平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。


平成25年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成25年6月21日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに報第1号から報第4号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに報第1号から報第4号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 10番 岩田弘彦
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 平木哲朗
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員    山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 1番目に、港湾の津波・高潮対策についてであります。
 6月に入って、和歌山市においても震度2から4の地震が群発しました。今後30年以内に南海トラフでの大地震が起こり得る確率も、60から70%となっています。マグニチュード9以上を想定する南海トラフ巨大地震と東海・東南海・南海3連動地震との津波による浸水深のマップを、去る3月28日、公表いただきました。
 中央防災会議は、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告において、3連動地震をレベル1、南海トラフ巨大地震をレベル2として、対策を分けて進めることを求めました。海岸堤防の整備は、予算面などで実現が困難なレベル2ではなく、レベル1を基準とするとしています。津波対策の基本となる防波堤などの海岸堤防について、津波が越流することも想定した粘り強いものを整備するよう求めています。すなわち、「減災」、「粘り強さ」がキーワードです。レベル2の津波に対しては、防潮堤などの津波防護施設で津波を防ぐことはできなくても、津波をできるだけ軽減して避難を的確に行えるようにするだけでなく、建物などの被害も軽減する必要があります。甚大な2次災害を防ぎ、早期復旧を可能にすることが肝要でしょう。
 東日本大震災において発生した津波に対し釜石港の湾口防波堤は、大破したとはいえ、津波の高さを約4割低減し、津波の到達時間を6分おくらせるなど、減災効果を発揮したものと考えられています。
 和歌山県下の多くの海岸堤防は昭和36年の第2室戸台風等を教訓に整備されたそうでありますが、今回の最終報告は、東日本大震災の教訓を踏まえたものを求めています。東日本大震災では、津波が防潮堤を越流する際、防潮堤内部の根元部分を洗掘し、土砂が削られ、引き波で防潮堤外側の根元が削られ、津波の第1波、第2波で倒壊する例が目立ったと言います。これからは、防潮堤の基礎部分の強化が求められます。
 和歌山県の長い海岸線のうち、232キロメートルにわたって防潮堤や消波ブロック等高波を防ぐ構造物があるそうですが、今後どのようなスケジュールで、優先順位で防潮堤の整備をしていかれるおつもりでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県では、ことしの3月28日に、南海トラフの巨大地震及び東海・東南海・南海3連動地震による新たな津波浸水想定の公表を行いました。
 これを受けて、海岸堤防の今後の地震・津波対策につきましては、約100年周期で発生する津波を対象にしたシミュレーションを今年度に行い、堤防高を検討します。さらに、南海トラフの巨大地震に対しては、津波が越流した場合においても、被害の拡大を少しでも抑える、粘り強く強靭な構造について検討します。
 また、優先順位につきましては、避難困難地区の解消や避難時間の確保が必要な地区から地元市町と協議し、整備したいと考えております。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 高知県黒潮町は、国内最大の34.4メートルの津波が約8分で来るという想定が出されております。大西町長さんは、とにかく諦めないということで、あくまで犠牲者ゼロを目指して、まさに死に物狂いでソフト・アンド・ハード対策に取り組んでおられます。防潮堤による減災ですが、具体的に対策が急がれます。
 続きまして、一昨年でしたか、9月下旬、数日間にわたって、和歌山市毛見の県立自然博物館北西側にある住宅地の一部に、異常潮位の発生により、大潮時期と重なって床下浸水の被害がありました。これは単発ではなく、過去にもあったそうであります。もともと標高の低い地域ではありますが、予測しがたい異常潮位では排水溝を逆流することも間々あるわけであります。
 このような地域は、県下ほかにもあるのではないでしょうか。浸水被害が繰り返されることのないよう、県の異常潮位による浸水対策についてお尋ねします。県土整備部長、お願いします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 海水による背後地への浸水は、低気圧や台風の高潮による排水溝からの逆流等で発生します。対策としては、排出口にフラップゲート等の逆流防止装置の設置が有効です。県内の海岸堤防等にある排水溝は約950カ所あり、このうち、対策済みが約140カ所で、県で施工したものが約60カ所、他の管理者施工が約80カ所となっております。
 今後は、排水溝の管理者と協議を行い、対策が必要な箇所について順次対応してまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まだ未整備のところがかなりあるということなんで、ひとつ優先順位をきちっと見きわめて、よろしくお願いします。
 2点目であります。和歌山県工業技術センターについてであります。
 先月28日午後、和歌山県工業技術センターを見学に行かせていただきました。請川所長、小畑企画総務部長、そして福本食品産業部長より、大変御多忙の中、現況説明、そして施設内を案内いただきました。たくさんの食品加工機器や分析機器類等を拝見し、備品が充実してきたなと実感いたしました。
 ただ、どうしても残念であったのが、食品産業部食品加工室でした。お配りしている写真がそれであります。たくさんの食品加工機器がせっかく配置されているのに、それを活用して試作品を生み出すための実習作業場としてのスペースがほとんどないことでありました。
 秋田、新潟、宮崎、熊本各県、そして北海道の工業技術センターや食品加工研究所をこれまで視察見学してまいりましたが、当地の企業や研究者の皆様が加工機器類で生み出した製品を完成品に仕上げていくための実習作業場のスペースは十分確保されており、新潟県などは、臨場感あふれる湯気も充満する中、作業が進められていました。本県の工業技術センターは、せっかくいろんな汎用性のある食品加工機器類をそろえていただいているのに、このままでは宝の持ち腐れになってしまいかねません。
 和歌山県工業技術センターのホームページには、本県の工技センターのミッションとして、「県内企業の技術支援で産業育成」、そして「和歌山県の経済発展と県民生活への貢献」と、地域産業振興のための使命がうたわれています。
 ですから、利用いただく企業や研究者にも、単に分析だけでなく、試験研究を推し進め、本県の産業振興のために新しいものを生み出すことのできる使い勝手のいい実習作業場は必要であります。この食品産業部食品加工室から、近い将来、和歌山県の爆発的ヒット商品が生まれるかもしれないのです。水も大量に使用するでしょうから、上階にある食品産業部食品加工室を、この際、1階に移しかえて、十分な作業スペースを確保した上で、本県特産の梅、柿、ミカンなどの有用果実資源等を活用した機能性食品開発研究を進めていただきたいと願ってやみません。
 文科省の地域イノベーション戦略支援プログラムも進行する中、今後大きなアウトカム、成果を引き出すため、県工業技術センターの食品産業部食品加工室の移設改築について、知事の意向をお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 長坂議員の食品加工業振興に対する情熱には同感するものであります。
 その上で考えてみますと、議員御紹介の他県の事例では、どうも施設の発祥が、技術開発機関ではなくて農業振興機関として始まっているような気がします。当県でも、実は農業試験場等々幾つか試験場があるんですけども、その中でも加工の試験みたいなのも少しはやっています。
 それから、当県では、研究機関としての工業技術センターというのは、研究開発的要素があったらそれをサポートして、それで実際の食品加工とか、あるいは地域おこしのために行っているいろいろな地域ぐるみの食品加工の催しなどありますけれども、そういうものについては補助をしていくということで、それぞれでやっていただき補助をしていくというような考え方で現在政策を成り立たしております。
 私は、どっちがいいかといろいろ考えますと、やっぱり技術開発的要素が少しでもあれば、それは工業技術センターがちゃんと助けなきゃいけないんで、あんまり高踏的にどしっと構えてるだけではいけないというふうには思いますけれども、一方で、全部そこへ集まってくるような形で支援するというのは、それぞれ草の根的にいろんなプロジェクトもできるし、それに加えて、企業はそれぞれ自社開発の、特に商品に近いところの開発をしていくというのは、そんなにオープンの場でやるような話ではないというような気もするんです。
 したがいまして、補助については、例えば農商工連携ファンドとか、あるいは草の根的なそういう食品加工を振興するような助成金もありますし、それから、もう少し企業型になってまいりますとわかやま中小企業元気ファンド等々、たくさんの補助のメニューを用意しています。そういうようなメニューをうまく使っていただきながら、それぞれやっていただいたほうがいいんではないかなあというふうに思います。
 連携は、いずれにしても必要なんで、技術支援がそういうふうに行われてる商品開発の中でも必要であれば遠慮なく工業技術センターに来ていただいたらいいし、それはある程度成功してると思ってます。それだけじゃなくて、技術センターのほうも出かけていくような積極的なやり方によってやっていったらいいんじゃないかなあ、そういうふうに思いますので、とりあえず全部そこへ統合というのはあんまり賛成しないというのを申し上げておきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 工業技術センターもかなり傷んでるところもありますんで、いずれ改築の必要性にも迫られてくるかなということは確かだと思いますし、いろんな地域のセンターを見さしていただく中で、企業のためのインキュベーションルームなんかも結構備えてるわけなんですよね。だから、そういう本当にやる気がある企業がもう1室借りて、それでまたその作業場へ行くというようなパターンが結構多いようでした。
 これから先、ニーズ、シーズというのは必ずやあると思っております。ぜひ御検討はいただきたいなと思うのと、この県工業技術センター食品産業部は、当初、生活産業部食品工学担当3名から食品開発室を創設いただいて、そして、おかげさまで今10名にも増員いただいておるわけであります。本当に、この本県の誇る有用果実資源を何とか活用したいというわけでありますね。そして、その研究開発から産業へと、とにかく発展させていくための本県の中核機関と位置づけられてるわけであります。
 和歌山県の生き残りをかけて心置きなく研究開発に取り組める、そういう食品産業部食品加工室があればいいがなということと、将来的には幾つかの都道府県にあるような食品加工開発研究センターにつなげていけますよう、ひとつ前向きな御検討もお願いしたいなと思います。
 続いて、3点目、本県の東南アジア戦略についてであります。
 ここ10年来、特にASEAN、東南アジア諸国の経済発展は目覚ましいものがあります。昨日、片桐議員よりも御報告があったように、私ども改新クラブ5名も、超高層ビル建設ラッシュ、マハティール元首相のルックイースト、日本に学べ政策で目覚ましい発展を遂げているマレーシアの現況を見てまいりました。
 今や、首都クアラルンプール郊外にあるポートケラン港はコンテナ取扱量世界第10位、マラッカ海峡の要衝にあるタンジュンペラパス港も、世界第2位のシンガポール港のコンテナ貨物の取り扱いを近くで脅かそうとしております。ポートケラン港にあるガントリークレーンだけで数百を有し、フリーゾーンを設けて工業団地が延々と続いております。タイやマレーシアのみならず、最近はインドネシアの躍進、そしてメコン地域のベトナム、カンボジア、ラオス、そしてミャンマーも右肩上がりです。
 県当局も、本県の特産果実、それに加工食品の東南アジア向け販売戦略、例えばフードエキスポ等国際見本市への出展、商談機会の提供、それに高級量販店での販売促進活動等々に御尽力いただいております。
 先月は、9日から13日までブルネイにおいて、ASEAN諸国や日中韓印等で東アジア地域包括的経済連携(RCEP)第1回交渉会合がありましたし、今後、TPP交渉等、広域FTA(自由貿易協定)の進展が予想される中、本県特産品のさらなる販売戦略について農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、台湾、香港、シンガポール等の富裕層を対象に百貨店でフェアを開催するなど、さまざまな販売促進活動を実施し、流通ルートの開拓とともに現地の消費動向の把握等に取り組んでまいりました。こうした活動を通じて、今議会において知事からも答弁申し上げましたように、東南アジア諸国は近年の経済発展が著しく、市場として有望であると考えております。
 今後、成果をさらに拡大するため、国の経済連携交渉等の経過も見きわめながら、各国それぞれの地域の事情を踏まえ、本県も乗りおくれることのないように県内事業者へのきめ細かい支援に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 国際的にも本県産品のブランド力を向上させるような取り組み、これを引き続きお願いいたします。
 続きまして、例えば、現在日本市場で販売されている衣料品の9割以上は、日本で生産されたものではなく、海外で生産されたものだそうです。7~8年前まではそのうちの9割程度が中国製でしたが、生産地の東南アジア、さらに南西アジアへのシフトが近年顕著になっていると聞きます。
