平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、国土強靱化法について伺います。
 民主党政権の3年間で国の信用は傷つき、景気が悪くなり、国民も不幸になりました。とりわけ、東日本大震災や紀伊半島大水害を経験し、コンクリートに代表される公共事業の重要性を再認識するとともに、少子高齢化や先進国病の現状を踏まえ、今こそ新たな国家建設ビジョンが求められております。
 私たち自民党では、このたびの総選挙において、「日本を取り戻す」をスローガンに、国土強靱化法の成立をかけて戦い抜きました。おかげさまで勝利することができましたので、来るべき国会には再度提出し、成立を目指していくことになりますが、国土強靱化法に対して知事の御所見と県の取り組みを伺います。
○議長(山下直也君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本年6月に第180回通常国会に提出されました国土強靱化基本法案につきましては、「戦後の国土政策・経済政策の総合的検証の結果に基づく多極分散型の国土の形成」「我が国の諸課題の解決、国土の保全、国土の均衡ある発展」「大規模災害発生時における我が国の政治・経済・社会活動の持続可能性の確保」、この3点を基本理念とするものでございます。
 国土強靱化に関する基本施策としては、東日本大震災の教訓を生かし、大規模災害発生に備えた緊急輸送や避難路、避難施設の整備、建築物の耐震化、救急医療体制の整備や地域間交流・連携に向けた全国的な高速交通網の整備などが盛り込まれておりまして、全国的にもまことに時宜を得たものであると考えておりますし、我が国にとっても大変意義のあるものであるいうふうに思います。
 すなわち、昨年9月の台風12号により甚大な被害を我が県は受けましたが、さらに南海トラフ巨大地震の発生が危惧されておりまして、大規模災害に備えた命の道となる高速道路等の幹線ネットワークの整備や避難施設の整備など、真に必要な公共事業がまだまだ残っていることから、私も本法律の早期成立に大いに期待しており、全国知事会などの機会にも大いに声を上げたいと考えております。
 今後、本法律が制定された暁には適切に対応いたしまして、元気な和歌山の実現に向け、この法律の趣旨を生かしたような強靱な県土づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に防災対策について、その1番目といたしまして、防潮堤としての国道42号バイパスの整備について伺います。
 大震災後、1年9カ月経過する今日、東北の被災地はいまだにほとんど住宅が再建されず、まちは見渡す限り更地のままです。現地で盛り土して再建するまち、周辺の高台へ移転するまち、いずれも複雑な権利関係を調整しながら事業を進めるのは大変な困難です。
 宮城県松島町のように、浸水はしても津波の衝撃や瓦れきでまちが破壊されなければ、復旧・復興は早く進むものです。国土強靱化法には、さらに一歩進んで、復旧・復興に係る莫大な予算を予防に回して災害を軽減する減災の考えが盛り込まれています。
 私の地元御坊市では、マグニチュード9.1の地震が起きたとき、最大16メーターの津波が襲うと言われています。人口が集中する旧御坊町や隣接する美浜町の一番標高の低いところには、1万人以上の人々が暮らし、昼間は周辺のまちから職場や学校、買い物に多くの人々が訪れます。
 そこで地震が起きたとき、わずか18分で、1万数1000人のうち、果たしてどれだけの人が逃げ切れるのか、私はいつも心配します。
 御坊市では、現在、効率的な避難のシミュレーションを研究中と聞きますが、いずれにしても避難路の整備や避難ビル・タワーなど、避難に加えて、まちを守る防潮堤や水門の建設、堤防の補強、かさ上げなど、ハード整備が必要と考えます。
 その1つの方法として、私は、仙台東部道路のように市街地の海側に国道42号バイパスを盛り土で建設して、津波からまちを守れないかと考えています。ところが、バイパスの建設には、一定量以上の交通量や大型車の流入、事故などの採択条件が必要とのことです。
 残念ながら、交通量は約1万台しかありません。しかし、BバイC、すなわち費用便益比が低くても、道路を建設することでまちを守り、1万人以上の生命、財産を守ることができれば、BバイCではあらわせない効果があるのではないでしょうか。
