 また、県内の全ての学校に配布している「わかやま発見」、「わかやま何でも帳」にも取り上げており、社会科や総合的な学習の時間などで活用されています。
 さらに、現在作成を進めている「和歌山県版道徳読み物資料集」の中学校版にもエルトゥールル号に関する資料を掲載し、全ての公立中学校で学習する予定です。また、私立中学校等にも資料集を提供してまいります。
 エルトゥールル号に関する内容を通して本県とトルコの交流の歴史を学ぶことは、児童生徒が国際理解や国際協力に対する意欲を高める上で大変有意義であり、今後も積極的な活用を学校に働きかけてまいります。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁、どうもありがとうございました。
 私も、山口さんが教育長のときでございますけれど、串本の町会議員の皆様方とエルトゥールル号のこの史実を教育現場で活用していただけるよう陳情したこともございますが、その当時はほとんど活用されておりませんでした。きょうの答弁をお聞きしまして、随分多くの学校で活用していただいてるなあと、大変うれしく思いました。
 このエルトゥールル号の話は、串本弁で言いますと、普通のおいやんやおばん、じいやんやばあやん、兄やんや姉やんやが主役でありスターである。本県には濱口梧陵さんを初め偉人と言われる人はたくさんありますが、民衆が主役のこの話は全国でも本当に数が少ない話ではないかなと、そのように思っております。一過性で終わらせることなく、続けて各学校でお願いをしたいと思います。また、全国の学校にも広げる努力もお願いをいたします。
 続きまして、教育委員会制度のあり方についてお伺いをいたします。
 昨年12月に発足した第2次安倍内閣においては教育再生が最重要課題として掲げられており、本年1月には、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し教育の再生を実行していくために、首相官邸は教育再生実行会議を設置され、同会議では、これまで2月26日には「いじめ問題等への対応について」の第1次提言を、4月15日には「教育委員会制度等の在り方について」の第2次提言が取りまとめられており、今後、中央教育審議会で具体策を検討し、来年の通常国会で法改正を目指す考えのようでございます。
 第2次提言では、1つ、「地方教育行政の権限と責任を明確にし、全国どこでも責任ある体制を築く」、第2に「責任ある教育が行われるよう、国、都道府県、市町村の役割を明確にし、権限の見直しを行う」、3点目に「地方教育行政や学校運営に対し、地域住民の意向を適切に反映する」、以上3点を軸とした制度改革の方向性が示されました。
 そのうち特に1番、3番の2点に対して、現行の教育委員会制度や本県の状況に対する認識も含め、教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育委員会制度につきましては、本県では、現行制度のもと、議会や知事と大変密接な連携・協力のもと、適正かつ円滑な教育施策が進められております。また、県教育委員会では、定例の教育委員会での会議はもとより、学校訪問、地域住民との話し合い、自主的な勉強会などにおいて各委員が活発な議論や意見交換を行っており、そこで出された意見を積極的に教育施策にも反映しているところでございます。
 一方で、教育委員会制度につきましては、権限と責任の所在が不明確であるとか地域住民の意向が反映されにくいといった問題点が指摘されております。実際に自治体によっては、教育委員会において、議会や首長との連携がうまくとれずに問題を迅速に解決できなかったり、教育委員会の会議が形だけのものになっていたりするなど、制度がうまく機能していないような場合もあると聞き及んでおります。
 こうした状況を改善するために、国では、現行制度を見直すべく、ことしの4月には政府の教育再生実行会議において提言がまとめられ、これを受けて、現在、中央教育審議会において教育委員会制度のあり方について審議がなされているところでございます。
 先ほども申しましたように、本県においては現行の教育委員会制度は十分に機能していると認識しておりますが、全国どこの自治体でも適切に教育行政が進められるよう制度の見直しの議論が行われていることは望ましいことと考えております。また、このような議論がなされることは、本県にとっても、今後起こり得る教育のさまざまな問題に対して、より迅速かつ適切に対処していくためにも有効であるというふうに考えてございます。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 同様に、知事にも、今の教育長の答弁を鑑みまして、現行の教育委員会制度及び教育委員会制度改革について御所見をお伺いいたします。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 教育委員会制度というのは、見識のある各委員がさまざまな意見を出し合いながら教育の方針を決定していく制度でありまして、それ自体は基本的によいものであるかと考えております。
