平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から現金出納検査実施結果の報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第148号から議案第176号まで、並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 14番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただき、質問をいたします。
 本日は、国体の開催、農業の振興の2点について質問し、当局の考え方を伺うものであります。
 まず最初は、平成27年開催の和歌山国体についてであります。
 昭和46年、「明るく・豊かに・たくましく」をスローガンに黒潮国体が開催され、県内は、その準備段階から県内挙げてのビッグイベントとなり、フィナーレには天皇杯獲得に狂喜乱舞したものであります。後に固有名詞ともなった国体道路や花いっぱい運動などは、長く県民に親しまれ、思い出とともに今は重要なインフラとして機能しているところであります。宿泊施設が少ないという弱点も、県内各地、各層に民泊の協力を求め、県内の一体感演出に大きな役割を果たしました。
 黒潮国体が開催された昭和46年という時代背景を考えるとき、我が国の経済成長は成熟期を迎え、本県も先進県への躍進という視線の先を明確にとらえている時代でした。お年寄りから子供まで、北から南まで、県民こぞって国体の成功に邁進した、よき国体でした。若かりしころの思い出と感激で、私は国体とはかくあるべしといまだに思っております。
 目を今回の国体開催に転じますと、ややもすれば競技の成績、天皇杯の獲得のみに目を奪われて、県政にとって国体の意義ともいうべき本当に大切なこと、すなわち、国体開催を契機とした県づくりの方向とか新しい公共ともいうべき行政に対する県民の参加とか関連するインフラの整備といった、国体後の県政にとって真価が問われる県政全般の取り組みがどこまで議論され、検討されているのか、いささか危惧を覚えるものであります。
 もとより、競技の結果は大切であります。県民の一体感、高揚感を高めるためにスポーツがどれほどの効果があるのか、オリンピックやなでしこジャパン、甲子園の高校野球の活躍など、既に私たちはその効用を痛いほどわかっています。平素は国旗、国歌などに何の関心を持たない若者が、オリンピックではセンターポールの日の丸に涙を流し、サッカーの国際試合では遠く外国にまで出かけて国旗を打ち振っている姿に、スポーツの真髄を見る思いがいたします。県を代表する、あるいは県出身の選手諸君の活躍は、まさに心躍るものがあり、私なども新聞のスポーツ欄で、いつも国体の成績を真っ先に探すほどであります。
 さきの岐阜国体では、男女総合成績が21位と前年の43位から大きく躍進したことは本当に心強いものがあり、和歌山国体への期待を大きく膨らませてくれました。県民の期待と関心は日に日に高まってくるものと思われます。
 そこで、今回は、この国体開催に向け、何点か質問をし、当局の取り組みの現状をただすものであります。
 第1点は、本年の岐阜国体での成績が山口国体の43位から21位へと大きく躍進したことにかんがみ、競技力の強化という観点から何がよかったのか、どの競技種目がうまくいったのか、どの競技種目がうまくいかなかったのか、和歌山国体に向けて何が課題として残ったのかといった点について、まず国体推進監に伺うものであります。
 国体を開催し運営する施設には、大きく分けて2つの領域があります。
 1つは、競技を開催するための直接の施設、例えば紀三井寺競技場や秋葉山プールの改修、あるいは県下各市町村、会場となる競技場の整備であります。
 もう1つの分野は、公共事業であります。県内に広く分散して開催する各種競技や選手団の移動など、いわば国体の運営を支える舞台装置であります。具体的には県内をネットワークする高速道路や主要幹線道路の整備、JR輸送力の強化、情報通信基盤の整備などが頭に浮かんでまいります。
 順を追って伺いたい。
 まず、最初の競技会場の整備についてであります。
 近年、国体の競技レベルの向上は目をみはるものがあり、また、参加種目も一層多様化してきています。これまで考えられなかったような種目もたくさん取り入れられてまいりました。当然、こうした種目に対応した施設は、新たに整備するか、これまでの施設を改築、改装するか、いずれにしても、現在の競技レベルにたえられる施設整備が必要になってきます。このことは、県や体協が直接整備、運営する施設にとどまらず、市町村の施設も同様であります。
 そこで、県の主要な施設の整備状況について、国体推進監に現状をお聞きし、課題があれば説明を願いたい。
