平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 最初に、生活保護費の削減と県民生活への影響について伺います。
 政府は、生活保護費のうち生活費に当たる生活扶助を今後3年間で段階的に引き下げることを決めました。受給世帯の96%の世帯に影響が及び、最大10%削減される世帯もあります。中でも、子育て中の世帯に与える影響が一番大きいと言われています。
 生活保護法は、その第1条で「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い」としています。また第3条では、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」としています。この法律から見て、今回の保護費削減は妥当なものでしょうか。
 生活保護世帯の世帯主別の世帯類型状況という資料を見てみますと、生活保護増加の背景が浮かび上がってきます。
 1つは、高齢者への社会保障の貧困です。少ない年金だけでは暮らしていけないため、保護世帯のうち高齢者世帯が全国では約43%、和歌山県内では54%を占めます。あと、傷病者世帯、障害者世帯、母子世帯を合わせると、和歌山県では91%を占めます。
 働ける年代に該当するその他の世帯という分類が残り9%の部分ですが、その他の世帯は50歳以上が半数以上を占め、この部分が会社のリストラなどにより最近ふえています。どうしようもなくて保護を受けているというのが現状です。
 安倍内閣の言うように、仮に保護費が10%削減されても、その基準以下の年金生活で我慢をしている世帯が多く、現状でも生活保護を受けられるレベルの生活をしている世帯の約2割しか保護を受けていないというのが現状です。
 お手元に資料1をお配りしておりますが、これは日本弁護士連合会がつくったものです。参考に見ていただきたいと思いますが、この左の下側に日本の生活保護の捕捉率というデータが出ております。そういう現状を反映して、和歌山弁護士会も、ことし2月、会長声明を出し、引き下げに強く反対と表明しております。
 そこで、伺います。
 今回、政府はなぜこれまでにないような大幅な削減をするのか、その理由は何と言っているのか、福祉保健部長の御答弁をお願いいたします。
 第1問目を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 生活扶助基準の引き下げ理由につきましては、前回の見直しがあった平成20年以降、デフレで物価が下がっているにもかかわらず生活扶助基準額が据え置かれてきたことを踏まえ、平成20年以降の物価動向を勘案し、引き下げられるものと聞いております。
 また、国の諮問機関である生活保護基準部会で生活扶助基準の検証が行われ、夫婦や子供など人数の多い世帯になるほど生活保護世帯の基準額が一般低所得世帯の消費実態より多い傾向になっているとの報告が行われたことも要因となっております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、平成20年以降、物価が下がっているからだということであります。
 確かに、厚生労働省が出している資料でも、お配りしている資料1の、もう1枚めくっていただいて2枚目にありますが、今回の削減の主なものは、物価の下落、デフレ分とされています。この資料のピンク色に塗った部分がそうでございます。
 でも、実はこれにはからくりがあると言われています。平成20年から23年の物価を比べて4%以上下がっているから保護基準のほうも下げているんだというふうに言ってるんですけれども、平成20年というのは、実は原油高なんかで物価が飛び抜けて高い年だったんですね。それと23年を比べて物価が大幅下落しているからだというふうに言うているわけです。
 物価が原油高で上がって、その後、急降下した時点を捉えてこの引き下げをするというんですが、この間、それでは上げてもいないのに──保護基準は上げていないんです──それと同じ幅で保護基準のほうを下げるのは、私はこれは、政府は理屈に合わないというふうに思います。
 しかも、直近では、消費者物価指数を見てみますと、平成23年から24年にかけては横ばいになっているわけです。そして、その横ばいの中身が大事で、パソコンとかビデオとか、こういうものについては物価が大幅下落、反対に水光熱費は大幅に上昇、食料や交通・通信費も上がっています。ふだん余り何度も買わないような電化製品が、家電製品が大幅下落しているものの、生活に必要なものは逆に上がって、差し引きでここ1年は横ばいになっているということになっているんです。
 そして、現在はといえば、電気料金の大幅アップが計画されておりますし、既に灯油やガソリンの値上げです。
 安倍政権は、物価を上げると言っています。保護基準が、ことしもし下げられれば、その見直しというのは5年後になってしまうんです。この5年間、安倍首相の言うように物価が上がれば、その上がった分は丸々我慢しなければならなくなるというのが今回の保護基準の引き下げであり、私は到底認められないというふうに思います。
