平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 議長のお許しを得ましたので、一般質問、最終日の最終となりましたが、しばらくおつき合いいただきたいというふうに思います。
 まず、高速道路について伺います。
 昨年末の政権再交代以来、県内の高速道路や主要道路の事業化、予算については、民主党政権の失われた時間を取り戻すほどの勢いがあります。
 中でも高速道路については、有田─南紀田辺間が一昨日、4車線化事業着手式を行いました。私も参加をさせていただきましたが、知事や鶴保国土交通副大臣、二階俊博代議士から御挨拶がありましたが、会場の一同の思いは、一刻も早くやり上げよう、完成をしようという、そういう熱い雰囲気に包まれておりましたことを強く感じたわけであります。
 また、新宮紀宝道路が事業化され、すさみ─太地間の調査も始まり、国体までの開通を目指す箇所も予算が増額されました。この際、お世話になった多くの皆さんに感謝を申し上げます。
 しかしながら、和歌山県の高速道路整備はまだまだこれからでありまして、何としてもここは挽回すべく、用地買収も、県議会の南紀高速議員連盟もそういうところまでお手伝いしようと、そういう思いも込めまして、みんなで協力していこうではありませんか。
 今後の高速道路の整備促進について、知事の御所見を伺います。
 次は、高速道路の建設等で県産品を使ってほしいという質問であります。
 美浜町にある大和紡績では、繊維の製造技術を生かして、トンネルの防水シートやのり面の基盤材を製造しています。かつては2000人が働いてたそうですが、県内にたくさんあった紡績会社が次々と姿を消す中で唯一残った工場で、現在は52名が働いています。
 機械化された製造業で50名を超す企業を誘致するのはなかなか困難で、事業を継続してくれるダイワボウプログレス株式会社に感謝するとともに、私たちもぜひ応援しなければと思います。
 さて、県産品については、県工事において既に使用するのが普通になり、大きな経済効果が生まれています。
 そこで、県同様に国や高速道路会社にも県産品を使ってもらえば、道路の供用と建設の経済効果のダブルの効果が生まれます。ぜひとも国や高速道路会社に県産品の使用を要望すべきと考えますが、御見解を伺います。
○議長(山田正彦君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 一昨日、県議会議員の皆様方を初め、県選出国会議員、関係市町長、地元の方々に多数御参加いただき、有田─南紀田辺間4車線化事業の着手式が盛大にとり行われ、本県の悲願である南紀田辺までの4車線化が着手されました。
 都市計画のおくれとか、政変による予算の没収とか、あるいはコンクリートから人への大合唱とか、幾多の困難がありましたが、ここまで来たのは、これもひとえに、これまで御尽力いただいた国会議員あるいは県会議員、地元の皆さん、理解を示してくれた国土交通省の皆さんなど、多くの方々のおかげと感謝をしております。
 高速道路整備がおくれている本県にとって、県民のチャンスを保障し、かつまた南海トラフ巨大地震など大規模災害に備えるため、紀伊半島一周高速道路の早期実現と渋滞が多発している2車線区間の4車線化──これは日本で最も混み合っている1車線の高速道路でございますが──不可欠かつ急務であります。
 このため、県としては、これまでも市町と協力し、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の地元調整や用地買収に努めてまいりましたけれども、このたびの4車線化事業の着手に当たって、これは何としても早くやってもらわなきゃいけない、早くやってもらうためには、口ばっかり言っててもいけませんので、NEXCO西日本をお助けするために、有田振興局内に湯浅御坊高速事務所を設置するなど、事業推進体制を強化して取り組んでいきたいと考えております。
 さらに、これだけにとどまりませず、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の事業中区間の国体までの完成、それから新規事業化された新宮紀宝道路の事業推進、それからすさみ─太地間、新宮─大泊間の一層の事業化の進展について、今後も議員各位の御協力を得ながら引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県においては、県内の景気浮揚と雇用の確保を図るため、請負業者に対し、県内企業や県産品建設資材の優先使用を行う県内調達努力義務を課しております。また、工事成績評定や総合評価方式において、県産品建設資材の使用に対する加点評価を行うことにより、平成24年度県土整備部発注工事の県産品使用率は90%となっております。
