平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

(全文)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成24年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成24年9月24日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第107号から議案第143号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第107号から議案第143号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
12番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員    寺村多喜
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第107号から議案第143号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 1番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。一般質問も本日が最終日ですが、どうぞ御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、去る8月27日から30日まで、二階俊博衆議院議員を団長に、門三佐博議員、中村裕一議員、花田健吉議員、野田寛芳企画部長、そして私森礼子は、各界の有識者の方520名を超す方々と中国陝西省西安市を訪問させていただきました。質問に先立ち、その御報告をさせていただきます。
 このたびの中国西安の訪問の意義ですが、今から約1200年前、空海が遣唐使の留学生として仏教を学びに中国(当時の唐)へ渡り、都であった長安(現在の西安)で密教の秘法を授かり、日本に帰国、その後、密教を広めるための根本道場を高野山の地に開いたという歴史を振り返り、改めてその偉業をしのぶとともに、より多くの人に友好の歴史を知っていただくことにあります。
 空海が密教の高僧・恵果に師事し修行を行ったのが、今回、私たちが訪れた青龍寺です。青龍寺は、古都西安市の近郊にある仏教寺院で、長い間、廃寺となっていましたが、今から30年前、日本の弘法大師ゆかりの皆さんの御厚志で再建されました。再建当時は恵果・空海記念堂だけでしたが、現在は長安の栄華をしのばせる立派な伽藍となっています。
 西安、青龍寺と高野山をつないできた歴史を振り返ってみましたが、来る平成27年には、弘法大師・空海が弘仁7年に真言密教の根本道場として高野山をお開きになって以来、1200年目の時を迎えています。
 空海が我が国の宗教、芸術、教育等の分野でなし遂げた数々の偉業、そしてまさに日中の友好交流によって新しい仏教の教えを我が国に伝えたという史実は、本県の高野山を訪れることで、目に触れて、体で感じることができます。このすばらしい、世界に誇ることができる和歌山県の世界遺産をさらに広め、高野山開創1200年という記念の年には、たくさんの方々に和歌山県に足を運んでいただきたいと切に願うとともに、県議会としても、その成功に向け、邁進させていただきます。
 今、日本と中国双方の関係は、降り続く豪雨のような状況でありますが、雨はやがて早いうちにやみ、明るい太陽が顔を出します。やまない雨はありません。近い将来、必ずや日本晴れのような関係が訪れることを願ってやみません。
 それでは、質問に移らせていただきます。
 この中国西安を訪問して私が強く感じたことから質問させていただきますが、今シーズンはやりのトイレの質問からよろしくお願いします。
 西安は、御承知のとおり、長きにわたり歴代の王朝の都が置かれ、近郊には秦始皇帝陵と兵馬俑、そして世界遺産を有する観光都市でもあります。このように世界じゅうから多くの観光客を出迎える都市でありながら、言いにくいことではありますが、トイレ事情が十分でないことが理由で観光地としての評価は低くならざるを得ず、実際、私が出発する前は、トイレが嫌だなあというふうに思っていました。
 ところが、私たちの訪問団のことが現地に伝わると、西安市のある陝西省の省長が先頭に立って現地のトイレを視察し、これではよくない、おもてなしができる状態ではないとの判断で、私たち訪問団が到着するまでにトイレの美化に御努力をされたようです。まさかと思うほど短い間に実現され、この誠意ともてなしに私は感銘をし、こうして西安への訪問は気持ちのよいすばらしい印象でスタートができました。
 現在のようなインターネット社会では、少し大げさかもしれませんが、トイレをきれいにすることで観光地としての評判は世界じゅうに広まっていきます。
 これを和歌山県に置きかえてみれば、国際観光に力を入れている本県として、トイレの整備や美化は早急に取り組むべき分野であり、市町村に対しても積極的に働きかけて実施していくべきではないでしょうか。
 本県においては、太地町がJRの駅舎の隣のトイレを平成12年に県の補助金を導入して整備し、現在まできれいに維持管理されていることは、太地町を訪れる人たちにとってすばらしいおもてなしであると思います。
 JR和歌山駅、南海和歌山市駅は、県都和歌山市の玄関口です。
 この議場におられるのは男性の方が圧倒的に多く、女性用のトイレのことは余り御存じでないと思います。今風のトイレは、トイレがある部分とドレッサー部分に分かれていて、気持ちよくお化粧直しができるのが特徴です。2つの駅のトイレは、確かに清掃等はよくされておりますが、古い和式トイレで、においも大変気になります。
 現在のニーズには、ほど遠いものがあります。現状のままで、知事の言われるあらゆるおもてなしで観光客に満足していただきたいとの思いは通じにくく、私が西安で感じ取ったのとは反対に、間違いなくよくない印象を与えてしまうと思います。このよくない印象は、和歌山県のトイレは不快だという評判につながります。
 駅のトイレの設備の更新については、鉄道事業者が主体的に取り組むべきものであり、県としては働きかけを行っているとのことですが、国体開催を3年後に控えた今、開催地の玄関となる駅のトイレは当然のこと、和歌山県を訪れてくださる方々がよく利用されると想定される場所から、優先順位を考えながら、最高のおもてなしを提供するために取り組まなければならない時期に来ていると私は思います。
 今月9日、和歌山ビッグホエールで開催決定記念イベントが盛大に行われ、開催に向けての気運が高まりつつある紀の国わかやま国体ですが、この国内最大のスポーツの祭典には、参加する選手を初め競技関係者、スタッフなどが全国から集まり、短い期間中に延べ12万泊を超える宿泊が見込まれています。
 期間中、最高のおもてなしで、訪問される方々が楽しく、また和歌山の食文化に満足していただき、気持ちよく過ごしていただける方法、さらには、お土産店等では購買意欲を最大限に引き出せるような工夫はもちろんのこと、訪れる方々が本県に来られる前から一足伸ばして観光したいと思わせる事前の対策に取り組むべきであると思います。
 これは、本県の観光振興にとってとても大きなチャンスです。競技等に参加される選手やスタッフの皆さんには、国体開催までに多くの関係書類を発送することでしょう。それは同時に、世界に誇れる和歌山県の観光地をPRする絶好の機会であり、周知していただくだけでなく、延泊したい、観光して帰りたいと思っていただける観光啓発に取り組むべきだと思っています。
 また、和歌山県のホスピタリティーを感じていただき、帰ってから周りの方々に「和歌山っていいところよ。今度は旅行で行ってみたいわ」と口コミで伝わるような大会にしていただけるよう、県職員の皆様が一丸となって頑張っていただきたいと思います。
 それでは最初に、企画部長にお伺いします。
 観光地として魅力をアップするために必要不可欠と思われるトイレの整備、とりわけ和歌山市の玄関口である駅のトイレの設備の改修の必要性について、どのようにお考えですか。また、美化を進めるために県としてどのような対策をお考えですか。
 商工観光労働部長に伺います。
 県には観光施設整備補助という制度がありますが、この補助制度において、トイレへの重点配分、増額、特化等を行うべきではないでしょうか。
 最後に、知事に伺います。
 国体開催の機会をとらえられた観光振興策、特に選手、関係者等への観光資源等の周知について、どのようにお考えですか。よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀の国わかやま国体には、全国から選手団、応援団、観客といった多くの方々が来県することが予想されるため、本県の観光をPRする絶好の機会であります。
 議員御指摘のとおり、来県される選手やスタッフの方々を通じて、応援に来られる御家族や関係者の方々に観戦前後の県内観光や次回訪問の動機づけのために、事前に各都道府県の体育協会に観光パンフレットを発送し、選手、スタッフ等に配布を依頼する所存であります。
 観戦に来られた方々のために、旅行会社に対して、宿泊に定期観光バスやレンタカーをセットしてお得な価格設定にする等、県内観光を促進する宿泊プランの造成を働きかけていくとともに、インターネット販売を主とする旅行会社等と連携して効果的な情報発信を行っていきたいと思います。
 次回訪問のための動機づけについては、主要な会場において観光情報を提供するブースを設置するとともに、個々の宿泊施設において、お客様に積極的に県内観光情報を発信できる手法を旅館組合等関係団体と検討してまいりたいと思います。
 このように努力してまいりますが、多分、国体に来られた選手団は競技に夢中であったり、あるいは応援に来られたような方も若干その傾向があると思います。しかし、おもてなしがきちんとできておれば大変好印象を持ってもらえると。たくさんの方が見えるので、この好印象が全国津々浦々に伝われば大変な武器であると思います。逆だと、これまた打撃になります。
 したがって、そういう意味で、国体に向けて、和歌山でもてなすための政策、きょうも御質問、そういう趣旨だったと思いますが、そういう対策を強化したいと思っております。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 駅のトイレの整備についてでございますが、日ごろから鉄道を利用する県民の方々はもとより、観光客の方にも気持ちよく使っていただくために駅のトイレを整備することは、本県に対するイメージアップの観点からも大変重要であると認識してございます。
 県では、高齢者や障害者を初め、すべての方に安心して鉄道を利用していただくため、交通施設バリアフリー化設備整備推進事業を実施しておりまして、この中で多機能トイレの設置に対し補助を行っております。
 これまでも、鉄道事業者において清掃等維持管理に努めていただいておりますが、今後とも、施設整備も含め、鉄道事業者及び地元市町村と連携し、トイレの美化に積極的に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 観光施設整備補助制度における観光地の公衆トイレへの重点配分等についてですが、県では、かねてより観光地の公衆トイレの整備について観光施設整備補助金により助成しており、平成19年度から5カ年において、市町村からの要望にすべてこたえて20カ所の支援をしてきたところであります。
 特に、平成20年度からは、公衆トイレの整備を重点整備事業として優先的に採択するとともに、平成21年度からは、公衆トイレの洋式化や温水洗浄機能の付加といった小規模改修についても助成対象としてきたところであります。
 国体開催を間近に控える中、観光地の公衆トイレの整備の重要性を踏まえ、今後、市町村からの要望に対し、観光施設整備補助事業において重点配分するなど、さらに積極的に対応してまいります。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁ありがとうございます。
 トイレの整備や美化については、この議会では新島先生や中村先生も質問されているように、本県のイメージアップを図る上では本当に大切な問題だというふうに私は思っています。
 きょうの御答弁では、現状は、市町村からの要望についてはすべて対応できていて、鉄道事業者等とも連携を図っていくということで本当に安心しましたが、この取り組みの評価というものは、和歌山県を訪れた方々や、もちろん本県県民の皆様が下すものだと思います。現在の評価がどのようなものであるのか、その声を改めて受けとめていただきたいと思っています。
 私は、今後どのようにトイレの整備や美化が進んでいくのかを注視していきたいなと思っています。
 では、次の質問に続けさせていただきます。
