平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成25年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成25年9月18日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(39人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 10番 岩田弘彦
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 平木哲朗
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 11番 服部 一
〔備考〕
36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問さしていただきますが、その前に、この9月15日、台風18号で被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、一昨年9月の台風12号紀伊半島被災、大水害から早くも2年がたちました。改めまして、ここに犠牲になられた方々に対し心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の一日も早い完全復興を御祈念申し上げる次第でございます。
 それから、もう1つ御報告がございます。それは、去る7月28日、8月3日、4日と3日間にわたり開催されました第10回おどるんや~紀州よさこい祭り~におきまして、本年は10回目の記念大会ということでもあり、参加チーム数100チーム、踊り子3038人、観客動員数が3日間で延べ28万人と盛会裏に終えることができました。
 この祭りは、今から10年余り前に内田嘉高君、上森成人君という2人の若者が──きょう、傍聴席にも来ていただいておりますが──踊りを通じて和歌山を元気にしたいという思いで立ち上げたイベントで、私も当初から開会に向けて尽力さしていただきましたが、それが今では和歌山を代表する祭りの1つになったことは大変感慨深いものがあると同時に、知事初め県職員の皆さんの御支援、御協力をいただいたことに心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。
 そして、これは後ほど質問にも取り上げますが、県民サイドから和歌山を元気にしたいとの思いで始まった祭りが、10年余りの年月をかけて多くの人たちがこれにかかわり育ててきた意義とそのノウハウは、和歌山にとっても大きな財産であり、今後、いろいろな政策の実現につながるヒントがその中にあるのではないかと私は思っております。
 それでは、本題に入らしていただきます。
 健康長寿日本一わかやまの実現についてであります。
 この問題につきましては、昨年9月議会、本年2月議会に続き、これが3回目であります。しつこいようですが、この「健康長寿日本一わかやま」という言葉は私がつくった言葉ではなく、平成20年4月に発表された和歌山県長期総合計画の中に2度、「『健康長寿日本一わかやま』をめざします」と明記されております。
 日本一を目指すという言葉は、この長計の中ではほかには一言も載っておりませんし、仁坂知事が得意とされる商工、観光、農林水産業、エネルギー等の経済分野でも、また、地震や津波などの自然災害への備え、つまり安全・安心の政策についても、この日本一、いや近畿一という言葉さえこれには載っておりません、それだけ、県民の皆さんが健康で明るい日々を送り、生き生きと元気な人生を和歌山県において全うすることを仁坂知事は本当に望んでいるんだなと、私はその慈悲深いお心に改めて敬意を表する次第でございます。
 しかし、昨年9月議会で資料として提出し、この長計の参考となった平成17年の国勢調査をベースとした都道府県別健康寿命等の状況では、和歌山県の男性の平均寿命は78.08歳で全国で41位、女性は85.27歳で全国で43位、また、健康寿命はさらに下がって男性は75.06歳で42位、女性は78.45歳で45位ということでしたが、そこで特に注目したのは、女性において平均寿命が和歌山県とほぼ同じ43位の茨城県より、和歌山県の健康寿命が2年2カ月短いということをこの場で公表さしていただきました。
 本日は、お手元に、今度は平成22年度の国勢調査をベースにしたものをお配りしております。これによりますと、和歌山県の平均寿命は男性79.07歳で、平成17年度の41位から37位になりましたが、健康寿命は76.52歳で、平成17年度より数値は伸びておりますが、42位のままとなっております。
 また、女性は平均寿命が85.69歳で45位、健康寿命が79.46歳で46位と、いずれも平成17年度より数値は伸びているんですけれどもランクを下げ、この表を見れば肝心の健康寿命が一目瞭然、極めて最下位に近いということであります。
 仁坂知事、これは平成22年度の国勢調査なんです。平成20年4月発表の長計の達成期限は、たしか10年ではなかったでしょうか。つまりあと4年6カ月しかありませんが、本当に健康長寿日本一わかやまは達成可能なのでしょうか。
 そしてまた、この8月1日に朝刊各紙に載っておりましたけれども、全国の市区町村別の平均寿命、これは47都道府県ではなく1898の市区町村別なのですが、男女とも平均寿命の上位、下位5つの市区町村の名前とその年齢が載っておりました。
 それによりますと、男女とも平均寿命の一番短いのは大阪市西成区で、その原因を西成区の福祉保健担当者に電話して聞いてみたところ、男性はやはり日雇い労働者が全国から集まってきて、仕事柄、寿命が短いのではないかということでした。また、女性は他市区町村に比べ男性より人口が少ない上に、やはり同じような傾向があるのではないかと言葉は濁しながらも言っておりました。私、テレビのドキュメンタリー番組等でしかその様子を見たことはありませんけれども、何となく理解ができるような気がいたします。
 問題は、他府県のことではなく、女性の平均寿命が全国1898市区町村の中で大阪市西成区に次いで短いのが、何と和歌山県御坊市なんです。私の尊敬する中村裕一議員の地元でございますので、これを言うのは少々心苦しいんですけれども、健康長寿日本一わかやまの実現に向けて避けては通れないので、御容赦いただきたいと存じます。
 しかも、大阪市西成区の女性の平均寿命が83.8歳に対し、御坊市は84.0歳でしかありません。ほとんど変わらないということであります。また、女性の一番平均寿命の長い沖縄県北中城村は89歳ですので、御坊市は何と平均で5歳も短命であるということになります。
 そして、これは厚生労働省のデータですので、ホームページから詳しいデータを出しますと、こういうのがございます。上位、下位50市区町村のランキングというのがありまして、その女性の下位50の中に和歌山県は御坊市を含め、かつらぎ町、那智勝浦町、橋本市と、4市町が入っております。全国ですよ。1898の中で……(「よう入った」と呼ぶ者あり)そうです。地元の先生から言われると非常に恐縮でございますが。
 ちなみに、お手元の平成22年度のこの都道府県ランキングで男女とも平均寿命が最下位の青森県は、下位50位の中で男性24、女性11の市町村が入り、逆に男女とも最上位の長野県は、上位50の中で男性19、女性12の市町村が入っております。当たり前と言えば当たり前なのですが、上位、下位問わず、それぞれの県の市区町村はそれなりの結果を出していることがこのデータからも明らかであります。
 さて、ここで福祉保健部長、これはこの後の質問とも関連しますが、このような状況の中で健康長寿日本一わかやまを本当に目指すのであれば、県当局の本気度が問われていると私は思います。
 ちょうど1年前に同じ質問をしたときに仁坂知事は、「現状は、御指摘のとおり、目標──つまり健康長寿日本一ですね──にはまだまだ遠い。しかし、この目標に向かって、強い意志を持って頑張らにゃいかんというふうに思っております」。そして、県民参加型の健康増進等については、「これからさらに力を入れて頑張って、健康長寿日本一わかやまを目指して関係部局が一致団結して取り組んでいきたいと考えております」とはっきりと答弁されています。
 しかし、平成22年度の平均寿命、健康寿命の結果が新たに出て、さらにランクが落ちているという状況が明らかになった中で、県庁の関係部局が一致団結して先に進むためにも、私はやはり健康長寿日本一わかやま推進会議の設置が必要だと思いますが、福祉保健部長、御答弁ください。
 1問目を終わらしていただきます。
○議長(山田正彦君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 健康寿命を伸ばし、健康長寿日本一わかやまを実現するため、県では、運動による健康づくりや生活習慣病の予防、がん等の疾病対策、感染症対策等の施策に取り組んできたところです。
 本年度からは、従来、保健所単位で実施していたリレーウオークを全市町村で実施する健康づくりの取り組みを進めるとともに、がん検診の受診率向上のため、対象者一人一人に受診券をお送りする事業を実施しております。
 今後、県として関係部局が横断的な連携を進め、県民の健康づくりに一致団結して取り組んでいくため、福祉保健部が中心となり、健康長寿日本一わかやまを目指すための推進会議を設置してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございます。
 健康長寿日本一わかやま推進会議を庁内に設置していただくということ、大変この言葉、重く受けとめております。今後の推移をじっくり拝見さしていただきますので、どうぞ気合いを入れて質の高い推進会議をつくっていただくことを心より望む次第でございます。
 それでは、次に移ります。
 さて、私が健康長寿日本一わかやまについて平素県民の皆さんに語るとき、必ず言っていることがございます。それは、健康は個人個人のもんだけれども、健康を害したとき、つまり医療や介護のお世話になったとき、それは個人のお金だけでは済まされません。保険や税金がそこに投入されます。だから、健康を害するということは、個人の負担だけではなく、国や市町村、それに保険と、つまりみんなの世話になるということなんです。また、その方のみならず、家族や周りの方にとって不幸であるということは言わざるを得ません。それだけに、健康寿命を伸ばし、要介護期間を短くすることは、今後、大変重要なのではないでしょうかということを常に申しております。
 お手元の資料をもう一度ごらんください。
 実は、今回も茨城県と和歌山県の平均寿命は男女ともほぼ同年数で、それを同じと仮定したとき、つまり男女が同じ長さの人生でどれだけの要介護期間の差があるかというと、男性で8カ月、女性で1年9カ月、和歌山県のほうが長いということになります。そこで、介護内容というのは個人個人違うので、一概に言いにくいのかもしれません。例えば、若いときから運動習慣や正しい生活習慣を身につけ、健康づくりをすることによって、介護認定が遅くなるということは十分考えられます。
 そういったことで、和歌山県の要支援1や2、さらに要介護1などの介護認定の軽度の方の要介護期間が茨城県並みになったときに、介護費用はどれぐらい減ることが予想されるのでしょうか。つまり、その間の介護負担額について、男性で総額幾ら、女性で総額幾ら、そしてその合計は総額幾らになるでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県と茨城県の要介護期間の差の要因としては、本県のほうが介護サービスを必要とする割合が高い75歳以上高齢者やひとり暮らし高齢者、夫婦のみの高齢世帯が多いといった状況、さらに介護サービスの量、提供状況等も異なることが考えられます。
 このように状況が異なる茨城県と対比して本県における介護費用の減少額を試算することは非常に困難ですが、議員御指摘のとおり、健康づくりを進めることにより、主として要支援等になる時期が遅くなると推測されます。
 仮に茨城県との要介護期間の差をもとに軽度者の要介護期間が一斉に短縮されたとした場合には、介護に必要な費用は、年間で男性が8億5000万円、女性が29億3000万円、合計約38億円減少する計算となります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 知事初め議場にいらっしゃる皆さん、算数の正解を書くようで大変恐縮でございますが、その空欄に男性8億5000万、女性29億3000万、これ、ざっくりですが、合計で38億。38億といいますと、38の後にゼロが8つつくんですね。これはあくまで概算ですが、ぜひ頭の中へ入れていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に移ります。
 健康保持増進を考える上で、健康の3要素として、運動、栄養、休養、そしてそれをチェックする健康診断、さらには精神的、社会的な要素など、さまざまな角度から考えていかなければなりません。
 それに、今回の質問に当たり、私は、そのために3月から健康運動指導士や保健師、さらには栄養士など、いわば専門家の会合に出席をさしていただき、意見交換をし、また、行政では海南市くらし部健康課へ行き、部課長や担当職員から、直接住民に接する立場からの取り組みや意見も伺ってまいりました。
 この2月議会において、現役世代の健康づくりのため、ミドルエクササイズの考案ということを提案したところ、西下教育長から、「新たにミドルエクササイズをつくることも一考ですが、ウオーキングやジョギングを初め、誰もが経験したことがあり、また、最近その効果が見直され、ブームにもなってきているラジオ体操などが、手軽にできるエクササイズとして有効だと考えております」という答弁をいただいたので、4月に入り、東京の虎ノ門にあるNPO法人ラジオ体操連盟、また大阪北浜にある同近畿事務所、さらに和歌山県での窓口になっているJPかんぽ生命を訪ね、全国の状況と和歌山県の現状を調べましたが、残念ながら和歌山県は、ラジオ体操について、ほとんどと言っていいほど熱心ではないということがわかってまいりました。
 それではどこがこのラジオ体操に熱心なのかと聞きましたら、東京の下町、つまり墨田区や葛飾区で盛んにやっているということを聞きましたので、後日、墨田区のラジオ体操連盟の佐藤幸一会長と岩田道子副会長を訪ね、お話を伺ったところ、墨田区ではラジオ体操に取り組んで60年になるということで、墨田区は約27万人の区で、現在も区内35カ所で365日毎日やっているということでした。その定着した理由は、自営業者が多いので、自分たちの健康は自分たちで守るという意識が強く、自発的にやっているということで、ことしの東京国体でも、墨田区はラジオ体操のデモンストレーション行事の区に指定され、1万人を集めて行うということでありました。
 これは大変すばらしいことなのですけれども、これではこれから普及をしていこうという和歌山県の参考にならないなと思い、それでは行政主導で行っている市町村はないのかと東京都ラジオ体操連盟の役員でもある岩田副会長にお聞きすると、埼玉県の鶴ヶ島市というところが熱心であるということだったので、先月、また鶴ヶ島市へ訪ねてまいりました。
 同市では、平成11年より当時の市長の命を受けて、今回お会いしました石川春美さんという保健師さんが中心となり、東京からNHKやラジオ体操連盟の指導者を毎年数日呼んで、そのたびに多くの市民に声をかけ、その後、できるだけ各地域で実践する自主運営組織づくりを徹底したところ、現在では人口7万人の市に21カ所、ほとんど年中活動するクラブができたと石川さんが言っておられました。
 墨田区も鶴ヶ島市も進め方には違いがありますが、最終的には地域住民が健康増進のために熱心にラジオ体操に励んでいるということはよくわかりました。しかし、そこで、参加してる方の年齢層はとお聞きしますと、どちらともほとんどが70歳以上であるということでありました。
 考えてみますと、早朝6時半に集まって一斉に体操する場合、なかなか働いている人たちが参加することができないのは当然のことかもしれません。それだけに、この2月議会において西下教育長が答弁されたミドルエクササイズとしてのラジオ体操はいいのですが、では、どのようにして60歳までの現役世代の方に普及さしていくことができるのか、正直疑問を感じました。
