平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 去る11月4日、新宮市から那智勝浦町間の自動車専用道路、那智勝浦新宮道路を使用し、天空ハーフマラソンが開催されました。全国各地から2742人もの参加があり、そのうちの985名は新宮市以外の県内から、他府県からの参加は1305名にも上りました。ちなみに、私も10キロメートルコースに出場いたしました。また、県の職員さんも多数参加をしていただきました。
 大会前日も含め、この2日間は、新宮、勝浦とも宿泊はほぼ満室、飲食店街についても大変なにぎわいであったとのこと。土産の購入、また交通機関の利用など、地域にとって大きな経済効果があったとされています。新宮市において、他地域からの参加者がこれほど大勢集まったイベントはまれであり、大会のテーマにも掲げられた災害復興という目的も、にぎわいと活気によって達成され、多くの新宮市民を勇気づけるものとなりました。
 供用中の自動車専用道路を使用してのマラソン大会は、全国で2カ所目とのことです。全国的に地域を発信していくためにはメディア等の力をかりなければなりませんが、メディアに取り上げてもらうためには、このようなインパクトのある奇抜な企画が必要であり、また、それを実現するための地域の人たちの努力と協力が不可欠であります。それにより、インパクトのあるアイデアや趣旨に関心を持った全国の人たちに熊野へ訪れていただき、よさを知ってもらえる機会となることは、リピーター、いわゆる熊野ファンの増幅など、今後の観光活性化に向けて大いに期待できることと考えます。
 話は変わりますが、マラソンのステージとなる那智勝浦新宮道路、前民主党政権に「紀南のような人口の少ない地方にふつり合いだ」といわれなき批判を受け、すさみから太地間並びに新宮から三重県熊野市大泊間のミッシングリンクをそのまま放置されたまま、いたずらに年月が過ぎてしまいましたが、平成25年度の事業化決定に向けて、新政権の発足を契機とし、県におかれましても、これまでのおくれを取り戻すべく、知事を筆頭に力強い要望を行っていただき、地域の悲願達成に御尽力をお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 大きな項目1番、河川の治水対策と復興についてであります。
 1つ目、熊野川の堆積土砂と流木、倒木の撤去についてであります。
 昨年の台風12号により、熊野川に面した三重県側の山々に20数カ所にも及ぶ山崩れが発生し、その結果、大量の土砂が川の中に堆積したままになっています。三重県においては、災害復旧事業の最終年度である平成25年度中に、崩壊した山ののり面の補修や崩落した道路を復旧させる計画であると聞き及んではおりますが、堆積した土砂の撤去はどのような対策を検討されているのか、いまだに不明です。
 熊野市、紀宝町の熊野川流域に面した地域には住家や施設等も少ないという三重県の事情から推察しますと、熊野川の堆積土砂撤去作業の優先順位は低いのではないか、まして大量の土砂や岩石を撤去するには膨大な工事費、労力、時間を要するので、容易な話ではないと思われます。
 しかしながら、このまま放置ということになれば、流域住民や他地域から訪れた方に、見た目にもいまだに復興が進んでいないというイメージを与えるだけではなく、再び豪雨に見舞われることがあれば、和歌山県側に再び甚大な洪水被害が起こる可能性があるのではないかと懸念されています。国や三重県に理解を求め、流域住民の安心のために一日も早く土砂の撤去に取りかかってもらえるよう強く働きかけをお願いしたいと思います。
 治水面だけではなく、観光地としての観点からもマイナス要素であります。
 8月28日から29日にかけて実施された経済警察委員会の県内視察の折にも、安全運航対策の調査という目的で熊野川川舟下りに乗船しました。台風12号大水害による大きな傷跡を見てもらう、そういう結果ともなりましたが、和歌山県、三重県両岸には、災害から1年以上が経過しているにもかかわらず、川に堆積した土砂、残されたままの流木や倒木が至るところで目につきました。
 この件に関しましても、すべての箇所を取り除くということは、多額の費用、土木業者の人手も限られた中で非常に困難な状況であることは理解できます。しかし、熊野川町の道の駅など観光客がよく立ち寄る場所から見える箇所は、痛々しいイメージを与えてしまうため、早急に撤去を行う必要があるのではないかと考えます。自然の脅威や被災状況を把握してもらうためには、それはそれで意義もあるとは思いますが、そろそろ原形復旧に向けた取り組みを進めていくことのほうが重要ではないかと考えます。