 あわせて、市町村の施設整備はどうですか。聞くところによれば、市町村の施設整備については何の財政的援助もなく、自前での整備が求められているとか。市町村の財政事情厳しい折、どうお考えですか、ちょっとでも助けてやろうという気がありませんか、あわせて答弁を願います。
 2点目の公共事業についてであります。
 県内とりわけ紀南地方の県民には、国体の開催、成功とあわせて、国体までにはどこまで高速道路が整備されるのかなという、国体というビッグイベントを契機とした基盤整備の推進に対する期待もまた大きいものがあります。
 今の時代、高速道路ができるかできないかといったレベルの議論を県議会で質疑すること自体、私にとってもつらいものがあります。全国から来県される選手団にとって、高速道路がない県のほうが驚きなのではないでしょうか。何とか平成27年の国体開催を契機として抜本的なインフラ整備が進まないものか、無理を承知で質問をしております。
 昭和46年の黒潮国体は、和歌山駅と紀三井寺競技場を「国体道路」として直線で結びました。黒潮国体の成功に十分な役割を果たしたものと思いますし、その後の沿線の開発、発展ぶりは先見の明ありと思わせるものがあります。
 現在の交通事情は、さらに1段も2段もレベルアップした交通体系の整備を要求しています。せめてメーン会場である和歌山市と紀の川沿いの各会場を直結する京奈和道路の全通と、和歌山市と県南部の各会場をネットワークする高速道路の県内整備ぐらいは欲しいところであります。
 国体とは分野が違いますが、平成6年に和歌山市で開催された世界リゾート博では、会場となった和歌山マリーナシティの大規模な造成が行われ、あわせて会場までのアクセス道路が新設されました。平成11年の南紀熊野体験博では、田辺─本宮間の国道311号線の全線改修が行われました。加えて、特におくれが目立っていた紀南地方の携帯電話の通話不能地域の解消が、NTTの配慮により前倒しで整備をされました。
 大がかりなインフラの整備には、こうしたきっかけと大義名分が必要ということを、私たちはこれらのことから学ぶことができます。国体開催という大イベントを、こうしたきっかけと大義名分にしてはどうですかというのが私の言いたいことであります。
 幸い、国の政権が自民党主導になりました。自民党の看板政策の1つは国土強靱化法であります。災害に強い国土をつくっていこうという趣旨ですが、県内にあって高速道路や情報通信網の整備はこれと軌を一にします。この際、強い政治力と国体開催という大義名分を掲げて、道路整備や情報通信基盤の整備という積年の課題解決に全力を傾けてはどうでしょうか。知事の決意を伺いたい。
 第3点は、県民参加であります。
 政治や行政の流れは、参加と透明性を求めています。このことは、国、地方を問わず同じ流れであります。県民は行政に参加したい、自分もその一端を担ってみたいと思っております。行政も、どうしたら県民の参加がうまくいくのかと試行錯誤の段階だと思います。私は、今回の国体がその絶好のチャンスだと思っております。
 開会式や閉会式でのセレモニーでの県民参加は当然でしょうが、そのほかでも花いっぱい運動や来県者向けのグルメ開発、おもてなし運動、民泊の依頼など、県民参加の形態は多種多様に展開しています。県民の方たちが、今回の国体を自分たちの国体だと思ってこぞって参加し、協力してくださってこそ、国体開催が成功だと言えるのではないかと私は確信をしております。
 県民参加の取り組みについて、国体推進監の答弁を求めます。
 第4点は、国体の意義についてであります。
 これまで申し上げてきましたように、私は、国体というものは単に競技の点数を競い合う大会にはとどまらない、とどめてはいけないということを申し上げてきました。県民総参加で分厚い取り組みを展開し、国体というビッグイベントを通して必要なインフラ整備をすることが大事だと思います。
 さらに大切なことは、その先にある和歌山県をどういう県にしたいかという知事のビジョンであります。
 最後に、今回の和歌山国体を県政推進上、どう位置づけ、県づくりにこの国体をどう活用しようとしているのですか、知事の所信を伺って質問といたします。
○議長(山下直也君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、公共事業についての面について、御答弁申し上げたいと思います。
 国体開催時には、県外から大勢の方が来訪されるため、近隣府県からのネットワークとして、また、県内各地の会場を円滑に連絡するネットワークとしても、高速道路を初めとする幹線道路の整備は不可欠であると思います。また、そうした幹線道路や、あるいは情報通信網の整備は、大規模災害に備え、強靱な国土をつくるためにも不可欠であるとともに、また、さまざまな産業活動を支えて、県民にチャンスを与えるものであるということは言うまでもございません。
 ただ、議員御指摘のように、何か大義名分をつくって、それで早くやってもらうということは、戦略的に大変大事でありますので、実はそれを大義名分にして努力をしてまいりました。
