平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


平成25年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第72号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 34番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 今議会、トップバッターをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 昨年12月16日に施行されました衆議院議員総選挙は、我が自由民主党が政権への復帰をかけ、日本を取り戻す戦いでありましたが、国民の圧倒的な御支持をいただき、自由民主党単独でも絶対安定多数を大きく上回る294議席を獲得し、与党第一党へと返り咲きを果たすことができました。
 我が自由民主党和歌山県連も、擁立した3人の候補者を、県民の皆様の絶大な御支援のおかげで全員国政の場へ送ることができました。
 また、連立政権のパートナーでもあります公明党も31議席と躍進を果たし、自民・公明合わせて325議席となり、念願の政権奪還を果たすことができたわけであります。
 この結果は、空白の3年間と言われる民主党政権に対する国民の失望や怒りと、何とかして日本を立て直してほしいという自公連立政権に対する期待のあらわれと受けとめております。
 そして、年末には、安倍自民党総裁を総理大臣とする危機突破内閣が発足をいたしました。
 安倍総理は、総理就任の記者会見において、この政権に課せられた使命は、まず強い経済を取り戻すことと同時に経済の再生に全力で取り組むことを強調しています。
 経済の再生は待ったなしの課題であり、長引くデフレ状況のもとで苦しんでいる国民の願いであるだけに、経済の再生にかける総理の意気込みは並大抵のものでないことが、その後の政府の働きからも見てとれるわけであります。
 まず、政権発足後間もない1月8日に日本経済再生本部を立ち上げると、3日後の11日には緊急経済対策が取りまとめられ、この対策を受けて13兆円にも上る異例とも言える大規模な補正予算が編成されたのは、御承知のとおりであります。
 また、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて政府と日銀が協調して取り組むことを盛り込んだ異例の共同声明が出され、政府として経済の再生に本腰を入れて取り組む姿勢がアベノミクスとして国内外に示されました。
 さらに、月末には、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域の活性化に重点を置いた新年度の予算の政府案が取りまとめられ、補正予算と合わせた15カ月予算で日本経済の再生を図っていく方向性が示されました。
 このように、政権交代が実現してからわずか1カ月の間に矢継ぎ早に経済の再生に向けた対策が講じられ、民主党政権下での円高・株安も払拭されつつあります。
 安倍政権の発足から2カ月が経過いたしましたが、新政権の的確な現状認識と迅速かつ適切な対応によって我が国の経済が再生の道を力強く歩み始めていることは明らかであります。
 今後は、この流れをより確かなものにするために、成長戦略を早急に策定して、必要な施策を着実に実行し、一日も早く日本の再生をなし遂げていく必要があると考えているところであります。
 そこで、1つ目の質問をいたします。
 このように国が打ち出した経済対策を実のあるものにするには、地方が迅速に対応し、みずから積極的に取り組んでこそ十分な効果が発揮できるものと考えます。
 さらに、本県に目を向ければ、紀伊半島大水害から復興、東海・東南海・南海3連動地震や南海トラフ巨大地震への備え、長年の悲願である高速道路の南伸の問題、2年後には国体の開催など、取り組むべき課題が山積をしております。
 この経済対策を上手に活用して事業を進めることが極めて有効であり、絶好の機会でないかと考えますが、本県予算においてどのように対応されたのか、知事にお伺いをいたします。
 経済の問題についてはグローバルな視点で捉えなければならず、県だけでは解決が難しいことは十分承知をしておりますが、デフレ不況の克服や経済の再生がどうにかならないものかというのが県民の率直な気持ちであります。
