平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問さしていただきますが、その前に、この9月15日、台風18号で被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、一昨年9月の台風12号紀伊半島被災、大水害から早くも2年がたちました。改めまして、ここに犠牲になられた方々に対し心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の一日も早い完全復興を御祈念申し上げる次第でございます。
 それから、もう1つ御報告がございます。それは、去る7月28日、8月3日、4日と3日間にわたり開催されました第10回おどるんや~紀州よさこい祭り~におきまして、本年は10回目の記念大会ということでもあり、参加チーム数100チーム、踊り子3038人、観客動員数が3日間で延べ28万人と盛会裏に終えることができました。
 この祭りは、今から10年余り前に内田嘉高君、上森成人君という2人の若者が──きょう、傍聴席にも来ていただいておりますが──踊りを通じて和歌山を元気にしたいという思いで立ち上げたイベントで、私も当初から開会に向けて尽力さしていただきましたが、それが今では和歌山を代表する祭りの1つになったことは大変感慨深いものがあると同時に、知事初め県職員の皆さんの御支援、御協力をいただいたことに心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。
 そして、これは後ほど質問にも取り上げますが、県民サイドから和歌山を元気にしたいとの思いで始まった祭りが、10年余りの年月をかけて多くの人たちがこれにかかわり育ててきた意義とそのノウハウは、和歌山にとっても大きな財産であり、今後、いろいろな政策の実現につながるヒントがその中にあるのではないかと私は思っております。
 それでは、本題に入らしていただきます。
 健康長寿日本一わかやまの実現についてであります。
 この問題につきましては、昨年9月議会、本年2月議会に続き、これが3回目であります。しつこいようですが、この「健康長寿日本一わかやま」という言葉は私がつくった言葉ではなく、平成20年4月に発表された和歌山県長期総合計画の中に2度、「『健康長寿日本一わかやま』をめざします」と明記されております。
 日本一を目指すという言葉は、この長計の中ではほかには一言も載っておりませんし、仁坂知事が得意とされる商工、観光、農林水産業、エネルギー等の経済分野でも、また、地震や津波などの自然災害への備え、つまり安全・安心の政策についても、この日本一、いや近畿一という言葉さえこれには載っておりません、それだけ、県民の皆さんが健康で明るい日々を送り、生き生きと元気な人生を和歌山県において全うすることを仁坂知事は本当に望んでいるんだなと、私はその慈悲深いお心に改めて敬意を表する次第でございます。
 しかし、昨年9月議会で資料として提出し、この長計の参考となった平成17年の国勢調査をベースとした都道府県別健康寿命等の状況では、和歌山県の男性の平均寿命は78.08歳で全国で41位、女性は85.27歳で全国で43位、また、健康寿命はさらに下がって男性は75.06歳で42位、女性は78.45歳で45位ということでしたが、そこで特に注目したのは、女性において平均寿命が和歌山県とほぼ同じ43位の茨城県より、和歌山県の健康寿命が2年2カ月短いということをこの場で公表さしていただきました。
 本日は、お手元に、今度は平成22年度の国勢調査をベースにしたものをお配りしております。これによりますと、和歌山県の平均寿命は男性79.07歳で、平成17年度の41位から37位になりましたが、健康寿命は76.52歳で、平成17年度より数値は伸びておりますが、42位のままとなっております。
 また、女性は平均寿命が85.69歳で45位、健康寿命が79.46歳で46位と、いずれも平成17年度より数値は伸びているんですけれどもランクを下げ、この表を見れば肝心の健康寿命が一目瞭然、極めて最下位に近いということであります。
 仁坂知事、これは平成22年度の国勢調査なんです。平成20年4月発表の長計の達成期限は、たしか10年ではなかったでしょうか。つまりあと4年6カ月しかありませんが、本当に健康長寿日本一わかやまは達成可能なのでしょうか。
 そしてまた、この8月1日に朝刊各紙に載っておりましたけれども、全国の市区町村別の平均寿命、これは47都道府県ではなく1898の市区町村別なのですが、男女とも平均寿命の上位、下位5つの市区町村の名前とその年齢が載っておりました。
