平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)


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平成25年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成25年3月6日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 12番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員    佐藤律子
 教育長        西下博通
 公安委員会委員長   片山博臣
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 1番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 最初に、食育についての質問です。
 今や、「食育」という言葉はいろいろな場面で取り上げられ、テレビや本屋さん等でも目にする機会がふえています。食育と一言で言っても、関連する分野の幅がとても広く、多岐にわたっており、私たちが生きていく上で欠かすことのできない食事を通して健康問題や教育問題にまで発展するという、生活に密着した、また地域の活性化にもつながるテーマだと思っています。
 先日の今定例会開会に際して、知事が、未来を担う子供を育む教育の充実の柱として、道徳教育、学力の向上、体力の向上、郷土学習、よき職業人の育成、国際人の育成という教育の6本柱に取り組んでこられたことを話されましたが、これらのいずれもが食育との関連性があり、食育を進めることが人づくりの土台となってくるのではないでしょうか。
 「いただきます」、「ごちそうさま」──お食事をいただくに際して生産者の方々への感謝の気持ちを教え、3食欠かさずいただけることへのありがたさを学ばせる習慣づくり。和歌山県内でとれた野菜や果物、魚介類などの食材を使うことを推進するとともに、子供たちの体を丈夫につくるため、幼い時期から栄養バランスのとれた食事を与える習慣づくり。食事の栄養バランスが充実することは、成長していく子供たちの心のバランスを培い、体の基盤をつくり、学力や体力の向上にも結びつきます。
 よき職業人、国際人といった将来我が国を支える立派な大人に育てるために、これら6本の教育の柱の充実はとても大切なことであり、それは、子供たちだけでなく、県民全体の役に立つように考えます。食事を充実させることの大切さを強く感じています。
 新年度の予算案に「早ね・早おき・朝ごはん」の実践が新規事業として予定されています。大変興味深く思いますが、具体的にどのように取り組まれていくのですか。また、こういった取り組みを実践することでどのような効果を期待されておりますか。教育長に御答弁お願いします。
 次に、食育への取り組みは我が国ばかりでなく海外でも熱心に行われており、アメリカやヨーロッパ、韓国等では、食育は健康維持、体のメンテナンス、健康促進のために取り入れられ、全世界的に食育の重要性を感じることができます。
 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、朝食をとられない方は、20代、30代の若い、これからまさに子育てという年齢層に多く見られます。こうした生活習慣の方が親になった場合、子供たちはその姿を見ているわけですから、同じような生活習慣になることが考えられます。まず、こうした若い世代の方々に朝食をとることの大切さを知らせてほしいと思います。
 また、栄養バランスのとれた規則正しい食事習慣が健康の維持増進に直結することについて、県民の皆様にその大切さと効能やメリットを情報として発信していくことが望まれます。今、県では、県民に対して、このように注目され出した食育についてどのような発信ができているのでしょうか。
 他府県では、月に1度、食育についてのチラシを発行する取り組みを行っているところもございます。例えば、「県民の友」に毎月食育に関するコーナーを設け、1年間連載するという方法などでPRなどを検討されてはどうでしょうか。
 食育の意味とその実践方法について、もっと県民の皆様に関心を持ってもらう方法はないでしょうか。農林水産部長に御答弁をお願いします。
 さて、今定例議会の一般質問第1日目に、大沢議員が鳥獣被害の防止対策に関連しシシ肉や鹿肉の消費拡大について質問され、当局から回答があったところです。
 地産地消や和歌山ジビエの普及拡大を図る中で、学校給食や民間企業の社員食堂、もちろん県庁や市町村の食堂といったところで、県産品やジビエを使ったメニューの提供の推進に取り組むことも重要だと思います。先日実施されたジビエレシピコンテストやジビエウィークのようなイベントやキャンペーンを行うのも、県民のジビエに対する理解の促進や需要拡大策として効果があると思います。
 有害鳥獣として捕獲されたイノシシや鹿は、その命を無駄にすることなく、私たちの体の栄養となって役に立つことができれば、これ以上のことはございません。しかし、ジビエに対して、特に親が子供に食べさせる場合はまだまだ懸念がある状況であると聞いています。ジビエはきちんとした知識、料理方法で料理すれば安全で安心、おいしくいただけるということを、きめ細やかに県民の皆様に、さきに述べた食育の一環としても情報を提供していくべきではないでしょうか。農林水産部長に御答弁をお願いします。
○議長(山下直也君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県民の方にもっと食育を知っていただく方法についてですが、食育は、食に関する知識の習得により、県民1人1人が健全な心身を培い、未来に向かって羽ばたく力をつくり上げる基礎となるとの観点から、市町村や関係団体、企業と連携し、全庁挙げて取り組んでまいりました。
 毎年10月を県食育推進月間と定め、「県民の友」の特集号やラジオでの情報提供、食と健康フェアの開催等を集中的に実施するとともに、毎月第3週はふるさと和歌山食週間として、県下79の推進店で地産地消を通じた啓発を行っているところです。
 特に子供たちに対しては、小学校での梅干しや郷土食づくり実習を初め、学童農園での農作業体験、地元食材のミカン、魚などを活用した給食や授業を実施するなど、学校、家庭、地域においてライフステージに応じた推進に努めております。
 現在見直し作業を進めている県食育推進計画においては、啓発の軸足を周知から実践に移すこととし、親子料理教室や量販店と連携した店頭イベントなどで、地域特産物を使った栄養バランスにすぐれたレシピの提供や生活習慣病の予防・改善のための栄養指導を行うなど、幅広い世代により関心を持っていただき、実践に結びつく取り組みや広報紙などによる情報発信を重点に、引き続き、県民運動として展開してまいる所存でございます。
 次に、家庭へのジビエの普及について、一般消費者の食肉購入先としてはスーパーが最も多いのですが、ジビエについては、牛肉などの食肉と同様な安全及び品質基準が求められるため、ほとんど取り扱われていないのが現状です。
 県では、わかやまジビエ衛生管理ガイドラインを定めて、捕獲から解体、流通に至るまで衛生管理の徹底に努めているところですが、さらに平成25年度の新政策において、衛生面と品質面での基準に基づくわかやまジビエ認証制度を創設して、より円滑なジビエの流通に努めてまいります。
 一方、ジビエに対して、安全・安心面での不安以外に、においが強い、かたいといった先入観を持たれている消費者も多く、また、なじみがないため調理や料理法がわからないことが家庭での利用が少ない理由の1つと考えております。
 このため、一般家庭で手軽に調理できることを条件に、ことし初めてジビエレシピコンテストを実施し、優秀な作品については、県のホームページに掲載するほか、レシピ集を作成してジビエ取扱店で配布するなど、広く情報を提供してまいります。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 「早ね・早おき・朝ごはん」実践事業の取り組みと、その効果についてお答えします。
 議員御指摘のとおり、食育は、知育、徳育、体育と並び、子供たちが健やかに成長するための根幹をなすものであり、調和のとれた食事や十分な休養・睡眠、適切な運動等の基本的な生活習慣を身につけることが大切であると考えております。
 例えば、毎日朝食をとる児童と全くとらない児童とでは、本県においては、平成24年度全国学力・学習状況調査によりますと、平均正答率が、知識活用力を問う国語Bで25.5ポイント、算数Bでは19.8ポイントもの差が出ております。
 このようなことからも、「早ね・早おき・朝ごはん」の意義や学力、体力との相関を示すデータ、睡眠時間チェック表の使い方などを盛り込んだガイドブックを新たに作成し、各家庭と学校が連携して積極的に活用するよう進めてまいります。
 また、啓発DVDを作成し、保育所、幼稚園、小学校等での活用を促すとともに、広報紙やテレビ、ラジオ等を通じてその意義や重要性を伝えてまいります。
 こうした取り組みを進めていくことで、子供の望ましい生活習慣づくりに取り組もうとする機運が醸成されるとともに、子供の基本的生活習慣の乱れが改善され、子供の学習意欲や学力、体力の向上につながっていくものと期待をいたしております。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 続いて、2番目の質問です。
 少子化の大きな要因である未婚化、晩婚化の流れを変えるため、新年度予算でわかやま結婚支援として取り組んでいただき、全県的な結婚サポート体制づくりを推進することで和歌山の少子化への歯どめとなればと期待します。
 この事業を推進することで新たなカップルの誕生がふえ、そして子供を授かることとなれば大変すばらしいことなのですが、次に、今社会が抱えている問題に直面すると私は思っています。
 今は、結婚を機に仕事をやめる女性の方は以前と比べて少なく、結婚後も仕事を続けられるというライフスタイルが一般的となりました。同時に、働く女性の役割が高く評価されています。しかし、昔と変わらず働く女性にとって大きな不安となっているのが、仕事と子育ての両立です。
 子供が保育園や幼稚園に通い出すと、子供は、園での充実した生活の中で日々新しいことを学び、成長していきます。同時に、親は安心した気持ちで職場で自分の仕事に取り組むことができます。しかし、子供というのは集団生活の中ではよく風邪を引きやすいもので、体調を崩しますと重なってしまうことが多くあるのを私も振り返れば思い出します。
 子供が風邪などの病気のときはもちろん、病気が治った後にも、子供を預かってくれる保育施設が少ないために、子供の看護や世話のために休むことになってしまう状況です。
 子供の病気は1日で治るとは限らず、何日も仕事を休むことにもなり、職場では気まずい空気の中で精神的な負担さえも覚えることになります。場合によっては、これもパワハラの1つではと感じることさえあると聞きます。このような環境のもとでは、私たち女性は安心して働くことができません。ひいては、安心して子供を産むことができない世の中であるとさえ感じてしまいます。
 安心の政策の中、保育や地域の子育て支援の充実の中、結婚支援の推進はありましたが、その後に必ず直面する病児・病後児保育の充実や結婚後に安心して出産ができる環境づくりも、同時にアピールしていかなければならないのではないでしょうか。安心して働きながら子育てのできる環境の充実について目を向け、新政策と継続される政策とのリンクを密にして、さらなる充実をしていただきたいと思います。
 「イクメン」という言葉が流行語になるように、以前より男性、父親も子育てに参加するようになったとはいえ、やはり、子供が病気のときに職場を休むのは母親の役目であることがほとんどのように思います。また、一般的に仕事をする日は月曜日から金曜日という固定観念がありますが、働く女性の中にはシングルマザーとして頑張っている方々も多く、月曜日から金曜日までということに限らず、土曜日や日曜日に働く方も多くいらっしゃいます。ウイークデーに比べ、特に土日の保育環境の充実は薄いようで、私のところにも、このことに関してのたくさんの声をいただいています。
 少子化の歯どめ対策に早急に対応すべき今、さらには県の推計人口が100万人を切ってしまっている今、私たち女性が安心して出産できる環境の構築と、仕事、子育ての両立の充実のためのきめ細やかな対策について、当局はどのようにお考えでしょうか。
 次に、病児・病後児保育に関してですが、病気にかかっているときや病気が治った後の回復期にある子供を預かってくれる事業を行っている施設として、保育所が運営する保育所型と医療機関が運営する医療機関併設型の2通りがございます。利用者のニーズという面でいうと、保育所型の利用は非常に少なく、医療機関併設型の利用に集中しているのが現状です。その要因は、預ける親の安心にあると思います。病気や回復期の子供を預けることのできる施設を求めている一方、加えて安心も同時に求めているわけです。
 保育所型のほうも、受け入れ態勢は整っているものの、医師が常駐してない点が不安となり、利用者が少なくなっている原因であると考えられます。病児・病後児保育の充実が求められる中、せっかく受け入れ態勢を整えた保育所型の利用が進むような取り組みを図るべきであると思います。
