平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

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  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 では、始めさせていただきます。こんにちは、森礼子です。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。さきの2月議会に続いて、今議会においても食育について伺います。
 まずは、旬をテーマにした食育と農林水産物のPRについてです。
 最近、我が家の食卓に連日、秋の味覚サンマが並びます。娘のリクエストです。きっかけは、放送委員として校内放送に流す原稿づくりに新聞やインターネットを使い、最近の話題を調べている中で旬という言葉に出会い、秋の味覚サンマにたどり着き、夕食で献立にしたところ、「旬のものを食べるとこんなにおいしい、秋だね」と喜び、食事がおいしく楽しくなると話していました。
 今は年中いろんなものがある時代ですが、旬を五感で学ばせることが大切であると感じました。人は子供のときに食べたものを一生食べ続けると言われます。それゆえ、子供たちが大人になっても心身ともに健全で豊かな生活を送れるよう、食育をしっかり実践していくことが大事だと思います。
 食に対する知識を教えることも大事ですが、食事の楽しさや、地域でとれた旬の食材のおいしさを、実際に子供たちに食べさせて学ばせる取り組みを教育で徹底していくことが重要ではないでしょうか。
 和歌山は、果樹王国だけでなく食材王国です。生産日本一のミカン、梅、柿、ハッサクを初め、スモモ、イチジク、キウイフルーツ、エンドウ、シシトウが農産物産出額の全国シェア3位までに入っています。また、海に囲まれた和歌山では、アジ、サバ、タイ、アユ、タチウオ、生鮮マグロなど、多種多様な魚介類が漁獲されております。
 子供たちへの食育の教材に事欠きません。旬の果樹、野菜、魚介は本当においしく、新鮮で体にいい、また自然の恵みや四季の変化、農家や漁家の苦労を子供たちが五感で感じることによって、子供たちの心の成長につながります。
 第2次県食育推進計画では、学校給食における地場産物を使用する割合の増加を目標にしております。旬の食材を給食に提供するためには農業団体の協力や予算も必要ですが、子供が旬の地場物産のおいしさを知れば、家でも「食べたい」と言うようになります。また、旬の味を理解した子供は、やがて大人に成長し、県内外で自信を持って県産品のPRをしてくれることにつながります。つまり、旬の食材提供は将来の消費拡大への先行投資と言えるのではないでしょうか。
 私は、給食に旬の食材提供を少しでも拡大できないかと考えております。現在、県の取り組み「おいしい!健康わかやま」において、健康というキーワードでうまく農林水産物のPR活動を進めています。ここにも、さらにもう1つ旬というスパイスを加えてみてはどうかと思います。
 果樹王国和歌山では、まずは果物、そして野菜や魚介などの旬をカレンダーに落とし込んでいっても、作物枯れする季節はほとんどありません。旬カレンダーをつくって、夏は桃の時期であるが、秋には柿、ミカン、冬から春にかけてはマグロや初ガツオなど、和歌山ではおいしい食材の旬が次々にやってきます。
 このように旬で紡いで、和歌山の豊かさを子供を通して保護者に知らせることで、和歌山県産品のさらなる消費拡大につなげていってはどうかと思います。
 そこで、質問いたします。
 学校給食への旬の農林水産物の提供はどのように行っていますか。また、旬のカレンダーなどを使って保護者に対してPRしてはどうか。農林水産部長に答弁をお願いします。
 次に、学校給食における地産地消の推進についてです。
 食材の提供を受けるだけでは、真の食育がなされているとは言えないと思います。学校教育の場で、旬の食材がどれだけおいしいのか、いかに体にいいのか、農家や漁家の苦労を子供たちが学習する機会を設けることが重要です。
 旬の食材でも触れましたが、和歌山は果樹、野菜、魚介に恵まれ、食材の宝庫です。日本全国において、消費者の地産地消に対する関心が高まっていると言われておりますが、食材の宝庫和歌山だからこそ、学校給食における地産地消をどんどん進めるべきではないかと思います。