 そこで、詳しく調べてみますと、教育委員会のスポーツ課には職場体育連盟という所管する組織があり、全部で22団体、合計2万1800人で構成されていますが、ここに浸透さしたとしても、和歌山県の60歳までの勤労者人口約35万600人の6%にしかなりません。
 教育長、この点を踏まえて、ミドルエクササイズとしてのラジオ体操の今後の取り組みについてお答えください。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育委員会では、生涯スポーツ振興の観点から、ミドル世代を含め、広く県民に対してスポーツの楽しさやおもしろさを伝えるとともに、そうした機会を提供することを使命として取り組みを進めております。
 他方、健康の保持増進など社会的課題に対しても、その必要性、重要性を広く県民に啓発していくことが重要であると認識しております。
 そうしたことから、今年度、地域スポーツ指導者等研修会を創設し、ラジオ体操の講習を実施したほか、庁内各課主催の健康関連セミナー等での出前講習を行うなど、取り組みを進めているところです。
 今後、全県的な取り組みに広めていくためにも、市町村教育委員会はもとよりNPO等とも連携しつつ、スポーツ推進委員や総合型地域スポーツクラブ関係者を初め、退職教員などにも参加を呼びかけ、約200人のラジオ体操指導員を養成するとともに、県内15カ所程度で約1000人の方々に正しいラジオ体操を体験していただくラジオ体操体験教室を開催したいと考えております。
 さらに、「出張!県政おはなし講座」などの制度を積極的に活用するとともに、健康推進課を初め関係部局と連携を密にし、養成した指導員を活用しながら、地域におけるラジオ体操グループづくりを推進するほか、ミドル世代への取り組みについて検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 教育長、どうもありがとうございました。
 約200名のラジオ体操指導員の養成と、県内15カ所で1000名の方々に正しいラジオ体操を体験してもらうという具体的な数字を挙げていただき、本当にありがとうございます。
 実は私、7月7日のこの講習会にも、大変暑い中、参加をさしていただきまして、途中でリタイアする方も大変多かったですが、ラジオ体操も本気になってやるとすごいきつい運動なんですね。それだけ効果があると思います。
 今後も私も参加さしていただきますけれども、これは今後の課題です。先ほど推進会議を設けていただくということを福祉保健部長に言っていただきましたけれども、そこだけに頼らずに、ぜひとも教育委員会といたしましても、やっぱりこれはミドルエクササイズとしてラジオ体操という名称が出てきたわけですから、どうして、そこにどのようにして浸透させるかということをぜひとも考えていただき、それは大きな今後の課題ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に移らしていただきます。
 この項目の最後に、健康推進員についての質問でございます。
 この2月議会において、長野県の保健補導員制度が同県の健康長寿の実現において大きな役割を担っているということを述べました。
 長野県の人口は212万人ですが、全77市町村に組織化された保健補導員制度があり、全県で約1万1000人の方たちがボランティアとして常に県民の健康保持のために活動しているので、ぜひ和歌山県でもこのような制度をつくるべきではないかとこの2月議会で質問したところ、当時の山本福祉保健部長は、「今後、各地域における健康づくりのリーダーの拡充と養成を通じて、地域・職域連携推進協議会をさらに実践的な活動ができるきめ細やかな組織に発展させ、長野県の保健補導員のような地域に密着した健康づくり活動を幅広く実行してまいります」と答弁されました。
 その後、和歌山県内の各市町村を調べてみますと、保健補導員という名称ではありませんが、健康推進員という総称で、県内30市町村のうち11市町で合計696名の方たちが同じような地域保健のボランティアをされていることがわかってまいりました。
 例えば有田市では、健康づくり推進員という名称で63名の方が健康増進事業や健康づくり推進事業への参加と協力──主に健診受診啓発と研修会参加、また白浜町では、すこやか推進員という名称で107名の方がやはり地域での健診の啓発や料理教室・子供料理教室の開催、健康まつり参加協力のための活動をされているということがわかってまいりました。
 しかし、長野県は人口212万人で、保健補導員は、先ほども申しましたように約1万1000人ですから、人口がその半分弱とはいえ、和歌山県で696名というのはいかにも少ないと言えます。それに、この10市町の中にはかつらぎ町は入っておりませんけれども、先ほど申し上げました女性の平均寿命が全国下位50の中に入っている御坊市でも63名、橋本市で48名、那智勝浦町で11名と、少ないとはいえ、一応そのような役割を持ったボランティアの方がいらっしゃいます。しかし、このような結果ということは、大変失礼なのですが、この地域での制度が余り効果が上がっていないと言わざるを得ません。
 やはりここで県が、この健康推進員の制度設計を含めて、リーダーシップを発揮して人材育成をすべきものだと私は考えておりますが、福祉保健部長、今後の計画について、はっきりとお答えください。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 生活習慣病を予防し、県民の健康づくりを推進するためには、1次予防として運動による健康づくりや食生活の改善、2次予防として健診の受診等が重要です。そのため、健康推進員制度を創設し、健康推進のリーダーとなる人材を年間500人、5年で2500人を目標に、各保健所で育成してまいりたいと考えております。
 今後、県民の健康増進のため、その制度を活用し、ラジオ体操などの気軽に参加できる運動や健康教室等の周知、健診の呼びかけ等、身近でよりきめ細かい取り組みを行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 年間500人、5年間で2500人を目標に健康推進員をつくっていただけるということで、きょうは、先ほどの教育長の御発言、200人のラジオ体操指導員をつくる、また、一等最初の中川部長の健康長寿日本一わかやま推進会議をつくるということをはっきり明言していただいて、まさにこれは仁坂県政の真髄だな、やはりこうやってきちっとはっきりと物を言って、数字を挙げて、それを我々が後を検証さしていただくと、そういう姿勢が本来の県政だと思いますので、ぜひともこの年間500人、5年間で2500人を目標に、これは健康寿命の短い和歌山県民にとっても希望の持てる数字だと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 それでは、大きな項目2番目に移らしていただきます。
 紀州よさこい祭りに見る地域リーダーの育成と市民力向上についてですね。
 さて、冒頭申し上げましたけれども、紀州よさこい祭りは、当初2人の若者の発案からこの祭りの種が和歌山にまかれ、芽を出し、やがて幹が育ち、枝を張り、葉をつけ、そして今ではみんなが見たくなるような美しい大輪の花を咲かせたのではないかと私は思います。
 もちろん、私もこの祭りのサポートのために現地調査にも行ったんですが、本場高知のよさこい祭りや北海道のYOSAKOIソーラン祭りのように、いわゆる観光商品としてはまだまだ課題のあることは十分わかっております。しかし、この祭りは、もともと祭りを通じてこの和歌山を元気にしたいという熱い思いからスタートし、そのために運営資金は全て自分たちで集め、行政から資金援助は受けないという姿勢で行ってきました。
 今から12~13年前でありますけれども、NPO活動を通じて知り合った彼ら2人から相談を受け、まず少しでも多くの人に体験してもらおうと、私の日本拳法の道場を開放し、定期的に、見よう見まねですが練習から始めました。そのうち、いろんな方が踊りのおもしろさに引かれ、集まってくるようになり、また、それまで和歌山になかった踊りだけに、いろいろなイベントに呼ばれるようになりました。その楽しさを多くの方々に伝えてきました。
 そのことによって、さらに踊りたいと言う人がふえ、練習場もとても私の道場だけでは入れなくなり、近くの雑賀崎小学校や私の地元であります今福小学校の体育館を借りるようにし、そこからまた別のチームを発足させるなど、踊りの輪がどんどんと広がってまいりました。
 ちなみに、この私どもの道場で最初つくられたチームこそ、知事もよく御存じの、毎年大賞を含め上位に入賞している和歌山MOVEというチームが最初でございます。
 祭りの運営資金につきましても、平成16年の第1回大会では、当初最低800万という予算が出され、最初はみんな、ほとんどが若者中心でしたので、大変驚いてちゅうちょしましたけれども、お互いに励まし合い、力を合わせて、その予算額を大きく上回る1490万円を集めることができ、力強く前に一歩出ることができました。
 そして、毎年少しずつとはいえ確実にパワーアップし、ことしの運営資金約3250万円も自分たちで集め、財政基盤もしっかりした体制をつくり上げました。スタッフも当初数名で発足したものが、今では100名近い実行委員と地域スタッフ約200名、当日参加のボランティア約300名と、600名を超える人たちが無償でこの祭りを支えております。
 恐らく、これは和歌山県でのNPOが主催するイベントの最大のものであると考えますが、紀州よさこい祭りに学ぶべき点は、決してこれは一過性のものではなく、12~13年前にほとんど和歌山の人が知らなかったよさこい踊りというものを地道な地域活動を通じて広げ、何度もの失敗と成功体験を重ね、今では県内に広く知れ渡り、県民活動として高く評価することができるのではないかと思います。
 そこで県政においても、これから起こるさまざまな問題に対して、知事、議員、県職員だけではなく、問題意識のある個人や団体が共同して取り組み、県民運動を起こすことで必ずや解決に導くものだと私は思います。それだけに、ここに至るまでの紀州よさこい祭りのプロセスを県としても大いに学び、県民が本当に意識を持って参加してもらわないと到底目標を達成することができないことなど、この手法を活用するべきものだと思います。
 もちろん、同好の士が中心に集まる祭りやスポーツとは全て同じ手法というわけにはいきませんが、例えば先ほどの健康長寿日本一わかやまを本当に達成するには、このような手法が参考になると私は考えております。
 紀州よさこい祭りなどから学び、地域リーダーを育成し、市民力を向上さしていくことについて、環境生活部長、どのように考えられているかお答えください。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長塩崎 望君。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) NPO紀州おまつりプロジェクトが主催するおどるんや~紀州よさこい祭り~は、和歌山を元気にしたいという若者の熱い思いから始まった祭りで、回を重ねるにつれて大きくなり、第10回を数えることしは、県内外から100チーム、約4000人が参加する和歌山を代表する祭りとなりました。行政の主導ではなく、地域の方々とともに祭りをつくり上げる中で地域のつながりが再認識され、地域の活性化に多大の貢献をしている祭りです。
 この祭りでは、自分たちで地域をつくり上げていこうとする地域リーダーが育ち、祭り全体を運営しています。県内には、このような地域のさまざまな課題に対し、それぞれの分野で自主的、自発的な活動を展開している地域リーダーがいます。
 県といたしましても、よりよい地域づくりのためには、地域の方々とともに協働していくことが重要であると考え、行政だけではなく、NPO、地縁組織、企業等、地域における多様な担い手が連携して取り組みを進める支援をしているところです。紀州よさこい祭りを1つのモデルとして協働、連携を深め、目標に向かって活動を充実することにより、県民の力を高めていきたいと考えています。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、紀州よさこい祭りに大変な評価をいただきまして、本当にありがとうございます。これは内田、上森両君を初め、この祭りにかかわるスタッフ、ボランティア数百名の方たちも大変喜ぶと思います。
 これから新しい県政の諸問題の解決の手法として、こういったいわゆる市民活動、県民活動をいかにうまく連携していくかということが今後大事なことだと思いますし、私、前の県議会で言いましたけれども、例えば子供の体力──1人、2人のチャンピオンをつくるのは簡単なんですが、全体をかさ上げするということは大変なことなんですね。それが今、全体がずるずるずるっと和歌山県は落ちてきてるという、健康寿命1つ見てもそういう状況ですので、ぜひともこういった市民の内側から出てきたノウハウというのを県政もうまく活用して、お互いに伸びていくように、行政も県民の皆さんも喜んでいただくように、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、最後の質問をさしていただきます。
 ここで、質問の内容をがらりと変えまして、私の地元であります和歌山市を活性化するための基盤整備についてであります。
 基盤整備といいましても、いわゆる道路を通し橋をかけるという話ではなく、私が思う広い意味での基盤整備で、それは、和歌山市の活性化について本当に必要なのは、私は大阪との鉄道時間の短縮であると以前から考えておりました。このことを多くの和歌山市民の方に語ると、ほとんどの方が賛成してくれます。もちろん、全てがそれで活性化するとは言いませんが、大きな起爆剤になると思いますので、ここで質問さしていただきます。
 まず、余談になりますけれども、先日、大阪である会合がございまして、その後の懇親会の席上、初対面の大阪の方に名刺を渡しまして「和歌山からきょう参加しました」と言うと、驚いた顔をして「えらい遠いとこからきたんですな。今晩帰れますか」と、冗談とも本気ともつかぬ言葉が返ってまいりました。たしか、まだ夜の8時ぐらいであったと思うんですけれども、恐らくこの議場にいらっしゃる方もそういった経験がおありだと思います。大阪の方に和歌山から来たと言うと、何か地の果てから来たように思われてるんですね。京都や神戸、また滋賀や奈良ともそんなに距離的には大きく変わらないと思うのですけれども、和歌山イコール遠い国と思われている原因の1つに鉄道時間の長さがあると思います。
 また、私、今でも月に1~2度、JR和歌山駅前で朝立ちをして、「がんばろう日本」、東日本大震災並びに台風12号紀伊半島被災、水害の義援金活動、募金活動をしておりますけれども、そのときに、ちょうどあのラッシュ時にJR大阪駅へ直行で行く紀州路快速という電車を見ても、ほとんどとは言いませんが、人が非常に少ないんですね。満員でぎゅうぎゅう詰めということは決してありません。もちろん、このJRだけではなく、南海線で大阪に通勤されてる方もいらっしゃいます。
 しかし、その紀州路快速で天王寺まで65分、大阪梅田まで81分と、相当な時間がかかるんです。和歌山から天王寺まで61.3キロ、また、同じく大阪梅田まで72キロ、電車の時速でいいますと天王寺まで56.6キロで、天王寺から大阪梅田までは環状線に入りますので、さらに時速は遅くなります。
 しかし、他の都市、例えば京都から大阪梅田まで42.8キロで28分、時速91.7キロメートル、神戸三ノ宮から大阪梅田まで30.6キロで23分、時速79.8キロ、滋賀大津から大阪梅田まで53.8キロで40分、時速79.2キロということになり、もちろんとまる駅の数により時間差はありますけれども、天王寺―和歌山間は時間がかかり過ぎるということは、もう本当に今の所要の時間を見ていただければわかるように、これで和歌山と大阪の心理的な距離感を持っているということを私は常々感じております。
