平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成25年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成25年3月4日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
12番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 23番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 おはようございます。元気よく頑張っていきたいと思います。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問を行います。
 和歌山県は、果樹王国と称することがあります。果樹王国とは、ほかからの称賛の意を込めて与えられた称号ではなく、特に果樹栽培の盛んな地域がみずからブランド力を高めて対外に発信するPR目的でそのように名乗っているのであります。
 とはいえ、和歌山県における最新の果樹産出額は平成23年で604億円となっており、これは青森県に次いで全国2位でありますが、和歌山の場合、ほぼ1年を通して何らかの果樹を生産していますので、果樹は本県農業産出額の6割を占めています。日本で最も農業における果樹比率が高い県の1つと言えます。
 品目ごとでは、ミカンやハッサク、柿、梅の生産量は日本一であり、スモモ、キウイフルーツ、イチジク、ビワ、ブドウなども盛んに栽培されており、新たな特産品となっています。
 また、北山村を中心に栽培されているジャバラは、生産量こそ圧倒的に少ないものの、花粉症などの症状改善に効果がある機能性成分を多く含んでおり、近年、全国的にも大きな注目を集めています。
 このように、今までも和歌山県は、果樹栽培に適した気候や園地条件を生かしながら、生産者を初めとした関係者の努力により、全国有数の果樹の産地としての地位を維持してきたわけでありますが、裏を返せば、果樹以外の品目の適地は限られているということであります。それだけに、これからも和歌山県は果樹振興に対して並々ならぬ取り組みを行っていかなければならないし、自他ともに果樹王国と認められるように努力をしていかねばなりません。
 県内果樹農業の課題については、鳥獣害対策、老木園の更新、後継者の確保、高齢農家への作業委託体制の整備、消費拡大など、さまざまな課題が山積しております。
 そこで、ミカン選果場における光センサー選果機の整備等の状況についてお尋ねをいたします。
 平成24年産ミカンについては、裏年で、生産量は前年に比べて約9割の16万トン、果実は小玉であったものの、酸はやや低目で食べやすい食味でありました。販売単価は、極わせで低迷し、11月からのわせ品種の出荷以降は持ち直したものの、キロ当たり204円と、再生産価格をやや下回ったと聞いております。
 こうした中、私は、全国みかん生産県議会議員対策協議会・浅井修一郎会長、尾崎要二顧問のもと、事務局長として、これまでも国に対して、選果場施設の経費削減や農家経営の安定を図るため、既存の共同選果機械施設の改修や光センサーの入れかえを進める強い農業づくり交付金など、果樹の生産、流通体制整備に必要な財源確保と補助金上限額の撤廃などを要望してまいりました。
 これまで、米等の戸別所得補償制度の実施に伴い、果樹の生産や競争力を高める予算が減少していましたが、昨年、総選挙において自公政権が誕生し、果樹に使える施設整備費は、平成24年度補正予算では275億円、平成25年度当初予算では306億円となり、両予算合わせた対前年度比は365%と大幅に増額されており、果樹生産県、果樹生産者の皆さんの要望が反映された内容となっております。
 和歌山県においては、光センサー選果機が登場して10年以上が経過し、各選果場で老朽化が課題となっています。和歌山県下の選果場ではこうした課題に対応できているのか、心配であります。
 そこで、和歌山県におけるミカンの光センサー選果機の整備や更新状況についてどうなっているのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミカンの光センサー選果機は、味を重視する消費者ニーズを受け、県内28選果場の約7割に当たる20選果場で整備されております。
 こうした選果機のうち、整備から10年以上経過したものを中心にこれまで順次更新を支援してまいりましたが、近年、選果機整備のための国庫補助事業の予算額が減少するとともに、補助金の上限額が1億円に設定されたことから産地からの要望に十分応えられず、県といたしましても国に対し必要な予算の確保をお願いしてきたところでございます。
 今般、全国みかん生産県議会議員対策協議会の皆さんを初め多くの関係者のお力添えをいただき、国の施設整備予算が24年度補正も含め前年比365%の581億円と大幅に増額されたことを大変うれしく、かつ心強く感じております。
 今後、こうした予算を活用し、光センサー選果機の整備・更新を計画的に進めてまいる所存でございます。
○議長(山下直也君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 整備状況について答弁をいただきましたが、光センサー選果機の導入や更新は、実際に農家所得の向上につなげていかないと産地にとって意味のあるものではありません。
 そこで、光センサー選果機を活用した価格向上への取り組みが重要となってくると考えますが、具体的にどのような取り組みがなされているのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 光センサー選果機を活用した価格向上策については、品質のそろったものを出荷するだけでなく、各地域のJAにおいて独自の糖度基準を設けて個性化商品として販売に取り組んでおり、県下統一ブランドである味一みかんについては、平成24年産でキロ当たり356円と、県平均価格の約1.7倍で取引されております。
 また、選果データは、マルチ栽培導入など、生産対策のための技術指導に活用されております。
 今後も、光センサー選果機を活用し、品質の向上を有利な販売に結びつけて生産者の所得向上に努めてまいる所存でございます。
○議長(山下直也君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 光センサー選果機を有効活用した厳選出荷は、和歌山県産ミカンのブランド向上に大変重要であります。
 一方で、市場出荷できない格外品をどうするかまでトータルで考える必要があると思います。現在、ジュースなどの加工用原料果実はキロ当たり8円と安いと聞いています。厳選出荷の取り組みを徹底するためにも、加工用原料果実についても何らかの支援がないと生産者の理解が得られないというふうに考えております。今後、JAとも協議をして対応策を考えていただきたいと思います。
 次に、中晩柑オリジナル品種の育成についてお尋ねをいたします。
 和歌山県では、競争力強化のために、ミカンについては以前からオリジナル品種のシリーズ出荷を目指して、極わせの「YN26」や、なかて「きゅうき」などの産地化に取り組んでいると聞いておりますが、一方で、ミカン以外の中晩柑については、県オリジナル品種の育成や産地化について余り話を聞いたことがありません。
 ほかの県の例を挙げますと、愛媛県の農林水産研究所果樹研究センターで育成した「紅まどんな」は、1月17日付の「日本農業新聞」によれば──資料で配らしていただいております──ことしのその調査によりますと、果実の売れ筋ランキングで、かんきつ類では「せとか」に次いで5位となっております。贈答用としても、市場でも非常に好評と聞いています。
 今回の調査結果によると、味に加えて、手を汚さない、ごみが出にくい、食べやすい、手軽さのある果実の人気が高いと分析されております。
 また、「紅まどんな」は、愛媛県が育成した品種であるため、栽培が愛媛県に限定されているということであります。
 和歌山県でもこうした県独自の中晩柑品種の開発が必要と考えますが、県の試験研究の進捗状況とあわせて、県で育成された品種について、県外での栽培に制限をかけることについて県の方針を農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員お話しのとおり、和歌山県では、中晩柑品種について、現在のところ登録された品種はございませんが、産地にとって必要であることは十分認識しております。そのため、果樹試験場では、平成16年から中晩柑の品種開発に取り組み、食味に加え、むきやすさや食べやすさにも注目して選抜を行ってきた結果、例えば清見とポンカンを交配した有望系統を絞り込んでいるところであります。
 今後、これらの系統については、生育特性や現地適応性を調査した上で数年後に品種登録を行い、県内果樹農業の振興につなげたいと考えております。
 なお、県が育成した品種については、県と契約した種苗業者のみに苗木や穂木を配布するとともに、種苗の販売先については県内生産者に限ると制限を行っており、今後もその方針でございます。
○議長(山下直也君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 これは中晩柑や果樹に限りませんが、和歌山県は、果樹栽培に対しての品種改良、新ブランドの育成などに力を注いで果樹王国を支える基礎を築いていただきたいというふうに思います。
 品種の育成は長年にわたる研究課題で、そのため、品種育成は恒久的な予算と人員が必要かと考えます。こうした中で、長期的な予算確保のために、これまで県が育成した優良品種について、苗木などの販売量に応じて次世代の優良品種開発のための予算確保のためパテント料を上乗せするのも1つの案かと考えますが、県予算の仕組みとしてはできないのでしょうか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県オリジナル品種については、品種利用料を設定して試験場予算に計上しており、品種登録出願料など、品種開発に必要な経費の一部に充てております。
 品種開発は重要であると認識しており、十分な開発ができるよう、平成24年度から新政策として取り組んでいる農林水産業競争力アップ技術開発事業の予算増額を今議会にお願いしているところでございます。
○議長(山下直也君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 平成24年産のミカンの状況等を見ますと、全国的に極わせの量が多くて、価格も低迷しています。
 和歌山県は、長期総合計画の中で、「温州みかんでは中生種の新品種の育成により、極早生─早生─中生─晩生の和歌山オリジナル品種によるシリーズ出荷に努め、安定して供給できる産地づくりをめざします」とうたわれております。これについては着々と進んでいると思うのですが、今後ともオリジナル品種の育成並びに産地化に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、特産果樹の振興についてお尋ねいたします。
 私の地元、紀の川市では、ミカン、柿、桃はもとより、全国市町村別生産額でイチジクは全国1位、キウイフルーツは4位であります。和歌山県でも、イチジク生産量は全国で2位、キウイフルーツは3位と、特産果樹についても全国有数の産地になっております。
 しかしながら、最近では、株枯れ病や根腐れ病など、産地の存続が危ぶまれる病気も徐々に広まっていると、私のところへ産地の方から声が届いております。
 こうした特産果樹の試験研究については、研究予算や研究員の人員も十分でない中、一生懸命現場対応をしていただいていると思いますが、現場の状況は待ったなしであります。すぐに集中的な対策を講じることが求められています。
 そこで、イチジク株枯れ病やキウイの根腐れ病に対する試験研究について、どこまで進んでいるのか、また対策のめどはどうなっているのでしょうか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) お話にございましたイチジク株枯れ病とキウイフルーツ根腐れ病は、主な原因が土の中にあり、薬剤での防除が困難な病害であります。県では、最新の病害対策情報を収集して現場へ提供するとともに、生産者及びJAと連携して現地試験に取り組んでいるところです。
 イチジクでは病害抵抗性の強い台木ネグローネ、キウイフルーツでは病害抵抗性台木として研究されているシマサルナシの現地試験を進め、防除効果の高い台木の選定を行ってまいります。