 特に私の地元である田辺市は、主に商業が地域経済を支えておりますので、個人所得の伸び悩みによる個人消費の低迷が続き、年々地域の活力が低下しており、まさに安倍総理の言われる「デフレ社会からの脱却」「強い経済の再生」を何よりも必要としております。さらに、農林水産業の著しい落ち込みも拍車をかけています。このことは、行政報告会を初め紀南地方での行事にも精力的に出席をしておられます仁坂知事が一番よく御存じだと思うわけであります。
 また、紀南地域の経済の問題以外には、人口減少、過疎化の問題、観光や農林水産業や観光産業の振興等々、多くの課題が山積みされておるのであります。
 このような状況のもと、平成25年度の当初予算・新政策が取りまとめられ、数々の新政策が盛り込まれた当初予算案が今議会に上程をされています。
 そこで、国が日本の再生に向けて本気で取り組み、社会情勢も徐々に変わり始めた中で、本県の活性化を願う県民の期待も高まりつつある中で、知事は「元気な和歌山」の実現に向けて取り組まれた新年度の当初予算編成においてどのような政策に重点を置かれたのか、お尋ねをいたします。
 一方、厳しい県財政の現状を考えてみますと、健全な財政運営が確保できているのかという点も気になるところであります。
 昨年、持続可能な県政を目指し、新行財政改革推進プランが策定されましたが、今回の予算において財政の健全性はどのように確保されているのか。あわせて強い決意のある答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1の25年度当初予算・新政策、特に国の15カ月予算を受けた県の対応についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、本県においては、大規模災害への備えとか、あるいは道路等の公共インフラの整備とか、あるいはもう国体も2年後に迫ってまいりましたので、それに対する準備とか、課題が山積しております。
 今回の国の経済対策は財源的にも極めて有利でありますので、この機会を捉えて積極的に活用いたしまして、これらの事業の進捗を図ることといたしました。
 そこで、国の経済対策を最大限活用した2月補正と当初予算を切れ目のない13カ月予算に編成いたしまして、そうすることで前年度を合計で309億円上回る6057億円の積極的な予算としたところであります。
 特に公共投資につきましては、対前年度17.3%増の約1488億円を確保いたしまして、真に必要な道路整備や河川整備等を一気に前倒しして整備することで一層の進捗を図ることとしたところでございます。
 次に、新政策・予算においてどこに重点を置いたのかということについてでございます。
 平成25年度当初予算では、昨年と同様に、柱書きといたしましては、「大規模災害に備えた『安全』の政策」、「県民の命とくらしを守る『安心』の政策」、そして「成長に向けた『挑戦』の政策」の3つの柱に重点を置いて予算編成を行いました。
 まず、「安全」の政策では、地震、津波、風水害など大規模自然災害から県民の命を守ることを最重点に、東海・東南海・南海3連動地震と南海トラフ巨大地震の2つのケースに対応した津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムを策定し、ハード・ソフトの両面から対策を進めるほか、市町村においても積極的に対策を進めていただけるように、わかやま防災力パワーアップ補助金を大幅に増額したところであります。
 さらに、台風や集中豪雨への備えとして、和田川など47河川の浸水対策や国営総合農地防災事業などの風水害対策を強化するとともに、紀伊半島大水害からの復興対策についても全力で取り組んでいく所存であります。
 次に、2番目の「安心」の政策でございますが、がん検診の個別受診勧奨を支援する制度の創設など、がん対策を拡充するとともに、医科大学附属病院や地域の拠点病院の機能強化、日高看護専門学校設立支援など、医療体制の充実に取り組むほか、少子化対策としての若者の出会いの場の創出や障害のある方への支援など、県民が安心して日常生活を送れるようにするための取り組みに注力する所存であります。