 私は、いつもこの席で質問のたびに、決してこれ、当局に対する嫌みでも何でもなしに、国立社会保障・人口問題研究所が出してるデータによると、これから和歌山県の人口は、全国に先駆けて、現在の99万人が22年後の平成47年には73万人に、そのとき和歌山市は現在の37万人から28万人になるという人口推計もあります。
 そのようなときに、企業誘致も大事でしょうが、それより思い切って大阪を和歌山に近づける、つまり通勤時間の一層の短縮により、現在大阪に住んでいる和歌山出身の人たちも住みよい和歌山市に戻っていただくことによって再活性化を図れるのではないかと、そのように私は本当に思います。
 もちろん、簡単にいかないことはわかっております。しかし、現在、特急くろしおでは和歌山―天王寺間は42分で行けますし、先ほどの京都―大阪間の電車の速度で和歌山―天王寺間を走らせますと、さらに時間は短縮されて約40分で行くことができるんです。これは、今はまだ夢の通勤快速かもしれませんが、そのことにより和歌山市は、大阪市の通勤圏の中でも大きな都市として私は新たに生まれ変わると思います。
 もちろん、天王寺から乗りかえもあるでしょうが、主に通勤する電車を40分程度に抑えることにより、住環境のすばらしいこの和歌山市は、単にベッドタウンとしてだけではなく、人口激減の厳しい時代の流れの中で、現役世代の定住人口を少しでもふやすことにより、土曜、日曜は地域ににぎわいが戻り、活力を取り戻したまちに再生することも十分考えれると思うのですが、企画部長、通勤電車の時間短縮について御答弁を求めます。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 大阪―和歌山間の鉄道時間の短縮についてでございますが、現在、天王寺―和歌山間の所要時間は、特急くろしおがノンストップで最短42分、快速電車は最短59分で運行しております。JR西日本からは、快速電車を特急くろしおと同等の40分程度に短縮するためには、天王寺―和歌山間をノンストップで走らすこと、それから阪和線内を運行している列車の本数を極端に減らすなどの対策が必要であり、利用者の利便性を損なうことから、現実的には困難と聞いております。
 しかしながら、大阪と和歌山の時間距離の短縮は、本県にとって交流人口、定住人口の拡大や地域の活性化につながることが期待されますので、少しでも所要時間が短縮されるようJR西日本に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 野田部長、どうもありがとうございました。
 今の御答弁、現段階ではまさにそのとおりだと思います。
 先日、鉄道に詳しい方から、現在、天王寺―和歌山間を走っている223系や225系の最高時速が120キロということを聞きました。もちろん、マックスで最高速度で走るわけにいきませんけども、例えば87%ぐらいのスピード、つまり105キロで行けば、和歌山―天王寺間は35分も夢でないということを耳にしました。私いろんな方にお話しして、和歌山―大阪間を35分で行くと、大阪に住んでる和歌山の方、恐らくまず和歌山へ帰ってきますよ。絶対この和歌山のほうが住環境がいいわけですから。そのように思います。
 今は、まだこれも夢の夢の通勤快速でありますけれども、今、東京オリンピック招致でいろいろマスコミがいいように、いろんなことを東京、東京ということで訴えておりますけれども、忘れもしません、昭和39年、我々、たしか小学校3年、4年ぐらいだったと思うんですが、それから3年ほどたって、中学校の修学旅行で夢の超特急ひかり号に初めて乗りました、和歌山の田舎者が。びっくりしました。当時、東京―大阪間を3時間10分で走ったんですね。こんな速い電車があるんか。
 当時、まだ和歌山の紀勢本線はたしかSLが走ってましたですね。私、高校へ行くときに、ちょうど高校は湯浅でしたから、湯浅へ行ったときにSLが走ってた。あれ、非常に今、詩的にいいように言われてますけれども、窓をあけると炭が飛んでくるんですね。顔が真っ黒になったことがありますけど。
 そういった時代に、何ともう同じ時代に東京―大阪間を3時間10分で走った。それが今では40分も短縮されて、のぞみ号が2時間30分で東京―大阪間を走るように現実になってます。しかも、これから10数年後、リニアモーターカーができたら東京―大阪間を1時間で行けるようになるということであります。
 そんな時代に、東京、大阪、いわゆる国土軸だけじゃなしに、この和歌山のようなとこが、これから人口が本格的に激減する地域がこのまま黙ってていいのかと私は真剣に思います。
 もちろん、高速道路のミッシングリンクの解消も必要でしょう。しかし、私は和歌山の選出の県会議員としてはっきり言いますが、鉄道時間を短くすることによって和歌山はもう一度よみがえることができる、これは強く思っておりますし、知事も和歌山市出身でありますんで、ぜひとも和歌山市のために気合いを入れていただいて、ばっとこの鉄道を短くすることをぜひともJRにも働きかけていただきたい。
 これは今回初めての質問で、これについて私はどうのこうの言うつもりはございませんけど、今後じっくりと調べまして、いろんな方法、鉄道時間を短くする、いわゆる距離を短くする方法はないか考えてまいります。
 いろいろと申し上げましたが、きょうは本当に各部長から、また教育長からはっきりとした御意見を聞かしていただき、大変ありがたく思います。健康長寿日本一わかやま、これでようやく一歩前へ進んだと思いますけれども、ただ、あと4年半しかございませんし、先ほどのこの表、データはあと5年後にまた出ますから、そのとき、私、議員をさしていただいてたら、必ずそれを提示して「知事、これ、どないなってますんよ」という話をさしていただきますんで、どうぞよろしくお願いいたしまして、私の一般質問とさしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきたいと思います。
 第1の柱は、平和の問題です。
 8月というのは、平和を考える季節です。広島、長崎の原爆の日があり、広島・長崎市長の平和宣言や子供の平和への誓いは毎年感動的です。私たち海南市でも、日中両国平和の塔の前で平和の集いが開かれ、戦争体験者の話を聞き、平和への決意を新たにいたしました。アジア太平洋戦争が終わって68年、戦争体験、原爆体験を語れる人が少なくなった中で、悲惨な戦争体験を語り継ぐことは大変重要になっていると思います。
 そんな中で、原爆体験を伝え、世界中に翻訳されている中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」が、松江市の小学校や図書館で子供が読めないように措置されていたという問題があり、多くの批判の声が上がりました。
 和歌山県では、8月を前にして、和歌山県原爆被災者の会、県原水協、核戦争防止和歌山県医師の会、非核の政府を求める和歌山県民の会の4団体が和歌山県に平和行政の要請を行い、私も毎回同行させていただきます。ことしは知事室長さんにお会いして、被災者の会の楠本熊一先生が、「原爆被災者は高齢化しているけれども、生きている間は訴え続けたい」と熱っぽく訴えられました。そして、被爆者にとって最後の仕事だという新しい原爆パネルを県でも活用していただけるようになりました。原爆の実相を残酷過ぎるということで隠すという動きもある中で、このことは大きな意味があると考えています。
 そこで、まず教育長にお伺いいたします。
 「はだしのゲン」など原爆の悲惨さを語り継ぐ出版物は、子供たちの平和認識にとって大事なものだし、それを子供から隠すなどということはとんでもないと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(山田正彦君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 児童生徒が平和や人権などに関する事柄を学ぶ際には、戦争や原爆などに関するさまざまな図書が使用されています。本来、学校図書は児童生徒に閲覧させることを目的に所蔵されていることから、本県では閲覧を制限した例はございません。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 続いて、学校では平和教育は積極的に取り組まれているでしょうか。8月6日または9日を登校日にし、あるいはその前後の日にでも平和を考える授業や行事を行っている学校もたくさんありました。最近、そうした取り組みはいかがでしょうか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内のほとんどの公立学校では、夏季休業中の登校日や修学旅行の事前学習、文化祭等において、平和に関する講演や映画、朗読劇の鑑賞等、児童生徒に平和の大切さを学ばせる機会を設けています。また、国語科、道徳、ホームルーム活動などの学習活動を通して、児童生徒が平和のとうとさ等について自分の考えを深める学習を行っております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 教育長は、個人的にも原爆については特別の思いをお持ちだというふうにお聞きしています。その思いも生かして、しっかりと現場を指導していただきたいと思います。
 次に、購入されたパネルは、年1回の人権フェスタの展示には活用されるとお聞きしています。それだけでなく、広く貸し出しをし、県民ロビーを使って原爆写真展などを開かれてはいかがでしょうか。福祉保健部長からお答えください。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 唯一の戦争被爆国として、戦争、原爆の悲惨さについて多くの人に伝え、語り継いでいくことは大切なことであり、これまでも多くの人が集まるふれあい人権フェスタでパネル展示を行ってきたところです。
 今年度はパネルを一新しており、今後、県民ロビーや渡り廊下等でのパネル展を開催するとともに、場所の提供やパネルの貸し出しを検討するなど、平和に対する県民の意識がより一層高まるよう取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 前向きの答弁、ありがとうございました。
 私は、ここに「語りつがねばならないこと」という原爆被災者の会の2冊の冊子を持ってきております。1つは1986年、1つは1995年に発行されたものです。冒頭には、仮谷知事が序文を載せておられる。古いほうは、県議会議長では栩野さん、それから新しいほうでは、県議会議長では橋本進さんが挨拶を寄せておられます。こういうぐあいに、県議会としても、県政としてもこういうことには前向きに取り組んでこられましたし、これからも一層、非核平和宣言をしている自治体にふさわしい活動をしていかなくてはならないと思います。
 しかし、この手記を寄せられた方の今何人が生きておられるのか。原爆の恐ろしさを語り継ぐことはますます急がれると思っています。このパネルの購入、活用がその一歩になればいいと思っています。県民ロビーでも、県が主催することに限らず、例えば原爆被災者の会などが開くものに場所を提供するとか──これは和歌山市役所などでもやっていたことがありますが──そういうことも検討されてはどうかと思います。要望として、次へ参ります。
 次に、平和を考える上で避けて通れないのは沖縄です。私ども共産党県議団は、7月末に沖縄視察を実施しました。オスプレイが一部沖縄に配備された直後です。沖縄国際大学の米軍ヘリコプター墜落現場にも行きました。辺野古の海を埋め立ててV字型滑走路をつくろうという現場を視察。辺野古移転は普天間の軽減ではなく、米軍基地の強化・永続化であること、沖縄は米軍基地で経済が成り立っているのではなく、米軍基地が沖縄経済発展を妨げているというお話を聞きました。
 そして、和歌山に帰ってすぐ、米軍ヘリコプター墜落のニュースです。その原因も究明されないままヘリ飛行は再開、オスプレイの追加配備。米軍と日本政府は、沖縄の人たちの痛みや怒りをどう考えているんでしょうか。
 沖縄というのは、日本にとって47都道府県の1つということにとどまりません。アジア太平洋戦争で本土防衛のつい立てにされ、唯一悲惨な地上戦が戦われ、多大の犠牲を出し、戦後、在日米軍基地の7割が置かれてきた県であります。この痛みを共有する、沖縄の人たちの気持ちを知ることが大切だと思います。
 私は、沖縄で大きな事件があるたびに沖縄に行って現地の新聞を読みます。「沖縄タイムス」、「琉球新報」など、私たちが和歌山で読んでいる新聞とは全く違う。沖縄の人たちはこう受けとめているんだと認識を新たにする場合があります。
 そこで、せめて県立図書館にはこれらの沖縄地方新聞を置いてはいかがでしょうか。教育長の答弁を求めたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 現在、県立図書館では、利用者のニーズや設置スペースの問題から、全国の地方紙については寄贈されたもの以外は置いておらず、沖縄県の地方紙だけを購入するということにつきましては、県立図書館が持つ公平性ということからできませんので、御理解のほどお願いしたいと思います。
 ただ、私自身、広島で原爆で被災した多くの友を失い、あるいは家族を失い、そういうことについて、広島の比治山原爆病院というのがありますが、そこにも何度か訪れました。長崎出身の友もいます。そうしたことから、戦争を通して沖縄県民の痛みを共有することは極めて大切なことでありますので、沖縄の現状を語る書籍も含め、平和学習に関するさまざまな資料を県民の方々に提供できるよう、蔵書の充実に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 蔵書の充実という点では前向きの答弁をいただいたんですが、ただ、沖縄は全国47の都道府県の1つではない。だから、沖縄の犠牲者を弔うために紀乃國之塔があり、来月25日には県が主催して慰霊祭をするわけですよ。全国の地方紙を置くことは財政的に無理があるのはわかりますが、沖縄の地方紙を置くということは、沖縄の痛みを共有する一歩として引き続きお願いしたいというふうに思っています。
 こういう問題では、政治家である仁坂知事のほうが感度がいいかもしれませんね。ここで質問はいたしませんが、そういうこともひとつ今後、検討していただけるように要望をしておきたいと思います。
 続いて、2番目の柱に進ませていただきます。
 自然エネルギー開発と風力発電被害の救済の問題です。
 福島原発事故では、汚染水流出が続いています。膨大な国費が投入されることになりました。安倍首相のオリンピック招致委員会での「放射能はコントロールされている」という発言には、唖然といたしました。
 今月15日からは大飯原発が再点検のためにストップし、再び原発ゼロが実現されています。原発ゼロは決して無理なことではないのです。もちろん、電力供給は綱渡り的な状況であることはわかっています。だから2年前から、原発ゼロを決断して思い切った自然エネルギーへの転換を図るべきだ、和歌山県としては、部局を横断したプロジェクトチームで和歌山県の自然エネルギーの可能性を探るべきだというのが私の主張でございました。
 まず、その中で、県が進める施策の積極面からお伺いしたいと思います。
 8月31日の「朝日新聞」に「海洋発電『いける』和歌山県」という記事を見ました。県海洋再生可能エネルギー検討委員会を開き、海流と海上風力発電について検討し、特に海流発電については、有力だという見通しを持たれたということです。和歌山県が持つ自然エネルギーのあらゆる可能性を探るべきだという私の立場からいって、大きな期待を抱くものです。
 どういう見通しをお持ちなのか、商工観光労働部長からお伺いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 国では、海洋再生可能エネルギーを我が国のエネルギー供給源として活用するため、その実用化に向けた技術開発を進めるための実証実験海域を募集しているところです。
 本県は、海洋に広く面するという特性を持ち、海洋再生可能エネルギーの開発可能性が大きいと考えられることから、実証実験海域を選定するために去る8月28日に県海洋再生可能エネルギー検討委員会を開催し、海洋エネルギーのポテンシャルについて検討を行いました。その結果、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電が有望であるとの意見を得たところです。
