平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)


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人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。


平成25年6月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成25年6月24日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに報第1号から報第4号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに報第1号から報第4号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(40人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 10番 岩田弘彦
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 平木哲朗
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
36番 欠員
39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員    佐藤律子
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第95号は、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 質問に先立ちまして、このほど文化庁の審議会において、有田川町の蘭島が和歌山県として初となる国の重要文化的景観に指定をされました。有田川町、県当局、保存会など、関係者の皆さんの御努力に敬意と感謝を申し上げますとともに、これを契機にすばらしい和歌山の地域財産の保全と活用に頑張っていけたらと考えています。今後とも、お力添えをよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に基づき、一般質問をさせていただきます。
 まず、第1の項目である骨髄移植等への支援について伺います。
 私は、約10年前に献血をした際に骨髄バンクに登録をしておりました。このほど、ドナー登録をしていた骨髄バンクのほうから提供依頼があり、骨髄提供の手術をさせていただきました。私は、この骨髄提供を通じて大変多くのことを学ばせていただき、考えさせられました。この機会に、命のボランティアと呼ばれている骨髄移植等の取り組みについて質問をさせていただきたいと思います。
 議場内には、骨髄バンクのパンフレットを資料配付させていただいておりますので、どうぞごらんください。
 白血病など血液の難病患者さんへの治療方法として、骨髄移植手術があります。これに加えて、末梢血からの幹細胞移植、臍帯血移植を加えた3つの治療方法を総称して、今、造血幹細胞移植と呼ばれております。これらの治療にはHLA型と呼ばれる白血球の型の適合が必要で、その確率は、親から半分ずつ遺伝子を受け継ぐ兄弟姉妹では4分の1の確率で合致をいたしますが、親子ではごくまれにしか一致せず、非血縁者間では数百から数万分の1以下の確率でしか一致をしないんです。それゆえに、より多くのドナー登録が必要とされています。
 さて、私のところにこのような封筒が骨髄バンクから送られてきたのは、昨年の暮れのことでありました。(封筒を示す)この封筒には、「大切なおしらせです。至急開封してください」、こんなふうに書いてありました。ひょっとしてと思いながら封をあけると、「骨髄提供のコーディネートのお知らせ」というふうに書いてありました。私とある患者さんのHLA型が一致をし、ドナー候補の1人として選ばれたこと、詳しい検査や面接に進んでいただけるかどうか返事が欲しい、協力いただくには、あなたの気持ちに加えて、健康であること、家族の理解と同意が必要なことなどが書かれていました。私は、希望する旨を記入して書類を返送しました。
 まずは、確認検査という骨髄提供の詳しい面接説明と健康状態の確認、改めて採血をして、もう一段詳しいHLA型の適合検査を行いました。この時点では、通常5人程度の複数のドナー候補が選ばれて、そのドナー候補の中から1人を選ぶことになるそうです。その結果、血液検査の結果が基準に対し問題がなかったという連絡が来て、検査から約2カ月後に私が最終的なドナー候補に選定されたとの通知が参りました。
 これを受けて、最終同意と呼ばれる提供意思の最終確認へと進みました。その場には、私、そして家族代表、担当医師、骨髄バンクのコーディネーターさん、そして第三者の立会人、この5名で説明を受け、意思確認をします。立会人は、十分な説明と理解がされているか、自発的意思によるものかを確認するための同席です。
 骨髄提供は、あくまでも自由意思によるものですから、この最終同意に署名捺印するまではいつでも提供を辞退できます。しかし、この後は同意を撤回することはできません。なぜならば、患者さん側は、同意の確認後、間違いなく移植が受けられるということを前提に、移植2週間前から手術の前処理に入ります。抗がん剤や放射線の照射により正常な細胞まで壊して、免疫力のない状態にして、無菌室で移植の当日を待つことになります。この状態で移植が不可能になれば、患者さんの死亡など、重大な事態になるからです。
 私は、家族とともに、もう一度、一から骨髄提供についての説明、手術の方法や安全性、リスクについても丁寧な説明を受けました。やはり、家族は私の体を心配しました。手術の方法など、いろいろな質問に対し、バンクのコーディネーターさんや担当医師が丁寧に答えてくれて、不安は解消しました。家族も納得の上で、同意書に署名捺印をしました。私の体験では、大変丁寧に、ドナーの安全や意思を第一に進めていただいたと感じました。
 骨髄提供の手術日は、この最終同意の約2カ月後となりました。私の場合、入院は4日間でした。採取前日に入院をして、最終的な検査や診察をします。そして迎えた手術日、全身麻酔の手術ですから、それなりの準備をして挑みます。手術時間は、約2時間程度でした。
 骨髄をどこからどんなにとるかといいますと、腸骨と言われる腰の骨に、後ろのベルトのあたりからボールペンぐらいの太さの針を刺して、そして骨の中にある骨髄液を吸い出します。骨に刺した1カ所の穴から、深い所、中ほど、そして浅い所と3カ所、それぞれ1回に数ミリリットルずつ、合計15ミリリットルぐらいを採取するんですね。これを左右の骨それぞれ合計60カ所、全部で行い、1リットルの骨髄液をとりました。しかし、腰にできる針の傷はわずかにこの左右1カ所ずつで、そこから角度を変え、位置を変えて30カ所ずつ採取をするわけなんです。
 骨髄採取後には、事前にとっておいた私の自分の血液を600ミリリットル戻します。これで私の体にとっては、差し引き400ミリリットルの血液採取の負担という計算になるわけです。
 麻酔も覚めまして、人口呼吸器も外れた状態で病室に戻り、お昼過ぎには尿カテーテルも外れました。骨髄採取した骨や針を刺した傷の痛みはそれほどでもなく、尿カテーテルの痛みのほうが大変だったぐらいです。手術後2日目には退院、合計4日間の入院でした。
 腰には、頭をぶつけたときのようなたんこぶのような膨らみができましたが、この腰の痛みも膨らみも1週間ほどで気にならないようになり、2週間後の術後検診では血液の数値は問題なしとされ、ドナーとしての役割は完了しました。
 この骨髄提供に当たっては、患者さんとドナーのプライバシー保護と公正さの確保のため、お互いの住所も氏名も知らされません。患者さんが特定されるのを防ぐために、骨髄提供手術の日時、場所も某日某所にてということにさせていただきます。
 しかし、骨髄バンクからは、今回の患者さんは海外の患者さんであること、10代の男の子であるということだけは知らされました。日本とアメリカ、韓国、この3カ国が、今、骨髄バンクの相互登録、提供をしているのだそうです。私が提供した骨髄は、その日のうちに男の子の待つ病院へと空港から送られたそうであります。私自身、3人の男の子を持つ父親として、その患者さんの手術が無事成功して、どうか元気に回復してほしいと心から願っております。
 今回の骨髄提供を通じて、1人の患者さんの命を救おうとする医療機関の方々、骨髄バンクのコーディネーターさんらの思い、また骨髄移植により回復した元患者さんの方の体験など、お話を伺うことができました。和歌山県のバンク登録がここまで進んだのも、患者さんの家族会の皆さんが登録活動ボランティアをされた、そういう力によるものが大きいとお聞きしました。
 国のほうでは、造血幹細胞移植のための法整備が国会において昨年行われ、国、地方公共団体、造血幹細胞提供関係事業者、医療関係者などのそれぞれの関係者が、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るために、相互に連携をとりながら協力をしていくことになります。
 そこで、この骨髄移植等への支援を求めて、以下、3点にわたって質問をさせていただきます。
 1点目は、骨髄移植を初めとする造血幹細胞移植の状況についてです。
 ドナーからの移植を待つ患者さんは全国で毎年2000人ほどいると言われていますが、和歌山県における骨髄移植を初めとする造血幹細胞移植の状況はどうなっていますか。骨髄バンクの登録者数は十分と言える状況でしょうか。また、骨髄提供や移植手術の可能な医療施設の整備は進んでいるのでしょうか。
 2点目は、骨髄バンク登録推進とドナーへの支援についてです。
 骨髄提供に当たり、骨髄バンク登録者の率が近畿の中では京都に次いで高いんだというお話を聞きました。調べてみますと、資料2のこの一番左側の図のようになっております。登録の始まったころは近畿で最低だったということですから、ここまで登録推進を進めていただいた関係者の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。今後は、ドナー登録を一層推進するためにどのような手だてを考えているのでしょうか。
 また、ドナーを体験して感じたのは、移植手術のために4日間の休みをとることの困難さでした。関係者のお話では、せっかくHLA型が適合しても、休暇がとれないなどの条件的な理由で提供に至らないケースも少なくないとのことです。ドナー候補者が職場で理解を得て仕事が休めるよう、県民への周知を広げるとともに、公務員を初め県内の企業で休暇制度の導入を図るなど、ドナーへの支援を積極的に進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 3点目は、献血推進など、今後の課題についてです。
 全国的にも、10代、20代の方の献血協力率が低くて、このままでは近い将来、血液不足を招くと言われています。
 お配りしている資料2は──右側です──
