平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。少しずつ春めいてまいりました。本日、もう最終日ということで大変お疲れのことと思いますが、御清聴よろしくお願いいたします。
 議長にお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 本日は、まず、観光振興にSLを走らせようというふうな提言をしたいというふうに思います。
 地域とJRグループの連携による全国大型観光キャンペーン「和歌山デスティネーションキャンペーン」が平成26年度の秋に展開される予定になっています。世界遺産10周年という記念すべき年でもあり、県としてもかなり力を入れているとお聞きをしています。
 このデスティネーションキャンペーンは昭和53年から開催されており、第1回はこの和歌山県で行われ、「きらめく紀州路」というフレーズでの開催でありました。このフレーズは、今でも和歌山に根づいており、懐かしく思われる県民の方も多いと思います。
 今回のキャンペーンは「和み」がテーマとお聞きしています。本日は、このキャンペーンにぜひともSL(蒸気機関車)の運行を盛り込んでいただくよう提言するものであります。
 SLは、現在、日本全国11カ所で運行されており、西日本では、SL北びわこ号が北陸線の米原から長浜、木の本間を季節運行しています。また、先月、名古屋市のあおなみ線でも試験走行が行われ、多くの人でにぎわったと聞いています。
 この2カ所で運行されたのは、C56型、愛称「シゴロク」または「ポニー」と言われている小型軽量テンダー式蒸気機関車と呼ばれる機種であります。現在は、京都梅小路蒸気機関車館で動態保存され、現役で活躍しています。
 本日、ちょっと議場のほうにお持ちしたのは、これはその北びわこ号が運行している様子であります。(写真を示す)こういう写真を撮るのが大変好きな方がたくさんおられるようで、これもお借りをしてまいりました。ちょうど、こういうふうに琵琶湖の山を背景に走行しているのがよく撮られていると思うんですが。
 北陸線を走るSL北びわこ号の運行に伴い、どのような経過や経済的効果があるのかを滋賀県庁に、名古屋市の試験走行の取り組みについて名古屋市に調査に行ってまいりました。
 この北びわこ号については、もう大変歴史が古くて、平成7年から運行されており、当初は30日間の運行であったものが徐々に形を変え、現在は季節運行ということで、ここ5年間はほぼ1万人程度の乗客数ということであります。しかし、これはあくまで北びわこ号の乗客数で、北陸線全体の数をお聞きしたところ、運行当時、1日当たり8165人の乗客数であったものが、その後、平成23年度には9366人ということで、毎年増加をしているとのことでありました。
 また、観光客の入り込み数も、この湖北地方は滋賀県内の各地域に比べ突出して増加しており、SL運行前は500万人程度の観光客であったものが、現在およそ1000万人前後で推移しています。
 江・浅井三姉妹博覧会が開催された平成22年度には、1200万人を超える観光客を迎えたということで、このSL北びわこ号の経済的効果は存分に発揮されていると考えます。
 次に、名古屋市を走るあおなみ線のSL調査をいたしました。今回は試験走行ということで、2月16日から17日の2日間に5往復の日程で運行されました。乗客1200人の募集に、何と12万人もの人が応募をしたということで、SLの人気と関心の強さがうかがえます。
 走行の様子も見てまいりました。ささしまライブ24という駅近くの広場が観覧場所となっており、ステージや鉄道グッズの販売もあり、鉄道写真家の皆さんや家族連れで大にぎわいでありました。名古屋駅周辺のビル群の間を白煙とともに汽笛を鳴らしながら走ってくるSLを見たときには、私も胸がどきどきするような興奮を覚えました。新聞によれば、2日間で観客数は1万5000人であったと発表されていました。
 和歌山県は、おととし、紀南地方を中心に大きな災害に見舞われました。その復興には、知事を先頭に県当局も頑張っていただきましたし、市町村や地元の皆さんにも大変御努力をいただいております。ボランティアの皆さんの活動にも頭の下がる思いでありました。しかし、今はまだまだ復興には課題もあると考えています。
 来年の地域とJRとの連携によるデスティネーションキャンペーンは復興への大きな起爆剤になると確信しているのですが、世界遺産10周年という時期に合わせてSL走行が実現できれば、倍以上の大きな効果を上げられると考えます。
