平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成24年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
────────────────────
議事日程 第4号
 平成24年12月19日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第148号から議案第176号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第148号から議案第176号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
────────────────────
出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 12番 欠員
 39番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
────────────────────

  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第148号から議案第176号まで、並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、南海本線紀ノ川橋梁について久しぶりに質問をさせていただきます。
 現在、通称「南海鉄橋」は109歳になりました。建造100年を迎えた年の平成15年9月の予算委員会、次いで平成16年6月、20年2月、そして6月の本会議で続けて一般質問をさせていただきました。
 その中で、実は平成10年7月の南海電鉄の常務会において、当該鉄橋の全面改築の方針で詳細設計の実施と河川協議の開始を進めることを可決し、平成12年12月20日には、南海電鉄営業本部より南海の関係各社へ「耐震性に欠けた橋梁であり南海道地震の再現周期も近づいていることから」と前置きした「南海本線紀ノ川橋梁の改築計画について(報告)」という文書を送付していることを暴露させていただきました。
 社内関係先並びに河川管理者等と検討・協議を行って、実施設計及び許認可申請準備等を引き続き実施し、スケジュールは、工事開始が平成17年度ごろ、新橋梁切りかえが平成22年度ごろとちゃんと明記されているのであります。
 ところが、南海電鉄は、大規模複合商業施設なんばパークスを平成15年に第1期完成、第2期として平成19年4月にグランドオープンしました。悲しいかな、南海電鉄は、鉄道会社としての企業経営の一番大切な理念であるべき大阪府民、和歌山県民を初めとする乗客の命と安全を守ることよりも、商業開発に貴重な経営資源をつぎ込まれました。
 2期オープン直前の平成19年1月25日には、7つの子会社を取締役会において解散することを決議しております。平成20年2月定例会本会議での私の一般質問に県当局は答えて、平成13年11月から14年3月までの間に健全度調査を株式会社BMCのもと実施し、上部工、下部工とも問題なし、そして調査結果を受けて約1億1500万円程度の延命補修工事を行った、平成16年から17年にかけては、株式会社鉄道総合技術研究所に下部工(橋脚)の耐震性能診断を任せて、東南海・南海連動型の想定地震動に対しての橋脚の安全性が確保できる結果が得られたとしています。その後も、会社内で2年ごとにこの鉄橋の定期検査をしているから安全なんだということであります。
 何か釈然としない気持ちで、毎年、南海電鉄のホームページの安全報告書、そして平成21年からCSR報告書をチェックしておりました。県議会で問題提起したのが平成20年ですから、翌年からようやくホームページで南海本線紀ノ川橋梁の安全性報告を始めたわけであります。
 昨年までは、ごく簡潔な記載ではありますが、「適切な鉄道構造物の保守のために」と題して、2年ごとの定期検査を実施して、その結果に基づき、さらに詳細な検査や随時適切な補修等を行うことで、安全を確保していますとありました。しかし、ことしのCSR報告書2012には、さらに小さい文字で、安全報告の中に、「鉄道構造物の災害に備えて」の題で、昨年9月の台風12号の大雨の影響で高野線紀ノ川橋梁の橋脚が洗掘され、線路に異常を来したため列車運行が停止して、対策工事をして運転再開、残りの橋脚についても補強工事を実施し、災害防止に努めると記載しただけで、とうとう南海本線紀ノ川橋梁についての記載はなくなりました。残念ながら、のど元過ぎれば熱さを忘れるの感がして、失望感を隠せないわけであります。
 ことし、内閣府より南海トラフ地震の新しい想定も出ました。その巨大な地震・津波に耐えられるのか、また、ことしのCSR報告書の記載にもあったように、南海高野線紀ノ川橋梁の橋脚の洗掘によって線路異常を来した事例もあり、大型台風やゲリラ豪雨が頻発する昨今、紀の川の大増水時に耐えられるのか、大変心配でなりません。
 そこで質問ですが、1つ目、平成20年6月定例会本会議一般質問以降、南海本線紀ノ川橋梁における補強・補修工事の状況はいかがでしょうか。水中での調査も引き続き行っているのでしょうか。
 また、昨年9月の台風12号による南海高野線の紀ノ川橋梁の橋脚の洗掘によって線路異常が発生し、運行がしばらくの間、停止されましたが、大雨台風やゲリラ豪雨による紀の川の大増水時に備えて、南海鉄橋はこれまでどのような安全対策がとられてきたのでしょうか。企画部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 南海本線紀ノ川橋梁の耐用性についてでございますが、南海電鉄に確認したところ、地震対策として、平成21年3月と22年3月に上下線の落橋防止対策工事を実施するとともに、平成21年7月と23年7月には自社による構造物全般の定期検査を行っております。さらに、本年3月には、水中の調査を含めた健全度判定試験を実施した結果、耐震性に問題はなく、台風やゲリラ豪雨の大増水時を含め、安全であることが確認されております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 平成24年より南海電鉄のホームページのCSR報告書から南海本線紀ノ川橋梁の安全性についての報告記載がなくなったと申し上げましたが、私たち南海本線愛用者としては非常に不安であります。乗客の命を預かる鉄道会社として、当然、毎年報告すべきと考えますが、県からも南海電鉄に対して毅然と安全報告要請をいただきたいと思いますが、いかがですか。企画部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 南海電鉄が公表している本年の安全報告書には、議員御指摘のとおり、トピックスとして昨年の紀伊半島大水害で被害のありました高野線紀ノ川橋梁の対策が記載されております。
 南海本線紀ノ川橋梁の安全性につきまして、議員の御提言もあり、県から南海電鉄に対しまして、従前から積極的な公表を申し入れてきたところでございます。県といたしましては、橋梁が安全であることは、利用される方々の鉄道に対する信頼を確保する上でも大変重要であると考えますので、南海電鉄に対し公表するよう強く申し入れてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 鉄橋が長寿化すればするほど、乗客、利用客の皆様の心配、懸念は増幅されるばかりなんですから、お客様の目線に立った安全報告を毎年していただくよう、南海へ南海鉄橋の安全性の公表を要請いただきたいと思います。
 次に、平成20年6月定例会の本会議での一般質問以降、県として、国土交通省並びに南海電鉄との間で、南海本線紀ノ川橋梁の安全性、耐用性についての協議は続けていただいているのでしょうか。企画部長、お願いします。
○議長(山下直也君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 平成20年6月の定例県議会での議員御提言以降、南海電鉄とは紀ノ川橋梁の安全性確保に関する協議を行うとともに、近畿地方整備局和歌山河川国道事務所とも情報交換を行ってまいりました。
 南海電鉄においては、毎年、対策工事や定期検査を行い、橋梁の安全性の維持を図っているところでございますが、県では今後も引き続き情報の収集、提供を行うとともに、南海電鉄に対し、万全の対策を講じていくよう働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 関連しまして、国土交通省との情報交換の中で、国交省のほうも橋梁の耐用性について懸念の意を表明することはなかったですか。国交省と南海との間での協議もなされているのでしょうか。企画部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 国交省との協議でございますが、県では、これまでも国土交通省と紀ノ川橋梁について情報交換を行ってきております。その際、この橋梁の安全性について問題があるという話は全く聞いておりません。
 それから、南海電鉄と国土交通省の協議でございますけれども、落橋防止対策工事の際に、工事の期間や工法、落橋防止効果等について協議を行ったということを聞いております。
 県といたしましては、今後とも南海電鉄や国土交通省との連携を強化しながら、積極的に情報交換を行いまして、橋梁の安全性の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 南海トラフ大地震発生時の内閣府の想定した震度、津波高を考えたとき、あるいは昨年9月の豪雨台風12号襲来時の南海高野線紀ノ川橋梁のように、紀の川が大増水し、橋脚に流木や岩石が衝突したときのことを、当然、南海電鉄は今後の被害想定に加えるべきであります。
 昨年の台風12号時には、紀の川下流域も増水し、南海鉄橋の橋脚すれすれまで水位は上昇していましたし、ましてや、ことしの9月10日ごろでしたか、六十谷橋近くにとんでもなく大きな流木が出現したばかりであります。こんな大木や紀南大水害時のような大岩石が南海鉄橋にぶつかってきたらどうなることでしょう。
 県におかれましては、南海電鉄に対し、上記2点の懸念に対する橋梁の安全性、耐用性を十二分に再検討、調査いただくよう、県より強く要請していただいて、しかるべき回答をちょうだいしたいと思いますが、いかがですか。知事にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南海電鉄は鉄道事業者でございますから、安全に関しては必要な対策は必ず講じなきゃいけません。当然、南海トラフ巨大地震について、本県でこれから策定する正確な被害想定を受けて、必要な対策を講じることになるということでございます。
 県といたしましては、南海電鉄に対して、その想定に基づき耐震性能診断を行って、もし耐震性に問題があるとすれば、補強工事等の対策を早急にしなさいというふうに求めてまいりたいと思います。
 また、昨年の紀伊半島大水害のような河川の増水対策につきましては、これは南海電鉄において補強工事や定期検査が行われておって、橋梁の安全は確認されているところであるというふうに我々も理解しておりますけれども、鉄道事業者の義務はハードウエアの整備だけではございませんで、災害時等における利用者の安全を最優先に考えた万全の対策を講じるように求めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 南海トラフ大地震の新たな想定や台風豪雨による全国的な河川の大増水被害のことを考えますと、南海電鉄は、鉄道会社として絶対に新たな防災対策、安全対策を講じていくことが不可欠であります。南海電鉄自身の会社のさらなる発展、企業イメージ向上のためにも、利用者を安心、納得させるに足る新たな安全報告はしていただかなければなりません。
 県におかれましては、国土交通省と歩調を合わせて、南海に対し、南海本線紀ノ川橋梁の改築も視野に入れた橋梁の安全性、耐用性のさらに詳細な調査、検討を強く要請し、そして誠意ある回答をいただけますよう、知事、どうかよろしくお願いいたします。
 以上、要望させていただきます。
 2番目に、和歌山県の教育について何点か質問させていただきます。
 まず、いじめ問題についてであります。
 昨年10月11日の大津市の中学生男子自殺問題を受けて、文部科学省が実施したいじめの緊急調査で、ことし4月から9月に全国の小・中・高校などが認知したいじめは14万4054件で、平成23年度全体の7万231件の約2倍になったことが去る11月22日にわかりました。
 認知件数は、小学校が約8万8000件、中学校が約4万3000件、高校が約1万3000件、特別支援学校が約600件となっています。内容は、冷やかしや無視、暴力、金品をたかるなどで、いじめが解消した割合は78.9%でした。この中で、都道府県教育委員会などが子供の生命や身体の安全が脅かされるおそれがある重大事案と報告したのが278件です。大津市の問題を受け、各地で意識が向上したと言えましょう。
 しかし、地域差は大きいようです。最も多い鹿児島県の3万877件に対し、最も少ない佐賀県は132件でした。ちなみに、ことし4月から8月の和歌山県内のいじめ認知件数は256件──国立、私立を含むでした。1000人当たりの認知件数は2.3件で、全国の10.4件に比べて少ない結果になっています。
 国立、私立を除いた県内の公立小・中・高校・特別支援学校のいじめ認知件数は、小学校60件、中学校120件、高校47件、特別支援学校9件の計236件でした。そのうち、いじめ問題が解決された件数は計194件でした。平成23年度ではいじめの認知件数が年間で97件ですから、今回の緊急調査では認知件数が大幅に増加したことになります。
 そこで、質問に移りますが、1つ目、日ごろ学級においては担任は非常に多忙でありまして、いじめ問題が学級内に起こったときなど、担任をサポートする副担任の役割は非常に大切なものがあります。最低でも、2クラスに1人の副担任の配置をお願いしたいものです。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員配置も大切な要素ですが、非常勤の外部の人であります。日ごろ身近で接しているはずの児童生徒の発する小さなシグナルでも見落とすことのないよう、担任、そして副担任の使命、責任というものをもう一度見直すべきではないでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題に対応するためには、このたび作成しました「いじめ問題対応マニュアル」に基づき、担任、副担任はもとより、すべての教職員が総がかりで問題に対して迅速かつ適切に対応することが何よりも重要であり、このことが教職員の使命と責任であると自覚するよう、指導の徹底を図っているところでございます。
 なお、担任、副担任の配置につきましては、標準法に基づき、学校の実情等を考慮して対応しております。
 現在、国においても、いじめ問題等の教育課題の解決に向けてより適切に対応するために教職員配置の充実がなされようとしているところであり、こうした国の動向をも注視しながら、その確保に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、いじめる側の子供への毅然とした指導もさることながら、いじめられるタイプの子供の孤立する要因を突きとめてフォローする姿勢と実践が問われると思います。いじめる側の子供への指導が目につき過ぎると、いじめられている子が余計孤立感を味わうことも往々にしてあります。
 集団によるいじめが最近特に多いと聞きます。同じグループ内にいていじめられるのですが、グループを抜けられない子もいます。弁当を食べている時間、クラブ活動時、そして登下校時と、いろんな人間関係や友達関係が見えてきます。個々の子供への対応だけでなく、グループ内を観察した上での問題点の洗い出しも必要ではないでしょうか。教育長、お願いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめというのは、1対1の関係で起こることもあれば、集団の中で起こることもあることを踏まえ、「いじめ問題対応マニュアル」にも示しておりますように、関係する児童生徒の人間関係を丁寧に分析し、1人1人の内面に寄り添いながら解決に向けて取り組むことが大切です。
 その際、個々の子供の何げのないふだんの態度や言葉遣いの変化等に十分留意しながら温かい指導に心がけるだけでなく、クラスや登下校、クラブ活動等、さまざまな集団の中での子供同士の交流について、本当にうまくいってるのか、問題が起きていないのかなど、子供の様子をしっかりととらえた指導も同時に行い、より望ましい人間関係を築かせていくことが重要だと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 やはり先生方も、機会を見つけては、みずから体を張っていじめグループの中へ飛び込んでいかないと、その中の人間関係、個々の子供の集団の中での行動、立ち位置は見えてこないと思います。
 次に、いじめる子供にも、いじめ行動を起こす原因はあります。その子の家庭におけるストレスも大きな原因ではないでしょうか。家庭環境の把握のためにも、教師による地道な家庭訪問が必要ではないでしょうか。教育長、いかがでしょうか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の未然防止や早期発見、早期対応につきましても、先ほど申し上げました「いじめ問題対応マニュアル」に示したとおり、保護者との連携を密にすることが極めて重要です。
 そのためには、日ごろから担任等が積極的に家庭訪問を行い、子供の家庭での様子を十分に把握するとともに、日常的に保護者と教師が心を開いて話し合うことができる信頼関係をつくることが不可欠であると考えてございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 9月議会本会議の前芝議員の質問に知事が答弁されていましたように、いじめに苦しんでいる子供や保護者からの問い合わせを、直接知事や教育長がメールで受け取り、相談していただけるということでしたが、その後、メールは届きましたか。そのメールを受けて、知事は、いじめについてどのような見解をお持ちであり、今後の改善策についてどうお考えでしょうか。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県内でいじめに苦しんでいる子供さんや、あるいは保護者の方がいたとすれば、できるだけ多くの人にそれを訴えてもらったほうがいいだろうということで、私のところへもどんどん言ってくださいということで、知事メールでいじめに関する問い合わせを受け付けることにしました。それでPRをしました。
 物すごく来るだろうと実は思っておりましたが、これがいじめの実態を反映してるかどうかわかりませんけれども、事実を申し上げますと、明らかにいじめで、現在いじめがあるなというように私たちが判断できるようなものが3件ありました。それで、過去にいじめを受けていた話とか、あるいはいじめじゃなくて、先生との関係でどうもぐあいが悪いとか、あるいは悪かったとか、そういうような話とか、要するにちょっと似たような話、全部まとめて全体として19件の提言が寄せられております。
 いじめは、被害者のみならず加害者にとっても将来に重要な影響を与える子供の問題でございますから、そういう大変な問題です。場合によっては、人の命にもかかわることもあります。
 ただ、自殺とか犯罪とかにつながるかどうかということを超えて、そもそもいじめというのはあってはならないことだと思っております。そして、決して放置することを許されるものではない。また、外聞を恐れて、組織でなかったことにしようとか、ないと思おうとか、あるいはかばい合いをするようなことがあっては絶対いかんというふうに思っております。
 メール等をいただいたこの案件については、県の教育委員会からも調べてもらうように指示しております。それは、小中学校の場合、基本的には市町村の教育委員会のお仕事になるわけですが、やれよと言うだけじゃなくて、自分でもちゃんと中に入って調べてくれというようなことを言っております。
 また、そんなことはあってはならないし、ないと信じておりますけども、よく世の中で言われること、あるいは多分親御さんなんかが恐れている、あるいは疑っていることは、教職員という身分の人が仲間内で事なかれとかかばい合いをして、実は隠しとんじゃないかと、あるいはちゃんとやってくれないんじゃないかと、こういうような懸念が寄せられますので、別に教育委員会を信じてないわけではありませんが、知事部局からも職員に命じて、直接情報の収集に当たって、それによって、先生も含めて学校関係者がいじめの実態を見過ごしたり隠ぺいしていないかなどをチェックしております。こういうことをやることによって、つまり総力を挙げてこのいじめ問題の解決を図ろうとしております。
 また、やっぱり難しい問題ですから、先生1人1人──あるいはさっき担任とか副担任の話がありましたが──だけに任せるんじゃなくて、いろんなノウハウの蓄積はどんどん教え、それから学校ぐるみ、教育委員会ぐるみ、そして県の教育委員会ぐるみ、県ぐるみでみんなでいじめをなくしていこうというふうに考えているところでございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 同じく教育長に、メールで寄せられた意見に対する見解と対応をお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育長ポスト開設以来、これまで27件の提言があり、そのうちいじめに関する事案は4件ございました。その4件につきましては、高校1、特別支援1、それから無記名が1、小学校1ということになっております。
 こうした県民から寄せられたいじめ事案に対しましては、市町村教育委員会や学校から直ちに事実確認を行い、相談者や子供の気持ちに寄り添いながら、できるだけ丁寧に面談を行うなど、解決に向けた対応を行ってきたところでございます。
 いじめは、手だてがおくれればおくれるほど深刻の度合いを増していくだけに、早期発見、早期対応が何よりも重要です。教育委員会といたしましては、教育長ポストに届けられる県民の声をしっかりと受けとめ、いじめで悩んだり苦しんでいる子供を一日も早く救うために、誠心誠意、全力で取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、学校、そして学級、クラスという狭いスペース、人間関係だけでなく、地域の人やPTAができる限り文化活動やスポーツ活動で子供たちにかかわれるような形で大人の目に触れる機会をふやしていく取り組みを推進すべきだと思いますが、教育長、いかがですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の早期解決や未然防止の取り組みを進めるためには、議員御指摘のように、学校、家庭、地域の連携が不可欠と考えます。
 現在、全県的に地域共育コミュニティづくりを進めておりまして、地域の方々に学校のさまざまな活動に参加していただいたり、子供たちが地域の行事等に参加したりするなど、お互いの顔が見える関係づくりが広がってきております。