 東南アジアは、今後市場としてますます重要になってくると考えます。東南アジアは、総人口約6億人、平均年齢も若く、既に賃金が上昇してきたとはいえ、比較的安価な労働力を持つ生産地というだけでなく、今後、消費地としての成長が大いに見込まれる魅力的な市場と言えます。
 そこで、本県企業の東南アジアへの進出状況と県の販路開拓に対する取り組みについて、商工観光労働部長、お聞かせください。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) まず、県内企業の東南アジアへの進出状況ですが、昨年度、わかやま産業振興財団が県内企業にアンケート調査を行い、426社から回答を得て作成した和歌山県企業海外展開調査報告書によりますと、家庭用品や機械金属の製造業を中心に、延べ18社が工場や営業拠点を設けています。
 議員御指摘のように、東南アジアは経済発展が目覚ましく、また購買力があり、日本企業のターゲットとなる中間層から富裕層の拡大が見込まれ、生産拠点としてだけでなく、これからの市場として非常に魅力的な地域です。
 そのため東南アジアへの販路開拓は、県内企業が成長するための重要な戦略の1つであると認識しており、昨年度は12月にASEANビジネスセミナー、2月にはジェトロの石毛理事長を講師としてお招きしました「国際ビジネスセミナー~アジア・新興市場開拓とジェトロの役割~」の2回のセミナーを開催し、今年度は、公募による6社の参加を得て7月にベトナムの専門展示会や市場調査等を行うべく、現在準備を進めているところでございます。
 今後も、わかやま産業振興財団、ジェトロ、ABICなど関係機関と連携し、相談窓口の設置、セミナーの開催、専門展示会への出展支援などにより、県内企業が行う東南アジアを含めた海外展開を支援してまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 私も何回か聞かしていただいたんですけど、いいセミナーやっていただいているなと思います。だから、もっともっとたくさんの企業があるはずですんで、来ていただけるようにしていただけたらな、聞かしてあげていただけたらなと思います。
 続きまして、本県の教育について7点質問さしていただきます。
 1つ目に、今、教育は、いじめの問題、体罰の問題、それに体力・学力低下の問題等、さまざまな問題を抱えていると言えます。大津市のいじめ自殺問題等への対応のごたつきから、教育委員会改革についての議論も国でなされています。安倍首相が主導する政府の教育再生実行会議が、教育委員会制度改革の提言をまとめ、首長に教育長の任命・罷免権を与え、教育長に教育の行政の責任と権限を一元化することが柱になっています。
 それ以前に、教師の皆様には現場で自分の担当する生徒たちの教育に責任を持ち、校長は全ての職員が職責を果たせるよう学校の運営責任を果たしていただきたいと思います。そのためには、さらなる教師の資質向上は必要でありましょう。教育者とは、教育の専門家であり、若者の将来を預かる聖職者であると思います。
 教員免許を取得後、公立学校ならば教員採用候補者選考検査を受けて、その後、教員として教鞭をとられるわけですが、その前に教師としての研修、例えば警察や消防のような一定期間の研修、生徒への授業はもちろんのこと、日ごろの生活、進路相談、クラブ活動での指導、そして人としての倫理観、責任感の醸成など、これからの教育を背負って立つ若い教員に対しての新任研修は極めて重要だと思われます。
 いじめや体罰の問題は、学校教育だけの責任ではありません。核家族化、少子化、そして個人情報保護をとかく言われる社会状況の中、人間関係の経験の少ない環境で育ってきた教員も、子供を教える身として大変苦労が多いはずであります。
 教師が聖職者として伸び伸びと子供に対面していくための研修は必要でありましょう。新任教員の研修の必要性について、教育長はどうお考えですか。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 子供を取り巻く社会状況が変化し、学校が抱える課題も多様化、複雑化してきております。また、議員御指摘のように、核家族化、少子化などの影響を受けた若手教員も増加しております。
 現在、ベテラン教員の大量退職に伴い、多くの教員を採用していることから、若手教員の研修は極めて重要であると考えてございます。
 学校教育の成否というのは、その担い手である教員の資質、能力に負うところが大きく、本県では、とりわけ新任教員に対し、授業力の向上、児童生徒理解やコミュニケーションスキルの向上を図っています。さらに、生徒指導や教育相談といった研修を実施し、いじめや不登校を初めとした学校が抱える今日的な諸課題に、採用後、即座に対応していける力を高めるよう取り組んでおります。
 また、初任段階の教員を複数年かけて支援することが重要であると考え、本県では、必要となる23日間の校外研修を3年間にわたり継続して実施し、あわせて300時間以上の校内研修を行っております。
 今後も、社会の変化や学校課題の多様化に対応できる教員の育成を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 新任研修のほう、ひとつどうかよろしくお願いします。
 2点目に、平成12年ごろから、学力低下論争や教員の質の問題がマスメディアによって報道されることが多くなりました。平成19年6月に教育職員免許法が改正され、そして平成21年度より教員免許更新制が導入されましたが、この実効性について教育長にお尋ねします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員免許更新制は、平成18年7月の中央教育審議会答申を受けて、教員として必要な資質、能力を一定水準以上に保てるよう、10年に1度、最新の知識、技能を身につけさせることを目的として、平成21年4月から実施されており、教員にとって有効な研修の機会になっているものと考えております。
 この教員免許更新講習を中心となって開設している和歌山大学と定期的に協議会を持っていることから、今後とも、より実効性のある講習となるよう要請してまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、いじめ対策総合推進ということで、県は今年度、1億6813万8000円、前年比62%増の予算をつけていただいて、いじめ問題の未然防止、早期発見、早期対応のため、スクールカウンセラー(SC)及びスクールソーシャルワーカー(SSW)等の拡充、子供自身の主体的参加によるいじめ問題への取り組み推進や学校サポートチームの設定等による学校への支援体制の充実を図ろうとしていただいています。
 スクールカウンセラーは、子供たちの悩みや苦しみに対応して問題解決を支援するとともに、保護者の不安にも対応します。教員には、子供たちの心の支援法を提案、助言してくれます。臨床心理士の資格をお持ちの方が多いと聞きます。
 また、いじめの加害者あるいは被害者それぞれに、家庭が抱えるさまざまな問題があります。社会福祉の知識、経験をもって家庭環境の改善のために尽くしてくれるのが学校版社会福祉士のスクールソーシャルワーカーだと理解しています。
 現在、本県において、どれくらいの学校で、どれくらいのSCやSSWが御活躍中か、また、どのような効果をもたらしているか。教育長、教えてください。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今年度、スクールカウンセラーにつきましては、小学校63校、中学校102校、高等学校50校、また新たに特別支援学校8校にも配置し、前年度よりも57校ふやしました。スクールソーシャルワーカーにつきましては、16市町に配置し、前年度より6市町ふやすとともに、新たに県立学校1校にも配置しました。
 スクールカウンセラーは、悩みや課題を抱えた児童生徒や保護者等のカウンセリングを行い、スクールソーシャルワーカーは、学校と関係機関との橋渡し的役割を担い、福祉の面から児童生徒の家庭環境の改善などの支援を行っております。配置校からは、児童生徒の個々の課題がどこにあるかはっきりわかり、より的確な支援を行うことができる、専門的見地から教職員や保護者が助言をもらうことで問題行動の未然防止や早期発見につながるといった報告が寄せられています。
 今回、配置校をふやしたのは、こうした取り組みをできるだけ多くの学校に拡充するために行ったものであり、これまで以上に児童生徒へのきめ細かな指導につながるものと期待をしているところでございます。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、学習指導要領の改訂に伴い、英語は平成23年度から小学5~6年生で週1回完全必修となり、今年度から順次、高校英語の授業が英語で行われるようになっていると聞いております。政府の教育再生実行会議によって、小学校英語をさらに拡充して教科化、大学入試にTOEFLなどの外部英語検定試験を活用するという議論が前向きに進められています。
 国際人育成という名のもとに、それはそれで否定するものではありませんが、国際人を育成するには、やはり自分の国の国語力がまず基礎として身についていることが必要条件であります。自分の考えを日本語でしっかり表現でき、日本の歴史、伝統、文化をしっかり理解し、自国を愛していればこそ、英語でそれを他国の人々に語り、初めて日本国、日本人を外国の人に理解、認識してもらえるものであります。
 対話の際、相手の外国人は、案外、相手たる日本人の自国に対する思いというものをしっかり見ていると思います。外国でも通用できる、堂々と働ける国際人を育成するための国語力の強化について、県教委の取り組みを教育長に聞かせていただきます。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、国際人を育成するためには、まず自国の歴史、伝統、文化を理解するとともに、国語力を身につけることが非常に重要であると思っております。その国語力を高める活動の大きな柱の1つとして、読書活動に力を入れております。
 県内の公立小中学校では全校一斉読書に取り組んでおり、小学校では88%、中学校では84%が実施しているほか、家庭における読書活動の推進や、平成23年12月から実施している県立図書館による児童用図書のセット貸し出し等により、子供がみずから本に手を伸ばすような工夫をした取り組みを行っております。
 また、県教育委員会では、自分が気に入った本を作文で紹介するコンクール等、児童生徒の創作意欲を高める取り組みも行っています。
 さらに、国語の授業力の向上を図るため、平成22年度から3年間にわたり、中学校の全ての国語科教員を対象にした授業改善の研修を実施した結果、平成24年度の全国学力・学習状況調査において、全国との差が拡大傾向にあった国語の知識を問う問題の平均正答率が2.2ポイント上昇し、全国平均に大きく近づくなど、成果が着実にあらわれてきております。この成果を踏まえ、今年度からは、小学校教員を対象とした研修を実施する等、国語力の向上に向けた取り組みを進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 これから余計外国とちょうちょうはっしの勝負をせんといかん時代になってくるわけでありまして、国語力の強化、よろしくお願いいたします。
 5点目に、子供たちは、居住環境の変化、ゲーム、パソコンの普及等により外遊びが少なくなるとともに、歩数も減少しているようです。
 先日、新聞で、東京都の平成23年の小学生9858人に行った歩数調査が掲載されていましたが、1日平均歩数は1万1382歩、一方、昭和54年に東京学芸大が都内の小学4年を対象に調べたときは、男子が約1万8000歩、女子が約1万5000歩だったそうです。我々働く大人がそれだけ毎日歩けているかというと甚だ疑問ではありますが、男女とも子供の平均歩数は確実に減少しています。
 国立健康・栄養研究所の田中先生は、この減り幅は体力低下に一定の影響があるはずと言っています。最近、転んだとき、うまく手をつけずに顔にけがをする子供がふえ、学校などの現場報告では、前歯の損傷や鼻骨、目の周りの骨折が目立つようになった、すなわち子供が転んだとき身を守れなくなっている、本来持つ運動能力を発達させられなくなっていると、日体大総合研究所の武藤所長は身体活動の不足を指摘しておられます。
 また、運動能力を備えない子供の将来を示唆する研究もあります。山梨大の発育発達学の中村教授は、学生135人を対象に、幼少期の遊び、運動経験と大学入試後の運動、スポーツ実施状況の関連を調べました。すると、運動、スポーツをする学生の87%は、幼少期の1日の遊び時間が3時間以上で、よくやった遊び種目の上位3つは鬼ごっこなど外遊びというグループ、一方、運動、スポーツをしない学生の63%は、1日の遊び時間が室内を含めて30分以下というグループでした。
 体を動かす心地よさの感覚がないまま大人になると、体を動かすこともおっくうになるものです。転んだとき、最低限の受け身もとれないような子供の増加、すなわち体力の低下を大人になって持ち越さないよう、県教委としてのお取り組みを、教育長、聞かせてください。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 子供の体力が低下していることは、大変大きな課題であります。学校現場において、年々、体力の実態を把握する体力調査を実施しない学校がふえ、学校における体力向上の取り組みが弱くなっていたことがその一因と考えられます。
 そのため、平成20年度から体力調査を全ての学校で実施し、その結果に基づいて、教員の指導力向上のための研修や、仲間と一緒に運動するきのくにチャレンジランキング事業など、学校体育の充実及び運動機会の拡充に積極的に取り組んでまいりました。その結果、小学校5年生で初めて全国平均を上回るなど、成果があらわれてきています。
 一方で、運動する子としない子の二極化傾向や中高生女子の運動離れなどの課題が見られますことから、今年度、新たな取り組みとして、小学生にはリズムに乗った動きで敏捷性や瞬発力などを育成するエクササイズを、中高校生には若者に人気のある動きを取り入れたダンスを制作することとしています。
 現在、子供たちが楽しみながら運動できるよう、体操の田中理恵選手など専門家の協力を得て内容を検討中であり、完成後は、県内全ての学校の体育授業で活用されるよう普及に努め、子供たちの体力向上を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 答弁いただきました。
 私自身、子供のころは、鉄棒とか、砂場での相撲とか、あるいは縄跳びなど、友達と競争しながらよく遊んだものであります。今は、とかく「危ない」だの「汚い」だの、注文やクレームがやたら多いようですが、いま一度、泥んこになりながらでも友達と競いながら上達していく、そんな楽しさと喜びを子供たちにもっと味わわせてあげていただきたいと要望さしていただきます。