 ただ、SLの走行の実現には、JR等関係者に伺ったところ、安全面や経費の面でも多くの課題があるとのことでしたが、SLのような鉄道に関連するイベントは、本県においては和歌山電鐵貴志川線の例でも明らかなように、周辺地域を広く巻き込んで地域の活性化に大きな効果をもたらすことは証明されています。ぜひ、地域活性化の切り札として、SLの試験走行に取り組んでいただきたいと考えます。
 また、現時点での走行が難しいのであるならば、継続的に検討していただきたいと考えますが、商工観光労働部長に御見解をお聞きしたいと思います。
 さらに、先ほど述べたように、今回のデスティネーションキャンペーンでは、さまざまな鉄道の魅力を活用したインパクトのある内容を進めていただきたいと考えますが、現在の取り組み状況について、同じく商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(山下直也君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 初めに、和歌山デスティネーションキャンペーンに合わせたSLの試験走行についてですが、SLの試験走行について、JR西日本と協議を行ったところ、試験走行には、まず車両の確保、さらに車両を所定の場所からディーゼル車等により牽引する必要がありますが、その前にレールや橋梁が走行に耐え得るかといった事前調査が必要であり、調査の結果、問題があれば問題箇所を改修しなければならず、改修の程度によれば多額の費用がかかる場合もあるとのことです。
 また、走行が可能になった場合も、安全対策として走行区間内での多数の警備員の配置などに要する経費も多大と聞いております。
 SLの試験走行によって、議員御指摘のとおり地元に及ぼす経済効果は見込めると思いますが、多大な経費がかかることが予想され、費用対効果などの面から、短期間のイベントとしての試験走行は難しいと考えておりますが、引き続きJR西日本とその可能性について協議してまいります。
 次に、和歌山デスティネーションキャンペーンにおける鉄道を活用したイベントについてですが、SLの試験走行は先ほど申し上げたとおりですが、現在、SL以外の特別列車の運行についてJR西日本と協議を行っているところです。
 具体的には、他府県の例を見ますと、サロンカーや御当地をイメージさせるイラストなどが描かれたラッピング列車といった内装、外観がユニークな列車や、引退した懐かしの列車などを運行した実績があり、こうした特別列車は、鉄道ファンや旅好きの方にとっては人気のイベントで、発売直後完売の列車も数多くあるとJR西日本から聞いております。
 本県でも、和歌山デスティネーションキャンペーン期間中における特別列車の魅力ある運行を実現するため、引き続きJR西日本と協議を重ねてまいります。
 また、特別列車の運行を周辺地域の活性化につなげるため、市町村や観光団体はもちろん、地域住民の方々とともにさまざまな企画や事業を練り上げていくことによりイベントの機運を盛り上げ、インパクトのあるものにしてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 当局としては特別列車の運行を考えているということで、SLの試験走行については、可能性について協議していくというふうな答弁でありました。
 鉄道ファンというのは議員さんの中にもおられますし、知事も鉄道ファンというふうに御挨拶で聞いたことがあるんですが、皆さんが思っているよりも大勢いらっしゃるようであります。
 先ごろ、新宮駅で行った旧国鉄時代のくろしお号を走らせるイベントも大いに盛り上がったと聞いております。来年秋に行われるデスティネーションキャンペーンにおいて、どのような列車をどの区間に走らせるかといった県のコンセプトをしっかり主張していただいて、県下各市町村や関係団体、それから旅行者や地域住民を巻き込んだ精力的な取り組みを要望しておきたいと思います。
 次に、福祉の視点を導入した行政施策についてお伺いしたいと思います。
 日本の社会の中には、労働市場から排除されやすい、また、働くことの困難さを抱えた方が多くおられます。障害をお持ちの方々、その中でも知的障害や発達障害、自閉症などで対人関係がうまくいかない方もいらっしゃいます。また、ひきこもりやニートなど、社会に適応できずにいる方々や、母子家庭など働きたくても子供を抱え思うように就職ができないといった方々もおられます。