 今後とも、こうした取り組みやPTA活動をも生かしながら、多くの大人が子供と直接触れ合える機会を大切にしつつ、子供たちの社会性をはぐくみ、望ましい人間関係を築いていけるよう努力してまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 学校側の事実を覆い隠す体質、大津市の中学生男子自殺事件は言うに及ばず、川西市の県立高校2年の男子生徒の自殺の際でも、自殺後に両親に対して「不慮の事故にしてほしい」と打診に行ったりといった体面ばかりを繕う体質、こんな体質がいじめによる自殺という悲劇を生み出す温床になっていると思います。
 学校における管理者としてのあり方を教育長はどうお考えですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 子供の安全・安心を最優先すべき学校がいじめの実態を見過ごし、ましてや認知したいじめを隠ぺいしようとすることは、教職につく者として絶対にこれは許されないことであると考えております。
 いじめを認知した際には、いやしくも子供の命を預かる学校の最高責任者である校長は、ちゅうちょすることなく誠実に事実と向き合い、問題の全容を把握するとともに、教職員をまとめ、先頭に立って、各関係機関とも連携して全力で解決に取り組むことが重要です。すべての学校長がこのことをしっかりと自覚し、責任を持って行動できるよう、指導を徹底してまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 学校管理者がみずから毅然とリーダーシップを発揮して体を張れる学校は、教師のやる気をおのずと起こさせると思いますし、PTA等保護者としても意気に感じて、我が子のためと学校行事に協力的になるものであります。特に、いじめにかかわることは、もともと陰湿な問題ですから、教育委員会におかれましては、学校全体が前向きになれるよう、学校管理者のモチベーションをさらに高めていただきたいと思います。
 続いて、担任、副担任、学年主任、そして校長、教頭が、いじめる側もいじめられる側も分け隔てなくきっちりと向き合って対話することが何よりも大切だと思います。毎年、あれだけの難関である教員採用試験を突破してきた人格者たる優秀な先生が多いのですから、もっと自信を持って生徒に向き合うというか、ぶつかっていっていただきたいと思います。
 これは、もちろん、親にも家庭にも言えることであります。いじめ問題は、家庭教育を抜きに考えることはできません。アメリカでは、50州中49州でいじめ対策法が制定されて成果を上げていると言います。それは、家庭や地域がいじめ防止に責任を負っているという意識改革が徹底されているからでしょう。我が国においても、親の意識改革にもっと目を向けたいじめ防止対策の基本法や条例の制定を急ぐ必要があるのではないでしょうか。これは要望であります。
 2番目に、中学校の武道必修化についてであります。
 中学校では、昨年まで武道かダンスのどちらかを選択することになっていましたが、平成24年度からは中学1~2年で男女とも武道が必修となりました。心身を鍛え、社会で生きていくためのルールや礼儀を身につけ、いい意味の緊張感、そして集中力を養成する意味でも、武道の必修化は大いに歓迎すべきものであります。
 ちなみに、平成26年からは、少林寺拳法も、おかげさまで全国高校総体、すなわちインターハイの正式種目になり、中学校の武道に取り入れられている学校もあるということであります。
 そこで質問ですが、各学校で選択される武道種目には、地域性も加味されていると聞きますが、本県における武道種目はどのようなものがあり、どのような割合になっていますか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の中学校では、今年度の武道必修化に伴い、柔道、剣道、相撲、空手道、なぎなた、少林寺拳法及び合気道といった種々な種目を男女ともに体育で学習しております。
 そのうち、柔道と剣道の2種目で約85%となりますが、紀の国わかやま国体のなぎなた会場となる九度山町ではなぎなたを取り入れるなど、地域の指導者等と連携を図りながら、各学校において特色のある武道の授業が行われております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 武道の指導者には、わざだけでなく、精神面の指導も伴う質の高さが求められます。本県でも、指導者の質や安全面の確保について、どのような配慮がなされていますか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県教育委員会では、武道の特性や成り立ちを考慮して、子供たちが単にわざを習得するだけでなく、相手を尊重する態度や克己心、礼儀などを養えるような教育を目指しております。そのため、指導者養成講習会及び指導力向上講習会を開催し、指導者の質を向上させることにより、より一層の授業の充実を図るとともに、安全管理講習会を開催し、武道が安全に実施されるよう努めております。
 今後も、武道の授業が地域や学校の実態に応じてより安全かつ効果的に実施されるよう、さまざまな取り組みを充実させていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 指導者の先生の質の高い指導が、心身の健康とともに紀の国わかやま国体に向けた競技力の向上に何よりもつながると思います。また、けがを防止するには、やはり基礎体力づくりが必要です。特に、武道の授業の際には、地味で若干の苦痛を伴うこともありますが、基礎体力運動にも時間を割いていただきたいと思います。
 この武道必修化の機会をとらまえて、本県においてますますの武道振興に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 続いて、公立中高一貫教育についてであります。
 文部科学省が中高一貫教育制度を打ち出して制度をスタートさせたのが平成11年。子供たちや保護者などの選択の幅を広げ、学校制度の複線化構造を進める観点から、中学校と高等学校の6年間を接続し、6年間の学校生活の中で計画的、継続的な教育課程を展開することにより、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的として中高一貫教育制度が導入されたと聞きます。
 公立中高一貫校では、経済的負担も比較的少なく、高校・後期課程進学時に高校受験が不要または簡単な試験で済むため、6年間のうち大部分を試験勉強に追われずに過ごせるという点が人気の一因であることは紛れもない事実であります。
 和歌山県においては、平成16年に向陽中学校が開校し、それ以来、計5校が開校されました。
 そこで質問ですが、県立中高一貫校をつくってみて、どのような成果が見られましたか。教育長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内の中高一貫校では、6年間を通した特色ある教育を展開する中で、明確な進路希望を持ち、何事にも意欲的に取り組み、最後までよく努力する生徒が育ってきております。また、こうした生徒がすぐれたプレゼンテーション能力や積極性を発揮し、高校から入学する生徒へのよき刺激となって、学校全体にも活気をもたらしていると認識しております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 中高一貫の中学校がクラブ、サークル活動等で地域の市町村立中学校とも良好な友好関係を持ちつつ、互いに影響を与え合えるような工夫も考慮していただけたらと思います。
 次に、以前、公立中高一貫校の和歌山県導入の際、私も本会議一般質問でも述べさせていただいたことがありますが、中高一貫6年間で高校進学のための試験がないので、例えば、中学校では勉学にしろスポーツにしろ中途半端だったから、高校では気分一新、やり抜こうといった3年間の気分の切りかえ機会がなくて、生徒が中だるみ状態になっていることはないでしょうか。中だるみしないようにどのような対策をとっておられますか。中だるみ防止策として、学力検査の導入を今後行うつもりはあるのでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 中だるみを防止するために、ふだんから生徒が絶えず高い目標を目指して、達成感を感じながら学習できる、6年間を見通した特色ある教育を展開しております。
 特に3年生には、段階的に実力テストを実施し、高校に進学する力が十分ついているかどうかをしっかりと意識させるとともに、高校へ進む前の説明会で、高校生活の可能性と厳しさを認識させたり、高校のクラブに参加させたりするなど、意識も新たに高校に行って頑張ろうという意欲を喚起する取り組みを行っているところでございます。
 議員御提案の学力検査につきましては、法令上、実施することはできませんが、生徒の学習意欲を高め、学力の向上を図るさまざまな取り組みをさらに充実させてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 思春期の6年間のこの連続した期間というのは、難しい時期でもあります。子供たちの集中力と気分転換をうまく組み合わせた指導を望みたいと思います。
 続いて、今後、高校から入学してきた生徒たちと中学校から進学してきた生徒たちとクラスを同じくするつもりはあるのでしょうか。また、県立中学校から進級してきた生徒と高校から入学してきた生徒との学力差についてはいかがでしょうか。教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県立中学校のクラス編制につきましては、6年間一貫した計画的、継続的な学習を展開するために固定するべきだという考えや、より多様な生徒と切磋琢磨できるよう混合クラスにするべきだという考えなどがございます。今後、さまざまな御意見を伺いながら検討してまいりたいと思っております。
 また、議員御指摘の学力差につきましては、高校入学時には、中学から進学した生徒のほうが高校入試を経て入学してきた生徒より学力の幅が大きいものの、中学から進学した生徒と高校から入学した生徒は、高校3年間でお互いによい刺激を与え合い、支え合い、励まし合いながら、それぞれの進路の実現に向けて学力を高めてきております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 中学から進学した生徒と高校から入学してきた生徒が、まさに相乗効果が出るよう、お互いを高め合えるよう、交流の場づくりにも配慮いただきたいと思います。
 続いて、今後、中高一貫教育校新設の予定はあるのでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 平成16年度に併設型中高一貫教育を導入して以来、来年の入学者選抜で10回目を迎えることとなりました。この間、一定の志望倍率があり、県立中学に対してのニーズを示すものと考えております。
 平成21年以降、教育委員会で、県立中学校の成果や課題、また設置後の地域の状況等について多方面から御意見を伺いながら総合的に検討、検証を重ねるとともに、有識者等から成る第9期きのくに教育協議会において、今後の県立中学校のあり方について協議いただき、昨年、地元公立中学校に与える影響などについての報告をいただいております。
 今後の県立中学校の設置につきましては、これらを踏まえまして、地域の実情等を総合的に勘案し、県立中学校のあり方や設置についての方向性を示してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次、4点目に脱ゆとり教育についてであります。
 新学習指導要領は、小学校が平成23年4月から、中学校は平成24年4月から実施され、そして高等学校が平成25年入学から実施されます。
 改訂の基本的な考え方は、ゆとりか詰め込みかではなく、基礎的、基本的な知識、技能の習得と、思考力、判断力、表現力等の育成との両方が必要として、それぞれの力をバランスよく伸ばしていくために教科等の授業時数を増加し、教育内容を改善するということであります。はっきり言って、ゆとり教育からの脱却であります。
 詰め込みを排し、学習の時間と内容を減らして、いわゆる考える力をはぐくむ云々、これがゆとり教育の本旨でした。世界の15歳を対象にした国際学力調査・PISAにおいて、読解力の国際順位が、平成12年の8位から18年に15位にまで凋落し、教育界に危機感が広がったのがきっかけです。実際、諸外国、特に昨今のアジアの国々の教育力の向上ぶりを甘く見過ぎていた嫌いもあるでしょう。
 新しい高校教科書の件でありますが、2013年から使われる高校教科書は、ことし3月に検定結果が出ています。脱ゆとり路線の新学習指導要領に沿って、主要10教科の平均ページ数は現行版より12%ふえました。特に、数学が27%、理科が17%、そして英語は25%も急増しました。というか、いかにゆとり教育とかで内容を簡素化し過ぎていた感が否めません。
 英語では、3年間で教える英単語が現在より500語もふえて、ゆとりのときから一気に約30年前の水準に戻ります。授業は英語で行うのが基本ということで、日本語のほとんどない教科書も登場しました。
 一方、学力格差にも配慮して、アルファベットの書き方の復習や片仮名で発音表記した教科書もあります。理数系も二極分化が進んでおり、指導要領を超えるレベルの発展的記述もあれば、理科が苦手な生徒向けに登場する新科目、「科学と人間生活」にも、理科離れをさせないよう、理科を身近に感じさせる工夫を凝らしています。数学では、基礎的な教科書では、わかりやすいようにイラストや図がふえているとのことです。やればできるという自信をつけさせることが大切だと思います。
 そこで質問ですが、高校において新しい教科書の内容がかなりふえた中、教え方の工夫等について、教員の来年4月に向けた準備状況はいかがでしょうか。教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 新学習指導要領に基づく新しい高校教科書につきましては、教科によって異なりますが、新たな学習内容が加わったり、必要に応じて取捨選択できる発展的な内容が盛り込まれたりした分、教科書の分量がふえております。
 各学校では、議員御指摘のように、生徒の実態を踏まえながら、しっかりとした力がつけられる教科書を選定するとともに、ワークシートやさまざまな補助教材を補いながら効果の上がる適切な指導が行えるよう、現在、準備や工夫を行っているところでございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 新しい高校教科書には、勤勉・勤労な日本を復活させる1つの大きな役割があるものと期待しております。
 次に、前述のように高校教科書も難易二極化しつつありますが、同じ学校内でも今後学力格差が大きくなる可能性があります。その点についての対応を教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 各高等学校では、議員御指摘の課題に対応するため、生徒の実態に応じて、始業前や放課後、あるいは長期休業中にも、学力の状況に応じて補習を行ったり個別に課題を与えたりして学習内容の定着を図っているところでございます。また、義務教育段階の学習が十分でない生徒に対しましては、必要に応じて、いわゆる学び直しの時間を設定し、きめ細かな指導にも努めております。
 高等学校に入学してきたどの生徒にもわかる授業、力がつく授業を行い、しっかりとした学力をつけさせることは私どもの責務であり、今後とも機会あるごとに学校を指導してまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 学力的に低位にある生徒に、あきらめない、やる気を起こさせる工夫と根気を教育側にも求めたいと思います。
 次に、国際教育到達度評価学会・IEAは、去る12月11日、小学4年と中学2年生を対象に63カ国・地域の小中学生約50万人が参加して昨春実施した国際数学・理科教育動向調査・TIMSSの結果を公表しました。
 日本は、4年前の前回調査に比べ、中2の数学5位、理科4位は横ばいでしたが、小4の算数5位と理科4位で平均点が10点以上上昇したほか、習熟度の高い児童の割合も増加しました。一方、学力調査とともに行われた意識調査では、学習意欲は前回に比べ小中とも上昇しているとはいえ、中学生になると低下して、中2の場合、数学、理科ともに国際平均より20ポイント以上低いなど、国際的に低水準になる傾向は続いていて、理数離れは改善されていない気もします。
 私は、今はまだ新学習指導要領への過渡期段階であって、先行実施されている小中学校の部分の成果であると即断することには慎重論を唱えたいと思います。ゆとり教育の後遺症はまだまだ大きいと思いますし、数学、理科は、特に中学生以降、授業も難しくなってきますので、理数に対する学習意欲の向上についてさらなる創意工夫を施す必要があると思いますが、このTIMSSの調査結果についての教育長の所感と今後の小中の理数教育についての教育長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今回公表された国際数学・理科教育動向調査では、日本の小中学生の算数・数学、理科の学力は高い水準を維持してきており、特に小学生の学力が向上したとの結果が出ております。こうした状況を見る限り、我が国の理数教育は、基本的には適切に行われてきたのではないかと受けとめております。
 しかしながら、中学生の数学、理科に関する学習意欲などの意識面では、前回調査に続き国際平均よりも低い状況にあり、学習の動機づけなどの課題を感じているところでございます。
 これからの科学技術立国を担う人材を育成するためには、理数教育の一層の充実が重要であると考えております。各小中学校においては、観察や実験を取り入れた実体験を重視した学習を積み上げるとともに、県内で行われているロボットコンテストや発明コンクールなどのさまざまな機会を活用しながら、科学技術に対する興味、関心や探究心を持った子供の育成に向け、理数教育の充実に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 折しも、山中伸弥京都大学教授が万能細胞・iPS細胞研究でノーベル医学・生理学賞を受賞されたことで、子供たちに夢と希望を与えてくれる大きな話題を提供してくれたと思います。日本の、そして和歌山県の将来を担う科学技術研究分野の人材育成のためにも、本県でも小中のころからの理数教育にさらなる御尽力をお願いいたします。これは要望です。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 13番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 また今回も本会議場で一般質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 ただ、連日ですか、ずっと一般質問の質疑応答を聞いてるんですけど、私なりの解釈ですから御気分を悪くしないでいただきたいんですが、数字とかデータのやりとりというのは、新聞なりテレビでわかるんです。その奥にあるものが何かということを私なりに申し上げたいなあと思うんです。
 俗に、インターネットで「つぶやき」という言葉がありますが、私なりに今回、自分なりにですよ、1つの質問のスタイルを考えてみました。だから、きょうはたまたま教育についてですけど、教育雑感というような思いで、この神聖なる議場でありますが、つぶやきたいな、そう思うんです。
 そういうことで、何点かを、日ごろから気になっているというんか、思っているようなことをつぶやきたいと思いますので、公立学校から初め私立学校で、いろんな第一線の現場で頑張ってこられた経験豊富な和歌山県の教育長に本音に近いような御答弁をいただけたらありがたいなあ、そう思うんです。
 だから、今回の質問には原稿がありません。これは、決して担当部署の皆さんに意地悪をしてるつもりは毛頭ありませんので、御容赦いただきたいんですが、ただ、重ねて申し上げますが、活字で書いた質問書に活字で書いた答弁を聞いている限り、私の感じですよ、そのぬくもりというんか温かみというんか、血の通ってるような会話がどうも見当たりません。これは、私なりに解釈するに、もっと一歩前へ出た突っ込んだ話にお互いしたらどんなことになるんかな、もっとすばらしい和歌山県政ができるんじゃないかなと私は思うんですよ。
 ということで、前置きはこのぐらいにして、それとブレーキを再確認しながら、サイドブレーキがよくきくかどうか確認しながら、これからつぶやかしていただきたいなあとそう思いますので、しばらくの間、皆さん御清聴、おつき合いいただきたいなあ、そう思います。
 まず、通告にもありますように、教員の採用試験について思うんです。
 ことしもまた、もちろん先生の採用がありました。それで、新規採用の先生と、それと現場というのは、講師が必ずあります。ちょっと資料で見ますと、採用されてるかなりの割合で、現場では講師先生がいらっしゃるはずです。
 基本的には、生徒はすべからく本当の先生やと思って──多分思ってると思うんです。たまたま私ごとですが、うちの孫も小・中・高でお世話になってるんですが、よくよく聞きますと、その資格というのは講師で、それも長期にわたり、複数年というんか、2年、3年じゃなくて5年、7年、8年というようなキャリアでいらっしゃる講師先生がいるわけですね。
 それで、とりあえずの話として、本当は新規採用ばかりの先生であるべきだと思うんです。いろいろの調整機能も持たさないかんのでということになってるだろうと思うんですけど、今の公立校の教職員と、あるいはその講師先生との割合というんか、その辺がどうなってるんかということをまず皮切りにお伺いしたいなと、そう思います。
○議長(山下直也君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 講師と教員の割合の件でお答えをさしていただきます。
 定数内講師につきましては、本年5月1日において、県立学校及び公立小中学校の教員7298名のうち544名となっております。この講師数削減のため、本年度の教員採用検査では、過去最大の328名を合格としたところでございます。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 新規採用の先生ももちろん重要なことでありますが、何年も複数年、現場の第一線で子供たちと戯れながら、一生懸命勉強を教えていただいたり、あるいはスポーツなり応援していただいてるその講師先生、これが僕は聖職として頑張ってくれてる本当の意味の先生ではないかな、先生になる資格のある人ではないかなと思うんですよね。
 その先生方の中の講師先生、残念ながらというんですか、職員の採用試験の1次試験、2次試験ってありますね。1次試験なんか、やっぱり現場で子供たちと接してる時間があるもんですから、どうしても勉強する時間がないということになります。
 ただ、先生になろうかということですから、もちろん教育のレベルも一定以上にもあるでしょうし、何しろ長いこと勤められてるということは、先生としての人間性が子供たちの間でも社会でも認められてるというあかしではないかなと思うんでね。
 この新規採用、新しく教師として採用する大きな条件の1つに、例えば、1次試験は筆記試験が主でしょうけれども、今の先生、どうしても新規採用しますと、頭は賢いもんやから試験は一発で通る。ところが、イメージしていたことと、学校で生徒たちに接して生で教える、接したときのそのギャップがあって、そんなに多くはないかもしれませんが、例えばノイローゼになって登校拒否する先生がいてるというふうに現実聞いてます。
