平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、おはようございます。
 けさは、天もことほぐようないいお天気になりました。いささか睡眠不足でございますけども、さわやかな気分でございます。皆様、多少お疲れでございますでしょうけども、いましばらくおつき合いいただきたいと思います。
 昨日、3年余り停滞していました政治状況を変える、そんな思いの国民の審判が下されました。衆議院選挙前の大方の予想どおり、政治学でいうところのバンドワゴン効果も発揮され、自民党の圧勝、民主党惨敗、我が党も、前回失った議席をすべて取り戻し、復活、躍進を果たさせていただきました。そして、新しい政党、日本維新の会の躍進というのも今回の選挙の特徴だったというふうに見受けられます。
 公明党に負託されました責任と期待を果たすべく、結果の出せる政治をやり遂げてまいりたいと思います。特に、東日本大震災の復興・復旧を急ぐとともに、景気回復は待ったなし、外交、安全保障の信頼を取り戻す、そして教育の立て直しに取り組まなければなりません。
 衆議院選挙は、国政だけではなく、県政へも大きく影響いたします。3年前の政権交代、あの選挙後の9月定例議会のときにも、選挙の結果を受けて仁坂知事にお聞きしました。
 選挙前、知事は、8月のメッセージで思考停止社会の話をされました。世論に流されず、自分の頭で批判的に考えて、異論を唱える勇気を持つことの必要性を説いておられました。「幾ら時流でも、間違ったことは、いつかはその間違いが顕在化します。しかし、それは行き過ぎと揺り戻しの混乱とともにやってきます。そのときでは遅いのです」、そして「みずからの考えが時流とは異なったものであったとしても、是々非々で、勇気を持って発言し、行動しなければならないと考えます」とお述べになっておられました。まさに勇気ある発言だったと思います。
 民主党が掲げたマニフェスト、多くの公約を見直しや撤回とし、総崩れになったことは国民に政治不信を招く結果となり、この選挙の結果にもあらわれております。
 一方、地域主権改革は、民主党政策の一丁目一番地とされていたはずです。私は、地方分権をどのように進めるか、争点の1つだったと思いますが、期待ほど進みませんでした。我が党は、マニフェストの中で、特に国の形を変える地域主権型道州制を政策3本柱の1つとして位置づけてまいりました。
 この衆議院選挙を終え、地方を預かる知事として、民主党政権の地域主権改革に対する評価と新政権に対する地域主権改革への期待について、仁坂知事にお聞きをしたいと思います。
○議長(山下直也君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3年前に民主党政権が誕生いたしましたときに、政権公約の中で地域主権の確立や地方の自主財源を大幅にふやすことを掲げていたので、分権改革が進展するということをみんな期待したと思います。
 この3年間に行われました改革のうち、地方への義務づけ等の見直し、これは法律も出ましたし、多くのものについて、ちょっと小粒ではあったんですけれども、進んだと思いますし、あるいは三位一体改革で失われた地方交付税の復元というのがありましたが、これは交付税もちょっとふやしてもらいましたし、前よりはましということで一応評価できると思います。
 しかし、国出先機関の地方への移管というのがありまして、これはそういうことをやるといって閣議決定をしたんですが、関連法案の原案ができているのに、なかなかその法案の閣議決定をしない、そして最後の日にしたんですけれども、国会に提出をしないで終わっとるということで、これはどういうことかということでございますので、自分で決めたことを実行しないで約束をほごにしたと言ってもいいと思います。
 また、これができると何でも地方が自由自在にできるかのような誤ったイメージを振りまいておいたというところも問題ではないかと思います。
 地方のことは地方が責任を持つということが、私は地方分権の大事なことであると思っておりまして、これはこれからの日本の発展についても不可欠でありますから、どのような政権のもとでも推進されるべきだと思っております。
 その際に一番大事なキーワードは、自己責任であるというふうに私は思います。国と地方の間における責任の適正な分担であるというふうに思いますが、それをやって、責任を持たない者があれこれ指図するというようなことはやめて、責任がある者は、それぞれが100%、財源も含めて費用負担をして責任を持って行い、それができるように正しく国と地方の間で財源配分をすべきだというのが私の意見であります。