 和田川の治水対策について伺います。
 本年6月22日の大雨によって、和歌山市の南東部を流れる和田川流域では大規模な浸水被害が発生し、全国ニュースになったことは皆様の記憶にも新しいことでしょう。
 自由民主党和歌山県連は、この災害を重く受けとめ、6月30日に現地視察を行い、私も一緒に現地の状況をつぶさに見てまいりました。また、その後も数回にわたり現地を見て回り、いろいろな人からお話を伺いました。
 和田川流域では、ここ5年間で、平成20年5月、平成21年11月、平成23年5月、そして今回と、水害が4回も繰り返し起こっています。それも、同じ地域で浸水被害が発生し、地域の住民の方々を長年にわたり悩ませ、心労を蓄積させています。こうした水害の原因は、どこにあるのでしょうか。
 和歌山市の東部地区は、市街化調整区域であり、宅地開発の規制により家屋は建てにくかったのですが、平成17年4月に規制緩和が行われたことにより、現在は宅地開発が盛んに行われています。
 先人の考える「水は高いところから低いところへ流れる」、この自然の水の流れは、今、変化しつつあります。ミニ開発によって、かつて田んぼがあったところに家を建てる。したがって、その場所の土地は高くなり、水の流れに変化が起こっています。
 雨の降り方も変化しています。近年のゲリラ豪雨、集中豪雨は、水が引く時間もなく降り続き、川の水は堤防を越え、時を待たずして決壊となります。
 宅地開発は勢いよく進む一方、浸水対策は停滞しているのではないでしょうか。宅地開発は、地域の人口増加、経済効果等をもたらし、地域活性化には望ましいことであります。しかし、急激な開発は、各種の、特に生活排水の増加、遊水地の減少を招き、浸水の要因の1つとなっています。また、和田川等に設置されている手動巻き上げ方式の取水堰は、それ以前の支柱のものを転用したものが多く、もともと非常にひ弱で、無理な構造になっていて、ごみが詰まり、水がたまって川からあふれ出るという根本的な問題があります。
 このようなさまざまな要因が考えられる中、同じ地域で浸水被害がたびたび発生し、地域住民を長年悩ませています。
 和田川では、これまでも堤防、河床掘削、水路の改修などがなされていますが、依然として浸水被害がなくならないことから、自由民主党和歌山県連として、浸水対策をもっと加速し、一日も早く改修ができるよう、国、県及び和歌山市がお互いに協力して対策を進める必要があることを強く訴えたところ、7月18日に国、県、市による会合が開催され、災害に強い地域づくりに向け、関係者が連携を強化することが確認されたと聞いています。
 この機会を逃すことなく、地域の住民の方々が安心して生活ができるよう、山東地域の根本的な浸水対策について、一日も早く事業に着手していただきたいと考えます。
 そこで、県管理の和田川について、県土整備部長に伺います。
 和田川流域では、永山川や平尾川などの支流、また周辺の用水路などがあふれ、浸水被害が発生していますが、流域の内水被害を軽減するためにも、和田川本川における改修計画はどのようになっているのでしょうか。
 和田川上流部の山東地域に住まわれている方々にとって一日でも早い対策が望まれており、できることから速やかに着手すべきであると考えます。この地域において、早急に県がなすべき治水対策について回答をお願いします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 1点目の和田川本川の改修計画についてでございますが、和田川流域への浸水被害の対応につきましては、議員御質問のように、内水被害や自然のはんらんによる床上浸水を踏まえ、農業用水管理者等による用排水路等の改修、和歌山市による支川前代川等の改修、県による和田川本川の改修など、国、県、市の連携を強化し、それぞれの事業進捗を図っていくことにしました。
 県管理の和田川本川の改修につきましては、これまで、下流から矢板護岸と川底を掘り下げる工事を実施してきたところでございますが、市による支川改修や内水対策とあわせ、河口から前代川合流部付近までの約5.8キロにおける改修を抜本的に進めるため、床上浸水対策特別緊急事業の採択を国に要望しているところでございます。
 次に、上流部の早急な対策の実施についてでございますが、和田川本川上流部の県の対策としましては、従来より局所改修に取り組んでいるところですが、今後とも下流部の改修と並行して取り組んでまいります。
 特に、治水上、最もネックとなっている山東地域の伊太祁曽神社前の農業用取水堰を含めた区間においては、今回の水害を踏まえ、今年度内に局所改修に着手し、来年度のできるだけ早い時期までの完成を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 では、次の質問に移ります。
 次は、市道坂田磯の浦線の早期着工に県として協力ができないかについて質問します。
 磯の浦地区は、道路が狭く、夏場は海水浴客やサーフィンなどで道路が渋滞し、地元に住まわれてる住民の方々は買い物にも行けない、病院にも出かけられないというほどで、苦痛の毎日です。また、小さな子供やお年寄りは、交通事故に遭う危険性も高まり、緊急車両の通行もままならない事態は、住民の方々の命にもかかわる問題です。
 こうした事態を改善するため、県道粉河加太線のコスモパーク加太入り口付近から磯の浦海岸付近までを道路で結ぶ市道坂田磯の浦線の計画が30年も前にできており、和歌山市において用地買収がなされ、80%以上を取得したとのことですが、いまだに工事着工のめども立っていません。
 渋滞対策はもちろんのことですが、先日、南海トラフ付近で巨大地震が発生した場合の被害想定について、国の有識者会議から発表され、この和歌山県では、最悪の場合、8万人が犠牲になるとのセンセーショナルな報道がなされました。8万人ともいえば、本県の人口のおよそ12分の1であり、とてつもなく大きな被害で、想像することすらできないものです。
 想定では、亡くなる方の多くが津波によるものとされており、震源に近い和歌山県の沿岸地域では、とにもかくにも津波が及ばない高台にできるだけ早く避難することが生命を守る上で最も大切であると言われています。
 県都和歌山市においても、マグニチュード9クラスの巨大地震が南海トラフで発生した場合は、高さ8メートルほどの津波が到達すると予想されています。
 こうした大きな津波が海岸の防潮堤を乗り越え、海抜の低いところにある住宅地や田畑にまで押し寄せてくることになった場合、避難路が十分に確保されておらず、住民が避難しにくい地域というものも存在しています。磯の浦地区は、まさにこうした地区の1つともなっています。
 現在、事業が進んでいない市道坂田磯の浦線は、津波に襲われる可能性のある磯の浦地区の住民にとっての緊急時の避難路としての道としても有効ではないでしょうか。実際、地区の方からは、避難路の少ない私たちの希望の道という切実な願いが込められ、その実現が心待ちにされています。
 用地問題が最大のネックとされているのであれば、用地の収用等、法的な手続を利用するすべもあるのではないでしょうか。ここ2年間は和歌山市との協議が全くないとのことですが、協議がなければ土地収用の手続に必要な事業認定の申請も進まず、状況は停滞したままです。
 和歌山市民は、同時に和歌山県民でもあります。毎日の生活苦と災害時の避難路がないという不安が新たな道路を通すことでなくなるのであれば、これこそが最善の解決方法です。
 そこで、県土整備部長にお伺いします。
 県民の命を預かる県として、この道路の早期着工について協力をすることはできないのでしょうか。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 市道坂田磯の浦線につきましては、和歌山市が生活道路及び防災道路、また観光振興に寄与する道路として整備に取り組んでおり、用地取得率は、面積ベースで平成14年度までに83%に達していると聞いております。しかしながら、議員御指摘のように、それ以降、進捗がほとんど見られておりません。
 県としましても、防災の観点はもちろん、観光振興にも資する重要な道路であると考えており、これまでも市に対し、県・市連携会議やあらゆる機会を通じ、県で進めている磯の浦活性化事業とあわせ、早期の整備を要請するとともに全面的な協力をしてきておりますが、今後、さらに具体的な課題解決に協力するとともに、早期に用地取得の上、工事に着手し供用を図れるよう、積極的に市を支援してまいります。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次は、いじめの防止について質問させていただきます。
 ことし7月以降、報道で大きく取り上げられるようになった大津市の中学校でのいじめが原因と見られる生徒の自殺は、これまで幾度となく繰り返されてきた学校でのいじめの問題をクローズアップさせ、家庭や学校だけでなく、地域社会や警察をも動かす大きな社会問題となっています。
 今、子供を守るために、改めてこの問題を注視し、落ち度のない対応をとっていくことが必要だということを改めて認識しています。
 今議会でも、藤本議員、雑賀議員がこの問題を取り上げられました。さらに、先週の金曜日には、前芝議員の質問に答えて仁坂知事が、「いじめ問題については、教育委員会だけの問題ではなく、県も主体的かつ積極的に取り組むべき」と発言され、「いじめ等の相談を知事あての県政ポストでも受け取る。また教育長あてのメールも新たに設ける」と答弁されました。このことは、いじめ問題に心を痛めている県民にとって、行政が真剣にこの問題に取り組んでくださるという姿勢がわかり、大きな共感を得たものだと思います。
 子供たちにとって、本当は楽しくあるべき学校生活が、いじめがあることによって暗くて重々しいものに変わってしまう。大津市のように、子供が亡くなるというような事件が報道されると、胸が押しつぶされるような悲しみと、どこに向けていいのかわからない憤りを感じています。
 人の尊厳を奪ってしまうようないじめを許してはいけません。ましてや、いじめによって人の命が奪われるようなことは決してあってはいけません。家庭でのしつけや子供との触れ合いの中で、いじめについての認識を子供とともに共有するということは私たち子供を持つ親がしなければならないことですが、教育現場である学校においても、いじめの撲滅に全力を尽くしていただくようお願いしたいと思います。
 さて、前芝議員の質問にもありましたが、本県の公立学校におけるいじめの認知件数は全国的に見ても少ないほうですが、これらの認知件数は都道府県によって大きなばらつきがあります。例えば、最も多かった熊本県では、本県の30倍以上の認知件数が報告されています。
 これはアンケートのとり方によるものではないかと言われており、記入した生徒がだれか教師にわからないような方法にすることが実態の把握には必要だと思います。認知件数が少ないということは、もしかしたらいじめがあるのに見逃してしまっているのではないかと心配します。
 心身ともに大きく成長過程にある生徒は、いじめという問題だけでなく、友達関係や勉強、部活動、またそのほかの、先生や親には気づいてあげられない悩みに立ち向かっているのかもしれません。先生や友達、親にも打ち明けることができない生徒が何らかの形でこうした悩みを打ち明けられるきっかけが必要だと思います。
 先日公表された本県のいじめ問題対策では、実態把握のための生徒へのアンケートを早期に実施し、さらにアンケート結果に基づいて教育委員会等が学校から直接ヒアリングを行い、対応方法などについて指導や助言を行っていくとのことです。
 この実態把握の方法として、書いたのがだれか教師にわかってしまうと正直に答えられないという問題をなくすために、例えば県費で生徒1人1人に内容を隠すことのできるシールがついた郵便はがきを配り、専用の私書箱を設けるなどの方法で、はがきが直接教育委員会に届くような匿名性の高い調査を行うことは考えられないでしょうか。
 どんな悩みを打ち明けてもよいのなら、いじめだけでなく、生徒がどんな悩みに苦しんでいるのかがわかる手だてともなりますし、また、低学年ではネグレクトの発見につながるかもしれません。
 メールでの相談ができることは大変便利でありがたいのですが、例えばインターネットや携帯電話のメールを使うことができないような生徒もおります。できるだけ多くの子供たちが相談する機会を平等に設けるという点で、はがきという通信手段を使うのはどうでしょうか。
 先日の藤本議員の話にあったように、学校の保健室が子供の心のよりどころになっていることは、私もその様子を目にしています。親に言えない悩みを、保健室の先生にだったら自分から話しに行くのです。そのような、子供から悩みを打ち明けたいと思えるような方策が必要です。
 今回、メールによる知事や教育長へのいじめ相談窓口設置という行政、教育委員会が一体となったいじめ対策を打ち出されたのですから、実態調査においても、全国に例を見ない和歌山県独自の方法を見出すときであると私は考えます。