 御承知のように、現政権は、非常にこのネットワークづくりには当初は特に冷淡であったんですけれども、いろいろなところに話をして、だんだん理解をしていただきました。特に事務方及び後半の大臣の方々なんかは理解をしていただきまして、27年度までということで、随分多くの予算手当てがなされることになりました。
 例えば、近畿自動車道紀勢線のすさみまで、それから京奈和自動車道、それから第2阪和、480号線の全改良、それから第2奥瀞、こういうものについては27年度完成ということで予算手当てがついてるんですが、27年度というと28年の3月までありますので、ここまでやられたらたまらんということで、ぜひ27年の8月までにやってくれということで、今一生懸命働きかけをしているところでございます。
 と同時に、これまで努力してまいりましたX軸、それから現在頑張っております川筋ネットワーク、それから特に和歌山市を中心とする都市計画道路、こういうものも、実は国体をねらって、国体までにある程度のところまで概成しようということで現在努力をしてるところでございます。
 自分たちも努力をしますし、引き続き国に働きかけてまいりたいと思いますが、1つの障害が、どうしてもいろいろちょっとたくさん見返りをもらおうとして頑張っている人とか、あるいは、そういうことはちょっと論理的にできないんですけど、それからいこじになってる人とか、土地手当てに協力なさらない人がいて、これは県としても断固とした態度で臨む方針でございますけれども、県議の方々も各地のリーダーでいらっしゃいますので、特に地元の方々の意見が効きますので、ぜひ御説得に御協力いただきたいと思います。
 また、情報通信網についても、現在、携帯電話や光ファイバー網の整備率が99%まで進んでおりますが、早期の100%整備達成を目標に、引き続き、国、市町村、通信事業者と協力して格差是正に取り組んでいきたいと思います。
 このように一生懸命取り組んでおりますけれども、坂本議員の御議論に触発されるものも多うございます。国体を目指すネットワークがどうなるのか、わかりやすく県民に説明して、さらに希望を持ってもらうようにしたいと考えております。
 次に、国体の意義についてでございますが、国民体育大会は、国内最大かつ最高のスポーツの祭典であり、国体を契機として、スポーツ実施人口の拡大と競技力の向上を図ることは、これはもちろんでありますが、県内の施設が整備充実されるという側面、それから先ほどのネットワークが整備されるという側面、それからさらにすべての県民がスポーツをする、見る、支えるといったさまざまなかかわり合いを通じて夢と感動を共有し、和歌山を元気にするということに大きな意義があるというふうに思っております。
 紀の国わかやま国体という、まさに半世紀に一度のビッグイベントで郷土の選手をともに応援し、来県者に心温まるおもてなしで接すると、そういうことで県民の心が1つになり築かれる県民のきずな、これは実は大目標に、スローガンに掲げておるんですが、今後の社会経済情勢の変化を乗り越えていくために、国体が終わってもさらに大きな力になるというふうに思います。
 国体の後、国体を機に整備された道路、施設を有効に活用した経済活動とか、あるいはスポーツに親しむ健康的な県民によるスポーツを通じたまちおこしなどが県内各地で展開され、県民の皆様が幸せを実感できる、豊かで活力がある元気な和歌山の実現につなげていくように、紀の国わかやま国体の成功に向けて、総力を挙げて取り組みを進めていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 国体の開催について、3点、お答えいたします。
 初めに、本県の岐阜国体での成績についてですが、岐阜国体において本県選手団が好成績をおさめた要因は、年度当初に各競技の目標得点を設定したことや競技ごとにトレーナーを派遣したこと、スポーツ国際交流員を初め優秀な指導者を招聘したことなどが挙げられます。
 今回、見事優勝をおさめた競技種別は、フェンシングの成年女子、ウエイトリフティングの成年及び少年男子、カヌーの成年男子、アーチェリーの少年男子、レスリングの少年男子であり、男女総合成績の躍進に大きく貢献いたしました。また、成績が振るわなかった競技種別は、ボールゲームの集団競技や射撃競技、得点割合が少なかった女子種別などが挙げられます。
 今回の結果を踏まえた課題としては、ふるさと選手を含めたチーム練習の不足や本来の実力を発揮できなかったメンタル面での弱さが挙げられますので、男女総合優勝に向け、これらの課題を解決し、さらに競技力の向上を加速させてまいります。