○議長(山下直也君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今回はイチジクやキウイについて取り上げましたが、ほかにも全国有数の特産果樹が県内にはございます。ミカン、梅、柿、桃が重要な果樹であることはもちろんですが、それ以外の品目についても、産地を揺るがすような課題が発生した際には、迅速かつ柔軟な体制でしっかりと研究や対策を講じるようお願いをいたします。
 とにかく、求められているのは生産者の所得向上。そのために和歌山県は全力投球をするべきであります。そうすることが、ほかから認められる果樹王国和歌山と言えるのではないでしょうか。これからのさらなる取り組みに期待をいたします。
 次に、仮称・京奈和関空連絡道路についてお尋ねをいたします。
 平成20年5月8日、国土交通省より、関西国際空港・京奈和自動車道関連道路網調査の新着手について発表されています。
 和歌山県北部を横断する高規格幹線道路について、和歌山市から紀の川市を経由して橋本市に至る京奈和自動車道を現在鋭意整備中であります。
 しかしながら、和歌山県北部はもとより、五條市、御所市といった奈良県西部の活性化を図るためにも、この京奈和自動車道から関西国際空港へのアクセス性の強化を図ることが不可欠と考えられます。
 関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路については、現在、県道である泉佐野打田線、泉佐野岩出線、鍋谷峠道路等の整備を進めているとともに、紀泉連絡道路についても地域高規格道路の候補路線として調査を進めているところですが、こういった各種道路計画を踏まえつつ、体系的な道路整備を行っていくことが必要と考えられます。
 このため、関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路の強化に向け、和歌山県、大阪府等の関係機関の協力を得つつ、平成20年度より新たに調査を進めることとしました。
 調査において、関西国際空港連絡道路と京奈和自動車道打田インターチェンジとを結ぶ幹線道路を中心に検討を進めてまいりますという内容でありました。
 その後の関西国際空港・京奈和自動車道関連の道路網についての調査を見ますと、地域の特徴として、医療面では紀北地域──ここでは岩出、橋本の保健医療圏域──の10万人当たりの医師の数は、和歌山県平均よりも少なく、このエリアからの救急出動回数は年々増加をしています。
 また、紀北地域は、第3次救急医療施設から距離圏でおおむねカバーしていますが、時間圏でカバーできていない医療空白地が存在しております。紀北地域の消防署による第3次救急医療施設への搬送のほとんどは、和歌山市内の医療施設に集中しています。
 消防関係者へのヒアリングでは、距離は大阪府下の病院のほうが近いが、峠の線形が悪いため、患者への負担、医療行為の影響を考慮し、時間がかかっても線形のよい和歌山市内への病院へ搬送することが多いと言われています。
 次に、観光について、紀北地域は魅力的な観光資源が多数存在しています。代表的なものに高野山がありますが、高野山はミシュランで3つ星観光地として評価をされております。外国人観光客の伸び率は京都を上回っています。しかし、近畿の主な観光施設の中でも高野山への移動は比較的に時間を要しますし、主な交通手段が自動車ということであります。
 農業については、和歌山県全体の農業生産額が減少傾向にありますが、紀北地域は回復傾向であります。全国有数の果樹生産地でもあります。大阪府を中心に全国に発送され、近年では海外輸出も行われています。
 紀の川市にありますめっけもん広場の休日の客数の約5割は大阪府から来店され、かつらぎ町では、世界遺産と観光農園ツアー等により1年間の観光客が100万人を突破している年もあります。
 JAの関係者によると、生産物の付加価値を高めるためには、形、味など商品価値以外に鮮度を保持したまま消費地に届けることが重要であると、最短である府県間道路では、道路の幅員が狭くカーブが多いため、ほかの府県間道路を利用しているということであります。
 これらを考えますと、阪和自動車道を除くほかの府県間道路は、和泉山脈の存在により線形が悪く、交互通行不能区間が存在している状態でもあります。現在の状態で府県間道路への不満は、利用頻度が高いほど不満が高くなっているのが現状であります。
 次に、大阪府との府県間道路について、大阪府と隣接する京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県とを比較してみました。
 まず、京都府は、高速道路で名神高速等3路線、それから国道で6路線、府道で15。兵庫県は、高速は、名神や阪神等、6つの路線があります。それから、国道で6、府道で11。次に、奈良県。高速道路は事業中のものも含めて4路線、国道が8、府道が8。和歌山県は、高速道路は阪和道が1つ、国道が3路線、県道が6路線となっております。
 これら県道以上をトータルで見ますと、府県間道路について、京都府は24路線、兵庫で23、奈良県で20、和歌山県で10となっております。
 例えばですけども、和歌山は和泉山脈、奈良は生駒山地がそびえていますが、高速道路が、4路線の奈良県に対して、和歌山県は阪和道のみであります。他府県と比べても、府県間道が少ないことと高速道路等の本数が和歌山県は異常に少ないということを感じます。半島であることもあるかもしれませんが、それならばなおさらのこと、この道は重要になってくると。高速道路にかわる道路があるべきではないかと思います。
 平成21年2月28日に、泉佐野市と紀の川市が一体となって推進すべく、現在の京奈和関空連絡道路促進協議会が設立されました。
 京奈和自動車道は、新名神高速道路、山陽自動車道、神戸淡路鳴門自動車道、紀淡連絡道路とともに、関西の外側を結んだ関西大環状道路を形成します。京奈和自動車道は、その中核的な役割を果たす道路であります。
 県内の京奈和自動車道の中間地点には、仮称・打田インターチェンジが位置しております。この京奈和自動車道打田インターから阪和自動車道上之郷インターを約9キロで結び、京奈和関空連絡道路が実現すれば、関西国際空港はもとより、阪和自動車道、阪神高速4号湾岸線への最短ルートとなります。例えば、連絡道を使いますと、紀の川市からわずか15分で関空へ到着すると推測されています。紀の川市はもちろん、高野・熊野の世界遺産へのより近いルートとして大いに注目されます。
 そして、その関西空港ですが、2007年8月には、4000メートル級複数の滑走路と完全24時間運用というグローバルスタンダードにかなった関空として新たな一歩を踏み出しました。
 また、2012年、新関西国際空港株式会社の運営となり、第2ターミナルの建設により、各地のLCCから就航要望を受けて国内線、国際線の発着回数は増加し、合計で117%と前年を上回り、開港以来3番目の水準となりました。また、第3ターミナルの建設もするように聞いております。
 現在、関空には、国内外合わせて約1600万人の流動があります。特に、外国人旅行客は開港来最高の約360万人を超えています。交通の便をよくしていくことで、県内の観光客のさらなる増加につながるのではないでしょうか。
 和歌山県にとって、関空は、大規模災害時、空港は要員や災害物資の輸送の拠点として大きな役割を果たします。生命線の1つとして関空と結ぶ連絡道をつないでおくことは、住民の安心につながります。また、柿、桃等、関空を利用した輸出も年々増加をしております。
 関空等への交通拠点へのアクセスの向上は、企業誘致、雇用拡大、農産物等の輸送時間の短縮、観光産業の発展、また経路選択、交通の分散化、災害、事故、工事等により一部不通区間が生じた場合に速やかな迂回が可能となりますし、災害に強い広域ネットワークの形成や防災・耐震対策など、災害リスクの低減等、国土強靭化につながるのではないでしょうか。
 しかし、紀北地域は、関空から距離が近いが、所要時間が長い地域であります。和歌山県が関空に非常に近い優位性を生かしていくためにも、充実した高速道路網と一体となった幹線道路網のさらなる整備が必要だと考えています。
 以前、関西国際空港に関する本を読んでいますと、和歌山県は扇風機の裏側になってしまうと言われたときがあったと書いてありました。関空を扇風機に例えて、和歌山県はその裏側だというのです。空港から人、物、金、情報は表側の大阪、神戸、京都方面へ流れていくということであります。もう、初めての言葉に大変ショックでありました。絶対にそんなことはないんやと、そういう思いにもなりました。
 この流れを和歌山に向けていくこと、風の流れをよくするためにも、京奈和関空連絡道路は絶対に必要であると思います。
 先日、公明党県本部代表の角田議員の御紹介で、直接太田国土交通大臣に京奈和関空連絡道路を国の直轄事業として位置づけていただけるように要望をさせていただきました。
 知事におかれましても、今後に向け、国の直轄事業としての事業採択により本事業を採択させるためには、周辺市町村の御賛同のもと、ぜひとも京奈和関空連絡道路促進期成同盟会へと発展いただけるよう、一日も早い本事業実現のために特段の御配慮と御支援を賜りますようにお願いをいたします。ぜひともこの計画を推進していただきたく、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 京奈和関空連絡道路は、関西国際空港と紀北地域や奈良県西部との連携を強化し、和歌山県だけではなくて、関西都市圏の活性化のため、また新政権が進める国土の強靭化を図る上でも大変有意義な構想であるというふうに思っております。
 これまで、議員初め関係国会議員、紀の川市長の働きかけ、それから我々もお願いをいたしまして、国土交通省において、京奈和自動車道整備に関する道路調査の一環として当該道路整備の必要性などの調査検討が進められております。
 県としては、今、差し当たっての喫緊の課題であります京奈和自動車道が完成いたしまして、その上で、条件が整えばこの構想を具体化できるよう、大阪府とも連携し、紀の川市や泉佐野市を中心とする地元の皆様方とともに広く必要性を訴えて、国や関係機関にその実現を働きかけていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 京奈和自動車道が完成し、その上で条件が整えばということですが、私は、それでは遅いと思うんです。
 完成すれば、恐らくかなりの交通量がふえると思いますし、渋滞等々、下手したら事故も多発するかわかりません。この辺は、以前にも言ったことがあるかわかりませんけども、広域農道、粉河加太線、24号、県道和歌山橋本線、これを1本の道でつないで打田インターチェンジに南北につながっていきます。そっから先が県道の泉佐野打田線であります。これらも本当に道の重なりが多いところで、とにかく一日も早く我々はこの道を完成させたいと。
 もちろん、京奈和自動車道を国体までにつなぐというのは、これはもう当然でありますけども、それと同時に、また並行してこの京奈和関空連絡道路についても取り組んでいかなければならない。その取り組みが早ければ早いほど地域の発展が必ず早くなるし、つながっていくものと考えております。
 地域の願いは、本当に一日も早い完成でありますし、それに向けての取り組みであります。決してこの道路は無駄な公共事業でもないし、本当に必要な道路であります。命の道であり、将来のチャンスの道であると思っております。
 知事におかれましても、これを何とか実現に向けて早期に取り組んでいただけますように御配慮と御支援をお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、おはようございます。「なかなか頑張る中拓哉」でございます。17回目の登壇でございます。県民の暮らしが向上し、県勢がますます発展するよう願っての質問でございます。当局の幹部の皆さんにありましては、私たちの雇い主であります県民の皆様にわかるように、誠実な御答弁をお願いいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、仁坂知事にお伺いいたします。
 今2月定例議会の冒頭のあなたの新政策の説明に、「成長に向けた『挑戦』の政策」の項目がありました。産業の発展を支える社会資本整備の推進に関して、紀伊半島一周道路の早期実現、近畿自動車道紀勢線のミッシングリンク解消、南紀田辺までの4車線化、田辺─すさみ間や京奈和自動車道の平成27年国体開催までの供用など、県内高速道路ネットワーク整備促進に全力で取り組むとお述べになりました。とても心強く感じました。
 また、先日、和歌山県道路協会会長中村愼司紀の川市長の呼びかけで開催されました高速道路をはじめ県内道路網の整備促進を求める和歌山県民総決起大会に出席いたしました。
