平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 議長のお許しをいただきましたので一般質問を行いたいと思いますが、質問に入る前に、きょうは、議会運営委員会で議長並びに議員各位の御了解をいただきましたので、緊急質問を行いたいと思います。
 昨日、県では、米軍が近く実施するオスプレイの低空飛行訓練を九州のイエロールートから本県上空を含むオレンジルートに変更したとの情報提供を近畿中部防衛局から受け、知事は、「本県上空で訓練する必然性の説明がない中で訓練が実施されることは遺憾」とのコメントを出したことが報道されております。
 現在、2月定例会中でありますので、この際、知事から一連のてんまつについて報告を求めるものであります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) オスプレイの低空飛行訓練に関する一連のてんまつでございますが、2つ申し上げます。
 1つは、時系列を追って、県と、それから防衛局などがどういうふうなことをしていたかということでありますが、まず、2月28日の17時ごろに、近畿中部防衛局からの第1報で、米側からオスプレイが訓練のため岩国飛行場に飛来するとの連絡がありました。その内容は、①3月6日から8日までの間、3機のオスプレイが沖縄から岩国飛行場に飛来し、低空飛行訓練を実施すると。②低空飛行訓練等を実施する場所は未定で、飛行高度は、日中は500フィート、夜間は1000フィート以上で飛行する。
 3月4日の20時42分ごろ──ちょっと細かいですね。20時40分ごろ、第2報で、九州地方──大分、福岡、熊本、宮崎のイエロールートというのが米軍から発表されておるんですが──において低空飛行訓練等を実施する旨の連絡がありました。
 ところが、3月5日15時半ぐらい、第3報で、九州地方で行われる陸上自衛隊の訓練との兼ね合いで、イエロールートからオレンジルートに飛行訓練ルートの変更をするという連絡があったわけであります。
 それで、知事の会見を求められまして、ぶら下がりではございますが、大略、次のようなことを言いました。
 感想はと聞かれたもんですから、少なくとも和歌山県に対しては、なぜここでここを飛ばなきゃいかんのかというようなことについては、米軍からはもちろんのこと、防衛局からも全然説明がありませんと。私は、前々から言っておりますように、国防についても別に冷淡ではないし、日米安保も反対ではないし、米軍が訓練しちゃいかんと全く言うとらんけれども、何でここに飛んでこなきゃいけないのですかということについてはちゃんと説明をしてもらいたいと思っておると。そういう意味では、説明が全くなくて、とにかくあすから飛んでいくぞと言われてもあんまり納得できない。そんなふうに言いました。
 大略、一部だけつまんでるとこがありますが、報道は別に間違ったことは報道されていないと、そういうふうに思います。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 改めて知事のお話を伺って、反対でないということがよくわかりました。
 今、新聞とかテレビを見ておりましたら、もうとにかく一部国民の間に不安もあることから、積極推進というふうに誰も言われておりません。しかし、日米安保の重要性を考えたり、それから沖縄の基地をほかへ持っていくということはなかなか難しいんですけども、訓練を一部受け入れるということは、沖縄の皆さんのことを軽減してあげるということでは、私は大変いい方法だと思います。
 それから、12号台風のときに自衛隊のヘリコプターも、それからいろんなヘリコプターが来てくれました。ふだんから和歌山県上空を飛んでるドクターヘリ、パイロットの人たちは和歌山の空をよく御存じでした。やっぱりふだんから飛んでおいてもらうということは、確かに危険もあるんですが、和歌山のことを考えると、将来、有事のとき、そしてまた東南海・南海地震が起きれば、恐らく米軍に助けていただくようなこともあると思うんです。そのときに、和歌山の空をよく知っておいてもらうということは、私は有益なことではないかなというふうに思います。
 選挙にも出ますから、そんなことを推進するということは非常に言いにくい立場にあると思いますが、ぜひとも私は、和歌山県は受け入れてもいいんではないかなというふうに個人的にそのように思っておりまして、以上、申し上げて、通告に従って一般質問を行ってまいりたいというふうに思います。
 最初に、政権交代後の高速道路の整備促進について伺います。