 また、ニーズが高い医療機関併設型について、現在、数は少なく、各地域で利用できる状況ではないため、県内のどこにお住まいの方であっても、遠くまで子供を預けに行かずして利用できる体制が求められています。
 こうした点についての取り組みについて、どうなっているのでしょうか。私が述べさせていただいたことの充実が、今後、もう1人子供を産もう、出産しようというふうに必ずつながっていくと確信しています。病児・病後児保育の充実について、福祉保健部長の御答弁をお願いします。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 県におきましては、子供を持ちたい人が安心して子供を産み育てる環境づくりのため、延長保育や休日保育、病児・病後児保育などの多様な保育サービスや、地域の実情に応じたきめ細やかな子育て支援事業を進めているところです。
 病児・病後児保育事業については、現在、11市町9施設で実施されております。また、ファミリーサポートセンターでの病児・病後児の預かりは9市町で行われており、病児・病後児に対する保育サービスは年々充実してきております。
 県としては、さらに多くの方に利用していただけるよう、広域実施の促進や運営補助等の支援により事業の拡大に取り組んでまいります。
 なお、病児・病後児保育の実施施設は、医療機関併設型、保育所型にかかわらず、協力医療機関との連携体制を十分に整えることとなっております。安心して利用していただくために、このような事業内容のさらなる周知を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 では、次の質問に移らせていただきます。
 花の消費拡大への支援について。
 季節は、今、梅の花が咲き誇っています。これから暖かさも増してくると、次は桜や桃の花の便りを待つこととなります。花は、季節の移り変わりを私たちに知らせてくれ、心を和ませてくれる大切なものです。
 和歌山県の中部、御坊市は、海沿いの温暖な気候を生かした花卉栽培の盛んな地域です。特に、スターチスの栽培は日本一の生産量を誇っています。スターチスは、ピンクや紫、白、黄色など、さまざまな色があり、色あせにくく花もちのよい花です。スターチスの鮮やかな色は、実はがくの部分だということで、花言葉は「変わらぬ心」だとされています。
 JA紀州中央青年部名田支部の青年たちは、この日本一のスターチスをもっともっと全国に広め、地場産業の活性化につなげていきたいと思案され、努力をされています。その活動というのは、彼らが職能教育の一環として地元の小学生を対象に野菜の栽培や収穫体験をした後の反省会で、ある青年部員の発言から始まったと言います。
 当時、親が子供を虐待死させる事件が相次いでいたこともあって、「おかしい。家族愛が足りていない」という一言に皆が反応し、さまざまな意見が交わされました。集まった若者の多くが野菜ではなくて花を栽培する農家であったことから、花を通じた花を愛する運動で社会を変えていきたいという目標を立てられたのです。
 この目標を達成するために、彼らは3つのことに着目しました。1つは、よりたくさんの人に理解し、共感してもらえるようなストーリー性を持たせること、2つ目は、自分たちだけでなく、花業界全体の活性化につながる活動であること、3つ目は、自分たちでできることだそうです。
 ストーリー性については、愛を語る日として母の日に着目し、「変わらぬ心」を花言葉とするスターチスが生きてくることと考えました。
 花業界の活性化については、母の日はこれまでもカーネーションを初めお花を贈る習慣のある日ですが、最近は、花のかわりにほかの品物を贈る人がふえ、花の消費が減少する傾向にあることから、墓参りをPRすることで花の消費拡大につながると考えたそうです。
 そして、自分たちの農家で栽培した花を持ち寄って自分たちの活動に使用することに決めました。
 彼らの活動方針は、消費者に花の配布を行いながら母の日の墓参りのきっかけを与える、そして配布活動から感じたことを花業界に伝える、きっかけを与え続けることによって、それが習慣となり、習慣が文化となっていくよう長期的に続けていくことを決めました。
 実際の活動として、一昨年の母の日の前日に、JR和歌山駅前でメッセージカードを添えた花束の無料配布が行われました。受け取った人からは、家族愛という視点での行動に興味を持たれた方が多かったそうです。また、花業界への情報発信についても、大手の花屋さんや花屋組合とのつながりができました。
 そして、昨年は、東日本大震災で被災し仮設住宅にお住まいの方々に小さなぬくもりを届けようということで、いろいろな方の協力を得ながら福島県の被災者の方に1000の花を届けることができました。
 こうした活動を行いながら、彼らは自分たちが変わってきたことに気づきました。それは、やる気です。自分たちが育てた花を使って社会に役立つことを行っていこうということで、大きなやる気へとつながったということです。
 こうした彼らの「花で愛を語り、社会を変えよう」という一言から始まった地道な活動がJAの組織の中で認められ、名田支部の野村直佑さんが、先月、2月14日、15日に東京で開催されたJA全国青年大会で、近畿代表としてこの母の日参りの活動実績を発表されました。
 農家の跡継ぎがいないという農業後継者不足問題を抱える昨今ですが、私は、彼らが最初に抱いた問題意識を自分たちの手で少しでも解決に向かうように努力し、それが多くの協力者を得るようにまでなったことに、とても共感します。青年部の活動は、もちろん自分たちの栽培するスターチスの花の消費拡大や花業界、そして地場産業の活性化を目指したものではありますが、今、悲しいニュースが多く報道される中、花を通じて家族のつながりを深め、伝えていこうとする考えは、私も共感するところが多くあります。
 毎年決まった日、決まった時期に贈り物をすることがいつの間にか国民生活に溶け込んだ例としては、古くはクリスマスや母の日が、また、最近ではバレンタインデー、プレゼントを贈る習慣ではございませんが、節分の日の恵方巻きなどがあります。このような贈り物の習慣が年中行事の中に組み入れられるようになるまでには、さまざまな関係者の長年にわたる努力が積み重ねられたことは想像に難しくありません。しかし、こうしたことを踏まえても、毎年5月の母の日にスターチスを手にお墓参りをする母の日参り運動が、和歌山が発祥の地となり全国に広がっていけば、どんなにすばらしいことでしょう。
 そこで、質問いたします。このような全国的な盛り上がりをつくっていくためには圧倒的な宣伝量が必要だと思いますが、県の支援について、知事の御所見をお願いします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 花の消費量が減少する中で、需要拡大を目的にJAの青年部が母の日参り運動を独自に実施しておりますことは、大変すばらしいものだと思います。
 私も、御坊でこの話を直接お聞きしまして、これはすばらしいと。先祖を大事にするとか家族を大事にするとか、そういう道徳とか愛情とかいう点でもすばらしいし、それから、スターチスなど花卉生産で有力な地位を占めている当県の産業の振興という点からも、これは物すごくすばらしいというふうに思いました。
 そこで、ちょっと宣伝をしようと思いまして、早速その次の記者会見で私からも発表をさせてもらいました。こうした母の日参り運動を全国的な動きにぜひしたいと私は思っております。
 県といたしましては、今後、機会をうかがって母の日参り運動をマスメディアにうんと乗せること、それから活動の輪を広げることはもちろんでありますが、県内のスターチス生産者、JA等への参加の呼びかけを行って、また、消費者向けの効果的なPRの方法も、これはこれでまた検討してまいりたい、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 青年部の皆さんの花を通じた新しい提案が、和歌山が発祥の地となって地場産業の花業界の活性化につながることを願っています。
 先月のバレンタインデーには議場におられる男性の皆様もたくさんチョコレートをいただいたと思いますので、来週はホワイトデーですので、変わらぬ心で女性にお花を贈っていただけるとうれしいです。
 では、最後の質問に移らせていただきます。(「もろうてないもんおるやろ。森さんからもろうてない」と呼ぶ者あり)それは済みません。
 では、最後の質問です。紀淡海峡ルートについてお伺いします。紀淡海峡ルートにかける県の熱意について質問します。
 さきの衆議院選挙で、国土強靱化という政策を掲げ、多くの国民の支持を得て誕生した安倍政権ですが、この国土強靱化で大きくクローズアップされるのが、災害に強い多軸型の国土構造の構築です。
 今から約20年前、平成3年2月定例本会議において、私たちの先輩議員である浦武雄議員が、当時盛んに議論されていた第2国土軸の実現について当局に質問された内容を御紹介させていただきます。
 まず、関西空港、明石海峡大橋、関西学術都市に続く近畿圏の第4のプロジェクトとして「21世紀の近畿圏を考えた場合、3大プロジェクトの次の第4プロジェクトを何にするのかが重点課題と言えます。しかもそのプロジェクトは、和歌山県にとって、近畿圏にとって、さらには西日本にとって大きなインパクトを与えるものでなくてはなりません。私は、このプロジェクトは、仮谷知事が提唱している東京から伊勢湾口、紀伊半島を通り、紀淡海峡、四国、豊後水道を経て九州に至る第2国土軸になるのではないかと考えるのであります。そして、その中でも早期に必要なものが紀淡海峡連絡道ではないかと思うわけでございます」。続けて、「こういう構造物は経済性だけで判断するものではなくて、国際的に通ずるシンボルとしての役割、すなわち関西国際空港に入ってくる海外のお客さんが、まず眼下に見おろす紀淡海峡の美しさ、そしてその美しい紀淡海峡にかかる世界最長のつり橋に思いをはせるわけであります」、「これからの西日本を支えるプロジェクトはまさに紀淡海峡大橋であると強い信念を持って提言をいたすものであります」と、第2国土軸として紀淡海峡を架橋によって結ぶことと提唱されました。
 また、浦議員は紀淡海峡ルートの技術的実現可能性について当局に質問され、当局は、世界最長のつり橋は、工事中のものを含め、明石海峡大橋で橋脚間が1990メートル、紀淡海峡に橋をかけた場合は橋脚間が2500メートル程度と想定され、最近の技術力をもってすれば可能ではないかという専門家の考えもあると答弁がありました。
 本州と四国を結ぶ架橋は既に3本が完成し、現在の経済・財政情勢ではさらなる大規模なプロジェクトは難しいとの意見があるのは承知しています。しかし、18年前に起きた阪神・淡路大震災、一昨年の東日本大震災と立て続けに大規模な地震災害が発生し、歴史的に繰り返されてきた紀伊半島沖を震源とする東南海・南海地震についてもそう遠くない将来の発生の可能性が言われる中、第2国土軸の構築をいま一度検討するべきではないでしょうか。
 京奈和自動車道と近畿自動車道の和歌山市内での接続が、ようやく視界に入ってこようとしています。この京奈和自動車道の先に紀淡海峡架橋が接続し、淡路島から四国へとつながることで、大阪湾に面する地域だけでなく、近畿と四国が一体化して、経済の活性化だけでなく、大きな災害が発生した際のリダンダンシーの確保になるに違いありません。
 加太や友ケ島には、貴重な自然や歴史遺産があります。こうした貴重な資源は大切にしつつ、また並行する航路の存続を図っていく知恵を出すことも必要です。もちろん、建設費用の面での問題が大きいことは言うまでもありません。しかし、私たち現代に生きる者の夢と言うべき壮大なかけ橋を建設しようとする意欲は、関西全体の活性化を引き出すものですし、明石海峡大橋や瀬戸大橋の例を持ち出すまでもなく、京阪神や四国からの人の流れを呼び込むことは間違いなく、新たな和歌山の観光シンボルとなるべきものと考えます。
 和歌山県は、関係する府県及び府県の商工会議所連合会等をメンバーとする紀淡海峡交流会議の事務局を受け持ち、活動を続けていると聞きます。東京では、2020年のオリンピック招致に今、大きな力を注いでいます。ここ関西でも、10年後、20年後を見越した大きな目標を掲げ、それに向かって日本中の英知を注ぐことが、元気な日本、元気な関西を築くために必要だと思います。
 そこで、企画部長に質問いたします。紀淡海峡ルートについて、現在の状況と今後の取り組みについてお聞かせください。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 紀淡海峡ルートの現状と今後の取り組みについてでございますが、紀淡海峡ルートにつきましては、昭和62年の第4次全国総合開発計画におきまして位置づけられた大阪湾環状交通体系及び関西大環状道路、さらに平成10年に閣議決定されました21世紀の国土のグランドデザインにおける太平洋新国土軸、このいずれにおきましてもかなめとなるものでございます。
 この間、国におきまして技術的な可能性などを判断するための調査が行われてまいりましたが、平成20年の国土形成計画では、紀淡海峡ルートを含む海峡横断プロジェクトについて長期的視野から取り組むとされまして、これ以降、個別調査については行われておりません。