 先ほど述べたように、1年9カ月経過した現在、19兆円の予算が投じられても、ほとんどのまち、住宅は再建されていません。現行の狭い了見のBバイCのあり方を変更する必要があると考えます。
 私はバイパス建設を国土強靱化法で実現したいと思いますが、御所見を伺います。
 その2といたしまして、避難路のあり方について伺います。
 先ごろ御坊市では、県道御坊停車場線、通称18メーター道路の車線減少工事に伴い、沿線自治会で説明会を開催しました。市民からは、歩道拡幅は交通安全上有効だが、津波から自動車で避難するときは、歩道の縁石や街路樹、街路灯、道路標識、電柱などが障害物となるのではないかとの指摘があったと聞きます。実際に、東日本大震災では約6割の人が自動車で避難したと言われています。また、道路自体が液状化すれば、自動車はおろか、歩行者も避難できません。
 県では、来年4月から全国に先駆け、特定避難路の沿線建築物の耐震化を求める条例を施行します。私は、それに加えて道路そのものも耐震強化し、災害時に役立つ構造にしなければならないと考えますが、どのような御所見でしょうか。
 その3番目に、日高振興局の発電設備について伺います。
 日高総合庁舎は、平成22年度に災害時応急対策の指揮、情報伝達活動等の施設機能を確保するため、耐震等改修工事を実施し、あわせて庁舎内もリフォームし、省エネ化、バリアフリー化されました。
 しかし、電気設備については、津波や水害が心配される中、なぜか1階に設置されました。日高地方の防災拠点として、いざというときこれで間に合うのか、また、16メーターの津波が押し寄せてきたとき、庁舎そのものが生き残れるのか、検討する必要があると思います。また、危険となった場合、移転も含めて決断すべきと考えますが、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) まず、防潮堤としての国道42号バイパス整備についてでございますが、東日本大震災において、高速道路や国道が、緊急輸送道路としての機能はもとより、津波に対して避難場所や防潮堤としての機能を果たすなど、大規模災害時の防災対策として大変有効であることが認識されました。
 このため、国土交通省では、三陸沿岸道路の事業採択に、これまでのBバイCだけでなく、議員御指摘のように、多重性や耐災害性など、道路の持つ防災機能を評価する手法を導入し、実際に適用したところであります。
 県としては、こうした道路の機能も活用しつつ、高台移転や避難ビル、避難路などの地震・津波被害に対する総合的な防災対策を進めているところですが、御坊市につきましても、御提案の趣旨を踏まえ、市や関係機関とも協議し検討してまいります。
 次に、避難路のあり方についてでございますが、特定避難路は、津波浸水想定を踏まえ、市町村長から提案のあった避難路のうち、津波からの円滑な避難に対し支障とならないよう、避難路沿いの建築物等に制限をかける必要があると認めて知事が指定するものであります。
 避難に際して特定避難路が有効に機能を果たすことは重要なことと考えておりますが、大規模災害時には橋梁が損傷したり、液状化により道路上の噴砂やマンホールの浮き上がり等が発生し、通行に支障を来すおそれがあります。そのため、特定避難路に指定された県管理道路の橋梁耐震化を図るとともに、マンホールの浮き上がり対策を下水や水道などの管理者と協議してまいります。
 また、路盤等の道路の液状化対策につきましては、対策指針が確立されていないため、今後の対策のあり方について、国等の動向を踏まえ、検討してまいります。
○議長(山下直也君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 日高振興局の発電設備に係る防災対策についてお答えいたします。
 日高総合庁舎は、地震等災害時における応急活動の拠点、最前線としての中核を担う施設であります。このため、平成17年に策定されました津波浸水ハザードマップを踏まえ、平成21年から22年にかけて耐震化及び非常用電源設備の整備を行ったところです。
 しかしながら、先般、南海トラフで最大級の地震が起きた場合の津波被害想定が公表され、その内容は、議員御指摘のように従来の想定を大幅に上回るものでございました。