 精神的なプレッシャーとかストレスがたまって休暇されてるという先生もあるんですけど、そういう先生を少しでも少なくしようと思ったら、やっぱり現場の経験を積ますべきではないかな。自治法でどういうふうに解釈できるんか知りませんけど、1次試験、2次試験、あるいは3次試験の条件に、複数年ぐらい現場で講師をすることを義務づけるというような採用の方法はないんでしょうかね。その辺はどういうふうにお考えになってますか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員の採用につきましては、かたい話ですけども、地方公務員法並びに教育公務員特例法に基づき、1年の条件つき採用期間を経て正式に採用するということになっておりますので、この点、まず御理解いただきたいと思います。
 また、本県の採用検査では、今、議員御指摘がございましたけども、一定の講師経験のある人に対して、その能力を評価し、筆答検査の一部免除を行うなど、豊かな経験やすぐれた資質、能力を有する人材を確保するよう努めているところでございます。
 今後、さまざまな方法についても検討していく必要があろうかというふうに考えてございます。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 ぜひ──僕は基本的に教師は聖職だと思うんです。普通のサラリーマンではない。したがって、がんじがらめにその地方公務員法をがさっとかけるということも、法律的にはいたし方のないことかもしれませんけれども、和歌山県としての特例みたいな、そういうものをつくって、本当に現場で子供たちと接して、長い間経験あった人こそ、その資質的にも恵まれてると思うし、あるいは人間性もすぐれてると思いますので、その教師というのは聖職だと、特別な職員やというふうな考えで、その長期講師をされてる人の優遇措置をぜひ緩和してあげていただきたいなあ、そういうふうに心から思ってますので、御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは次に。通告の順番にもありますように、ゆとり教育について、私なりに思うので、お伺いしたいと思うんですけど、そもそもゆとり教育をするという設立の理念というのはどういうことでなったんでしょうか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ゆとり教育の理念ということでございますが、いわゆるゆとり教育のねらいというのは、従来の知識偏重による教育課題を克服するために、授業時数や指導内容等の削減によって生じた時間を有効に使いながら、児童生徒の豊かな人間性や、みずから学び、考える、生きる力を育成するというのが目的でございました。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 活字で読むとそうなるんです。だから、余り好きじゃない。
 現状は、ゆとりどころか大緩み教育だと。先ほども同僚議員が質問をされたように、緩みっ放し教育だと思うんですよね。だから、私は一貫して訴えたいのは、他府県がどうやから、例えば日本の教育基本法がどうやからということではなくて、和歌山県としてどうあるべきか。
 行政の長は知事ですけども、教育の長はあなたなんですよね。だから、私は、和歌山県の教育はこうあるべきや、こうしたいんやというふうな強いそういう思いを僕自身が感じたいなと思うんです。
 結局、ゆとり教育の中に総合学習の授業があったりということで、多分、俗に言う教養、例えば国語であり算数であり理科でありという時間が現実、大分減ってるんではないかな。それと、今までずうっと過去から長く親しんできた土曜日の半日授業というのは、これは御父兄も、恐らく過半数以上、もっと7割、8割方が土曜日も授業やってほしいなと思ってるんではないか。私もそう思ってる。
 だから、もう土曜日を復活して、許せることなら総合学習の時間を土曜日に持ってくるような和歌山県としてのスタイルというのは考えられないんでしょうか、どうですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今、土曜日の授業ということでございますけども、議員御指摘の土曜日につきましては、法令により土曜日が休業日というふうに、休みの日と定められております。
 他府県では、そういう中にあって、現行制度の中でさまざまな形で取り組んでいる先行事例もあるのも事実でございます。その成果と課題を踏まえながら、本当の意味でゆとりをどう生かしていくのかという観点から研究してまいりたいというふうに思っております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 そこなんですよ。全国的にはやってる学校がたくさんあると思うんです。私学は当然あるんじゃないですか。だから、和歌山県は、あんまり逃げないでほしいんですよ。皆さんのを見てとかなんとかじゃなくて、西下教育長自身、個人的にそれじゃどう思うんですか。やったほうがええと思うんだったらやったらどうですか。それを言いたいんです、私は。
 ほかの例を見習って、どうしてこうしてって、無難な答えだろうと思うんですけど、何度も言うように、和歌山県はこうあるべきや、こうしたいんや、それに協力してくれという強い発言というのはできないんですか、どうですか。法令とか条例とかじゃなくて。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 私の個人的な思いというよりも、我々とすれば、一応やはり法に定められた公立の学校であるということを踏まえながら、いわゆる土曜日の生かし方も、社会体験をさせたり、あるいは自然体験をさせたり、あるいは場合によっては学校によって授業での補習を行う活動をしてるところもあります。もちろん、私学もさまざまでございます。
 そういう中で、本当の意味で土曜日の活用の仕方がどうあるべきかということを、私自身、もう少し研究しながら整理をしてまいりたいというふうに考えております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 押し問答になりますので。
 要するに、地方公務員は週休2日制という社会全般のルールがあるからということだろうと思うんですけど、重ねて言いますが、教員は聖職だと。別なんですよ、と私は思うんですよ。そんなの、時間が来て、ベルが鳴って、はい帰るというような教師だったら、もうやめてもらったほうがええと私個人的に思ってます。
 そういうような感覚を持ってすれば、話に聞けば、勤務状況、ちょっといらえばできるとおっしゃってる現場の先生もいらっしゃるんです。先生自身が土曜日も授業をするべきやというふうに思ってる先生も、私に助言もいただきます。
 それと、まして父兄、若いお勤めになってる御家庭は、特に土曜日行ってくれたら子供の面倒見やんでもええんで助かるなという思いもあります。そういう思いもある中で、あえて土曜日休みでなけりゃいかんというふうにこだわる必要ないと思うんで、少しの時間でも惜しんで子供たちの将来のために勉強させるように、一遍工夫をしてみていただけませんか。
 それじゃ、それはそういうことにして、押し問答になりますので、やめます。
 続いて、2学期制と3学期制。
 これも私もどっちがええんかなあというふうな思いなんですが、今、和歌山県には2学期制と3学期制が混在しております。わかることですので、私のお世話になってる紀の川市の中でも、2学期制と3学期制が混在しております。
 これの教育長なり和歌山県の教育委員会としてのお立場というんか、2学期制の長所、短所、3学期制の長所、短所というのを手短にちょっと教えていただけませんか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 2学期制と3学期制の長所、短所ということでございますけども、2学期制というのは、長い期間で教育活動ができるという長所があり、3学期制では長期休業を区切りとすることで学校生活にめり張りがつきやすいという長所がございます。
 また、2学期制では、始業式や終業式などの回数が少なく、年間の授業日数の確保がしやすくなるということから導入してるところもございます。しかし、現在は、3学期制の学校にあっても、長期休業期間の短縮だとか時間割りの工夫を行って、実際、授業日数等を含めて2学期制と3学期制には大きな差はない状況にございます。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 私の聞き及ぶところでは、授業日数には大きな変化はないと、こういうお言葉なんです。私もそう聞きました。
 我々は、昔から日本の気候風土になじんだような、そういう学校の制度だろうと思うんですよね。だから、私は個人的には3学期制がいいと思うんです。個人的にはですよ。やっぱり気候もええし、春の桜が咲いたときに新入生が来てというようなことにもなるし、夏休み前には一たん区切りをつけて通知簿をいただいてということになってるんですけど、いつその通知簿──うちの孫、先ほど申し上げましたようにいますから、「通知簿は」と言うたら「ない」と、こう言う。何か習慣的に聞くんやけどないんです、2学期制だからということで。どこにそのけじめがあるんかなあと、そう思うんですよね。
 それと、期末テストというのは、したがって2回しかならんということですね。私は、自分の頭のできの悪いのはほっといてでも、今から思うに、やっぱり子供というか、大人でもそうですけど、何か試験とかというようなことがなけりゃ、空に天突く竹であっても、節があってしっかりするんですよね。だから、やっぱり要所要所で締めるためのテストは、これ、子供たちが勉強する上での必要な関所だと思うんですよ。
 だから、期末試験の持つ意味も、大いに人間を育てる上でのアクセントとして必要ではないかな。(「節ない」、「ウド、ウド」と呼ぶ者あり)──ウドの大木──本当にそれ、心底から僕はそう思うんですよ。
 それと、同じ狭いところであっても、あるいは地域的にでもあっても、転校されてくる先生、あるいは出る先生によって、今まで2学期制やったのが3学期制になり、3学期制のとこから2学期制へ転校されると、先生自身の教えるプランというんか、それも狂ってくるんですよね。
 だから、僕は、最終的にこれは教育委員会が決めてくれたらええんやけど、和歌山県のそれこそ教育委員会としてどうあるべきやと。それは、地方に任すんですか。その辺一遍、それこそ教育長の腹の割った話をつぶやいてくださいよ。よろしく。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 個人的につぶやくというのは、議場ですのでなかなか難しゅうございますので御理解いただきたいと思うんですが、期末試験というのは、やはり今議員御指摘のように、子供たちがふだんの学習の状況を振り返って、学力の定着を図って、それで家庭にもふだんの学校生活の様子をきちんと連絡するために、めり張りのあるものとして極めて大事なものだと思っております。
 休むときにはきっちり休むと。その中で、豊かな自然体験だとか人間関係をはぐくんでいくというのが学校の本来の姿だと私は思っております。
 そういう中で、じゃ、2学期制にするのか3学期制がいいのか。先ほど申し上げましたように、これは実際に余り大差がない状況です。その中で、地域によってさまざま状況が違いますので、例えば子供の実態、あるいは家庭の状況、あるいは市町村の状況、さまざまでございますので、そういう中で、このいわゆる2学期制、3学期制というのは、小中の場合は市町村教育委員会が法令上決めることになっております。県として、全体として3学期制にしなさいとか、2学期制にしなさいということは、大変難しゅうございます。
 そういう意味で、家庭や地域の実情等を踏まえながら、市町村教育委員会が、子供たちにとってどちらが本当によりよい教育効果が上げられるかということを判断して、決定すべきものであるというふうにとらえております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 そこなんですよ。結局、これ恐らく、後の質問もそうだろうと思うんですけど、最終的には地方の教育委員会に任すということに、言葉に。システム上、そうなってるんかもしれません。
 でも、重ねて言いますが、和歌山県として、和歌山県の教育としてこうあるべきやと、せえとは言わんにしても、こういう方針でいきたいんですけど、御協力いただけませんかという一歩前へ出た話にはならんのかと、こういうことを歯がゆく思うんですよ。だから、これは今結論めいたことをいただきたいとは思わんけど、私はそうつぶやきたい。
 これには、今申し上げたように、日本には日本に合った風土があって、過去からの長いそういう歴史がある。一部には大学でも9月入学と、そらまあ大学のことだから考えてくれたらええと思うんですけど、やっぱり我々は日本に住んでる日本人ですから、日本の気候風土に合った、今までずっと長い間やってきた、ただ何かのかぶれでちょっと風邪引いたんか、インフルエンザに遭ったんかで2学期制にという話になったんかもしれませんけど、その辺をもうちょっと。強制はできないのはわかりますよ。でも、あなたが一番偉いんやから、和歌山県の教育長として、こうぜひ和歌山県としてやりたいんで考えてくれとか協力してくれと言えるはずだと。私が教育長だったらそう言います。
 まあ、土下座までせんまでも、そういう熱い思いを訴えれば、必ず人というのは通じると思うんですよ。よろしく、私の熱い思いを酌み取っといてください。
 次に、これも同じくいろんな問題があるんですが、全国学力・学習状況調査をされましたね。それで、今も同僚やら、あるいは過去にもいろんな質問もありました。
 私なりに一遍切り口として、まずその調査目的を改めて教えていただきたいんですけど、よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国学力・学習状況調査の調査目的でございますけども、この目的というのは、児童生徒の学力や学習の状況から学力向上等の取り組みの成果と課題を検証して、その改善を図るとともに、各学校が指導の充実や学習状況の改善等を図ることにございます。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 重ねて申し上げますが、活字でそういう答えになるんですけど、そうではなくって、これをやっぱり生きた教材として使うということにまずしないといけないと思うんですよね。
 それで、聞き及ぶ限り、大阪府のどなたかの市長が、当時府知事だったどなたかが言ってましたけれども、公表するんやという。公表するんだという話で、下手に公表するとマスコミのえじきになるようなことになります。それは事実。そういうことをすべきではないと思うんですが、やっぱりある程度、今、和歌山県内の我々の学校は、小学校あるいは中学校はこのぐらいですよということぐらいは示して、そうなりますと、先生がすごく、先生の指導能力がないということに評価されるというような自己防衛が働くんかもしれませんけど、それはそれとして、やっぱり父兄も、うちの子供やあるいは学校がどのぐらいのレベルやろなあというような、そういう資料にして、そして悪いところは悪い、素直に認めて頑張る資料にすべきではないかなと思うんですよね。
 だから、どうしても先生方のその能力評価に使われるとか、あるいは地方の教育委員会のレベルの評価に使われるとかというマイナスばっかりのことを思って、隠すということではないかもしれませんけど、余り公表しないでやってる、対応してるような、そういう地域、学校があるやに聞くんです。
 これも含めて、何度も言います、もう恐らく後で原稿起こしたら10回も20回も言うてるかもわかりませんけど、和歌山県の教育委員会として、それをもうちょっと強く──せっかくテストを子供たちに受けさせて、欠点やら、あるいはどこまでいってるか、満足度も含めて評価するネタをつくるんですから、材料をつくるんですから、一歩前へ出たそういう対応をすべきだと思うんですけど。多分答えは、各市町村の教育委員会に任せてるということになるんかもしれませんけど、その辺はどうですか。強い指導というのはできないんですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 公表等とか、どういうふうな形でこれを効果的に生かすかということについても、さまざまな意見がございます。これは事実でございます。
 そういう中で、本県で今取り組んでいるところは、この調査結果から、いわゆる和歌山県の児童生徒の実態は一体どうなのかということで、今明らかになっているのは、基礎的な力はついているんですけども、考える力とか説明する力、表現する力が弱いと、課題があるというふうに指摘がされております。
 そのことにつきまして、この調査結果をもとに、とにかく先生方がそれをしっかりと現実を見詰めていただくということがまず大事だと。その学力の基盤となる言葉の力を向上させるために、現在、中学校のすべての国語科の教員を集めた授業力向上のための研修を実施しております。
 仁坂知事も、その研修の場に立ち合っていただいて見ていただきました。そうしたさまざまな形で今本県の教育力の向上について取り組みを進めている段階で、そういう取り組みの成果の1つが、中学校の国語の平均正答率が着実に上がってきているということがございます。
 さらに、そういうことを受けまして、今年度は小中学校の教員を対象にして、まさに議員御指摘のように、各学校における調査結果の分析と効果的な活用方法について研修を始めております。
 その中で、指導方法の工夫だとか改善だとかという形で、授業研究会を通して本県の教員の実力を高めるべく、指導力を高めるべく取り組んでいるところでございます。これも、さらなるこうした取り組みを強化しながら、家庭の御協力もいただきたいし、あるいは各学校が自分たちの学校の実態をしっかりと踏まえながら、さらなる本県の教員の指導力の向上を踏まえながら、きっちりとした生徒の力をつけるという方法で取り組みを強化してまいりたいというふうに考えております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 知事には今回質問ありません。するつもりはないんですが、一環して、最後に時間ができればお話しだけしておこうと思うんで、他人事ではありませんから、よく聞いといてください。
 それじゃ次に、全くこんな質問してええんかなと、こう思うんですけど、学校の使命について考えてるんです。一体、学校というのは何をするところなんでしょうか、教えてください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校というのは、集団生活の中で子供たちに実社会で生きていくための必要な基礎力を身につけ、たくましく生き抜いていくことができる力をはぐくむところだというふうに考えております。
 そのために、知・徳・体のバランスのよい力をつけることが大切であり、教職員1人1人が自信を持って教育活動を推し進めることにより子供たちにしっかりとした学力を身につけさせるとともに、豊かな心や健やかな体をはぐくむために最大限の努力をしなければなりません。それが学校の使命だというふうに思っております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 そう書かれてます、いろんなところで。
 今、何度も申しわけないんですが、自分ところのことで悪いんですけど、小・中・高の孫がおります。朝6時半に貴志川線に乗ります。ちょっと遠い高校へ行かしてもらってるんで。そして、帰ってくるのが10時20分ぐらいなんです、一番上の長女が。その次も同じようなもの、その下もというように。塾、塾なんですね。塾、塾。もうぶち当たったら塾があるぐらい。喫茶店の数より多いん違うかなと思うぐらい塾ばっかりなんです、御多分に漏れず。
 これ、塾というのは何するところなんかなと思うんです。よう考えたら、塾へ行くために学校で余力を養ってるような、逆転してるんではないかな。学校で、今、教育長がおっしゃったように、知力、体力、いろんなことを教えてもらったら塾は要らないはずでしょう。
 というのは、余談になりますけど、もうちょっと半年ほど、そんなにならんかな、テレビを見てました。高校生のクイズ甲子園みたいなタイトル。宇宙から直径何メートルの丸いボールが地球へ落ちたらどんな穴あくかというような、僕ら何の話かわからんようなやつを畳2畳か3畳敷きのボードで計算してました。
 現役の東大生がよう解かんというような問題で、公立の学校の生徒がトップになったんですね。その後に後談として、「塾へ行って勉強してますか」と言ったら「私は塾のことは知りません」。そら、そんな人は特別ですよ。でも、普通どおりのことを教えていただいて──仁坂知事のときは塾ありましたか。そんなになかったと思うんですよ。
 お習い──習字とか音楽とかという、まあいえばそういう意味の塾は昔からあったと思うんですけど、何か学校で勉強を教えてくれてるのかなあ、だから塾がはやるのかなあ、塾がメーンで学校がサブかなあ。この辺、私の頭、どう整理したらいいか教えていただけませんか、ちょっと。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) だんだんお答えしにくいようなつぶやきになってまいりました。
 塾に関して、公である教育委員会からコメントというのは差し控えたいというふうに思いますので、御了承ください。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 その点は了解します。やむを得ないと思います。
 そして、その勉強を教える、あるいは総合的に子供たちに教えてんねやというものの、この「きこら」というのがちょっとこの前、議員のほうへ回ってきましたけど、24年11月、第23号ですが、その小中学校の子供たちの体力が、昭和60年をピークにして今、平成23年のデータなんですけど、非常に落ちてる、各項目とも。
 学校では、塾のためのことしかしてくれんと言ったら極端な話、してくれない。さりとて体力は落ちてる。これ、どういうふうに、この日本の将来を担ってもらう大事な子供たちのために大人が何をすべきかなあと思うんです、素朴に。
 だから、そのあらゆることについてはやっぱり、くどいようですけど、もうこれで10回ほど言ったかな、和歌山県の教育としては、健やかな、将来を担う健全な子供たちを育てるためにはどうあるべきや。もう塾らはええから、学校で一生懸命教えるから、もうそんな時間あったら外で飛び回って体を鍛えよ、健全な精神を鍛えないと、健全な肉体には健全な精神が宿らんということで、和歌山県としてはこうやから、もうおまえら塾に行くのはよっぽど──お母さんやお父さんが言うやろうけど、「僕、頑張るよ」というぐらいの教育というのはできないんかなあと、こう思うんです。コメント要りませんけどね、言うてないから。
 それ、本当に私も自分自身で自問自答しながら、結論はありません。でも、やっぱり学校というのは、子供たちに、体力もさることながら、知恵を授けるとこが学校やから、先生方にもより一層、サラリーマン教師じゃなくて教師としての務めをしてほしいなあ。そのトップに立ってるのが、何度も言いますけど西下教育長さんでございますんで、よろしくお願い申し上げておきます。
 次に、またこれも先ほど出ました、いじめ問題について私なりに考えさしていただきたいなあと思うんです。