 当日配布された資料の冒頭、和歌山県の高速道路の現状を示すページに「高速道路の供用率は48.3%で全国ワースト1位」との表記があり、二階代議士からは、「県選出の国会議員の顔を潰すのか」との発言とともに、平成21年に御坊─田辺間の4車線化が決まり、その後の民主政権のコンクリート予算見直しで事業費745億円が凍結・廃止されたことに触れ、「こんな扱いを受けながら、なぜ怒らないんだ。怒りの片りんを見せ、物を申そうじゃないか。有田─御坊間も含め、4車線化を一気呵成に実現しよう」との雄たけびにも大いに共感いたしました。
 また、昨年10月23日、東京で開催されました大規模災害と高速道路を考えるシンポジウムでの河田恵昭関西大学教授の、レジリエント社会の必要性とともにインターチェンジの重要性の講演にも、我が意を得たりと大いに共鳴いたしました。
 大橋市長が昨年1月12日の記者会見で、和歌山南インターチェンジ設置を発表いたしました。
 平成22年3月に和歌山北インターチェンジがハーフインターチェンジながらも開通し、長年の懸案だった直川地区の未利用地に10社が進出するとともに、コミセンや保健所、保育所施設も整備され、紀の川以北の住民の皆さんの利便性が大きく前進いたしました。また、和歌山インター周辺の交通混雑の緩和にも少なからず貢献しております。
 さはさりながらも、宮街道の渋滞は慢性化し、市中心部に向かう渋滞に心を痛めておりましたところ、本年1月29日の知事記者会見におきまして、これからは県が主体となってスマートインターチェンジとして和歌山南インターチェンジを整備するとの発表がございました。
 報道で知るところでは、南港山東線を4車線化し、和歌山橋本線や松島本渡線とも連結し、随分便利になるようですし、国土交通省の高速道路利便増進事業を利用するとのことですが、その詳細をまず知事からお示しください。よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山南インターチェンジは、御指摘のとおり、スマートインターチェンジ制度を活用して県で整備するということにしたいと思っております。
 当構想については、私は初めから実現すべきものだと思っておりましたけれども、和歌山市に考えてもらわないといけないことがあるが、そのお答えがなかなか来ないなあということと、それからさらに他の緊急案件の早期完成の障害にならないかなあというような配慮もありまして、その思いをオープンにしておりませんでした。
 しかし一方、スマートインターチェンジにつきましては、全国の需要が多かったんですけれども、予算が限られている中で、そろそろ新規は打ちどめというような情報もありまして、このままではこの国の便利な制度に乗りおくれるおそれが出てきましたので、この際「もうやります」と言って整備に乗り出すことを明らかにしようというふうに思ったわけであります。
 このことに関しましては、おりてくるところの道路の構想が大変大事であります。そこで、都市計画道路南港山東線については、和田地内におきまして、現在、平成27年を目途に整備を進めているところでありますが、これをその後、東に延伸して、南インターチェンジと直接接続することで円滑なアクセスが可能となると思っております。
 一方、この東側は紀の川市の南部ともつながっていきますので、そこで県道和歌山橋本線に接続することで紀の川市方面からの利用も円滑になるように、あわせて計画したいと思っているわけでございます。
 こうした整備を一体的に行うためにも、県が事業主体になりますが、地元関係自治体と協力して、地元の方々の御理解も得ながら整備に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 大橋さんが、北インターチェンジができて非常によかったと、またその後、南インターチェンジやと。こうやって力を入れておりましたし、市も取り組んでました。そんな中で、知事は中心市街地もしっかりしようらよと、こういう考えも一方であり、なかなか県・市がうまいこといってないんかなと、はた目ながら思っておったんですけども、今回、今おっしゃっていただいたような事情で県が乗り出してくださってやっていくということで心強く思っておりますので、県会議員の1人として私らもバックアップしていきたいなと、こう思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 そこで、今度、県土整備部長にお願いしたいんですけども、和歌山市内に計画されている都市計画道路にも、県道として整備すべき道路と市道として整備すべき道路が混在しております。
 また、生活道路におきましても、国道、県道、市道と、それぞれ管理者の違いから、細かなことですけど、道路舗装やガードレール、交通標識、カーブミラー整備、信号機設置など、スムーズにいかない面が多々見受けられます。
 私も市会議員のときに質問し、年に何回かは国、県、市あるいは関西電力、大阪ガス、市の水道局といったところが協議しつつ、計画的に整備しているとのことでございました。
 県庁所在地、県都和歌山市と和歌山県との間には、政策連携会議で意思統一を図るという仕組みがございます。
 先ほど触れましたごとく、南インターチェンジ設置に関しましては、和歌山市としても鋭意取り組んできている経緯がございます。計画地周辺には、また和歌山市の所有するコミセンやごみ焼却場の跡地など、市有地もございます。和歌山市とも連携を密にして早期完成供用に資するべきであると考えますが、県土整備部長のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) スマートインターチェンジ設置に当たっては、国、NEXCO、県など、また和歌山市など関係する市や地元関係者が参画した地区協議会を設立し、実施計画を検討するとともに、申請や事業実施に至るまでには関係自治会等に説明し、住民の方々の意見を取り入れるよう努めてまいります。
 また、和歌山市とは、都市計画道路のうち、市が整備する区間は責任を持って進めていただき、全体として市内の幹線道路が早期に整備できるよう努めるとともに、中心市街地の活性化についても、和歌山南インターチェンジの設置と整合のとれた取り組みをいただくなど、今後も市と連携して進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 それで、今、竈山神社のところまで南港山東線、整備していただきました。随分便利になりました。これがまたどんどん東へ向いて、南インターできて便利になること、うれしい限りです。
 心配なのは、それでずっと水軒口まで来て──ようやく水軒口もちょっと広くしてくださるらしいですけども──そこから和工までの道が相変わらず生活道路で、和歌山工業高校、星林高校あるいは西浜中学校、そういった自転車の生徒と車とが非常に危ない、そういう形でございます。
 難しいんかわかりませんけども、これも一気呵成に南港までつないだら、いろんな大きな貨物等も、和歌山インター行くの、北インター行くの、あるいは南インター行くのと、こういった形で便利になるかと思いますんで、どうぞ頑張っていただけたらと思います。よろしくお願いします。
 次に、御坊警察署庁舎・宿舎建築工事、建てかえ工事監理業務の契約違反についてお尋ねします。
 平成23年12月議会で承認されました議案156号、御坊警察署庁舎建築工事4億7800万円の工事請負契約、関連予算により進めておりました1億8868万円の御坊警察署宿舎建築工事、2593万円の御坊警察署建てかえ工事監理業務は、それぞれ三洋建設株式会社、株式会社古部組、長尾建築設計事務所と和歌山県とのそれぞれの契約であります。
 契約当初の計画では、宿舎は2月、監理業務委託は3月、警察署庁舎は5月までに終えると聞いていましたところ、報道によりますと、施工ミスがあったとのことで、追加の工事をするとの由、知りました。
 地方自治法96条(議決事件)の第1項5号にのっとり、議決に付すべき契約の変更については、変更すべき事由を付して改めて議決すべきが自治法のルールでございます。
 変更内容をお示しの上、契約の変更として議案を提出してください。県土整備部長、お願いします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 議決に付さなければならない契約は、地方自治法第96条第1項第5号の規定及び議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条により、「予定価格5億円以上の工事又は製造の請負」となっております。
 さらに、行政実例によれば、設計変更により、変更後の契約額が条例で定める要議決額未満であれば議会の議決は不要とされております。
 また、議員御指摘の追加工事は、瑕疵の修補に当たるものであり、請負金額の変更を伴うものではありません。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 また、後で詳しくその自治法の解釈については申し上げますけども、県が示す設計図書のとおり工事目的物を完成できないんであれば、建設工事請負契約、これは県と業者さんが結んでおりますけども、その44条に発注者の解除権というのがございまして、それに基づき契約を解除して、違約金も受け取った上で、白紙に戻してスタートすべきではございませんか。
 解除しないのなら、どこまでも設計図書どおりの高さの成果物の引き渡しを求めるべきです。どうして求めないのでしょうか、お答えください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 契約解除については、民法第635条で、「仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。」と規定されており、契約書第44条の要件に当てはまるとしても、ほとんど完成してる建物については契約解除できないこととなっております。
 また、建物自体の構造安全性や日常的な使用には問題はなく、1階床高さが、庁舎で基準高より77センチとすべきところを48センチとなり29センチの不足、宿舎で55センチとすべきところを36センチとなり19センチ不足していることに対する浸水対策として、第1に、敷地全体の浸水を防止するため、当初から計画のある敷地周りの高さ80センチのコンクリート塀に加え、門扉部分には防水仕様の門扉を設置することにより、不足した高さを周りの塀でカバーします。
 第2に、敷地に浸水した場合でも、建物への浸水を防止するため、庁舎の出入り口に塀よりさらに20センチ高い防水板を設置し、二重に防御します。
 第3に、万が一庁舎に浸水した場合でも、電気、電話の使用が可能となるよう、天井から別経路で確保します。
 これらの3段階の対策を行うことで、当初の設計で要求していた品質と性能を確保できると考えます。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 民法でそのようなことが、635条で解除することができるけども、建物その他土地の工作物はこの限りではないと、ほとんどできてるから解除できないと、こういう抗弁でございますが、そしたら、そもそもこんな契約を結ぶ必要ないですよね。そういうことのトラブルを避けるために民法というものがもともとありますけども、契約を結ぶというのが日本社会のルールでございます。ですから、ちゃんと結んだ契約どおりに。
 例えば、前に僕、ここで道路舗装のことで、工事のときに黄色にしなさいという指摘がなかったと。で、黒やと思って落札したと。いざ工事にかかろうと思うたら、黄色にしてもらわなあかんのやと。書いてないじゃないかと。そういうときに一方的に県は解除しました。これも、こういう44条やったと思います。
 そういうことを──結局は紛争審査会に入りまして、和解というか、お金で解決しましたけども、そういうことに陥らんように契約を交わすわけですから、今回のその今の抗弁については私は納得できませんし、瑕疵などといった言葉の範疇にはおさまらないぐらいの重大な過失やと思います。
 解除もせずに、建て直しも迫らずに、ジャッキアップも検討せずに、防水工事や配線ですか、これを天井のほうに別経路にする──これも大事なことやと思いますけども──そういった工事でお茶を濁そうとする県の姿勢は許されません。
 そもそも、今回の重過失に県当局は一切関知してないし、契約上も責任はございません。だから、私、ここで一生懸命、県土整備部長を責めるのも酷なんです。
 県は、監理業務を長尾さんにもうお任せしてるというか、してるわけですから、県については責任はございませんけども、監理業務を受注したその設計事務所や、また施工請負業者──つまり受注者ですね──全て受注者の責任です。発注者に落ち度がないのに、不利益な成果物、設計図書に沿わない目的物である庁舎や宿舎を受け取っていいんでしょうかね。