 今後、潮岬沖の詳細な海流調査や地元漁業関係者、船舶航路との調整等を踏まえ、再度検討委員会で協議の上、実証実験海域の申請に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これに大きな期待をするんですが、「朝日新聞」の記事にも漁業との共存を図ることが課題になっています。何にしても、開発という問題は、人間が暮らせる条件との共存が問題になります。
 そこで、次の問題ですが、私は、自然エネルギーの中で風力発電については、それは期待はするが、低周波被害の訴えに行政として向き合わなくてはならないと申し上げてきました。前回の質問以後、風力発電計画について、日高町池田地区で住民投票が行われました。計画の受け入れは、過半数を大きく下回ったと聞いています。なぜ地域住民の皆さんは、計画を拒否されたんだろうか。それは、隣の町で低周波被害で苦しんでる方がおられる、しかし、行政として対応も救済もされない、自分たちの町に風車が来て、被害があったら大変だと考えられたんだろうと思います。こうして計画は中止になりましたが、隣の町で苦しんでおられる方は、引き続き何の救済もないという状況が続いているわけです。
 まず、商工観光労働部長はこの計画の中止についてどう思われておられるでしょうか。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 多様な電源の確保という観点から自然エネルギーへの取り組みは大変重要だと認識しており、その中で風力発電は、太陽光発電に比べエネルギー変換効率が高く、有効な発電方法であると考えております。このため、2つの風力発電事業計画が住民投票の結果により中止になったことは残念ですが、事業を円滑に遂行するためには、地元の理解、協力が不可欠であるとの経営判断であったものと理解しております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 おっしゃるとおり、地元の理解と協力が得られない限り自然エネルギーの開発は進まないわけです。だから、そういう被害があった場合には、行政も企業も真剣に向き合わなくてはならないというふうに思っています。
 そこで、次の質問ですが、2月県議会では、環境生活部長から、低周波の測定について「地元区及び事業者とよく相談した上で、必要な対応について検討する」という答弁をいただきました。これは、地元から要請があるのを待っているのではなくて、県として地元に働きかけて、地元の協力のもとで測定を行うという意味だと理解しました。
 ところが、その後の新聞報道を見ると、地元から要請があればという待ちの姿勢に報道されている。県議会の答弁とその後の報道による、見る対応が違っている。このことについて、環境生活部長の説明をお願いします。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長塩崎 望君。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 県議会での答弁とその後の対応が違っているとの御質問ですけれども、2月議会では、「由良町での調査につきましては、これまでも由良町、地元区及び事業者との話し合いがなされ、また測定につきましても、現に事業者において実施されている状況でございます。 なお、本来は、当事者である事業者が実施すべきものであると考えておりますけれども、由良町、地元区及び事業者とよく相談した上で、必要な対応について検討してまいります」とお答えしております。
 その答弁のとおり、県では、由良町と話し合いの場を持ち、地元区の意見と地元の状況についてお聞きしているところです。また、住民からの訴えについても真摯にお聞きしております。
 繰り返しになりますけれども、今後も引き続き由良町、地元区及び事業者とよく相談し、県として必要な対応について検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この低周波の問題について、県担当者からは、法律的に規制ができないという返事がよく返ってきます。かつての水俣病を初めとする公害問題でも、国が公害と認めず、また規制基準もない中で、長い間、被害者が苦しんだ末にやっと規制されたという例がたくさんあります。その場合、住民に近い自治体ができることはないのか、まず、やらなくてはならないことが2つあると思います。
 1つは、住民が健康被害を訴えるならば、まずそれを聞き取ることです。どうなんですかということを聞き取って、データを集めること。第2は、その原因を究明する。低周波が原因ではないかと言われるなら、その測定をしてみることです。その結果、ストレートに規制ができるかどうかは別として、その積み上げが問題の解決につながっていくと思います。
 同時に、国の規制基準や県独自の規制条例などつくっていく必要もありますが、被害の実態を共有すれば、その事実をもとにして、規制基準ができる前にでも、事業者と話し合って対策をとることも可能だと思います。そこで、県としては、自然エネルギーの開発を進めるためにも、問題が起こった場合は逃げないで対処する姿勢が必要だと訴えてきたわけです。
 そこで、知事にお伺いするんですが、知事は行政報告会の折に被害者の訴えを直接お聞きになられたそうですが、どう感じられたのでしょうか。問題解決のためにどうしていこうとしておられるのでしょうか。知事からお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 風力発電に係る健康相談については、地元市町と連携し、保健所において対応してまいりました。そういう意味では、聞き取ることとか原因を究明しようとはしております。
 由良町の行政報告会において男女2人の方が後でお見えになって、健康状態の把握とか、問題だから何とかしてくださいというような話がありました。私は、これに対して、例えば、実は区のほとんどの人がもういいですよと言っていて、それで、いや、それは困ると言ってる人もいるわけですが、その人がお見えになった。そういう中で、町なんかは「いや、要望はありませんよ」というようなことを言っていて、どうも、いろんな意見がまとまらないと、県として根拠もなしに動き出すというのはなかなか難しいなあというふうにお答えしました。
 ただ、要望に来られた男女の方お2人がいて、男性の方は弁も立つし、それから、ちょっとひどいことを私は言われましたけど、元気にお見受けしました。しかし、女性のほうの方、この方が健康被害を訴えられてたんですけど、顔色も悪いし大丈夫かなあというふうに、はっきり言うと心配になりました。原因とか、そういうことは別にして、やっぱり健康を害してる状態というのはよろしくないわけですから、ちょっと心配だから様子を見に行ってくださいよというふうに保健所にお願いをして、それで後で行ってもらったという経緯があります。
 風力発電施設に関する低周波音についてどう考えるかと、これは大変難しい問題だと思います。やっぱりいろんな事例をたくさん知ってる方が客観的に基準を設定していくということは大事なことだと思うので、全国の事例なんかを全部統括してる国において早く見解を出してくださいというようなことを、そしたら我々も動きやすいし、そういうことを言っておると。もう既に3度も政府提案をしてるんですが、なかなか動いてくれないというような状態にあります。
 ただ、環境省においては本年度から具体的な検討に入ると、ようやくそういう情報も寄せられていて、はっきり言うと期待しているところであります。
 県としては、雑賀議員も先ほど言われましたように、基本的には自然エネルギーのあらゆる可能性は追求するんだと言われたような同じ気持ちでおりまして、自然エネルギー開発に当たり問題が起こったときは、地元関係者と事業者が協議の上で対応すべきだと考えるけれども、我々も事業者や地元の方と十分情報を共有しながら、地元自治体等に対して必要な協力を行っていきたい、そんなふうに思ってます。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事が被害者に直接お会いいただけたのはよかったと思っています。
 ただ、この低周波被害というものは大変個人差が大きいので、本当に死ぬような苦しみを訴える人もあれば何ともないよという人もおられる。それだけに大変難しさがあるんですが、そういう中でも、この被害の実態をよくつかみながら、そして低周波の測定なども行いながら、国のほうへも働きかけていくことも大事だし、企業とも話し合うことが大事だ。これからも、さらに取り組んでいきたいと思っています。
 次に、太陽光発電の問題ですが、その1つとして、コスモパーク加太の活用についてお伺いします。
 コスモパーク加太に和歌山市がソーラー発電の設置を募集することになったと聞いています。この問題をめぐって、昨年9月県議会で私が申し上げたのは、大きな借金を抱えたコスモパーク加太について、県民負担を少なくしなければならない、福島原発事故の後、自然エネルギーの開発が大きな問題になっている中で、ソーラー発電用地としてコスモパークが注目されるようになっている、その際、県・市土地開発公社の共有地があるという状況では民間からの引き合いにも対応しにくいんやないかという問題、また、土地開発公社の予定している価格ではソーラー発電の誘致は難しいのではないかという問題でした。
 その後、事態の推移は、県担当者の努力もあったのでしょう、県・市共有部分の解消の見通しがついたのか、和歌山市はソーラー発電の誘致に動いたということで、それは結構なことだと思っています。
 和歌山市は、新聞報道では、このことで年間5000万円の借地料を見込んでいるとされています。しかし、県コスモパーク加太の活用はどうなのか。消防学校用地として県が買い上げることを別とすれば、20億円かけて造成した土地の賃料が、加太菜園株式会社も縮小し、傾斜地ソーラーも含めて2000万円程度にこれからなってまいります。
 以上の状況を踏まえて質問したいんですが、第1点、県・市共有地の解消はどういうぐあいに進んでるのでしょうか。企画部長からお答えいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 和歌山県土地開発公社と和歌山市土地開発公社間における共有地の解消につきましては、和歌山市が市土地開発公社の解散手続を進めるに当たり、市土地開発公社の土地を集約化するために共有地を交換し、単独地化を図りたいとの依頼がございました。
 このことにつきましては、県や県土地開発公社としても全面的に協力することとし、現在、県、市、また県・市両公社で協議を重ね、等価交換方式での合意を得て、今後、早期の移転登記に向け、事務手続を進めていく予定としております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 和歌山市は、メガソーラー用地を平米135円ぐらいで貸すことになるようです。
 県の場合は、造成地、未造成地それぞれあるんですが、平米幾らで借り手を探しておられるんでしょうか。また、県が買う消防学校用地は別として、売却の見通しはいかがでしょうか。企画部長からお答えください。
○議長(山田正彦君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 県土地開発公社用地につきましては、県が平成19年度に策定をいたしました新行財政改革推進プランにおいて、早期の土地利活用を推進することといたしております。売却に当たっては、時価である土地鑑定価格としております。
 これらの土地は、企業への売却により多くの雇用が創出されることが望ましいわけですが、一方、返済のスキーム上、幾つかの制約があるものの、長期賃貸を進めることは債務返済の負担を減らすことにつながると考え、メガソーラーも含め、さまざまな可能性を否定せず進めているところです。
 賃貸価格につきましても、市場価格を重視し、公正・公平を確保する必要から、土地鑑定価格を基本としております。さらに、場所や期間など企業からの提案もお聞きしながら、地域経済への波及効果などを総合的に勘案し、検討してまいりたいと考えております。
 売却の見通しにつきましては、コスモパーク加太は大規模用地が確保できること、標高が100メートルあり地盤が強固で自然災害に強いこと、さらに、今後、第二阪和国道や京奈和自動車道の延伸でアクセス面で大きく向上することなどを粘り強くアピールしながら、商工観光労働部とともに企業誘致を実現させ、早期売却に努力してまいります。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私、素人ですからよくわからないんですが、本気で売ったり貸したりするのに、引き合いがあって、鑑定してもらって値段を決めるというようなことで商売になるんかなという、こういう気持ちがいたします。
 それで、値段は幾らか答えてくれよと言うたんですが、なかなかこの大座では言いにくいような話もあって、私も余り細かいことはわかりませんからこれ以上聞きませんけども、和歌山市と違って銀行が抵当権を設定しているから動きにくいという話もよく聞くんです。
 銀行も、債務保証してもらっているから売れようと売れまいと関係ないとは恐らく考えておられないと思います。銀行とも一体になって県民の負担をとにかく、期限が来て債務保証せんなんときに、大分先ですから、私、そのときまで県会議員はしてないと思いますが、しかし、県民は県民であることから逃げられないわけですから、その負担を少なくするために頑張ってもらいたいという立場で、しつこく繰り返しこれからも聞くと思うんですが、質問しているわけでございます。
 次に、第3の柱として、中小企業活性化の観点からぜひとも広げていきたいのは、住宅リフォーム助成制度の問題です。
 私が県議会で住宅リフォーム助成制度について取り上げたのは、2010年の県議会のことでした。当時は、県下にはこの制度を導入している市町村はありませんでした。その後、県内市町村でもこの制度を導入する自治体が広がり始めました。私が在住している海南市でもスタートしたのですが、その前に、高野町ではさらに進んだ助成制度がスタートしています。5万円以上の工事の2分の1、上限20万円を補助する、その1割は町内で使われる商品券を充てるというもので、1000万円の予算が当初計上されました。
 私たちが調査に伺った8月4日の時点で、商品券も含めて800万円の補助金が消化され、工事総額は2600万円に近くなっています。3倍の経済効果です。補助金の財源をお伺いすると、過疎債の発行が認められる。その償還の7割は交付税で賄われるということからいえば、経済効果は10倍です。大工さん、電気、畳、左官など、建設業、職人の皆さんの仕事をふやしています。副町長さんは、リフォーム助成制度で地元業者に仕事が回って喜ばれているとおっしゃっておられました。
 今回の高野町の短期間に大きな成果を上げている経験をお聞きして、ぜひとも県内市町村にこの制度が広がってほしいと思いました。
 県土整備部長にお伺いいたします。県として、市町村がこの制度を取り入れることのメリットをどういうふうに評価しておられるんでしょうか。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 海南市や高野町の住宅リフォーム助成制度に対する県としての評価はという御質問でございますが、議員御紹介のとおり、今年度から海南市と高野町で住宅リフォームに対する補助制度が実施されております。
 海南市では居住環境の向上を目的に、また高野町では、居住環境の向上、さらに定住促進、経済活性化を目的に実施していると聞いております。市町村がそれぞれ地域の実情を踏まえて実施しているので、県として評価するのは適当でないと考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいまの答弁へのコメントは後に回して、次に行きます。