 次に、3番目の「挑戦」の政策につきましては、議員御指摘のとおり、県民の富をふやすという視点が重要であると考えておりまして、県内企業が県外や海外に進出するための新たな支援策など、引き続き県内産業の競争力強化を図るとともに、農林水産業についても、実用化に向けた公募型の研究開発の推進や国内外への販路拡大の取り組みなど、生産者の所得向上につながる施策を強化いたしました。
 観光につきましては、25年の伊勢神宮式年遷宮から27年の紀の国わかやま国体にかけて重点的にキャンペーンを展開し、誘客促進を図るとともに、県外から来られた方が快適に過ごしていただけるように、国体までの2年間で観光施設等のトイレの改修に重点的に取り組むおもてなしトイレ大作戦を展開する予定でございます。
 このほか、将来を担う子供に対する教育の充実や道路ネットワークを初めとする公共インフラの整備、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会に向けた体制の強化などに果敢に取り組んでいくつもりでございます。
 3番目に、これでもって財政の健全化はどうだということでございますが、この取り組みにつきましては、このたびの国の経済対策を積極的に活用して公共事業を前倒しで実施することで、交付税措置のある補正予算債や、あるいは事業の実施額に応じて交付される元気交付金を最大限有効に活用することとしております。
 さらに、引き続き事務事業の見直しを実施するなど、一層一般財源の節減に努めた結果、新行財政改革推進プラン──これ、改定後の改定版でございますが──改定版の新行財政改革推進プランにおける収支不足額の目標額9億円を堅持するとともに、財調・県債管理基金残高も目標額より17億円改善することができました。
 平成25年度当初予算は、元気な和歌山の実現に向けた新政策の重点的な推進を図りながら、公共事業を中心とした積極予算と持続可能な財政構造の確立を達成したものに仕上がったと考えております。
○議長(山下直也君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 それでは、続きまして2問目に入らせていただきます。
 イノシシや鹿などが農作物などを食い荒らす鳥獣被害についてお伺いをしたいと思います。
 私は、昨年、親戚の法事に参列をいたしました。その後、一風変わった会話を耳にいたしました。兼業農家の会社員が、「この前、自宅裏の畑に芋を植えたが、間もなくしてミカンとともに猿か鹿にほとんど食われてしもた」というような話でありました。それを聞いた知り合いが、「今の時代、ここらで農作物を植えると大きな損をする。植えんほうがよい。植えるときには大きな柵をせなあかん」と諭すように話をしていました。
 この鳥獣被害、異常気象や山間部での開発整備などにより、イノシシや鹿などの餌場の減少から、新たな餌を求めて山合いから人家のある山里に、もちろん海岸近くまで出没をしております。
 本県でも、特産物でありますミカンや柿、梅、それに芋や野菜などを食い荒らす被害が続出しています。
 幸いなことに、県内では、ことしはシシによる被害が例年より少ないということでありますが、昨今の被害状況に大変厳しいものがあります。
 また、全国的には、これらの被害がここ10年近くにわたってふえ続けています。余りの被害の多さに、各都道府県では、イノシシや鹿などを捕獲できない、つまり狩猟が禁止される鳥獣保護区の削減に取り組んでいます。
 この削減面積は、過去6年間には30の道府県で合わせて7.2万ヘクタールに上っています。7.2万ヘクタールといいましても、ぴんとこない方が多いかと思いますけれども、これは琵琶湖や東京23区全体を上回る膨大な面積でもあります。
 本県でも、鳥獣による被害はイノシシや鹿、猿、アライグマやカラスなどが挙げられておりますが、その被害は農作物を初め森林の木の芽や樹皮に及んでおり、被害の割合は、農作物が9割、森林が1割となっているとのことであります。このうち、農作物への被害面積は、平成14年度の1955ヘクタールをピークに、平成19年度まで毎年1000ヘクタールを超え続けておりましたが、翌年度からほぼ減少傾向にあります。
 この一方で、被害金額を調べてみますと、平成16年度をピークに、その後、毎年3億円前後の被害が発生し続け、おととしの22年度は3億5000万円余り、昨年度は3億2800万円余りと、大きな被害が生じています。
