平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


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人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第95号は、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 質問に先立ちまして、このほど文化庁の審議会において、有田川町の蘭島が和歌山県として初となる国の重要文化的景観に指定をされました。有田川町、県当局、保存会など、関係者の皆さんの御努力に敬意と感謝を申し上げますとともに、これを契機にすばらしい和歌山の地域財産の保全と活用に頑張っていけたらと考えています。今後とも、お力添えをよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に基づき、一般質問をさせていただきます。
 まず、第1の項目である骨髄移植等への支援について伺います。
 私は、約10年前に献血をした際に骨髄バンクに登録をしておりました。このほど、ドナー登録をしていた骨髄バンクのほうから提供依頼があり、骨髄提供の手術をさせていただきました。私は、この骨髄提供を通じて大変多くのことを学ばせていただき、考えさせられました。この機会に、命のボランティアと呼ばれている骨髄移植等の取り組みについて質問をさせていただきたいと思います。
 議場内には、骨髄バンクのパンフレットを資料配付させていただいておりますので、どうぞごらんください。
 白血病など血液の難病患者さんへの治療方法として、骨髄移植手術があります。これに加えて、末梢血からの幹細胞移植、臍帯血移植を加えた3つの治療方法を総称して、今、造血幹細胞移植と呼ばれております。これらの治療にはHLA型と呼ばれる白血球の型の適合が必要で、その確率は、親から半分ずつ遺伝子を受け継ぐ兄弟姉妹では4分の1の確率で合致をいたしますが、親子ではごくまれにしか一致せず、非血縁者間では数百から数万分の1以下の確率でしか一致をしないんです。それゆえに、より多くのドナー登録が必要とされています。
 さて、私のところにこのような封筒が骨髄バンクから送られてきたのは、昨年の暮れのことでありました。(封筒を示す)この封筒には、「大切なおしらせです。至急開封してください」、こんなふうに書いてありました。ひょっとしてと思いながら封をあけると、「骨髄提供のコーディネートのお知らせ」というふうに書いてありました。私とある患者さんのHLA型が一致をし、ドナー候補の1人として選ばれたこと、詳しい検査や面接に進んでいただけるかどうか返事が欲しい、協力いただくには、あなたの気持ちに加えて、健康であること、家族の理解と同意が必要なことなどが書かれていました。私は、希望する旨を記入して書類を返送しました。
 まずは、確認検査という骨髄提供の詳しい面接説明と健康状態の確認、改めて採血をして、もう一段詳しいHLA型の適合検査を行いました。この時点では、通常5人程度の複数のドナー候補が選ばれて、そのドナー候補の中から1人を選ぶことになるそうです。その結果、血液検査の結果が基準に対し問題がなかったという連絡が来て、検査から約2カ月後に私が最終的なドナー候補に選定されたとの通知が参りました。
 これを受けて、最終同意と呼ばれる提供意思の最終確認へと進みました。その場には、私、そして家族代表、担当医師、骨髄バンクのコーディネーターさん、そして第三者の立会人、この5名で説明を受け、意思確認をします。立会人は、十分な説明と理解がされているか、自発的意思によるものかを確認するための同席です。
 骨髄提供は、あくまでも自由意思によるものですから、この最終同意に署名捺印するまではいつでも提供を辞退できます。しかし、この後は同意を撤回することはできません。なぜならば、患者さん側は、同意の確認後、間違いなく移植が受けられるということを前提に、移植2週間前から手術の前処理に入ります。抗がん剤や放射線の照射により正常な細胞まで壊して、免疫力のない状態にして、無菌室で移植の当日を待つことになります。この状態で移植が不可能になれば、患者さんの死亡など、重大な事態になるからです。
