平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。どうか最後までよろしくお願いしたいと思います。
 まず最初に、本県の国際交流について質問をさしていただきます。
 ことし3月21日から23日まで3日間ですが、改新クラブ5名で、イスラム圏との商取引の可能性調査のためマレーシアを訪問いたしました。今回のクラブ会派の視察に伴う報告を中心に、それに伴って質問をさしていただきたいと思います。
 私たちは、まず最初に、ジェトロ・クアラルンプールを訪ね、現地の所長さん、それから手島さんを初めとする職員の皆さんと意見交換をさしていただきました。この場をかりて、視察の受け入れに快く応じていただきました皆さんに感謝の意を表します。
 では、意見交換の中から見えてきたマレーシアにおける日本企業の経済活動の優位性を中心に、少しお話をさしていただきたいと思います。
 まず1つ。自然災害がないこと。
 地震、台風、津波、これらの発生がなく、極めて安全な国土であるということがまず特徴です。また、治安も良好であり、ストレスが少ない社会であることから、多くの日本人がここで暮らしております。
 特に、東日本大震災以降、東北からマレーシアに移住している、こういう人が非常に多い、これが特徴的なお話でございました。これは、災害を逃れ、その後の人生を安全な場所で、ストレスのない暮らしをしたい、こういう思いがあることが理由になっていると伺いました。
 2番目の特徴。政治が安定していること。
 多民族国家でありながら、政治的安定が図られている国は珍しいということです。政治の安定は、企業にとって、特に外国からの企業にとっては安心材料になりますから、日本からも多くの企業が進出しております。
 ただし、この政治的な安定というのは、短期間で築かれたものではなく、長い年月を要して国民でつくり上げてきた結果だというふうに聞いております。マハティール首相以降の政治は安定と経済成長があり、極めて優良な国家として発展している、このように伺っております。
 1982年、当時のマハティール首相は、ルックイースト政策をとり、留学生や職業訓練生を日本に派遣し、日本人の勤勉さを見習い、同国の成長過程において日本を目指すことを目標に掲げていました。そのことから、現在も日本人は勤勉で仕事熱心、そういった民族として尊敬されている、これも日本企業を受け入れやすい土壌になっていると思います。
 それから、3点目。経済が成長し続けていること。
 現在も、年間5%程度の経済成長率を誇っております。1998年のアジア通貨危機、2009年のリーマンショック、このときの経済はマイナス成長に転じましたが、ほかの年度は比較的安定な経済成長を続けております。
 ただ、経済的な特徴として、ASEAN諸国への輸出型が特徴であり、ここからどのように内需型に転換するかということが課題になっている、こういうこともお伺いしました。これは、アジア通貨危機、リーマンショックなどでマイナス成長になったその経験から、輸出だけではなく、外国の動きに左右されないで安定した経済成長を図るために内需型に転換していこうと、こういう試みを、政策を講じているようです。
 国が公共投資によって数カ所大規模な開発──多分5カ所だったと思うんですが、行っているところでしたが、大型の公共投資によって内需の喚起を実行している。ただ、政府のインフラ整備による経済成長というのは、ある程度で限界があることは認識しておりまして、政府の力わざによる内需拡大だけでは危険性は潜んでいる、こういうことを意識して、民間主導の内需拡大まで持っていく、こういうことを目指している、こういう経済事情がございます。
 それから、4点目。これが最後になりますが、対日感情が極めて良好なこと、これが挙げられます。
 日本人の勤勉さを認めていて、ほかの国の人と日本人との接し方、これは明らかに違うものがありました。小さいころから教育や訓練で、日本人の勤勉さを見習うように教えられていることが要因だと、教育の成果もあろうかというふうに思います。滞在中に私たちが感じたことですが、日本人ということだけで信頼──尊敬されたかどうかというところまでは言い過ぎですが、尊敬されていたんではないかなということを感じた次第でございます。
 以上のような優位性から、マレーシアに進出している企業は多く、これから市場拡大を図れる潜在性を秘めていると考えられています。
 参考までに、日本企業の進出がふえ出したのが1970年代以降で、現在約1400社がマレーシアに進出しているということです。
 同僚議員によると、昨日、「ワールドビジネスサテライト」ですか、こちらでマレーシアの話が出て、いわゆるハラルとかハラル金融、これは金利の優遇政策なんですけども、こういった話、それから日系企業がどのように現地で活動しているか、こういうことが20分にわたり取り上げられていたようです。
 次に、じゃあ、これからマレーシアが引き続いて経済成長を保つために必要なことがあるのかということに関しては、2点ございました。これも、紹介をさしていただきたいと思います。
 1点目、経済の成長エンジンをつくること。そのために必要なものが、後ほど触れますが、ハラル政策と呼ばれるものであります。
 現在、世界のイスラム教徒は18億人。1990年には11億人でしたが、2020年には20億人に達する、拡大すると予測をされております。そのうちアジアのイスラム教徒が約9億人ですから、この市場は魅力的だと思います。
