平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきます。
 その前に、今朝来から議員の皆さん方からも御発言がありましたが、昨日、そしてまた一昨日の台風18号が、和歌山県沖合を通ってああした大きな暴風となりました。このことで被害を受けられました皆さん方に、この場をおかりいたしまして心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
 それから、もう1点です。ちょっとこれは当局の皆さんにお礼を申し上げときたい、そう思いました。
 昨日になりますか、朝の2時25分、警報が出ていましたので、ずっと起きて待機をしておりましたところ、日置川が危険水位を突破した、もう洪水の一歩手前と、こういう事態になりました。それで、恐らくもうあと20~30分もああした豪雨が続いておれば、また2年前のああした災害に近い被害が起こったんじゃないかと。かなり広範囲のところで、日置川の広範囲のところで危険水位を突破した状態になっておりました。
 間一髪で助かったわけですけれども、それでも下流のほうの田野井という地域があるんですが、そこではやはり外の日置川の水位のほうが高くて、水門をつくってもらったわけですが、高くて、中で内水面のほうの水位が上がってきて、田畑が10ヘクタール前後水没してある状態にありましたが、今度は住宅のところまで行く一歩手前で──実はここからお礼の話なんです。ことしの春に移動式の排水ポンプをお願いしておりましたところ、設置をいただいて、たしかあれ、3月ごろに現場で排水ポンプの実施演習をお願い申し上げまして、やっていただきました。このことが効果がありまして、田辺のほうに保管していただいてるわけですけれども、移動式ですので、そのポンプ車を夜中に、朝方に持ってきていただいて、排水作業に入りました。おかげさまで、そういうことがありまして、日置川地域ほぼ全域で、床上あるいは床下の冠水になるという事態が防げたんじゃないかなと、そう思います。
 そういった意味で、ひとつ御礼を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、一般質問に入らしていただきます。
 今回、4点の一般質問の項目を当局のほうに提示をさしていただいています。
 まず、1点目です。
 今、全国の市町村が観光産業の振興をうたい、全国の観光地は農業でいう産地間競争のような様態となり、過去の時代に経験したことがない生き残りをかけた戦いが続いています。
 まず、白浜温泉のその現状と課題を1~2点簡単にお話しすれば、労働集約的産業である「旅の宿」的な旅館の人件費などの経費はそのままなのに対して、1人当たり宿泊単価が下降線をたどっているため、損益分岐点が赤字基調となっている。
 2点目として、自然環境としての見せ場は、テレビジョン映像や写真等の紹介により、多くの国民は、行ったことはないけれども既に疑似体験をしている、そんな時代に入っておりまして、過去の時代のような初めて遭遇したときのような感動は弱い、そういう時代に入ったと思います。したがって、最近は海水浴やパンダを見に来るなど、目的を持った遊びに移っていっているように感じています。
 さらに、長引く不景気により、税法等の改正もあり、最盛期には100数十軒もあった寮や保養所も一部の施設を残してほとんど閉鎖あるいは解体撤去されてしまい、たくさんの人々の職場が消失してしまいました。こうした負のスパイラルがとまらず、旧温泉街地区の人口は激減し、空きアパートや空き店舗ばかりが目につく現況であります。
 その上、外資とも言われる町外の資本が経営にあえいでいる旅館やホテルを安値で買い取り、安い宿泊料を売りにした経営を始めています。そうした経営手法が、数え切れないほどあった民宿の経営を大きく圧迫させ、年月の経過とともに民宿の経営は立ち行かなくなり、多くの民宿が閉めざるを得なくなってしまったのが現状でございます。
 白浜温泉の来泉客数は、県当局を初め関係者の皆さんの御尽力により、ここ10数年、実数としては現状を維持していますが、前述のように白浜温泉の経済や経営実態の中身は大きく変わってしまいました。いわゆるストロー現象です。そんな中でも、町民は生き延びていかなければなりません。70歳半ばの年齢の方々でも元気なら働かしてもらえるなど、地域の総合産業とも言われ、地域の雇用を守ってくれているのが旅館なのです。白浜と周辺地域で生活を続ける人々にとっても、この産業が大変重要で必要なものでございます。
