平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、3つの項目について質問いたします。
 第1項目と第2項目は分割方式で、第3項目めは一問一答方式でお願いいたします。
 最初に、救急医療体制についてお尋ねいたします。
 現在、救急医療体制は、救急病院、救急診療所の告示制度に加え、基本的には初期、2次、3次救急医療機関の機能分担になっています。
 私は、今回、和歌山圏域を初め、田辺、新宮圏域内の5カ所の医療機関を訪問させていただきました。それぞれの病院は救急告示病院となっており、そのうち24時間体制で脳卒中や心筋梗塞、頭部損傷などの重篤救急患者を受け入れ、高度の診療を提供する3次救急まで担っている医療機関は3カ所です。休日や夜間における入院治療を要する重症救急患者など2次救急を受け入れている医療機関は1カ所です。
 平成23年の県内の救急搬送人員は4万6163人で、平均すると毎日126.5人が搬送されていることになります。この数は、前年より増加しております。
 救急医療は、それぞれの医療現場の医師や看護師などのスタッフの奮闘に支えられ、県民の安心・安全に直結していることが、さらに訪問させていただいてよくわかりました。同時に、医師不足、看護師不足の実態を痛感したところです。労働組合の団体からは、依然として医師の労働は1カ月の超過勤務が100時間オーバーになっていることもあると聞いています。
 県としても、医師不足が全国的に問題となる中、これまでさまざまな施策が講じられてきましたが、現在、医師不足の実態をどのように認識し、今後の確保の見通しをどのように考えているのか、福祉保健部長にお聞きいたします。
 また、看護師不足についても依然として深刻です。ある医療機関では、救命センターを持ちながら、後方ベッドとしての一般病棟では7対1の看護体制がとれず、10対1の看護体制のままになっています。看護師確保に四苦八苦しています。それでも、看護体制が厳しい中でも実習病院として後輩の育成に努力され、一層過重労働となっている現状も感じました。
 決して、ゆとりがある中で学生自身も学べる環境ではありません。したがって、実習病院に新卒生が入職する数も年度によってはごくわずかのときもあり、看護師確保の困難さをうかがうことができました。
 そこで、新卒生の県内定着率はいかがでしょうか。また、子供が小学校に入学する時期に看護師が離職するケースもあり、看護師の皆さんから学童保育を充実させてほしいと強い希望が出ています。放課後児童クラブの拡充など、安心して働ける環境整備などを強化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、初期救急の現状と次期保健医療計画における救急医療体制についてお尋ねします。
 各病院の救急受け入れ患者の実態をお聞きしますと、2次、3次機能を持つ医療機関でありながら、相当な数の初期救急患者の受け入れも行っています。そのために、1医療機関で昨年の救急患者3万3333名、1日平均90名余りの受け入れを行っているところもありました。
 現保健医療計画においては、初期、2次、3次の機能分担と連携を進めていくことになっていますが、次期保健医療計画において、今後どのように考えられているのでしょうか。初期救急の現状と次期保健医療計画における救急医療体制についてお尋ねいたします。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、医師不足の実態の解消の見通しについてですが、救急医療を初め本県の医療提供体制につきましては、議員御指摘のとおり、多くの医師や看護師などの献身的な御努力により支えていただいております。
 県では、医師不足解消の抜本的対策として、和歌山県立医科大学の入学定員を従来の60名から100名へと大幅に増員するとともに、近畿大学医学部にも和歌山県枠を設置いたしました。また、ドクターバンク制度や産科などの不足診療科の医師を確保するための修学資金のほか、救急医療などを担う勤務医の処遇改選など、さまざまな対策を講じてまいりました。
 昨年4月には、入学定員の増員に伴う若手医師が、将来、県内各地で活躍できる環境を整備するため、和歌山県立医科大学内に地域医療支援センターを設置したところであり、定員の増員効果があらわれる平成26年以降には、着実に医師の充足が進んでいくものと考えてございます。
