平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

(高田由一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、早速通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 1番目、紀の国森づくり基金活用事業について伺います。
 地方紙での報道をきっかけに、紀の国森づくり基金活用事業の補助金をめぐって、不適正な使用があるのではないかと指摘をされております。
 7月26日付の「紀伊民報」では、田辺市の宮田元市議が関与した8団体が平成19年からこれまでに3700万円余りの県補助金を受け取り、そのうち2800万円がある福祉団体に苗木代などとして領収されたことになっているが、実際、その福祉団体に入ったお金は530万円程度で、残りの2300万円が使途不明になっているというものです。
 また、8月9日付の同紙では、関連団体のうち紀南ユネスコ協会という団体で、協会の役員も承知していないのに県の森づくり基金活用事業の補助金を受けていたことを報道。内部調査の結果、前会長の宮田元市議が公印を勝手に使って事務手続をしたことが判明。謝罪の記者会見を行ったものです。
 これらのことを見るだけでも、宮田元市議が、みずからが関与する団体さえ欺き、うその領収書を使って実績報告をでっち上げた補助金不正請求事件だと言わざるを得ません。
 現在、県もこの件について調査中ということですが、最初に問題を指摘されたのが7月下旬ですから、もう2カ月がたとうとしております。県民、市民からは、一体どうなってるんだと憤りの声が聞かれます。
 そこで、まず1番目、この事件に関しての調査結果と今後の対応について、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 本件については、7月下旬から調査に着手し、平成19年度から23年度の5年間に、6団体2実行委員会に対して、紀の国森づくり基金活用事業と緑の募金事業で交付した3880万円を対象に、補助金交付団体からの聞き取りや、領収書発行者など関係取引先への問い合わせ等を行った結果、実績報告書に記載された苗木の購入内容と実際の取引との相違や、こうして捻出された財源の流用等、不適正な支出がなされていたことが明らかになりました。
 苗木の購入先とされている福祉団体については、関係団体からの要請で苗木の育成を行い、その代価として金銭を受け取っていたとお聞きしております。
 関係書類が非常に多いため、分析に時間を要しておりますが、不適正支出については、県補助金等交付規則に照らして厳正に対処するとともに、再発の防止に必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、部長の答弁の中に、苗木代は育成することに対する代価として福祉団体が受け取っていると言われましたが、私どものその団体への取材でも、苗木は販売はしていないと言われておりますし、大体、福祉法人としての会計処理は、寄附金扱いで処理をされております。県の出した補助金が福祉団体への寄附金に化けている。これは、おかしいと思います。
 部長に再度伺います。
 この森づくり事業のどこを見ても、苗木の育成をするために補助金が出せるとは書いてありません。苗木の購入はできても、苗木の育成経費は出せません。私はそう思うんですが、部長、御見解をお願いします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 市場価格とは、市場における需要と供給のバランスで決まりますが、本来、経済学的にサービスや財の適正価格とは、それを提供するためのコストに利潤を加えたものでございます。
 苗木を提供するには、当然、苗木の育成が必要であり、資材費あるいは原材料費として苗木の購入が認められるのであれば、苗木の育成費用は認められてしかるべきと考えます。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、部長の御見解には同意をしかねます。
 私は、これからも、ぜひそのあたりも含めてしっかり調査をしていただいた上で結論を出されることを求めたいと思います。
 次に、県当局の姿勢について伺います。
 紀の国森づくり基金活用事業は、市町村や民間団体などから公募事業について申し込みがあった際、学識経験者などから成る運営委員会を開いて、この事業がこの基金の目的に適当かどうかを判断して事業採択することになっています。
 実は、この宮田元市議の関連団体の事業は、随分以前からこの運営委員会でも問題になってきた経過がございます。