 次に、関連する施設整備についてですが、国民体育大会の競技会場については、日本体育協会が定めた国民体育大会施設基準に基づき、県及び市町村において計画的に整備が行われており、主な県施設では、既に武道・体育センター和歌山ビッグウエーブ、紀三井寺公園野球場及び補助競技場が供用を開始し、平成24年度末に紀三井寺公園陸上競技場、県営相撲競技場が完成予定となっています。市町村施設においても、九度山文化スポーツセンターが完成し、平成25年度末には和歌山市に新設のテニス場が完成する予定であり、県内競技施設の整備が順調に進められているところです。
 また、市町村施設の整備については、平成19年の県準備委員会第1回総会において、国体を開催するに当たっての基本方針を定め、その方針に基づいて実施競技や会場地の選定の考え方とともに施設整備の考え方を決定し、県の施設は県が、市町村の施設は会場地市町村が行うこととし、これを前提に市町村や競技団体と協議を重ね、施設の整備について合意した経緯を踏まえながら、現在、それに従って進めているところです。
 なお、国体開催のための一時的に必要となる特殊競技施設や競技運営等の経費については、一定の支援を行ってまいりたいと考えています。
 次に、県民参加についてですが、紀の国わかやま国体は、開催基本方針を定めた平成19年度から県民総参加による開催を目指して取り組んでいるところであり、国体開催の正式決定を記念した本年9月のイベントにおいても、県議会議員の皆様、市町村長の皆様を初め、競技団体はもちろんのこと、日ごろから花いっぱい運動やおもてなし活動に取り組んでいる多くの県民の方々に参加をいただいたところです。
 また、国体へ県民だれもが参加していただけるよう、県民運動基本計画を策定し、県民のアイデアとエネルギーを生かし、県民全員が参加するみんなの国体を基本目標とした取り組みを進めているところであり、今年度は児童生徒等を対象とした絵画コンクール、大学生を対象とした広報ボランティア、幅広い年代層を対象とした国体ダンス教室などへの参加者を募集したところです。
 さらに、今後、総合開会式会場を初め、県内各地を花で飾る花いっぱい運動への参加者の募集や、開催を支え盛り上げていただく運営ボランティアの募集を行うなど、県民1人1人が自発的に一役を担っていただけるよう、開催機運を盛り上げながら県民の参加機会を創出してまいります。
○議長(山下直也君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 国体に関して答弁をいただきました。幾つかの要望と再質問をしたいと思います。
 まず、岐阜国体の成績についてであります。
 フェンシング、ウエイトリフティング、カヌー、アーチェリー、レスリング、見事優勝した選手諸君の健闘をたたえ、指導してくださった監督、コーチの皆さんに対しても心からお祝いを申し上げたい。この勢いが紀の国わかやま国体までさらに確実なものとなるよう頑張ってください。
 また、本県は、昔より野球王国とも言われ、野球などのボールゲームに非常に関心が高い県であります。加えて、最近は、オリンピックにおける田中きょうだいの活躍のおかげで、体操にも大きな関心が寄せられております。
 全種目にわたって、選手の育成に一層の御努力をお願いし、関係者や選手諸君、笑顔で万歳で終われる国体となるよう、国体推進監を中心に、皆さん、頑張ってください。
 次に、施設整備についてであります。
 施設整備のうち競技に関する施設については、計画どおり順調に取り進められているものと受けとめました。市町村の財政に対する配慮も検討されているとのこと、頑張っていただきたいと思います。
 関連する公共事業分野については、答弁のあった近畿自動車道田辺─すさみ間や京奈和道路など全線供用については、国体開催までの供用について、何が何でも実現をしていただきたい。国体への県民参加についても、県民の気持ちが1つになった盛り上がりがある国体が本当の成功であります。一層の努力を期待します。
 国体の持つ意義について、知事にもう一度お尋ねしたい。
 答弁にもありましたように、都道府県にとって国体は半世紀に1度のビッグイベントであります。スポーツの面から見た国体については、知事の答弁どおり、元気な和歌山づくりは大いに意義のある思いがいたしますが、私が言いたかったのは、せっかくの半世紀に一度のこの国体を単にスポーツだけの面でとらえることなく、もっと広く大きく、例えばインフラ整備、産業振興、観光振興、教育など、県政全般の振興のきっかけにしてはどうか。そのためには、例えば国土強靱化法など国の大きな動きも積極的に取り組み、この際、和歌山が抱えてきた積年の諸問題の課題を解決し、やっぱり和歌山でよかったと言える県政の推進を図っていくという意気込みを見せてほしかった。
 いま一度、知事の国体開催に取り組む決意と意気込みのほどをお聞かせしていただきます。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も常に国体には選手団長として出席しておりますけれども、ことしは、ぎふ清流国体においては、近く和歌山で開かれるということもございまして、実は、行進をしないで全体を見ようと思って観客席で状況を見ておりました。その結果、坂本議員御指摘のように、もうすばらしい演出もあって、それで県民の方々がみんな盛り上がってるということがよくわかりました。