 いじめ問題というのは、皆さん、今まで議論もいっぱい出てたけど、例えば田の稲を刈るように、結果のことばっかり考えてるんじゃないかなあ。それに対応するのにもう精いっぱいじゃないかなあと思うんですよ。
 だから、どっかのコマーシャルであったけど、臭い根元を断つのは何な。においを断つの、あんなコマーシャルありましたね。やっぱり根本を直さんと、その手当てするのに精いっぱいになると僕は思うんです。
 これは、自分がまだ愚かな人間でありながら申し上げるんですけど、昔は、僕らのときは、やっぱりわんぱく坊主というのがいたんですよ。だから、今で言う、厳密に言ういじめというのも、石川五右衛門ではありませんが、この世の中に終わることはないと思う。やっぱりあるんです。あるんですけど、それがだんだん陰湿になり、社会の変化とともにこうなってきたと僕は思うんですよ。
 だから、重ねて言いますけど、昔、僕らのときは、「あいつ頭ええなあ、もうどうにも太刀打ちできんなあ」「あいつはけんか強いな、どうにもならんなあ」「あいつは走り一番やなあ、どうにもならんなあ」「絵がうまいなあ」と、お互い人格を認めたんです。そういう全般の社会の状況だったと思うんですよ。
 今、とにかく戦後60数年、日本のこの精神が曲がってきて、ある外国のど偉い人にお話を聞いたときに最後に言われた。「今、日本には何でもある。物はある、お金はある、自動車はある。ないのは1つ、日本人魂。日本人らしさがない」。その中には、大きく総合して言われてると思うんですけど、俗に言う礼節、謙虚さ、これの根本は、やっぱり道徳教育だと思うんです。道徳教育をしないと、しかも成長してから何ぼ菜っぱに肥やしをかけるように言ってもだめなんです。
 やっぱり三つ子の魂というんか、小さいときからのその道徳教育──たまたま後でまたお話ししようと思うんですけど、仁坂知事の25年度の政策についても、大きなタイトルの中に教育。これは、今度当選された我が自民党の安倍さんも掲げて、経済を取り戻す、何を取り戻す、教育を取り戻すとあるんです。
 「教育」と言ったら、確かに聞こえがええ。ところが、残念ながら、土木やったら、お金をことしつけたら来年橋ができる、トンネルができるんです。ところが、教育というのは、20年、30年のロングスパンやから、言うことは言うんやけど、首長としては、余り成果が出やんから、ついついその成果の出る、建物を建てたり橋をつくったりトンネル掘ったりということになる。教育の大事さは言葉では言うんですよ。知事、後でちょっと時間あったら言いますけど、安倍さんにも聞きたいと思うんやけど。そういうことで、すぐ二言目には「教育を何とかせなあかん」、「教育を何とかせなあかん」ということになるんですが、その根本を本当に考えてくれてるんかなあ、そういうふうに思います。これは私のつぶやきです。
 だから、これについても本当にお互いがもう一遍根本から考えないと、何ぼ上の現象──草、雑草が生えてきたから抜いてもだめなんですよ、というふうに私は思ってつぶやいておきます。
 これは、永遠のテーマだと思いますので、余り時間が残ってませんので早めます。
 次に、これも先ほども出ました中高一貫教育ということなんです。
 具体的に言いますと、理念とかその辺はもういいです。さっきも聞きましたし。ただ、どうしても公立中学校へ行きますと、公立の県立中学へ行くというのは、親御さんの思いもあり、やっぱりよその子よりうちのほうがちょっと頭ええんや、あるいは地域的なリーダーやから行きたいというのは、そら親御さんとして子供に期待するのは当然だと思うんですよね。だから、どうしてもやっぱり県立中学校へ行かれる生徒さんというのは地域ではリーダー的な人が多い。これは事実だと思うんですよ。
 そんな中で、そら県立中学校はいいですわよ。余った市町村の公立中学校はどうなるんですか。それを教育長、あなたは考えてくれてると思うけど、言うたら、「いや、市町村の教育委員会と協調して」と、ここに反省というんか、あるんですよ。いつやったかな、まあいえば、ある意味では総括したような報告もちらっともらいました。第9期きのくに教育協議会という報告書はあるんですよ。その中にいろいろ書かれてますけど、「地元の市町村の教育委員会と今後とも協議しながら」と書いてるんやけど、現実の問題は、まあまあ平たく言えば、ちょっと頭のええ、それから機転のきく生徒をちょっちょっとチョイスしてやられた後の公立の市町村の中学校はどうよ、行かれっ放しかいと、こういう感覚があるんですよ。
 そういうことで、今後のその中学校のあり方というのをどうお考えになっているのか、総括して一遍お返事いただけませんか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) この県立中学につきましても、さまざまな意見がございます。そういう中で簡潔に申し上げますと、県議会からの御意見だとか、あるいは地域の実情等を十分勘案しながら、今年度末までに一定の方向性を出すべく、今、鋭意検討しております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 すぐ結論の出るような話ではありませんから、私は、それこそ日ごろからそういうふうに思っているということを御認識いただいたらありがたいなと思います。
 次に、高校教育のことについて幾つかお伺いしたいんですけど。
 3つほどあるんですが、例えば学区制撤廃についての副作用というのが確かにあると思うんです。あるいは、生徒の進学の自由を保障してくれるというメーンの一面は大いにあると思うんですが、ただ、もう中学校、高校というのは半ば準義務教育的なとこで、ほとんどの人が、98%か99%は行かれてると思うんですけど、そうなると、やっぱり親御さんとしては地元の便利な学校へ行かせたいと、こう思うんですよね。
 だから、それについて総合的に一遍この辺で学区制を見直して、少なくとも準学区制というか、どこで線引いたらええかというのは、具体的なイメージはこれから議論していただけるかどうかわかりませんけど、準学区制ぐらいに戻すべきではないかというふうに私自身も思うんですけど、この点についていかがですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) この学区制につきましては、平成15年度に全県1区になってもう約10年間が経過をしております。その間、本当にさまざまな御意見をいただいております。
 そういう中で、少子化が進行するとともに、いわゆる選択の自由等の課題もございますので、生徒や保護者への影響、あるいは中学校教育への影響を総合的に勘案しながら、学区制については慎重に研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 御検討を本当にしてあげていただきたいなあ、そして、どうしてもできないというんやったら、どういうことでできないかというぐらいのことは、またそれこそ市町村の教育委員会へもコメントしてあげてほしいなあと、そう思います。
 次に、高校生の献血についてです。
 これは、23年4月から法が改正されて、16歳から献血をしてもよろしいよということになりました。どうしても、やっぱり赤十字奉仕団も血が足りないということであります。
 だから、いいことだなあと思うんですが、私もライオンズクラブの係をさしていただいて、献血はアクティビティーのメーンテーマにしておりますので、やってるんですけど、どうしてもやっぱり一般の方の献血者が年々減ってきている中で、若い16歳から以上、献血いいよということなんで、ぜひ勧めていただきたいなあと、そう思うんです。
 そんな中で、特に2005年に和歌山県で行われた第41回の献血運動推進全国大会でも、その当時、皇太子殿下がお見えになって、若い人たちにぜひ献血の理解を深めてほしいというふうなお言葉もありました。そういうことでありますので。
 それと、もう1つ、大きな副産物があります。それは、多分中学、高校までぐらい、事がなければ血液検査したことがないんではないかなというのが大きいんですが、献血をしていただきますと、その副産物というかメリットとして、約15項目ぐらいらしいんですけど、血の検査結果をくれます。これがきっかけで、隠れていた病気が見つかるかもわからんし、あるいは異常のある場合は再検査をお願いすると、またしてくれるということでありますので、これは一部には、今までも和高のラグビー部なんかもう恒常的に協力はしてくれてる、学校ぐるみで。
 ところが、全体的に見ると、ほんまに若い人でいえば、特に和歌山県は献血してくれる子供が非常に少ないということなんで、ぜひ強力に進めていただきたいと思うんですけど、この辺はどうお感じになってますか。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) この献血にかかわっては、議員の御指摘のとおり、大変重要なことであると認識しております。
 今、御指摘のように、特に高校生の若い世代に献血の制度を周知させ、実際に献血してもらうことは、将来のリピーターとなり、必要な血液を集めるための有効な手だてとなります。1人1人の善意に基づく献血というのは、ボランティア精神の育成につながることにもなり、自分自身の健康管理にも役立ってまいります。大変有意義なものでございますから、今後とも関係機関と連携をして、より一層献血を推進してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○議長(山下直也君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 ぜひ積極的に扱うように、それこそ教育委員会として強い御指導をいただけたらなと思います。
 それと、ちょっと新聞とかで騒がれました例のPTAの会費のことなんですが、いろいろ御指摘があって、要するに学校側でしないといけない、つまり和歌山県側でしないといけない施設がいろいろあった中で、9月には1億の補てんをしていただきました。これはもうこれでありがたいと思うんですけど、マスコミが言ったからか、だれか投書したからかどうかわかりませんけど、学校はおのおのクラブを持ってます。
 スポーツクラブを中心にしたクラブを持っているときに、どうしてもやっぱりクラブとしてメンテをしないといけない施設そのものがある中で、PTAの会費を流用したから云々ということではなくて、やっぱり子供たちが健やかに健全に成長してほしいというのは父兄も同じ考えでありますので、そのPTA会費を流用するということは、すべて必要悪のように聞こえてますけど、やっぱりケース・バイ・ケースで、しかも手当てをスピーディーにしてすぐ対応できるということになりますと、県の予算ではそういう時間的な制限もあるでしょうから、余り目くじらを立てて、しかも教育委員会が何かするとマスコミにたたかれるから、謝るのが嫌やからという思いもあって、「相済みません」というような、よその県ですけど、テレビでよく見ます。「今後気をつけます」と。堂々と主張できるところはしてくれたらええと思うんですよ。
 しかも、PTAがええということになって支出してるんやから、やっぱり必要善であるというふうに思うし、スピードが何よりも大事やと思うんで、迅速な対応をするためには、それはもう頑として教育委員会もマスコミに言ってくださいよ。これはこういうことでええんやということを。何もかもすぐ謝る癖がありますので、そういう弱腰ではいかがなもんかと思います。
 最後の項目、教育基本法、教育振興基本計画についてお伺いするんですけど、これは、一説にはというか、道理上でいえば、和歌山県の10カ年に及ぶ長期総合計画の中の教育部門の計画の中の前半、21年から25年までの前半の教育、和歌山県教育振興基本計画をつくってくれました。
 ところが、何か、ある雑誌か、「わかやま新報」かよくわかりませんけど、その26年から30年までの間の計画をつくると、こうなってるんですよね。報道がありました。25年度もまだ満足に済んでないのに、何でその中の反省をしないで次の計画を立てるんですか。これがどうも、私、納得できないんですよ。
 この辺の第2期のそういう計画をするという、このねらいというか、これはどうなってるんでしょうか。答えにくかったらもう勝手に想像しますけど、どうですか。
 それで、もう時間がありませんので、あわせて言います。
 今、和歌山県の自民党を中心とした教育基本条例をPTとして今取り組もうということになってます。これは、何も大阪府のだれかのまねをするんではなくて、和歌山県の教育はこうあるべきやということで、仮称ですけど、和歌山県教育基本条例というのをつくろうということで、今、先輩議員らが知恵を出してくれてるんですけど、その中で、やっぱり教育には大いに知事の意向が反映されるべきやということなんです。
 金だけは、施設とかその辺の予算は出すけども、あとは教育にお任せですよということではなくて、例えばこの教育基本計画でも議会にやっぱり相談してもらう。つまり、知事に相談するということは、知事に決裁を仰ぐということは、和歌山県議会が承認する、決裁するということになります。
 だから、予算をつけるのには、この議会で予算を計上しますけど、あとはもう教育委員会に任せるし、あるいはタッチせんといてくれということでは、やっぱり済まんと思うんですよ。
 それで、先ほど申し上げましたように、知事も今度のその25年に向かっての対応の中で教育についてちゃんとうたってくれてます。
 だから、やっぱり教育は大事なもんだということは、もちろん認識もしてくれているし、ここにあります。25年の新政策と予算編成の方針の中に、教育は大事やと。しかも、ここにあるんですけど、「子どもの自立を育む教育環境の充実」の中で、新たに作成する副教材として、学校における道徳教育を徹底するとある。副教材というのはどうですかと言うたら、今のところ具体的な案はないと、こういうことなんですけど、先ほどから私、一貫して言ってるように、やっぱり道徳なんです。道徳がメーンでなけりゃ、本当に日本の本来の姿というのは出やん。そのために、知事も一歩前へ出たこういう発言をしてくれてるんだと思うんですよ。
 だから、すべからく行政がノータッチであっていいはずがありません。だから、今後その道徳を中心にして──道徳というのはいろんな含みがあります。先ほどのいじめの問題もあれば、やっぱり日本の国を愛する愛国精神を養う意味でも重要なことであるし、そういうことで、決して逃げて、避けて通れる問題ではありませんので、今後、すべからくと言ったらなんですけど、大方の部分はやっぱり教育委員会の意向を知事と相談していただき、知事が我々議会に相談していただくと、そういうふうなシステムになっていただけるように、今、基本条例のPTをつくってやってますので、御承知おきいただいて、よろしくお願い申し上げて、長くなりました、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時57分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、3つの項目について質問いたします。
 第1項目と第2項目は分割方式で、第3項目めは一問一答方式でお願いいたします。
 最初に、救急医療体制についてお尋ねいたします。
 現在、救急医療体制は、救急病院、救急診療所の告示制度に加え、基本的には初期、2次、3次救急医療機関の機能分担になっています。
 私は、今回、和歌山圏域を初め、田辺、新宮圏域内の5カ所の医療機関を訪問させていただきました。それぞれの病院は救急告示病院となっており、そのうち24時間体制で脳卒中や心筋梗塞、頭部損傷などの重篤救急患者を受け入れ、高度の診療を提供する3次救急まで担っている医療機関は3カ所です。休日や夜間における入院治療を要する重症救急患者など2次救急を受け入れている医療機関は1カ所です。
 平成23年の県内の救急搬送人員は4万6163人で、平均すると毎日126.5人が搬送されていることになります。この数は、前年より増加しております。
 救急医療は、それぞれの医療現場の医師や看護師などのスタッフの奮闘に支えられ、県民の安心・安全に直結していることが、さらに訪問させていただいてよくわかりました。同時に、医師不足、看護師不足の実態を痛感したところです。労働組合の団体からは、依然として医師の労働は1カ月の超過勤務が100時間オーバーになっていることもあると聞いています。
 県としても、医師不足が全国的に問題となる中、これまでさまざまな施策が講じられてきましたが、現在、医師不足の実態をどのように認識し、今後の確保の見通しをどのように考えているのか、福祉保健部長にお聞きいたします。
 また、看護師不足についても依然として深刻です。ある医療機関では、救命センターを持ちながら、後方ベッドとしての一般病棟では7対1の看護体制がとれず、10対1の看護体制のままになっています。看護師確保に四苦八苦しています。それでも、看護体制が厳しい中でも実習病院として後輩の育成に努力され、一層過重労働となっている現状も感じました。
 決して、ゆとりがある中で学生自身も学べる環境ではありません。したがって、実習病院に新卒生が入職する数も年度によってはごくわずかのときもあり、看護師確保の困難さをうかがうことができました。
 そこで、新卒生の県内定着率はいかがでしょうか。また、子供が小学校に入学する時期に看護師が離職するケースもあり、看護師の皆さんから学童保育を充実させてほしいと強い希望が出ています。放課後児童クラブの拡充など、安心して働ける環境整備などを強化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、初期救急の現状と次期保健医療計画における救急医療体制についてお尋ねします。
 各病院の救急受け入れ患者の実態をお聞きしますと、2次、3次機能を持つ医療機関でありながら、相当な数の初期救急患者の受け入れも行っています。そのために、1医療機関で昨年の救急患者3万3333名、1日平均90名余りの受け入れを行っているところもありました。
 現保健医療計画においては、初期、2次、3次の機能分担と連携を進めていくことになっていますが、次期保健医療計画において、今後どのように考えられているのでしょうか。初期救急の現状と次期保健医療計画における救急医療体制についてお尋ねいたします。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、医師不足の実態の解消の見通しについてですが、救急医療を初め本県の医療提供体制につきましては、議員御指摘のとおり、多くの医師や看護師などの献身的な御努力により支えていただいております。
 県では、医師不足解消の抜本的対策として、和歌山県立医科大学の入学定員を従来の60名から100名へと大幅に増員するとともに、近畿大学医学部にも和歌山県枠を設置いたしました。また、ドクターバンク制度や産科などの不足診療科の医師を確保するための修学資金のほか、救急医療などを担う勤務医の処遇改選など、さまざまな対策を講じてまいりました。
 昨年4月には、入学定員の増員に伴う若手医師が、将来、県内各地で活躍できる環境を整備するため、和歌山県立医科大学内に地域医療支援センターを設置したところであり、定員の増員効果があらわれる平成26年以降には、着実に医師の充足が進んでいくものと考えてございます。
 次に、看護師不足の現状と強化すべき取り組みについてですが、看護師等学校養成所の卒業生の県内定着率につきましては、看護師3年課程において約8割であり、全国平均程度を維持しています。また、看護職員が働き続けられる環境の整備につきましては、病院内保育所の設置や運営の支援に取り組んでいるところです。あわせて、看護職員に限ったことではございませんが、学校の余裕教室等で実施されている放課後児童クラブについても、設置箇所数の増加を図り、子育て環境の整備に努めているところでございます。
 さらに、より安全で質の高い看護が求められている中、新たな看護基準の導入により、今後、ますます看護職員の需要の増加が見込まれることから、現在、養成所のない日高地方においては看護専門学校の新設を支援するなど、県内の看護職員の確保に積極的に努めているところです。
 今後とも、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を4本柱に、量と質の両面にわたる看護職員の確保対策に取り組んでまいります。
 3点目、初期救急の現状と次期保健医療計画における救急医療体制についてですが、初期救急医療体制の現状につきましては、比較的症状の軽い患者が休日、夜間に地域の病院に集中し、病院勤務医に過剰な負担をかけている傾向があります。
 このため、比較的症状の軽い方には、まずは地域の開業医で受診いただくため、救急医療情報センターにおける医療機関の紹介や子ども救急相談ダイヤル・#8000を通じた適切な診療の働きかけにより、救急医療体制の堅持に向けて取り組んでいるところです。
 次期保健医療計画においても、救急患者の症状に応じて、医療機関が役割分担及び連携して救急医療を提供できる体制づくりを引き続き推進するとともに、県民の皆様にも救急医療を正しく利用してもらうよう啓発することとしております。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 何点か要望をしておきたいと思います。
 医師不足の解消ということで先ほどもおっしゃってくださって、地域医療支援センターを設置し、平成26年にはやっと着実に医師の充足が進んでいくものと考えられてるということで答弁をいただいて、県民としても非常に安心する方向性が、着実に出てくるのかなと思ってるんですが、県下の中で、もともと和歌山県は北部のほうに医師が非常に集中しているという、この偏在の問題がありました。
 その点で、それはなかなか強制とかそういうことではならない課題だと思いますが、やはりその偏在を解消していくというあたりで、これから御苦労や、また、いろんな取り組みの中で、学生さん自身が卒業し、地域の医療を担っていきたいと、そういった思いになっていくような環境づくりというのが非常に大事じゃないかなと私は思うんです。
 地域の医療センターということがありますが、やはり地域医療というのは住民の皆さんが一緒になって医師を育てて、一緒に育ち合っていくという、そういう関係づくりとか、また、お医者さんの専門性が十分学べるようなシステムになっていくかというあたりの、やはり十分そういった当事者の先生方の要望もしっかり踏まえた上で、今後、定着や偏在の問題に取り組んでいただきたい。卒業してきたから、そこからじゃなくて、今からでもやっぱりそういった取り組みをぜひやっていってほしいなと思っています。
 看護師の問題では、新卒生が約8割卒業ということでは非常に安心したんですけど。県内へ行かれてる人がかなり多いとか、そういうことでなくて。しかし、新卒生が卒業しながら、現場に行かしてもらったら、介護保険施設での看護師さんの働きとか、いろんなところへ広がってることもあるんだと思うんですが、なかなか追いついていかないという現状も感じました。
 そういった中で、離職防止ということも言われましたが、その中で特にこの離職防止は、保健医療計画の中にも、院内保育のことは書かれてるんですけど、今離職されている中での悩みというのは、小学校就学前、低学年の子供を育てている看護師さんたちが、どうしてもやっぱりパートになったりとか職場を離れなくちゃいけないとか、そういうようなことをお聞きしました。
 女性医師も今非常にふえてきている中で女性の先生方も働き続けるためにも、この学童──今は、ごめんなさい、「学童保育」でなくって「放課後児童クラブ」と表現するということですが──そこをしっかりと、これ、子ども未来課さんとかが担当課になるんですが、あわせて女性が働き続けられる環境づくりというのをやっぱり急ぐとか、強力に進めていただきたい課題ではないかなあと思っています。
