平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 昨日は総選挙の投開票日でありまして、特に近畿ブロックでは、私どもには大変厳しい結果になりました。
 大勝された自民党の安倍総裁も、「相手の失政によるもので、自民党が国民の信頼を得られるかどうかはこれからだ」と語っておられ、その姿勢は結構だと思いました。
 しかし、自民党と維新の会の両トップが憲法9条を変えるんだと言っておられることは、大変心配でございます。私は、自民党も維新の会に走った方も、その一色だとは思っていませんので、平和憲法を守る国民的世論の結集が勝負どころだろうと思っているところでございます。
 消費税を実際に引き上げるのかどうか、活断層が次々見つかる中で原発をどうするのか、TPP協定の参加はどうかなど、この選挙で決着がついたわけではありませんので、県民の皆さんの中に根をしっかりとおろして、ぶれずに頑張っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 さて、議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 第1の柱として、最初に、この選挙中に起こった中央自動車道トンネルの天井崩落事故にかかわってお伺いいたします。
 まず、議性になられた皆さんに心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 今回の事故は、むやみに公共事業を広げて後のフォローができていない問題、道路公団民営化に伴い、管理コスト3割削減を義務づけ、検査、補修の規定緩和などが行われた問題などがあると言われます。新たに公共事業のあり方が問われるものだと考えます。和歌山県においても、深刻な問題として、今後、問題状況、対策を検討していかなくてはなりません。
 とりあえず、幾つかお伺いしておきたいと思います。
 第1に、和歌山県には類似のトンネルはどれだけあるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県内における中央自動車道笹子トンネルのつり天井形式と類似したトンネルは、県管理の国道371号紀見トンネル及び西日本高速道路株式会社管理の阪和自動車道藤白トンネル下り線の一部区間、長峰トンネル上下線の一部区間の合わせて4本があります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お答えいただいた紀見トンネルというのは、1969年に完成した相当古いトンネルでございます。また、阪和自動車道藤白・長峰トンネルは、私にとっても大変身近なトンネルですが、民間会社で管理しているわけです。その安全点検はどうなっているんでしょうか。また、点検結果についてお聞かせください。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 12月2日に発生した笹子トンネル内の天井板落下事故を受け、県管理の紀見トンネルについて、翌日の3日から4日かけ、職員による目視点検を行い、5日から10日かけて、国土交通省のトンネル天井板の緊急点検通知に準拠し、近接目視と打音、触診により天井板等を点検しました。その結果、緊急に対策を要する箇所はなく、天井ばり及び天井板の落下のおそれもありませんでした。
 また、西日本高速道路株式会社管理の藤白トンネル及び長峰トンネルでも、国土交通省からの緊急点検指示に基づき、翌日の3日から7日まで、天井板等の近接目視と打音、触診による緊急点検を実施した結果、高速道路の通行車両の安全に支障を及ぼすような異常は発見されていないと聞いております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今回の事故を受けて緊急点検されたそうですが、それ以前の点検マニュアルといいますか、日常点検というものはあったのでしょうか。
 また、笹子トンネルの場合、打音点検というものが問題になっていますが、これらのトンネルではやられていたんでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県管理道路においては、ことしの4月現在で延長2575キロ、トンネル148本、橋梁2492本を管理しております。
 道路は生活及び産業活動の基盤であり、今後、これらトンネルや橋梁などを適切に維持管理しなければ構造物の老朽化が進み、安全な通行に支障を来すおそれがあります。そのため、予防保全的に橋梁を5年ごとに点検を行い、長寿命化修繕計画に基づき修繕を行っております。また、トンネルについても定期的に点検を行っており、その他の道路構造物においても定期的に点検を行い、修繕を行ってまいります。
 また、これまで打音検査を行っていたかとの御質問でございますが、確認したところ、県のトンネルにおいては今まで打音検査というのは行っておりません。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 このトンネルの崩落事故が起こったときに、一体何のために不安定な天井をつけているんだろうかという疑問を持つところからスタートしました。トンネル内の空気流通のためであって、技術の進歩とともに、天井をつける箇所は一部にとどめたり、天井なしでも空気流通のできるようにできてきているとお伺いしました。それでも、古いトンネルの安全点検は怠りなく進めなくてはなりません。