 仮に、まあ嫌みな言い方ですけど、御自身のお家やったらどうしますか。「ここら水つくんや。ついては高いのを上げてくれ。土台を上げてくれ」、そういうことでスタートしたお家が、でき上がって引き渡しを受けようと思ったら、「ごめんやで。高さ足らなんど。周り囲わよ」、こういうことでオーケイするでしょうか。僕やったらオーケイしませんよね。「ちゃんとやり直せ」と、こうなると思います。あるいは「お金、そんだけ払えやん」と、こうなると思います。
 こんな囲いの工事で十分ですと納得して受け取って使ってしまう県に対して、まあどうかなあと、お尋ねしたいんです。
 また、建物自身が、一旦緩急あれば住民の命を守る司令とも言うべき警察署です。安全を担保すべき高さの満たないまま庁舎や宿舎として利用してはいけません。発注者に責任がないにもかかわらず、今回のような事態が起こる原因はどちらにあったんでしょうかね。
 また、これはもうこういうことになっていくんでしょうけども、再発防止の方策のありやなしやをお答えください。お願いします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 施工業者が設計図書に示された基準となる高さを誤り、工事監理業者がその確認を怠ったのが原因と考えられます。
 今後は、施工業者と監理業者に設計上の重要な点を把握させるため、設計者にチェックリストの作成と工事の当初打ち合わせへの参加を求めます。
 また、工事監理に関する県監督員の業務は全て工事監理業者に委託しておりますが、基準となる位置や高さを設定するときは、施工業者、監理業者、県監督員の3者が現場で立ち会いのもと、確認してまいります。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 何か、ちょっとこう恥ずかしいというか──改めて今さらながら設計者にそんなことをチェックしてもらうとか、県の職員もそこへ立ち会うとか、そうせざるを得んのかわかりませんけど、ちょっと恥ずかしいですよね。
 あと、もう一個懸念しますのは、これから県の公共工事をするときに、こういう監理業務を委託するときもありますけど、県庁の職員さんが技術者でございますんで自分で監理するということも多々あると思います。そういうときに検査に行きますよね。ああじゃ、こうじゃと言うて指摘をします。あるいは、先ほどの契約条項を読んだら、一旦めくって中見せよと、中を見せてぐいちになってたらやり直せと、あるいは間違うてるやないかと。上手に化粧板されてもて見えなくされたらわかりませんからね、そういう検査することもできると。なおかつ、壊したときは、もとに戻すのは受注者の責任やと、このように書いてますよね。そんな中で仕事は進むんやと思います。
 受けた業者も、そんなことならんように証拠の写真を一生懸命整えて、ちゃんと説明できるように頑張ります。で、あるときに見つけて指摘しました。そのときに業者さんに、「ちょっと待ってよ、県庁さん。私らもこれ直すけども、これと御坊警察署のミスとどうよ。向こうはどうしたんよ」と、こういうふうに反論されたら担当者の人、仕事できないですね。そういう心配もありましたんで、今回、これを取り上げさせてもらいました。
 それで、ここはもう平行線ですから残念なんですけども、片一方で紛争審査会に持ち込むというのもあったと思うんですね。これを納得せずに、紛争審査会の判断を仰ぐという手もあったと思いますけども、そういうこともなさらないようでございます。もう話ついてしもたようです。
 ただ、先ほどの議会の議決を求めることについて、私なりに勉強しまして、行政実例に、昭和26年11月15日の地方の問い合わせに対して当時の自治省は、「議決を経て契約を締結した場合には、その後の事情変更等のために契約の内容を一部変更しようとするときは、たとえその変更が当初の契約の趣旨に反せず、また著しいものでないような場合でも、条例で定める契約に該当すれば再び議会の議決を経なくてはならない」とあります。
 また、それで別の行政実例では、これは昭和45年6月22日なんですけども、「当初の設計内容について一部変更する場合において、契約金額内の増減のみで総額に変更がないときは議会に再議決は一般的には不要である」と示されております。
 ただ、ここで言う「一般的」ということに該当するのは、事例は、その行政実例の中を読んでいきますと、変更の理由が至って合理的で、その利益も住民に有利な場合を指しておりまして、今回のように議決目的の同一性が失われる、瑕疵の修補で済まそうとするような場合には適用されません。
 価値が明らかに下落しているにもかかわらず、その契約変更を議会にも諮らず、損害の賠償も求めず、建て直しも迫らず、浸水対策工事でよしとする今回の事務の執行や処理の方法について、果たして適切な自治事務と言えるのでしょうか。これは、代表監査委員の所見をお伺いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 代表監査委員保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○代表監査委員(保田栄一君) 御坊警察署の庁舎及び宿舎工事につきましては、ただいまの県土整備部長の答弁にもありますように浸水対策が確保できるということでありますが、今後、詳しく情報収集を行ってまいります。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 あり得んことが起こってしもたんで、こんなことになるんかわかりませんけども、随分恥ずかしい話でございます。こんなことのないようにお願いします。
 次に秋葉山のプール、秋葉山公園県民水泳場について伺います。
 数年前の自治会館で行われたプロポーザルの審査を、私、傍聴しました。その後、発注方法の違い等についても、ここでただしてまいりました。
 解体工事や建設工事にトラブルが相続き、ここでも紛争審査会を煩わしておるようでございます。
 追加工事をしたりと受難続きのように仄聞いたしておりますが、今回、議案を見ますと、この指定管理者も今議会に提案され、あるいはまた2億1000万円もの追加契約変更も提案されております。
 いよいよオープン間近と楽しみにしておりますが、夏休みには泳げますか、お答えください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 秋葉山プールにつきましては、基礎工事でのおくれを取り戻すため、これまで工程を組みかえるなど、ことしの夏休みに利用していただけるよう工期短縮に努めてまいりましたが、屋内の50メートルプールや25メートルプール、地下駐車場につきましては、オープンが9月1日の予定となりました。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 上手に答弁しますよね、屋内は9月1日。
 じゃあ、屋外プールもそのとき一緒に使えますか、お答えください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 屋外プールにつきましては、9月には気温も下がることから、条例により7月、8月の2カ月間を利用期間としていますので、来年7月のオープンを予定しております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 大きなお金を使て、いいの、できるんですよね。で、夏休みに一般の方、十分楽しみにしてるんですよね。来年ということで、非常に残念に思います。
 じゃ、1個1個詰めて申しわけないですけど、どうしてそんなにおくれたんでしょうかね。ちゃんと地盤調査もしたり、いろいろやってくれてると思いますけど、お答えください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 地下駐車場工事において掘削工法を決定するため、コアボーリングを実施し、ひび割れの間隔から軟岩と判定しておりましたが、実際に掘削を行うと、調査箇所の岩質は結果どおり軟岩であったものの、それ以外の箇所で硬岩が分布しており、掘削効率が著しく低下したため、工期の延長を行ったものであります。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 そういうお答えをいただくと、何か仕方ないんかなあという感じになるんですけども、それじゃ、そういう掘削工法を決定するための調査箇所というんですかね、どれぐらいなさいましたか。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 地盤の耐力を調査するために25カ所の標準貫入試験と、掘削の難易度にかかわる岩質を判定するために4カ所のコアボーリングを実施しました。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 25カ所もやって、そのうち4カ所ですか、そういうことで今回のようなわからんことがあったと。そんなにしていってて何でわからんのかな。
 もう続けて行きますけども、そうしますと、今回このようにわからなんだら、次もおんなじようなことが起こるんじゃないですか。次もおんなじようなことが起こって、例えば田辺のBig・Uのときもそうでしたよね。あれは、途中で5億ほどの追加予算を議会に出して地盤改良するようなこと、恥ずかしいことがありましたけども、結局、調べてやってるはずやのに、わからんことが起こったと。25カ所もやっててわからんと。そしたら、次もおんなじようなことが起こるんでしょうかね。
 もう、おんなじことを繰り返すんですか。あるいは、再発防止するすべ、お考えであれば、あわせてお答えください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 4カ所のコアボーリングが同一の岩質であったことから、敷地全体を同一の岩質と判断したものであり、地中での岩のひび割れなどの岩質の分布状況を厳密に予測することは非常に困難だと考えます。
 今後、大規模な地下掘削工事などで掘削の難易性の判断が工期や工事費に大きく影響する場合は、コアボーリング箇所を必要に応じてふやすことにより、より正確に岩質分布状況を把握するよう努めてまいります。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 よりふやすということの答えかと思いますけども、今回そんなことで、実際図面を見せてもろて、25カ所も拝見しました。4カ所も拝見しました。上手に外してるんですね、硬いところがあんだけ広いのに。硬いところがあんだけ広いのに上手に外してるんで、ほんまに不思議でなりませんでした。こんなことないようにお願いします。
 さて、今回──ここからまた別の観点ですけど──全国に誇り得る公共調達制度とのふれ込みでスタートしました本県の公共事業であります。
 総事業費約100億円にも上る今回の秋葉山プールのスタートは、プロポーザルで昭和設計・フジ設計特定業務共同企業体が6835万円で基本計画・基本設計業務を受けて、実施設計は1億4540万円の予算を組んでいたところ、実に20%という驚くべき低価格の3045万円で落札・契約し、監理業務も、この実施をした同じ梓設計・バウ建築企画設計監理業務共同企業体が、これは予定価格の67%の4357万円で落札し、事業が進められ、先ほども申し上げましたが、夏休みに使えんような工事のおくれで完成するらしいです。
 一方、基本設計、実施設計、工事監理と、それぞれが別個の設計事務所が携わった御坊警察署の工事では、重大な過失が発生しました。
 かくのごとく、よかれかしの方法にほころびが相次ぐわけです。基本設計、実施設計、工事監理、果たしてこれは同一業者がいいのか、先ほど申し上げました別々の業者でやればいいのか、それぞれのメリット・デメリット、この際、お示しください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 御坊署、秋葉山プールは、いずれも基本設計、実施設計、工事監理の3業務を別々に発注し、結果的には御坊署は3業務とも別の業者となり、秋葉山プールにおいては実施設計と監理業者が同一業者となりました。
 基本設計、実施設計と工事監理が同一業者ならば、設計意図がスムーズに伝達できます。また、別業者であれば、違った視点からのチェック機能が働くといったそれぞれのメリットがあります。
 和歌山県では、建築工事の場合、基本設計と実施設計は、設計期間の短縮や設計意図の的確な伝達の点から、原則として分離せずに発注することとしています。しかし、基本設計と実施設計の間に調整期間を要する場合等には分離します。
 監理につきましては、設計者と異なる立場で図面をチェックできるという点から、設計とは分離して発注しております。