 この成長エンジンとなり得るハラル市場は、世界に拡大しておりまして、例えば意外なのがアメリカなんですが、アメリカでハラル商品、これの取り扱いはなかったわけなんですが、現在はマクドナルド、ウォルマート、こういったところでも取り扱いがあります。
 こういった世界にまでハラル商品の取り扱いが拡大していることから、この認証、ハラル認証を受けた商品が成長エンジンになり得る潜在力、潜在性、そういったことも秘められているのではないかなというふうに感じます。
 2点目、市場を拡大することです。
 マレーシアが経済成長しているからといっても、人口規模、経済規模からすると、日本等と比べると小さな市場にすぎません。しかし、2015年にASEAN共同体が発足すると、マレーシアの人口2840万人から6億人の市場へと移行することになります。これは、中国13億人、インド12億人に次ぐ市場で、日本にとっては非常に魅力的な市場へと変化することになります。ここにハラル商品の取扱高もふえていく、こういうことは容易に予測できることだと思います。
 では、このハラルについて少し触れたいと思います。
 このハラルとは何かということを学ぶために、ハラルの認証機関、これ、国が認証しているんですが、ハラル・インダストリー・ディベロップメント、こちらを訪問いたしました。
 ハラル商品とは、かいつまんで言いますと、イスラム教徒が安心して取り扱える、食べる、使える、そういう商品のことです。イスラム教徒は、豚肉や豚肉エキスを含む食品、それからアルコール、死亡した動物、血液、こういったものは摂取しませんから、これらのものを加工品の原材料にすることはできません。そのため、食品などにはこれらの成分を含んでいないことや、生産過程においてこれらの原材料が混入しないこと、含まれないこと、それを分けている、そういうことが求められます。原材料と生産工程、もっと言えば輸送工程、そういう分野においてこれらのものと接触しない、これを確認できているのがハラル認証の制度です。
 そして、このハラル認証を国として行っているのが実はマレーシアだけで、極めて高い信頼性を秘めたマレーシアのハラル認証制度ということになっております。日本企業では、ヤクルト、味の素、大正製薬、キユーピーなどがハラル認証を受けて、マレーシアの市場で同社の商品の取り扱いが行われています。
 ただし、ハラル認証を受けるのは決して簡単なことではありません。原材料や製造工程、流通に至るまで、イスラム教が禁じているものの混入を防ぐために、分離すること、安全対策することにコストがそれなりにかかってくるからです。例えば、豚肉をカットする工場の中で牛肉をカットしてもいけませんし、例えば牛肉を運んでいる輸送トラックの中に過去、豚肉を運んだ形跡があると、これはだめ。こういうふうに、非常に厳しい制約条件があります。
 ですから、完全にハラル用に分離をした工場であるとか輸送形態、こういうことをしておかなければならないので、ある程度、市場が確立していること、新たな工場を建てることができる資本力、そういった企業でなければ、このハラル市場に参入することは困難だというふうに思います。
 ハラル認証は、消費者にとって利益もあります。商品が厳密な厳格な検査を受けていることから、食べるにしても、これは別にイスラム教徒であっても、それ以外であっても安心してとれること、ハラル商品はイスラム圏においては健全、健康、安全なイメージを持たれていること、それからイスラム教徒にとってはハラル認証商品だけが選択肢であること、こういった利益があります。
 また、企業にとっては、イスラム教の国だけではなく、全ての消費者が購入できるインセンティブにもなり、その市場規模はかなり大きいものがあります。ハラル商品は、イスラム教の国あるいは教徒だけが購入する商品ではないからです。また、これらの国への輸出が容易となり、多宗教国でハラル商品の信頼性を示すマークとして信頼されていることから、流通が図られる、こういうことも考えられます。
 中小企業がこれらの市場を目指すことは厳しいことが予想できますが、和歌山県のミカンや梅などの加工品は、これらの禁じられてるものとは関係ありませんから、希望すれば進出の可能性はあると思います。
 特に、日本のミカンは、現地ではテレビミカンと呼ばれているように、皮がやわらかくて、テレビを見ながらミカンの皮をむいて食べられるということで、高級品として取り扱いがなされていました。日本以外のミカンは、皮が厚くて、むくのにナイフが必要らしいんですよね。テレビを見ながらとか、ほかの仕事をしながら気楽に食べることができない、こういうことから、高級品として重宝されておりました。これは加工品ではないんですが、こういったものを加工すれば進出できる期待はありますし、マレーシアで和歌山の産品が受け入れられるのではないか、こういう意見もいただきました。
 結局のところ、これらのASEAN諸国を市場と捉えるか捉えないかで、ハラル認証の重要性の考え方が違ってくると思います。近い将来、世界で20億人に拡大するイスラム教徒に向けた商品を取り扱うのか、それとも今までどおりの市場で勝負するのか、これは企業あるいは県の姿勢によって取り組み方は違ってこようかと思います。和歌山県産品の市場規模をどこまで狙うのか、それによってハラル市場とハラル認証への考え方は違うものになりますから、今後、県内事業者の方々が、情報提供してほしいとか、そういう相談があるというときには、対応していくことも必要かなというふうに思います。
