平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成25年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成25年9月19日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第97号から議案第126号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第97号から議案第126号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 10番 岩田弘彦
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 平木哲朗
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 一般質問も3日目ということで、大変お疲れのところと思いますが、しばらくの間、御清聴をよろしくお願いいたします。
 今回は、まず高校入試制度について質問したいというふうに思います。
 高等学校の入学者選抜いわゆる高校入試制度と、少子化を迎え和歌山県が考えている高校教育のあり方について、教育委員長、教育長にお聞きをいたします。
 先日、和歌山市中学校PTA連合会と和歌山市立の全中学校から、平成26年度和歌山県高等学校入学者選抜実施に関する要望書が、教育委員会、私ども和歌山市選出の議員団に提出をされました。この要望活動は毎年行われており、私ども和歌山市選出の県議団も、これまで中学校の保護者、教職員の切なる願いとして真摯に受けとめてまいりました。
 和歌山県の高校入試制度は今までどういった変遷をたどってきたのか、少し時系列に述べてみたいというふうに思います。
 昭和27年生まれ以前の皆さん、何人かいらっしゃると思うんですが、この入試が9教科で行われていたことを覚えておられると思います。昭和43年には9教科から5教科になりまして、昭和54年度から農業・工業科に推薦入学が導入されました。54年度は、同時に、それまで1学区であった和歌山市を2分割し、北学区と南学区に分割しました。この学区は、平成15年度の学区制撤廃まで続きました。その後、昭和62年度に推薦枠を全職業科に拡大、翌年は専門学科を含めた全職業科に、その後、平成6年度には総合学科に、平成12年度には一部の普通科にも推薦枠が設置されました。平成18年度には、42.3%の生徒が推薦入学による高校選択をするといった、いびつな事態を引き起こすことになります。中学校では、推薦で高校が決まった生徒と、これから入試を受けなければならない生徒との間に確執が生まれ、現場が大変混乱しているといった声が聞こえてくるようになりました。
 教育委員会は、その後、事態をおさめようとしたかどうかはわかりませんが、前期後期制度を導入いたしました。しかし、この制度は生徒の負担が大きいといった理由で議会からも改善の声が出され、2年で撤廃されました。
 このように見ていくと、平成12年から20年にかけての8年間は高校入試制度が目まぐるしく変わり、制度に振り回された生徒、教師、保護者の負担がどれほどであったかは察するに余りあると思います。また、これまで教育委員会は、周到な準備も整わない中、拙速に事を進め、その犠牲を一生に一度の高校入試に臨む生徒に負わせてきたと言っても言い過ぎではないと思います。
 そういった時期に実施された学区制撤廃の問題も、10年の間に、今、大きなひずみが生まれています。
 平成25年度の高校入試の実施状況を見てみると、和歌山北高校西校舎が1.39倍と最も倍率が高くなっています。本出願前の本人が本当に行きたい高校をあらわす一般出願で見てみると、和歌山北高校西校舎の倍率は、さらに1.48倍と増加しています。
 和歌山北高校西校舎については、昨年も倍率が高く、たくさんの不合格者が出ました。ことしも31人の不合格者を出しました。これは、和歌山北高校と西高校の統合によって西校舎の定数が80人と減員されたことによるものであるということは明白であります。和歌山北高校普通科の不合格者は、北校舎と西校舎を合わせると71名もの数に上っています。特に和歌山北高校西校舎は、立地の条件上、市内中心部よりも紀の川以北の生徒の受け皿になっており、定数が減となったことによる影響を直接受けた形となりました。
 不合格者31名のその後を少し追ってみますと、和歌山市立高校の定時制やきのくに青雲高校の昼・夜間定時制、和歌山工業高校定時制に進学した生徒もあるようです。さらには、どこにも進学できず、就職した生徒もあります。
 次いで倍率の高かったのは、桐蔭高校普通科の1.36であります。同校も、一般出願時には1.45の倍率でありました。桐蔭高校の倍率の高さは、また違った問題をはらんでいます。桐蔭高校の和歌山市内出身の生徒の割合は、入学時の高校からの報告によりますと、平成23年度65.67%、24年度60.83%、25年度63%であります。和歌山市内からの受験者がおよそ6割、県下からは4割という結果になっています。
 ちなみに、桐蔭高校と同じく人気の高いと言われる向陽高校は、平成23年度60.41%、24年度60.41%、25年度は58.02%となっており、市内出身者の割合はさらに低い結果となっています。
 このように県下の高校入試の実施状況を見てみると、県下全域で学力的に高いと言われる生徒は和歌山市内の私学や人気のある県立高校に集中し、学力的にしんどい生徒は市内から遠い圏域に通学せざるを得ないという状況になっています。
 全県学区制は、高校入試の自由度を高め、生徒に選択の幅を広げるといった教育委員会の意図とは全く違う方向に進み、高校の学校間格差をさらに拡大させたと言えます。
 ちなみに、全日制で最も倍率の低かったのは、粉河高校の理数科の0.23%でありました。
 和歌山市内と7地域に分かれていたときは、地域ごとに歴史ある名門と言われる学校があり、地域の誇りになっていました。それが今や、市内の一部の学校を頂点に序列化が進んでいます。それが教育委員会の意図した方向なのでしょうか。
 そこで、教育委員長に、現在の和歌山県の高校入試制度の状況を見てどのような見解をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
 次に、教育長に、和歌山北高校西校舎の2年連続の高倍率の結果を見てどのように受けとめておられるのか、お聞きします。
 学区制撤廃がもたらした影響を指摘させていただきましたが、学区制についての見解と今後の方針をお聞きします。
 さらに、少子化が進み、生徒の数が減少しているにもかかわらず、進学できない生徒がいるという現実があります。和歌山市内では、中学校卒業者2890人のうち48名が無業者もしくは就職者であります。最初から進学を諦めていたのではなく、合格できずに諦めた生徒であります。追試験を受けながらも定員内不合格となった生徒もいます。
 今や高等学校は全入の時代と言われ、高等学校を卒業していなければ資格すら取れない時代です。子供たちが大人になったときの困難を思えば、せめて高校ぐらいは卒業させてやりたい、そして誰もが高校教育を受け、卒業できる環境を整えていただきたいと考えます。
 また、高校中途退学者の数もなかなか減りません。高校1校分の生徒が途中でやめているというような状況です。何が原因で中途退学に至るのか、教育委員会は把握されているのでしょうか。
 そこで、教育長に、定員内不合格者が出ていることについての見解と、中途退学者の退学理由はどのようなものか、退学者を出さないための対策をどのように考えられているのか、お伺いします。
○議長(山田正彦君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 教育委員会委員長山下郁夫君。
  〔山下郁夫君、登壇〕
○教育委員会委員長(山下郁夫君) 入学者選抜制度については、教育関係者等からさまざまな御意見、御提言をいただきながら、推薦入試の導入・拡大、前期後期制を経て、平成21年度入試から入学者選抜を一本化する現行制度となり、今年度で6年目となっております。
 現在、中学校での丁寧な進路指導もあって、落ちついた状況で実施できており、生徒、保護者、中学校関係者等にも理解され、定着してきていると考えております。
 入学者選抜制度が生徒の進路の決定にかかわる重要な施策であることをしっかりと受けとめ、慎重に判断してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 高校入試制度にかかわる4点についてお答えしたいと思います。
 まず、第1点目の和歌山北高校西校舎の入試結果等についてでございますが、高等学校の募集定員につきましては、各地域における中学校卒業生徒数の推移や、進学率、他地域への流入・流出生徒数を含めた地域の実情等を踏まえ、和歌山の子供は和歌山で育てるという強い思いのもと、子供たちの学習機会が保障できるよう、総合的な観点に立って決定いたしております。
 和歌山北高等学校普通科西校舎につきましては、現在北校舎にあるスポーツ健康科学科との来春からの本格的統合を見据えた募集定員であったことや、統合して間もない中、志願者の動向について予測しがたい点もありました。
 来年度の募集定員につきましては、よりよい学習環境の提供やこれまでの志願状況など、さまざまな観点から丁寧に分析し、総合的に判断してまいります。
 次に、学区制にかかわる点でございますが、本県では中学生の学校選択の幅を拡大するとともに、高等学校の個性化、多様化を一層推進するために、平成15年度入試から全日制課程普通科の通学区を廃止しました。その後の入学者につきましては、9割を大きく超える生徒がそれまでの通学区もしくはその隣接地域へ進学している状況にあります。
 また、学区制については、第9期きのくに教育協議会での議論の中でも、好きな学校が選べる、学区外の近隣地域に住んでいる生徒が居住地に近い高校に行けるようになったというメリットがある一方で、行きたい学校から行ける学校へという選択を余儀なくされている状況も一部には見られます、そうした御意見をいただいております。
 全県一区となり10年が経過して、生徒や保護者等の理解も進み、入試制度としても定着をしてきております。学区制の今後につきましては、募集定員や入学者選抜制度等の関連施策のあり方を含め、総合的に研究してまいります。
 次に、定員内不合格にかかわってですが、県立高等学校長に対しましては、公教育の立場から定員内不合格を出さないように、慎重に合否判定を行うよう指導してきております。
 入学者選抜においては、学力検査、面接及び実技検査等を実施し、中学校からの調査書等とあわせて総合的に判断をしているところですが、学習意欲や学力の面で、高校教育を受ける上で困難と判断されている生徒がいることも事実です。
 今後、中学校において進路指導をより充実させるとともに、学ぶことの大切さや基礎的、基本的な学力が身につくよう、丁寧な指導に力を入れてまいります。また、高等学校においては、子供の可能性を信じた適切な合否判定を行ってまいります。
 次に、中途退学者の問題でございますが、中途退学の理由の主なものとしては、学業不振や不本意入学等による進路変更、学校生活への不適応などが挙げられます。
 学業不振の対策としましては、特に中途退学者の多い学校では、入学段階から基礎的内容の学び直しに取り組み、生徒ができる喜びや力がついたと実感できる授業を実践するよう指導しているところです。
 また、不本意入学の対策としましては、中学生が志望する高校での生活を具体的に理解して学校選択ができるよう、高等学校での体験学習等の充実に努めるなど、中学校と高等学校との連携を一層深めているところです。
 さらに、学校生活への不適応の対策として、生徒の悩みや不安を受けとめる教育相談体制を充実し、生徒の居場所づくりに取り組むとともに、生徒が活躍できる体験活動を重ねることで生徒のやる気や自信につなげていく取り組みを進めているところです。
 また、問題行動を起こした生徒への対応としましては、自宅での謹慎といったこれまでの指導方法を改め、必要に応じて登校させ、一人一人の生徒の心に寄り添いながら反省を促した後、生徒がスムーズに学校生活に戻れるよう指導を推進しているところです。
 今後とも、こうした取り組みを拡充させながら、生徒が意欲を持って高校生活を送ることができるよう努力してまいります。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 教育委員長が、入学者選抜制度が生徒の進路の決定にかかわる重要な施策であることをしっかり受けとめ、慎重に判断してまいりますとの御答弁ですので、今後は今までのような混乱のないようによろしくお願いいたします。
 それに関連して、高校の募集定員の動向も大変大きな問題であると考えています。今回、高等学校第2次再編整備計画として、全日制である伊都高校の平成26年度募集を停止し、平成27年度より、かつらぎ町にある定時制・通信制の紀の川高校、これも廃止して、伊都高校の同一敷地内に新たに定時制・通信制の紀の川高校を設置するというふうなことを発表されております。
 再編の理由は伊都地方の生徒の減少によるものとしていますが、生徒の全日制志望の高い現状の中で、全日制伊都高校の入学者募集停止は大きな影響を与えるというふうに思います。
 教育委員会は、理由として、来年度、伊都地方の生徒が90人ぐらい減少するということで募集を停止するというふうにしてるんですが、現在1学年4クラス120人余りの募集を停止するということなので、これはかなり大きな影響があるというふうに考えます。
 急激な再編をするよりも、募集定数の、クラス数を減らして、今4クラスなので2クラスにするとか、定時制・通信制との併設といったことも考えられるんじゃないかなあというふうに思っているんですが、現在、パブリックコメントを9月30日まで募集しているということですので、決定したことがありきという、そういうことではなくて、県民の皆さんの御意見も取り入れていただいて、柔軟な対応を要望しておきたいというふうに思います。結論がまだ出ていないということですので。
 それから、高校入試の学区制については、県では、高等学校の個性化、多様化を一層推進するために平成15年度入試から全日制課程普通科の通学区域を廃止したとしていますが、先ほど指摘させていただいたように、全県一区の学区制は学校間格差をさらに拡大させています。繰り返しますが、それぞれに地域に根づいていた地元の名門と言われる個性的な高校が今や県下の高校の序列の中に組み込まれ、生徒の北部への志向がとまりません。粉河高校の理数科の倍率などを見てみると、まさにそのあおりを受けた形だなあというふうに思います。
 また、教育委員会は、学区制を廃止したけれども、その後の入学者は9割を超える生徒がそれまでの通学区もしくはその隣接地域に進学しているとしていますが、そうであるなら、以前の和歌山市と7学区に分割していた形に戻しても支障がないんじゃないかなあと。学区制撤廃以前は、僻地──古座川であったりとか高野の奥であったり、そういうところは全県を選択するというふうな工夫もされておりましたし、例えば、今までしなかっても学区外の隣接地域への進学なら可能とするというふうなことなど、それぞれの地域の特性を考えた対策もとれるというふうに思うんですね。