 そのためには国が何に責任を持たなければならないか、この国のあり方を規定するためにこれだけは国がどうしてもやらなきゃいけないというようなことを再規定した上で、それ以外は責任と財源をすべて地方に任すといった大胆な見直しが必要であると私は思っておりまして、新政権に、こういうちゃんとした分権改革を理論的にやってほしいというふうに考えております。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それでは続いて、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会について、5点お聞きしたいと思います。
 国体は国内最大のスポーツイベントであり、多くの選手、監督、マスコミなど、競技関係者や応援者が全国から集まってまいります。全国47都道府県の代表が集い、和歌山県の魅力を全国に発信する絶好の機会であると位置づけられます。競技者や関係者は、この日を目指して意気揚々と集まってこられると思います。この国体や大会に集う方々をお迎えし盛り上げる主役は、言うまでもなく100万県民であり、また各競技会場地となる市町村でもあります。県民と競技会場地となる市町村が盛り上がらなければ、国体の成功はおぼつきません。
 1点目に、県民総参加の国体にするための取り組みについてどのような取り組みをお考えか、お聞きします。
 次に、競技力を全国トップレベルに、男女総合優勝を目指す国体についてお聞きをしたいと思います。
 競技力につきましては、ぎふ清流国体では、前年の43位と比べると、ことしは21位と大きく飛躍しました。国体関係者の御努力に改めて敬意を申し上げます。しかし、3年目には総合優勝を目指している本県として、全体的な競技力向上、そして、より得点の高い団体競技への集中的な取り組みで即効性のある対応も必要になってきました。岐阜県も3年前は16位、2年前は11位、そして昨年は4位とし、ことしは総合優勝をかち取っています。大変理想的な優勝の仕方となっております。
 本県におけるあと3年後の総合優勝に向けた強化策をお示しください。
 続いて3点目に、宿泊計画についてお伺いします。
 既に発表されていますが、大会関係者、一般観覧者などを合わせて延べ約70万人が参加し、宿泊では、障害者スポーツ大会紀の国わかやま大会を入れると延べ約17万人を見込めると予想されております。観光立県和歌山をアピールするチャンスです。国体開催の機会をとらえた観光振興策という点では、9月議会で森礼子議員が質問されておられますので、重複しますので省略しますけども、来年から始まるゴールデンイヤーの取り組みについてしっかりやっていただきたいと思います。
 国体開催に当たって懸念されていることは、宿泊の問題です。競技が紀北地方に集中しているのに対し、本県の宿泊施設は紀南地方のほうが圧倒的に多いという状況にあります。県内での宿泊計画の現状はどうなってるのか、お尋ねをしたいと思います。
 次に、経済波及効果についてお聞きします。
 短期間に大勢の方が来られるということは、経済面でも雇用創出にもいい影響を与えると期待できます。既に県有施設だけでも、秋葉山県民水泳場新設を初めとし、紀三井寺公園陸上競技場の改修などに約200億円の整備費となっております。市や町でも、施設整備などを進めていただいております。人が多く動くと準備も大変ですが、その分、経済波及効果も試算できると考えます。紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会での一連の経済波及効果や雇用創出についてどのようにお考えか、お示しをいただきたいと思います。
 最後に、「おもてなしの心」満載の紀の国わかやま大会についてお聞きします。
 全国障害者スポーツ大会は、2001年から身体障害者と知的障害者が参加する大会として統合され、また、2008年大分大会から精神障害者が参加することになり、3障害統合の大会となっております。
 紀の国わかやま大会では、全国から選手3441名、役員約2000人の方々が本県を訪れます。そして、手話やボランティアの方々等を含めて約5000人の方が県内で交流をされます。駅や公共機関へのアクセスにおけるバリアフリー、大会や宿泊施設等へのバリアフリー、何よりも心のバリアフリーを醸成していくことは非常に重要だと考えます。これらにおけるバリアフリーにどのように取り組んでいくのか。
 昭和46年の最初の黒潮国体では、国土成長期真っ最中、前年には大阪万博も開催され、大いに盛り上がった時代でもあります。
 今、少子高齢化を迎え、障害のある人も、子供、高齢者も大いに参加して、おもてなしの心あふれる心のこもった大会とするためにボランティアや一般県民に対しどう取り組んでいくのか、若宮茂樹国体推進監にお尋ねをしたいと思います。
○議長(山下直也君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会の5点についてお答えいたします。