 そのことを指摘した上で、次の質問に移りたいと思います。
 次に、この削減が県民生活に与える影響について、部長の御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 受給者への影響でありますが、生活扶助基準額の引き下げは、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に保たれているかどうかの観点で行われるため、受給者への影響は少ないものと考えますが、今回、引き下げ幅が比較的大きいとされる多人数世帯などにつきましては、今後、ケースワーカーが家庭訪問した際に生活の実態把握を一層強化するよう各実施機関に指導してまいります。
 次に、生活扶助基準の見直しに伴う県や市町村施策への影響でありますが、国は、保育料の免除や就学援助など、関連する制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応していくとしており、県といたしましては、各制度への国の対応や影響について注視してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、答弁の中で、受給者への影響が少ないと考えられるという御答弁ですが、これには私、納得いきませんけれども、家庭訪問での実態をしっかり把握されるということを言われました。それはしっかりお願いしたいと思いますし、そして、何より生活保護基準というのは、地方税の非課税基準、それから国民健康保険の税金の減免基準や、もちろん就学援助、そして最低賃金などに連動してまいりますので、これはしっかり見張っていただきたいというふうに思います。
 それで最後に、知事に今回の削減についての見解を伺うとともに、国に対しては保護基準の削減の見直し、中止を求めていただきたいというふうに思いますが、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 生活保護制度は、国民の誰でもに最低生活を保障するものでありまして、いわば最後のセーフティーネットということだと思います。
 国の責任によって適正に基準を定め、より公平、公正な制度運営を図る観点から見直しが進められるべきものと考えております。
 今後、生活扶助基準の見直しに限らず、就労自立支援の強化や医療扶助の適正化などの見直しも検討されていると聞いておりまして、引き続き国の動向を注視してまいりたいと思います。
 一方、問題は給付水準だけではなくて、生活保護を受けている人を社会がどう包み込んでいくかということが大事だろうと思っております。職がなくて、仲間がなくて孤立しているということは好ましくありません。
 そこで、新政策では、社会福祉法人と連携した自立支援プログラム、すなわち生活保護受給者にボランティア活動の場を提供していこうじゃないかというようなことも工夫して、全体として生活保護を受けている方々のお世話をしていきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 何分、国の制度です。今、知事が言われたように、しっかりと県民の暮らしを守っていく中で、それでどうしてもこれは必要だというというふうなときには国に対してもはっきり物を言っていただいて、この制度がよりよい方向に向くよう要望をしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 それでは2問目に移ります。
 次に、新年度予算の中のラジオ通じるプランについて伺います。
 この予算説明では、災害時の重要な情報収集手段となるラジオについて、防災の視点から難視聴世帯の解消に向けた支援を実施するというふうになっております。私ども紀南の過疎地域を担当する者としては、大いに期待をしているところであります。
 ただ、心配いたしますのは、ラジオが聞こえない世帯というのは、山間地へ行きますと、町によっても違いますが、ほとんど聞こえないところもあるのではないか。道路のはたでは聞こえても、家の中では聞こえないという状態もございます。果たして新政策の外部アンテナへの補助ということでカバーし切れるのかどうか、心配をしております。
 そこでまず、主要なラジオ放送事業者であるNHKさんと和歌山放送について、事業者としては県内のどれくらいのエリアや世帯をカバーしていると把握をされているのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ラジオの受信状況でございますが、NHKにつきましては、県内全域を放送エリアとして全世帯をカバーしていると把握いたしております。
 一方、和歌山放送につきましては、送信所からの距離が遠く若干受信電波の弱い一部の内陸山間地域を除いた、県内ほぼ全域を放送エリアといたしておりまして、県内全世帯の約97%をカバーしていると把握いたしております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 電波の状況からいえば、今、御答弁あったようなことになると思うんですが、やはり私たち生活をしている者の実感とはちょっと違う気がします。