 教育長にお伺いします。
 通告の1番目の質問については、金曜日に公表された内容のとおりだと思いますが、改めて伺います。本県でも、いじめを含む正確な実態把握とその解消に向け、県全体で調査を行う予定はありますか。また、それはどのような方法で実施しますか。
 次に、教育委員会に対し、いじめの実態や抱えている悩みを直接訴えることができるよう、はがきを使った実態調査を行うことに関してはどのようにお考えですか。
 最後に、いじめの加害者に対して出席停止を命じる制度を積極的に活用しようとする教育委員会も他府県では出ていますが、いじめの防止に、より実効性を持たせる措置について教育長はどのようにお考えですか。
 教育長にお伺いします。よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校におけるいじめの防止に係って、3点についてお答えします。
 本県では、すべての学校でいじめの実態を把握するため、平成22年度から各市町村教育委員会とも協力しながら児童生徒に対してアンケート調査を実施しています。
 本年度も、既に5月から順次、各学校が児童生徒の実態に合わせて、時期等を適切に判断しながら実施しているところでございます。
 各学校では、いじめに関するアンケート調査で明らかになったいじめに対して、即座に子供と向き合い、きめ細かく対応することにより、いじめの早期解決に努めています。
 いじめの問題に迅速かつ的確に対応していくためには、子供や保護者が悩みや不安等を持ったときに、いつでも相談できるように体制を整えておくことが重要であると考えます。このため、県教育委員会としましては、既存のいじめ相談電話の活用を子供や保護者に一層周知していくとともに、いじめを含むさまざまな問題に対応するため、知事メール等を活用するとともに教育長メールを新たに開設したところです。
 こうした取り組みを通して、子供や保護者等から寄せられた訴えにしっかりと向き合い、早期発見、早期対応できるよう丁寧に取り組んでまいります。
 はがきの活用という提言をいただきましたが、いじめ問題に対しては、まず学校現場の教職員がしっかりと子供の実態を把握し、信頼関係に基づいて子供と誠実に向き合うことが大切であると考えます。
 はがきの活用につきましては、子供と教職員が日々温かく触れ合い、心を通わせることを大切にするという観点から、慎重に対応したいと思います。
 公立小中学校における出席停止についてですが、いじめへの対応は、単にいじめた子供を出席停止にすればよいというものではなく、いじめを行わない方向に向ける粘り強い指導こそが大切です。しかし、いじめが深刻であって、他の子供の安全や教育を受ける権利が保障されないと判断された場合には、出席停止の措置を講ずることなど、毅然とした厳しい姿勢も必要になると考えます。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 最後に教育長にお答えいただいた加害者側の出席停止ですが、小中学生に関しては、やっぱり義務教育であるがゆえに慎重に行うべきであるということは理解しているんですが、いじめを受けたほうが、いじめを怖がって不登校になったり転校を余儀なくされているということは、どう考えても理不尽だなというふうに感じております。
 いじめを受けている側の立場に立って考えることが必要じゃないかなというふうに思っておりますので、他府県でこうした事例があるのであれば、本県においても、県立の中学校等において導入の可否について検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 続いて、質問に移ります。
 最後の質問です。
 聴力に障害のある子供の補聴器購入費助成制度の創設について伺います。
 子供が言葉を覚え、やがて家族や友達と会話によるコミュニケーションを楽しむようになるのは、言葉を発する前の段階、つまりただ聞くだけのときから始まっています。赤ちゃんのころ、周りの日常生活の会話が自然に耳に届き、だんだんと言葉を習得していきます。
 このことは当たり前のように思えますが、聴覚に何らかの障害を持って生まれた赤ちゃんやその家族にとっては、本当に切実な問題です。特に、言葉を覚える段階で聴力に障害がないかどうかを見つけ、障害があるとわかった場合は少しでも早いタイミングで補聴器を装用し、健常者と同等の聴力を得ることが、周囲とのコミュニケーションをとるため、言葉を覚えるため、とても大切なことであります。
 今、本県では、聴力に障害のある方に対する補助制度として障害者自立支援法に基づく補装具費支給制度があり、障害の程度が重く障害者手帳が交付されている方が補聴器を購入する場合は本人の1割負担で済みますが、障害者手帳が交付されていない軽度や中度の障害を持たれる方に対しては、補聴器購入に係る費用の助成制度はありません。実際、聴覚に中程度以上の障害のある子供の親御さんからも、補聴器を購入する助成が欲しいとの声が聞かれています。
 こうした軽度・中度難聴児補聴器購入等助成制度については、都道府県としては、岡山県や秋田県を初め11の府県で導入されていると聞いております。
 補聴器購入の費用の一部を助成することにより、聴力に障害を持つ子供さんが言葉を習得するタイミングを逃すことなく、その後、教育を受けるに当たり、より健全な環境で学ぶために有効な支援だと思います。
 そこで、福祉保健部長に伺います。
 聴力に障害のある子供たちが、発達の過程において健常者と同様に言葉を習得できる環境を整備するために、早急に軽度・中等度難聴児補聴器購入の助成措置を設けるべきだと思いますが、どのようにお考えですか。御答弁お願いします。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 近年、医療の発達に伴い、新生児の聴覚スクリーニングが普及し、軽度から中等度の難聴児が発見されやすくなってきております。また、軽度・中等度難聴児が補聴器を早期に装着・装用することにより、その後の言語発達等のおくれの防止に効果的であると認識してございます。
 県としましては、軽度・中等度難聴児の補聴器購入の際の助成制度の創設について、引き続き国に対し要望を行うとともに、今後、他府県の状況も踏まえ、検討してまいります。
○議長(山下直也君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 御答弁ありがとうございました。
 補聴器の早期の装用が効果的だということを御認識いただいておりまして、大変心強く感じております。
 言葉の発達は、子供のそれからの長い人生において本当に大切なことですので、この助成制度の実現に対して御努力いただくことをお願いして、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問さしていただきますが、その前に御報告がございます。
 それは、去る7月29日、8月4日、5日の3日間にわたり開催されました第9回紀州よさこい祭りにおきまして、多くの県内外の皆様の御協力をいただき、参加演舞チーム数が74チーム2565人、出店数57店、観客動員数は約26万7000人と、盛会裏に終えることができました。
 この祭りは、今から10年余り前に内田嘉高君と上森成人君という2人の若者が踊りを通じて和歌山を元気にしたいという思いで立ち上げた祭りで、私も、NPOセンターの活動を通じて親しくしていた彼らから相談を受け、当時、和歌山になかったよさこい踊りのチームづくりから参画し、祭りの立ち上げのための資金集めや行政との橋渡しに尽力さしていただきました。
 それが、今では和歌山を代表する祭りの1つになったことは大変喜ばしいことであり、今回も知事初め県職員の皆さんの御支援、御協力をいただいたことに、心より厚く御礼申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。
 それから、本題に入る前にもう1つございますが、それは、この2月議会において、我が民主党所属の和歌山1区の岸本周平、同じく2区の阪口直人、また近畿比例区の玉置公良の3代議士の活躍ぶりと野田内閣に対する評価を知事初め関係部長にただしたところ、多大な評価とは言いませんが、それ相応の評価をいただいたことに民主党和歌山県連幹事長として厚く御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
 本日の質問は、趣向をがらっと変えまして、党派に関係なく、和歌山県民の寿命と体力ということについて述べさせていただきますので、ぜひともお1人お1人の問題として、ともに考えていただければ幸いであります。
 まず最初に、お手元の都道府県別健康寿命等の状況をごらんください。
 これは、そこにも書いてあるとおり、平成17年の国勢調査をベースにしたものですが、直近の平成22年の国勢調査をベースにしたものはこの12月に出るということですので、今回はこの表をもとに本日の質問をさせていただきます。
 さて、皆さん、この表を見て、どのように思われますか。恐らく、多くの皆さんは、意外やなあと思われるのではないでしょうか。
 それは、我が和歌山県は、男女ともに平均寿命も健康寿命も短いということがこの表で一目瞭然であるからであります。男性は、平均寿命が78.04歳で全国で41位、健康寿命が75.06歳で42位、また平均寿命から健康寿命を引いた期間、これが要介護期間ですが、これも3年で40位と、驚くほど下位に甘んじております。
 普通の和歌山人の感覚で言いますと、和歌山県は、経済的には他府県より少々寒い状況ですが、気候は温暖で、海青く、山深く、空気も澄んで、自然がいっぱいで、豊かな海の幸、山の幸にも恵まれ、人はその中で、のんびりではありますが、伸び伸びと暮らしております。当然、人生も豊かで長いものと信じていたと思います。
 事実、私がそうでした。この表を初めて見たとき、「えっ」と絶句し、思わず我が目を疑いました。また、このことを和歌山の友人、知人、さらには他府県の人に伝えたところ、「ほんま?」、「うそやろ」、「信じられない」、「なぜ」と、だれもが異口同音に言いました。しかし、事実は事実なんですね。
 つまり、平均寿命も健康寿命も他府県に比べ短い。先ほど言ったとおり、和歌山県の男性は、はっきり言って体が弱いということになります。
 さらに、女性については、もっと驚くべき事実がわかりました。と言いましても、初めに言ったとおり、このデータは平成17年のもので、実質平成19年末に出たものということですので、今からもう既に5年前にわかっていたことであります。
 和歌山県の女性は、平均寿命が85.27歳で全国43位、健康寿命は78.45歳で、さらに下がって45位、要介護期間も6年10カ月と43位で、いずれも男性より下位になっております。つまり、和歌山県の女性は、全国ランキングでいえば、体の弱い男性よりさらに弱いということになります。
 そして、驚くべき事実として、平均寿命85.27歳で、和歌山県とここでは同年齢になっておりますが、44位の茨城県は、健康寿命が80.63歳で全国第3位、要介護期間が4年8カ月で1位。つまり、和歌山県より2年2カ月、介護期間が短いということになります。
 同じ日本人としてこの国に生まれ、育ち、学び、働き、そして年を重ねていって、ほぼ同じ長さの人生、つまり同じ寿命を歩む中で、和歌山県の女性のほうが茨城県の女性よりも2年2カ月、介護される期間が長いということで、一段と和歌山県人の体の弱さがここではっきりしたことになります。
 知事も私も、恐らくこの議場にいらっしゃる議員の皆さんも、「和歌山を元気にします」、「私が和歌山を元気に」といったようなキャッチフレーズをいろんなところで発信されてると思いますが、これは逆に言えば和歌山が元気ないということでありまして、また、元気のイメージは、どちらかというと経済的なことばかりに目を向けがちですが、あえて言いますと、和歌山県民自体に元気が足りないということがこの表から言えるのではないでしょうか。
 先ほど御報告いたしました紀州よさこい祭りのような、自分たちの熱き思いで踊りを通じて和歌山を元気にしようという新しいうねりも育っていることは事実でありますが、後ほど述べます小学生から中高校生までの体力のなさは、はっきり言って、まだまだこれから先、和歌山県の活力をしぼませてしまう可能性があるのではないかと私は懸念しております。
 そのようなときに、仁坂知事は、平成20年4月に出した「未来に羽ばたく元気な和歌山」、ここにも「元気」という言葉が使われておりますが、和歌山県長期総合計画の65ページと66ページの「健康づくりの推進」の項において、「健康長寿日本一わかやま」を目指しますと2度強調されております。
