平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 こんにちは、29番谷口和樹でございます。よろしくお願いします。
 早速、質問に入ります。
 1番、介護老人福祉施設「虹」、短期入所生活介護「虹」の行政処分についてお聞きをいたします。
 全国的にも、福祉施設の介護報酬に対する不正請求にかかわる行政処分がたびたび報じられております。ことし11月、千葉市で介護事業の2業者が不正請求で指定取り消しに、長崎県佐世保市でも業者の指定取り消し、また広島市の介護事業所でも不正受給が見つかり、広島市は12月1日から同事業所の新規利用者受け入れ停止処分にしています。
 本県も介護給付金を不正に受け取ったとして、和歌山県は11月16日、介護保険法に基づき、みなべ町の介護老人福祉施設「虹」と短期入所生活介護「虹」について、25年1月1日から3カ月間、介護報酬の請求上限額を通常の5割までに設定、加えて介護老人福祉施設「虹」には、新規入所者の介護報酬請求を全額不可とするなどの行政処分を決めています。
 福祉関連事業所での不正受給が多発する中で、和歌山の高齢者福祉を守っていくためにも、この事件について行政処分の経過の説明を求めます。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 介護老人福祉施設「虹」、短期入所生活介護「虹」につきましては、平成23年8月に実地指導を行ったところ、同施設では、基本的な施設サービスの報酬に加えて、付加的な機能訓練を行う場合に算定できる個別機能訓練加算を算定しており、実地指導でその加算の要件について疑義が生じました。
 そのため、関係書類の提出を求めたところ、その中に不整合が見つかったため、ことし7月に監査に切りかえ、書類の精査や職員からの聴取を行いました。その中で、加算算定の要件である常勤専従の機能訓練指導員を配置せず、他の業務に従事している職員に兼務させ、個別機能訓練加算を不正に請求していたことや、監査で提出された訓練実績の記録は虚偽であることが判明しました。
 そのため、県では、ことし11月、同施設に対して不正請求額の4割を加算した額を返還させるとともに、3カ月間、介護報酬の請求を5割に制限し、介護老人福祉施設の新規入所者については介護報酬の請求を全額不可とする行政処分を行ったところです。
○副議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 続いて、質問さしていただきます。
 県知事指定の取り消しはどのような場合で、その場合、入所者の適切な環境は確保されるのかについてお聞きします。
 不正受給などに対する行政処分については、県知事指定取り消し、事業停止、事業改善勧告等々さまざまな処分があろうかと思いますが、知事指定取り消し処分はどのような場合に行われるのかについてお伺いします。
 ことしに入ってから、本県でも、介護報酬の不正受給で、1月6日には白浜町の訪問介護事業所が、また同10月30日には海南市下津町の訪問介護事業所が指定取り消しになっております。こうした訪問介護事業所の場合は、不正受給による指定取り消しという行政処分がありましたが、特別養護老人ホームの場合、入居老人への影響が多いためか、指定取り消しという行政処分は少ないようであります。
 特別養護老人ホームの指定取り消しという行政処分はどんな場合に行われるのか、教えていただきたく思います。影響力の大きさで、訪問介護事業所と老人ホームの基準に差が出るのかどうか、また、老人ホームが指定取り消しになった場合、入所者の適切な生活環境はどのようにして保障されるのか、その対策についてもあわせてお伺いします。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 居宅サービス事業者であるか、また入所施設であるかにかかわらず、行政処分は人員基準、設備基準を満たすことができなくなったときや、介護報酬の請求に関し不正があったときなどに行うことができることになっており、中でも指定取り消し処分については、介護保険制度の運営について根幹から揺るがすような悪質な事案について行うこととし、それぞれの事案について慎重な検討を行っています。
 そして、指定取り消し処分を行うに当たっては、これまでも利用者引き継ぎのための十分な期間を設けており、事業者に対しては誠意を持って速やかに利用者を他の事業者に引き継ぐよう指示しているところです。また、各市町村にも他の事業者が利用者を円滑に受け入れできるよう協力を要請するとともに、県としても、必要に応じ、担当ケアマネジャーに調整を指示するなど、利用者の円滑な引き継ぎについて支援しています。
○副議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 現行の介護保険制度では、事業者は介護サービスにかかわる記録について2年間の保存、保管義務がありますが、介護老人福祉施設「虹」の場合、その十分な義務が果たされておらず、県がたびたび実地指導の中で提出を求め、その都度、偽装の書類を作成され、虚偽の報告を繰り返したと聞いております。また、従業員に虚偽の書類作成を指示したということもあるようでございます。
 本当にこのぐらいで済むんやなという同業者の感想などをお聞きした上で、本当にこの行政処分が妥当だったのかと感じるところであります。