 そして、2015年に登場するASEAN共同体が我が国の参加する市場ということになりますから、ASEAN共同体の経済状況、その中でも核となる比較的所得の中位から高位へ移行しようとするマレーシア、こういったところの経済事情、こういった市場を知ることは、我が国、我が県にとっても必要なことではないかなというふうに思います。進出を検討したいと考える事業者が、情報不足などの要因でちゅうちょするようなことのないように、ASEAN共同体の動きに注目しといていただきたいと思います。
 クアラルンプールという経済成長している国の首都に行き、関係者と意見交換が図れたこと、あるいはハラル市場の調査ができたことは、大きな意義を感じております。現地でしか感じることのできない活力、治安のよさ、そして親日性などを直接感じることで、安定して成長を続けているこの国、市場、イスラム独自の文化に基づく市場制度について学ぶことができたからです。
 1980年代の高度成長期以降、今も経済成長を続けているマレーシアがお手本としている国が、私たちの日本という国です。それが現在も変わらずにいることに自信と誇り、これを私たちは感じることができました。アジアは依然として日本を見ておりますし、私たちはこれからも成長、発展を続ける存在である、これを志向しなければならない、このことも再認識することができました。私たちは、アジアのこれらの国々から目標とされている日本であること、この先もリーダーであり続けられるかどうか常に見られている、こういうことを意識して活動を行いたいというふうに思います。
 そして、それと呼応するように、大阪商工会議所、これはイスラム国に進出する企業を支援するための取り組みを開始しているように、この市場に向かっての動きが見られ始めているところであります。
 また、帰ってからわかったことですが、観光面でも、イスラム国から和歌山県内に観光客、これは体験型観光というのが多分メーンだったというふうに思いますが、観光客として和歌山県を訪れているということがニュースでも取り上げられました。
 和歌山県が体験型観光を中心とした観光を提供し、地元の皆さんが受け入れて、そして今回受け入れたことで、受け入れる態勢、これからこれらの国から観光客が来ることについても自信を持ったというふうにも聞いております。特別な食事、それからお祈りの時間があるんですが、こういった時間や場所についてもしっかりと受け入れ態勢がとれたので、この分野も拡大してほしいという意見を地元の方から先日確認してまいりました。
 全国的に見ると、マレーシアやインドネシアなどのムスリム市場からの観光客を迎えているのが、先進県となっている三重県、北海道などです。マレーシアからの観光客は、平成24年は13万人、対前年度比60%の増加というふうに、インバウンドの面でも効果が見られるのではないかなというふうに思っております。
 以上の報告に基づきまして、知事とも、こういったイスラム国のことについて、クラブとして視察に行く前に少し意見交換をさしていただいたんですが、知事もこれらの国に赴任した経験があり、マレーシア事情にも精通しているように思いました。和歌山県とマレーシア、そしてハラル市場への進出の可能性や期待についてお聞かせいただけたらと思いますし、あわせてインバウンドのこれらの観光面から期待できることについて、意見がありましたらお聞かせいただきたい、このように思います。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東南アジア諸国は、近年、経済発展が著しく、また親日的でもあり、県産の農水産物、加工食品の有望な市場と認識しております。お話のあったマレーシアにおいては、和歌山フェアなどを実施してまいりましたけれども、本年度は量販店の県産果実の販促活動を計画しているところでございます。
 御指摘のイスラム教徒特有の禁忌、ハラル問題につきましては、私自身がどっぷりとつかって経験してまいりました。一例を申し上げますと、私の公邸では、3年間、プライベートのときも含めて一切豚肉は使うなというふうにしておりました。でないと、同じまないたで料理したものを食べたくないとか何か言う人が出てくるとお客様に問題でございますので、裏表をつくるとまずいので、もう一切食べないということにしてまいりました。
 そういうハラルの点はよく存じ上げておるんですが、我々が今、重点にしておりますのは、果実とか同加工品の販路開拓が中心でありますので、御提案のあったハラルについては、これまでのところは特段の対応はしておりません。
 畜産物などについては、その生産段階でこれを100%うまくやるというのは、なかなか、説明すると長いんですが、かなり困難があります。だけど、よく勉強して、マレーシアなどイスラム教国の市場に対応できるようにしていきたいと思っております。
 次に、観光振興の面でございますけども、マレーシアについては、昨年の訪日数が過去最高を記録しておりまして、また、この夏に予定されているビザ免除、これがございますと訪日数が一層増加するということが予想されまして、大変有望な、かつ重要な市場となっております。
 和歌山県としては、かねてから観光客誘致のためのマレーシア市場の成長の可能性を認識しておりまして、一昨年から旅行博への出展とかJNTO主催の商談会への参加を始めておりまして、昨年やことしはメディアをお招きして、それで向こうで映してもらおうというふうに考えているところでございます。
 また、県内の一部の宿泊施設では、ハラルや祈祷への対応を行っております。その際には、先ほど申し上げましたハラルの問題について、これは、受け入れ側のサービス主体が対応するということは、そんなに不可能とは思われません。十分可能だと思いますので、民間の企業とよく相談をして、研究して対応してまいりたいと思います。
