平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 本日4番目でございまして、ラストでございます。お疲れでしょうけれども、いましばらくおつき合いのほどよろしくお願いいたします。
 平成25年6月定例会の一般質問に質問の機会を与えていただき、感謝申し上げます。私が質問させていただくのは一昨年の9月定例会以来でありまして、当時は直前に発生した台風12号による紀伊半島大水害への対応を中心に質問させていただきました。その後、仁坂知事を筆頭に、県当局の皆様が懸命に被災地域の復旧・復興のために取り組んでくださいましたこと、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、林業の活性化についてお尋ねをいたします。
 去る3月24日の日曜日に、田辺市内において和歌山県森林・林業活性化促進県民大会が開催されました。これは、木材需要の減少や過疎化が進行する中、基幹産業として和歌山県の経済を支えてきた林業の活性化、復権を目指し、自由民主党和歌山県連、県森林組合連合会、県木材協同組合連合会、紀州林業懇話会、4つの団体の共催によって実施したものであります。県選出国会議員、仁坂知事を初めとする県内自治体の首長や議員、そして林業に携わる方々など、およそ600名が参加していただきました。
 大会では、仁坂知事や林野庁の古久保森林整備部長にも御挨拶をいただくとともに、近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所の桜井所長からも、砂防事業における林業技術活用の有効性などの意見発表をいただきました。また、県内からも、有田川町のクスベ産業社長楠部勝巳氏の間伐材利用の意見発表もいただきました。
 大会の最後には、低コスト林業の推進、間伐等による森林の整備、公共事業への活用も含めた紀州材の需要拡大などに取り組んでいくこと、また、森林、林業とこれを支える山林地域の活性化並びに紀州林業の復権を目指して取り組みを一層推進するといった内容の大会宣言を採択いたしました。
 林業の衰退に歯どめをかけることは、環境保全や国土保全、地球温暖化対策防止の観点からも重要なことであり、本県にとって林業の活性化は、県民一丸となって取り組んでいかなければならない大きな課題であると私は思います。
 この大会に参加されました仁坂知事に、本県林業の現状に対する所感をお尋ねしたいと思います。
 次に、この林業の活性化を目指していく上で必要となる取り組みについてお尋ねします。
 大会宣言にもありましたように、本県として紀州材の需要拡大を図っていくことは何より欠かせないことであり、公共事業における活用など、県における率先した取り組みが重要と考えます。
 平成22年に公共建築物における木材等の利用促進法が成立し、本県においても、各市町村で利用基本方針が策定されるなど、その取り組みが進められているところであり、県としても、上限を20万円とする木造住宅建築に係る助成制度が実施されております。一部市町村の金額に差異はあれども、同様の助成制度が実施されております。
 木造住宅の建築を促進することは、その利用促進につながるだけでなく、地域に家を建てるということで、過疎化対策や固定資産税増収など、さまざまな点において地域に寄与するものと思います。
 そこで、本県における紀州材の需要拡大に向けた県の取り組み状況について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 それとともに、森林に対する適正な間伐を行い、森林に対する十分な手入れを行うことは、二酸化炭素吸収源としての森林、水源涵養地としての森林、あるいは国土保全機能としての森林を育むことにつながり、私たちに大きな公益性をもたらしてくれるものとなります。
 特に、二酸化炭素吸収源としての森林の整備については、昨年の12月定例会において、地球温暖化対策のための税の使途に森林吸収源対策を位置づけるよう国に求める意見書を可決するなど、県議会としても適正な森林の整備に率先して取り組んできたところであります。そのためにも、間伐材の利用促進を県として積極的に進めることが必要と考えております。それには、公共事業における間伐材の積極的な利用が不可欠であり、農林水産部と県土整備部との連携した取り組みが何より重要なものとなります。
 そこで、本県における間伐材利用促進への取り組み状況、間伐材の利用に係る県土整備部との連携の状況について、農林水産部長にお伺い、お尋ねいたします。
 そして、実際に現場において間伐材が利用されるようにしていくためには、各工事の設計段階において間伐材を使用しやすくするためのマニュアルづくりが欠かせないものと思います。現在、間伐材の有効利用という観点からは、土木工事におけるようなさまざまな利用方法の検討や提案が行われており、河川や砂防、道路工事などにおけるさまざまな活用方法が提案されていると聞いております。