 4本柱のそれぞれにということだけでなくて、やはり今の実態を見て、一番、今ここを強化したらいいなというあたりも含めて、十分実態をつかんだ対策をぜひ講じていただきたいなということを要望して、次に入らせていただきます。
 2つ目は、介護保険制度についてお尋ねします。
 最初に、2012年の介護保険法改定と介護報酬改定の影響についてお尋ねいたします。
 まず、介護保険料の大幅値上げについてお聞きします。
 今回の制度の見直しで、和歌山市の場合、65歳以上の方の介護保険料基準額は年間6万9750円になります。第1段階──世帯全員が市民税非課税で老齢福祉年金を受けている人のことですが──でも年間3万4870円、和歌山市の場合、納めなければなりません。前々回の改定から6310円も引き上げられています。多くの方から悲鳴の声が上がっていますが、どのように受けとめていらっしゃいますか。
 次に、今回の改定で、特に生活援助の見直しがされました。これまでの30分以上60分未満、60分以上という時間区分が、20分、45分の時間軸を基本に、20分以上45分未満と、45分以上に再編され、介護報酬が2割近くも引き下げられています。利用者や事業所の方々など、介護現場で困っていることがないでしょうか。時間短縮によって、利用者の皆さんにとって深刻な生活後退が生じているのではないでしょうか。
 また、介護職員の処遇改善交付金が介護報酬に組み込まれ、処遇改善加算が新設されましたが、介護職員の皆さんの処遇改善につながっているでしょうか。
 次に、介護職員が行う医療行為の法制化についてお尋ねします。
 昨年、社会福祉士及び介護福祉士法改正によって、たんの吸引、経管栄養が介護職の業務として法律上容認されました。しかし、具体的な取り組みは都道府県にすべて丸投げされています。県としてどのように受けとめていますか。
 以上、福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 奥村議員、分割方式で、もう1つ残ってませんか。よろしいんですか。
○奥村規子君 もう今質問しました。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、介護保険法改正、介護報酬改定の影響についてですが、今回の改定では、高齢化に伴う介護保険給付費等が増加したため、高齢者の介護保険料基準額の県平均が月額5501円となり、前期に比べて18.9%増加いたしました。
 県としては、本年6月の政府提案で、介護保険料の軽減のため、国の負担割合の引き上げを提案したところであり、今後も関係者の意見をお聞きしながら、制度改正を行う国の動きに注視して必要な提案、要望を行ってまいります。
 また、生活援助の見直しについては、利用者から、訪問介護の時間区分変更により、事業者から生活援助サービスの提供時間を60分から45分に変更してほしいと言われ、サービスの提供時間の短縮で日常生活に影響が生じるといったお話もお聞きしています。このため、事業者に対して、一律に提供時間を短縮するのではなく、利用者のニーズを再度見直した上で必要な量のサービスを提供するよう指導しているところです。
 次に、介護職員の処遇改善については、今年度から介護報酬において介護職員処遇改善加算が創設され、昨年まで実施していた処遇改善交付金と同程度の1万5000円の賃金引き上げ効果が見込まれています。そのため、できるだけ多くの事業所等において活用されるよう、積極的に呼びかけているところです。
 次に、介護職員が行う医療行為の法制化についてですが、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、今年度から一定の研修を受けた介護職員は、安全体制が確保された施設などにおいて、たん吸引など、定められた範囲内の医療行為ができるようになったところです。
 そのため、県では、昨年度から講義、演習及び実地研修で構成するたん吸引等の研修を実施しています。また、施設等に対しては、医師、看護師等による連携など、利用者及び介護職員の双方に安心なケアを提供できる体制を確保するよう指導しているところであり、今後もより一層、安全な介護サービスの実施に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 介護保険料について、これはまあ国の制度ということになるので、県としてしっかりと国に向けて言っていただきたいなという気持ちで再度要望をしたいと思います。
 介護保険料が負担能力を超える高さになっていることについては、これまでも訴えてまいりました。もうこれ以上上がったらとても生活ができないということ、この介護保険料だけでなくて、後期高齢者医療制度の保険料、いろんな負担感が非常に大きくなっていると思うんです。
 何より必要なのは国の負担割合を引き上げることで、県としても要望しているということです。ぜひ強く、しっかりと県民の皆さんの具体的なリアルな声を届けてほしいなというふうに思います。
 同時に、昨年度までの介護保険安定化基金を取り崩して、国、県、市町村にそれぞれ3分の1ずつ返されました。県の分は基金に積み立てられましたが、これを保険料軽減に使うため、県としての減免制度をぜひ検討していただきたい。前の議会でも申し上げたんですが、再度、検討していただきたいなと思っています。
 生活援助サービス、これは先ほども申し上げたように、時間が短縮をされたことで、ヘルパーさんが調理する時間がなく、コンビニ弁当にしたとか、また、一緒に買い物に行けない、それでゆっくり話す暇もないということで、体調変化に気づきにくくなったなど、さまざまな問題が起こっています。
 そもそも介護保険は、高齢者が質の高い生活を過ごしていくとか、また、そういうサービスを利用することで、何というんですか、介護を受けることによって自立した生活にできるだけ向かえるようにするとか、そういった制度のそもそもの成り立ちやと、目的やと思うんです。
 そういったところからいけば、訪問介護は利用者の在宅生活には欠かせない援助ということで、ヘルパーさんはかけがえのない存在として、これまで社会的にも大きく貢献する職種として広がってきたと思います。命と暮らしを守る命綱とも言える存在です。
 県は、必要な量のサービスを提供するよう指導しているということですが、時間を短縮しない生活援助を行えば、その事業所が経営的にやっていけないという問題にもなります。こうした現場の問題をぜひ掌握して、生活援助の短縮をまた早急に見直すよう国に働きかけていただきたいなというふうに思います。
 介護職員の処遇改善は、昨年度の交付金が、ことしからは介護報酬の加算に変更されたわけで、そのことで実際の待遇がどうなっているのか、これもぜひ実態を把握していただきたいと思います。
 介護職員の医療行為法制化については、そもそも医療行為は専門的訓練を受けた医療職が行うべきであって、医療も介護も体制の整備を図ることこそ求められていることではないでしょうか。その立場で取り組んでいただくと同時に、この問題では、県が行う研修を拡充して保障することを要望したいと思います。
 これまで、法制化された上で研修をしなければいけない中で、その研修の会場がやっぱり和歌山市というか、そのところに偏ってるんじゃないかなと思いますし、やっぱり現場から研修に出かけるというのは大変な面もありますし、会場も南や紀北筋やいろんな受けやすい状況にしていただくなど、現場からの意見もあわせて、研修の回数とか、そういったこともぜひ検討していただきたいなということで、要望にさせていただきます。
 次、第3項目です。県営住宅における家賃問題についてお尋ねいたします。
 そもそも公営住宅は、憲法25条で明記されている人間らしく生きる権利、生存権を保障する制度として、公営住宅法に基づいて国や自治体がその整備に責任を負う住宅です。公営住宅法では、安い家賃で良質な住宅を低所得者に賃貸すること、また、「地方公共団体は(中略)低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」と定めています。
 この県営住宅の建てかえによる家賃の値上がりで不安が広がっています。川永団地では、建てかえに伴い、ニューかわなが団地に転居する人や建てかえ後の団地に再入居する人がいます。しかし、新築されたことや広くなることで家賃が上がるため、特に高齢の人にとっては住み続けられない問題が起こっています。家賃値上げに傾斜をつけるということですが、それも高齢者には大変です。
 建てかえに伴う家賃値上げの状況はどうなっていますか。また、県としてはどのような対応をされていますか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県営住宅の家賃につきましては、公営住宅法により、入居者の収入、立地条件、規模、設備状況及び建設時からの経過年数に応じて定められており、建てかえ後の家賃算定についても同様に行われます。
 建てかえ事業に伴う家賃値上げの状況につきましては、設備が充実、例えばふろがなかったところにふろを設置するといった、充実されることなどにより以前に比べ家賃が上昇しております。
 対応策としましては、家賃の激変緩和の特例措置として5年間の傾斜家賃を実施するとともに、建てかえ後の家賃上昇を抑えるため、面積の小さい住宅をふやしております。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 川永団地の場合、まだこれからだと思いますが、やはり家賃が5年間でずうっと上がっていくということで、今住んでいるところからいえば非常に値上がり感というのは確かにあると思うんです。
 そういった状況の中で、自分がそこに──御高齢の方がやっぱり多いので、今、和歌山県というのはひとり暮らしの方が全国から4番目というぐらいに多い状況の中で、その住宅に入られてる方も、ひとり暮らしの方とか御高齢の方、その方たちがそこへなかなか行けないとか、また違うところへ移らなければいけないとかいうことであれば──今、お年寄りにとって住み続けられる、そういう環境の中で過ごしていくということが安心な過ごし方やということは高齢者施策の中でもあるわけで、そういう中で転居をしなければいけないというのは非常に大変だと思いますので、1人1人への対応をしっかりよろしくお願いしたいなと思います。
 次に、最後に知事のほうにお尋ねしたいと思います。そういった低所得の人への家賃減免制度についてお伺いします。
 この減免制度が拡充されれば、建てかえに伴う家賃値上げも軽減されると思いますので、この点からも拡充ができないか、そういった点でお尋ねしたいと思います。
 公営住宅家賃の算定基盤となるのは、公営住宅法施行令で決められた政令月収、つまり収入から給与、所得控除や年金控除などを引いた額の月割所得です。この政令月収が10万4000円以下では、家賃算定基礎額が3万4400円となって、その後、政令月収がふえれば上がっていく仕組みになってますが、10万4000円以下の部分が一律となっているため、この中での収入の幅が広く、低所得の人には重い負担となっています。
 老齢基礎年金の方は月約6万5500円の年金ですが、政令月収はゼロとなります。それでも、3万4400円が家賃算定基礎となります。
 この収入分位の中の低所得の人には、家賃の減額が必要だと考えます。和歌山県の場合、減額対象は、収入そのものが生活保護法における最低生活費と比較して0.3以下である場合は5割減額、0.5以下で3割減額、0.5から1以下では1割減額となっています。
 先ほどの老齢基礎年金のひとり暮らしの人の場合は、生活保護基準のおおよそ9割程度であり、1割減額となります。収入がゼロでも5割。最低生活費の半分というと、月3万5000円程度の年金の方で3割減額です。月2万とか3万の収入では、そもそも生活できませんから、この減免というのは実質的にはほとんど活用されない制度ではないでしょうか。
 しかし、例えば北海道の住宅家賃減免規定では、政令月収7万1000円以下で減額対象となります。1万3000円以下では最低負担額3500円の家賃となります。老齢基礎年金の方なら家賃は3500円です。北海道の場合、入居者の約7割が10万4000円以下の層であり、その中で7万1000円以下で減額対象となる人は3分の1だということです。
 奈良県の県営住宅の家賃の減額規定も、政令月収により決められています。政令月収4万円未満なら6割減額、5万2000円未満なら4割減額となっています。
 和歌山市の市営住宅家賃の減免規定を見ても、政令月収1万円以下の場合、5割減額などで、やはり政令月収が基準になっています。
 和歌山県としても、生活保護の最低基準を下回る世帯だけではなく、段階的な政令月収による減額制度を設けなければ住み続けるために必要な家賃減免にはならないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、県営住宅条例に家賃の減免または徴収猶予について定めながら、要綱では、基本方針として、まず生活保護法の住宅扶助受給の意思を確認し、次に低家賃住宅への住宅交換を指示し、その上で減免等の措置を講ずるとあります。つまり、家賃が払えなくなれば生活保護で対応し、受給できない場合は低家賃の住宅に移ることを指示する、その上で減免するというものですから、この家賃減免を受けようと思えば、まず安い住宅に移ることが条件となってくるわけです。これはおかしいのではないでしょうか。
 そこで、知事に、県の低所得者減免を拡充する考えはないか、お尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 安全で健康的な住まいを提供するのが我々県の仕事でありまして、一方、適正な家賃をもって徴収することで、民間住宅賃貸者や、あるいは自分の家にお住まいの方とのバランスも考えて、また財政の維持継続性も考えて、県営住宅を適正に維持管理していかなければなりません。
 他方、公営住宅の性格上、全員一律の家賃ではなくて、応能の原則を適用して、所得の低い人には低額な家賃で提供している面もございます。
 建てかえ後の県営住宅は、施設もよくなり、住み心地がよくなっており、さきに申し上げましたような理由で便益に応じた負担をしていただかないといけませんから、家賃も上がることとなります。この場合も、一律に上げるのではなくて、やはり先ほど言いましたような応能応益により、所得に応じて家賃を設定してるわけでございます。
 このようにきめ細かく定めた家賃でも、さまざまな事情で負担できない方々には、近隣の低額家賃の県営住宅への移転や家賃の減免制度の活用を提案するなど、個々の状況に応じた対応を行っておりまして、奥村議員御提案のような減免制度の拡充はできないし、またやるべきではないと、そんなふうに思います。
 もしこれを強行いたしますと、例えば民間アパートを提供して生計を支えてるような人が過剰に圧迫されるということも起こるでしょうし、あるいは自分の持ち家を持っておられる人も、必ずしもぜいたくな、あるいは豪華な家に住んでる方ばかりとは限りません。そういう方に対して不公平感を与えるのも、またいかがということでございます。
 ということで、現状でよろしいんではないか、そんなふうに考えております。
○議長(山下直也君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度、知事に質問させていただきますが、この県営住宅というのは、募集に、住宅に困っている低所得者の方々のために建てられた賃貸住宅ですということがあるので、そういった面でぜひ低所得の方も──あの基本方針では、生活保護というところも含めて、それで本人に、1人1人のいろんな事情があるんです。そのことで相談に乗っていただいたりということでは、担当のほうでしていただいてるんですけど、その中でこの家賃の減免の制度の、先ほどは活用ということもおっしゃってくださったので、その点については、基本方針というのは、そういった安い家賃のとこを紹介するとか、また、どうしてもあれだったら福祉的にやっぱり生活保護のほうを勧める、勧めて、その上で、安い家賃のほうへ指示するとかという形で基本方針に書かれてるもんで、そうでなくて、やっぱり生活保護は申請でするわけで、いろんな本人の相談に乗る場合に、運用する場合に減免制度の周知もぜひ徹底をしていただきたいなというふうに思うんです。
 あの基本方針の部分では、非常に私も意見があるんですが、先ほども言わしてもらったんですけども、そういった点でぜひもう一度検討もしていただきたいな、今現在の減免制度をまずしっかりと活用をしていただきたいなというふうに思います。
 ただ、この県営住宅の募集が、住宅に困っている低所得者の方々のために建てられたというところでは──これは要望なんですが──家賃は所得に応じた応能応益制度ということです。この応能というところがまず問題で、先ほども応能ということで言われましたが、政令月収が10万4000円までが一律だということで、低所得者の部分が応能になっていないのではないかというふうに思うんです。
 低所得の人には、大変多い家賃負担になっているので、ここを都道府県の減免制度で応能負担にすべきだというふうに考えています。北海道やほかの県では、政令月収の一定部分までを減免しています。和歌山県の場合は、最低生活費までが対象ですから、政令月収でいえばゼロ円の人しか対象にならないことになります。
 こういうことで、ぜひ今後も検討をしていただきたいなということを要望して終わらせていただきます。
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。(拍手)
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 議長の許可をいただきましたので、それでは一般質問に入らせていただきたいと思います。
 今朝来から、すごく密度の高い質問が続いておりましたので、ちょっと私はリラックスしていただけるような質問をさしていただいて、務めをさしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、大津市の市立中学校の2年生だった男子生徒が自殺にまで至ったいじめ問題について質問をさしていただきたいと思います。
 このいじめ問題につきましては、9月議会、また今議会の議場でも、午前中においても同僚議員の皆さんよりたくさんの質問がされたところですが、命が失われている現実を考えると大変重要な問題ですので、よろしくお願いいたします。
 大津市内で、昨年10月、中学2年生、13歳がいじめで追い詰められ、みずから命を絶ちました。しかし、この事件を我々が耳にしたのは、ことしの春以降であったと思います。その後、毎日のように報道機関がもたらす情報のその内容に、驚きとともに大きな衝撃を受けました。どの映像や文面も、涙なしでは読むことはできませんでした。悪夢を聞かされているようでありました。
 その報道によれば、父親の訴えを学校や教育委員会は全く相手にせず、警察への訴えも、3回にわたって提出しようとした被害届を警察が受理してくれなかったとなっていました。
 これでは、大方の保護者はその他の対応のすべを知らず泣き寝入りである。報道がもたらす情報からは、いじめられていたという客観的事実が明白なのにであります。特に大津市教育長の発言の数々は、全く常軌を逸しているとしか考えられず、教育長発言の報道を耳にした国民は、怒りさえ覚えたと思われます。年端もいかない子供の死にむち打つかのようでありました。これでは、子供の死は浮かばれることはない、全く気の毒であると考えたところであります。
 しかし、こうした現象はなぜ起こり続けるのか、学校の先生方は、生徒の思春期のデリケートな感情を理解できていないのではないか、そこまでして学校を守らなければならない理由は何か、理解できないことばかりであります。
 この事件以降も、子供たちのいじめによると思われる自殺がとまりません。文科省のいじめ調査によると、ことし4月から9月までの半年間で、何と全国で14万4054件に上ったと報告されておりました。たった半年間のいじめの発生件数でございます。また、年間300人にもなんなんとする子供たちが毎年毎年自殺しているのだという。言葉も出ない。他山の石とすべきでありますが、和歌山県教育委員会、そして県内の教育委員会の現状と課題をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめに対する県内の現状と課題についてお答えいたします。
 議員がお話しされたとおり、子供がいじめによりみずからとうとい命を絶つということは絶対にあってはならないことであり、1人の犠牲者も出さないよう、万全を期していじめ問題対策に取り組んでいるところでございます。
 本県のいじめの現状につきましては、文部科学省が実施した緊急調査の結果、本年4月から8月までの県内公立学校におけるいじめの認知件数は合計236件となり、わずか5カ月で前年度を139件上回る増加となっております。この背景には、各学校におけるいじめに対して教職員が軽微な事案でもしっかりと向き合う、そういう意識の高まりがあると感じております。
 県教育委員会といたしましては、このいじめの認知件数の増加を厳しく受けとめて、かけがえのない子供の命を守るという強い決意のもと、11月から市町村教育委員会と県立学校を直接訪問し、いじめアンケートの結果の状況やいじめ問題への対応についてヒアリングを実施してまいりました。
 課題といたしましては、そのヒアリングの中で、いじめの認知や個々の問題に対するばらつきがかなり見られ、実態把握や対応についても不十分さが明らかになったことから、各学校の実情を踏まえ「いじめ問題対応マニュアル」や知事メール、教育長メール等の積極的な活用、さらには県内のすべての児童生徒及び保護者に配布しているいじめ相談先を記したリーフレットやカードの活用等により、1人1人の子供が発する悩みや苦しみのシグナルを、アンテナを高くしてしっかりと学校全体で把握し、早期発見及び迅速かつ的確な取り組みの徹底を図るよう指導しているところでございます。
○議長(山下直也君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 丁寧な答弁をいただきました。
 今、教育長が御答弁いただきましたように、やっぱり学校で病んでる子供たちが大勢おる、これも揺るぎない現実じゃないかなと思います。ぜひ、そうした側面でお力添えをいただきたいと思う1人でございます。
 これで、少しだけ。
 このいじめのことで報道がすごく続きました。そんな中で、ちょっとこんなにまでの報道の状況が──これ、マスコミの報道ですので、それがすべて正しい報道だったんかどうかというのは検証ができていませんので、そこら辺のところは加減をしながら聞いていただいて、お許しをいただきたいんですが、例えば、この7月に、「読売新聞」に、「いじめ 先生は隠していた」というタイトルになってるんですよね、すごい大きなタイトルで。
 これ、現場の先生方、あるいは教育委員会の皆さん方からすれば衝撃的なタイトルだと思うんです。「いじめ 先生は隠していた」。隠しているような状況の中で、この問題がクローズアップするはずもなければ、子供たちの本当の叫びが解決のほうに行くこともない。こんなすさまじいタイトルの中、その中で子供たちの言葉が出ています。