 答弁では、学区制の今後については、募集定員や入学者の選抜制度の関連施策のあり方を含め、総合的に研究していくとのことですが、和歌山県の高校教育の目指すべき方向が個性化や多様化であるならば、地域地域のオンリーワンの学校を選択するというふうな制度に戻すべきなんじゃないかというのが私の意見です。
 結論はすぐ求めませんが、生徒が減少していくという現状の中で、今の全県一区という選抜制度についての検討をされるよう要望し、この質問を終わります。
 次に、社会保障・税番号制度について質問をいたします。
 社会保障・税番号制度、いわゆる共通番号制度を導入するための法律が本年3月1日に閣議決定され、3月22日の衆議院本会議にて審議入りとなり、4月26日、内閣委員会にて採決、5月9日、衆議院本会議にて採決、その後、参議院に送られ、5月23日、参議院内閣委員会にて採決、5月24日、参議院本会議において可決・成立しました。その8日後の5月31日公布という超スピードでの成立となりました。3月1日に閣議決定され、5月31日に公布ということなので、大変超スピードだというふうに思います。
 この制度については以前より多くの懸念が出され、その審議については慎重な対応が求められていたにもかかわらず、何と十数時間の審議で成立となっております。
 制度構築に当たっては、制度設計やマイ・ポータル等の導入を含めると兆円規模の費用がかかると言われており、費用対効果の面で、今、拙速に導入しなければならないものであるのか。高齢化社会の中で莫大な社会保障の予算が必要だという理由で消費税増税はやむを得ないとしながら、この制度にどれだけの予算を使おうとしているのか。今の制度で対応できるのではないかと考えるものです。
 今回の制度で交付される個人カードは、住民基本台帳に記録されている者について生涯変わることのない個人番号を指定していくものであり、以前実施された住基カードと基本的に異なるものであります。住基カードには住民票コードは記載されていませんが、個人番号カードには顔写真と番号が記載されています。住基カードは、自治事務の範囲で行われ、あくまでも行政事務の中で使用されているだけでありましたが、個人番号カードは法定受託事務の扱いで、将来的には民間への活用も視野に入れたものであります。このことによる情報漏えいの懸念は国会でも各党から出されており、政府の対応は十分なものになっていません。
 公明党の浜地委員は衆議院の内閣委員会で、アメリカでは3年間で1億件以上の成り済まし犯罪が起き、5000億円を超える被害が出ていると質問しており、民主党の荒井委員は、アメリカ連邦取引委員会の算定で損害額が年4兆円になり、犯罪捜査に四苦八苦している、韓国では4年間で延べ1億2000万人の情報漏えい被害があり、いずれも共通番号の利用を民間に認めた結果であるという質問をされています。
 まず、この制度の試金石とも言える住基ネットに対する評価を、住基ネットで費やした準備期間から現在までの所要経費と効果についての観点から県としてどのように捉えているのか、お伺いします。
 次に、この制度導入のための経費について、平成26年度の国の規模はどうか。また、県分としておおよそどれぐらいと見積もっているのか。
 実施に当たって関係各課の調整を含め、そのタイムスケジュールはどうなっているのか。さらには、市町村への周知はどのようにするのか。
 実施することのメリットとしてはどのようなことがあるのか。
 また、最大のデメリットと考えられる成り済ましや個人情報漏えいは起こり得るものとして、県としてはどのような対策を講じる予定なのか。
 以上を総務部長にお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 社会保障・税番号制度について、5点お答えいたします。
 まず、住民基本台帳ネットワークシステムについて、県や市町村を含む国全体の経費としましては、初期費用として約390億円、毎年のランニングコストは年間約130億円であり、この約130億円のうち、本県は約1億円を支出しております。
 これに対しまして、住基ネットの効果としましては、各種手続の際に住民票の写しの添付や年金の現況届を省略できるなど、住民の利便性の向上と行政コストの削減がなされているところでございます。本県におきましても、パスポートの申請において住民票の写しの提出が省略できるなど、県民と行政双方にメリットがあるものと認識しております。
 なお、これらの効果につきまして、国の試算によりますと、国全体として年間約510億円の効果と言われております。
 続きまして、番号制度の導入に係る経費についてでございますが、国の試算によりますと、システム整備費用が国、地方を合わせまして約2000億円から3000億円と見込まれております。そのうち、県における経費は、システム整備の詳細が示されてないため、現時点では試算できておりません。
 3点目でございます。
 タイムスケジュールとしましては、平成27年に個人番号が付番され、平成29年に本格運用が開始されますので、本県としては、現在、関係各部で連携し、組織体制の整備、システム導入準備を進めているところでございます。また、市町村に対しましては、制度に係る資料の提供や研修会を実施しており、制度導入について引き続き適切な助言を行ってまいります。
 次に、番号制度の効果でございます。
 社会保障・税の分野等において、正確性、効率性を確保することで、住民は所得、自己負担等の状況に応じたよりきめ細やかな行政サービスを受けることができるとともに、事務手続の簡素化、給付過誤や給付漏れの防止などのメリットがあると考えられております。また、行政も、より公平かつ効率的な行政サービスを行うことが可能になるとされております。
 本県におきましても、社会保障・税の分野などで幅広い業務を行っており、番号制度の導入によって県民、行政双方にメリットが生ずるものと認識しております。
 最後でございますが、個人情報保護についてでございます。
 議員御指摘の成り済まし犯罪や情報漏えい等の懸念につきましては、これらの対策として、制度上の保護措置及びシステム上の安全措置が講じられることとされております。
 具体的には、成り済ましを防ぐため、本人確認の際は個人番号だけでなくカードによる確認を実施することや、情報漏えい等を防止するため情報にアクセスできる人を制限するとともに、各機関で利用できる事務の制限、個人情報の分散管理を行うこととなっております。
 また、不正利用を行った場合の罰則が強化されていることもあわせまして、個人のプライバシーの適切な保護を図ることとされております。
 県としましても、国において示される個人情報保護に係る対応を確実に実施し、番号制度に係る情報セキュリティー規定を整備するとともに、職員に対しまして番号制度に係る研修を行うなど、個人情報保護に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。国は住民基本台帳ネットワークシステムというのをやりましたが、これ390億円、ランニングコストに130億円と莫大な経費をつぎ込んだわけです。県の負担も毎年1億円を負担しているというふうなことで、ちなみに和歌山市は、ランニングコストは毎年およそ2000万負担しているというふうにおっしゃっていました。各市町村で同じように経費がかかっています。システムをつくれば、それに付随する端末とかサーバーとかシステム構成の賃借料として永久にこのコストを支払い続けなければなりません。
 住民基本台帳ネットワークのシステムのメリットは、パスポート申請時の住民票の写しの提出が省略されるというのですが、毎年の負担から考えるとその費用対効果はどうなのか。県民の側から言えば、それだけの税金が使われているにもかかわらず、メリットはあんまり実感できていないんじゃないか。当時、利便性がよくなるといった理由で住基システムが導入されましたが、住基カードの普及率を見れば、県民の理解の度合いは一目瞭然であります。果たして、何のための住民基本台帳ネットワークシステムであったのか。
 また、今後、住基システムをもっと活用していく方向等の検証をすることもなく、今回新たな番号を国民に付与する共通番号制が導入されようとしています。何回国民に番号をつければ気が済むのと言いたくなります。
 今回の共通番号制度は、導入に当たって2000億円から3000億円というふうにお答えいただきました。それだけではおさまらないのではないかと懸念されています。ちなみに、このシステム導入に当たっては、既に情報関連の株価が上がっているという報道もあります。
 答弁では、社会保障・税の分野等において正確性、効率性を確保することで、住民は所得、自己負担の状況に応じた行政サービスが受けられるとのことでありますが、それぐらいのことならば今のシステムでも十分に機能しているのではないでしょうか。しかも、個人番号をつけなければできないというのでは、行政の信頼性が損なわれるでしょう。住民は、果たして番号を付与され、きめ細かいと言われる行政サービスを求めているのでしょうか。行政が求めているのは、血の通った行政だと思います。
 私は、住基ネット時の予算の何倍もの税金を使い、情報を集約し、一元化していこうとするこの制度に大きな危惧を抱いています。私たちのプライバシーは守られるのか。答弁では、個人情報漏えいに安全措置が講じられているとのことでありますが、この言葉を真に受ける人は少ないと思います。情報がビッグデータになればなるほど漏えいしていくものです。現実が証明しています。
 全国知事会でも、地方に新たな経費負担が生じることのないようにといった財政措置の要望や個人情報保護方策を示す申し出を行っているようでありますが、自治体での取り組みはこれからであります。県として個人情報を保護するための独自案は考えているのか等々を含め、今後の議論に委ねたいというふうに思います。
 次に、少しやわらかい質問をさせていただきます。
 日本料理の世界無形文化遺産登録についてであります。
 先日、会派の皆さんと、京都府の日本料理の世界無形文化遺産への登録の取り組み状況について聞いてまいりました。京都府では、平成23年度より日本食文化の世界遺産登録に向けた検討会を立ち上げるとともに、国に対して、日本料理の食文化の根底をなす京都の文化と技術を積極的に取り入れ、日本料理を国内の無形文化遺産目録に登録し、ユネスコの人類の無形文化遺産の代表的な一覧表への記載提案を行ってきたということでありました。
 提案を行った京都府では、日本料理の文化的背景を含めた研究や、高水準の日本料理を提供する実践者の確保、継承者の育成を担う高等教育機関を設置する協議を始めており、食育教育基本計画においても日本料理の価値や役割を明確に位置づけ、義務教育等における全国民的な普及啓発を実施するとしていました。
 国においては、平成23年7月から登録に向けた検討会において調査検討を重ね、「和食;日本人の伝統的な食文化」として登録を目指す方向で議論を終え、平成24年3月にユネスコへの登録の提案を行いました。今後は、ユネスコの検討、審査を経て、この平成25年12月に可否が決定される予定となっています。
 この提案で言う和食は、各地域の食文化といった限定されたものではなく、大きく日本の食文化といったものとなっています。さらに、事例としては、正月における食文化を挙げています。餅つきやお節、雑煮などの地域ごとに多様性を持つ食習慣と、それら料理を盛る器、そして、これら食習慣が健康増進と社会的結びつきを強め、年長者が子供にその意義を伝える機会となるとしています。そして、保護措置の実施を支援するために、食育運動の推進、日本食文化の普及、地域食材の保護の支援、モニタリングの支援の取り組みを国が行うこととしています。また、これまでこの文化の保護に多くの地域コミュニティー、集団、個人までも広くかかわってきたことを述べ、今後もかかわっていくとしています。
 このように、世界無形文化遺産に登録される文化とは、歴史や背景も含め、その文化を支える多くの人々の手により、その価値を後世に残していかなければなりません。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 和歌山県では、今回の登録に向けた動きをどのように捉えているのか、また登録された場合、どのような対応をとるのか、お聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 今回の日本食文化のユネスコ無形文化遺産への申請は、全国各地の家庭、地域で行われている食を通じたさまざまな社会的慣習や取り組みがユネスコの無形文化遺産にふさわしいものとして国が行ったものであります。
 登録された場合、県としましては、これまで取り組んでまいりました食育、そして地産地消の推進に、より一層の弾みがつくものであると考えております。
 今後とも、教育委員会や地域の生活研究グループ等、関係者団体などと連携して、地場の農産物を使った郷土料理づくり体験等を通じて、県内各地の伝統的な食文化を次世代につなげてまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 よろしくお願いいたします。
 では、最後の質問に移ります。
 高野山地域における交通対策についてお伺いをいたします。
 来年から再来年にかけて、JRのデスティネーションキャンペーンとか世界遺産登録10周年、高野山開創1200年記念大法会と、和歌山県にとっては多くのお客様をお迎えする絶好の機会がめぐってまいりました。
 高野・熊野の世界遺産は今さら言うまでもありませんが、高野山町石道、熊野古道が結ぶ高野・熊野一帯が世界遺産となっており、その歴史と宗教性が大きな魅力となっています。
 特に高野山は、真言密教の聖地として、金剛峯寺を初めとする仏教建築群はもちろんですが、鬱蒼と茂った樹齢1000年以上とも言われる杉木立の中にある奥の院など、深淵性、静寂性、神秘性も含め、申し分ない世界遺産であります。
 しかし、残念ながら近年、自家用車による来訪者が増加し、高野山の霊場としての景観や風情を阻害する原因となっています。
 平成17年に、山下大輔議員が高野山の交通問題について質問をされています。この中において、大門から奥の院に続くその車道は、土日となると狭いエリアに車が詰め込まれ、排気ガスが充満する最悪の環境となっていると指摘されています。そして、パーク・アンド・ライド方式を導入し、高野山内の観光スポットエリアについて一般車両の通行を制限してはどうかといった提言があり、当局は、近畿運輸局や地元自治体、交通事業者で構成した高野山パーク&ライド実行委員会をつくり実証実験をいたしましたと答弁されると同時に、高野山にふさわしいパーク・アンド・ライドの事業化に向け、地元の意向を十分聞くとともに引き続き関係者と連携して取り組んでいきたいというふうに答弁をされています。
 そこで、企画部長にお伺いいたします。