 初めに、県民総参加の国体についてですが、紀の国わかやま国体は、スポーツをする、見る、支えるといったさまざまなスポーツとのかかわり合いを通じ、すべての県民が夢と感動を共有して和歌山を元気にするために開催するものであることから、県民総参加の国体開催が最も重要であると考えています。
 県実行委員会では、児童生徒等を対象とした絵画コンクールの開催や大学生を対象とした広報ボランティアの募集を行うとともに、県民だれもがスポーツに親しめるよう、国体ダンスを創作し、その普及活動を行っているところです。
 市町村におきましても、国体をともに盛り上げる主催者として、現在8市町に実行委員会が設置され、住民との協働による開催準備の取り組みが進められているところであり、順次、実行委員会が設置されていく予定となっています。
 今後は、県、市町村がさらに連携を深めながら、総合開・閉会式会場や競技会場等を飾る花いっぱい運動を初めとする県民運動や、開催を支え盛り上げていただく運営ボランティアへの参加を募集するなど、さらに県民の参加機会を創出し、県民総参加の国体実現に取り組んでまいります。
 次に、男女総合優勝を目指す国体についてですが、岐阜国体において本県選手団は大健闘し、県競技力向上対策本部において設定した目標の34位を大きく上回る21位という成績をおさめることができました。
 紀の国わかやま国体における男女総合優勝に向けては、県対策本部が策定した県競技力向上推進計画に基づき、指導体制の整備、競技者の発掘・育成・強化、スポーツ医・科学・情報の活用など、競技力の向上に計画的、継続的に取り組んでいるところでございます。
 岐阜国体の結果を踏まえ、残り3年においては、サッカー、ホッケー、軟式野球、ラグビー、フットボールなど、課題である集団競技、近年本県が得点割合の低い女子種別、開催年に高校生となるターゲットエイジの強化に重点を置きながら、より多くの競技が入賞できるよう強化を進めてまいります。
 次に、宿泊計画についてですが、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会では、選手、監督など、延べ約17万人の宿泊が見込まれています。宿泊施設については、県全体では充足されていますが、紀南地方に偏在しているため、和歌山市を初めとする紀北地方では1日当たり数100人から数1000人の宿泊不足が懸念されています。
 このため、県では、配宿主体である会場地市町村とともに、宿泊施設に対する客室提供の促進や競技日程の平準化、近隣市町村への広域配宿などの充足対策に取り組んでいます。
 なお、広域配宿については、全国から訪れた方々に本県のよさを知っていただき、国体後も訪れてもらえるよう、可能な限り会場市町村や和歌山県内に配宿し、それでも不足する場合は県外配宿することとしています。
 今後は、充足対策とあわせて配宿シミュレーションを実施し、選手がよりよい環境で競技に臨めるよう、きめ細かな準備を進めてまいります。
 次に、経済波及効果についてですが、経済波及効果の試算につきましては、これまでの開催県の多くは、大会の運営費用が明確になってくる開催年に実施しています。現在、紀の国わかやま国体・大会開催による和歌山県への経済波及効果については、財団法人和歌山社会経済研究所で試算が行われており、概算で経済波及効果は約640億円程度、雇用誘発効果は約4400人程度と聞いています。経済波及効果や雇用誘発効果につきましては、建設業や観光業を初め、多くの産業界にインパクトのあるものと考えております。
 最後に、「おもてなしの心」満載の紀の国わかやま大会についてですが、第15回全国障害者スポーツ大会は、全国から障害のある多くの方々をお迎えするため、県内の宿泊施設を初めとした各施設におけるバリアフリー化やホスピタリティーが非常に重要であると認識しております。
 そのため、現在は宿泊施設等のバリアフリー化に係る実態把握を行っているところであり、大会の宿泊や輸送などが具体化する来年度からは、大会参加者の動線を重視しながら、駅や宿泊施設、競技会場、歩道などのスロープや点字ブロック、多目的トイレ等の整備に関係者と連携しながら取り組んでまいります。
 また、大会参加者へのホスピタリティーについては、大会運営ボランティアを初め、手話や要約筆記で支援する情報支援ボランティア、介助、誘導等を行う選手団サポートボランティアなどの計画的な養成はもちろんのこと、一般県民を対象とした障害のある人への具体的な接遇やサポート講習会を開催し、障害や障害のある人への理解を深め、みんなが笑顔で元気に参加できる大会、いつまでも心に残る大会を目指してまいります。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 国体の県民運動の大きな柱として、「県民総参加による国体・大会の実現」とうたっております。皆さんのアイデアとエネルギーでいつまでも心に残る真心こもった大会にしましょうと県民に呼びかけてもおります。醸成していければ、自然とボランティア、募金、企業の協賛と、計画どおりにいくのじゃないでしょうか。ここでは質問しませんけども、募金計画も、ホームページで確認すると、これからの機運次第だと、そんな感じがいたしました。
