平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


平成25年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第89号から議案第95号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案の提案理由を御説明申し上げます。
 今回、追加提案をいたしました議案は、いずれも職員の給料等の減額に伴う補正予算及び関係条例の制定であります。
 国の給与減額支給措置の要請に伴い減ずることとされた地方交付税の額に相当する人件費を削減するため、本年7月1日から平成26年3月31日までの間、知事及び職員の給料等の額を減ずるものであり、予算案件といたしまして、一般会計で37億2800万円余の減額、特別会計で5300万円余の減額の補正予算を計上いたしております。
 給与関係条例につきましては、議案第95号をもってお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(山田正彦君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第2、議案第75号から議案第86号まで、議案第89号から議案第95号まで並びに知事専決処分報告報第1号から報第4号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 22番冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告順に質問を進めさせていただきます。
 安倍政権が誕生して半年が経過しようとしております。デフレから脱却し、強い経済を取り戻すべく、政権発足当時、10兆とも15兆とも言われた需給ギャップ解消に向け、昨年度の補正予算並びに本年度当初予算に大幅な財政措置を講じ、本年第1・四半期における経済成長率はおおむね年率換算で4%上昇し、加えて、日銀の大胆な金融緩和策がそれまで塞ぎ込んでいたマインドの改善につながり、いわゆる財政金融政策の相乗効果で各種経済指標に大幅な上昇改善が見られるようになりました。ここ1カ月足らず、金融市場は乱高下を繰り返していますが、経済上昇の確かな過程にあるのは紛れもない事実であり、各種経済指標が示すとおりであります。
 昨年、前政権当時、まさに経済対策を初めとする無為無策の中で、国内の著名なシンクタンクが、このままでは2030年には日本のGDPは2分の1になると予測しておりましたし、さらに英国の経済雑誌の「エコノミスト」が、2060年の世界の主要国の経済状況を予想する記述に日本の記述がないと言われていました。まさに日本は記述するに足りない国であるという調査でありました。
 そうした予測や記述を振り返ると、前政権に比して現安倍政権は、経済再生に向け確かな歩みを続け、大きな成果を上げているのは事実であり、それゆえ国民の高い支持率につながり、実体経済が目に見えて上昇に向かう日もそう遠くないと見込まれていますし、期待をするところであります。
 さらに、先週末、政府は、経済再生に向けての3本目の矢と位置づけている成長戦略を閣議決定し、公表いたしました。その成長戦略の中にTPP協定参加が明文化、位置づけられております。TPP協定参加に向けての政府の強い不退転の意思表示であります。
 TPP問題は、前政権当時から賛否両論相まっての議論の中で決定が先送りされてきましたが、現政権は、本年2月の日米首脳会談において例外品目を認めるという米側の言質を得、与党内のTPP交渉参加の同意にこぎつけ、3月25日、政府はTPP交渉参加を正式表明いたしました。
 その後、TPP問題は余り議論されませんが、先日の成長戦略への位置づけから考えますと、極めて高い確率で、多少の障害を乗り越えても参加するだろうということが予測できます。2月の日米首脳会談において、普天間問題、北鮮の核問題とあわせて、主要テーマとしてTPP問題が論じられたのは容易に推測できます。TPP参加に向けての日本の環境づくりがなされたのであります。もちろん、米側にとっても、GDP世界第3位の日本が参加しないTPPは余り意味がないし、日本の参加のもとでのアジア戦略であろうと思います。
 いよいよ7月の交渉から日本が参加することになりますが──マレーシアで行われるようでありますが──交渉過程での情報や、それに基づく各省、とりわけ経産省や農水省の対応等が出てくると思われます。
 本県としても、TPP問題の重要性やその大きさに鑑み、その情報収集に努める必要があると思います。仁坂知事は、知事自身、独自の情報収集のルートもお持ちだと思いますが、情報収集体制の強化策を進めるべきだと思います。