 高野山開創1200年大法会を再来年に控え、高野山内の交通状況の改善が喫緊の課題となっています。御答弁から8年余りが経過いたしましたが、どうなっているのでしょうか。私は、パーク・アンド・ライドだけでなく、公共交通、道路、駐車場など根本的な対策が必要と考えますが、現状とその後の取り組みについてお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御質問の高野山地域における交通対策についてでございますが、高野山内には幹線道路が1本しかなく、しかも、この道路がX軸ネットワークを形成する県全体の幹線道路となっていることから、高野山に関係のない大型トラックが通過するなど、霊場高野山にふさわしくない交通環境となっております。
 このため、現在、県では、平成27年4月から開催の高野山開創1200年記念大法会に向け、国道480号──いわゆる高野山道路でございますが──この整備を進めております。この道路が開通いたしますと通過交通を迂回させることができ、またこのことによりまして、観光シーズンに発生する交通渋滞の緩和や世界遺産地域としての環境保全にもつながると考えております。
 高野町でも、この道路の整備などを踏まえ、駐車場の整備と山内の交通規制や公共交通サービスの充実などを組み合わせることにより、パーク・アンド・ライドの実現など、歩く人を重視した歩行環境の創出を図るための取り組みを進めております。
 今後とも、高野山開創1200年に向け、高野山道路の早期整備を図るとともに、高野山にふさわしい交通環境が実現されるよう、関係機関とともに取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 高野山の交通事情についてお尋ねしました。
 県民の方で年に何回も高野山にお参りに行かれる方から高野山の交通事情について御相談がありまして、せっかくの世界遺産なのに、山上での交通渋滞のために高野山のよさがわかってもらえないんじゃないかというふうなことでありました。
 そういったこともあって質問させていただきましたが、町のほうでも10年間に必要な施策を実施していくということですので、県も少しでも協力して、10年と言わず早く整備されることを要望して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しが出ましたので、質問をさしていただきます。
 台風18号が16日の未明、紀伊半島をかすめて大変な被害をもたらしました。それについて、危機管理監、また県土整備部長にお伺いします。
 16日未明、激しい雨を伴うた18号台風が、紀伊半島に思いもよらん豪雨をもたらした。被災された方々には、心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 恐らく行政は、こんなに大量の雨をもたらす台風とは認識していなかったんではないか、このように思います。といいますのは、後になっていろいろ発表された。そうすると、気象庁から情報がもたらされた、その情報を全然住民に伝えていなかったという自治体がたくさん出てきたんですね。そういう意味でこの18号台風は、行政初めみんなの認識が甘かったんじゃないかなと、こう思う節があるんですね。
 私どもの橋本市の地元でもそうでありましたが、紀の川の水量は前日まで、紀の川を長靴履いて渡れるぐらいの水しか流れてなかったんです。ところが、16日、夜が明けますと大変な被害だということがわかりました。私も、紀の川の河川敷内に運動公園が実は幾つも点在しておりますので、またやられたん違うかなと思って行きました。案の定、メーンになっております南馬場グラウンドという、ここは野球場2面、またサッカー場1面を持った12万平方メートルもある敷地なんですが、これ、また流されてしまいました。
 実は、このグラウンド、国体のソフトボール会場になっとるんですね。去年も実は流されました。慌てて復旧してくれました。ところが、また流れてしまった。どうするんやということで、関係者が今、知恵を持ち寄ってというんですが、なかなかいい知恵も出てきませんが、この復旧がまた急がれるわけですね。来年の秋にはもうプレ大会が開催されます。そういう意味では、ここの紀の川河川敷内にあるグラウンドが果たして適地なのかということまで、今、討議されてるわけでございます。
 また、紀の川の水位が急上昇いたしました。そのために、大谷川という支流がございますが、そこの樋門が閉められました。いつものことですが、樋門が閉められますと、隣接している団地が500戸ほどございますが、そこの住宅が必ず浸水するんですね。大谷川がきれいに竣工したんですが、改修されたのが、ちょっと大谷川からの流水を団地のほうへ流すような格好になっとるんですね。大谷川の氾濫を防ぐために団地の中へ一部流すような設計に現在なってしまっている。そういうことで、団地に大量の水が、濁流が流れ込みまして浸水する家が出ました。
 そのときに、伊都振興局でことしから排水ポンプ車が配備されております。慌てまして排水ポンプ車の出動を要請いたしました。白浜ではその排水ポンプ車が活躍したという、この間、お礼をしている同僚議員がおりましたが、私は反対なんですね。出動を要請したら、ポンプ車はどっかへ出かけてしもておれへんだった。「どこへ出かけたんかなあ」といって地元の消防団の人たちに聞きますと、「岩出へ行ったらしいで」と言うんや。そしたら、かつらぎ町からも要請があったらしいんです。橋本からも当然要請しましたが、ポンプ車ないんですね。かつらぎ町からも要請した。かつらぎ町へ行ったポンプ車は海草郡、海南のほうから出かけとるんです。橋本が要請したら「田辺から行かそか」と、こんな話になったらしいんです。
 私は、担当しとる配車をした人を責めるつもりはございません。あちこちに排水をしてもらいたいという場所がいつもあるわけですね。にもかかわらず、ポンプ車の絶対量が少ないわけですから。聞きますと、1台5000万円ぐらいするんやと。それをまた維持する経費も大変な。確かにそうですね。ですから、たくさん購入せえとは私はよう言いませんけども、しかし、橋本へ田辺から来て、橋本にあるやつが岩出へ行って、かつらぎへ海南から来ると、こういうやり方って一体ええんやろかというふうには思います。
 そういうことで、排水ポンプ車の出動に関しては相当の混乱があったんやろうというふうに思いますが、この辺のことを一遍精査して、どういうふうにしていったらいいかということを今後研究してもらいたいなというふうに思うんですね。
 次、大谷川は紀の川の水位に常に影響されるところでございまして、樋門が閉ざされますと必ず隣接の団地に流れ込みます。確かに改修が終わっておりますが、ちょっとした工夫でそれを解消できるというふうに私は思っております。
 といいますのは、大谷川から紀の川の堤防、またその横にちょっと小高い柿畑があるんですが、そこの堤防と柿畑の間が低くなって──低くつくってあるんかもわかりませんね──そこに小さな堤防を築くことによって住宅への流水がとめられるというふうに私は思います。それで、工事費、また工事もそんなに負担をかけないで地域の住民に安心をさしてもらえるんであれば、そんなに高い予算ではないんかなと、こういうふうに思うんですが。
 それから、もう1つは、台風で情報が全然住民に届いていなかったという残念なことが起こりました。
 これは、橋本市にある国民休暇村やどり温泉というのが、去年、リニューアルオープンしました。多くの宿泊客もおりました。ところが、これは371号線の沿線にございまして、国道371号線と言うたら格好いいんですが、一番狭隘な道路は2メートル半ぐらいしかないです。それが九度山、また橋本から進入できるところなんですが、高野山へ通じとる。高野山へ登るには一番楽な道なんですね。
 ところが、このやどり温泉から高野山のほうへ向いてのところが、道路が流失してしまいました。それから、このやどり温泉に橋本から行く途中で岩石等の落下で道路が塞がれた。やどり温泉には多数の宿泊客が取り残されたという状況がありました。これが情報として伝わってこなかったんですね。私ども、知ったのは、やどり温泉から電話連絡いただいて初めて、あ、そういうことになっとるんかということを知ったようなことでございます。
 このような情報はできるだけ早く住民に伝えるということが大事でありますが、この辺のところが、ちょっと今回、残念ながら欠落しておったんじゃないかなというふうに思います。
 そこで、危機管理監に、情報の把握、翌朝にもうすぐ把握できとるんかというたら、なかなか難しいと思うんですが、情報の把握、また伝達、情報開示はどのようになっているんかということをお聞きしたいと思います。
 また、県土整備部長には、排水ポンプ車はどのような配車状況になっているのか。また、出動するための基準というのは決めてあるんかと。早い者勝ちみたいに今はなってしまってある。残念ながらそういうことですね、結果的に。
 それから、大谷川の改修について、また排水ポンプ車の増車についてお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 災害時の情報の把握、伝達、情報開示の体制については、県内で発生します風水害や地震、津波などに関し、気象庁が発表する注意報や警報に基づき職員の防災体制をとっており、市町村、庁内関係各課室及び振興局を通じて被害等の情報を収集した上で、危機管理局において取りまとめを行っています。
 先ほどの道路の通行どめとかいった取りまとめを行った被害状況は、市町村や振興局については危機管理局から直接情報提供するとともに、県ホームページにも掲載しております。また、報道機関については広報課を通じ情報提供を行っております。
 以上です。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県では、頻発する都市型水害に機動的に対応するため、平成23年度から昨年度までに4台の排水ポンプ車を導入し、海草、那賀、伊都、西牟婁の各振興局建設部に配備して、広域的な運用を行っております。
 出動の基準、指示については、原則として市町村長または振興局建設部長からの要請に基づき、強制排水を行わなければ県管理河川流域に浸水被害が生じるおそれがあるとき、あるいは排水機場が整備されているが排水ポンプ車の出動が必要なとき、または重大な災害が想定されるときなどに行っております。
 今回の台風18号出水時は、16日午前1時20分過ぎの紀の川市への出動を最初に、要請のあった白浜町、岩出市、かつらぎ町の順に浸水箇所延べ6カ所の排水作業を実施したところです。
 なお、伊都建設部に配備した排水ポンプ車については、同午前3時22分に岩出市長から要請があり、その際は橋本市にも確認した上で出動を命令しました。
 次に、御質問の大谷川の改修につきましては、橋本市が24年度に新たに固定式排水ポンプ2基を増設したところですが、今回の出水状況などを踏まえ、今後の対策について市と協議してまいります。
 最後に、排水ポンプ車の増設についてですが、県の排水ポンプ車は平成24年度に3回の出動、25年度は今回の出水で初めて出動しました。今後の状況にもよりますが、現時点では排水ポンプ車の増設の予定はありません。今後とも、国土交通省所有の排水ポンプ車とあわせ、機動的な運用に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 答弁いただいたんですが、何か起こったらホームページ見れと言われたようにお聞きしたんです。台風なんか来て災害が起こって大変なときにホームページを見るような余裕が果たしてあるんかなと。事前にずうっといつも見とれよというふうに聞こえました。そやから、何か住民に知らす方法を研究していただきたいなあというふうに思います。
 また、ポンプ車につきましては、私も、増車せえというのは──1台買うのは5000万円で済みますが、1年間を維持管理する──人件費だって運転手だけでは済まんやろと、それを1年間ずうっと維持していくのは大変だと思います。そういう意味では、今なかなか将来的にまだ考えておりませんということでございますが、そうすると固定したポンプをつけなさいよというても、今例に出しました大谷川、通常は川幅が8メートルほどの川なんですね。流れてるときはそんな大した川じゃないです。この間の16日の増水を見ますと、川幅が15メートルぐらいになっとるんですね。深さがもう5メートルぐらいありますよ。それだけの水を排水するのは、ポンプ車が何台来たってとても無理でしょう。
 そういうことから考えたら、もうちょっと住宅へ水が流れないようにだけ、ひとつ工夫をしていただきたいなというふうに思います。
 続いて、次の質問に入らしていただきます。
 次は、知事、危機管理監にお伺いしたいと思います。地震、津波、台風等、天災による災害情報の住民への伝達についてということでお伺いします。
 今までは、NHKを初めとして、民放、また大きなラジオ局を通じていろんな情報が伝わってきておりますが、その地域地域に合ったような情報ではないわけですね。そういうことで、コミュニティーFM局の活用方法についてお伺いしたいと思うんです。
 災害、緊急の情報等を速やかに県民に伝える方法は、災害の起こる前には準備万端、怠ってはならないということは当然のことであります。情報の伝達方法はいろいろと考えておられることと思いますが、本日はコミュニティーFM局に絞ってお伺いします。
 神戸大震災、東北大震災等が起こり、災害が起こるたびにコミュニティーFM局の有効性が認識され、特に東北大震災では多くの臨時コミュニティーFM局が立ち上げられ、災害地での細かい、地域に特化した情報、ニュースを放送して、今も活躍しています。中には、臨時FM局から正規のFM局に衣がえをして放送を続けているところもございます。
 所管する総務省も、最近になってコミュニティーFM局の必要性を認識して、自治体とFM局との災害協定の締結を促し、そこに発生する経費については総務省が負担するとの通達もございました。今、コミュニティーFMに対する環境が大きく変わりつつございます。
 そこで、知事にお伺いします。
 県下には今5局のコミュニティーFM局がございますが、このFM局に対する御認識についてお伺いいたします。
 続いて、危機管理監にはコミュニティーFM局の活用方法についてお伺いしたいと思います。よろしく。
○議長(山田正彦君) 3番目。
○向井嘉久藏君 ちょっと漏れたようでございますんで。
 知事の答弁の中でいただきたいのは、FM局の認識とあわせて、この5局あるFM局と災害協定等々も考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
 以上です。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) コミュニティーFM局は、放送エリアが限られておりますが、地域の特色を生かした番組や住民参加の番組等を提供することによりまして、地域情報の発信拠点として豊かで安全なまちづくりに貢献できる放送局と認識しております。
 とりわけ、今議論にあります災害時でございますけれども、情報伝達に大変役に立つというふうに思います。
 災害時においては、コミュニティーFM局が、いろいろな市町村からの災害情報とか、あるいは避難情報とか、そういうものを出してもらうということを大いに期待したいと思っておるんですが、そのためには事前に市町村とよく相談をして段取りを打ち合わせをしておく必要があると思います。