 「市教育委員や学校への不信感も根強い。アンケートに無記名で答えた2年女子生徒は、こう打ち明けた。 『ほかにも小さないじめはたくさんあり、何とかしてと願いながら書いたのに無視され、がっかりし、むなしかった。この9カ月間、先生も生徒も何もなかったかのようにしてきたけれど、忘れてはいない。外の人だろうが何だろうが、やっと動いてこじ開けてくれると思うと、ほっとする』」。子供たちの正直な言葉の1つではないかと私は思ってしもうたんです。
 もう1~2点だけ御紹介させていただきましたら。2年生の女子のことで、「いまだに先生は事件のことを何も話してくれない。捜査が入ったからには徹底的に調べてほしい」。子供がこんな思いをするわけですよね。これは、こういう状態で先生方が気づかなかったとか、何とかかんとかということが、本当に申しわけないんだけど、信じられないというか。その生徒の言葉はまだ続くわけですけど、「私たちはいじめを止められなかったし、先生も止めなかった」。いじめをとめなかったと端的に書いてるわけです。
 その日に、校長先生が校内放送で、捜査を受けたことに触れて、こんな言葉を言うたというのを書いてるわけです。「大変心配をかけた。学校で安心して生活を送ってほしいと、先生たちも努力していることを分かってほしい。学校全体で頑張っていきましょう」と、これだけのコメントです。「先生たちも努力していることを分かってほしい」──僕、この校長先生のこのタイミングのこのコメントがほんまに適正だったんかどうか。子供たちが、この先生のアナウンスを聞いて、どういうふうに感じたやろかと。「大変心配をかけた」──心配をかけたというような話のレベルじゃなくて、子供の命を絶ったわけですよ。心配をかけたレベルの話でなかったと私は思うわけです。
 それを、子供やさかいという、生徒やさかいという、そういう思いの中での指導者の立場の中での言葉であったんだろうとは思うんですけど、「学校で安心して生活を送ってほしい」、「先生たちも努力していることをわかってほしい」と。「安心して生活を送ってほしい」というのは、そういう環境が整えられてこそ安心して生活が──これで生徒の皆さん、安心して生活できる環境が整えられたと自信を持って言えるときに「安心して生活を送ってほしい」という言葉を用意していただきたいなと。そういう環境でないときに、こういうことを学校長が校内放送でされても、果たしてどこまで子供たちの心を、校長先生がこんなにまで言うていただいてんねんから、これから安心してみんなで頑張っていこうという気持ちになったかどうかというあたりがすごく疑問だなあ、そんなふうにも考えました。
 もうこの新聞報道、御紹介させていただくと切りもないので、ここできょうは──いつも私、席が前ですので、教育委員会の委員長さんがお座りいただいてます。この問題というのは、教育長さんの1つ1つの判断が和歌山県内の子供たちのこの状況を改善していく。いじめがゼロでないという報告が今朝来からもありましたので、そういう思いで、一心同体で活動をしていただいてるというふうに思うわけですけども、一度、申しわけありませんが、教育委員会の委員長さんに思いをお聞きしたいと思いまして、私のほうからこういうテーマでお願いできないかということをちょっと朗読させていただきます。
 大津市中学校の自殺問題が終えんを迎えていないさなかにも、全国各地で子供たちが死に急いでいます。大好きなお父さんやお母さん、同級生との別れに小さな心を痛めながら、あるときは少しのメッセージを残して。わかっていることは、子供たちのだれひとりとして本当は早く死にたいのではないんです。生きていけないと考えるほど精神的に追い詰められているのであります。デリケートな子供たちの心を我々がキャッチできていないことに問題があると私は思います。
 ましてや、子供たちの責任にしてしまうようなことはあってはならないと思います。どうしたらいいのでしょうか。いじめで苦しんでいる子供たちへの思いを、和歌山県教育委員会委員長より一言お話を聞かせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(山下直也君) 教育委員会委員長山下郁夫君。
  〔山下郁夫君、登壇〕
○教育委員会委員長(山下郁夫君) ただいま議員御指摘のとおり、いじめによって子供がみずからの命を絶つという、あってはならない悲しい事件が他県で発生しました。本人の無念さはもとより、残された家族や親類など、自責の念に駆られ、言葉では言いあらわせないほどつらく苦しい思いをされていると推察いたします。
 いじめは、命にかかわる重大な問題であると、子供を含めみんなが認識し、それぞれの立場、いわゆる学校、家庭、地域社会の皆さんが、いじめは絶対に許さないという毅然とした強い姿勢でこの問題に立ち向かうことが大切だと考えております。
 県教育委員会としましても、すべての子供たちがいじめで苦しんだり悩んだりすることのないよう、全力を挙げて覚悟を持って取り組んでいく所存でございます。
○議長(山下直也君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございました。
 本当に大変僭越だったかわかりませんが、教育委員会の委員長のお言葉を直接県民の皆さんにメッセージとして発信をしていただけたらと思いましたので。
 そのお言葉の中に「覚悟」という言葉をいただきました。すごく大事な言葉だというふうに思います。ぜひ重責をお務めいただいております覚悟を持って、これからの未来を託す子供たちを健全に育てていける環境づくりに邁進をお願いしたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ここで、しつこいようなんですが、1つだけ。
 実は、私は学校の現場の先生の立場を務めたこともありませんし、そういう機会って少なかったんですが、もう今から10年ほど前なんですが、白浜の町のほうで務めをさせていただいたときに遭遇したことを御紹介して、この項を終わらさせていただこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
 夜の、たしか8時か9時ごろです。7時ごろまでその役場のほうにおりまして、帰って1~2時間してから電話かかってきまして、電話のかけ主は白浜町の教育長でした。お電話いただいて、私に「すぐに、申しわけないけれども、役場に帰ってきてもらえんやろうか」というような内容でした。「先生、こんな時間に何」と言ったら、声が引きつってる、そういう思いがしたんで、もうくどいことを言わんと「わかりました」ということで、すぐに行かしていただいたんです。
 そしたら、その教育長室に御夫妻2人がおられて、50代ぐらいの──50ちょっとぐらいだったと思います──その御夫妻が教育長が向かってどなり散らしてる現場に入っていくことになったんです。それが朝方の3時ごろまで続いたと思うんです。3時ごろというのは、もっと朝まで続きそうだったわけですけど、私が途中で「お母さんの言われてることはよくわかりましたので、またきょう朝からの仕事もありますので、ここら辺でひとつお引き取りをいただいて、その問題はこれからの課題にさしていただけませんか。私も重く受けとめさせていただきますので」ということで、何とか帰っていただいたんですが、その中身なんです、中身。
 中身が、ちょっと失礼な表現やったらお許しいただきたいんですが、現場がこういう事態であるということをやっぱり我々は心に強く残しておかなきゃならんと思うからです。
 お母さんが教育長に向かっている、まず言うてる言葉が「おまえが悪いんや」と、こんな言葉なんですよ。「おまえのせいや」とこういうことです。これを何時間も続けてるわけです。御主人のほうは、横で座っておられたんですが、このお2人、実は公務員ではありませんが、準公務員のそういう職場におられて、収入は恐らくお2人でお勤めでしたので、豊かな収入だったんではないかと思います。
 大事な子供、男の子だったようで、育てていたのに、中学校ごろにいじめに遭うた。そのことを学校側がすごくあしろうてしもうた。きちんと取り上げてくれなかった。しかし、それでも子供たちって育ってはいくんですが、残念ながら、この子供さん、どういう事態を起こしたかいうたら、何とか中学校を出たんですけど、地元の高校へ行ったら、そのいじめられた対象の子供たちと別れられるやろうということですごく期待を持って地元の高校に入りましたが、どっこい、高校は離れたけども、それがそのまま続く、縁が切れなかったようで、それで今度は大阪のほうの専門学校に行かしたんですが、子供さんはもう精神的にダメージを受けてて、もとに戻らないんですよ。
 大阪でひとり暮らしを始めると、家の中をバッドで振り回してぐちゃぐちゃにしてしまうわけです。その気持ちが、お父さん、お母さんが守ってくれなかったという側面も子供としてはやっぱり持ってるんじゃないかな。というのは、その両親に向かっても暴力を振るい始める。それは、とんでもない暴力の状態で、生きていくことは不可能やというレベルの状態だったというふうに認識しています。
 それで、また定期的に役場のほうにその御夫妻が来られるようになりまして、困り果てるわけですけど、もう解決法はないんです。もう18、19に高校を出て、専門学校近くまでの年齢だったんですが、その後、突然解決することになりました。
 それは、解決と言うてええんかどうかとまだ思うんですけど、どんなことが起こったかというたら、お母さんが突然亡くなったんです。どうやらクモ膜下出血のような状態かなと思うんです。たしか53前後だったと思うんですが、そらお母さん、寝ることなく、大事な大切な子供が精神異常を起こしてしまってるわけです。
 私はここで知っていただきたいのは、全国でいじめられて何とか解決した、解決したという結論を得られた先でも、その家族の中の葛藤が続いてる家庭のほうが多いんではないかな。これは、やっぱり年間、きょうも14万なんなんとする、たった半年間の統計でそれやということだとしたら、ダブってもくるだろうと思いますので1年でトータルするとその掛ける2倍ということにはならないと思いますけれども、しかし、やっぱり青少年が健全に育たなかった、育たなかったことによる国家的損失というのは、もうはかり知れんもんがあるんと違うか。
 そういう側面で物を見るというのも不謹慎なとこがあるかもわかりませんけども、せっかくこの世に命をもらって生まれてきた子供たちが、そんな状態で精神異常を起こして、地域でも溶け込むこともできず、自分の命を絶ってしまわなければならないような事態に陥ってるということ自体が、どこに何の原因があったかというふうに単純に考えてみましたら、学校へ行ったからなんですよ。学校へ行ったから。学校さえ行かさなかったら、子供はこういうことにならなんだん違うんかということも考え方の1つとして。
 残念ながら、子供はそれでも、あんだけひどいいじめを受けても毎日行こうとする。義務教育──教育に義務をつけてるわけですね、国民に。「義務教育」という言葉の認識をどこまで子供たちが持って、その行動を起こすのかは知らないですけど、やっぱり友達とおりたい。勉強しておかなあかん。そういうけなげな思いの中で、学校にいじめ倒されて──せんだってもありましたよね。東京のほうで鉄道に飛び込んで女の子が自殺した。その直前まで学校へ行ってるわけですよね。そんなひどい状態でも、やっぱり学校は行かなきゃならんと、そういう思いをきちんと持って、健全に育とう、育とうと思い続けて、しかし、もうある日突然その線が切れてしまうんですよね。命を絶つという行動で社会に問題提起をしている。我々大人に対して、大きなSOSを、国家的SOSを発信してくれてるんではないかと私は思いたいんです。
 そういった意味で、申しわけありませんが、大変重たいテーマを教育委員会の皆さん方に持っていただいて、しかし、これはやっぱり我々の大事な宝である子供たちを預からさしていただいてる、子供たちにきちんと学力もつけ、社会性から「道徳」という言葉も今朝来からありましたが、やっぱりそうして一人前の人間として送り出していただく、そういう重要な、一番重要な役割を担っていただいてる。その上にこうしたテーマを持って、肩に置いていただくというのは、まことに申しわけない思いもするわけですけど、社会的にそういう大きな使命を持った現場であるということの認識をいただいて今後とも御尽力をいただきたいなと、そう思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に入らせていただきたいと思います。
 2つ目のテーマですが、災害支援活動を行っていただいてる自衛隊の活動部隊の誘致についての当局のお考えをお尋ねしたいと思います。
 昨年の東関東沖大地震とそれに伴う巨大津波の襲来の後、遺体の収容や膨大な瓦れきの整理と処理、避難した方々への生活支援など、派遣された自衛隊が多岐にわたって活動・活躍してくれたことは、国民の皆さんがひとしく知るところです。被災地を訪れた折にも、自衛隊の活動に対する感謝の言葉をどんだけ市民の皆さん方から聞かされたかわからないほどであります。
 震災直後から投入された自衛隊の組織力により、まず大切な一般道などインフラの整備を初め、市民活動のスピーディーな回復に大きな結果を残し、その存在が震災や津波で傷ついた市民の心の支えにもなったように思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 現在、県内には美浜町に自衛隊の駐屯地と大島にレーダー基地など、由良のほうにも海上自衛隊の基地があるというふうに伺っていますが、近く来ると言われてる地震や津波に対する備えとして、紀南から新宮までの間にもう1カ所ぐらい自衛隊の駐屯地の誘致という表現が正しいんかどうかわかりませんが、駐屯地を設置してもらうというようなことができないものでしょうか。
 そのことについて、当局のお考えをお尋ねしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 本県における自衛隊の状況でございますけれども、陸上自衛隊304水際障害中隊が美浜町に、海上自衛隊由良基地分遣隊が由良町に、航空自衛隊第5警戒隊が串本町にそれぞれ配置され、我が国の安全保障、大規模災害時の救援活動などに活躍されてございます。昨年9月の紀伊半島大水害の際には、いち早く被災地に入り、人命救助活動を最優先に、物資輸送、河川・道路の応急復旧活動など、極めて大きな活躍をされました。
 近い将来、東南海・南海地震が発生する可能性が極めて高い本県にとって、地域に密着した自衛隊の存在は県民に大きな安心感をもたらすものであり、存在意義は大きいと考えてございます。
 県といたしましても、自衛隊に来ていただきたい気持ちは十分あるわけでございますが、現在では、国の防衛政策上の判断などもあり、難しいものと認識してございます。しかしながら、これからも機会をとらえ、誘致してまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 この自衛隊の県内への誘致といいますか、設置をしていただけると、今度来ると言われている地震や津波、そのほかの自然災害がありますよね、県民の生命と財産を守る姿勢を県民に向かって伝える強いメッセージになるというふうに私はまず考えます。
 実際、そういう災害が来るか来んかというのは、統計学的な感覚でいえば30年後ぐらいに70%であるとか、そういう数字というのは科学的な見地から出ていますが、実際に来るんかどうかというのは横に置いたとしても、やっぱりこの自衛隊のそういう機動力の存在というのは、すごく県民に安心を高める。和歌山県の執行部自体も、災害自体は防げなくても、災害が起こった以降に必死になって県民の皆さんの生命と財産を守る、そういう意思を県が強く持っていただいてるという、繰り返しになりますが、大きなシグナルになるんじゃないかと思います。
 そもそも自衛隊自体は、基本的な成り立ちというのは、この災害復旧を目的として設置されたものではないと思うわけでありまして、これを目的に自衛隊の導入というか設置というのは、誘致というのは不謹慎な、あるいはひょっとしたらその目的から逸脱したことなんかもわかりませんが、やはり組織的にあれだけ規律をきちんとした中で、重大な成果というか結果を出していただける団体としては、我々としては、残念ながら自衛隊の組織とか限られた組織しかありませんので、ぜひそういった意味で、甘いかもわかりませんけれども──そしてまた、今まで災害が起こったところも、自衛隊の基地から遠ければ、依頼をお願いして来ていただくまで時間的タイムラグというか、時間がやっぱりかかりますよね。今回でしたら、仙台といったり、割と大都市に近かった、そういう場所でもありましたので、比較的早く来れた部類、駆けつけられた部類だったんではないかと思うわけです。
 今度来ると言われる南海・東南海道地震のことは、もう皆さん方、御存じのとおり、南のほうは壊滅的なダメージを受ける。道路から何からなくなってしまうんではないかというふうに考えられるわけです。そうしたときに、近くにその存在があれば、駆けつけていただくというよりは、その場所から直ちに人命あるいは財産を守るための活動を展開していただける。これほどスピーディーなタイミングはないんではないかと、勝手にそんなことを考えてしまいまして、そういった意味で、今御検討もいただけるということですので、ぜひそういった意味で御検討いただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 3点目です。次に、JR紀勢本線の線路の改良についてお伺いをさしていただきたいと思います。
 去る11月19日でしたか、三重県津市で行政のシンポジウムがあり、議会のほうから派遣をいただきまして出席をしてまいりました。
 このときに、車で行こうか正直迷ったんです。私は今白浜町ですので、南まで行くと4時間ちょっと、電車でも4時間ちょっとと、ちょうどそういう同じ位置にありましたので迷いましたが、紀勢本線の利用促進のための取り組みももう長年叫ばれておるということもありまして、強いて電車で行くことにさしていただきました。
 片道4時間余りの乗車時間でございました。朝8時台のJRの白浜からの電車で大阪に向かいまして、近鉄に乗りかえ、三重県津市の会場に着きました。このとき、JR紀勢線の乗り心地と近鉄電車のそれとの余りの違いに正直びっくりをいたしました。わかってたつもりではあったんですが、びっくりしたんです。
 紀勢本線の場合、カーブが多いためか、レールのきしみ音や連結部分のガタンゴトンと体がずれ下がるぐらいの振動や音がそのまま乗客席まで伝わってきます。いわば体がその都度振り動かされているような状況でありまして、その上、横揺れがひどくて、正直気分が悪くなるほどでありましたけれども、近鉄電車はレールの上を滑っていくような、そんな感覚でした。もちろん、横揺れやレールのきしみ音や連結部分の音などはほとんどなく、お茶をゆっくり飲みながら新聞や雑誌を読んでいても酔いを覚えることはなく、快適な旅行気分でございました。一瞬、新幹線に乗ってるような錯覚に陥ったような状態を覚えました。
 このことは、きょう御出席をいただいております知事を初め、きょうこの議場に入っておられる方々は十分御存じのことなのではないかと思います。
 紀勢線の乗り心地の悪さは、残念ながら大変有名でありまして、時代をさかのぼって考えてみるに、紀勢線の白浜口駅ができましたのは、軍国主義が国に蔓延していた昭和8年12月と聞いております。思うに、その4年前の昭和4年6月1日に、海洋生物採取のため昭和天皇が戦艦長門に乗船され、田辺湾に入港し、白浜町桟橋に上陸をしています。
 当時は、まだ今日の白浜温泉までの鉄道はなくて、白浜へは大方のお客さんは船で来泉されていた時代が続いていたのであります。その4年後、国鉄紀勢線の白浜口駅ができたのでございます。恐らく、今日のような重機もなく、紀伊山地の地形そのままに平地を探しながら工事を進められたのではないかと考えられます。
 したがって、今日のような乗り心地を考えるという余裕は余りなく、ただ物を運ぶことに重点を置いた、列強国を意識し、富国強兵、国威発揚を一番に置いた事業ではなかったのではないかと考えてしまうわけでございます。
 ちょっと今回、一般質問をさしていただくのに私自身の時間が少なくて研究が十分できていないんですが、国鉄の紀勢本線の歴史という本を少し読んでみましたところ、その中に書いていたのが、ちょっと朗読をさせていただきたいと思います。
 「昭和7年に開かれた鉄道会議で、和歌山─相可間鉄道──これが和歌山から紀伊半島南端を巡って相可に達するまでのいわゆる紀勢線のことらしいです──がとりあげられ、『今回工事を繰り上げて新宮と大阪方面との連絡を速め、有名なる紀州木材の搬出を計り──ここなんですが──之に伴って全線の完成を速やかならんとするであります』(第7回鉄道会議議事速記録)」ということで、こういう記録をされています。
 木材を運ぶことを1つの大きなテーマにしてつくったのがスタート。やむを得なかったと思います。それでも、当時の和歌山県民の皆さん方は一日千秋の思いで──難工事だったらしいです──この鉄道を開通をさせていただきました。
 このことには、後の時代を生きる我々は本当に感謝を思い続けなければならない、そういう気持ちはあるわけですけれども、あれから80年、目的を達成されていたと思われますが、戦後の経済発展とともにモータリゼーションの波が押し寄せ、快適さや質を問われる時代に入ると、このひどい路線に対してお客様は1人減り2人減りと減少を続け、先月の三重県津市の帰り、白浜駅でおりたお客様は、私を含め10名ほどあっただろうかと思うほどの人数でございました。私はといえば、もう電車酔いをしておりまして、頭がふらふらして正直、全く気分の悪いものでありました。
 観光和歌山を標榜するならば、道路の整備だけではなく、他の観光地では、やはり底がたい需要のある電車の普及も考えるべきであると考えます。ましてや、超高齢化社会を迎えようとする今日、主体の比重は、高齢者の旅人が高いウエートを占める年月がすぐそこに来ていると考えます。年をとってから運転技術の要るマイカーに乗り続けるよりは、切符を買い、乗せてもらうだけで快適に目的地まで連れていってくれる電車の整備は、時代が必要としているのであると考えます。官民挙げて和歌山の発展のため、快適な紀勢線の創造に取り組もうではありませんか。知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 立谷議員がおっしゃられた紀勢線の快適性、あるいはもう1つ言えばスピードでございますね、これがもっとよければなという思いは、私も人後に落ちません。そういう意味では、機会を見つけて鉄道事業者であるところのJRに何とかしろと。ついては、逆にこちらも観光の振興をしたり、あるいは住民にいろいろPRをしたりして、それでお客をふやすようにも努力しようと、こういうようなことを言っておりますし、また、言っていこうというふうに思います。
 ただ、それで、じゃあ、かわりにこちらがやってあげるかということになると、それはちょっと違うというところもあります。鉄道事業というのは、事業者の責務がありまして、安全に運行するというのが一番大事でありますが、一面、商売ですから、快適であればお客さんがふえるはずだということで、快適にするのも本人たちの責任ということであります。
 県の都合で迷惑をかける、あるいは特別に別のことをやってもらいたいというときは、県のお金を出さないといけません。
 例えば、請願駅がそうでございますし、あるいは那智川の鉄橋というのは、実は次にかけかえをしなきゃいけませんが、これは川幅を広げるわけで、1回目に壊れたのを直すのは鉄道事業者の仕事ですが、かけかえを県の都合で川の管理上やるんで、もう一回かけてもらうというときは、これは県のお金で直さないといけません。そうするつもりであります。