年齢別、世代別の献血率の全国データであります。和歌山の順位はかなりいいんですが、20代の落ち込みが顕著に見てとれるというふうに思います。この分母の数が、学生など住民票を残して外に住んでいる県民が多いという、和歌山は統計上のハンディがあるわけですが、それをいうなら秋田県などは、これ、大変いいわけですけども、同じようなハンディを抱える若者流出の多い県ですが、若い世代の献血率がすごくいいんですね。こういった先進県に学びながら、うんと底上げを図っていく必要があると考えます。
 身近なボランティア、命のボランティアとして献血の裾野を広げていくこと、特に若い世代での献血者の確保が、輸血用血液の安定供給とともに、造血幹細胞移植への理解と協力を広げる上でも不可欠の課題だと考えます。
 献血推進や献血者確保など、今後の課題についてどう考えているのか。
 以上3点、まず福祉保健部長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 骨髄移植を初めとする造血幹細胞移植の状況についてですが、現在までに県内で106例の非血縁者間の移植が実施されています。しかしながら、今なお県内において11名の方が適合するドナーを待ち望んでいる状況です。
 一方、県内のドナー登録者数は、平成25年5月末現在、3915名であり、登録対象年齢人口1000人当たりの登録者数は9.1人で、全国平均の7.19人を上回り、全国第12位の状況となっておりますが、1人でも多くの方を救うため、引き続き登録者の確保を図る必要があります。
 また、非血縁者間の造血幹細胞移植を受けることができる県内の医療機関は、県立医科大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センターの2施設となっております。
 次に、骨髄バンク登録推進とドナーへの支援についてですが、県では、登録機会の拡大を図るため、平成17年度から献血時に合わせて登録会を実施しており、昨年度は42回実施し、341名の方が登録されています。
 また、ドナーとして骨髄提供を行う際には数日間の入院が必要となることから、職場の理解が不可欠となります。県及び県内の全ての市町村においては骨髄提供時の休暇制度が導入されていますが、民間企業等では一部にとどまっている状況です。県といたしましては、今後ともドナー登録の機会拡大や普及啓発を図るとともに、休暇制度の導入について関係部局と協議しながら県内企業等に働きかけてまいります。
 次に、献血推進など今後の課題についてですが、本県の平成24年の献血可能人口当たりの献血率は6.8%で、全国平均6.0%を上回り、全国第5位となっています。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、高齢化が進む中、将来にわたり献血していただける方を確保する必要があるため、高校生を初めとする若年層に対する献血意識の普及啓発や献血の実施に重点を置き、取り組みを進めているところです。
 今後とも、関係団体や市町村、ボランティアの方々と連携しながら、献血への協力を高等学校、民間企業、各種団体等に対し積極的に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 骨髄バンクへの登録率、献血率ともに、和歌山県はよく頑張ってると言えると思います。
 骨髄バンク登録では、全国的な目標としての30万人を達成、40万人達成と順調に伸びてきてはいるものの、部長の答弁にありましたように、和歌山県内でも現在11人の患者さんがいらっしゃる。これだけ多くの方に登録していただいても、なおまだ型が合わずに、そういう人があらわれるのを待っている。こういう状況ですから、分母をふやすことが適合する確率を引き上げていく保障となるわけです。献血と並行した登録会、ぜひ進めていってほしいと思います。
 また、この骨髄提供も献血もまさにボランティアでありますから、無理強いをしたり親切の押し売りをしては趣旨に反します。これらのことについて考える機会を数多く設ける。ひとえに普及啓発と働きかけにかかってくると思いますから、今後とも、和歌山県民、結構頑張ってるよというのを大いに宣伝しながら、しっかりとお取り組みをいただくよう要望しておきたいと思います。
 次に、2つ目の質問の項目、有田地方における産科、小児科の医療体制に関連しての3点の質問に移らせていただきます。
 まず、産科の診療体制確保についてです。
 このほど、有田市立病院の産科窓口に張り紙が出されました。その内容は、「平成25年9月以降の新規出産(分娩)の取扱はいたしかねますので、ご了承のほど、よろしくお願いします」、こんなふうに書いてるんですね。また、同じお知らせが病院のホームページにも掲載されたことから、有田地方の住民の中から、市立病院でお産ができなくなると不安の声が急速に広がっております。
 有田1市3町のこの医療圏において、産科診療は、現在、公的病院では有田市立病院だけです。民間では、産婦人科クリニックがわずか1カ所残っているだけであり、このまま有田市立病院の産科がストップしてしまえば、有田に産科が1つだけ、産科医師が1人だけとなってしまいます。
 現在、有田地方の出生数は約550人ほどですが、このままでは有田地方で安心して出産、子育てができない、里帰り出産もできないなど、大変な状況になると私は危機感を持っております。
 子育て環境ナンバーワンを目指す和歌山県として、この有田医療圏の危機的状況を打開するために、医大に医師派遣の要請をするなど、積極的に尽力すべきだと考えますが、この状況をどう把握、認識し、どう対応をされようとしているのか、御答弁を願います。
 次に、小児科の診療体制確保について伺います。
 産科の問題と前後して、今度は有田市立病院の小児科の診療体制が、これまで常勤医師と医大からの非常勤医師1名、この2人体制だったものが、常勤医師の退職により、4月から月曜日と木曜日が休診ということになっています。そして、この診療体制の穴を埋めるようになかなかなってないというんですね。
 この有田医療圏での小児科診療体制は、実は経過のある問題です。
 以前、有田地方の公的病院には、有田市立病院と、そして湯浅町にある済生会有田病院にそれぞれ小児科があったわけなんですが、医大から、医師を2カ所に派遣するのはもうできないので、この際、1つにまとめてほしいと、そういう要請を受けて、県や関係市町村も交えた大変苦しい協議の中で、産科のある有田市立病院の小児科は外せないぞと、そういうことでやむを得ず1病院に集約をした、そんな経過があります。
 まさに、産科と小児科は一体不可分であることからも、この小児科の診療体制維持の面でも県として医大から医師派遣などを強く要請すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 3点目に、有田、日高の中紀地方の小児リハビリの存続についてお伺いします。
 湯浅町リハビリテーションセンターで実施をされておりました小児リハビリが、同施設の廃止により存続の危機を迎えています。ここには、現在、有田地方1市3町で約40名、日高地方からも約10名の子供たちが通院治療をしていると言います。先天性障害のある子供たちのリハビリは、その子の一生を左右するほどの意味を持つ大事な治療であり、適切な時期に伸び代を頑張って伸ばしておく、可動域を広げておくということが、その先一生の運動能力を左右するんですね。
 このままでは、遠く和歌山市や岩出市等まで通わなければなりません。保育所や学校の前後に週1回、2回と定期的に通うことができ、相談や交流のできるこの小児リハビリは、有田・日高地方において大きな役割を果たしてきました。
 保護者の皆さんから、有田管内の市町村や県振興局にも、存続を求める要望が出されております。県としても、市町村と十分に連携をとりながら中紀の小児リハビリ存続のために力を尽くすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上3点、福祉保健部長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 産科、小児科の医療体制の確保についてですが、有田地方における産科の医療体制は、有田市立病院と近隣の診療所で対応しており、総合周産期母子医療センターである県立医科大学附属病院とも連携しています。
 また、小児科の医療体制は、有田市立病院と近隣の診療所との連携や、和歌山北部小児救急医療ネットワークなどにより維持されていると認識しております。
 これらの医療体制を堅持することは県を含む地方公共団体の責務と考えており、県においては、県立医科大学の40名の定員増を初め、特に産科、小児科を目指す研修医を対象とした修学資金制度を設けることにより医師の確保を図り、医療体制の堅持に努めているところです。
 有田市立病院に不安の声も寄せられていることから、関係機関から情報収集を積極的に行い、引き続き青洲医師ネット等による医師募集、県立医科大学や近隣の保健医療圏との連携を図りながら、住民の方々が安心できる診療体制の確保に取り組んでまいります。
 次に、中紀の小児リハビリの存続についてですが、湯浅町リハビリテーションセンターは、昭和60年に湯浅町が開設し、これまで地域に根差した医療機関として重要な役割を果たしてきたものと理解しております。
 県としては、利用者が地域で継続して支援を受けられる体制を確保することは非常に重要であると考えております。現在、県、地元市町や関係機関が協議を重ねているところであり、中紀地方における小児リハビリの体制確保ができるよう、この協議の中でできるだけ早期に結論を出してまいります。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、県立医大などと連携をとりながら安心できる診療体制の確保に頑張る、小児リハビリでも関係機関との協議を早期にまとめたいと、そういう決意が語られました。
 医大で定員枠をふやして頑張っている医師確保の効果が実際に現場に出てくるまではもう少しかかるわけで、そこまで何とか協力し合いながら医療体制を守っていく、そしてこの産科、小児科や小児リハビリなど、地域医療を支える後継者を育てていくという点で、県が果たすべき役割は大きいと思います。
 先日、有田川町議会からも、県と関係機関に対して、産婦人科体制充実を求める意見書が出されております。きょう取り上げました3点の課題、握って離さずに御尽力いただけますよう、強く要望しておきたいと思います。
 それでは、3つ目の項目に移らせていただきます。
 自然エネルギーの活用についてです。
 化石燃料や原発から自然エネルギーへのシフトは、世界的にも焦眉の課題となっています。日本も、ようやく電力の買い取り補償制度である固定価格買取制度を発足させたことにより、自然エネルギー開発と活用に弾みがつき始めました。しかし、自然エネルギーの本格的普及へかじを切るのか、それとも原発再稼働と推進へ戻るのかは国政の大きな争点ともなっていて、国民的大論議が求められている課題でもあります。
 和歌山県内の電力の消費というのは、最大で124万キロワット──これは2011年のデータですが──それに対し現在の発電能力は、海南・御坊火力発電所や河川のダム発電など、合わせて397万キロワットとなっています。