 それから、あんまり考えたくもないことなんですが、災害の状況によっては、実は情報を出すべき市町村が機能不全になるということもあると思います。そのときにFM局が、機能が生きていたら、県当局と直接その情報伝達において、市町村を代替するような形で情報が発信できるんじゃないかというふうに思います。
 そうなると、県とも事前にきちんと打ち合わせをしとかないといけないというふうに思いまして、県には既にもう5局もFM局がございますので、こういう方々とあらかじめいろいろ相談をしといて、それで防災情報発信をやってもらうことにして、それで防災情報発信はほかにもありますから、それをますます多重化していくということをやっていったらいいと私は思っております。
 そういう意味で、コミュニティーFM局各事業者との災害時における放送要請協定に向けて、実は取り組みを始めているところでございまして、速やかにこれを達成したいと思っております。
○議長(山田正彦君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) コミュニティーFMの活用をどう考えているかとの御質問ですが、防災情報の伝達については、防災行政無線での伝達が全てであるとは考えておりません。
 情報伝達の確実性を高めるためには多様な手段を用いた情報伝達手段の多重化が重要であり、県でも、防災わかやまメール配信サービス、エリアメール、緊急速報メールの配信、防災情報の地上デジタルデータ放送などを行っているところです。
 市町村防災行政無線等とコミュニティーFMを接続するのは、情報伝達手段の多重化としては有効な方法の1つであると考えております。市町村から相談を受けた場合には、その趣旨に沿った指導を行っているところです。
○議長(山田正彦君) もう一遍、再度質問してくれませんか。
 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 知事にちょっと先に、知事室長の分、答えていただきましたんで、どないしようかなと思ったんですが、やっぱり直接の担当の室長でございます。具体的にちょっとお話を聞きたいと思います。
 県とFM局との災害協定についてということで、改めてお聞きしたいと思います。
 コミュニティーFM局の土壌として、できるだけ住民にきめ細かい情報を伝えたいという使命感を私どもも持っております。それがコミュニティーFM局の使命でもあり、存在意義だというふうに思っております。
 南海・東南海地震の発生確率が年々高くなっている今、一朝事があるときは、全ての県民、企業、団体等が力を合わせて難局に対処しなければなりません。
 そのような事態を予想して、和歌山県下のFM局4局、FMはしもと、エフエム和歌山、FMTANABE、FM白浜――残念ながら、湯浅のほうは話をかけたんですが、私とこ、ようしませんということやったんで――4局で人的、資材の支援を被災したFM局に対し協力する災害協力協定を締結いたしました。また、本年3月には、県下コミュニティーFM局4局とNHK和歌山放送局との間で、災害情報の提供と使用に関する協定を締結いたしました。
 コミュニティーFM局の使命は、できるだけきめの細かい正確な情報を伝えるということでございます。しかし、コミュニティーFM局には住民に伝える情報の絶対量がございません。情報の集中する自治体との連携は欠かすことができません。
 残念ながら、まだ和歌山県との災害協定は、どのFM局も締結しておりません。今、お話を聞きますと準備していただいてるということでございますから、早急に締結できますようにお願いしたいと思います。
 そこで、知事室長に、和歌山県とコミュニティーFM局との災害協定についてお伺いします。
○議長(山田正彦君) 知事室長和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○知事室長(和歌哲也君) 災害時の放送要請協定についてでございます。
 先ほど知事も申しましたように、コミュニティーFM局につきましては、地域に密着したさまざまな情報を発信する、そういうふうな機動性を十分持っておられるというふうに認識しております。
 そういうふうな中で、あらゆる広報手段を使って情報を伝達する、いわゆる防災情報発信の多重化に取り組んでおるところですけれども、コミュニティーFM局各事業者、先ほど4局と言われましたけれども、今、入られていない局も含めて、改めて我々としては地域の情報をしっかり伝えていただくということで、災害時における放送要請協定に向けて取り組んでまいりたいというふうに思います。
○議長(山田正彦君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 続いて、同じく知事室長にお伺いします。
 コミュニティーFM局を使った県の広報についてお伺いします。
 県下5コミュニティーFM局のエリアの人口をトータルしますと、60万人になるんですね。和歌山県の大体60%をカバーすることになります。
 従来の広報は県域――大きな局ですね――県域の放送局、例えばテレビ和歌山、和歌山放送を利用した大きなくくりの広報であったようにも思うんです。御存じのように、コミュニティーFM局は出力が最大20ワットと規制されております。したがって、地域に特化した放送をせざるを得ないような局でございます。
 行政は、できる限り県民に情報を伝えるのが務めだというふうに思います。和歌山県の各部に、県民に伝えるべく多くの情報が集まっておると思うんです。県民だよりに載っているのは、その中のごく一部だというふうに私は理解しております。その県民だよりに載らない情報も、県民が本当は知り得なければならない、また知りたいという情報がたくさんあると思うんです。ですから、県の各部、または教育委員会等もありますが、そういう情報を、しっかりと地域に密着したコミュニティーFMを使うことで住民に情報が伝わっていくんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、知事室長に、和歌山県の地域性あるニュース、情報はコミュニティーFM局を使ってみませんかということで質問さしていただきたいと思います。よろしく。
○議長(山田正彦君) 知事室長。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○知事室長(和歌哲也君) コミュニティーFM局を活用した広報についてですが、県の広報手段としては、広報紙「県民の友」、「きのくに21」など県域テレビやラジオを活用した広報番組、そしてホームページ、メールマガジンなど、新たな情報伝達手段を用いながら、県の施策や魅力を広く積極的に発信しておるところです。
 そうした中、県の地域性のあるニュース、情報をより広く発信するためには、その伝えたい内容、伝えたい対象に適した媒体を活用することが大切だと認識しております。コミュニティーFM局も含め、より効果的な情報発信に今後とも努めてまいりたいと思います。
○議長(山田正彦君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 最後になりますが、知事、国体推進監、また県土整備部長にお伺いします。
 県立スポーツ施設についてお伺いします。
 県立スポーツ施設は、本当にたくさんございます。しかし、私、全部が全部、現場へ行って見てきたわけでもございません。私の知る範囲、すなわち紀三井寺野球場、また先日竣工いたしました秋葉山公園県民水泳場についてお伺いしたいと思うんです。
 まず、県土整備部長にお伺いします。紀三井寺野球場のことです。
 プロ野球の公式ゲームがナイターで観戦できるような球場が実は欲しかったんですね。現在の照明ルクスでは、プロ野球機構が定める明るさ――ピッチャープレートからホームまでの間の明るさが、最低2500ルクスでなければならんというふうに決めております。東京ドームは3000ルクスあるんですね。ほかのプロ野球が公式戦をナイターゲームでできる球場は、全て2500ございます。
 そんな中で、残念ながら紀三井寺球場は照明をしたいきさつがちょっと違うんですね。プロ野球の公式戦がナイターで見れるような球場をつくりたいと思ってつくった照明じゃないんですね。そういう意味で、照明がちょっと暗い。まあ軟式野球するのにはちょうどの明るさです。
 実は、ことし群馬県で都道府県議員野球大会が開かれました。その前にちょっと練習も兼ねて野球の試合しようよということで県庁の方々と野球したわけでございますが、その中でいろんなことが目につきました。
 まず、照明が軟式ではいいんですが、硬式ではとても無理やろなと。もう1つは、照明塔がえらい低いんです。キャッチャーからピッチャーへ返ってくる返球のボールが、照明の中へ入ります。私は一々首を、頭を横にしてボールを受け取っておったんですが、非常に見にくい。プレーヤーからすれば、ボールが照明の中へ入って見づらい。プレーのしづらい球場になっております。せっかくリニューアルしたのに残念なことでございます。おんなじするんやったら、プロ野球の公式戦がナイターで観戦できるような照明にしてほしかったなあという思いでいっぱいでございます。
 それで、この間、その練習試合を兼ねて球場へ行ったんですが、隣の陸上競技場に照明がついとるんですね。去年ついてなかったように思うんやけど。えらい塔が高いんです。せめてあのくらいの高さやったらよかったのになあと、できたんと違うん、こういうふうに思ったんですが、もうちょっと照明の高さも研究してほしかったなあという思いでございます。
 そこで、県土整備部長にお伺いします。
 手直しは無理やなあと思います。今さらあんな巨額の費用をかけてね。それやったら初めからなかったほうがよっぽどよかった。新たにええのつくってもらえた。ところが、できてしまったやつを撤去して、ちゃんとこうしてくれってなかなか言いにくい。言いにくいけど、手直しは可能ですか。まあ無理やろなあと。今からやり直すのは困難だと思いますが、照明もこれからもリニューアルしていかないかん。
 そしたら、ちょっと照明塔が台風のかげんで横向いとるやつ、余計なところを照らしとる電気もあるんですよ。それから、ことしはよう勘定しませんでしたが、球の切れとるやつが、去年、実は勘定しました。15ありました。少ない照明器具で15も切れとったら、大分暗かったんやろうなあと思います。細かいこと言うて、副知事、笑うとるけどね、そやけど、ほんまにするほうとしたら、できるだけええようにしてほしいなあって思うのが人情と違いますかね。
 そやから、整備に当たっては、今ついとる照明の器具は恐らく寿命5年ぐらいやと思います。もう既に切れとるのがあるんやからね。そやから、LEDにかえるとか。つけかえるだけでも大変な費用要りますわ。そやから、長い間、寿命のあるLEDに切りかえていくとかね。取りかえるたびにそういうふうにしていただく。
 それから、LEDにしたら電気が、消費電力が非常に少なくて済むと。そういう意味から、整備に当たっては配慮していただきたいなという思いで県土整備部長にお聞きします。ちょっと長なりましたけど、お願いします。
○議長(山田正彦君) 分割ですから、3項目ともお聞きください。
○向井嘉久藏君 はい、わかりました。
 続いて、知事と国体推進監にお伺いしたいと思います。
 県立の秋葉山公園水泳場でございます。
 これ、県立秋葉山公園水泳場と言うのもちょっと長いんで、もうちょっと何か愛称を決めたらええん違うんかなあというふうに思います。これ、余計なことですが。
 選手の強化につながる設備の充実をお願いしたいと、こういうふうに思います。
 巨額の経費をかけて完成した県立秋葉山公園水泳場は、和歌山県で初めての屋内50メートルプールということでございまして、先日竣工し、竣工式が開催されました。施設を見学さしていただきました。大会を開催するという観点に立てば、まさに立派な施設で、何ら申すことはございませんが、選手強化という観点から見ますと、いささか残念ながら、素人の私にも、もうちょっとここしてくれたらよかったのになあという思いがございます。
 説明を受けますと、立派なマシンが並んでるんで、ここで選手強化をしますということでございますが、本当にアスリートの強化につながるとは思えないんですね。立派なマシンがそろえられてありましたが、それは市内のいろんなところのトレーニングジムに見られるものと全く同じでございました。アスリートの競技力アップにつながるとは思えないんですね。私の思い過ごしでしょうか。
 また、競泳選手が一番大事なスピードを身につけることのできると言われております流水プール――回流水槽と言うらしいんですが――設置されていないのは残念なことです。
 この回流水槽は、10メートル程度のプールで、選手の能力に応じて水の速さを変えることができる。また、選手の体にデータをとるためのケーブルを取りつけてコンピューター処理をして、選手個々の情報を得ることもできる。また、プールで泳ぐ選手の上から、横から、下から、360度から泳ぎをチェックできて、水泳選手の強化だけではなく、カヤックの選手強化にも使用が可能というすぐれもんでございます。
 せっかく立派にできた秋葉山公園水泳場です。このプールからすばらしい選手が輩出されることを祈っております。
 そういう意味で、まず国体推進監に、流水プール、回流水槽の設置についてお伺いします。
 また、知事に、あわせて秋葉山公園水泳場が水泳競技アスリート養成拠点になるためのスタッフ、設備──設備の中には回流水槽もございますが──これを含めてお答えいただけたらありがたいと思います。
 たまたま竣工式のときに、知事と隣り合わせで座らしてもらいました。そのときに話して、「知事、こんなんあるんやで」と言ったら「そらええなあ」と言うてくれとった。一縷の望みをかけて御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 秋葉山公園県民水泳場の整備につきましては、議員御指摘のとおり、水泳競技のアスリート養成拠点となるように整備を進めてまいりました。このため、水泳競技の選手強化に最も重要である絶対的な泳量を確保するために、50メータープールなどを屋内プール化いたしまして年間を通じた泳ぎ込みを可能といたしました。
 また、御指摘がありますように、さらにこの拠点を活用して強化練習を重ねるとともに、最新の強化方法を研究しないといけないと思いますし、また、指導者や医科学面からのサポートスタッフについても充実を図らないといけないと、そういうふうに思っております。
 回流水槽は、向井県議にお聞きして、なかなかよいなあと思いまして、そのように申し上げました。秋葉山はつくってしまいましたので、今さら大改造してこれを組み込むというのはもう無理だと思います。だけど、どこかに置いて使うということであれば、それは可能ではあるということだと思います。
 あとは、競技団体がぜひこれを使って強化をしたいということであれば、私は考えたらいいと思いますけれども、もし現状で間に合ってますということであれば、ちょっと無駄というか、そういうことになると思うんです。そういうことをこれから検討すればいいというか、意見をよく聞けばいいというふうに思います。