 次に、看護師不足の現状と強化すべき取り組みについてですが、看護師等学校養成所の卒業生の県内定着率につきましては、看護師3年課程において約8割であり、全国平均程度を維持しています。また、看護職員が働き続けられる環境の整備につきましては、病院内保育所の設置や運営の支援に取り組んでいるところです。あわせて、看護職員に限ったことではございませんが、学校の余裕教室等で実施されている放課後児童クラブについても、設置箇所数の増加を図り、子育て環境の整備に努めているところでございます。
 さらに、より安全で質の高い看護が求められている中、新たな看護基準の導入により、今後、ますます看護職員の需要の増加が見込まれることから、現在、養成所のない日高地方においては看護専門学校の新設を支援するなど、県内の看護職員の確保に積極的に努めているところです。
 今後とも、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を4本柱に、量と質の両面にわたる看護職員の確保対策に取り組んでまいります。
 3点目、初期救急の現状と次期保健医療計画における救急医療体制についてですが、初期救急医療体制の現状につきましては、比較的症状の軽い患者が休日、夜間に地域の病院に集中し、病院勤務医に過剰な負担をかけている傾向があります。
 このため、比較的症状の軽い方には、まずは地域の開業医で受診いただくため、救急医療情報センターにおける医療機関の紹介や子ども救急相談ダイヤル・#8000を通じた適切な診療の働きかけにより、救急医療体制の堅持に向けて取り組んでいるところです。
 次期保健医療計画においても、救急患者の症状に応じて、医療機関が役割分担及び連携して救急医療を提供できる体制づくりを引き続き推進するとともに、県民の皆様にも救急医療を正しく利用してもらうよう啓発することとしております。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 何点か要望をしておきたいと思います。
 医師不足の解消ということで先ほどもおっしゃってくださって、地域医療支援センターを設置し、平成26年にはやっと着実に医師の充足が進んでいくものと考えられてるということで答弁をいただいて、県民としても非常に安心する方向性が、着実に出てくるのかなと思ってるんですが、県下の中で、もともと和歌山県は北部のほうに医師が非常に集中しているという、この偏在の問題がありました。
 その点で、それはなかなか強制とかそういうことではならない課題だと思いますが、やはりその偏在を解消していくというあたりで、これから御苦労や、また、いろんな取り組みの中で、学生さん自身が卒業し、地域の医療を担っていきたいと、そういった思いになっていくような環境づくりというのが非常に大事じゃないかなと私は思うんです。
 地域の医療センターということがありますが、やはり地域医療というのは住民の皆さんが一緒になって医師を育てて、一緒に育ち合っていくという、そういう関係づくりとか、また、お医者さんの専門性が十分学べるようなシステムになっていくかというあたりの、やはり十分そういった当事者の先生方の要望もしっかり踏まえた上で、今後、定着や偏在の問題に取り組んでいただきたい。卒業してきたから、そこからじゃなくて、今からでもやっぱりそういった取り組みをぜひやっていってほしいなと思っています。
 看護師の問題では、新卒生が約8割卒業ということでは非常に安心したんですけど。県内へ行かれてる人がかなり多いとか、そういうことでなくて。しかし、新卒生が卒業しながら、現場に行かしてもらったら、介護保険施設での看護師さんの働きとか、いろんなところへ広がってることもあるんだと思うんですが、なかなか追いついていかないという現状も感じました。
 そういった中で、離職防止ということも言われましたが、その中で特にこの離職防止は、保健医療計画の中にも、院内保育のことは書かれてるんですけど、今離職されている中での悩みというのは、小学校就学前、低学年の子供を育てている看護師さんたちが、どうしてもやっぱりパートになったりとか職場を離れなくちゃいけないとか、そういうようなことをお聞きしました。
 女性医師も今非常にふえてきている中で女性の先生方も働き続けるためにも、この学童──今は、ごめんなさい、「学童保育」でなくって「放課後児童クラブ」と表現するということですが──そこをしっかりと、これ、子ども未来課さんとかが担当課になるんですが、あわせて女性が働き続けられる環境づくりというのをやっぱり急ぐとか、強力に進めていただきたい課題ではないかなあと思っています。