 内閣府のホームページ等で公表されている最大級の地震の場合の大まかな浸水予想図によりますと、日高総合庁舎は1メートルから2メートル浸水する予測となっておりますが、県が現在策定中の詳細な浸水予測の結果を待って、具体的な検討を行ってまいります。
 その中で、仮に庁舎が浸水による停電によって防災拠点としての機能が持続できなくなるような予測となった場合には、予備の非常用電源設備の屋上設置などを検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 答弁に関連をいたしまして、要望を申し上げたいと思います。
 歩道の縁石についてであります。
 県道から隣接地に進入する場合、歩道を通るわけでありますけども、この縁石等の間口が標準6メーターに制限されております。しかし、実際には、私の地元の御坊市の県道御坊美山線では、歩道拡幅時に何100メーターも設置されてないところがあります。しかし、これは歩道が広がったからだと思いますが、事故の報告を聞いたことがありません。
 同じ路線で、歩道のブロックを今度は取ろうと思って24条申請をしますと、要綱にひっかかってしまってなかなかブロックが取れない。片方、同じ路線で何100メーターもないところがあるのに、申請したら今度は取れないという、全く普通の県民から見たらよくわからない不平等な行政が行われています。
 これは国土交通省とも規格が違うというふうに聞いておりますので、ぜひこの際、見直しを要望しておきたいと思います。
 次の質問に移ります。大きな3番目といたしまして、消費税について伺います。
 農家の後継者不足が深刻と言われ、久しく時間がたちました。嫁も来ないと言われます。その原因を突き詰めて考えてみますと、実はもうからないところに突き当たります。
 私は今回の選挙でいろんな人に出会いましたが、TPPより消費税増税のほうが農家には大変だという声がありました。その人いわく、専業農家として生きていくためには最低1000万円以上の売り上げが必要だ、しかし、1000万円を超えると課税され、市場に出荷することで主な売り上げを上げる農家では消費税増税分を価格に転嫁することは困難で、とても税率10%ではやっていけないということでした。
 種苗や肥料、農業資材は大会社が多く、経費はウナギ登りで、農家にしわ寄せが来るのではないか。かつてのような大当たりがなく、確実に所得が減少している農家経営は、増税後も果たして可能か。現在、非課税枠は1000万円ですが、これを2000万円か、もとの3000万円にできないものか。
 消費税増税の影響と対策について伺います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 長引く景気低迷で消費者の低価格志向が続く中、市場での競りや大手量販店との取引において、農家はみずから価格を決定できないため、消費税率の引き上げ分を販売価格に上乗せしにくい状況にあります。一方で、肥料や農薬等の生産資材は購入価格に上乗せされるため、現状のままでは生産コストが上昇し、農家経営の圧迫につながる可能性が高いとの懸念を抱いております。
 議員御提言の消費税の非課税枠の拡大は農家のためには心強い限りと考えますが、国の仕組みに係ることでもあり、議員におかれては、提言の趣旨を制度に反映できるよう進めていただけることをよろしくお願い申し上げます。
 一方、県としましては、農家への影響を最小限に抑えるため、これまで重ねてきた努力を続け、さらなるコストの削減と販売力の強化に努めてまいります。
 コストの削減については、園内道や圃場の基盤整備による作業性の向上や安価な種苗の提供、省エネルギー技術の導入等を推進いたします。
 販売力の強化については、高品質化や国内外での販売促進プロジェクトを強化するとともに、農家が加工、販売を行う6次産業化や大手メーカーとのコラボレーションによる新商品開発等にも積極的に取り組んでまいります。