 また、紀の国わかやま国体は、まさに子供たちに運動、スポーツのおもしろさを身近で実感させて体力向上を図らせる絶好の端緒であります。
 次に6点目、政府の教育再生実行会議において、いじめ対策の1つとして道徳の教科化の論議が、文部科学省の有識者会議「道徳教育の充実に関する懇談会」で始まっています。私は、道徳の教科化は大賛成であります。
 道徳は、現在、教科ではなく、教科書はありません。文科省が、教科書でも副読本でもない補助教材であると平成14年4月に発表しているのが「心のノート」であります。この「心のノート」の作成、配付には、平成9年の神戸連続児童殺傷事件や平成11年の栃木女性教師刺殺事件、光市母子殺害事件などの少年犯罪が相次いで発生し、心の教育の必要性が強調されるようになってきたことが発端となり、国会でも何回かの議論があったようです。
 小学1~2年用、小学3~4年用、小学5~6年用、そして中学生用と計4冊ありますが、週1回、年35回の道徳の授業でどのような使われ方をしているのでしょうか。実際に活用されているのですか。教育長、御答弁お願いいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 「心のノート」は、児童生徒が身につける道徳の内容がわかりやすくあらわされ、命を大切にする心や礼儀などの道徳性について、みずからが考えるきっかけとなる教材として、平成14年度から小中学校において道徳の時間を中心に活用されてきております。
 平成23年度の本県の道徳の時間における「心のノート」の活用状況は、小学校で89.6%、中学校で89.1%であり、学級会活動や家庭学習でも使われております。
 「心のノート」は、夏ごろには全ての小中学校の児童生徒に配付されることになっており、各学校においてさまざまな場面で活用し、道徳教育を一層推進するよう指導してまいります。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 「心のノート」ですが、本当に道徳の時間できちんと生徒たちに輪読させれば、本当にいいものだと思うんですよ。活用をどんどんいただけたらなと思いますね。
 7点目なんですが、「読売新聞」が先月、「教育ルネサンス~道徳の力」という特集記事を掲載して、大変参考になりましたが、各地の学校で道徳の時間にいろんな工夫ある授業をされているようです。偉人の生き方について意見を求めたり、1つのテーマをもとに教室で議論し、仕上げに道徳ノートをつくって自宅で授業内容を家族に話して気づいたことを書き込ませたり、理科や社会の授業で道徳に触れたり、毎回1人の児童をみんなで褒めるほめ言葉のシャワーを行ったり等々、いろんな取り組みがなされているようです。
 私も、個人的には、和歌山県の郷土の偉人を題材に、ふるさとの歴史、文化や伝統、時代背景とともに、偉人の生きざまに触れることによって人の規範意識を持たせることには大いに共感を覚えます。本県の小中学校の道徳の時間においては、どのような授業の工夫がなされているのでしょうか。教育長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の各学校では、道徳性を育むために、これまでも児童生徒が興味、関心を持つような創意工夫ある授業づくりに取り組んできております。
 その創意工夫の1つの例として申し上げますが、昨年度の実践研究発表会で、大島小学校ではエルトゥールル号を取り上げ、海底から遺品を引き揚げる作業に携わった方など関係者から話を聞いたり、慰霊碑周辺の清掃活動を行ったりすることなどにより、地域の先人の思いを受け継ぎ、命の大切さを考える取り組みを行っております。
 また、本県では、今年度、教員に対し、道徳の時間の質を一層向上させるための研修を行い、各学校での道徳教育の中心を担う教員の養成を図っていくこととしております。さらに、本県にゆかりのある先人や偉人などを教材に取り入れた「和歌山県版道徳読み物資料集」を現在作成しているところで、ふるさと和歌山の先人や偉人の生き方などを通して、規範意識や思いやりの心、郷土を愛する心などを育んでまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 18年前にこの本会議で初登壇して、一般質問で道徳教育について質問をさせていただいたときに、たしか教育長さんから、ボランティア活動の中で奉仕の気持ち、人を敬う気持ちを醸成させていきたいと、そういうような答弁をいただいたことがありました。
 おかげさまで、活動としては子供たちの間でも随分根づいてきたと思いますが、その趣旨が本当に行き渡っているのかというと、そうとも言えないと思います。子供たちに道徳の大切さを理解させるために、興味を持たせるためにさらなる創意工夫というものを教育委員会にお願いを申し上げます。
 これで、私の一般質問を終わります。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、自民党県議団に入って最初の御質問をさしていただきますので、簡潔にわかりやすく心がけてやっていきたいと思いますので、答弁のほうもそのようによろしくお願いいたします。
 まず、大項目1番でありますが、連日、議会のほうでも、いじめのことは、もう本当に和歌山県の重要課題であるということで議論されております。
 まず1番目に、いじめの現状と今後の取り組みということで、改めて聞かしていただきます。
 教育再生実行会議では、一番最初にいじめ問題への対応ということで審議が行われました。いじめに起因して、子供の心身の発達に重大な支障が生じる事案、さらには、とうとい命が絶たれるといった痛ましい事案、いじめを早い段階で発見し、その芽を摘み取り、1人でも多くの子供を救うことが教育再生に向けて避けて通れない緊急課題となっているからであります。
 こうした痛ましい事案を断じて繰り返すことなく、いじめは絶対許さない、いじめは卑劣な行為であるとの意識を日本全体で共有し、子供を加害者にも被害者にも傍観者にもしない教育を実現するという、「いじめ問題等への対応について(第1次提言)」を行っております。
 学校教育に携わる全ての関係者一人一人が常にこの問題を厳しく受けとめ、いち早くいじめの兆候を把握し、迅速かつ適切に対応し、いじめの問題解決に向け、学校、教育委員会、家庭、地域が連携して情報を共有し、全力を挙げて皆さんで取り組んでいこうではありませんか。
 本県の取り組みの状況と、第1次提言を踏まえ、今後の取り組みについて教育長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、いじめ問題というのは本県教育の最大の課題だというふうに受けとめております。いじめ問題の対策としまして、決して子供からの小さなサインを見逃すことのないよう、いじめアンケート調査や面談等を年3回以上実施するとともに、教職員が子供に寄り添った適切な対応ができるよう、「いじめ問題対応マニュアル」等を使った研修の実施を指導しているところでございます。
 また、深刻な事案につきましては、警察等関係機関と連携するとともに、知事部局、県教育委員会が総がかりでいじめ問題の解消に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
 さらに、今年度から、弁護士、臨床心理士、警察関係者、退職教員から成る学校サポートチームを教育委員会内に設置いたしました。いじめや暴力行為等、深刻な問題が発生した学校にメンバーを派遣し、指導・助言を行うなど、学校だけで解消することが困難な事案に迅速かつ適切に対応してまいります。
 議員御指摘のとおり、去る2月26日に教育再生実行会議から出された第1次提言「いじめの問題等への対応について」に示されている社会総がかりでいじめに対峙していく基本姿勢を徹底し、子供を加害者にも被害者にも傍観者にもしない教育の実現を目指してまいります。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 教育長、答弁ありがとうございました。
 必死になっての取り組みというのはひしひし伝わってきておるんではございますが、私が日ごろから気にしておりますのは、どうしても事後管理的になっているんではないかなというところを非常に心配しております。まあいいますと、子供たちって、生まれます。生まれたら、最初にお母さん、お父さん、そして家族、そして身近な方々、そして幼稚園へ行き、小学校へ行き、中学校へ行く。私は、だんだん大きな社会を経験していってる、それを健全に経験さしていかしてあげるということが大事かな。
 それで言いますと、いじめは基本的にいうと、やっぱり学級という1つの単位というか社会の中でまず起こってくるということなんで、事後管理の以前の事前管理の部分について次の2番を質問させていただきます。
 いじめ未然防止対策への学級集団アセスメントの活用ということで、教師には、子供たちの悩みやストレスのサインを見逃さず、的確に把握して対応する力、そして学級全体の問題として投げかけ、解決に導く力、これを身につけることが大切やと私は思います。
 しかし、子供たちが抱える問題が、現在複雑で多様化して、そのあらわれ方も多岐にわたるものですから、一人一人の教師の観察力、これだけでは把握し切れない部分が多く今出てきているんではないかなと、そのように思っております。
 1つ提言さしていただきたいのが、質問紙による心理検査を活用いたしまして、個々の児童生徒の実態、学級集団が今どのような状況にあるか、これをアセスメント、まあいえば客観的に評価する、そして、教師自身が気づかなかった子供たち同士の関係、課題、学級への適応感、これが確認できて望ましい学級集団づくりに大きく貢献しているのがこの学級集団アセスメントという手法であります。これが、今、全国的に広がっていると。県内でも、学級集団アセスメントを活用している学校はあると思います。
 私の同級生の、今大体教頭先生ぐらいになる年なんですが、その皆さんに聞いても活用されている人もいてるということで、その皆さんに「どうですか」ということで評価を聞かしていただきました。そしたら、不登校になる可能性の高い児童の早期発見、そしていじめの発生、深刻化の予防、いじめ被害に遭っている児童の発見、学級崩壊の予防、指導効果の評価改善、よりよい学級集団づくりなどに活用できるということで、非常に高い評価を私は聞いております。
 いろいろな種類があるようでございますが、鳥取県教育委員会、岡山県教育委員会などで活用されているのが学級集団アセスメント「ハイパーQU」というものだそうですので、それで説明しますと、学級満足度尺度、そして学校生活意欲尺度、ソーシャルスキル尺度、これを把握する心理検査ハイパーQUを実施しましてコンピューター診断により豊富なデータが得られる、そして、それらを総合して学級の状態や今後の指導指針についてのコメントがまとめられている、児童生徒の状況を事前に把握して適切な対応をするための先生方の判断材料の1つとして活用されている、そういう状況であります。
 利点としては、検査は20分程度の短期で実施することができますので、あとはコンピューターが分析する、その中で、学級集団と個人の状況について標準化されたデータで客観的な分析として返却されますので、教職員の新たな負担を最小限に抑えられるというところもあると思うんです。そして、もう1点、検査結果がグラフであらわされますので、学級の中で支援を必要とする児童生徒が一目でわかり、優先的な対応が可能となる。もう1点は、検査結果について、学年または学校全体で検討することにより、いじめの未然防止につながり、集団づくりや授業改善に学校全体で取り組むことができる。
 これは何かと言いますと、先生方は必死で子供たちを見てくださっているんですが、クラスを見てるのは、何ぼソーシャルワーカーの先生がいても、そのクラスはそのクラスの担任の先生が一生懸命見らなあかん。じゃ、担任の先生1人の感性だけでいきますと、やっぱり学校全体で取り組むときに、ある程度標準的なデータのもとに皆さんで話をしないと、基本的なたたき台がない状態で、どういう状況なのか、ああいう状況なのかということになるので、ある程度標準化したデータのもとにクラスを見てる学校の先生自身の感覚とかとあわせて検討していくというのが一番学校全体で取り組めると、そういうものであるみたいです。
 昨年9月に、鳥取県教育委員会では、モデル10校区34小学校でありますが、ハイパーQUを実施して、いじめの未然防止に全県的に取り組むという方向のモデル的なことをやってたんですが、そんな中で9月に補正予算を組みまして、当初予算で多分モデル的な取り組みをやってたと思うんですが、それをもう全県に、補正予算を組んででもこれはいく必要があるという御判断をされてやってるみたいであります。
 岡山県の教育委員会の事例を見てみますと、もう岡山県の場合ははっきりしてて、不登校やいじめの兆候を早期に把握するために、児童生徒の不安感や疎外感を調べるのにハイパーQUを2013年から導入しています。それで、公立校の小学校5年生と中学校1年生を対象に全県的に実施するそうであります。
 全県的にいじめの未然防止と早期発見、早期対応の強化に取り組むためには、この学級集団アセスメントの活用を私は考えたらどうかなと思うんですが、教育長の御意見をお伺いしたい。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今、御紹介いただきましたハイパーQUテスト等の学級集団アセスメントは、もう既に御指摘いただいたように、県内の幾つかの市町村や県立学校においても取り入れられております。これらの学校からは、児童生徒一人一人や学級集団の状態を把握することができるため、望ましい人間関係づくりを進める上で有効であることや、不登校やいじめの未然防止につながることができる方法であるとの報告を受けております。
 こうしたことから、議員御提案の県内全ての学校でハイパーQUテスト等の学級集団アセスメントの実施につきましては、他県での取り組みや県内で実施した学校での成果や課題を踏まえながら、実施に向けて検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 実施に向けて取り組んでいただけるということで、ありがとうございます。
 ちなみに、ここにそのハイパーQUがあるんですが、これを開発された方が早稲田大学の河村茂雄さんという方なんですが、この方の、まあいえばお弟子さんという表現が確かなんかな、正しいんかどうかわかりませんけども、この人のもとで一緒に仕事をしてた優秀な方が和歌山県にいらっしゃるということをお聞きしておりますので、和歌山県流のやり方というのも大切かと思いますので、その辺も検討していただいて、いち早く実施していただきますようによろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして大項目の2番、環境保全型養鶏について質問いたします。