 例えば、平成21年3月の運営委員会では、この関与する4団体の補助金申請が出ておりましたが、最初の評点──点数ですね──では、不合格になっていたんです。
 なぜなら、1カ所のまとまった土地を4分割して、それを4つの団体がそれぞれ実施する。だから、本当なら1団体200万円の補助金の上限があるわけですが、それを4団体で申請するので、掛ける4、800万円を同一の箇所で使う計画になっておったからです。
 結局、その後、事務局の県が、再度、運営委員会を開くのではなくて、個別に運営委員さんを回って、持ち回りの審議でようやく合格点になったと聞いております。
 そのときの運営委員会の議事録をひもときますと、次のような議論が出てまいります。
 読みます。「1人の方が4つの団体をほぼ代表してるような形でお話になって、そして、全てを指導して、金が足らなんだら私の方から助けますよ、余ったらその金をこっちにもらいますよと、そういうようなお話になったように記憶しているわけです。そういうのを認めていった場合に、例えばそういうのを10個作った場合ね、例えば150万円を10個つくったら1500万円できると、そういうものを今後のことも考えて対処すべきや(中略)私はどっちかというと印象としては脱法的な行為と違うかというふうに考えている」。
 こういう委員の御意見や、また、ほかの委員はこのように述べてます。「その福祉団体に少しでも経済活動をさせてあげたいために、ドングリを提供して苗木にしてもらい、400円くらいで買う。それ普通だったらもっと安くてもいいけれど、400円で買う、それはそれで支援であると、そういう善意は信じたい」、もう1つ、「1m四方に3本も広葉樹を植えるんやったら(中略)それだけ植えてしまうと針葉樹の比じゃないくらい地面に日光が当たらなくなって、真っ暗な森になるんと違うんかなと(中略)ちょっと余りにも人任せで、この税金をもらうことに対して、責任感がないように思われます」、以上のような議論がされています。
 また、平成22年の運営委員会では、高速道路の田辺インターチェンジ付近ののり面を緑化するために、これらの団体が補助金を申請しています。これも、前年度と同じように、4団体で同一の箇所ですね、これをやるということで、やはり最初の評点では不合格になっているんですが、県の事務局得意のこの持ち回り決裁をやりまして、何とか合格に後ほどなります。
 そのときの議事録でも、厳しい意見が出てるんです。
 読みます。「基本的に高速道路が管理せなあかん土地に、県民の税金を使って、県民が納得するんかな」、「違和感あるわな」、「何でそんな高速道路が管理せなあかんとこへ、おれらの金使われるんよと。それやったら、もっと山に行ってよとかなったときに、どう答えられるかといったら、ちょっと問題ですよね」、あるいは「純粋に23点以下の評点については切るんやったら切るでね、また改めて募集もするんやから、それはそれでええのと違うんですか」、以上のような議論が運営委員会であったわけです。
 結局、点数としては不合格だったものが、やはり持ち回りの決裁で合格ということに後日なったんです。
 ただ、私は、この高速道路の案件がさらにひどいのは、一たん高速道路ののり面の緑化で事業申請をしておいて、結局、後にその土地が、地盤の岩盤がかたくて苗を植えられないということがわかって、また持ち回り決裁をしまして、紀南病院ののり面を4分割して緑化する事業に変えてしまっているんですね。高速道路ののり面の現場も確認をしないで申請しておいて、岩がかたくて植えられない場所でした、だから場所を変えます、そんないい加減な申請を認めてきたから、今回のようなことにつながるんじゃありませんか。
 そのようなやり方で、紀南病院の場合ですと、2年間に1350万円余りの補助金が、のり面緑化のためだけにつぎ込まれております。
 配付している議場の上の地図ですが、これは紀南病院の周りの敷地に緑化をした地図なんですが、濃い青い色で塗った部分が県の森づくり基金の事業でやったとこで、あと、市の事業とか緑の募金事業とかも含めて、ここへ、本当に同一と言われるそれらの団体が集中して緑化をしている様子がわかると思います。
 私は、昨年の12月議会で、紀の国森づくり税の延長問題で議論をしましたが、このとき、この基金の活用について、残高がふえ続け、使いあぐねている状態ではないかと指摘しましたが、まさにこの基金を使った実績を上げたいという県当局の姿勢が見えていたのではないでしょうか。そこへつけ込まれたのではないでしょうか。
 こうした県当局の姿勢が今回の問題の背景にあったのではありませんか。部長の答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県が公開している基金運営委員会の議事録では、委員の間で、不適正な支出がなされた今回の案件について、いろいろな問題点を指摘して採択に反対する意見と、県民総参加という観点からできるだけ改善措置を講じながらでも森づくりに参画していただきたいという意見が拮抗しております。