 高齢者の方々や障害者手帳を持たないけれども日常生活を送る上ではさまざまな支障を来してしまう方々など、働きたいけれども働く場から締め出されてしまうといった方々がたくさんいらっしゃるわけです。
 今までは、それぞれの問題として個別に考えられてきたことに対し、人権や福祉の視点を取り入れながら、行政の中で雇用や就労の機会を創出し、自立を支援する取り組みが今こそ求められていると思います。
 私は、これまでも障害者や社会的に弱い立場にある方々の自立支援について、以前より強く関心を持ち、議会でもたびたび取り上げてまいりました。
 まず、障害者の就労状況について言うと、平成20年1月に厚生労働省から発表された身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査結果、これは平成18年7月1日現在で、就労可能年齢が15歳から64歳までで、身体障害者手帳、療育手帳または精神保健福祉手帳所持者において調査を行ったものですが、これによると、身体障害者134万4000人のうち就業率は57万8000人で43%、知的障害者35万5000人のうち就業者は18万7000人で就業率は52.6%、また、精神障害者35万1000人のうち就業者は6万1000人で17.3%でした。障害者全体では40%しか就労しておらず、その内訳も福祉就労、内職などとなっており、企業等の常用雇用は全体の16%という実態であります。このように、障害者の就労率は2割に満たないものになっています。
 また、知的障害をお持ちの就業者は、特に作業所や授産施設などの福祉施設に通所する方が60%を占め、1カ月働いても賃金が5000円にも満たない作業所や授産施設などもあります。福祉施設から一般就労への移行も、なかなか進まない状況であります。このような実態は、なかなか改善されません。
 法定雇用率を見てみると、厚生労働省が発表している和歌山県労働局管内民間企業の平成24年度6月1日現在、障害者実雇用率は1.89%、法定雇用率達成事業者は60.6%であります。法定雇用率を達成しているとはいえ、平成21年6月の2.02%に比べると減少傾向であり、達成割合も60%前後とほぼ横ばいで推移しています。
 このように、障害者雇用に限ってみてもさまざまな施策に取り組まれておりますが、効果が実感できる状況になっておりません。法定雇用率が本年4月から2%に改定され、対象事業所の範囲も拡大されることから、県としてもう一歩踏み込んだ取り組みが求められています。
 例えば、本県においては、障害者問題は障害福祉課で、高齢者問題は長寿社会課で、母子家庭支援は子ども未来課でというように、縦割りの施策にはおのずと限界があるということだと思います。
 行政の全ての分野に福祉や人権の視点を取り入れ、行政が主体となって雇用を創出しているという大阪府の行政の福祉化推進プロジェクトについての調査を行ってまいりました。これだけではどういったことかわかりにくいと思いますが、一言で申し上げるなら、行政の持っている権限を福祉のために最大限に活用するという、そういう感じでございます。
 大阪府では、雇用情勢が厳しさを増し、とりわけ障害者や就職困難者をめぐる雇用状況が切迫する中で、平成15年度より、官公需発注の大規模施設の清掃等業務発注の評価項目に障害者や母子家庭世帯の雇用を盛り込んだ総合評価入札制度をモデル的に導入してきました。官公需発注の大規模施設の清掃では、当初は2施設だったものを順次追加し、現在、10施設について適用しています。障害者雇用数も、知的障害者14人から現在は58人となり、就職困難者──母子家庭や高齢者など──の雇用も、最初は9人だったものが現在は70人から100人程度を雇用しているといった状況であります。
 平成15年度にモデル事業として導入された福祉の視点を考慮した総合評価制度というのは、入札制度の評価の中に福祉への配慮という公共性を盛り込み、価格や技術点と同じように福祉への配慮を点数化し、総合的に評価、入札したものであります。障害者を何人雇用しているのか、就職困難者を雇用しているのか、母子家庭世帯であるのか、常勤か非常勤か、勤続年数なども含め、福祉点として評価点に反映させる仕組みであります。
 導入当初、清掃業務等の発注に導入された施設は大型施設の2施設だけでありましたが、その後、総合評価制度による入札を行う施設を拡大しています。