 環境保全型養鶏ということで、私、岐阜県のほうに行ってまいりまして、そこはEM菌というものを使いまして、餌からもう変えていくというやり方をしておりまして、においは少なくて、できた堆肥は、橋本養鶏組合の皆さんも一緒に行きましたので、その皆さんに聞きますと、大体できた堆肥が橋本養鶏組合では100円、そこの堆肥は300円で売れているということがございました。
 EMがどうこうという話ではなくて、やっぱり一番思ったのが、和歌山県は100円なんですが、向こうは300円でも価値があるという堆肥ができていると言う。もう1点、ちょっとショックやったんですが、この300円の堆肥、誰が買ってますか、どこへ売ってますかというのが気になりましたんで、聞かしていただきますと、「和歌山県の梅農家に売ってますよ」というお話でした。私としましたらちょっとショックでした。どっちかいえば、和歌山県でつくった堆肥を300円で買ってもらえるようにしないといけないんではないかな。だから、わざわざ遠くから300円で買わなくても、逆に今度は、私の心の中では、和歌山県でええ堆肥つくって岐阜県に500円で売ったるでみたいな、そのぐらいの気持ちになってしまいましたんで。
 まず1番目は、養鶏排せつ物の利用促進についてお聞きいたします。
 本県において、畜産経営の大規模化が進展した結果、生産した家畜排せつ物堆肥を自己経営内または地域内でいかに生かしていくかが新たな課題となっています。
 このため、平成21年8月に家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画を策定して、平成27年度を目標に、県、市、農業関係団体、畜産農家、耕種農家等の関係者が一体となって家畜排せつ物の利用促進を図るための取り組みを推進しているところであります。
 県民の環境保全に対する意識が高まる中、地域資源を生かした堆肥等による土づくりを基本に環境保全型農業を推進し、耕畜連携の強化、ニーズに即した堆肥づくり、家畜排せつ物のエネルギーとしての利用、この3つを柱に家畜排せつ物の利用促進が図られていますが、養鶏における現状と今後について農林水産部長にお伺いします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 養鶏排せつ物の利用促進についてですが、本県における年間の鶏ふん発生量は7万8000トンで、県内家畜の排せつ物総量の61%、また窒素量換算による発生量は1506トンで、家畜全体の86%を占めております。
 鶏ふん堆肥については、県内では主に野菜や果樹の幼木などに一部利用されてはいるものの、品質が安定していない、散布しにくい、あるいは使用方法がわからないといった問題により利用が進んでいない現状にあります。
 堆肥としての利用を促進するためには、農家のニーズに合った良質の堆肥を供給することが重要であり、同時に利用農家に対しては、堆肥に関する使用方法や利用効果などの知識を普及する取り組みが必要であります。
 また、エネルギー利用については、鶏ふん処理用に開発された燃焼・発電施設は、日量数百トン規模の処理量で数十億円の設備投資ができる場合に成り立つシステムであり、現状では県内導入は困難と考えております。
 今後は、県内外で広く利用されるような良質堆肥を供給することを目標に生産技術の研究を行い、畜産農家への技術指導に努めるとともに、堆肥利用に係る研修会を開催するなど、鶏ふん堆肥の利用促進を図ってまいります。
 なお、梅干しの加工段階で生じた梅調味廃液を堆肥製造時の消臭資材として使用し、得られた鶏ふん堆肥を梅農家で活用する地域循環型農業の実践に向けたモデル実証試験を今年度から実施する予定でございます。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 エネルギーのほうはちょっと厳しいかなというお話で、なかなかその設備投資というのも難しいかなと思いますので。
 27年度を目標にということで計画になっておりますので、先ほど言わしていただいたように県外に堆肥を付加価値をつけて売れるようになってくれたら一番いいなと思っておりますので、そっちの方向を向いて頑張っていただけるように。できましたら、私は、一番最初に岐阜県に営業に行ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、2番であります。周辺環境の都市化、企業誘致の進展に伴う臭気等の対策についてであります。
 和歌山県家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画にもあるように、紀北地域は、周辺環境が都市化しているものの、酪農、肉用牛経営及び養鶏経営が盛んであります。処理施設は、堆肥舎のほか、強制発酵処理施設の整備等、臭気等の発生予防に配慮した施設整備が進んでいる地域であると計画書にはなっております。
 特に、橋本市の北東部には、養鶏場──採卵のほうでありますが──集積しております。本県の卵生産の約50%をこの橋本市にあります養鶏組合さんが担っております。知事もう御存じやと思うんですが、この養鶏組合さんは、常に県とともに積極的な投資をされまして、かなり先進的な取り組みを行ってきたところやと私は思います。さらに、6次産業化にも積極的に投資をされまして──もちろん県、国の支援をたくさんいただいての話でございますが──取り組んでやっている有名な地域であります。
 しかし、この地域は、紀北エコヒルズなど企業誘致による大きな開発が進んでおりまして、都市化が進み、周辺環境が急激に変化しているところでもあります。
 最近、地元では臭気問題が大きく取り上げられておりまして、このままでは住環境、または本県が誇れる地場産業、企業誘致に悪影響を及ぼすんではないかと、私はかなり心配をしております。早急な臭気等の対策が必要と考えますが、農林水産部長にお伺いします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 家畜排せつ物の処理については、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律、いわゆる家畜排せつ物法において、畜産業を営む者が適切に管理するとともに、堆肥化処理による利用促進を図ることとなっております。本県においては、家畜排せつ物の処理に必要な施設整備に係る費用の一部を補助し、農家の環境保全対策を支援してきたところでございます。
 橋本市の養鶏施設については、家畜排せつ物法に基づく適正な管理及び堆肥化が行われており、法的には問題のない施設ですが、議員お話しのように、企業用地等の開発や都市化の進展といった環境変化により、悪臭に関して苦情が出ていることは承知しております。
 鶏ふんの堆肥化処理過程で発生するアンモニア等が主な原因となっており、対策としては、堆肥施設の密閉化と脱臭装置の導入、あるいは消臭資材や微生物資材の利活用による臭気の抑制などが考えられますが、費用対効果等さまざまな検討課題がございますので、事業者及び橋本市と早急に対応を協議してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 早急な対応を協議していただけるということで。ただ、私は、これにつきましてはちょっと悩ましいのが、やっぱり基本的に、産業でございますので、本人さん主体で頑張っていただくと。それもよくわかるんです。ただ、この養鶏組合さんは、先ほどもお話しさしていただきましたが、常に県とともに積極的な取り組みに、補助はあるものの、やっぱり投資をしていってるという現状があります。
 そんな中で、今、円安の影響ということで飼料のほうも高騰してるであろうし、そしてもう1点あるのが、私はもともと市場の仲買人でございまして競り人でもありますので、じゃ製造のときに積極的に投資した部分を卵に転嫁できるかといえば、工業製品のようになかなか転嫁できないと思うんです。相場で決まりますので。どうしても相場が上がらない限り、努力した分で転嫁できないというのが基本的にあると思うんです。付加価値をつけて新しい卵をつくっていくということをすれば、それはそれでとっていけるとは思うんですが、この辺、やっぱりちょっと厳しいのかなと。
 僕もいろいろ話を聞きまして、ここの養鶏組合は、次の世代が結構頑張ってるんですよね。だから、次の世代が頑張りがいのあるようにというふうにならないとという部分が非常に心配でありまして、そこへもってきて、これ、外的要因がかなり影響した中で迫られているというところもあると思うんです。いわば、住環境もよくしてほしいし、企業誘致──せっかくこんだけ頑張って、特にエコヒルズ、今回は新たに南海用地に知事の御判断で南海さんを説得していただいて新たな投資もしていただいてる、その地域に集積しておることもありますので。
 どうか、県の積極的な取り組みで、僕から言いますと、どないか橋本を助けてやってほしいというのが現実の話でございますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、大きな3番。
 これは、皆さんに参考資料で地図のほうを配らしてもうてあると思うんですが、それを見ながらお聞きいただけたらと思います。関西都市圏の拡大に向けた道路ネットワークについてであります。
 日ごろ知事もおっしゃっておりますが、関東平野に比べて大阪平野というのはざっと6分の1ぐらいしかないと。だから、山がなかったもんのようにやっぱり関西の都市圏の拡大をしていかないと、仮に首都機能を移転していただいてもうまくいかないんではないかなと私は思っております。だから、関西都市圏の拡大というのは重要な話で、和泉山脈、生駒山脈等ありますが、紀の川筋と奈良盆地あたりは、もうほんまに一体感を持っているという、そういうふうなネットワークを築かないと、なかなか頑張っていけないんではないかなと私は思っております。
 そういうふうに関西都市圏の拡大に向けたネットワークが十分発揮できるように、2点ほど質問さしていただきます。
 平成24年までは国土交通省の重点整備計画というのがありましたが、25年からの重点整備計画というのは、今取り組んでいるんではないかなと思っております。
 まず第1番は、関西大環状道路の整備についてであります。
 皆さん、見ていただきますと、赤い大きな一番外の枠になると思いますが、関西大環状を担う重要な京奈和自動車道の和歌山県エリアは、仁坂知事の頑張りもありまして、皆さんの御協力もございまして、おかげさまで大体国体をめどに完成するんではないかなと私は思っております。
 しかし、全線が開通してこそ、やっぱり関西全体並びに和歌山県の発展に大きな力をもたらすと思いますので、県外の進捗状況、そして多分奈良県がおくれておると思いますので奈良県と、関西広域連合とともにスピードアップを求めてはどうでしょうか。
 また、紀淡海峡を渡り淡路島、地図で言いますと神戸淡路鳴門自動車道──これ、自動車専用道路でありますが──につながってこそ関西大環状道路と思いますので、このことについて県当局のお考えを県土整備部長にお伺いします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 関西都市圏を拡大し、地域の活性化を図るため、関西大環状道路を形成する京奈和自動車道の整備が不可欠であり、和歌山県内の全線は、平成27年国体開催までに供用するよう、国に強く働きかけているところでございます。
 一方、主に西名阪自動車道から和歌山県までの奈良県側の進捗状況でございますが、一般部のみの区間も含めると、西名阪とのジャンクションがある大和郡山から御所インター間が供用されており、続く御所インターから御所南インター間については平成26年度供用予定とされております。しかしながら、残る御所南インターから五條北インター間につきましては、これまでも早期整備を、できれば平成27年国体までの供用を国や奈良県に強く働きかけてきたところでございますが、現時点では明確な供用予定は示されておりません。
 県としては、今後とも、関西広域連合や奈良県とも連携し、京奈和自動車道の早期整備はもとより、関西都市圏を拡大する広域道路ネットワークの形成に積極的に取り組んでまいります。
 また、紀淡連絡道路につきましては、関西大環状道路のかなめをなす道路であり、リダンダンシーを確保した国土の強靭化を図るため、平成26年度政府提案において、調査の再開と地域高規格道路の計画路線への格上げを要望したところです。
 今後とも、大変厳しい状況ではありますが、この道路の具体化に向け、国に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 これにつきましては、先輩議員方が以前より紀淡海峡のほうにつきましては一生懸命訴えていただいておりますので、国に働きかけていただきまして、関西大環状が一日も早くできますようによろしくお願いいたします。
 それでは、2番に行きます。
 関西4環状とともに重要な放射状幹線道路についてであります。
 地図を見ていただきますと、赤い大きな外周道路の横に青い筋が入ってると思うんです。その青い筋は、全て自動車専用道路であります。それを見ていただきながら聞いていただけたらと思います。
 関西中央環状道路──近畿自動車道であります──と関西大環状道路、京奈和自動車道をつなぐ放射状自動車専用道路、それを京奈和自動車道沿線で見てみました。本来、ネットワークというのは、ハブ・アンド・スポークと言われるぐらい、環状があって放射状道路がつながってネットワークがいいということやと思いますので、それで見ますと、京都府には名神高速道路、第二京阪道路があります。奈良県内には、奈良市へは第二阪奈道路、大和郡山市へは西名阪自動車道、橿原市へは南阪奈道路があります。これ、全て自動車専用道路であります。
 しかし、和歌山県の北東部に向けてありません。関西都市圏の拡大に向けた道路ネットワークの構築のためには、奈良県のように主な都市へ放射状幹線道路──一番いいのは自動車専用道路──一定の間隔で整備することが私は必要不可欠と思います。
 和歌山県の北東部に向けましては、重要な放射状幹線道路に位置づけられておりますのが、地域高規格大阪橋本道路であります。このままでは、企業誘致においても、お隣の奈良県のほうが──私の選挙区は奈良県の隣でございますので、頑張って頑張ってしても、私は奈良県のほうが圧倒的に有利になってしまうんかなと、その辺を心配しております。