 県では、これまでも関係府県や経済団体で構成される太平洋新国土軸構想推進協議会や紀淡海峡交流会議等を中心に、国に対して、紀淡海峡ルートの実現につながる調査の再開や、現在、地域高規格道路の候補路線である紀淡連絡道路の計画路線への格上げなどについて、提案、要望を行ってまいりました。
 紀淡海峡ルート構想の早期実現につきましては、大変厳しい状況ではございますが、引き続き、構想の推進について国に対して粘り強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 それでは、和歌山県として紀淡海峡への架橋は、安全・安心の社会実現や人の交流増加などによる経済波及効果も大変大きいと思われます。知事として、この構想実現に向けての思いをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀淡海峡ルートにつきましては、本県のみならず関西全体の発展につながる関西大環状道路を形成する上で重要な路線であると考えております。
 また、この構想が実現すれば太平洋新国土軸が形成されることで、従来の国土軸に災害が発生したときの代替となるというリダンダンシーの確保の面でも、また産業振興や観光振興という面でも、非常に有用であると考えております。
 厳しい現状ではありますけれども、引き続き、関係府県等と連絡を密にしながら構想推進に積極的に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 御答弁、どうもありがとうございました。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○山本茂博君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 今回の質問は、行政の連携化についての質問と、そしてまた、ローカル的なところを質問したいと思います。
 まず、洪水対策についてであります。
 東日本大震災での人の命、また家屋、財産、人間がつくった造形物を一瞬に失い、なくしてしまう自然の脅威に驚かされました。
 また、2年前の台風12号で、和歌山県の紀南地域を中心に集中豪雨が起こりました。主に世界遺産の本宮大社、那智勝浦の那智の滝などの被害は、皆さんも御存じのとおり、悲惨な状況でありました。多数の死者、行方不明者を出しております。
 私も、現地に9月末ごろ行きました。ちょうどきょうから片側交通規制する中、那智の滝までやっと行くことができました。那智の滝においては、本当に、折れた杉の大木や、そして茶色い大石が無残な姿の状態でありました。これが世界遺産の那智の滝かなと思いました。
 去年、農林水産委員会で那智の滝まで視察に行き、現地において復興状況の説明を受けました。そのとき、大木、また大きな石はなくなっておりましたが、まだまだ河川整備は進んでおらず、土砂ダムの建設を含め、復興真っ最中だったと思います。しかし、本宮大社周辺での復興整備は、1年で見間違えるぐらい以前と同じような状況になっております。本当に、知事初め関係部局の皆さんに敬意を表したいと思います。
 また、去年10月に東北大震災跡地の福島県に同僚の立谷議員と視察に行きました。テレビの放映のとおり、現地の復興は進んでおりません。民主党が復興をおくらした、また、時の総理大臣のリーダーシップが機能しなかったのかな、なかったのかな、そのように思います。これからの復興は自公政権で進んでいくと思います。
 反対に、同じ災害で和歌山県の対応はどうかというと、仁坂知事を先頭にリーダーシップをとっていただき、速やかなる復興をされていると思います。また、新聞報道、ホームページの中で、「知事からのメッセージ」の中で、24年度中に95%本格復旧をさせるぞという意気込みのメッセージがありました。非常にありがたい話です。
 現実はどうなのか、そして、あと残り5%、25年度で終わるのか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
○議長(山下直也君) ただいまの山本茂博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 台風12号に係る災害復旧については、ほとんどの地域で一月前後という驚異的なスピードで応急復旧を仕上げた後、本年度末までに95%の本格復旧を完成させるため、現在、県政史上空前の工事が各地で行われております。
 現在、1100カ所を超える災害箇所のうち74%の箇所を完了いたしまして、さらに、年度末までに95%の完了に向けて急ピッチで工事を進めております。年度末にはほぼ達成できる見込みだと私は思っております。
 残る箇所のうち、大規模被災箇所を除く箇所については平成25年度末までに完了し、大規模な被災箇所についても今後2~3年を目途に完了させ、地域の皆様ができる限り早く安心して暮らせるよう、関係の皆様の御協力を得ながら復旧に全力で取り組んでいく所存であります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 また、東牟婁管内だけにおいて、今の進捗状況、今、大規模な工事が行われている関係ということで、95%というのは達成が難しいんではないかなというふうには思うんです。和歌山全体ということではないんかなと。
 そして、今、東牟婁管内を含めて紀南地域は、建設業を廃業され、そしてまた地域の建設業界が疲弊していると思うんです、民主党政権下において。心配するのは、予算投入されても、さて工事する業者があるのかなと、疲弊されてるために。特に紀南地域はどうなのか。そしてまた、繰越明許で延ばしていってしまうつもりなのか。その点について、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 紀南地方を中心に甚大な被害をもたらした一昨年の台風12号による災害復旧工事では、一時期、入札の不調・不落がありましたが、現在では大部分の工事を県内の地元建設業者で受注し、施工されております。
 今後、紀南地方においては、台風12号による大規模な災害復旧工事のほか、今般の国の緊急経済対策に基づく2月補正予算や平成25年度当初予算における工事、さらには近畿自動車道等国の直轄事業により、新たな発注がふえると予想されます。
 一方で、大規模な災害を除く災害復旧工事は大部分の工事が完成することもあり、今後発注する工事につきましても、入札状況について国と情報交換しながら、可能な限り県内建設業者に発注してまいります。
 県としましては、事業の進捗を図るため国の直轄事業や補助事業を最大限確保したいと考えておりますが、あわせて、予算の繰り越しについては早期発注に努め、繰り越しの縮減を図ってまいります。
 今後も、おくれた社会資本整備を早急に進めるとともに、地域の建設業者の持続ある経営や健全な発展が図れるよう努力してまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございます。
 次に、影響の大きなとこへの復興というのは本当に一番大事なんです。だから、紀南地方の復興を頑張っていただきたいと思うんです。しかし、紀北地域にもやっぱり台風12号の影響があったんです。
 今、資料をちょっと見ていただけますか。資料のとおり、紀の川河川敷にある紀の川市の桃山運動公園、そして岩出市の岡田グラウンドが浸水いたしました。そしてまた、紀の川市の丸栖地区、岩出市の周りにあります岡田地区が浸水いたしました。そしてまた、丸栖地区の中に県の施設であります内水面漁業センターがありまして、台風の影響によってアユが──アユを養殖してるんですけども──1匹もおりませんでした。
 ごらんのとおり、今この図を見ていただいたらわかるとおり、岩出頭首工が本当にもう今、堰のような状況になって、春日川、そして貴志川の水位が上昇してきたら流れ込む支川の水が排水できないということで、浸水が起こっております。
 岸本議員が紀の川河川整備計画について質問されております。それによると、狭窄部の対策については、井堰の全面改築及び部分改築を下流から順次実施すると言われております。
 まず初めに、僕が解決策として思うのは、1つには、岩出頭首工上流部の土砂撤去による河床採掘による流下能力の向上だと思います。そしてまた、過去、2年前に上流部において雑木を伐採し、河床を掘削されております。しかし、まだまだ土砂堆積が多い状況であります。岩出頭首工の対策実施までには、さらなる土砂撤去が必要であると考えます。また、岩出頭首工の下流への位置がえが考えられます。
 または、もう1つは、頭首工のダム本体の工事を行って、真ん中部分を河床掘削して流下能力を高めるという方法があるんではないかと思います。
 今、紀の川大堰も完成されております。紀の川には4つの井堰があり、下流から直されてます。この岩出井堰、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 紀の川の頭首工など狭窄部につきましては、これまでも国に対し、早期改修を図るよう働きかけてきたところです。こうした結果、昨年12月に国が策定した紀の川水系河川整備計画では、狭窄部に設置された頭首工や頭首工上流の土砂堆積等による流下能力不足を解消するため、頭首工の対策や河道掘削等が位置づけられました。
 県としましては、議員御提案の対策案も踏まえ、効果的、効率的、かつ早期に洪水対策が図れるよう、引き続き国に働きかけてまいります。
 また、岩出頭首工の対策実施までの間についても、貴志川の合流点付近の紀の川において、洪水の流下阻害となるような土砂堆積となれば撤去を行うなど、適切な対策を実施するようあわせて国に働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 次に、岩出頭首工が整備されるまでの間、集中豪雨が起こると浸水が心配です。岩出市において、岡田・古戸川に排水ポンプが設置されており、台風12号のときには消防自動車が出動されて排水作業に従事されました。それでも浸水いたしました。
 また、平木議員の質問で、県において3台のポンプ車が配備されると聞いております。処理能力は、排水ポンプ車1台分は消防自動車30台分ということであり、効果が認められると思います。
 県のポンプ車で十分排水ができるのか、また、岡田地区の古戸川の排水ポンプの増設についてどのようにお考えなのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県におきましては、機動的に内水排除を行うため、排水ポンプ車4台を順次導入しています。紀の川周辺には平成23年度に1台、今年度末までに那賀振興局及び伊都振興局管内に各1台を配備する予定であり、広域的な運用を行ってまいります。排水ポンプ車は毎分30トンの排水能力を有しており、出水の規模にもよりますが、浸水被害の軽減に効果を発揮するものと考えております。
 さらに、国においても紀の川周辺に3台配備していることから、緊急的に排水が必要な状況が発生すれば協力を要請してまいります。
 また、岡田地区については、春日川支川の古戸川や排水路に囲まれた土地で内水被害が発生しております。このため、岩出市が排水能力毎分30トンのポンプを2基、毎分5トンのポンプを1基設置しておりますが、平成23年の台風12号降雨時には、ポンプを稼働したものの内水被害が発生しました。
 県としましては、排水ポンプ車による緊急対応や古戸川から排水路への逆流を防止するゲートの設置を検討するなどにより、浸水被害の軽減に努めたいと考えております。
 さらに、古戸川の排水ポンプ増設等の市町村が実施する内水対策については、国に補助要件の緩和を働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 答弁ありがとうございます。4台ということで、本当に増設、ありがとうございます。
 次に、国営総合農地防災事業についてであります。
 和歌山平野の治水・排水対策として、平成23年から農林水産省において国営土地改良事業地区調査が実施され、平成25年、全体実施設計、そして平成26年、事業着手とのことであります。昨年、和歌山市、岩出市、そして紀の川市共同のもと、国営総合農地防災事業推進協議会が発足されております。
 まず、国営総合農地防災事業について、事業内容について農林水産部長に聞きたいんですが、これは国の事業ですんで、またこれは国のほうで考えていただきたいんですけども。
 それとともに、岩出市において紀の川用水、そして六箇井、藤崎井用水があります。そのときに、この国営総合農地防災事業が和歌山市、そして岩出市、紀の川市と面的な面で行われるんですけれども、岩出市というのは、大雨が降ったときには吉田地区、西野地区、中迫地区、そして高瀬地区において浸水被害が発生しておりまして、岩出市においては平成21年に岩出市排水計画が完成されております。
 また、国においては、国営総合農地防災事業ということで、今言いましたけれども、雨水を速やかに中小河川へ導入するという目的だと思うんです。しかし、肝心なのは、面的な面じゃなしに排水の水路、その河川の整備が非常に大事ではないかと思います。
 そうしたときに、根来川、そして住吉川、木積川の改修が非常に大事ではないかと思います。改修計画についても県土整備部長にお伺いいたします。1個飛んだんやけども。