 一方、教育も大事な政策課題でありますから、首長の意向がまるで反映されないというのも、これもまるでおかしいわけであります。それから、首長がこの制度を理由に、よい教育政策をしようという意欲を失ってしまうというのは困るわけだと思います。現に、いじめとか事件が起こったときなんかで、そういう最近の不祥事の際に、他県で観察された例ですが、首長の態度にちょっと見苦しいものがあったということもあったと私は思います。
 教育委員は、議会の同意のもと、首長が選任しております。それから、予算をつけるのも首長の決定で、原案をつくるのは、そういうことでございます。したがって、最終責任は、私は今でも首長にあると思っています。首長が教育行政をないがしろにするのはいかんということでございますし、私はそういう考え方から、これまでも教育委員会に対して自分の意見を常に述べてまいりましたし、これからも教育委員会とよく協議をしていくつもりでございます。
 本県では、そういう実際の努力と行動によって、現行の仕組みにおいても私の意見は反映できてるものと思っております。ただし、全国的には、現行制度のもとでさまざまな問題を解決することが困難な状況にある自治体もあるやに、何かうかがえるわけであります。そうでございますので、どの自治体においても適切な運用ができるように、教育行政における権限と責任を明確にするという方向で現行制度の見直しの議論がなされてるわけですが、これについては結構なことだと思います。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 今回のこの教育委員会制度の改革は、今、知事からもありましたように、背景には、いじめ問題の対応などをめぐって一部教育委員会がやっぱり十分機能をしなかったということがあろうかと思うんです。本県のように、現行制度のもと、議会や知事と連携しながら適正な、円滑な教育施策が進められている、そういうところは本当に今のままでもいいんかもしれませんが、やはり教育委員会の中にも、制度だけじゃなしに委員の構成なんかにも非常に問題があるんじゃないかなあと思うんです。
 そういった中で、和歌山県の教育委員さんは6人いらっしゃいますよね。原則5人だということですけど、6人。構成員もいろんなところからして、答弁にもありましたように住民の意見もくみ上げてると、そういう意見でございましたが、委員会のデータを見ますと、都道府県で委員の割合というと、県のほうは34%と、割と府県は少ないですけれど、それでも行政経験者も入れるとやっぱり70%ぐらいという統計も出ております。それが市町村に下がると、もう教職経験者が70%になってきております。それでまた、教育行政の経験者も入れると80%近くにもなってきている。
 こういった状況では、やはり住民の皆様からの公平な議論も上がらないだろうし、議論もプロだけでは同じような意見になってしまったり、教育村と言われたりするような現状があろうと思うんです。それが田舎に行くほどそうだろうということもありますんで、これから、今、本県はうまいこといってますから、やっぱり問題だとかいろんな指摘を国のほうにも、うまいこといってる例としてもうどんどんと提言をしていっていただきたいなと、そのように思います。
 続きまして、和歌山県でのおもてなしについてお伺いをいたします。
 「じゃらん」の旅行リサーチの全国温泉地訪問経験ランキングベスト30によりますと、白浜温泉が15位に入っております。満足度ランキング秘湯の部では、龍神温泉が第1位になっております。また、龍神温泉は、総合の満足度ランキングベスト30では堂々の6位に入っております。これを見ますと、白浜温泉は、お客様は訪問はしてくれてるが余り満足して帰ってないんじゃないかなあというように読み取れます。
 また、ほかのテーマ、テーマ別都道府県別魅力度ランキングベスト10を見ますと、「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」ランキングで和歌山県は2011年、12年ともランク外でございます。「魅力のある特産品や土産物が多かった」は、2011年はランク外ですが、12年は熊本県と並んで10位に入ってございます。「魅力的な宿泊施設が多かった」ランキングも2011年はランク外でございますが、12年では10位にランクインをしております。