 それによりますと、男女とも平均寿命の一番短いのは大阪市西成区で、その原因を西成区の福祉保健担当者に電話して聞いてみたところ、男性はやはり日雇い労働者が全国から集まってきて、仕事柄、寿命が短いのではないかということでした。また、女性は他市区町村に比べ男性より人口が少ない上に、やはり同じような傾向があるのではないかと言葉は濁しながらも言っておりました。私、テレビのドキュメンタリー番組等でしかその様子を見たことはありませんけれども、何となく理解ができるような気がいたします。
 問題は、他府県のことではなく、女性の平均寿命が全国1898市区町村の中で大阪市西成区に次いで短いのが、何と和歌山県御坊市なんです。私の尊敬する中村裕一議員の地元でございますので、これを言うのは少々心苦しいんですけれども、健康長寿日本一わかやまの実現に向けて避けては通れないので、御容赦いただきたいと存じます。
 しかも、大阪市西成区の女性の平均寿命が83.8歳に対し、御坊市は84.0歳でしかありません。ほとんど変わらないということであります。また、女性の一番平均寿命の長い沖縄県北中城村は89歳ですので、御坊市は何と平均で5歳も短命であるということになります。
 そして、これは厚生労働省のデータですので、ホームページから詳しいデータを出しますと、こういうのがございます。上位、下位50市区町村のランキングというのがありまして、その女性の下位50の中に和歌山県は御坊市を含め、かつらぎ町、那智勝浦町、橋本市と、4市町が入っております。全国ですよ。1898の中で……(「よう入った」と呼ぶ者あり)そうです。地元の先生から言われると非常に恐縮でございますが。
 ちなみに、お手元の平成22年度のこの都道府県ランキングで男女とも平均寿命が最下位の青森県は、下位50位の中で男性24、女性11の市町村が入り、逆に男女とも最上位の長野県は、上位50の中で男性19、女性12の市町村が入っております。当たり前と言えば当たり前なのですが、上位、下位問わず、それぞれの県の市区町村はそれなりの結果を出していることがこのデータからも明らかであります。
 さて、ここで福祉保健部長、これはこの後の質問とも関連しますが、このような状況の中で健康長寿日本一わかやまを本当に目指すのであれば、県当局の本気度が問われていると私は思います。
 ちょうど1年前に同じ質問をしたときに仁坂知事は、「現状は、御指摘のとおり、目標──つまり健康長寿日本一ですね──にはまだまだ遠い。しかし、この目標に向かって、強い意志を持って頑張らにゃいかんというふうに思っております」。そして、県民参加型の健康増進等については、「これからさらに力を入れて頑張って、健康長寿日本一わかやまを目指して関係部局が一致団結して取り組んでいきたいと考えております」とはっきりと答弁されています。
 しかし、平成22年度の平均寿命、健康寿命の結果が新たに出て、さらにランクが落ちているという状況が明らかになった中で、県庁の関係部局が一致団結して先に進むためにも、私はやはり健康長寿日本一わかやま推進会議の設置が必要だと思いますが、福祉保健部長、御答弁ください。
 1問目を終わらしていただきます。
○議長(山田正彦君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 健康寿命を伸ばし、健康長寿日本一わかやまを実現するため、県では、運動による健康づくりや生活習慣病の予防、がん等の疾病対策、感染症対策等の施策に取り組んできたところです。
 本年度からは、従来、保健所単位で実施していたリレーウオークを全市町村で実施する健康づくりの取り組みを進めるとともに、がん検診の受診率向上のため、対象者一人一人に受診券をお送りする事業を実施しております。
 今後、県として関係部局が横断的な連携を進め、県民の健康づくりに一致団結して取り組んでいくため、福祉保健部が中心となり、健康長寿日本一わかやまを目指すための推進会議を設置してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございます。
 健康長寿日本一わかやま推進会議を庁内に設置していただくということ、大変この言葉、重く受けとめております。今後の推移をじっくり拝見さしていただきますので、どうぞ気合いを入れて質の高い推進会議をつくっていただくことを心より望む次第でございます。
 それでは、次に移ります。
 さて、私が健康長寿日本一わかやまについて平素県民の皆さんに語るとき、必ず言っていることがございます。それは、健康は個人個人のもんだけれども、健康を害したとき、つまり医療や介護のお世話になったとき、それは個人のお金だけでは済まされません。保険や税金がそこに投入されます。だから、健康を害するということは、個人の負担だけではなく、国や市町村、それに保険と、つまりみんなの世話になるということなんです。また、その方のみならず、家族や周りの方にとって不幸であるということは言わざるを得ません。それだけに、健康寿命を伸ばし、要介護期間を短くすることは、今後、大変重要なのではないでしょうかということを常に申しております。