 次に、放送事業者は、これまで住居のある地域で実際に受信状況の現地調査をやったことはあるのかどうか、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 放送事業者は、随時、視聴者から聞こえにくいなどの難聴についての苦情や相談を受け付けておりますので、その際に必要に応じて受信状況の現地調査を行っていると聞いております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきましたが、私たち聞こえない者がもっと声を上げなければいけないのじゃないかなというふうに思います。
 次に、新政策での補助対象地域について伺いたいと思います。
 新年度のこの事業では、まず県が窓口になって相談を受け付けて、そして現地調査を行います。その上で、外部アンテナ購入費を災害のおそれがある地域に限り補助するということになっておりますが、そこで具体的に災害のおそれがある地域とはどういう地域を想定されているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 災害のおそれがある地域といたしましては、NHK、和歌山放送の両方が聴取困難な地域のうち、津波、風水害等による甚大な被害が懸念される地域を想定いたしております。
 具体的には、土砂災害危険箇所、浸水想定地域、孤立予想地域などを対象に、市町村と協議しながら外部アンテナの購入費を補助してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 いずれにいたしましても、このラジオつながるプランの500万円の予算だけでは早急に改善ということは難しいと思うんです。
 そこで、次に、ケーブルテレビなどの回線を使ってラジオの音声を送信するラジオ放送の再送信というやり方があります。この方法の活用について伺います。
 テレビの地上デジタル化を機会にして、過疎地域を中心に、これまで共聴アンテナでテレビ放送を受信していた地域では、行政が公的に光ファイバーを敷設して、ケーブルテレビの事業者がテレビ放送を送信するようにしたところが多くなりました。
 そのケーブルテレビ事業者の多くは、一般のテレビ放送に加えて、衛星チャンネルなんかは別料金で提供したりしておりますが、ラジオの音声放送については、NHKや和歌山放送、そして地元のコミュニティーFM局などの放送を無料で再送信しているところもあります。テレビのケーブルにラジオの音声を流すわけです。
 では、それをどうやって聞くのかということですが、何も難しいことはなくて、テレビにつないでいるこのアンテナケーブル─テレビの裏に黒い線が通っておりますが─あのアンテナケーブルの近くにラジオを持っていってラジオのアンテナをぐっと伸ばしてテレビのアンテナケーブルに近づければ、FMの周波数で驚くほど明瞭にラジオ放送が聞こえるようになっています。それでももし聞きにくければ、このテレビのアンテナケーブルを分岐して分けて、1本をラジオ用にして、この芯の銅線をラジオのアンテナにくるくると巻きつければ、間違いなく本当にきれいに聞こえます。
 例えば、私の地元白浜町とすさみ町のケーブルテレビでは、NHKの第1と第2、和歌山放送に加えてNHK-FM、FMビーチステーションが、どんな山奥の地域に行こうとも、ケーブルテレビさえつながっていれば明瞭に聞くことができるわけです。
 このケーブルテレビによるラジオの再送信ですが、残念ながら全ての事業者がやっているわけではなくて、また地元のコミュニティーFM局を入れていないところなど、まちまちです。
 そこで、公的に敷設をされたケーブルテレビのうち、ラジオの再送信をやっている割合は市町村別に見ますとどれくらいあるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ケーブルテレビ事業を実施するために公的にケーブルを敷設した市町村は、田辺市、紀の川市、広川町、白浜町、すさみ町、有田川町の6市町となっております。
 このうち、ケーブルテレビによるラジオの再送信を実施しているのは、田辺市、広川町、白浜町、すさみ町の4市町となってございます。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、せっかくケーブルテレビがあるのにラジオ放送を送信していない市や町がありますし、細かくいえば、NHKのFMだけを送信して、ふだん私たちがよく聞くラジオ第1放送は送っていないところなど、まちまちです。大変もったいないと思います。実際やっているところでも、これでラジオが聞けることを知らない方が多いわけです。
 ケーブルテレビを公的に整備したところは、ほとんど全世帯が加入をしています。あとは、ラジオ放送をそのケーブルに乗せるだけでいいわけです。地域のコミュニティーFMも含めて、ぜひこのケーブルテレビによる再送信をもっと積極的に活用されるように事業者と話し合っていっていただきたいと思います。要望にしておきます。