 これまで、公共建築の分野において、国産材の利用促進について積極的な活用に取り組んでいただいているところではありますが、土木工事の分野についてはこれからの取り組みかと思われますが、国産材は平成32年に年間約4000万立米の供給を国は目指すとされており、公共土木工事における利用が推進されれば、300万から400万立米にもなるという予想もされているところであります。
 そこで、本県の県土整備部における間伐材利用への取り組みについて、県土整備部長にお尋ねしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 林業の活性化、特に現状を踏まえてということでございますが、本県は木の国でありますし、紀州材の産地として名をはせ、林業は地域の基幹産業でありました。しかし、木材価格は昭和55年ごろをピークに下落を続け、価格の低迷は木材生産の停滞や手入れの行き届かない森林の増加を招いております。
 一方、戦後植林された杉やヒノキの人工林が成長いたしまして、潜在的な意味での森林資源は充実しているということでございます。
 このため、本県林業の復権を目指し、平成19年度に紀州材生産販売プランを策定し、平成24年度の本県原木生産量23万立方メートルを目標にして、間伐材の増産に向けて、低コスト林業の推進や新たな販売先の開拓など、需要拡大に積極的に取り組んでまいりました。
 その結果、間伐材の生産は、生産目標6万立方メートルをほぼ達成できたんですが、一方、プラン策定時に約17万立方メートルありました主伐による生産量が、原木価格の低迷などにより7万立方メートル減少いたしまして、平成24年度の間伐、主伐を合わせた全体の生産量は、おおむね16万立方メートルにとどまってしまったわけでございます。
 こうした現状を踏まえまして、和歌山の林業の再生、発展を目指して、作業道や高性能林業機械の整備、架線技術の向上などによって、さらに低コスト林業を推進するとともに、良質材の需要拡大はもとより、合板や集成材、土木用資材など、さまざまな分野での需要拡大に取り組む所存でございます。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀州材の需要拡大については、県内需要の創出と県外への販路拡大の両面から積極的に取り組んでまいりました。
 県内需要については、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、平成24年2月に和歌山県木材利用方針を策定し、県関係の低層の公共建築物は原則木造とするなど、県が建築する施設の木造木質化を推進しているところでございます。また、県では、市町村等が実施する木造木質化の取り組みを支援してまいりました。
 平成24年度末までに、県内全ての市町村において木材利用方針が既に策定されておりますが、今後も引き続き市町村と連携し、公共建築物における紀州材の利用を進めてまいります。
 次に、県内の民間住宅については、議員のお話にもございました紀州材で建てる地域住宅支援により、引き続き需要拡大に取り組むとともに、さらに今年度、国の施策として実施される木材利用ポイント事業を活用して、紀州材の一層の販売促進に取り組んでまいります。
 県外への販路拡大については、首都圏における紀州材記念市や住宅・建材展示会への県内企業の出展を支援するとともに、今年度から、大都市圏において建材商社等を対象にした商談会を開催するなど、さらなる販路拡大に努めてまいりたいと考えております。
 次に、間伐材の利用促進についてでございますが、間伐材の利用促進は、県内の森林整備を進める上で大変重要であると認識しており、搬出間伐を推進した結果、先ほど知事からも説明申し上げましたように、平成24年度の間伐材生産量は、平成19年度と比較して約6万立方メートル増加しております。
 和歌山県木材利用方針において、公共建築物だけでなく公共土木工事等においても紀州材の利用を推進することとしており、間伐材は木柵工や型枠などを中心に利用が進められております。
 さらに、林業試験場において、間伐材の新たな用途開拓を目的に、木材の強度試験や耐久性の調査等を行っております。
 また、庁内に、県土整備部を初め各部長等で構成する木の国プロジェクト推進会議を設置し、県の公共事業における木材利用を推進しているところでございます。今後、さらに県土整備部との連携を密にし、公共土木工事における間伐材の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県土整備部における間伐材利用の取り組みについてでございますが、県土整備部においても、和歌山県木材利用方針や木の国プロジェクト推進会議における紀州材の利用促進の検討など、紀州材の需要の拡大に取り組んでおります。