 現在、地域高規格大阪橋本道路の整備が進められていますが、奈良県の事例を見ますと、近畿自動車道と京奈和自動車道を、大阪府の府県境部を南阪奈道路──自動車専用道路──で、奈良県側を高田バイパスでつないでおります。同じように、和歌山県側の橋本バイパスから府県間部を経て、規格の高い道路で、関西大環状道路(京奈和自動車道)と関西中央環状道路(近畿自動車道)をつなぐべきであると思います。
 この道路は、和歌山県、大阪府だけの問題ではなくて、関西全体で考えるべきものであります。この大阪橋本道路につきましては、もう毎回、宿命のように質問させていただいております。もう事情もわかっております。24年度の予算を見てみますと、和歌山県側は補正も入れまして約41億円と聞いております。大阪府側は、両方合わして約3億円程度かなというふうなお話を聞いておりますので、余りにも温度差があるんで。私は、もう京奈和自動車道ができたら、京都へ行くときは大阪は通りません。そのぐらいの思いで思っておりますので、県当局はどのように考えているのか、県土整備部長にお伺いします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 関西大環状道路を初めとする環状道路と大阪を中心とした放射状道路を一体的に整備することは、関西都市圏を拡大し、関西経済の活性化のために重要であると考えております。そのため、県では、京奈和自動車道はもとより、放射状幹線道路である第二阪和国道などの整備促進、さらに国道371号府県間部については、直轄権限代行事業に向けた直轄道路調査の着手を国に働きかけているところです。
 そうした中、議員御指摘の地域高規格道路大阪橋本道路につきましては、近畿ブロック知事会策定の広域インフラグランドデザインや関西広域連合の広域インフラマップにも位置づけられております。
 県としましては、この大阪橋本道路の重要な区間である国道371号府県間部の早期整備について、和歌山県、大阪府のみならず、関西全体でも取り組んでもらえるよう働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 自分とこの地域ではないところの答弁ですので、なかなか難しかったかなあと思う中で、積極的な答弁いただきましてありがとうございます。
 ただ、1つ思うことがございまして、先日来、沖縄の方が負担で困ってるんで、沖縄の方の軽減をせなあかんということで、八尾空港はどうですかという提案をされております。和歌山の人は、もっと困っております。その辺も御理解いただき──道に関してでございます──困っておりますので、やっぱりお互いさんということをわかっていただきますように、私といたしましては、大阪府に対してそういう思いを祈り、次の質問に行かしていただきます。
 大きな4番、緊急経済対策、中小企業ものづくり補助金についてであります。
 県内事業者の状況と今後の取り組みについてでありますが、日本経済再生に向けた緊急経済対策補正予算における中小企業、小規模事業者向け「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」は、1次公募における採択事業者が決定し、現在、2次公募を行っていると聞いております。この制度は、私は、応募者もかなり多く、経済波及効果も大きいんではないかと考えております。
 ことしの予算委員会のほうでも質問させていただきまして、そのときの答弁では、「積極的な情報提供や個別相談を実施することにより、今回の大型補正予算をできる限り県内企業が活用できるように全力で支援してまいります」ということでした。県内事業者における今回の応募状況、採択状況はどうでしたか。また、その結果、どのように評価していますか。
 2次募集中では、再チャレンジもできると聞いております。仮に、「同じ事業計画を実施する場所を東京、大阪、和歌山、好きなところを選びなさい」と事業者の方に言ったときに、果たして「和歌山県」と言うてもらえるかなという。だから、「同じ事業を同じ条件で、東京でしますか、大阪でしますか、和歌山でしますか、それはあなたが選びなさい」と言われたときに、私はやっぱり東京を選ぶという方が多いんではないかな、大阪を選ぶという方が多いんではないかなと思います。
 日ごろから思っておるんですが、スタートラインにおいて、やっぱり都会と田舎の格差があるのが現実ではないでしょうか。そんな状況でも新たな挑戦をしようとしている、この頑張る県内事業者のために今後どのように取り組みますか、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 国の緊急経済対策である平成24年度補正予算につきましては、議員御指摘のものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金などの事業を県内事業者に可能な限り活用していただくよう、近畿府県の自治体では最も早く事業者向け説明会を開催したほか、産業別担当者による県内企業への情報提供や、わかやま産業振興財団のメールマガジンの活用等、さまざまな周知活動を積極的に実施しているところです。
 平成25年3月15日より1次公募が開始されました本事業について、県は、関係機関と一丸となって、希望する事業者に対するサポートなどを行ってまいりました。その結果、現在では138件の申請を数え、本来のミカンの食感を損なわない加熱処理を施した有田みかんゼリーの開発など56件の事業計画が採択されました。採択状況については、ほぼ全国並みであり、一定の採択水準を達成できたものと認識してございます。
 県としましては、1次公募で採択されなかった企業に対し、その要因を分析し──(「もうちょっとゆっくり答弁せえよ」と呼ぶ者あり)はい──改善を助言するなど、2次公募での採択に向けてきめ細かく支援しているところです。また、新たな企業を掘り起こすため、先般、2次公募に向けての説明会を開催するとともに、工業技術センターの職員等が個々の企業に申請の働きかけを行っているところです。さらに、県内事業者が意欲を出しているこの機会を捉え、国のものづくり補助金のみならず、県独自の提案公募型の施策も総動員し、県内企業のチャレンジを支援するなど、活力あふれる元気な和歌山経済の創造を目指してまいります。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 一生懸命取り組んでいただいてるというのは、十分わかりました。結果といたしましては、136でしたかね、かなりの方が挑戦してくれた。それは大いに皆さんが頑張ってくれたなというのがあると思います。
 ただ、採択されてるのが全国並みということでございますので、和歌山県の方向性、これはもう仁坂知事がずっと言うてますから、ここは和歌山県の特徴やと思うんで、やっぱりそれだけの対策も打ってますし、それだけの組織も持ってると思うんで、厳しい言い方かわかりませんけども、結果、やっぱり平均より上と、そうなってほしいというのが私の本音でございます。
 今回は、たまたま計画ですので、初めて出す人、一生懸命計画を出したところで、これやっぱりテクニックというのが要ると思うんですよ。自分の思いを申請書に載せていくというときのテクニックであるとか、甘い計画をきちんとした計画に書きかえていくとか、そういう部分になってくると、やっぱり和歌山県で誰が一番そういう能力を持っているか。私は、県の職員さんが一番それを持ってると思うんですよ。これは国に審査してもらうやつなんで、県はどんどんどんどん支援したっていただいて、今この時期に136もほんまにやる気になってくれたと僕は思うんですよ。厳しい中で挑戦しようかという気になった。気になったその思いを火消してしまうと、もう和歌山県にとって、今度は起こすの大変かなという気もしますので。先ほど、県の制度も動員してということでございますんで、くれぐれもその思いを消さないように、県内事業者の思いを消さないように頑張っていただきたいと思います。
 次に聞かしていただいたときには、全国の平均を上回る採択ができましたという報告を期待いたしまして、次の質問に行かしていただきます。よろしくお願いします。
 5番でございます。コンテンツの活用による新たな誘客策についてであります。
 漫画、ゲーム、アニメの聖地巡礼についてです。これ、「聖地巡礼」と言われても、なかなか皆さんぴんとこないかわからんですけども、近年、アニメや漫画などのコンテンツ、あるいはキャラクターを活用した地域振興が注目されております。
 今、若者の間でアニメの聖地巡礼がブームになっております。アニメの主人公あるいは活躍の場所、制作のベースになったロケ地などが聖地とみなされ、多くの若者が訪れる社会現象となっております。
 これは、今まで観光地になり得る可能性の少なかった地域や史跡が、アニメに取り上げられることで一躍脚光を浴びることになった現象も起こってきております。
 アニメというコンテンツに対し、人々がさまざまな思いを持ち、みずからストーリーをつくりながら聖地をめぐる旅、従来の代表的なツーリズムのあり方とは大きく異なる特徴を持っております。コンテンツツーリズムと呼ばれているそうであります。別名「もえ旅」とかも言うそうでございますが。
 全国の地方自治体では、聖地巡礼をまちおこしの起爆剤と捉え、さまざまな取り組みを始めております。何例か挙げますと、例えば京都府では、映画、漫画、アニメに取り上げられた地域のまちおこしを後押しする助成金事業を始めております。別にうちにつくってくださいと言うとる意味ではありません。やっているということです。岐阜県の株式会社十六銀行経営相談室では、アニメ「氷菓」に関する聖地巡礼による岐阜県への経済波及効果、これは岐阜県とともに岐阜県の基本データで測定したらしいんですが、その結果、総合効果21億円と平成24年7月31日に発表をしております。
 聖地の掘り起こしや、漫画、ゲーム、アニメを和歌山に活用していただくなど、コンテンツの活用による新たな誘客策、漫画、ゲーム、アニメ聖地巡礼について、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 漫画、ゲーム、アニメの聖地巡礼でございますが、本県におきましても、例えば美浜町などが舞台の一部となったアニメ「AIR」がテレビ番組化されることにより聖地巡礼の場として多くの若者が訪れているという実績や、本県出身の助野嘉昭氏の漫画作品がアニメ化された「貧乏神が!」で、和歌山市の景色が舞台の一部となってございます。
 ゲームやコミックを経てアニメになったものが多く、地域のふとした町並みがシーンとなって何度も登場し、モデルとなった地にぜひ行ってみたいという気持ちが聖地となり、ブームとなってきています。
 本県では、このほかにもアニメの舞台になった場所がないか情報を取りまとめ、県観光情報サイトにおいて情報発信を行うとともに、本県出身の漫画家等に和歌山県の風景等を作品に取り上げていただくよう働きかけ、聖地巡礼ツアーに発展するよう努めてまいります。また、アニメ系のイメージキャラクターを新たに制作し、各プロモーションで活用してまいります。
○議長(山田正彦君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 積極的な答弁、ありがとうございました。
 ただ、フィルムコミッションで映画のロケ地を引っ張ってきたりということもやられてると思うんですが、これの最大の違いは、フィルムコミッションでしたら、割と来たときのお世話であるとか、コスト的なもんもある程度面倒見らんなんというとこがあるんですが、これの場合は、ほとんど漫画家の皆さんに見てくださいと言うても、そのデータをとりに来るだけですので、その人のお世話をしたとしても余りコストがかからなくてできるんではないかなと思いますので、また積極的に取り上げていただいたらなと思います。
 行く行くはコンテンツ産業、和歌山の環境のええとこに来てもうたらええなという、私はその夢も持って第一歩の質問ということで、よろしくお願いいたします。
 以上で、一般質問を終わります。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 まず、冒頭に、この場をおかりして一言お礼を述べさせていただきたいと思います。
 平成25年5月15日、新宮市に夢のような一報が駆けめぐりました。それは、一般国道42号新宮紀宝道路の新規事業化が決定したとの国土交通省からの発表でした。
 新宮市あけぼのから三重県の紀宝町までの2.4キロメートル、事業費約210億円、つまり地域が念願しておりました熊野川河口大橋の建設がついに現実のものとなったわけです。これもひとえに、知事を初め県当局の皆様、本県選出国会議員を初め県議会の先輩・同僚議員の皆様、そして県民の皆様方の絶大なる御支援、御尽力のたまものと深く感謝するとともに、地域を代表する1人として心から厚く御礼を申し上げます。
 今後とも、紀伊半島一周高速道路の実現に向けて、引き続きのお力添えをよろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。
 さて、議長のお許しをいただきましたので一般質問をさせていただきたいと思いますが、質問に先立ち、去る平成25年4月24日から28日の日程において、インドネシア共和国の首都ジャカルタを自由民主党県議団の中村裕一議員、藤山将材議員、森礼子議員と私、濱口太史の4名で視察してまいりましたので、報告をさせていただきます。
 今回の視察は、東アジアの経済統合の推進を図るため、政策研究や政策提言を行う国際機関として平成20年に設立された東アジア・ASEAN経済研究センター「ERIA」の活動状況を把握することが主な目的でありました。
 あわせて、日本大使館やジェトロ・ジャカルタ事務所において、インドネシアの経済情勢や今後の動向について調査することにより、人口増加により経済市場が膨らみ、発展目覚ましいインドネシアの活力を我が県と結びつける糸口を探り、どのような経済浮揚策や観光客の取り込み策を講じたらよいのかを見出そうというものでありました。
 ERIAの訪問に際しては、設立の立役者であります、当時、経済産業大臣を務めていた二階俊博衆議院議員を初めとする国会議員団に同行させていただきました。そのほかにも、ブディオノ副大統領への表敬訪問やERIA主催レセプションに参加、シャープ・エレクトロニクス・インドネシア工場を訪ねるなど、大変有意義な視察となりました。
 平成18年4月、当時の二階経済産業大臣が、グローバル戦略、経済成長戦略の一環として東アジア版OECD(経済協力開発機構)の構想を提唱し、その第一歩として政策研究機関の設立が提案されました。その背景には、ASEANと東アジア地域全体のGDPが約15兆ドルと、世界GDPの4分の1を占める高い経済成長を実現した一方で、地域内格差、地域連結性、気候変動、環境問題、食料やエネルギー安全保障を含め、対処すべきさまざまな課題が山積しているところにありました。