 これからも、県内農家の経営安定に向けて真摯に取り組む所存でございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私たちも県会議員でありますし、今回は政権党というふうになりましたので大いに政府並びに党のほうにも要望していきたいと思いますが、しかし県として、しかも農業の担当者として、農家を守るための心意気を──農業政策で頑張るんじゃなくて、消費税について意見を述べるということは私は大事だと思いますので、そのことについて考えがあるのかないのか。あるなら率直にお答えをいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 先ほどお答え申し上げましたように、御提言は農林水産部長としましても非常に心強い限りでございます。しかし、これは制度の枠組みに関する問題でございまして、農林水産部長としましては、制度自体よりも、むしろ扱う商品の性質、例えば生活の必需性というんですか、そういう商品の性質に応じてむしろ働きかけていくほうがより効果が高いのではないかと、かように考えております。(「余計なこと言わんほうがええぞ」と呼ぶ者あり)
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ということなので、これ以上は質問はやめますが、ぜひ農林水産部というのは、農家の立場に立って、別に、つくり方だけじゃなくて、税制も含めていろんなところの意見を申し述べていくべきだと思いますので、ぜひそういうことにもやっていただきたい。
 私、いつも思うんです。農林水産部、いろんな産業がある中で、県の中では1つ部を構えてやってるんです。だけど、農家の数というのは、新規就農もふえてますけども、どんどん減ってきてるんです。農家のための農林水産部が、いつの間にやら農林水産部のための農林水産部にならんように頑張ってください。
 以上申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 4番目に、准看護師の試験について伺います。
 関西広域連合では、11月7日、設立後初めての准看護師試験を平成26年2月ごろ、看護師試験と同一日に実施することを発表しました。
 私が同一日にすることを初めて聞いたのは、本年6月県議会中に谷洋一議員からで、尾崎要二議員からは、仁坂知事にも広域連合で反対するようお願いしたということでした。しかし、6月30日に開催された連合委員会では正式決定され、8月2日、日本医師会は、都道府県医師会長に都道府県行政と十分協議するよう要請しましたが、結局、今回の発表となりました。
 私は、8月6日の連合議会総務常任委員会で、議会に報告もなく密室で議論してきた決定方法や近畿府県の医師会の反対を押し切ってまで実施する理由をただしましたが、答弁は納得いかないものでした。
 今日も看護師不足が続き、医療の領域が拡大する中で、准看護師は医療の現場で立派に活躍しています。現在、准看護師試験の受験者の3分の1が看護学校卒業者と言われ、平成22年度では、大阪、滋賀、和歌山3府県で348人もいました。同一日の実施は、その人たちのチャンスを奪い、雇用を消滅させる准看つぶしとも言うべき暴挙で、なぜやるのか私には全く理解できません。
 そこで、私は、11月22日の広域連合議会で、今度は連合長に対し、構成府県の持っている権限を取り上げて、関係者の理解を得ることなく官僚が密室で決定するやり方は地方分権の受け皿を目指す広域連合の方向とも逆行するもので、なぜ強行するのかとただしました。
 連合長の答弁要旨は、以下のとおりです。
 1、試験日は、京都、兵庫が同一日に、滋賀、大阪、和歌山、徳島が別日に実施していたが、資格試験・免許の事務を広域連合が実施することになり、養成所等にアンケートを実施し、影響など意見を聞いた上で医師会にも構成府県から説明し、最終的に判断した。
 2、看護職確保の面から同一日は避けてほしいという意見は承知しているが、看護職確保対策は、新人看護職員の供給増だけではなく、離職防止や潜在看護師の再就職支援等も行うことで効果があり、構成府県でも取り組む。
 3、看護師課程の修了者については、看護の質の向上の観点から、修了課程の異なる准看護師試験を滑りどめに受験することは望ましくなく、教育課程に即した資格取得と業務従事により、住民に対してよりよい医療、看護が提供できる。
 4、決して権限を取り上げるものではなく、集約して一元的に実施するという広域連合の設立趣旨に沿った取り組みであり、ぜひ理解してほしい、というものでした。