 私は、家族とともに、もう一度、一から骨髄提供についての説明、手術の方法や安全性、リスクについても丁寧な説明を受けました。やはり、家族は私の体を心配しました。手術の方法など、いろいろな質問に対し、バンクのコーディネーターさんや担当医師が丁寧に答えてくれて、不安は解消しました。家族も納得の上で、同意書に署名捺印をしました。私の体験では、大変丁寧に、ドナーの安全や意思を第一に進めていただいたと感じました。
 骨髄提供の手術日は、この最終同意の約2カ月後となりました。私の場合、入院は4日間でした。採取前日に入院をして、最終的な検査や診察をします。そして迎えた手術日、全身麻酔の手術ですから、それなりの準備をして挑みます。手術時間は、約2時間程度でした。
 骨髄をどこからどんなにとるかといいますと、腸骨と言われる腰の骨に、後ろのベルトのあたりからボールペンぐらいの太さの針を刺して、そして骨の中にある骨髄液を吸い出します。骨に刺した1カ所の穴から、深い所、中ほど、そして浅い所と3カ所、それぞれ1回に数ミリリットルずつ、合計15ミリリットルぐらいを採取するんですね。これを左右の骨それぞれ合計60カ所、全部で行い、1リットルの骨髄液をとりました。しかし、腰にできる針の傷はわずかにこの左右1カ所ずつで、そこから角度を変え、位置を変えて30カ所ずつ採取をするわけなんです。
 骨髄採取後には、事前にとっておいた私の自分の血液を600ミリリットル戻します。これで私の体にとっては、差し引き400ミリリットルの血液採取の負担という計算になるわけです。
 麻酔も覚めまして、人口呼吸器も外れた状態で病室に戻り、お昼過ぎには尿カテーテルも外れました。骨髄採取した骨や針を刺した傷の痛みはそれほどでもなく、尿カテーテルの痛みのほうが大変だったぐらいです。手術後2日目には退院、合計4日間の入院でした。
 腰には、頭をぶつけたときのようなたんこぶのような膨らみができましたが、この腰の痛みも膨らみも1週間ほどで気にならないようになり、2週間後の術後検診では血液の数値は問題なしとされ、ドナーとしての役割は完了しました。
 この骨髄提供に当たっては、患者さんとドナーのプライバシー保護と公正さの確保のため、お互いの住所も氏名も知らされません。患者さんが特定されるのを防ぐために、骨髄提供手術の日時、場所も某日某所にてということにさせていただきます。
 しかし、骨髄バンクからは、今回の患者さんは海外の患者さんであること、10代の男の子であるということだけは知らされました。日本とアメリカ、韓国、この3カ国が、今、骨髄バンクの相互登録、提供をしているのだそうです。私が提供した骨髄は、その日のうちに男の子の待つ病院へと空港から送られたそうであります。私自身、3人の男の子を持つ父親として、その患者さんの手術が無事成功して、どうか元気に回復してほしいと心から願っております。
 今回の骨髄提供を通じて、1人の患者さんの命を救おうとする医療機関の方々、骨髄バンクのコーディネーターさんらの思い、また骨髄移植により回復した元患者さんの方の体験など、お話を伺うことができました。和歌山県のバンク登録がここまで進んだのも、患者さんの家族会の皆さんが登録活動ボランティアをされた、そういう力によるものが大きいとお聞きしました。
 国のほうでは、造血幹細胞移植のための法整備が国会において昨年行われ、国、地方公共団体、造血幹細胞提供関係事業者、医療関係者などのそれぞれの関係者が、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るために、相互に連携をとりながら協力をしていくことになります。
 そこで、この骨髄移植等への支援を求めて、以下、3点にわたって質問をさせていただきます。
 1点目は、骨髄移植を初めとする造血幹細胞移植の状況についてです。
 ドナーからの移植を待つ患者さんは全国で毎年2000人ほどいると言われていますが、和歌山県における骨髄移植を初めとする造血幹細胞移植の状況はどうなっていますか。骨髄バンクの登録者数は十分と言える状況でしょうか。また、骨髄提供や移植手術の可能な医療施設の整備は進んでいるのでしょうか。
 2点目は、骨髄バンク登録推進とドナーへの支援についてです。