 そんな中、今回の法改正です。重立った経営者にお伺いしますと、「どんな好条件の提示であっても、融資を受けて使ったお金は返さなければなりません」、しかし、「過去の負債を持った上に新たな投資をしたお金を返済する力が出てこない」と言います。また、ある経営者は、「2年後に経営が行き詰まると思います」とも言います。このままの法の施行は、観光白浜に大きなダメージを与えることが透けて見えてきます。法改正で取り組まなければならないこと、取り組むことの重要性は皆さんわかっているのですが。
 資源の少ない紀南地方で新しい事業を起こすことは、今日においては大変難しいことです。視点を変えると、元気であれば高齢者やゆえある人々でも快く雇用してくれる白浜の旅館は、いわば就職先としての福祉事業をしていただいているようなものだと私は思います。
 働く場が少ない紀南地域の住民の職場を守るためにも、もう一ひねり、もっと優しい施策の用意はできないものでしょうか。補助金だけでなく、他の支援策についても何か手だてはできないでしょうか。県土整備部長からの御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県では、耐震改修促進法の改正に伴い耐震診断が義務化された施設のうち、避難所に位置づけられる施設や災害時に避難弱者が存在する施設について緊急に安全性を高めていく必要があると考えており、それらの施設に対して、国の耐震対策緊急促進事業を活用しながら支援してまいります。
 また、事業者負担につきましては、国、県の補助を合わせた補助制度だけでなく、県融資制度の安全・安心推進資金を最優遇に拡充することとしており、補助制度と融資制度の両面で支援してまいります。
 さらに、耐震相談窓口を設置し、個々の施設に適した耐震改修工法や総合的な観点からコストダウンにつながる手法の情報提供など、個別の事情に応じた技術的支援を行ってまいります。
○副議長(花田健吉君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 コストダウンにつながるそうした情報提供をいただけるということです。
 それから、今回ここで発言をさしていただくということで、町内の施設の方々にいろいろ話を伺ってまいりました。何とかこの局面を打開して、紀南の重要な産業である観光産業がこれからも存在し続けていただいて地域の雇用を守っていただきたいと、そういう視点でいろいろ話を確認してまいりました。そのときのやりとりの言葉の一端だけ御紹介をさせていただいて要望させていただきたいと思います。ちょっと愚痴的な話にもなりますが、声ということで聞いていただいたらと思います。
 ある人は、建設時にその当時の建築確認の許可をもらってやった。その当時、「これで結構です」と。建築確認を申請して許可をして──建築当時の確認の、当時の国の法律の基準ですよね──それに従うてやってきた。時代が変わってこうした事態になってるというのは、ちょっと解せんといえば解せんと、そんな言葉がありました。
 それから、何で3年で公表かと。その時間が短いんじゃないかと、そういう思いだと思います。何とかこの局面を生き延びろ、改善策を模索していこうと、そういうことを思いながらですけれども、「3年って短いよな」、そんな話でもありました。
 それから、どうやら、東京都の話が出まして、耐震診断料、東京都は全額都が持っているらしいんです。申しわけありません、これ、きのうの情報ですので、私自身の目と耳で確認したわけではありませんが、東京都は財源的にもよその県に財源を譲れるぐらいの余力のある都ですので、そことの比較とはなかなかいかないと思いますけれども、また、ただ一方、事業者自体は東京都にあろうが地方にあろうが、同じ環境の中で競争を強いられてると、そういう側面で考えたときに「東京都は全額出してくれるという話になってるよなあ」と、こんな話でありました。
 それから、先ほどのコストダウンにつながる手法の話ですけれども、例えば補助金をいつ出していただけるやろかと。建築に入ったときに、地元の施設は26.6%の自己負担だけれども、あとの金額は国・県の補助をいただいて改修工事をすると。その補助なんですが、正直なところ26~27%になる。総額1億円でしたら2660万ですよね。先に要る金がなかなか用意できやん。補助金を出していただくけれども、でき上がったものに対して補助の給付になっているので、これ何とか改善策を講じてもらえんだろうか。無理なことはわかりながらの発言ですのでお許しをいただきたいと思います。そんな言葉がありました。