○議長(山下直也君) 山本議員に申し上げます。
 一問一答方式で農林水産部長が先ですよね。
○山本茂博君 ああ、それじゃ、先、農林水産部長に。
○議長(山下直也君) よろしいですか。
○山本茂博君 はい。国営総合農地防災事業について農林部長に、ちょっと先、お答え願えますか。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 国営総合農地防災事業和歌山平野地区については、紀の川中下流域の農業用排水施設の排水機能を回復させ、県下有数の農業地域における湛水被害の軽減を図ることが目的であります。
 現在実施している地区調査の中で現況排水能力を把握するとともに、河川への排水を速やかに行うため、樋門の改修、水路の拡幅、バイパス水路の新設、排水機の改良等の対策工法の技術的、経済的妥当性の検証を行った結果、排水路の改修・新設47.5キロメートル、排水機の改修・新設4カ所などの事業計画案が取りまとめられたところでございます。
 平成25年度の全体実施設計では、工事計画の詳細検討や事業費の精査を行うと聞いておりまして、県としては、平成26年度事業着手を目指し、国へ働きかけてまいる所存でございます。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 中小河川の改修予算はここ数年大きく増額しており、住吉川、根来川でも重点的に事業を進めています。
 住吉川につきましては、現在、紀の川合流点から国道24号までの約1.7キロの区間で重点的に改修を実施しており、下流から約0.7キロは改修が完了しております。この区間では用地の97%が取得済みで、川幅を広げるとともに堤防を築くことで、洪水を安全に流すことができるように順次改修を進めているところです。
 根来川につきましては、現在、支川の山田川合流部付近から藤崎井用水路までの約0.4キロ区間で重点的に改修を実施しており、護岸補強を兼ねた河道拡幅工事を進めております。
 両河川とも、用地取得など地元の御理解なくしては工事を進めることができない河川であり、今後とも、地域の御協力を得ながら、当該地域で実施される国の総合農地防災事業とも十分に調整、連携して事業の推進を図ってまいります。
 また、木積川につきましては、春日川合流点から上流約0.2キロ区間の改修が完了しており、上流部については、治水上の必要性の高いところから、地元と調整の上、対応してまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 再質問ということで、もう1回。
 吉田地区というのは、非常に、何遍も浸水しております。その中で、県の御努力によりまして、国道24号から下流400メーター付近まで県で河川改修を行っていただいております。本当にありがとうございます。
 ただ、この国道24号から400メートルの上流部、六箇井があるんです。住吉川というのは天井川になってまして、その下に六箇井があるということで、今、住吉川を河川を下げて工事を行っていただいて、そこへ今度、六箇井の水を排出されるともう浸水が防げるんです。だから、国道24号から上流部において本当にやっていただきたい。
 ただ、この河川改修の計画がまだされていないということで、また同じく根来川についても河川改修計画がないということなんで、その点について県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県としましては、現在の重点整備区間を早期に整備完了し、上流延伸を図っていく必要があると認識しております。そのため、住吉川は農免道路の住吉橋まで、根来川は県道泉佐野岩出線の根来新橋までをおおむね20年程度で整備を行う区間として河川整備計画案に位置づけており、既にパブリックコメントも終了しております。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。次に移りたいと思います。
 議員の皆さん、私も議員になって思うんですけども、今回、葬式に行く機会というのが非常に多くなってきました。私も、還暦を迎えて、死ぬということをちょっと考えるようになりました。
 今まで、死ぬと土葬が主でありました。今現在では火葬になってます。また、土葬のときには地域の人がお通夜、葬式とお手伝いをして、目礼、穴堀り、会計等、お世話していただけました。そして、今、火葬になって葬儀屋さんがたくさんできております。葬儀屋さんができるようになって地域の出番がなくなってきたと、そのように思います。
 そしてまた、特に近年、家族葬が多くなってきているように思います。それは、金銭的な問題、また自殺等によって知られたくないということがあったんかなと思います。しかし、私が憂えるのは、隣の人も知らない、知らせない、そういった家族だけの葬式がふえてきております。それも区自治会に入っている人です。
 葬儀屋さんにお聞きすると、やっぱり大勢の弔問客で大げさにしたくないという面もありますし、金銭的な面もあると思います。また、近所に知らせたくないというのは、また弔問に行かなければならないと。来てもらったら。反対に、子供さんが遠くにいてる場合ということも考えられると言っておられました。
 そしてまた、東日本大震災の直後というのは家族葬が減ったらしいんです。しかし、2年たったら家族葬がふえてきたと。本当にそれこそ助け合いの精神が忘れ去られているのかなと、お坊さんとともに嘆いておられました。東日本大震災できずなというものがクローズアップされましたけれども、2年たったらまた地域の連携とかコミュニティーがなくなってるの違うかと、そのように思います。
 和歌山県において、少子高齢化、そしてまた人口減少による過疎化も進んでおります。祭りも少なく、できるのかなという気もいたします。また、農業や中心商店街の衰退ということもあり、地域活動そのものが衰退してきているのかなというふうに思います。
 また、岩出市においては、マンション化が進みまして、区自治会に入ってない世帯もふえております。これは岩出市だけの問題なのか。地域の崩壊が進んでいる。日本、また、この和歌山県の将来は。本当に私は憂います。
 この地域のコミュニティーについて、知事のお考えを。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口減少やあるいは高齢化、過疎化の影響による地域コミュニティーの弱体化は、議員御指摘のとおり、地域活力の減退や祭りなど伝統文化の喪失等をもたらすことから、あらゆる政策を長期総合計画に盛り込み、活力ある地域づくりに取り組んでいるところであります。
 具体的には、地域の1人1人の方々に地域のすばらしさに気づいていただいてふるさとへの愛着を深めてもらわないといけないので、これは郷土教育を子供たちにしようと、それは大人にもやっぱりわかってもらおうということで努力をしております。
 それから、学校と家庭と地域が連携して子供を育てるきのくに共育コミュニティ事業の推進、さらには、平成25年度新政策において、先輩が後輩を育て、育てられた後輩が次の後輩を育てていくリレー式次世代健全育成の取り組みを県内各地で構築するなど、人づくりに重点的に取り組んでいるところでございます。
 また、地域の中でお年寄りとか、あるいは障害を抱える方が人知れずトラブルに巻き込まれていないかどうかというようなことを心配するところがございますので、地域見守り協力員制度など地域を支える活動や、あるいはNPO活動の活性化を図るとともに、今後は広い地域をカバーする企業にも見守りの一翼を担ってもらうようにしていきたいと考えております。
 さらに、人口減少や高齢化が著しい過疎地等におきまして、集落機能の維持に向けた過疎集落再生支援や、あるいは移住交流の推進によりまして、新たな地域の担い手の育成等にも取り組んでいるところでございます。
 今後も、こうした政策にさらに磨きをかけることにより、元気な和歌山の実現に向け、地域コミュニティーの活性化に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 私は、地域ということを考えたら、本当にもう「危機感」がキーワードになってくるのかな、そしてまた、津波の来ない岩出市においては危機意識が乏しいんかなというふうにも思います。和歌山県の葬儀屋さんの話をしましたけれども、人口当たりにすると日本一、一番多い県であります。県民性によるんかなと思います。
 地域社会というのは、国際的な概念といたしまして、サスティナビリティー、持続可能な社会、そしてまた、地域は過去、未来永劫続いていく、発展していく社会の構築だと言われてますし、ダイバーシティーということで多様性を認める社会ということで、少子高齢化、価値観が多様化している中で地域にはいろんな人がいてる、その人をつなげることが大事なんじゃないかということも言われてます。そしてまた、インクルージョンということで、排除しない社会、排除するんではなく包み込む社会をやっぱり構築していくのが、地域社会がよくなっていくんかなと言われてます。
 地域コミュニティー、本当に今、住民自身がつくっていくもんであるとは思います。地域では、きずながなくなって、住民がばらばらになってるんではないかという感じもします。その中での自助、公助、共助の中で、共助が本当にもう今、大切かなというふうに思います。
 孤独は人間を育てますが、孤立は逆に人を潰します。児童虐待も起こすし、犯罪も犯すんではないかと思います。未然防止は地域のつながりであると思います。地域のきずなをつくることによって孤立をなくすことができると思います。地域づくりは人づくりであると思います。
 また、県庁職員は優秀な職員が多いんですけども、県庁内の仕事が主で現場がわからない面があるんかなと思ったりもいたします。問題は市町村職員の質の向上であります。行政の8割が市町村の支えであります。市町村を元気にしていただくことが重要かなというふうに思います。
 そこで、共育コミュニティ──いろいろと地域、学校、家庭とそれぞれの面で頑張ってくれております。しかし、教育委員会だけに任してええのかなと、そういうふうに思います。和歌山県の岩出市はこの和歌山県の縮図かもわかりません。しかし、県全体として少子高齢化、過疎化による地域崩壊が起こってます。今現在は、ソーシャルメディアも発達してます。しかし、もう一度、県全体として地域自治をつくり直していく、地域の活性化を図っていく、本当に知事部局でもう1回考えていただきたいなというふうに思います。これは要望といたします。
 次に移ります。
 次に、地域コミュニティーの醸成というのは市民活動にシフトしていくのかなと思います。退職後にNPO参加やボランティア活動、またサークル活動と、社会的に積極的にかかわる個人が増加してます。課題別市民活動など、活動範囲を広げているのも事実です。
 また、公民館活動、いわゆる生涯学習が非常に大事ではないかと私は思います。そしてまた、人生日々勉強だというふうに思います。自分から学び、そして社会の人が学ぶことによってきずなが醸成していくのではないかと思いますし、また、地域社会が発展していくと思います。
 共育コミュニティは、次代を担う子供たちを健やかに育てるため県内各地で取り組みが行われており、活動を通じて子供が元気に、子供にかかわる大人も地域もまた元気になっております。地域には、子供や学校のため何かしたいんやと熱い思いを持ってる人もたくさんいてると思います。子供を中心にして学校、家庭、地域がつながり、地域ぐるみで子供を育てる共育コミュニティの事業というのは、本当に重要だと私も思います。
 前芝議員が質問されて、教育長は、共育コミュニティの実施校はふやしていきたいという話でございました。しかし、コーディネーターはいろんな職種の人がおられます。そしてまた、地域に根づいた人がやっぱりなるべきです。地域コーディネーターの役割というのは、本当にそういう面では非常に重要だと思うんです。
 そしてまた、そういう人を、本当に人材確保という点が1つの共育コミュニティをつくる上では非常に大事なことなんじゃないかなというふうに思います。そしてまた、非常に少ないんじゃないかなと思ったりもしますし、これからの共育コーディネーターの育成についてどのように考えるのか。そしてまた、平成23年から、県内の8割を超える小中学校において、学校と地域住民がさまざまな課題を語り合う共育ミニ集会を開催しているということですんで、地域の人の感想等について、教育長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 共育コーディネーターの育成と教育ミニ集会についてお答えします。
 平成20年度から取り組みを進めている共育コミュニティづくりの中では、本年度、45名のコーディネーターの方々に、学校と地域をつなぐキーパーソンとして大きな役割を担っていただいております。
 今後も、この取り組みを広げるためコーディネーターの育成に努め、地域住民が主体的かつ継続的に共育コミュニティづくりにかかわってもらえるよう支援してまいります。
 また、地域の子供をどう育てるかなどさまざまな課題について、学校関係者と地域の方々がともに考え、話し合い、解決に向けて取り組んでいくきっかけとして、共育ミニ集会を昨年度から開催しています。