 私も、まだ技術上のことは詳しいことを勉強していませんが、打音点検しても、どこまで詳しく点検するのかという問題もあろうかとは思っています。引き続き、十分な安全対策をお願いして、次に行きたいと思います。
 そこで、トンネルの崩落は1つのあらわれにすぎませんで、道路、トンネル、橋梁など交通機関だけでなく、水道などインフラ、学校施設など、いろいろあると思います。ここですべての問題について議論するわけにもいきません。
 そこで、今後の課題を共有するためにも、県土整備部の関係でいえばどういう課題があるのか、今後どういう計画を持っていくのか、大まかなところをお示しいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 済みません。先走って、ちょっと先ほど答弁した部分ありますので、ちょっと重複します。
 道路は生活及び産業活動の基盤であり、今後、これらトンネル、橋梁を適切に管理しなければ構造物の老朽化が進み、安全な通行に支障を来すおそれがあります。そのため、あらかじめ補修箇所を直していくという、予防保全的に橋梁を5年ごとに点検を行い、長寿命化修繕計画というのを立てておりまして、それに基づいて修繕を行っております。また、トンネルにつきましては定期的に点検を行っております。
 今後は、さらにその他の構造物についても定期的に点検を行い、必要な修繕を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は以前からもいろいろ問題になっていたところですが、こういうふうに実際に事故が起こってみると、改めて問題の深刻さを痛感しています。これからも、大きな課題であることをお互いに確認し合って、次へ行きたいと思います。
 第2の柱は学校給食の問題、特に今進み始めている中学校給食にかかわってであります。
 今、中学校で学校給食の機運が高まっています。私の関係でも、紀美野町では来年から中学校給食が実施されます。海南市でも、その検討が進んでいます。
 今問われているのは、中学校給食を実施するかしないかにとどまらず、食育基本法の基本を踏まえた子供たちに喜ばれる給食を実施するかどうかであります。
 私が出身の海南市では、10数年前に小学校給食を各学校で調理する自校方式からセンター方式に切りかえようという動きがあり、子供たちに温かくおいしい給食を食べさせてやりたいという立場から、大きな市民運動が起こりました。
 当時、南野上小学校の給食はおいしいと言われたものです。海南市で一番小さい学校で農村部にある南野上小学校では、給食調理員の皆さんから子供の顔が見える、そして地産地消の立場で地元の新鮮な食材が使われていたからです。
 自校方式の場合には、調理員からはつくった給食を子供たちが喜んで食べる姿が見え、また食べ残したものも見えます。ところが、センター方式で何100人、大きなところでは1000人もの給食をつくって運ぶということになると、そんなことにはなりません。
 市民の皆さんがたくさんの署名を集め、自校方式を守る運動を進めました。結局、センター方式になりませんでしたが、海南市を3つに分ける拠点方式というものが採用され、現在に至っています。
 今、中学校給食が求められるに至って、多くの方が、あのとき自校方式を守っていたら中学校区を単位にした給食拠点で温かい給食を子供たちに提供できたのに、また、あのとき拠点方式にお金を使わなくてもよかったのにという思いを抱いています。かつての小学校は相当な人数の児童を抱えていましたから、今ならその給食設備だけで中学校区の給食を十分賄うことができるからです。
 ところが、今、給食のセンター方式どころか、デリバリー方式という希望生徒にだけ業者弁当を買わせるという方針が検討されています。これで食育基本法で言う学校給食と言えるのかどうか、極めて疑問とするところでございます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 第1点は、和歌山県では、学校栄養職員、栄養教員の配置の現状、さらに、こうした専門職員が食育を進める上で果たしている役割をどう考えておられるんでしょうか。まずこの点、お答えください。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校栄養職員、栄養教諭の配置とその役割でございますけども、本県では現在67名の学校栄養職員と20名の栄養教諭を公立学校に配置しております。これら職員は、栄養に関する専門性を持ち、子供たちに望ましい食習慣を身につけさせるため、栄養バランスのとれたおいしい魅力ある給食を提供する役割とともに、栄養教諭を中心に学校、家庭、地域と連携して食育を推進する中核的な役割を担っておると考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お答えいただいたように、学校給食というのは、そういう専門的な職員がよく考えて、その給食の中身をつくっていただいているわけです。