 その一方で、自然エネルギーの潜在能力、利用可能な能力というのは、環境省が試算、推計したものだけでも、太陽光発電で123万キロワット、風力発電で295万キロワットあり、さらに潮力、地熱などの可能性もあります。また、燃料として木質パウダーやチップなど、バイオマスエネルギーも大きな可能性を持っています。和歌山県の消費エネルギーや電力の自給というのは、決して不可能ではない現実的な未来の話なんです。
 この電力買い取り補償制度の最大の眼目というのは、メガソーラーとか大型風力発電のためというよりも、個人や地域住民、グループが自然エネルギーの地産地消に取り組むことを支える、ここにあるというふうに私は考えます。和歌山県の恵まれた自然エネルギーや、いまだ未利用となっているエネルギーをしっかり活用すれば、過疎と高齢化の進む地域にも、エネルギー生産の現場として副収入も雇用も期待できると考えます。
 自然エネルギーの地域主導型普及が進むヨーロッパを見てみますと、農村が食料と同時にエネルギーの生産地として新たな発展を遂げつつあります。発電等による利益が企業ではなく地域に還元をされ、農山村地域の活性化につながっています。農山村の中に風力や太陽光の発電施設を自分たちが設置をし、そして、そこで農作物の生産も続けている。農地として農業を続けながら自然エネルギー生産も可能となれば、農産物生産に加えた副収入、光熱経費の削減などが期待できます。
 日本でも、ソーラーシェアリングという考え方で、耕作している農地で実際に試みをしているところが出てまいりました。ある稲を使った実験では、稲は年間の日照量の55%以上であったら十分に成長をしていた。55%以上だったら、100%までの成長はほとんど変わらなかったと言います。いろんなデータあるようですが、やり方によっては、面積の3分の1を覆っても収穫量に大きな差は出ないということだったようであります。
 また一方で、日陰を好む作物では、寒冷紗で覆って栽培をするよりも、太陽光のほうは風もよく入るので病気がなく、肥料も流れないなどメリットばかりで、デメリットは1つもないという、そういう報告もあったようです。太陽光パネルのほうも透明とか半透明のものが開発中だと聞いていますから、光のコントロールができればもっと可能性が広がるでしょう。
 農地にはさまざまな土地条件や作物の条件がありますから、これからいろいろな試行錯誤がされていく分野だとは思いますが、食料生産とエネルギー生産が共存共栄できるというのは、大変な可能性を秘めた課題だと思います。
 以上のように、地域にとっても大変大きな可能性を持つ自然エネルギー活用の問題について、知事にお尋ねをいたします。
 第1点目は、多様な自然エネルギーの活用についてです。
 太陽光発電や風力発電はもとより、和歌山県には、バイオマスや小水力、マイクロ水力の活用、地熱や潮力など、地域の特性や資源に合わせた多種多様な自然エネルギーの活用というのが大変重要になってくると考えますけれども、どう取り組んでいくお考えでしょうか。
 2点目は、農地など、農山村における太陽光発電についてです。
 耕作地に太陽光パネルを設置するさまざまな動きを受けて、国は、この4月に農地における太陽光発電設置の取り扱いを示した通知を出しています。棚をつくって太陽光パネルを設置し、その下で農業生産を継続することなどを条件に、棚の支柱部分だけを農地から一時転用するという複雑な仕組みのものであると聞いております。
 こうした通知に基づく農地での太陽光発電も含め、農業生産と自然エネルギー生産が共存共栄できる仕組みづくりや取り組みを県として推し進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 多様な自然エネルギー、いわゆる新エネルギーの活用について、本県では、豊富な日照時間や森林資源など、本県の持つ特性を最大限活用して、木質バイオマス利用、太陽光発電、風力発電、小水力発電などの推進に積極的に取り組んでおり、平成24年度の新エネルギー発電量実績は、近畿全体の65%を占めております。
 木質バイオマス利用については、木質パウダーのエネルギー利用を全国で初めて実用化し、県内各地の温泉施設のボイラーで利用されております。さらに、農業用ハウスへの木質バイオマスボイラーの導入など、新たな取り組みを進めております。また、木質チップやまきなど、地域それぞれの特性に応じた木質バイオマスの利用を各地で進めているところであります。
 太陽光発電については、これまで県内の遊休地を中心に適地を調査し、情報発信するなど、誘致に取り組んでまいりました。その結果、コスモパーク加太の斜面を活用した発電所とか、あるいは売電収入を地元市民団体の支援に充てる発電所などの設置が県内各地で進んでおります。
 また、風力発電については、県内に56基が今設置されておりまして、総出力約7万5000キロワットは近畿の約6割を占めるまでになっております。
 小水力発電については、みなべ町での農業用水を活用した発電所の設置に続き、有田川町において、ダムの維持放流水を活用した発電所の設置に向けた取り組みを進めております。
 さらに、海洋に面している県土の特性を利用した海流発電、これを検討するとともに、次世代エネルギー資源として有望な表層型メタンハイドレートについて、漁業調査船を活用した県独自の調査など、新たなエネルギーの開発にも取り組んでおります。
 今後とも、全方位で自然エネルギーの導入拡大に向け、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 2番目の御質問でございますが、農業との両立を図りながら自然エネルギーを活用し、農山村地域の活性化を図っていくことは大切なことだと思っております。
 本県は、農業を重要な基幹産業と位置づけ、その振興のために農業緊急戦略アクションプログラムに基づき、優良農地確保や担い手への農地集積等を推進しているところであります。自然エネルギーの活用については、こうした施策に影響がないということを考慮する必要があります。
 議員御指摘の営農を継続しながら上部空間を太陽光発電に利用するシステムについては、支柱部分について農地法上の一時転用許可が必要となります。この一時転用については、下部の農地での営農が適切に継続できることや、農産物の生育に適した日照量が確保できるかなどの判断基準が国から示されているところでございます。
 ただ、この判断基準を具体的な作物と具体的な地形に持っていきまして、それで判断をしていかないといけないわけでございます。したがって、個々の状況に即して慎重に検討していく必要があると考えております。
 大事なことは、農業に障害が出ないということと優良農地が虫食いみたいにならないかということでございますので、技術的にどうしたらそれが図られるか、後々、耕作放棄が続出してしまうというようなおそれはないか、それによって農業の衰退を助長しないか、その詳細な基準といいますか、考え方をしっかり検討してみようというふうに指示を出したところでございます。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から御答弁いただきました。県としても、さまざまな取り組みを進めてることに関し、関係機関の皆さんに敬意を表したいと思います。
 今回は、エネルギーの地産地消、そのためにバリエーション豊かなエネルギー活用をと訴えました。そして、食料生産とエネルギー生産の共存共栄で和歌山の地域に活力をと提案をいたしました。
 電力価格買い取り補償制度は、消費者の負担ではありますが、そのお金の流れを企業だけのものにせず、地方へと、地域へと戻していく、活力につなげていく、その仕掛けをどうつくるかが勝負だと思います。自然エネルギー活用の先進県を目指して、一層の取り組みを要望しておきたいと思います。
 それでは、4つ目の最後の質問に移らせていただきたいと思います。
 米軍オスプレイ低空飛行訓練について、以下2点、お伺いをいたします。
 第1点目は、大阪府八尾空港への米軍オスプレイ訓練誘致発言への対応についてであります。
 日本維新の会の共同代表でもある橋下徹大阪市長と同幹事長の松井一郎大阪府知事が、沖縄県の米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイの訓練を大阪府八尾空港へ誘致すると発言をし、大阪府民を初め国民の大きな批判を受けています。その上、先週には、松井大阪府知事が記者会見で、この訓練誘致を関西広域連合でも検討を呼びかけると表明いたしました。
 私は、これまでも米軍低空飛行訓練やオスプレイ訓練の問題を取り上げてまいりましたが、米軍機による危険きわまりない低空飛行訓練はもとより、欠陥機である米軍オスプレイによる低空飛行訓練を誘致するなどは絶対に許すことはできません。また、このことは、沖縄の負担軽減ではなく、危険な低空飛行訓練の規模拡大という結果を招くことにしかならないということを指摘しなければなりません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 米軍オスプレイ低空飛行訓練の大阪府八尾空港への誘致というのは、和歌山県民の安全にもかかわる大問題であり、和歌山県知事として誘致発言の撤回を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、松井大阪府知事が検討を呼びかけるとしている関西広域連合会議においても、和歌山県知事として誘致には反対すべきではないでしょうか。この誘致発言への対応について御答弁を求めます。
 質問の2点目は、米軍低空飛行訓練の情報提供についてであります。
 米軍機による低空飛行訓練は、和歌山県上空から四国にかけてのオレンジルートを初め、全国各地で危険な訓練、これを我が物顔で繰り返している大問題です。この傍若無人な訓練に対し、この間の国会論戦の中で、「米軍にも日本の航空法で定めるフライトプランの提出義務があるのではないか」、こういう追及に対して、答弁では、「日本の上空を飛ぶ全ての米軍機の飛行計画を政府は飛行の1~2時間前には米軍からの通報を受けて事前に把握している」と、このことが初めて明らかにされました。しかし、国は、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるなどとして、この内容については公表はしないという姿勢であります。
 低空飛行訓練については、緊急医療に使用されるドクターヘリとの危険性がある等のことから、地元への飛行情報の事前提供を求める声が全国で相次いでいます。和歌山県としても、米軍に対し、低空飛行訓練に抗議し、訓練を行わないよう申し入れると同時に、国に対しては、事前把握した飛行高度などの情報提供を求める考えはないのか、お答えいただきたいと思います。
 以上2点、知事の御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 在日米軍基地は、日本と極東の平和と安全を確保するため、軍事上の観点から配備されているものと思います。沖縄における米軍基地も、このような観点から配備されていると思われますので、オスプレイをいっとき八尾空港へ誘致したとしても、それが直ちに沖縄の基地軽減につながらないのではないかと私は思います。