 さらに、国体開催を契機といたしまして、国体で全て終わりというわけではありませんので、オリンピック等でも活躍できるような選手の育成を目指して、中央競技団体など関係団体の意見を聞きながら、さらなる選手強化を図ってまいる所存であります。
 団体の方にお聞きしたら、今までこういうプールがなかったので、物すごい素質のある有望なごく若い若者が県外にすぐ行って、それでそこで強化されるというようなことが多かったんだけど、これで県内にとどまって、それで一流の選手になれるという手段ができたということでございますので、これから、国体はもちろんですが、オリンピックなども目指して立派な和歌山選手を育てていきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 議員御提言の回流水槽いわゆる流水プールについては、水泳競技の強豪校である筑波大学や鹿屋体育大学などが導入し、フォームの分析や泳力トレーニングに活用されており、有効な設備であると認識しております。
 現在の秋葉山公園県民水泳場では、選手の水中動作を撮影し、多方向からのフォーム分析やターン動作の技術評価が行える水中観察窓や、泳速度の分析並びに泳力トレーニングに有効な水中ペースメーカーを整備し、選手個々の能力や適性に応じた指導を行っており、回流水槽と同等の効果が得られるものと考えております。
 今後、これらの設備を最大限活用するとともに、先ほど知事が申し上げましたとおり、回流水槽の必要性ということを研究しながら、より効果的な強化策も取り入れ、紀の国わかやま国体に向けた競技力の向上を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 紀三井寺公園野球場は、全国高等学校野球選手権の和歌山大会などに利用されてきましたが、日没再試合により大会運営に支障を来していたことから、これを解消することを目的に、平成17年度に照明設備を整備いたしました。
 整備に当たりましては、日没近くまで試合が行われる日は年間を通じてそれほど多くないことから、硬式野球の公式競技のJIS推奨基準で定められている照明器具の高さ及び照度を満足する範囲内で、最も低い高さで計画したところです。
 今後も、電球の交換時に電球のクリーニングやルーバーの調整など、照明器具の機器調整を行うことにより、その能力を十分発揮できるよう取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 今、答弁をいただいたんですが、せっかく経費を投入してするのに、最もレベルの低い設備をしましたって答弁、正直といや正直ですが、しかし残念なんですね。こんな言葉ありますね、「帯に短したすきに長し」って。中途半端なのは一番使いようがない。そやから、するんやったらええのを、全てを賄えるようなものをつくってもらいたい。これ、紀三井寺野球場のことだけと違います。いろんな県の施策の中で、全て満足できるようなものにしていかないと、せっかくしたのに、これ使い道ないなあということでありましょう。
 それで、高校野球、今まで1日の日程が3試合だった。何でか。日没再試合というのが再三あるから3試合に組んどるんです。本当に照明を使ってナイターゲームできるんだったら4試合しますよ。4試合に組みかえますよ。しかし、今のままではできない。今、説明ありましたように、万が一延長になっても、何とかその延長戦をできる最低限のものはしてありますということでございますから、責めるつもりはございませんが、私どもがもうちょっと意見を言うたらよかったんやろうけども、塔の高さまでちょっとわからなんだ。そういうことで申し上げときます。本当に、「帯に短したすきに長し」にならんように、ひとつよろしくお願いしたいと。
 これで、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時39分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、こんにちは。
 質問に先立ちまして、日本・トルコ合作によるエルトゥールル号の映画制作について、経過を簡単にさせていただきたいと思います。
 その前に、今月9日にトルコのカッパドキアで事件があり、亡くなられました栗原舞さんに、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、命は取りとめたものの重体の寺松星絵さんに対しても、心よりお見舞いを申し上げるものでございます。
 大変な親日国であるトルコでのこの事件、大変ショックでございましたが、その後のトルコの国民の行動──立派な花祭壇を飾り、多くの花を手向け、「ごめんなさい」と日本語で書かれたプラカードを持って、本当に大勢の皆様が故人に対して哀悼の誠をささげ行進している映像を見て、痛ましい事件ではありましたが、少し心が癒され、やはりトルコと日本は友人同士であることを再認識いたしました。
 それでは、映画制作のお話に入らしていただきます。
 映画制作は、目標を2014年春から夏ごろ制作に入れるように、今、努力をしているところでございます。
 問題は資金面でございまして、トルコ国のほうでは、現行法では他国と合同の映画の制作はできません。そこで、法整備も含め、助成金を捻出できるように、今、根回しをしているところでございます。エルトゥールルの映画はトルコと日本の友情関係を永遠のものとするプロジェクトで非常に重要である、文化観光省として全面バックアップをしていきたい、そのようなコメントもいただいております。
 トルコ国はそうですが、日本のほうの資金は、助成金、文化庁の芸術文化振興基金、和歌山県も映画製作事業補助金、串本町はふるさと納税という形で参加をしております。
 企業支援といたしまして、トヨタ自動車、パナソニック、伊藤忠、また我が県の島精機さん、日本製粉、丸紅、住友商事、トルコ航空など、いろんな面で協賛をしていただけるようになっておりますが、資金としての現物のお金としては、まだ全部が決めてくれたわけではないようでございます。
 また、出資といたしまして、配給会社や広告代理店、テレビ、ビデオ販売会社やレコード会社、音楽出版など、多数申し出があるようでございます。
 また、個人の寄附や中小企業の事業主さんなどの寄附を集める組織としましてNPO法人の「エルトゥールルが世界を救う」という法人がございまして、法人の皆様方の寄附をお願いしております。
 議員の皆様方にも寄附をいただきたいのでございますが、法的に寄附はできないんだと、皆さんに気持ちよく断られております。しかしながら、出資という方法がございます。ここにおる皆様方が1人1000万円ほど寄附をいただけると、4億近い金がもうすぐに集まる。きっとこの映画は大成功をしますので、変な投資話には乗るなとか今言っておりますが、必ず利益を上げると思いますので、皆さんの御出資を心より期待しております。
 また、この問題、トルコのほうの資金もまだ決まっておりませんが、一応監督と脚本家が決まっておりますので、少しだけ御紹介をさしていただきたいと思います。
 監督は、串本町長と同級生、田中さんというんですけれど、「化粧師」とか「精霊流し」、「火天の城」とか、いろいろと映画をつくっております。皆さんももう御承知かと思いますけれど、市川海老蔵主演の「利休にたずねよ」という映画を制作しておりまして、もうすぐ公開になろうかと思いますが、その「利休にたずねよ」は直木賞を受賞しました山本兼一さんの同名小説が原作の話でございますが、このたびモントリオール映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞しております。
 また、小松さんは脚本家でございますが、代表はやはり2009年のNHKの大河ドラマ「天地人」を担当したり、日本人の心や触れ合いを取り上げ、放送文化に大きく貢献した番組や人物に贈られる橋田賞を2008年には受賞しております。
 監督も脚本家も一流であり、心配はないかと思うんですけれど、やはり問題は資金面でございます。何とぞ、皆様方の出資を期待しております。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、本県とトルコとの交流の歴史の教育現場への活用についてお伺いをいたします。
 日本とトルコ共和国の交流における和歌山県のかかわりについては、改めて申し上げるまでもなく、大変意義深いものがあります。1890年のトルコ軍船エルトゥールル号の串本沖での遭難の際、大島の人たちの献身的な救助活動により69人の乗組員が救出されました。
 その後、大島の樫野崎にはエルトゥールル号殉難将士慰霊碑が建立され、今も5年ごとに追悼式典が行われております。また、この出来事はトルコの歴史教科書にも載せられており、その後の串本町とトルコのメルシン市との間での姉妹提携やトルコでのエルトゥールル号120年慰霊式典につながるなど、継続的で幅広い交流活動に発展しております。
 このような交流の歴史は、和歌山県として誇るべきであり、次世代に引き継ぐべき遺産であります。今後、さらに発展さしていくためには、県民の方々、特に青少年への啓発、教育が大切であると考えております。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 本県におけるエルトゥールル号の史実、トルコとの交流の歴史について取り上げて教育現場で活用している学校はどのくらいあるのでしょうか。また、その内容はどのようなものでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) エルトゥールル号に関しましては、中学校社会科の4つの出版社の教科書に掲載されており、県内では、県立中学校5校を含めた101校がそのうちの2社の教科書を使用しています。高等学校では、日本史や英語科の教科書に掲載されており、18校で使用しています。
 また、県内の全ての学校に配布している「わかやま発見」、「わかやま何でも帳」にも取り上げており、社会科や総合的な学習の時間などで活用されています。
 さらに、現在作成を進めている「和歌山県版道徳読み物資料集」の中学校版にもエルトゥールル号に関する資料を掲載し、全ての公立中学校で学習する予定です。また、私立中学校等にも資料集を提供してまいります。
 エルトゥールル号に関する内容を通して本県とトルコの交流の歴史を学ぶことは、児童生徒が国際理解や国際協力に対する意欲を高める上で大変有意義であり、今後も積極的な活用を学校に働きかけてまいります。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁、どうもありがとうございました。
 私も、山口さんが教育長のときでございますけれど、串本の町会議員の皆様方とエルトゥールル号のこの史実を教育現場で活用していただけるよう陳情したこともございますが、その当時はほとんど活用されておりませんでした。きょうの答弁をお聞きしまして、随分多くの学校で活用していただいてるなあと、大変うれしく思いました。
 このエルトゥールル号の話は、串本弁で言いますと、普通のおいやんやおばん、じいやんやばあやん、兄やんや姉やんやが主役でありスターである。本県には濱口梧陵さんを初め偉人と言われる人はたくさんありますが、民衆が主役のこの話は全国でも本当に数が少ない話ではないかなと、そのように思っております。一過性で終わらせることなく、続けて各学校でお願いをしたいと思います。また、全国の学校にも広げる努力もお願いをいたします。
 続きまして、教育委員会制度のあり方についてお伺いをいたします。
 昨年12月に発足した第2次安倍内閣においては教育再生が最重要課題として掲げられており、本年1月には、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し教育の再生を実行していくために、首相官邸は教育再生実行会議を設置され、同会議では、これまで2月26日には「いじめ問題等への対応について」の第1次提言を、4月15日には「教育委員会制度等の在り方について」の第2次提言が取りまとめられており、今後、中央教育審議会で具体策を検討し、来年の通常国会で法改正を目指す考えのようでございます。
 第2次提言では、1つ、「地方教育行政の権限と責任を明確にし、全国どこでも責任ある体制を築く」、第2に「責任ある教育が行われるよう、国、都道府県、市町村の役割を明確にし、権限の見直しを行う」、3点目に「地方教育行政や学校運営に対し、地域住民の意向を適切に反映する」、以上3点を軸とした制度改革の方向性が示されました。
 そのうち特に1番、3番の2点に対して、現行の教育委員会制度や本県の状況に対する認識も含め、教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育委員会制度につきましては、本県では、現行制度のもと、議会や知事と大変密接な連携・協力のもと、適正かつ円滑な教育施策が進められております。また、県教育委員会では、定例の教育委員会での会議はもとより、学校訪問、地域住民との話し合い、自主的な勉強会などにおいて各委員が活発な議論や意見交換を行っており、そこで出された意見を積極的に教育施策にも反映しているところでございます。
 一方で、教育委員会制度につきましては、権限と責任の所在が不明確であるとか地域住民の意向が反映されにくいといった問題点が指摘されております。実際に自治体によっては、教育委員会において、議会や首長との連携がうまくとれずに問題を迅速に解決できなかったり、教育委員会の会議が形だけのものになっていたりするなど、制度がうまく機能していないような場合もあると聞き及んでおります。
 こうした状況を改善するために、国では、現行制度を見直すべく、ことしの4月には政府の教育再生実行会議において提言がまとめられ、これを受けて、現在、中央教育審議会において教育委員会制度のあり方について審議がなされているところでございます。
 先ほども申しましたように、本県においては現行の教育委員会制度は十分に機能していると認識しておりますが、全国どこの自治体でも適切に教育行政が進められるよう制度の見直しの議論が行われていることは望ましいことと考えております。また、このような議論がなされることは、本県にとっても、今後起こり得る教育のさまざまな問題に対して、より迅速かつ適切に対処していくためにも有効であるというふうに考えてございます。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 同様に、知事にも、今の教育長の答弁を鑑みまして、現行の教育委員会制度及び教育委員会制度改革について御所見をお伺いいたします。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 教育委員会制度というのは、見識のある各委員がさまざまな意見を出し合いながら教育の方針を決定していく制度でありまして、それ自体は基本的によいものであるかと考えております。