 これは大変すばらしいことで、他の項目において、例えば農林や県土整備、また、知事がいつも力説されている観光や企業誘致においても、日本一と言い切ってる文章は全く載っておりません。それだけに、仁坂知事の並々ならぬ御決意をこの文章から感じることができました。
 皆さん、日本一の健康長寿県にするんですよ、この和歌山県を。私は、これは本当にすばらしい目標だと思います。
 そこで、大変僣越ですが、マニフェストではありませんが、言葉だけではなく、真に健康長寿日本一わかやまを実現するための目標設定をさせていただきました。
 さきの表の、男女とも平均寿命が1位の長野県を上回る数字をまず入れました。このグリーンの部分ですね、見てください。
 これは、決して突拍子もない数字ではございません。男性では、平均寿命を長野県の79.68歳の少し上をいきます80歳に設定し、要介護期間の短さが1位の茨城県の2年2カ月より少し下回る2年に設定すると、健康長寿が男性では78歳になります。
 ちなみに、平均寿命と健康長寿が1位の長野県においてさえ、要介護期間が2年8カ月と全体の21位に下がってしまうということにも少々驚きですが、やはり長く生きれば、それだけ介護期間が長くなるということではないでしょうか。
 しかし、健康長寿日本一わかやまは、そのようなことは言っておられません。平均寿命も健康寿命も最長であると同時に、要介護期間をできるだけ短くしなければ日本一とは言えません。
 女性においては、やはり平均寿命1位の長野県より少し上の──この左側ですね──86.5歳と設定し、要介護期間の短さが1位の茨城県の4年8カ月より少し短い4年6カ月に設定すると、健康寿命は1位の山梨県より長い82歳になります。
 男女とも、いずれも達成不可能な数字ではないと思いますが、これらの数字を踏まえて、知事の健康長寿日本一わかやまにかける御決意、意気込みをお聞かせください。
 1問目、終わります。
○議長(山下直也君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 健康長寿日本一わかやまについては、県民が生涯を通じて健康で活動的に暮らせることを願って目標といたしました。
 そのためには、御指摘のように、平均寿命や健康寿命の延伸、介護を要する期間の短縮等が健康長寿日本一わかやまという目標を実現していく上で大きな課題であると考えております。
 しかし、現状は、御指摘のとおり、目標にはまだまだほど遠い。しかし、この目標に向かって、強い意志を持って頑張らにゃいかんというふうに思っております。
 長計では、そのための施策をいろいろ示しております。県民参加型の健康増進あるいはがん対策、心の健康づくり、感染症対策、健康危機管理、難病対策等、これからさらに力を入れて頑張って、健康長寿日本一わかやまを目指して関係部局が一致団結して取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。知事の決意、しっかりと受けとめさしていただきました。
 私は、「日本一」という言葉に大変な思い入れがあります。それは、私ごとで大変恐縮なんですが、多感な学生時代を東京で暮らしていたとき、人口1000万人を超える大東京で、ややもするとちっぽけな自分の存在そのものを見失いがちに何度もなりました。「これではいかん」と思い、「じゃあどうするんだ」と自問自答の日々が続きましたが、その中でふと頭に浮かんだのは、自分の得意な分野で日本一を目指すことによって自分の存在感を確かなものにしようということでした。
 そこで、私、日本拳法という武道をやっておりましたが、これは宇治田議員のされている空手道や、また長坂議員がされている少林寺拳法に比べたら非常に小さな世界なんですが、そこでナンバーワン、つまり日本一になることを目標に定め、日々鍛練に励みました。寝ても覚めても日本一、日本一。その結果、昭和52年、大学4年のときに、社会人や自衛隊の、当時強豪と言われた選手をバッタバッタと倒し、日本一になることができました。(「おお、そういうところがあるのか」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。──これは前段でございますんで──そこでは、当然のことですが、決意だけではなく実践が伴わなければなりません。他の選手が1日500本突けば1000本突く、1000本突けば2000本突くというような猛練習の日々でした。数をこなすことによって質を高め、心技体の向上を図り、他からぬきんでた強い自分をつくる。
 まことに私自身のつたない経験ですが、このような経験から言うと、他府県と同じ健康推進政策を進めていっても、これは後の質問にも関係するのではっきりと申しますが、知事、とてもとても日本一なんていう、つまり知事が言う健康長寿日本一なんては、とても達成できるもんではないということは明らかであります。
 仁坂知事、どうぞその強い御決意のもと、県民の皆さんをリードし、健康長寿日本一わかやまを実現していただきたいと存じます。
 そこで、今度は福祉保健部長にお尋ねいたします。
 この表で、同じ日本国、日本国民でありながら、何度も申し上げますとおり、和歌山県は平均寿命も健康寿命も短いのに長野県はなぜその両方とも長いのでしょうか、御所見をお聞かせください。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 平均寿命、健康寿命を左右する要因については、さまざまなものがあり、断定はできませんが、長野県は、がんによる死亡率が全国一低いことが平均寿命を長くしている主要な原因であると考えます。
 また、健康寿命も長くなっていますが、これは、高齢者の就業率が全国一高いことや、在宅の高齢者を家族が支える環境が比較的温存されていることなどが影響して要介護認定率が低くなっているためであると考えます。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。
 実は、10月2日から4日までの3日間、私が委員長を務めさせていただいております福祉環境委員会の視察で長野県に調査に行く予定ですので、その辺のところをきちっと確認し、機会を改めて御報告いたしたいと存じます。
 ではまた、先ほどから申し上げましたとおり、要介護期間が男女とも日本一短いとされている茨城県と和歌山県の健康長寿の差はなぜ生まれるのでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 議員配付資料のとおり、健康寿命は、平均寿命から要介護期間を差し引いたものです。
 和歌山県の要介護期間が長いのは、茨城県に比べて、介護サービスを必要とする75歳以上の後期高齢者やひとり暮らしの高齢者の割合が高いこと、また居宅サービスの利用者割合が高いことによる影響が考えられます。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 福祉保健部長、言われるのは全くそのとおりなんですね。平均寿命から健康寿命を引いたものが要介護期間ですから、平均寿命が同じ長さだったら、介護認定率が低いと健康寿命が長いのは当たり前です。
 本当は、もっと言いますと、ここではなかなかそこまで深く議論できないかもしれませんが、もっと深い部分で、なぜ和歌山県が健康寿命がこんなに短いのか、また逆に茨城県が長いのかということについて問いただしたかったんですが、今回はこれぐらいにしときます。
 今回、この健康寿命等の状況のデータをもとに、いろんなことを考え、調べてまいりました。もちろん、その目標としては、知事が言われる健康長寿日本一わかやまという姿がありますが、それには、和歌山県は何が劣っているのか、また何が必要なのか、何をしなければならないかということがわからなければなりません。
 健康といっても、よく言われるように、体だけのことではなく、精神的な状況や経済的なことも含めて、社会的な存在感、それにやりがいや生きがいなど、多くの観点があります。
 また、健康づくりの3要素として運動、栄養、休養と言われておりますが、それらをここで問いただすわけにいきませんので、今回は運動、つまり体力づくりということに絞って質問さしていただきます。
 また、健康長寿というと、何かお年寄りだけの健康管理と思われがちですが、私は自分の道場で3歳から60歳までの方に日本拳法を指導しておりますので、その経験から、やはり小さいときからの体力づくりが本当に大事であるなというふうに痛感しております。
 この表でも、男性より長生きする女性について特に言えると思うのですが、年とともに骨がもろくなって、転倒したときに骨折をし、それがきっかけとなって寝たきりになり、ずっと介護のお世話になるということを最近よく耳にいたします。そのために骨密度を高くしなければいけないということは、今ではだれもが理解していることだと思います。
 しかし、ことしの4月20日の「読売新聞」に注目すべき記事が載っておりました。それによりますと、骨密度は18歳でほぼ最大になり、その後は少しずつ減っていくということで、若いときの運動が貯金になり──ここに「若いときの運動が貯金になり」て書いてますが──年をとってから骨粗鬆症になるのを防ぐことができるということなんですね。つまり、子供のころの運動経験がその後の体力の基礎をつくるということの、これが裏づけでもあります。
 そこで、和歌山県の小学生から中学・高校生までの体力についてはいかがでしょうか。
 配付の資料をごらんください。この表でございます。ここでは、平成19年から23年までの5年間の体力合計得点平均の推移が載っております。これによりますと、小学校低学年は全国平均よりやや下でありますが、小学校高学年から中学生、さらには高校生と、学年が上がるたびに全国平均との差が大きくなっているということがはっきりわかります。
 これは、最初、1つにまとめたものではなくて、何枚かに分かれて私のところに来たわけなんですけれども、この表の前段の何枚かの表をじっくり見たときに、大変県教委の健康体育課の方に失礼なんですけど、思わず笑ってしまいました。なぜかというと、見事なぐらい、男女とも学年とともに体力が落ちていくわけですね、相対的に。改めてここで言うまでもなく、ここに書いておりますこの下は、ピンクの部分は和歌山県ですが、上は全国のトップじゃないんですよ。これ、全国平均なんですよ。平均より大きく下回ってるということなんですね。
 この著しく体力が劣るということについて、教育長、どのようにお考えかお答えください。よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 小学校から高校までの体力づくりにかかわってお答えをしたいと思います。
 児童生徒の体力の現状は、議員御指摘のとおり、大変厳しい状況であり、このことは、ひいては将来の県民の健康問題や社会活力の低下に影響を及ぼしかねないものと考えております。
 このため、教育委員会では、子供の体力向上を最重点課題として位置づけ、平成21年度から紀州っ子の体力向上支援委員会を設立し、各学校において、体育授業の工夫改善はもとより、部活動など、あらゆる場面を通じて学校体育の充実に取り組んでまいりました。その結果、体力は、どの校種においても、徐々にではありますが、向上する傾向にあります。
 子供たちにとって運動やスポーツは、生涯にわたってたくましく生き抜くための健康や体力の基礎を培うとともに、心と体の健全な発達や成長、より豊かな生活を支える上で極めて重要なものと受けとめております。
 県教育委員会としましては、今後とも本県の子供の体力向上に向けて、創意工夫を凝らしたさまざまな施策を展開し、より一層取り組みを強化してまいります。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。
 くどいようですけれども、小・中・高校生の体力は、特に年齢が上がれば上がるほど、著しく全国平均から劣るということがわかりましたので、どうぞ、その向上のため、教育長を先頭に、県教委も現場の教員も一丸となって頑張ってください。
 それから、高校卒業後、大学等へ進学した場合は、別に運動部でなくともスポーツや体力づくりに励む機会はあるでしょうが、社会人になった場合、なかなか時間的にも難しくなってくると思います。
 そのような中、平成7年より総合型地域スポーツクラブが文科省からの提案により各地域にでき、和歌山県下でも多くのクラブができていると聞いておりますが、特に社会人の体力づくりということについて、現状と課題を、教育長、お聞かせください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 社会人の体力づくりということにかかわってお答えをしたいと思います。
 総合型地域スポーツクラブは、現在、26市町に34クラブが創設され、創設準備中の21クラブと合わせ、55クラブで約7000人の方々が活動しております。最近では、フラダンスやジャズダンスなどの流行をくんだものを初め、ヨガやウオーキングなど、健康づくりを志向した教室などが人気を集めています。