 去る2月26日、県議会京奈和自動車道、高速紀南延長の両議連28名は、二階、門両代議士の御案内で、国土交通省太田大臣、鶴保副大臣、道路局幹部に面会するとともに、県選出与党国会議員の先生方に高速道路等主要道路の整備促進の要望を行ってまいりました。特に、御坊─田辺間4車線化については、3年前に政権交代のスケープゴートにされた経緯があり、これを復活させることが政権再交代の意義であると強く訴えてきました。
 また、4車線化凍結を受けて抗議のために上京した議連の呼びかけに1人も姿を見せなかった民主党国会議員の背信行為や、廊下で立ち話しか応じなかった長安政務官の非礼に対し、大臣も、ひどいものだとおっしゃるとともに、私たちの要望には大いに理解をしていただきました。
 そこで、今後の運動の論点を整理する意味で何点か質問を行います。
 まず、近畿自動車道紀勢線の未事業化区間、すさみ─太地間、新宮─大泊間の新規事業化に向けて、今後どう取り組まれるのか、御所見を伺います。あわせて、有田─田辺間4車線化についても伺います。
 3番目に、平成27年の国体までに供用を要望している工事路線の見通しはいかがか。また、要望活動と並行して、逼迫している道路財源の確保やマスコミに横行する公共事業悪者論に対し、県としていかに取り組むのか。
 続いて、高速道路関連でもう1点、印南サービスエリアのトイレ増設について伺います。
 昨年の9月定例会において、新島議員、森議員、私の3人からの一般質問に対し、早速トイレ大作戦を展開していただき、この際、お礼を申し上げておきます。
 さて、印南サービスエリアでは、繁忙期だけではなく、日常的に観光バスが到着するとトイレに列ができるそうです。新年度からトイレ大作戦を展開する本県の大動脈にあるトイレがこのような状況では、とても観光立県とは言えません。ぜひとも西日本高速道路会社にトイレの増設を求めますが、以上5点について知事の御見解を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、第1番目でございますが、近畿自動車道紀勢線の未事業化区間でありますところのすさみ─太地間、それから新宮─大泊間については、国において計画段階評価が実施され、昨年8月には対応方針が了承されました。しかしながら、その後、事業化に必要な手続が実施されておりませんで、具体的な進展が見られておりません。
 紀伊半島一周高速道路の実現は、南海トラフの巨大地震など大規模災害に備えて不可欠かつ急務でありまして、現政権が進める国土強靭化の根幹をなす事業であると思います。このため、未事業化区間について、ぜひとも平成25年度に新規事業化していただくように、現在、国に対して強く求めているところであります。
 次に、有田─田辺間の4車線化でございます。これは、昨年4月に民主党政権のもとで事業化をしてやろうという意図、これが発表されました有田─御坊間についての4車線化については、意図は発表されたんですけれども、事業着手に必要な手続がいまだ実施されておらず、それから、御坊─南紀田辺間の4車線化についても着手が見合わされたままとなっております。
 これらの区間は、全国有数の交通量でありまして、慢性的な渋滞とか重大事故が発生することもあるし、また、対面ですからいつそういうことが起こるかもしれないという危険性がいつもあるところでございます。4車線化の実現は喫緊の課題となっていると思います。
 県といたしましては、有田─御坊間は直ちに事業着手していただくとともに、平成21年度補正予算で事業化されて、その後見送られた御坊─南紀田辺間に、予算をちゃんとつけて早期に事業を復活するように、引き続き国に対して強く働きかけていきたいと思っております。
 その次は、現在工事をしているところの供用時期の問題でございます。
 事業中の近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間、それから那智勝浦道路──これは勝浦と、それから太地間ですけれども──それから京奈和自動車道の県内全線については、国において、既に平成27年度の供用ということで事業を推進していただいているわけであります。
 今回の緊急経済対策としての補正予算においても全国で突出した予算をつけていただいたところでございまして、本県が要望している平成27年国体開催までにぜひ供用ということに大きく前進したと考えております。
 県としては、国の事業とはいえ、用地取得を早期に完了するよう協力するとともに、引き続き、国に対して国体開催までの供用はちゃんとやってくださいということをお願いしてまいりたいと思っております。
 次は、もう少し大きな、高速道路に関する国民理解と財源の問題ということであります。
 現政権が国土強靭化に向けて道路整備を初めとする社会資本整備に重点を置いた政策を進めるとされたことは、県としても大変心強い限りであります。