 このような県や民間事業者の取り組みによりまして、マレーシアの旅行会社が和歌山商品を造成するというようなことが実施されておりまして、少しずつ成果があらわれておりますけれども、まだまだでございますから、マレーシアへのプロモーションを継続、強化することによりまして、さらなる誘客に努めてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ASEAN Way、ゆっくりであるが着実にというのがASEAN独特の方式だそうです。これらの国との経済交流を、できるところからゆっくり着実に進めてほしいというふうに思います。
 続いて、タイ王国との交流について質問さしていただきます。これは、知事が5月6日から11日まで、和歌山県の観光振興の目的でオーストラリア及びタイ王国を訪問したことに基づくものです。
 県の報告書を拝見さしていただきました。知事は、タイ政府観光庁、タイ旅行業協会、それからタマサート大学、ここの大学長などを精力的に訪問し、懇談をしてきたようであります。
 タイ政府観光庁では、今後、観光分野において相互協力を実施していくことで合意、タマサート大学に関しては、大学生の雇用に興味のある県内企業とともに同大学を訪問、グローバル人材の確保について意見交換を行い、和歌山県の取り組みに対して支援、協力する旨の回答を得ているようです。
 今回のタイ王国訪問における観光面についての成果について、それから、タマサート大学の人材を和歌山県企業が採用することについての意義、お考え、これを聞かせていただきたいと思います。あわせて、今後、タイ王国との関係を構築しながら、和歌山県がどのような成果を得られるように取り組もうとしているのか、知事からお聞かせいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) タイ王国訪問による観光面での成果でございますけれども、昨年のタイ人の訪日外国人数は前年比79.9%を記録するなど、過去最高を大幅に更新しておりまして、このタイ市場の伸張は目覚ましいものでございます。このような時期に私も参りまして、トップセールスを行いまして、セミナーを開いたり、あるいは観光事業者にいろいろお願いをしたり、そんなようなことをいたしまして和歌山の魅力を発信できたということは、効果的ではなかったかなあというふうに思っております。
 具体的な成果としては、今回のトップセールスを契機といたしまして、那智の滝とか高野山へのテレビ、雑誌社の取材、あるいは県内へのツアーが実施される運びになりました。こういうのを見て、タイの方は、割合、団体旅行じゃなくて個人旅行で、小さい旅行商品をつくってもらって来るという感じでございますので、期待をしたいなあというふうに思っております。
 次に、海外人材の県内企業での活用の意義や考え方でございますけれども、経済のグローバル化が進展してる現在、国籍にかかわらず優秀な人材を採用しようとする企業は増加しております。県内企業においても、海外の事業展開、あるいは販路開拓、こういうものを図る上で、研究者、技術者、あるいはセールスマン、そういうスタッフとして、海外からの優秀な人材の採用は重要な手段の1つだと思います。
 海外人材の県内での就職については、日本語の習得や生活環境の整備など、課題も多々あるんですけれども、今後、県内企業に対して海外人材活用の成功事例を紹介するとともに、採用意欲のある企業に対しては、今回のタマサート大学訪問で築いた関係を生かして、「こういう企業が雇いたいと言っとるんですけど」というようなことを大学側へ提供いたしまして、大学から学生にその情報を周知することで県内企業への関心を高めるなど、県と大学が協力して支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、今後の取り組みについては、経済成長著しいタイ王国の活力を取り込むことで、新たなビジネスチャンスの創出など、県経済の発展につながっていくように積極的に取り組んでいきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 では、ことし10月に、知事はインドを訪問する予定があるというふうに聞いております。インド市場は、先ほど言いましたように12億人の市場であり、経済発展、さらなる人口増加の観点から非常に有望な市場になっておりますが、和歌山県から企業進出を、例えばここに計画しているなどの声というのは余り聞いたことがないというふうに思います。
 今回の訪印は、どんな目的を持ち、どんな展開を求めているのか、これも知事の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) インドは、人口が世界第2位であるということと、それから経済発展が著しいということから、何といっても大きな可能性を秘めた市場であると考えております。まさに、議員御指摘のように──これは和歌山県だけじゃないんですけども、インドへの経済進出というのは、日本企業はそんなに多く、かつ厚くあるわけではありません。だけど、これからの世界を考えると、これを無視してはいけないなということでございます。
 たまたまそういう中で、今回訪問予定のマハラーシュトラ州、これは実はインドの中で1番の商業都市のムンバイを州都としておりまして、約1億1200万人の人口が集積するとともに、経済面ではGDPが国全体の15%、国内第1の州なんですが、この州から、和歌山県と仲よくしたいなという秋波が若干参りまして、これはいいものが来たというふうに思いまして、それで対応することにしたわけです。