 それから、あと心配事としては、どうしても改修工事の期間は減収になってしまう。減収になるというのは何で、経営しながらしてもうたらええのにと、そう思うわけですけども、どうしても入り口周辺、いろんなところに柱や何かと大きなそういう造作をするための工事が入っているので、観光産業というのは見た目が物すごく重要な側面もあって、それが、そういう重機やとか機械が長期間にわたって稼働してる状態の中で、お客様が安心して泊まっていただけるんやろかと、そんなことであります。
 それから、恐らくそれ以外にも休館という日にちをとらなければならないことが相当あることが想定されると。休館しましたら、その間は本当にお客さんを入れるわけにいかないので、入れてない状態が休館ですので、それなりに大きな減収になるだろうと。そんな心配であったりとか、いろいろそんなお話がありました。
 それから、もう1点です。これもまた要望にさせていただこうと思いますが、数日前、「日本経済新聞」に載ったらしいですが、国は固定資産税の減免を考えていることが報じられていたと、こういうことを訴えられまして、こうした考え方も可能ならば一考していただけんやろかと、そんな話でした。ただ、固定資産税自体は地方の市町村の税収になってきますので、これを減免するとなると、また大幅にいろんな多方面に検討しなきゃならん問題があるんじゃないかなと、そんなことは私のほうからも開示をさしてもらったんですが、いずれにいたしましても、そうしたことも検討していただけるようだったら考えていただけないかと、こういうことがあります。
 最後にですが、そしたら、これ全体を、法律ですので、受け入れていかざるを得ない。このことに対して、ほかに、あなたの施設あるいはお客さん対応の中で支援策で、現場の皆さん方から、お金の多寡はさておいて、じゃ、こんなことにならないかという話があれば聞いておきたいと、こう言いましたところ、最近は支援策も考えていただけるようだったら一例としてこの場で発言をお願いしたいと、こう言われております。
 海外のお客さんが多うなりまして、それで各部屋にコンピューターを設置していると。このコンピューターを設置するには配線を各部屋につけていかなきゃならんと。このこと自体もなかなかできていなくて、我々も東京あたりのホテルに泊まりまして、各部屋にコンピューターにアクセスできるような線をつくっていただいてるんで、このことやなというふうに確認をして聞いたんですが、例えばですが、そうしたことの支援策というのはできんもんだろうかと、そんなふうなことの申し出がありましたので、この場でお聞きいただいて、今お話しさしていただいたようなことの中で、何かこちらの当局のほうで前向きに取り組んでいただける案件があればお願いしたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、2点目に入らしていただきます。
 2点目は、県当局から、今取り組みをいただいています、白浜町内に建設が進んでおりますフラワーライン線のことであります。
 フラワーライン線の提案が県当局から白浜町に提示されてから、はやもう17年余りが経過いたしました。当時、きれいに圃場整備をされた完成間なしの富田平野の農業振興地域の真ん中を通過するという県からの提案に、一時は賛否両論もありましたが、年月の経過とともに地域住民の方々も、県、そして町の発展のため協力的な姿勢で対応をしていただいてまいりました。
 その後、2巡目の和歌山国体の開催が決まり、高速道路や関連する施設なども「国体までに完成」という合い言葉のもと進められるようになってまいりました。当然、フラワーラインも2年後には供用開始となることと考えていました。
 先日も、当時白浜町議会議員を務めておられましたお2人が見えられて、「高速のインターができたとき、そのまま白浜空港まで行くとなっていた」、「高速と同じ条件の道をつくるとなっていた」、「約束どおりしてほしい」、「南紀を浮上するのに核となるものが南紀白浜空港以外ありますか」、「その空港と高速道路がつながってなくてどうするのですか」、「国体で全国より和歌山に来るのに空港へのアクセスがこれでは」などなど、ほかにももっともっと厳しい言葉をいただきました。地元の皆さんの願いは、一日も早い空港までのフラワーライン線の完成でございます。
 なお、この案件につきましては、大江元参議院議員ほか大勢の皆さんから、それぞれのお立場の中で御尽力をいただいてまいりましたことをも、あわせて御報告させていただきまして、政治家仁坂知事の御所見を改めてお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 何か、質問のときに「政治家仁坂」と言われましたが、いつも選挙で選ばれた知事として行動しております。