 ここで話は少しそれますが、さきのミカン農家の知り合いは、シシが毎年のようにやってきて、甘いミカンだけを食い荒らすほか、追っ払おうと大声でどなっても逃げずに、人とシシのにらみ合いがしばらく続くとのことであります。この人いわく、「ここらのシシは年々人なれしてきて」と嘆いていました。さらに、この人は、「被害が出てもしょうがない」と諦めの境地であります。
 役所への被害の届け出は、近所の農家ともどもしていないとのことであります。この被害の届け出について行政の担当者に聞いてみますと、「被害の実態は届け出の件数よりも1~2割はふえるのではないか」と話しておりました。知り合いいわく、「届け出をする農家は、半分か、それを大きく上回るのでは」と指摘をしています。
 さきに鳥獣保護区の見直しが全国的に進められている点について触れましたが、本県でも、被害の発生に対応して、今年度から保護区の見直しが5カ年計画で本格的に行われています。これまで、県内の保護区は、ここ10年近くでは3万3000ヘクタールを超えていましたが、計画の見直しで10カ所で廃止または縮小されています。また、今年度は2地区が廃止され、1地区で縮小されています。この結果、指定箇所は100カ所を切り、96カ所となる見通しで、合わせて3173ヘクタールが減少されます。
 このように、県では被害への対応策を幾つか打ち出していますが、現状にはなかなか厳しいものがあります。
 例えば、ミカン農家が金網を張った柵を設けても、イノシシは悪知恵を働かせ、柵の下の地面を牙や前足で掘って穴をつくり、そこから侵入をしたり、簡単な木の柵では、体当たりをして柵を壊したりしてるとのことであります。
 この柵の設置、農家にとっては「苦肉の柵」でありますが、余り「よい策」にはなっていないようであります。
 また、シシなどは、ミカンや柿などを食べるだけではなく、野菜などの畑を走り回って農作物が収穫できないという被害も相次いでいます。
 このほか、鹿が川でアユが餌とする藻を食べ尽くしてアユ漁に大きな影響を与えたり、また山系では、鹿が山肌の下草を食べ尽くした結果、土砂の流出が発生し、山の荒廃や河川や海の漁場への影響、被害も報告をされています。
 さらに、市民生活への身近な影響といたしましては、JRの紀勢線を中心とする列車と鹿の衝突事故の多発であります。
 JRの話では、県内の衝突事故は昨年末の時点で384件にも上り、前年度の同じ時期に比べプラス36件とハイペースでふえ、年々深刻な問題となってきています。なぜなら、事故が発生すると、運転士が鹿などを線路外に移動させなければならず、最低20分から、ひどいときでは1時間近くも列車のダイヤが乱れ、通勤や通学客の足に大きな影響が出ています。
 JRでは、鹿が出没する夜間の時間帯に運転速度を落としたり、多発が予想される箇所の線路脇には柵を設けているほか、奥の手として、鹿が嫌がるライオンのふんや人の髪の毛を線路脇に置くなどして対応していますが、これも効果は一時的だとのことであります。
 さきのミカン農家の知り合いは、畑に柵を設けて効果が上がらなかったため、柵の針金に電流を流す電気柵を設置したところ、被害を軽減させる効果があったと話をしていました。しかしながら、これも設置費用がかなりかかるとのことであります。
 この柵の設置でありますが、県や国、市町村が電気柵やワイヤーメッシュ柵、金網柵などに設置の補助金を出して被害防止に取り組んでいます。
 そこで、補助金について調べてみました。近畿地方の中でも、本県と比較的人口面などで似ている奈良県と滋賀県を比べてみますと、平成23年度分の鳥獣予算は、本県での3億200万に対して、奈良県は4億3300万円、滋賀県は10億6200万円と多くなっています。
 その中身を見ますと、国庫の補助金予算額の差が大きく、本県の8900万円に対して、奈良県は3億8900万円、滋賀県は9億8300万円と大きな開きが生じているわけであります。
 引き続き、鳥獣の被害対策についてお伺いをいたします。
 私は、人間と野生動物との共存といった動物保護の観点も大切な1つであると思っています。しかしながら、野生動物が異常に繁殖をしたり、異常気象によって山のブナやコナラ、クヌギなどの実りが悪くなって餌不足が生じたりしますと、動物は山里や住宅地にもおりてきて農作物を食い荒らすという事態に至っております。