 議員御質問の高速道路等への県産品使用については、県としても県内調達の拡大を図るため、国土交通省近畿地方整備局や西日本高速道路株式会社へ県と同様な県内調達の取り組みを要望したところです。今後とも、県内調達の推進について積極的に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 次の質問に移りたいと思います。次は、防災対策についてであります。
 1番目に、住宅再建共済について伺います。
 私は、平成18年9月定例会一般質問において、兵庫県の地震共済の有効性を説き、全国制度となるよう、本県も働きかけるよう要望した経過があります。残念ながら、その後の本県からの働きかけは確認できませんが、関西広域連合議会では、昨年、兵庫県の山口議員の広域連合で取り組むべしとの質問に対して、井戸連合長は、広域連合よりも、むしろ全国制度とすべきとの答弁をしたことを受けて、今般、関西広域連合から政府提案に組み入れられました。
 そもそも、住宅再建共済制度は、阪神・淡路大震災の経験から平成17年に兵庫県が単独で始めた共済制度で、年間5000円の負担で最大600万円の補償がもらえるというものです。共済制度の原則からいうと、兵庫県だけでやるには無理がありますが、恐らくこの共済制度は、個人給付が憲法違反と言われる中、復興のために避けて通れない住宅再建を支援する苦肉の策であったと思います。私は、この制度は、とうとい犠牲をあがなってようやく気がついたすばらしい制度であると評価しています。
 東日本大震災の被災地では、2年が経過しながらいまだに住宅が再建できない現状を見るとき、住宅再建共済の必要性を痛感します。財務省などは民間の地震保険等を勧めていますが、地震保険は火災保険とのセットで保険料も高く、所得の低い人が加入することは困難です。
 そういう意味で、兵庫県が貴重な経験から編み出した制度が立ち往生するのを傍観するのではなく、全国制度となるよう本県も協力すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 次に、地震・津波想定での堤防の取り扱いについて伺います。
 最悪の事態を想定して危機管理を行うことが危機管理の原則と言われております。その意味で、国が想定した巨大地震の設定をさらに厳しく見直し、地震動で河川堤防が75%破壊されるという設定を設けたことは、大変合理的で、敬意を表したいと思います。
 一方、3連動地震については、そもそも国の巨大地震の想定においてさえ盛り土構造物は破壊されないと設定されているからとの理由で設定しないのは、合理的ではありません。3連動地震については100年に1回程度起きる地震とされており、県では、この地震に対しては、ハード対策をも実施するとの方針ですが、この想定では、河川堤防は一切破壊されないのであれば河川堤防のかさ上げや強化は実施されないことになります。
 私の記憶では、日高川堤防の耐震診断については阪神大震災後に実施されましたが、調査箇所は両岸合わせて5カ所程度で、いずれも問題がないということでした。その結果については、私の要望を聞いてくれたから、それ以上文句は言いませんでしたが、実は調査箇所は少な過ぎると思いましたし、ボーリング調査だけでは果たして十分なのかとも思いました。実際に東日本大震災では、名取川下流では堤防は越流で削られ、北上川下流では堤防が消失しています。
 そもそも、地震の被害想定で結果に著しい違いが生じる設定については確かな合理性が必要であると考えますが、国が言っているというだけの理由でいいのでしょうか。もし堤防は破壊されないと設定するなら、少なくとも詳細な調査や強化が必要であると考えます。あわせて御所見を伺います。
 3番目は、地震想定で時間差の影響はないかという点について伺います。
 最近は、巨大地震の被害想定が公表されて、世間の注目は巨大地震からいかに逃げるかということに集中しております。この巨大地震や3連動地震についての設定で共通しているのは、連動することです。しかし、実際に発生した過去の例を見ると、それぞれが発生する時期はずれているときのほうが多く、その幅も、数時間から数年間と多様であります。発生する地震や津波の最大値は連動することで得られますが、全く視点を変えて時間差で発生するときは、大きさ以外の別の被害が生じるのではないかと心配します。
 次に和歌山で発生する災害は地震・津波と思っていましたが、実際には大洪水が起きたように、巨大だけではなく、時間差で南海トラフ地震が発生したときにいかに対応するのか、所見を伺います。