 平成24年度3月時点では、大規模から小規模まで21施設に150人の雇用、指定管理者制度に64施設168人の雇用など、具体的な成果を上げております。これは、公共性評価の中でも福祉への配慮を点数化していく仕組みが全庁挙げてつくり上げられてきたことが大きな要因であります。
 また、その後、総合評価制度は、清掃業務だけではなく、公共事業発注、物品購入の際などにも適用・拡大されています。
 現在もなお、大阪府における府政のあらゆる分野において、福祉の視点からさまざまな施策を総点検し、住宅、教育、労働などの各部局の連携のもと、施策の創意工夫や改善を通して、障害者や母子家庭世帯、高齢者、就職困難者の就労機会の創出や自立支援に取り組む、いわゆる行政の福祉化が進められています。
 また、官公需発注に際しての障害者雇用、就労支援の検討、緊急雇用創出特別基金の活用、既存施設の福祉活用、公務労働分野における障害者等の就労支援、今後の推進体制について、積極的に取り組みを進めるとのことであります。
 本県では、人権施策基本方針で、同和問題を基本にあらゆる人権侵害について、啓発や相談体制についての施策は詳しく示されているのですが、最も困難な就労については、行政の果たすべき役割や具体的な取り組みが示されていません。
 自立支援と就労を保障する取り組みの中へ福祉への配慮を取り入れ、具体的な形で施策に反映するような取り組みが求められています。県政の施策に創意工夫や改善を行い、障害者を初めとした社会的に弱い立場にある方々の自立を支援していくための仕組みづくりが必要だと考えます。
 そこで、お伺いします。
 和歌山県では、施策を福祉の視点でもう一度総点検し、全庁で障害者や母子家庭世帯、高齢者など、社会的に弱い方々の自立と就労への政策を検討するための検討会を立ち上げていただきたいと考えます。
 この中において、それぞれの部局で取り組んでいるさまざまな施策について、全庁で認識を共有しながら、総合評価の検討なども含め話し合うことで、和歌山県として自立と就労につながる福祉、そして人権への取り組みを進めていただきたいと考えるものでありますが、福祉保健部長に御見解をお願いします。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 本県では、これまで障害のある人や母子家庭の母など、就職困難な方々の経済的自立を支援するため、関係部局や和歌山労働局と連携してさまざまな事業に取り組んでまいりました。
 具体的には、障害のある人については、障害者就労支援計画に基づき、一般企業等への就労意向や障害者就労施設における工賃水準の向上を支援してきたところです。
 また、母子家庭の母については、母子家庭等就業・自立支援センターを設置し、就業相談や職業紹介の実施、資格取得や高等技能訓練に関する支援を行ってまいりました。
 そのような状況の中、本年4月から障害者優先調達推進法が施行され、地方自治体に障害者就労施設等の受注機会の増大を図るための努力義務が課されることになりました。
 県としても、働く場や仕事の確保に向けた支援の充実が必要であると認識してございます。
 今後は、これまで実施してきた取り組みの充実強化を図るとともに、議員御指摘の公共発注等にかかわる分野を含む関係部局との検討の場を設け、就労困難な方々の就労機会の拡大に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
 今後の取り組みの充実強化を図るとともに、公共発注等にかかわる分野を含む関係部局との検討の場を設け、就労困難な方々の就労機会の拡大に努めていただくという答弁であります。
 公共発注等にかかわる分野も含め、検討の場を設けていただくことは、全庁的な取り組みの第一歩になると考えます。
 今後は、入札契約業務に人権の視点を検討していただき、障害者や就職困難者の雇用や就労機会の創出、自立支援につながる取り組みをぜひとも進めていただきたいと思います。
 また、障害者優先調達推進法も、25年度、もうこの春からスタートします。それも含め、今後の取り組みの進捗状況については次の質問の機会にしたいというふうに思います。
 次に、風力発電の影響による健康被害についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 昨年の2月議会でも、この議場で低周波音被害の質問がありました。