 議員から、つながっていないとどうするのだというのが基本でございます。これは、近畿自動車道の紀勢線が白浜までずっと来る、それで白浜インターチェンジができると、そうすると南紀白浜空港を結んで、それで現在でも渋滞してるわけですけれども、白浜の温泉街なんかと、いい道でつなぎたいということで、周辺地域の産業、経済の発展に欠くことのできない重要な路線であるし、防災上も意味があるなあということで、もともと重点的に整備しようと思っているところでございます。
 ただし、いろいろ工事の進捗とか、それから既存の道もあるもんですから、コストを縮減しようというような意図もあって、いっとき、現存の道を大いに使うような、ちょっと北回りの道といいますか、そういう形にしてはどうかということを我々も考えまして、それでよろしいと白浜町とか町議会の全員協議会の同意を得たので、それでいこうということで準備をしておりましたら、地元の──地元というのはどうもよくわからないんですが──地元の方々が反対ということで、一旦同意された白浜町から、あれは撤回と、もう一回考え直してくれというような話がありまして、それではと、結構時間がかかったんですが、いろいろ議論をして、それで現在の計画を立てているところでございます。
 少し時間を空費したというところもあって、それから国体に間に合わせないかんということもありますので、もとの計画を尊重しながらも、少し現道を最後のところは使わしてもらって、それで現在の計画ができてるところです。
 これで、改めて白浜町の全員協議会を経て、町当局もこれでよろしいということで、よかったよかったと思って、それでさっさとやらないかんというふうに思っておりましたら、最近になって、やっぱりあれはいかんということになって、どういうことだというふうに私なんかは当惑をしているところでございます。
 現在の計画は、近畿自動車道紀勢線の仮称・白浜インターチェンジから才野ランプまでの間を同時期に供用させるということで、その後、少し現道も通るということで、県道の栄岩崎線とか白浜町道を利用して南紀白浜空港までのアクセス時間の短縮を図ると、まあその辺は割と道がいいもんですから、そういうふうにしようというふうに思っているわけです。
 ただ、先ほどもお話がありましたように各方面からいろいろ要望もあって、過大なことを言ってはいけませんので、今の計画をちゃんと完成さして、国体には支障ないようにきちんとしながら次のステップとして、それじゃ考えましょうというふうに今お答えしてるとこでございまして、できるだけバイパスとしての全体が完成できるように──国体のときにいろいろいじり回していたらかえって邪魔になりますけども、それが済みましたら速やかに完成できるように努力したいと、そんなふうに思っております。
○副議長(花田健吉君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 知事のほうから、そういうお話でした。
 二転三転したような経過があったことは事実でして、ちょっと残念だなと、正直なところ思います。地元の考え方が一枚岩になってて、不退転の覚悟で臨める体制が整っておれば、知事からああいう言葉をいただかんで済むのになあと思いながら聞いた次第であります。
 もう一度、ちょっと復習をさせていただいたら、でも本当に年月かかってるんです。平成8年に、私もちょうど町議会議員1期目の後半でして、すばらしい提案を町議会の部屋に――そうですね、5メートルぐらいの長い法線のそういう図面をいただいて、皆さんで食い入るように見たことを覚えています。なかなか我々の地域にそうした大きなプロジェクトの事業があるというのは、そうそうあることでもありませんので、先ほどお話しさせていただきましたが、「圃場整備終わったとこやけどな、あの道の真ん中、あのぴかぴかに光ってる田んぼの中行くんかい」という話もありましたけども、トータルで考えて、白浜町、そしてまた県土の発展のために、地主の皆さん方がほどなくして、大勢の皆さん方から御了解をいただき、今日の日を迎えたわけですが、それにしても17年経過いたしました。で、あと国体までというのが、実は2年ですので19年です。それから、今、知事の御答弁でしたら、あと1年ぐらいでやってもらえるんかしらんということで思ってるんですけど、日にちがわからん状態です。こんな状態です。