 悲しいかな、本県は少子高齢化が一段と進行し、山村地域の若者不足から有害鳥獣の駆除対策は進んでいません。逆に、高齢化を迎えた農家の人たちは、被害を減らすための捕獲対策として、わなを仕掛けての駆除に取り組んでいます。
 このわな猟、県内では免許を取得する人の件数が驚くほどに伸びています。猟友会のわな猟の会員は、平成10年度ではわずか77人だったものに対して年々うなぎ登りにふえておりまして、昨年度は約12倍の904名にも上っています。
 私の地元田辺市の農家の人は、「鉄砲を撃つハンターが年寄りばっかりになって、体力の要らない比較的に手軽なわな猟がふえるのは時の流れや」という話をしておりました。
 そこで、もう1つの大きな問題として、ハンターの減少と確保対策について伺います。
 散弾銃やライフルなどを扱う第一種狩猟免許を持つ県内のハンターの数は、平成9年には3288人と登録をされておりましたが、年々減り続け、昨年度は1724人と、ほぼ半減しています。
 あるお年寄りは、「昔はシシを求めて2山も3山も駆け回ったが、今では体力が落ちて1日3~4時間が精いっぱいや。うちのシシ撃ちのグループには、そんな人が多なったな」と話をしてくれました。
 そこで、銃による有害鳥獣の捕獲対策についてであります。
 本県では、イノシシや鹿、猿の捕獲補助として1頭1万円の補助金を出したり、ハンターの高齢化に伴う狩猟登録者の確保対策として、免許取得時の定額補助金4万7000円や義務づけられておる射撃訓練での費用の2分の1の補助金負担などに取り組まれております。しかし、ハンターの人口拡大には至っておりません。
 このほか、県内では射撃訓練用の射撃場は田辺市の1カ所のみとなり、ここも施設の老朽化が進み、さらに近年は周辺住民から騒音による苦情が寄せられ、運営には厳しいものがあるということであります。
 さらに、私は、次の点について提案を行うとともに答弁を求めたいと思います。
 被害の相次ぐ地域での保護区のさらなる見直しを推進するとともに、柵やわなの設置への補助の拡大について国に働きかけてはいかがでしょうか。それに、ハンターの確保対策として、狩猟に取り組むボランティア団体の育成などを促進する狩猟環境の整備、また捕獲に伴う補助金の増額など、ハンターの負担軽減にも取り組まれてはいかがでしょうか。環境生活部長並びに農林水産部長の答弁を求めます。
 続きまして、幾ら鳥獣による被害対策を講じても、捕獲した鹿やイノシシの食肉の販売や消費の拡大が図られていない点についてお伺いをしたいと思います。
 本県では、年間に捕獲されるシシや鹿は約2万頭に上っています。しかし、それらの肉は、地元のレストランや旅館などにジビエ肉として販売提供されていますが、これらの販売量は総捕獲量の1割にも満たず、また先日の新聞報道では、わずか3%だと紹介をされていました。
 ほとんどのイノシシは、猟師仲間らが自分らでさばいて消費しているほか、値段の安い鹿肉の多くは土の中に埋設処理されているのが現状であるとのことであります。
 さきにハンターの減少について触れましたが、猟をしても食肉が売れなければ狩猟人口がふえない点や、販路と消費拡大が促進されていない点が重なり、悪循環を起こしています。
 県では、ジビエ肉の消費拡大を図ろうと和歌山ジビエプロモーション事業を実施して、料理コンテストを開催したり、ハムやソーセージをつくり、よって消費拡大をPRしておりますが、消費拡大はごくわずかとなっています。
 そこで、私は幾つかの策について触れさせていただきたいと思います。
 紀南を初めとする県内の旅館やホテルで、シシ肉のボタン鍋を味わっていただける冬場限定の観光ボタン鍋キャンペーンを大がかりに展開したり、またハンバーガーの牛肉にかわってシシ肉を使ったボタンバーガーやボタンドッグ、さらにはかつて大ヒットしたボンカレーならぬボンにタを足したボタンカレーを御当地グルメとして全国に発信をしてはいかがでしょうか。
 このほか、和歌山ラーメンに使われている焼き豚チャーシューのかわりにボタン肉やシシ肉を使っていただくのも1つの方策であります。
 また、新しいハム・ソーセージづくりなどで、大手食品メーカーやコンビニチェーンとコラボをして新商品開発に取り組まれてはいかがでしょうか。
 そこで、農林水産部長にお聞きをいたします。
 シシなどの捕獲数に比べてジビエ肉の販売量が少ない理由と、ジビエ肉の販売・消費の拡大対策について御答弁をお願いいたします。
 続いて、3問目に移ります。いいですか。