 そこで、この現状について本県としてはどのような認識を持たれているのか、また、問題視してもらえているとすれば国や三重県側への働きかけを望みますが、どのような交渉をしていただいているのでしょうか、知事にお尋ねをいたします。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 熊野川に関してでございますが、緊急的に土砂撤去が必要な箇所については、田辺市、新宮市の協力も得ながら、さまざまな方法で撤去を進めております。また、最下流で国直轄による撤去が進む予定というのが決まっております。
 さらに、来年度からは、砂利資源の有効活用にも資する手法として、民間事業者による砂利の一般採取も再開、拡大し、より効率的に撤去を進めたいと考えております。
 議員の御指摘にもありましたように、熊野川は向こう側が三重県であります。紀南に災害復旧・復興を兼ねて観光にも行ってあげようというような、特に和歌山市の方々が随分いらっしゃいまして、私もお勧めしたもんですから、お話を、帰ってこられてお聞きしましたら、「全然直ってへんわ、大変やな」、こういうふうに言われまして、「えっ、どこですか」と言ったら、大体はあの168号線、熊野川沿いの道路を走りながらの感想なわけであります。全部三重県側が見えるわけであります。
 これはまずいと、いろんな意味で悪影響もあるということで、三重県知事にも私も申し入れ、再三言い、それから事務的にも何度も何度も早くやれといってお願いをしましたところ、三重県側の道路災害復旧工事については、これからでありますけれども、平成25年度中に完成するというふうに聞いております。その際に、河川内の土砂も一部撤去されるというふうに聞いております。
 残る河川堆積土砂や、あるいは流木、倒木の撤去は、治水面のみならず景観面からも当然必要でありますので、今後も国、県、流域市町村が集まる場等、さまざまな機会を通じて強く働きかけを行い、我々も努力したいと思っております。
 また一方で、県としては、熊野川の直轄管理区間の拡大、あるいは堆積土砂撤去のための予算の確保についても、これは従来から国に対して提言をしてるところでございますので、今後ともそれもやっていきたいと思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 土砂撤去や流木、倒木の撤去について、本県側ではできる限りの河床整備に取り組んでいるとのこと、そして、対岸の三重県の範囲につきましては、再三の働きかけにより、一部で土砂の撤去を実施されるとの答弁をいただきました。
 御承知のとおり、熊野川は、上流部の広範囲で降った雨が支川も含めたたくさんの河川を経由し、最終的に熊野川本流に流れ込みます。したがって、豪雨のときには想像を絶する水位の上昇となります。そればかりか、昨今の異常なほどの大雨により山腹も崩れやすい状態になっていることから、いつまた河川に大量の土砂が流れ込み、はんらんを引き起こすかわかりません。また、そのたびに三重県、奈良県とまたがった熊野川を整備しようとすれば、各県相互の調整に時間を費やし、また、規模が大きいために、それぞれの県予算だけでは対応も追いつきません。
 現在、河口から約5キロメートル付近までが国直轄の管理区間となっておりますが、このような問題を早期に解決し、対応するためには、やはり国の直轄で管理をしてもらうべきです。熊野川全体をとなればベストですが、それが困難なら、せめて本県、三重県両県が相互に管理している上流20キロメートル付近の指定区間を解除して、国の直轄管理区間を拡大してもらう方法しかないと考えます。
 しつこいようですが、どうか国のほうにも深い御理解と御協力をいただけるよう、引き続き国直轄管理への働きかけをお願いします。以上、要望とさせていただきます。
 続いて、次の質問に移らせていただきます。
 2つ目、高田川の流木の撤去についてであります。
 先日、高田地区を訪問した際に、熊野川同様、新宮市管内の高田川にも、至るところに残された流木を目にしました。高田地区の区長さんらと新宮市を交えて現地を視察し、既に東牟婁振興局建設部には撤去の要望を申し入れていますが、なかなか進んでいないようにも見受けられます。来年の出水期を迎えますと、その流木が流れ出す懸念もあります。