 本当にないもんねだりみたいな話になってるようでもあるんですが、ぜひ地域の振興に大いに──これが完成時には白浜の町の皆さんこぞって頑張っていきたいと、こういう覚悟でもございますので、ぜひ一日も早くこれが完成にお力添えをいただけますよう要望させていただきまして、次の質問に移らしていただきます。
 それでは、通告の3つ目です。地籍事業についてお伺いをいたします。
 この案件については総務委員会でも私も少し触れていますので、再度執行部の御所見をお願いいたします。
 こうさしていただくのは、私も含めてなんですが、この地籍事業の重要性という側面から見たときに、案外当局の皆さん方でも担当の部署が違うたらなかなかわかっていただいてないところがあるんと違うかな。それは何か責める話でもありませんで、市町村に下りましてもやっぱりそういう傾向がすごく強くて、それはちょっと置いといて、それ以外にちょっと急ぐやつを先に予算化しようないかと、どうしてもこういう傾向にあることは、その現場にもおりましたので、よくわかっていますので。そういった意味で、ぜひまたここで私も学習もしながら、このことをお聞きいただきたいと思います。
 あの東日本大震災とそれに伴う津波で三陸地方全体が大変な被害を受け、特に海岸沿いのまちは大被害を受けたことは、記憶に新しいところでございます。
 その後、ぶち壊された住宅や立ち木、自動車などのたくさんの資産や資源が瓦れきとなりました。直ちに、自衛隊やボランティア、そして大勢の皆さん方の御協力によりまして、御支援によって復旧作業に入り、まず幹線道路などインフラの回復が優先され、瓦れきの撤去も進みましたが、せっかく回復した道路が1年余り使用できなかった箇所が多々あったとお伺いしているところです。それは、地籍作業ができていなかったため官民境界がわからず、使用できなかったんです。
 これは、県のほうからもいただいています「和歌山県の地籍調査」(資料を示す)、この本の中にもそのようなことが書かれておりまして、そのほかにも経済新聞であったりとか、昨年でしたらいろいろそうした、日経新聞、国交省あたりからもそういうふうなシグナルが出ていますので、これ、周知のとおりだと思います。
 戦後、国策として進められてきた地籍作業の完成度の高い県は、沖縄県の――47都道府県で完成度の高いところは沖縄県の99%。こういう県があります。和歌山県の進捗率は、ちなみに平均で32%となっており、低いほうの県となっております。
 地籍調査が進んでいないと産業の振興に悪影響を与えることは、皆さん御存じのとおりです。道1つつくる場合でも、未実施地域は、まず膨大な時間のかかる地籍作業から入らなければなりません。この関係の業界の皆さんに聞くと、おおむね3年から4年。そこに何かしたいと、まずは地籍ができていなければ3年から4年、そのことだけでとまってしまうわけですね。直ちに事業に入ることができん。このことがあるからなんです。
 「国家百年の大計」という言葉がありますが、和歌山県の発展に欠かせない地籍作業は目で確認できるような物的な事業ではありませんが、県土の発展のため、そして次の世代のためにも我々の世代でやり終えておく必要があると私は考えています。企画部長からの御答弁をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 地籍調査につきましては、市町村主体の事業でありますが、迅速な災害復旧や円滑な公共事業の実施に不可欠であることから、県としても連携して取り組んでおります。
 東日本大震災の復旧・復興作業において地籍調査の重要性が改めて認識され、本県も津波浸水被害が想定されることから、地籍調査の早期実施が重要な課題となっております。
 本県では、平成23年9月に県独自の津波浸水区域における地籍調査事業5箇年計画を策定しまして、関係市町と連携を図り、津波浸水予想区域の地籍調査を優先的に進めており、平成27年度までの5カ年で進捗率を54%に引き上げる計画となっております。
 また、現在、各市町村で南海トラフの巨大地震を想定した津波ハザードマップの見直しを行っているところであり、変更後、速やかに5カ年計画も見直すことにしており、その際に調査区域のさらなる前倒し、追加が行えるよう、関係市町と協議してまいります。
 公共事業の実施予定区域や津波被害の想定区域の調査を推進するとともに、事業進捗に応じた確実な予算の確保に取り組むなど、今後とも事業主体である市町村と連携を図り、できる限り早期に完成できるよう、さらに積極的に推進してまいります。