 平成24年度の間伐材の使用実績として、建築工事では、集成材として床材、壁材等の内装に、土木工事等では、木柵工、丸太伏せ工及び仮設防護柵工などで使用しております。
 土木資材としての木材は、コンクリートや鋼材などと比較して、強度特性、耐久性、コストなどの課題から、限られた条件の中で使用しておりますが、今後、木製ガードレール等の土木資材や建築物への利用拡大を図るため、例えば議員御指摘の木材等の活用マニュアルの整備や、国に対し利用上の課題となっている基準の改定の要望を行うなど、間伐材のさらなる利用促進への取り組みを進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 答弁をいただきました。
 林業の現状は、昭和30年後半には70数%が国内産材を使われていたようでございます。それが、平成の10年前後ぐらいには20%を切るところまでいきました。国がいろんな施策をやりました。一番よく聞いたのは、外国で違法伐採をした材は日本に入れないと。その前には、材木の自由化ということで関税撤廃があったんで、外国からどんどん入ってきたというのが一番の原因のようでございますけれども、そういうことで、それをしただけでも上がってまいりました。そのほかいろんな施策をしたら、今やっと30%近い27%ぐらい国内産材の使用が上がってきたようでございます。
 しかし、国の目標は50%という目標を持っている。そこで、やはり今民間だけに頼っていてはとてもそこまでいかないので、やはり公共事業が後押しをしないことには、これは達成できないと私個人でも思っておりますので。いろいろなことがあると思います。一遍にマニフェストをつくれと、ちょっと無理かもわかりません。しかし、北海道なんかは既にもうやれるところからやっているわけでございます。そういうところの先進県もございます。
 そういうことで、県土整備部、また農林水産部、連携して、そういうところも見ていただきまして、これなら和歌山県もできるなと。これは国の縛りがあるんでできんなというところについては国へ働きかけてその縛りを取っていただいて、間伐材を、あるいは主伐材を使うために、どうしてもこういうことはやっていただきたいという、そういうことを和歌山県から発信していただいたら、我々も一生懸命応援したいと思いますんで、その点、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、2問目へ入ります。
 次に、2点目、漁業における燃油高騰問題についてお尋ねいたします。
 昨年12月の衆議院選挙を受け、第2次安倍内閣が発足しました。新政権のいわゆるアベノミクスと呼ばれる経済政策により円安が進み、輸出業を中心とする業種に復調の気配が訪れ、長らく冷え込んでいた日本経済にとっては明るい状況に向かいつつあるように思います。
 一方で、このような経済情勢の中、その大半を輸入に頼る燃油の価格は、円安の影響等も受け、さらなる高騰が進み、結果、漁業者が漁に出ることができなかったり、あるいは廃業に追い込まれたりするといった深刻な状況が各地で発生しております。
 先般、5月29日には、東京の日比谷公園におきまして、燃油価格高騰に対する国の対応を求める全国漁業協同組合連合会の集会が開催されました。和歌山県からも参加をいたしました。全国で約2500人もの漁業者が参加されたとのことであります。
 また、全国各地においても、同様の趣旨から、緊急集会や一斉休漁などの行動がとられ、本県においても、県漁連がJR和歌山駅前にてビラの配布により県民の方々に訴えかけるなど、この苦しい状況への支援を求める活動が行われております。当日のビラは、皆さん方のお手元に資料として配付させていただいております。
 先日の新聞記事では、ケンケン鰹で有名なすさみ漁協の漁師の方が、1カ月の燃料代が60万円ほどだったのが、年明け以降は100万円を超えたりしていると話している記事が出ておりました。
 漁業は、日本の食文化を支える欠かすことのできない産業であり、現在のような燃油の価格の高騰が長く続けば、日本の食卓に魚を提供する漁業の存在自身が危ぶまれることになりかねません。燃油価格が上昇している中、景気の高揚が魚の価格を押し上げると言われますが、それには数年はかかるのではと思います。それまで持ちこたえることができるかどうかというのが、漁業の現状だと思います。
 特に、太平洋に面する豊かな漁場に恵まれる本県においては、漁業は貴重な基幹産業の1つであり、このような漁業の深刻な問題に対しては、県としてもしっかり支えられる体制を持つことが必要ではないかと思います。