 食材の調達に対する学校サイドの理解、食材の安定供給や値段など、いろいろと課題があるのではないかと思いますが、少し曲がっていて売り物にならないけど、おいしく食べられる野菜などを、農家のネットワークをつくって一定のロットにまとめ上げることにより安定供給を達成するなど、いろいろ工夫もできるのではないかと思います。
 そこで、学校給食における地産地消を推進する上での現状と課題への対策について教育長にお伺いします。
 次に、関西広域連合への働きかけについて。
 先月、和歌山において関西広域連合8月定例会が開催されました。仁坂委員の担当分野は、広域職員研修と広域インフラ、そして農林水産業であります。2000万人の関西広域における農林水産業の振興を図る責任者としては取り組む課題は多いものと思いますが、まずは身近な取り組みから進めてはいかがかと思います。それは、関西広域連合における学校給食の地産地消の推進です。
 フードマイレージという考え方があります。食料に生産地から消費地までの距離を表示することで、生産された食料をなるべく近くで消費し、輸送に必要なエネルギーや燃料消費に伴う環境負荷を軽減しようとするものです。地産地消の推進は、新鮮でおいしい食材を確保するという点だけではなくて、エネルギーの無駄遣いによる環境への負荷を減らすという点からも重要だと思います。
 学校給食への地元産食材の供給についても、まずは市町村内で、次に県内で進めることが望ましいですが、その次は全国や海外ではなく、関西広域連合内で進めてはいかがでしょうか。冒頭で申し上げたサンマには徳島県産のスダチがよく合いますし、秋には鳴門金時の焼き芋がおいしいです。鳥取県産では、梨、ラッキョウでしょうか。
 先ほど申し上げた和歌山県は食材の宝庫であるという特色を学校給食への供給に最大限生かすことと同時に、子供たちが地産地消の持つさまざまなメリットを学ぶことができるようにすることが大事だと思います。
 関西広域連合で学校給食における地産地消を進める意義やそれを推進する上での課題について、知事に答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、関西広域連合で学校給食における地産地消を進める意義と推進する上での課題ということでございます。
 本県選出の議員からの働きかけによりまして、昨年7月に関西広域連合の広域産業振興局内に農林水産部を設置し、他の取り組みに先行して、本年度より地産地消運動を展開しているところであります。
 地産地消を進めるに当たり、私から、エリア内の特産農林水産物をお互いの利益となるように交換し合って学校給食で利用してはどうかというような提案をさしていただいたんですけれども、給食は市町村教育委員会の所管であるとか、府県市で取り組まれている地産地消運動との整合性とか、また広域連合の取り組みは全構成団体の合意が原則であるとか、役人臭いことがどんどん出てまいりまして、具体論となるとなかなかまとまりませんで、ちょっと隔靴掻痒の感がありました。
 その後、それでも粘り強く協議を積み重ねまして、本年度は学校栄養士や学校給食会等に対する啓発に加え、生産者団体が小学校へ出向いて、エリア内の農林水産物の提供や産地紹介を行う出前授業など、合意ができましたところもありますので、そういうところから実施しているところでございます。
 議員お話しのように、地産地消は、消費者は新鮮でおいしい食材を入手できるし、また輸送に伴う二酸化炭素量が削減できるというようなことに加えまして、やっぱり生産者は販売の拡大とか輸送コストの低減により所得をふやすことができると思いますので、さらに食を通じた文化振興に貢献できるなどという面もあると思いますから、いろいろな意味でいいもんだと思います。
 今後も、担当委員としてさまざまな提案を行い、学校給食での地産地消の推進にしっかり取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 旬をテーマにした食育と農林水産物のPRについてですが、子供たちに対する食育を進める上で、旬の地場産農林水産物を使った取り組みは重要であると考えております。