 市町村だけではありません。県レベルでも、リフォーム助成制度が大きな成果を上げています。秋田県では、2010年3月からこの制度がスタートをしました。その後1年半の期間で補助額33億に対して497億円の工事、15倍の経済効果があったと報告されています。市町村の補助制度と相まっての効果です。
 和歌山県でも、もちろん耐震補強の助成に力を入れているわけですが、その一層の改善とともに、住宅リフォーム助成制度もぜひとも導入していただきたいと思うんですが、知事の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 雑賀議員の御政策でありますけれども、相手は私有財産であります。それから、住宅へのリフォームという以外は施策目的がはっきりしない、何でもよろしいということであります。
 ちょっと考えてみますと、国の景気対策なんかに、公共事業等々によって、あるいは住宅投資なんかによって景気刺激をすると──フィスカルポリシーですね──こういうことをやろうというような話にちょっと似てるなあというふうに思いました。
 ただ、そういうときには、そんな目的を決めないでいろいろお金をばらまくのはいかんとか、あるいは、いろんな党がいらっしゃいますが、そういう党の方に多いんですけど、「建設業者の救済のためのばらまきだ。反対」というような話が国政の景気対策のときにもつきまとう話であるということは、我々、よく経験してるところであります。
 それの是非はともかくとして、やっぱり県としては、もうちょっと政策目的を明らかにしたようなものにお金は使いたいな、そんなふうに私なんかは思っております。したがって、県が経済対策としてリフォーム補助そのものを実施するということは考えておりません。
 それでは、住宅に対する補助はないかというと、そんなことはありませんで、例えば和歌山県がすごい悩んでいる下水とか、それから汚水処理、そういうものについてもっと進めようということで、合併浄化槽に対する補助なんかはやっておりますし、それから木造住宅、これが来るべき地震によって大変危ないんじゃないかというようなところが心配されますので、例えば無料耐震診断、あるいは耐震設計、それから耐震改修についても、他県と比較しても多分ナンバーワンぐらいの制度を用意して、それで皆様にお勧めをしてるということでございます。
 そういう意味では、そういう目的に沿ったような形でやっぱりお金を使うことを優先していきたいな。それは、長い目で見ると景気対策にもなるというふうなことだと思っております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 目的に沿ったものというふうに言われたんで、この住宅リフォーム助成制度というのは目的に沿ったものじゃないのかな。ちょっとよくわからないんですが、せっかく全国で大きな経験が生まれているのに、なかなかやっていただけないようです。
 ただ、さっき県土整備部長へのコメントは後でやりますというふうに申し上げたんですが、私は、行政の谷間という言葉をよく使います。自然エネルギー開発のような大きな課題では、部局を縦断したプロジェクトということを言います。県庁の部局というのは、縦割りになっている。もちろん、その全体を知事が仕切っていただいてるわけですけども。
 そうすると、この経済活性化のための住宅リフォーム助成制度という、そういう課題を考えるという場合に、それが県土整備部の担当になるわけですね。私は経済活性化のための住宅リフォームというふうに言うてるわけで、その点、それが適当かどうか、まだ知事とは意見も違うんですけど、その場合に、議論をする段階で県土整備部が担当する。県土整備部というのは、住宅を整備したり耐震化を図ったりする部局で、つまり中小企業を活性化する観点から政策を考える部局ではないわけですね。だから、この市町村がやってることは、中身を紹介しても、それについての評価は控えますという、こういう答弁が返ってくるわけで。
 私は、やっぱりそういう住宅リフォーム助成制度などという問題も、1つ和歌山県の経済を活性化する、循環型の経済をつくっていくという点で多くの市町村では成果を上げているわけで、現に高野町でもそういう成果が上がってきていますから、一遍そういう観点から、知事はもちろん全体として見られて、それなりの判断をされますが、やはり部局としてもそういう観点から検討していただきたいなというふうに思いますので、希望を申し上げておきます。
 それでは、次へ行きます。
 第4の柱は、インテリジェントパーク・リサーチラボにかかわってであります。
 このたび海南市議会で、インテリジェントパーク・リサーチラボを買い取って市庁舎移転をする方向が示されました。海南市議会で特別委員会が置かれて検討してる最中に市当局から結論が出され、県との間で協議が進んでいたことが明らかになりました。市会議員の皆さんにとっても唐突な提案であったようです。
 インテリジェントパークというのは、頭脳立地法に基づいて開発されました。IT企業のための工業団地でしたが、その後、現在では家庭用品など地場産業もここを利用しています。県がかかわった工業用地の中では、最優等生の1つではないかと思っています。その中心施設であるリサーチラボというのは民間会社ですが、県が大株主であって社長は仁坂知事でございます。
 このリサーチラボを海南市役所のためとはいえ譲り渡すという。私は、財政的メリット、交通弱者への対策、現在市役所跡地開発のビジョンなどとともに、インテリジェントパークの位置づけやリサーチラボの展望などを示されないと市民の理解は得られないと思います。
 そこで、お伺いいたしますが、県がインテリジェントパークを開発した本来の目的の中で、現在リサーチラボが果たしている役割をどう見ておられるのか、また、市庁舎のために譲渡に向かうこれまでの経過を商工観光労働部長からお聞かせいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 株式会社和歌山リサーチラボは、旧頭脳立地法に基づき、地域産業の高度化・高付加価値化への支援、並びに海南インテリジェントパークの中核施設として立地する企業への支援を行うことを目的に、国、県、海南市、民間が出資し設立された第三セクターでございます。
 地域産業の高度化・高付加価値化については、県と海南市で連携しながら、地域産業のデザインの高度化、研修事業を通じた人材育成、高速インターネット接続環境を備えたオフィスの提供により、情報サービス企業等の創業支援に大きく貢献してまいりました。海南インテリジェントパークには、地域産業の高度化に寄与するソフトウエア企業、デザイン企業、大学の研究所などが既に進出し、造成用地は完売となっており、有効に活用されています。
 このような状況のもとで和歌山リサーチラボの設立の趣旨を考えますと、地域産業の高度化・高付加価値化への支援については、現在、民間でも同様の機能を持ったところが整備されてきていることから、所期の目的はおおむね達成できていると考えてございます。
 次に、県と海南市の話し合いの経過につきましては、昨年10月、海南市の庁舎検討懇話会において、建設候補地の1つとして和歌山リサーチラボが提案されたことの報告を受けました。その後、海南市では、検討の結果、さまざまな観点から和歌山リサーチラボの社屋を市庁舎として活用することが望ましいと判断し、本年7月の18日に市庁舎としての活用について、県、和歌山リサーチラボに対して打診がございました。
 海南市では、9月市議会に市庁舎整備に係る関連議案を提出しており、これらの議決を経て、県、和歌山リサーチラボへ正式要請を行う予定と聞いてございます。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、市会議員の皆さんや市民にとって唐突だっただけでなくて、そのリサーチラボに入っている企業の皆さんにとっても全くの寝耳に水の話なんですね。ですから、これからどこへ行くのかというんで大変困っているという話もお聞きする。
 そういう各企業の意向などはどうなのか、それにかわる居場所をどう保障されるのか、その点、商工観光労働部長からお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 入居している企業に対して、和歌山リサーチラボより、9月5日に海南市の庁舎移転に関する経過報告を行ったところです。今後、入居企業との交渉は、海南市からの正式要請を受けて、契約当事者である和歌山リサーチラボが行うこととなりますが、海南市も入居企業に対する相談窓口を設置するなどの体制をとると聞いております。
 県としましても、和歌山リサーチラボ、海南市とともに、入居企業のスムーズな移転が実現できるよう協力してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 リサーチラボというのは、株式会社とはいっても、先ほど申し上げましたように、県が大株主であり、それで知事が社長ですか、そういうふうになっている、そういうものです。ですから、そういうところで、今までそれを頼りにして頑張ってきた企業が、とにかく1年か1年半で出てくれと言われたんでは、これは大変です。
 これは民間企業、株式会社の話だ、民の話だというんではなくて、やはり県として、もちろん海南市もそうでしょうけども、市議会でどういう結論になるのかはまだわかりませんけども、どっちにしても、そういうこれまで頑張ってきた企業がとばっちりを受けて困るようなことにならないようにぜひともよろしくお願いして、次へ行きたいと思います。
 最後に、知事が議会冒頭で触れられた紀淡海峡ルートについてお伺いしたいと思います。
 一旦消えたように思われていた紀淡海峡ルートが、最近語られるようになりました。夢を語るのも結構ですが、政治家が政治課題として取り上げるというときには、大局的な判断が求められると思います。
 今、国家財政が大きな借金を抱えていることもさることながら、トンネルの崩落事故がありましたし、トンネル、橋梁、道路、河川、さまざまな老朽化が進んで、その安全のためにも多大の予算をつぎ込まなくてはならないという状況があります。こんな時代に、高度経済成長時代のように夢だと言って突っ走っていいんだろうか。
 いろいろな観点から意見があると思うんですが、差し当たり資源配分の観点からいって紀淡海峡ルート実現をぶち上げるのはいかがかと思います。知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今の御質問だとちょっとはっきりしなかったんですが、通告を受けた話によると、改修とかインフラとか、そういうものが老朽化していて大変なのに、そんな新しい話を、大きな話ばっかり突っ走ったらまずいんじゃないかと、こういうことで理解しておりますが、そういうことでお答えさしていただきます。
 既存の公共インフラの老朽化対策というか維持補修ですね、これはもう大変大事でありまして、実は議員も予算を認めていただいておりますからおわかりと思いますけれども、私が知事になりましてから、壊れる前に補修をすると、それによって長命化を図るという政策を明確に行っておりまして、本県の道路、橋梁については、点検はその前からやってくれてたんですけれども、2400橋ぐらい点検しておりまして、これについて損傷が軽微なうちに修繕、補修を行う長寿命化修繕計画、これは私が知事になってからつくりまして、それで計画的な修繕に取り組んでおります。
 また、緊急輸送道路というのがあります。これは、地震などのときに物資や人員をちゃんと輸送を緊急にしなきゃいけない。その橋が例えば落ちてしまったりしたら大変だということでございまして、これの耐震化をきちんとやっておかないといけない。これは平成16年度から既に着手しておりまして、この間、新聞でそれができてない県が多いというようなお話がありましたけれども、これは大規模な地震で倒壊するおそれのある昭和55年以前の基準で建設された215橋全てについて、平成23年度までに和歌山県では対策を完了しております。そういう意味では、きちんと取り組んでいるというところでございます。
 加えて、これは橋だけじゃありませんので、トンネルとか、のり面とか、舗装というようなことについても、点検が現在、全国的に行われてるところでありまして、その点検結果も参考にしながら、和歌山県においては計画的、効率的な修繕に取り組んでいきたいと、こんなふうに思っております。
 このように公共インフラの老朽化対策を十分進めるとして、一方で将来に向けた取り組みを進める、あるいはそれを提唱していくということも大事なことではないかなと思うわけであります。
 紀淡海峡ルートというのは、実は4つの要素が入る可能性のある話でございます。関西大環状道路のかなめとして、本県のみならず関西全体の発展につながる重要な路線であるとともに、大阪湾の環状道路のかなめでもあります。
 それから、関空を守り立てるために大阪の中心部から、橋下元知事なんかはリニアと言ってましたけども、現在は超高速鉄道という名前にしてます。つまり、新幹線でもいいということですね。そういうものにも、実は同じ方向に沿ったような形として組み立てることはできるし、それから四国新幹線というのは計画路線に政府として認められてるものなんですが、これも1つのプロジェクトとして入るわけであります。
 そういうようなプロジェクトを集めて、力を合わせて、産業振興や観光振興というだけじゃなくて、大規模災害に備えたリダンダンシー確保の面でもこれは有意義なプロジェクトではないかと、やったらどうだという話を日本全体、特に国に要望していきたいというふうに思ってるわけです。
 そういうことで我々は要求をしている、あるいは提唱しているということでございまして、要求や提唱をすることが和歌山県の不利益になるということはない。先ほどのような公共インフラの老朽化対策を犠牲にしてそういうことをやってるわけじゃないということですから、和歌山県民のためになることだというふうには思っております。
○議長(山田正彦君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、これからいろいろな角度から議論していかなくてはならないというふうに思っています。本当にこの紀淡連絡ルートというものが和歌山の活性化のためにどれだけプラスになるのかという問題もあるでしょうし、きのうも白浜の観光地の疲弊という話を聞きながら私は勝手に思ったんですが、果たしてこの橋ができたら、紀南へ向かう人たちが四国のほうへ回ってしまうんではないか、淡路島を通って紀南へ来る客がいるんだろうかということも含めて考えたわけでございます。これはそのときに思っただけの話ですが、いろんな面からこの問題はこれから議論していく課題になるだろうというふうに思っています。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時57分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 では、始めさせていただきます。こんにちは、森礼子です。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。さきの2月議会に続いて、今議会においても食育について伺います。
 まずは、旬をテーマにした食育と農林水産物のPRについてです。
 最近、我が家の食卓に連日、秋の味覚サンマが並びます。娘のリクエストです。きっかけは、放送委員として校内放送に流す原稿づくりに新聞やインターネットを使い、最近の話題を調べている中で旬という言葉に出会い、秋の味覚サンマにたどり着き、夕食で献立にしたところ、「旬のものを食べるとこんなにおいしい、秋だね」と喜び、食事がおいしく楽しくなると話していました。
 今は年中いろんなものがある時代ですが、旬を五感で学ばせることが大切であると感じました。人は子供のときに食べたものを一生食べ続けると言われます。それゆえ、子供たちが大人になっても心身ともに健全で豊かな生活を送れるよう、食育をしっかり実践していくことが大事だと思います。
 食に対する知識を教えることも大事ですが、食事の楽しさや、地域でとれた旬の食材のおいしさを、実際に子供たちに食べさせて学ばせる取り組みを教育で徹底していくことが重要ではないでしょうか。