 骨髄提供に当たり、骨髄バンク登録者の率が近畿の中では京都に次いで高いんだというお話を聞きました。調べてみますと、資料2のこの一番左側の図のようになっております。登録の始まったころは近畿で最低だったということですから、ここまで登録推進を進めていただいた関係者の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。今後は、ドナー登録を一層推進するためにどのような手だてを考えているのでしょうか。
 また、ドナーを体験して感じたのは、移植手術のために4日間の休みをとることの困難さでした。関係者のお話では、せっかくHLA型が適合しても、休暇がとれないなどの条件的な理由で提供に至らないケースも少なくないとのことです。ドナー候補者が職場で理解を得て仕事が休めるよう、県民への周知を広げるとともに、公務員を初め県内の企業で休暇制度の導入を図るなど、ドナーへの支援を積極的に進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 3点目は、献血推進など、今後の課題についてです。
 全国的にも、10代、20代の方の献血協力率が低くて、このままでは近い将来、血液不足を招くと言われています。
 お配りしている資料2は──右側です──
年齢別、世代別の献血率の全国データであります。和歌山の順位はかなりいいんですが、20代の落ち込みが顕著に見てとれるというふうに思います。この分母の数が、学生など住民票を残して外に住んでいる県民が多いという、和歌山は統計上のハンディがあるわけですが、それをいうなら秋田県などは、これ、大変いいわけですけども、同じようなハンディを抱える若者流出の多い県ですが、若い世代の献血率がすごくいいんですね。こういった先進県に学びながら、うんと底上げを図っていく必要があると考えます。
 身近なボランティア、命のボランティアとして献血の裾野を広げていくこと、特に若い世代での献血者の確保が、輸血用血液の安定供給とともに、造血幹細胞移植への理解と協力を広げる上でも不可欠の課題だと考えます。
 献血推進や献血者確保など、今後の課題についてどう考えているのか。
 以上3点、まず福祉保健部長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 骨髄移植を初めとする造血幹細胞移植の状況についてですが、現在までに県内で106例の非血縁者間の移植が実施されています。しかしながら、今なお県内において11名の方が適合するドナーを待ち望んでいる状況です。
 一方、県内のドナー登録者数は、平成25年5月末現在、3915名であり、登録対象年齢人口1000人当たりの登録者数は9.1人で、全国平均の7.19人を上回り、全国第12位の状況となっておりますが、1人でも多くの方を救うため、引き続き登録者の確保を図る必要があります。
 また、非血縁者間の造血幹細胞移植を受けることができる県内の医療機関は、県立医科大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センターの2施設となっております。
 次に、骨髄バンク登録推進とドナーへの支援についてですが、県では、登録機会の拡大を図るため、平成17年度から献血時に合わせて登録会を実施しており、昨年度は42回実施し、341名の方が登録されています。
 また、ドナーとして骨髄提供を行う際には数日間の入院が必要となることから、職場の理解が不可欠となります。県及び県内の全ての市町村においては骨髄提供時の休暇制度が導入されていますが、民間企業等では一部にとどまっている状況です。県といたしましては、今後ともドナー登録の機会拡大や普及啓発を図るとともに、休暇制度の導入について関係部局と協議しながら県内企業等に働きかけてまいります。
 次に、献血推進など今後の課題についてですが、本県の平成24年の献血可能人口当たりの献血率は6.8%で、全国平均6.0%を上回り、全国第5位となっています。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、高齢化が進む中、将来にわたり献血していただける方を確保する必要があるため、高校生を初めとする若年層に対する献血意識の普及啓発や献血の実施に重点を置き、取り組みを進めているところです。
 今後とも、関係団体や市町村、ボランティアの方々と連携しながら、献血への協力を高等学校、民間企業、各種団体等に対し積極的に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 骨髄バンクへの登録率、献血率ともに、和歌山県はよく頑張ってると言えると思います。