 また、県において、TPPに参加した場合の本県農業への影響試算が以前に公表されておりましたが、これは23年の5月だったと思いますが、その当時は、日本を含めて10カ国での中、その後、カナダ、メキシコが加わることを表明しておりますから、ちょっともう一度その影響を精査、検討の上、負の影響の大きい分野への対応策や、そしてTPPが導入された後の本県の農業振興に向けての対応について、知事に一括して御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、これまで競争力の高い農業を目指すため、農業緊急戦略アクションプログラムに基づき、生産対策、担い手対策、農地対策などの具体的な施策を実施するとともに、農水産物、加工食品の販売促進アクションプログラムによる販売力の強化にも努めてきたところであり、高品質なオリジナル品種の開発、普及や新たな加工食品の開発、国内外への販路拡大など、一定の成果も出てきております。ただ、もっと一生懸命やっていかないかんというふうに思っております。
 TPPの件につきましては、従来、参加する場合、参加しない場合のプラス・マイナスを考えて、利害得失を考慮して考えるべきだと私は何度も申し上げてきました。政府としては、そういうことを全部考えて、全体として参加するほうがプラスと判断したと思われますが、その際には、これも何度も申し上げましたけれども、マイナスとなる分野、あるいは交渉の結果、どうしてもそういうことが余儀なくされる分野、そういうところに対しては必要な対策は講じていかないかんというふうに思っております。
 現在、TPP関連情報については、農水関係、それから商工業関係、貿易関係、いろいろあるもんですから、企画部を総合窓口といたしまして収集に努めているところでありますが、御指摘のように、ふんどしを締め直して、これも強化していかないといかんというふうに思っております。
 今後、これらの情報をもとに本県への影響について十分精査をいたしまして、マイナスの影響が想定される農業分野については──特に農業分野については、その支援策を国に働きかけるとともに、県としても対策を検討する必要があると考えております。
 特に、成長戦略の中で示された農地集積の促進、6次産業化の推進、農産物の輸出拡大等については、本県にとっても、当初申し上げましたように、重要かつ緊急的な課題と考えておりますので、今後、国の具体的施策を注視、研究するとともに、県としても攻めの農業に積極的に取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 今、知事から答弁をいただきました。私は、TPP、これはもうある意味では、通商国家として今日まで歩んできた我が国にとって、グローバル化の変化の激しい中で避けて通れない問題であろうと思いますが、ただ、参加した場合、あらゆる分野が予想以上に私は激変してくると思います。そうした中で、やっぱり和歌山県というのは、まさに農業も大きな産業でありますから、この分野を次なるステージでどういうふうに持っていくか、もう一度やっぱりフラットなステージで考えて、次なる展開をしっかりと描きながら、本県農業が確かな成長を遂げれるような対策、指針をぜひつくっていただけますことを要望しておきたいと思います。
 次に、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律が成立いたしました。この法律の施行に伴う点、いろんな施行を進めていく上での数点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 平成17年に中央防災会議が定めた地震防災対策目標に、住宅及び不特定多数の人々が利用する建築物の耐震化率を平成27年までに9割にすることが定められておることや、南海トラフの巨大地震等の被害想定で、最大クラスの規模で地震が発生した場合、東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害の発生が確実視されることに鑑み、本年5月、国会において、大規模な地震の発生に備えて建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、地震に対する安全性が明らかでない建築物の耐震診断の実施の義務づけや耐震改修計画の認定基準の緩和等を骨子とする建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律が成立し、いよいよ本年11月より施行されることになります。
 この法律が施行されますと、平成27年までに、不特定多数の人々が利用するホテル等の宿泊施設や病院等の大規模建築物の耐震診断の実施と診断結果の報告が罰則つきで義務化され、県に診断結果の公表が求められることになり、本県の観光業を営むホテル、宿泊業者の皆様方にとって、長引くデフレ下でもう経営体が大変傷んでおる中で、その存続に向けて越えなきゃいけない大変大きいハードルになります。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。この法律の周知徹底に向けての取り組みをどう進めていくのか、まずお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 法律の改正につきましては、議員御指摘のとおり、耐震性の向上を促進するため、規制強化などを目的として行われたものですが、県としては、庁内に関係部局から成るプロジェクトチームを組織し、法改正への周知や対応を検討しております。中でも、大規模な宿泊施設につきましては、観光部局と連携して施設の所有者などを個別に訪問し、意見交換を実施しているところであります。