 お手元の資料をもう一度ごらんください。
 実は、今回も茨城県と和歌山県の平均寿命は男女ともほぼ同年数で、それを同じと仮定したとき、つまり男女が同じ長さの人生でどれだけの要介護期間の差があるかというと、男性で8カ月、女性で1年9カ月、和歌山県のほうが長いということになります。そこで、介護内容というのは個人個人違うので、一概に言いにくいのかもしれません。例えば、若いときから運動習慣や正しい生活習慣を身につけ、健康づくりをすることによって、介護認定が遅くなるということは十分考えられます。
 そういったことで、和歌山県の要支援1や2、さらに要介護1などの介護認定の軽度の方の要介護期間が茨城県並みになったときに、介護費用はどれぐらい減ることが予想されるのでしょうか。つまり、その間の介護負担額について、男性で総額幾ら、女性で総額幾ら、そしてその合計は総額幾らになるでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県と茨城県の要介護期間の差の要因としては、本県のほうが介護サービスを必要とする割合が高い75歳以上高齢者やひとり暮らし高齢者、夫婦のみの高齢世帯が多いといった状況、さらに介護サービスの量、提供状況等も異なることが考えられます。
 このように状況が異なる茨城県と対比して本県における介護費用の減少額を試算することは非常に困難ですが、議員御指摘のとおり、健康づくりを進めることにより、主として要支援等になる時期が遅くなると推測されます。
 仮に茨城県との要介護期間の差をもとに軽度者の要介護期間が一斉に短縮されたとした場合には、介護に必要な費用は、年間で男性が8億5000万円、女性が29億3000万円、合計約38億円減少する計算となります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 知事初め議場にいらっしゃる皆さん、算数の正解を書くようで大変恐縮でございますが、その空欄に男性8億5000万、女性29億3000万、これ、ざっくりですが、合計で38億。38億といいますと、38の後にゼロが8つつくんですね。これはあくまで概算ですが、ぜひ頭の中へ入れていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に移ります。
 健康保持増進を考える上で、健康の3要素として、運動、栄養、休養、そしてそれをチェックする健康診断、さらには精神的、社会的な要素など、さまざまな角度から考えていかなければなりません。
 それに、今回の質問に当たり、私は、そのために3月から健康運動指導士や保健師、さらには栄養士など、いわば専門家の会合に出席をさしていただき、意見交換をし、また、行政では海南市くらし部健康課へ行き、部課長や担当職員から、直接住民に接する立場からの取り組みや意見も伺ってまいりました。
 この2月議会において、現役世代の健康づくりのため、ミドルエクササイズの考案ということを提案したところ、西下教育長から、「新たにミドルエクササイズをつくることも一考ですが、ウオーキングやジョギングを初め、誰もが経験したことがあり、また、最近その効果が見直され、ブームにもなってきているラジオ体操などが、手軽にできるエクササイズとして有効だと考えております」という答弁をいただいたので、4月に入り、東京の虎ノ門にあるNPO法人ラジオ体操連盟、また大阪北浜にある同近畿事務所、さらに和歌山県での窓口になっているJPかんぽ生命を訪ね、全国の状況と和歌山県の現状を調べましたが、残念ながら和歌山県は、ラジオ体操について、ほとんどと言っていいほど熱心ではないということがわかってまいりました。
 それではどこがこのラジオ体操に熱心なのかと聞きましたら、東京の下町、つまり墨田区や葛飾区で盛んにやっているということを聞きましたので、後日、墨田区のラジオ体操連盟の佐藤幸一会長と岩田道子副会長を訪ね、お話を伺ったところ、墨田区ではラジオ体操に取り組んで60年になるということで、墨田区は約27万人の区で、現在も区内35カ所で365日毎日やっているということでした。その定着した理由は、自営業者が多いので、自分たちの健康は自分たちで守るという意識が強く、自発的にやっているということで、ことしの東京国体でも、墨田区はラジオ体操のデモンストレーション行事の区に指定され、1万人を集めて行うということでありました。