 昨年の10月、東京においてシンポジウムを開催いたしまして、県民の将来のチャンスの保障とか、あるいは大規模災害への備えとして高速道路整備の必要性を広く訴えたところでございまして、また、先日は和歌山県道路協会の主催により県民総決起大会が開催されましたが、そのときは1000人を超える県民の皆様の参加があって、会場の外にも何百人という方が聞き耳を立てておられたというような、そういう熱意が感じられました。道路整備の推進を求める皆様の熱い思いを受けとめたところであります。
 無駄な公共事業とかばらまきと言って批判をすると、何かあたかも格好いいとでも思っているのかというような議論をする人もおります。しかし、和歌山県が主張している論拠は、災害のときの機能とか──命の道ということですね──それから、世界の各国がこれをどういうふうに進めているか、それに乗りおくれたら大変というような話とか、あるいは他の地域との比較とか、よく聞いていただくと全ての人が納得するようなものなのでございます。
 したがいまして、今後ともあらゆる機会を捉えて、本県を中心にでございますけれども、地方における高速道路整備の必要性を訴えて広く国民の理解を求めていきたいと思っておりますし、そうやって、当県に関する道路関係予算の確保を国に働きかけていきたいと思っております。
 次に、印南サービスエリアのトイレ増設でございますが、議員御指摘の点はまことにごもっともだと思います。
 県内の高速道路のサービスエリアとかパーキングエリアのトイレについては、これは西日本高速道路株式会社において利用状況に応じた整備がなされていることになっておりますが、印南サービスエリアにおいては、御指摘のような事態がありますので、本格的な増設ではまだなくて、繁忙時のピーク時には仮設トイレを設置するなどの対応を行っていると聞いておるんです。
 しかしながら、繁忙期はもとより、通常期においても観光バスが停車した際には女性トイレに行列ができるという場合もあることは議員御指摘のとおりでありまして、西日本高速道路株式会社では、来年度、利用実態の調査を行い、将来的な動向も踏まえ、トイレ数が不足していると考えられる場合は増設等の検討を行うと聞いております。
 調査をしなくてもわかり切ったことではないかという気もしますが、一応手続としてそういうふうにやっていくというふうに聞いておりますので、引き続き、西日本高速道路株式会社に対して、快適な利用サービスが確保されるように働きかけていきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな2番目に、がん対策について、その1として、ホウ素中性子捕捉療法、アルファベットでBNCTと言いますが、これについて伺います。
 先般、自民党県議団福祉議員連盟で京都大学原子炉実験所を訪問し、粒子線腫瘍学研究センター所長の小野公二教授からホウ素中性子捕捉療法についてお話を伺ってきました。
 訪問のきっかけは、本年1月6日付「読売新聞」でがん細胞だけをやっつける先進医療の実用化が近いという記事を読んだことで、本県と目と鼻の先にある熊取町で行われており、がん死亡率の高い本県にとって何か有益なことはないかとの思いで行ってまいりました。
 ホウ素中性子捕捉療法とは、ホウ素という元素が核分裂するときの放射線の長さが細胞1個分ということを利用するもので、ホウ素薬剤をうまくがん細胞に取り込ませて、中性子を照射し、核分裂を起こしてがん細胞だけを破壊する画期的ながん治療です。長年臨床研究を積み重ねてきた小野教授のグループでは、がん細胞だけに取り込まれる精度の高い薬剤や中性子を発生させる加速器の開発が進んでいます。
 しかし、機械や薬剤の研究に終わりはなく、臨床研究に使用する薬剤は教授のポケットマネーという厳しい財政事情も伺いました。ノーベル賞の山中教授も、認められるまで研究費に苦労したと聞きます。
 本県では、幸い、県立医大放射線科の岸准教授が連携されていると聞きましたので、さらに医科大学全体とも関係を深めるとともに、県も積極的に支援に乗り出してはどうでしょうか。
 研究段階からかかわることは、先進医療の早期導入や、県の産業政策の1つでもある医療機器の開発につながるものと考えますが、知事の御見解を伺います。
 続けて、その2として、ピロリ菌撲滅運動について伺います。
 かつて、紀州では、胃潰瘍や胃がんが多いのは熱い茶がゆを食べる習慣があるためと言われました。しかし、今日では、胃潰瘍や胃がんの原因の多くはピロリ菌であることがわかっています。ピロリ菌がつくり出すCagAと呼ばれるたんぱく質が分子レベルで悪さをすることが解明されました。