 一方、教育も大事な政策課題でありますから、首長の意向がまるで反映されないというのも、これもまるでおかしいわけであります。それから、首長がこの制度を理由に、よい教育政策をしようという意欲を失ってしまうというのは困るわけだと思います。現に、いじめとか事件が起こったときなんかで、そういう最近の不祥事の際に、他県で観察された例ですが、首長の態度にちょっと見苦しいものがあったということもあったと私は思います。
 教育委員は、議会の同意のもと、首長が選任しております。それから、予算をつけるのも首長の決定で、原案をつくるのは、そういうことでございます。したがって、最終責任は、私は今でも首長にあると思っています。首長が教育行政をないがしろにするのはいかんということでございますし、私はそういう考え方から、これまでも教育委員会に対して自分の意見を常に述べてまいりましたし、これからも教育委員会とよく協議をしていくつもりでございます。
 本県では、そういう実際の努力と行動によって、現行の仕組みにおいても私の意見は反映できてるものと思っております。ただし、全国的には、現行制度のもとでさまざまな問題を解決することが困難な状況にある自治体もあるやに、何かうかがえるわけであります。そうでございますので、どの自治体においても適切な運用ができるように、教育行政における権限と責任を明確にするという方向で現行制度の見直しの議論がなされてるわけですが、これについては結構なことだと思います。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 今回のこの教育委員会制度の改革は、今、知事からもありましたように、背景には、いじめ問題の対応などをめぐって一部教育委員会がやっぱり十分機能をしなかったということがあろうかと思うんです。本県のように、現行制度のもと、議会や知事と連携しながら適正な、円滑な教育施策が進められている、そういうところは本当に今のままでもいいんかもしれませんが、やはり教育委員会の中にも、制度だけじゃなしに委員の構成なんかにも非常に問題があるんじゃないかなあと思うんです。
 そういった中で、和歌山県の教育委員さんは6人いらっしゃいますよね。原則5人だということですけど、6人。構成員もいろんなところからして、答弁にもありましたように住民の意見もくみ上げてると、そういう意見でございましたが、委員会のデータを見ますと、都道府県で委員の割合というと、県のほうは34%と、割と府県は少ないですけれど、それでも行政経験者も入れるとやっぱり70%ぐらいという統計も出ております。それが市町村に下がると、もう教職経験者が70%になってきております。それでまた、教育行政の経験者も入れると80%近くにもなってきている。
 こういった状況では、やはり住民の皆様からの公平な議論も上がらないだろうし、議論もプロだけでは同じような意見になってしまったり、教育村と言われたりするような現状があろうと思うんです。それが田舎に行くほどそうだろうということもありますんで、これから、今、本県はうまいこといってますから、やっぱり問題だとかいろんな指摘を国のほうにも、うまいこといってる例としてもうどんどんと提言をしていっていただきたいなと、そのように思います。
 続きまして、和歌山県でのおもてなしについてお伺いをいたします。
 「じゃらん」の旅行リサーチの全国温泉地訪問経験ランキングベスト30によりますと、白浜温泉が15位に入っております。満足度ランキング秘湯の部では、龍神温泉が第1位になっております。また、龍神温泉は、総合の満足度ランキングベスト30では堂々の6位に入っております。これを見ますと、白浜温泉は、お客様は訪問はしてくれてるが余り満足して帰ってないんじゃないかなあというように読み取れます。
 また、ほかのテーマ、テーマ別都道府県別魅力度ランキングベスト10を見ますと、「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」ランキングで和歌山県は2011年、12年ともランク外でございます。「魅力のある特産品や土産物が多かった」は、2011年はランク外ですが、12年は熊本県と並んで10位に入ってございます。「魅力的な宿泊施設が多かった」ランキングも2011年はランク外でございますが、12年では10位にランクインをしております。
 また、「子供が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」ランキングでは、アドベンチャーワールドやサファリパークが支持され、千葉県、沖縄県に続いて堂々の3位に入っております。また、「若者が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」ランキングは第6位に、「大人が楽しめるスポットや施設・体験が多かった」ランキングは熊野古道などが支持されて第7位に、いずれも前年のトップ10圏外からのランクインであります。
 このようなランキングを見ますと、本県の観光施策の効果があらわれてきていると感じます。観光客数としてはまだまだあらわれていない面もありますが、今後必ず観光客数の増加につながると信じております。
 一方、「現地で良い観光情報を入手できた」がランキング圏外でございまして、少し気になるのが、「地元の人のホスピタリティを感じた」が2011年、12年ともにランキング圏外でございます。ホスピタリティーの重要性については早くから認識し、観光アクションプログラムでも取り上げられ、その充実に励み、取り組んできたと思いますが、本当に浸透しているのか、疑問に思います。
 本年の和歌山デスティネーションキャンペーン基本計画の中に「心からのおもてなし」を入れていますが、おもてなしにはハードとソフトがあると思います。ハードの部分はトイレの改修とか観光地間を結ぶアクセスの向上など、それぞれ大変重要だとは思いますが、一番重要であるのは、やはりソフトの部分であると思います。ホテルや旅館等の宿泊施設、また我々県民の心のこもったおもてなしがないと、楽しい旅も一瞬で楽しくなかったなあ、もう二度と行きたくないなあというふうに変わります。人間は、嫌なことや失敗したことのほうが印象に残り、話をするものです。
 そこで、和歌山県でのおもてなしについてどのように考えているのでしょうか。商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、毎年度、観光振興アクションプログラムを策定し、県民総参加の観光振興の取り組みを推進し、魅力ある地域社会の実現、本県経済の持続的な発展及び県民生活に寄与することを目指して施策に取り組んでおります。
 まず、本県の観光の魅力度が上昇した要因でございますが、全国でのプロモーション展開や新聞、テレビ、雑誌等のマスメディアに対する働きかけ、旅行会社への地道な営業が功を奏していると推測されますが、今年度から地域協働型の体験観光の取り組みに対する支援もスタートしており、新たな魅力度アップを図ってまいります。
 議員から御指摘のありましたホスピタリティーの向上につきましては、「和歌山でもてなす」が観光振興アクションプログラムの大きな柱であり、各事業を展開しております。
 具体的には、観光関係者等へのおもてなしの向上を図るために、現場でのオールマイティーなプロ養成を目的として接遇等の研修を行うおもてなしアドバイザー派遣事業や、観光施設でのサービス状況を事前に調査し、その課題に対する研修を行うおもてなしレベルアップ検証事業を実施しております。
 また、宿泊施設のインテリアや料理等の商品力強化のため専門家を派遣して助言を行うおもてなしの宿づくり支援事業や、JR駅職員を対象とした観光研修会も実施しております。
 さらに、タクシードライバーの資質の向上を図るため、全てのドライバーを対象とした研修会の開催など、おもてなし力向上に向けた取り組みを進めてまいります。
 これらの取り組みに加え、今年度から新たにわかやまおもてなし宣言を展開してまいります。これは、県民一人一人が来訪者におもてなしの心で対応するわかやまおもてなし宣言を個人や団体等に募集し、それぞれが行うおもてなしを宣言し、実践していただくものです。県は、それらの取り組みを登録し、活動内容をホームページなどで情報発信を行うとともに、研修会を開催し、登録者のスキルアップも図ってまいります。
 これらの取り組みにより県民の参加意識を高め、機運を醸成することにより、和歌山県のおもてなし向上に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 おもてなしの話で少し紹介さしてほしいことがあるんですけど、楽天トラベルのほうの話なんですけど、古座川のやまさき屋旅館さんというのが県内の総合で第3位に入ってあるというんです。このランキングは、宿泊施設の利用者がサービス、部屋、食事など6項目に対して5段階の点数をつけてネット上で投稿したものを集計して決める。利用者の感想を口コミ、お客様の声として書き込めるようになっている。
 やまさき屋旅館さんは、平成20年に登録をして、8月に和歌山エリア部門総合で3位。この9月1日現在は4位だそうですけど、おかみさんは楽天トラベルの勉強会には必ず出席し、「お客さんとのコミュニケーションが大切。小まめにメールを返してコメントにも答えています。小さな旅館ですが、少しでも古座川のよさを伝えられればうれしい」と。本当にきっときめの細かい心のこもったおもてなしをしてるんだと思うんですよ。昔からある小さな、そんな特別な旅館でもないんですけれど、すごく人気があるというように聞いております。
 ぜひ、今、観光ランキングを見ても本当にうれしくなってくるような、いろんなことが評価されるようになってきてると思う。あとは、おもてなしがあれば本当にもう客数が上がってくると思うんで、ぜひおもてなしをこれからも──答弁の中で、今度は本当にきめ細かいおもてなしをするような答弁でございましたので、ぜひ浸透するような形でやっていただきたいなあと思います。
 続きまして、防災対策についてお伺いをします。
 第1番に、地震・津波観測監視システム「DONET」についてお伺いをいたします。
 本年9月5日に和歌山県は、独立行政法人海洋研究開発機構が設置し運用する地震・津波観測監視システム、「DONET」からのリアルタイムに観測されるデータの提供を受け、データの幅広い提供システムの構築に協力するとともに、津波の規模や到達予測の研究に関して連携する協定を締結し、2015年4月には津波の観測直後にエリアメールなどで県民に避難を呼びかけるシステムの運用の開始を目指しますと報告をいただきました。
 このDONETに関しましては、去年9月議会でも一般質問さしていただきました。当局からは、「このシステムが稼働し、情報提供が行われれば、大きな減災効果が期待できるものと考えております。県では、このシステムの整備と解析システムからの予測情報の伝達手段を早期に整備するよう、国に対し要望しているところでございます」という御答弁をいただきました。
 答弁に対しまして、震源地から離れている地域には地震の大きさや津波の高さも今までより早くわかり大変有利だな、しかし、津波到達時間が短い紀南地方の私たちの住む場所では余り芳しくないかな、そういう感想を持ちましたけれど、この新聞報道によりますと、県では、いち早く第1報を発信し、住民に避難を促すため、DONETのデータを直接取り込み、沖で発生した津波の到達時刻や到達時の規模、方向などを瞬時に計算できる仕組みをつくり、避難が必要な場合は県からエリアメールで自動配信する、また2008年に県が公表した津波避難困難地域8市町村33カ所の中から緊急度の高い串本町など6カ所から優先的に進めるとのことでした。
 このDONET、串本町を初め、津波避難困難地域8市町村にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。地震が起こってから何分ぐらいで我々に情報が届くのでしょうか。また、気象庁以外の予報業務には許可が必要という法律に抵触すると言われている中、どのような情報の伝え方をするのでしょうか。危機管理監にお伺いをいたします。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) DONET(地震・津波観測監視システム)の観測情報の提供を受けるに当たり、今月5日に独立行政法人海洋研究開発機構と協定を結びました。DONETは、同機構が紀伊半島沖熊野灘の水深約1900メートルから4300メートルの海底に地震や津波等を高い精度で観測できる地震計や水圧計を備えた海底ケーブルネットワーク型の観測システムです。
 今後、このDONETからリアルタイムな観測情報を入手できるようにし、エリアメールや緊急速報メール等により情報発信を行えるよう作業を進めてまいります。エリアメールや緊急速報メール等での速やかな発信が可能になれば、県民の皆様に少しでも早く避難行動をとっていただくよう、いち早い呼びかけを行うことができるものと考えております。どれくらい早くなるかは未定ではありますが、少しでも早くなるように開発を進めてまいります。
 また、共同研究では、観測に基づくシミュレーション研究を行い、観測情報から想定する陸地到達予測や規模など、幾つかの地域でのモデルケースを作成してまいりますが、津波到達までの時間が短いと考えられる地域等から進めてまいります。
 なお、観測情報から予測した陸地到達時間や規模を住民に提供することは気象業務法に抵触しますので、あくまでも県民の皆様に避難行動をとっていただくための参考としてお知らせし、その内容につきましては、気象庁と十分相談しながら適切な表現を用いてまいります。
 以上です。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。
 まだまだ不確定な部分が多いと思いますけど、予算もつけてることですし、何とか避難困難地域のためにもすばらしいシステムにしてほしいなあと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 次に、地震の予知対策についてお伺いをいたします。
 昨年6月議会でも質問をさせていただきましたが、再度質問させていただきます。
 内閣府の調査部会は、2013年5月の報告書で、「現在の科学的見地からは地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは困難」との見解を公表。日本地震学会も、2012年10月に発表した行動計画に、「地震予知は現状では非常に困難」と明記をしました。
 また、東海地震については、1978年、大規模地震対策特別措置法ができて、79年に地震防災対策強化地域判定会が置かれ、静岡県の御前崎などで異常を観測したら、判定会の判断を受けて首相が警戒宣言を発する仕組みができ上がりました。それから40年たちますが、この間に日本で予知された地震はありません。国が巨額の予算をつぎ込み進めてきた地震予知対策については、破綻したのも同然の状態であります。上田誠也東大名誉教授も、「そもそも前兆現象を対象としない地震学では予知はできない」とおっしゃっております。