 4本柱のそれぞれにということだけでなくて、やはり今の実態を見て、一番、今ここを強化したらいいなというあたりも含めて、十分実態をつかんだ対策をぜひ講じていただきたいなということを要望して、次に入らせていただきます。
 2つ目は、介護保険制度についてお尋ねします。
 最初に、2012年の介護保険法改定と介護報酬改定の影響についてお尋ねいたします。
 まず、介護保険料の大幅値上げについてお聞きします。
 今回の制度の見直しで、和歌山市の場合、65歳以上の方の介護保険料基準額は年間6万9750円になります。第1段階──世帯全員が市民税非課税で老齢福祉年金を受けている人のことですが──でも年間3万4870円、和歌山市の場合、納めなければなりません。前々回の改定から6310円も引き上げられています。多くの方から悲鳴の声が上がっていますが、どのように受けとめていらっしゃいますか。
 次に、今回の改定で、特に生活援助の見直しがされました。これまでの30分以上60分未満、60分以上という時間区分が、20分、45分の時間軸を基本に、20分以上45分未満と、45分以上に再編され、介護報酬が2割近くも引き下げられています。利用者や事業所の方々など、介護現場で困っていることがないでしょうか。時間短縮によって、利用者の皆さんにとって深刻な生活後退が生じているのではないでしょうか。
 また、介護職員の処遇改善交付金が介護報酬に組み込まれ、処遇改善加算が新設されましたが、介護職員の皆さんの処遇改善につながっているでしょうか。
 次に、介護職員が行う医療行為の法制化についてお尋ねします。
 昨年、社会福祉士及び介護福祉士法改正によって、たんの吸引、経管栄養が介護職の業務として法律上容認されました。しかし、具体的な取り組みは都道府県にすべて丸投げされています。県としてどのように受けとめていますか。
 以上、福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 奥村議員、分割方式で、もう1つ残ってませんか。よろしいんですか。
○奥村規子君 もう今質問しました。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、介護保険法改正、介護報酬改定の影響についてですが、今回の改定では、高齢化に伴う介護保険給付費等が増加したため、高齢者の介護保険料基準額の県平均が月額5501円となり、前期に比べて18.9%増加いたしました。
 県としては、本年6月の政府提案で、介護保険料の軽減のため、国の負担割合の引き上げを提案したところであり、今後も関係者の意見をお聞きしながら、制度改正を行う国の動きに注視して必要な提案、要望を行ってまいります。
 また、生活援助の見直しについては、利用者から、訪問介護の時間区分変更により、事業者から生活援助サービスの提供時間を60分から45分に変更してほしいと言われ、サービスの提供時間の短縮で日常生活に影響が生じるといったお話もお聞きしています。このため、事業者に対して、一律に提供時間を短縮するのではなく、利用者のニーズを再度見直した上で必要な量のサービスを提供するよう指導しているところです。
 次に、介護職員の処遇改善については、今年度から介護報酬において介護職員処遇改善加算が創設され、昨年まで実施していた処遇改善交付金と同程度の1万5000円の賃金引き上げ効果が見込まれています。そのため、できるだけ多くの事業所等において活用されるよう、積極的に呼びかけているところです。
 次に、介護職員が行う医療行為の法制化についてですが、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、今年度から一定の研修を受けた介護職員は、安全体制が確保された施設などにおいて、たん吸引など、定められた範囲内の医療行為ができるようになったところです。
 そのため、県では、昨年度から講義、演習及び実地研修で構成するたん吸引等の研修を実施しています。また、施設等に対しては、医師、看護師等による連携など、利用者及び介護職員の双方に安心なケアを提供できる体制を確保するよう指導しているところであり、今後もより一層、安全な介護サービスの実施に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 介護保険料について、これはまあ国の制度ということになるので、県としてしっかりと国に向けて言っていただきたいなという気持ちで再度要望をしたいと思います。