 私が同じようにこの低周波音被害の問題に関心を持つようになったきっかけというのは、小学校のころから知っている知人が風力発電による低周波音の被害を受けて、その相談に来られたからであります。
 彼女は、結婚して海南市下津に住まれておりまして、果樹園を営みながら3人のお子さんを育て上げました。自宅から1キロ先に風力発電が設置され、それから体調の不良を感じるようになったとのことでした。目まいとか倦怠感とか脱力感などにさいなまれて、普通の生活ができなくなるぐらいの症状に苦しめられたとのことです。
 お医者さんに行っても原因がわからずに、対症療法として薬を処方してもらっても、体調のほうは一向によくならなかったそうです。余りのしんどさに家族に訴えましたが、わかってもらえず、最後には怠け者のように扱われて、いたたまれず、結局、実家のほうに帰ってきたと話されていました。
 実家で暮らすようになってからは体調も戻り、元気に生活できていると話していましたが、夫とはその後、離婚に追い込まれ、それまでの生活を全て捨てなければならなくなってしまいました。
 原因がわからないため、医者に行っても治療ができず、苦しみ抜いた末、どうも風力発電が原因ではないかとの結論に至ったと話されていました。
 風力発電は、自然エネルギーの利用ということで、将来に期待が持てるエネルギー資源であります。私も、その推進には期待しているところでありますが、そのためにも風力発電が原因であろうという被害に対してきちんと向き合い、対策を講じていく必要があると考えます。それは、今後、自然エネルギーの利用を最大限に行っていくためにも必要なことであります。
 行政というのは、1人1人の訴えには、個人の問題であると、なかなか耳をかさない面もあります。
 それは私の知人の例でしたが、もう1つ、ほかの地域の状況を紹介いたします。
 これ、本日提出している地図であります。(資料を示す)これは、風力発電の所在を星印で、被害が出ているといったおうちを丸印で記したものであります。これは体調が悪いと被害を訴えている方が自分で調べたというふうな、すごく個人的に調べた調査でありますが、こういうふうな被害状況が出ております。
 これは由良町の風力発電による被害者宅の分布図ということで示させていただいたんですが、風力発電を考える会・わかやまの皆さんというか、実際に被害に遭われた方が実際に聞き取りを行って、体調不良を訴える方々の自宅を地図に落としたものだというふうにお聞きしています。
 広川明神山風力発電所1000キロワット16基に加えて、2000キロワット5基の由良風力発電所が尾根に設置されていますが、この麓にある谷に沿った形で被害が出ていることがわかると思うんです。おととしの12月に2000キロワットのこの5基が稼働されるようになって以降、被害が顕著になっているとのことでありました。
 環境省のほうも、ようやく風力発電施設による騒音・低周波に係る検討を始めました。平成25年度に新設する場合のガイドライン、既設も含めた法制度の検討が行われることとなっています。特にアセス時の評価値について、中央環境審議会騒音振動部会に諮問されるという段取りであります。
 しかし、ここで注意しなければならないことは、その参照値の閾値であります。
 2004年6月、環境省から「低周波音問題対応の手引書」が発表されています。この中では、G特性の参照値は92デシベルだとし、これ以上の場合は低周波音の問題があるとされています。
 ちなみに、このG特性というのは聞きなれないんですが、音圧を測定する際に使われている値で、低周波音の評価をするための測定値の1つだということです。
 しかし、さきに述べた海南地域における被害を訴えている皆さんの測定値は、それ以下の数字であり、手引書の言う参照値を適用されると、被害を訴えたとしても個人の苦情であるという扱いになってしまいます。この92デシベルというのが、それ以下だったら被害はないだろうということになってしまうということであります。
 本末転倒だというふうに思います。参照値によって被害者の救済が左右される、しかもその参照値の根拠は科学的、医学的な治験をしたものではなく、参照値以下では被害はないと証明されたものでもないようです。また、ある関係者からは、被害地域のG特性には、ほかにはない特徴があるとの情報も得ました。