 4番目は、要望をさせていただきます。
 耐震改修促進法につきましては、今議会の一般質問で複数の議員が取り上げ、県においても法律の運用について国に要望しております。公共施設の耐震化が進む一方、民間施設が大きく立ちおくれている現状に対し、何とかしなければという認識で一致していると思います。
 今回の質問に当たり、私は、民間施設の耐震化に対し、診断はもとより、改修に対しても補助金が出ることを初めて知りました。事業名は耐震対策緊急促進事業であり、法律の対象となる3階かつ5000平米以上の不特定多数が出入りする施設に対し、改修に対して最大3分の2が補助される仕組みです。
 私は、平成20年9月と昨年6月の定例会一般質問で、ホテルや旅館の耐震化について知事に質問をさせていただきました。知事からは、必要性を認識して取り組んでいるが、経営が厳しいところも多く、なかなか大変だという答弁でありました。しかし、今回、国交省ですばらしい事業ができたのは、まさに千載一遇のチャンスであり、ぜひこれを大いに宣伝して耐震化を進めていただきたいと思います。
 以下、5点について要望させていただきたいと思います。
 まず1点は、補助率をできるだけ高くすることであります。2点目は、国に対して、25から27年度ということでありますので、ぜひ延長することをお願いしてもらいたいと思います。3点目は、対象を拡大することであります。特に面積が小さいホテルや旅館に対しても拡大していただきたいと思います。4番目に、大きな投資となるので、診断結果や耐震工法についての技術的な相談や、経営の合理化や譲渡まで含めた総合的な相談体制の構築が必要になるんではないかというふうに思います。5点目は、県内の観光施設が適切に耐震化するための総合的な計画の策定と着実な実行であります。さらに、風評被害の防止も含めた安心宣伝対策をお願いいたしたいと思います。
 以上は質問ではありませんので答弁は求めませんが、今後ぜひ実行、実現するようお願い申し上げます。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 自然災害時における支援制度は、現在、一定規模以上の被害が発生した場合、各都道府県が出資した基金をもとに支援金が支給される被災者生活再建支援法に基づく支援制度がございます。また、御指摘のように、国は民間の地震保険への加入を広く呼びかけております。
 こうした現行制度に加えまして、住宅再建共済制度を全国的な制度に広げていけるならば、災害時の支援制度がさらに充実するということから、国において制度の創設に向け十分検討するよう、関西広域連合等を通じて引き続き要望していきたいと思います。
 一方、本県においては、一昨年の台風12号による被災者に独自の施策として補助金を上乗せするなど、被災された方々が一刻も早くもとの生活を取り戻せるように取り組んでまいりました。
 今後、再び本県で災害が起こったとしても、制度の有無にかかわらず、被災した方々の救済に決然とした覚悟を持って取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山田正彦君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 地震・津波想定での堤防の取り扱いについてお答えします。
 東海・東南海・南海3連動地震と南海トラフ巨大地震の2つの新しい津波浸水想定を本年3月に公表しました。今回、津波浸水想定を策定するに当たり、想定の前提となる河川などの土堤の取り扱いなど条件設定については、専門家の意見や国土交通省の助言をいただきながら検討を行いました。
 このような想定は一定の条件設定のもとで行いますが、現実に発生する災害と必ずしも一致するものではなく、場合によっては想定以上のこととなる場合もあります。
 河川堤防については、河川管理者が現在進めております河川津波遡上シミュレーションの結果をもとに、必要な対策を実施していくものと考えております。
 次に、地震想定で時間差の影響はないかという質問です。
 国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告には、歴史的に南海トラフ沿いで大規模地震が数十時間から数年の時間差をもって発生したことがあると報告されています。