 そこでお伺いするんですが、食育基本法の立場に立った学校給食、地産地消の給食という場合、給食調理と子供が近い自校方式が理想であると思います。もちろん、財政上の理由で何もかも理想どおりにならないことはありますが、理想は自校方式だということについて教育長はどうお考えでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 自校方式ということでございますけども、学校給食の実施については、議員御指摘のとおり、自校方式あるいは共同調理場方式、全面委託方式等があります。中でも自校方式は、議員御指摘のとおり、調理員が直接学校でつくるため、食物アレルギーの児童生徒への対応や配送時間の短縮、地産地消が容易になるというメリットがございます。また一方で、人件費や施設整備費が節減できないというコスト面での課題もあることも事実でございます。
 こうしたことから、各市町村教育委員会がそれぞれの実情に応じて選択をして、より望ましい学校給食を実施しているところでございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 あるべき姿からいえば自校方式、子供に近いところで調理されることが望ましいということが表明されたと思います。それにどう近づけるかが課題であります。
 そこで第3点ですが、デリバリー方式ということも出てきているわけです。ここでは、学校栄養職員を配置しても、その役割を果たすことはできません。食育基本法の立場に立った学校給食としてどうなんだろうかという問題があります。
 それとともに、私は、子供の貧困問題を取り上げた際、お弁当を持ってこられない子の問題を取り上げたことがあります。和歌山市の子供の実態を取り上げました。和歌山市の中学校で、デリバリー方式の中学校給食が始まりました。実施率はどうなのでしょうか。弁当を持ってこられない子というのは、親が弁当を持たせたいけれども経済的に持たせられないという場合もあれば、育児放棄という場合もある。任意の注文によるデリバリー方式では、本当にすべての子供をカバーできているのでしょうか。
 小学校では全員参加の給食ですから、援護家庭の子供は給食費は要りません。その子供たちが、みんなお弁当を食べられているのかどうか大変心配です。
 新聞報道では、デリバリー方式を導入した和歌山市内で、申し込み率が低い学校では11.7%にとどまっている、こういう報道があります。デリバリー方式は、その質の問題とともに、その広さという面で、子供の貧困と食の問題にこたえられているのかどうか心配するものですが、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) デリバリー方式にかかわっての御質問ですが、和歌山市における中学校給食は、ことしの10月から6校で始まり、申込者の平均は24.3%であったと承知しております。
 学校給食は栄養不足の貧困児童の救済のために始まったものであり、今では、児童生徒の心身の健全な発達のために学校教育活動の一環として実施されています。
 先ほどもお答えしましたとおり、学校給食にはさまざまな方式がありますが、その方式にかかわらず、すべての児童生徒が栄養バランスのとれた給食を受給できることが重要であり、学校設置者がさまざまな条件を勘案しながら実施しているところでございます。
 引き続き、子供たちの健やかな成長を促すという観点から、学校給食の普及・充実に向け、実施主体である市町村教育委員会に働きかけてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 和歌山市でのデリバリー方式も始まったばかりですし、一歩前進の努力をしていただき始めたところだと思います。そういう点で、これから問題点も検証していく必要はあると思うんですが、しかし、子供の貧困の問題を取り上げたとき、教育現場のことをよく知っているつもりだった私も、その深刻な現状にびっくりしたものです。その問題に大きくかかわる学校給食をぜひ豊かなものとして、すべての子供たちに保障したいものです。関係者の皆さんと力を合わせていきたいということを表明して、次に行かしていただきます。
 第3の柱は、津波防災堤防建設をめぐる問題であります。
 今、海南市入り口に、浮上式津波防災堤防の建設が進んでいます。それだけで津波を完全に防げるわけではありませんが、津波減災に大きな役割を果たすことは間違いありません。私は、この事業を歓迎していますし、この実験的事業を海南市に誘致した海南市長初め皆さんの御努力も評価するものでございます。
 ところで、この事業は国直轄事業であり、基本的には国が3分の2、県が3分の1を負担するものです。この事業に当たって、地元の熱意を示すとして、海南市と地元企業もお金を出すということになりました。経過があるからそうなったのでしょうが、税金の使い方です。県民にもわかるようにしなければなりません。
 そこで、まず海南市の負担の問題です。海南市が国の直轄事業にお金を出すことはできないということで、そのかわりに、県が行うべきプレジャーボートの係留施設を県にかわって海南市がつくるという変則的なことになってまいりました。
 もともとプレジャーボートの係留施設については、私は、津波のとき放置されている船舶が凶器になるという住民の皆さんの心配をかつて県議会で取り上げ、タイミングよくその直後に仁坂知事が新たな条例の制定と、そして係留場所の整備を表明していただいて進んできたものであり、大いに期待する事業でございます。