 いずれにしましても、今後ともより一層適正な発注に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 完璧な制度というのはなかなか難しいかわかりませんけども、そういう制度を運用していく上で、やはりちょっと注意を働かしたら御坊のことなんかも起こらなかったと思いますんで、想定してないことが起こったんですけども、ほんまに一からというか、基本からというか、そんなことからやっていかなあかんのかな、そんなことを思った次第でございます。どうぞ、これからは遺漏なきようお取り組みください。
 次に体罰について、体罰と称する暴行・傷害問題についてお伺いいたします。
 園田隆二柔道女子日本代表監督が、選手への暴力で辞任いたしました。15人の勇気ある選手たちの告発が端緒となり、全日本柔道連盟会長でJOC選手強化本部長という随分お偉い上村春樹さんも強化本部長を辞任いたしました。数年前には、お相撲さんの親方も自分の弟子に暴行傷害に問われたりしておりました。
 こういった暴力事件は格闘技の特質かと思っておりましたら、チームプレーの球技・バスケットボールでも、しかも高校生が顧問の先生から体罰と称する暴行を受け、自殺するという痛ましい事件が起こりました。
 学校教育法11条に、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と規定されております。
 毎年400人前後の教職員が体罰を理由に処分されているとのことです。
 大好きなスポーツに打ち込みたくて桜宮高校に通っただろうに、キャプテンにもなり張り切っていただろうに、かわいそうでなりません。
 教育長、今回の事件、どのように思いましたか、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の今回のような痛ましい事件というのは、決して許されるものではなく、二度と起こってはならないものであると重く受けとめております。
 今後、本県においてこのような事件が起こらないよう、体罰禁止の徹底を図ってまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 重く受けとめる、当然やと思います。
 それで、隣の大阪のことということじゃなしに、和歌山県でこんなことがあってはなりません。和歌山県の教育委員会としては、何か対策は講じられましたか、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県では、事件が公表された翌日の1月9日に、県内全ての公立学校に対して体罰の禁止について通知いたしました。
 また、県立学校長や市町村教育委員会教育長を集めまして、体罰防止に向けた指導の徹底を指示しました。
 また、高等学校体育連盟等関係団体の代表を集め、運動部活動の指導者全員に体罰禁止を徹底し、その運営が一層安全かつ適切に行われるよう指導したところです。
 さらに、体罰の実態を把握し、体罰の禁止を徹底するために、1月31日付で県内全ての公立学校の児童生徒、教員及び保護者を対象に体罰に関する調査を行うよう指示するとともに、児童生徒や保護者が体罰の訴えや教員等との関係についての悩みをすぐに相談できる窓口や担当を確保するなど、迅速かつ適切に対応できる体制を各学校において強化させているところでございます。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 大津のいじめのときもそうですし、今回のときも、教育委員会というのは、非常にそういう意味では、今、教育長が御答弁なさったような「手を打ちます」、あるいは「調査もします」と。決して教育委員会の仕事としては間違ってないんだと思いますけども、どうも心がこもってないというか、ただ行政マンとして仕事をしてるというか、そういう感じを受けてなりません。
 それで、調査を行うということでございますけども、果たして、もし暴力を振るった先生が自主的に正直に答えるもんでしょうかねえ。なかなかそこらも、私、わかんないですね。
 私も、もう今回の事件で、40年前、自分が海南高校の生徒だったときに、教室4階から下を通る友人を茶化しておりましたら、そばを通った先生が、自分やと誤解して一気に上がってきました。私は、何かわけわからんまんま、踊り場でその体育の先生にぼこぼこにされました。当然、刃向かうこともようしませんでした。
 そんなこと忘れてましたけども、今回のこんな事件あったときに、ああ、僕も嫌やったなあと。剣道でしごかれることは、それなりに自分も頑張りましたけど、わけのわからんことでぼこぼこにされたということは、いまだに私にとっては傷になってます。
 そのようなごとく、体罰と称する暴力をなくすにはどういった取り組みをなさいますか。そんな調査や何やというようなことを言うてないで、実際どうしたらなくなるか、こういったところをお答えいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 体罰につきましては、とにかく実態を正確に把握し、その状況等に応じて厳正に対処をしていく必要があると考えております。
 体罰を根絶するためには、教職員1人1人が体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるということを認識するとともに、体罰の禁止について教職員全体の共通理解を図ることがまず何よりも肝要であると考えてございます。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 正当化することなく、誤りであることを認識するように先生に教えると言うんですけれども。
 ここで、ちょっと別の観点で聞きたいですけど、教育長、飲酒事案が昔はありまして、福岡でしたか、若い公務員の方がへべれけで追突事故を起こして幼いお子さんが亡くなって、それから警察庁のほうも厳罰に取り組み、また処分も厳しなったということがありますけども、このように──その後、教職員さんに対しても同じように厳しなったと思いますけど、飲酒運転がなくなったのは、私はそういう厳罰の効果やと思いますけど、教育長はどうでしょうか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 飲酒運転にかかわる比較は難しいと思いますけども、原則として、やはりこの体罰と厳罰の問題につきましては、それぞれの状況をしっかりと──先ほど申し上げましたけれども、しっかりと実態を把握して、一律に厳罰に処するということについては、学校運営の観点から、いささか課題が多過ぎるというふうに受けとめております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 そこは、見解の相違かと思いますけど、そしたら、今るるお述べいただきましたけども、そういう共通理解を図っていくことが重要でありながら、さて、今年度からどういう形で、具体的に調査なさった後のことやと思いますけども、お取り組みいただけますか、お願いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) これからの対策についてでございますけども、これまでも各学校においてはチェックリストを活用した研修を実施することで体罰禁止を徹底してまいりました。
 今年度、さらにそれを強化するために、新たに教職員の不祥事根絶のための啓発冊子を作成し、研修の充実を図ってまいります。
 また、運動部の活動につきましては、保護者や一般の方々など、第三者の方にも生徒を見守ってもらえるような開かれた部の運営を心がけることが大切であり、そのため、指導の手引書を作成し、顧問を対象とした研修会等をも実施して、最大限の努力を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 そういうことが、教育委員会のそういう優等生の答弁といいましょうか、模範的な答弁になってくるんで、どうも私はしっくりしないんです。
 それで、講習会を開いたから、あるいは小冊子を読んだから、あるいは研修をしたから、そういったことで直るんであればほんまにうれしいですけども、ここは私の私見ですけども、教え子どついたら即懲戒解雇と。それが、どつかざるを得ん事情があって、その懲戒解雇は厳し過ぎるというんであれば不服申し立てといいますか、そういうときに、人事委員会が公平に扱ってくれるわけですから、人事委員会に申し立てたらええんじゃないか。そこで酌むべき事情があれば処分を取り消すやろし、あるいはもっと、それこそ急迫不正の緊急避難の暴力であったんであれば、むしろ表彰したげたらええし。そんなに思います。それぐらい厳しく、即懲戒免職、こういう形で対応することを求めますけど、いかがでしょうか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 先ほど申し上げましたように、一律に懲戒免職といった厳罰に処するということには、学校教職員の士気の問題もありますし、それからクラブの運営の問題もありますし、それぞれの実態を正確に把握しながら、状況に応じて厳正に対応していくのが学校教育の肝要なところであるというふうに受けとめております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 私が過激かわかりませんけども、やはり大阪の亡くなった子の親の気持ちになったときに、ほんまにいたたまれんですね。先生は先生でお立場があるやろし、理由があるんでしょうけども、学校でクラブを元気にやってたはずが、楽しいはずの子が死なんなんということで、親も自分を責めると思います。何でわかってあげなんだんやろ、何で我が息子、我が娘がそこまで悩んでたのに気づいてやれなんだんやろ、やっぱりここに、僕、つらさがあるんですね。
 それで、ここから私の提案ですけども、お答えは結構ですけど、厳罰が無理であれば、今、どうですか、防犯カメラというのが商店街、随分ふえました。それで検挙率も上がったように思います。ですから、何も監視社会をつくるわけじゃありませんけども、グラウンドや、あるいは武道場や体育館にカメラがあれば抑止になるというか、カメラの前でもどつけるだけの自信があってどつくか、そういう形で抑止効果になると思いますんで、これはすぐは無理かわかりませんけど、私の意見として御検討ください。
 次に、学校のクラブ活動を支援する上で、提案も含めて質問いたします。
 体罰に耐えてまでクラブ活動する必要はないと思いますが、体力を培い健康の増進に資する上で、学生時代にスポーツに打ち込むことや、文化部も含めて集団でクラブ活動にいそしむことは応援すべきであると考えます。
 とりわけ、高校のクラブは活発で、保護者も部費や公演の費用を拠出し合って我が子の成長を楽しみにするものです。
 さきの6月議会でも取り上げましたPTA会費の使い道にも関連しますが、学校教育の県費で賄うべき費用と、県費では賄えないが、クラブ活動や遠征、練習試合、発表会など遠方に出かけるときの移動時に保護者が車を出し合って生徒を乗せて連れていってる実情が一方でございます。
 つい先ごろの監査報告にも、後援会が購入したマイクロバスで生徒の引率の出張に使ったことを適正に処理するよう指摘もされておりました。学校行事やそれに準じたクラブ活動に活用しているわけですけども、県費、公費で購入したわけではないために、そういうお金はつきませんので保護者のお金で買っております。
 当然のことながら、保護者会長やPTA会長などが個人名で所有しなければなりません。公租公課や保険料も個人にかかってきます。保護者会長、PTA会長が交代する都度、その名義変更の手間とともに、費用や保険料がかかります。他府県でありましたような交通事故のリスクも、これは父兄にかかってきます。あるいは、運転した先生にかかってきます。
 個人責任の問われるこういった保護者の親心、善意に任すよりも、PTA中央会のようなところが法人格を取得して、例えばNPO公教育支援機構のような団体、法人としてマイクロバスや車や高価な備品類を取得して一括管理できる仕組みをつくることも大事だなあ、このように思います。PTAからもしそのような相談を持ちかけられたとしたら、教育委員会はどのような対応をされますか、お示しください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 各単位PTAまたは県高等学校PTA連合会から、議員御提案のような御相談があった場合には、PTA会員の皆様方の主体的な活動が円滑に行われるよう、法人格の取得等を含め、適切な助言を行ってまいりたいと思ってございます。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 よろしくお願いします。