 ピロリ菌に感染しても胃がんになるとは限りませんが、がん罹患リスクは確実に高まることが報告されており、最近はこのピロリ菌を除菌することが推奨されています。しかも、薬は1週間程度飲むだけで簡単に除菌できるのです。
 胃がんで亡くなる人は、全国で毎年5万人、本県でも約500人であります。がん対策として、子宮頸がんはワクチンで予防できることから、既に公的支援によりワクチンの投与を行っています。同様に、ピロリ菌についても県民挙げて撲滅運動を展開し、胃がん死亡者ゼロを目指すべきではないかと考えますが、知事の御見解を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県といたしましては、がん対策に力を入れておりまして、これまで、医大を初めとするがん診療連携拠点病院の放射線治療について、どんどん高度化を図ってきたところであります。
 御指摘のホウ素中性子捕捉療法については、現在治験中で将来有望な放射線療法になるものと注目をいたしておりますし、また、和歌山県立医大が治験という点で一部の先生が協力をしているというのはいいことだと思っております。
 しかし、ここの研究については既に確立されているものがありまして、和歌山県が組織として、あるいは研究者として一緒に協力しようというような話にはどうもなっていない。お金だけというのは余り自分たちの仕事とは思えないということで、一緒にやろうという話になればまた別なんですけども、すぐにはなかなかいかんのじゃないかな。
 BNCTは先進的な放射線治療であると認識しておりまして、今後、治験の進捗を大いに期待しております。研究が進めば県としても研究成果を利用させていただきたい、そんなふうに思っております。
 それから、ピロリ菌でございますが、ヘリコバクター・ピロリ感染に基づく萎縮性胃炎が胃がん発症の危険要因であることは明らかになっております。胃がんによる死亡者数は本県でも肺がんに次いで多く、ピロリ菌感染対策は本県の胃がんによる死亡者の減少に有効な手段と考えております。
 本年2月にピロリ菌除菌の保険適用範囲が胃潰瘍から胃炎段階まで幅広く拡大されたことは、胃がん発症抑制に大きく寄与するものと期待しております。しかし、それだけでは十分ではないというのは御指摘のとおりでございますので、県としては、保険適用拡大の機会を捉えて、県民に対して除菌の効果や方法を周知するとともに、ピロリ菌検査をがん検診と同時に実施するなど、ピロリ菌検査の普及によるがん予防をこれからさらに積極的に検討してまいりたいと思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事からお答えをいただきました。京大の原子力研究所では、もう体制ができているので今から行くのは困難だと。聞いてこられたんでしょうか。問い合わせされたんでしょうか。私、この答弁、最近いただいたんで、中身についてあんまり吟味しておりませんでした。
 それで、私が小野先生にお目にかかって、それからまた、小野先生から国の支援をもらいたいというようなお話を聞く中で、和歌山県としても──これは別に、今から研究会の中に、メンバーに同じように入る必要は私はないと思っているんです。有形無形、いろんな連携ができると思うんです。
 特に薬は、どの部位のがんに取り込まれるかというのは化合物のやり方でいっぱい方法があるはずなので、私は、この臨床試験というのはいろんなところでたくさんやるほうが恐らく効果もあるので、そんなことまでは排除しないんじゃないかなというふうに思うんです。
 ぜひ、私は、知事に1回行って見てくると。それから、小野先生に会うていただいたら、またお考えも変わるんではないかなというふうに申し上げておきます。
 実は、県議会でがん対策条例ができました。その条例、また、法律によるがん対策推進計画を県のほうで案を策定されました。きのう、議員にも説明がありました。きのう聞かせていただいたんでこの質問の中に反映することはできませんので、私は、きのうも申し上げましたけども、ぜひ中へ入れてほしいという要望を何点か申し上げたいというふうに思います。
 まず、きょうの質問でも申し上げました先進医療についてであります。
 我が県では、粒子線治療など先進医療を受けるためには他府県に行かなければなりません。いつも県民には引け目を感じさせております。しかも、遠くの病院に入院したり外来に通うということは、時間も費用もかかりますし、加えて大変精神的な負担にもなります。こういう状況から県民を解放してあげるため、県内での先進医療に期待するものであります。
 ちなみに、厚労省のホームページに先進医療というのが紹介されておりました。がんも含めて先進医療を行う医療機関が約1100件ぐらい紹介されていますが、和歌山県では、眼科で4件、白血病1件、脳外科で2件、乳がん1件、肺がん1件の7件しかありませんでした。非常に残念に思いました。ぜひとも、和歌山県でも先進医療というものが行われるように期待をいたしたいと思います。