 今後は、政令及び省令の施行を待って対象施設を確定した上で、所有者に対して耐震診断の義務化対象施設である旨の通知を行う予定となっております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 今、法律の周知徹底の仕方について、担当部長から説明をいただきました。
 次に、この法律の対象となる県内の建築物はどれくらいあるのだろうか。例えば、業種別的に現在把握している範囲内で結構でございますから、公表願いたいと思います。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 現時点で、国の説明をもとに県が想定している対象施設は、県内に約60棟ございます。そのうち、ホテル、旅館は約30棟、物販店舗は約10棟、病院、幼稚園、老人ホームを含むその他の施設は約20棟となっております。今後は、国の動向を踏まえて、できるだけ早期に対象施設の把握に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 ホテル、宿泊施設が30棟ぐらいあるという報告をいただきました。この施設は、本県の観光業振興に向けて資する施設であります。これを何とかやっぱり存続させる方策を講じていくことが和歌山県の観光を推進していく上で極めて大事であると思いますが、事業体はもう本当に経営が大変傷み切っておると思いますので、そこで、この耐震診断並びに耐震改修に要する費用に対して、県の助成を知事はどのように考えておるのか、あるいはもう全くしないというのか、その辺を御答弁いただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の法律改正は、観光立県である和歌山県にとって非常に影響の大きい内容であると認識しております。とりわけ、どちらかというと古くからの観光立県でございますので、耐震基準のないときのホテル、旅館なんかも結構あるということで、しかもそれが大変な集客施設になってるわけですから、大変な影響があると思います。
 そのために、地域経済に大きな影響があるホテルとか旅館などについて、国に対して診断結果の公表時期とか、あるいは方法の柔軟な対応とか、あるいは国の補助制度の期間延長などの要望を行ったところなんです。すなわち、まだ対策も進んでないときに無理やり過酷に公表を迫るなど、そんなことはやめてもらいたい、それから、経営も大変苦しいので大変な出費を強いられる業者さんをぜひ助けてほしいと、そういうようなことを申し上げております。
 その結果、国土交通大臣からは、公表の方法とか時期については地方の判断を尊重すると、それからまた、国も助けるから県も助けてやってくれというような御意見もいただきました。
 今後、ホテル、旅館などの施設の所有者からいただいたさまざまな意見も踏まえ、国の制度を活用しつつ、県としても積極的に支援してまいりたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 知事から、積極的に支援していくという答弁がございました。観光を推し進めていく上で、こういった施設の存続というのはまさに不可欠であります。ぜひ、センシティブに対応していただきますことをお願いしておきます。
 県では、木造住宅については、早い時期からその耐震化への取り組みが、促進計画等を立てて目標を設定して、また補助制度等を充実したり、あるいは市町村と一体となって普及啓発活動を展開して、かなりの効果を上げていると私も聞いておりますが、現時点での達成率というのはどれぐらいなのか。この機会に担当部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 和歌山県耐震化促進計画において、平成27年に耐震化率84.2%を目標にしており、平成20年の推計値では70%となっております。
 これまで、県では、耐震診断、設計、改修に対する補助制度を設けるとともに、高齢者の方などへ無料で専門家を派遣するサポート事業を実施するなど、制度拡充に努めてまいりました。あわせて、県内各地で県政おはなし講座や耐震説明会を実施し、制度の周知も進めた結果、昨年度、耐震改修の実績は過去最高の181件となっております。
 今年度につきましては、国の制度拡充に伴い、従来の耐震改修補助に加え、今年度に限り、さらに最大15万円を上乗せし、県内の設計士や工務店向けのセミナーにおいて制度を周知することで一層の耐震化促進を図っているところでございます。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 ぜひ、担当部におかれましては、100%達成に向けて──100%は無理かもわかりませんが、さらなる御精励をお願いしておきます。