 しかしながら、教室への参加については個々人の意思によるところが大きいことから、いかにしてスポーツに興味、関心のない人の意欲を喚起するかということがかぎとなってまいります。そうしたことから、県内各クラブが中心となり、スポーツ交流大会など地域住民を対象としたイベントを開催し、健康の保持増進に対する啓発やニュースポーツの体験教室を実施するなど、気軽にスポーツに親しむきっかけづくりを行い、スポーツ人口のすそ野の拡大に取り組んでいます。
 県教育委員会といたしましては、健康は個人の財産のみならず地域全体の活力を維持・発展させる重要な要素であると認識しております。引き続き、市町村教育委員会と連携を密にし、スポーツ推進委員などの協力も得ながら、総合型地域スポーツクラブによる体力測定会の実施を支援するなど、県民の健康づくりと体力向上に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました、教育長。
 総合型地域スポーツクラブの、今後、地域における役割に大変期待をしておりますので頑張っていただきたいと思いますが、まだ人数的には、全員が行ったとしても7000名程度ということで、県民全体から考えると0.7%ということになります。もちろん、ほかにもママさんバレーや日曜野球、ジョギングやウオーキングなど、自発的にスポーツにかかわってる方も大変多いと思いますけれども、なかなかそこの数字は県では掌握できないということでありました。
 いずれにいたしましても、楽しみとしてのスポーツが、和歌山県民の個々人の体力づくりに寄与することを心から願う次第でございます。
 次に、ここに平成20年3月に出た第二次和歌山県健康増進計画というのがありますけれども、これは、すべての県民が健康で元気に生活できる社会の実現を目指して、平成13年1月に作成された県民の健康づくり運動の第2次の計画であります。
 この中には分野別計画というのがございまして、それは、A、栄養・食生活、B、身体活動・運動、C、休養・こころの健康、D、たばこ、E、アルコール、F、歯の健康、G、循環器疾患──脳卒中・虚血性心疾患などですね──H、糖尿病、I、がんの9項目ですが、体力づくりに関して、Bの身体活動・運動によりますと、平成17年の調査では、成人の運動習慣のある割合は、和歌山県は男性23.6%、全国平均が30.9%、女性22.6%、全国平均25.8%で、いずれも全国平均に比べて低率でした。
 また、分野別指標の評価というのがこの一番最後のほうに載っておりますけれども、この中で身体活動・運動の欄では、13項目中4項目が「×」の横ばい・悪化、3項目が「△」のやや改善、5項目が「-」の判定不能、「○」の順調に改善は、唯一70歳以上の女性が目標とする1日5900歩以上歩いているという項目だけでした。
 もちろん、これは平成20年までのデータですが、その後の状況と評価について、福祉保健部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 第二次健康増進計画における身体活動・運動分野の指標の現状については、現在、直近のデータを分析中ですが、目標数値に対して進捗状況は足踏み状態で芳しくないため、引き続き県民の間に運動習慣を広め、いかに定着させていくかが課題となっています。
 国体開催という機会をとらえて、県民の間に広く健康志向を高め、ウオーキングやジョギングなど日常の運動習慣が根づくよう、市町村と連携のもと、取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 はい、ありがとうございました。
 しかし、部長、まだはっきり出てないということでありますが、先ほども言いましたように、これ、平成13年からの運動計画なんですね。それで、この20年に出たもんでは、今言いましたように非常に下位であって、運動の経験も男性も女性も少ないということですね、全国平均より。
 今度、まだ24年までのやつは出てないということですが、今言いましたように、大体足踏み状況で低調であるということは、もう約10年たっても同じことやってるということなんですよ。
 ですから、さっきのこの長期総合計画に戻るわけではありませんが、全く進んでいないということなんです。だから、かけ声だけで──何も進んでいないとは言いませんけれども、低調ということは、やはりもう少しねじを巻いていただかないかんと思いますんで、ぜひ頑張っていただきたいと存じます。
 ここまで見てきたとおり、小学生から中学・高校生、さらに高校卒業後も、決して和歌山県民は他府県と比較して体力づくりに熱心であるとは言いがたいと思います。
 その影響もあるかと推測されますけれども、平成22年の65歳以上の介護認定率は全国で3番目。これも、この2012年に出たわかやま長寿プランというのにちゃんと、いわゆるベストスリーじゃありませんが、上から3番目に載っております。高齢者の体力を含む体の弱さも、ここではっきりとしております。
 また、以前から私がたびたび申し上げるとおり、和歌山県は、他府県に先んじてこれから本格的な人口減少が起こり、国立社会保障・人口問題研究所によると、23年後の平成47年、つまり2035年には、現在の約99万人から約26万人減少して約73万人になり、また逆に高齢化率は、この平成24年3月現在26.9%なんですが──全国6位ですね──平成47年には38.6%となり、全国で2位の超高齢県になってしまうというふうに言われております。
 つまり、わかりやすく言うと、人口はごそっと減りますが、老人がどっとふえて、その老人たちが要介護になる率がぐうんと高い和歌山県は、このままいけば間違いなく活力も元気もない県になってしまうことは容易に想像できます。
 ちなみに、これは決して他人事ではありません。私は、ちょうど昭和30年、1955年生まれですから、平成47年、2035年には、和歌山県の男性の平均寿命以上にもし幸いにして生き残っていればちょうど80歳になり、超高齢人口激減社会に伴ういろんな問題は、私たちの世代の問題でもあるわけです。それだけに、今後行う施策によりどのような和歌山県になっているのか、ぜひ悔いのないようにしたいなと思うと同時に、それをしっかりと見届けた上で死んでいきたいと思っております。
 本題に戻りますが、そこで、県は、介護対策として、平成16年より和歌山大学教授で体育学博士の本山貢氏に依頼し、シニアエクササイズを導入し、県下29市町村で約1万4000人もの参加を得て、介護にかからないための足腰の強化を中心に、積極的にこのエクササイズを進めていることは、私は大変すばらしいことだと思っております。
 実は、先日、本山教授が2人の助手を連れてわざわざ県議会の私どもの控室までお越しくださいまして、約1時間にわたり、シニアエクササイズについて御説明をいただきました。本山先生が言われるには、このように全県的に介護予防のためのエクササイズを行っている県はほかの都道府県では例を見ないというふうに言われてました。また、本山先生が指導された皆さんの中で、グループでのリーダーシップをとれる方が中心になり、現在も自主活動を展開中ということでありました。
 そして、先般、9月14日ですが、その1つであります、私の地元にあります今福公民館での活動を拝見してまいりました。参加者8名の皆さんはいずれも女性で、平均年齢が71歳ということでしたが、歌謡曲のBGMを流しながら、口ずさみながら積極的にエクササイズに取り組んでいる姿は、なかなかほほ笑ましいものがあり、介護にできるだけ頼らず自立していこうという姿には感動すら覚えました。
 しかしながら、自主運営というのは、言葉は大変結構なんですが、参加者が大きくふえることもなく、会場の確保も非常に苦労しているということをお聞きしました。
 先ほどから申し上げているように、和歌山県民の体力不足は、何も老人だけの問題ではございません。しかし、喫緊の対策として、ぜひこのシニアエクササイズをもっと広く一般の県民の皆さんにも知ってもらうためには、積極的に県も力を入れるべきではないでしょうか。この運営を管理するのは各市町村ですが、ぜひとも県もさらに力を入れ、広報し、指導者を各地にもっと多くつくり、1人でも多くの県民の皆さんに参加してもらうべきだと思います。
 そこで、現在までのシニアエクササイズの効果と今後の県の取り組みについて、福祉保健部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) シニアエクササイズについては、高齢化に伴う身体の衰えを軽減するものであり、要介護認定率の抑制という効果に加えて、地域の高齢者が集まって一緒に交流し、地域でつながりを強くするという、仲間づくりという効果があります。
 県としましては、健康寿命を伸ばすためには、高齢者がみずからの健康づくりに関心を持ち、主体的に取り組めるようにすることが喫緊の課題であると認識しております。
 今後も、健康づくりの方策の1つとしてシニアエクササイズを積極的に各地域で展開し、関係機関とともに、だれもが参加できる体制を整備してまいります。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 はい、ありがとうございました。ぜひ、頑張ってください。
 今回、時間の都合上、健康づくりの中で体力づくりに焦点を当て、他のことについては余り質問することはできませんが、先ほども申し述べたとおり、和歌山県は急速な高齢化が進み、その高齢者が介護保険や医療保険を、皆が皆とは申しませんが、当然のことのように安易にそれに頼るとなれば、この1年余り国会において議論されました社会保障と税の一体改革ではっきりしたように、幾ら消費税を上げても財政がもたないことは火を見るより明らかであります。
 ちなみに、介護保険を在宅で使うとすると、1万円かかった場合、本人の負担額は1割の1000円ですが、残りの9000円の2分の1の4500円は私たちが支払った保険から、同じく残りの2分の1の4500円のうち、国が半分の2250円、また県が4分の1の1125円、同じく市町村が4分の1の1125円ですから、県にしろ市町村にしろ、財政が厳しい中、まだまだ大きく負担が膨らんでいくことは、今後の大変な課題であることは間違いありません。
 そこで、当たり前のことですが、1人1人が健康について日常生活において気をつけて、できるだけ介護や医療のお世話にならないような仕組みをつくることは、今後、非常に大事なことではないでしょうか。
 そこで、ただ長寿ということだけではなく、健康で介護保険や医療保険を使わない人を、例えば健康優良老人というような名目で表彰するというのはいかがでしょうか。
 昔、私たちが子供のときに健康優良児という表彰制度がありましたが、それの老人版といってもいいでしょう。一般の市民の方が高齢、例えば90歳を過ぎても介護や医療の一切世話にならず、地域社会においていろんな活動に積極的に参加している方たちをどしどし表彰していく。マスコミも、御本人が希望すればどんどん出てもらって健康自慢をしてもらう。このような表彰でありますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。お答えください。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 健康優良老人表彰についての御提言ですが、健康寿命を伸ばしていくためには、健康づくりに取り組むことの大切さを県民に広く普及させていくことが重要です。
 そのため、例えば高齢になっても、長年培ってきた知識や経験を生かし、地域における産業や文化、スポーツ活動、社会貢献などの担い手として第一線で活躍されている方々をたたえることを検討し、広く県民の健康意識などの高揚につなげていければと考えています。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。これは今後の課題ですので、じっくり考えていきたいと思います。
 この12月に、前回、平成22年の国勢調査の結果が出て、それに合わせて平均寿命と健康寿命の集計も出るようで、恐らく先ほど紹介したシニアエクササイズや総合型地域スポーツクラブ等々の取り組みもあり、決して平成17年以下にはならないと期待をいたしております。
 しかし、我々の目標は、あくまで知事の強い決意にもあった健康長寿日本一わかやまであります。日本一というのは、そうそう簡単にはなれないことは十分私も承知しております。しかし、長計の結果は、平成30年3月、つまりあと5年6カ月しかありませんけれども、日本一という目標をどのような道筋で達成されるのか。かなり難しい問題ですが、福祉保健部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 本県では、他府県に比べて平均寿命や健康寿命が低位な状況にありますが、平均寿命の延伸のため、がん対策を初めとした疾病対策に重点的に取り組むとともに、健康寿命の延伸のために、高齢者の生きがいづくりを初め、生活習慣病予防や基礎的な体力を高めるための高齢者を対象といたしましたシニアエクササイズ、働き盛りの年代を対象とした有酸素運動、学校等における体力づくりなど、幅広い年代を対象として地域に根差した運動習慣の普及、実践を進めてまいります。