 こういうぎふ清流国体に負けないような、もっと立派な国体をこの和歌山で開いて、その開いたことをうまくきっかけにして、議員御指摘のように、その後の和歌山の発展がばっと一段と加速するような、そういうものにしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(山下直也君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 以上で、第1点目の質問を終わります。
 次に、農業問題について質問をいたします。
 私は、これまでも再三、農業問題を取り上げ質問をし、当局の方針をただしてまいりました。
 私の選挙区、日高郡は、県下はもとより全国的に見てすぐれた農業地域であると確信をしております。梅を初め、ミカン、野菜、花卉、温暖な気象条件と勤勉な農家に支えられ、後継者の問題もさして大きな問題にもなってこなかった地域でございます。しかるに、最近の状況を見ますと、農産物の低迷がもたらす農業所得の減少は、後継者の問題にまで及ぼうとしております。
 このため、私は、これまでも県議会の場において、農業を取り巻く生産、流通・加工、新分野開発といったそれぞれの段階に応じた質問をし、ややもすれば生産面での対策に偏りがちな国の農政に対し、果樹、野菜、花卉といった商品化農産物への取り組みが進む本県農業は、国の農政とは一線を画した取り組みを進めるべきであるとの認識に立った質問を繰り返してきたところであります。
 また、最近は農業の6次産業化などといった言葉だけが飛び交っていますが、私は、さらにこれをもう一歩進めて、健康産業へと引き上げることも提案してまいりました。
 平成22年9月議会におきましては、2回目でございましたが、和歌山県長期総合計画において位置づけられた基本的な農業政策について、所得目標やその具体化のための戦略について知事の答弁を求め、知事からは、中核的農家の所得目標を勤労者並みの550万円と設定し、その実現のため加工、販売を重視した新農林水産業戦略プロジェクトを立ち上げる、日高地方についていえば、南高梅とミニトマトを組み合わせた加工品の開発プロジェクトを推進する、さらに、生産面での強化を図るため、法人化の推進や樹園地の整備などの課題に取り組む農業緊急戦略アクションプログラムを打ち出し、平成26年度まで具体的な行動計画を作成したとの答弁をいただきました。
 流通問題については、昨年、農産物のブランド化という面からこの問題をとらえ、南高梅栽培の歴史、カツオ梅製造の苦労、これを全国ブランドまでに押し上げた問屋と流通業者の苦労話を紹介し、ブランドは一夜にしてならずと、この演壇で力説いたしました。具体的には、ブランド化推進のための人材確保や宣伝広告、重要性などについてただし、ブランド強化作戦プロジェクトの展開を求めました。知事からは、国内主要大都市でのトップセールスやアジアを中心とする海外展開の必要性について答弁がありました。
 また、農業の新しい可能性への挑戦といったことで、機能性食品の開発という視点で県当局の考え方をただしました。
 低迷する農業分野の中で比較的優等生とも言われてきました梅農家にとっても、最近の価格低迷は農業経営を圧迫し、後継者の数もかつての約半分という現状を訴え、こうした窮状を打開するため、梅の画期的な付加価値化を求め、県立医科大学チームの間で取り組んでいる梅の機能性食品に関する研究開発を紹介しました。
 研究成果も上がり、医大の研究チームは、アメリカにおいてがん対策としての論文も発表を行い、国内にあっても、皆さんよく御存じのテレビ司会者、みのもんたさんの番組で取り上げていただきました。マスメディアの情報は、生産者サイドまで大きな反響があります。各地の講演会に出席されている知事は、この効果のほどをよく御存じのことと思います。
 梅が健康産業として認知されるためには、もう一歩のところまで来ています。そして、もう一歩の支援を待っております。
 先ごろノーベル賞を受賞した京都大学の山中教授のテレビのお話を聞きました。最初は全く見通しが立たないiPS細胞の研究というテーマに対し、当時の奈良先端科学技術大学院大学の学長が思い切って研究室の提供などの環境を整備してくださった、その後、研究が上向きそうだという段階では国が大幅な研究費を出してくれた、こうしたことが今回の画期的な研究成果に結びついたものである、国や関係者に感謝したいとのコメントを発表されました。
 およそ新しい研究などというものは、こんなことなんでしょう。最初は皆が「そんなこと本当にできるの」と言うぐらいのテーマでないと新しい研究とは言わないでしょうし、どこかの段階でだれかが背中をどんどん押してやらないとその先がわからないというのが現実だろうと私なりに推測するところであります。