 答弁に対し、設立時、私は県議会で広域連合を所管する特別委員長で、准看試験を広域連合で行うことは承知していたが、試験日が同じになって、これほど困った人が出てくることは知らなかった。知っていれば、外すべきだと主張した。医師会等に説明したと言うが、一方的に説明するだけでよいのか。合意を得られるような努力をすべきだ。看護師不足解消には、処遇改善や再就職支援をするべきと言うが、それでは実際に看護師は集まっていない。和歌山県では近く看護学校も新設する。看護学校を卒業した人が准看の試験を受けるのはおかしいと言うが、現に大阪、滋賀、和歌山3府県で毎年300人以上もいる。病院に就職の決まった人が看護師試験に落ちても、准看試験に合格すれば病院にそのまま就職できるが、受験できなくなれば直ちに失業者だ。今、どこの自治体でも雇用創出に全力を挙げている中、わざわざ制度をつくって、住民に喜んでもらわないといけないのに、そんな悲しい人をたくさんつくるやり方こそおかしい。連合議会や構成府県議会に事情の経過や説明もなく決定するのは民主的ではない。
 以上の理由で、大反対を表明しておきました。
 そこで、改めて副連合長でもある仁坂知事に、試験日の統一について御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中村議員が今おっしゃった件に関して、1つだけ異論がありますが。
 官僚が密室でと言われましたが、それは間違いでありまして、決めたのは私でございまして、官僚ではありません。(「元官僚」と呼ぶ者あり)元官僚でございますね。でも、今、和歌山県の代表でありますから、代表が堂々と議論をして決めたわけであります。
 この議論は、議員から御指摘がきちんとありましたんですが、准看護師試験を統合しようということになりました。それは、効率性の観点からということでございますけれども、数少ない統合の例であります。
 まさにおっしゃったように、実は准看護師試験と看護師試験が一緒のところと、違ってやってる2グループがあったわけです。その2グループが、それぞれ実は統合して、勝手に統合して、それで和歌山でいえば、実は1人でやるのはちょっと大変なもんですから、大阪や奈良なんかと一緒にやっておったと、こういうことでございます。
 そのときに、どっちで統一していくかということになったときに、実は和歌山県だけ取り残されてしまったのでございます。残りの大阪とか滋賀とか徳島とかは同じ日でよいということになって、それはそれぞれの理由があったんだろうと思いますけれども、そういう情勢になりました。
 もちろん、本県については、それぞれの意見は聞いておりました。ただ、私自身に激しく、例えば医師会の方が直接言われるということはなかったんですけど、医師会は反対──和歌山県ですよ──それから和歌山県の看護協会は賛成と。これは、看護協会としては、やっぱり看護師の資格というのは、准看護師と違うような形できちんと規定されるべきだというような考え方があったと思います。それから、病院協会は意見なしというぐらいの感じだったと思います。
 そこで、和歌山県だけ反対と言われても、これは全体をやっぱり動かしていかないといけないので、ちゃんと各県に運動してやってくださいよというふうに言いなさいと言って、私も大分言いました。実際は最後はやられたんですけど、しかし、ちょっとスピードが遅かったかなあということで、なかなか同調してくれるところがありませんでした。
 滋賀県が一度同調してくれそうになったのですが、実はしゅるしゅるっと元気がなくなってしまいまして、それで結局孤立無援になって、しようがないなあという状況でありました。
 谷議員から特に御指摘もありまして、5人ぐらいというお話でしたが、実際に我々も看護師不足ですから、准看護師の方でもやっぱり戦力になるんで、そういう方の道をふさぐのはよくないということで、私自身、大分議論をしました。しましたが、残念ながら先ほど言いましたような状況で、看護師のほうが賛成というところもあったのかもしれませんが、残念ながら1人だけ孤立をいたしました。
 その際に、これは全員一致の重要な話というわけにはいきませんので、ドクヘリと同じように、必ずしも和歌山県が参加しなくても結構なんです。どうしようかと本当に悩みましたが、和歌山県1人でやるというのは、従来だって1人でできなかったわけですから、物すごく大変でありまして、できません。しようがないから「参った」と言いました。
 谷議員にも申し上げ、それから広域連合委員会で行ったことは常に広域連合議会の和歌山県の方々に申し上げておりますので、そこで陳謝をして、許してくださいというふうなことを申し上げたわけであります。