 経済波及効果約640億円、雇用誘発効果約4400人と御紹介いただきました。ことし行われましたぎふ清流国体では、経済波及効果は502億円、雇用は約5200人と発表されております。和歌山の前年に行う長崎国体では、505億円の経済波及効果と発表をされております。経済波及効果という側面では、岐阜国体や長崎国体などを超えるものとなっております。今の段階では、大いに期待できる可能性があるということでございます。確かなものとなるように、着実に進めていただきたいと思います。
 そこで、宿泊計画について再度質問をしたいと思います。
 ことし8月に、高等学校PTA連合会全国大会が和歌山市で行われました。ビッグホエールを主会場、副会場に武道・体育センター和歌山ビッグウエーブ、その他、分科会には市民会館や紀南文化会館などと分散しましたけれども、開会式や表彰式、そして基調講演はビッグホエールとビッグウエーブの使用となりました。私も、役員の1人として参加しました。
 ビッグウエーブができたので1万人規模の集会を開けることになりましたが、懸念されていました駐車場問題も大変苦労をいたしました。役員車両も近くにとめることはできないし、参加者はほとんどマイクロバスでございました。入り口、出口が1カ所のため、大変な混雑となりました。
 それは時間がたてば解決しますが、もっと残念なことは宿泊の問題でございました。参加者の話を聞いてみますと、ほとんどの方が大阪に宿泊をしている、7割から8割の方が県外という話でございました。
 先ほど国体推進監の御答弁で、毎日数100人から数1000人の方が県外ということになっております。特に、初日に行われる大会開会式に集まってくる方は2万6000人余りと予想されております。若宮さんは、昨年は観光局長を経験されていました。和歌山県は、観光立県を標榜しております。それは日帰りの観光を指すんでしょうか、それとも観光立県とは紀南のことだけを言っているんでしょうか。
 来年から和歌山ではゴールデンイヤーと申し上げました。たくさんの方々が和歌山を訪れます。国体の前年、平成26年には、高校総体も和歌山を中心に行われます。日帰りではないはずです。和歌山に滞在していただく最大のおもてなしとしなければなりません。
 県外への宿泊の流出対策について、再度、若宮国体推進監にお尋ねをしたいと思います。
○議長(山下直也君) 国体推進監。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 議員御質問の県外流出についてでございますが、特に大幅な宿泊不足が生じる市町村につきましては、これは配宿主体である市町村と我々、充足対策に現在も取り組んでおります。そういった面で、特に紀北地域で、海南市、橋本市、紀の川市、岩出市、これらにおきましては、宿泊施設がたくさんございません。そういった意味では、現在、県内の近隣市町村と県内配宿というめどが立ってきております。
 しかしながら、和歌山市におきましては特に宿泊が多いことから対応しなければならないと考えておりまして、まず市内の宿泊施設のいわゆる客室提供の向上ということをしっかりとやっていきたいと考えています。我々、70%というような計画をしてますが、宿泊施設に対して、できるだけ多くの客室を提供していただきたいということで依頼するなど、これらを含めて県内配宿できるよう、しっかり頑張っていきたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、宿泊計画について再度御答弁いただきましたけども、大変危惧をしております。和歌山市を中心として、県外宿泊もやむを得ないというふうな感じに受け取れてなりません。
 いろんな国体に関するホームページなんか見てますと、今はもう非常に有名になりましたけども、かつて、なでしこジャパンの宮間選手も2008年の大分国体で民宿をしたということで、当時はまだ有名でございませんでしたけども、あの宮間選手だということで、本当にそういう思い出を刻んだというふうなこともございましたし、ことしのぎふ清流国体でも民宿というのが提供されておりました。
 そういう意味では、おもてなし、どういうふうに和歌山らしいおもてなし、また、宿泊も含めてしっかりやっていくのか、その辺が課題じゃないかと思います。もちろん、交通の問題もあると思いますし、選手や関係者が近くに宿泊しなきゃいけないと、そういういろんな問題もあろうかと思います。でも、これを乗り越えていかなければ観光立県というふうにはなかなかなりづらいんじゃないでしょうか。