 2番目は、ピロリ菌の撲滅運動です。
 先日公表された全国長寿番付男女1位の長野県へ県外調査に、浦口委員長の提案で私も福祉環境委員として参加してきました。かつて長野県では、漬物大国と呼ばれ、塩分の取り過ぎで脳溢血など循環器疾患での死亡率が高かったそうですが、農協が経営する佐久総合病院などが減塩運動を推進し、また、県国保連合会が県内くまなく自治会単位に保健補導員を組織し、健康増進運動に取り組んできたことなどにより、実現されたようです。健康増進に近道なし。1つずつ積み重ねるしかないと感じました。
 3点目は、学校教育での副読本の採用です。
 昨年、父が肺がんで亡くなり、検査していても発見できなかった事実から、がんにならないような生活を送ることが大切だと悟りました。そのためには、子供のときから生活習慣を身につける必要があると考えます。
 4点目は、セカンドオピニオンの普及です。
 昨日の説明会でも、たしか立谷議員が指摘されていました。県がん対策推進条例第8条には、「医師は、良質な医療を提供するため、がんの診断結果をがん患者及びその家族に告知するときには、複数の治療方法、セカンドオピニオン、緩和ケア等に関する情報の説明を行い、がん患者及びその家族の理解が得られるように努める。」とあります。ぜひ、このことが実際の医療の現場でも守られるように措置していただきたいと思います。
 我が和歌山県が全てのがん死亡率がワースト上位にある現状から一刻も早く抜け出せるよう、立派な計画をつくり、着実にやろうではありませんか。
 以上を申し上げて、次の質問に移ります。
 大きな3番目に、県立医大の医師派遣について伺います。
 去る1月9日、県立医科大学は地域医療機関医師適正配置検討委員会を設置し、地域医療機関からの医師紹介要請に対し透明性、客観性を確保するため、従来は医師を医局から関連病院に派遣した制度を改め、大学として一元的に取り組んでいく方針を発表しました。映画の「白い巨塔」のような状況は今日ではないと思いますが、医局の力の源泉とも言うべき医師派遣について大学が一元的に公明正大に行うことは画期的なことで大いに評価すると同時に、医師不足が深刻な紀南地方の民間病院では院長みずから毎月14~15日も夜勤しなければならない状況にあり、新制度に大いに期待したいと思います。
 そこで、新制度が県民医療の充実に資するよう、以下5点について質問します。
 なお、1番から4番までは、まとめて福祉保健部長にお伺いします。
 まず、地域医療機関とはどこの地域を言うのか。
 次に、委員会では医師の必要性を総合的に判断するというが、基準はないのか。
 3番目に、学長から医局に情報提供した結果、希望者がないときはどうなるのか。
 4番目に、新制度は継続分は除くとなっていますが、なぜ継続分を含めないのか。
 以上、4点を福祉保健部長に伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 和歌山県立医科大学の地域医療機関医師適正配置検討委員会は、県の内外、公的・民間、病院・診療所の別を問わず、全ての医療機関からの医師紹介要請を対象としており、その判断基準については、要請を行う医療機関から示された支援を必要とする理由や、救急、小児、周産期、僻地医療への取り組み状況などそれぞれの地域において担う役割、若手医師への教育体制などをもとに、総合的に判断するものと聞いております。
 派遣要請に応じる希望者がいない場合には、その旨、要請医療機関に回答することとなりますが、その場合でも、それぞれの診療科においてできる限り要請に協力する体制をとっているとのことです。
 また、継続分を含めない理由ですが、昨年、学内に設置された調査委員会において関連病院等への恣意的な医師配置は認められないとの結果が出されたことから、従来から継続的に行っている派遣は適正と判断し、地域医療機関医師適正配置検討委員会の対象としていないと聞いております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今度は、知事に伺いたいと思います。
 公平な医師派遣について伺います。
 現在、ある内科の医局では、現教授就任以来、新たに県内民間病院にほとんど常勤医を送っていないと聞いておりますが、こんなような状況は本当に解消されるのか。この問題について伺いたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の地域医療体制を維持していくためには、とりあえず、それぞれの地域において中核となる公的病院、これは地域拠点病院と言っておりますが、そういうところが崩壊しないようにきちんとやっていくというのは一番大事だと思っております。