 県内には、白浜空港へ誘致するぐらいの覚悟で沖縄に対する配慮を示したらどうだというような、そういう根性を見せたらどうだという意見もありますけれども、今申し上げました理由で、私は「動くつもりはありません」と申し上げたこともあります。
 この八尾空港への誘致の問題については、私は、同じような理由で、関西広域連合において共同推進者になってくれというふうに提案されたとしても、同意するつもりはございません。
 次に、米軍の低空飛行訓練でございますが、これは、住民生活の安全を脅かしているために、住民から目撃情報が寄せられる都度、国に米軍機の飛行確認と低空飛行訓練中止の申し入れを行っております。
 米軍機が飛行する場合、国に対して飛行計画の通報が行われておりまして、国は飛行高度などの情報を保有している。それは管制の観点からなんですが、国に情報開示を求めたとしても、個々の米軍機の行動に関する軍事事項でありまして、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることを理由に明らかにされない状況にございます。
 低空飛行訓練の情報提供については、これまで国に機会あるごとに求めておりますが、提供をされる情報は、オスプレイの飛行情報の一部に限られるのが現状でございます。今後も、引き続き情報提供を求めていきたいと思います。
 私としては、従来から申し上げておりますが、和歌山県上空を飛ばなければならないような必然性とか理由をちゃんと説明してほしいと防衛省を通じて申し入れておるんですが、まだまだ果たされてはおりません。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 知事が答弁されたように、この八尾空港への訓練誘致なんていうのは、沖縄の負担軽減につながらないと私は思っています。沖縄の現実を見れば、協定違反の夜間訓練、市街地上空でのローター切りかえが頻発しています。そして、着陸・上陸訓練のためのヘリパッド建設が強行されるなど、訓練が質、量ともに拡大をしています。オスプレイ配備、訓練の容認は、沖縄でも本土でも無法訓練がふえる結果としかなりません。
 私どもは、危険な米軍オスプレイ低空飛行訓練にこれからもきっぱり反対していくことを申し上げまして、今回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。谷口和樹でございます。最終日ということで、最後までおつき合いをよろしくお願いいたします。
 早速、質問のほうに入らせていただきます。
 まず1問目、現在、田辺市、西牟婁郡の小学生の軟式少年野球チームが加盟します田辺・西牟婁学童協議会では、25チームが年間を通じて、多くの大会の開催や、さらには地域への奉仕活動で活発に活動をしています。多くの人材が幼少時代の少年野球によって心身ともに育成され、プロスポーツ選手としてだけでなく、さまざまな分野で少年野球経験者が活躍していることは、御周知のとおりだと思います。
 野球と政治の話は友達同士でも飲んでしないほうがよいと言われたこともあります。それだけ、野球というのが、生活に、文化に深く浸透しているということだと思います。
 私の地区には、年に1回、お盆野球という地区対抗の野球大会があります。その中で、先輩の話の中で、「ピッチングと投球の違いは何か」と、こういうお話がありました。いわゆる要点は、主が「ピッチングは技術を駆使する個人」、「投球は9人のチームの中での投手の役割」ということであると思います。
 これは、ベースボールと野球の違いにも通ずるものであると思います。チームの一員として役割を重視しながら能力を発揮し、勝利を目指す。ベースボールではなくて、野球という競技を幼いころから経験することで、組織の中での能力の発揮の仕方、組織力の考え方を身につけていることがその後の社会での活躍につながっているのではないかと思います。そして、これは、近年普及著しい少年サッカーにも同様のことが言えると思います。
 本題に入らしていただきます。
 少年野球、少年サッカーともに、練習、試合にはグラウンドを主に使っておりますが、雨のとき、雨天時の練習場の確保には大変苦労しております。ないと言うほうが正確かもしれません。現在、南紀田辺インターから南への延伸工事が進められています。図1のような高速道路の高架下スペースを雨天時の少年野球、少年サッカー等の練習に使うことができればと考えます。
 雨天時の練習というのは、少年野球でいえばキャッチボール、ティーバッティング、素振り、ピッチング、少年サッカーであればリフティング、パス回し、シュート練習などであります。頭上の交通への万が一のトラブルがないような軽度の練習でございます。
 ちなみに、和歌山県は、国土交通省の調べでは、都市公園面積は全国で45位、運動公園は全国で44位となっており、2015年の国体に向けて運動公園の整備を進めていっていただいておりますが、全国的にはまだまだ公園面積が小さい県になっています。高速道路の高架下、この土地を活用することによって、都市公園、運動公園が少ないという問題の解決にもなると考えられます。
 さらに、高速道路の高架下の有効活用について、国土交通省が「高架の道路の路面下及び道路予定区域の有効活用の推進について」、「高速自動車国道法等の一部を改正する法律の施行について」等の通達の中で、積極的に高架下の有効活用を進めております。
 全国的には、高架下を青年のスポーツ、スケートボードやフットサル、テニスなどにも開放されておりますが、現在工事を進められている南紀田辺インターから南への高架下スペースを、少年スポーツの振興ということで少年サッカー、少年野球の雨天時の練習場として開放することができないか、あわせて、全国的には設置が進められておりますが、県内には少ないドッグランに活用できないか、県土整備部長にお聞きいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 国土交通省では、高速道路の高架下については、まちづくりやにぎわい創出などの観点から高架下利用計画を策定し、道路管理に支障がない限り有効活用を推進することとなっております。
 議員御質問の近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間の高架下について、所管する直轄事務所に確認したところ、利用計画の策定や占用許可に当たっては、関係市町などの意見を聞き、まちづくりの観点から確認するとともに、占用主体が日常的な点検等を的確に行うことができるかなど、道路管理上の観点もあわせ、国において総合的に判断されることになると聞いております。
 県としましては、高速道路などの高架下利用については、まちづくりなどの面から、関係市町村の意見を踏まえ、高架下の有効活用が図られるよう国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 御答弁ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 2番目の質問に入らせていただきます。
 高齢化社会を迎え、介護を必要とする人が増加しています。現在、介護に関していろいろな問題がありますが、その中で、数年前から問題となっており、解決が進まない問題として2点挙げられます。
 1つは特別養護老人ホームの待機者の問題、もう1つは介護職員の低所得と離職率の問題です。
 1つ目の待機者の問題は、2009年の厚生労働省の調査では、全国42万人の特別養護老人ホームの入所申込者があったということです。別の機関、医療経済研究機構の調査では、2010年、2011年、そのうちの1割から半分が待機者であるとの調査結果があります。現時点でも、この待機者の解消の問題は完全には解消していません。介護を必要とする人がふえている中、待機者解消をするために、介護施設整備への補助金などによる促進策、これは今後も必要であると理解はしております。
 もう1つ、2つ目、介護を必要とする人が増加する一方、介護サービスの担い手である介護職員の所得水準が上がらず、離職率も高いままであるという問題であります。
 厚生労働省の調査では、2012年度で149万人の介護職員がいますが、2015年には176万人、2025年には249万人の介護職員が必要になる、そういう調査結果が出ております。一方、公益財団法人介護労働安定センターの調査では、介護職員の離職率は全国で16.9%、和歌山県内では21.8%。ちなみに、地方公務員では約5%ぐらいであったかと記憶しております。他産業と比べまして介護職員の離職率、これは非常に高いという状況であります。
 離職率が高い原因は、さまざま、いろいろあるかと思いますが、待機者解消のための新施設整備を促す補助制度、これによって法人の内部留保が減り、その結果、介護職員の給与を上げるための資金が少なくなって給与水準が低いということが原因の1つではないかと考えています。もし違うのであれば、介護職員の高離職率について具体的な原因、例えば個人の問題であるというような御指摘をいただけたらよろしいかと思いますが、民間企業ならば、利益が蓄積されると、当然、設備投資、給与、福利厚生、こちらのほうに反映がされます。同じく社会福祉法人も、小異はあれども同様と理解をしております。
 高齢化社会と待機入居者のいる社会情勢から施設増設、新設の促進策は必要であるので妨げる思いはありませんが、公金支出に対する住民合意を考えますと、せめて受給法人には、離職率などの労働環境基準で県内事業所の平均は軽く上回っていただきたいものであります。
 介護福祉職員の所得水準向上、離職率の改善、さらには和歌山県における介護福祉職員の将来的な人材確保のためにも、新施設整備に当たる補助要件の中に離職率を考慮した基準を設置、盛り込むことはできないでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 離職率を考慮した基準を施設整備に対する補助要件とすることについてですが、離職率は、時々の経済情勢を初め、事業規模や職員の年齢構成など、さまざまな要因に大きく左右され、施設が行う離職防止への取り組みが正確に反映されるものではないことから、補助要件として設定することにはなじまないと考えております。
 しかし、介護職員の離職率は高い傾向にあり、改善に向けた取り組みは重要であると認識しております。県では、介護職員の処遇改善やキャリアアップなど、定着に向けた取り組みとして、介護報酬における介護職員処遇改善加算制度の活用や各種研修会の充実、働きながら資格を取る介護雇用プログラムなどを実施しているところであり、このような取り組みにより離職の抑制につなげていきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 低コストの人件費で済む産業構造、高い離職率でも設備投資の助成を受けられる制度、この改革を念頭に質問さしていただきました。