 次に、庁舎管理についてお伺いします。
 過般の県議会で、先輩方の質問にトイレ問題が取り上げられました。早速に25年度予算にトイレ整備の事業化が反映されました。知事初め当局の御理解に敬意を払います。
 さて、次はごみの問題です。ちょっと細かなことですけど、お聞きください。
 和歌山市民は、家庭ごみの分別は、一般ごみに加え、缶、瓶、ペットボトル、紙、布、プラスチック容器包装、いわゆる廃プラに区別して、資源ごみとして収集車に出しております。
 一方、事業所では、事業系ごみとして、産業廃棄物を除く事業活動に伴うごみを収集車に出しています。いわゆる黄色の袋で出してるやつです。
 そこで問題なのが、事業所からは廃プラスチックが出せない点であります。有料収集の事業系ごみの一般ごみ、缶、瓶、ペットボトル、紙、布は、事業系ごみであっても有料で市の収集車が持っていってくれますけども、廃プラスチックは産業廃棄物ですので、市役所の収集車では回収できません。
 和歌山県庁も事業所に該当します。お弁当の容器やプラマークのある、いろんなお菓子初めいろんな包装プラスチックごみは、現在、どのようにされていますか、お答え願います。
○議長(山下直也君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 事業所である県庁で発生するごみは、事業系廃棄物として適切に分別して排出する必要があります。
 現在、各課室から排出されるごみにつきましては、和歌山市が定めた分別方法に従い、一般ごみと缶、瓶、ペットボトル類の再生利用できるものに区別して排出しております。
 しかしながら、産業廃棄物として取り扱わなければならない弁当がらの容器など、廃プラスチック類の一部が分別されず、一般ごみの中に混入しているケースが見受けられます。
 今後、職員には、廃プラスチック類を分別して排出するよう周知徹底を図るとともに、その処理を廃棄物処理業者に委託するなど、全てのごみの適正処理に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 これから直してくださるということですんで、よろしくお願いします。
 和歌山県には、循環型社会推進課というところが県下の30市町村にごみの分別等あるいはこういった問題について指導して、指導といったらおかしいですけど助言して分別していかんなん、推進していかんなんお立場の職場でございますんで、これからはそういう点で改めてもらえたらなあ、かように思います。
 次に、庁舎配置図と職員録についてお伺いします。
 県会議員初当選以来、職員録名簿を活用しながら質問準備やさまざまな勉強に取り組んでおりまして、大変重宝しております。
 私たち県会議員は、住所、氏名、電話番号も掲載されております。一方、職員さんは所属の部局ごとに役職と氏名が載っております。
 平成19年までは幹部の職員さんの住所、電話も載っておりましたが、個人情報保護の見地から載せなくなったようです。あわせて、知事や副知事の住所、電話も現在は載っておりません。知事の官舎の電話は県の所有で、電話代も県が支払っているのに、掲載しなくてよいんだそうです。
 それはそれとして、庁舎の内線に電話して職員さんとやりとりする中で、返事のコールバックを求めたとき、よく内線番号を聞かれます。公明党の内線で3522とお答えするんですけど、私は職員録を見ながら電話していますので、てっきり職員録に載っているものと思い込んでおりましたところ、県議会の各会派の控え室の番号が載っておりませんことに気づきました。
 また、記者クラブや労働組合、紀陽銀行などの番号も載っておりません。
 職員配置図なるものが庁内LANでは見ることができるそうで、そちらには県議会の会派も記者クラブさんも載っているとのことでした。
 できるものなら、今申し上げたような部署の電話番号をこの職員録に載せていただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。
○議長(山下直也君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 知事官舎の電話代は県が支払っていると御指摘ありましたけれども、知事官舎に、現在、私用と公用の2本の電話が引かれておりまして、そのうち私用電話については知事御自身が私費によって負担されておることを御指摘申し上げまして、職員録についての御質問にお答えいたします。
 県議会各会派控え室や各種団体など、庁舎内にある事務室等の電話番号につきましては、これまで職員録とは別に作成しております電話番号簿や庁内配席図等を活用してまいりましたが、来年度からは、関係機関等と協議の上、職員録に掲載する電話番号の範囲を拡大し、利便性の向上に努めていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 いや、政務調査費のことで電話代のこと案分せなあかんという話の中で、そんなん言うても知事さんの公用の電話は公用で、官舎ですから知事が使い分けしてらっしゃるんやと思いますけども、そんなことを思たんでちょっと触れただけです。
 次に、最後に経済センターについてお聞きします。
 この跡地利用につきましては、以前、経済センターが耐震診断で危険とされて解体の判断が出た折にもお尋ねしましたが、その折はまだ結論がなく、検討中とのことでした。既に解体も終え、すっきりして見通しもよく、私どもの和歌山県の直轄工事負担金を加えて、30億のうち10億円が和歌山県のお金ですけども、立派な国土交通省の事務所も威容が見えます。
 この跡地利用の計画はございますか、お答えください。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 経済センタービルにつきましては、昨年10月に撤去工事が完了したところでありますが、その跡地利用につきましては、広く県民に開放することが望ましいと考え、昨年11月に隣接する汀公園との一体的利用について和歌山市に提案を行ったところです。
 市においても、公園としての利用については市民にとって有益であるとの考えで、両者の認識が一致したところであります。このため、市に無償貸し付けし、市が公園整備を実施した上で公園として一体管理することを前提に、現在、市と協議を行っているところです。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 市にお任せしてといいますか、市にお貸しして汀公園と一体的になさると。いいことやと思いますんで進めてください。
 それで、これから和歌山城が桜のシーズンを迎えまして、和歌山城が非常に市民の憩いの場としてにぎわいます。そのときに、市民でよう知っている人は県民文化会館やとか市の駐車場やとかダイワロイネットの駐車場に置きに行くんですけど、県外の人は知らんもんやから、ずうっと三年坂で並んでとまってるんです。非常にお気の毒に思いますんで、この汀公園としてお貸しするまでの間は、こういった花見シーズンに観光客がお困りですんで、市民に駐車場として自由使用できるような開放を考えてください。いかがでしょうか。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 現在、できるだけ早い時期に貸し付け契約を締結できるよう和歌山市と協議しておりますが、協議に時間を要する場合に、例えば桜まつりの期間においてイベント主催者である市から駐車場として一時使用の協議があれば、前向きに検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 幹部当局の皆さんの真摯な御答弁に感謝申し上げ、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時34分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 最初に、生活保護費の削減と県民生活への影響について伺います。
 政府は、生活保護費のうち生活費に当たる生活扶助を今後3年間で段階的に引き下げることを決めました。受給世帯の96%の世帯に影響が及び、最大10%削減される世帯もあります。中でも、子育て中の世帯に与える影響が一番大きいと言われています。
 生活保護法は、その第1条で「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い」としています。また第3条では、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」としています。この法律から見て、今回の保護費削減は妥当なものでしょうか。
 生活保護世帯の世帯主別の世帯類型状況という資料を見てみますと、生活保護増加の背景が浮かび上がってきます。
 1つは、高齢者への社会保障の貧困です。少ない年金だけでは暮らしていけないため、保護世帯のうち高齢者世帯が全国では約43%、和歌山県内では54%を占めます。あと、傷病者世帯、障害者世帯、母子世帯を合わせると、和歌山県では91%を占めます。
 働ける年代に該当するその他の世帯という分類が残り9%の部分ですが、その他の世帯は50歳以上が半数以上を占め、この部分が会社のリストラなどにより最近ふえています。どうしようもなくて保護を受けているというのが現状です。
 安倍内閣の言うように、仮に保護費が10%削減されても、その基準以下の年金生活で我慢をしている世帯が多く、現状でも生活保護を受けられるレベルの生活をしている世帯の約2割しか保護を受けていないというのが現状です。
 お手元に資料1をお配りしておりますが、これは日本弁護士連合会がつくったものです。参考に見ていただきたいと思いますが、この左の下側に日本の生活保護の捕捉率というデータが出ております。そういう現状を反映して、和歌山弁護士会も、ことし2月、会長声明を出し、引き下げに強く反対と表明しております。
 そこで、伺います。
 今回、政府はなぜこれまでにないような大幅な削減をするのか、その理由は何と言っているのか、福祉保健部長の御答弁をお願いいたします。
 第1問目を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 生活扶助基準の引き下げ理由につきましては、前回の見直しがあった平成20年以降、デフレで物価が下がっているにもかかわらず生活扶助基準額が据え置かれてきたことを踏まえ、平成20年以降の物価動向を勘案し、引き下げられるものと聞いております。
 また、国の諮問機関である生活保護基準部会で生活扶助基準の検証が行われ、夫婦や子供など人数の多い世帯になるほど生活保護世帯の基準額が一般低所得世帯の消費実態より多い傾向になっているとの報告が行われたことも要因となっております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、平成20年以降、物価が下がっているからだということであります。
 確かに、厚生労働省が出している資料でも、お配りしている資料1の、もう1枚めくっていただいて2枚目にありますが、今回の削減の主なものは、物価の下落、デフレ分とされています。この資料のピンク色に塗った部分がそうでございます。
 でも、実はこれにはからくりがあると言われています。平成20年から23年の物価を比べて4%以上下がっているから保護基準のほうも下げているんだというふうに言ってるんですけれども、平成20年というのは、実は原油高なんかで物価が飛び抜けて高い年だったんですね。それと23年を比べて物価が大幅下落しているからだというふうに言うているわけです。
 物価が原油高で上がって、その後、急降下した時点を捉えてこの引き下げをするというんですが、この間、それでは上げてもいないのに──保護基準は上げていないんです──それと同じ幅で保護基準のほうを下げるのは、私はこれは、政府は理屈に合わないというふうに思います。
 しかも、直近では、消費者物価指数を見てみますと、平成23年から24年にかけては横ばいになっているわけです。そして、その横ばいの中身が大事で、パソコンとかビデオとか、こういうものについては物価が大幅下落、反対に水光熱費は大幅に上昇、食料や交通・通信費も上がっています。ふだん余り何度も買わないような電化製品が、家電製品が大幅下落しているものの、生活に必要なものは逆に上がって、差し引きでここ1年は横ばいになっているということになっているんです。
 そして、現在はといえば、電気料金の大幅アップが計画されておりますし、既に灯油やガソリンの値上げです。
 安倍政権は、物価を上げると言っています。保護基準が、ことしもし下げられれば、その見直しというのは5年後になってしまうんです。この5年間、安倍首相の言うように物価が上がれば、その上がった分は丸々我慢しなければならなくなるというのが今回の保護基準の引き下げであり、私は到底認められないというふうに思います。