 これは大変すばらしいことなのですけれども、これではこれから普及をしていこうという和歌山県の参考にならないなと思い、それでは行政主導で行っている市町村はないのかと東京都ラジオ体操連盟の役員でもある岩田副会長にお聞きすると、埼玉県の鶴ヶ島市というところが熱心であるということだったので、先月、また鶴ヶ島市へ訪ねてまいりました。
 同市では、平成11年より当時の市長の命を受けて、今回お会いしました石川春美さんという保健師さんが中心となり、東京からNHKやラジオ体操連盟の指導者を毎年数日呼んで、そのたびに多くの市民に声をかけ、その後、できるだけ各地域で実践する自主運営組織づくりを徹底したところ、現在では人口7万人の市に21カ所、ほとんど年中活動するクラブができたと石川さんが言っておられました。
 墨田区も鶴ヶ島市も進め方には違いがありますが、最終的には地域住民が健康増進のために熱心にラジオ体操に励んでいるということはよくわかりました。しかし、そこで、参加してる方の年齢層はとお聞きしますと、どちらともほとんどが70歳以上であるということでありました。
 考えてみますと、早朝6時半に集まって一斉に体操する場合、なかなか働いている人たちが参加することができないのは当然のことかもしれません。それだけに、この2月議会において西下教育長が答弁されたミドルエクササイズとしてのラジオ体操はいいのですが、では、どのようにして60歳までの現役世代の方に普及さしていくことができるのか、正直疑問を感じました。
 そこで、詳しく調べてみますと、教育委員会のスポーツ課には職場体育連盟という所管する組織があり、全部で22団体、合計2万1800人で構成されていますが、ここに浸透さしたとしても、和歌山県の60歳までの勤労者人口約35万600人の6%にしかなりません。
 教育長、この点を踏まえて、ミドルエクササイズとしてのラジオ体操の今後の取り組みについてお答えください。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育委員会では、生涯スポーツ振興の観点から、ミドル世代を含め、広く県民に対してスポーツの楽しさやおもしろさを伝えるとともに、そうした機会を提供することを使命として取り組みを進めております。
 他方、健康の保持増進など社会的課題に対しても、その必要性、重要性を広く県民に啓発していくことが重要であると認識しております。
 そうしたことから、今年度、地域スポーツ指導者等研修会を創設し、ラジオ体操の講習を実施したほか、庁内各課主催の健康関連セミナー等での出前講習を行うなど、取り組みを進めているところです。
 今後、全県的な取り組みに広めていくためにも、市町村教育委員会はもとよりNPO等とも連携しつつ、スポーツ推進委員や総合型地域スポーツクラブ関係者を初め、退職教員などにも参加を呼びかけ、約200人のラジオ体操指導員を養成するとともに、県内15カ所程度で約1000人の方々に正しいラジオ体操を体験していただくラジオ体操体験教室を開催したいと考えております。
 さらに、「出張!県政おはなし講座」などの制度を積極的に活用するとともに、健康推進課を初め関係部局と連携を密にし、養成した指導員を活用しながら、地域におけるラジオ体操グループづくりを推進するほか、ミドル世代への取り組みについて検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 教育長、どうもありがとうございました。
 約200名のラジオ体操指導員の養成と、県内15カ所で1000名の方々に正しいラジオ体操を体験してもらうという具体的な数字を挙げていただき、本当にありがとうございます。
 実は私、7月7日のこの講習会にも、大変暑い中、参加をさしていただきまして、途中でリタイアする方も大変多かったですが、ラジオ体操も本気になってやるとすごいきつい運動なんですね。それだけ効果があると思います。
 今後も私も参加さしていただきますけれども、これは今後の課題です。先ほど推進会議を設けていただくということを福祉保健部長に言っていただきましたけれども、そこだけに頼らずに、ぜひとも教育委員会といたしましても、やっぱりこれはミドルエクササイズとしてラジオ体操という名称が出てきたわけですから、どうして、そこにどのようにして浸透させるかということをぜひとも考えていただき、それは大きな今後の課題ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に移らしていただきます。
 この項目の最後に、健康推進員についての質問でございます。
 この2月議会において、長野県の保健補導員制度が同県の健康長寿の実現において大きな役割を担っているということを述べました。