 また、「子供が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」ランキングでは、アドベンチャーワールドやサファリパークが支持され、千葉県、沖縄県に続いて堂々の3位に入っております。また、「若者が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」ランキングは第6位に、「大人が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」ランキングは熊野古道などが支持されて第7位に、いずれも前年のトップ10圏外からのランクインであります。
 このようなランキングを見ますと、本県の観光施策の効果があらわれてきていると感じます。観光客数としてはまだまだあらわれていない面もありますが、今後必ず観光客数の増加につながると信じております。
 一方、「現地で良い観光情報を入手できた」がランキング圏外でございまして、少し気になるのが、「地元の人のホスピタリティを感じた」が2011年、12年ともにランキング圏外でございます。ホスピタリティーの重要性については早くから認識し、観光アクションプログラムでも取り上げられ、その充実に励み、取り組んできたと思いますが、本当に浸透しているのか、疑問に思います。
 本年の和歌山デスティネーションキャンペーン基本計画の中に「心からのおもてなし」を入れていますが、おもてなしにはハードとソフトがあると思います。ハードの部分はトイレの改修とか観光地間を結ぶアクセスの向上など、それぞれ大変重要だとは思いますが、一番重要であるのは、やはりソフトの部分であると思います。ホテルや旅館等の宿泊施設、また我々県民の心のこもったおもてなしがないと、楽しい旅も一瞬で楽しくなかったなあ、もう二度と行きたくないなあというふうに変わります。人間は、嫌なことや失敗したことのほうが印象に残り、話をするものです。
 そこで、和歌山県でのおもてなしについてどのように考えているのでしょうか。商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、毎年度、観光振興アクションプログラムを策定し、県民総参加の観光振興の取り組みを推進し、魅力ある地域社会の実現、本県経済の持続的な発展及び県民生活に寄与することを目指して施策に取り組んでおります。
 まず、本県の観光の魅力度が上昇した要因でございますが、全国でのプロモーション展開や新聞、テレビ、雑誌等のマスメディアに対する働きかけ、旅行会社への地道な営業が功を奏していると推測されますが、今年度から地域協働型の体験観光の取り組みに対する支援もスタートしており、新たな魅力度アップを図ってまいります。
 議員から御指摘のありましたホスピタリティーの向上につきましては、「和歌山でもてなす」が観光振興アクションプログラムの大きな柱であり、各事業を展開しております。
 具体的には、観光関係者等へのおもてなしの向上を図るために、現場でのオールマイティーなプロ養成を目的として接遇等の研修を行うおもてなしアドバイザー派遣事業や、観光施設でのサービス状況を事前に調査し、その課題に対する研修を行うおもてなしレベルアップ検証事業を実施しております。
 また、宿泊施設のインテリアや料理等の商品力強化のため専門家を派遣して助言を行うおもてなしの宿づくり支援事業や、JR駅職員を対象とした観光研修会も実施しております。
 さらに、タクシードライバーの資質の向上を図るため、全てのドライバーを対象とした研修会の開催など、おもてなし力向上に向けた取り組みを進めてまいります。
 これらの取り組みに加え、今年度から新たにわかやまおもてなし宣言を展開してまいります。これは、県民一人一人が来訪者におもてなしの心で対応するわかやまおもてなし宣言を個人や団体等に募集し、それぞれが行うおもてなしを宣言し、実践していただくものです。県は、それらの取り組みを登録し、活動内容をホームページなどで情報発信を行うとともに、研修会を開催し、登録者のスキルアップも図ってまいります。
 これらの取り組みにより県民の参加意識を高め、機運を醸成することにより、和歌山県のおもてなし向上に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 おもてなしの話で少し紹介さしてほしいことがあるんですけど、楽天トラベルのほうの話なんですけど、古座川のやまさき屋旅館さんというのが県内の総合で第3位に入ってあるというんです。このランキングは、宿泊施設の利用者がサービス、部屋、食事など6項目に対して5段階の点数をつけてネット上で投稿したものを集計して決める。利用者の感想を口コミ、お客様の声として書き込めるようになっている。