 参加した地域の方々からは、立場や世代の違いを超え率直な意見交換ができた、今後もこうした話し合いの機会をふやしてほしいなど、建設的な意見をいただいております。
 この共育ミニ集会をきっかけに、学校、地域が一緒になって防災訓練を実施するなど、取り組みの広がりも見られております。
 以上です。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 青少年育成市町村民会議の活動の一環として、子ども・若者育成支援県民大会が岩出市で行われました。青少年を守り育成するということで、地域のボランティアの皆さんが地域、学校、家庭という協同の中で活動をされております。共育という点で一致するところが多いと思います。
 しかし、子ども・若者育成支援県民大会の中で、私ども岩出市の教育関係者の方が少ないように思いました。私は不思議でなりませんでした。地域、学校、家庭という目的の中で共有していないのではないかと。
 また、セーフティネットという事業があります。小学校において、学校の先生と地域の人が生徒の見守り活動をされるという事業であります。年6回されており、登校・下校時に見守りをされております。教員の参加はふえておりますけども、年々参加人口が減っていると言われてます。
 各地域の青少年育成会が以前から見守り活動をされているわけです。そこへセーフティネットということで新たな事業をされたんですけれども、「見守りをしてくれるんだったらまあええやないか」と、「我々がまた行かんでもええやないか」という人が多くなってるんではないかということを危惧いたします。
 教育委員会と青少年育成会との連携について、教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 青少年育成市町村民会議と共育コミュニティの連携についてお答えします。
 県内それぞれの地域では、青少年育成会市町村民会議が中心となって、子供を守り育てる取り組みや、防犯についての専門的経験を積んだ方々による通学路等の巡回など、以前からも地域の方々がさまざまな形で子供たちにかかわってくださっています。
 今後は、こうした既存の取り組みとも連携し、学校、家庭、地域が一体となって子供の豊かな育ちや学びを支える、より効果的な取り組みを進めてまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございます。
 次に、生涯学習と青少年育成の連携についてということで、青少年育成ということの中で教員にかかわる変遷があったんではないかと思います。昭和39年6月に青少年局総合対策本部事務局が発足して、青少年企画課、そして青少年育成課、青少年保護課が設置されて、同年8月に青少年の社会教育にかかわる事務を教育委員会から知事部局に移管されております。
 今、県下の30市町村全部が青少年育成会は教育委員会に置かれてます。また、県の青少年育成会は知事部局の環境生活部に置かれているため、ねじれが生じてるんかなというふうに思います。
 昨年、子ども・若者育成支援大会において、繰り返しになりますけども、教育関係者の方が少なかったということで、生涯学習と青少年育成のさらなる、今、連携の話をされましたけども、県の青少年育成の所管を市町村と同じように教育委員会に移したらという考えはないんでしょうか。知事にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 青少年行政につきましては、御指摘のとおり、昭和39年に教育委員会から知事部局に移管されておりますけれども、これは、当時、全国的に複雑な社会問題となっていた少年非行問題を、知事部局、教育委員会、警察などの関係機関が一体となり、知事みずから先頭に立って取り組む必要があったからというふうに聞いております。
 近年、少子高齢化の進行や、あるいは高度情報化の進展、価値観の多様化、厳しい雇用情勢等に伴い、子供、若者を取り巻く環境はこれまた大いに厳しくなっておって、従来からの非行等の問題に加えまして、ニートとかあるいはひきこもりなど、社会的自立に困難を有する若者が増加しております。そういう意味で、所管を知事部局に置く意義はより一層増していると私は思います。
 引き続き、私が知事でございまして、別に教育委員会にもちゃんとお話はしますので、教育委員会、警察などの関係機関と連携して青少年の健全育成に取り組んでいく所存であります。
 もう一言申し上げますと、議員が教育委員会に戻したらどうだというお話がありましたが、現在の状況でいいと思いますけれども、しかし、仮にどっちかに移さなきゃいけないということであれば、これは学校教育を中心にいたしまして、所掌事務とか構成してる人の役人としての経験とか、そういうようなこともいろいろあります教育委員会に一元化するよりも、より総合的な行政を所掌する知事部局のほうにまとめるほうが私はいいと思います。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 次に、青少年の家についてであります。
 先日、白崎青少年の家に視察に行きました。道路沿いにタヌキがおり、びっくりいたしました。海岸沿いのあの道沿いのところに昼日中に出没してるんです。1頭ではなく何十頭も。全国どこを探しても、日中、夜行性のタヌキがいるところはないんじゃないか、白崎だけなんじゃないかなと、このように思います。本当に、青少年にとって自然と向き合える絶好の場所になっているんではないかと思います。
 青少年の家は、社会教育施設として大きな役割を持つ施設であります。青少年の家に行き、指定管理者の方が少しずつ手を加え、環境整備を整えられました。しかし、施設自体は昔のままになってるんではないでしょうか。
 例えば、現代において、青少年の方のインターネット、本当に大事だと思います。完備は必要だと思います。そしてまた、トイレに関しても、観光施設のトイレの洋式化ということを言われてますが、青少年の家においては一部しか洋式化されておりません。また、備品等も古びているようにも感じました。寝泊まりにおいても本当に近代化されておりません。
 一般の方、また県外の方、そして県外の小中学校の方も、皆さん来られます。利用されます。青少年の家をホテルにしろとは言いません。青少年が快適な研修を受けられる施設に、環境づくりが求められると思います。環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 青少年の家の環境整備についてでございますが、豊かな自然環境の中で、団体宿泊生活や体験活動を通じて青少年が協調性や規範意識などを育み、心身ともに健全に成長していくことは大変重要であり、そうした観点からも青少年の家が担う役割は大きいものと考えております。
 御指摘の県立白崎青少年の家を含む県内3カ所の青少年の家は、施設の耐震化も完了いたしまして、指定管理者制度を導入した上で、地域の資源や特性を生かした自主事業の実施など、サービスの向上に努めているところでございます。
 県といたしましても、市町村や県教育委員会を通じて施設利用の促進を図るとともに、老朽箇所の修繕を行っており、来年度には、トイレの改修のほか、施設、設備の整備を行っていくことといたしております。
 今後も、指定管理者と協議しながら、青少年の健全育成を図る施設としてふさわしい環境整備に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 次に、交通安全対策についてであります。
 和歌山県警の発表資料によりますと、平成24年中の高齢者の事故というのがございます。これによりますと、県内の全事故に占める高齢者事故と高齢ドライバーによる事故割合は年々増加傾向にあり、特に高齢ドライバーについては、高齢者が運転する車が店舗に突っ込んだり反対車線を逆走するというような悲劇的な事故のニュースを見聞きするようになっております。
 高齢化の進行と高齢者を取り巻く交通事故の増加は、密接に関係があると思います。現在、高齢者のためには、以前は枯れ葉マークでありましたが、四つ葉マークに変わっております。高齢者の方の運転免許証の更新のときに適性検査があり、そこで判断されます。しかし、免許証を更新されて次の更新の間、高齢者の方、自分で適性かどうか判断する本当に必要があると思います。
 県において運転適性検査器を導入されております。実施状況について、環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 環境生活部長。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 県といたしましては、高齢者の交通安全対策の一環として運転適性検査器を導入いたしまして、運転機能の衰えを認識していただくため、参加体験型の高齢者交通安全教室を実施しているところでございます。この講師には、県警の交通企画課や地元警察署から協力をいただいております。
 今年度は、県内各地で13カ所、約400人の方を対象として実施いたしますとともに、運転適性検査器につきましては、加えて交通安全フェアやトラックの日のイベントにおいても活用しております。
 また、昨年の死亡事故におきます高齢者の割合が減少したことから、さらに県警との連携を図りながら、交通安全教室やイベントなどの機会を通じて高齢者の交通事故防止に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 また、県警の資料によりますと、高齢者人口1万人当たりの高齢者自転車乗車中及び高齢者歩行中の死傷者というデータがあります。高齢者の方が自転車に乗っていて、または歩いていて交通事故に遭ったデータでありますが、県内市町村のうち、最も高齢者の事故が多いのは岩出市ということであります。
 岩出市は県下では最も高齢化率が低い、若い市であるのにということなんですけども、この統計というのは高齢者1万人当たりの交通被害者の数なので、高齢化率に関係なく、岩出市において交通事故が多いというのがわかると思います。
 そこで、高齢者ドライバーに対する安全対策について、県警本部長にお願いいたします。
○議長(山下直也君) 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) 議員御指摘のとおり、岩出市における高齢者人口1万人当たりの高齢者の歩行中及び自転車乗車中の死傷者が20人で、県内で最も多く、2番目に多い和歌山市の15人と比較すると突出して多い状況にあります。
 本県においては、交通事故件数が減少傾向を示している中で、高齢者の増加に伴い、平成15年には23.9%であった交通事故全体に占める高齢者関係事故の割合は平成24年に3割を占めるに至っており、その割合は年々増加傾向を示しており、交通事故を抑止するためには、この高齢者の事故をいかに減少させるかにかかっている状況にあります。
 なお、高齢ドライバーの関係する事故件数は、10年前と比較し10%減少しているものの、うち7割が高齢ドライバーが第1当事者となる事故であり、事故原因を見ると、ハンドル、ブレーキ操作誤りによるものが他の年齢層よりも高く、高齢者特有の加齢による身体能力の衰えが影響していることがうかがえる状況にあります。
 県警察といたしましては、高齢歩行者、自転車利用者に対しては、信号無視や無理な横断など、交通ルールを守らない高齢歩行者や自転車に対する積極的な指導警告活動、危険な行動をとる高齢者に対する継続的な訪問指導活動、反射材の活用促進活動など、高齢ドライバーに対しては、運転免許の自主返納の促進活動、自己の運転技量を自覚してもらうための参加体験型の交通安全教室の開催などを行っているところであります。
 今後も高齢化の進行は避けられない状況にあることから、県警察といたしましては、高齢者交通事故防止を最重要課題の1つと捉え諸対策を推進するほか、高齢者が安全で安心して暮らせるよう、自治体や関係機関・団体との連携強化に努めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 時間もないので、次に。
 交通安全対策というのは、平成24年中における県内の人身事故交差点のワーストランキングが発表されました。それによりますと、1番が岩出市の備前交差点で、2番は和歌山市三木町交差点、3番はJR和歌山駅前交差点となっております。調べますと、備前交差点というのは23年においてはワースト3、そして22年ではワースト2ということで、3年間ずっと3位以内であるということです。
 その備前交差点は、国道24号と県道泉佐野岩出線が交わるところで、両線とも片道2車線であり、交通量が多いところであります。また、近隣には多数の商業施設があり、南には岩出市役所、西には岩出中学校があり、交差点を横切る歩行者、自転車、バイク等による通行車も多く、事故が多発する環境下にあると思います。
 また、3年連続の3位以内ということはほかに原因があるのかなと考えるんですけども、しかし、将来、京奈和自動車道の岩出インターチェンジの供用が開始されると、さらに交通量が増加すると思います。交通事故が多発する交差点において、今から何らかの安全対策をとらないと、さらに事故がふえると思います。