 まず、県内企業を対象にインドビジネスセミナーを2回開催いたしまして、こんないいところとか問題とかありますねというようなことを申し上げました。それから、本年4月24日には、「和歌山とインドの新たな歩み」と題しまして、インドとの経済交流についての意識向上も図っております。
 今回、同州を訪問して、州政府と経済交流に係る協議を行い、それで日本企業というか、和歌山企業も関心のあるところは行っていただいて、それで、ここですぐ工場をつくるなんていうのはかなりレベルの高い話になりますんで、どちらかというと、エージェントを見つけてたくさん物を売るということを中心にしてやっていったらいいんじゃないかと私は思ってるんですが、それとともに、観光のお相手が、インドも貧富の差は激しくて、大変旅行好きの国民でありますから、その観光誘致の対象として有望だと思っておりますので、和歌山県の魅力を発信して、それでインドの活力を和歌山に取り込んでくるということをやっていきたいなあ、そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続いて、姉妹都市であるフロリダ州との関係についてお伺いをさしていただきたいと思います。
 今週、西フロリダ大学の大学生6名が、先生に率いられて和歌山県に来ております。県庁にも、月曜日ですか、訪問したと思いまして、そこで少しお話をさしていただきました。この学生たちは、和歌山大学で日本語、日本文化の講座、こういった受講をする、それから観光も含めて来県してくれたもので、これは知事が締結したオレンジパートナー協定、これの成果であると思っております。
 今回実現した人材交流とあわせて、協定にうたわれているような経済的な成果も求めるためには、さらに食品流通や観光面での取り組みも必要かというふうに思います。一般的に、協定を締結しているからといって、フロリダ州が和歌山県のために何かの便益を図ってくれるとか、積極的に観光客を送り出してくれるというところまではまだ至っていないような感じはしております。
 ですから、こちらから、例えば厳しい検疫を突破して輸出できる食品や加工品、これを提案することや、今回来てくれた西フロリダ大学の大学生など若い層への学習機会の提供と観光を組み合わせた機会、こういったものも商品構成ができるんではないかなというふうに思っております。
 今回の訪問ができたもう1つの大きな理由は、和歌山大学で研修機会をつくれたことと、それから大学に隣接するグリーンプラネットという安く宿泊できる施設があった、これから、大学の横にこんなホテル、泊まれるところが、安く泊まれるんで長期間研修できるということで、この環境は大阪や東京にもないものだというふうなことから実現できたというふうにもお伺いしました。
 大学生が研修機会を持って数週間滞在していることは、観光にもつながるものであり、大学生の研修機会を通じた誘客、空き時間を利用した高野山や熊野古道への観光案内なども、この協定の趣旨である有効な取り組みになっていくのかなというふうに思います。
 ほかの関心事項を少し聞きますと、高齢社会がもう現実のものとなっている日本の福祉政策は、向こうにおいても関心事項であり、フロリダ州のリタイアメント層の政策のモデルになる、こういう可能性があるので、こういう研修なんかもいいんじゃないのかなと、こういうふうな話がありました。
 オレンジパートナーシップ協定は、姉妹提携の枠を超えて、文化交流に加えて経済交流を図ることを目的にしている、こういうふうな協定だと思います。オレンジパートナーシップ協定以降、フロリダ州との関係構築について、そして2年後には姉妹提携から20周年を迎える年になりますが、それを踏まえての関係強化について、知事からお答えいただけたらと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) フロリダ州との交流につきましては、平成23年の11月にフロリダ州を私が訪問いたしまして、リック・スコット知事との間で、経済交流や教育交流を推進するためのオレンジパートナーシップ協定を締結いたしました。
 この趣旨は──これは和歌山県ではないんですけれども、一般的に地方公共団体同士の姉妹何とか関係というのは、首長が相互訪問をして乾杯して帰ってくるというのが非常に多いわけでございます。それが可能であればまだいいんですけども、はるか昔に締結、そういう関係をつくった後、ほったらかしになってるというのがあって、ほったらかしになってるのはけしからんということかというと、マンパワーとかそういう点では、やっぱりちょっともう維持するのは無理だというようなところもあるんですね。
 そのフロリダ州との関係については、もう20年ほど前になるんですけれども、実はそういう関係でありました。それで、フロリダというのは、日本においては非常にイメージのいいところでありまして、しかも、ミカンがいっぱいとれるということでありますから、和歌山県とイメージを重ねて、日本の中でフロリダをうまく活用して和歌山県を売り出すことにもなるかなというふうに思って、一石何鳥かを狙って、これを活性化することを考えたわけでございます。
 それほど大成功してるとは、正直言うとまだまだ思えません。しかし、具体的な芽は随分出てまいりまして、今御指摘のお話に加えて、州務長官という方がいるんですが、この来日のときに、私はちょっと日程的にお会いできなかったんですけども、協定の具体的な推進方法について、部長を東京へ派遣して、それでいろいろな打ち合わせをさしてもらいました。
 その流れでございますが、フロリダ州の陶芸作家が、ことし4月に来県しまして、海南市の雨の森で県内の陶芸家と共同で作陶活動をいたしまして、展示会などもいたしました。