 昨年からの介護福祉施設の取り消し処分や、私の住んでる近くでの、田辺市の市有地である国道沿いの土地を高齢者福祉法人のリクエストに応じて非公募で貸し出す、このような話もお聞きします。設備補助云々だけでなくて、行政と高齢者福祉法人、この立ち位置というのも考え直す時期ではないかと思い、今回の質問でございます。御答弁ありがとうございました。
 3つ目の質問に移りたいと思います。
 3つ目の質問に移る前に、災害復旧に御尽力いただいております知事を初め県当局及び関係各位に、この場をかりて改めて深くお礼を申し上げます。その上で、3つ目の質問に入らしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 紀南地方には、主要な幹線道路が2本あります。言うまでもなく、国道42号と国道311号であります。このうち国道311号は、昭和44年末に国道への昇格が決定して以来、改修整備工事を進めていただき、さらに平成11年の南紀熊野博、平成16年の世界遺産登録などを契機に拡幅改修工事を大きく進めていただきました。
 今や、車で田辺─本宮間、約1時間ぐらいで行けるようになっております。このため、近年、田辺─新宮間の交通も、国道42号にかわり311号を利用する人々が大変ふえてきております。今や国道311号は、紀南の最も重要な幹線道路としてその地位を高めつつあります。
 しかし、山間部を通る311号には、弱さもあります。平成23年の紀伊半島大水害による土砂崩れで311号が寸断されたことは記憶に新しいことでありますが、大水害でなくとも、雨の多い紀南山間部では、常に土砂崩れによる道路寸断の危険性があるということです。
 このため、国道311号が寸断された場合の代替道路、迂回道路を確保する必要があります。
 紀伊半島大水害では、通れなくなった311号の迂回道路として県道近露平瀬線が使われましたが、幅員が少ないだけでなく、すれ違いができない箇所も多くあり、さらには災害時の生活物資輸送のための4トン以上のトラックやバス、そして燃料輸送車──タンクローリー──などが通行できずにいました。
 本宮・新宮方面へのライフラインの保持のための国道311号の災害時代替道路整備として、近露平瀬線の拡幅改良について、県土整備部長にお聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県道近露平瀬線につきましては、紀伊半島大水害での経験も踏まえ、災害時における国道311号の迂回路としても機能するため、4トン以上の車でも通行が可能となるよう、今年度から田辺市中辺路町近露から当市下川下の特に狭隘な区間で待避所等の整備を進めることになっております。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、4番目の質問に入らせていただきます。
 神様と人間の境に生える木と言われますサカキですが、流通する中には、主に神社の神事に使われるサカキとお墓などに備えられるヒサカキ──ビジャコ──があります。その中でサカキについては、現在の日本の市場では、外国産95%、国内産5%という流通シェアの中で、平成21年度は、和歌山県産はこの5%の国内産のうちの6割を占めております。
 山村振興、過疎地域での雇用創出として、市場価値の高いサカキを産業として確立できないか、人材育成に取り組めないか、県産サカキの需要拡大のPRについて取り組めないか、農林水産部長にお聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 国内市場では、安価な中国産輸入サカキが流通量の多くを占めているものの、国産サカキに根強い需要があり、供給が追いつかず、売り手市場になっているとお聞きしております。特に本県のサカキにつきましては、品質に対する市場の評価は高く、引き合いが強いことから、山村地域の収入源として大変有望であると認識しております。
 これまで、県内でのサカキの振興については、杉、ヒノキの林間を活用した栽培やモノレール等の基盤整備に積極的な支援を行ってまいりました。しかし、最近では、生産者の高齢化が進む一方で、天然サカキの採取地が奥地になるなどが要因となって供給力の低下が懸念されております。
 そのため、今後は、奥地採取地における基盤整備や集出荷施設の整備など、生産・出荷体制の省力化、効率化を支援することにより供給力の強化を図るとともに、人材育成については、これまで新規参入者等を対象とした栽培や採取等の技術指導を行ってまいりましたが、これらに加えて、本県サカキの商品価値を高めるため、くくり技術を含めた研修会の開催を行うなど、県産サカキの生産拡大に積極的に取り組んでまいります。
 また、サカキはプレミア和歌山の認定対象品目になっておりますので、関係団体にその活用を呼びかけて販売促進につなげてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の5つ目の質問に移りたいと思います。
 国道311号沿線における子供たちの通学路の安全確保ということでお聞きさしていただきます。
 まず、小の1でございます。
 国道311号の安全対策には、県として大変取り組んでいただいておりますが、近年、世界遺産登録による観光の車、広域合併後の行動域の変化による車の流れの変化、高速道路の工事による大型砂利運搬車や重機輸送車が増加しております。通学時間帯に、片側1車線の国道311号で普通車が追い越しをかけたりするだけでなく、大型砂利運搬車が猛スピードで普通車を追い抜いたりというような、考えられないような光景も目にします。
 子供たちの通学時の安全確保のために横断歩道や追い越し禁止の車線等の整備について、警察本部長にお聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) 議員御質問のとおり、近年、国道311号におきましては、阪和自動車道の紀南延伸や一昨年の紀伊半島大水害に伴う災害復旧関係車両等が多数通行している状況にあります。
 本県警察では、子供の登下校時の安全を確保するため、登下校時間帯を中心とした通学路周辺における交通監視や交通指導取り締まりなど、子供の保護誘導活動の強化とあわせて、交通安全施設整備に努めているところであります。
 国道311号につきましても、通学路の交通の安全を図るため、各種対策に努めているところであり、議員御指摘の点については、横断歩道の移設、はみ出し通行禁止規制等について、前向きに検討していきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 どうぞ、安全対策のほう、よろしくお願いします。
 大変危険な状況であるということを御認知いただいた上で、次の小の2の質問に移らしていただきたいと思います。
 せんだって、県庁に出勤時、朝の国道311号の交通状況、特に大型車両について数えてみました。出る前の少ない時間でしたので、約10分ほどでございます。11トンダンプが14台、4トン以上の輸送車が12台、制限速度50キロ前後で通過をしていきます。1時間に換算しますと、大型車156台、うちダンプが84台というような計算になります。こんなに通るんやなあと改めて感じたわけでございます。
 現在、国道311号の歩道は、右側についていたり左側についていたり、そういう状況であります。その右に左についた歩道は、通学に利用する子供たちに交通量の多い国道311号を幾度も横断させている、そういう状況にあります。結果、警察、建設部の交通安全対策に費用がかかるだけでなくて、横断する子供への交通事故の危険も増している、誘発していると、そういう状況であります。
 ちなみに鮎川の向越─鮎川新橋間、途中400メートルほど、河川側の歩道というのが途切れております。このことによって、小学生が2度、先ほどの311号を朝の通学の時間帯に横切るわけでございます。県庁に来るようになりまして、市内の道を通らしていただきますけども、和歌山市内で主要道路を何度も通学で子供が信号なしで横断している状況というのは少ないんじゃないかなと思うんです。
 前回の質問のときにもお話しさしていただいたんですけども、最初、311号は歩道設置済み区間だという説明をお受けしました。工事がその年その年、「区間によって左右前後についているよ」とお話をさしていただきましたところ、「それは危険な状況であるな」というお話をいただいたんですけども、今回質問さしてもらう中で、前回もその話は聞いたんですけども、今回も「住家の多いほうについています」ということで、現状は現状で、別に問題の意識というのを感じることがなかったのでこの質問をさしていただくんですけども。
 ちなみに、もう1つつけ加えますと、中辺路町北郡付近から県立の熊野高校、こちらに登校する場合にも、都合6回ほどの横断というのが現在必要でございます。大型ダンプの通行状況は、先ほどの説明のとおりであります。主要道路に左右交互に歩道がついておりまして、その状況というのが、「設置済みであります」、「それが通常であります」ということでは、僕はどうもおかしいんではないかなと思います。
 この国道311号、互い違いに歩道がついている状況、歩道設置のあり方について知事にお聞きをいたします。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 通学路の安全対策については大変重要な課題であると考えておりまして、これまでも重点的には取り組んでまいりました。
 県下を走っておりますと、すれ違いも大変な道がいっぱいで、辛うじて片側1車線がちゃんとあっても歩道がないところがこれまたいっぱいで、いつも心配ではらはらという状況でございまして、ここのところにやっぱり歩道をちゃんとつけないかんということを重点として取り組んでいるところでございます。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 国道311号の状況という主語でお聞きをさしていただいたんですけども、今の状況で、今後とも安全対策についてはぜひともよろしくお願いいたします。
 加えて、憲法26条に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」というのがあります。普通教育を受けさせる義務を負う保護者の1人としても、県の道路のあり方、これは職員の皆さんに考えていただきたいんですけども、こだわるところですけども、住家のほうにつける。当然、利便性というのは大事ですけども、つける際に通学路、子供の通学の安全性、このことも、皆さん、職員で考えながらやっていただけたらなと感じたところでございます。
 緊急点検区域というのが、今回596カ所あるというお話も担当課からお聞きしました。残念ながら、今、私の言わしていただいた区間というのがその区間に入っていないんですけれども、知事のお話ですので、今後とも、入っていませんけれども、通学の安全確保にぜひともお取り組みをよろしくお願いします。これを要望しときます。
 続きまして、小の3に、最後の質問に移ります。
 資料の一番最後、立体減速表示という資料を見ながら聞いていただけたらと思います。
 シークエンスデザイン、立体減速表示の導入についてです。
 観光のインフラとしても主要道路であります国道311号ですけれども、交通安全対策として、ハード整備はもちろんでございますけれども、視覚効果による交通安全対策、シークエンスデザインの導入もあわせてお願いしたいところです。