 当該法人の今後の適正運営、適正経営は、当然のことながら、再度の不正事実があった場合には重ねて厳正な処置をすることとなると思われますが、県は今後、この法人に対してどのような対策を考えておられるのか、そして万が一、重ねて新たな不正が発覚した場合にはどのように対処するのかをお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 行政処分を行う際は、監査により判明した不正事実に基づき、他府県の処分事例も参考にしながら慎重に判断しています。また、今回の事案では、事業所に係る処分だけではなく、運営法人に対して業務管理体制の整備に係る特別検査をあわせて実施し、法令遵守のための改善勧告も行いました。具体的には、法人における管理運営体制の抜本的見直しや、法令を遵守し、適正に業務を遂行するための基本方針の策定、理事会による監督機能の強化、全従業員に対する教育の実施など、組織全体の体制や取り組みを再構築するように求めています。
 県としましては、同法人の運営体質が改善され、勧告事項が確実に履行されているかどうか、今後引き続き確認してまいります。
 なお、万が一、同施設において何らかの介護保険に係る新たな不正事実が判明した場合は、厳正に対応してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 少し前後しますが、居宅サービス事業者であるか入所施設であるかにかかわらず行政処分は適正に行われるとのことですが、現実、速やかに利用者を他の事業者に引き渡すよう法人に指示しても、入所待ちが多数ある中の数10人の移転先の確保、高齢の長期入所者の健康を保ちながらの移転というのは大変困難であります。1カ月や2カ月では到底無理ではないでしょうか。当然、事情を抱えて待っておられます待機者の方もおられます。
 例えば、取り消し行政処分の際は、監督官庁の県が直接引き渡しまで緊急的に施設運営を代理執行するといったような対処を決めなければ、ちゅうちょのない処分はできない、また、するならば処分後の入所者のリスクは残ったままであります。利用者、高齢者、和歌山県の高齢者福祉向上のためにも、適切な整備の検討を考えるべきではないかと考えます。
 さらに、今回の行政処分の理由は2つ、施設介護サービス費の不正請求、監査の際の虚偽報告であります。行政処分の指定の一部効力の停止は、1の不正請求の理由から法人に科せられたものではないでしょうか。だとするならば、2の監査の際の虚偽報告は役職者、役員の責任で、処分は当然その方たちに科せるものではないでしょうか。県の行政処分としては、監督下にある社会福祉法人の役職などの解任にタッチできるのかどうかということはわかりませんが、幾度の虚偽報告は責任者のモラルが問われるものであると思います。
 「施設責任者の資質以上の福祉サービスは提供できない」、今回調べさしていただく中でお聞きした言葉であります。和歌山県の老人福祉行政の維持のためにも、今後の行政処分の仕組みについては検討すべきではないかと考えます。
 続いて、2つ目の質問に参ります。
 関西広域連合、自由民主党の政権公約に対する申し入れについて。
 自民党は、去る11月21日、政権公約J-ファイル2012ですか、国土強靱化の中で、「民主党が進める国の出先機関の特定広域連合への移管は断固反対し、地方出先機関の広域災害対応力の一層の強化を図るとともに、国と地方のあり方と道州制の議論を整理します」と公表。
 これに対して、11月27日、関西広域連合は、自由民主党のこの政権公約に対し、「これは中央集権的行政に固執する勢力を容認することになり、ようやく一歩踏み出そうとしている分権改革の流れを断ち切るだけでなく、中央集権の強化につながり、極めて遺憾である」と、同党に対して「政権公約の当該部分を撤回するとともに、国の出先機関の事務・権限の関西広域連合への移管を積極的に進められるよう強く求める」と申し入れを行っています。
 地方分権化は、地方を活性化させたいという多くの地方に住む人々の願いであります。関西広域連合も、そうした願いを背景にして、平成22年に地方分権社会の実現を目指し、国の出先機関の事務の受け皿づくりを目指し、和歌山県を含む関西2府5県と大阪市など4市で設立された組織であり、いわば関西の総意でありますが、今回の経過と知事の見解をお聞きいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 11月22日に広域連合委員会がございまして、その前日に自民党が公表した政権公約で、民主党が進める国の出先機関の移管は反対と記載されておりました。議員御指摘のとおり、国土強靱化のところに指摘されておりましたが、これに対して、急遽、広域連合として自民党に申し入れを行う必要があるということで議論を行ったわけであります。
 関西広域連合は、民主党政権が閣議決定をしました、国出先機関を原則廃止し、地方に移管する際の受け皿を目指すとして、移管のために必要な法案等の詳細な設計を国と共有して取り組んでまいりました。
 そもそも、この国出先機関を原則廃止する、いわゆる丸ごと移管というような考えは、民主党政権が、出先機関を移せば何でも地方の思うままにできるという誤ったイメージを振りまいた、そういうところにあるような気がします。これに、出先機関というのはどういう仕事をしているのかという、行政の機構の現状を知らない一部の知事が盲信して乗ってしまったというようなところがあります。
 例えば、「国が決めている箇所づけも、選挙で選ばれた我々が決めるのだ。そうすれば、もっとガバナビリティーが増すんだ」というようなことを言っておられた有名な方もいらっしゃるわけであります。
 今度は、そうすると道路整備の箇所づけ等の意思決定も広域連合に国から移管をされてしまうので、これは大都市中心になったり、自分たちが選んでない気に入らない首長さんなんかの主導権で決められてしまうというようなことになったら困るということで、市町村の不安も出ました。多くのところで反対という意見も上がりました。
 そこで、連合長が中心になりまして、これは国の本庁がやっている意思決定などまで移すわけじゃないので、そんなものは前どおりであって、したがって、その出先機関がやってることだけ移すということなんですということを一生懸命説明して誤解を解く、ある意味では羽目になってしまったというところであります。