 備前交差点における事故多発の現状と認識について、県警本部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 警察本部長。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) 備前交差点における交通安全対策についてでありますが、昨年の備前交差点での人身交通事故は11件発生し、県内交差点の人身交通事故ワーストランキングで1位となり、過去においても、人身事故が多発する交差点として常に上位に位置している状況にあります。
 過去5年間に52件の人身交通事故が発生しており、最も多い事故類型は追突事故で、21件、4割以上を占めております。また、自転車が関係する事故が15件、28.8%を占め、自動車の右左折時に発生していますが、中には自転車側の信号無視により発生したものが4件含まれていることから、県警察といたしましては、通学・通勤時間帯や事故多発時間帯におけるパトカーや警察官による駐留監視や自転車指導などの街頭指導活動を積極的に行うなど、ドライバーや自転車、歩行者に対する注意喚起を行っているところであります。
 加えて、備前交差点周辺には商業施設も多く、交通量も多いことから、右折レーン、右折矢印信号の設置や転回禁止の交通規制を行い、交通の安全と円滑化を図る対策を講じているところであります。
 議員御指摘のとおり、今後、京奈和道路の延伸に伴い、さらに交通量の増大や交通事故の多発が懸念されることから、県警察といたしましては、交差点改良などハード面の対策についても道路管理者と連携して検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 最後に要望ですけれども、今まで連携の話をさせていただきました。洪水対策については県土整備部、そして農林水産、そして青少年育成については知事部局と教育委員会、そして交通安全対策については知事部局と、そしてまた警察との連携というのが非常に大事なことかなというふうに思うんです。この連携というのがどうもなってないというんですか、あるんかなと、そういうことを危惧するんです。それは、もう行政の硬直化ということがやっぱり起こってるとこもあるんかなという思いで質問させていただきました。
 そういったことで、連携を密にしていただいて住民福祉向上につなげていただけたらなというふうに思いまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山本茂博君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時34分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 議長のお許しをいただきましたので一般質問を行いたいと思いますが、質問に入る前に、きょうは、議会運営委員会で議長並びに議員各位の御了解をいただきましたので、緊急質問を行いたいと思います。
 昨日、県では、米軍が近く実施するオスプレイの低空飛行訓練を九州のイエロールートから本県上空を含むオレンジルートに変更したとの情報提供を近畿中部防衛局から受け、知事は、「本県上空で訓練する必然性の説明がない中で訓練が実施されることは遺憾」とのコメントを出したことが報道されております。
 現在、2月定例会中でありますので、この際、知事から一連のてんまつについて報告を求めるものであります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) オスプレイの低空飛行訓練に関する一連のてんまつでございますが、2つ申し上げます。
 1つは、時系列を追って、県と、それから防衛局などがどういうふうなことをしていたかということでありますが、まず、2月28日の17時ごろに、近畿中部防衛局からの第1報で、米側からオスプレイが訓練のため岩国飛行場に飛来するとの連絡がありました。その内容は、①3月6日から8日までの間、3機のオスプレイが沖縄から岩国飛行場に飛来し、低空飛行訓練を実施すると。②低空飛行訓練等を実施する場所は未定で、飛行高度は、日中は500フィート、夜間は1000フィート以上で飛行する。
 3月4日の20時42分ごろ──ちょっと細かいですね。20時40分ごろ、第2報で、九州地方──大分、福岡、熊本、宮崎のイエロールートというのが米軍から発表されておるんですが──において低空飛行訓練等を実施する旨の連絡がありました。
 ところが、3月5日15時半ぐらい、第3報で、九州地方で行われる陸上自衛隊の訓練との兼ね合いで、イエロールートからオレンジルートに飛行訓練ルートの変更をするという連絡があったわけであります。
 それで、知事の会見を求められまして、ぶら下がりではございますが、大略、次のようなことを言いました。
 感想はと聞かれたもんですから、少なくとも和歌山県に対しては、なぜここでここを飛ばなきゃいかんのかというようなことについては、米軍からはもちろんのこと、防衛局からも全然説明がありませんと。私は、前々から言っておりますように、国防についても別に冷淡ではないし、日米安保も反対ではないし、米軍が訓練しちゃいかんと全く言うとらんけれども、何でここに飛んでこなきゃいけないのですかということについてはちゃんと説明をしてもらいたいと思っておると。そういう意味では、説明が全くなくて、とにかくあすから飛んでいくぞと言われてもあんまり納得できない。そんなふうに言いました。
 大略、一部だけつまんでるとこがありますが、報道は別に間違ったことは報道されていないと、そういうふうに思います。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 改めて知事のお話を伺って、反対でないということがよくわかりました。
 今、新聞とかテレビを見ておりましたら、もうとにかく一部国民の間に不安もあることから、積極推進というふうに誰も言われておりません。しかし、日米安保の重要性を考えたり、それから沖縄の基地をほかへ持っていくということはなかなか難しいんですけども、訓練を一部受け入れるということは、沖縄の皆さんのことを軽減してあげるということでは、私は大変いい方法だと思います。
 それから、12号台風のときに自衛隊のヘリコプターも、それからいろんなヘリコプターが来てくれました。ふだんから和歌山県上空を飛んでるドクターヘリ、パイロットの人たちは和歌山の空をよく御存じでした。やっぱりふだんから飛んでおいてもらうということは、確かに危険もあるんですが、和歌山のことを考えると、将来、有事のとき、そしてまた東南海・南海地震が起きれば、恐らく米軍に助けていただくようなこともあると思うんです。そのときに、和歌山の空をよく知っておいてもらうということは、私は有益なことではないかなというふうに思います。
 選挙にも出ますから、そんなことを推進するということは非常に言いにくい立場にあると思いますが、ぜひとも私は、和歌山県は受け入れてもいいんではないかなというふうに個人的にそのように思っておりまして、以上、申し上げて、通告に従って一般質問を行ってまいりたいというふうに思います。
 最初に、政権交代後の高速道路の整備促進について伺います。
 去る2月26日、県議会京奈和自動車道、高速紀南延長の両議連28名は、二階、門両代議士の御案内で、国土交通省太田大臣、鶴保副大臣、道路局幹部に面会するとともに、県選出与党国会議員の先生方に高速道路等主要道路の整備促進の要望を行ってまいりました。特に、御坊─田辺間4車線化については、3年前に政権交代のスケープゴートにされた経緯があり、これを復活させることが政権再交代の意義であると強く訴えてきました。
 また、4車線化凍結を受けて抗議のために上京した議連の呼びかけに1人も姿を見せなかった民主党国会議員の背信行為や、廊下で立ち話しか応じなかった長安政務官の非礼に対し、大臣も、ひどいものだとおっしゃるとともに、私たちの要望には大いに理解をしていただきました。
 そこで、今後の運動の論点を整理する意味で何点か質問を行います。
 まず、近畿自動車道紀勢線の未事業化区間、すさみ─太地間、新宮─大泊間の新規事業化に向けて、今後どう取り組まれるのか、御所見を伺います。あわせて、有田─田辺間4車線化についても伺います。
 3番目に、平成27年の国体までに供用を要望している工事路線の見通しはいかがか。また、要望活動と並行して、逼迫している道路財源の確保やマスコミに横行する公共事業悪者論に対し、県としていかに取り組むのか。
 続いて、高速道路関連でもう1点、印南サービスエリアのトイレ増設について伺います。
 昨年の9月定例会において、新島議員、森議員、私の3人からの一般質問に対し、早速トイレ大作戦を展開していただき、この際、お礼を申し上げておきます。
 さて、印南サービスエリアでは、繁忙期だけではなく、日常的に観光バスが到着するとトイレに列ができるそうです。新年度からトイレ大作戦を展開する本県の大動脈にあるトイレがこのような状況では、とても観光立県とは言えません。ぜひとも西日本高速道路会社にトイレの増設を求めますが、以上5点について知事の御見解を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、第1番目でございますが、近畿自動車道紀勢線の未事業化区間でありますところのすさみ─太地間、それから新宮─大泊間については、国において計画段階評価が実施され、昨年8月には対応方針が了承されました。しかしながら、その後、事業化に必要な手続が実施されておりませんで、具体的な進展が見られておりません。
 紀伊半島一周高速道路の実現は、南海トラフの巨大地震など大規模災害に備えて不可欠かつ急務でありまして、現政権が進める国土強靭化の根幹をなす事業であると思います。このため、未事業化区間について、ぜひとも平成25年度に新規事業化していただくように、現在、国に対して強く求めているところであります。
 次に、有田─田辺間の4車線化でございます。これは、昨年4月に民主党政権のもとで事業化をしてやろうという意図、これが発表されました有田─御坊間についての4車線化については、意図は発表されたんですけれども、事業着手に必要な手続がいまだ実施されておらず、それから、御坊─南紀田辺間の4車線化についても着手が見合わされたままとなっております。
 これらの区間は、全国有数の交通量でありまして、慢性的な渋滞とか重大事故が発生することもあるし、また、対面ですからいつそういうことが起こるかもしれないという危険性がいつもあるところでございます。4車線化の実現は喫緊の課題となっていると思います。
 県といたしましては、有田─御坊間は直ちに事業着手していただくとともに、平成21年度補正予算で事業化されて、その後見送られた御坊─南紀田辺間に、予算をちゃんとつけて早期に事業を復活するように、引き続き国に対して強く働きかけていきたいと思っております。
 その次は、現在工事をしているところの供用時期の問題でございます。
 事業中の近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間、それから那智勝浦道路──これは勝浦と、それから太地間ですけれども──それから京奈和自動車道の県内全線については、国において、既に平成27年度の供用ということで事業を推進していただいているわけであります。
 今回の緊急経済対策としての補正予算においても全国で突出した予算をつけていただいたところでございまして、本県が要望している平成27年国体開催までにぜひ供用ということに大きく前進したと考えております。
 県としては、国の事業とはいえ、用地取得を早期に完了するよう協力するとともに、引き続き、国に対して国体開催までの供用はちゃんとやってくださいということをお願いしてまいりたいと思っております。
 次は、もう少し大きな、高速道路に関する国民理解と財源の問題ということであります。
 現政権が国土強靭化に向けて道路整備を初めとする社会資本整備に重点を置いた政策を進めるとされたことは、県としても大変心強い限りであります。
 昨年の10月、東京においてシンポジウムを開催いたしまして、県民の将来のチャンスの保障とか、あるいは大規模災害への備えとして高速道路整備の必要性を広く訴えたところでございまして、また、先日は和歌山県道路協会の主催により県民総決起大会が開催されましたが、そのときは1000人を超える県民の皆様の参加があって、会場の外にも何百人という方が聞き耳を立てておられたというような、そういう熱意が感じられました。道路整備の推進を求める皆様の熱い思いを受けとめたところであります。
 無駄な公共事業とかばらまきと言って批判をすると、何かあたかも格好いいとでも思っているのかというような議論をする人もおります。しかし、和歌山県が主張している論拠は、災害のときの機能とか──命の道ということですね──それから、世界の各国がこれをどういうふうに進めているか、それに乗りおくれたら大変というような話とか、あるいは他の地域との比較とか、よく聞いていただくと全ての人が納得するようなものなのでございます。
 したがいまして、今後ともあらゆる機会を捉えて、本県を中心にでございますけれども、地方における高速道路整備の必要性を訴えて広く国民の理解を求めていきたいと思っておりますし、そうやって、当県に関する道路関係予算の確保を国に働きかけていきたいと思っております。
 次に、印南サービスエリアのトイレ増設でございますが、議員御指摘の点はまことにごもっともだと思います。