 実績を上げたいという県当局の姿勢が問題の背景にあるのではとの御指摘でありますが、県の職員には、森づくりが進むことはよいことであるという思いや、森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくという紀の国森づくり基金条例の設置目的に忠実であろうとする姿勢、あるいは林野行政に従事する職員としての森への熱い思いがございます。
 しかし、採択の基準を逸脱してまでも意味のない森づくりをしようとする職員はいないし、これまでも存在しなかったと信じております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたけども、私は、職員の皆さんがまじめに仕事をこなそうとしていることは承知をしておるつもりです。
 しかし、この運営委員会の議事録、記録を読めば、それぞれの運営委員さんの真摯な指摘や疑問にきちんと対応していれば今回のようなことにはつながらなかったと私は考えます。このことは指摘をしておきたいと思います。
 次、3点目。3点目は、この基金活用事業が、そもそも事業のあり方としてどうだったかという問題です。
 実は、今回の宮田元市議がかかわった団体の事業は、さきの紀南病院のように、大半が公共用地を基金で緑化するという内容になっています。そうした事業は、もともと県でやっている緑の募金事業がございますが、県民からの寄附金をもとにつくったこの緑の募金での緑化事業が受け持つ範囲ではなかったでしょうか。そこに森づくり基金を投入することは、これは本来の事業趣旨からいって逸脱していたのではないかと思います。
 実は、ここにも森づくり基金の募集の要領がございますが、ここにもはっきり書かれてあります。事業の実施場所は、森林法第2条に定める民有林で行うというふうに書いてます。森林で行いなさいと。森林が対象の事業です。紀南病院を開発したところの、山を削ったところの敷地は、私は森林ではないと思うんです。
 本来、事業の要領からいっても、対象外のことをやってきてしまったのではないかと思うんですが、部長の御見解をお示しください。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀南病院の件につきましては、紀の国森づくり基金活用事業公募要領での「森をつくる・まもる」事業の実施場所は、森林法第2条の民有林となっております。
 同条第1項では、「主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地(中略)及びこれらの上にある立木竹を除く」ものの、森林の「集団的な生育に供される土地」、すなわち、伐採跡地等で現に立木竹が生育していなくてもこれから木竹の集団的な生育に供されるなら森林と位置づけられております。
 また、同条の第3項では「『民有林』とは、国有林以外の森林をいう」と規定されており、要領上、問題はございません。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私は、この要領を常識的に見て逸脱していると思います。
 例えば、これは岐阜県の資料にあったんですが、森林として取り扱わないものというのがあって──岐阜県も同じような事業をしてるんですけど──その中には、リンゴ畑やミカン畑、これ、当たり前ですけど、公園や公共施設等の敷地は森林として取り扱わないというふうに書いてます。
 そういうことも申し上げておきたいというふうに思いますので、私は、のり面敷地は森林ではないと考えています。
 では次に、芳養漁港の問題について伺います。
 森づくり基金の公募要領では、ほかの補助金で活用できるところは、この基金事業の対象としないことになっているんです。これは当たり前です。ほかの補助金でやるんですから。
 しかし、私が調べたうち、例えば田辺市が補助事業で実施整備をした芳養漁港の事業がありますが──お配りしている資料の下の、この緑色を塗ったほうの資料でございますが、ごらんになっていただいたらわかるように、この緑色のところを植栽するということで、本来、この漁港事業のメニューの中で最初から緑化する計画になっていますし、現にやっているところもあります。ところが、この一部が──一部というか大半が、無理やりこの森づくり基金を使って緑化をしているんです。