○副議長(花田健吉君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 5カ年で54%程度に引き上げる計画となってるというふうなことから含め、前向きな御答弁をいただきましたが、ちょっとここで、ほかの国がどうなっているかというあたりのところ、そんなにたくさんの国のことを調査したわけでないんですが、我々日本に一番近いと言われてる国の韓国なんですが、韓国は地籍の進捗率は100%らしいです。100%。このデータをもろうて、さすがやなあと思いました。韓国は、やっぱり同じように小さな国で、人口密度が恐らくすごく高い。日本より高くて、そういう限られた国土を有効に活用していこうとすれば、やはり地籍というものの重要性は我々以上に認識があったんじゃないかなと思います。
 ただ、韓国の場合は、かなり以前にそれが完成しているということからもあわせ考えて、精密度の度合いというのは今のGPSや何かを使った時代ではなくて少し前の時代だというので、そういう少しのぶれはあるんかもわかりません。かもわかりませんが、でも100%の、全ての国土の地籍作業を終えてると、すごいと私は思いました。
 それから、実はこの進捗率をいろいろ調べてみたんですよ。和歌山県内のことですけど、何と自治体で進捗率0.7%。昨年のデータです。0.7%というたら1%行ってないんです。1%行ってない。それから、3%、3.6%、5.2%、7.5%、7.4%、7.9%、それから8.6%とか、軒並みこんな自治体があるわけですよ。その自治体が、先ほど部長から答弁いただきましたような数字まで上げていこうとすれば5年ぐらいで行くんかなと、60何年かかってこの状態であるのに5年ほどでそんなに行くやろうかと、ちょっと素人の心配をいたしました。
 ここで、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 今のお話も聞いていただいた上で、地籍事業がこうして和歌山県内で進まなかった──おくれたという表現でええんかどうか、進まなかった原因をどのように捉えられておられるかというあたりのところをひとつ御質問したいと思います。
○副議長(花田健吉君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 地籍調査事業が進まなかった理由ということでございますけれども、先ほど議員の質問のところにもありましたけれども、総じて私ども県や、それから県内の市町村が、この地籍調査に対して理解や関心が低かったと考えております。
 実は、着手時期が物すごく遅かったということでございまして、平成元年時点で全国の着手率というのが64.5%あったんですけれども、県内の30市町村においては8市町村だけでした。その時分は県内50市町村ありましたので、10市町村が着手していたということになります。
 そういうことが原因かと思っておりますけれども、そのおくれを取り戻すということで、実は平成15年から全国で1位の事業費を確保して、それを取り返そうということで頑張っているという状況でございます。
○副議長(花田健吉君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 部長から、自治体の意識の問題というか、そういったお話をいただきました。それは、私もそのとおりだというふうに思うんです。思います。その立場におったとき、なかなか地籍に対する地方自治体の職員の意識というのもやっぱり弱かったなあと思うんです。過去の時代のことは、もうやむを得んです。そういう実態がわかったわけですから、0.7%なんていうのは、失礼ですけど、ほとんどしてなかったに近いと思うんです。
 これからですが、そんな中でも、例えば一昨日も、あした大雨が降って、先ほど冒頭で少しお話しさせていただきましたが、また2年前の大洪水が起こるん違うかというほどのレベルの、警戒水位を突破したわけですから、そういう心配をいたしました。
 これ、我々、南海・東南海道地震の海岸べりに大津波が来て、道や田畑や山やわからんようになったときにどうするんやと、なかなか復旧工事が――先ほども東関東沖のことをお話しさせていただきましたが、道できてるのに、道が見えてるのに、瓦れき取ったらそこにあるのにと。でも、官民境界がわからんから1年以上にわたって次の作業に入ることができん。あれだけやっぱりマスコミ等でも追及されて、何でこれがいかんのなえと。そこに道があって、そこの上をこう道路を通って使用さしてもうて復旧作業にすぐに入ったらいいのにと思うわけですけど、残念ながら、先ほどからお話しさせていただきましたが、地籍調査ができてないと。どこからどこまでが官の土地で、どっからが民間の土地であるかということが特定できんわけです。このことが日本経済に大きくマイナス要因として立ちはだかってる大きな原因の1つでもあると私は思うわけです。