 国の対応も参考にしながら、時間差をもって地震・津波が発生することもあるということを念頭に置いて、油断することなく、しっかりと対応してまいります。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 この河川堤防についてでありますが、危機管理監からお答えをいただきましたが、ぜひ知事並びに県土整備部長におかれましては、堤防が壊れないようにまずやるということが大切だと思いますので、ぜひとも計画的に実施していただくように要望をさせていただきたいと思います。
 続きまして、3番目の質問を行わせていただきます。
 外国人観光客に県産品を試供できないかということを伺いたいと思います。
 道成寺山門前に和風レストランがあります。イベリコ豚の鍋を売り出すなど商売熱心で、店も繁盛していて、私たちも2階の宴会場をよく利用させてもらいます。ある日の夕方に行くと、1階のレストランに宴会料理が並んでいました。大体、バスで道成寺に来る観光客は日中なので、夕食の準備とは不思議に思い尋ねてみると、台湾からの旅行客が来るとのことでした。かねてから熱心にインバウンドに取り組んでおられたので、さすがに商売がうまいと思いました。ただし、御主人の話では、その夕食は1食1700円だそうで、ボリュームの割に値段が安いのに驚くと同時に、インバウンド観光の大変さがわかりました。
 平成24年の県観光客動態調査報告書によると、約11万7000人を海外からお迎えし、そのうち45%が香港、台湾からの旅行者でしたが、このような御苦労の積み重ねが大きな実績になっているのであると敬服した次第であります。
 しかし逆に、この値段では、我が果樹王国が誇る季節の果物を年中提供することは難しいだろうとも思いました。現在、訪日観光客の大部分は、東京、京都、奈良などのゴールデンルートを訪問し、全国の自治体が外国人観光客の争奪戦を行っている中で我が県を訪れてくれる観光客は、数ある観光地の中でよくぞ和歌山を選んでくださった大変ありがたい神様のような存在だと思います。私は、この和歌山をせっかく選んでくれたお客さんこそ和歌山ファンにするべきだと思います。毎年12万もの外国人観光客が和歌山ファンになってもらえば、口コミの宣伝だけではなく、帰国後、店頭に並ぶ県産品の消費者にもなってくれるでしょう。可能性は大いに膨らみます。
 この前は若い女性が料理の写真を撮っているのを見かけました。決してまずいものを食べさせてるとは思いませんが、とにかく1700円ですから、おいしい和歌山を印象づけてるとは思えません。そこで、料理のうち1~2品程度、その時々の旬のものやテーマを決めて試供してもらい、和歌山はおいしいと印象づけてはと思います。
 県内の外国人観光客の宿泊の多いホテルの支配人にも伺いました。夕食はやはりホテルでも3000円程度でございましたが、試供するアイデアには賛成していただきましたし、さきに申し上げたレストランの御主人も賛成をしてくれました。そこで、食材供給側の地元農協組合長にも聞いてみました。農家に迷惑をかけるわけにはいかないが、出荷価格で提供できると、前向きのお返事をいただきました。
 世界中で和食がフランス料理と同様に高級料理としてもてはやされ、世界遺産に登録される可能性がある中で、日本産の食材が高級食材として世界中に売れる可能性は高く、食材の宣伝、販売だけではなく、世界で売れる食材の開発や流通網の整備などにも力を入れていくべきだと考えます。
 しかし、「隗より始めよ」ということわざがあるように、まずは来てくれた人を確実にファンにするべきで、そのための県産品の試供について農林水産部長の所見を伺います。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成24年和歌山県観光客動態調査では、県内の外国人宿泊者数は、昨年後半には東日本大震災前を上回る水準にまで回復し、香港、台湾を中心に多くの外国人観光客が本県を訪れてくれました。
 海外に県産品を売り込むには、こちらから各国に出向いていく方法もございますが、議員御提言のとおり、本県を訪れる外国人観光客に対して、和歌山のおいしくて健康にもよい農産物や加工食品をアピールする方法もございます。
 近年、輸出事業に取り組む生産者が県内各地でふえているところでもありますので、外国人観光客を受け入れている地元宿泊施設等とのタイアップによる商品PRといった手法もあることを県内の生産者に提案していきたいと考えております。
 また、和歌山を外国人観光客に強く印象づけるため、商工観光労働部と連携して、JAなどの生産者や市町村等地元関係機関とともに、年間を通じて県産品を使用していただけるよう宿泊施設等に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、ブラジル県人会創立60周年について伺います。