○議長(山下直也君) ちょっとお待ちください。分割質問でありますので。
 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 鳥獣保護区の見直しについてでありますけれども、議員お話しのとおり、鳥獣による被害を軽減するため、平成24年度から5年間の計画におきまして、7カ所の鳥獣保護区を廃止し、3カ所を縮小することといたしております。
 今後、鳥獣保護区やその近辺で鳥獣による深刻な被害が発生した場合には、市町村等関係者の意見を聞きながら、さらなる鳥獣保護区の廃止や縮小を検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 鳥獣害対策については、県では、捕獲を重点に、防護、環境整備を3本柱として対策を実施しております。
 議員御指摘のとおり、農林水産省の予算が伸びない中で、平成24年度の当初においては全国から予算額の倍近い要望があったと聞いており、大変苦労して本県の要望額を満額獲得いたしました。
 県の鳥獣害対策予算については、依然として鳥獣被害が深刻な状況を受けて毎年大幅に増額しており、25年度においてもさらなる増額をお願いしているところでございます。
 また、県対策予算の財源についても検討し、国庫補助金の積極的な活用に努めて、24年度は前年度に比べて約2倍の国費を獲得いたしました。
 国の25年度当初予算案では、24年度と同額の95億円ですが、昨年末の政権交代により、さきに成立した補正予算において129億円の鳥獣被害防止緊急捕獲等対策交付金が計上され、侵入防止柵の機能向上と緊急捕獲活動に活用できることとなっており、市町村に補正予算の活用を呼びかけているところです。
 今後も、鳥獣被害に苦しむ方々の要望にお応えできるように、政府要望等の機会を捉え、引き続き必要な予算額の確保を国に働きかけてまいります。
 次に、狩猟を行うためには、猟銃は当然として、そのほかにも弾丸や猟犬の飼育費用など、多額の経費が必要です。このため、県では、狩猟者で組織される和歌山県猟友会に対して射撃練習補助などの支援を行っております。
 また、鳥獣被害防止特別措置法において、市町村が設置する鳥獣被害対策実施隊という制度があり、その隊員に対しては、狩猟税が半額となる減免措置や猟銃の所持許可の更新に際して技能講習が免除されるなどの特典がございますので、県では、有害鳥獣捕獲体制の強化のため、市町村に鳥獣被害対策実施隊の設置を積極的に働きかけているところです。
 全国的な傾向ですが、ハンター人口の減少と高齢化は、今後のことを考えれば深刻な課題の1つと受けとめております。
 県では、これまで新たに狩猟に取り組もうとする方に狩猟免許や銃所持許可の取得を支援してまいりましたが、25年度から、狩猟に対するイメージアップを図るため、ハンターを育成する研修会を開催する等、狩猟の魅力の発信に取り組む所存でございます。
 今後とも、こうした施策を推進するとともに、国に対しても全国的な課題としての取り組みを働きかけてまいります。
 次に、シシ肉や鹿肉の販路拡大についてですが、捕獲数に比べてジビエ肉の販売が少ない理由として、牛肉や豚肉と異なり、流通が整備されていない点が挙げられます。
 ジビエ肉を広く流通させるためには、肉の品質に応じた規格の明確化と、それに基づく適正な価格の設定などが重要であります。
 県では、ジビエ肉の円滑な流通を図るため、平成25年度の新政策において獣肉の格付基準を策定し、一定の品質をクリアした処理施設を認定するわかやまジビエ認証制度を創設する方針です。
 また、獣肉の消費拡大については、和歌山ジビエプロモーション事業により、シェフを対象とした東京及び大阪での商談会の開催、県内ではジビエウィークや料理コンテスト等に取り組んでいるところです。
 販路については、大手外食カレーチェーンでの鹿肉カレーの販売、冬の和歌山ジビエプランとして、県内ホテル、旅館等でのジビエ料理の提供、また新たな商品としてジビエを利用したレトルトカレー、コロッケやジャーキーなどが開発されております。
 今後とも、議員からの御提案を参考にしながら、販路拡大に向けた対策の強化に努めていく所存でございます。
○議長(山下直也君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 それでは、最後の質問の項目に移ります。