 そこで、知事に再度このことに対する御決意を答弁いただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) いろいろと資源に制約のあるこの和歌山で立派な国体をやっていかないかんということで、いろんな点で妥協しながら計画をつくっていくということはどうしても必要になってくると思います。
 宿泊施設も、本当は和歌山市内に、あるいはそのごく近い近隣に大量のでっかい宿泊施設がたくさんあるとよろしいんですけれども、国体のときは物すごく人が来ますけれども、それ以外のときは人をふやそうとして努力をしているというのが現状であって、それをずっと維持してくれるというのはなかなか難しい。したがって、何とかやりくりをしながらやっていくというのが現状でございます。
 民泊というのが実は前回の国体のときに行われまして、なかなか評判もよかったんです。私もそれをいろいろ構想しておったんですけれども、どうも今度は、輸送の関係とかそういうことを考えますと、結構逆に難しくなってくる。
 特に、紀三井寺競技場を開会式のときに使わないといけないんですけれども、前回の国体のときは、実は紀三井寺競技場って膨大な駐車場があったんですね。それを売ってしまっておりますから、輸送を大変神経質にうまくやっていかないと無理だということになると、分軒的にあっちこっちに泊まっていただくということが果たして可能であるかどうかという議論も出てまいります。
 そんなようなことを考えながら、ウンウン言って頭を悩ましてるというような状況でございますが、議員御指摘のように、国体が済めばすべて終わりということではありませんので、和歌山で泊まってよかったなという名声と、それから今後の観光につなげるようにいろいろ知恵を絞ってまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 くどいようですけども、知恵だけじゃなく汗も流していただいて、しっかり和歌山としての取り組みをお願いしたいと思います。
 じゃ、3点目に移らしていただきます。命を守る政治についてお伺いしたいと思います。
 救急医療体制の強化、ドクターカーの導入についてでございます。
 平成15年1月1日にドクターヘリが運航され、間もなく10年になります。紀北、紀中、紀南だけでなく、三重県、奈良県、そして大阪府の一部と、これこそ広域的な救急医療として全国に先駆けて7府県目に和歌山県が先進的に取り入れたことは、当時としてすばらしい判断だと思います。この10年間、運航回数は毎年ふえ続けており、平成23年度には3254回の運航回数を数えるまでに至っております。重症患者だけでも毎年200人近くを搬送したことになっています。
 ドクターヘリの実態と評価に関するある研究報告書によりますと、従来の救急車搬送であれば死亡していた患者の約3割の命を救い、重度後遺症は免れなかった患者の約5割について後遺症削減という報告もあります。江上柳助先輩も、導入に当たり尽力した1人として大変喜んでおられることと思います。
 一方、ドクターヘリの課題として、有視界の飛行のため夜間や悪天候時には運航できない、ヘリが離着陸できる場所の確保が必要、都市部にはなじまないなどが挙げられます。現に和歌山市では、年に1回から3回ぐらいの運航だけと聞いております。
 今後の救急医療の向上のため、このたび12月3日より、日本赤十字社和歌山医療センター救急外来でドクターカーの試験運用が開始されました。試験運用はどのように実施されるのか、その目的、そして本格運用はどのように考えているのか。
 和歌山医科大学でも当初計画されていましたし、また定住自立圏構想の中で、都市部だけでなく田園部における広域での救急医療の確保という点からも、今後、ドクターカー導入についてどのようにお考えか、福祉保健部長にお聞きします。
 命を守る政治の2点目として、通学路の総点検を終えて、安全確保について、その後の取り組みをお聞きしたいと思います。
 ことし6月定例県議会において、和歌山市での通学路の実例等を挙げ、お聞きさしていただきました。その際、県教育委員会が中心になって各市町村の教育委員会とも連携し、それぞれの道路管理者、そして県警本部とも協力して、8月には県内の小学校通学路総点検を実施し、11月には危険箇所についての対策を協議してまとめることになっております。
 京都府亀岡市の痛ましい事故以来、国民的関心が高まっています。しかし、全国的にも、また県内においても、通学登下校中の事故はなかなかなくなりません。つい最近、10月には、紀の川市粉河において、県道交差点を横断しようと信号待ちしていた下校途中の小学生2人の列に軽自動車が突っ込み、小学校2年生の女の子2人のうち1人が亡くなり、1人がけがをいたしました。ことし10月末現在までの幼稚園、小学校、中学校生での事故件数は286件、死傷者数は331人という現状です。