 議員お話しのとおり、昨年度から県内小学校、特別支援学校の学校給食や、家庭科等の教材として使用する主要農水産物を県から提供しており、本年度は職員が学校に出向き、梅を使ったジュースづくり、桃を使った皮むき体験とともに、栽培の状況や体によい成分が多く含まれていることなど、農産物の旬の時期に出前授業を行ったところであり、続いて、柿、ミカン、魚の提供を行うこととしております。
 また、平成19年度から学校教育関係者、栄養士や生産者団体等で構成する食育専門委員会で検討した上で、毎年、ノート、下敷きなど食育啓発資材を小学校に配布しているところです。
 御提案の旬カレンダーにつきましては、当委員会で今後、啓発資材への活用を検討してまいります。
 今後とも、教育委員会や関係団体との連携を密にし、子供たちやその保護者に対して、引き続き、地場産の農林水産物を活用した食育活動に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(花田健吉君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校給食における地産地消の推進に係る現状とその課題への対策についてお答えします。
 旬の食材を通して、地域の自然や特産物等への理解を深めることは、食育の観点からも大切であると考えております。
 学校給食における地場産物の活用については、「食べて元気、わかやま食育推進プラン」において目標を40%に掲げ、平成29年度までに達成できるよう取り組んでいるところです。現状としましては、平成23年度は30.2%であり、目標には達していませんけれども、全国平均の25.7%を上回っている状況にあります。
 学校給食は、保護者の負担を考慮し、食材を一定の価格内で調達する必要があることから、価格の低い食材を使用せざるを得ない場合も出てきますが、できる限り地場産物を活用するようにしております。
 先ほど農林水産部長から答弁がございましたように、学校給食や食育の教材として、特産品の梅、桃、柿、ミカン、魚を提供し、安全でおいしい地場産物の周知と活用に努めているところです。
 また、学校では、定期的に「ふるさと給食の日」を設けるなど、献立内容を工夫しながら取り組んでおりますし、現在、県内にはJAや生産者グループが、地元でとれる旬の食材の情報を学校に提供しているところであります。
 こうした取り組みを今後も農林水産部と連携し、地産地消の推進を進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 学校給食への旬の農林水産物を提供することに関しては、単発的に終わることなく、継続拡大していただけることをお願いします。
 また、もう1点は、せっかく提供するならするだけで終わらずに、そのものに関する情報やいただけるまでの農家や漁家の御苦労などを学んでもらえる時間を、その機会を、さらにたくさん持っていただけるようにお願いします。
 では、続いて、障害者に対する福祉制度について質問します。
 先日、私は障害者就労支援施設にお邪魔させていただきました。利用者の皆さんは明るい表情で歓迎してくれ、一生懸命つくった商品を手にとり見せてくれたり、クッキーやパンの試食を楽しむ時間を一緒に過ごさせていただきました。その後、御家族の方と話す時間をいただきました。御家族は、就労支援施設で過ごす時間が子供たちの心の充実と張り合いとなっていると同時に、家族にとっても仕事を持ちながらの見守りであるため、こうした施設が運営されていることは大変ありがたいという言葉が最初にありました。
 ただ、問題も幾つかあり、御家族がお仕事で急な出張があったときに、1泊や2泊のショートステイができないというお話が多くありました。いつも心配や不安を抱えた生活であると話されておりました。
 お話を伺っていて改めてわかったことは、障害のあるお子さんを物心両面で支えているのは親だということです。親は子供が幾つになっても子供であり、変わらぬ大変な愛情と努力を注いでいらっしゃいます。
 それゆえ、ある方がおっしゃった「障害のある子供を持つ親にとって一番の心配は、自分亡き後の子供の生活」という言葉が私の胸を強く打ちました。私は、この心配から親を解放することなく障害福祉の充実はあり得ないと思いました。高齢化が進展する中、障害者もその親御さんも1年1年と年を重ね、そしていつかは普通は親が先に旅立ちます。親亡き後も障害者が施設や地域でいかにすれば暮らしていけるのか。