 したがって、すべての責任は、和歌山県に関しては私にございますが、現実の問題として、もうしようがないというふうに私は今思っております。
 なお、5~6人の准看護師の方々に、これは谷議員にも申し上げましたけれども、学力に自信がないという方は、実は准看護師で1回受けてください、それで資格を取って、現実にそうしてるように、さらに働きながら勉強して看護師試験をお受けになるというようなことを選択できないわけじゃないので、それで何とかつないでいただけませんかというようなことを申し上げた次第であります。
 以上、状況説明と陳謝を申し上げたいと思います。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事から「陳謝をした」というふうに言われると、あえてその反論をしにくいんですが、申し上げますと、実被害という人が和歌山県では6名から8名ぐらいしかいないと、こういうことでございました。
 最初に、私たち、このことについて聞いたときにも、知事はそんなに言われてました。しかし、これ、よう考えてみますと、最終的に看護師試験に落ちて、それから准看試験しか受からなくて准看試験を行使する人が6人とか8人ぐらいだと思いますが、これは結果的に看護師試験に受かるから、受かったから実害がないように思いますが、受験生の気持ちとしたら、受かるか受からないかわからないんですよね。そんな人が300人以上、300何十人もいるわけで、この人たちは少しけたが違うなというふうに思ってます。
 知事が、最初にそのとらえ方を、合格した人が6名から8名というふうに言われたのは、これをずっと広域連合の事務をすることによって──準備を進めてきた事務当局、広域連合の事務官僚の人たちがずっとやってきた。私は、その設立時の行革委員会の特別委員会の委員長。私も全くそんな、統一でやるということは知ってたけども、広域連合で事務をやるということは知ってましたが、同じ日にやるということは知りませんでした。
 最近、県の説明を受けたら、紙に書いてました。でも、紙に書いてただけで、恐らく、どうでしょうか、議員の皆さんの中で、同じ日になって、そんな試験を受けられない人が何100人も出てくるということを知ってた人はおられるんでしょうか。私はもう、勉強不足かどうか、知りませんでした。
 そんなことを、知事はその当時、御存じだったんでしょうか。その当時から知ってたのか。(「知ってた」と呼ぶ者あり)でも、委員会で知事もいろいろ説明をしてくれましたが、こんな不都合なことはおっしゃいませんでしたし、部局長からもありませんでしたので、これは我々の勉強不足と見るのか、そちらの説明不足と見るのか、これは意見の分かれるところだと思いますが、私の感覚からすれば、今こんなに雇用が大変で、雇用創出をするために基金までつくってやってる、企業誘致も一生懸命やってるわけで、もう直ちに失業者をつくっていくようなこういう制度だと思うんです。
 少数意見、もし嫌だったらやらなくてもいいよというのは、広域連合のいいところだったと思います。今のところ、国の事務が戻ってくる、もらえるチャンスは少ないと思いますけども、だけども、防災だとか産業振興で広域連合がやるべき仕事はたくさんあるというふうに私は思うんです。
 今回のこの試験日を統一してやるというのは、とにかく事務をつくるために、広域連合の仕事をつくるために、まあ少しぐらい損害があっても仕方がないんじゃないかという、その事務をつくることが優先されたんじゃないかというふうに私は見てるんです。
 本来、広域連合ができて、私らも県政報告会等で行って、広域連合というのができてよくなるんだ、みんなそんなに言ってきたと思いますけども、実はこんな悲しい人も出るんだと、私はもう全く言いたくないというふうに思っております。
 しかも、今回の決定について、知事は連合委員会で賛成、反対を表明することができたかもわかりませんが、私らは設立時の規約の中、全くよくわからないようなもんで、品物だけ出されて、中身が全くわからんうちに賛成して、それでわかってきたときにはもう賛成、反対と文句言うだけしかできない。これは、広域連合のこれからのあり方として本当にいいものかどうか。和歌山で決められてたやつが、東京から権限もらうんじゃなくて、大阪で今度は決めてもらわなあかんというような広域事務というのが本当に民主的でいい制度なのかどうか。このことを通じて、私は改めてそういう印象を持ちました。