 まず、海南市付近の施設の建設計画と財政負担についてどうなっているのでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 和歌山下津港海南地区等における放置艇対策として、第1期分は4カ所の係留施設を整備する計画で現在事業を実施しております。負担内訳は、国が約4億円、市が約5.7億円と想定されております。
 第2期分の事業計画については、まだ具体化しておりません。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 それとは別に、地元企業の負担という約束があるようです。私たち議員としては、国、県、市の予算と企業の協力金がどのようなシステムでどのように使われているのか、明らかにする責任があります。
 その立場からお伺いしますが、企業の協力金はどういうふうに集められて納められているのでしょうか。そのお金は、国の負担分を助けるものなのか、県の負担分を助けるものなのか、国あるいは県にはどういう名目で受け入れられているんでしょうか。これも県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 各企業からの協力金は、直接県に納付されており、県としては一般財源に雑入として受け入れさせていただいております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、初めは国か県の負担分の一部を助けるものと思っていたんですが、国直轄事業ではそういう負担金が入り込む余地がない、そこで雑収入として受け入れられているというわけですね。
 そこで、海岸部に位置する企業が負担をしていると聞いていますが、その金額はどう決められていますか。防災堤防完成までにどれだけ負担をされるんでしょうか。県土整備部長にお伺いします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 海岸部に位置する企業7社が敷地面積割合により決めており、協力金の総額は事業費の4%で、10億円を上限として定められております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、地元企業がそういう協力をしていただいていることには感謝申し上げることを差し当たり表明しておきたいと思います。しかし、ここまでお伺いしてみると、そもそもどこかおかしいのではないかという疑問も持つわけでございます。
 海南市の関係者は、津波防災堤防誘致について県や政府関係者に陳情したと思います。海南市が津波に弱いまちであること、津波に襲われれば被害面積が大きいことも、私も県議会で申し上げてきました。
 そして、実験的なこの事業に当たっては、効果が大きい適地であることをわかってもらうことが陳情活動であったでしょう。私は、国土交通省が以上のことを勘案して適切な判断をしていただいたと理解しています。
 しかし、費用の一部を海南市と地元企業で負担しますからやってくださいというような熱意の示し方というものがあるんだろうか。これまでもあったのか。これからも国の事業を海南市に──どこの地域でも一緒ですが──引っ張ってこようとしたら、そういうことが必要になるんだろうか。こういう疑問が残るわけです。県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 3連動地震による津波により海岸部に集積している企業などに大きな被害が想定されたことから協力の申し入れがあったものであり、そのことは県が国へ事業化の要望をする際の必須要件ではありませんが、優先度として配慮する事項の1つであると考えており、今後についても同様であると考えております。
 また、これまでも同様の事例があったかについてですが、調べた範囲ではありませんでした。
 県としましては、海南市が放置艇対策のための係留施設整備を実施することや、海岸部の企業7社が協力金を県に納付していただいていることについては、海南地区の津波対策事業を全体としてうまく進めていくために協力の方法を工夫しており、よい方法であると認識しております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 よいか悪いかは別として、これまでの前例は調べたけれども見つからなかったという、かなり特別な事例になっていると思います。
 知事にも同じようなことをお伺いすることになるんですが、国直轄事業への熱意を、本来負担しなくてもいいお金を負担しますからという形で示さなくてはならないというのはおかしいのではないか。善意ではあっても行政にゆがみを生むのではないかと心配するものですが、知事の御意見をお伺いしたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 海南の津波対策事業でございますけれども、海南は結構北のほうにあります。したがって、適切に避難をすると人の命は大体救われます。
 しかし、動かないものがあります。これは、一般の住宅はどこにでもありますけども、実は海南というのは産業集積が大事であって、1回津波に遭ってしまうと、この海南において産業活動をやっていくのは、もう二度と立ち上がれない。したがって、命のほかに、特に海南においては財産も守ってくれというような、そういう声が私の就任のときに大変ありました。