 そのことを指摘した上で、次の質問に移りたいと思います。
 次に、この削減が県民生活に与える影響について、部長の御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 受給者への影響でありますが、生活扶助基準額の引き下げは、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に保たれているかどうかの観点で行われるため、受給者への影響は少ないものと考えますが、今回、引き下げ幅が比較的大きいとされる多人数世帯などにつきましては、今後、ケースワーカーが家庭訪問した際に生活の実態把握を一層強化するよう各実施機関に指導してまいります。
 次に、生活扶助基準の見直しに伴う県や市町村施策への影響でありますが、国は、保育料の免除や就学援助など、関連する制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応していくとしており、県といたしましては、各制度への国の対応や影響について注視してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、答弁の中で、受給者への影響が少ないと考えられるという御答弁ですが、これには私、納得いきませんけれども、家庭訪問での実態をしっかり把握されるということを言われました。それはしっかりお願いしたいと思いますし、そして、何より生活保護基準というのは、地方税の非課税基準、それから国民健康保険の税金の減免基準や、もちろん就学援助、そして最低賃金などに連動してまいりますので、これはしっかり見張っていただきたいというふうに思います。
 それで最後に、知事に今回の削減についての見解を伺うとともに、国に対しては保護基準の削減の見直し、中止を求めていただきたいというふうに思いますが、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 生活保護制度は、国民の誰でもに最低生活を保障するものでありまして、いわば最後のセーフティーネットということだと思います。
 国の責任によって適正に基準を定め、より公平、公正な制度運営を図る観点から見直しが進められるべきものと考えております。
 今後、生活扶助基準の見直しに限らず、就労自立支援の強化や医療扶助の適正化などの見直しも検討されていると聞いておりまして、引き続き国の動向を注視してまいりたいと思います。
 一方、問題は給付水準だけではなくて、生活保護を受けている人を社会がどう包み込んでいくかということが大事だろうと思っております。職がなくて、仲間がなくて孤立しているということは好ましくありません。
 そこで、新政策では、社会福祉法人と連携した自立支援プログラム、すなわち生活保護受給者にボランティア活動の場を提供していこうじゃないかというようなことも工夫して、全体として生活保護を受けている方々のお世話をしていきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 何分、国の制度です。今、知事が言われたように、しっかりと県民の暮らしを守っていく中で、それでどうしてもこれは必要だというというふうなときには国に対してもはっきり物を言っていただいて、この制度がよりよい方向に向くよう要望をしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 それでは2問目に移ります。
 次に、新年度予算の中のラジオ通じるプランについて伺います。
 この予算説明では、災害時の重要な情報収集手段となるラジオについて、防災の視点から難視聴世帯の解消に向けた支援を実施するというふうになっております。私ども紀南の過疎地域を担当する者としては、大いに期待をしているところであります。
 ただ、心配いたしますのは、ラジオが聞こえない世帯というのは、山間地へ行きますと、町によっても違いますが、ほとんど聞こえないところもあるのではないか。道路のはたでは聞こえても、家の中では聞こえないという状態もございます。果たして新政策の外部アンテナへの補助ということでカバーし切れるのかどうか、心配をしております。
 そこでまず、主要なラジオ放送事業者であるNHKさんと和歌山放送について、事業者としては県内のどれくらいのエリアや世帯をカバーしていると把握をされているのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ラジオの受信状況でございますが、NHKにつきましては、県内全域を放送エリアとして全世帯をカバーしていると把握いたしております。
 一方、和歌山放送につきましては、送信所からの距離が遠く若干受信電波の弱い一部の内陸山間地域を除いた、県内ほぼ全域を放送エリアといたしておりまして、県内全世帯の約97%をカバーしていると把握いたしております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 電波の状況からいえば、今、御答弁あったようなことになると思うんですが、やはり私たち生活をしている者の実感とはちょっと違う気がします。
 次に、放送事業者は、これまで住居のある地域で実際に受信状況の現地調査をやったことはあるのかどうか、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 放送事業者は、随時、視聴者から聞こえにくいなどの難聴についての苦情や相談を受け付けておりますので、その際に必要に応じて受信状況の現地調査を行っていると聞いております。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきましたが、私たち聞こえない者がもっと声を上げなければいけないのじゃないかなというふうに思います。
 次に、新政策での補助対象地域について伺いたいと思います。
 新年度のこの事業では、まず県が窓口になって相談を受け付けて、そして現地調査を行います。その上で、外部アンテナ購入費を災害のおそれがある地域に限り補助するということになっておりますが、そこで具体的に災害のおそれがある地域とはどういう地域を想定されているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 災害のおそれがある地域といたしましては、NHK、和歌山放送の両方が聴取困難な地域のうち、津波、風水害等による甚大な被害が懸念される地域を想定いたしております。
 具体的には、土砂災害危険箇所、浸水想定地域、孤立予想地域などを対象に、市町村と協議しながら外部アンテナの購入費を補助してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 いずれにいたしましても、このラジオつながるプランの500万円の予算だけでは早急に改善ということは難しいと思うんです。
 そこで、次に、ケーブルテレビなどの回線を使ってラジオの音声を送信するラジオ放送の再送信というやり方があります。この方法の活用について伺います。
 テレビの地上デジタル化を機会にして、過疎地域を中心に、これまで共聴アンテナでテレビ放送を受信していた地域では、行政が公的に光ファイバーを敷設して、ケーブルテレビの事業者がテレビ放送を送信するようにしたところが多くなりました。
 そのケーブルテレビ事業者の多くは、一般のテレビ放送に加えて、衛星チャンネルなんかは別料金で提供したりしておりますが、ラジオの音声放送については、NHKや和歌山放送、そして地元のコミュニティーFM局などの放送を無料で再送信しているところもあります。テレビのケーブルにラジオの音声を流すわけです。
 では、それをどうやって聞くのかということですが、何も難しいことはなくて、テレビにつないでいるこのアンテナケーブル─テレビの裏に黒い線が通っておりますが─あのアンテナケーブルの近くにラジオを持っていってラジオのアンテナをぐっと伸ばしてテレビのアンテナケーブルに近づければ、FMの周波数で驚くほど明瞭にラジオ放送が聞こえるようになっています。それでももし聞きにくければ、このテレビのアンテナケーブルを分岐して分けて、1本をラジオ用にして、この芯の銅線をラジオのアンテナにくるくると巻きつければ、間違いなく本当にきれいに聞こえます。
 例えば、私の地元白浜町とすさみ町のケーブルテレビでは、NHKの第1と第2、和歌山放送に加えてNHK-FM、FMビーチステーションが、どんな山奥の地域に行こうとも、ケーブルテレビさえつながっていれば明瞭に聞くことができるわけです。
 このケーブルテレビによるラジオの再送信ですが、残念ながら全ての事業者がやっているわけではなくて、また地元のコミュニティーFM局を入れていないところなど、まちまちです。
 そこで、公的に敷設をされたケーブルテレビのうち、ラジオの再送信をやっている割合は市町村別に見ますとどれくらいあるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ケーブルテレビ事業を実施するために公的にケーブルを敷設した市町村は、田辺市、紀の川市、広川町、白浜町、すさみ町、有田川町の6市町となっております。
 このうち、ケーブルテレビによるラジオの再送信を実施しているのは、田辺市、広川町、白浜町、すさみ町の4市町となってございます。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、せっかくケーブルテレビがあるのにラジオ放送を送信していない市や町がありますし、細かくいえば、NHKのFMだけを送信して、ふだん私たちがよく聞くラジオ第1放送は送っていないところなど、まちまちです。大変もったいないと思います。実際やっているところでも、これでラジオが聞けることを知らない方が多いわけです。
 ケーブルテレビを公的に整備したところは、ほとんど全世帯が加入をしています。あとは、ラジオ放送をそのケーブルに乗せるだけでいいわけです。地域のコミュニティーFMも含めて、ぜひこのケーブルテレビによる再送信をもっと積極的に活用されるように事業者と話し合っていっていただきたいと思います。要望にしておきます。
 では次に、防災面での技術向上について伺います。
 乾電池で動くラジオは防災という点でもすぐれたものですが、仮にケーブルテレビが停電で見えなくなってもラジオ放送だけはケーブルを通じて流すことができるという技術や機材が既に開発されています。これを利用すれば、災害でケーブルそのものが切断をされない限り、ラジオ放送を聞くことができます。
 そこで、今、県内のケーブル事業者で、停電時でもラジオ放送を流せるシステムを持っている事業者はあるのかどうか。また、今後、防災上有効なこうしたシステムの導入を事業者に働きかけてはいかがかと思いますが、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 停電時でもラジオ放送を流せるようにするには、放送局から利用者の家屋内までにわたってバッテリーなどのバックアップ電源による停電対策が施されている必要があります。
 県内のケーブルテレビ事業者は、ZTV、J:COM、ケイ・オプティコムなどの6社がございますが、このうちZTVについては、家屋内までにわたり送信ケーブルにバッテリーを導入することにより停電時もラジオを聴取可能にしていると聞いております。
 一方、その他の事業者については、家屋内を除く送信ケーブルには停電対策が施されていると聞いておりますので、家屋内ケーブルモデム用のバックアップ電源を導入するなどの対策を行うように促していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、災害時のコミュニティーFM局の活用について伺います。
 県内では、昨年、和歌山県ラジオ局防災共同プロジェクトというラジオ局同士の協定書が結ばれたようですが、その内容は、NHK、南紀白浜コミュニティ放送、エフエム和歌山、FM TANABE、FMはしもとの5社が、自然災害発生時に県民の生命、暮らし、財産、安心・安全を守るため協力・連絡することとし、そのための番組やイベントを共同で制作・実施するというものであります。
 私は、災害時に地域限定のコミュニティーFM局が持つ力を実感したことがあります。それは、平成23年1月31日に田辺の市内で大雪が降った朝のことであります。その大雪は、田辺市の町なかを中心に集中的に降ったようですが、そのとき、市内の交通は大混乱し、お昼ごろまで車が動かないという事態が起こりました。そのとき、地元のFM局は、リスナーから寄せられる各地の雪や事故の状況のメールを生で放送し続けていました。それを聞いて、私も市内へ行くのは無理だと判断できましたし、社員が出勤してこない会社もその状況を把握できたというふうに思います。