 骨髄バンク登録では、全国的な目標としての30万人を達成、40万人達成と順調に伸びてきてはいるものの、部長の答弁にありましたように、和歌山県内でも現在11人の患者さんがいらっしゃる。これだけ多くの方に登録していただいても、なおまだ型が合わずに、そういう人があらわれるのを待っている。こういう状況ですから、分母をふやすことが適合する確率を引き上げていく保障となるわけです。献血と並行した登録会、ぜひ進めていってほしいと思います。
 また、この骨髄提供も献血もまさにボランティアでありますから、無理強いをしたり親切の押し売りをしては趣旨に反します。これらのことについて考える機会を数多く設ける。ひとえに普及啓発と働きかけにかかってくると思いますから、今後とも、和歌山県民、結構頑張ってるよというのを大いに宣伝しながら、しっかりとお取り組みをいただくよう要望しておきたいと思います。
 次に、2つ目の質問の項目、有田地方における産科、小児科の医療体制に関連しての3点の質問に移らせていただきます。
 まず、産科の診療体制確保についてです。
 このほど、有田市立病院の産科窓口に張り紙が出されました。その内容は、「平成25年9月以降の新規出産(分娩)の取扱はいたしかねますので、ご了承のほど、よろしくお願いします」、こんなふうに書いてるんですね。また、同じお知らせが病院のホームページにも掲載されたことから、有田地方の住民の中から、市立病院でお産ができなくなると不安の声が急速に広がっております。
 有田1市3町のこの医療圏において、産科診療は、現在、公的病院では有田市立病院だけです。民間では、産婦人科クリニックがわずか1カ所残っているだけであり、このまま有田市立病院の産科がストップしてしまえば、有田に産科が1つだけ、産科医師が1人だけとなってしまいます。
 現在、有田地方の出生数は約550人ほどですが、このままでは有田地方で安心して出産、子育てができない、里帰り出産もできないなど、大変な状況になると私は危機感を持っております。
 子育て環境ナンバーワンを目指す和歌山県として、この有田医療圏の危機的状況を打開するために、医大に医師派遣の要請をするなど、積極的に尽力すべきだと考えますが、この状況をどう把握、認識し、どう対応をされようとしているのか、御答弁を願います。
 次に、小児科の診療体制確保について伺います。
 産科の問題と前後して、今度は有田市立病院の小児科の診療体制が、これまで常勤医師と医大からの非常勤医師1名、この2人体制だったものが、常勤医師の退職により、4月から月曜日と木曜日が休診ということになっています。そして、この診療体制の穴を埋めるようになかなかなってないというんですね。
 この有田医療圏での小児科診療体制は、実は経過のある問題です。
 以前、有田地方の公的病院には、有田市立病院と、そして湯浅町にある済生会有田病院にそれぞれ小児科があったわけなんですが、医大から、医師を2カ所に派遣するのはもうできないので、この際、1つにまとめてほしいと、そういう要請を受けて、県や関係市町村も交えた大変苦しい協議の中で、産科のある有田市立病院の小児科は外せないぞと、そういうことでやむを得ず1病院に集約をした、そんな経過があります。
 まさに、産科と小児科は一体不可分であることからも、この小児科の診療体制維持の面でも県として医大から医師派遣などを強く要請すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 3点目に、有田、日高の中紀地方の小児リハビリの存続についてお伺いします。
 湯浅町リハビリテーションセンターで実施をされておりました小児リハビリが、同施設の廃止により存続の危機を迎えています。ここには、現在、有田地方1市3町で約40名、日高地方からも約10名の子供たちが通院治療をしていると言います。先天性障害のある子供たちのリハビリは、その子の一生を左右するほどの意味を持つ大事な治療であり、適切な時期に伸び代を頑張って伸ばしておく、可動域を広げておくということが、その先一生の運動能力を左右するんですね。
 このままでは、遠く和歌山市や岩出市等まで通わなければなりません。保育所や学校の前後に週1回、2回と定期的に通うことができ、相談や交流のできるこの小児リハビリは、有田・日高地方において大きな役割を果たしてきました。