 そういう意味では、研修制度が変わってから、そういうところに、どちらかというと県外の有力大学から送り込まれていた──従来はですね──そういう医師がどんどん逆にはがされておるという状況の中で、和歌山県立医大が医師を派遣して埋めるということをやってくれた。これが今のところうまくいっているので、拠点病院の崩壊がなく、かつ、きょうもニュースにありましたような救急医療の崩壊も今のところはないという状況だと思います。
 しかし、それは何とか今はなっているというだけで、油断をしているとすぐに大崩壊が起こる可能性のある状況だというふうに認識しております。
 あらかじめ備えておかなきゃいけないということで、研修医が集まらないといけないんですけれども、その母数としての学部の学生もたくさんいたほうがいいということで、定員の増加も一生懸命努力して、あと数年で地域医療枠や県民医療枠の方々も出てくるという事態になっております。しかし、それまではとにかく頑張らないといけないということではないかというふうに思っております。
 そういうことを考えておくときに、派遣のためには養成をしないといけません。養成のためには、医局を中心とするような世界に、つまり専門領域に若いお医者さんが集まってこないといけません。若いお医者さんが集まってこないと、派遣をするといっても、要するに弾なしになってしまうわけであります。
 お医者さんたちはみんなそれぞれの志がありますので、特に、その志の中で自分の医学的知識や技量が時代に取り残されては嫌だという気持ちの人一倍強い人たちであります。したがって、例えば、あそこの医局へ行くとどっかへ派遣されて、それで埋もれてしまってどんどん最新の医療から取り残されるぞというようなパーセプションが広がってくると、人が集まらなくなっております。
 和歌山県立医大の実はそれぞれの医局といいますか教室を見ても、そういう意味で、たくさん集まっているところと、それからあんまり集まっていないところがあって、あんまり集まっていないところを多くするというのは大変大事なことだということになります。
 しかし、そういう意味では、例えばいろんなとこへ派遣をして立派な医師を育てると。しかも、そういうことで若いお医者さんたちの信頼感を得るということも、また大事なことではないかと思うのであります。そういう意味で、県外を含めての研修も一概に罪悪視してはいかんと思います。
 しかしながら、そうやって研修をして育てた医者が全然県内に寄りつかないということになると、これは困るのでありまして、何のための県立医大かということになります。したがって、養成と地域医療、両にらみでうまくやっていくしかないというふうに思っております。そのために、先ほど御議論がありました適正配置検討委員会なんかをうまく活用するということは大事だと思います。私の意見によれば、もうちょっと機能を強化してもいいんじゃないかというふうに思っております。
 また、先ほどの陳腐化のおそれというのがあると大変なんで、和歌山県立医大に、予算もいただいて地域医療支援センターをつくり、そして、派遣された医師の高度化とそれから診療の補助をこれからもやっていくと。そういうことで、地方に行っても医師としての技量が衰えることはないんだということをよくわかってもらえるような形にしていくということも、また大事なことではないかというふうに思っております。
 いずれにしても、医師が足りなくなるということは大変なんで、そういうときには、かつてやっておりましたように私自身も乗り出して、1人1人の医者をちゃんと足りなくならないような状態にしていかないといけない、そんなふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今回の制度というのは、医師を県内に、半ば、強制的とは言いませんが、派遣をする強いシステムではないと。公明正大にやるんだというような、主な目的はそういうことだということがわかったわけでありますけども、私は、今、知事もいろいろ御奮闘いただいてるお話を伺いましたが、和歌山県立医大の最大の課題というのは、貧乏な和歌山県が県民から集めた税金で医師を養成する。県内の医療機関には医師不足と言いながら、県外の医療機関には研究費ももらいながら行っている。ここに私は最大の問題があるというふうに思っております。ぜひ、そういう意味で公平な制度をやっていただきたい。
 医科大学は、やっぱり優秀なお医者さんも集まってほしい。でも、和歌山県のことを一に考えてくれるようなお医者さんになってもらいたい。それはバランスの問題だというように思うんです。