 知事から説明もいただきましたけども、私は、いまだにもってこの件については反対であるということを表明しておきたいと思います。
 知事、答弁があるならどうぞ。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3つございまして、まず事務をつくるという点については、それは間違いだろうと思います。なぜならば、広域連合でやるといっても、今までも実は共同でやってたんです。ですから、その共同でやってるやつを、みんなまとめてぽんとやろうということで、少し費用も少なくなるし、手間も少なくなるからいいかというだけの話なんで、別に広域連合の官僚をふやそうと思っているわけではないんです。まず、それが1つ。
 それから2つ目は、これは正しくないことであれば絶対に反対いたします。しかし、趣旨からいえば、看護師と准看護師は違います。建前の話をすれば、准看護師に滑りどめをしたいので、したがって看護師試験と准看護師試験の日を分けろというのは、あんまり理屈的には通らない話なんです。したがって、他の県はそれでいいということにしてしまったということなんですね。
 和歌山県は、ちょっと実態がありますから、したがって、趣旨は趣旨だけども、何とかしてくれないかということで、いろいろ運動したんですが、残念ながら力が及ばなかったということであります。したがって、間違ったことをやったとは思っておりません。
 それから、さらに広域連合のシステムに関していうと、まさに中村議員がおっしゃったような引きずられるところがあって、議会は多数決ですから、議会のところでチェックするというのはなかなか難しいので、したがって広域連合委員会という法律上組織にないものをわざわざつくって、そこでチェックしようと考えたのが私でありました。
 しかし、それはやっぱり何でもかんでも全部とめるということは本来できませんので、したがって今のような、趣旨からいえば反対はしにくいけれども、実態上何とかしてくれないかというようなことみたいなやつは、ちょっととめられなかった。とめようとしてとめられなかったので、中村議員に、及び医師会に、ごめんなさいということを言うとると、こういうことでございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 まあ、次に移ります。
 5番目に、訪問理美容について伺いたいと思います。
 県政報告で各地にお伺いすると、お年寄りのひとり暮らし、空き家、更地の多さに驚きます。しかも、年々恐ろしい勢いで増加しています。まさに超高齢社会です。最近、自公、民主両政権時代を合わせて、本県では特養が768床増床いたしましたが、これではとても消費増税だけでは追いつかない状況です。
 さて、自民党県議団では、県理容組合から在宅高齢者の理美容が大変になっているとの声を聞き、本年6月、在宅高齢者の理美容サービス利用の実態を把握し、訪問理美容の利用ニーズを探ることを目的に、田辺市在住の要介護認定で要支援または要介護認定を受けている65歳以上の方にアンケートを実施し、答えのあった109件の調査結果をまとめました。
 アンケート結果につきましては、資料配付をしておりますが、その概要は次のとおりです。
 外出時には、「1人で外出できない」が50%で、また外出の頻度が少ないも4割近くあり、介護を受ける高齢者は余り外出していない生活実態がうかがえます。しかしながら、服装やヘアスタイルの関心は高く、おしゃれへの関心を持っている人は半数を超えています。
 そこで、調髪ということの方法について聞きますと、「自分で行く」が16.7%に対し、「連れていってもらう」が31.5%、「家族にしてもらう」が17.6%と、約半数が家族等の負担になっています。一方、「訪問理・美容を利用している」と答えた人は14.8%でした。
 調髪の頻度については、「2ヶ月に1回」が40.4%、次いで「3~4ヶ月に1回」が29.4%と、高い割合になっています。
 また、「訪問理・美容を利用した場合の1回当たり料金」は、「3000円~4000円未満」が最も高く35.5%、「2000円~3000円未満」が29.4%、「1000円~2000円未満」が17.6%と続いています。この料金を高いと感じている割合は18.8%となっており、料金に不満を感じている人は少ないようです。