 この地域は本県の管轄になりますので、ぜひ早急な対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか、県土整備部長にお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 河川内の流木については順次撤去を行ってきたところであり、高田川では、これまでおおむね1000立法メートルの流木を撤去しております。河川内に残っている流木につきましては、引き続き、治水上支障のある箇所から早急に撤去を進め、年度内に完了するよう取り組んでまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁いただきました。
 次に、熊野川の清流を取り戻すためにはということでお聞きをいたします。
 熊野川の宮井付近、十津川水系と北山川水系が合流する地点から下流にかけて、大水害の影響も大きいのだとは思われますが、いつまでも泥水で濁った状態が続いています。かつては清流が地域の誇りであり、川の世界遺産として登録された熊野川ではありますが、現在の姿は余りにもほど遠い状態であります。
 熊野の神秘的なイメージや世界の人々の心のよりどころとしての貴重な自然環境を保つため、熊野川の清流を取り戻すことは必要不可欠な要素だと考えます。
 ダムからの放流に濁水がまじっていることは一目瞭然でありますが、その事実や原因を県はどのように把握していますか。そして、どのような運用がなされているのでしょうか。また、河川管理者としての本県からは、ダム管理者側に対策を申し入れることはできないものでしょうか、県土整備部長にお尋ねします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県は、過去からダムの管理者である電源開発株式会社に対して、濁水軽減対策の実施について強く申し入れを行っています。その結果、電源開発株式会社は、貯水池のできるだけきれいな層から取水する措置や、出水時に貯水池にたまった濁水を早期に排出し、濁りが軽減した後の流入水を貯留する措置、さらに休日の発電放流の停止などの濁水軽減対策を実施しています。
 しかし、上流で大規模な山腹崩壊が発生した台風12号以降は濁水の発生傾向が変化し、小規模な出水でも高濃度の河川水が貯水池に流入し、濁度の低減にも相当な日数を要する状況が継続しているとの報告を電源開発株式会社より受けています。このため、電源開発株式会社では、出水後の貯水池の濁水排出を以前より長期間行うなど、対策を強化しております。
 県としては、清流を取り戻すための十分な対策が講じられるよう、引き続き国や関係機関に対して働きかけてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁をいただきました。
 次に4番目、大津波の遡上を防ぐためにはということでお聞きをいたします。
 東北の大津波の様子を振り返ると、広い範囲の浸水被害を引き起こした原因に、津波が河川を遡上したケースが多く見られます。
 東南海・南海大震災が発生した場合、紀伊半島の沿岸部でも同じことが起こり得ると考えられますが、河口からの津波の侵入を防ぐための対策はどのようにお考えでしょうか。
 例えば新宮市では、熊野川、市田川、佐野川などが海とつながっているわけですが、その河口付近において、水門などの設置や整備による万が一の備えを検討する必要があるのではないでしょうか、県土整備部長の所見をお聞かせください。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 現在、県では、国が公表した南海トラフの巨大地震の新しい想定を受け、和歌山県地震・津波被害想定検討委員会から助言をいただきながら被害想定の見直しを行っているところでございます。
 熊野川、市田川、佐野川周辺では、これまで県が想定してきた東海・東南海・南海の3連動地震に対する津波シミュレーション結果では浸水被害は想定されておりませんが、今回の想定の見直し結果を踏まえ、必要な対策を検討してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁をいただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、大きな項目、観光の話でありますけども、コンベンションの誘致についてお尋ねをいたします。
 和歌山県の観光客の入り込み客数を見てみますと、平成19年の3208万人をピークに減少傾向にあります。特に、地域経済への波及が大きい宿泊客数を見ますと、平成23年度は紀伊半島大水害の影響もあり434万人にとどまり、平成22年度においても509万人と、近年減少傾向にあります。