 保護者の皆さんから、有田管内の市町村や県振興局にも、存続を求める要望が出されております。県としても、市町村と十分に連携をとりながら中紀の小児リハビリ存続のために力を尽くすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上3点、福祉保健部長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 産科、小児科の医療体制の確保についてですが、有田地方における産科の医療体制は、有田市立病院と近隣の診療所で対応しており、総合周産期母子医療センターである県立医科大学附属病院とも連携しています。
 また、小児科の医療体制は、有田市立病院と近隣の診療所との連携や、和歌山北部小児救急医療ネットワークなどにより維持されていると認識しております。
 これらの医療体制を堅持することは県を含む地方公共団体の責務と考えており、県においては、県立医科大学の40名の定員増を初め、特に産科、小児科を目指す研修医を対象とした修学資金制度を設けることにより医師の確保を図り、医療体制の堅持に努めているところです。
 有田市立病院に不安の声も寄せられていることから、関係機関から情報収集を積極的に行い、引き続き青洲医師ネット等による医師募集、県立医科大学や近隣の保健医療圏との連携を図りながら、住民の方々が安心できる診療体制の確保に取り組んでまいります。
 次に、中紀の小児リハビリの存続についてですが、湯浅町リハビリテーションセンターは、昭和60年に湯浅町が開設し、これまで地域に根差した医療機関として重要な役割を果たしてきたものと理解しております。
 県としては、利用者が地域で継続して支援を受けられる体制を確保することは非常に重要であると考えております。現在、県、地元市町や関係機関が協議を重ねているところであり、中紀地方における小児リハビリの体制確保ができるよう、この協議の中でできるだけ早期に結論を出してまいります。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、県立医大などと連携をとりながら安心できる診療体制の確保に頑張る、小児リハビリでも関係機関との協議を早期にまとめたいと、そういう決意が語られました。
 医大で定員枠をふやして頑張っている医師確保の効果が実際に現場に出てくるまではもう少しかかるわけで、そこまで何とか協力し合いながら医療体制を守っていく、そしてこの産科、小児科や小児リハビリなど、地域医療を支える後継者を育てていくという点で、県が果たすべき役割は大きいと思います。
 先日、有田川町議会からも、県と関係機関に対して、産婦人科体制充実を求める意見書が出されております。きょう取り上げました3点の課題、握って離さずに御尽力いただけますよう、強く要望しておきたいと思います。
 それでは、3つ目の項目に移らせていただきます。
 自然エネルギーの活用についてです。
 化石燃料や原発から自然エネルギーへのシフトは、世界的にも焦眉の課題となっています。日本も、ようやく電力の買い取り補償制度である固定価格買取制度を発足させたことにより、自然エネルギー開発と活用に弾みがつき始めました。しかし、自然エネルギーの本格的普及へかじを切るのか、それとも原発再稼働と推進へ戻るのかは国政の大きな争点ともなっていて、国民的大論議が求められている課題でもあります。
 和歌山県内の電力の消費というのは、最大で124万キロワット──これは2011年のデータですが──それに対し現在の発電能力は、海南・御坊火力発電所や河川のダム発電など、合わせて397万キロワットとなっています。
 その一方で、自然エネルギーの潜在能力、利用可能な能力というのは、環境省が試算、推計したものだけでも、太陽光発電で123万キロワット、風力発電で295万キロワットあり、さらに潮力、地熱などの可能性もあります。また、燃料として木質パウダーやチップなど、バイオマスエネルギーも大きな可能性を持っています。和歌山県の消費エネルギーや電力の自給というのは、決して不可能ではない現実的な未来の話なんです。