 長野県の人口は212万人ですが、全77市町村に組織化された保健補導員制度があり、全県で約1万1000人の方たちがボランティアとして常に県民の健康保持のために活動しているので、ぜひ和歌山県でもこのような制度をつくるべきではないかとこの2月議会で質問したところ、当時の山本福祉保健部長は、「今後、各地域における健康づくりのリーダーの拡充と養成を通じて、地域・職域連携推進協議会をさらに実践的な活動ができるきめ細やかな組織に発展させ、長野県の保健補導員のような地域に密着した健康づくり活動を幅広く実行してまいります」と答弁されました。
 その後、和歌山県内の各市町村を調べてみますと、保健補導員という名称ではありませんが、健康推進員という総称で、県内30市町村のうち11市町で合計696名の方たちが同じような地域保健のボランティアをされていることがわかってまいりました。
 例えば有田市では、健康づくり推進員という名称で63名の方が健康増進事業や健康づくり推進事業への参加と協力──主に健診受診啓発と研修会参加、また白浜町では、すこやか推進員という名称で107名の方がやはり地域での健診の啓発や料理教室・子供料理教室の開催、健康まつり参加協力のための活動をされているということがわかってまいりました。
 しかし、長野県は人口212万人で、保健補導員は、先ほども申しましたように約1万1000人ですから、人口がその半分弱とはいえ、和歌山県で696名というのはいかにも少ないと言えます。それに、この10市町の中にはかつらぎ町は入っておりませんけれども、先ほど申し上げました女性の平均寿命が全国下位50の中に入っている御坊市でも63名、橋本市で48名、那智勝浦町で11名と、少ないとはいえ、一応そのような役割を持ったボランティアの方がいらっしゃいます。しかし、このような結果ということは、大変失礼なのですが、この地域での制度が余り効果が上がっていないと言わざるを得ません。
 やはりここで県が、この健康推進員の制度設計を含めて、リーダーシップを発揮して人材育成をすべきものだと私は考えておりますが、福祉保健部長、今後の計画について、はっきりとお答えください。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 生活習慣病を予防し、県民の健康づくりを推進するためには、1次予防として運動による健康づくりや食生活の改善、2次予防として健診の受診等が重要です。そのため、健康推進員制度を創設し、健康推進のリーダーとなる人材を年間500人、5年で2500人を目標に、各保健所で育成してまいりたいと考えております。
 今後、県民の健康増進のため、その制度を活用し、ラジオ体操などの気軽に参加できる運動や健康教室等の周知、健診の呼びかけ等、身近でよりきめ細かい取り組みを行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 年間500人、5年間で2500人を目標に健康推進員をつくっていただけるということで、きょうは、先ほどの教育長の御発言、200人のラジオ体操指導員をつくる、また、一等最初の中川部長の健康長寿日本一わかやま推進会議をつくるということをはっきり明言していただいて、まさにこれは仁坂県政の真髄だな、やはりこうやってきちっとはっきりと物を言って、数字を挙げて、それを我々が後を検証さしていただくと、そういう姿勢が本来の県政だと思いますので、ぜひともこの年間500人、5年間で2500人を目標に、これは健康寿命の短い和歌山県民にとっても希望の持てる数字だと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 それでは、大きな項目2番目に移らしていただきます。
 紀州よさこい祭りに見る地域リーダーの育成と市民力向上についてですね。
 さて、冒頭申し上げましたけれども、紀州よさこい祭りは、当初2人の若者の発案からこの祭りの種が和歌山にまかれ、芽を出し、やがて幹が育ち、枝を張り、葉をつけ、そして今ではみんなが見たくなるような美しい大輪の花を咲かせたのではないかと私は思います。
 もちろん、私もこの祭りのサポートのために現地調査にも行ったんですが、本場高知のよさこい祭りや北海道のYOSAKOIソーラン祭りのように、いわゆる観光商品としてはまだまだ課題のあることは十分わかっております。しかし、この祭りは、もともと祭りを通じてこの和歌山を元気にしたいという熱い思いからスタートし、そのために運営資金は全て自分たちで集め、行政から資金援助は受けないという姿勢で行ってきました。