 太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーが注目を浴びる時代を迎えておる、そんな中で、私の地元田辺市本宮町では、温泉の熱を利用した温泉発電に向けての調査が先月2月6日からスタートをいたしました。
 この温泉発電、高熱の温泉を使用して、水よりも沸点の低いアンモニアの一種の液体を加熱して、その蒸気でタービンを回す仕組みで、経済産業省が全国の温泉地の中から静岡の熱川、富山の宇奈月温泉など6カ所を指定したものであります。
 本県では、近畿地方で唯一、湯の峰と川湯温泉が選ばれ、和歌山社会経済研究所が中心となり、国の補助を受けて調査を進めています。
 温泉発電は、従来の地熱発電に比べて開発コストが大幅に安くつくほか、温泉の枯渇問題も生じないなど、環境面の規制もほとんどないということであります。さらに、風力発電などに比べて安定して発電ができるというメリットが大きく、各方面から大きな注目を集めています。早ければ、調査開始から2年程度で稼働ができるとのことであります。
 関係者の話では、この発電の出力は小さいとのことでありますが、社会経済研究所などでは、今後、効果的な発電方法を取り入れて、稼働の実現に向けて取り組んでいるとのことであります。
 そこで、県といたしましても、今後、温泉地の知名度のアップや温泉発電の普及に向けてどのように取り組むのかについて、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
 これで第1問を終わります。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君)  温泉地の知名度アップや温泉発電の普及についてですが、議員御指摘のとおり、温泉発電は、従来型の地下深くボーリングを行い、取り出した蒸気でタービンを回す地熱発電とは異なり、既に湧出している温泉の熱エネルギーを利用するものであり、源泉への影響がなく、また風力や太陽光のように気象条件に左右されない有効な発電方法と考えております。
 現在、田辺市本宮地域において、和歌山社会経済研究所が中心となり、温泉発電の可能性を検討するため、熱源温度や湧出量などを調査中でございます。その結果を踏まえ、発電に必要な一定熱量の確保が見込まれれば、旅館業者などの関係者により、発電容量や初期投資費用などの費用対効果を勘案の上、事業化の検討がなされるものと考えております。
 県としましては、観光関係者の理解も得ながら旅館業者などによる温泉発電へのさまざまな取り組みを支援していくとともに、今後も国の予算を活用しながら、田辺市本宮地域や県内の他の温泉地において温泉資源の活用事業の勉強会を開催するなど、温泉発電の普及に向け、積極的に取り組んでまいります。
 さらに、温泉発電は地域資源を活用した先進的な取り組みであり、また環境にも優しいことから、このような取り組みを効果的にPRすることで温泉地の知名度アップに努めてまいります。
○議長(山下直也君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 知事初め関係部長から答弁をいただきましてありがとうございました。
 1つだけ要望をさしていただきたいと思います。
 デフレ不況のもとで、紀南地方では、農林水産業の低迷や観光産業の著しい落ち込みなど、経済面の明るい見通しにはほど遠いものがございます。
 これらの産業振興、また防災対策に、何をもちましても高速道路を含む道路整備が大きな生命線であります。この整備に向けては、行政、議会が一体となって取り組んでいかなくてはならないと思ってます。
 また、鳥獣被害対策では、とにかく高齢化社会を見据えた上での対策が必要であります。
 さらに、ジビエ肉の販売、消費の拡大については、ジビエ肉の流通公社のような大規模な機関の設置や大がかりな販路の拡大といたしまして、豚肉を食べないイスラム圏の国に対して、鹿やシシ肉を大量輸出する計画も1つの案として企画されてはいかがでしょうか。
 以上をもちまして、要望にかえさせていただきまして一般質問を終わります。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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