 そのだれかが問題です。梅の機能性食品の開発は、これまで日高郡の5戸の農家が寄附を続け、研究開発を支えてまいりました。先ほども申し上げましたが、研究成果はもう一歩のところまで、大きな山を越えようとしています。
 山中先生のノーベル賞受賞の後押しをしたような研究費が必要なのです。梅全体の景気が先行きが不安な中でも、いつまでもこの負担とリスクを農家の厚意と熱意にのみに任せていていいものなのか、私は、こうした地道で息の長い、そしてその成果が大きく県民にはね返ってくるような研究テーマこそ、県や県議会議員の頑張りが求められてくるのではないかと思っております。県の支援を声を大きくして求めたい。
 知事は、これまでも県議会の答弁を通してその必要性と重要性を明確に答えていますが、肝心の県からの研究費の支援には結びついておりません。
 以上、本県農業をめぐる厳しい現実を説明し、これまでの知事の答弁をおさらいしながら問題点を整理してまいりました。きょう今日に至っても、この状況は何ら変わっておりません。むしろ、私に言わせれば、事態はもっと厳しくなってきているのではないかとさえ危惧いたしております。
 我が国の食料自給率がカロリーベースで40%を切っている現状や、農産物が世界戦略の中で大きなウエートを持ってきている状況などをかんがみますと、農業政策は極めて重要な政策分野であると私は確信をしております。政府も、成長戦略において医療や環境と並んで農業を成長戦略の対象としていますが、意気込みと現に行っている政策との間のギャップについて、私はどうしても納得がいきません。
 県は、この政府の方針をどうとらえているのか、和歌山県としてどう対応しようとしているのですか。後継者が兼業せざるを得ない状況に追い込まれ、現に農作業に携わる従事者は65歳、70歳以上の高齢者となっている現状に対し、和歌山県の農政はどう対応しようとしているのですか。
 以下、4点について、知事3点、関係部長1点の答弁を求めます。
 第1点、知事の和歌山県の農業における基本姿勢を改めて伺いたい。できるだけ現場の農業者にわかるような、具体的で明確な答弁を求めます。
 第2点、和歌山県長期総合計画で目標と設定した農業所得550万円の実態と、今後、実現に向けての取り組みについて、知事の答弁を求めます。
 第3点、農林水産部長から、農産物のブランド化の取り組みの実態を具体的に説明されたい。
 第4点、県立医科大学で取り組んでいる機能性食品の開発に関する研究費の予算化について、知事の方針を伺いたい。
 以上、4点について御答弁願いたい。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、第1の基本姿勢でございますけれども、これは、和歌山県にとっては農業は地域を支える基幹産業であるということは、疑う余地がありません。農業を中心とする産業振興は、本県の重要施策であります。特に、御指摘のように梅産業は、生産、加工、販売、そして観光が一体となった複合的な産業の代表的な事例であり、るる御指摘のあったように、これからさらにその機能性を開発していくことによって用途が拡大していく、そういう見通しのある産業だと思っております。
 農業の振興については、担い手、農地、生産、この3つの対策を重点的、戦略的に進めるということにしております。
 まず、担い手対策では、農家子弟等の農業後継者を確保することを基本といたしまして、多様な担い手確保のため、例えば法人化、JAも含めて法人化の推進や、あるいはIターン等の新規就農者の育成にも力を入れております。
 農地対策では、まず、優良農地の確保に努めるということが大事だと思います。同時に、作業性の向上を図るため、園内道や、あるいは圃場の基盤整備を推進するとともに、担い手への農地集積を促進するということだと思います。この点については、最近、国が随分政策を変えて、むしろ政策をやめるという方向へ行っとるのに対して、和歌山県は、まさにここに力を入れて、それで生産性を上げていくんだということを頑張っておりますが、国の政策変更を待ちたいというふうに思っております。
 生産対策では、低コスト化や高品質化を図るため、優良品種への改植や園地整備を促進するとともに、近年増加している鳥獣害の対策についても重点的に取り組んで、毎年強化をしているところですけども、なかなか敵もさる者というところがまだまだでございます。
 また、農業関係者のニーズにこたえるため、研究開発のテーマを公募する、つまり、研究者が勝手にやってるというんじゃなくて、農業関係者がやってほしい研究をするというところへ持っていこうと現在しております。
 さらに、農産物の品種改良、加工品開発や販売促進などにも取り組み、引き続きブランド力の向上を図って、もうかる農業を目指していきたいと思っております。