○議長(山下直也君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。
 日が暮れて道が半ばと申しますか、なかなかその筋道が──いろんなことを言われてるんですが、先ほどのこの和歌山県のいわゆる健康増進計画にもあったように、まだまだ先が遠いなという。しかも、平均に何とか近づこうというぐらいだったら、まあ何となくできることだと思うんですが、やはり知事が言われる日本一ということは、私、これ、すばらしいことだと思うんですよ。日本一を目指すことによって、いろんなところがまた活性化、活力化してくると私は信じておりますので、ぜひとも頑張っていただきたいというか、私もともに頑張らしていただきたいと思います。
 きょうは、健康長寿日本一わかやまということで、恐らくこれはすべての県民の皆さんが望むであろう健康で長生きできる和歌山県づくりについて、いろいろ議論させていただきました。特に今回は、その中で体力づくりということに焦点を当て、知事初め福祉保健部長、教育長のまずまず前向きな御答弁をいただき、大変うれしく思っております。
 しかし、これは言葉だけではなく、何度も繰り返し言いますように、実践が伴わなければ何の進歩もないということは言うまでもございません。
 特に今後、健康寿命の短さについては、あえてネガティブキャンペーンではなしに、現実を県民の皆さんにもわかっていただいて、大々的にそのことを宣伝し、県民の皆さんの意識と危機感を喚起していただいて、それこそ健康長寿日本一わかやまづくりのために県民運動を起こしていただくぐらいの覚悟を県の皆さんは持っていただき、今後の御精励を心よりお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私の質問とさせていただきます。本日は、御清聴ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、早速通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 1番目、紀の国森づくり基金活用事業について伺います。
 地方紙での報道をきっかけに、紀の国森づくり基金活用事業の補助金をめぐって、不適正な使用があるのではないかと指摘をされております。
 7月26日付の「紀伊民報」では、田辺市の宮田元市議が関与した8団体が平成19年からこれまでに3700万円余りの県補助金を受け取り、そのうち2800万円がある福祉団体に苗木代などとして領収されたことになっているが、実際、その福祉団体に入ったお金は530万円程度で、残りの2300万円が使途不明になっているというものです。
 また、8月9日付の同紙では、関連団体のうち紀南ユネスコ協会という団体で、協会の役員も承知していないのに県の森づくり基金活用事業の補助金を受けていたことを報道。内部調査の結果、前会長の宮田元市議が公印を勝手に使って事務手続をしたことが判明。謝罪の記者会見を行ったものです。
 これらのことを見るだけでも、宮田元市議が、みずからが関与する団体さえ欺き、うその領収書を使って実績報告をでっち上げた補助金不正請求事件だと言わざるを得ません。
 現在、県もこの件について調査中ということですが、最初に問題を指摘されたのが7月下旬ですから、もう2カ月がたとうとしております。県民、市民からは、一体どうなってるんだと憤りの声が聞かれます。
 そこで、まず1番目、この事件に関しての調査結果と今後の対応について、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 本件については、7月下旬から調査に着手し、平成19年度から23年度の5年間に、6団体2実行委員会に対して、紀の国森づくり基金活用事業と緑の募金事業で交付した3880万円を対象に、補助金交付団体からの聞き取りや、領収書発行者など関係取引先への問い合わせ等を行った結果、実績報告書に記載された苗木の購入内容と実際の取引との相違や、こうして捻出された財源の流用等、不適正な支出がなされていたことが明らかになりました。
 苗木の購入先とされている福祉団体については、関係団体からの要請で苗木の育成を行い、その代価として金銭を受け取っていたとお聞きしております。
 関係書類が非常に多いため、分析に時間を要しておりますが、不適正支出については、県補助金等交付規則に照らして厳正に対処するとともに、再発の防止に必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、部長の答弁の中に、苗木代は育成することに対する代価として福祉団体が受け取っていると言われましたが、私どものその団体への取材でも、苗木は販売はしていないと言われておりますし、大体、福祉法人としての会計処理は、寄附金扱いで処理をされております。県の出した補助金が福祉団体への寄附金に化けている。これは、おかしいと思います。
 部長に再度伺います。
 この森づくり事業のどこを見ても、苗木の育成をするために補助金が出せるとは書いてありません。苗木の購入はできても、苗木の育成経費は出せません。私はそう思うんですが、部長、御見解をお願いします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 市場価格とは、市場における需要と供給のバランスで決まりますが、本来、経済学的にサービスや財の適正価格とは、それを提供するためのコストに利潤を加えたものでございます。
 苗木を提供するには、当然、苗木の育成が必要であり、資材費あるいは原材料費として苗木の購入が認められるのであれば、苗木の育成費用は認められてしかるべきと考えます。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、部長の御見解には同意をしかねます。
 私は、これからも、ぜひそのあたりも含めてしっかり調査をしていただいた上で結論を出されることを求めたいと思います。
 次に、県当局の姿勢について伺います。
 紀の国森づくり基金活用事業は、市町村や民間団体などから公募事業について申し込みがあった際、学識経験者などから成る運営委員会を開いて、この事業がこの基金の目的に適当かどうかを判断して事業採択することになっています。
 実は、この宮田元市議の関連団体の事業は、随分以前からこの運営委員会でも問題になってきた経過がございます。
 例えば、平成21年3月の運営委員会では、この関与する4団体の補助金申請が出ておりましたが、最初の評点──点数ですね──では、不合格になっていたんです。
 なぜなら、1カ所のまとまった土地を4分割して、それを4つの団体がそれぞれ実施する。だから、本当なら1団体200万円の補助金の上限があるわけですが、それを4団体で申請するので、掛ける4、800万円を同一の箇所で使う計画になっておったからです。
 結局、その後、事務局の県が、再度、運営委員会を開くのではなくて、個別に運営委員さんを回って、持ち回りの審議でようやく合格点になったと聞いております。
 そのときの運営委員会の議事録をひもときますと、次のような議論が出てまいります。
 読みます。「1人の方が4つの団体をほぼ代表してるような形でお話になって、そして、全てを指導して、金が足らなんだら私の方から助けますよ、余ったらその金をこっちにもらいますよと、そういうようなお話になったように記憶しているわけです。そういうのを認めていった場合に、例えばそういうのを10個作った場合ね、例えば150万円を10個つくったら1500万円できると、そういうものを今後のことも考えて対処すべきや(中略)私はどっちかというと印象としては脱法的な行為と違うかというふうに考えている」。
 こういう委員の御意見や、また、ほかの委員はこのように述べてます。「その福祉団体に少しでも経済活動をさせてあげたいために、ドングリを提供して苗木にしてもらい、400円くらいで買う。それ普通だったらもっと安くてもいいけれど、400円で買う、それはそれで支援であると、そういう善意は信じたい」、もう1つ、「1m四方に3本も広葉樹を植えるんやったら(中略)それだけ植えてしまうと針葉樹の比じゃないくらい地面に日光が当たらなくなって、真っ暗な森になるんと違うんかなと(中略)ちょっと余りにも人任せで、この税金をもらうことに対して、責任感がないように思われます」、以上のような議論がされています。
 また、平成22年の運営委員会では、高速道路の田辺インターチェンジ付近ののり面を緑化するために、これらの団体が補助金を申請しています。これも、前年度と同じように、4団体で同一の箇所ですね、これをやるということで、やはり最初の評点では不合格になっているんですが、県の事務局得意のこの持ち回り決裁をやりまして、何とか合格に後ほどなります。
 そのときの議事録でも、厳しい意見が出てるんです。
 読みます。「基本的に高速道路が管理せなあかん土地に、県民の税金を使って、県民が納得するんかな」、「違和感あるわな」、「何でそんな高速道路が管理せなあかんとこへ、おれらの金使われるんよと。それやったら、もっと山に行ってよとかなったときに、どう答えられるかといったら、ちょっと問題ですよね」、あるいは「純粋に23点以下の評点については切るんやったら切るでね、また改めて募集もするんやから、それはそれでええのと違うんですか」、以上のような議論が運営委員会であったわけです。
 結局、点数としては不合格だったものが、やはり持ち回りの決裁で合格ということに後日なったんです。
 ただ、私は、この高速道路の案件がさらにひどいのは、一たん高速道路ののり面の緑化で事業申請をしておいて、結局、後にその土地が、地盤の岩盤がかたくて苗を植えられないということがわかって、また持ち回り決裁をしまして、紀南病院ののり面を4分割して緑化する事業に変えてしまっているんですね。高速道路ののり面の現場も確認をしないで申請しておいて、岩がかたくて植えられない場所でした、だから場所を変えます、そんないい加減な申請を認めてきたから、今回のようなことにつながるんじゃありませんか。
 そのようなやり方で、紀南病院の場合ですと、2年間に1350万円余りの補助金が、のり面緑化のためだけにつぎ込まれております。
 配付している議場の上の地図ですが、これは紀南病院の周りの敷地に緑化をした地図なんですが、濃い青い色で塗った部分が県の森づくり基金の事業でやったとこで、あと、市の事業とか緑の募金事業とかも含めて、ここへ、本当に同一と言われるそれらの団体が集中して緑化をしている様子がわかると思います。
 私は、昨年の12月議会で、紀の国森づくり税の延長問題で議論をしましたが、このとき、この基金の活用について、残高がふえ続け、使いあぐねている状態ではないかと指摘しましたが、まさにこの基金を使った実績を上げたいという県当局の姿勢が見えていたのではないでしょうか。そこへつけ込まれたのではないでしょうか。
 こうした県当局の姿勢が今回の問題の背景にあったのではありませんか。部長の答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県が公開している基金運営委員会の議事録では、委員の間で、不適正な支出がなされた今回の案件について、いろいろな問題点を指摘して採択に反対する意見と、県民総参加という観点からできるだけ改善措置を講じながらでも森づくりに参画していただきたいという意見が拮抗しております。
 実績を上げたいという県当局の姿勢が問題の背景にあるのではとの御指摘でありますが、県の職員には、森づくりが進むことはよいことであるという思いや、森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくという紀の国森づくり基金条例の設置目的に忠実であろうとする姿勢、あるいは林野行政に従事する職員としての森への熱い思いがございます。
 しかし、採択の基準を逸脱してまでも意味のない森づくりをしようとする職員はいないし、これまでも存在しなかったと信じております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたけども、私は、職員の皆さんがまじめに仕事をこなそうとしていることは承知をしておるつもりです。
 しかし、この運営委員会の議事録、記録を読めば、それぞれの運営委員さんの真摯な指摘や疑問にきちんと対応していれば今回のようなことにはつながらなかったと私は考えます。このことは指摘をしておきたいと思います。