 今月は、西フロリダ大学の学生6人が、御指摘のように日本文化体験や和歌山大学の学生との交流を目的として来県をし、同大学で研修プログラムを実施中でございます。それから、高野山や白浜温泉も訪問すると言われております。
 そのほか、フロリダ州の農務局から幹部が来県しておりまして、これは県内の小売業者とか──これはどちらかというとフロリダ産のものを入れるほうですね。それから、フロリダに輸出する可能性ということで、こちらの食品加工業者と商談を行っております。今後、取引の実現に向け具体的な協議を行うんですが、フロリダ州の政府は、この協定に基づいて、向こうの流通業者なんかはどんどん紹介してあげるよというようなことを言うてくれておりまして、地道ではございますけれども頑張っていきたいと思っております。
 再来年は、和歌山県とフロリダ州が姉妹提携を実施して20年なんです。ということで、このような文化交流や青少年交流のみならず、経済交流ももっともっと積極的に展開できるように、またいろいろ考えてまいりたいというふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今のお答えをいただきまして、ちょうど4月、フロリダから陶芸の芸術家が3名来たときに、僕も来いと言われまして、陶芸の体験を初めてしてきました。そして、今週だったかな、電話をいただきまして、陶芸して、焼いて、作品を置いてくれてるらしいんですけど、まだとりに来てないんで早くとりに来てくれと言われて、ほったらかしになってたんですけども、そういった形で、昨年来、フロリダの、先生に会ったり、陶芸家に会ったり、学生と懇談したりとか、こういう機会を持たしてもらってることは、この協定のたまものかなというふうに思ってますし、聞くところによりますと、前回の姉妹提携から、10周年のときは式典なんかもやられたそうなんです。ぜひ、20周年を迎えるときには、そういった式典も含めて意識高揚を図っていただければありがたいかなというふうに思っております。
 続きまして、2問目に移らしていただきたいと思います。
 この平成25年2月定例会で取り上げまして、昨日、一般質問の初日でも同僚議員が取り上げた田辺市内の公立中学校での事件について質問をさしていただきます。
 ちょっとおさらいさしていただきます。これは、平成24年12月15日の午後、当時中学1年生の男子生徒が自宅で自殺を図った事案で、幸い命は取りとめましたが、現在も依然として御家族の付き添いが必要な状態、入院する状態が続いているところであります。
 この事件の真相解明に関して、調査と、いじめの事故との因果関係などを究明するために設置すると当時答えていただいてた第三者委員会が、ようやく今週設置されることになりました。
 事件が起きたのが平成24年の12月、きょう現在6月、事件から6カ月、第三者委員会を設置すると発表してから3カ月が経過しているところになっております。しかも、当時の中学1年生が進級し、クラスがえをして、2年生として学校生活を送っていますし、学校長、それから当時の担任の先生も、この中学校には現在もういなくなっている、こういうふうに環境が大きく変化しているところであります。少し時間が経過しているのかなあというふうな感じはします。
 そして、今週立ち上がった第三者委員会は、今月中に第1回目の会合を開催するというふうに聞いておりますが、その後の開催頻度や結論を出す時期について、極力迅速に調査が進むように、これは県教育委員会として見ていただきたいかなというふうに思っております。
 それから、第三者委員会の委員構成、5名ということで聞いて、ここに名簿、新聞にリストと名前をいただいておりますが、これで決まったことを受けて、昨日夕方、当該中学校で緊急の保護者説明会が開かれたというふうにお聞きしました。
 詳しい内容までは、ちょっと時間的な、きのうの夕方のけさということで、実は確認をとれていない状況なんですが、この第三者委員会に関して幾つか意見が出されたというふうなことを聞いておりますので、これは教育委員会でぜひ確認してほしいんですが、例えば、保護者の1人から、この5人のメンバーの中に、中立的な公正な機関だと言いながら元学校長がおるやないかと、学校長が委員の1人として就任してるということは、そちらの立場に立つんではないかという、こういうふうな疑問や疑念、それから公正なジャッジメントが下されるのかなというふうな意見が恐らく出されてたというふうに思います。
 この辺の、いきなり、立ち上がったばかりで、これから真相解明をしていこうというやさきに、この委員会の結果は何か信頼できへんの違うかというふうなことを保護者の方に──これは被害者じゃないですよ、保護者の方が感想をお持ちやということは、いささかスタートする時点で問題があるような気もします。問題があると思います。
 果たして、きっちりとした結論を出してくれるのか、迅速な調査に入ってくれるのか、こういうふうな疑念、不安も含めて、教育委員会には、この点、ぜひウオッチしていただきたいと思いますし、後ほど触れますが、市教育委員会が主導でやってるかと思いますが、県の動きというのが少し見えづらいように思いますんで、この辺、ぜひ取り組んでいただきたいということを申して、第三者委員会の立ち上げが非常におくれた要因、それから調査委員会のこれからの調査についてどうなんだというふうなことを教育長にお答えいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 第三者委員会の設置につきましては、当該市において3月に委員会発足の条例が可決されて以降、県外の弁護士会、臨床心理士会等に委員の推薦を依頼しておりました。この間、本事件の重要性を鑑み、早急に第三者委員会を設置するよう繰り返し働きかけてまいりました。しかしながら、設置に時間がかかったのは、依頼した団体等での委員の調整が難航したためとの報告を受けています。