 生命を、人の命をこういう地元負担ないしは自発的な分担金、そういうものによって優先度を左右するということは、これはできないと思いますけれども、実際に営業活動の対象であり、お金もうけの対象であるそういう財産、産業的な財産を守る順番として、例えば全県的にみんな必要な中で、あるいは全国的に必要な中で優先順位として配慮して、それが何か問題があるとは私は考えておりません。
 そもそもこの問題は、自分たちも大いに協力するからぜひ優先的にこちらにやってくれと、こういう話が地元の産業界及び海南市からあった話でございますので、私どもが公共事業をやる、あるいは公共事業を誘致する際に、負担金を出せといったような悪代官的な要請をしたわけではないということだけはぜひ御理解いただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 誤解ないように申し上げておきますが、私はこの質問について、負担する海南市にも地元企業にも相談してはおりません。純粋にシステムとしてどうなのかという問題意識で質問させていただいてます。
 恐らく質問したら、関係者は県に遠慮して、そんな質問せんといてくれ、何か雑賀さんに頼んだように思われるやないかと言うてとめられたかもしれません。市議会では市会議員が取り上げてるんですが、企業の皆さんについては全く寝耳に水の問題であることは申し上げておきたいと思います。
 それにしても、地元企業の負担は小さいものではありません。10億円を上限としているんですが、この間の決算特別委員会のときに資料を出していただいたんです。そうすると、ある地元の中企業というところでは、平成21年度は32万円でありました。これは、もう大したことないでしょう。ところが、工事の規模が大きくなってくると、22年度は68万円、23年度は107万円というふうに負担していただいてます。最終的に2000万円負担する。優良企業だから大丈夫かなと思うんですが、中企業というところですから、それなりに大変だろうと思います。
 5億とか1億8000万円を出してもらうのは和歌山県の有数の大企業ですけども、地元の石油関連会社で1億7000万、これも大変ではないかなというふうに思います。ただ、企業からは頑張って出してくれているようでございます。
 ただ、国の直轄事業であれ、県の直轄事業であれ、地元にとってメリットもあるものです。そのことを理由にして地元負担というものがあったんですが、私たちはそれの廃止を求めてきた。知事も、基本的には廃止しますという方向になってきているわけでしょう。国に対しても、国直轄事業負担金撤廃を、廃止を要望しておられるわけでしょう。ところが、この津波防災堤防だけ根拠のない地元負担があって、まあいうたら在日米軍の思いやり予算ってありますが、思いやり予算のようなものになっている。
 私は、予算の執行というものは、やはりルールに従ってやるべきで、何か義理と人情、浪花節の世界になってはいけないんではないかというふうに思います。
 そういう点で、今後こういう問題がどうなのかという心配もいたしましたので、質問させていただきました。もちろん、今後その問題が、地元の企業から景気が悪いときにはしんどいという声が出てくるのか、それはわかりませんけども、私なりにそのルールとしてどうなのかなというあたりをみんなの前に出したほうがいいかと思ったので、きょうは質問させていただいたわけでございます。
 それでは、次へ参ります。
 第4の柱として、毛見琴の浦にあるリハビリセンター周辺の施設への進入路についてお伺いいたします。
 私は海南・海草の選出ですが、和歌山市の毛見トンネルを越えた海南市側の皆さんとは交流があるので、いろいろ相談もいただきます。毛見琴の浦の地域は、リハビリテーション附属病院があり、パナソニックの乾電池をつくる福祉工場があり、若竹園という障害児の訓練施設があります。その後、児童相談所がこの地に移り、今では和歌山県子ども・女性・障害者相談センターが置かれています。いわば、一大福祉ゾーンと言うべき地域になっています。
 ところが、この福祉ゾーンへの進入路が狭く、歩道もありません。地域の皆さんは、時々車いすの方が通行するのを大変心配して見守っておりました。
 先日、自治会の皆さんが集まったとき、この道路は安らぎゾーンになっているのに交通規制はどうなっているのかというお話が出まして、警察に問い合わせたところ、確かに安らぎゾーンでありますが、交通規制標識がないのでスピード制限が60キロというお答えで、それでも公安委員会に諮って30キロ規制を検討しているというお返事をいただいています。
 なぜ、こんなことが放置されていたんかという思いもあったんですが、ある面では無理もありませんで、この道路は県道でも市道でもないのです。福祉施設が持っている県有地が伸びてきて、そして福祉施設とともに、そのまた後ろにある、向こう側にある造成地の住宅への進入路になっていて、乗用車も通行しているわけです。それが市道と接続するんですが、その県有地の道路は県道でもない、市道でもないという、私はこういうことを行政の谷間というふうに呼ぶんですが、そういう地域になっています。