 一般的に、個人旅行者の動向は景気に左右されやすい傾向にあります。しかしながら、誘致戦略によっては、厳しい観光地間競争の中、その特色を生かして健闘している地域も見られます。本県においても、熊野古道などの歴史を感じつつ過去から現在を体感できる文化的素材や、和歌山が有する豊かな自然素材は、特に都市住民に魅力を感じていただけるものとして、これをうまく利用しない手はありません。
 新宮市地域においても、さきに紹介いたしました天空ハーフマラソンの開催や旧新宮鉄道の開業100周年記念行事の開催など、趣向を凝らした誘客イベントを展開しておりますが、コンベンション、すなわち全国大会や会議、学会、それに、藤山議員のきのうの質問にもありましたが、スポーツ大会などの誘致は、一度に多くの誘客を図れるものと考えます。紀の国わかやま国体の開催は、その最たるものであります。
 そこで、質問に移らせていただきます。
 自民党和歌山県連会長である二階俊博代議士の話によると、代議士が会長を務める全国旅行業協会主催の平成26年国内観光活性化フォーラムの和歌山市内での開催を計画しているそうであります。しかも、全国から会員である旅行業関係者をたくさん集めて盛大に行いたいとのことであります。そして、大会終了後には、参加していただいた旅行業者の皆さんには、県内各地の観光地、宿泊地に分かれて連泊をしていただき、和歌山県の魅力を身をもって体験してもらうという観光企画を検討しているとのことです。県からも、いろいろな面からの多大なバックアップをお願いしたいところであります。
 このような大規模な他地域からの大会や会議を誘致し開催していただくことは、地域にもたらす経済効果はもちろん、全国への情報発信などの観点からも大いなる活性化が期待されます。また、コンベンションに観光コースを絡めていくことにより、和歌山のよさを体感してもらうきっかけとなることは言うまでもありません。
 今後も、さまざまな団体や組織に働きかけることになると思われますが、コンベンション等の誘致、開催への支援と受け入れ体制について、商工観光労働部長にお尋ねします。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) コンベンション開催に当たっての支援と受け入れ体制についてでございますが、まず、コンベンション開催に当たっての支援につきましては、県観光連盟が県外からの宿泊者数に応じて開催経費の一部を助成するコンベンション開催助成金制度を平成18年度から設けており、近年では関係者への誘致活動が実を結び、助成実績は平成22年度が14件、平成23年度が17件、今年度は現在20件と増加傾向にあります。
 次に、受け入れ体制につきましては、県観光連盟をワンストップ窓口とし、主催者に対し、会場のあっせんや調整、エクスカーションと体験観光を活用した現地研修の案内などを行うことで、参加者の利便性の向上を図っているところでございます。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいまコンベンションの現状と受け入れ体制について答弁をいただきましたが、誘致実績も上々で何よりです。さらに、受け入れ体制も整っていることに心強く感じるところですが、最も重要なことは、誘客対象の選別や手法等に係る県の誘致方針であると思います。
 コンベンション誘致については、施設の整った都市部を初め、全国津々浦々において誘致合戦が展開されている中、他地域との差別化や工夫を凝らした受け入れ体制の整備、国際会議における海外を含めた団体等に対し、趣向や日程などのニーズに沿った観光コースの提案、加えて効果的な誘致手法が必要であると思われますが、今後の誘致の方針について、知事にお尋ねをいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) コンベンションの誘致は、大規模な誘客により、受け入れ地域の知名度の向上や地域経済の活性化が期待されますから、部長から申し上げましたとおり、積極的に推進してまいりました。
 今後も、世界遺産観光や、あるいは体験観光、参詣道の保全活動など、和歌山県の観光プログラムがいろいろありますけれども、そういうものをエクスカーションといたしまして、それでコンベンション本体と上手に組み合わせて、本県の特色を生かした提案を携えて、県内の大学などを通じて、それぞれの主催者への誘致活動を積極的に展開するとともに、旅行会社の担当部門への提案活動も強化していきたいと思っております。