 やまさき屋旅館さんは、平成20年に登録をして、8月に和歌山エリア部門総合で3位。この9月1日現在は4位だそうですけど、おかみさんは楽天トラベルの勉強会には必ず出席し、「お客さんとのコミュニケーションが大切。小まめにメールを返してコメントにも答えています。小さな旅館ですが、少しでも古座川のよさを伝えられればうれしい」と。本当にきっときめの細かい心のこもったおもてなしをしてるんだと思うんですよ。昔からある小さな、そんな特別な旅館でもないんですけれど、すごく人気があるというように聞いております。
 ぜひ、今、観光ランキングを見ても本当にうれしくなってくるような、いろんなことが評価されるようになってきてると思う。あとは、おもてなしがあれば本当にもう客数が上がってくると思うんで、ぜひおもてなしをこれからも──答弁の中で、今度は本当にきめ細かいおもてなしをするような答弁でございましたので、ぜひ浸透するような形でやっていただきたいなあと思います。
 続きまして、防災対策についてお伺いをします。
 第1番に、地震・津波観測監視システム「DONET」についてお伺いをいたします。
 本年9月5日に和歌山県は、独立行政法人海洋研究開発機構が設置し運用する地震・津波観測監視システム、「DONET」からのリアルタイムに観測されるデータの提供を受け、データの幅広い提供システムの構築に協力するとともに、津波の規模や到達予測の研究に関して連携する協定を締結し、2015年4月には津波の観測直後にエリアメールなどで県民に避難を呼びかけるシステムの運用の開始を目指しますと報告をいただきました。
 このDONETに関しましては、去年9月議会でも一般質問さしていただきました。当局からは、「このシステムが稼働し、情報提供が行われれば、大きな減災効果が期待できるものと考えております。県では、このシステムの整備と解析システムからの予測情報の伝達手段を早期に整備するよう、国に対し要望しているところでございます」という御答弁をいただきました。
 答弁に対しまして、震源地から離れている地域には地震の大きさや津波の高さも今までより早くわかり大変有利だな、しかし、津波到達時間が短い紀南地方の私たちの住む場所では余り芳しくないかな、そういう感想を持ちましたけれど、この新聞報道によりますと、県では、いち早く第1報を発信し、住民に避難を促すため、DONETのデータを直接取り込み、沖で発生した津波の到達時刻や到達時の規模、方向などを瞬時に計算できる仕組みをつくり、避難が必要な場合は県からエリアメールで自動配信する、また2008年に県が公表した津波避難困難地域8市町村33カ所の中から緊急度の高い串本町など6カ所から優先的に進めるとのことでした。
 このDONET、串本町を初め、津波避難困難地域8市町村にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。地震が起こってから何分ぐらいで我々に情報が届くのでしょうか。また、気象庁以外の予報業務には許可が必要という法律に抵触すると言われている中、どのような情報の伝え方をするのでしょうか。危機管理監にお伺いをいたします。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) DONET(地震・津波観測監視システム)の観測情報の提供を受けるに当たり、今月5日に独立行政法人海洋研究開発機構と協定を結びました。DONETは、同機構が紀伊半島沖熊野灘の水深約1900メートルから4300メートルの海底に地震や津波等を高い精度で観測できる地震計や水圧計を備えた海底ケーブルネットワーク型の観測システムです。
 今後、このDONETからリアルタイムな観測情報を入手できるようにし、エリアメールや緊急速報メール等により情報発信を行えるよう作業を進めてまいります。エリアメールや緊急速報メール等での速やかな発信が可能になれば、県民の皆様に少しでも早く避難行動をとっていただくよう、いち早い呼びかけを行うことができるものと考えております。どれくらい早くなるかは未定ではありますが、少しでも早くなるように開発を進めてまいります。
 また、共同研究では、観測に基づくシミュレーション研究を行い、観測情報から想定する陸地到達予測や規模など、幾つかの地域でのモデルケースを作成してまいりますが、津波到達までの時間が短いと考えられる地域等から進めてまいります。