 障害者が通う場、住まう場の確保充実は、いずれも地域で安心して暮らすために必要不可欠であります。高齢社会ならではの課題もさまざまに生じています。このような状況を踏まえて、今後とも障害福祉サービスを充実していくことは重要であると思いますが、このことについて福祉保健部長の答弁をお願いします。
 次に、就労支援施設の工賃向上について質問します。
 人は働くことにより、やりがいを感じ、生活の張り合いを得るものであります。就労の場を得ることにより、自分の居場所を見つけ、社会参加を果たすものだと思います。このことは、もちろん障害者も変わりありません。就労支援施設では大勢の障害者が働いています。彼らがやりがいを感じながら張り合いのある生活を送るためには、就労支援施設の工賃を向上させることが重要であると言われています。
 平成25年4月から障害者優先調達推進法が施行されるなど、国においても障害者福祉サービスを利用される障害者の工賃向上に向けた取り組みが進められています。就労支援施設における経営感覚の醸成や、商品開発、市場開拓の技術向上のための支援がなされ、複数の施設が共同で受注、品質管理等を行う取り組みが推進されているようです。
 工賃向上を進めるには、施設でつくった商品が売れることが必要ですが、現状では、施設の商品が私たち地域の住民の目に触れる機会はそれほど多くありません。また、商品が売れるためには、より魅力のあるものをつくり出す努力も必要です。
 県では、「Only One」という障害のある方がつくった食品や雑貨、それから受託できる作業などを掲載したカタログを製作しておりますが、まだまだ県民の認知度が低いのが現状です。私たち地域の住民が、障害者がつくった商品に触れ、購入しやすくなるための取り組みについても必要でないかと思います。
 こうした取り組みも含め、今後、和歌山県として就労支援施設の工賃向上に向けてどのような取り組みを進めていくのか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害福祉サービス基盤の整備についてでございますが、障害のある方やその御家族が将来にわたって地域で安心して暮らすためには、居住面や生活面など、それぞれの支援体制が整っている必要があると認識しております。
 例えば、親御さんが亡くなったり、親元を離れて暮らす場合に、障害のある方が日常生活の支援を受けながら暮らせる住まいとしては、グループホームの利用が考えられます。グループホームの定員につきましては、和歌山県障害福祉計画では、平成23年度末の808人を平成26年度末までに980人にするという目標を立てておりますが、現在892人となり、これまでも地域のニーズに応じたサービスの充実を図ってきたところです。
 今後とも、グループホームなどの住まいの場に加え、就労支援や生活介護など、日中活動の場の充実を図り、障害のある方が安心して暮らせるよう、和歌山県障害福祉計画に基づき、市町村と連携しつつ、積極的かつ計画的な基盤整備の促進に取り組んでまいります。
 次に、障害者就労支援施設の工賃向上についてでございますが、県では、障害のある方がその有する能力や適性に応じて自立した社会生活を送ることができるよう、一般就労に向けた支援や福祉施設における工賃水準の向上に取り組んでおり、平成24年度の平均月額工賃は全国平均と比較すると高い水準である約1万5400円で、年々向上しているところです。
 具体的な取り組みといたしましては、これまでも販路拡大、受注促進のため、経営面や商品開発などの専門家の派遣やコーディネート、経営管理研修や即売会の開催などを実施しております。
 今年度は、さらに工賃向上を図るため、各福祉圏域単位で共同受注窓口を設置したほか、事業所が製作するすぐれた商品を掲載した特選カタログを作成するなど、なお一層の取り組みを進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山県公館の有効利用について質問します。
 和歌浦にある県公館の有効活用について質問します。