 通学路の安全確保と安全な観光のため、環境整備の一環として、このシークエンスデザイン、立体減速表示の導入について県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 国道311号につきましては、議員御提案のようなシークエンスデザイン、立体減速表示による交通安全対策は導入しておりませんが、カーブ区間などには、運転者に減速を促し、注意を喚起する標識や路面標示等の安全対策を既に実施しております。
 シークエンスデザインや視覚効果による交通安全対策は、高速道路ではその効果の検証例はありますが、一般国道などの道路では公的に効果が検証されたとは聞いておりません。県としましては、その効果を見きわめた上で導入について研究してまいります。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 それでは、今回の質問を終わらしていただきます。かなり早いんですけども、御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時22分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 議長のお許しを得ましたので、一般質問、最終日の最終となりましたが、しばらくおつき合いいただきたいというふうに思います。
 まず、高速道路について伺います。
 昨年末の政権再交代以来、県内の高速道路や主要道路の事業化、予算については、民主党政権の失われた時間を取り戻すほどの勢いがあります。
 中でも高速道路については、有田─南紀田辺間が一昨日、4車線化事業着手式を行いました。私も参加をさせていただきましたが、知事や鶴保国土交通副大臣、二階俊博代議士から御挨拶がありましたが、会場の一同の思いは、一刻も早くやり上げよう、完成をしようという、そういう熱い雰囲気に包まれておりましたことを強く感じたわけであります。
 また、新宮紀宝道路が事業化され、すさみ─太地間の調査も始まり、国体までの開通を目指す箇所も予算が増額されました。この際、お世話になった多くの皆さんに感謝を申し上げます。
 しかしながら、和歌山県の高速道路整備はまだまだこれからでありまして、何としてもここは挽回すべく、用地買収も、県議会の南紀高速議員連盟もそういうところまでお手伝いしようと、そういう思いも込めまして、みんなで協力していこうではありませんか。
 今後の高速道路の整備促進について、知事の御所見を伺います。
 次は、高速道路の建設等で県産品を使ってほしいという質問であります。
 美浜町にある大和紡績では、繊維の製造技術を生かして、トンネルの防水シートやのり面の基盤材を製造しています。かつては2000人が働いてたそうですが、県内にたくさんあった紡績会社が次々と姿を消す中で唯一残った工場で、現在は52名が働いています。
 機械化された製造業で50名を超す企業を誘致するのはなかなか困難で、事業を継続してくれるダイワボウプログレス株式会社に感謝するとともに、私たちもぜひ応援しなければと思います。
 さて、県産品については、県工事において既に使用するのが普通になり、大きな経済効果が生まれています。
 そこで、県同様に国や高速道路会社にも県産品を使ってもらえば、道路の供用と建設の経済効果のダブルの効果が生まれます。ぜひとも国や高速道路会社に県産品の使用を要望すべきと考えますが、御見解を伺います。
○議長(山田正彦君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 一昨日、県議会議員の皆様方を初め、県選出国会議員、関係市町長、地元の方々に多数御参加いただき、有田─南紀田辺間4車線化事業の着手式が盛大にとり行われ、本県の悲願である南紀田辺までの4車線化が着手されました。
 都市計画のおくれとか、政変による予算の没収とか、あるいはコンクリートから人への大合唱とか、幾多の困難がありましたが、ここまで来たのは、これもひとえに、これまで御尽力いただいた国会議員あるいは県会議員、地元の皆さん、理解を示してくれた国土交通省の皆さんなど、多くの方々のおかげと感謝をしております。
 高速道路整備がおくれている本県にとって、県民のチャンスを保障し、かつまた南海トラフ巨大地震など大規模災害に備えるため、紀伊半島一周高速道路の早期実現と渋滞が多発している2車線区間の4車線化──これは日本で最も混み合っている1車線の高速道路でございますが──不可欠かつ急務であります。
 このため、県としては、これまでも市町と協力し、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の地元調整や用地買収に努めてまいりましたけれども、このたびの4車線化事業の着手に当たって、これは何としても早くやってもらわなきゃいけない、早くやってもらうためには、口ばっかり言っててもいけませんので、NEXCO西日本をお助けするために、有田振興局内に湯浅御坊高速事務所を設置するなど、事業推進体制を強化して取り組んでいきたいと考えております。
 さらに、これだけにとどまりませず、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の事業中区間の国体までの完成、それから新規事業化された新宮紀宝道路の事業推進、それからすさみ─太地間、新宮─大泊間の一層の事業化の進展について、今後も議員各位の御協力を得ながら引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県においては、県内の景気浮揚と雇用の確保を図るため、請負業者に対し、県内企業や県産品建設資材の優先使用を行う県内調達努力義務を課しております。また、工事成績評定や総合評価方式において、県産品建設資材の使用に対する加点評価を行うことにより、平成24年度県土整備部発注工事の県産品使用率は90%となっております。
 議員御質問の高速道路等への県産品使用については、県としても県内調達の拡大を図るため、国土交通省近畿地方整備局や西日本高速道路株式会社へ県と同様な県内調達の取り組みを要望したところです。今後とも、県内調達の推進について積極的に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 次の質問に移りたいと思います。次は、防災対策についてであります。
 1番目に、住宅再建共済について伺います。
 私は、平成18年9月定例会一般質問において、兵庫県の地震共済の有効性を説き、全国制度となるよう、本県も働きかけるよう要望した経過があります。残念ながら、その後の本県からの働きかけは確認できませんが、関西広域連合議会では、昨年、兵庫県の山口議員の広域連合で取り組むべしとの質問に対して、井戸連合長は、広域連合よりも、むしろ全国制度とすべきとの答弁をしたことを受けて、今般、関西広域連合から政府提案に組み入れられました。
 そもそも、住宅再建共済制度は、阪神・淡路大震災の経験から平成17年に兵庫県が単独で始めた共済制度で、年間5000円の負担で最大600万円の補償がもらえるというものです。共済制度の原則からいうと、兵庫県だけでやるには無理がありますが、恐らくこの共済制度は、個人給付が憲法違反と言われる中、復興のために避けて通れない住宅再建を支援する苦肉の策であったと思います。私は、この制度は、とうとい犠牲をあがなってようやく気がついたすばらしい制度であると評価しています。
 東日本大震災の被災地では、2年が経過しながらいまだに住宅が再建できない現状を見るとき、住宅再建共済の必要性を痛感します。財務省などは民間の地震保険等を勧めていますが、地震保険は火災保険とのセットで保険料も高く、所得の低い人が加入することは困難です。
 そういう意味で、兵庫県が貴重な経験から編み出した制度が立ち往生するのを傍観するのではなく、全国制度となるよう本県も協力すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 次に、地震・津波想定での堤防の取り扱いについて伺います。
 最悪の事態を想定して危機管理を行うことが危機管理の原則と言われております。その意味で、国が想定した巨大地震の設定をさらに厳しく見直し、地震動で河川堤防が75%破壊されるという設定を設けたことは、大変合理的で、敬意を表したいと思います。
 一方、3連動地震については、そもそも国の巨大地震の想定においてさえ盛り土構造物は破壊されないと設定されているからとの理由で設定しないのは、合理的ではありません。3連動地震については100年に1回程度起きる地震とされており、県では、この地震に対しては、ハード対策をも実施するとの方針ですが、この想定では、河川堤防は一切破壊されないのであれば河川堤防のかさ上げや強化は実施されないことになります。
 私の記憶では、日高川堤防の耐震診断については阪神大震災後に実施されましたが、調査箇所は両岸合わせて5カ所程度で、いずれも問題がないということでした。その結果については、私の要望を聞いてくれたから、それ以上文句は言いませんでしたが、実は調査箇所は少な過ぎると思いましたし、ボーリング調査だけでは果たして十分なのかとも思いました。実際に東日本大震災では、名取川下流では堤防は越流で削られ、北上川下流では堤防が消失しています。
 そもそも、地震の被害想定で結果に著しい違いが生じる設定については確かな合理性が必要であると考えますが、国が言っているというだけの理由でいいのでしょうか。もし堤防は破壊されないと設定するなら、少なくとも詳細な調査や強化が必要であると考えます。あわせて御所見を伺います。
 3番目は、地震想定で時間差の影響はないかという点について伺います。
 最近は、巨大地震の被害想定が公表されて、世間の注目は巨大地震からいかに逃げるかということに集中しております。この巨大地震や3連動地震についての設定で共通しているのは、連動することです。しかし、実際に発生した過去の例を見ると、それぞれが発生する時期はずれているときのほうが多く、その幅も、数時間から数年間と多様であります。発生する地震や津波の最大値は連動することで得られますが、全く視点を変えて時間差で発生するときは、大きさ以外の別の被害が生じるのではないかと心配します。
 次に和歌山で発生する災害は地震・津波と思っていましたが、実際には大洪水が起きたように、巨大だけではなく、時間差で南海トラフ地震が発生したときにいかに対応するのか、所見を伺います。
 4番目は、要望をさせていただきます。
 耐震改修促進法につきましては、今議会の一般質問で複数の議員が取り上げ、県においても法律の運用について国に要望しております。公共施設の耐震化が進む一方、民間施設が大きく立ちおくれている現状に対し、何とかしなければという認識で一致していると思います。
 今回の質問に当たり、私は、民間施設の耐震化に対し、診断はもとより、改修に対しても補助金が出ることを初めて知りました。事業名は耐震対策緊急促進事業であり、法律の対象となる3階かつ5000平米以上の不特定多数が出入りする施設に対し、改修に対して最大3分の2が補助される仕組みです。