 介護保険料が負担能力を超える高さになっていることについては、これまでも訴えてまいりました。もうこれ以上上がったらとても生活ができないということ、この介護保険料だけでなくて、後期高齢者医療制度の保険料、いろんな負担感が非常に大きくなっていると思うんです。
 何より必要なのは国の負担割合を引き上げることで、県としても要望しているということです。ぜひ強く、しっかりと県民の皆さんの具体的なリアルな声を届けてほしいなというふうに思います。
 同時に、昨年度までの介護保険安定化基金を取り崩して、国、県、市町村にそれぞれ3分の1ずつ返されました。県の分は基金に積み立てられましたが、これを保険料軽減に使うため、県としての減免制度をぜひ検討していただきたい。前の議会でも申し上げたんですが、再度、検討していただきたいなと思っています。
 生活援助サービス、これは先ほども申し上げたように、時間が短縮をされたことで、ヘルパーさんが調理する時間がなく、コンビニ弁当にしたとか、また、一緒に買い物に行けない、それでゆっくり話す暇もないということで、体調変化に気づきにくくなったなど、さまざまな問題が起こっています。
 そもそも介護保険は、高齢者が質の高い生活を過ごしていくとか、また、そういうサービスを利用することで、何というんですか、介護を受けることによって自立した生活にできるだけ向かえるようにするとか、そういった制度のそもそもの成り立ちやと、目的やと思うんです。
 そういったところからいけば、訪問介護は利用者の在宅生活には欠かせない援助ということで、ヘルパーさんはかけがえのない存在として、これまで社会的にも大きく貢献する職種として広がってきたと思います。命と暮らしを守る命綱とも言える存在です。
 県は、必要な量のサービスを提供するよう指導しているということですが、時間を短縮しない生活援助を行えば、その事業所が経営的にやっていけないという問題にもなります。こうした現場の問題をぜひ掌握して、生活援助の短縮をまた早急に見直すよう国に働きかけていただきたいなというふうに思います。
 介護職員の処遇改善は、昨年度の交付金が、ことしからは介護報酬の加算に変更されたわけで、そのことで実際の待遇がどうなっているのか、これもぜひ実態を把握していただきたいと思います。
 介護職員の医療行為法制化については、そもそも医療行為は専門的訓練を受けた医療職が行うべきであって、医療も介護も体制の整備を図ることこそ求められていることではないでしょうか。その立場で取り組んでいただくと同時に、この問題では、県が行う研修を拡充して保障することを要望したいと思います。
 これまで、法制化された上で研修をしなければいけない中で、その研修の会場がやっぱり和歌山市というか、そのところに偏ってるんじゃないかなと思いますし、やっぱり現場から研修に出かけるというのは大変な面もありますし、会場も南や紀北筋やいろんな受けやすい状況にしていただくなど、現場からの意見もあわせて、研修の回数とか、そういったこともぜひ検討していただきたいなということで、要望にさせていただきます。
 次、第3項目です。県営住宅における家賃問題についてお尋ねいたします。
 そもそも公営住宅は、憲法25条で明記されている人間らしく生きる権利、生存権を保障する制度として、公営住宅法に基づいて国や自治体がその整備に責任を負う住宅です。公営住宅法では、安い家賃で良質な住宅を低所得者に賃貸すること、また、「地方公共団体は(中略)低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」と定めています。
 この県営住宅の建てかえによる家賃の値上がりで不安が広がっています。川永団地では、建てかえに伴い、ニューかわなが団地に転居する人や建てかえ後の団地に再入居する人がいます。しかし、新築されたことや広くなることで家賃が上がるため、特に高齢の人にとっては住み続けられない問題が起こっています。家賃値上げに傾斜をつけるということですが、それも高齢者には大変です。
 建てかえに伴う家賃値上げの状況はどうなっていますか。また、県としてはどのような対応をされていますか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県営住宅の家賃につきましては、公営住宅法により、入居者の収入、立地条件、規模、設備状況及び建設時からの経過年数に応じて定められており、建てかえ後の家賃算定についても同様に行われます。