 部長から先ほど答弁いただきましたが、本当にやっぱり自治体がもっと積極的に、不安定な気候の時代に入りましたので、もっともっと考えていってもらわなあかんと思うんですが、ただ、県当局のほうからも予算つけてもうて、もっと頑張ってよと言うていただくだけでは、やっぱりなかなか今までと変わらんの違うかなと。そう体質が極端に変わっていって、そしたらイの一番に地籍からやろうやないかと、予算はイの一番に地籍やでと、そういうふうにはなかなかなるようにちょっと感じられない。今の現時点ではですね。
 それで、少しでも早く進めてもらうための方策を、やっぱり上部機関である県あたりから、もっともっと市町村に対して進めていくためのそういう提案をしていただきたいと、こう思うわけですけども、このことに対して何か腹案でもお持ちでしたら──50何%に5年でするということですから、何かなかったらそうはいかんのではないかなと思いますので、あればちょっとお聞かせをいただきたいなと思います。
○副議長(花田健吉君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 地籍調査を早く進める方策ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今、和歌山県は全国一の事業費をかけて事業量を実施している。これは、実は平成24年度段階で28億円の事業費を確保しております。2位の高知県が17億ですんで、断トツだと思っております。
 それだけ一生懸命になってやってるわけなんですけれども、今、議員おっしゃるように、まだ平均まで行っていないということでございますので、事業主体である市町村と協議を行いながら、1つは、例えば作業の外注化ということも、今、国土調査法によって認められておりますので、できるだけ外注化を進める、それから市町村の職員の研修、そういうこともさらに強化いたしまして、効率化に努めて、できるだけ早期に完成できるようにさらに積極的に推進してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 今、部長のほうから外注化というお話いただきました。私も、その考え方、大賛成です。ぜひこの局面を打開していく1つの大きな方策の柱になるんではないか。
 ただ、このことを進めていこうとすれば、私もそういうことを過去に提案もしたことあったんですが、なかなか自治体の公務員の皆さん方が、個人情報というような名前のそんなもんを持ってきたりとか何ぞして、なかなか外注は難しいという考え方を持ってる方が多いように思います。それは、公務員でなかったらできんかのような考え方に陥ってしまってるんだと思うんです。
 国もいろいろ資料を出してまして、外注化のことも、たしか10条の2項でしたか、そこで触れておったように思うんです。最近はそうした外注のことなんかも積極的に推進をしているというふうにも聞いていますので、ぜひそうした手法もとっていただいて。何といいますか、地籍調査事業をするためだけに新たに職員を、小さな町でも5人、10人と雇って、一旦職員として雇えれば、定年まで雇用し続けなければならない責任もあると思うんです。そういう無駄も、失礼ですけど民間の方々にやっていただくと。そのときだけの仕事で、しかも納期というものを決めれば、その納期内に必ず完成品として納品をしてもらえると、スピードというか年限が見えてくるわけですよね。そういう高い効果もあるというふうに私も思いますので。
 ぜひそういう視点を配下の市町村の皆さん方にも教えていっていただいて、指導していただいて、これが推進にぜひ積極的にお力添えをいただきたいと。このことが、やっぱり我々、いろんな仕事がたくさんありますけど、次の世代に対する我々の今の世代の大きな責任であると、そのように思うところです。
 どうもありがとうございました。終わります。
○副議長(花田健吉君) 第4問目、ありますが。
 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 済みません。最後の4点目です。
 次に、個人の土地からはみ出してきた樹木等の伐採に関する条例の制定についてでございます。
 個人の権利が強く守られる時代となりました。県民にとってよい時代を迎えていると思いますが、一方、権利の濫用となってる場合も数多く見受けられます。