 では次に、防災面での技術向上について伺います。
 乾電池で動くラジオは防災という点でもすぐれたものですが、仮にケーブルテレビが停電で見えなくなってもラジオ放送だけはケーブルを通じて流すことができるという技術や機材が既に開発されています。これを利用すれば、災害でケーブルそのものが切断をされない限り、ラジオ放送を聞くことができます。
 そこで、今、県内のケーブル事業者で、停電時でもラジオ放送を流せるシステムを持っている事業者はあるのかどうか。また、今後、防災上有効なこうしたシステムの導入を事業者に働きかけてはいかがかと思いますが、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 停電時でもラジオ放送を流せるようにするには、放送局から利用者の家屋内までにわたってバッテリーなどのバックアップ電源による停電対策が施されている必要があります。
 県内のケーブルテレビ事業者は、ZTV、J:COM、ケイ・オプティコムなどの6社がございますが、このうちZTVについては、家屋内までにわたり送信ケーブルにバッテリーを導入することにより停電時もラジオを聴取可能にしていると聞いております。
 一方、その他の事業者については、家屋内を除く送信ケーブルには停電対策が施されていると聞いておりますので、家屋内ケーブルモデム用のバックアップ電源を導入するなどの対策を行うように促していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、災害時のコミュニティーFM局の活用について伺います。
 県内では、昨年、和歌山県ラジオ局防災共同プロジェクトというラジオ局同士の協定書が結ばれたようですが、その内容は、NHK、南紀白浜コミュニティ放送、エフエム和歌山、FM TANABE、FMはしもとの5社が、自然災害発生時に県民の生命、暮らし、財産、安心・安全を守るため協力・連絡することとし、そのための番組やイベントを共同で制作・実施するというものであります。
 私は、災害時に地域限定のコミュニティーFM局が持つ力を実感したことがあります。それは、平成23年1月31日に田辺の市内で大雪が降った朝のことであります。その大雪は、田辺市の町なかを中心に集中的に降ったようですが、そのとき、市内の交通は大混乱し、お昼ごろまで車が動かないという事態が起こりました。そのとき、地元のFM局は、リスナーから寄せられる各地の雪や事故の状況のメールを生で放送し続けていました。それを聞いて、私も市内へ行くのは無理だと判断できましたし、社員が出勤してこない会社もその状況を把握できたというふうに思います。
 このように、コミュニティーFMの持つ双方向性は、災害時に非常に有力な手段となり得ると思います。ですから、行政側もこのような力を評価して、コミュニティーFMもラジオの再送信に位置づけたり、よりよい防災協定を結ぶ努力をするよう求めたいと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) コミュニティーFMの活用についてでございますが、議員御指摘のとおり、災害時におけるラジオの情報伝達手段としての有用性は高いと認識いたしております。
 そのため、ラジオ通じるプランにおいても、災害に備え、ラジオ放送事業者のカバー率を重層的に向上させることを目的の1つと位置づけて、コミュニティーFMを含む県内外のラジオ放送事業者、ケーブルテレビ事業者、防災行政無線を運用する市町村等の間における協定の締結や再送信の実施などを促すことにより、ラジオサービスエリアの補充と拡大を推進してまいりたいと考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。次に、ウメ輪紋ウイルスの侵入及びまん延の防止に関する条例案について伺います。
 プラムポックスウイルス、いわゆるウメ輪紋ウイルスは、バラ科サクラ属の植物、身近にいえば梅や桃、桜の木などですが、それらに広く感染するとともに、今回条例で対象としている幾つかの植物への感染が確認されています。
 世界的には、欧州、南米、北米、アジアで発生が確認されており、アーモンドやセイヨウスモモ、アンズ、桜桃、桃などに大きな被害を与えているようです。サクラ属の植物にとっては、いわば国際的な指名手配犯のようなウイルスだと言えます。
 国内では、平成21年4月に東京都青梅市で発見されて以来、昨年までにその周辺市町村や埼玉県、茨城県、滋賀県、大阪府、奈良県、兵庫県で発見されました。
 アブラムシが媒介するため、広がりの速さはそれほど速くないのですが、徐々に感染の範囲は広がっています。植物防疫法による緊急防除が実施されている東京都青梅市周辺と兵庫県伊丹市周辺では、法的な強制力をもって感染する可能性のある植物の持ち出しは禁止をされ、感染や疑いのある植物は切り倒したり焼却をされて廃棄をされています。
 幸い、和歌山県にはまだ侵入していませんが、その危険性について啓発をし、実際の感染を予防するという点で、今回、和歌山県独自に条例を制定し、広く県民に知ってもらい、その協力をお願いすることは大いに意義のあることだと私は思います。