 このようなさまざまな情報が存在するというのも、この風力発電施設からの低周波音被害は今までに経験したことのない新たな分野だからであります。それだからこそ、具体的に被害を訴えている場所で測定したG特性の測定値も十分勘案した実効性の高いものを参照値にすべきだと考えます。
 国の法制度が整わないからといって、県として手をこまねいていては困るわけです。県は県民の命を守る責任があります。ことしの主要施策が安全・安心ということからすれば、特に県民の被害状況調査をいま一度しっかりと行い、対策を講じなければならないと思います。
 まず、今、被害に遭われている方の声を真摯に聞くことだと思います。次に、その原因は何なのかといった観点で調査を行うべきだと考えています。
 そこで、本日提示している地図にあるような健康被害の実態をどの程度把握されているのか。また、私には、被害を訴えている皆さんの声はうそとか虚言とは思えません。まず、実態調査を早急に行う必要があると思いますが、いかがですか。福祉保健部長にお伺いします。
 さらに、風力発電に由来する被害は、これまでもマスコミ等でも取り上げられ、低周波音がどうも原因であるだろうと考えられています。県では、海南地域において、既に低周波音の調査をしていると伺いました。その調査結果を国にデータとして示し、新たに示されるであろう何らかの基準が被害者の皆さんの救済に使われるよう働きかけていただきたいと考えます。
 また、由良地域においては日本気象協会が既に調査を行ったと聞いておりますが、低周波音の実態調査は、地点数が多ければ多いほど原因の解明が容易になると考えられます。稼働中、停止中、低稼働中、昼間、夜間など、比較対象項目を一定した上で、県としても本格的な調査を行っていただきたいと考えますが、環境生活部長に御見解をお伺いします。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 健康状態の実態把握についてですが、風力発電に関し、頭痛や不眠等の体調不良を訴えられている方の健康相談については、海南保健所及び御坊保健所で対応しております。
 今後も引き続き保健所のクリニック等で対応を行うとともに、地元市町が行う健康相談にも協力してまいります。
 また、地元や事業者等が地域住民の方々の健康状況に関する調査等を実施する場合は、関係機関、関係部局と連携し、協力してまいります。
○議長(山下直也君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 低周波音の実態調査ということでございますけれども、環境省は、風力発電等から発生する低周波音の人への影響を明らかにすることを目的とする研究を平成22年度から3カ年かけて行っており、本県においてもヒアリングや低周波音の測定が実施されたところでございます。
 今後、これらの結果をもとに、中央環境審議会騒音振動部会において風力発電施設に係る低周波音の基準化に向けた審議が行われると聞いておりますけれども、その中で本県のデータにつきましても提供をしていきたいと考えております。
 また、由良町での測定につきましては、これまでも由良町、地元区及び事業者との話し合いに基づき、事業者において実施されてきたところでありますけれども、今後、由良町、地元区及び事業者とよく相談した上で必要な対応について検討をしてまいります。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 健康被害については、地元、町が行う健康相談に協力していく、また低周波音の実態調査についても、地元事業者に協力を求められた場合には必要な対応について検討するといった答弁でありました。
 かつて、高度成長の時代、日本は多くの公害病に悩まされました。その中でも、水俣病を例にとると、水俣病に対するその当時の行政の対応は冷たく、因果関係がわからないとの理由から被害者を救済する手だてを後回しにしてまいりました。
 今さらですが、そのときに被害者の出た全ての地域の調査を実施し、その結果から原因を究明する手だてを早急に打てていれば、これほどまでに水俣病という被害が大きくなっていなかったのではないでしょうか。
 新たな問題として、風力発電所に由来するであろう被害に対しては、因果関係がわからないから何もできないというのでは、これまでの公害病に対する取り組みの教訓が全く生かされていないということになります。