 例えば、ごみ屋敷と言われるほどに、居宅やその屋敷の中に長い年月にわたって拾い集めたごみのようなものを積み重ね、外見だけではなく、発生する異臭被害を周辺の住民に訴えられても、有益な財産だと言われれば、ほとんどなすすべもない実態が時々マスコミ等で報道されているところです。
 一人一人の価値観の違いがあり、一概に悪いとも断定できないところに難しいところがありますが、狭い国土に多くの国民が生活している日本列島です。昔はお互いの常識で判断され対応してきたと考えますが、多様化された今日では常識論では難しいところがあります。
 その一例で困っていることの1つに、道路に樹木等がはみ出してきても、土地所有者が刈り取りなどの伐採をしてくれないばかりか、時には騒動になったりいたします。特に道路にはみ出している樹木は、交通安全上も大変危険です。県独自の条例の制定等により、より快適な県民の生活の向上を考えていただきたいと考えます。県土整備部長からの御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 民有地の樹木等が道路交通に支障を及ぼしている場合につきましては、通常、所有者に伐採を要請する、あるいは所有者の了解を得た上で道路管理者が伐採をすることにより処理してきたところです。
 また、所有者の了解が得られない場合であっても、道路法第71条の規定により伐採の命令を行うことができ、これに従わない場合は行政代執行による対応が可能です。
 今後とも、道路交通の安全を確保するため、道路法等関係法令に基づいて適切な道路管理に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 正直、これ、道路法第71条の規定ということで、道路法にこのことが位置づけられてるということをちょっと知りませんで、何せ法律って1800余りあるらしくて、ちょっと気がつかなんだんですが、その道路法を読んでみました。全くのところ、ちょっと職員の皆さんにお話しさせてもうても、どこの法律がこの道路にはみ出してくる樹木の伐採に対して対応できるんかというのを御存じない方も結構おられて、それは無理ないというふうに私は思ってるんですけど、そういう実態です。
 それで、私のお願いは、この道路法も読んだら読むほどわからんなあと、本当にこのことでこれかいなあと思うほど難しい。私が思いますのは、我々県民が快適な生活を営むために、道路法という、拡大解釈しなきゃならんほどわかりにくいこの法律を盾にとって伐採の作業に入るということよりは、どうしても個人的に対象者に寄せてもらうと小さなトラブルになってくる。そのときに道路法の何条でというような話よりは、「実は県のほうで皆さんが快適な生活をするためにこうした条例があります。ついては、はみ出してる部分について切り取りをお願いできませんか」と、こういうことのほうがスマートで、近くの人同士のトラブルにならんで済まんかな、地主の皆さんとのトラブルにもならんで済まんかな、そんなに思うわけです。
 実はちょっと一例出さしていただいたら、私は白浜に住んでおりましたので、白良浜にポイ捨て禁止条例をつくったんです。これもいろいろほかの法律で対応できる方法もあったかもわからんですけど、やっぱりその条例を制定することによって、すごく軽い雰囲気で、「白良浜もたばこのポイ捨て禁止になっていますので、皆さん、御協力お願いします」ということがすうっと入っていく。しまいに、1~2年もすると、そのことがもう一般的になって、白良浜でたばこを吸いながら、そうでない方々に邪魔したり迷惑したりやけどを負わしたりと、そういうことがほとんどなくなってきました。それも別の難しい形の法律があって、その法律の第何条に実はこんなことがあるんですというような話というのは、そういう形であるとしたら、ここまで条例も行けた形になったかなあとちょっと思うわけです。
 屋上屋を重ねるようなものをつくり続けるというのも私も気にもなるんですけれども、こうして価値観の多い時代になりましたので、県民の皆さん方が快適で過ごせる和歌山県土のそういう環境づくりというのも我々としてもやっぱり積極的に──時代が以前の時代とまた違って、いつも進化をしていってると思うわけです。その進化の度合いに合わせて物というのは考えていただけたらなと思います。
 要望さしていただきまして、終わらしていただきます。失礼いたしました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時39分散会

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