 しかし、「利用しようと思う訪問理・美容の料金」は、「1000円~2000円未満」が最も割合が高く31.9%を占めており、次いで「2000円~3000円未満」が20.8%、「3000円~4000円未満」が15.3%の順になっています。もっと安く利用したいという意向があるようです。
 その一方で、「訪問理・美容の満足度」は、「十分満足」と「まあ満足」を合わせると70%を超えており、高い満足度がうかがえます。その理由として、「移動に伴う体の負担がない」が75%、「待ち時間がない」が50%と、身体的負担の軽減が大きな理由となっています。また、理美容所に「連れていってもらう気持ちの負担が減少」というのが18.8%あり、支援者に対して気兼ねする心情があることがうかがわれます。
 訪問理美容の認知について、「知らない」が55.3%と半数を超えています。また、「訪問理・美容を知った理由は、「理・美容師に直接頼んだ」が53.3%、「ケアマネージャー・訪問ヘルパーに訊いた」が33.3%、「知り合いに相談した」13.3%と個人的な情報の入手方法に限定されており、訪問理美容を周知する必要性も明らかになりました。
 以上のことから、今後、訪問理美容は、周知されれば、調髪時に、身体状況や移動手段などの物理的理由から、家族等への遠慮など心理的理由から不便を感じていた人たちの新たな利用が見込まれるとの結論を得ました。
 現在、訪問理美容は、和歌山、海南、新宮、紀の川、岩出各市で実施されていますが、理美容両組合では県内全域で普及を目指しています。
 福祉は在宅でと言われながら、実際の予算は施設に厚く、在宅には薄いのが現状です。田辺市などでは、在宅の介護を行う家族に御苦労さん代を支出していると聞きます。私も、もっと在宅に日を当てるべきだと考えます。
 そこで、知事に伺います。在宅の高齢者の尊厳とも言うべき生活環境を守るため、県も訪問理美容について支援できないものか、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本件は、平成17年度から国庫補助金が廃止されまして、市町村事業として税源移譲と地方交付税による財源保障がされてるんですけれども、この地方交付税というのは標準的な行政需要にカウントされてるとというだけであって、地方交付税の本質からいえば、必ずそうしなきゃいけないというわけではありません。
 事業実施の可否は市町村の裁量にゆだねられておりまして、こういうことは市町村のそれぞれがそれぞれ考えたらいいんだと、これが地方分権だと、こういう考え方であります。それで、現実にやっておるところは、御指摘のように5市だけであります。
 市町村にそれぞれ何でやらないんですかということを私も聞かせたわけですが、そういたしますと、近隣の理容・美容店による自宅訪問とか、あるいは送迎サービスを利用している在宅高齢者が多くて、市町村による訪問理美容事業実施に対する要望が少ないことが最大の理由だというふうに言うとりますというふうに職員からは報告を受けております。
 しかしながら、私は、これはいい話だというふうに思いますので、高齢化が進み、理美容で困る高齢者の方がふえると予想する中、もう少し自分たちで──自分たちというのは県の我々ということですが──訪問理美容について需要調査を自分たちでやった上で高齢者の実情に応じたサービスを提供できるように市町村にも働きかけたいと思いますし、また、そのための措置も何がしか考えていきたいと思っております。(「お願いします。もう以上で結構です」と呼ぶ者あり)
○議長(山下直也君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第148号から議案第176号まで、並びに知事専決処分報告報第3号は所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月20日及び21日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、12月20日及び21日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時33分散会

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