 県内の高速道路のサービスエリアとかパーキングエリアのトイレについては、これは西日本高速道路株式会社において利用状況に応じた整備がなされていることになっておりますが、印南サービスエリアにおいては、御指摘のような事態がありますので、本格的な増設ではまだなくて、繁忙時のピーク時には仮設トイレを設置するなどの対応を行っていると聞いておるんです。
 しかしながら、繁忙期はもとより、通常期においても観光バスが停車した際には女性トイレに行列ができるという場合もあることは議員御指摘のとおりでありまして、西日本高速道路株式会社では、来年度、利用実態の調査を行い、将来的な動向も踏まえ、トイレ数が不足していると考えられる場合は増設等の検討を行うと聞いております。
 調査をしなくてもわかり切ったことではないかという気もしますが、一応手続としてそういうふうにやっていくというふうに聞いておりますので、引き続き、西日本高速道路株式会社に対して、快適な利用サービスが確保されるように働きかけていきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな2番目に、がん対策について、その1として、ホウ素中性子捕捉療法、アルファベットでBNCTと言いますが、これについて伺います。
 先般、自民党県議団福祉議員連盟で京都大学原子炉実験所を訪問し、粒子線腫瘍学研究センター所長の小野公二教授からホウ素中性子捕捉療法についてお話を伺ってきました。
 訪問のきっかけは、本年1月6日付「読売新聞」でがん細胞だけをやっつける先進医療の実用化が近いという記事を読んだことで、本県と目と鼻の先にある熊取町で行われており、がん死亡率の高い本県にとって何か有益なことはないかとの思いで行ってまいりました。
 ホウ素中性子捕捉療法とは、ホウ素という元素が核分裂するときの放射線の長さが細胞1個分ということを利用するもので、ホウ素薬剤をうまくがん細胞に取り込ませて、中性子を照射し、核分裂を起こしてがん細胞だけを破壊する画期的ながん治療です。長年臨床研究を積み重ねてきた小野教授のグループでは、がん細胞だけに取り込まれる精度の高い薬剤や中性子を発生させる加速器の開発が進んでいます。
 しかし、機械や薬剤の研究に終わりはなく、臨床研究に使用する薬剤は教授のポケットマネーという厳しい財政事情も伺いました。ノーベル賞の山中教授も、認められるまで研究費に苦労したと聞きます。
 本県では、幸い、県立医大放射線科の岸准教授が連携されていると聞きましたので、さらに医科大学全体とも関係を深めるとともに、県も積極的に支援に乗り出してはどうでしょうか。
 研究段階からかかわることは、先進医療の早期導入や、県の産業政策の1つでもある医療機器の開発につながるものと考えますが、知事の御見解を伺います。
 続けて、その2として、ピロリ菌撲滅運動について伺います。
 かつて、紀州では、胃潰瘍や胃がんが多いのは熱い茶がゆを食べる習慣があるためと言われました。しかし、今日では、胃潰瘍や胃がんの原因の多くはピロリ菌であることがわかっています。ピロリ菌がつくり出すCagAと呼ばれるたんぱく質が分子レベルで悪さをすることが解明されました。
 ピロリ菌に感染しても胃がんになるとは限りませんが、がん罹患リスクは確実に高まることが報告されており、最近はこのピロリ菌を除菌することが推奨されています。しかも、薬は1週間程度飲むだけで簡単に除菌できるのです。
 胃がんで亡くなる人は、全国で毎年5万人、本県でも約500人であります。がん対策として、子宮頸がんはワクチンで予防できることから、既に公的支援によりワクチンの投与を行っています。同様に、ピロリ菌についても県民挙げて撲滅運動を展開し、胃がん死亡者ゼロを目指すべきではないかと考えますが、知事の御見解を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県といたしましては、がん対策に力を入れておりまして、これまで、医大を初めとするがん診療連携拠点病院の放射線治療について、どんどん高度化を図ってきたところであります。
 御指摘のホウ素中性子捕捉療法については、現在治験中で将来有望な放射線療法になるものと注目をいたしておりますし、また、和歌山県立医大が治験という点で一部の先生が協力をしているというのはいいことだと思っております。
 しかし、ここの研究については既に確立されているものがありまして、和歌山県が組織として、あるいは研究者として一緒に協力しようというような話にはどうもなっていない。お金だけというのは余り自分たちの仕事とは思えないということで、一緒にやろうという話になればまた別なんですけども、すぐにはなかなかいかんのじゃないかな。
 BNCTは先進的な放射線治療であると認識しておりまして、今後、治験の進捗を大いに期待しております。研究が進めば県としても研究成果を利用させていただきたい、そんなふうに思っております。
 それから、ピロリ菌でございますが、ヘリコバクター・ピロリ感染に基づく萎縮性胃炎が胃がん発症の危険要因であることは明らかになっております。胃がんによる死亡者数は本県でも肺がんに次いで多く、ピロリ菌感染対策は本県の胃がんによる死亡者の減少に有効な手段と考えております。
 本年2月にピロリ菌除菌の保険適用範囲が胃潰瘍から胃炎段階まで幅広く拡大されたことは、胃がん発症抑制に大きく寄与するものと期待しております。しかし、それだけでは十分ではないというのは御指摘のとおりでございますので、県としては、保険適用拡大の機会を捉えて、県民に対して除菌の効果や方法を周知するとともに、ピロリ菌検査をがん検診と同時に実施するなど、ピロリ菌検査の普及によるがん予防をこれからさらに積極的に検討してまいりたいと思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事からお答えをいただきました。京大の原子力研究所では、もう体制ができているので今から行くのは困難だと。聞いてこられたんでしょうか。問い合わせされたんでしょうか。私、この答弁、最近いただいたんで、中身についてあんまり吟味しておりませんでした。
 それで、私が小野先生にお目にかかって、それからまた、小野先生から国の支援をもらいたいというようなお話を聞く中で、和歌山県としても──これは別に、今から研究会の中に、メンバーに同じように入る必要は私はないと思っているんです。有形無形、いろんな連携ができると思うんです。
 特に薬は、どの部位のがんに取り込まれるかというのは化合物のやり方でいっぱい方法があるはずなので、私は、この臨床試験というのはいろんなところでたくさんやるほうが恐らく効果もあるので、そんなことまでは排除しないんじゃないかなというふうに思うんです。
 ぜひ、私は、知事に1回行って見てくると。それから、小野先生に会うていただいたら、またお考えも変わるんではないかなというふうに申し上げておきます。
 実は、県議会でがん対策条例ができました。その条例、また、法律によるがん対策推進計画を県のほうで案を策定されました。きのう、議員にも説明がありました。きのう聞かせていただいたんでこの質問の中に反映することはできませんので、私は、きのうも申し上げましたけども、ぜひ中へ入れてほしいという要望を何点か申し上げたいというふうに思います。
 まず、きょうの質問でも申し上げました先進医療についてであります。
 我が県では、粒子線治療など先進医療を受けるためには他府県に行かなければなりません。いつも県民には引け目を感じさせております。しかも、遠くの病院に入院したり外来に通うということは、時間も費用もかかりますし、加えて大変精神的な負担にもなります。こういう状況から県民を解放してあげるため、県内での先進医療に期待するものであります。
 ちなみに、厚労省のホームページに先進医療というのが紹介されておりました。がんも含めて先進医療を行う医療機関が約1100件ぐらい紹介されていますが、和歌山県では、眼科で4件、白血病1件、脳外科で2件、乳がん1件、肺がん1件の7件しかありませんでした。非常に残念に思いました。ぜひとも、和歌山県でも先進医療というものが行われるように期待をいたしたいと思います。
 2番目は、ピロリ菌の撲滅運動です。
 先日公表された全国長寿番付男女1位の長野県へ県外調査に、浦口委員長の提案で私も福祉環境委員として参加してきました。かつて長野県では、漬物大国と呼ばれ、塩分の取り過ぎで脳溢血など循環器疾患での死亡率が高かったそうですが、農協が経営する佐久総合病院などが減塩運動を推進し、また、県国保連合会が県内くまなく自治会単位に保健補導員を組織し、健康増進運動に取り組んできたことなどにより、実現されたようです。健康増進に近道なし。1つずつ積み重ねるしかないと感じました。
 3点目は、学校教育での副読本の採用です。
 昨年、父が肺がんで亡くなり、検査していても発見できなかった事実から、がんにならないような生活を送ることが大切だと悟りました。そのためには、子供のときから生活習慣を身につける必要があると考えます。
 4点目は、セカンドオピニオンの普及です。
 昨日の説明会でも、たしか立谷議員が指摘されていました。県がん対策推進条例第8条には、「医師は、良質な医療を提供するため、がんの診断結果をがん患者及びその家族に告知するときには、複数の治療方法、セカンドオピニオン、緩和ケア等に関する情報の説明を行い、がん患者及びその家族の理解が得られるように努める。」とあります。ぜひ、このことが実際の医療の現場でも守られるように措置していただきたいと思います。
 我が和歌山県が全てのがん死亡率がワースト上位にある現状から一刻も早く抜け出せるよう、立派な計画をつくり、着実にやろうではありませんか。
 以上を申し上げて、次の質問に移ります。
 大きな3番目に、県立医大の医師派遣について伺います。
 去る1月9日、県立医科大学は地域医療機関医師適正配置検討委員会を設置し、地域医療機関からの医師紹介要請に対し透明性、客観性を確保するため、従来は医師を医局から関連病院に派遣した制度を改め、大学として一元的に取り組んでいく方針を発表しました。映画の「白い巨塔」のような状況は今日ではないと思いますが、医局の力の源泉とも言うべき医師派遣について大学が一元的に公明正大に行うことは画期的なことで大いに評価すると同時に、医師不足が深刻な紀南地方の民間病院では院長みずから毎月14~15日も夜勤しなければならない状況にあり、新制度に大いに期待したいと思います。
 そこで、新制度が県民医療の充実に資するよう、以下5点について質問します。
 なお、1番から4番までは、まとめて福祉保健部長にお伺いします。
 まず、地域医療機関とはどこの地域を言うのか。
 次に、委員会では医師の必要性を総合的に判断するというが、基準はないのか。
 3番目に、学長から医局に情報提供した結果、希望者がないときはどうなるのか。
 4番目に、新制度は継続分は除くとなっていますが、なぜ継続分を含めないのか。
 以上、4点を福祉保健部長に伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 和歌山県立医科大学の地域医療機関医師適正配置検討委員会は、県の内外、公的・民間、病院・診療所の別を問わず、全ての医療機関からの医師紹介要請を対象としており、その判断基準については、要請を行う医療機関から示された支援を必要とする理由や、救急、小児、周産期、僻地医療への取り組み状況などそれぞれの地域において担う役割、若手医師への教育体制などをもとに、総合的に判断するものと聞いております。
 派遣要請に応じる希望者がいない場合には、その旨、要請医療機関に回答することとなりますが、その場合でも、それぞれの診療科においてできる限り要請に協力する体制をとっているとのことです。
 また、継続分を含めない理由ですが、昨年、学内に設置された調査委員会において関連病院等への恣意的な医師配置は認められないとの結果が出されたことから、従来から継続的に行っている派遣は適正と判断し、地域医療機関医師適正配置検討委員会の対象としていないと聞いております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今度は、知事に伺いたいと思います。
 公平な医師派遣について伺います。
 現在、ある内科の医局では、現教授就任以来、新たに県内民間病院にほとんど常勤医を送っていないと聞いておりますが、こんなような状況は本当に解消されるのか。この問題について伺いたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の地域医療体制を維持していくためには、とりあえず、それぞれの地域において中核となる公的病院、これは地域拠点病院と言っておりますが、そういうところが崩壊しないようにきちんとやっていくというのは一番大事だと思っております。
 そういう意味では、研修制度が変わってから、そういうところに、どちらかというと県外の有力大学から送り込まれていた──従来はですね──そういう医師がどんどん逆にはがされておるという状況の中で、和歌山県立医大が医師を派遣して埋めるということをやってくれた。これが今のところうまくいっているので、拠点病院の崩壊がなく、かつ、きょうもニュースにありましたような救急医療の崩壊も今のところはないという状況だと思います。
 しかし、それは何とか今はなっているというだけで、油断をしているとすぐに大崩壊が起こる可能性のある状況だというふうに認識しております。