 経済情勢や経済政策により、さまざまな業種がプラスの影響を受けたりマイナスの影響を受けたりということは、当然に起こり得ることかと思いますが、現在の漁業における燃料費高騰のように、事業の継続自体が困難になるような事態が生じることについて、どのように受けとめておられるのか、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 また、今後、この燃油価格の高騰に対し、国や県においてどのような対策が検討されているのか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 近年の水産業が、水産資源並びに漁獲量の減少、魚価の低迷など、非常に厳しい状況にある中、さらなる燃油価格の高騰は、経営費に占める燃料費の割合が高くて、コストアップ分を価格になかなか転嫁できない漁業経営者にとっては、議員御指摘のとおり、もう操業自体が困難になりかねない深刻な問題と認識しております。
 景気回復の効果が水産業界にもたらされるまでの間、漁業経営の安定的な持続を図るためには、燃油価格高騰に対する支援が必要であるとの考えのもと、政府に対し対策の要望を行ったところでありますけれども、先般、現行制度をかなり拡充する漁業用燃油緊急特別対策が国において決定されたところであります。
 県といたしましても、燃油価格への直接補てんではございませんけれども、燃油消費量が少なく、安定した収入が見込める磯根漁業の振興、あるいはひき縄釣り漁業のコスト削減を目的とした浮き魚礁の設置、まき網船団のスリム化などに取り組んで、漁業者の長期的な経営、収入の安定を図っていくところでございます。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 燃油高騰問題への国、県の対策についてですが、今、知事からも申し上げましたように、漁業における燃油高騰問題への国の対策として、燃油価格について、近年の平均価格を上回る部分に対し、国が2分の1の補てんを行う現行の漁業経営セーフティーネット構築事業を拡充する漁業用燃油緊急特別対策が決定されたところでございます。
 その内容は、現行の支援に加え、新たに特別対策発動基準額を設定しまして、その基準額を超えた部分に対する補てんについては国の割合を2分の1から4分の3へ引き上げる、平成25年中の新規加入者等が積立金を借り入れる場合は無利子とするなどとなっており、平成26年度末までの特別対策として実施されます。
 県としては、この事業実施の窓口である県漁業協同組合連合会と連携し、特別対策の周知に努め、加入を促進してまいります。
 また、県単独の対策といたしまして、燃油価格の動向に加え、漁獲量や魚価などの状況を注視し、必要に応じて運転資金の借り入れに対する利子補給等、漁家経営の改善に資する施策を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 答弁をいただきました。
 燃油の高騰問題は5年前にもありまして、そのときも国の施策あるいは県の諸施策等ございました。あのときは、省エネエンジンに積みかえたら補助金がどうやと、いろんなことがありましたけれども、結局そういうことは余り使われなかったように私は思っております。
 一番使われたのは、やはり浄化料──船は、下が汚れてくると余計に燃料がかかるもんですから、何とか1マイル行くのに今まで1リッターかかったら、それを0.5リッターで行けんかというようになったら、どうしても船をきれいにせないかん、軽くせないかんということで、船を浄化してきれいにせないかん。そのための上げて使った費用の例えば5分の1、あるいは2分の1、3分の1でも補助してあげようやないかという、そういう細かい施策も当時はしていただきました。
 そういうことで、何がええかというのはそれぞれあると思いますけれども、しかし、この燃油問題というのは、漁業者にとっては一番肝心な、経費などでこれほどかかる経費は恐らく他産業でもないんです。我々が御飯食べるようなもんですから。そういうことで、折々またお話もせないかんと思いますし、お願いもせないかんと思いますけれども、今後とも注視をしていただきますようにお願いいたします。これも要望といたします。
 最後に、3点目、南海トラフ巨大地震対策についてお尋ねいたします。
 先般、国の防災会議の作業部会である南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが最終報告を発表いたしました。
 この作業部会のもとに設置された調査部会において、南海トラフ巨大地震の発生時期やその規模を予測できるかどうかの検討が行われてきましたが、現在の科学的知見からは、地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは困難であると報告されました。これを受け、最終報告においては、減災を重点に置いた事前防災という考えを強調した内容のものとなっておりました。
 南海トラフ巨大地震が発生した際には、わずか数分で津波が押し寄せると言われる紀伊半島南部の沿岸部に暮らす者として、このニュースを知ったときは大きなショックでありました。