 一連の医大のことについて私もいろいろ考えながら思ったのは、公立大学法人になりましたけども、やっぱり直営で県のほうからもっと積極的にかかわれるような制度のほうがよかったんじゃないかなというふうに思ったりもします。
 また、教授も今は全国公募で、論文の多い人がたくさん採用される可能性も多いというふうに聞きます。できることなら、全員というわけにはいかないと思いますけども、半分ぐらいは県立医大出身の先生が教授になってくれたら雰囲気も違うのではないかなというように思いますし、それから、和歌山県内の子供たちには、よくできる子供には、みんな県立医大へ行って医者になって地域医療のため県民のために頑張ろうということを小学生ぐらいの間から教え込んでおくというか思っていただくような、そういう教育も必要ではないかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 大きな4番目に、津波避難路の整備について伺います。
 先般、御坊市丸山区の役員と御坊駅の北側にある亀山に登ってきました。東南海・南海地震に備えて、区民挙げて手づくりの避難路を整備しています。この亀山は市街地に近いことから、防災の専門家は、区民だけではなく数千人単位の市民が巨大津波から逃げる避難所に最適だと言っています。
 しかし、戦国時代に紀南地方を治めた湯川公が城を築いたほど急峻な山で、手づくりの避難道では限界があり、自治会では、今後、行政による避難路整備を要望していくそうです。
 現在、御坊市では避難タワーの建設や高層建築物を避難所に指定するなど避難計画を策定中ですが、避難対策だけでも多額の予算が必要です。県では25年度予算で避難路を整備する市町村を支援する予算を増額していますが、避難タワー1棟でも数千万円かかることを考えると、とても3億円では足りないのではないでしょうか。
 県では新年度において逃げ切る計画を見直すと言いますが、計画を短期間に実現するためにはいかに取り組むのか、御所見を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難路の整備につきましては、県といたしまして最優先の対策と位置づけており、津波避難タワーの整備とともに国の緊急防災・減災事業の対象となってございます。
 平成23年度に新設されました緊急防災・減災事業については、要望も多く、平成24年度にほぼ枯渇してしまいましたが、国への提案、要望が実を結び、平成25年度においても全国で4550億円が確保され、継続されることとなりました。
 この制度は、交付税算入率が高く、大規模事業を実施するにおいて非常に有利なものとなっております。あわせて、県では、わかやま防災力パワーアップ補助金を前年度からさらに1億円増額し、小規模の整備や自主防災組織が行う整備なども市町村を通じて支援しているところであり、小回りのきく補助制度として活用いただいているところであります。
 これ以外にも、活用できる制度については市町村に対して助言してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 5番目に、御坊警察署建築問題について伺います。
 平成23年度から耐震化のため御坊警察署が改築中ですが、警察庁舎と官舎の基礎が設計より最大29センチ低いことが、1月下旬、地元紙などに報道されました。その後、県では、検討の結果、対応策として塀を周囲に設置し、浸水を防ぐことにしたとの報告がありました。
 新警察署の設計中に東日本大震災が発生したので、私は、当時の御坊警察署長に東日本大震災級の巨大津波が日高平野を襲ったとき新警察署がもつのか尋ねたところ、津波の専門家から少しの設計変更でぎりぎり大丈夫との所見をもらったとの返事でした。
 そこで、今回の対策として塀を設置することになりましたが、ほかに対応策はなかったのか。29センチ低いことは、塀を設置するだけで日常的な弊害はないのか。また、津波や洪水時には耐え得るのか。御所見を伺います。
 また、発注者、設計監理者、建設業者2社がそろって間違うという前代未聞の事態ですが、どうしてこんなことが起きたのか。原因と再発防止についても伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 御坊警察署の施工誤りに関する他の対応策としましては、当初、契約解除することはもちろんですが、建てかえあるいはジャッキアップにより設計図書どおりの施工を求めることも検討しました。
 しかし、対策工事により同等の品質、性能を確保できるのに、より多額の費用がかかる方法を選択するのは、民法や建設業法上の信義誠実の原則に反し、判例に照らしても建てかえなどは要求できないものと考えます。よって、対策工事による現実的な対応をせざるを得ないものと判断いたしました。