 総点検を終えて、その危険箇所数、そしてその対策など、西下博通教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) ドクターカーにつきましては、関係機関と協議を重ねた結果、今月から和歌山市消防局が日赤和歌山医療センターに救急車を配置し、救命を目的として期間限定で試験的に運行しております。
 重篤傷病者のいる救急現場にいち早く医師等を派遣できるドクターカーは、都市部において特に有効であり、県民に安心を与えるものと考えております。
 一方、救急医療の現場では、医師等は限られた人員で多数の患者を受け入れており、昼夜を分かたず献身的に御尽力いただいていることから、病院の救急部門への影響も考慮する必要があると考えております。
 ドクターカーの本格運用に向けては、試験運用の結果の検証や医師確保などの課題にも取り組みつつ、運行エリア等について、県立医科大学附属病院など関係機関とも十分協議して進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路の県内総点検での危険箇所と、その対策についてお答えします。
 11月30日までに実施した学校、警察及び道路管理者等による小学校の通学路における緊急合同点検を取りまとめた結果、本県全体では、危険箇所は596カ所と判断されました。
 そのうち、これまでに通学路の変更や道路標識の補修、歩道の修繕等、改善された箇所は100カ所でございます。歩道やガードレールの設置等の対策が決定されている箇所は419カ所となっております。また、市町村教育委員会及び学校が道路管理者及び地元警察署と連携、協力の上、対策を検討中である箇所は77カ所となっております。
 県教育委員会といたしましては、今後も交通安全教育の徹底を図るとともに、通学路の安全確保に向け、警察本部及び県土整備部と連携し、定期的に状況把握に努め、かけがえのない子供たちの命を守るために対策を進めてまいります。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 今の通学路の安全確保の問題ですけども、もう本当にそういう意味では毎日危険にさらされてる子供たちの命を守る、そういう観点からすると、あと残り77カ所ということになってまいります。補正予算等でいろいろ道路の整備もやっていただいておりますけども、早急に、また引き続き、いろいろ検討していただいて、早く、速やかにこの77カ所の問題も解決していただきたい、こういうふうに要望させていただきたいと思います。
 最後の項目に移ります。精神医療、保健行政についてお尋ねしたいと思います。
 私たち公明党県議団と和歌山市議団、そして海南市議、紀美野町議なども参加して、社会福祉法人一麦会「麦の郷」の理事者の方々と和歌山市精神障害者家族会「つばさの会」のメンバーと合同で、精神福祉行政について勉強会並びに意見交換会を行いました。
 また、先日、12月9日には「ふるさとをください」劇場版が上映され、ごらんになった方もおられると思いますけども、映画以上に写実性があり、感動的な内容でございました。
 和歌山のとあるまちに精神障害者の共同作業所が設立され、警戒する地域住民は反対運動を始めるが、反対運動の代表者の娘と施設職員の恋愛をきっかけに地域住民が障害者への理解を進めていくというストーリーでございました。
 県の職員が障害者差別に向き合い、親の反対を押し切ってまでその理解を深めていくのと対照的に、議員秘書が最後まで差別を先導して反対運動を続けていました。情報もないままにいたずらに偏見を持ち続けた、そんな時代を乗り越えて、ほっとけやんという、そんな気持ちを大事にした内容でございました。
 改めて思うことは、健常者も障害を持った人たちも地域で安心して暮らせる社会構築を目指したいと、切に願うものでございます。今や、心の病や精神疾患は、だれでもかかる可能性のある病気でございます。現に、県庁職員や教育公務員にも悩んでいらっしゃる方が大勢おられ、人ごとではございません。
 資料をごらんください。
 資料1では、精神科病院の平均入院日数をグラフにさせていただいております。昭和59年当時は、これが平均935日と全国平均の倍近くありましたけども──平成13年から22年までのグラフとさせていただいております──平成13年当時には、100日以上全国平均より長かった。現在では、50日という状況に改善をされております。とはいえ、全国平均からすると、和歌山県のいわゆる社会的入院は顕在化しております。