 そのような課題に対して、アジア全体の地域政策を調整する役割を担うべく、中核となる国際機関が必要であるとの認識のもと、同年8月に行われた日本とASEAN諸国の経済大臣の会合にて、二階経済産業大臣がERIA構想を提唱、それに対し、東アジア地域の全ての首脳からの賛同を得ることになりました。そして、翌平成19年11月、シンガポールで開催された第3回東アジアサミットにおいて、正式設立の合意に至ったという経緯があります。参加国は、ASEANに加盟している10カ国と中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本を含めた6カ国の合わせて16カ国であります。
 さて、ERIAの主な活動はというと、大きく3つが挙げられます。
 1つ目は、政策研究活動であります。経済統合の深化、経済格差の是正、持続的経済発展を主要な3つの柱と位置づけて研究活動を実施しています。その研究分野は、貿易・投資促進、グローバル化、中小企業振興、人材育成、インフラ開発、エネルギーや環境の問題等、実に広い分野に及んでいます。
 2つ目は、政策普及活動であります。地域の共同体意識の醸成、地域内の産学官の幅広い関係者との意見交換の促進、ERIAの研究成果普及を目的としたセミナーやシンポジウムを開催しています。政策研究能力を強化し、地域開発のための知的基盤を確保するために、能力強化や向上のためのプログラムも実施しています。
 3つ目は、政策提言活動であります。東アジアサミット、ASEANサミット及び関連閣僚会合からの要請を受け、地域の経済成長を刺激し、東アジアにおけるパートナーシップを強化するため、政策研究の成果を踏まえた政策提言を行っています。
 二階代議士を初め一行がERIAを訪れると、各国の研究者や職員らの熱烈な歓迎を受けました。その後、西村英俊事務総長の案内により、フロアに並ぶ各国の事務所を回りました。
 それから、一堂に会し、各国の研究者による研究内容と結果、また、どのような場面で提言が取り上げられ、生かされているかなど、詳細や成果について説明報告を受けました。それを受け、日本側を代表して二階代議士から関係者に対し、設立からこれまでの労への感謝と今後の活躍を期待する言葉が述べられました。ブディオノ副大統領との面会の際に、ERIAの活動に対するインドネシアからのさらなる支援の確約があったとの報告がなされ、会場は盛り上がりを見せました。
 本県も、他府県におくれることのなきよう、経済動向を正確に、かついち早く捉えるためにERIAとのかかわりを築き、高く広くアンテナを広げることにより、今後も若年層の増加でさらに巨大なマーケットとしての期待が見込まれるインドネシアを初め東南アジア諸国に対する経済的戦略を講じることが重要だと考え、その取り組みに期待するところであります。
 以上、ERIAの視察報告を終わり、質問に入らせていただきます。
 今議会の一般質問、東南アジアを初め海外戦略を取り上げている質問が多く、重複する部分もあろうかと思いますが、御容赦いただき、おつき合いをよろしくお願い申し上げます。
 それでは、インドネシアに対する本県の経済浮揚策について質問をさせていただきます。
 1つ目、東南アジアにおける県産フルーツの輸出支援についてであります。
 インドネシア日本大使館とジェトロ・ジャカルタ事務所を訪ね、視察国であるインドネシアと首都ジャカルタの概況や経済的な動向について伺いました。
 インドネシアは、東南アジアの南部に位置する約1万8000の島々から成る共和国、国土の総面積は約189万平方キロメートルで日本の約5倍、年中、昼間の温度が30度前後、また、洪水に悩まされるほど雨が多い高温多湿な気候であります。
 総人口は約2億4000万人、中国、インド、アメリカに次いで世界第4位であります。1つの国の人口構成で、子供と老人が少なく、15才から64歳までの生産年齢人口が多い状態を人口ボーナスと言いますが、今後、まだ10年以上、この状況が続き、人口は増加すると推測され、豊富な労働力と消費の需要拡大で高度の経済成長が見込まれます。
 その一方で、生産年齢層が約7割近くを占め、毎年250万人以上の新規労働者の雇用機会を創出しなければならないことや、エネルギーの輸出も恒久的には続かないため、将来的に国の収益減少が懸念されるなどの課題もあります。
 また、税制、通関、労働に関しての場当たり的なルール変更が突然行われることがあり、企業にとっては不透明性、予見可能性が低いため、対応困難な状況に見舞われ、戦略や経済活動に混乱を来すことがあるとのことです。ただし、政府への抗議が行われると改善されるケースも多いようです。
 次に、首都ジャカルタについて述べますと、全国土面積の約7%にすぎないジャワ島に総人口の約6割が集中しており、ジャカルタには960万人が住んでいます。その上、賃金の上昇などにより富裕・中間層が増加、それに伴って自家用車の保有台数がここ2~3年の間に急激に伸びたとのことです。そのため、主要道路は多くの自動車やバイクで早朝から深夜まで慢性的な大渋滞に陥っており、わずかな移動距離にもかかわらず、かなりの時間の無駄を費やす状況となっております。
 実際に我々も、移動のたびに大渋滞にはまりました。目的地が進行方向の右側に位置している際に、右折できる交差点がほとんどないため、何百メートルも先にあるロータリーまで行ってUターンをしなければなりません。そのような道路事情が非効率な交通状況を招いていると考えられます。
 ちなみに、走行している車両の9割以上が日本車で、日本国内より率が高いそうです。その要因は、やはり丈夫で故障が少ない点にあるとのこと。バイクは、中国製が流行した時期もあったようですが、故障が多く、日本製に回帰したとのことです。そのほか、交通機関は、専用車線を走行する連結されたバスが目を引き、また、地下鉄が日本の援助のもと導入される予定であるとのことです。
 インドネシア人の人間性は、優しい、真面目、倫理性が高い、そして親日的とのことです。
 このように、成長著しく、巨大マーケット市場となったインドネシアに対し、他の東南アジア諸国と同様、経済活動のターゲット国の1つとして捉えていくべきだと考えますが、和歌山県の何をどのように売り込むかというポイントを定めることが重要だと思います。
 まず1つ目は、フルーツについて考えてみます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。これまでに、県産フルーツを東南アジア諸国へ売り込むために、調査研究や販路開拓を目的とした事業に取り組んでこられたと思いますが、県産フルーツの輸出支援事業の具体的な事業内容や効果など、概略を御説明ください。
○副議長(花田健吉君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 近年発展が著しい東南アジア諸国は、和歌山県産フルーツの輸出先としても重要な地域であると認識しており、台湾、香港、シンガポール等の百貨店での和歌山フェア、量販店での販促活動、見本市への出展、バイヤーの招聘など、販路開拓活動に取り組んでまいりました。また、本年度は、新たにタイ王国でトップセールスを実施し、県産フルーツの販路拡大を図ったところでございます。
 こうした取り組みにより、桃、柿、ミカンなど県産果実の輸出額は、平成24年度で約1億2000万円となっておりますが、今後は販売量の拡大を目指して、現地量販店での店頭販促などを重点的に行ってまいりたいと考えております。
 議員お話しのように、東南アジア地域は県産フルーツの輸出戦略の重要な地域ですので、今後も県内生産者の取り組みを積極的に支援してまいります。
○副議長(花田健吉君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいまの答弁を踏まえて、インドネシアへの県産フルーツの市場拡大についてお伺いしたいと思います。
 我が和歌山県は、フルーツ王国とも呼ばれ、多種にわたるフルーツの産地であります。滞在中に食したインドネシアのフルーツは、新鮮なものは多かったのですが、余り甘みを感じませんでした。もちろん、味覚に違いはあるのかもしれませんが、甘みの多い和歌山県産のフルーツなら、恐らくインドネシアでも受け入れられ、需要が見込めるのではないかと思います。
 ちなみに、ショッピングモールの食品売り場では、米国産のイチゴが1パック約3000円で売られていました。高価な米国産イチゴでも結構売れているという現状からすれば、和歌山県産フルーツなら、コスト面で少々高価になったとしても十分販路が開けるのではないでしょうか。
 ただ、道路整備の遅延、車両の急増等により深刻化する交通渋滞がスムーズな物流を妨げる構造的な課題ではありますが、人口ボーナス、経済的な発展を考慮すれば、インドネシアの市場マーケットはやはり魅力的と言えます。
 そこで、知事にお尋ねをします。
 先ほどの農林水産部長の答弁では、シンガポール、台湾、香港などを中心に農水産物の輸出促進を支援してきたとのことでしたが、これから大きな市場マーケットとして見込まれるインドネシアに対しては、どのような印象をお持ちでしょうか。あわせて、インドネシアへの県産フルーツの市場拡大について、知事の考えをお聞かせください。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) インドネシアは、近年、御指摘のように成長が著しく、また親日的な国であるわけでございますので、そういう点でも有望だと思います。
 約2億4000万人の人口を抱えておりまして、経済発展に伴いまして、当然のことながら富裕層の増加も見込まれるなど、県産フルーツや加工食品の有望な市場として重要であると認識しております。その割には、これまでの取り組みは他国と比べて出おくれていたことは、正直に申し上げないといけないと思います。
 そこで、今後、インドネシア国内での果実の需給状況や消費者の嗜好等について情報収集を行って、これに基づいて積極的に売り込みを図ってまいりたい、そういうふうに思っております。
○副議長(花田健吉君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 続きまして、観光地としての本県の売り込みについて考えてみます。
 JTBジャカルタ営業所で話を伺ったところ、インドネシア人の中流・富裕層と分類される総人口40%、9600万人のうち上位20%、約2000万人が海外旅行への願望を持っていると言われ、その中でも日本に対する憧れは強いとのことです。
 実際に訪日観光客数は、平成24年には10万人を超えています。四季折々に表情を変える日本の海や山などの自然の風景、文化的に認知度が高い場所、価値観の高い有名な場所などで記念撮影をすることが最近のステータスだそうであります。その背景には、学校などで学ぶ日本文化に関心が高いこともありますが、フェイスブックなどへの投稿が目的であるとも心理分析されていました。
 本県には、撮影スポットとなる風光明媚な自然、世界遺産登録された神社仏閣や歴史、文化にあふれた名所が多い点をPRすべきと考えます。
 また、インドネシアの方に限ったことではありませんが、海外の人々が日本を訪れる先は、定番とも言える東京、京都、大阪などの都市部を回るゴールデンルートのほかに、北海道、箱根などの保養目的の観光地も上位にランクされています。癒やしを求め、温泉や日本料理も人気が高いとのことであります。
 しかし、イスラム教を初め宗教上の制約もあり、女性は肌を見せられないため公衆浴場には入りたがらない、食事も豚肉を食べてはいけないなど、タブーとされていることがいろいろとあります。
 そういった制約に対応するため、県内でも既に行われている貸し切り風呂の導入、豚肉を使わないメニューや食器などへの配慮、お祈りをサポートするなど、おもてなし精神を発揮し徹底した対応を行えば快適な観光地として好感度が上がり、注目も集まり、有力な訪問先の選択肢となり得るのではないかと考えます。
 さらに、本県の強みは、関西空港が近いことであります。現在は、日本国内の空港からデンパサール行きが運航されていますが、本年10月からジャカルタと関西空港を結ぶ直行便を週4便就航させるとの計画が発表されました。運航するガルーダ・インドネシア航空のエミルシャ・サタル社長は、日本からインドネシアへ来る人は多いが、逆にインドネシアから日本へ行く人は少ないので、富裕層を中心に訪日観光客を送り込みたいと述べています。
 また、インドネシアではサイクリングが人気のようで、富裕層が多いことに加え、集団で移動することも多いことから、サイクリングツアーによって渡航者数の増加を目指すこともできます。既に山梨県では、富士山を眺めるサイクリングコースを設定し、社長みずからもサイクリングを楽しんだとのことです。幸い、鹿取克章インドネシア大使からは、和歌山県でも実施してくれるならぜひともその企画をあっせんしたいとのお申し出もいただきましたので、私たちも応援したいと思います。
 そこで、知事にお尋ねします。
 今後、ジャカルタから関西空港への直行便就航は、さらに増加が期待されるインドネシア人観光客を本県にも取り込む大きなチャンスであり、和歌山県への観光ルートを定着させる第一歩と考えます。その目的を達成するためには、全国多数の有力観光地に引けをとらないよう、自然や文化的な魅力をアピールすることはもとより、おもてなしや対応は和歌山県が最高に行き届いているというよいイメージを認識していただくため、何らかの対応策、何らかの取り込み策、あるいはPRやセールス活動を講じる価値があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 昨年のインドネシアからの訪日客数は10万1600人と過去最高を記録いたしまして、また、ことし1月から5月までの実績は前年のさらに1.5倍になるなど、インドネシアは、東南アジア市場においてタイと並んで訪日旅行が急増している市場の1つとなっております。経済成長を背景に、今後とも成長が見込まれると思います。何よりも人口が多うございますので。
 県では、東南アジア市場を新しい市場として2年前からプロモーションを積極的に実施したところ、タイ、シンガポールのほか、イスラム圏のマレーシアで実績を上げ始めております。また、昨年、観光関係者を対象にイスラム圏の方へのおもてなしに必要なハラルやお祈りへの対応についての説明会を開催したところ、一部の宿泊施設がそういうものに対応するということで、イスラム圏観光客の受け入れ環境整備に取り組んでいるところであります。