 和歌山は、果樹王国だけでなく食材王国です。生産日本一のミカン、梅、柿、ハッサクを初め、スモモ、イチジク、キウイフルーツ、エンドウ、シシトウが農産物産出額の全国シェア3位までに入っています。また、海に囲まれた和歌山では、アジ、サバ、タイ、アユ、タチウオ、生鮮マグロなど、多種多様な魚介類が漁獲されております。
 子供たちへの食育の教材に事欠きません。旬の果樹、野菜、魚介は本当においしく、新鮮で体にいい、また自然の恵みや四季の変化、農家や漁家の苦労を子供たちが五感で感じることによって、子供たちの心の成長につながります。
 第2次県食育推進計画では、学校給食における地場産物を使用する割合の増加を目標にしております。旬の食材を給食に提供するためには農業団体の協力や予算も必要ですが、子供が旬の地場物産のおいしさを知れば、家でも「食べたい」と言うようになります。また、旬の味を理解した子供は、やがて大人に成長し、県内外で自信を持って県産品のPRをしてくれることにつながります。つまり、旬の食材提供は将来の消費拡大への先行投資と言えるのではないでしょうか。
 私は、給食に旬の食材提供を少しでも拡大できないかと考えております。現在、県の取り組み「おいしい!健康わかやま」において、健康というキーワードでうまく農林水産物のPR活動を進めています。ここにも、さらにもう1つ旬というスパイスを加えてみてはどうかと思います。
 果樹王国和歌山では、まずは果物、そして野菜や魚介などの旬をカレンダーに落とし込んでいっても、作物枯れする季節はほとんどありません。旬カレンダーをつくって、夏は桃の時期であるが、秋には柿、ミカン、冬から春にかけてはマグロや初ガツオなど、和歌山ではおいしい食材の旬が次々にやってきます。
 このように旬で紡いで、和歌山の豊かさを子供を通して保護者に知らせることで、和歌山県産品のさらなる消費拡大につなげていってはどうかと思います。
 そこで、質問いたします。
 学校給食への旬の農林水産物の提供はどのように行っていますか。また、旬のカレンダーなどを使って保護者に対してPRしてはどうか。農林水産部長に答弁をお願いします。
 次に、学校給食における地産地消の推進についてです。
 食材の提供を受けるだけでは、真の食育がなされているとは言えないと思います。学校教育の場で、旬の食材がどれだけおいしいのか、いかに体にいいのか、農家や漁家の苦労を子供たちが学習する機会を設けることが重要です。
 旬の食材でも触れましたが、和歌山は果樹、野菜、魚介に恵まれ、食材の宝庫です。日本全国において、消費者の地産地消に対する関心が高まっていると言われておりますが、食材の宝庫和歌山だからこそ、学校給食における地産地消をどんどん進めるべきではないかと思います。
 食材の調達に対する学校サイドの理解、食材の安定供給や値段など、いろいろと課題があるのではないかと思いますが、少し曲がっていて売り物にならないけど、おいしく食べられる野菜などを、農家のネットワークをつくって一定のロットにまとめ上げることにより安定供給を達成するなど、いろいろ工夫もできるのではないかと思います。
 そこで、学校給食における地産地消を推進する上での現状と課題への対策について教育長にお伺いします。
 次に、関西広域連合への働きかけについて。
 先月、和歌山において関西広域連合8月定例会が開催されました。仁坂委員の担当分野は、広域職員研修と広域インフラ、そして農林水産業であります。2000万人の関西広域における農林水産業の振興を図る責任者としては取り組む課題は多いものと思いますが、まずは身近な取り組みから進めてはいかがかと思います。それは、関西広域連合における学校給食の地産地消の推進です。
 フードマイレージという考え方があります。食料に生産地から消費地までの距離を表示することで、生産された食料をなるべく近くで消費し、輸送に必要なエネルギーや燃料消費に伴う環境負荷を軽減しようとするものです。地産地消の推進は、新鮮でおいしい食材を確保するという点だけではなくて、エネルギーの無駄遣いによる環境への負荷を減らすという点からも重要だと思います。
 学校給食への地元産食材の供給についても、まずは市町村内で、次に県内で進めることが望ましいですが、その次は全国や海外ではなく、関西広域連合内で進めてはいかがでしょうか。冒頭で申し上げたサンマには徳島県産のスダチがよく合いますし、秋には鳴門金時の焼き芋がおいしいです。鳥取県産では、梨、ラッキョウでしょうか。
 先ほど申し上げた和歌山県は食材の宝庫であるという特色を学校給食への供給に最大限生かすことと同時に、子供たちが地産地消の持つさまざまなメリットを学ぶことができるようにすることが大事だと思います。
 関西広域連合で学校給食における地産地消を進める意義やそれを推進する上での課題について、知事に答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、関西広域連合で学校給食における地産地消を進める意義と推進する上での課題ということでございます。
 本県選出の議員からの働きかけによりまして、昨年7月に関西広域連合の広域産業振興局内に農林水産部を設置し、他の取り組みに先行して、本年度より地産地消運動を展開しているところであります。
 地産地消を進めるに当たり、私から、エリア内の特産農林水産物をお互いの利益となるように交換し合って学校給食で利用してはどうかというような提案をさしていただいたんですけれども、給食は市町村教育委員会の所管であるとか、府県市で取り組まれている地産地消運動との整合性とか、また広域連合の取り組みは全構成団体の合意が原則であるとか、役人臭いことがどんどん出てまいりまして、具体論となるとなかなかまとまりませんで、ちょっと隔靴掻痒の感がありました。
 その後、それでも粘り強く協議を積み重ねまして、本年度は学校栄養士や学校給食会等に対する啓発に加え、生産者団体が小学校へ出向いて、エリア内の農林水産物の提供や産地紹介を行う出前授業など、合意ができましたところもありますので、そういうところから実施しているところでございます。
 議員お話しのように、地産地消は、消費者は新鮮でおいしい食材を入手できるし、また輸送に伴う二酸化炭素量が削減できるというようなことに加えまして、やっぱり生産者は販売の拡大とか輸送コストの低減により所得をふやすことができると思いますので、さらに食を通じた文化振興に貢献できるなどという面もあると思いますから、いろいろな意味でいいもんだと思います。
 今後も、担当委員としてさまざまな提案を行い、学校給食での地産地消の推進にしっかり取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 旬をテーマにした食育と農林水産物のPRについてですが、子供たちに対する食育を進める上で、旬の地場産農林水産物を使った取り組みは重要であると考えております。
 議員お話しのとおり、昨年度から県内小学校、特別支援学校の学校給食や、家庭科等の教材として使用する主要農水産物を県から提供しており、本年度は職員が学校に出向き、梅を使ったジュースづくり、桃を使った皮むき体験とともに、栽培の状況や体によい成分が多く含まれていることなど、農産物の旬の時期に出前授業を行ったところであり、続いて、柿、ミカン、魚の提供を行うこととしております。
 また、平成19年度から学校教育関係者、栄養士や生産者団体等で構成する食育専門委員会で検討した上で、毎年、ノート、下敷きなど食育啓発資材を小学校に配布しているところです。
 御提案の旬カレンダーにつきましては、当委員会で今後、啓発資材への活用を検討してまいります。
 今後とも、教育委員会や関係団体との連携を密にし、子供たちやその保護者に対して、引き続き、地場産の農林水産物を活用した食育活動に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(花田健吉君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校給食における地産地消の推進に係る現状とその課題への対策についてお答えします。
 旬の食材を通して、地域の自然や特産物等への理解を深めることは、食育の観点からも大切であると考えております。
 学校給食における地場産物の活用については、「食べて元気、わかやま食育推進プラン」において目標を40%に掲げ、平成29年度までに達成できるよう取り組んでいるところです。現状としましては、平成23年度は30.2%であり、目標には達していませんけれども、全国平均の25.7%を上回っている状況にあります。
 学校給食は、保護者の負担を考慮し、食材を一定の価格内で調達する必要があることから、価格の低い食材を使用せざるを得ない場合も出てきますが、できる限り地場産物を活用するようにしております。
 先ほど農林水産部長から答弁がございましたように、学校給食や食育の教材として、特産品の梅、桃、柿、ミカン、魚を提供し、安全でおいしい地場産物の周知と活用に努めているところです。
 また、学校では、定期的に「ふるさと給食の日」を設けるなど、献立内容を工夫しながら取り組んでおりますし、現在、県内にはJAや生産者グループが、地元でとれる旬の食材の情報を学校に提供しているところであります。
 こうした取り組みを今後も農林水産部と連携し、地産地消の推進を進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 学校給食への旬の農林水産物を提供することに関しては、単発的に終わることなく、継続拡大していただけることをお願いします。
 また、もう1点は、せっかく提供するならするだけで終わらずに、そのものに関する情報やいただけるまでの農家や漁家の御苦労などを学んでもらえる時間を、その機会を、さらにたくさん持っていただけるようにお願いします。
 では、続いて、障害者に対する福祉制度について質問します。
 先日、私は障害者就労支援施設にお邪魔させていただきました。利用者の皆さんは明るい表情で歓迎してくれ、一生懸命つくった商品を手にとり見せてくれたり、クッキーやパンの試食を楽しむ時間を一緒に過ごさせていただきました。その後、御家族の方と話す時間をいただきました。御家族は、就労支援施設で過ごす時間が子供たちの心の充実と張り合いとなっていると同時に、家族にとっても仕事を持ちながらの見守りであるため、こうした施設が運営されていることは大変ありがたいという言葉が最初にありました。
 ただ、問題も幾つかあり、御家族がお仕事で急な出張があったときに、1泊や2泊のショートステイができないというお話が多くありました。いつも心配や不安を抱えた生活であると話されておりました。
 お話を伺っていて改めてわかったことは、障害のあるお子さんを物心両面で支えているのは親だということです。親は子供が幾つになっても子供であり、変わらぬ大変な愛情と努力を注いでいらっしゃいます。
 それゆえ、ある方がおっしゃった「障害のある子供を持つ親にとって一番の心配は、自分亡き後の子供の生活」という言葉が私の胸を強く打ちました。私は、この心配から親を解放することなく障害福祉の充実はあり得ないと思いました。高齢化が進展する中、障害者もその親御さんも1年1年と年を重ね、そしていつかは普通は親が先に旅立ちます。親亡き後も障害者が施設や地域でいかにすれば暮らしていけるのか。
 障害者が通う場、住まう場の確保充実は、いずれも地域で安心して暮らすために必要不可欠であります。高齢社会ならではの課題もさまざまに生じています。このような状況を踏まえて、今後とも障害福祉サービスを充実していくことは重要であると思いますが、このことについて福祉保健部長の答弁をお願いします。
 次に、就労支援施設の工賃向上について質問します。
 人は働くことにより、やりがいを感じ、生活の張り合いを得るものであります。就労の場を得ることにより、自分の居場所を見つけ、社会参加を果たすものだと思います。このことは、もちろん障害者も変わりありません。就労支援施設では大勢の障害者が働いています。彼らがやりがいを感じながら張り合いのある生活を送るためには、就労支援施設の工賃を向上させることが重要であると言われています。
 平成25年4月から障害者優先調達推進法が施行されるなど、国においても障害者福祉サービスを利用される障害者の工賃向上に向けた取り組みが進められています。就労支援施設における経営感覚の醸成や、商品開発、市場開拓の技術向上のための支援がなされ、複数の施設が共同で受注、品質管理等を行う取り組みが推進されているようです。
 工賃向上を進めるには、施設でつくった商品が売れることが必要ですが、現状では、施設の商品が私たち地域の住民の目に触れる機会はそれほど多くありません。また、商品が売れるためには、より魅力のあるものをつくり出す努力も必要です。
 県では、「Only One」という障害のある方がつくった食品や雑貨、それから受託できる作業などを掲載したカタログを製作しておりますが、まだまだ県民の認知度が低いのが現状です。私たち地域の住民が、障害者がつくった商品に触れ、購入しやすくなるための取り組みについても必要でないかと思います。
 こうした取り組みも含め、今後、和歌山県として就労支援施設の工賃向上に向けてどのような取り組みを進めていくのか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害福祉サービス基盤の整備についてでございますが、障害のある方やその御家族が将来にわたって地域で安心して暮らすためには、居住面や生活面など、それぞれの支援体制が整っている必要があると認識しております。
 例えば、親御さんが亡くなったり、親元を離れて暮らす場合に、障害のある方が日常生活の支援を受けながら暮らせる住まいとしては、グループホームの利用が考えられます。グループホームの定員につきましては、和歌山県障害福祉計画では、平成23年度末の808人を平成26年度末までに980人にするという目標を立てておりますが、現在892人となり、これまでも地域のニーズに応じたサービスの充実を図ってきたところです。
 今後とも、グループホームなどの住まいの場に加え、就労支援や生活介護など、日中活動の場の充実を図り、障害のある方が安心して暮らせるよう、和歌山県障害福祉計画に基づき、市町村と連携しつつ、積極的かつ計画的な基盤整備の促進に取り組んでまいります。
 次に、障害者就労支援施設の工賃向上についてでございますが、県では、障害のある方がその有する能力や適性に応じて自立した社会生活を送ることができるよう、一般就労に向けた支援や福祉施設における工賃水準の向上に取り組んでおり、平成24年度の平均月額工賃は全国平均と比較すると高い水準である約1万5400円で、年々向上しているところです。
 具体的な取り組みといたしましては、これまでも販路拡大、受注促進のため、経営面や商品開発などの専門家の派遣やコーディネート、経営管理研修や即売会の開催などを実施しております。
 今年度は、さらに工賃向上を図るため、各福祉圏域単位で共同受注窓口を設置したほか、事業所が製作するすぐれた商品を掲載した特選カタログを作成するなど、なお一層の取り組みを進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山県公館の有効利用について質問します。
 和歌浦にある県公館の有効活用について質問します。
 万葉集にも詠まれた美しい景観を今に残す和歌の浦は、昨年8月に国の名勝に指定されたのは記憶に新しいところです。この名勝指定地にほど近く、あしべ通りに面した県公館は、来賓の接待、県政懇談、各種表彰、文化交流などの行事に活用するため、世界リゾート博が開催される前の平成5年に県が購入したものです。現在、月に2度、一般公開日があります。私も見学に行ってまいりましたが、長い白壁と奠供山に囲まれた広さ1000坪ほどの敷地には、茶室を含む建物が3棟と、見事な松や灯籠が配置された日本庭園があって、その風格のあるたたずまいに思わず見とれてしまいました。
 こんなすばらしい資産が県にあるならもっと積極的に利用してはと思い、管財課に尋ねたところ、付近に駐車場がなく、有料にすれば職員を配置しなければならず、かえってコストがかさむということから、現在のような利用状況になっているとのことでした。