 加えて、経済誌とか、あるいは医療専門誌とか、そういう主催団体にコネないしは訴求力のある媒体の活用とか、あるいはコンベンション関係の展示会への出展などを通じて、本県の特色ある取り組みを全国に向けて効果的にPRをして誘客をしていきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁をいただきました。
 コンベンションについては、年々実績も増加傾向にあることはまことに心強い限りではありますが、より多くの大会等の誘致に向けては、さらに魅力とおもてなし精神あふれる受け入れ体制の構築、官民一体となった戦略的な誘致活動も必要であると思われますので、引き続き積極的な展開をお願いいたします。
 また、宿泊が伴いますと、ホテルや旅館だけでなく、観光施設や飲食店、交通機関、土産物の購買など、さらなる波及効果も見込まれます。
 開催に係る支援金についても、年間1000万円の予算を年度初め早々に消化してしまうとのことですので、その経済的な実施効果を検証いただき、事業費の増額をお願いしたいと要望しておきます。
 続きまして、3つ目の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の活用についてに移らしていただきます。
 1つ目、式年遷宮に合わせた誘客についてであります。
 和歌山県にとって伊勢式年遷宮を皮切りに、来年から3カ年は記念すべき行事がメジロ押しであり、観光客の増加に地元も期待に胸を膨らませています。伊勢神宮の式年遷宮は、20年に1度の一大イベントとして長期にわたり開催されます。伊勢神宮のお伊勢参りは、日本人、特に庶民の旅の原点と言われているようです。
 伊勢神宮の参拝者の推移は、過去2回、式年遷宮の年になるといきなり入り込み客がふえ、翌年は激減するというパターンでしたが、今回は式年遷宮の5年ぐらい前から参拝客がふえてきているとの報告が財団法人日本交通公社から出されております。
 昨今、熊野古道を歩く女性ハイカーもふえてきた感があります。霊魂や神などの超自然的存在との見えないつながりを信じる、または感じる場所として、特に女性を中心として誘客数を伸ばしているとも言われており、和歌山県にとっても千載一遇のチャンスであることは間違いありません。早期の誘客が、必ずや本県への経済波及効果を生むものであると思われます。
 この件については、平成24年6月定例会において質問させていただきましたが、式年遷宮関連行事への観光客を熊野へと呼び込む取り組み目標として、来年は全国から1100万人を超える人々が伊勢神宮に参詣すると予測される中、このうち約700万人が伊勢周辺に宿泊すると推計し、その5%の35万人以上を本県に誘導し、宿泊していただくことを目標としているとのことでありました。
 なお、過去の式年遷宮における参詣客の動向を見ても、その翌年も遷宮年の約9割程度の方が参詣されているとされており、引き続き誘客対策を行うことで30万人以上の宿泊客を取り込み、結果として約165億円以上の直接消費を見込んでいるとの答弁をいただいておりますが、その後、半年が経過し、どのような手ごたえを感じているか、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 式年遷宮に合わせた誘客についてでございますが、現在までは、参詣に向けた計画づくりが早いとされる神社関係者への誘客対策を主に実施してまいりました。具体的には、4月に全国の神社2000社余りに知事名の案内状を発送するとともに、6月からは全国の主要神社並びに神社庁を職員が順次訪問し、11月末までに41都道府県、414カ所を訪問したところです。
 訪問の感触としては、訪問を約束するとか前向きに検討するといった回答をいただく神社関係者も多くあり、おおむね良好な感触を得ております。
 また、福岡県、熊本県、群馬県の神社庁等では、地道なセールス活動に共感し、加盟する神社への情報発信など、積極的な協力をいただいており、神社関係者への誘客対策としては相当の手ごたえを感じております。
 さらに、一般の参詣者や団体に対する誘客対策については、11月に聖地熊野をPRするポスターを全国のJR主要駅等に掲出したところです。現在は、お伊勢参りと熊野もうでをテーマにした情報発信を企画し、各種メディアと協議を進めております。
 また、旅行会社に対しましては、伊勢からの自動車道が南伸するメリットを強力にアピールするとともに、熊野三山による宝物殿の特別展や参拝記念品の授与といった特別企画の提案などにより、伊勢参りと熊野もうでをセットにした商品造成を働きかけております。