 このように、コミュニティーFMの持つ双方向性は、災害時に非常に有力な手段となり得ると思います。ですから、行政側もこのような力を評価して、コミュニティーFMもラジオの再送信に位置づけたり、よりよい防災協定を結ぶ努力をするよう求めたいと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) コミュニティーFMの活用についてでございますが、議員御指摘のとおり、災害時におけるラジオの情報伝達手段としての有用性は高いと認識いたしております。
 そのため、ラジオ通じるプランにおいても、災害に備え、ラジオ放送事業者のカバー率を重層的に向上させることを目的の1つと位置づけて、コミュニティーFMを含む県内外のラジオ放送事業者、ケーブルテレビ事業者、防災行政無線を運用する市町村等の間における協定の締結や再送信の実施などを促すことにより、ラジオサービスエリアの補充と拡大を推進してまいりたいと考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。次に、ウメ輪紋ウイルスの侵入及びまん延の防止に関する条例案について伺います。
 プラムポックスウイルス、いわゆるウメ輪紋ウイルスは、バラ科サクラ属の植物、身近にいえば梅や桃、桜の木などですが、それらに広く感染するとともに、今回条例で対象としている幾つかの植物への感染が確認されています。
 世界的には、欧州、南米、北米、アジアで発生が確認されており、アーモンドやセイヨウスモモ、アンズ、桜桃、桃などに大きな被害を与えているようです。サクラ属の植物にとっては、いわば国際的な指名手配犯のようなウイルスだと言えます。
 国内では、平成21年4月に東京都青梅市で発見されて以来、昨年までにその周辺市町村や埼玉県、茨城県、滋賀県、大阪府、奈良県、兵庫県で発見されました。
 アブラムシが媒介するため、広がりの速さはそれほど速くないのですが、徐々に感染の範囲は広がっています。植物防疫法による緊急防除が実施されている東京都青梅市周辺と兵庫県伊丹市周辺では、法的な強制力をもって感染する可能性のある植物の持ち出しは禁止をされ、感染や疑いのある植物は切り倒したり焼却をされて廃棄をされています。
 幸い、和歌山県にはまだ侵入していませんが、その危険性について啓発をし、実際の感染を予防するという点で、今回、和歌山県独自に条例を制定し、広く県民に知ってもらい、その協力をお願いすることは大いに意義のあることだと私は思います。
 そこでまず、今回の県独自で条例化することの狙いと、あわせてこれまでの植物防疫法での規制との違い、これについて答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 植物防疫法に基づく本ウイルスの規制は、緊急防除区域の指定など発生区域に重点を置いておりまして、本県のような発生区域以外の地域については、警戒のための調査である予察や注意喚起が主な内容です。
 本県は、梅、桃、スモモの全国有数の生産地であり、本病が発生、蔓延した場合、農業に大きな影響が懸念されるため、独自にウメ輪紋ウイルスの侵入及び蔓延防止の対策に取り組むことが必要であります。
 このため、栽培関係者やJAなど農業関係団体の責務、感染が確認された地域からの感染のおそれがある植物の移動の制限、県による立入検査などを規定した条例を制定し、県内の梅、桃、スモモの生産の安全を図るものでございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 植物防疫法の法規制以外の地域でも、きちんと対処をしていこうというのが条例の狙いだというふうに受けとめました。
 そこで、次に、今回の条例がこの和歌山県で成立をすれば、県の定めた条例が、県外の苗木業者なども含めて、条例の力をもって規制をするということになるわけですが、これについてどのように周知をしていくのかについて御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 条例を広く一般県民の方々に知っていただくため、「県民の友」への掲載のほか、市町村、JAなどの広報誌に協力を要請いたします。
 また、植物の移動の制限については、ホームセンターなどの量販店、種苗店、園芸店や苗木取り扱い業者、苗木生産者等に対して、個別に訪問して周知を図ります。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 次に、条例の第8条になりますが、このウイルスに感染していると疑われるサクラ属等の植物を発見した者は遅滞なく知事に通報しなければならないとなっておりますが、実際はなかなか症状がわかりにくいということも伺っております。一体どのような症状が出たときにこの通報ということをすればよいのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ウメ輪紋ウイルスに感染した場合、葉では、部分的に緑色が薄くなり、斑紋やドーナツ状の模様、いわゆる輪紋ができる症状があらわれます。果実では、表面にややくぼんだ輪紋を生じたり成熟前の落下が見られます。
 なお、感染した果実を食べても健康に影響はございません。
 発病の初期では症状がはっきりしないので、少しでも異常に気がついたら県に御相談いただくようにお願いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、何せまだ県内の人は見たこともないような症状ですし、わかりにくいということですから、ぜひ周知のほう、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、この条例案とあわせて、新年度予算には、ウイルスの有無を調べるために、今後2年で4000区画、2万検体を検査する事業が盛り込まれておりますが、かなりの人員体制が必要になると思われます。職員の体制は十分なのでしょうか、御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ウメ輪紋ウイルスの検査については、果樹園において葉の症状を観察する目視調査と、サンプリングした葉のウイルス感染の有無を調べる簡易検定を行います。
 目視調査とウイルス検定については、一定の知識が必要であるため、県の農作物病害虫防除所、研究機関、振興局やJAなど関係機関で十分な体制を整え、4月下旬から8月まで、25年度、26年度の2カ年間、実施いたします。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきました。
 今後ですが、もし、こうした関係で人手が本当にたくさん要るような場合には、例えば農業関係の高校などを卒業した若い人たちを緊急雇用の事業で雇って、そうした体制を実施していってもいいのではないかとも思いますので、今後の検討としてよろしくお願いしたいというふうに思います。
 最後に、今後、ウイルスに感染した植物が見つかった場合の話であります。
 実は、ここが一番大事なのではないかと思うんですが、例えば東京都青梅市の場合、現在、感染した梅がどんどん切り捨てられているのですが、市内の梅の3分の1が処分されることになりました。あそこの場合も、梅の果実の生産だけではなくて、観梅による観光収入なども大きいわけです。
 その青梅市では、感染前に約1億円あった青梅の出荷額が、切り倒したために、ことしはほぼゼロになると言われています。もちろん、観梅はできません。
 先ほども答弁がありましたが、このウイルスに感染しても、なかなか病徴はわかりにくいし、実は梅という果樹だけを見れば、今のところこの病気によって大きな収量が減るなどの被害はないというふうに聞いております。むしろ、植物防疫法の命令によって木が切り倒されて出る被害のほうがよっぽど大きいんです。
 そんな状況の中で、この和歌山県内で病気が発生したときにきちんと農家の方から報告をしてもらおうと思ったら、木を切るようなことになっても十分な損失補償が出るように前もって準備しておく必要があります。
 青梅市では、現在、切り倒した梅の損失補償をどうするかということで農家との協議がされていると聞いておりますが、今回の条例によってウイルスが早期発見され、木が処分された場合、補償については現時点でどのように考えておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ウメ輪紋ウイルスの感染木が処分された場合には、植物防疫法第20条に基づき損失が補償されます。
 その補償額については、国が定める単価表により算定した評価額について評価人の意見を聞いて基準となる価格を決め、その上で処分される植物の所有者との交渉で決定されることとなっております。
 こうした不幸な事態とならないように、今議会にお願いしております県条例を活用して、ウメ輪紋ウイルスの未然防止、侵入防止に努めてまいる所存でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきました。
 実は、東京都青梅市のほうにいろいろ伺ったんですが、梅の補償額は明らかにしてくれません。でも、仄聞するところによると、1本5万円くらいかとも聞こえてきます。
 ただ、和歌山県の場合は、梅の生産性というのは私はもっと高いと思うんですが、今後、きちんと損失補償についての基準やそのスキームを準備しておくことが非常に重要だというふうに考えております。ぜひ、このことをよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、要望事項です。
 高速道路の白浜インターチェンジと白浜空港を結ぶ県道白浜空港フラワーライン線に関して、2点要望をさせていただきます。
 1つは、これは国の工事区間になりますが、白浜インターチェンジから国道42号までの取りつけ道路がつくられてきております。これは県道のフラワーライン線と直結される道路になるんですが、この工事区間で富田小学校の裏山に小倉山という山があります。この取りつけ道路を通すために、大きく山を削って掘り割りをつくって削り取ったために、この山が随分小さくなりました。
 実は、この小倉山というのは、地元の日神社に保存をされている県指定の有形民俗文化財「津波警告板」にも記載のある山で、1707年の宝永の大津波のとき、村人がこの山に登って助かったと記されています。その警告板の教訓によって、安政の大地震や昭和南海地震の際にも村人はこの小倉山に避難をして、人的被害は最小限にとどまったと言われています。
 地元の方は、高速道路やその取りつけ道路に反対しているわけじゃないんですが、津波警告板にも書かれているこの小倉山の様子が随分変わってしもた、国の工事で山自体が小さくなった上に、道路ののり面の急傾斜に階段はつけてくれたんですが、管理用の作業道であって年寄りは上れないと訴えられています。
 富田小学校もこの山を避難場所にしていて、学校のすぐ裏山になるんですが、避難路がなくて、一旦川沿いの道路を歩いてから先ほどの急階段を上らなくてはならないという事態になっています。
 現在、白浜町長や町議会にも住民要望が出されましたが、いまだにこの小倉山の避難場所の代替地について地元説明会が開かれていないことも住民の不安の一因になっています。
 白浜町のほうで3月の津波新想定が出てから避難場所について考えてくださるということになっておりますけれども、この津波警告板にも書かれている小倉山を大きく削るような道路をつくるなら、せめて工事のついでに利用しやすい避難路や避難場所を考えてくれてもよかったのではないかと思います。
 この部分は国の工事ですので答弁は求めませんけれども、今後、県とのいろいろな協議の場で高速道路と避難場所について検討を深めていただけるよう、要望しておきます。
 もう1つは、県道フラワーライン線が、予算や工期の関係もあり、一旦空港下の県道栄岩崎線に接続をする形で国体の2015年度から運用される予定です。
 地元の方が心配していますのは、これまでの田辺市内で起きていた白浜向きの渋滞が、今度は道幅も狭くて線形も悪いこの道で起きたらどうなるんだろうということであります。これは工事完了までにまだ時間がありますから、今からぜひ研究をしていただいて、ふたをあけたら大渋滞でどうしようもなくなったというようなことのないよう、お願いしたいと思います。
 以上は、要望です。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時47分散会

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