 ですから、どうしてもそこには行政も目が行きにくいという問題があったんではないかと思っています。何とかして道路を広げて、車いすの方も安心して通れる安全な道路にできないのかというのが地元自治会の御意見でございます。
 そこで、この道路のわきには関西電力の社員寮が建っていたんですが、2年ほど前に社員寮が撤去され、大きな空き地になっています。ですから、道を広げようと思ったら、協力いただければ広げられる。
 そこで、私は自治会長さんと一緒に関西電力和歌山支所に出向き、道路を広げるとなったら協力いただけるだろうかという相談をかけました。関西電力支社からは、今なら協力できるというお返事をいただいているわけです。
 そこで質問ですが、まず福祉保健部長にお伺いいたします。
 福祉施設の集積地と言うべきこの地への進入路の安全問題について、どういう認識をお持ちでしょうか。この道路を広げるとすれば今がチャンスですが、この土地の現状についてどう把握されていますか。また、県土整備部とこういうことについて協議されておられるでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 福祉施設の集積地への進入道路の安全問題についてですが、進入道路の利用状況を踏まえ、可能な限り安全を確保していくことは重要であると認識しております。
 進入道路の現状といたしましては、国道42号に接続する和歌山市毛見の市道琴ノ浦1号線の一部と県有地で構成されており、自動車の対向に支障のない程度の幅員がございます。また、進入道路に当たる県有地は公図の整備がされておらず、隣接する関西電力株式会社などの民有地との境界が明確でない箇所がございます。
 なお、議員御提案の道路拡幅につきましては、現状の進入道路は県道としての整備にはなじみませんが、県土整備部の技術的協力を得ながら進めることとなります。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、よく「行政の谷間」という言葉を使うんですが、まさにそういう場所で、つまり市道でも県道でもない。県道であれば、県土整備部長に、この道にどういうふうに歩道をつけるんですかと質問するんですが、それは答えようがない、そういう道路なんですね。
 だから、福祉関係から声を上げて、何とかしてほしいと声を上げなくちゃいけないんだけども、この福祉関係の部局というのも、道をつくるところまでなかなか声を上げるというのは上げにくい。しかし、実際には車いすの方が通行されていて、それで御近所の方も地元自治会も何とかならんかなと大変心配してると、こういう谷間にある問題です。
 私は、ここはひとつ知事の出番だというふうに思っています。やはりこういうところは全体的に物を見て、こうすべきだというふうに決断のできる知事が出てきて、そしてこの現場を見て何とかしろよと、こういうふうに言ってもらうことが一番早いのではないか、また、やっていただけるんではないかというふうに期待するわけでございまして、それで、ひとつ知事のイニシアチブを発揮して、一度この現地を見に来ていただくか、あるいはもうそれはよくわかっているということだったらやっていただくか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 雑賀議員は行政の谷間とおっしゃいましたけども、私はこの話を質問に対する答弁ということで勉強させていただきましたら、これは行政の非常識だということがわかりました。なぜならば、ここは、もちろん福祉施設もございます。福祉施設に対しては、そこの出入りもございますから、安全に通行できるようにするというのは、福祉施設を所管している我々としては当然配慮しなきゃいけないことでございます。
 しかしながら、ここは市街化区域であって、一般の住宅の方がたくさん住んでおられます。その中には雑賀議員のお父様のアトリエもあって、それで普通の住宅があり──アトリエもあるんですが普通の住宅もあり、そしてそういうところには当然生活道路がきちんと整備されていなけりゃいけない。それを何か福祉施設の延長上の空間を使って通っていることで放置しているというのは、これこそ非常識であるというふうに思います。
 したがって、こういうことが雑賀議員の御指摘でわかりましたので、市道を当然つくっておくべきであった市役所とよく協議をして、それで県の持ち分についても協力し、関電にも多分協力をしていただいて適切な市道をつくり、それを管理していただくというふうにすればよろしいんじゃないかというふうに思います。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、行政関係の方に遠慮して、なかなか気づきにくいだろう、無理ないだろう、「谷間」という言葉を使ったんですが、知事のほうからは、それは行政のほうからは、谷間どころか、ほっておくのは非常識だということまではっきりと言っていただきました。大変ありがたいと思います。
 地元の自治会の皆さんも要望していることであり、車いすに乗って通る方も安心して通れるようにぜひとも実現していただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時14分散会

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