 快適性については、増せば我々もうれしいわけですが、しかし、いいサービスをすればもうかるというのも商売の常識であります。それを全部やってしまったら、県内のあらゆる業者がサービスをよくしたいので、お金を出してくれということになるわけであります。
 したがって、やっぱりなかなかできないこともあるんですが、しかし、できることは全部やりたいと思っておりますので、このJRを大事にして、その中身もできるだけよくなるように働きかけをして、努力をして、そして和歌山を守り立てていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 県当局におかれても、また和歌山県内の市町村においても鉄道に対する県民の思いと願いがやっぱりいろいろありまして、今はもう株式会社ですので、知事から今御答弁ありましたようになかなか難しいところはあると思います。
 その以前は、国鉄というそういう存在でもあって、どうしても我々は国鉄のイメージから離れ切れていないところが実はありまして、重要な公共性を帯びたインフラであるということであったりとか、そういうことで、できるだけJRのほうからの希望やとか要望、あるいは我々の考え方も含めて、トイレを直してみたりとか、県レベルでしたら電車の振り子電車であったりとか快適さを求めたいろんな取り組みを過去の時代にずうっと続けてきていただいたことに対しては私も理解をしておりますし、ありがたかったなと。
 当時は汽車で煙吐きながら走ったんですから、それから電車に移行になって、2車線になって、それからその上で振り子電車であったりとか展望のあるオーシャンビューであったりとか、ああしたいろんな新しい取り組みを続けていただいてきたことには先人の皆さん方に御礼を申し上げたいと、そんな思いが強いところがございます。
 きょうはちょっと資料を用意さしていただいたので、特にこの資料の説明をさせていただくというよりは、当局の皆さん、あるいは議員の皆さん方にお読みをいただけたらと思います。
 ちょっと紹介だけさせていただきましたら、黒く時々塗ってるところは、皆、これトンネルで、これだけの区間の中にトンネルがこれだけあって、河川がどれだけあって、25%とか書いてるのはトンネルの勾配なんです。
 これだけ厳しい地形に鉄道を入れていただいたということの読み取りぐらいしかできないんですが、そんな中で鉄道に詳しい人らの話では、カーブのきつい、我々が酔うてしまうというレベルのカーブは、アールが250メートルから300メートルぐらいのカーブのところ。地形学的にはやむを得ないわけですけど、それを500前後、500から600ぐらいまでのカーブにすると、この横揺れで酔うてしもうたりとか、いろいろそんなことが大幅に改善される、すごく快適性が向上していくと、そんなふうにアドバイスももうています。
 これから、また少しずついろいろJRのほうにも取り組みのお願いもさせていただきながら、我々もできることを一緒になって考えていく。そういった意味で、御検討をいただくという幅をいただいたということで、次に移らしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、時間のこともありますので次にいかしていただきまして、4つ目です。
 「深海ガニの生息実態調査について」ということで、これもペーパーを用意しました。ちょっとお目通しをいただけたらと思います。
 これは、和歌山県沖の海図というか、海底の等高線の、山でいうたらこれが等高線になったりとかするわけですけど、その図なんです。これをちょっと目通しをしていただきながら話を聞いていただけたらと思います。
 熊野灘海岸では、水深500メートルぐらいまでの海域の資源調査についてはかなり情報が得られているようですが、それ以上の深さについては、今日においても生態系を解明していくための基礎となる生物標本すら採用されていないのが実態のようでございます。
 静岡県に行くと、海岸沿いのまちでは観光客向けに海洋ガニが数多く販売されていますが、このカニは、今から35年ほど前の昭和52年ごろ、相模湾の深海で発見されたことが始まりだと言われています。
 昭和53年には三重県沖の熊野灘でも深海ガニの生息が確認されていて、それ以降、和歌山県沖にも深海ガニが生息している可能性があると言われてまいりました。
 深海ガニとは、その前の時代は北洋水域にしか分布していないと考えられていた北洋ガニと呼ばれるタラバガニの仲間でありまして、イバラガニモドキ、イバラガニ、ハリイバラガニ、エゾイバラガニ、イガグリガニ、ゴカクエゾイバラガニ、ツブエゾイバラガニ、コフキエゾイバラガニなどであるそうであります。
 最近では、水温4度から6度の海域があれば間違いなく熊野灘にも生息していると言われており、仄聞ですが、徳島県の漁師の方々は、「深海ガニは絶対にある」、「紀伊水道沖には絶対にある」、そう言っているとのことです。
 いずれにしましても、今漁業を取り巻く経営実態は大変厳しいものがありますので、その現実を見るとき、手つかずに眠っている資源の発掘は未来に対する希望であります。海洋県とも言われている和歌山県の目の前の深海の海洋資源の実態調査は、ほとんどできていません。せめて資源調査ぐらいはしていただいて、将来に対する可能性を研究してほしいと考えます。知事の御所見をお伺いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまお話のありました深海ガニ、8種だったと思いますが、4種は紀伊水道外海域で操業する本県の小型機船底びき網漁船により実際に採捕されております。
 三重県沖合では、8種類とも生息が確認されておりまして、水深200メーターより深いところで操業する沖合底びき網漁船でも数種類が採捕されているようです。そういうことで、希少種として水族館の展示物用に提供されておりますけれども、和歌山県、三重県ともに、水産物としては、つまり商業的な水産物としてはほとんど利用されておりません。
 本件については、従来から議員からお話もございましたので、職員をしていろいろサーベイをさせました。その結果、漁業関係者からは、深海ガニ漁についての作業性とか採算性について問題点がいろいろ指摘されておりまして、あんまり積極的でないということでありました。
 でありましたが、議員からの本日の貴重な提言でございますので、漁業資源としての可能性については、いま一度、漁業関係者等の意見をよく聞いて検討してまいりたい、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございました。御検討いただけるということで、本当にうれしい思いです。
 資源のない日本列島で、また資源のない和歌山県、資源は宝だと思うんです。今、知事のほうのお言葉にもありましたが、今日現在の漁業者の皆さん方のそういう御意見というのは、私も職員のほうから聞かしていただいておりましたので、そうだとしても、また今後、資源の実態調査がデータだけでもとっておれば次の時代に対してきちんと我々がそうしたこともやってきたという、そういうことを伝えることもできるようにも思います。ぜひ夢を見たいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは最後にですが、難しい話ばっかりをお願いして申しわけありませんでした。
 知事は、ミラクルフルーツという植物を御存じでしょうか。きょうは、議長にもお許しをいただいて、こんなもんを用意しました。(現物を示す)実は、こんなもんを用意したのはちょっと理由がありまして、これまで持ってくる気なかったんですが、県の職員の人にお話しすると、いろいろ言うてくれるんですけど、「見たことあるん」と言うたら、ないわけですよ。育てたこともないし。そんな中で、失礼ですけど、難しそうな話ばっかり言われてしまうんで、とりに帰ってきたんです。
 これ、軽いんです。これ、冬の間だけ、実は私のおふくろも寝たきりに近いんで、その部屋だけ冷暖房を加えてるんで、そこに置いてるんです。ちょっと暖かなったらもう外へ出すわけですが、いっぱいなります。いっぱいなります。
 ちょっと、なったのをみんなにあげてしもうたんでこんだけしかないんで(現物を示す)後でちょっと知事にも食べていただこうと思って、これだけだれにもあげやんと用意してるんですけど。済みません。
 それでは、ちょっと御紹介に入りたいと思います。
 原産地は西アフリカです。アカテツ科に属し、御存じのように常緑樹でございます。
 私は、この存在を知ったのは、厳密に言うたら10年ほど前に確かに聞いたことがあったんですけど、4年前に花卉栽培している私の友達から教えられました。そのときの驚きというのは、実際口に入れて、幾つも口に入れてからやりましたので、今でもはっきり覚えています。ミラクルフルーツ自体は、全く甘味がないんです。これ自体には甘味はありません。これを食べた後、ミカン、レモン、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウなど、酸を含む食べ物を口にすると、約2~3時間余りにわたって大変おいしく食べられます。全く不思議なものなんです。
 私の今回の議場の発言の趣旨は、県の果樹試験場で研究テーマとして取り上げていただけないかなと考えたからでございます。
 現在でも、ミラクルフルーツの応用、利用はたくさんの可能性が考えられます。例えば、消費が低迷している、たしかきのうもありましたし、きょうもここ10年ほどミカンの販売低迷があって、我々は毎月給料いただけますが、ミカン農家の方々は1年に一遍しか収入がないんですよね。そのときに給料というか、入らないんです。
 それが、1年働いて、その瞬間にそのときの給料が実は価格低迷しててあんまりええことないんやと。それで、収入がすごく低く抑えられた事態にある。本当に働く意欲に次につながっていく、このことに対して、そらミカンの宮川早生やとか、いろいろミカンの品種改良自体はこれからも続けていただきたいなと。もっとよりよいもの、より消費者のニーズにマッチしたものにしていただきたいなと。
 しかし、それとあわせて、少し遊び心かわかりませんけど、こういうものもセット販売みたいなことにすることによって販路の拡大──これはひょっとしたら、その意外性が今の若者の生活スタイルを刺激しまして大ヒットするかもわかりません。と私は思うんです。
 御感想をお聞かせください。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミラクルフルーツの栽培研究についてお答え申し上げます。
 昨日、私も試食いたしました。ミラクルフルーツには、果実に含まれるミラクリンの作用によりまして、食後しばらくの間、酸味を甘く感じさせる作用がございます。
 栽培につきましては、熱帯常緑果樹であるために和歌山県の気象条件では露地栽培は難しく、生産に取り組むためには、温室等の初期投資に加え、燃料費が必要となります。また、現在のところ生産量が少なく、流通業者や消費者のほとんどがその名前を知らないため、販売方法について検討する必要がございます。
 こうした課題がありますが、議員お話しのように、ミラクルフルーツはさまざまな可能性を持った作物ですので、栽培技術や活用方法について情報収集を行い、本県果実の消費拡大につなげることができればと考えております。
○議長(山下直也君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 部長のお考え、よくわかりました。いきなりの話なのでやむを得んというふうに思います。
 ちょっと補足させていただきましたら、実はこれ、ことし思い切ってちょっと100人ほどに食べてもろたんです。同じとこに100人集まって食べてもうたというよりは、それぞれのとこでこそっと出して、10人から20人ぐらいずつ、それをずっとメモしまして、100人全員が「うまい」と言いました。「これ、何なんな」と言いました。
 今、我々、ミカンの販売だけじゃなくて、やっぱりいろんなものが、そういう意外性とかそういうことを訴えて販路の拡大──有田のミカンというのは本当においしい。基本的なとこで全国でも1位やと思います。今までどおりのそういう販売の仕方もあるわけですけど、でも、それ以外に、それにプラスアルファ、こうしてちょっと遊び心を入れたパフォーマンスを加えることによって、もっと和歌山県のそういう農産物の販売に寄与してもらえるんでないかなと思います。
 それから、昨日の同僚議員の一般質問の答弁の中で、知事のほうから研究開発テーマを公募していく、そんなお話もありました。ぜひ、食わずもん嫌い的なことじゃなくて、何かどんなことにでも興味を示していただいて、これ何な、ちょっとさわってみてやろうやないか、そういう興味を持っていただくというのも大きな能力ではないかと思うんです。
 勝手なことをお話しさせていただきまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、国土強靱化法について伺います。
 民主党政権の3年間で国の信用は傷つき、景気が悪くなり、国民も不幸になりました。とりわけ、東日本大震災や紀伊半島大水害を経験し、コンクリートに代表される公共事業の重要性を再認識するとともに、少子高齢化や先進国病の現状を踏まえ、今こそ新たな国家建設ビジョンが求められております。
 私たち自民党では、このたびの総選挙において、「日本を取り戻す」をスローガンに、国土強靱化法の成立をかけて戦い抜きました。おかげさまで勝利することができましたので、来るべき国会には再度提出し、成立を目指していくことになりますが、国土強靱化法に対して知事の御所見と県の取り組みを伺います。
○議長(山下直也君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本年6月に第180回通常国会に提出されました国土強靱化基本法案につきましては、「戦後の国土政策・経済政策の総合的検証の結果に基づく多極分散型の国土の形成」「我が国の諸課題の解決、国土の保全、国土の均衡ある発展」「大規模災害発生時における我が国の政治・経済・社会活動の持続可能性の確保」、この3点を基本理念とするものでございます。
 国土強靱化に関する基本施策としては、東日本大震災の教訓を生かし、大規模災害発生に備えた緊急輸送や避難路、避難施設の整備、建築物の耐震化、救急医療体制の整備や地域間交流・連携に向けた全国的な高速交通網の整備などが盛り込まれておりまして、全国的にもまことに時宜を得たものであると考えておりますし、我が国にとっても大変意義のあるものであるいうふうに思います。
 すなわち、昨年9月の台風12号により甚大な被害を我が県は受けましたが、さらに南海トラフ巨大地震の発生が危惧されておりまして、大規模災害に備えた命の道となる高速道路等の幹線ネットワークの整備や避難施設の整備など、真に必要な公共事業がまだまだ残っていることから、私も本法律の早期成立に大いに期待しており、全国知事会などの機会にも大いに声を上げたいと考えております。
 今後、本法律が制定された暁には適切に対応いたしまして、元気な和歌山の実現に向け、この法律の趣旨を生かしたような強靱な県土づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に防災対策について、その1番目といたしまして、防潮堤としての国道42号バイパスの整備について伺います。
 大震災後、1年9カ月経過する今日、東北の被災地はいまだにほとんど住宅が再建されず、まちは見渡す限り更地のままです。現地で盛り土して再建するまち、周辺の高台へ移転するまち、いずれも複雑な権利関係を調整しながら事業を進めるのは大変な困難です。
 宮城県松島町のように、浸水はしても津波の衝撃や瓦れきでまちが破壊されなければ、復旧・復興は早く進むものです。国土強靱化法には、さらに一歩進んで、復旧・復興に係る莫大な予算を予防に回して災害を軽減する減災の考えが盛り込まれています。
 私の地元御坊市では、マグニチュード9.1の地震が起きたとき、最大16メーターの津波が襲うと言われています。人口が集中する旧御坊町や隣接する美浜町の一番標高の低いところには、1万人以上の人々が暮らし、昼間は周辺のまちから職場や学校、買い物に多くの人々が訪れます。
 そこで地震が起きたとき、わずか18分で、1万数1000人のうち、果たしてどれだけの人が逃げ切れるのか、私はいつも心配します。
 御坊市では、現在、効率的な避難のシミュレーションを研究中と聞きますが、いずれにしても避難路の整備や避難ビル・タワーなど、避難に加えて、まちを守る防潮堤や水門の建設、堤防の補強、かさ上げなど、ハード整備が必要と考えます。
 その1つの方法として、私は、仙台東部道路のように市街地の海側に国道42号バイパスを盛り土で建設して、津波からまちを守れないかと考えています。ところが、バイパスの建設には、一定量以上の交通量や大型車の流入、事故などの採択条件が必要とのことです。
 残念ながら、交通量は約1万台しかありません。しかし、BバイC、すなわち費用便益比が低くても、道路を建設することでまちを守り、1万人以上の生命、財産を守ることができれば、BバイCではあらわせない効果があるのではないでしょうか。
 先ほど述べたように、1年9カ月経過した現在、19兆円の予算が投じられても、ほとんどのまち、住宅は再建されていません。現行の狭い了見のBバイCのあり方を変更する必要があると考えます。
 私はバイパス建設を国土強靱化法で実現したいと思いますが、御所見を伺います。
 その2といたしまして、避難路のあり方について伺います。
 先ごろ御坊市では、県道御坊停車場線、通称18メーター道路の車線減少工事に伴い、沿線自治会で説明会を開催しました。市民からは、歩道拡幅は交通安全上有効だが、津波から自動車で避難するときは、歩道の縁石や街路樹、街路灯、道路標識、電柱などが障害物となるのではないかとの指摘があったと聞きます。実際に、東日本大震災では約6割の人が自動車で避難したと言われています。また、道路自体が液状化すれば、自動車はおろか、歩行者も避難できません。
 県では、来年4月から全国に先駆け、特定避難路の沿線建築物の耐震化を求める条例を施行します。私は、それに加えて道路そのものも耐震強化し、災害時に役立つ構造にしなければならないと考えますが、どのような御所見でしょうか。
 その3番目に、日高振興局の発電設備について伺います。
 日高総合庁舎は、平成22年度に災害時応急対策の指揮、情報伝達活動等の施設機能を確保するため、耐震等改修工事を実施し、あわせて庁舎内もリフォームし、省エネ化、バリアフリー化されました。
 しかし、電気設備については、津波や水害が心配される中、なぜか1階に設置されました。日高地方の防災拠点として、いざというときこれで間に合うのか、また、16メーターの津波が押し寄せてきたとき、庁舎そのものが生き残れるのか、検討する必要があると思います。また、危険となった場合、移転も含めて決断すべきと考えますが、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) まず、防潮堤としての国道42号バイパス整備についてでございますが、東日本大震災において、高速道路や国道が、緊急輸送道路としての機能はもとより、津波に対して避難場所や防潮堤としての機能を果たすなど、大規模災害時の防災対策として大変有効であることが認識されました。
 このため、国土交通省では、三陸沿岸道路の事業採択に、これまでのBバイCだけでなく、議員御指摘のように、多重性や耐災害性など、道路の持つ防災機能を評価する手法を導入し、実際に適用したところであります。
 県としては、こうした道路の機能も活用しつつ、高台移転や避難ビル、避難路などの地震・津波被害に対する総合的な防災対策を進めているところですが、御坊市につきましても、御提案の趣旨を踏まえ、市や関係機関とも協議し検討してまいります。
 次に、避難路のあり方についてでございますが、特定避難路は、津波浸水想定を踏まえ、市町村長から提案のあった避難路のうち、津波からの円滑な避難に対し支障とならないよう、避難路沿いの建築物等に制限をかける必要があると認めて知事が指定するものであります。
 避難に際して特定避難路が有効に機能を果たすことは重要なことと考えておりますが、大規模災害時には橋梁が損傷したり、液状化により道路上の噴砂やマンホールの浮き上がり等が発生し、通行に支障を来すおそれがあります。そのため、特定避難路に指定された県管理道路の橋梁耐震化を図るとともに、マンホールの浮き上がり対策を下水や水道などの管理者と協議してまいります。
 また、路盤等の道路の液状化対策につきましては、対策指針が確立されていないため、今後の対策のあり方について、国等の動向を踏まえ、検討してまいります。
○議長(山下直也君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 日高振興局の発電設備に係る防災対策についてお答えいたします。
 日高総合庁舎は、地震等災害時における応急活動の拠点、最前線としての中核を担う施設であります。このため、平成17年に策定されました津波浸水ハザードマップを踏まえ、平成21年から22年にかけて耐震化及び非常用電源設備の整備を行ったところです。
 しかしながら、先般、南海トラフで最大級の地震が起きた場合の津波被害想定が公表され、その内容は、議員御指摘のように従来の想定を大幅に上回るものでございました。
 内閣府のホームページ等で公表されている最大級の地震の場合の大まかな浸水予想図によりますと、日高総合庁舎は1メートルから2メートル浸水する予測となっておりますが、県が現在策定中の詳細な浸水予測の結果を待って、具体的な検討を行ってまいります。
 その中で、仮に庁舎が浸水による停電によって防災拠点としての機能が持続できなくなるような予測となった場合には、予備の非常用電源設備の屋上設置などを検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 答弁に関連をいたしまして、要望を申し上げたいと思います。
 歩道の縁石についてであります。
 県道から隣接地に進入する場合、歩道を通るわけでありますけども、この縁石等の間口が標準6メーターに制限されております。しかし、実際には、私の地元の御坊市の県道御坊美山線では、歩道拡幅時に何100メーターも設置されてないところがあります。しかし、これは歩道が広がったからだと思いますが、事故の報告を聞いたことがありません。
 同じ路線で、歩道のブロックを今度は取ろうと思って24条申請をしますと、要綱にひっかかってしまってなかなかブロックが取れない。片方、同じ路線で何100メーターもないところがあるのに、申請したら今度は取れないという、全く普通の県民から見たらよくわからない不平等な行政が行われています。
 これは国土交通省とも規格が違うというふうに聞いておりますので、ぜひこの際、見直しを要望しておきたいと思います。
 次の質問に移ります。大きな3番目といたしまして、消費税について伺います。
 農家の後継者不足が深刻と言われ、久しく時間がたちました。嫁も来ないと言われます。その原因を突き詰めて考えてみますと、実はもうからないところに突き当たります。
 私は今回の選挙でいろんな人に出会いましたが、TPPより消費税増税のほうが農家には大変だという声がありました。その人いわく、専業農家として生きていくためには最低1000万円以上の売り上げが必要だ、しかし、1000万円を超えると課税され、市場に出荷することで主な売り上げを上げる農家では消費税増税分を価格に転嫁することは困難で、とても税率10%ではやっていけないということでした。