 また、対策工事による日常的な弊害や津波や洪水時の安全性につきましては、元来、当該敷地は、御坊市の洪水ハザードマップによると100年に1回程度起こる大雨による洪水でも浸水のおそれがなく、また、平成17年に公表された東海・東南海・南海の3連動地震による津波に対しても浸水のおそれがないこととされており、日常的な使用に対しても問題がないと考えます。
 また、発生頻度は極めて低いが想定される最大クラスの南海トラフの巨大地震に対しても、対策工事として、塀の防水門扉だけでなく、建物出入り口の止水板の設置、さらに別系統による電源を確保することで、当初設計と変わらない性能を確保できるものと考えております。(「再発防止もついでに」と呼ぶ者あり)
○副議長(浅井修一郎君) あと、2問目の。今後のあれで。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 失礼しました。
 原因につきましては、施工業者が設計図書に示された基準となる高さを誤り、工事監理業者はその確認を怠ったことによるものです。
 再発防止策としましては、今後は、施工業者と監理業者に設計上の重要な点を把握させるため、設計者にチェックリストの作成と工事の当初打ち合わせへの参加を求めます。また、工事監理に関する県監督員の業務は全て工事監理業者に委託しておりますが、基準となる位置や高さを設定するときは、施工業者、監理業者、県監督員の3者が現場で立ち会いのもと、確認してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、発注者である県におきましても、やっぱり中間検査とかというのを丁寧にして、できたところについてお金を払っていくというような制度に改めたらいいんじゃないかということを申し上げておきます。
 続いて、質問を行います。
 大きい6番目に、高齢者の投票方法の改善について伺います。
 本県の高齢化率は、超高齢社会の基準である21%を超え、既に26.9%に達しました。私は、初めて政治にかかわった昭和58年以降、みずからの8回の選挙と各種の選挙を通じて、町の様子をずっと見てきました。
 初めて選挙に出たころに応援してくれたおじいちゃんやおばあちゃんは次の選挙のときにはひとり暮らしになり、その次の選挙のときには空き家になり、次には更地になり、以降、ずっと更地のままであります。最近は、高齢者のひとり暮らしのお宅にお伺いしたとき、紹介者が「ここのお年寄りは足が不自由なので玄関先へよう出てこんのよ。ここから御挨拶しておこう」というようなことがたびたびあります。そのとき私が思ったのは、私がお伺いしても玄関にさえ出てこれないような高齢者が果たして投票所へ行けるのかということです。
 超高齢化社会を迎えた本県では、外出が困難な高齢者が増加しています。現在、1票の格差で裁判が行われていますが、投票所まで遠い過疎地に暮らす高齢者が投票に行きにくい状況を放置することも憲法違反ではないかとさえ思います。
 高齢者がスムーズに自宅で投票できるようぜひとも制度改正を求めますが、選挙管理委員会委員長の御見解を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 選挙管理委員会委員長諸木良介君。
  〔諸木良介君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(諸木良介君) 選挙人の投票機会を確保することは、非常に重要であると認識してございます。中でも、今日の高齢化の進展する中で高齢者等の移動に不自由な方にとっての投票しやすい環境づくりというのは、常に配慮しなければならないと考えてございます。
 現在、この環境づくりの1つの方策として郵便投票制度がありますが、一定の障害のある方や介護保険の要介護5に該当する限られた方々のみが対象でございます。この制度に当てはまらないが現実には投票所に行くことが困難な高齢者がいらっしゃることから、郵便投票制度の対象者を拡大するというふうなことで総務省のほうへ直接要望をいたしてございますし、また、都道府県の選挙管理委員会連合会というのがございますが、そこからも共通して制度改正要望を行っているところでございまして、引き続き取り組んでまいりたいと存じてございます。よろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 終わり。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時54分散会

このページの先頭へ