 由良町においては、区と事業者と町長が協定を結んでおり、その中には低周波、電磁波等により地区住民に苦痛を与えないというふうな協定がされまして、そういうふうに明記をされています。
 県としては、この3者協定が速やかに遂行されるよう助言するとともに、実態調査が行われる場合には支援・協力を惜しまぬよう強く要望します。
 また、環境生活部には、今あるデータは速やかに国のほうに提供していただくと同時に、低周波音の基準化が被害者の切り捨ての言いわけにならないよう注意していただきたいと思います。
 最後の質問に移ります。小中学校の学級編制についてお伺いします。
 ことしの文部科学省が示した予算案に、県当局、学校、保護者など、関係者は一様に落胆をしたのではないでしょうか。私もその1人であります。
 昨年発表された平成25年度から平成29年度の教職員定数改善計画案では、子供と正面から向き合うための35人以下学級の推進と、国の責任において教職員定数を確保するとの内容が明記されておりました。
 その背景・趣旨には、「学校が抱える様々な課題を解消し、きめ細やかで質の高い世界最高水準の教育を実現するため、教員が子どもと正面から向き合うことができるよう、少人数学級の更なる推進と個別の教育課題に対応した継続的な教職員定数の改善が不可欠」と書かれておりました。また、「今後5年間で、中学校3年生までの35人以下学級を実現」する、さらに「改善総数2万7800人」とも書かれていました。
 現在、小学校1年生と2年生で35人学級が実施されており、これらの改善が順次されていけば、1学級の児童生徒数が先進諸国の世界水準並みになり、それこそ学校現場では1人1人に目が行き届く、きめ細やかな指導ができると期待されていました。
 それが何と、ふたをあけてみれば、平成25年度の教職員定数改善計画はすっぽりと抜け落ちており、来年度は40人学級に逆戻りという状況であります。
 県内では、現在、38人学級が実施されていますが、国の決めた40人という枠の中で何とかやりくりをしている状況です。
 これは一体どういうことなのか。文部科学省には理念のかけらもないのかと言いたいぐらいです。
 政権が変わったからといって、児童生徒にきめ細かな教育を行うという基本は変わりません。政府が世界トップクラスの学力をと言うのであれば、世界トップレベルの学級編制が保障されて当然であります。世界水準のOECD平均では、小学校で16人、中学校では13.5人であります。
 「教育は百年の計」と申しますが、教育の方針が政府の意向によりころころ変わって、一番被害に遭うのは何より児童生徒であります。
 今回も、小学校2年生が3年生になるに当たり、県内では和歌山市、有田市、新宮市、印南町などで10学級程度の児童に影響が出ます。具体的には、1学級当たりおよそ20人前後の生徒数が36~37人になってしまいます。この影響は大変大きいと考えます。
 納得できませんので、来年度にもう一度35人以下学級を何としても実施していただくよう、教育委員会から文部科学省に強く要望していただくとして、ことしの影響分の教職員の手当てをどうするのか、教育長にお伺いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 小中学校の学級編制についてお答えします。
 文部科学省が概算要求しておりました小学校3年生以上の35人以下学級の実現については、平成25年度予算政府案には反映されず、国において継続して教職員定数のあり方について検討することとなりました。
 県といたしましては、これまで小学校3年生から6年生の35人もしくは38人以下学級、中学校の35人以下学級とするために必要な教職員定数を確保してきたところであり、これを堅持するとともに、引き続き国に対しても35人以下学級の早期実現を要望してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教育委員会として35人以下学級の早期実現を要望していきたいということです。本年度は不足分が10学級程度なら、県として35人を堅持する方向を示していただきたかったのですが、難しいとのことであります。
 今後、35人以下学級が全ての学年で実現されるよう、この問題は何としても国に働きかけていただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時45分休憩
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