 万葉集にも詠まれた美しい景観を今に残す和歌の浦は、昨年8月に国の名勝に指定されたのは記憶に新しいところです。この名勝指定地にほど近く、あしべ通りに面した県公館は、来賓の接待、県政懇談、各種表彰、文化交流などの行事に活用するため、世界リゾート博が開催される前の平成5年に県が購入したものです。現在、月に2度、一般公開日があります。私も見学に行ってまいりましたが、長い白壁と奠供山に囲まれた広さ1000坪ほどの敷地には、茶室を含む建物が3棟と、見事な松や灯籠が配置された日本庭園があって、その風格のあるたたずまいに思わず見とれてしまいました。
 こんなすばらしい資産が県にあるならもっと積極的に利用してはと思い、管財課に尋ねたところ、付近に駐車場がなく、有料にすれば職員を配置しなければならず、かえってコストがかさむということから、現在のような利用状況になっているとのことでした。
 そこで私は、他府県にある公館がどのように利用されているのかをインターネットで調べてみることにしました。そうすると、宮城県の公館が土曜日と日曜日に施設の貸し出しを行っているという記事が目にとまりました。宮城県の公館は、戦前、陸軍の官舎であったものを改築した建物で、見晴らしがよく、結婚式やお誕生日会等に利用され喜ばれているということで、パーティー等で飲食を行う場合は借りる側が全て手配することになっています。
 今、当県の公館の利用規則では、お茶会での茶菓子等の飲食は認められていますが、一般的に飲食は禁止ということです。例えば、調理するというのであれば火を使うことになるので禁止は仕方がないと思いますが、出前や自分たちが調理したものを持ち込むのであれば、当県の公館でも楽しく利用していただけると考えます。現在、豪邸で行う結婚披露宴もはやっていると聞きますし、今人気のある県の婚活イベント大作戦でも利用できるのではないかと思います。
 ぜひアンケートをいま一度行い、ニーズや利用された方の実際の声をもとに規則を見直してはどうでしょうか。公館を購入した価格で転売することはしばらくは無理だと思います。しかし、積極的に利用することによって大いに元はとれると思います。ぜひとも、将来にわたってたくさんの方々に公館利用していただくべきではないでしょうか。
 また、約20年前、世界リゾート博のときに迎賓館としてお客様をもてなしてきた実績以上の利用を、2年後の紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会開催時の利用に期待します。そのことは、美しい景観と由緒ある歴史が見事に調和した、県民に親しまれている和歌の浦を他府県の方々にも知っていただけることにつながると考えます。
 そこで、県公館の有効利用について総務部長に質問します。
○副議長(花田健吉君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 県公館は、月に2回、国指定名勝である和歌の浦に隣接した景観的に価値の高い庭園として一般開放を行っているほか、県が主催、後援する会議や行事、茶会、演奏会などの県民による文化活動の拠点の1つとして利用されております。
 今後の県公館の利活用につきましては、庁内各課室などに利用を促すとともに、もっと多くの県民の方々に御利用いただけるよう、一般開放の利用拡充を図ってまいります。さらに、利用者のニーズを把握するためのアンケートの実施や「県民の友」などを活用し、積極的なPR活動に努めてまいります。
 また、平成27年度に開催されます紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会などの期間中に本県を訪れた方々を県民の方々とともにおもてなしするための催しなどを検討してまいります。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 では、最後の質問をさせていただきます。
 友ケ島の活用について質問します。
 友ケ島は紀淡海峡に浮かぶ沖ノ島、虎島、神島、地ノ島から成り、戦後間もなく加太とともに瀬戸内海国立公園の一部として指定されるほど風光明媚なすばらしい資源です。また、古くから修験道の行場にもなっていた歴史のある島であります。
 本年2月の定例県議会において、私は紀淡海峡ルートの進捗状況を一般質問させていただきましたが、国土強靭化を支える災害対策道路として、また県民に夢を与えるプロジェクトとして紀淡海峡大橋への期待が高まりつつある中、今、友ケ島がクローズアップされています。実は、昨年ぐらいから友ケ島を訪れる人が目に見えてふえているそうです。