 次に、ラジオの強靱化についてお尋ねをいたします。
 この問題については、明日、鈴木議員からも大体同趣旨の質問がされると思います。それほど、この問題は、やっぱり災害対策として重要だということを御認識いただきたいと思います。
 一昨年の東日本の大震災、津波の発生により、配電設備はずたずたに壊され、各種通信機能が途絶える中、被災者への情報伝達手段として携帯ラジオの優位性が再認識されたところであります。近い将来、南海トラフで地震の発生が懸念される中、東日本の大震災発生時の教訓に学び、防災対策の一環として、大規模災害発生時の被災住民の皆様方への情報伝達手段としてラジオの位置づけが必要だと思います。
 防災対策としてのいわゆるラジオの強靱化についての知事の所見をお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ラジオは、停電のときでも乾電池で動きますし、避難時に容易に持ち運べることから、実際に東日本大震災とか紀伊半島大水害でもラジオは情報源として高く評価されたところであります。
 災害時に重要なことは、県民の生命、財産を守るための情報を伝えることでありまして、ラジオ通じるプランの中で、情報伝達の複層化や1局以上のラジオが必ず聞けるように取り組んでいるところでございます。
 そのような中、中継局などの送信ネットワークの整備など、防災対策としてのラジオ強靱化は非常に重要であると、議員御指摘のように考えております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 時折しも先月、我が国の放送行政の、実質、事務方の最高責任者ともいうべき総務省情報流通行政局長の吉崎さんの講演会に参加させていただく機会がございました。ちょうど知事も御出席されておりましたし、同僚の中議員も出席されておりました。
 吉崎氏は、おおむね1時間余りにわたって、「放送のこれから」というタイトルで、現下の放送を取り巻く環境や国の放送行政の今後の取り組み方針等について講演されましたが、その中で、東日本大震災の発生当時、住民の皆様方が情報取得に利用した手段はラジオだったことも明らかにされました。
 また、災害発生時、平時利便性に大きく寄与する携帯電話やインターネット等の情報伝達手段としての限界についても言及され、あわせて、また近年、インターネット等の急激な普及でメディア形態が激変する中で、広告収入減によるラジオ放送事業者の経営の厳しさというものも数字で説明、示されました。ラジオの強靱化に向け取り組むには、財源対策として、国、県、市町村の協力の必要性を強調せられ、ラジオの強靱化推進の先進県として本県の取り組み提案もございました。
 国におけるラジオの強靱化に向けての取り組み状況を調べましたところ、既に二階代議士が会長を務める自民党国土強靱化調査会では、防災・減災インフラ整備とともに、放送ネットワークの整備の必要性を大きく位置づけており、当調査会の位置づけを受けて、総務省内に放送ネットワークの強靱化に関する検討会が2月に設置され、数回に及ぶ検討会での議論の結果、5月末に中間報告が取りまとめられ、公表済みであります。
 その取りまとめられた中身の骨子は、難聴対策、災害対策として、AMラジオ放送のFM波利用を可能とする送信所整備の必要性と、ラジオ放送事業者の厳しい経営状況も踏まえ、自治体とラジオ放送事業者の連携強化であり、具体的には、県においては、県域ラジオ放送による自治体情報提供の一層の推進等によるラジオ放送事業者が事業展開を行いやすい環境整備を進める観点から、関係者のコンセンサスが得られたものについては、特定の地域を対象としてのラジオ強靱化に向け、モデル事業として国が支援することになっております。
 この中間取りまとめが、先週末に閣議決定され公表されている骨太の方針に盛り込まれており、来年度予算に計上される見込みが私は大きいと思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 難聴解消に向け、新たな中継局の整備が必要となりますが、これを進めていくとなれば、その財源対策をどのように考えておられるのか。もう事業体にはその能力がないということが、この間、吉崎さんの説明でもわかりましたので、その点について知事に答弁を求めます。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中継局の整備には、御指摘のように多額の費用が必要であります。地震に強い、あるいは老朽化に対応する、そういうAM局をつくり直すと、えらいお金がかかります。FM局でFM波を利用した場合は、もうちょっと費用が少なくなると思いますが、それでもAM局がFM局にかわるためには、たくさんの電波を送る装置が必要になってまいります。