 観光誘致の面でも、実はインドネシアへの取り組みは現在では行っておりませんで、他国へのアプローチと比べて出おくれております。しかし、御指摘のような状況でございますので、インドネシアについても積極的にやりたいと思っておりまして、そのためには、まず現地旅行会社へのセールスから実施していく必要があると思っております。それから、ハラルなどへの対応、あるいはサイクリングなどのプロジェクト、ニーズがいろいろあると思いますが、そういうものへの対応について今後とも観光業者に対して働きかけをして、受け入れ側も準備をしていきたい、そんなふうに思います。
○副議長(花田健吉君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 日本大使館やジェトロなどの機関を通じて本県のPRに力を注いでいただきたいと思いますし、今後ともインドネシアに向けた戦略に取り組んでいただきたいと思いますんで、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、大きな項目3番目、新宮港港湾の整備拡充についての質問に移らしていただきたいと思います。
 1つ目、港内の静穏度対策についてであります。
 太平洋、熊野灘を臨む新宮港は、昭和54年の供用開始以来、原木、製紙用チップの輸入、同じく製紙用チップ、砂、砂利、石材、セメントなどの移出・移入を行う地域の物流拠点港湾として発展してきました。
 平成12年、国の特定地域振興重要港湾の指定を受け、また税関が設置されている港として、紀伊半島南部において唯一の外国貿易港であります。第2期工事を経て、平成18年11月から3万トン級の大型船の接岸が可能になり、大型クルーズ客船やチップ運搬船などの入港が年々増加しています。
 平成19年には、世界一の掘削能力を備えた地球深部探査船「ちきゅう」が、新宮市沖で巨大地震発生メカニズムの解明やメタンハイドレートの調査などを実施する際に、燃料や食料及び掘削機材等を「ちきゅう」に搬送、補給するための支援拠点港湾としてその役割を果たしたことは記憶に新しいところです。
 このように、活躍分野の範囲が広がる中、平成16年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録を契機に、熊野を目指す観光客を乗せた大型豪華客船がたびたび訪れるようになりました。大型豪華客船が入港することにより、当地域の観光面においても大きな経済効果をもたらし、今後もさらに期待されるところです。
 さて、船舶の安全な入出港や係留を確保するために、港内の静穏度を向上させるために必要なのが防波堤の整備です。
 現在、防波堤については、第1期工事によってできた三輪崎岸壁の沖には、250メートルの基部防波堤と760メートルの北防波堤があります。そして、第2期工事によってできた佐野岸壁の沖には、平成22年度に完成した300メートルの第1外防波堤と、平成27年度完成予定の150メートルの第2外防波堤を合わせて約120億円の予算で現在建設中と、静穏度対策に多大な御努力をいただいているところであります。
 しかしながら、熊野灘特有の大きなうねりが着岸の妨げになることがたびたびあります。実際、特に大型の客船である飛鳥Ⅱは、平成18年11月の初入港以来、昨年10月までに15回寄港しましたが、予定どおり入港できたのはそのうち8回、つまり7回は入港できなかったという残念な結果に終わっています。すなわち、1隻当たり700名から800名の乗船客が熊野三山を初めとする観光地を訪れることなく引き返していくことになります。また、約400名の乗務員に下船して当地域で食事や休憩時間を過ごしてもらうこともできません。
 ちなみに、飛鳥Ⅱが1回入港を取りやめるとなると、チャーターされていた観光バス約15台やタクシー約50台がキャンセル、乗客や乗務員の食事や土産の購買、娯楽費、さらには岸壁使用料なども地域に落ちず、その損失の推計総額は約1500万円と算出されています。経済的メリットをみすみす逃し、まさに肩透かしの状況です。
 そればかりではなく、熊野をわざわざ訪れてくれた観光客に失望感を与え、一度に大勢の観光客を迎え入れることができる大型客船ツアーがこのままでは敬遠され、寄港の機会すら減ってしまうのではないかと懸念しています。
 また、大型チップ船でも同様のケースが発生し、うねりがおさまるまで沖合での停泊を余儀なくされ、運航行程に影響が出るとのことであります。
 港内の静穏度を向上させ、大型船舶の入港確率を高めるため、県としては、今後、どのような対策を考えていただいているのでしょうか。県土整備部長に答弁を求めます。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 新宮港は、紀南地方の地域振興にとって重要な港であると考えております。現在、船舶の安全な入出港や係留を確保するために、港内静穏度を向上させる防波堤の整備を実施中であり、平成27年度の完成を目標に取り組んでおります。
 防波堤が完成すれば所定の港内静穏度は確保されると考えていますが、その効果をよく確認するために、昨年度から港内と港外に波高計を設置して波浪の観測を始めております。
○副議長(花田健吉君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 第2外防波堤が平成27年度に完成すれば港内静穏度は確保される、そしてその効果を確認するため観測を既に始めているとの答弁でありました。そのとおりの効果が得られることに私も大きな期待を寄せていますが、実はこの防波堤のことに関しまして、地元の港湾関係者や漁業関係者、建設工事業者などの方々の意見が私のところへも多く寄せられています。
 海を現場とする多くの関係者の皆さんが口をそろえておっしゃるのは、現在備えられている4つの防波堤はいずれも南側からの波浪を抑えるためのものである、東側、つまり三輪崎漁港側からもうねりが侵入しており、それを抑える対策が効果的ではないかとの見解です。
 そのような多くの声を受け、先般、新宮市が国や県に対して行った平成26年度予算編成に向けた要望の中にも、東側防波堤の新設を要望する内容が含まれています。
 第2外防波堤整備に全力を挙げていただいているさなか、また波高計を用いて波浪の状況や向きなどの観測が実施されている段階で、結果が出てからでないと何とも言えないとは思いますが、それによって得た観測データを十分分析した上で、万一、東側にも静穏度対策が必要という結論に達したときには新たな防波堤の整備なども御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。これは要望であります。
 続いて、次の問題に移ります。
 巨大地震で予想される液状化への対策についてであります。
 おととしの台風12号大水害で、各所のライフラインや道路が寸断されました。医療センターで行う手術や透析に必要な水が不足した際も海上ルートから大量の水を受け入れたり、大量の瓦れきを運び出すときも大型船で一気に搬出するなど、新宮港が果たした役割は大変大きなものがありました。
 今後、巨大地震が発生した際にも、救援物資や支援者の受け入れなどに期待するところであります。また、政府が検討中で、現段階では課題が多いとの見方もあります病院船も、導入が実現すれば、当然、その入港先となります。
 しかし、地震の影響で岸壁が破壊され、いざというときに着岸できる岸壁が失われているという心配はないのでしょうか。また、埋め立てで整備された港であるため、液状化の懸念もあるのですが、どのような対策が講じられているのかを県土整備部長にお尋ねします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 新宮港は、災害時の救援や救援物資の緊急海上輸送などを支える港湾防災ネットワークの拠点港として、地震時にも壊れにくい延長130メートルに及ぶ耐震強化岸壁を整備しております。さらに、耐震強化岸壁では、基礎地盤や背面土砂を良質土砂に置きかえることにより、背後の埠頭用地を含めて液状化対策を実施しております。
○副議長(花田健吉君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 最後に、災害時の救援活動拠点として活用するための整備についてお尋ねします。
 耐震強化岸壁を整備していただいていることは、大変心強く感じます。これで、災害発生後、海上ルートから多くの救援物資の受け入れが可能となるでしょう。
 ところで、受け入れた救援物資などを一時的に保管しておく場所が必要になると推測されます。広い敷地が少ない地域であるため、復旧支援のために訪れた自衛隊の隊員らのベースキャンプなどに活用されることも考えられます。
 新宮港の背後の保管施設用地部分は、いずれ企業が購入し、倉庫などの施設を建設することになると思われますが、とすると、そのためのエリアは確保されていますか。県土整備部長にお尋ねします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 新宮港では、計画段階から周辺地域の人口を考慮し、救援物資を保管できる防災緑地の整備を進めており、平成25年度末に完成する予定です。救援物資などは、ここに一時保管することができると考えております。
○副議長(花田健吉君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 新宮港を災害時にも有効な救援活動拠点として、今後とも地域、市町村や港湾管理者、また当局の防災関連部局とも連携を密にしながら、より効果的な活用方法を見出し、可能な限りの対応をいただくよう要望を申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しをいただきましたので、4点について一般質問させていただきます。
 1点目は、生活保護行政について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 現在、国においては、年収200万円以下のワーキングプアが6年連続で1000万人を超えていると言われています。こういった中で、貧困問題が深刻化し、生活保護制度の利用者がふえています。また、ぎりぎりの生活をしている高齢者が多く、医療費や介護保険料・利用料の負担が大変です。この10月から、3年がかりで年金が2.5%引き下げられます。もともと少ない年金にさらなる引き下げで、生活を維持していくには限界に達しています。
 一方、青年を初め働いている人も、非正規や派遣労働という不安定な雇用状況と、リーマンショック以降の大企業によるリストラ合理化、収入減で大変苦しんでいます。
 まず、県下の生活保護の状況についてお伺いいたします。
 県においても、生活保護の受給者がふえていると思われますが、その状況と増加の原因をどのように考えていらっしゃるのか、まず最初にお聞かせください。
○副議長(花田健吉君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 生活保護受給者の状況ですが、平成25年4月現在で保護世帯は1万1797世帯、保護人員は1万4896人であり、平成20年4月と比較して2510世帯、2789人が増加しております。
 この主な要因は、低所得の高齢者世帯の預金や手持ち金の減少によるもの、厳しい社会経済情勢の中、稼働能力のある世帯の失業等による収入の減少によるものと考えております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、御答弁、ありがとうございました。
 この5年間で保護世帯は約21%、保護人員は約19%ふえているということだと思います。保護世帯がふえている要因も、低所得の高齢者世帯が多いことや失業によるものと受けとめさせていただきました。
 次に、こういった中で非常に心配なことは、命が損なわれるようなことが起こることです。
 先月、大阪市で母子餓死事件が起こりました。死亡時には預金残高は数十円で、電気・ガス代も滞納になっていて供給停止されていたということです。3歳の息子さんに「最後にもっとおいしいものを食べさせられなくてごめんね」とメモが残されていたと報道されています。とても悲しい出来事です。残念でなりません。
 絶対あってはいけないことですが、このようなことが和歌山でも起こらないとは言い切れません。
 そこで、お尋ねいたしたいと思います。県として、こういった餓死事件など起こらないようにするため、どのような取り組みをされていますか、お聞かせください。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 餓死などの痛ましい事件が起こらないような取り組みですが、生活保護制度の周知徹底を図ることが大切であると認識しており、県のホームページで周知するとともに、実施機関において、生活保護の相談窓口に来所された方には「保護のしおり」できめ細かい説明を行ってるところです。
 また、保護申請の意思が確認できた方に対しては速やかに保護申請書を交付し、申請手続について助言を行うとともに、必要書類が整っていないことをもって拒否することのないよう実施機関を指導しているところです。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の答弁をいただいて、保護制度の周知徹底や来所された方へのきめ細かい説明をしているということですが、住所がないことや働けるからという理由で受け付けてもらえなかった方がいらっしゃいます。
 生活保護制度は最後のセーフティーネット、これは申すまでもなくそういった制度です。命にかかわることにつながるのですから、きめ細かい丁寧な対応が求められるのは当然ではないでしょうか。県としての指導をぜひよろしくお願い申し上げます。
 また、ホームページでの周知と言われましたが、そのホームページを見たときに私は驚きました。県は、「困ったときはまず相談をしてほしい」とよくおっしゃってくださいます。そのホームページの生活保護制度についてという広報は、そのような内容でなく、生活保護を受ける前の前提条件が目立つ内容になっています。ぜひ改善をしていただきたいと思います。要望をさせていただきます。
 それでは次に、昨年度の相談件数、申請・開始決定の件数を教えてください。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 平成24年度の県内の相談件数は3470件、申請件数は2069件、保護開始件数は1710件となっております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の答弁をいただき、申請まで至らなかった件数は1401件、申請したが保護決定に至らなかった件数は359件ということだと思います。この中には、生活保護水準ぎりぎりの方が多いと思います。この方々のフォローも大事なことではないでしょうか。また、医療にかかりやすくするためにも、無料・低額診療などの拡充も求めていきたいと思います。