 これは、事業実施要領に違反することではないですか。おかしくないですか。答弁をお願いします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 芳養漁港の件につきましては、地元市を事務局とする実行委員会から、単なる緑化事業ではなく、多くの市民が参加する植樹活動の場としたいとの要望があり、基金事業となったものでございます。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、市民の皆さんがたくさん参加されたらいいんですけれども、いずれにしても、ほかの補助金を受けてたり、それから海の漁港の近くの海岸を埋め立てた緑化するところは、これが森林であるはずがないと思いませんか。
 私は、この森づくり基金の要領が、実は森をつくる事業の対象を、先ほど読みましたが、森林法の第2条の民有林に限っているということは、当初からの議論があったからだと考えています。
 もともと、先ほども言いましたが、公園など緑化事業は、緑の募金事業で集まった寄附金をもとに実施をされておりました。森づくり税ができたとき、そのすみ分けを実はどうするかという議論があったんですね。その中で、緑の募金は地域の緑化活動を支援しましょうと、森づくり税は森林整備を担いましょうと、こういうすみ分けが明らかにされたからなんです。
 それは、実は県がみずからつくっております、ここにちょっと打ち出しましたが、「『緑の募金』と『紀の国森づくり税』の違いについて」というパンフレットがありますけれども、これにもきちんと書かれております。森林整備を紀の国森づくり税が担う、地域の緑化は緑の募金、こういうふうに書かれております。
 私は、県がみずから定めたこの紀の国森づくり税の公募要領を軽視して、これをきちんと、これに基づかないで事業を行ってきた結果が今回の事件につながってきたということを指摘しておきたいというふうに思います。
 4番目です。
 問題になったこの関連団体への補助事業が、今年度も予定をされております。今後、どう対処されるおつもりですか。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成24年度においては、元市議が関係する1団体と1実行委員会から、各1事業、合計2事業が採択されております。
 跡の浦港防風防潮樹林造成事業につきましては、6月下旬に事業が実施され、7月12日付で実績報告が提出されておりますが、事件の発覚に伴い、補助金は交付しておりません。現在調査中の不正支出の処理方法が決まれば、それに準じて取り扱う方針でございます。
 それから、田辺市ごみ処理場のり面樹林造成事業につきましては、6月5日に交付決定を行いましたが、きょう現在において事業はなされておりません。一部の関係の方々からは、辞退の方向で検討していると聞いております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 最後に知事に、今回のこの問題点の反省点と今後の事業のあり方をどう見直していこうとされているか、御見解を伺いたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例に基づき、平成19年度から紀の国森づくり基金活用事業を実施しております。
 県民の理解と協力のもとに、森林環境の保全と森林と共生する文化の創造を目指して行われるという非常によい事業であるにもかかわらず、このような不適正な支出がなされていたのは非常に残念なことであります。
 担当課に徹底した調査を指示しておりまして、調査の結果、明らかになるであろう問題点を修正して、今後、こういうことがないように事業を進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 私は、この問題は明らかに補助金の不正請求だと思います。
 最初に、紀南ユネスコ協会のことを紹介いたしましたけれども、宮田元市議が勝手に公印を使って偽造した書類には、田辺市や地権者との同意書とか協定書も、これ、つくって申請をしてるんですね。その同意書や協定書がないと補助金は受けられないからです。
 この紀南ユネスコ協会だけでなく、市役所も地権者もだまして協定をつくって、それで補助金を受け取っている。私は、これは立派な不正請求ではないかと思います。
 私は、県警への告発も含めて、県が腹をくくって対応されることを求めて、この質問を終わりたいと思います。
 2番目、津波からの避難対策について伺います。
 まず、南海トラフの巨大地震による津波想定について伺います。
 内閣府は、8月末に津波高や到達時間、被害想定などを発表しましたが、沿岸の市町では驚きをもってこの数字を受けとめています。
 例えば、すさみ町でいえば、津波高は20メートルとなっていますが、地元へ行くと、内陸部のほうであれ、標高が20メートルあるところまではみんな水没するんだというような感じで受け取っておられて、これじゃ逃げられんなという感想を言われる人が多いんです。