 4年前、和歌山県人会創立55周年に際し、仁坂知事や当時の冨安議長とともにブラジルを訪問しました。県人会の皆さんから温かい歓待をいただいたこと、移民の暮らしぶりや御苦労話を伺ったこと、発展するブラジルの息吹を感じたことなど、ついきのうのように思い出します。早いもので、来年、いよいよ60周年を迎えますが、知事は、次回は100人の大訪問団を連れてくるというふうにおっしゃいましたが、覚えておられますか。
 私は、この機会に、文化交流だけではなく、ぜひ発展するブラジルと経済的に結びつくようなチャンスにすべきではないかと考えます。既に、和歌山県中南米協会では、養鶏器具の輸出可能性を探ってくれています。県国際交流協会の樫畑理事長のお話では、ドイツなどは移民が多い国に積極的に投資をしているそうです。我が県も、県人会との皆さんとの御縁で経済交流ができないか、約1年後の訪問に照準を合わせて今から準備できないかと考えております。
 かつて、南北アメリカにはかなりの数の県人会がありましたが、どんどんと消えています。移民1世、2世が高齢化、世代交代し、今や日本語を話せない3~4世が多くなり、日本や和歌山と縁が薄くなっています。現地に同化することは大切ですが、大変寂しい状況です。
 全米には、ユダヤ人の強力な同胞組織があると聞きます。同胞が団結することは大切であります。前会長が元国立銀行総裁、現会長の娘婿が大蔵大臣というペルー県人会もあります。県人会活動は、立派な外交活動でもあると考えます。来年の60周年に向けて、知事のお気持ちを伺いたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 在ブラジル和歌山県人会連合会の創立60周年に当たりましては、本県より遠くブラジルの地に移住し、ブラジルにおいて輝かしい日系人社会を築き上げられた県人会の皆様方に、まずは心から敬意を表したいと思います。
 55周年に当たり、御指摘のように平成21年にブラジルを訪問した際、県人会の皆様方が日本人としての精神や故郷和歌山の文化を継承されている姿を拝見いたしまして心強い思いをするとともに、県人会との交流の大切さを改めて感じました。こうした思いから、平成26年に迎える60周年には、現地の人から、かねてから絶対に来てくださいねというふうに言われておりまして、県議会を初め関係の皆様方とともにブラジルを訪問し、県人会の皆様方に心からお祝いを申し上げたいと思います。
 ブラジルは1億9000万人と、世界第5位の人口を有しております。また、GDPは全体として世界第7位であるなど、経済的にも高い可能性を有する、最近成長がとみに著しい国でございます。ブラジル国内において、日本からの移住者は、その子孫も含め約140万人と言われておりまして、世界最大の日系人社会を築き、経済的、社会的にもブラジル国内で高い評価を得ております。農業分野などで和歌山県出身者が大活躍をしているという例もございます。
 今後の交流につきましては、周年事業への参加とか県人会子弟受け入れなど、県人会の皆様との交流を継続するとともに、日系人社会、和歌山県人会の皆様とのつながりを活用いたしまして、ブラジルの活力を本県経済の活性化につなげるような経済交流も視野に入れて取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 きのう、実はERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)の訪問シンポジウムがございました。私も、パネラーで参加をさせていただきまして、和歌山県の活動、知事の思い、そういうことも報告をさせていただきましたが、とにかく日本の国の発展のためにはアジアの発展を取り込んでいこうという、そういう雰囲気が充満しておりましたし、東南アジアのERIA、それからジェトロの機関の人たちのお話を聞くと、日本からはもう東南アジアに雪崩を打ってみんな出かけていってると、こんなお話でございました。
 和歌山県のような地方は、明治以来、東京にいかに近づくか、こういうことをずっとやってきましたが、距離は確かに近づきましたが、東京になるということは決してできないということがよくわかりました。やはり和歌山は和歌山らしさを生かしつつ、視野をずっと海外にも広げて活動していくということが大切ではないか。私が申し上げるまでもなく、知事はふだんそのように言われて行動されてるわけでありますけども、ぜひこういうことを県民にも大きくお伝えしてどんどんと外国に進出をしていく、そういうことがこれからの和歌山の発展のためには必要でないかというふうに思っております。