 あらかじめ備えておかなきゃいけないということで、研修医が集まらないといけないんですけれども、その母数としての学部の学生もたくさんいたほうがいいということで、定員の増加も一生懸命努力して、あと数年で地域医療枠や県民医療枠の方々も出てくるという事態になっております。しかし、それまではとにかく頑張らないといけないということではないかというふうに思っております。
 そういうことを考えておくときに、派遣のためには養成をしないといけません。養成のためには、医局を中心とするような世界に、つまり専門領域に若いお医者さんが集まってこないといけません。若いお医者さんが集まってこないと、派遣をするといっても、要するに弾なしになってしまうわけであります。
 お医者さんたちはみんなそれぞれの志がありますので、特に、その志の中で自分の医学的知識や技量が時代に取り残されては嫌だという気持ちの人一倍強い人たちであります。したがって、例えば、あそこの医局へ行くとどっかへ派遣されて、それで埋もれてしまってどんどん最新の医療から取り残されるぞというようなパーセプションが広がってくると、人が集まらなくなっております。
 和歌山県立医大の実はそれぞれの医局といいますか教室を見ても、そういう意味で、たくさん集まっているところと、それからあんまり集まっていないところがあって、あんまり集まっていないところを多くするというのは大変大事なことだということになります。
 しかし、そういう意味では、例えばいろんなとこへ派遣をして立派な医師を育てると。しかも、そういうことで若いお医者さんたちの信頼感を得るということも、また大事なことではないかと思うのであります。そういう意味で、県外を含めての研修も一概に罪悪視してはいかんと思います。
 しかしながら、そうやって研修をして育てた医者が全然県内に寄りつかないということになると、これは困るのでありまして、何のための県立医大かということになります。したがって、養成と地域医療、両にらみでうまくやっていくしかないというふうに思っております。そのために、先ほど御議論がありました適正配置検討委員会なんかをうまく活用するということは大事だと思います。私の意見によれば、もうちょっと機能を強化してもいいんじゃないかというふうに思っております。
 また、先ほどの陳腐化のおそれというのがあると大変なんで、和歌山県立医大に、予算もいただいて地域医療支援センターをつくり、そして、派遣された医師の高度化とそれから診療の補助をこれからもやっていくと。そういうことで、地方に行っても医師としての技量が衰えることはないんだということをよくわかってもらえるような形にしていくということも、また大事なことではないかというふうに思っております。
 いずれにしても、医師が足りなくなるということは大変なんで、そういうときには、かつてやっておりましたように私自身も乗り出して、1人1人の医者をちゃんと足りなくならないような状態にしていかないといけない、そんなふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今回の制度というのは、医師を県内に、半ば、強制的とは言いませんが、派遣をする強いシステムではないと。公明正大にやるんだというような、主な目的はそういうことだということがわかったわけでありますけども、私は、今、知事もいろいろ御奮闘いただいてるお話を伺いましたが、和歌山県立医大の最大の課題というのは、貧乏な和歌山県が県民から集めた税金で医師を養成する。県内の医療機関には医師不足と言いながら、県外の医療機関には研究費ももらいながら行っている。ここに私は最大の問題があるというふうに思っております。ぜひ、そういう意味で公平な制度をやっていただきたい。
 医科大学は、やっぱり優秀なお医者さんも集まってほしい。でも、和歌山県のことを一に考えてくれるようなお医者さんになってもらいたい。それはバランスの問題だというように思うんです。
 一連の医大のことについて私もいろいろ考えながら思ったのは、公立大学法人になりましたけども、やっぱり直営で県のほうからもっと積極的にかかわれるような制度のほうがよかったんじゃないかなというふうに思ったりもします。
 また、教授も今は全国公募で、論文の多い人がたくさん採用される可能性も多いというふうに聞きます。できることなら、全員というわけにはいかないと思いますけども、半分ぐらいは県立医大出身の先生が教授になってくれたら雰囲気も違うのではないかなというように思いますし、それから、和歌山県内の子供たちには、よくできる子供には、みんな県立医大へ行って医者になって地域医療のため県民のために頑張ろうということを小学生ぐらいの間から教え込んでおくというか思っていただくような、そういう教育も必要ではないかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 大きな4番目に、津波避難路の整備について伺います。
 先般、御坊市丸山区の役員と御坊駅の北側にある亀山に登ってきました。東南海・南海地震に備えて、区民挙げて手づくりの避難路を整備しています。この亀山は市街地に近いことから、防災の専門家は、区民だけではなく数千人単位の市民が巨大津波から逃げる避難所に最適だと言っています。
 しかし、戦国時代に紀南地方を治めた湯川公が城を築いたほど急峻な山で、手づくりの避難道では限界があり、自治会では、今後、行政による避難路整備を要望していくそうです。
 現在、御坊市では避難タワーの建設や高層建築物を避難所に指定するなど避難計画を策定中ですが、避難対策だけでも多額の予算が必要です。県では25年度予算で避難路を整備する市町村を支援する予算を増額していますが、避難タワー1棟でも数千万円かかることを考えると、とても3億円では足りないのではないでしょうか。
 県では新年度において逃げ切る計画を見直すと言いますが、計画を短期間に実現するためにはいかに取り組むのか、御所見を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難路の整備につきましては、県といたしまして最優先の対策と位置づけており、津波避難タワーの整備とともに国の緊急防災・減災事業の対象となってございます。
 平成23年度に新設されました緊急防災・減災事業については、要望も多く、平成24年度にほぼ枯渇してしまいましたが、国への提案、要望が実を結び、平成25年度においても全国で4550億円が確保され、継続されることとなりました。
 この制度は、交付税算入率が高く、大規模事業を実施するにおいて非常に有利なものとなっております。あわせて、県では、わかやま防災力パワーアップ補助金を前年度からさらに1億円増額し、小規模の整備や自主防災組織が行う整備なども市町村を通じて支援しているところであり、小回りのきく補助制度として活用いただいているところであります。
 これ以外にも、活用できる制度については市町村に対して助言してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 5番目に、御坊警察署建築問題について伺います。
 平成23年度から耐震化のため御坊警察署が改築中ですが、警察庁舎と官舎の基礎が設計より最大29センチ低いことが、1月下旬、地元紙などに報道されました。その後、県では、検討の結果、対応策として塀を周囲に設置し、浸水を防ぐことにしたとの報告がありました。
 新警察署の設計中に東日本大震災が発生したので、私は、当時の御坊警察署長に東日本大震災級の巨大津波が日高平野を襲ったとき新警察署がもつのか尋ねたところ、津波の専門家から少しの設計変更でぎりぎり大丈夫との所見をもらったとの返事でした。
 そこで、今回の対策として塀を設置することになりましたが、ほかに対応策はなかったのか。29センチ低いことは、塀を設置するだけで日常的な弊害はないのか。また、津波や洪水時には耐え得るのか。御所見を伺います。
 また、発注者、設計監理者、建設業者2社がそろって間違うという前代未聞の事態ですが、どうしてこんなことが起きたのか。原因と再発防止についても伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 御坊警察署の施工誤りに関する他の対応策としましては、当初、契約解除することはもちろんですが、建てかえあるいはジャッキアップにより設計図書どおりの施工を求めることも検討しました。
 しかし、対策工事により同等の品質、性能を確保できるのに、より多額の費用がかかる方法を選択するのは、民法や建設業法上の信義誠実の原則に反し、判例に照らしても建てかえなどは要求できないものと考えます。よって、対策工事による現実的な対応をせざるを得ないものと判断いたしました。
 また、対策工事による日常的な弊害や津波や洪水時の安全性につきましては、元来、当該敷地は、御坊市の洪水ハザードマップによると100年に1回程度起こる大雨による洪水でも浸水のおそれがなく、また、平成17年に公表された東海・東南海・南海の3連動地震による津波に対しても浸水のおそれがないこととされており、日常的な使用に対しても問題がないと考えます。
 また、発生頻度は極めて低いが想定される最大クラスの南海トラフの巨大地震に対しても、対策工事として、塀の防水門扉だけでなく、建物出入り口の止水板の設置、さらに別系統による電源を確保することで、当初設計と変わらない性能を確保できるものと考えております。(「再発防止もついでに」と呼ぶ者あり)
○副議長(浅井修一郎君) あと、2問目の。今後のあれで。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 失礼しました。
 原因につきましては、施工業者が設計図書に示された基準となる高さを誤り、工事監理業者はその確認を怠ったことによるものです。
 再発防止策としましては、今後は、施工業者と監理業者に設計上の重要な点を把握させるため、設計者にチェックリストの作成と工事の当初打ち合わせへの参加を求めます。また、工事監理に関する県監督員の業務は全て工事監理業者に委託しておりますが、基準となる位置や高さを設定するときは、施工業者、監理業者、県監督員の3者が現場で立ち会いのもと、確認してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、発注者である県におきましても、やっぱり中間検査とかというのを丁寧にして、できたところについてお金を払っていくというような制度に改めたらいいんじゃないかということを申し上げておきます。
 続いて、質問を行います。
 大きい6番目に、高齢者の投票方法の改善について伺います。
 本県の高齢化率は、超高齢社会の基準である21%を超え、既に26.9%に達しました。私は、初めて政治にかかわった昭和58年以降、みずからの8回の選挙と各種の選挙を通じて、町の様子をずっと見てきました。
 初めて選挙に出たころに応援してくれたおじいちゃんやおばあちゃんは次の選挙のときにはひとり暮らしになり、その次の選挙のときには空き家になり、次には更地になり、以降、ずっと更地のままであります。最近は、高齢者のひとり暮らしのお宅にお伺いしたとき、紹介者が「ここのお年寄りは足が不自由なので玄関先へよう出てこんのよ。ここから御挨拶しておこう」というようなことがたびたびあります。そのとき私が思ったのは、私がお伺いしても玄関にさえ出てこれないような高齢者が果たして投票所へ行けるのかということです。
 超高齢化社会を迎えた本県では、外出が困難な高齢者が増加しています。現在、1票の格差で裁判が行われていますが、投票所まで遠い過疎地に暮らす高齢者が投票に行きにくい状況を放置することも憲法違反ではないかとさえ思います。
 高齢者がスムーズに自宅で投票できるようぜひとも制度改正を求めますが、選挙管理委員会委員長の御見解を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 選挙管理委員会委員長諸木良介君。
  〔諸木良介君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(諸木良介君) 選挙人の投票機会を確保することは、非常に重要であると認識してございます。中でも、今日の高齢化の進展する中で高齢者等の移動に不自由な方にとっての投票しやすい環境づくりというのは、常に配慮しなければならないと考えてございます。
 現在、この環境づくりの1つの方策として郵便投票制度がありますが、一定の障害のある方や介護保険の要介護5に該当する限られた方々のみが対象でございます。この制度に当てはまらないが現実には投票所に行くことが困難な高齢者がいらっしゃることから、郵便投票制度の対象者を拡大するというふうなことで総務省のほうへ直接要望をいたしてございますし、また、都道府県の選挙管理委員会連合会というのがございますが、そこからも共通して制度改正要望を行っているところでございまして、引き続き取り組んでまいりたいと存じてございます。よろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 終わり。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時54分散会

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