 しかし、政府の想定は、海岸へ到達する、この到達した時点の波の高さであって、実際、内陸部へどのように到達するのかは、まさに今、県が作業していただいてる結果を待たねばならないわけです。
 1番目、新想定について伺います。
 そこでまず、今回の津波の新想定とはどういうものであるのか、従来の想定と単純に比較できるのか、現時点でどう解釈すればよいのか、詳細なデータはいつ届けられるのか、また県としていつごろをめどにハザードマップなどに具体化していくのかなどについて、危機管理監の答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 内閣府の新想定についてお答えいたします。
 今回公表されました被害想定は、現時点の最新の科学的知見に基づき、発生し得る最大のクラスの地震・津波を推計したものであり、発生頻度は極めて低いものであります。
 また、これまで本県が取り組んできた東海・東南海・南海地震は、それぞれの発生確率が60%以上と示されているのに対し、今回の南海トラフの巨大地震は、発生時期は予想することができず、次に南海トラフ沿いで起きる地震・津波を予測したものではないということであります。
 県としては、4月に地震・津波被害想定検討委員会を設置し、国からのデータ提供を待つのではなく、できるとこから県独自のより詳細な被害想定の策定に取り組んでいるところでございます。
 今後、この被害想定を行うに当たり、国から提供される詳細データが必要となりますが、現時点では、年末までに提供されるものと聞いているところであり、年度末をめどに詳細な津波浸水予想、被害想定等を策定する予定でございます。
 その後、各市町村に対し、できるだけ早く津波浸水予測のデータを提供し、市町村が作成するハザードマップを支援してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 2番目、次に避難路整備の問題について伺います。
 今回の被害想定を受けて、何よりもまず取り組まねばならないのは、いかに逃げるか、避難路や避難場所を整備するかに当面は力を集中しなければならないと感じています。
 そこで、今年度、これらの整備についてどのように推進をしていくのか、御答弁をお願いします。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難路整備についてお答えいたします。
 津波から命を守るためには、逃げることが最も重要でございます。そして、住民が安全かつ迅速に逃げるために、ふだんから避難訓練に参加することや、避難路の整備、避難先の確保が大切であります。
 ことしの7月29日に実施した4県統一津波避難訓練には2万人を超える参加者があり、毎年参加者が増加しております。市町村が独自に実施する避難訓練への参加者を含めますと、今年度は5万人を超える見込みであります。
 市町村が実施する避難路整備に対しては、県のパワーアップ補助金や国の緊急防災・減災事業によって積極的に支援しているところであり、昨年と比較すると既に3倍を超えており、市町村は積極的に避難路整備を進めているところであります。
 また、市町村では、避難路の整備や津波避難ビルの指定等によって避難先の確保を図っており、津波の避難先については、昨年に比べ182カ所増加し、1515カ所となっております。
 避難路整備や津波避難タワー整備は、国の緊急防災・減災事業の対象となっているところですが、地方の要望額が当初の想定額を大幅に上回り、今後の不足が懸念されている中、本県としても、国に対して十分な財源確保を強く要望しているところであります。
 県としては、市町村の津波から命を守る避難路の整備等に対し、引き続き積極的に支援をしてまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 3番目、次に避難路を具体的に整備するには、自主防災組織での議論が不可欠です。そもそも、避難対象地域の中でどれくらい自主防災組織が結成されているのか、答弁をお願いしたいと思います。
 あわせて、防災リーダーをどのように養成していくのか、避難訓練など実際の活動をどうサポートされようとしているのかについてもお答えください。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 自主防災組織についてお答えをいたします。
 自主防災組織の組織率としましては、平成23年度調査において、和歌山県では80.5%となっており、うち沿岸18市町では87.5%となっております。
 防災リーダーの育成と活動支援につきましては、例えば平成17年度から企業や地域での防災活動のリーダーとして活動する地域防災リーダー育成講座紀の国防災人づくり塾を開講し、人材育成の面で支援しているところでございます。