 建てかえ事業に伴う家賃値上げの状況につきましては、設備が充実、例えばふろがなかったところにふろを設置するといった、充実されることなどにより以前に比べ家賃が上昇しております。
 対応策としましては、家賃の激変緩和の特例措置として5年間の傾斜家賃を実施するとともに、建てかえ後の家賃上昇を抑えるため、面積の小さい住宅をふやしております。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 川永団地の場合、まだこれからだと思いますが、やはり家賃が5年間でずうっと上がっていくということで、今住んでいるところからいえば非常に値上がり感というのは確かにあると思うんです。
 そういった状況の中で、自分がそこに──御高齢の方がやっぱり多いので、今、和歌山県というのはひとり暮らしの方が全国から4番目というぐらいに多い状況の中で、その住宅に入られてる方も、ひとり暮らしの方とか御高齢の方、その方たちがそこへなかなか行けないとか、また違うところへ移らなければいけないとかいうことであれば──今、お年寄りにとって住み続けられる、そういう環境の中で過ごしていくということが安心な過ごし方やということは高齢者施策の中でもあるわけで、そういう中で転居をしなければいけないというのは非常に大変だと思いますので、1人1人への対応をしっかりよろしくお願いしたいなと思います。
 次に、最後に知事のほうにお尋ねしたいと思います。そういった低所得の人への家賃減免制度についてお伺いします。
 この減免制度が拡充されれば、建てかえに伴う家賃値上げも軽減されると思いますので、この点からも拡充ができないか、そういった点でお尋ねしたいと思います。
 公営住宅家賃の算定基盤となるのは、公営住宅法施行令で決められた政令月収、つまり収入から給与、所得控除や年金控除などを引いた額の月割所得です。この政令月収が10万4000円以下では、家賃算定基礎額が3万4400円となって、その後、政令月収がふえれば上がっていく仕組みになってますが、10万4000円以下の部分が一律となっているため、この中での収入の幅が広く、低所得の人には重い負担となっています。
 老齢基礎年金の方は月約6万5500円の年金ですが、政令月収はゼロとなります。それでも、3万4400円が家賃算定基礎となります。
 この収入分位の中の低所得の人には、家賃の減額が必要だと考えます。和歌山県の場合、減額対象は、収入そのものが生活保護法における最低生活費と比較して0.3以下である場合は5割減額、0.5以下で3割減額、0.5から1以下では1割減額となっています。
 先ほどの老齢基礎年金のひとり暮らしの人の場合は、生活保護基準のおおよそ9割程度であり、1割減額となります。収入がゼロでも5割。最低生活費の半分というと、月3万5000円程度の年金の方で3割減額です。月2万とか3万の収入では、そもそも生活できませんから、この減免というのは実質的にはほとんど活用されない制度ではないでしょうか。
 しかし、例えば北海道の住宅家賃減免規定では、政令月収7万1000円以下で減額対象となります。1万3000円以下では最低負担額3500円の家賃となります。老齢基礎年金の方なら家賃は3500円です。北海道の場合、入居者の約7割が10万4000円以下の層であり、その中で7万1000円以下で減額対象となる人は3分の1だということです。
 奈良県の県営住宅の家賃の減額規定も、政令月収により決められています。政令月収4万円未満なら6割減額、5万2000円未満なら4割減額となっています。
 和歌山市の市営住宅家賃の減免規定を見ても、政令月収1万円以下の場合、5割減額などで、やはり政令月収が基準になっています。
 和歌山県としても、生活保護の最低基準を下回る世帯だけではなく、段階的な政令月収による減額制度を設けなければ住み続けるために必要な家賃減免にはならないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、県営住宅条例に家賃の減免または徴収猶予について定めながら、要綱では、基本方針として、まず生活保護法の住宅扶助受給の意思を確認し、次に低家賃住宅への住宅交換を指示し、その上で減免等の措置を講ずるとあります。つまり、家賃が払えなくなれば生活保護で対応し、受給できない場合は低家賃の住宅に移ることを指示する、その上で減免するというものですから、この家賃減免を受けようと思えば、まず安い住宅に移ることが条件となってくるわけです。これはおかしいのではないでしょうか。