 今から12~13年前でありますけれども、NPO活動を通じて知り合った彼ら2人から相談を受け、まず少しでも多くの人に体験してもらおうと、私の日本拳法の道場を開放し、定期的に、見よう見まねですが練習から始めました。そのうち、いろんな方が踊りのおもしろさに引かれ、集まってくるようになり、また、それまで和歌山になかった踊りだけに、いろいろなイベントに呼ばれるようになりました。その楽しさを多くの方々に伝えてきました。
 そのことによって、さらに踊りたいと言う人がふえ、練習場もとても私の道場だけでは入れなくなり、近くの雑賀崎小学校や私の地元であります今福小学校の体育館を借りるようにし、そこからまた別のチームを発足させるなど、踊りの輪がどんどんと広がってまいりました。
 ちなみに、この私どもの道場で最初つくられたチームこそ、知事もよく御存じの、毎年大賞を含め上位に入賞している和歌山MOVEというチームが最初でございます。
 祭りの運営資金につきましても、平成16年の第1回大会では、当初最低800万という予算が出され、最初はみんな、ほとんどが若者中心でしたので、大変驚いてちゅうちょしましたけれども、お互いに励まし合い、力を合わせて、その予算額を大きく上回る1490万円を集めることができ、力強く前に一歩出ることができました。
 そして、毎年少しずつとはいえ確実にパワーアップし、ことしの運営資金約3250万円も自分たちで集め、財政基盤もしっかりした体制をつくり上げました。スタッフも当初数名で発足したものが、今では100名近い実行委員と地域スタッフ約200名、当日参加のボランティア約300名と、600名を超える人たちが無償でこの祭りを支えております。
 恐らく、これは和歌山県でのNPOが主催するイベントの最大のものであると考えますが、紀州よさこい祭りに学ぶべき点は、決してこれは一過性のものではなく、12~13年前にほとんど和歌山の人が知らなかったよさこい踊りというものを地道な地域活動を通じて広げ、何度もの失敗と成功体験を重ね、今では県内に広く知れ渡り、県民活動として高く評価することができるのではないかと思います。
 そこで県政においても、これから起こるさまざまな問題に対して、知事、議員、県職員だけではなく、問題意識のある個人や団体が共同して取り組み、県民運動を起こすことで必ずや解決に導くものだと私は思います。それだけに、ここに至るまでの紀州よさこい祭りのプロセスを県としても大いに学び、県民が本当に意識を持って参加してもらわないと到底目標を達成することができないことなど、この手法を活用するべきものだと思います。
 もちろん、同好の士が中心に集まる祭りやスポーツとは全て同じ手法というわけにはいきませんが、例えば先ほどの健康長寿日本一わかやまを本当に達成するには、このような手法が参考になると私は考えております。
 紀州よさこい祭りなどから学び、地域リーダーを育成し、市民力を向上さしていくことについて、環境生活部長、どのように考えられているかお答えください。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長塩崎 望君。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) NPO紀州おまつりプロジェクトが主催するおどるんや~紀州よさこい祭り~は、和歌山を元気にしたいという若者の熱い思いから始まった祭りで、回を重ねるにつれて大きくなり、第10回を数えることしは、県内外から100チーム、約4000人が参加する和歌山を代表する祭りとなりました。行政の主導ではなく、地域の方々とともに祭りをつくり上げる中で地域のつながりが再認識され、地域の活性化に多大の貢献をしている祭りです。
 この祭りでは、自分たちで地域をつくり上げていこうとする地域リーダーが育ち、祭り全体を運営しています。県内には、このような地域のさまざまな課題に対し、それぞれの分野で自主的、自発的な活動を展開している地域リーダーがいます。
 県といたしましても、よりよい地域づくりのためには、地域の方々とともに協働していくことが重要であると考え、行政だけではなく、NPO、地縁組織、企業等、地域における多様な担い手が連携して取り組みを進める支援をしているところです。紀州よさこい祭りを1つのモデルとして協働、連携を深め、目標に向かって活動を充実することにより、県民の力を高めていきたいと考えています。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、紀州よさこい祭りに大変な評価をいただきまして、本当にありがとうございます。これは内田、上森両君を初め、この祭りにかかわるスタッフ、ボランティア数百名の方たちも大変喜ぶと思います。