 私は、平成20年9月と昨年6月の定例会一般質問で、ホテルや旅館の耐震化について知事に質問をさせていただきました。知事からは、必要性を認識して取り組んでいるが、経営が厳しいところも多く、なかなか大変だという答弁でありました。しかし、今回、国交省ですばらしい事業ができたのは、まさに千載一遇のチャンスであり、ぜひこれを大いに宣伝して耐震化を進めていただきたいと思います。
 以下、5点について要望させていただきたいと思います。
 まず1点は、補助率をできるだけ高くすることであります。2点目は、国に対して、25から27年度ということでありますので、ぜひ延長することをお願いしてもらいたいと思います。3点目は、対象を拡大することであります。特に面積が小さいホテルや旅館に対しても拡大していただきたいと思います。4番目に、大きな投資となるので、診断結果や耐震工法についての技術的な相談や、経営の合理化や譲渡まで含めた総合的な相談体制の構築が必要になるんではないかというふうに思います。5点目は、県内の観光施設が適切に耐震化するための総合的な計画の策定と着実な実行であります。さらに、風評被害の防止も含めた安心宣伝対策をお願いいたしたいと思います。
 以上は質問ではありませんので答弁は求めませんが、今後ぜひ実行、実現するようお願い申し上げます。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 自然災害時における支援制度は、現在、一定規模以上の被害が発生した場合、各都道府県が出資した基金をもとに支援金が支給される被災者生活再建支援法に基づく支援制度がございます。また、御指摘のように、国は民間の地震保険への加入を広く呼びかけております。
 こうした現行制度に加えまして、住宅再建共済制度を全国的な制度に広げていけるならば、災害時の支援制度がさらに充実するということから、国において制度の創設に向け十分検討するよう、関西広域連合等を通じて引き続き要望していきたいと思います。
 一方、本県においては、一昨年の台風12号による被災者に独自の施策として補助金を上乗せするなど、被災された方々が一刻も早くもとの生活を取り戻せるように取り組んでまいりました。
 今後、再び本県で災害が起こったとしても、制度の有無にかかわらず、被災した方々の救済に決然とした覚悟を持って取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山田正彦君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 地震・津波想定での堤防の取り扱いについてお答えします。
 東海・東南海・南海3連動地震と南海トラフ巨大地震の2つの新しい津波浸水想定を本年3月に公表しました。今回、津波浸水想定を策定するに当たり、想定の前提となる河川などの土堤の取り扱いなど条件設定については、専門家の意見や国土交通省の助言をいただきながら検討を行いました。
 このような想定は一定の条件設定のもとで行いますが、現実に発生する災害と必ずしも一致するものではなく、場合によっては想定以上のこととなる場合もあります。
 河川堤防については、河川管理者が現在進めております河川津波遡上シミュレーションの結果をもとに、必要な対策を実施していくものと考えております。
 次に、地震想定で時間差の影響はないかという質問です。
 国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告には、歴史的に南海トラフ沿いで大規模地震が数十時間から数年の時間差をもって発生したことがあると報告されています。
 国の対応も参考にしながら、時間差をもって地震・津波が発生することもあるということを念頭に置いて、油断することなく、しっかりと対応してまいります。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 この河川堤防についてでありますが、危機管理監からお答えをいただきましたが、ぜひ知事並びに県土整備部長におかれましては、堤防が壊れないようにまずやるということが大切だと思いますので、ぜひとも計画的に実施していただくように要望をさせていただきたいと思います。
 続きまして、3番目の質問を行わせていただきます。
 外国人観光客に県産品を試供できないかということを伺いたいと思います。
 道成寺山門前に和風レストランがあります。イベリコ豚の鍋を売り出すなど商売熱心で、店も繁盛していて、私たちも2階の宴会場をよく利用させてもらいます。ある日の夕方に行くと、1階のレストランに宴会料理が並んでいました。大体、バスで道成寺に来る観光客は日中なので、夕食の準備とは不思議に思い尋ねてみると、台湾からの旅行客が来るとのことでした。かねてから熱心にインバウンドに取り組んでおられたので、さすがに商売がうまいと思いました。ただし、御主人の話では、その夕食は1食1700円だそうで、ボリュームの割に値段が安いのに驚くと同時に、インバウンド観光の大変さがわかりました。
 平成24年の県観光客動態調査報告書によると、約11万7000人を海外からお迎えし、そのうち45%が香港、台湾からの旅行者でしたが、このような御苦労の積み重ねが大きな実績になっているのであると敬服した次第であります。
 しかし逆に、この値段では、我が果樹王国が誇る季節の果物を年中提供することは難しいだろうとも思いました。現在、訪日観光客の大部分は、東京、京都、奈良などのゴールデンルートを訪問し、全国の自治体が外国人観光客の争奪戦を行っている中で我が県を訪れてくれる観光客は、数ある観光地の中でよくぞ和歌山を選んでくださった大変ありがたい神様のような存在だと思います。私は、この和歌山をせっかく選んでくれたお客さんこそ和歌山ファンにするべきだと思います。毎年12万もの外国人観光客が和歌山ファンになってもらえば、口コミの宣伝だけではなく、帰国後、店頭に並ぶ県産品の消費者にもなってくれるでしょう。可能性は大いに膨らみます。
 この前は若い女性が料理の写真を撮っているのを見かけました。決してまずいものを食べさせてるとは思いませんが、とにかく1700円ですから、おいしい和歌山を印象づけてるとは思えません。そこで、料理のうち1~2品程度、その時々の旬のものやテーマを決めて試供してもらい、和歌山はおいしいと印象づけてはと思います。
 県内の外国人観光客の宿泊の多いホテルの支配人にも伺いました。夕食はやはりホテルでも3000円程度でございましたが、試供するアイデアには賛成していただきましたし、さきに申し上げたレストランの御主人も賛成をしてくれました。そこで、食材供給側の地元農協組合長にも聞いてみました。農家に迷惑をかけるわけにはいかないが、出荷価格で提供できると、前向きのお返事をいただきました。
 世界中で和食がフランス料理と同様に高級料理としてもてはやされ、世界遺産に登録される可能性がある中で、日本産の食材が高級食材として世界中に売れる可能性は高く、食材の宣伝、販売だけではなく、世界で売れる食材の開発や流通網の整備などにも力を入れていくべきだと考えます。
 しかし、「隗より始めよ」ということわざがあるように、まずは来てくれた人を確実にファンにするべきで、そのための県産品の試供について農林水産部長の所見を伺います。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成24年和歌山県観光客動態調査では、県内の外国人宿泊者数は、昨年後半には東日本大震災前を上回る水準にまで回復し、香港、台湾を中心に多くの外国人観光客が本県を訪れてくれました。
 海外に県産品を売り込むには、こちらから各国に出向いていく方法もございますが、議員御提言のとおり、本県を訪れる外国人観光客に対して、和歌山のおいしくて健康にもよい農産物や加工食品をアピールする方法もございます。
 近年、輸出事業に取り組む生産者が県内各地でふえているところでもありますので、外国人観光客を受け入れている地元宿泊施設等とのタイアップによる商品PRといった手法もあることを県内の生産者に提案していきたいと考えております。
 また、和歌山を外国人観光客に強く印象づけるため、商工観光労働部と連携して、JAなどの生産者や市町村等地元関係機関とともに、年間を通じて県産品を使用していただけるよう宿泊施設等に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、ブラジル県人会創立60周年について伺います。
 4年前、和歌山県人会創立55周年に際し、仁坂知事や当時の冨安議長とともにブラジルを訪問しました。県人会の皆さんから温かい歓待をいただいたこと、移民の暮らしぶりや御苦労話を伺ったこと、発展するブラジルの息吹を感じたことなど、ついきのうのように思い出します。早いもので、来年、いよいよ60周年を迎えますが、知事は、次回は100人の大訪問団を連れてくるというふうにおっしゃいましたが、覚えておられますか。
 私は、この機会に、文化交流だけではなく、ぜひ発展するブラジルと経済的に結びつくようなチャンスにすべきではないかと考えます。既に、和歌山県中南米協会では、養鶏器具の輸出可能性を探ってくれています。県国際交流協会の樫畑理事長のお話では、ドイツなどは移民が多い国に積極的に投資をしているそうです。我が県も、県人会との皆さんとの御縁で経済交流ができないか、約1年後の訪問に照準を合わせて今から準備できないかと考えております。
 かつて、南北アメリカにはかなりの数の県人会がありましたが、どんどんと消えています。移民1世、2世が高齢化、世代交代し、今や日本語を話せない3~4世が多くなり、日本や和歌山と縁が薄くなっています。現地に同化することは大切ですが、大変寂しい状況です。
 全米には、ユダヤ人の強力な同胞組織があると聞きます。同胞が団結することは大切であります。前会長が元国立銀行総裁、現会長の娘婿が大蔵大臣というペルー県人会もあります。県人会活動は、立派な外交活動でもあると考えます。来年の60周年に向けて、知事のお気持ちを伺いたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 在ブラジル和歌山県人会連合会の創立60周年に当たりましては、本県より遠くブラジルの地に移住し、ブラジルにおいて輝かしい日系人社会を築き上げられた県人会の皆様方に、まずは心から敬意を表したいと思います。
 55周年に当たり、御指摘のように平成21年にブラジルを訪問した際、県人会の皆様方が日本人としての精神や故郷和歌山の文化を継承されている姿を拝見いたしまして心強い思いをするとともに、県人会との交流の大切さを改めて感じました。こうした思いから、平成26年に迎える60周年には、現地の人から、かねてから絶対に来てくださいねというふうに言われておりまして、県議会を初め関係の皆様方とともにブラジルを訪問し、県人会の皆様方に心からお祝いを申し上げたいと思います。