 ブラジルは、そういう意味では大きな可能性のある国でありますので、私たち議会も議員連盟をつくっておりますから、大いに一緒になって取り組んでいきたいと思っております。
 5番目に、国保について伺いたいと思います。
 自公による政権再交代を経て、安倍内閣は円安と株価の上昇により順調な政権運営を続けています。ぜひとも、これを足がかりに日本経済が本格的に景気回復軌道に移行し、我が県や県民生活にも好景気が実感できるよう私たちも努力したいと思います。
 さて、今回の安倍内閣では、経済政策としてアベノミクスが有名になりましたが、実は政府では、経済再生と同時に財政健全化も掲げています。その指針となる経済財政運営と改革の基本方針が、6月14日、閣議決定されました。その要諦である経済再生と財政健全化の両立を実現するためには、良薬口に苦しと申しますが、後期高齢者医療制度改革などの国民が嫌がる、選挙にはマイナスの政策をたくさん実現しなければなりません。何としても、ここは国民に理解してもらうとともに、逆風に耐え得る強い政治体制、政権が必要だと考えます。ぜひとも、来るべき参議院選挙においては、ねじれを解消するだけではなく、強い安定政権ができるよう頑張っていきたいと思います。
 さて、昨今は、行革に関連して、いつも公共事業が悪者扱いされますが、医療や福祉などの社会保障も大部分を税金や保険で支出する公共事業であります。しかし、こちらのほうはマスコミにたたかれることもなく、毎年1兆円ずつ青天井で伸びてきました。医療費をいきなりなくすことはできませんが、健康増進や健康な大人になる健康教育に予算や人材を投入する政策にシフトする必要があると考えます。
 閣議決定された基本方針には予防重視も盛り込まれていますが、赤字が続いている国民健康保険の運営を市町村から都道府県に移管する方針が示されています。市町村で異なる保険料体系の一元化など、運営の効率化を通じて社会保障費を抑えるという目的ですが、県から市町村に権限移譲が進む昨今において、逆に費用のかかる医療費だけつけ回しされるのでは困ります。
 一方、小さい市町村では対応できない医療政策と保険運営を一体的に講じることができれば、医療費の削減だけではなく、医療の充実にもつながる可能性はあります。国の方針に対して知事の御所見はいかがでしょうか。よろしくお答え願います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国民健康保険は、被保険者に低所得者や高齢者が多く、保険料負担能力にも限界があり、加えて医療費も増大しているため、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えております。
 こうした構造的な問題を解消するためには、財政力格差の大きい市町村単位で運営している現行の国民健康保険制度より保険者を都道府県単位にして広域化するほうがよいという考え方、これには理解できるものがあると思います。
 しかしながら、都道府県間にも所得や医療費の地域格差がありまして、財政力も随分異なるわけであります。単に保険者を都道府県単位化するだけでは、私は根本的な解決にならないというふうに思います。
 そもそも国民健康保険は、ナショナルミニマムであると私は思います。都道府県に責任を押しつけて、あとは御自由にというような制度改正では困るわけでありまして、都道府県移管がその危険性を有していないとも言いにくいということだと思います。国が責任を持って持続可能な制度を構築するように、強く求めていきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、紀州犬の保存について伺います。
 御坊市内の紀州犬愛好家から、紀州犬の応援を依頼されました。現在、県では、2年後の紀の国わかやま国体の開催に向け、紀州犬のマスコット「きいちゃん」を投入し、PRにいとまがありません。きいちゃんは、着ぐるみで県内各地のイベントに参加しているほか、縫いぐるみやバッジなど各種のグッズも充実し、いろんなところで見かけるようになりました。
 しかし逆に、紀州犬そのものは、最近ではほとんど見なくなりました。ここで、改めて紀州犬について調べてみました。インターネットのウィキペディアの要約は、次のとおりです。