 本県は、果樹や野菜、花卉を中心とする園芸県でありまして、米や麦、大豆等を戸別所得補償制度の対象品目とする国の施策とは、どうも相入れません。このため、国に対しては、省力・低コスト化と生産性を高めるための園芸農業の基盤整備や施設整備の予算を充実させるように強く要望をしているんですが、今後どんどん要望していきたいと思います。
 議員御指摘のように、長引く不況のもとで農家経営というのは大変厳しいのであります。しかし、まさに農業が我が県にとっての基幹産業であるということを常に忘れないようにして、全力で農業の振興に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、和歌山県長期総合計画に書いてある件についてでございます。特に所得の件です。
 これについては、この計画では、収益性の高い農業づくりを目指して、国内外への販売促進と生産、加工、販売の連携によるアグリビジネスを構築する取り組みを進めて、認定農業者などの担い手農家1戸当たりの年間農業所得を、平成17年は377万円だったんですが、10年間で勤労者並みの550万円にしたいというふうに目標を設定しました。
 果樹が中心の本県では、農業所得が変動するというところが結構あります。担い手農家の年間農業所得が過去5年間で少しずつ上がっているんですが、500万円を超えた年もありますけれども、最も新しい22年の農林水産統計調査では、ミカンは好調でしたが、梅と柿が不作で494万円、ちょっと足らないということになっております。
 長引く不況のもと、デフレ傾向により、ますます販売環境は悪化しており、それに打ち勝つためには、まず販売力を強化する、この方針は変わっておりません。そのため、トップセールスや大手カフェバーとのコラボ企画など、各種販売促進プロジェクトの強化を図るとともに、本年度からは、JAと共同で、これキャッチフレーズですが、「おいしい!健康わかやま」をキャッチフレーズにしたキャンペーンなどを実施しております。
 また、その基礎となる新品種育成に力を注ぎ、梅ではNK14、ミカンではYN26などの県オリジナル品種の登録を行ったところであります。これからどんどん普及を図っていきたいと思います。
 また、21年度からは、6次産業化の対応を先取りした生産、加工、流通、販売対策を総合的に行う新農林水産業戦略プロジェクトをスタートさせるとともに、農商工連携により新商品等を開発するわかやま農商工連携ファンドを創設するなど、これまでさまざまな取り組みを行ってきました。さらに、22年度は、26年度までの行動計画である農業緊急戦略アクションプログラムを策定し、担い手、農地、生産の3つの対策を柱に、緊急プロジェクトとして5つ、重点プロジェクトとして10設定しました。その結果、1例を挙げると、新規就農者産地育成プログラムとか、果樹産地再生緊急対策とか、農林水産業競争力アップ技術開発等の新しい政策を実施しております。
 今後も、大いに農業の振興のために力を用いて、こうした施策を総合的に推進して、県の長期総合計画の目標達成に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 それから、議員御指摘の和歌山県立医大、特に宇都宮先生と、それからみなべを中心とする梅企業のコラボによるところの研究はすばらしいものがあります。これは寄附講座としてお金を出していただいて行っているわけですが、この寄附講座というのは、本来自分たちの利益にもなるようなものを研究してくれということでお願いをするところなんですが、この梅企業の寄附講座については、それを超えるような貢献をこれまでしてきてくれたというふうに思っております。
 その結果、実はこれを進めなきゃいけないと。もう一歩の研究とおっしゃいましたけど、まさにそのとおりでありまして、これを進めるために、県は全力を挙げて国の地域イノベーションによる研究をとりに行きました。その結果、梅酢ポリフェノールが生体内脂肪細胞に与える生理機能解析などなど幾つかありますが、それをまとめた地域イノベーション戦略プロジェクトの1つにようやくなったところなんでございます。
 県のお金なんでございますけれども──これは国のプロジェクトなんですけれども、事業仕分けで随分不十分なプロジェクトになってしまいました。その結果、研究費、実験費など、必ずしも国がくれませんが、それは県が補ってやっていきたい。さらには、技術開発プロジェクト、あるいはわかやま元気ファンドなども利用していただいて、企業の方々が御利用いただいたら少しはいいかな、そういうふうに思っております。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農産物のブランド化についてお答え申し上げます。
 私たちが誇る農産物を消費者に認めていただくには、さまざまな工夫とともに継続的に取り組む努力が必要であると認識しております。