 そこでまず、今回の県独自で条例化することの狙いと、あわせてこれまでの植物防疫法での規制との違い、これについて答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 植物防疫法に基づく本ウイルスの規制は、緊急防除区域の指定など発生区域に重点を置いておりまして、本県のような発生区域以外の地域については、警戒のための調査である予察や注意喚起が主な内容です。
 本県は、梅、桃、スモモの全国有数の生産地であり、本病が発生、蔓延した場合、農業に大きな影響が懸念されるため、独自にウメ輪紋ウイルスの侵入及び蔓延防止の対策に取り組むことが必要であります。
 このため、栽培関係者やJAなど農業関係団体の責務、感染が確認された地域からの感染のおそれがある植物の移動の制限、県による立入検査などを規定した条例を制定し、県内の梅、桃、スモモの生産の安全を図るものでございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 植物防疫法の法規制以外の地域でも、きちんと対処をしていこうというのが条例の狙いだというふうに受けとめました。
 そこで、次に、今回の条例がこの和歌山県で成立をすれば、県の定めた条例が、県外の苗木業者なども含めて、条例の力をもって規制をするということになるわけですが、これについてどのように周知をしていくのかについて御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 条例を広く一般県民の方々に知っていただくため、「県民の友」への掲載のほか、市町村、JAなどの広報誌に協力を要請いたします。
 また、植物の移動の制限については、ホームセンターなどの量販店、種苗店、園芸店や苗木取り扱い業者、苗木生産者等に対して、個別に訪問して周知を図ります。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 次に、条例の第8条になりますが、このウイルスに感染していると疑われるサクラ属等の植物を発見した者は遅滞なく知事に通報しなければならないとなっておりますが、実際はなかなか症状がわかりにくいということも伺っております。一体どのような症状が出たときにこの通報ということをすればよいのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ウメ輪紋ウイルスに感染した場合、葉では、部分的に緑色が薄くなり、斑紋やドーナツ状の模様、いわゆる輪紋ができる症状があらわれます。果実では、表面にややくぼんだ輪紋を生じたり成熟前の落下が見られます。
 なお、感染した果実を食べても健康に影響はございません。
 発病の初期では症状がはっきりしないので、少しでも異常に気がついたら県に御相談いただくようにお願いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、何せまだ県内の人は見たこともないような症状ですし、わかりにくいということですから、ぜひ周知のほう、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、この条例案とあわせて、新年度予算には、ウイルスの有無を調べるために、今後2年で4000区画、2万検体を検査する事業が盛り込まれておりますが、かなりの人員体制が必要になると思われます。職員の体制は十分なのでしょうか、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ウメ輪紋ウイルスの検査については、果樹園において葉の症状を観察する目視調査と、サンプリングした葉のウイルス感染の有無を調べる簡易検定を行います。
 目視調査とウイルス検定については、一定の知識が必要であるため、県の農作物病害虫防除所、研究機関、振興局やJAなど関係機関で十分な体制を整え、4月下旬から8月まで、25年度、26年度の2カ年間、実施いたします。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきました。
 今後ですが、もし、こうした関係で人手が本当にたくさん要るような場合には、例えば農業関係の高校などを卒業した若い人たちを緊急雇用の事業で雇って、そうした体制を実施していってもいいのではないかとも思いますので、今後の検討としてよろしくお願いしたいというふうに思います。
 最後に、今後、ウイルスに感染した植物が見つかった場合の話であります。
 実は、ここが一番大事なのではないかと思うんですが、例えば東京都青梅市の場合、現在、感染した梅がどんどん切り捨てられているのですが、市内の梅の3分の1が処分されることになりました。あそこの場合も、梅の果実の生産だけではなくて、観梅による観光収入なども大きいわけです。
 その青梅市では、感染前に約1億円あった青梅の出荷額が、切り倒したために、ことしはほぼゼロになると言われています。もちろん、観梅はできません。