 種苗や肥料、農業資材は大会社が多く、経費はウナギ登りで、農家にしわ寄せが来るのではないか。かつてのような大当たりがなく、確実に所得が減少している農家経営は、増税後も果たして可能か。現在、非課税枠は1000万円ですが、これを2000万円か、もとの3000万円にできないものか。
 消費税増税の影響と対策について伺います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 長引く景気低迷で消費者の低価格志向が続く中、市場での競りや大手量販店との取引において、農家はみずから価格を決定できないため、消費税率の引き上げ分を販売価格に上乗せしにくい状況にあります。一方で、肥料や農薬等の生産資材は購入価格に上乗せされるため、現状のままでは生産コストが上昇し、農家経営の圧迫につながる可能性が高いとの懸念を抱いております。
 議員御提言の消費税の非課税枠の拡大は農家のためには心強い限りと考えますが、国の仕組みに係ることでもあり、議員におかれては、提言の趣旨を制度に反映できるよう進めていただけることをよろしくお願い申し上げます。
 一方、県としましては、農家への影響を最小限に抑えるため、これまで重ねてきた努力を続け、さらなるコストの削減と販売力の強化に努めてまいります。
 コストの削減については、園内道や圃場の基盤整備による作業性の向上や安価な種苗の提供、省エネルギー技術の導入等を推進いたします。
 販売力の強化については、高品質化や国内外での販売促進プロジェクトを強化するとともに、農家が加工、販売を行う6次産業化や大手メーカーとのコラボレーションによる新商品開発等にも積極的に取り組んでまいります。
 これからも、県内農家の経営安定に向けて真摯に取り組む所存でございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私たちも県会議員でありますし、今回は政権党というふうになりましたので大いに政府並びに党のほうにも要望していきたいと思いますが、しかし県として、しかも農業の担当者として、農家を守るための心意気を──農業政策で頑張るんじゃなくて、消費税について意見を述べるということは私は大事だと思いますので、そのことについて考えがあるのかないのか。あるなら率直にお答えをいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 先ほどお答え申し上げましたように、御提言は農林水産部長としましても非常に心強い限りでございます。しかし、これは制度の枠組みに関する問題でございまして、農林水産部長としましては、制度自体よりも、むしろ扱う商品の性質、例えば生活の必需性というんですか、そういう商品の性質に応じてむしろ働きかけていくほうがより効果が高いのではないかと、かように考えております。(「余計なこと言わんほうがええぞ」と呼ぶ者あり)
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ということなので、これ以上は質問はやめますが、ぜひ農林水産部というのは、農家の立場に立って、別に、つくり方だけじゃなくて、税制も含めていろんなところの意見を申し述べていくべきだと思いますので、ぜひそういうことにもやっていただきたい。
 私、いつも思うんです。農林水産部、いろんな産業がある中で、県の中では1つ部を構えてやってるんです。だけど、農家の数というのは、新規就農もふえてますけども、どんどん減ってきてるんです。農家のための農林水産部が、いつの間にやら農林水産部のための農林水産部にならんように頑張ってください。
 以上申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 4番目に、准看護師の試験について伺います。
 関西広域連合では、11月7日、設立後初めての准看護師試験を平成26年2月ごろ、看護師試験と同一日に実施することを発表しました。
 私が同一日にすることを初めて聞いたのは、本年6月県議会中に谷洋一議員からで、尾崎要二議員からは、仁坂知事にも広域連合で反対するようお願いしたということでした。しかし、6月30日に開催された連合委員会では正式決定され、8月2日、日本医師会は、都道府県医師会長に都道府県行政と十分協議するよう要請しましたが、結局、今回の発表となりました。
 私は、8月6日の連合議会総務常任委員会で、議会に報告もなく密室で議論してきた決定方法や近畿府県の医師会の反対を押し切ってまで実施する理由をただしましたが、答弁は納得いかないものでした。
 今日も看護師不足が続き、医療の領域が拡大する中で、准看護師は医療の現場で立派に活躍しています。現在、准看護師試験の受験者の3分の1が看護学校卒業者と言われ、平成22年度では、大阪、滋賀、和歌山3府県で348人もいました。同一日の実施は、その人たちのチャンスを奪い、雇用を消滅させる准看つぶしとも言うべき暴挙で、なぜやるのか私には全く理解できません。
 そこで、私は、11月22日の広域連合議会で、今度は連合長に対し、構成府県の持っている権限を取り上げて、関係者の理解を得ることなく官僚が密室で決定するやり方は地方分権の受け皿を目指す広域連合の方向とも逆行するもので、なぜ強行するのかとただしました。
 連合長の答弁要旨は、以下のとおりです。
 1、試験日は、京都、兵庫が同一日に、滋賀、大阪、和歌山、徳島が別日に実施していたが、資格試験・免許の事務を広域連合が実施することになり、養成所等にアンケートを実施し、影響など意見を聞いた上で医師会にも構成府県から説明し、最終的に判断した。
 2、看護職確保の面から同一日は避けてほしいという意見は承知しているが、看護職確保対策は、新人看護職員の供給増だけではなく、離職防止や潜在看護師の再就職支援等も行うことで効果があり、構成府県でも取り組む。
 3、看護師課程の修了者については、看護の質の向上の観点から、修了課程の異なる准看護師試験を滑りどめに受験することは望ましくなく、教育課程に即した資格取得と業務従事により、住民に対してよりよい医療、看護が提供できる。
 4、決して権限を取り上げるものではなく、集約して一元的に実施するという広域連合の設立趣旨に沿った取り組みであり、ぜひ理解してほしい、というものでした。
 答弁に対し、設立時、私は県議会で広域連合を所管する特別委員長で、准看試験を広域連合で行うことは承知していたが、試験日が同じになって、これほど困った人が出てくることは知らなかった。知っていれば、外すべきだと主張した。医師会等に説明したと言うが、一方的に説明するだけでよいのか。合意を得られるような努力をすべきだ。看護師不足解消には、処遇改善や再就職支援をするべきと言うが、それでは実際に看護師は集まっていない。和歌山県では近く看護学校も新設する。看護学校を卒業した人が准看の試験を受けるのはおかしいと言うが、現に大阪、滋賀、和歌山3府県で毎年300人以上もいる。病院に就職の決まった人が看護師試験に落ちても、准看試験に合格すれば病院にそのまま就職できるが、受験できなくなれば直ちに失業者だ。今、どこの自治体でも雇用創出に全力を挙げている中、わざわざ制度をつくって、住民に喜んでもらわないといけないのに、そんな悲しい人をたくさんつくるやり方こそおかしい。連合議会や構成府県議会に事情の経過や説明もなく決定するのは民主的ではない。
 以上の理由で、大反対を表明しておきました。
 そこで、改めて副連合長でもある仁坂知事に、試験日の統一について御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中村議員が今おっしゃった件に関して、1つだけ異論がありますが。
 官僚が密室でと言われましたが、それは間違いでありまして、決めたのは私でございまして、官僚ではありません。(「元官僚」と呼ぶ者あり)元官僚でございますね。でも、今、和歌山県の代表でありますから、代表が堂々と議論をして決めたわけであります。
 この議論は、議員から御指摘がきちんとありましたんですが、准看護師試験を統合しようということになりました。それは、効率性の観点からということでございますけれども、数少ない統合の例であります。
 まさにおっしゃったように、実は准看護師試験と看護師試験が一緒のところと、違ってやってる2グループがあったわけです。その2グループが、それぞれ実は統合して、勝手に統合して、それで和歌山でいえば、実は1人でやるのはちょっと大変なもんですから、大阪や奈良なんかと一緒にやっておったと、こういうことでございます。
 そのときに、どっちで統一していくかということになったときに、実は和歌山県だけ取り残されてしまったのでございます。残りの大阪とか滋賀とか徳島とかは同じ日でよいということになって、それはそれぞれの理由があったんだろうと思いますけれども、そういう情勢になりました。
 もちろん、本県については、それぞれの意見は聞いておりました。ただ、私自身に激しく、例えば医師会の方が直接言われるということはなかったんですけど、医師会は反対──和歌山県ですよ──それから和歌山県の看護協会は賛成と。これは、看護協会としては、やっぱり看護師の資格というのは、准看護師と違うような形できちんと規定されるべきだというような考え方があったと思います。それから、病院協会は意見なしというぐらいの感じだったと思います。
 そこで、和歌山県だけ反対と言われても、これは全体をやっぱり動かしていかないといけないので、ちゃんと各県に運動してやってくださいよというふうに言いなさいと言って、私も大分言いました。実際は最後はやられたんですけど、しかし、ちょっとスピードが遅かったかなあということで、なかなか同調してくれるところがありませんでした。
 滋賀県が一度同調してくれそうになったのですが、実はしゅるしゅるっと元気がなくなってしまいまして、それで結局孤立無援になって、しようがないなあという状況でありました。
 谷議員から特に御指摘もありまして、5人ぐらいというお話でしたが、実際に我々も看護師不足ですから、准看護師の方でもやっぱり戦力になるんで、そういう方の道をふさぐのはよくないということで、私自身、大分議論をしました。しましたが、残念ながら先ほど言いましたような状況で、看護師のほうが賛成というところもあったのかもしれませんが、残念ながら1人だけ孤立をいたしました。
 その際に、これは全員一致の重要な話というわけにはいきませんので、ドクヘリと同じように、必ずしも和歌山県が参加しなくても結構なんです。どうしようかと本当に悩みましたが、和歌山県1人でやるというのは、従来だって1人でできなかったわけですから、物すごく大変でありまして、できません。しようがないから「参った」と言いました。
 谷議員にも申し上げ、それから広域連合委員会で行ったことは常に広域連合議会の和歌山県の方々に申し上げておりますので、そこで陳謝をして、許してくださいというふうなことを申し上げたわけであります。
 したがって、すべての責任は、和歌山県に関しては私にございますが、現実の問題として、もうしようがないというふうに私は今思っております。
 なお、5~6人の准看護師の方々に、これは谷議員にも申し上げましたけれども、学力に自信がないという方は、実は准看護師で1回受けてください、それで資格を取って、現実にそうしてるように、さらに働きながら勉強して看護師試験をお受けになるというようなことを選択できないわけじゃないので、それで何とかつないでいただけませんかというようなことを申し上げた次第であります。
 以上、状況説明と陳謝を申し上げたいと思います。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事から「陳謝をした」というふうに言われると、あえてその反論をしにくいんですが、申し上げますと、実被害という人が和歌山県では6名から8名ぐらいしかいないと、こういうことでございました。
 最初に、私たち、このことについて聞いたときにも、知事はそんなに言われてました。しかし、これ、よう考えてみますと、最終的に看護師試験に落ちて、それから准看試験しか受からなくて准看試験を行使する人が6人とか8人ぐらいだと思いますが、これは結果的に看護師試験に受かるから、受かったから実害がないように思いますが、受験生の気持ちとしたら、受かるか受からないかわからないんですよね。そんな人が300人以上、300何十人もいるわけで、この人たちは少しけたが違うなというふうに思ってます。
 知事が、最初にそのとらえ方を、合格した人が6名から8名というふうに言われたのは、これをずっと広域連合の事務をすることによって──準備を進めてきた事務当局、広域連合の事務官僚の人たちがずっとやってきた。私は、その設立時の行革委員会の特別委員会の委員長。私も全くそんな、統一でやるということは知ってたけども、広域連合で事務をやるということは知ってましたが、同じ日にやるということは知りませんでした。
 最近、県の説明を受けたら、紙に書いてました。でも、紙に書いてただけで、恐らく、どうでしょうか、議員の皆さんの中で、同じ日になって、そんな試験を受けられない人が何100人も出てくるということを知ってた人はおられるんでしょうか。私はもう、勉強不足かどうか、知りませんでした。
 そんなことを、知事はその当時、御存じだったんでしょうか。その当時から知ってたのか。(「知ってた」と呼ぶ者あり)でも、委員会で知事もいろいろ説明をしてくれましたが、こんな不都合なことはおっしゃいませんでしたし、部局長からもありませんでしたので、これは我々の勉強不足と見るのか、そちらの説明不足と見るのか、これは意見の分かれるところだと思いますが、私の感覚からすれば、今こんなに雇用が大変で、雇用創出をするために基金までつくってやってる、企業誘致も一生懸命やってるわけで、もう直ちに失業者をつくっていくようなこういう制度だと思うんです。
 少数意見、もし嫌だったらやらなくてもいいよというのは、広域連合のいいところだったと思います。今のところ、国の事務が戻ってくる、もらえるチャンスは少ないと思いますけども、だけども、防災だとか産業振興で広域連合がやるべき仕事はたくさんあるというふうに私は思うんです。
 今回のこの試験日を統一してやるというのは、とにかく事務をつくるために、広域連合の仕事をつくるために、まあ少しぐらい損害があっても仕方がないんじゃないかという、その事務をつくることが優先されたんじゃないかというふうに私は見てるんです。
 本来、広域連合ができて、私らも県政報告会等で行って、広域連合というのができてよくなるんだ、みんなそんなに言ってきたと思いますけども、実はこんな悲しい人も出るんだと、私はもう全く言いたくないというふうに思っております。
 しかも、今回の決定について、知事は連合委員会で賛成、反対を表明することができたかもわかりませんが、私らは設立時の規約の中、全くよくわからないようなもんで、品物だけ出されて、中身が全くわからんうちに賛成して、それでわかってきたときにはもう賛成、反対と文句言うだけしかできない。これは、広域連合のこれからのあり方として本当にいいものかどうか。和歌山で決められてたやつが、東京から権限もらうんじゃなくて、大阪で今度は決めてもらわなあかんというような広域事務というのが本当に民主的でいい制度なのかどうか。このことを通じて、私は改めてそういう印象を持ちました。
 知事から説明もいただきましたけども、私は、いまだにもってこの件については反対であるということを表明しておきたいと思います。
 知事、答弁があるならどうぞ。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3つございまして、まず事務をつくるという点については、それは間違いだろうと思います。なぜならば、広域連合でやるといっても、今までも実は共同でやってたんです。ですから、その共同でやってるやつを、みんなまとめてぽんとやろうということで、少し費用も少なくなるし、手間も少なくなるからいいかというだけの話なんで、別に広域連合の官僚をふやそうと思っているわけではないんです。まず、それが1つ。
 それから2つ目は、これは正しくないことであれば絶対に反対いたします。しかし、趣旨からいえば、看護師と准看護師は違います。建前の話をすれば、准看護師に滑りどめをしたいので、したがって看護師試験と准看護師試験の日を分けろというのは、あんまり理屈的には通らない話なんです。したがって、他の県はそれでいいということにしてしまったということなんですね。
 和歌山県は、ちょっと実態がありますから、したがって、趣旨は趣旨だけども、何とかしてくれないかということで、いろいろ運動したんですが、残念ながら力が及ばなかったということであります。したがって、間違ったことをやったとは思っておりません。
 それから、さらに広域連合のシステムに関していうと、まさに中村議員がおっしゃったような引きずられるところがあって、議会は多数決ですから、議会のところでチェックするというのはなかなか難しいので、したがって広域連合委員会という法律上組織にないものをわざわざつくって、そこでチェックしようと考えたのが私でありました。
 しかし、それはやっぱり何でもかんでも全部とめるということは本来できませんので、したがって今のような、趣旨からいえば反対はしにくいけれども、実態上何とかしてくれないかというようなことみたいなやつは、ちょっととめられなかった。とめようとしてとめられなかったので、中村議員に、及び医師会に、ごめんなさいということを言うとると、こういうことでございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 まあ、次に移ります。
 5番目に、訪問理美容について伺いたいと思います。
 県政報告で各地にお伺いすると、お年寄りのひとり暮らし、空き家、更地の多さに驚きます。しかも、年々恐ろしい勢いで増加しています。まさに超高齢社会です。最近、自公、民主両政権時代を合わせて、本県では特養が768床増床いたしましたが、これではとても消費増税だけでは追いつかない状況です。
 さて、自民党県議団では、県理容組合から在宅高齢者の理美容が大変になっているとの声を聞き、本年6月、在宅高齢者の理美容サービス利用の実態を把握し、訪問理美容の利用ニーズを探ることを目的に、田辺市在住の要介護認定で要支援または要介護認定を受けている65歳以上の方にアンケートを実施し、答えのあった109件の調査結果をまとめました。
 アンケート結果につきましては、資料配付をしておりますが、その概要は次のとおりです。
 外出時には、「1人で外出できない」が50%で、また外出の頻度が少ないも4割近くあり、介護を受ける高齢者は余り外出していない生活実態がうかがえます。しかしながら、服装やヘアスタイルの関心は高く、おしゃれへの関心を持っている人は半数を超えています。
 そこで、調髪ということの方法について聞きますと、「自分で行く」が16.7%に対し、「連れていってもらう」が31.5%、「家族にしてもらう」が17.6%と、約半数が家族等の負担になっています。一方、「訪問理・美容を利用している」と答えた人は14.8%でした。
 調髪の頻度については、「2ヶ月に1回」が40.4%、次いで「3~4ヶ月に1回」が29.4%と、高い割合になっています。
 また、「訪問理・美容を利用した場合の1回当たり料金」は、「3000円~4000円未満」が最も高く35.5%、「2000円~3000円未満」が29.4%、「1000円~2000円未満」が17.6%と続いています。この料金を高いと感じている割合は18.8%となっており、料金に不満を感じている人は少ないようです。
 しかし、「利用しようと思う訪問理・美容の料金」は、「1000円~2000円未満」が最も割合が高く31.9%を占めており、次いで「2000円~3000円未満」が20.8%、「3000円~4000円未満」が15.3%の順になっています。もっと安く利用したいという意向があるようです。
 その一方で、「訪問理・美容の満足度」は、「十分満足」と「まあ満足」を合わせると70%を超えており、高い満足度がうかがえます。その理由として、「移動に伴う体の負担がない」が75%、「待ち時間がない」が50%と、身体的負担の軽減が大きな理由となっています。また、理美容所に「連れていってもらう気持ちの負担が減少」というのが18.8%あり、支援者に対して気兼ねする心情があることがうかがわれます。
 訪問理美容の認知について、「知らない」が55.3%と半数を超えています。また、「訪問理・美容を知った理由は、「理・美容師に直接頼んだ」が53.3%、「ケアマネージャー・訪問ヘルパーに訊いた」が33.3%、「知り合いに相談した」13.3%と個人的な情報の入手方法に限定されており、訪問理美容を周知する必要性も明らかになりました。
 以上のことから、今後、訪問理美容は、周知されれば、調髪時に、身体状況や移動手段などの物理的理由から、家族等への遠慮など心理的理由から不便を感じていた人たちの新たな利用が見込まれるとの結論を得ました。
 現在、訪問理美容は、和歌山、海南、新宮、紀の川、岩出各市で実施されていますが、理美容両組合では県内全域で普及を目指しています。
 福祉は在宅でと言われながら、実際の予算は施設に厚く、在宅には薄いのが現状です。田辺市などでは、在宅の介護を行う家族に御苦労さん代を支出していると聞きます。私も、もっと在宅に日を当てるべきだと考えます。
 そこで、知事に伺います。在宅の高齢者の尊厳とも言うべき生活環境を守るため、県も訪問理美容について支援できないものか、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本件は、平成17年度から国庫補助金が廃止されまして、市町村事業として税源移譲と地方交付税による財源保障がされてるんですけれども、この地方交付税というのは標準的な行政需要にカウントされてるとというだけであって、地方交付税の本質からいえば、必ずそうしなきゃいけないというわけではありません。
 事業実施の可否は市町村の裁量にゆだねられておりまして、こういうことは市町村のそれぞれがそれぞれ考えたらいいんだと、これが地方分権だと、こういう考え方であります。それで、現実にやっておるところは、御指摘のように5市だけであります。
 市町村にそれぞれ何でやらないんですかということを私も聞かせたわけですが、そういたしますと、近隣の理容・美容店による自宅訪問とか、あるいは送迎サービスを利用している在宅高齢者が多くて、市町村による訪問理美容事業実施に対する要望が少ないことが最大の理由だというふうに言うとりますというふうに職員からは報告を受けております。
 しかしながら、私は、これはいい話だというふうに思いますので、高齢化が進み、理美容で困る高齢者の方がふえると予想する中、もう少し自分たちで──自分たちというのは県の我々ということですが──訪問理美容について需要調査を自分たちでやった上で高齢者の実情に応じたサービスを提供できるように市町村にも働きかけたいと思いますし、また、そのための措置も何がしか考えていきたいと思っております。(「お願いします。もう以上で結構です」と呼ぶ者あり)
○議長(山下直也君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第148号から議案第176号まで、並びに知事専決処分報告報第3号は所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月20日及び21日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、12月20日及び21日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時33分散会

このページの先頭へ