 加えて、受け入れ対策として、例えば周辺施設の割引特典や「伊勢から熊野」周遊ガイドブックの作成などの企画を進めており、今後、地域が主体となって行うおもてなし企画とも連携して取り組んでまいります。
 今後は、このような取り組みを積極的に展開することで、掲げた目標の実現に努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁をいただきました。
 メディアや旅行会社の発信力を活用させていただいて、また三重県、奈良県とも連携して、紀伊半島を訪れた旅行者を1日でも1時間でも多く足をとめさせるという早目の仕掛けに引き続き努力していただきたいと思います。
 続いて2つ目、企業のCSR活動についてでございます。
 世界遺産を活用した誘客の1つとして、近年盛んになりつつあるCSR活動についてお尋ねします。
 企業が、利益を追求するだけではなく、組織活動が社会へ与える影響に責任を持つ意思を示すこと、また、それに基づいてさまざまな社会貢献をすることをコーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティーの頭文字をとってCSRというそうであります。
 本県は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が平成16年7月に登録されましたが、総面積が約500ヘクタールと広範囲にわたり、特に参詣道の総延長は300キロメートルを超えています。紀伊半島は年間を通して雨量が多く、参詣道の土砂が流れ落ちるなど、保全に対する配慮が必要な世界遺産であります。
 特に、昨年発生した紀伊半島大水害の際にも、熊野古道の一部に被害が発生し、不通になった区間もあり、現在は修復されているものの、適正に管理するための保存対策は欠かせません。私の住む新宮市の高野坂においても被害が発生し、これを機会に一層熊野古道を守っていく必要性を強く感じました。
 このような状況の中、県では、世界遺産を次の世代に良好な状態で引き継いでいくという考えのもと、平成21年7月から世界遺産登録5周年を契機に参詣道環境保全活動をスタートさせ、特に最近の企業のCSR活動の高まりを受け、世界遺産の保全と活用の両面から、熊野古道の道普請を企業に働きかけているとお聞きしています。
 世界遺産の保全と活用は、ややもすれば相反するテーマとも思われますが、企業のCSR活動などとの連携は、本県への誘客促進と古道の保守管理の軽減の点において一石二鳥の施策であると思われます。
 これらの取り組みの現状と今後の展開について、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 企業のCSR活動についてでございますが、現在、県では、一般の方々やCSR活動に熱心な企業を対象に、10万人の参詣道環境保全活動を実施しているところです。
 本来、世界遺産の修復は、専門家が作業を行い、一般の方々が携わることはありませんが、参詣道環境保全活動の魅力は、関係市町の立ち会いのもと、参加者が直接保全に携われる世界遺産であり、これをセールスポイントとして誘客に取り組んでいるところです。
 特に近年、企業の社会貢献への機運の高まりを受け、企業のCSR活動の一環として誘致を推進しており、今年度は既に23団体に保全活動に参加していただいております。
 参加企業には、保全活動とウオークや周辺観光施設への立ち寄りを合わせたプランを実施していただくとともに、みずからの広報活動により世界遺産の認知度向上に貢献していただいております。
 今後とも、企業訪問や経済誌等への掲載などを通じて、参加企業をふやしてまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 続きまして4番目、ジオパーク認定についての質問をさせていただきます。
 1つ目、進捗状況についてであります。
 本県においては、ジオパーク認定に向けての取り組みが進められているところであります。対象と考えられる紀南地域市町村において、ジオパークの内容を広く関係機関や一般の方に知ってもらうことを目的とした講演会やツアーを開催するなど、この事業が地域にもたらす効果などの認識を深めてもらうために、県が主体となって日々努力がなされているところであります。
 今年度、委員会や議連の県外視察活動の訪問先にも取り入れてもらっており、現地の視察や関係者からの認定までの苦労や経緯の話、認定後の活動について、我々も認識を深めているところであります。