 県では、紀州南高梅を例にとれば、大手飲料とのコラボレーションで南高梅と冠した商品の開発、販売、大手外食チェーンでの青梅の甘露煮を使ったハイボールのメニュー化、マラソンランナー等のアスリートに梅干しの機能性を認知していただくためのPRなど、さまざまな取り組みを展開しております。
 桃につきましては、和歌山の桃とLCCのピーチアビエーションを関連させたPRイベントを実施いたしました。
 日本一の生産量を誇るサンショウは、専門アドバイザーの助言を得て完熟紀州赤山椒という新たなブランドでの販売を開始いたしました。
 紀州うめどりは、首都圏の高級レストランへの提案を通じて、外食業界に浸透しつつございます。
 また、11月には、「おいしい!健康わかやま」というキャッチフレーズのもと、県産品の機能性にスポットを当てるシンポジウムなどを東京で開催いたしました。
 農業以外に水産の分野でも、香港の高級レストランに那智勝浦産のマグロを通年供給しようという取り組みが進められております。
 ブランドは一夜にしてならずという議員の御指摘のとおり、さまざまな分野の方々からアドバイスをちょうだいし、引き続き農作物等のブランド化等に取り組んでいく所存でございます。
○議長(山下直也君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 再質問、3点ございます。
 第1点は要望であります。
 農産物のブランド化に関して、知事はみずから先頭に立ってトップセールスに頑張っていると言われておられます。確かに、市場や各地に知事自身が出向いて県産品の販売促進に頑張ってくれている姿はよく存じております。ありがたいことであります。
 しかしながら、その実態をよく見ますと、せっかく知事が朝早くから市場の関係者に声を枯らしてお願いしても、忙しいこともあるでしょうが、その説明は聞き流され、試供品を配るときだけ人が集まってくるようなトップセールスの姿は、反省の余地大いにありと思います。
 せっかくの知事のトップセールス、形だけに終わってはもったいない。真に県内の農産振興に結びつくようなトップセールスであってほしい。トップセールスのあり方をいま一度検討いただきたい。要望であります。
 次に、再度知事に答弁を求めます。
 さきの本会議での質問の際、知事は、新農林水産業戦略プロジェクトの立ち上げに関し、日高地方では南高梅とミニトマトを組み合わせた加工品の開発プロジェクトを応援すると答弁されました。いま一度お聞きします。県が応援する事業主体はだれなのか、御説明願いたい。
 再質問の2点目は、梅の機能性食品の研究開発に関してです。
 この研究に、県立医科大学の研究チームが長年御苦労をいただいております。あと一歩というところまで研究成果を高められ、また、この研究を通じて各方面に梅の効能を幅広く啓発してくださっていることは、先ほど来申し上げたところであります。
 知事の答弁によりますと、県は今回、機能性食品の開発に対し、大幅な支援をなされるとか。大変ありがたいことであります。これまでこの研究に頑張ってこられた研究チームも、さぞかし喜んでいるものと思います。
 知事も、梅の機能性食品の開発、研究については、県にとって大切なことであり、決して研究の灯を消してはならないと、これまでも大変意欲的に取り組んでくれました。先ほどの答弁にもあった研究開発費の分配については、最終的には県立医科大学で決定されることでしょうが、私は、こうした予算の執行にあっても県の意向も反映させるべきと考えています。皆さん、いかがですか。(「そのとおりや」と呼ぶ者あり)これまで、この研究を支えてきた梅農家の立場も考え、再度明確な県の支援を求めるものであります。知事の方針を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、第2点のほうの──質問の第1点でございますが、これは事業主体はJAみなべいなみであります。平成21年からスタートをしたプロジェクトでございまして、ミニトマト、これは赤糖房とか優糖星とか、それの高品質生産と、それから加工開発、販売促進、これに取り組んでおりまして、順調に成果も上がっていると考えております。
 それから、梅の機能性の研究開発、これには県を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 再質問、加工品開発プロジェクトの事業主体が農協との答弁がありました。私は疑問であります。新しい加工品の開発を農協だけに任せていいものでしょうか。こうした分野こそ、広く県民の知恵とアイデアを結集してはどうでしょうか。支援の対象は農協だけではなく、広く農業団体や農家グループまで広げられることを要望するものであります。
 これで終わります。
○議長(山下直也君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。(拍手)

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