 次、3点目。3点目は、この基金活用事業が、そもそも事業のあり方としてどうだったかという問題です。
 実は、今回の宮田元市議がかかわった団体の事業は、さきの紀南病院のように、大半が公共用地を基金で緑化するという内容になっています。そうした事業は、もともと県でやっている緑の募金事業がございますが、県民からの寄附金をもとにつくったこの緑の募金での緑化事業が受け持つ範囲ではなかったでしょうか。そこに森づくり基金を投入することは、これは本来の事業趣旨からいって逸脱していたのではないかと思います。
 実は、ここにも森づくり基金の募集の要領がございますが、ここにもはっきり書かれてあります。事業の実施場所は、森林法第2条に定める民有林で行うというふうに書いてます。森林で行いなさいと。森林が対象の事業です。紀南病院を開発したところの、山を削ったところの敷地は、私は森林ではないと思うんです。
 本来、事業の要領からいっても、対象外のことをやってきてしまったのではないかと思うんですが、部長の御見解をお示しください。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀南病院の件につきましては、紀の国森づくり基金活用事業公募要領での「森をつくる・まもる」事業の実施場所は、森林法第2条の民有林となっております。
 同条第1項では、「主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地(中略)及びこれらの上にある立木竹を除く」ものの、森林の「集団的な生育に供される土地」、すなわち、伐採跡地等で現に立木竹が生育していなくてもこれから木竹の集団的な生育に供されるなら森林と位置づけられております。
 また、同条の第3項では「『民有林』とは、国有林以外の森林をいう」と規定されており、要領上、問題はございません。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私は、この要領を常識的に見て逸脱していると思います。
 例えば、これは岐阜県の資料にあったんですが、森林として取り扱わないものというのがあって──岐阜県も同じような事業をしてるんですけど──その中には、リンゴ畑やミカン畑、これ、当たり前ですけど、公園や公共施設等の敷地は森林として取り扱わないというふうに書いてます。
 そういうことも申し上げておきたいというふうに思いますので、私は、のり面敷地は森林ではないと考えています。
 では次に、芳養漁港の問題について伺います。
 森づくり基金の公募要領では、ほかの補助金で活用できるところは、この基金事業の対象としないことになっているんです。これは当たり前です。ほかの補助金でやるんですから。
 しかし、私が調べたうち、例えば田辺市が補助事業で実施整備をした芳養漁港の事業がありますが──お配りしている資料の下の、この緑色を塗ったほうの資料でございますが、ごらんになっていただいたらわかるように、この緑色のところを植栽するということで、本来、この漁港事業のメニューの中で最初から緑化する計画になっていますし、現にやっているところもあります。ところが、この一部が──一部というか大半が、無理やりこの森づくり基金を使って緑化をしているんです。
 これは、事業実施要領に違反することではないですか。おかしくないですか。答弁をお願いします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 芳養漁港の件につきましては、地元市を事務局とする実行委員会から、単なる緑化事業ではなく、多くの市民が参加する植樹活動の場としたいとの要望があり、基金事業となったものでございます。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、市民の皆さんがたくさん参加されたらいいんですけれども、いずれにしても、ほかの補助金を受けてたり、それから海の漁港の近くの海岸を埋め立てた緑化するところは、これが森林であるはずがないと思いませんか。
 私は、この森づくり基金の要領が、実は森をつくる事業の対象を、先ほど読みましたが、森林法の第2条の民有林に限っているということは、当初からの議論があったからだと考えています。
 もともと、先ほども言いましたが、公園など緑化事業は、緑の募金事業で集まった寄附金をもとに実施をされておりました。森づくり税ができたとき、そのすみ分けを実はどうするかという議論があったんですね。その中で、緑の募金は地域の緑化活動を支援しましょうと、森づくり税は森林整備を担いましょうと、こういうすみ分けが明らかにされたからなんです。
 それは、実は県がみずからつくっております、ここにちょっと打ち出しましたが、「『緑の募金』と『紀の国森づくり税』の違いについて」というパンフレットがありますけれども、これにもきちんと書かれております。森林整備を紀の国森づくり税が担う、地域の緑化は緑の募金、こういうふうに書かれております。
 私は、県がみずから定めたこの紀の国森づくり税の公募要領を軽視して、これをきちんと、これに基づかないで事業を行ってきた結果が今回の事件につながってきたということを指摘しておきたいというふうに思います。
 4番目です。
 問題になったこの関連団体への補助事業が、今年度も予定をされております。今後、どう対処されるおつもりですか。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成24年度においては、元市議が関係する1団体と1実行委員会から、各1事業、合計2事業が採択されております。
 跡の浦港防風防潮樹林造成事業につきましては、6月下旬に事業が実施され、7月12日付で実績報告が提出されておりますが、事件の発覚に伴い、補助金は交付しておりません。現在調査中の不正支出の処理方法が決まれば、それに準じて取り扱う方針でございます。
 それから、田辺市ごみ処理場のり面樹林造成事業につきましては、6月5日に交付決定を行いましたが、きょう現在において事業はなされておりません。一部の関係の方々からは、辞退の方向で検討していると聞いております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 最後に知事に、今回のこの問題点の反省点と今後の事業のあり方をどう見直していこうとされているか、御見解を伺いたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例に基づき、平成19年度から紀の国森づくり基金活用事業を実施しております。
 県民の理解と協力のもとに、森林環境の保全と森林と共生する文化の創造を目指して行われるという非常によい事業であるにもかかわらず、このような不適正な支出がなされていたのは非常に残念なことであります。
 担当課に徹底した調査を指示しておりまして、調査の結果、明らかになるであろう問題点を修正して、今後、こういうことがないように事業を進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 私は、この問題は明らかに補助金の不正請求だと思います。
 最初に、紀南ユネスコ協会のことを紹介いたしましたけれども、宮田元市議が勝手に公印を使って偽造した書類には、田辺市や地権者との同意書とか協定書も、これ、つくって申請をしてるんですね。その同意書や協定書がないと補助金は受けられないからです。
 この紀南ユネスコ協会だけでなく、市役所も地権者もだまして協定をつくって、それで補助金を受け取っている。私は、これは立派な不正請求ではないかと思います。
 私は、県警への告発も含めて、県が腹をくくって対応されることを求めて、この質問を終わりたいと思います。
 2番目、津波からの避難対策について伺います。
 まず、南海トラフの巨大地震による津波想定について伺います。
 内閣府は、8月末に津波高や到達時間、被害想定などを発表しましたが、沿岸の市町では驚きをもってこの数字を受けとめています。
 例えば、すさみ町でいえば、津波高は20メートルとなっていますが、地元へ行くと、内陸部のほうであれ、標高が20メートルあるところまではみんな水没するんだというような感じで受け取っておられて、これじゃ逃げられんなという感想を言われる人が多いんです。
 しかし、政府の想定は、海岸へ到達する、この到達した時点の波の高さであって、実際、内陸部へどのように到達するのかは、まさに今、県が作業していただいてる結果を待たねばならないわけです。
 1番目、新想定について伺います。
 そこでまず、今回の津波の新想定とはどういうものであるのか、従来の想定と単純に比較できるのか、現時点でどう解釈すればよいのか、詳細なデータはいつ届けられるのか、また県としていつごろをめどにハザードマップなどに具体化していくのかなどについて、危機管理監の答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 内閣府の新想定についてお答えいたします。
 今回公表されました被害想定は、現時点の最新の科学的知見に基づき、発生し得る最大のクラスの地震・津波を推計したものであり、発生頻度は極めて低いものであります。
 また、これまで本県が取り組んできた東海・東南海・南海地震は、それぞれの発生確率が60%以上と示されているのに対し、今回の南海トラフの巨大地震は、発生時期は予想することができず、次に南海トラフ沿いで起きる地震・津波を予測したものではないということであります。
 県としては、4月に地震・津波被害想定検討委員会を設置し、国からのデータ提供を待つのではなく、できるとこから県独自のより詳細な被害想定の策定に取り組んでいるところでございます。
 今後、この被害想定を行うに当たり、国から提供される詳細データが必要となりますが、現時点では、年末までに提供されるものと聞いているところであり、年度末をめどに詳細な津波浸水予想、被害想定等を策定する予定でございます。
 その後、各市町村に対し、できるだけ早く津波浸水予測のデータを提供し、市町村が作成するハザードマップを支援してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 2番目、次に避難路整備の問題について伺います。
 今回の被害想定を受けて、何よりもまず取り組まねばならないのは、いかに逃げるか、避難路や避難場所を整備するかに当面は力を集中しなければならないと感じています。
 そこで、今年度、これらの整備についてどのように推進をしていくのか、御答弁をお願いします。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難路整備についてお答えいたします。
 津波から命を守るためには、逃げることが最も重要でございます。そして、住民が安全かつ迅速に逃げるために、ふだんから避難訓練に参加することや、避難路の整備、避難先の確保が大切であります。
 ことしの7月29日に実施した4県統一津波避難訓練には2万人を超える参加者があり、毎年参加者が増加しております。市町村が独自に実施する避難訓練への参加者を含めますと、今年度は5万人を超える見込みであります。
 市町村が実施する避難路整備に対しては、県のパワーアップ補助金や国の緊急防災・減災事業によって積極的に支援しているところであり、昨年と比較すると既に3倍を超えており、市町村は積極的に避難路整備を進めているところであります。
 また、市町村では、避難路の整備や津波避難ビルの指定等によって避難先の確保を図っており、津波の避難先については、昨年に比べ182カ所増加し、1515カ所となっております。
 避難路整備や津波避難タワー整備は、国の緊急防災・減災事業の対象となっているところですが、地方の要望額が当初の想定額を大幅に上回り、今後の不足が懸念されている中、本県としても、国に対して十分な財源確保を強く要望しているところであります。
 県としては、市町村の津波から命を守る避難路の整備等に対し、引き続き積極的に支援をしてまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 3番目、次に避難路を具体的に整備するには、自主防災組織での議論が不可欠です。そもそも、避難対象地域の中でどれくらい自主防災組織が結成されているのか、答弁をお願いしたいと思います。
 あわせて、防災リーダーをどのように養成していくのか、避難訓練など実際の活動をどうサポートされようとしているのかについてもお答えください。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 自主防災組織についてお答えをいたします。
 自主防災組織の組織率としましては、平成23年度調査において、和歌山県では80.5%となっており、うち沿岸18市町では87.5%となっております。