 平成23年度からは、市町村が推薦する地区において、実際の活動を支援し、そこでの活動事例を広く紹介するなど、自主防災組織がどのような活動をしたらよいか、自主防災組織活性化事業によるモデル的活動を通じて支援しているところでございます。
 県としては、以上のような事業を通じて、自主防災組織の組織率向上やその活動が活発に行われる環境になるよう、市町村に対し支援をしてまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 本当に、自主防災組織は防災のかなめだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 4番目、次に観光地の課題について伺います。
 津波避難の際、観光地には住民でない多くのお客さんが来ており、その避難をどうするのかという独自の課題があります。
 白浜でいえば、夏場、宿泊客で8000人の人口増となることもあります。海水浴客などを入れれば、相当な数になります。お客さんも住民との立場で考えるなら、情報伝達、避難路や避難場所を考えなければなりません。県として、今後どのようにこの対策を推進していくのか、答弁をお願いします。
 また、対策を考えるとき、特に夏の私の白浜のあたりでは、自動車の集中で、歩いても避難できない状態になる可能性が高いと思うんです。どのような対策が考えられるか。あわせて答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 観光地の課題についてお答えをいたします。
 本県を訪れた観光客等の皆様に対し、防災行政無線、エリアメール及び緊急速報メール等、複数の手段を用いて防災情報を伝達するよう努めております。
 避難先については、スマートフォンのアプリケーションやヤフーサイトを利用して、だれでも一番近い避難先の安全レベル等を知ることができるようになっており、スマートフォンを利用した場合、避難先まで案内してくれる機能を備えております。
 これらの情報伝達手段を、観光協会、旅館組合や交通機関とともに普及を図ってまいります。
 次に、自動車が集中する観光地での対策についてでありますが、津波からの避難は徒歩避難が原則であることに変わりはございません。
 自動車の運転手は、避難の妨げにならないよう可能な限り道路外へ駐車し、徒歩避難することや、やむを得ず道路に駐車して避難する場合には、緊急車両等の通行の妨げにならないよう配慮し、ドアロックはせずにエンジンキーをつけたままとすること等を周知してまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、車で来たお客さんへのこの周知というのは、私はまだまだやというふうに思います。夏の白浜の状況をちょっと考えたら、そんなに行儀よく車を置いていっていただける方は少ないんじゃないかなと今思っとるんですが、ぜひ今後、地元とも協力しながら進めていっていただきたいと思います。
 実は、私、以前白浜で、旧白浜空港を利用したパーク・アンド・ライド型の観光地づくりを提案したことがあります。近いうち、高速道路も白浜インターができ、ますます自動車混雑への対策が求められます。
 空港を利用して──旧空港ですね──駐車してもらい、乗って楽しいような別な交通手段でゆったり観光してもらおうというものなんですが、これは、今日、災害対策としても必要ではないかと感じています。
 災害のときには避難の妨げになるこの自動車を高台の旧空港へ駐車しておけば、もし津波などが起こっても車は生き残るわけです。そうすれば、今の車は暖房あり冷房あり、情報機器も積んでおりますから、これほどプライバシーの確保される仮設避難所はないというふうに思うんです。
 わざわざお客さん用の避難所を確保しなくてもいいし、道路が健全なら速やかに居住地にまで帰っていただけることにもつながると思います。こうしたことについても、ぜひ今後、地元と一緒になって検討していただきたいというふうに思います。
 最後に5番目、要望です。
 県では、新年度への政府要望で、巨大地震への新たな特別措置法を求めておられます。中村議員も触れられましたが、宿泊施設など民間事業者の耐震化はなかなか進んでおりません。私は、新しい特別措置法の中で、そうした点についても積極的な国の支援が得られるよう盛り込んでいくことも、あわせて政府に要望していただきたいというふうに思います。これは要望です。
 次に、木造住宅の耐震化の推進について伺います。
 木造住宅耐震化の補助金ができてから、来年度で10年を迎えようとしています。しかし、その実績は、昨年度までに9761戸の耐震診断が実施をされたものの、耐震改修まで進んだのは567戸です。この間、予算的には2180戸分を確保したわけなんですけれども、この予算に対して約4分の1の執行にとどまっているということです。