 国の施策は、平成20年度から、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の退院支援や地域生活支援を行うことを目的に、精神障害者地域移行支援特別対策事業を実施してきております。長期入院生活に歯どめをかけ、早期退院を促進する方向性になっております。
 その成果もあり、入院日数は短くなっているものの、一方で、図の2でございますけども、精神障害者の手帳の交付数からしても、明らかに精神障害で悩んでる患者数はふえてきております。平成20年からわずか4年で1000人以上もこの交付者がふえておると、こういう状況でございます。
 平成22年のデータでは、精神病病床数は全国の中で12番目に少ない県となっておりますし、医療施設従事精神科医師数では、人口10万人に対する比率では全国の中で10番目に少ない県という状況になっております。また、精神保健指定医数でも、全国の中で18番目に少ない県となっております。
 そこで心配なのが、退院支援や地域移行支援の体制がどのように整備されているかという問題でございます。
 平成22年12月に成立した精神保健福祉法の一部を改正する法律において、精神保健指定医の精神医療体制の確保に対する協力義務を規定するとともに、都道府県に対し、精神科救急医療体制整備の努力義務が規定されております。
 そこで、現状と今後の取り組みについてお尋ねをしたいと思います。
 まず、24時間365日対応できる精神医療相談窓口及び精神科救急情報センターの設置はどうなっているんでしょうか。
 次に、各精神科医療機関は、継続して診療している自院の患者に夜間・休日も対応して体制を確保されておるのか。
 そして3点目に、救急医療機関との医療連携強化等による、身体疾患を合併する、特に疾患患者の受け入れ体制はどのようになっているのか。
 最後に、医療連携に係る研修会等運営事業について、状況はどうなのか。これは、一般医療機関と精神科医療機関との患者紹介や診療支援、転院等、連携を円滑に行うための協議会、情報共有の仕組みとなっております。
 精神医療の観点から、4点、山本福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、障害福祉計画についてお尋ねいたします。
 本県では、第3次和歌山県障害者計画として紀の国障害者プラン2004を策定しており、期間は平成16年から平成26年度までの10年計画となっております。その中で、福祉サービスについて目標を設定している障害福祉計画については、第2期が平成24年、この3月で終了し、4月から第3期和歌山県障害福祉計画のスタートの年となっております。そして、10年計画の最終計画の年になっております。
 第2期までの総括と第3期の目標、特に県及び和歌山市圏域のグループホームの実績と目標について、これも山本福祉保健部長にお答えをいただきたいと思います。
 次に、障害者家族への支援についてお聞きします。
 家族会の方々との意見交換では、家族亡き後のことを心配されております。家族会が高齢化する中で、障害のある本人がひとり取り残されることが一番の心残りとなっております。人間関係になかなかなじみにくいということを考えると、よりきめ細やかな体制づくりが急がれると思います。
 今後、どのような支援体制を考えておられるのか。これも山本福祉保健部長にお聞きしたいと思います。
 最後に、障害者差別についてお尋ねをしたいと思います。
 内閣府によって、ことし7月26日から8月5日にかけて、障害者に対する差別や偏見について調査がなされました。全国の成人男女3000人を対象に、面接方式で行ったそうであります。63.8%の回収となっております。2007年2月、前回調査と比べても、6.3%の増加の89.2%が障害者に対する差別や偏見があるという実態が浮き彫りになってまいりました。
 平成23年8月、障害者基本法の改正により内閣府に障害者政策委員会が設置され、差別禁止部会も開催されております。国連障害者の権利条約を批准するための3つ目の法律として、論議が注目されているところであります。障害者差別について、知事の御見解をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 最後に御質問になりました障害者差別について、まずお答え申し上げます。
 障害者を差別するようなことは絶対にあってはいかんというふうに私は思っております。
 平成18年の障害者権利条約の採択を受けまして、国においては、障害者が障害を理由として差別されることを禁止し、救済等の手続を定めるための障害者差別禁止法の制定について、障害のある方や、あるいは学識経験者等から成る会議の場で検討が進められております。