 今後は、速やかに委員会が開催され、真相解明に向けて丁寧に事実確認や検証が行われていくものと考えます。
 県教育委員会としましては、第三者委員会の存在を重く受けとめ、先ほどのお話がございましたけども、そういうことも含めて、これからの動きをしっかりと注視してまいります。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 第三者委員会は立ちおくれた感がありますし、これ、この後、また触れさしていただくんですけども、今回の委員の人選については、多分田辺市のほうが、当然やと思うんですけど、主導でやって、県としては委員の選定とか人選にかかわることとか、例えば今お答えいただいたように、調整が難航してるんだけども、ここに関して、その難航した理由すら恐らくわかっていないのかなというふうに思いますが、なかなかコミットできていない状況であったのではないかなと思います。この辺の意思疎通とか、県の権限がどこまで及ぶかわからないんですけども、しっかりとこれは対応していただけたらというふうに思います。
 とは言っても、第三者委員会がようやく立ち上がりました。調査結果は、ぜひ迅速に調査をする、せめて事件発生から1年が経過するであろう12月ぐらいまでに真相究明は図っていただきたいかなというふうに思います。
 さて、県教育委員会は、市教育委員会との連携を密にしようということで、職員を昨年12月から派遣して取り組みをしているというふうに聞いております。ところが、生徒の保護者等と話をしている限りにおいては、信頼関係を構築するのに、事態は依然として余り進展していないようには思います。
 教育長からは、2月の定例会において、今後は真相究明に向け全面的に協力してまいりますというふうな答弁をいただいておりますが、精神的負担の軽減、それから、そろそろプライバシーの問題も出てきております。それから、在校生としての対応などの観点について、これまでのこの半年間の取り組みと、今後、県教育委員会としてどう取り組んでいくのか、教育長からお聞かせいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本事案が発生した直後から、学校指導課及び学びの丘の担当者が当該市教育委員会や学校に直接出向くなど、継続的にかかわるとともに、当該生徒や御家族にできるだけの配慮をしてもらいたいと当該市教育委員会に話をさせていただきました。特に、在校生へのカウンセリング等、心のケアにも努めてまいりました。
 県教育委員会としましては、今後とも、今議員御指摘のようなことも踏まえながら、当該生徒や御家族への配慮、学校への支援など、当該市教育委員会と一層連携を密にしながら積極的に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今の中で、いろんな取り組みをしてるということですが、具体的に、例えばこういうことがあった、こういうことがあったと、実はやってくれたということも僕も知っております。具体的に改善されたこともあり、向こうも感謝してる事案が幾つかございます。ここで触れるのはちょっと生々しくなるので、触れさしていただきませんが、やっていただいてることはやっていただいてることであると思います。ただ、できていない部分もあろうかと思います。そこらの配慮は、ぜひしていただきたいというふうに思います。
 ところで、御家族は、今、病院へフルタイム──フルタイムと言うたらおかしいんやけど、ほとんど付き添いの状態になっておりますし、それから、先ほどプライバシーの問題がという話もしたんですが、ここに来て、いわれのない批判とか、あるいはそれに伴う精神的な打撃というのもかなり来ているように、接した感じでは、あります。もう疲れというの、これは肉体的、精神的な疲れが限界に達してるんじゃないかなと思うところがあります。
 これ以上、問題を曖昧なまま長引かせてしまうと、御家族の方の精神的な負担、これは保護者、母親とか、そういう意味じゃなくて、御家族を含めて、かなり精神的にきつい状態にもっとなっていくんじゃないかなというふうに懸念されるところであります。御家族は、願いはたった1つだけ、一日も早く真相を突きとめてほしいという、そういうことだけであります。ですから、長引かせることのないように、しっかりと連携をしてほしいと思います。
 そこで、質問なんですけども、このように市立学校等で発生する事件に関して、県として、県教育委員会の役割や責任というのは一体どうなってるのかなと。責任の所在点、分岐点というか、ここまでは市、ここまでは県みたいな、そういったところがあるのでしょうか。そして、市立学校内で発生するような事件に対して、県と市教育委員会との例えば連携とか役割とか言うてますけども、どういう関係で、持ち分で対応しているのかどうか。
 もっと言えば、県教育委員会が市教育委員会に対して、こういう重要案件に対してはもっと強い姿勢で物を言えないんだろうか、現場に入れないんだろうかというふうなことも含めて、少しわからない部分があります。教育長にお答えをいただけたらと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 市とか町村の学校で発生した事案につきましては、基本的には、その学校を所管する市町村教育委員会が主体的に解決に向けて取り組むべきものでございます。