 今年度も、予算的には充実をさせ、300戸分を用意していただいていますが、これを本当に使い切るぐらいの取り組みが必要だと感じています。
 そんな中、先日、高知県での取り組みを伺いましたが、事業費のうち最大90万円は補助しますというキャンペーンをやってまして、平成22年度では前年度の2倍に当たる719戸が改修をされたそうです。和歌山県が8年かけて積み上げてきた実績を、たった1年で上回っているというような状況があります。これは、私は、ただ単に高い補助額だけの問題ではなくて、全体の取り組みがあってこその実績だと思います。
 そこで伺います。
 1番目は、今年度も半ばにかかろうとしておりますが、現在までの耐震診断、改修の予算の執行状況を、県土整備部長、お答え願いたいと思います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 今年度は、8月までの実績としまして、耐震診断は361戸、耐震改修は61戸となっており、改修におきましては、昨年度の同時期の16戸を大きく上回っている状況でございます。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 昨年度に比べまして、かなり進んでいるようです。これは評価をしたいというふうに思います。
 その上で、まだまだ県民への宣伝が不足をしてると思いますんで、例えば補助を受けた住宅の協力を得て、いろいろな県民に「耐震工事、実際こんなんやで」というのを見てもらうために現地見学会的なものをその地域でできないものかというようなことを考えましたが、いかがでしょうか。答弁お願いいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 耐震改修の現場は、新築工事と違い、生活しながらの工事であり、入居者の同意が得られにくいため、現地見学会の開催は困難と考えます。
 しかしながら、これにかわるものとして、耐震改修中であることがわかるような工事用看板を現場に掲げ、近隣住民の方々に周知する取り組みを実施しております。
 また、県政おはなし講座や市町村等と連携した地域での耐震説明会の中で、実際に改修した住宅の事例を、写真や図面を使って県民の方々にわかりやすく御紹介するなどの取り組みも行っております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私が伺いましたのは、近所のおうちでこうやってやってるという表示があるんだけれども、実際なかなか近所の方でも、そういう制度がないと見に行きにくいという御遠慮があるみたいなんで、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。
 3番目、耐震診断後のフォローについて伺います。
 この耐震診断を受けた方は、先ほど申し上げましたが、昨年度までに9761戸あるわけなんですが、1.0未満となったにもかかわらず改修にまで至らなかった例はどれぐらいありますか。そして、その主な理由は何でしょうか。また、それらの方々へのフォローはどのようにされているのか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 平成23年度までに、耐震診断の結果、耐震改修が必要な構造評点が1.0未満であった住宅は9084戸であり、そのうち補助金を活用して耐震改修を実施した住宅は567戸となっております。
 耐震診断に比べ、耐震改修の実績が少ない理由は、平成18年2月に実施したアンケート調査によりますと、どのような工法で、費用は幾らになるのか、どの業者に頼めばよいのかなどを不安視される方が多くおられました。
 このようなことから、市町村では、過去に耐震診断を実施した方に対して、具体的な工法や概算費用、相談窓口などを説明したパンフレット等の送付を行っているほか、県としましては、高齢者の方などを対象に、耐震改修の専門家を派遣し、個別の相談や改修計画の提案などを無料で実施しているところでございます。
 今後も、市町村や建築関係団体と連携し、より一層住宅の耐震化促進のために取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私たち共産党県議団は、以前から一般的な住宅リフォーム助成制度を訴えてまいりました。
 耐震改修をされている現場の大工さんたちに聞きましても、一たん古い家をいじり出したら、なかなか耐震補強のとこだけ修理して終わりですというふうにならない、補助が出ない部分でもようさんお金が要るとのことですんで、また、こうした声にこたえるためにもいま一度住宅リフォーム助成制度の検討もしていただけるよう要望して、この項目の質問を終わります。