 「紀州犬は、和歌山県原産の日本犬の一種で、昭和9年(1934年)、秋田犬や甲斐犬に次いで天然記念物に指定されました。家庭犬としての適性が高く、日本犬の中では柴犬に次ぐ飼育頭数を誇ります。伝説では、江戸時代、紀伊国阪本村の鉄砲名人、弥九郎が山道を歩いていると、オオカミが苦しんでいた。かわいそうに思って助けてやると、後日、弥九郎の家の前にオオカミの子と思われる1匹の子犬がいた。弥九郎はその子犬に「マン」という名前を与えて育てた。新宮城主が狩猟に行った際、1頭のイノシシが突進してきたが、マンがイノシシを撃退し、その名声は大いに上がったという。このマンが紀州犬の先祖と言われており、紀州犬はオオカミの血を引いていると言います。一般的には、紀州犬は紀伊国の山岳部、すなわち紀伊山地周辺のイノシシ狩猟や、それに伴う諸作業に使われていた土着犬を品種固定した犬とされており、天然記念物に指定の際、紀伊半島の地犬であった太地犬、熊野犬、日高犬、高野犬、明神犬、那智犬が紀州犬として指定されました。身体的特徴は、すっきりとした鼻筋の通った顔に、ぴんと立った三角耳と細い三角目を持ち、典型的な日本土着犬の特徴を見せるが、尾は柴犬などに多い巻尾ではなく、オオカミのような差し尾が多い。かたい直毛の上毛とやわらかく密生した下毛のダブルコートに覆われた体はがっちりとした筋肉質で、頭部がやや大きく、顎と地面に踏ん張る四肢の筋肉は特によく発達している。一見ずんぐりとした頬が豊かな相貌は、精悍さと同時に穏和な印象をも与えます。犬の性格として、すぐれた犬は1頭でもイノシシを倒すと言われるほどの勇猛さで知られ、気性は荒い傾向がある。そのためしつけを怠って野放しにすると非常に攻撃的な性格になり、特に家族以外の人間や犬にかみつく危険性がある。しかし、きちんとしつけを施せば優秀な家庭犬になり、小さな子供のいる家庭でも問題なく飼育できる。日本土着犬の一般的特性として、主人に忠実でよそ者を警戒する性質を持つため、番犬に適している。ただし、大型動物狩猟犬としての特性上、無駄ぼえが少ないため、威嚇よりも撃退向きである。自分や家族に害を及ぼす相手に対しては一切容赦せず、強靭な顎で食らいつく。体質は非常に丈夫で手入れもしやすく、遺伝病は少ない。山地での激しい狩りにも耐え得る体力、持久力を有するため、飼育する場合には十分な運動が要求される。よって、飼育環境は郊外の一軒家や農村地帯が好ましい」とありました。
 昨今は、ペットブームと言われますが、核家族、集合住宅、サラリーマン化など、ライフスタイルの変化のためか、主流はプードル、チワワ、ダックスフンドなどの洋犬であります。
 一方、日本土着犬は、携帯電話のコマーシャルに出演する北海道犬がにわかに人気を集めましたが、土着犬は柴犬が圧倒的人気で、恐らく犬の特性のためか、紀州犬は見かけなくなりました。
 今回の質問に当たり、教育委員会でも飼育数を伺いましたが、調査は行っておらず不明ということでした。まさかそんなことはないと思いますが、気がついたら絶滅寸前ということもあるかもしれません。きいちゃんやきしゅう君も結構ですが、そのモデルとなった本県の誇りでもある紀州犬の保存等について、教育長の所見を伺います。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 紀州犬は、議員御指摘のとおり、紀伊半島の山岳部を中心に飼育されてきた幾つかの地方犬種を一まとめにした呼称であり、日本に古くから伝わる犬種の一種であるとして、昭和9年に国の天然記念物に指定されている文化財であります。
 公益社団法人日本犬保存会の資料によりますと、近年の同会への新規登録頭数は700頭前後で推移しており、急激な減少にはまだ至っておりませんが、県教育委員会では、天然記念物である同犬の希少性を十分に認識して、優良犬の顕彰を行うとともに、紀州犬の保存の重要性の広報に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 全ての政策の基本として、対象である対象物というんでしょうか、それがどこにどれだけのものがあるかというのは、もう絶対的に必要なことでありますので、ぜひ紀州犬がどれぐらい飼育されているのか調査をしていただきたい。そういうことを要望させていただきまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第81号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第75号から議案第80号まで、議案第82号から議案第86号まで及び議案第89号から議案第95号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、6月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時46分散会

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