 しかしながら、教育委員会としても、指導・助言できるという権限がございます。その指導・助言できる権限のあり方について、私自身もいささか考えるところがございますので、この指導・助言できるという権限をどのように行使していくのか、特に、議員御指摘のように、いじめ等の深刻な事案につきましては、当該市町村教育委員会の主体性は当然尊重しながらも、その解決に向かっては、本当に積極的にかかわっていかなければならないというふうに考えてございます。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後の質問なんですが、今までの議論の中からちょっとおさらいすると、まず第三者委員会、これ、立ち上がったことは好ましいことなんですが、まず設置すると言ってから、いろんな調整が難航、多分これは先方の団体の要因にも起因するところがあるんですが、3カ月が経過しております。この設置は、やはり少し遅かったというふうな感じは持っておりますし、この被害に遭った生徒の保護者の話を聞いて、少し問題だと感じるようなところというのは、ここではちょっと触れませんが、あるように思いますし、それに対してのこれまでの対応はどうなのかなあと思うことも幾つかございます。
 特に、新学期が始まって以降、この4月以降は、保護者と学校との接触機会が少なくなっている、あるいは事件に関する意識が薄らいでいるようなところもあり、このままほっとかれるんじゃないかというふうな不安感も増してきているような気がしますし、繰り返しになりますが、精神的に少し不安定なところも出てきておりますから、ぜひこっちはしっかりとケアをしていただきたいというふうに思っております。
 これまでのこの問題の議論とか、あるいは昨日も同僚議員から、いじめに遭った生徒の作文の披露があって、読み上げていただきましたが、そういったことも踏まえて、今までの取り組みと、それから、これからどう問題解決に、真相解明に向けて取り組んでいくのか、これは知事が思うところがあればお聞かせいただきまして、まだ終わらないんですが、第2問を終わらしていただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、いじめは絶対許されることではないと考えております。今回の事件が起こってから、教育委員会には、当該生徒と御家族のつらく苦しい思いと真摯に向き合い、田辺市としっかり連携しながら、いじめがなぜ起こったのか、なぜ撲滅できていなかったのかということをきっちりと突きとめていくように話をしてまいりました。
 今回のような事件が起きると、全国的によくあることでございますけれども、いじめと自殺ないしは自殺未遂の因果関係ばっかりに目が行きまして、それで、これは他県の例ですが、教育長と思いますけども、その地位にある方が、いじめと因果関係の立証は必ずしもできませんとか、そんなことを言っとるというのは、私は好ましくないことだと思います。
 因果関係があろうとなかろうと、いじめがあってはいかんわけでありまして、そういうことを念頭に置いて、今回、第三者委員会が立ち上がることになったわけですが、第三者の専門的視点から公平・中立に事実確認と検証を行い、何も因果関係だけじゃなくて、いじめそのものについて大いにメスを入れてもらいたいというふうに思います。
 こういう検証結果を受けまして、県も、教育委員会も、それから田辺市も、力を合わせていじめのない学校づくりにしっかり取り組んでいきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後にお答えもいただきまして、県教育委員会のほうで、例えばきのうの緊急の保護者会の情報、例えば議事録とかを含めて、きのうやったということも、恐らくけさまでわかってなかったんではないかなというふうに思います。情報連携を密にとか、職員を派遣して連携をしている割に、連携がもう一つ悪いのかなあというふうに思いますし、県教育委員会に対して、こういう情報が、大事なことなのに上がってこないということに関しては、少し疑念もございます。
 ぜひ県として強い強い立場で──このことに関してはね。やるんやったらこういうことでやる、こういう結果があったんだということも知らしてもらわなければ、方向性を指導するとか言ったところでできないと思うんですよね、どこに問題があるかということを含めて。ぜひそういう姿勢で、残りの期間、これはしっかりと結論が出るまで見て、関与してほしいなというふうに思います。
 それから、御家族の方と会うと、やっぱり前回会ったときよりも今回、今回会ったときよりも次というふうな形で、精神的にやっぱりちょっとつらいことがあるのかなあとかなり思うところがあります。この気持ちを和らげてあげるために、地元、市教委も学校も行って話はしてくれてると思いますが、県教委さんは多分、行く行かんは別ですよ、直接お会いして話はしたことないかなというふうに思います。
 ぜひ、学校側の言い分も聞くんであれば保護者の言い分も聞く、これは第三者委員会の仕事に今後なっていくとは思うんですが、ぜひ両者の言い分を聞いて、何が本当のところなのか、何が必要なのか、そういうこともしっかりと把握して向かい合っていただくことをお願い申し上げまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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