 なお、観測情報から予測した陸地到達時間や規模を住民に提供することは気象業務法に抵触しますので、あくまでも県民の皆様に避難行動をとっていただくための参考としてお知らせし、その内容につきましては、気象庁と十分相談しながら適切な表現を用いてまいります。
 以上です。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。
 まだまだ不確定な部分が多いと思いますけど、予算もつけてることですし、何とか避難困難地域のためにもすばらしいシステムにしてほしいなあと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 次に、地震の予知対策についてお伺いをいたします。
 昨年6月議会でも質問をさせていただきましたが、再度質問させていただきます。
 内閣府の調査部会は、2013年5月の報告書で、「現在の科学的見地からは地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは困難」との見解を公表。日本地震学会も、2012年10月に発表した行動計画に、「地震予知は現状では非常に困難」と明記をしました。
 また、東海地震については、1978年、大規模地震対策特別措置法ができて、79年に地震防災対策強化地域判定会が置かれ、静岡県の御前崎などで異常を観測したら、判定会の判断を受けて首相が警戒宣言を発する仕組みができ上がりました。それから40年たちますが、この間に日本で予知された地震はありません。国が巨額の予算をつぎ込み進めてきた地震予知対策については、破綻したのも同然の状態であります。上田誠也東大名誉教授も、「そもそも前兆現象を対象としない地震学では予知はできない」とおっしゃっております。
 そうした中で、日本でも、ちゃんとした大学の先生や研究所の方々が各分野でそれぞれ研究をされているところがたくさんあります。前回の質問でも一部述べましたが、東海大学海洋研究所地震予知研究センターの長尾教授によりますと、「地震予知機という機械はないので、地震学だけでなく測地学や地下水の情報、コンピューターシミュレーションなど複数の手法を組み合わせることで、異常を計測することが大事」であり、「5つのうち4つ異常があれば、『8割の確率でマグニチュード○クラスの地震が来る』『地震が近い』といえる。100%とは断言できないが、科学なのでトレーニングをして計測することで精度は上がる」と言われております。
 その5つの手法とは、例えば東海大学の長尾教授の電磁気学的手法による地震予知研究、また京都産業大学の筒井教授による地中電磁波の観測による地震予知研究、また名古屋大学の田所准教授による海底地殻変動の観測、産業技術総合研究所の小泉主幹研究員の地下水の水位と地殻変動についての研究、また神奈川工科大学の矢田准教授による動物の異常行動と地震との関係についてなどであり、そのほかにも枚挙にいとまがないほどさまざまな分野で地震予知の研究が進んできております。
 1000年に1度、万年に1度の地震・津波が来ようと、予知ができれば死者の数を大幅に減少できるものです。このような大学や研究所から情報をいただき、分析する体制を県につくってもらえないのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 地震の正確な予知は現在の科学的知見では極めて困難であるとされていますが、地震の発生をあらかじめ知ることができれば、本県にとっても被害軽減に大いに寄与するものと思われます。
 今後とも国の動きを注視し、地震発生予測等の減災につながる研究開発を積極的に行うよう強く要望していくとともに、技術が進歩することにより地震予知が可能となることを期待して、さまざまな機関との関係づくりにも取り組み、情報収集に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 前回のときは「注視をしていきます」という答弁でして、どんな注視をしてくれたんですかと言ったら、「長尾教授のところへ1回行きました」で終わりでした。今度は、少なくともそういういろんなところを調べ、体制づくりのほうの情報も集めてくれるということですので、大変、答弁は短かったですけれど、前から比べたら大層進んだなと思って喜んでおります。
 また、ちょっとオカルト過ぎて余り信じてもらえないんですけど、いつも産業技術総合研究所なんかが地下水の変位のやつを研究しておりますけど、もう全国に、太平洋沿岸部や道後温泉周辺など14カ所にも観測点を展開して、それぞれ深さの異なる井戸3本を掘り、地下水位や微小な地殻変動を捉えるひずみ計、地震計を設置してる、観測点をさらに2カ所ふやす計画だと。お金もやっぱり十分使ってるんですよね、いろんなところへちゃんとして。紀伊半島や四国の地下では、プレート境界で揺れを起こさずに揺れる現象が年数回発生、滑りの頻度が想定震源域に拡大した際、大規模地震が起こる可能性が考えられるとか。