 そこで私は、他府県にある公館がどのように利用されているのかをインターネットで調べてみることにしました。そうすると、宮城県の公館が土曜日と日曜日に施設の貸し出しを行っているという記事が目にとまりました。宮城県の公館は、戦前、陸軍の官舎であったものを改築した建物で、見晴らしがよく、結婚式やお誕生日会等に利用され喜ばれているということで、パーティー等で飲食を行う場合は借りる側が全て手配することになっています。
 今、当県の公館の利用規則では、お茶会での茶菓子等の飲食は認められていますが、一般的に飲食は禁止ということです。例えば、調理するというのであれば火を使うことになるので禁止は仕方がないと思いますが、出前や自分たちが調理したものを持ち込むのであれば、当県の公館でも楽しく利用していただけると考えます。現在、豪邸で行う結婚披露宴もはやっていると聞きますし、今人気のある県の婚活イベント大作戦でも利用できるのではないかと思います。
 ぜひアンケートをいま一度行い、ニーズや利用された方の実際の声をもとに規則を見直してはどうでしょうか。公館を購入した価格で転売することはしばらくは無理だと思います。しかし、積極的に利用することによって大いに元はとれると思います。ぜひとも、将来にわたってたくさんの方々に公館利用していただくべきではないでしょうか。
 また、約20年前、世界リゾート博のときに迎賓館としてお客様をもてなしてきた実績以上の利用を、2年後の紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会開催時の利用に期待します。そのことは、美しい景観と由緒ある歴史が見事に調和した、県民に親しまれている和歌の浦を他府県の方々にも知っていただけることにつながると考えます。
 そこで、県公館の有効利用について総務部長に質問します。
○副議長(花田健吉君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 県公館は、月に2回、国指定名勝である和歌の浦に隣接した景観的に価値の高い庭園として一般開放を行っているほか、県が主催、後援する会議や行事、茶会、演奏会などの県民による文化活動の拠点の1つとして利用されております。
 今後の県公館の利活用につきましては、庁内各課室などに利用を促すとともに、もっと多くの県民の方々に御利用いただけるよう、一般開放の利用拡充を図ってまいります。さらに、利用者のニーズを把握するためのアンケートの実施や「県民の友」などを活用し、積極的なPR活動に努めてまいります。
 また、平成27年度に開催されます紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会などの期間中に本県を訪れた方々を県民の方々とともにおもてなしするための催しなどを検討してまいります。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 では、最後の質問をさせていただきます。
 友ケ島の活用について質問します。
 友ケ島は紀淡海峡に浮かぶ沖ノ島、虎島、神島、地ノ島から成り、戦後間もなく加太とともに瀬戸内海国立公園の一部として指定されるほど風光明媚なすばらしい資源です。また、古くから修験道の行場にもなっていた歴史のある島であります。
 本年2月の定例県議会において、私は紀淡海峡ルートの進捗状況を一般質問させていただきましたが、国土強靭化を支える災害対策道路として、また県民に夢を与えるプロジェクトとして紀淡海峡大橋への期待が高まりつつある中、今、友ケ島がクローズアップされています。実は、昨年ぐらいから友ケ島を訪れる人が目に見えてふえているそうです。
 この友ケ島を訪れるには、加太港から友ヶ島汽船で約20分の船旅です。現在、3月から11月まで、運休となる火曜日、水曜日を除き、毎日4往復運航されています。加太港からこの汽船に乗ると、加太に近い地ノ島を通り過ぎ、到着するのは沖ノ島です。沖ノ島は旧日本軍が大阪湾内への敵の侵入を防ぐため、明治以降、砲台を築き要塞としたところで、終戦時に爆破撤去されずに残った旧日本軍の施設が島内各所に見られます。
 さかのぼれば、島を訪れた人のピークは1964年。今回、2020年のオリンピック、パラリンピックの開催が東京に決定しましたが、まさに第1回の東京オリンピックが開催された年の9万6000人をピークに、レジャーの多様化などにより来島者は年々減少傾向になっております。
 しかし、先ごろ、長編アニメ制作から引退を発表された宮崎駿監督がかつて制作して上映されたアニメ映画「天空の城ラピュタ」に登場する空に浮かぶ島に、旧日本軍の砲台跡を含む沖ノ島が似ていると話題になり、漫画やアニメに登場する人物の衣装やスタイルをまねするコスプレファンの聖地として注目を集め、こうした若い人たちの興味を引いた影響もあってか、先ほど申し上げたように、ことし4月から8月までの来訪者は前年度1.5倍にふえたそうです。
 もちろん、友ケ島は豊かな自然に恵まれるだけでなく、島内を歩いていると野生化した鹿やリス、クジャクなどに出会うこともあり、楽しみながら島内をハイキングすることができるため、若い人たちだけではなく、子連れやシニア世代にも楽しんでいただけることのできる観光地としてのポテンシャルを持っています。
 また、関西国際空港からも近く、加太の淡嶋神社と組み合わせた観光コースとして、ネットを利用し、外国人にふえている日本アニメのファンに売り出すことも考えてもよいと思います。
 折しも、宮崎駿監督作品のアニメ映画「風立ちぬ」がヒットし、同監督のラピュタへの関心も高まっているチャンスであります。既に取り組まれていることとは思いますが、我が国でも数少ない歴史遺産である砲台跡など、その希少価値を生かしてフィルムコミッション活動を強力に展開するなどによって、映画やテレビドラマの撮影に使ってもらい、全国での知名度を上げ、加太地域と一体となった観光振興を図るべきだと考えます。
 そこで、商工観光労働部長に質問します。
 私は、貴重な観光資源である友ケ島をもっと有効活用すべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。御所見をお伺いします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 友ケ島は、照葉樹林に覆われ、さまざまな動植物が生息する自然の宝庫であるとともに、キャンプ場やハイキングコースが整備されたアウトドアを十分に楽しむことができる島です。
 一方で、戦前は紀淡海峡を守る軍事要塞として利用されていたため、現在も砲台や軍事施設の跡が数多く残っており、アニメやゲームのシーンに出てくるような非日常の世界の雰囲気を醸し出しています。近年、こうした非日常の世界がインターネット等を介してファンに広がり、議員御指摘のような状況になっています。
 県といたしましては、和歌山市や加太観光協会が取り組むアニメやゲームの登場人物の追体験など、友ケ島の新たな楽しみ方の情報発信に協力してまいります。
 また、修学旅行の誘致とともに、友ケ島の魅力を発信すべく、和歌山市等と連携して映画やドラマのロケ地誘致に取り組み、実績を重ねてまいります。
 さらに、主要なマーケットである京阪神はもちろんのこと、関西国際空港からほど近い利点を生かし、首都圏や九州などLCCの国内就航先に対しても働きかけ、誘客につなげるとともに、観光客の地元加太地区での滞在と消費を促すために、新たな体験プログラムの開発につきましても連携して進めてまいります。
 以上です。
○副議長(花田健吉君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 御清聴ありがとうございました。これで一般質問を終わります。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 通告に従い、一般質問を行います。
 まず、国体施設周辺の渋滞対策についてであります。
 去る9月1日、県営あきばさんプールの竣工式が行われ、私も参加させていただきました。県産材を多用した近代的な、プールは内外ともにゆったりした斬新な設計で、今後50年はもつと思われる大変すばらしい施設と感心いたしました。とりわけ、県産杉のトラスが支える大空間の50メータープールは圧巻です。この立派なプールを見て、やはり国体はみんなで力を合わせて県内で実施し、天皇杯優勝を目指すことにより、みんな元気になるのだと思いました。一旦決まった方針を覆す大きな決断をした仁坂知事に敬意を表します。
 さて、立派な施設に比べ、私が気になったのは進入路のお粗末なことであります。特に和歌浦方面からの進入に際しては、国道42号線には右折レーンがないため大変危険で、国体でなくても渋滞が予想されます。開催までまだ2年の猶予があるので、何とか今のうちに改修できないかと考えます。
 また、5月26日、県障害者スポーツ大会が紀三井寺陸上競技場で開催されました。当日は少年野球大会の開会式と重なり、駐車場は満杯でした。知事もたしか出席をされておられたので、状況をよく御承知かと思いますが、同僚の県議の話では、国道42号交差点付近は退出車両で高校野球県大会中はずっと混雑し、近所からいつも苦情が寄せられているとのことでした。
 現在、県では、大店立地法という法律により、民間の大型店の出店に際しては渋滞対策への配慮を求めています。それゆえ、県はみずからの施設整備において、当然ながら範を示すべきであると考えます。
 国体開催のため大変物入りですが、紀三井寺やあきばさんプールといったメーン会場の渋滞対策について知事の所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 昨年6月に紀三井寺の公園野球場が、また、ことし3月には国体のメーン会場となる紀三井寺の陸上競技場がそれぞれ完成いたしまして、さらに今月1日には秋葉山公園県民水泳場がオープンしたところでありまして、今後多くの利用者が見込まれております。
 御指摘のように、国道42号から秋葉山公園県民水泳場に進入する交差点の渋滞及び安全対策については、今後、公園施設の利用状況とか周辺交通量を十分精査した上で配慮していきたいというふうに思っております。
 それから、紀三井寺公園のほうがもうちょっと深刻でありまして、道が狭いもんですから、その周辺道路の渋滞対策については、これはもっと切実な問題としてすぐ考えないかんということであります。公園から国道42号へ進入する車線数の増設を検討するなど、交通渋滞の緩和に努めていきたいと思っております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いします。
 2番目に、駅の安全対策について伺います。4点伺います。
 まず、黒江駅プラットホームの転落防止対策についてであります。
 JR黒江駅を利用する小学生から、電車とホームのすき間に転落して大変怖かったという手紙をいただきました。要約を紹介します。
  私は去年、登校時に海南行きのホームで電車とのすき間に落ちかけました。そのときは、先生や車掌さんは気づかず、友達は唖然と見ているだけでした。幸い私は学年では体が大きいほうなので、ランドセルがひっかかって助かりました。もしそのまま進んでいたら私は今ごろどうなっていたのだろう。地球上にいるのかな、天国にいるのかな。私は今もそのことを思うと電車からおりるのが怖くなります。ことし7月に2年生の子が、席を争うみんなに押されて和歌山方面のホームで落ちかけ、みんなで引き上げたそうです。私はそれを聞いて、電車の乗りおりは慌てないようにしなければと思いました。黒江駅のホームは危ないです。どうかみんなが安心して学校に行けるよう力をかしてください。お願いします。
 私は、今回の質問に先立ち、9月12日の朝、登校時の黒江駅の様子を視察してきました。そのときの模様は資料で配付させていただいておりますので、ごらんをいただきたいと思います。
 大勢の小学生が乗車した和歌山駅8時5分発の各駅停車は、下りホームに8時16分に到着しました。既に教職員2人と上り電車で先に到着した児童が、ホームの端に待機しています。到着後、数人の教職員と数百人の児童は、下車するとホームの端に沿って整列しました。そして電車が発車し、さらに他の降車客がホームからいなくなるのを待って、待機した児童と合流し、ホームの北端にある専用出口から順に登校していきました。
 また、ホームには海南駅長みずからが毎朝出張してきており、児童生徒の安全確保に努めている姿も見えました。一見して下車、登校風景は整然としており、とても転落事故が起きるとは思えませんでした。
 ただし、電車とホームの間には確かに約20センチのすき間がありました。手紙のように体の小さい小学生ならすっぽりと落ちる可能性があります。連結の蛇腹部分にはさらに大きなすき間があいています。
 現在、ホームからの転落事故は全国的に多発しており、大人でも危険です。したがって、黒江駅のように1日の乗降客数が県内第9位の約5200人あり、そのうち3000人が児童生徒という特殊な駅では、転落しないように注意することも大切ですが、間違っても転落しないハード対策を講じることが必要だと考えます。事故は幾ら注意しても起こるものです。現に、大きくありませんが、起きています。この際、JR並びに県の現状認識と対策について伺います。
 続けて、2番目に、特急電車通過時の安全対策について伺います。
 黒江駅では特急電車はとまりません。当たり前のことでありますが、特急電車はホームを通過します。しかし、何の仕切りもないホームを特急電車が猛スピードで駆け抜ける光景は、大人の私たちにとっても身震いする恐ろしさであります。一歩間違えば大事故になります。
 黒江駅では、下校時、児童生徒で混雑するホームを特急電車が通過するそうです。JRや県当局はこのような状況を把握されているのでしょうか、その対策について伺います。
 3番目に、県内主要駅の安全対策について伺います。
 2番目と同様に、県内の主要駅のプラットホームの安全対策はどうなっているのでしょうか。現状と対策について伺います。
 4番目に、駅のバリアフリー化について、進捗状況について伺います。
 平成18年にバリアフリー新法が施行され、高齢者や障害者のお出かけしやすい環境整備を行うことが強化されました。法施行後6年が経過しましたが、その後、駅のバリアフリー化は進展しているのでしょうか。エレベーター設置状況も含めて現状を伺います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘の黒江駅は、県内でも乗降客数が多い主要駅でございまして、特に智辯の小学校ができてから、御指摘のように多数の児童生徒も含めて多くの方々が利用するということから、県とかJR西日本ともにプラットホームなどの安全対策は大変重要であると認識しております。
 黒江駅プラットホームの転落防止対策及び特急電車通過時の安全対策でございますけれども、平成18年度から22年度に実施したバリアフリー化整備によりまして、電車とホームとの段差、すき間を解消するための工事とか、あるいは警告ブロックなどの設置、こういう対策を講じていて、特急電車通過時には構内放送による注意喚起を行っておるわけであります。関係者の皆さんも、御指摘のように随分努力をしてくださっているということだろうと思います。
 ただ、さらなる安全対策があったほうがよろしいわけでありますので、特に私個人的には、特急電車通過時のほうが、子供はすぐほたえたりいたしますんで、危ないなあと思います。
 そういうところでは、転落防止柵の設置なんていうのが大変有効であるということは論をまたないわけでございますので、鉄道事業者にとって利用者の安全対策が最重要事項であるので、これやっていただけませんかねというようなことを、ぜひ熱心にJR西日本に働きかけをしていきたいというふうに思っております。
○副議長(花田健吉君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 県内主要駅のプラットホームの安全対策についてでございますが、JR西日本では、電車とホームとの段差やすき間が生じている駅について、それらを解消するための施設整備としてホームこう上対策を実施するとともに、電車に近づかないための警告ブロックを設置しております。また、駅員による安全確認や構内放送による注意喚起等の対策も同時に実施しております。