 これまでの研究の積み重ねや科学技術の進歩により、地震の前兆現象などの分析から、その予知が可能となり、速やかな対処を行うことで、多くの人々の命を救うことができるものと期待をしておりました。
 しかしながら、今回の発表を、ただ悲観的に受けとめるだけでなく、減災対策の強化ということで、準備できる限りの対策を実施するとともに、住民個々が高い意識を持って災害に備えることの重要性が改めて示されたものと思っております。
 県におきましても、これまで南海トラフ巨大地震への対策については、さまざまな観点から熱心に取り組んでいただいているところではありますが、今回の国の発表を受け、率直にどのように受けとめておられるのか、危機管理監にお伺いいたします。
 次に、津波避難困難地域における避難場所の確保についてお伺いいたします。
 先ほども申し上げましたが、紀伊半島南部の沿岸地域では、南海トラフ巨大地震が発生すれば、わずか数分で津波が押し寄せるとされています。周辺に高い場所や高層の建築物がある地域については避難場所を確保することは可能かとは思いますが、高台から離れた平地の地区においては、その確保が困難に思われます。
 防災対策については、さまざまな施策が必要とされる中、公共施設だけでなく民間施設等と一体整備するなどして、低コストで有効な整備が図れるかと考えます。例えば、民間商業施設と公共施設を同居させ、階下に商業施設、上層に公共施設を設置し、建物の高さを確保することで、有効な避難スペースを屋上に設けることができるなどが考えられます。
 このような津波避難困難地域における避難場所の確保のあり方や整備に対する支援について、危機管理監にお尋ねいたします。
 次に、県と市町村との連携についてお伺いいたします。
 今回の報告では、住民の速やかな避難を支援するハード対策とともに、ソフト対策を有効に組み合わせることが重要とされております。
 本県での津波到達までの短い時間を考えますと、個々の地区ごとの状況に応じたきめ細かな対策が重要となってまいります。地域の実情に応じた避難路、避難場所、備蓄品などの整備や準備は、地域の実情を最も知る市町村が中心となり取り組んでいくものと思います。県といたしましても、市町村をしっかりと支えていくという大事な役割を果たしていかなければなりません。
 そこで、災害対策における市町村と県との連携の状況について、また、市町村や各地域での災害に備えた取り組みに対する県のサポート内容について、危機管理監にお尋ねします。
 また、災害時においては、まずはみずからによる自助が大原則であり、その後に共助、ようやく最後に公助と言われています。今回の報告において地震予知の困難さが示される中、行政による支援だけでなく、個人の意識の向上、各家庭でできる備えなど、いわゆる自助の部分が強調されたものとなっておりますが、これを受けて、私たち県民が今後心がけていくべきこと、取り組むべきことなど、県として県民に呼びかけていかなければならないことはどういったことなのでしょうか。危機管理監にお尋ねいたします。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 初めに、国の発表を受けての感想です。
 南海トラフ巨大地震対策についての最終報告では、発生頻度の極めて低い南海トラフ巨大地震と発生頻度の高い東海・東南海・南海3連動地震の2つの地震・津波のレベルに応じた対策の確立が必要であることが示され、地震・津波対策の前提を全て最大クラスの巨大な地震・津波とすることは現実的ではなく、3連動地震を基本とするなど、これまで本県が推進してまいりました防災・減災対策の取り組みが正しかったのだと考えております。
 また、報告書の中には、既に本県で取り組んでいるものも多く取り上げられており、例えば避難場所の安全レベルの設定、市町村避難所運営マニュアルの策定、災害時要援護者避難支援ハンドブックの作成、津波からの円滑な避難に係る避難路沿いの建築物等の制限に関する条例などがあります。
 今後も、引き続き検討を重ね、防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、津波避難困難地域における避難場所の確保についてです。
 津波から命を守るためには、とにかく逃げ切ることが第一であり、そのための避難場所の確保は、津波対策としては最も重要であると考えております。津波浸水域の外に避難場所を確保することは当然ながら、浸水域内においても避難ビル等の緊急避難場所を確保することは、災害時要援護者や逃げおくれた方のためにも必要です。
 このため、県では、沿岸市町に対して既存の民間施設などを避難ビルとして指定するよう助言を行っております。また、現在、津波避難困難地域の洗い出しと、新たな「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」の策定を進めているところです。