 これから新しい県政の諸問題の解決の手法として、こういったいわゆる市民活動、県民活動をいかにうまく連携していくかということが今後大事なことだと思いますし、私、前の県議会で言いましたけれども、例えば子供の体力──1人、2人のチャンピオンをつくるのは簡単なんですが、全体をかさ上げするということは大変なことなんですね。それが今、全体がずるずるずるっと和歌山県は落ちてきてるという、健康寿命1つ見てもそういう状況ですので、ぜひともこういった市民の内側から出てきたノウハウというのを県政もうまく活用して、お互いに伸びていくように、行政も県民の皆さんも喜んでいただくように、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、最後の質問をさしていただきます。
 ここで、質問の内容をがらりと変えまして、私の地元であります和歌山市を活性化するための基盤整備についてであります。
 基盤整備といいましても、いわゆる道路を通し橋をかけるという話ではなく、私が思う広い意味での基盤整備で、それは、和歌山市の活性化について本当に必要なのは、私は大阪との鉄道時間の短縮であると以前から考えておりました。このことを多くの和歌山市民の方に語ると、ほとんどの方が賛成してくれます。もちろん、全てがそれで活性化するとは言いませんが、大きな起爆剤になると思いますので、ここで質問さしていただきます。
 まず、余談になりますけれども、先日、大阪である会合がございまして、その後の懇親会の席上、初対面の大阪の方に名刺を渡しまして「和歌山からきょう参加しました」と言うと、驚いた顔をして「えらい遠いとこからきたんですな。今晩帰れますか」と、冗談とも本気ともつかぬ言葉が返ってまいりました。たしか、まだ夜の8時ぐらいであったと思うんですけれども、恐らくこの議場にいらっしゃる方もそういった経験がおありだと思います。大阪の方に和歌山から来たと言うと、何か地の果てから来たように思われてるんですね。京都や神戸、また滋賀や奈良ともそんなに距離的には大きく変わらないと思うのですけれども、和歌山イコール遠い国と思われている原因の1つに鉄道時間の長さがあると思います。
 また、私、今でも月に1~2度、JR和歌山駅前で朝立ちをして、「がんばろう日本」、東日本大震災並びに台風12号紀伊半島被災、水害の義援金活動、募金活動をしておりますけれども、そのときに、ちょうどあのラッシュ時にJR大阪駅へ直行で行く紀州路快速という電車を見ても、ほとんどとは言いませんが、人が非常に少ないんですね。満員でぎゅうぎゅう詰めということは決してありません。もちろん、このJRだけではなく、南海線で大阪に通勤されてる方もいらっしゃいます。
 しかし、その紀州路快速で天王寺まで65分、大阪梅田まで81分と、相当な時間がかかるんです。和歌山から天王寺まで61.3キロ、また、同じく大阪梅田まで72キロ、電車の時速でいいますと天王寺まで56.6キロで、天王寺から大阪梅田までは環状線に入りますので、さらに時速は遅くなります。
 しかし、他の都市、例えば京都から大阪梅田まで42.8キロで28分、時速91.7キロメートル、神戸三ノ宮から大阪梅田まで30.6キロで23分、時速79.8キロ、滋賀大津から大阪梅田まで53.8キロで40分、時速79.2キロということになり、もちろんとまる駅の数により時間差はありますけれども、天王寺―和歌山間は時間がかかり過ぎるということは、もう本当に今の所要の時間を見ていただければわかるように、これで和歌山と大阪の心理的な距離感を持っているということを私は常々感じております。
 私は、いつもこの席で質問のたびに、決してこれ、当局に対する嫌みでも何でもなしに、国立社会保障・人口問題研究所が出してるデータによると、これから和歌山県の人口は、全国に先駆けて、現在の99万人が22年後の平成47年には73万人に、そのとき和歌山市は現在の37万人から28万人になるという人口推計もあります。
 そのようなときに、企業誘致も大事でしょうが、それより思い切って大阪を和歌山に近づける、つまり通勤時間の一層の短縮により、現在大阪に住んでいる和歌山出身の人たちも住みよい和歌山市に戻っていただくことによって再活性化を図れるのではないかと、そのように私は本当に思います。
 もちろん、簡単にいかないことはわかっております。しかし、現在、特急くろしおでは和歌山―天王寺間は42分で行けますし、先ほどの京都―大阪間の電車の速度で和歌山―天王寺間を走らせますと、さらに時間は短縮されて約40分で行くことができるんです。これは、今はまだ夢の通勤快速かもしれませんが、そのことにより和歌山市は、大阪市の通勤圏の中でも大きな都市として私は新たに生まれ変わると思います。