 県といたしましては、まだ電車とホームとの間に段差やすき間がある駅について、国のバリアフリー事業も活用しながら、JR西日本とともに整備の促進に取り組んでまいります。
 また、駅のバリアフリー化整備につきましては、誰もが安心して鉄道を利用できるよう県も支援し、バリアフリー化を促進しているところでございます。
 1日当たりの平均的な利用者数が3000人以上である鉄道駅及び地域拠点駅につきましては、平成32年度までに、原則として全てについてエレベーターまたはスロープを設置することを初めとした段差の解消など、移動等の円滑化を可能な限り実施することが国の移動等円滑化の促進に関する基本方針で定められております。
 平成25年3月末現在、県内にある鉄道駅で1日当たりの平均的な利用者数が3000人以上の駅は16駅ございますが、このうち11駅がバリアフリー化整備済みとなっております。未整備駅のうち、今年度は3000人以上の駅では箕島駅を整備し、3000人未満ではありますが紀伊勝浦駅では、26年度の整備に向け、現在、JR、町と協議を行っているところでございます。
 県といたしましては、今後とも引き続き、鉄道駅のバリアフリー化が推進されますよう、鉄道事業者及び地元市町と連携しながら取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、海岸整備について伺います。
 3の1として、海岸の津波対策であります。
 本県の海岸線は約650キロあり、港湾や漁港、建設海岸、耕地海岸など、利用状況により県や市町村で管理しています。
 私が県会議員に当選して間もないころ、当時の玉置御坊市長より、「県から『漁港を県で管理するので、希望市町村は申し出よ』と言ってきた。しかし、漁港整備の負担金は関電からの寄附金があり、整備後の交付税を考慮したら市で持っているほうが有利と判断した」との御報告を聞きました。以来、御坊市では約20年かけて市営で漁港整備を行い、現在ではほぼ完成しています。
 この夏、御坊市名田町の野島区長から漁港視察の要請があり、行ってきました。漁港はずっと以前に完成しており、さらに防波堤は改良延長されていました。しかし、予想される津波に対して防波堤や漁港集落間の防潮堤は低いので、かさ上げ強化を御坊市に要望しているとのことでした。
 これまで漁港整備は、長い年月をかけ、ぼちぼちと整備していればよかったのですが、津波対策ともなれば、予算のかかる大事業を短期間に実施する必要があり、とても市町村では簡単に実施できるものではないと思いました。
 また、御坊市では、南海トラフ地震の際に、市街地に浸水する津波に対しては西川河口に水門を設置することが有効だと津波工学の専門家は指摘しています。ただし、水門の事業費は100億円程度必要と言われ、県では多額の出費を覚悟しなければなりません。
 以上のように、来るべき南海トラフの巨大地震に備えて、県内各地で防潮堤や水門を急ピッチで整備する必要がありますが、予算や技術、人員を考えると、果たして県や市町村だけで整備できるのか。国、県、市町村の実力に見合った管理区域の見直しを行うなど、総合的な津波対策を実施しなければならないと考えますが、県土整備部長の所見を伺います。
 続いて、要望を申し上げます。
 先般、テレビで大変おもしろいものを見つけました。クロアチアのザダルという港町に戦争からの復興プロジェクトでつくられた海のオルガン――シーオルガンであります。その仕組みは、岸壁の下にパイプをつくり、波や風で音が鳴るようになっていて、普通の波では音は小さく、近くを大きい船が通ると波が高くなり、大きい音が鳴ります。自然が奏でる音楽で、地元の人や観光客の心を癒しています。2006年、海のオルガンは、都市公共空間におけるヨーロッパ大賞にも選出されたそうであります。
 我が県が誇る熊野信仰は、よみがえり、癒しの信仰であります。本県においても、岸壁整備の際に海のオルガンをどこかに実現していただければ幸いであります。この際、要望しておきます。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県では、ことしの3月28日に、南海トラフの巨大地震及び東海・東南海・南海3連動地震による新たな津波浸水想定を公表しました。これを受けて、地震・津波対策のソフト対策や海岸堤防等のハード整備の見直しを行っております。今後、県としましては、防災計画を策定する市町と調整を図り、整備目的を整合させ、必要な海岸堤防等の津波対策を講じてまいります。
 また、海岸の管理区域は海岸法等に基づき定められているため、見直すことは困難ではありますが、海岸の津波対策につきましては今後とも、国、県、市町で協力して進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、ガイドの養成について伺います。
 一昨年、県議会の有志で栃木県の世界遺産「日光東照宮」を視察しました。市役所での説明聴取の後、東照宮では市役所の紹介でガイドをお願いいたしました。料金は1時間5000円でしたが、ガイドブックでは得られない丁寧な説明を聞くことができました。東照宮には、江戸時代から続く2つのガイド組合が存在し、何代も続くガイドの家系があるそうです。見るだけでも息をのむ立派な日光東照宮に、ガイドの説明がつくことによってさらに理解は深まり、何倍も旅が楽しくなります。
 私自身、かつてルーブル美術館で、演劇のせりふのように語ってくれるガイドに感動した思い出があります。旅なれた議員をうならせるバスガイドの話もありました。はとバスには、外国人観光客を喜ばせるカリスマガイドがいると聞きます。
 ガイド業は、観光産業の中で豊富な知識や高度な話術などを要する、高額所得が期待できる職種で、高学歴者の雇用が少ない本県にとって有望な雇用先に成長すると期待します。ぜひ雇用確保と観光立県推進の観点から、県においても独自に養成すべきではないでしょうか。また、ガイド業が成立する環境整備を行う必要もあると考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、シナリオづくりと支援についてであります。
 ガイド業が成立する環境整備の1つとして、県内統一、地域限定版の観光案内シナリオが必要だと考えます。
 例えば、ディズニーランドのジャングルクルーズのようにすばらしいシナリオがあれば、にせもののジャングルでも、誰でも訓練すればすばらしいガイドができます。現在、県内には約360名の語り部がおられますが、個人の努力に負うところが多く、人や地域によって言う内容が違うことも予想されます。今後、観光振興のために各種のシナリオ開発やその支援を行うべきだと思いますが、あわせて知事の御所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ガイドの養成については、和歌山県が誇る歴史、自然、文化等を情報発信する上で、その役割は大変重要であると思っておりますし、また、広い意味での雇用という点でも大変大事なことではないかというふうに思っております。
 一番初めにそう思いましたのは、世界遺産も10周年に近くなりますが、その世界遺産の指定を契機にして、特に熊野古道などで語り部がたくさんできました。それで、その方々とお話をしてると、これは大変いいことだというふうに思いますし、自分自身もちょっと個人的にもお1人お雇いして、一緒に歩いてもらったら物すごく賢くなるわけで、これはええこっちゃというふうに思いました。
 現在、語り部を一般化した観光ガイドということになりますと世界遺産だけじゃないと思いますが、紀州語り部登録制度のもとで、団体で23団体、個人で57人が登録されておりまして、登録者に対して県では講演を中心とした県内研修会や県外の先進地を訪問し、さまざまな意見や情報交換を行う県外研修会を実施し、養成に努めております。
 また、外国人も世話せないかんというふうに思うわけでありますが、これについては通訳案内士というのが、資格制度になってまして、なかなか簡単には取れないんでございます。これはいかんということで、平成23年12月に高野・熊野地域を特区認定していただきまして、その特区の中では通訳案内士の県としての認定ができるというような形にいたしました。
 昨年度の養成事業なんかを受けていただいた結果、59名の特区通訳案内士、これは和歌山県だけで商売できるわけですが、そういう方が登録されて、既存の通訳案内士――これは全国オーケーなんですが――とともにスキルアップを行いながら、高野・熊野地域への外国人の来訪の増加を図っております。
 今後とも、この通訳ガイドの資質の向上も図っていくつもりでございまして、議員御提案の雇用確保につながる独自の養成ということについては、現在の研修制度を見直して、レベルに応じたカリキュラムを作成して、スキルアップにつなげるとともに、ガイド業が成り立つような需要を創出するために、市町村と連携したり、あるいは観光プログラムでそういうようなプロジェクトをつくったり、そういう努力をしてまいりたいと考えております。
 それから、資質向上あるいはシナリオづくりということでございますが、観光ガイドの資質向上のために、語り部さんなどの団体が実施するガイドに要する知識、あるいは技術及びホスピタリティーの習得のための事業に係る費用の一部を支援する観光ガイドレベルアップ支援事業を、現在、県は実施しております。
 ガイドのシナリオ作成というお話でありましたが、この事業の拡充により、ひとつ挑戦をしてみようということでシナリオ開発に取り組む団体を支援していきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 子供に「何になりたいんよ」と聞いたら「ガイドになりたい」と言われるような、そういう職業に和歌山県でなればいいなというふうに思っております。ぜひそれぐらい県のほうでも頑張っていただきたいと思います。
 5番目に、観光トイレの美化促進について伺います。
 知事の新政策、トイレ大作戦が好評であります。御坊市においても、9月定例市議会にトイレ改修の補正予算が提出されたことを地元紙が報じていました。9月14日、汚いトイレの代名詞だったJR和歌山駅のトイレが新装なりました。
 しかし一方では、女性を中心に、公衆トイレでは洗浄機つきトイレは洗浄ノズルの衛生状態を心配して使用できないという声があります。確かに、和式トイレは汚くても使用できますが、洋式の場合、便器が汚れていたら使用できないときがあります。また、洗浄ノズルの衛生状態が確認できない機種もあります。
 しかし、そうは言っても、高齢化や家庭での洋式トイレの普及を考えたら、今さら和式には戻れません。したがって、観光地のトイレに洗浄機つきトイレを普及するに当たり、洗浄ノズルはもちろんトイレ全体を衛生的にするとともに、使用する側も汚した後は自分でお掃除するぐらい、きれいに使用するマナーを普及しなければと思います。
 国体開催を2年後に控えて、県民運動としてきれいなトイレマナーを普及するとともに、きれいな状態を保っているトイレに関して、ミシュランガイドのように認証や表彰する制度を考えてはどうでしょうか。そういう制度はトイレの管理者が自発的に管理しようとする意欲を高め、美化向上につながると考えます。
 今回の東京オリンピック決定に際し、「おもてなし」がキーワードになったと言われております。私はトイレのきれいさこそが、その店舗や地域のおもてなしのレベルを示すバロメーターだと思います。景色はきれいだが、トイレもきれいな紀州と言われるよう、観光トイレ、特にトイレ大作戦で整備した市町村トイレの美化促進について商工観光労働部長の所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 観光トイレをきれいかつ快適に保つことは、本県に来訪された方々へのおもてなしという観点から大変重要であると認識しております。市町村の観光トイレの整備に当たっては、市町村が工夫を凝らして維持管理を徹底していくことを約束した上で助成しているところです。
 県といたしましては、市町村に対して、自治会や地元ボランティアによってトイレが清潔に保たれている好事例を紹介することとしております。また、県が市町村と協力し、清掃や設備の状況を定期的にチェックする体制をつくっていきたいと考えてございます。
 議員から御提言のありました表彰制度につきましては、観光トイレの美化に協力するグループ等を表彰する制度の実現に向けて取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、6番目の県ホームページの見直しについて伺います。
 県ホームページ――トップページのことでありますけれども――の整理整頓。
 県ホームページは私もよく利用します。しかし、最近のトップページのイメージは、転んでかばんの中身をぶちまけたような感じです。なぜそう感じるのか、他府県と比較してみました。どの府県も構成や掲載事項はよく似ていますが、山梨、兵庫、山口、長崎、鹿児島の各県はきれいにまとまり、大変見やすいと感心しました。
 そこで、私が気づいた本県の問題点は以下のとおりです。
 まず、見た目から言うと、ページや文字が小さいので、超高齢化の現在、ページや文字を大きくすることが必要です。次に、場所や大きさ、色使いを工夫すること。例えば、緊急情報は上部でも目立ちにくい右側にあり、色はピンクですが、赤色の結婚式場のバナー広告のほうが目立っています。緊急情報は上部の真ん中の目立つ場所に赤色で表示し、ほかに赤色は控えるべきです。
 内容についてであります。全国で唯一、ホームページを「和歌山県情報館」と表示しています。これについては、初めて見たときから思っていますが、県のホームページでありながらサングラスをかけたようなイメージで、責任逃れのような感じがしました。ぜひ「情報館」は削除すべきだと思います。
 特にごちゃごちゃしている原因は、不要なものが多いことです。例えば、和歌山県のホームページと認識して閲覧しているので、わざわざ「和歌山」と表示する必要がないのに「和歌山」という文字があふれています。わかやま観光情報、わかやま県政ニュース、和歌山県民の友、和歌山県インターネット放送局、和歌山県フォトライブラリー、和歌山県公式フェイスブック等々20カ所もあり、全て省略してすっきり大きな文字にすべきです。
 それから、別にきいちゃんに恨みはありませんが、きいちゃんは狭いホームページの目立つところに3匹も出てきます。ちなみにゆるキャラの代表選手「くまモン」は熊本県のホームページに4匹出てきますが、目立つところは1カ所です。逆に、本県には他府県にある重要な情報を告知する場所はなく、新着情報も隠れています。
 暇に任せてホームページをのぞきに来る人もいるかもしれませんが、大方の人は情報を探しに来るので、効率よく探せるように改善すべきだと思います。情報化時代の県の顔である県ホームページの見直しについて知事室長の所見を伺います。
 続いて、バナー広告の廃止であります。
 県民やお客様に情報をわかりやすく伝えるためには、バナー広告のスペースはもったいないと思います。都道府県では財政力のある東京都が唯一バナー広告をとっていませんが、県民に伝えるスペースを削ってでも広告する必要はあるのか、バナー広告の費用対効果の検証と今後の継続について所見を伺います。
 以上で、私の質問は終わりです。
○副議長(花田健吉君) 知事室長和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○知事室長(和歌哲也君) 県のホームページについてでございます。
 県のホームページは、平成8年に開設以来、より見やすく利用しやすいページとなるよう、情報のユニバーサルデザイン化や音声読み上げ機能の導入など、リニューアルに努めてきたところでございます。
 また、バナー広告につきましては、平成18年度に導入し、県の歳入確保にも一定の貢献をしていると思っております。
 議員から御指摘をいただいた点も十分参考にしながら、今後とも一層見やすいホームページづくりに努めるとともに、広い年代層に優しいホームページのあり方を検討してまいりたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時8分散会

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