 そのため、放送事業者がみずから中継局の整備に取り組むことが困難な場合には、何らかの観点、特にこの場合は防災・減災の観点から、行政による一定の支援も必要ではないかと思われます。
 そのため、国に対して、平成26年度国の施策及び予算に関する和歌山県の提案・要望を実施し、中継局など送信ネットワーク整備におけるラジオ放送事業者の負担軽減を図るため、財政措置を含む支援制度の創設を国に要望したところでございます。
 今後、国による支援制度が創設された場合は、県としても、県内のラジオ放送事業者と調整を行いながら市町村とも連携して、支援制度を積極的に活用し、検討していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 来年度の予算要望にも位置づけられておりますんで、知事、県としてはこれを推し進めるという姿勢だと私は捉えますし、そのとおりだと思います。
 ただ、県が進めていく中で、やっぱり市町村の意識というのも、これはもう防災対策も同じであります。まさに、フロンティアの地域の意識というのも一緒に持っていかないと効果が上がりませんので、来年度予算にこの概算要求、いよいよ夏から始まるわけでありますが、そうした見込みがつき次第、やっぱり関係市町村との連携強化をしっかりして、防災対策としてラジオの強靱化に向けて進んでいただきますことを要望しておきます。
 引き続いて、近年、原油価格が随分高騰しております。私の議席を担当する日高地方というのは、施設園芸農がもう長い間、ずっと盛んであります。そして、この施設園芸業に従事する人というのは、まさに中核農家、日高農業の屋台骨を背負っておる方々ばかりでありますし、この人たちが健全に経営が成り立ってこそ、やっぱり地域コミュニティーも健全に機能しておる。そういうことに鑑みまして、今日の原油価格の高騰というのは、施設園芸農家の経営を大変圧迫しておるわけであります。
 この当初の2月議会の予算委員会で、知事に、これは従来の補助基準あるいは公平性等々を土台にして考えれば多分成り立たん話だから、政治家としての知事の決断を求めたところ、知事は「一回検討してみます」という御答弁をされました。通常、政治家の「検討する」というのは、そっとおいておこうという答弁でありますが、知事の性格からしますと、これは必ず検討していただけるもんと私は確信をいたしておるところでありますが、昨年の年末、12月ぐらいから、もう温度が下がって需要期に差しかかりました。いよいよ、ことしも12月から、昨年と同じような気候状況であれば需要期に差しかかるわけであります。
 もうそろそろ、この議会で決断をしていただかないことには、制度設計もありますし、財政措置も必要だと思いますんで、その点について、知事に懇願を込めて県単の助成制度創設を求めたいと思いますが、御答弁をお願いします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 燃油価格の高騰は、コスト上昇分を農産物価格に転嫁できない状況の中で、経営費に占める燃料費の割合が高い施設園芸農家に深刻な影響を及ぼしていると承知しております。
 このため、国の24年度補正予算で創設された施設園芸セーフティネット構築事業における農家負担割合の軽減や燃油使用量15%以上削減要件、こういうものの緩和などを政府に対して要望しているところであります。また、県単独事業でございます野菜花き産地強化事業により、多重カーテン装置とか循環送風機等の省エネ機器導入費用に対し、3分の1を補助しているところであります。
 今後も、引き続き国に対する要望活動を行うとともに、農家の経営状況やニーズ等を踏まえて、県が行っている支援のほうももう少し強化すべきかどうか、よく検討してまいりたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 知事には、少し踏み込んだ答弁をいただきました。私は、今御答弁いただいた内容では十分でないと思いますし、今まさに激変する中で、過去の補助基準とか、あるいは公平性を論じて、これがうなだれてしまったんでは、もう何の県政かということを鑑みますとき、もう少し踏み込んでいただきたいなという思いもいたしました。
 しかし、先週末、閣議決定された骨太の方針に、非常に県の財政を圧迫するようなことも書かれております。2015年までには赤字幅を半分にする、2020年には黒字化する、いわゆるもう国債を出さないようにしていくということを考えますと、来年度ぐらいから大幅に交付税も切り込まれるんじゃないかなということを考えますとき、県の財政も本当にそうゆとりもあるわけじゃないんですんで、私もお願いする立場でありながら、知事の気持ちを考えますとこの程度かなと思いますが、今後の展開次第によっては、さらなる踏み込みをまたお願いすることになると思いますので、その点もあわせてお願いをしておきまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。

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