 4番目です。過疎地でのガソリンスタンド問題です。
 現在、ガソリンや灯油など石油製品の販売業については、熾烈な価格競争やセルフ式スタンドの増加で、非常に苦しい状況が続いています。
 また、消防法の改正で地下タンクの油漏れ規制が大幅に強化され、来年1月末を期限に、埋めてから40年以上経過した古いタンクについては改修工事をしなくてはなりません。改修には経済産業省の補助金もあるようですが、なかなか進んでいないのが実情のようです。
 1番、そこで、県内のガソリンスタンドの数はここ3年間でどのように変化してきておるでしょうか。また、改修が必要な地下タンクに対して実際どれぐらい改修が進んでいるのか。危機管理監に答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) ガソリンスタンド数とその対策についてお答えをいたします。
 県内のガソリンスタンド数は、平成21年度末で509施設、平成22年度末で488施設、平成23年度末で469施設と、年々減少しております。
 また、本年7月末現在、ガソリンスタンドを含む給油取扱所で流出事故防止対策が必要となるタンク数は495基あり、そのうち措置済みのものは110基で、残り385基については、法期限までに対策が講じられるよう、引き続き各消防本部と連携して事業者を指導してまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁ありましたが、改修が必要になるタンクが大体495で、約4分の1の改修しか、あともう残り数カ月ですけども、今の時点で進んでいないという状況です。
 そこで、もしこのまま来年の1月末の期限が来れば、特に過疎地ではガソリンスタンドがなくなっていくことになりかねません。
 既に経済産業省では、平成22年に過疎地の石油製品供給について調査事業をしていますが、その中でも先進的な事例としては、自治体や住民がスタンドの経営を事業化したという話も出ております。
 今後、継続に向けてのさまざまな方法が出てくると思いますが、ただ、私が心配してるのは、来年になって、皆さん一斉に「さあ、やめましょう」となった場合に、これは地域住民にとって大変なことになるわけです。
 地域の要望をうまく取りまとめてさまざまな支援策を考えるのは過疎対策のメニューだと考えますが、過疎地のスタンド経営者の意向もつかみながら、ガソリンスタンドがなくなるかもしれない地域にどのような支援策をしていくのか。企画部長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ガソリンスタンドの撤退につきましては、過疎地域住民にとりまして、自動車用のガソリンや農業機械の軽油、また冬場の灯油などの確保が困難になり、日常生活に著しく支障を来すおそれがあると認識してございます。
 過疎地域の16市町村では、この問題について、現在のところは特に問題はないと聞いてございます。ただ、その中には、地域からの要望により、国の制度や市町村の補助を活用してタンクを改修し、存続している事例も見受けられます。
 県といたしましては、今後とも地域における動向を見きわめながら、国の制度の活用を促すとともに、地域独自に燃料の確保や配送などの取り組みが行われる場合は、産業対策や生活対策といった複合的な事業を組み合わせる過疎集落支援総合対策事業等の適用などできないか、検討してまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、市町村では、今、特にこの問題を把握されていないようなんですが、実は、まさにこれから問題が起こってくると思います。
 私が聞いてるのは、例えば地元白浜町の旧日置川町の日置川沿いですけれども、お店の方たちにもお話を伺うと、この9月あるいは翌年にも閉めるかもというお話でございます。
 あの奥に深い日置川流域に、燃料を入れるところが1軒もなくなるかもしれないということがすぐにでも起こるかもしれないわけです。こんなことは、行政には事前に一々相談をしませんから、役所はなかなか知らないわけです。でも、閉めたら、地域住民が困ることになるのは明らかです。
 そして、今、災害時の孤立集落の対策が言われてますが、私は、本当に危機管理という点でも大変な問題だと思います。
 ぜひ、これは知事にも頑張っていただいて、何とかこの過疎集落の問題に取り組んでいただけますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

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