 ただ、やはりこの人らも、きちっとまだそうじゃないんだということもわかって、昭和南海地震でも水位が低下したのは震源域周辺の一部の移動であるとか、簡単ではないが地震が近づくと何らかの変化が起こるはずと、確実な手はないながらも、やはり一生懸命、人命を助けようと思うて頑張ってくれてるんですよね。
 ナマズなんかもそうでして、ナマズを飼ってやってるのは神奈川の先生なんですけど、東京大学教育学部附属中等教育学校と協力してのナマズの研究で、そこの学生等もナマズを飼ってセンサーでカウントするようにしてるんですよね。それで、何と、異常行動がおおむね100回を超えると関東でマグニチュード3以上の地震が起きる可能性が非常に高いというような分析をしております。
 でも、やっぱり矢田准教授なんかも、「異常行動のメカニズムには諸説があり、あくまでも心構えをする上の一助である。私たちにできるのは、きちんと大地震に備えることだ」と。皆さんもきちっと立場もわきまえながら、でもやはりこの中で何かが見えてくるんじゃないかと思うて、一生懸命、我々のために研究してくれる人もあるので、国にそういった本当の意味の地震予知としての予算も強く要望していってほしいんですよ。
 今の地震学の人らが何百億も何百億もお金をかけて、「もうあきませんでした」じゃ、やっぱり済まないと思うんで、そうして地道にお金のない中でやってくれてる人はたくさんありますので、そういう情報を集める。そうすると何からの形が見えてくるんじゃないかと思いますので、ぜひまた頑張っていただけるようお願いします。
 それでは最後に、地震災害における漁業者への情報伝達についてお願いをいたします。
 先月26日に、漁業関係者等の方々から、海から見た漁業無線の防災への活用ということで、東海・東南海・南海地震に備えた漁業無線海岸局整備の提案があったと思うんです。
 本県では、陸上の地震災害時において、エリアメール等で情報伝達を行う技術がある程度確立しつつあると思いますが、これまで漁業者に対して、特に操業中の皆さんへの対策をお聞きしたことがございません。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 漁業者への情報伝達について、あらゆる状況を想定した方策が確立されているのでしょうか。お答えください。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 地震災害時における海上の漁業者への情報伝達についてですが、地震発生の第1報につきましては、操業エリアのほとんどをカバーし、漁業者にも広く普及している携帯電話メールの緊急地震速報で認識していただくことが最も迅速かつ確実であると考えております。また、津波到達予想時刻などは、県の防災わかやまメール配信サービスや海上保安庁の海の緊急情報配信サービスを携帯電話メールで受信することができます。
 津波からの避難方法については、ことし3月に水産局で啓発ポスターを作成し、沿岸にいる場合は高台へ避難すること、海上にいる場合は水深50メートル、あるいはもっと深い海域に避難するなどの指針を漁業者に周知しております。
 海上避難中においては、漁業無線により、県が和歌山県無線漁業協同組合に委託している公共業務用無線局や県漁業取締船から発信する情報、さらに海上保安庁からの情報を取得できます。
 漁協や家族との連絡は、総務省の公表資料によれば、携帯電話のメール機能が電話に比べて通じやすいとされており、有効な手段であると考えております。また、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板を安否確認に活用できます。
 こうした内容を取りまとめ、改めて漁業者に周知し、利用方法をわかりやすくお知らせしてまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 「まだ漁業者には連絡方法はございません」と言われたらどうしようかなと思うてたんですけど、陸上と変わらぬ方式だとは思うんですけれど、これからもまだそれだけに頼らず、いろんな方策をお互いに考えていかなくてはいけないと思います。これからもぜひ漁業者のほうにもそのことを周知徹底してやっていっていただけるようにお願いしまして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。

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