 この電力買い取り補償制度の最大の眼目というのは、メガソーラーとか大型風力発電のためというよりも、個人や地域住民、グループが自然エネルギーの地産地消に取り組むことを支える、ここにあるというふうに私は考えます。和歌山県の恵まれた自然エネルギーや、いまだ未利用となっているエネルギーをしっかり活用すれば、過疎と高齢化の進む地域にも、エネルギー生産の現場として副収入も雇用も期待できると考えます。
 自然エネルギーの地域主導型普及が進むヨーロッパを見てみますと、農村が食料と同時にエネルギーの生産地として新たな発展を遂げつつあります。発電等による利益が企業ではなく地域に還元をされ、農山村地域の活性化につながっています。農山村の中に風力や太陽光の発電施設を自分たちが設置をし、そして、そこで農作物の生産も続けている。農地として農業を続けながら自然エネルギー生産も可能となれば、農産物生産に加えた副収入、光熱経費の削減などが期待できます。
 日本でも、ソーラーシェアリングという考え方で、耕作している農地で実際に試みをしているところが出てまいりました。ある稲を使った実験では、稲は年間の日照量の55%以上であったら十分に成長をしていた。55%以上だったら、100%までの成長はほとんど変わらなかったと言います。いろんなデータあるようですが、やり方によっては、面積の3分の1を覆っても収穫量に大きな差は出ないということだったようであります。
 また一方で、日陰を好む作物では、寒冷紗で覆って栽培をするよりも、太陽光のほうは風もよく入るので病気がなく、肥料も流れないなどメリットばかりで、デメリットは1つもないという、そういう報告もあったようです。太陽光パネルのほうも透明とか半透明のものが開発中だと聞いていますから、光のコントロールができればもっと可能性が広がるでしょう。
 農地にはさまざまな土地条件や作物の条件がありますから、これからいろいろな試行錯誤がされていく分野だとは思いますが、食料生産とエネルギー生産が共存共栄できるというのは、大変な可能性を秘めた課題だと思います。
 以上のように、地域にとっても大変大きな可能性を持つ自然エネルギー活用の問題について、知事にお尋ねをいたします。
 第1点目は、多様な自然エネルギーの活用についてです。
 太陽光発電や風力発電はもとより、和歌山県には、バイオマスや小水力、マイクロ水力の活用、地熱や潮力など、地域の特性や資源に合わせた多種多様な自然エネルギーの活用というのが大変重要になってくると考えますけれども、どう取り組んでいくお考えでしょうか。
 2点目は、農地など、農山村における太陽光発電についてです。
 耕作地に太陽光パネルを設置するさまざまな動きを受けて、国は、この4月に農地における太陽光発電設置の取り扱いを示した通知を出しています。棚をつくって太陽光パネルを設置し、その下で農業生産を継続することなどを条件に、棚の支柱部分だけを農地から一時転用するという複雑な仕組みのものであると聞いております。
 こうした通知に基づく農地での太陽光発電も含め、農業生産と自然エネルギー生産が共存共栄できる仕組みづくりや取り組みを県として推し進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 多様な自然エネルギー、いわゆる新エネルギーの活用について、本県では、豊富な日照時間や森林資源など、本県の持つ特性を最大限活用して、木質バイオマス利用、太陽光発電、風力発電、小水力発電などの推進に積極的に取り組んでおり、平成24年度の新エネルギー発電量実績は、近畿全体の65%を占めております。
 木質バイオマス利用については、木質パウダーのエネルギー利用を全国で初めて実用化し、県内各地の温泉施設のボイラーで利用されております。さらに、農業用ハウスへの木質バイオマスボイラーの導入など、新たな取り組みを進めております。また、木質チップやまきなど、地域それぞれの特性に応じた木質バイオマスの利用を各地で進めているところであります。
 太陽光発電については、これまで県内の遊休地を中心に適地を調査し、情報発信するなど、誘致に取り組んでまいりました。その結果、コスモパーク加太の斜面を活用した発電所とか、あるいは売電収入を地元市民団体の支援に充てる発電所などの設置が県内各地で進んでおります。
 また、風力発電については、県内に56基が今設置されておりまして、総出力約7万5000キロワットは近畿の約6割を占めるまでになっております。
 小水力発電については、みなべ町での農業用水を活用した発電所の設置に続き、有田川町において、ダムの維持放流水を活用した発電所の設置に向けた取り組みを進めております。