 ブラジルは1億9000万人と、世界第5位の人口を有しております。また、GDPは全体として世界第7位であるなど、経済的にも高い可能性を有する、最近成長がとみに著しい国でございます。ブラジル国内において、日本からの移住者は、その子孫も含め約140万人と言われておりまして、世界最大の日系人社会を築き、経済的、社会的にもブラジル国内で高い評価を得ております。農業分野などで和歌山県出身者が大活躍をしているという例もございます。
 今後の交流につきましては、周年事業への参加とか県人会子弟受け入れなど、県人会の皆様との交流を継続するとともに、日系人社会、和歌山県人会の皆様とのつながりを活用いたしまして、ブラジルの活力を本県経済の活性化につなげるような経済交流も視野に入れて取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 きのう、実はERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)の訪問シンポジウムがございました。私も、パネラーで参加をさせていただきまして、和歌山県の活動、知事の思い、そういうことも報告をさせていただきましたが、とにかく日本の国の発展のためにはアジアの発展を取り込んでいこうという、そういう雰囲気が充満しておりましたし、東南アジアのERIA、それからジェトロの機関の人たちのお話を聞くと、日本からはもう東南アジアに雪崩を打ってみんな出かけていってると、こんなお話でございました。
 和歌山県のような地方は、明治以来、東京にいかに近づくか、こういうことをずっとやってきましたが、距離は確かに近づきましたが、東京になるということは決してできないということがよくわかりました。やはり和歌山は和歌山らしさを生かしつつ、視野をずっと海外にも広げて活動していくということが大切ではないか。私が申し上げるまでもなく、知事はふだんそのように言われて行動されてるわけでありますけども、ぜひこういうことを県民にも大きくお伝えしてどんどんと外国に進出をしていく、そういうことがこれからの和歌山の発展のためには必要でないかというふうに思っております。
 ブラジルは、そういう意味では大きな可能性のある国でありますので、私たち議会も議員連盟をつくっておりますから、大いに一緒になって取り組んでいきたいと思っております。
 5番目に、国保について伺いたいと思います。
 自公による政権再交代を経て、安倍内閣は円安と株価の上昇により順調な政権運営を続けています。ぜひとも、これを足がかりに日本経済が本格的に景気回復軌道に移行し、我が県や県民生活にも好景気が実感できるよう私たちも努力したいと思います。
 さて、今回の安倍内閣では、経済政策としてアベノミクスが有名になりましたが、実は政府では、経済再生と同時に財政健全化も掲げています。その指針となる経済財政運営と改革の基本方針が、6月14日、閣議決定されました。その要諦である経済再生と財政健全化の両立を実現するためには、良薬口に苦しと申しますが、後期高齢者医療制度改革などの国民が嫌がる、選挙にはマイナスの政策をたくさん実現しなければなりません。何としても、ここは国民に理解してもらうとともに、逆風に耐え得る強い政治体制、政権が必要だと考えます。ぜひとも、来るべき参議院選挙においては、ねじれを解消するだけではなく、強い安定政権ができるよう頑張っていきたいと思います。
 さて、昨今は、行革に関連して、いつも公共事業が悪者扱いされますが、医療や福祉などの社会保障も大部分を税金や保険で支出する公共事業であります。しかし、こちらのほうはマスコミにたたかれることもなく、毎年1兆円ずつ青天井で伸びてきました。医療費をいきなりなくすことはできませんが、健康増進や健康な大人になる健康教育に予算や人材を投入する政策にシフトする必要があると考えます。
 閣議決定された基本方針には予防重視も盛り込まれていますが、赤字が続いている国民健康保険の運営を市町村から都道府県に移管する方針が示されています。市町村で異なる保険料体系の一元化など、運営の効率化を通じて社会保障費を抑えるという目的ですが、県から市町村に権限移譲が進む昨今において、逆に費用のかかる医療費だけつけ回しされるのでは困ります。
 一方、小さい市町村では対応できない医療政策と保険運営を一体的に講じることができれば、医療費の削減だけではなく、医療の充実にもつながる可能性はあります。国の方針に対して知事の御所見はいかがでしょうか。よろしくお答え願います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国民健康保険は、被保険者に低所得者や高齢者が多く、保険料負担能力にも限界があり、加えて医療費も増大しているため、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えております。
 こうした構造的な問題を解消するためには、財政力格差の大きい市町村単位で運営している現行の国民健康保険制度より保険者を都道府県単位にして広域化するほうがよいという考え方、これには理解できるものがあると思います。
 しかしながら、都道府県間にも所得や医療費の地域格差がありまして、財政力も随分異なるわけであります。単に保険者を都道府県単位化するだけでは、私は根本的な解決にならないというふうに思います。
 そもそも国民健康保険は、ナショナルミニマムであると私は思います。都道府県に責任を押しつけて、あとは御自由にというような制度改正では困るわけでありまして、都道府県移管がその危険性を有していないとも言いにくいということだと思います。国が責任を持って持続可能な制度を構築するように、強く求めていきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、紀州犬の保存について伺います。
 御坊市内の紀州犬愛好家から、紀州犬の応援を依頼されました。現在、県では、2年後の紀の国わかやま国体の開催に向け、紀州犬のマスコット「きいちゃん」を投入し、PRにいとまがありません。きいちゃんは、着ぐるみで県内各地のイベントに参加しているほか、縫いぐるみやバッジなど各種のグッズも充実し、いろんなところで見かけるようになりました。
 しかし逆に、紀州犬そのものは、最近ではほとんど見なくなりました。ここで、改めて紀州犬について調べてみました。インターネットのウィキペディアの要約は、次のとおりです。
 「紀州犬は、和歌山県原産の日本犬の一種で、昭和9年(1934年)、秋田犬や甲斐犬に次いで天然記念物に指定されました。家庭犬としての適性が高く、日本犬の中では柴犬に次ぐ飼育頭数を誇ります。伝説では、江戸時代、紀伊国阪本村の鉄砲名人、弥九郎が山道を歩いていると、オオカミが苦しんでいた。かわいそうに思って助けてやると、後日、弥九郎の家の前にオオカミの子と思われる1匹の子犬がいた。弥九郎はその子犬に「マン」という名前を与えて育てた。新宮城主が狩猟に行った際、1頭のイノシシが突進してきたが、マンがイノシシを撃退し、その名声は大いに上がったという。このマンが紀州犬の先祖と言われており、紀州犬はオオカミの血を引いていると言います。一般的には、紀州犬は紀伊国の山岳部、すなわち紀伊山地周辺のイノシシ狩猟や、それに伴う諸作業に使われていた土着犬を品種固定した犬とされており、天然記念物に指定の際、紀伊半島の地犬であった太地犬、熊野犬、日高犬、高野犬、明神犬、那智犬が紀州犬として指定されました。身体的特徴は、すっきりとした鼻筋の通った顔に、ぴんと立った三角耳と細い三角目を持ち、典型的な日本土着犬の特徴を見せるが、尾は柴犬などに多い巻尾ではなく、オオカミのような差し尾が多い。かたい直毛の上毛とやわらかく密生した下毛のダブルコートに覆われた体はがっちりとした筋肉質で、頭部がやや大きく、顎と地面に踏ん張る四肢の筋肉は特によく発達している。一見ずんぐりとした頬が豊かな相貌は、精悍さと同時に穏和な印象をも与えます。犬の性格として、すぐれた犬は1頭でもイノシシを倒すと言われるほどの勇猛さで知られ、気性は荒い傾向がある。そのためしつけを怠って野放しにすると非常に攻撃的な性格になり、特に家族以外の人間や犬にかみつく危険性がある。しかし、きちんとしつけを施せば優秀な家庭犬になり、小さな子供のいる家庭でも問題なく飼育できる。日本土着犬の一般的特性として、主人に忠実でよそ者を警戒する性質を持つため、番犬に適している。ただし、大型動物狩猟犬としての特性上、無駄ぼえが少ないため、威嚇よりも撃退向きである。自分や家族に害を及ぼす相手に対しては一切容赦せず、強靭な顎で食らいつく。体質は非常に丈夫で手入れもしやすく、遺伝病は少ない。山地での激しい狩りにも耐え得る体力、持久力を有するため、飼育する場合には十分な運動が要求される。よって、飼育環境は郊外の一軒家や農村地帯が好ましい」とありました。
 昨今は、ペットブームと言われますが、核家族、集合住宅、サラリーマン化など、ライフスタイルの変化のためか、主流はプードル、チワワ、ダックスフンドなどの洋犬であります。
 一方、日本土着犬は、携帯電話のコマーシャルに出演する北海道犬がにわかに人気を集めましたが、土着犬は柴犬が圧倒的人気で、恐らく犬の特性のためか、紀州犬は見かけなくなりました。
 今回の質問に当たり、教育委員会でも飼育数を伺いましたが、調査は行っておらず不明ということでした。まさかそんなことはないと思いますが、気がついたら絶滅寸前ということもあるかもしれません。きいちゃんやきしゅう君も結構ですが、そのモデルとなった本県の誇りでもある紀州犬の保存等について、教育長の所見を伺います。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 紀州犬は、議員御指摘のとおり、紀伊半島の山岳部を中心に飼育されてきた幾つかの地方犬種を一まとめにした呼称であり、日本に古くから伝わる犬種の一種であるとして、昭和9年に国の天然記念物に指定されている文化財であります。
 公益社団法人日本犬保存会の資料によりますと、近年の同会への新規登録頭数は700頭前後で推移しており、急激な減少にはまだ至っておりませんが、県教育委員会では、天然記念物である同犬の希少性を十分に認識して、優良犬の顕彰を行うとともに、紀州犬の保存の重要性の広報に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 全ての政策の基本として、対象である対象物というんでしょうか、それがどこにどれだけのものがあるかというのは、もう絶対的に必要なことでありますので、ぜひ紀州犬がどれぐらい飼育されているのか調査をしていただきたい。そういうことを要望させていただきまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第81号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第75号から議案第80号まで、議案第82号から議案第86号まで及び議案第89号から議案第95号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、6月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時46分散会

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