 そうした中で、日本でも、ちゃんとした大学の先生や研究所の方々が各分野でそれぞれ研究をされているところがたくさんあります。前回の質問でも一部述べましたが、東海大学海洋研究所地震予知研究センターの長尾教授によりますと、「地震予知機という機械はないので、地震学だけでなく測地学や地下水の情報、コンピューターシミュレーションなど複数の手法を組み合わせることで、異常を計測することが大事」であり、「5つのうち4つ異常があれば、『8割の確率でマグニチュード○クラスの地震が来る』『地震が近い』といえる。100%とは断言できないが、科学なのでトレーニングをして計測することで精度は上がる」と言われております。
 その5つの手法とは、例えば東海大学の長尾教授の電磁気学的手法による地震予知研究、また京都産業大学の筒井教授による地中電磁波の観測による地震予知研究、また名古屋大学の田所准教授による海底地殻変動の観測、産業技術総合研究所の小泉主幹研究員の地下水の水位と地殻変動についての研究、また神奈川工科大学の矢田准教授による動物の異常行動と地震との関係についてなどであり、そのほかにも枚挙にいとまがないほどさまざまな分野で地震予知の研究が進んできております。
 1000年に1度、万年に1度の地震・津波が来ようと、予知ができれば死者の数を大幅に減少できるものです。このような大学や研究所から情報をいただき、分析する体制を県につくってもらえないのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 地震の正確な予知は現在の科学的知見では極めて困難であるとされていますが、地震の発生をあらかじめ知ることができれば、本県にとっても被害軽減に大いに寄与するものと思われます。
 今後とも国の動きを注視し、地震発生予測等の減災につながる研究開発を積極的に行うよう強く要望していくとともに、技術が進歩することにより地震予知が可能となることを期待して、さまざまな機関との関係づくりにも取り組み、情報収集に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 前回のときは「注視をしていきます」という答弁でして、どんな注視をしてくれたんですかと言ったら、「長尾教授のところへ1回行きました」で終わりでした。今度は、少なくともそういういろんなところを調べ、体制づくりのほうの情報も集めてくれるということですので、大変、答弁は短かったですけれど、前から比べたら大層進んだなと思って喜んでおります。
 また、ちょっとオカルト過ぎて余り信じてもらえないんですけど、いつも産業技術総合研究所なんかが地下水の変位のやつを研究しておりますけど、もう全国に、太平洋沿岸部や道後温泉周辺など14カ所にも観測点を展開して、それぞれ深さの異なる井戸3本を掘り、地下水位や微小な地殻変動を捉えるひずみ計、地震計を設置してる、観測点をさらに2カ所ふやす計画だと。お金もやっぱり十分使ってるんですよね、いろんなところへちゃんとして。紀伊半島や四国の地下では、プレート境界で揺れを起こさずに揺れる現象が年数回発生、滑りの頻度が想定震源域に拡大した際、大規模地震が起こる可能性が考えられるとか。
 ただ、やはりこの人らも、きちっとまだそうじゃないんだということもわかって、昭和南海地震でも水位が低下したのは震源域周辺の一部の移動であるとか、簡単ではないが地震が近づくと何らかの変化が起こるはずと、確実な手はないながらも、やはり一生懸命、人命を助けようと思うて頑張ってくれてるんですよね。
 ナマズなんかもそうでして、ナマズを飼ってやってるのは神奈川の先生なんですけど、東京大学教育学部附属中等教育学校と協力してのナマズの研究で、そこの学生等もナマズを飼ってセンサーでカウントするようにしてるんですよね。それで、何と、異常行動がおおむね100回を超えると関東でマグニチュード3以上の地震が起きる可能性が非常に高いというような分析をしております。
 でも、やっぱり矢田准教授なんかも、「異常行動のメカニズムには諸説があり、あくまでも心構えをする上の一助である。私たちにできるのは、きちんと大地震に備えることだ」と。皆さんもきちっと立場もわきまえながら、でもやはりこの中で何かが見えてくるんじゃないかと思うて、一生懸命、我々のために研究してくれる人もあるので、国にそういった本当の意味の地震予知としての予算も強く要望していってほしいんですよ。
 今の地震学の人らが何百億も何百億もお金をかけて、「もうあきませんでした」じゃ、やっぱり済まないと思うんで、そうして地道にお金のない中でやってくれてる人はたくさんありますので、そういう情報を集める。そうすると何からの形が見えてくるんじゃないかと思いますので、ぜひまた頑張っていただけるようお願いします。
 それでは最後に、地震災害における漁業者への情報伝達についてお願いをいたします。
 先月26日に、漁業関係者等の方々から、海から見た漁業無線の防災への活用ということで、東海・東南海・南海地震に備えた漁業無線海岸局整備の提案があったと思うんです。
 本県では、陸上の地震災害時において、エリアメール等で情報伝達を行う技術がある程度確立しつつあると思いますが、これまで漁業者に対して、特に操業中の皆さんへの対策をお聞きしたことがございません。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 漁業者への情報伝達について、あらゆる状況を想定した方策が確立されているのでしょうか。お答えください。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 地震災害時における海上の漁業者への情報伝達についてですが、地震発生の第1報につきましては、操業エリアのほとんどをカバーし、漁業者にも広く普及している携帯電話メールの緊急地震速報で認識していただくことが最も迅速かつ確実であると考えております。また、津波到達予想時刻などは、県の防災わかやまメール配信サービスや海上保安庁の海の緊急情報配信サービスを携帯電話メールで受信することができます。
 津波からの避難方法については、ことし3月に水産局で啓発ポスターを作成し、沿岸にいる場合は高台へ避難すること、海上にいる場合は水深50メートル、あるいはもっと深い海域に避難するなどの指針を漁業者に周知しております。
 海上避難中においては、漁業無線により、県が和歌山県無線漁業協同組合に委託している公共業務用無線局や県漁業取締船から発信する情報、さらに海上保安庁からの情報を取得できます。
 漁協や家族との連絡は、総務省の公表資料によれば、携帯電話のメール機能が電話に比べて通じやすいとされており、有効な手段であると考えております。また、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板を安否確認に活用できます。
 こうした内容を取りまとめ、改めて漁業者に周知し、利用方法をわかりやすくお知らせしてまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 「まだ漁業者には連絡方法はございません」と言われたらどうしようかなと思うてたんですけど、陸上と変わらぬ方式だとは思うんですけれど、これからもまだそれだけに頼らず、いろんな方策をお互いに考えていかなくてはいけないと思います。これからもぜひ漁業者のほうにもそのことを周知徹底してやっていっていただけるようにお願いしまして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、こんにちは。
 きょうは、本日最後の質問に立たせていただきます。きょうはもう一括して、ここで全ての質問についてやらしていただきます。
 まず、森林対策ということで、きょうは林業活性化、このこと1本に質問をさしていただきたいと思います。
 よく昔から「山は泣いてる」という言葉を聞いたことがあると思います。そのとおり、山は今本当に、泣いてるどころか、危篤の状態に、瀕死の状態になっておるわけであります。この間の18号台風のときにも、あのぐらいの──あのぐらいと言っては申しわけないけども──雨で川が激流を運んで被害寸前のところまでいったわけであります。
 そういう中で、山の保水能力を高めるとか、そういうことをするために、今一生懸命、間伐とか、そういうことをやらなきゃいけないということでやってるわけなんですけども、そういう中で、とにかく林業の経営が成り立たないことが、この問題が解決されないということの一番の問題であろうかと思います。
 それで、国も森林を何とかしなけりゃいけないということで、平成13年に40年ぶりに、林業基本法という名前であったわけなんですけども、それを森林・林業基本法というものに改正したわけであります。
 ここで、1つだけ私は皆さん方に紹介したいというよりも、顕彰したいことがあるわけなんですけども、それは日高郡選出の故木下秀男議員であるわけなんですけども、この方が、いわゆる全国の林業活性化議員連盟の会長をその当時やっておりました。ちょうど国会が山場で、もう参議院の期間が過ぎたらこの法案も継続審議になって廃案になるというおそれのあったときに、木下秀男議員が林業会館に陣取って、国会議員、主に議院運営委員会、あるいはまた国対委員会、そしてまた森林関係議会議員、そういった方々に全国の森林議連を通じて要請活動を行って、ようやく国会ぎりぎりでこの林業改正ができたわけであります。
 そのときにちょうど6月議会があって、6月にそういう法案が通って、この議会が終わったら一度みんなでお礼に行こうやないかと、ちょうど参議院選挙もやっておったんで、参議院選挙が終わったら行こうかというときで、この改正がされて10日後に不慮の事故で木下秀男議員が御逝去されたということであります。そういう思い出があるわけなんですけども、とにかくそういう会期ぎりぎりで森林・林業基本法というものができたわけであります。
 それは、なぜできたかといいますと、今までの林業基本法というのは、林業関係者、それとか森林の増産とか、森林従事者の所得倍増とか所得向上とか、そういうことを考えた法律であったわけなんですけども、それではいけないと。それでは森林を守っていくことができない。森林の多面的機能──保水機能とか環境、二酸化炭素の吸収、ダム機能とか、お金に換算すれば和歌山県では2兆円で全国では200兆円にも相当するような、そういうふうな機能を何とか守っていかなきゃいけないということで改正されたわけであります。
 国でも、それ以後、いろんな取り組みがなされてきました。そして、地方においても森林税という形で大きな国民運動が起こったことは、皆さんも御承知のことだと思います。我が和歌山県でも、議員立法による紀の国森づくり税が創設できました。この紀の国森づくり税についての思い出もあるわけなんですけども、普通であれば地方議員、我々県会議員はこういった税金には賛成しかねる、反対するというのが議員としての1つの方向かもしれませんけども、我が和歌山県議会は、地方自治体の二元代表制の1つである議会が税についても政策の1つとして県民隅々まで語りかけ、そしてこの税をつくったということについては画期的な出来事であろうし、和歌山県議会の大きな改革であったんではないかと、私はそういうふうに思います。
 そういうことでこの森づくり税ができて、この前の議会でも、また5年延長したわけであります。そういうことで、地方も一生懸命この森林整備あるいはまた林業活性化ということについて大きな役割を果たしてきたというふうに思います。
 そこで、林業活性化にはやっぱり木材の利用が一番大事なわけであります。その木材の利用は、民間の住宅とか、いろんなところで使われるわけでありますけれども、一番我々が取り組まなきゃいけないことは、公共建築、そして公共土木であります。県においても、国においてもいろんな法律、例えば国については、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律とか、そしてまた、それを受けて和歌山県では和歌山県木材利用方針ができております。それで、公共建築等、一生懸命努力されておるわけでありますけれども、私は今回、土木工事に関して質問をさしていただきたいと、そんなに思います。
 県土の70%以上が森林という全国有数の森林県である和歌山県であるわけでありますけれども、少し公共事業における木材の使用量が少ないようです。そういうふうに私は思います。これは、どう考えてみても、やっぱり和歌山県のトップである仁坂知事が大きな決断、一大方針を決定して、覚悟してこの政策に取り組まなきゃいけないと、私はそのように思うので、知事の今後の方針を、決意をここでお聞きしたいなと、そんなに思います。
 そして、あとの具体的なことについては関係部長に質問さしていただきます。
 この間の6月議会において、谷洋一議員の質問に対して県土整備部長は、間伐材の利用促進のための木材活用マニュアルを整備するということを答弁しておりますけれども、これはどうなっておるのかと。1日のおくれは取り返しのつかないような事態を招くわけでありますので、早急にこれをつくっていただきたい。間伐材を重点的に利用促進できる工種、工法についても推進し、中でも和歌山県の人が考えた県産品の先進的な新工法をもっと本気で支援できないのかと、そういうことをお聞かせ願いたい。
 そしてまた、木材を使用することが可能な施設、例えばガードレール、のり面とか、そして河川の護岸工事とか、そういったものについて、私はやっぱり県がこの施設については何%使いますよという、そういう数値目標を掲げることが非常に大事であろうかと思います。そうすることによって、森林組合とか、木材を供給できる側も準備ができると思うんです。そしてまた、私はそのことが大きな県の意気込みということで県民が賛同するんではないかと、そういうふうに思います。
 そして、この項の最後に、今、県庁の中で各部横断的な木の国プロジェクト推進会議というものがあると聞いております。そこで木材使用について検討しているようでありますけれども、私は、本庁だけではなくして出先機関も含めて、徹底的な木材の利用促進と間伐材の新工法、そういったものについて協議してほしいと。そして、その推進会議の強化方針、これから木材利用促進のために本気でやるにはどうするんかという方針について農林水産部長にお聞かせ願いたいと、そのように思います。
 次に、防災・減災等に資する国土強靱化法案についてお聞かせ願いたいと思います。
 東日本の大災害から、我々の二階代議士が自民党の国土強靱化調査会長ということになって、一生懸命この問題に取り組んで、昨年の衆議院選挙前にも国土強靱化法案というものを国会に議員立法で上げたわけであります。
 その法案を私も読んでみたんですけども、大変意気込みのある、本当に国土の多極化、そしてまた忘れかけておった均衡ある国土の発展とか農林漁村の振興、そういった本当に我々地方の者が期待する全てを網羅したような法案であったんですけれども、残念ながら衆議院解散で廃案になったわけなんですけども。
 それで、新たに防災・減災等に資する国土強靱化基本法案、これ、公明党さんのニューディール法案と合体して、公明党、自民党で議員立法ということで、今、共同提案をしておるわけなんですけども、こういう共同提案の中で、私は、こういうふうな国土強靱化法案が制定されれば地方が本当に救われるなと、特にこの和歌山県みたいなところは救われるんじゃないかということで非常に喜んでおるわけでありますけれども、そういう国土強靱化の中で、経済もデフレ経済の中から復活できると、そういうことを期待して、とにかく早くこの強靱化法案が完成してほしいなと、そんなに思ってるところであります。この新しい国土強靱化法案を読んでみても、考えようによっては、何でも、どんなことにも対応できる法律でなかろうかと思うわけであります。