 私も、北海道の白滝、高知の室戸を視察してまいりました。このほかにも、先輩議員の尾崎要二議員は鳥取・山陰海岸、大沢議員は熊本・阿蘇を訪れるなど、各地のジオパークの内容報告や資料の提供をしていただいております。このように、先輩や同僚の議員の皆さんにもジオパークの認識を深めていただき、認定に向けての活動に支援をいただいていることに大変心強さを感じているところであります。
 そこで、紀南地域市町村の反応や当局の手ごたえも踏まえ、現在の進捗状況について、環境生活部長にお尋ねします。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) ジオパーク認定に向けての進捗状況ですが、本年度は5月の第5回ジオパーク国際ユネスコ会議において国内外のジオパーク関係者から情報を入手するとともに、地質の専門家の方々の協力を得ながら、ジオサイト候補の選定やジオストーリーの組み立て方について検討等を行ってまいりました。
 また、推進協議会については、関係市町村及び関係団体とも事業計画等について協議を行い、設立に向けた準備を進めているところであります。
 あわせまして、ジオパークの認知度を高めるための講演会やジオパーク推進の関係者を対象といたしましたフィールドワークを各地で実施し、機運の盛り上げに取り組んでいるところでございます。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次に、今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 平成25年度新政策と予算編成の方針の中で、地域を生かした魅力の創造ということで、ジオパーク認定に向けてガイドの養成やジオツアーの開催など、地域を盛り上げる取り組みを実施したいとの考えが示されましたが、その実現に向けて、今後どのような準備計画を進め、組織の立ち上げなどを行っていくのでしょうか。また、世界ジオパーク認定まで最短4年との目標がありましたが、現段階の見通しなどについて、環境生活部長にお尋ねいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 今後の取り組みについてでございますが、今年度中に推進協議会を設立してまいります。平成25年度は、引き続き講演会やフィールドワークを各地域で開催するなど、ジオパークの認知度を高める活動に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、パンフレットやガイドブックなどの作成やホームページの開設、ジオツアーの実施などの活動実績を重ね、まず、平成26年度の日本ジオパーク認定を目指してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 視察や資料からいろいろと学んでいる中で、日本や世界のジオパーク認定を達成するための基本として、テーマの設定は重要であると考えられます。つまり、ジオパークとして設定する範囲の地質的成り立ちをわかりやすくストーリー化し、現在受け継がれている文化や歴史や、そこに住む人々の生活様式、また、観光資源との結びつきを明確にし、既にジオパークとして認定されているほかの地域とは異なるテーマ設定が必要であると聞いております。
 熊野といえば、火山活動によってできた地質資源が御神体として信仰されているところもあります。世界遺産との融合もジオサイトの1つとして成立するのではないかと考えます。さらには、よみがえりやいやしというイメージを生かし、温泉や料理などを堪能してもらって疲れた体と精神をいやしてもらえるコースなども喜んでいただけるのではないでしょうか。
 既に展開されている当地域の観光に、さらに統一感と体感という深みや厚みを加え、今まで以上に滞在型、体験型の観光を実現できるよう、今後の取り組みに大いに期待をいたします。
 県民の皆様、各市町村、そして先輩・同僚議員におかれまして、さらなる御理解、御協力をいただき、知事を初め県当局におかれましても、成長に向けた新たな挑戦の政策であるジオパーク認定に総力を挙げて頑張っていただきたいと思います。
 私も協力を惜しまないことをお誓いし、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

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