 もちろん、天王寺から乗りかえもあるでしょうが、主に通勤する電車を40分程度に抑えることにより、住環境のすばらしいこの和歌山市は、単にベッドタウンとしてだけではなく、人口激減の厳しい時代の流れの中で、現役世代の定住人口を少しでもふやすことにより、土曜、日曜は地域ににぎわいが戻り、活力を取り戻したまちに再生することも十分考えれると思うのですが、企画部長、通勤電車の時間短縮について御答弁を求めます。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 大阪―和歌山間の鉄道時間の短縮についてでございますが、現在、天王寺―和歌山間の所要時間は、特急くろしおがノンストップで最短42分、快速電車は最短59分で運行しております。JR西日本からは、快速電車を特急くろしおと同等の40分程度に短縮するためには、天王寺―和歌山間をノンストップで走らすこと、それから阪和線内を運行している列車の本数を極端に減らすなどの対策が必要であり、利用者の利便性を損なうことから、現実的には困難と聞いております。
 しかしながら、大阪と和歌山の時間距離の短縮は、本県にとって交流人口、定住人口の拡大や地域の活性化につながることが期待されますので、少しでも所要時間が短縮されるようJR西日本に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 野田部長、どうもありがとうございました。
 今の御答弁、現段階ではまさにそのとおりだと思います。
 先日、鉄道に詳しい方から、現在、天王寺―和歌山間を走っている223系や225系の最高時速が120キロということを聞きました。もちろん、マックスで最高速度で走るわけにいきませんけども、例えば87%ぐらいのスピード、つまり105キロで行けば、和歌山―天王寺間は35分も夢でないということを耳にしました。私いろんな方にお話しして、和歌山―大阪間を35分で行くと、大阪に住んでる和歌山の方、恐らくまず和歌山へ帰ってきますよ。絶対この和歌山のほうが住環境がいいわけですから。そのように思います。
 今は、まだこれも夢の夢の通勤快速でありますけれども、今、東京オリンピック招致でいろいろマスコミがいいように、いろんなことを東京、東京ということで訴えておりますけれども、忘れもしません、昭和39年、我々、たしか小学校3年、4年ぐらいだったと思うんですが、それから3年ほどたって、中学校の修学旅行で夢の超特急ひかり号に初めて乗りました、和歌山の田舎者が。びっくりしました。当時、東京―大阪間を3時間10分で走ったんですね。こんな速い電車があるんか。
 当時、まだ和歌山の紀勢本線はたしかSLが走ってましたですね。私、高校へ行くときに、ちょうど高校は湯浅でしたから、湯浅へ行ったときにSLが走ってた。あれ、非常に今、詩的にいいように言われてますけれども、窓をあけると炭が飛んでくるんですね。顔が真っ黒になったことがありますけど。
 そういった時代に、何ともう同じ時代に東京―大阪間を3時間10分で走った。それが今では40分も短縮されて、のぞみ号が2時間30分で東京―大阪間を走るように現実になってます。しかも、これから10数年後、リニアモーターカーができたら東京―大阪間を1時間で行けるようになるということであります。
 そんな時代に、東京、大阪、いわゆる国土軸だけじゃなしに、この和歌山のようなとこが、これから人口が本格的に激減する地域がこのまま黙ってていいのかと私は真剣に思います。
 もちろん、高速道路のミッシングリンクの解消も必要でしょう。しかし、私は和歌山の選出の県会議員としてはっきり言いますが、鉄道時間を短くすることによって和歌山はもう一度よみがえることができる、これは強く思っておりますし、知事も和歌山市出身でありますんで、ぜひとも和歌山市のために気合いを入れていただいて、ばっとこの鉄道を短くすることをぜひともJRにも働きかけていただきたい。
 これは今回初めての質問で、これについて私はどうのこうの言うつもりはございませんけど、今後じっくりと調べまして、いろんな方法、鉄道時間を短くする、いわゆる距離を短くする方法はないか考えてまいります。
 いろいろと申し上げましたが、きょうは本当に各部長から、また教育長からはっきりとした御意見を聞かしていただき、大変ありがたく思います。健康長寿日本一わかやま、これでようやく一歩前へ進んだと思いますけれども、ただ、あと4年半しかございませんし、先ほどのこの表、データはあと5年後にまた出ますから、そのとき、私、議員をさしていただいてたら、必ずそれを提示して「知事、これ、どないなってますんよ」という話をさしていただきますんで、どうぞよろしくお願いいたしまして、私の一般質問とさしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。

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