 そこで、質問になるわけなんですけれども、地方の課題、そういったものを和歌山県も──この強靱化の法律の中で、地方の意見を聞く、県の意見を聞くということになっておりますので、和歌山の課題、和歌山の必要としている県土づくりにどうかかわっていくのかということを国に対して提言していかなけりゃいけない、私はそういうふうに思うわけであります。
 特に二階法案と言われてるようなこの法案、和歌山県が中心になって呼びかけてやっておるわけですから、当然、和歌山県の知事も全国の知事の中で先頭に立って、中心になって、リーダーシップを持って、この地方の声を反映させる運動を展開していかなきゃいけないと、私はそのように思います。とりあえず、関西広域連合の中で知事がリーダーシップをとって、この国土強靱化計画の基本計画をつくる際にどうあるべきかということを提言していかなけりゃいけないと、そのように思います。
 有効な強靱化にするためにはどうするのかということを、その準備の体制づくりを含めて知事の御所見をお伺いしたいなと、そんなに思います。
 それから、国土強靱化と和歌山県の県土づくりに関連して、最後に質問さしていただきます。
 衆議院の災害対策特別委員会が6月25日に開かれて、二階代議士は、その趣旨説明の中で、大規模災害から国民の命を守るのは政治の大事な使命であると、そういうことを強調して、それからまた、狭い意味の防災対策を乗り越えて産業政策も含めた国家百年の大計に基づく国づくりを行っていくと、その委員会でこの法案の目的を述べました。
 そこで、私なりに考えて、今、有田の中で──私も県会議員になって23年になるわけなんですけども、有田郡を見渡して、本当に政治的な政策が一番必要な象徴的な集落はどこかということを考えてみると、私は、それは湯浅の田地区であると、通称「田村」と言われてる地区ではないかと思うわけであります。
 それで、私はこの田村地区の振興政策について、国土強靱化と結びつけてお聞きしたいなと思います。
 田村という地区は──きょうも湯浅の議長、田村出身の松本議員さんが傍聴にお見えですけども。ああ、町長さんも来ていただいてる。ありがたいことで──世帯数は324世帯、人口は1076人の地区で、平均年齢46歳という比較的若い層がいる年齢構成の村であります。主要な産業はミカン、かんきつ類などの農業が盛んであり、特に高級ミカンで有名な田村みかん──先日、ニューオータニで泊まったんですけども、そこの売店でも売っておったですね、田村みかんのゼリーとか。冬にはミカンも売っておられます。県下で有数なビワの産地でもあるわけであります。
 その田村の産業、ミカンを輸送する運送業者が3社あります。大きい運送業者ですね。それから、シラスの大型加工場が4社。4社とも、相当大きな規模の従業員を抱える会社であります。そしてスレート、瓦の製造業者が1社あるわけであります。それから、100何十件のミカンの共同選果場もあるわけなんですけども、とにかく、これらの会社が地域に大きな貢献をしておるわけであります。
 総額、ちょっと聞いてみたところ、これらの工場や農業収入でどれぐらいの生産高を上げてるかということを聞いたわけなんですけども、松本議長いわく、50億円産業だと。人口1000人のいわゆる小さな部落で50億円、1人頭なら大体500万円。これは日本のGDPよりちょっと高いんではないかと、そんなに思うわけであります。
 そういうことで、とにかく産業は盛ん、ミカンはおいしい、全国一のミカンづくりをしておる田村が抱えてる大きな問題があるわけであります。それは、道路の問題であるわけであります。
 道の問題は、どこの地区へ行っても、どこの地域へ行ってもあるわけでありますけれども、ここは特別で、こういうふうな村──この村全体が山に囲まれて、西側だけ海に面しておるわけなんですけども、隣の地区に行くにも県道が1本であるわけであります。この県道といっても、高波のとき、台風とかそんなときには通行が不可能になって交通が遮断されるわけであります。そういった産業が本当に盛んな地区であるわけでありますけれども、災害というよりも、そういう日常の雨とか風とか、そういったものに至っても非常に敏感に、困難をきわめる村であるわけであります。通勤、通学もそうであります。
 こういうことが地域にとって非常に大きな痛手になっており、もし東南海・南海地震、南海トラフの大きな地震・津波が来れば、田村が全滅になるおそれも考えられることがあるわけであります。これに対応する避難道路、生活道路、産業道路の新設が、この地区にとって命と産業のいわゆる大きな意味での地域強靱化であるわけであります。
 今、田村から吉川地区までの細い町道みたいな、農道みたいなものがあるわけなんですけども、軽四輪も通行できない、そういう危険な道であります。現在の湯浅町の財政能力では、拡幅工事は非常に無理であります。そういった中で、国、県のいわゆる特別な支援なしでは、この地区を大きな災害、大きな津波から防御することが非常に困難であると考えますので、この点について、県、国の支援策について知事の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 以上で、第1問を終了さしていただきます。
○副議長(花田健吉君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1の林業の活性化の問題でございますが、本県は、紀州材の産地として古くから名をはせ、林業は地域の基幹産業でありました。しかし、住宅工法の変化とか、あるいは競合する外材製品の台頭等によりまして、木材価格は昭和55年ごろをピークに下落を続けておって、木材生産の停滞などを招いていって、林業は昔日の勢いがありません。これはいかんということを常々思っておりまして、本県林業の復権を図ろうとしているわけですが、それは論理的に考えますと、1つは低コスト林業を推進するということと、もう1つは県産材の需要を拡大するということに尽きるということだと思います。
 このため、特に後者については、ほかにも、例えば集成材の利用の可能性を探るとか、あるいはバイオ利用の促進の可能性を探るとか、特に農業にそれはこれから使えないかとか、そういうこともあるんですけれども、公共事業を含めた県内需要の拡大にも取り組まなきゃいけないというふうに思っております。
 県では、これは法律ですが、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づきまして、昨年の2月に和歌山県木材利用方針を策定いたしまして、県が整備する低層建築物は原則木造だ、それから公共土木工事においても木材の利用を推進したりするんだということで紀州材の需要拡大に努めてきたところではありますが、しかしながら、議員に御指摘されましたように、全国有数の森林県である和歌山県として、公共土木工事における木材の利用が芳しくないというようなことは、これはいかんということでしっかりと反省をいたしまして、現状を徹底的に分析した上で見直すべきところはきちんと見直して需要の振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、国土強靱化、あるいは防災の関係でございます。
 南海トラフの巨大地震が発生した場合、巨大地震でなくても南海トラフの3連動などなどの大きな地震が発生した場合、広範囲かつ大規模な被害が発生することから、これまでの防災に加え、助かる命を助けるということで減災の視点が大変重要であります。このため、国において進められようとしている国土強靱化の考え方は、まさに時宜を得たものと思います。
 関西広域連合のお話がございましたが、関西広域連合では、私は広域インフラの担当委員でございます。その立場もあって指揮をいたしまして、関西に必要なインフラのあり方について取りまとめて、みんなで協力して進めようというふうな機運を盛り上げております。
 その中で、共通認識を持つために、「広域交通インフラの基本的な考え方」というのをまず取りまとめました。その中では、特に重点として、大規模災害時の緊急輸送道路とか、あるいはリダンダンシーの確保など、大規模地震など自然災害等への備えというものに立脚したネットワークのあり方でなきゃいかんのだというようなことを大きな柱の1つとしております。これをもとにして、基本的な広域ネットワークのあり方、すなわちこれを地図に落としたもの、これを議論しているところでありまして、道路は既に決定して発表をしております。鉄道については検討中でありまして、これに沿ってみんなで努力するということであります。
 このような考え方によりまして、国の平成26年度予算編成等に対して、大規模災害に備えた広域的な視点からのインフラ整備や、あるいは南海トラフ巨大地震対策の総合的推進などを提案したところでありまして、実現に向けて関西広域連合のほうでも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 また、県独自でも、これはちょっと正直に申し上げますと、関西広域連合よりもより活発に取り組みを行っております。その中で、議員御指摘のとおり、国土強靱化基本計画を作成する際には国に対して本県の意見を述べるということは大変重要なことであると考えます。
 県では、法律に基づく正式な問いかけはこれからなんですけども、あらかじめ言っとかな損だということでありまして、これまでも強靱な県土づくりのための提案を精力的に行ってきました。特に本年5月には、古屋国土強靱化担当大臣とお会いいたしまして国土強靱化について意見交換を行いまして、本県の課題を説明し、そのために、津波が来たときの避難困難地域の高台移転とか、あるいは大規模な避難ビルとか、そういうものの必要性とか、あるいは高速道路のミッシングリンクの解消などをぜひやってくれというようなことを提案したところであります。
 今後、法律が間もなく制定されると思いますけれども、その暁には、さらに全庁的な体制で強靱な県土づくりに取り組んでいきたいと考えております。
 その次に、湯浅町の田村というか、田地区の道路の話であります。
 この地区は、とてもおいしい田村みかんを産するところでありまして、和歌山にとっては宝物みたいなところだというふうに思っております。ただ、道が悪くて、例えばミカンの出荷などに大いに制約となっているということも、自分自身も経験をしております。直れば、この改良が進めば、もっと産業発展のチャンスもあるんだというふうに思います。改良が終わっていないところでございますので、現在、湯浅町田―栖原地区において、新田坂トンネルの工事など、重点的な整備を推進しているところでございます。
 一方、津波ということを考えますと、現在整備している道路は、議員御指摘のように海岸線沿いであります。そうすると、津波の大規模なやつが来ると、その道路が使い物にならなくなる可能性もあるし、避難をするとか、緊急援助物資を送るとか、あるいは救援に行くとかいう点でこれは問題だなあということも容易に想像するところで、これはどうしたもんかというふうに実は思うところであります。
 したがって、御指摘のような内陸をバイパスにしていくような道路が必要かなあというふうに思うわけですが、一方、現状を考えますと、御指摘のようにこれは町道であって、それで、県道の設置基準からすると同じところに2つというのはどうかというような議論があったり、現に工事している県道のほうをどうするかとか、いろいろ難しい問題はあると思います。
 しかし、町とともに真剣に考えて、いずれにしても、どんな形であれ、何らかの形で町に対しては支援をしていかなきゃいかん、そんなふうに思ってる次第であります。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 林業活性化政策について、木の国プロジェクト推進会議での検討をお答え申し上げます。
 木材の使用目標割合を県が提示することについてですが、副知事、各部長等で構成する木の国プロジェクト推進会議を本年7月に開催し、重点的に木材利用を進める工種の明記に加え、例えば山腹工における柵工であれば、特殊な場合を除き100%木製とするなどの目標割合を設定した間伐材利用推進指針を定めることを決定し、現在、県土整備部と連携しながら今年度中の策定に向けて取り組んでいるところです。
 また、木の国プロジェクト推進会議の機能強化については、策定中の指針の着実な実施に向け、本庁と出先機関が一体となって取り組む体制の強化を目指してまいります。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 木材の活用マニュアル整備の取り組み状況につきましては、これまで県木材協同組合連合会との意見交換や各発注機関に対し調査を行うなど、木製品の使用実績及び維持管理上の課題の整理に取り組んでまいりました。
 現在、農林水産部とも連携し、公共土木工事の設計施工に活用できるよう具体的な工法、規格、積算方法などの検討を行っており、早期にマニュアルとして取りまとめてまいります。
 また、県産品の新工法支援につきましては、平成22年度より県内建設業界の競争力強化事業として、相談、実験フィールドの提供、開発費用補助を行っており、8件を事業支援対象として選定し、そのうち紀州材を活用したものは4件となっております。当該4件のうち2件については既に商品化されており、うち1件が県産品に登録しており、他の1件については品質証明を得て販路拡大ができるよう技術審査証明の申請を行っているところです。
 県としましては、今後も紀州材を初め県産品の活用が図られるよう、さまざまな形で支援してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(花田健吉君) 再質問を許します。
 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 木材活性化、林業振興については、知事の強い決意をお伺いしました。覚悟してやっていただきたいなと思います。覚悟というのは悟ったことを覚えるということで、変わらないように、ひとつよろしくお願いいたします。
 それから、田村地区の地域振興策については、町とともに真剣に考えていくということで、非常にありがたいわけです。
 先般も、私は行かなかったんですけども、上山町長、松本議長が二階代議士のところへ行ってこの要望をしてきたということをお聞きしました。二階先生はどう言ったという話を聞いたら、「任しとけ」と、こういう話であったらしいです。二階さんが「任しとけよ」と言ったって、これ、進む問題でありませんので、やっぱり仁坂知事が決断をして特別の支援を──支援する方法はあるわけです。ですから、それをひとつやっていただきたいな。そういうことをお願いして、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時22分散会

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