 さらに、海洋に面している県土の特性を利用した海流発電、これを検討するとともに、次世代エネルギー資源として有望な表層型メタンハイドレートについて、漁業調査船を活用した県独自の調査など、新たなエネルギーの開発にも取り組んでおります。
 今後とも、全方位で自然エネルギーの導入拡大に向け、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 2番目の御質問でございますが、農業との両立を図りながら自然エネルギーを活用し、農山村地域の活性化を図っていくことは大切なことだと思っております。
 本県は、農業を重要な基幹産業と位置づけ、その振興のために農業緊急戦略アクションプログラムに基づき、優良農地確保や担い手への農地集積等を推進しているところであります。自然エネルギーの活用については、こうした施策に影響がないということを考慮する必要があります。
 議員御指摘の営農を継続しながら上部空間を太陽光発電に利用するシステムについては、支柱部分について農地法上の一時転用許可が必要となります。この一時転用については、下部の農地での営農が適切に継続できることや、農産物の生育に適した日照量が確保できるかなどの判断基準が国から示されているところでございます。
 ただ、この判断基準を具体的な作物と具体的な地形に持っていきまして、それで判断をしていかないといけないわけでございます。したがって、個々の状況に即して慎重に検討していく必要があると考えております。
 大事なことは、農業に障害が出ないということと優良農地が虫食いみたいにならないかということでございますので、技術的にどうしたらそれが図られるか、後々、耕作放棄が続出してしまうというようなおそれはないか、それによって農業の衰退を助長しないか、その詳細な基準といいますか、考え方をしっかり検討してみようというふうに指示を出したところでございます。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から御答弁いただきました。県としても、さまざまな取り組みを進めてることに関し、関係機関の皆さんに敬意を表したいと思います。
 今回は、エネルギーの地産地消、そのためにバリエーション豊かなエネルギー活用をと訴えました。そして、食料生産とエネルギー生産の共存共栄で和歌山の地域に活力をと提案をいたしました。
 電力価格買い取り補償制度は、消費者の負担ではありますが、そのお金の流れを企業だけのものにせず、地方へと、地域へと戻していく、活力につなげていく、その仕掛けをどうつくるかが勝負だと思います。自然エネルギー活用の先進県を目指して、一層の取り組みを要望しておきたいと思います。
 それでは、4つ目の最後の質問に移らせていただきたいと思います。
 米軍オスプレイ低空飛行訓練について、以下2点、お伺いをいたします。
 第1点目は、大阪府八尾空港への米軍オスプレイ訓練誘致発言への対応についてであります。
 日本維新の会の共同代表でもある橋下徹大阪市長と同幹事長の松井一郎大阪府知事が、沖縄県の米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイの訓練を大阪府八尾空港へ誘致すると発言をし、大阪府民を初め国民の大きな批判を受けています。その上、先週には、松井大阪府知事が記者会見で、この訓練誘致を関西広域連合でも検討を呼びかけると表明いたしました。
 私は、これまでも米軍低空飛行訓練やオスプレイ訓練の問題を取り上げてまいりましたが、米軍機による危険きわまりない低空飛行訓練はもとより、欠陥機である米軍オスプレイによる低空飛行訓練を誘致するなどは絶対に許すことはできません。また、このことは、沖縄の負担軽減ではなく、危険な低空飛行訓練の規模拡大という結果を招くことにしかならないということを指摘しなければなりません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 米軍オスプレイ低空飛行訓練の大阪府八尾空港への誘致というのは、和歌山県民の安全にもかかわる大問題であり、和歌山県知事として誘致発言の撤回を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、松井大阪府知事が検討を呼びかけるとしている関西広域連合会議においても、和歌山県知事として誘致には反対すべきではないでしょうか。この誘致発言への対応について御答弁を求めます。