 これら避難困難地域の解消には、公共施設や民間施設などをあわせた複合避難ビルの整備が非常に有効な手段の1つと考えられるため、国に対し、手厚い財政措置などを要望しているところであります。
 引き続き、地域の実情も考慮しつつ、有効な対策を検討してまいります。
 次に、市町村との連携、県のサポート内容についてです。
 県では、住民の避難対策など防災・減災対策に取り組む市町村としっかりと連携を図るとともに、積極的に支援を行っております。避難場所の整備が最優先の課題でありますことから、和歌山防災力パワーアップ補助金により市町村や自主防災組織が行う避難路整備等の支援を行っており、今年度は補助金を1億円増額し、さらなる支援の強化に努めております。また、市町村の津波ハザードマップの作成支援や孤立集落対策としてのヘリポート整備支援など、市町村の防災力向上を図ってまいります。
 また、市町村が避難所の運営を行いやすいように、和歌山県避難所運営マニュアル作成モデルを策定し、各市町村において活用いただいております。
 避難場所につきましては、県が安全レベルの考え方を示し、市町が個々の津波安全レベルを確認し、指定しております。さらに、スマートフォンのアプリ等を活用することにより、住民や観光客などの多くの方々が避難場所を容易に確認できるようにいたしております。
 今後とも、市町村と連携を図りながら防災・減災対策を行い、南海トラフ地震に備えてまいります。
 最後に、今後、県民に呼びかけていくべきことについてです。
 国の公表によりますと、南海トラフ巨大地震は、仮に発生すれば甚大な被害を及ぼすものでありますが、発生頻度が極めて低く、次に発生する地震を予測したものではありません。このため、県民の皆様には、まずは発生頻度の高い東海・東南海・南海3連動地震の対策を進めていただくことが重要であり、その対策は南海トラフ巨大地震対策としても役立つものであることを理解していただき、引き続き耐震診断、耐震改修、家具の固定、家庭での備蓄、避難訓練への参加などを呼びかけてまいります。
 特に、家庭での備蓄については、従来は3日分の備蓄を呼びかけてまいりましたが、南海トラフ巨大地震が発生した場合、沿岸地域全体が被災し、物資が大量に不足するとともに、交通網の寸断や生産ラインの停止などにより、和歌山県に物資が入ってこなくなります。そのため、今回の最終報告にも、「食料や飲料水など家庭での備蓄が1週間分以上必要である」とありますように、防災用の特別な食料等ではなくても、ふだんから食べている食べ物の蓄えをふやし、消費しながら備蓄をする、ところてん方式での1週間分以上の備蓄を呼びかけてまいります。
 今後とも、災害に対するさまざまな備えはもちろんですが、県民の皆様お一人お一人に、常に心の備えを持っておいていただけるよう呼びかけを行ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(花田健吉君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 答弁をいただきました。
 特に、南海トラフ大地震につきましては、私、自分とこの地域は浦神湾という小さな漁村でございまして、湾の周りに家が建ってるという現状でございます。2メーター、3メーターの津波が来たら、恐らく被災せんとこは1軒もないという現状でございますんで、国が10何メートルの津波という発表をしたときに、皆さんそれぞれ隣近所で話し合って、すぐ裏が皆さんは山なもんですから、自分らで山へ行く道をつくり、年寄りの方も上がれるようにロープを張り、その上15メーター以上のところへ、ある地区は小屋を建て、私どもは保冷のあれを上へ上げたんですが、そういうことで恐らくうちの地区は100%というんですか、すぐ逃げるところはどこでということを自分らでつくってますからわかるんです。
 ところが、なかなか、この間も名取市の市長さんが新宮で講演されたときに、今まで津波が来ても自分とこは関係なかったところ、今回はそこが一番よく亡くなったという話をされていました。来ても、私とこは大丈夫なんやという安心感を持っておられる方は、やはり常々そういう危機感というか、我々に来たらどうするということを前もってできてないと思うんですよ。
 だから、やっぱり県あるいは市町村が中心となって、今地震揺ったらこうやでと、ここへこう逃げてくださいよ、あるいは津波が来たらここですよと、そういうことを常日ごろから啓発するということが、僕は一番大事なことじゃないかなと。
 特に、命を守るということになると、皆さんそれぞれ、うちの部落のようにきゅっと引き締まって、誰から言われんでも自分らでやるという、そういうことになるようにほかの地区もできたら、僕は大分亡くなる命が助かるんじゃないかなと思いますんで、こういうことも言わしていただいて、要望として今回の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

このページの先頭へ