 そこで、知事に、県の低所得者減免を拡充する考えはないか、お尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 安全で健康的な住まいを提供するのが我々県の仕事でありまして、一方、適正な家賃をもって徴収することで、民間住宅賃貸者や、あるいは自分の家にお住まいの方とのバランスも考えて、また財政の維持継続性も考えて、県営住宅を適正に維持管理していかなければなりません。
 他方、公営住宅の性格上、全員一律の家賃ではなくて、応能の原則を適用して、所得の低い人には低額な家賃で提供している面もございます。
 建てかえ後の県営住宅は、施設もよくなり、住み心地がよくなっており、さきに申し上げましたような理由で便益に応じた負担をしていただかないといけませんから、家賃も上がることとなります。この場合も、一律に上げるのではなくて、やはり先ほど言いましたような応能応益により、所得に応じて家賃を設定してるわけでございます。
 このようにきめ細かく定めた家賃でも、さまざまな事情で負担できない方々には、近隣の低額家賃の県営住宅への移転や家賃の減免制度の活用を提案するなど、個々の状況に応じた対応を行っておりまして、奥村議員御提案のような減免制度の拡充はできないし、またやるべきではないと、そんなふうに思います。
 もしこれを強行いたしますと、例えば民間アパートを提供して生計を支えてるような人が過剰に圧迫されるということも起こるでしょうし、あるいは自分の持ち家を持っておられる人も、必ずしもぜいたくな、あるいは豪華な家に住んでる方ばかりとは限りません。そういう方に対して不公平感を与えるのも、またいかがということでございます。
 ということで、現状でよろしいんではないか、そんなふうに考えております。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度、知事に質問させていただきますが、この県営住宅というのは、募集に、住宅に困っている低所得者の方々のために建てられた賃貸住宅ですということがあるので、そういった面でぜひ低所得の方も──あの基本方針では、生活保護というところも含めて、それで本人に、1人1人のいろんな事情があるんです。そのことで相談に乗っていただいたりということでは、担当のほうでしていただいてるんですけど、その中でこの家賃の減免の制度の、先ほどは活用ということもおっしゃってくださったので、その点については、基本方針というのは、そういった安い家賃のとこを紹介するとか、また、どうしてもあれだったら福祉的にやっぱり生活保護のほうを勧める、勧めて、その上で、安い家賃のほうへ指示するとかという形で基本方針に書かれてるもんで、そうでなくて、やっぱり生活保護は申請でするわけで、いろんな本人の相談に乗る場合に、運用する場合に減免制度の周知もぜひ徹底をしていただきたいなというふうに思うんです。
 あの基本方針の部分では、非常に私も意見があるんですが、先ほども言わしてもらったんですけども、そういった点でぜひもう一度検討もしていただきたいな、今現在の減免制度をまずしっかりと活用をしていただきたいなというふうに思います。
 ただ、この県営住宅の募集が、住宅に困っている低所得者の方々のために建てられたというところでは──これは要望なんですが──家賃は所得に応じた応能応益制度ということです。この応能というところがまず問題で、先ほども応能ということで言われましたが、政令月収が10万4000円までが一律だということで、低所得者の部分が応能になっていないのではないかというふうに思うんです。
 低所得の人には、大変多い家賃負担になっているので、ここを都道府県の減免制度で応能負担にすべきだというふうに考えています。北海道やほかの県では、政令月収の一定部分までを減免しています。和歌山県の場合は、最低生活費までが対象ですから、政令月収でいえばゼロ円の人しか対象にならないことになります。
 こういうことで、ぜひ今後も検討をしていただきたいなということを要望して終わらせていただきます。
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。(拍手)

このページの先頭へ