 次に、申請に関する状況についてお尋ねします。
 私の知るところでは、保護基準以下で生活されている方がたくさんいらっしゃいます。申請しにくい状況はないでしょうか。先ほども申し上げましたが、県のホームページを見るとそのように感じますが、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 生活保護の制度につきましては県のホームページに掲載しておりますが、今後とも、よりわかりやすく丁寧な内容となるよう創意工夫していきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、申請から決定までかかっている期間についてお伺いいたします。
 福祉事務所は、申請を受けてから14日以内に申請者に対して要否を通知しなければならない──生活保護法第24条──となっています。調査に日時を要するなど特別な場合は、30日まで延長できることになっています。現状はいかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 申請から決定までの期間は、特別な事情のある場合は30日まで延長することが認められておりますが、今後とも原則である14日以内に保護決定を行うよう、実施機関に対し指導してまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 14日以内に保護決定できるように指導するということですが、ぜひそのようによろしくお願いします。手持ちのお金が底をついたような場合、14日も待てません。ましてや、1カ月後に決められるというのでは、当面の生活ができません。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、不正受給問題についてお聞きしておきたいと思います。
 まず、県の不正受給の件数はどれぐらいでしょうか。また、どのような内容のものでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 平成24年度の不正受給は191件で、内訳は、市部156件、郡部35件となっています。また、主な不正内容は、稼働収入や各種年金の無申告によるものです。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 故意に収入や預貯金などを隠し、収入を少なく申告する不正受給は許されませんが、その今おっしゃってくださった数については、決して多くはないと思います。
 お笑いタレントの方のお母さんが生活保護を利用していた問題をきっかけに、一部のマスコミが不正受給キャンペーンを行い、一気に生活保護バッシングが起こりました。この問題の例は扶養に関することであって、不正受給とは違う問題です。この方のような特別な高額所得者の扶養のあり方の話をクローズアップし、生活保護利用者が問題であるかのようなバッシングは異常であると思います。
 生活保護が権利であることを否定し、新規申請を抑え、保護の打ち切りを進める保護バッシングはやめるべきです。一部の悪質な不正受給を口実に扶養強要などの締めつけを強めれば、餓死や孤立死につながりかねないということを申し上げておきたいと思います。
 続いて、質問させていただきます。
 保護基準の引き下げについて質問させていただきます。
 2月定例会で高田議員のほうからも質問されたことですが、この8月から保護基準が引き下げられます。アベノミクスによる円安誘導で、生活に必要なさまざまなものの値段が上がっています。全ての生活保護受給世帯について生活の実態を把握する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 受給者への影響ですが、今回の生活保護基準額の引き下げは、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に保たれているのかどうかの観点で行われたため、受給者への影響は少ないものと考えますが、本年8月からの実施に伴い、今後、全ての生活保護受給世帯において基準の引き下げによる影響を把握するよう、各実施機関を指導してまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁いただき、全ての生活保護世帯において引き下げの影響を把握するよう指導するということですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、今後の県の生活保護行政の取り組みについてどのようにお考えか、お聞きをいたします。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 生活保護制度は最後のセーフティーネットであり、支援を必要とする方には最低限度の生活を保障する重要な制度であると認識しております。県といたしましては、必要な支援が決して漏れることのないよう、引き続き実施機関を指導してまいります。
 また、保護世帯の自立を助長するため、各振興局に就労支援員の配置を行い、ハローワークとの連携による就労支援を実施しているところですが、今年度は、さらに社会福祉法人の協力を得て生活保護受給者の方にボランティア活動の場を提供することで、社会とのつながりや就労意欲の向上を目指した事業を実施してまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ありがとうございます。
 最後に、必要な支援が決して漏れることのないよう実施機関に指導すると心強い答弁をいただきました。どうか、生活保護基準以下の生活をされている方への丁寧な対応も、あわせてよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、きめ細かい生活保護行政を進める上で、職員の体制も大切です。ケースワーカーの配置が不足している実施機関もあると聞いています。体制の改善を求めるものです。また、生活保護制度の普及に努めていただきますようお願いして、生活保護行政についての質問を終わらせていただきます。
 次、項目2番目の質問に移らせていただきます。風疹の予防対策について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 風疹が大流行しています。6月9日、全国では1万102人、和歌山県は6月20日時点で181人が風疹に罹患していると聞いています。いち早く県として風しんワクチン接種緊急助成事業に取り組まれたこと、大変評価するものです。さらに、妊婦への感染防止の効果を上げるためにも、同居家族も助成の対象とすべきだと思います。
 国立感染症研究所から、2004年8月に、風疹流行及び先天性風疹症候群の発生抑制に関して、妊婦の夫及びその他の同居家族への予防接種の勧奨が提案されています。妊娠初期の危険な時期は外出を控えるなど、妊婦自身が気をつけることが大事ですが、同居家族については、なかなかそうはいかないと思います。
 同居家族が助成の対象になっていないのはどうしてでしょうか。お答えください。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 風しんワクチン接種緊急助成事業につきましては、子育て支援の観点から、妊婦が風疹に罹患し、子供が障害を持って生まれるリスクをゼロに近づけることを主な目的としております。各市町村にも県と同額程度の上乗せ助成を依頼したところ、全市町村で個人負担なしに接種することができる見込みとなっており、全国で最も手厚い助成となっております。
 助成対象は、子育て支援対策として、妊娠を希望する女性と、妊婦は接種できないため最も濃厚接触すると考えられる夫を対象といたしました。
 なお、定期予防接種の機会がなかった世代を含む年齢層への対応については、国の責任において定期予防接種の対策を実施するよう国に対し提案しております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ワクチン事業は、国の責任においてするものです。風疹の大流行を抑えるためには、各自治体任せではなく、国全体で感染を食いとめる必要があります。国の姿勢が問われるのではないでしょうか。さらに強く国への働きかけをしていただき、また県民の皆さんの声を聞いていただき、同居する家族も対象となるようによろしくお願いいたします。
 次に、項目3に移らせていただきます。介護サービスの地域格差について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 サービス事業所の現状と問題点について。
 介護保険法が制定され、15年余りが過ぎました。改めて、この法律の「目的」第1条と「国及び地方公共団体の責務」介護保険法の第5条に沿って考えてみると、県下の各地域においてサービスの格差が生じていることは大変問題です。
 保険料の負担は同様にありながら住むところによってサービスを受けられない不公平な状態になっていますが、現状をどのように捉えているでしょうか。お答えください。
 2つ目ですが、介護保険法の「目的」第1条と「国及び地方公共団体の責務」5条から見て、地域格差の解消に向けて県の役割をどのようにお考えでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護サービスの地域格差について、一括してお答えいたします。
 サービスの種類によって状況は異なりますが、全般的に都市部にサービスが集中し、山間地域には少ないという地域間の格差があります。具体的には、訪問介護及び通所介護サービス事業所は県内の全ての市町村にありますが、訪問看護、訪問リハビリ等については事業所がない町村もあります。
 介護報酬においては、サービス確保の観点から、いわゆる中山間地域等にある小規模事業所が介護サービスを提供する場合等には加算措置が設けられております。また、人員基準等の要件の一部を満たしていない事業所であっても、市町村の判断により保険給付の対象になる制度もあります。
 県といたしましては、これらの制度の周知に努めることはもとより、高齢者の方が必要な介護サービスを受けられるよう、市町村と連携して、地域密着型サービスとの併設や新たな参入等について、民間の介護サービス事業所や市町村社会福祉協議会などに働きかけてまいります。また、国に対しても、高齢者の方ができるだけ住みなれた地域で生活を続けていけるよう、地域包括ケアの推進等に必要な支援を要望してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 民間の介護サービス事業所や市町村社会福祉協議会に働きかけてくださるということですが、民間は採算の合わない地域には入ってきません。社会福祉協議会自身も採算が合っていないなど、大変な状況をお聞きいたしております。こういった中で、ぜひ全県下の介護サービスの事業所の状況を把握していただきたいと思います。また、国や県の責任で公的な機関がサービスをするなど、ぜひ考えていただきたいと思います。
 次に、項目4に移らせていただきます。津波対策について、危機管理監にお尋ねいたします。
 私のところに1通のはがきが届きました。内容は、津波が来ると高い建物が1つもなく困っているというものです。現在、避難場所の確保の現状と取り組みはどのようになっていますか。また、南海トラフの津波想定が発表されましたが、不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。不安の中身についてもさまざまですが、一人一人が適切に逃げるという行為ができるかどうかが最も重要であると考えます。県民への不安の解消に、どのような取り組みが県として大事だとお考えでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 避難場所の確保の現状と取り組みについてお答えします。
 津波から命を守るためには、とにかく逃げることが第一であり、そのための避難場所の確保は、津波対策としては最も重要であると考えております。
 避難場所や避難路の整備については、和歌山防災力パワーアップ補助金で市町村に財政支援を実施し、今年度3億円の予算となっており、避難ビルの支援についても積極的に行うよう助言をしているところです。
 また、避難場所については、県が安全レベルの考え方を示し、市町が個々の津波安全レベルを確認し指定をしております。これらをスマートフォンのアプリ等で、住民や観光客など、多くの方々に避難場所が容易に確認できるようにいたしております。
 次に、県民の不安への対策でございます。
 内閣府から南海トラフ巨大地震の津波浸水想定が公表され、その内容がこれまでの想定を大きく上回るため、不安を感じている県民の方々も多くおられると思いますが、この地震の発生頻度は極めて低く、次に発生する地震・津波として予測されたものではありません。
 また、文部科学省の地震調査研究推進本部の南海トラフの地震活動の長期評価でも、このような最大クラスの地震については過去数千年間に発生したことを示す記録はこれまでのところ見つかっておらず、その発生頻度は、100年から200年間で繰り返し起きている地震に比べ、著しく低いと考えられるとされています。
 なお、今年度、沿岸市町においては、安全レベルを明記した津波緊急避難先のわかるハザードマップを作成し、住民の方々に配布することとなっておりますので、県民の皆様におかれましては、日ごろから避難先を確認したり避難訓練などに積極的に参加するとともに、家屋の耐震化や家具固定を行うことで過度に恐れることなく災害に備えていただきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今年度、市や町が津波ハザードマップを作成し配っていただくことにより、津波で浸水する範囲と近くの緊急避難先が一目でわかるようになるということですが、地域によっては、すぐ近くに避難場所がないこともあるかと思います。今後も、市町村が避難路の整備や津波避難ビルの指定を進めていくに当たり、県としても積極的にこれを支援していただきますよう要望いたします。
 最後に、障害があるなど援護が必要な方も安心して過ごせるためにも、地域力が必要ではないかと思います。しっかりと地域への支援をよろしくお願いいたしまして、一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月24日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時11分散会

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