 先ほども答弁がありましたが、このウイルスに感染しても、なかなか病徴はわかりにくいし、実は梅という果樹だけを見れば、今のところこの病気によって大きな収量が減るなどの被害はないというふうに聞いております。むしろ、植物防疫法の命令によって木が切り倒されて出る被害のほうがよっぽど大きいんです。
 そんな状況の中で、この和歌山県内で病気が発生したときにきちんと農家の方から報告をしてもらおうと思ったら、木を切るようなことになっても十分な損失補償が出るように前もって準備しておく必要があります。
 青梅市では、現在、切り倒した梅の損失補償をどうするかということで農家との協議がされていると聞いておりますが、今回の条例によってウイルスが早期発見され、木が処分された場合、補償については現時点でどのように考えておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ウメ輪紋ウイルスの感染木が処分された場合には、植物防疫法第20条に基づき損失が補償されます。
 その補償額については、国が定める単価表により算定した評価額について評価人の意見を聞いて基準となる価格を決め、その上で処分される植物の所有者との交渉で決定されることとなっております。
 こうした不幸な事態とならないように、今議会にお願いしております県条例を活用して、ウメ輪紋ウイルスの未然防止、侵入防止に努めてまいる所存でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきました。
 実は、東京都青梅市のほうにいろいろ伺ったんですが、梅の補償額は明らかにしてくれません。でも、仄聞するところによると、1本5万円くらいかとも聞こえてきます。
 ただ、和歌山県の場合は、梅の生産性というのは私はもっと高いと思うんですが、今後、きちんと損失補償についての基準やそのスキームを準備しておくことが非常に重要だというふうに考えております。ぜひ、このことをよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、要望事項です。
 高速道路の白浜インターチェンジと白浜空港を結ぶ県道白浜空港フラワーライン線に関して、2点要望をさせていただきます。
 1つは、これは国の工事区間になりますが、白浜インターチェンジから国道42号までの取りつけ道路がつくられてきております。これは県道のフラワーライン線と直結される道路になるんですが、この工事区間で富田小学校の裏山に小倉山という山があります。この取りつけ道路を通すために、大きく山を削って掘り割りをつくって削り取ったために、この山が随分小さくなりました。
 実は、この小倉山というのは、地元の日神社に保存をされている県指定の有形民俗文化財「津波警告板」にも記載のある山で、1707年の宝永の大津波のとき、村人がこの山に登って助かったと記されています。その警告板の教訓によって、安政の大地震や昭和南海地震の際にも村人はこの小倉山に避難をして、人的被害は最小限にとどまったと言われています。
 地元の方は、高速道路やその取りつけ道路に反対しているわけじゃないんですが、津波警告板にも書かれているこの小倉山の様子が随分変わってしもた、国の工事で山自体が小さくなった上に、道路ののり面の急傾斜に階段はつけてくれたんですが、管理用の作業道であって年寄りは上れないと訴えられています。
 富田小学校もこの山を避難場所にしていて、学校のすぐ裏山になるんですが、避難路がなくて、一旦川沿いの道路を歩いてから先ほどの急階段を上らなくてはならないという事態になっています。
 現在、白浜町長や町議会にも住民要望が出されましたが、いまだにこの小倉山の避難場所の代替地について地元説明会が開かれていないことも住民の不安の一因になっています。
 白浜町のほうで3月の津波新想定が出てから避難場所について考えてくださるということになっておりますけれども、この津波警告板にも書かれている小倉山を大きく削るような道路をつくるなら、せめて工事のついでに利用しやすい避難路や避難場所を考えてくれてもよかったのではないかと思います。
 この部分は国の工事ですので答弁は求めませんけれども、今後、県とのいろいろな協議の場で高速道路と避難場所について検討を深めていただけるよう、要望しておきます。
 もう1つは、県道フラワーライン線が、予算や工期の関係もあり、一旦空港下の県道栄岩崎線に接続をする形で国体の2015年度から運用される予定です。
 地元の方が心配していますのは、これまでの田辺市内で起きていた白浜向きの渋滞が、今度は道幅も狭くて線形も悪いこの道で起きたらどうなるんだろうということであります。これは工事完了までにまだ時間がありますから、今からぜひ研究をしていただいて、ふたをあけたら大渋滞でどうしようもなくなったというようなことのないよう、お願いしたいと思います。
 以上は、要望です。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時47分散会

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