 質問の2点目は、米軍低空飛行訓練の情報提供についてであります。
 米軍機による低空飛行訓練は、和歌山県上空から四国にかけてのオレンジルートを初め、全国各地で危険な訓練、これを我が物顔で繰り返している大問題です。この傍若無人な訓練に対し、この間の国会論戦の中で、「米軍にも日本の航空法で定めるフライトプランの提出義務があるのではないか」、こういう追及に対して、答弁では、「日本の上空を飛ぶ全ての米軍機の飛行計画を政府は飛行の1~2時間前には米軍からの通報を受けて事前に把握している」と、このことが初めて明らかにされました。しかし、国は、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるなどとして、この内容については公表はしないという姿勢であります。
 低空飛行訓練については、緊急医療に使用されるドクターヘリとの危険性がある等のことから、地元への飛行情報の事前提供を求める声が全国で相次いでいます。和歌山県としても、米軍に対し、低空飛行訓練に抗議し、訓練を行わないよう申し入れると同時に、国に対しては、事前把握した飛行高度などの情報提供を求める考えはないのか、お答えいただきたいと思います。
 以上2点、知事の御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 在日米軍基地は、日本と極東の平和と安全を確保するため、軍事上の観点から配備されているものと思います。沖縄における米軍基地も、このような観点から配備されていると思われますので、オスプレイをいっとき八尾空港へ誘致したとしても、それが直ちに沖縄の基地軽減につながらないのではないかと私は思います。
 県内には、白浜空港へ誘致するぐらいの覚悟で沖縄に対する配慮を示したらどうだというような、そういう根性を見せたらどうだという意見もありますけれども、今申し上げました理由で、私は「動くつもりはありません」と申し上げたこともあります。
 この八尾空港への誘致の問題については、私は、同じような理由で、関西広域連合において共同推進者になってくれというふうに提案されたとしても、同意するつもりはございません。
 次に、米軍の低空飛行訓練でございますが、これは、住民生活の安全を脅かしているために、住民から目撃情報が寄せられる都度、国に米軍機の飛行確認と低空飛行訓練中止の申し入れを行っております。
 米軍機が飛行する場合、国に対して飛行計画の通報が行われておりまして、国は飛行高度などの情報を保有している。それは管制の観点からなんですが、国に情報開示を求めたとしても、個々の米軍機の行動に関する軍事事項でありまして、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることを理由に明らかにされない状況にございます。
 低空飛行訓練の情報提供については、これまで国に機会あるごとに求めておりますが、提供をされる情報は、オスプレイの飛行情報の一部に限られるのが現状でございます。今後も、引き続き情報提供を求めていきたいと思います。
 私としては、従来から申し上げておりますが、和歌山県上空を飛ばなければならないような必然性とか理由をちゃんと説明してほしいと防衛省を通じて申し入れておるんですが、まだまだ果たされてはおりません。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 知事が答弁されたように、この八尾空港への訓練誘致なんていうのは、沖縄の負担軽減につながらないと私は思っています。沖縄の現実を見れば、協定違反の夜間訓練、市街地上空でのローター切りかえが頻発しています。そして、着陸・上陸訓練のためのヘリパッド建設が強行されるなど、訓練が質、量ともに拡大をしています。オスプレイ配備、訓練の容認は、沖縄でも本土でも無法訓練がふえる結果としかなりません。
 私どもは、危険な米軍オスプレイ低空飛行訓練にこれからもきっぱり反対していくことを申し上げまして、今回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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