 県といたしましても、このような国の動向を頭に置きながら、障害の有無にかかわらず、個人の尊厳を持って地域で安心して生活できる社会を目指し、障害者への理解について普及啓発を図るとともに、障害福祉サービスの充実や福祉のまちづくりなどの取り組みを進めているところであります。
 また、先般、幅広い福祉施策の進展と個人の尊厳の確立を図ることを目的として、すなわち差別をなくすということも運動の大きな目標として、県内の障害者関係団体の方が協働して取り組む和歌山障害フォーラムが発足いたしました。私も発足式に出席さしていただきましたけれども、私はこのような取り組みを応援し、障害のある方々とともに引き続き共生社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、県精神医療の現状と今後の方向性についてでございますが、夜間・休日における対応は、県内3ブロックに分けて行っている精神科救急医療体制の中で実施しているところですが、議員御指摘の24時間365日対応できる精神科医療相談窓口事業や精神科救急情報センターの設置、また、継続的に診療している自院の患者への夜間・休日を問わず対応できる体制整備事業については、行ってございません。
 今後、夜間・休日の精神科救急医療体制のさらなる充実を図るため、精神科救急情報センターの整備等について検討してまいります。
 また、精神障害のある重症の合併症患者については、県立医科大学附属病院、国保野上厚生総合病院及び国保日高総合病院で受け入れ可能となっています。精神科以外の病院との連携強化等を含め、さらなる受け入れ体制の整備に努めてまいります。
 一般医療機関と精神科医療機関との医療連携に係る研修会等運営事業については、昨年より御坊保健医療圏域で連携体制を構築し、実施しております。他の保健医療圏域についても構築されるよう、引き続き働きかけてまいります。
 次に、県第3期障害福祉計画についてですが、障害福祉計画は、紀の国障害者プランのうち、特に障害福祉サービスに着目し、障害のある人がどこに住んでいても安心して暮らせるよう、生活支援、就労支援などの計画的な基盤整備を図ることを目的として策定しています。
 第2期障害福祉計画を含めた総括としては、設定した17項目のうち、達成されたものは9項目、残りの項目についてもおおむね目標数値に近いものとなっており、全体として目標とした水準は確保されたと考えております。
 第3期障害福祉計画においては、第2期計画の状況も踏まえ、各サービスごとに目標を設定しており、グループホームについては、県全体では、平成23年度末実績808人分を平成26年度までの整備目標として980人分に、うち和歌山市圏域については、平成23年度末実績145人分を平成26年度までの目標として301人分と設定してございます。
 今後、この計画に基づき、居住や日中活動、訪問サービスなど、地域生活を支えるさまざまな支援について必要なサービス量を確保できるよう、計画的な基盤整備に引き続き努めてまいります。
 3点目、障害者家族への支援についてですが、精神障害者が家族亡き後も地域で暮らしていくためには、居住、生活、医療面、それぞれの支援体制が整っている必要があると認識しております。そのため、きめ細やかな相談体制の整備に加え、グループホーム等居住の場や日中活動の場の充実のほか、訪問看護やホームヘルプなど、さまざまな地域資源を活用しながら、地域で安心して生活できるよう支援体制整備に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、段々の御答弁いただきました。
 特に、精神科救急においての365日24時間の相談窓口並びに情報センターともまだ設置してないという、こういう御答弁でございました。
 厚生労働省の平成22年の調査では、両方とも設置してないというのがもうわずか5県ということなんですね。青森県、山形県、高知県、熊本県、そして和歌山県。これは平成22年です。それからまだ現状、こういう状況だということでございます。早期退院を促すだけでなく、地域での生活支援の体制を早く整備すべきです。おくれを指摘せざるを得ません。
 和歌山県では、先ほど御案内させていただきました麦の郷だけではなく、精神や知的、そして身体的に障害があっても元気に生活できる作業所は幾つもあります。仁坂知事は和歌山の誇りとおっしゃったそうですけども、しっかり行政として支援をお願いしたいと思います。
 そして、インクルーシブというそうですけども、健常者も、障害をお持ちの方々もともに生活できる成熟した社会を目指していきたいという願いを込めて、私の要望とさせていただきます。大変にありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時34分休憩
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