 この友ケ島を訪れるには、加太港から友ヶ島汽船で約20分の船旅です。現在、3月から11月まで、運休となる火曜日、水曜日を除き、毎日4往復運航されています。加太港からこの汽船に乗ると、加太に近い地ノ島を通り過ぎ、到着するのは沖ノ島です。沖ノ島は旧日本軍が大阪湾内への敵の侵入を防ぐため、明治以降、砲台を築き要塞としたところで、終戦時に爆破撤去されずに残った旧日本軍の施設が島内各所に見られます。
 さかのぼれば、島を訪れた人のピークは1964年。今回、2020年のオリンピック、パラリンピックの開催が東京に決定しましたが、まさに第1回の東京オリンピックが開催された年の9万6000人をピークに、レジャーの多様化などにより来島者は年々減少傾向になっております。
 しかし、先ごろ、長編アニメ制作から引退を発表された宮崎駿監督がかつて制作して上映されたアニメ映画「天空の城ラピュタ」に登場する空に浮かぶ島に、旧日本軍の砲台跡を含む沖ノ島が似ていると話題になり、漫画やアニメに登場する人物の衣装やスタイルをまねするコスプレファンの聖地として注目を集め、こうした若い人たちの興味を引いた影響もあってか、先ほど申し上げたように、ことし4月から8月までの来訪者は前年度1.5倍にふえたそうです。
 もちろん、友ケ島は豊かな自然に恵まれるだけでなく、島内を歩いていると野生化した鹿やリス、クジャクなどに出会うこともあり、楽しみながら島内をハイキングすることができるため、若い人たちだけではなく、子連れやシニア世代にも楽しんでいただけることのできる観光地としてのポテンシャルを持っています。
 また、関西国際空港からも近く、加太の淡嶋神社と組み合わせた観光コースとして、ネットを利用し、外国人にふえている日本アニメのファンに売り出すことも考えてもよいと思います。
 折しも、宮崎駿監督作品のアニメ映画「風立ちぬ」がヒットし、同監督のラピュタへの関心も高まっているチャンスであります。既に取り組まれていることとは思いますが、我が国でも数少ない歴史遺産である砲台跡など、その希少価値を生かしてフィルムコミッション活動を強力に展開するなどによって、映画やテレビドラマの撮影に使ってもらい、全国での知名度を上げ、加太地域と一体となった観光振興を図るべきだと考えます。
 そこで、商工観光労働部長に質問します。
 私は、貴重な観光資源である友ケ島をもっと有効活用すべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。御所見をお伺いします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 友ケ島は、照葉樹林に覆われ、さまざまな動植物が生息する自然の宝庫であるとともに、キャンプ場やハイキングコースが整備されたアウトドアを十分に楽しむことができる島です。
 一方で、戦前は紀淡海峡を守る軍事要塞として利用されていたため、現在も砲台や軍事施設の跡が数多く残っており、アニメやゲームのシーンに出てくるような非日常の世界の雰囲気を醸し出しています。近年、こうした非日常の世界がインターネット等を介してファンに広がり、議員御指摘のような状況になっています。
 県といたしましては、和歌山市や加太観光協会が取り組むアニメやゲームの登場人物の追体験など、友ケ島の新たな楽しみ方の情報発信に協力してまいります。
 また、修学旅行の誘致とともに、友ケ島の魅力を発信すべく、和歌山市等と連携して映画やドラマのロケ地誘致に取り組み、実績を重ねてまいります。
 さらに、主要なマーケットである京阪神はもちろんのこと、関西国際空港からほど近い利点を生かし、首都圏や九州などLCCの国内就航先に対しても働きかけ、誘客につなげるとともに、観光客の地元加太地区での滞在と消費を促すために、新たな体験プログラムの開発につきましても連携して進めてまいります。
 以上です。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 御清聴ありがとうございました。これで一般質問を終わります。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。

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