 多分、こういう市町村の動きに対して、そもそもこの出先機関の移管をあんまり快く思っていない国交省などがこれを強く引用し、それを口実に、なかなか民主党政権が法案を国会に提出すらしないというような事態があった中での出来事であります。
 自民党は、地方分権を一方では推進すると言ってるのに、この当該箇所においては、御指摘のような話が出ております。
 推測するに──これは私の推測ですが──今申し上げましたような市町村長さんたちの懸念、これは誤解なんですけど、あるいは国交省の働きかけが強くあって、それに影響されているのかなというふうに私は考えています。
 そこで、地方分権のもともとの考え方に従ってよく考え直してほしいというふうに、連合として自民党に申し上げようということで意見をまとめて、それで連合長がそれに基づいて行動したということでございます。
○副議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 少し重なる部分もあるかと思うんですけども、そのまま続けさせていただきたいと思います。
 今回の自民党の公約は、関西広域連合が目指しているものとの間にギャップ以上に相反する問題をはらんでおりまして、当然の申し入れだったと理解をしております。
 東京の一極集中を改め、中央集権構造を打破するために超党派で取り組まなければならない課題でありますが、超党派での取り組みが困難になるばかりか、政権を担われることになった今、これまでの地方分権の流れに大きな影響を及ぼすものと考えられます。
 今後、この政権公約が関西広域連合の運営にどのような影響を与えるとお考えでしょうか、あわせてお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西広域連合は、民主党政権が打ち出した国出先機関改革の受け皿として丸ごと移管を目指しておりましたが、民主党が進める国の出先機関の移管は反対との政権公約を掲げた自民党が新しい政権の中心になると思われますので、丸ごと移管は多分見直しを余儀なくされるということになるだろうというふうに思います。
 一方、自民党は地方分権は推進すると別のところでたっぷり書いておられますので、それに対する期待もしたいというふうに思っております。
 そもそも、出先機関の丸ごと移管という考え方には、先ほど申し上げましたように、民主党政権が言っていたような、これをやれば地方で行っている国の仕事を全部移すということになるというふうなこととかなり別の要素があります。
 出先の仕事は、かなりの部分、決定は国でやって、そして、出先は地方の手足だけというようなものが多いわけであります。したがって、出先の部分を移管しても十分な地方分権にはならないというところもあるわけです。
 国の考え方に乗って何でもできると言いまくっていた人もいるわけですけれども、私は内部的にはその間違いをずっと指摘しつつ、国が自分で決めた話なんだから、別に害もそうないから、反対する必要もないのできちんと履行したらどうですかというような意味でずうっと同調をしてまいりました。
 しかし、ここで一度、真の地方分権とは何かということを考え直してみるべきではないかというふうに思いますので、それについては大いに期待していきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 これからの進展に大きく期待をしつつ、知事の活躍にも期待しつつ、次に移らさしていただきたいと思います。
 3番目、台風12号災害以降の被害河川支流の復旧工事についてお聞きいたします。
 昨年の紀伊半島大水害から1年3カ月が過ぎました。この間、県当局の大変な努力によりまして、紀南各地の被災地の復旧工事も大きく進みました。当初の応急復旧工事から本格的な復旧工事が始まっておりまして、多くの場所で既に復旧工事が完成していっております。
 県当局、特に西牟婁建設部河港課の皆様の御尽力に感謝を申し上げるところではございますけれども、今なお各地で、まだまだ土のうを積んだままの箇所や全く手がつけられていない被災箇所もありまして、特に被害河川の支流については放置されたままの箇所が数多くあります。小規模ではございますけれども、中には生活路、人家、対岸に影響を及ぼすであろう箇所もあります。
 災害復旧のアクションプランでは、3年、5年といった復旧予定も発表されておられますが、支流河川の復旧工事についてはいかがでございましょうか。今後、紀伊半島大水害で手がつけられていない河川支流の被災箇所の復旧工事についてお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 台風12号による河川管理施設の被災箇所につきましては、早期復旧に向け全力で取り組んでいるところであり、西牟婁振興局建設部管内については、国が採択を受けたすべての災害復旧事業箇所で既に工事が進捗しております。
 また、県管理河川の支川等の小規模な施設被害については県単独災害復旧事業で対応していますが、そのほか、河川管理上対策が必要な箇所についても、人家が近接するなど背後地の状況を踏まえ、治水上、緊急度の高いところから順次対応してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひとも、引き続き災害の復旧工事、河川の修繕のほう、よろしくお願いします。特に、支流に関しましては、近くに住まれておられる皆様方の思いもありますので、ぜひとも御配慮をお願いします。
 以上で、一般質問のほうを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。

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