 防災リーダーの育成と活動支援につきましては、例えば平成17年度から企業や地域での防災活動のリーダーとして活動する地域防災リーダー育成講座紀の国防災人づくり塾を開講し、人材育成の面で支援しているところでございます。
 平成23年度からは、市町村が推薦する地区において、実際の活動を支援し、そこでの活動事例を広く紹介するなど、自主防災組織がどのような活動をしたらよいか、自主防災組織活性化事業によるモデル的活動を通じて支援しているところでございます。
 県としては、以上のような事業を通じて、自主防災組織の組織率向上やその活動が活発に行われる環境になるよう、市町村に対し支援をしてまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 本当に、自主防災組織は防災のかなめだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 4番目、次に観光地の課題について伺います。
 津波避難の際、観光地には住民でない多くのお客さんが来ており、その避難をどうするのかという独自の課題があります。
 白浜でいえば、夏場、宿泊客で8000人の人口増となることもあります。海水浴客などを入れれば、相当な数になります。お客さんも住民との立場で考えるなら、情報伝達、避難路や避難場所を考えなければなりません。県として、今後どのようにこの対策を推進していくのか、答弁をお願いします。
 また、対策を考えるとき、特に夏の私の白浜のあたりでは、自動車の集中で、歩いても避難できない状態になる可能性が高いと思うんです。どのような対策が考えられるか。あわせて答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 観光地の課題についてお答えをいたします。
 本県を訪れた観光客等の皆様に対し、防災行政無線、エリアメール及び緊急速報メール等、複数の手段を用いて防災情報を伝達するよう努めております。
 避難先については、スマートフォンのアプリケーションやヤフーサイトを利用して、だれでも一番近い避難先の安全レベル等を知ることができるようになっており、スマートフォンを利用した場合、避難先まで案内してくれる機能を備えております。
 これらの情報伝達手段を、観光協会、旅館組合や交通機関とともに普及を図ってまいります。
 次に、自動車が集中する観光地での対策についてでありますが、津波からの避難は徒歩避難が原則であることに変わりはございません。
 自動車の運転手は、避難の妨げにならないよう可能な限り道路外へ駐車し、徒歩避難することや、やむを得ず道路に駐車して避難する場合には、緊急車両等の通行の妨げにならないよう配慮し、ドアロックはせずにエンジンキーをつけたままとすること等を周知してまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、車で来たお客さんへのこの周知というのは、私はまだまだやというふうに思います。夏の白浜の状況をちょっと考えたら、そんなに行儀よく車を置いていっていただける方は少ないんじゃないかなと今思っとるんですが、ぜひ今後、地元とも協力しながら進めていっていただきたいと思います。
 実は、私、以前白浜で、旧白浜空港を利用したパーク・アンド・ライド型の観光地づくりを提案したことがあります。近いうち、高速道路も白浜インターができ、ますます自動車混雑への対策が求められます。
 空港を利用して──旧空港ですね──駐車してもらい、乗って楽しいような別な交通手段でゆったり観光してもらおうというものなんですが、これは、今日、災害対策としても必要ではないかと感じています。
 災害のときには避難の妨げになるこの自動車を高台の旧空港へ駐車しておけば、もし津波などが起こっても車は生き残るわけです。そうすれば、今の車は暖房あり冷房あり、情報機器も積んでおりますから、これほどプライバシーの確保される仮設避難所はないというふうに思うんです。
 わざわざお客さん用の避難所を確保しなくてもいいし、道路が健全なら速やかに居住地にまで帰っていただけることにもつながると思います。こうしたことについても、ぜひ今後、地元と一緒になって検討していただきたいというふうに思います。
 最後に5番目、要望です。
 県では、新年度への政府要望で、巨大地震への新たな特別措置法を求めておられます。中村議員も触れられましたが、宿泊施設など民間事業者の耐震化はなかなか進んでおりません。私は、新しい特別措置法の中で、そうした点についても積極的な国の支援が得られるよう盛り込んでいくことも、あわせて政府に要望していただきたいというふうに思います。これは要望です。
 次に、木造住宅の耐震化の推進について伺います。
 木造住宅耐震化の補助金ができてから、来年度で10年を迎えようとしています。しかし、その実績は、昨年度までに9761戸の耐震診断が実施をされたものの、耐震改修まで進んだのは567戸です。この間、予算的には2180戸分を確保したわけなんですけれども、この予算に対して約4分の1の執行にとどまっているということです。
 今年度も、予算的には充実をさせ、300戸分を用意していただいていますが、これを本当に使い切るぐらいの取り組みが必要だと感じています。
 そんな中、先日、高知県での取り組みを伺いましたが、事業費のうち最大90万円は補助しますというキャンペーンをやってまして、平成22年度では前年度の2倍に当たる719戸が改修をされたそうです。和歌山県が8年かけて積み上げてきた実績を、たった1年で上回っているというような状況があります。これは、私は、ただ単に高い補助額だけの問題ではなくて、全体の取り組みがあってこその実績だと思います。
 そこで伺います。
 1番目は、今年度も半ばにかかろうとしておりますが、現在までの耐震診断、改修の予算の執行状況を、県土整備部長、お答え願いたいと思います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 今年度は、8月までの実績としまして、耐震診断は361戸、耐震改修は61戸となっており、改修におきましては、昨年度の同時期の16戸を大きく上回っている状況でございます。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 昨年度に比べまして、かなり進んでいるようです。これは評価をしたいというふうに思います。
 その上で、まだまだ県民への宣伝が不足をしてると思いますんで、例えば補助を受けた住宅の協力を得て、いろいろな県民に「耐震工事、実際こんなんやで」というのを見てもらうために現地見学会的なものをその地域でできないものかというようなことを考えましたが、いかがでしょうか。答弁お願いいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 耐震改修の現場は、新築工事と違い、生活しながらの工事であり、入居者の同意が得られにくいため、現地見学会の開催は困難と考えます。
 しかしながら、これにかわるものとして、耐震改修中であることがわかるような工事用看板を現場に掲げ、近隣住民の方々に周知する取り組みを実施しております。
 また、県政おはなし講座や市町村等と連携した地域での耐震説明会の中で、実際に改修した住宅の事例を、写真や図面を使って県民の方々にわかりやすく御紹介するなどの取り組みも行っております。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私が伺いましたのは、近所のおうちでこうやってやってるという表示があるんだけれども、実際なかなか近所の方でも、そういう制度がないと見に行きにくいという御遠慮があるみたいなんで、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。
 3番目、耐震診断後のフォローについて伺います。
 この耐震診断を受けた方は、先ほど申し上げましたが、昨年度までに9761戸あるわけなんですが、1.0未満となったにもかかわらず改修にまで至らなかった例はどれぐらいありますか。そして、その主な理由は何でしょうか。また、それらの方々へのフォローはどのようにされているのか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 平成23年度までに、耐震診断の結果、耐震改修が必要な構造評点が1.0未満であった住宅は9084戸であり、そのうち補助金を活用して耐震改修を実施した住宅は567戸となっております。
 耐震診断に比べ、耐震改修の実績が少ない理由は、平成18年2月に実施したアンケート調査によりますと、どのような工法で、費用は幾らになるのか、どの業者に頼めばよいのかなどを不安視される方が多くおられました。
 このようなことから、市町村では、過去に耐震診断を実施した方に対して、具体的な工法や概算費用、相談窓口などを説明したパンフレット等の送付を行っているほか、県としましては、高齢者の方などを対象に、耐震改修の専門家を派遣し、個別の相談や改修計画の提案などを無料で実施しているところでございます。
 今後も、市町村や建築関係団体と連携し、より一層住宅の耐震化促進のために取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私たち共産党県議団は、以前から一般的な住宅リフォーム助成制度を訴えてまいりました。
 耐震改修をされている現場の大工さんたちに聞きましても、一たん古い家をいじり出したら、なかなか耐震補強のとこだけ修理して終わりですというふうにならない、補助が出ない部分でもようさんお金が要るとのことですんで、また、こうした声にこたえるためにもいま一度住宅リフォーム助成制度の検討もしていただけるよう要望して、この項目の質問を終わります。
 4番目です。過疎地でのガソリンスタンド問題です。
 現在、ガソリンや灯油など石油製品の販売業については、熾烈な価格競争やセルフ式スタンドの増加で、非常に苦しい状況が続いています。
 また、消防法の改正で地下タンクの油漏れ規制が大幅に強化され、来年1月末を期限に、埋めてから40年以上経過した古いタンクについては改修工事をしなくてはなりません。改修には経済産業省の補助金もあるようですが、なかなか進んでいないのが実情のようです。
 1番、そこで、県内のガソリンスタンドの数はここ3年間でどのように変化してきておるでしょうか。また、改修が必要な地下タンクに対して実際どれぐらい改修が進んでいるのか。危機管理監に答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) ガソリンスタンド数とその対策についてお答えをいたします。
 県内のガソリンスタンド数は、平成21年度末で509施設、平成22年度末で488施設、平成23年度末で469施設と、年々減少しております。
 また、本年7月末現在、ガソリンスタンドを含む給油取扱所で流出事故防止対策が必要となるタンク数は495基あり、そのうち措置済みのものは110基で、残り385基については、法期限までに対策が講じられるよう、引き続き各消防本部と連携して事業者を指導してまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁ありましたが、改修が必要になるタンクが大体495で、約4分の1の改修しか、あともう残り数カ月ですけども、今の時点で進んでいないという状況です。
 そこで、もしこのまま来年の1月末の期限が来れば、特に過疎地ではガソリンスタンドがなくなっていくことになりかねません。
 既に経済産業省では、平成22年に過疎地の石油製品供給について調査事業をしていますが、その中でも先進的な事例としては、自治体や住民がスタンドの経営を事業化したという話も出ております。
 今後、継続に向けてのさまざまな方法が出てくると思いますが、ただ、私が心配してるのは、来年になって、皆さん一斉に「さあ、やめましょう」となった場合に、これは地域住民にとって大変なことになるわけです。
 地域の要望をうまく取りまとめてさまざまな支援策を考えるのは過疎対策のメニューだと考えますが、過疎地のスタンド経営者の意向もつかみながら、ガソリンスタンドがなくなるかもしれない地域にどのような支援策をしていくのか。企画部長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ガソリンスタンドの撤退につきましては、過疎地域住民にとりまして、自動車用のガソリンや農業機械の軽油、また冬場の灯油などの確保が困難になり、日常生活に著しく支障を来すおそれがあると認識してございます。
 過疎地域の16市町村では、この問題について、現在のところは特に問題はないと聞いてございます。ただ、その中には、地域からの要望により、国の制度や市町村の補助を活用してタンクを改修し、存続している事例も見受けられます。
 県といたしましては、今後とも地域における動向を見きわめながら、国の制度の活用を促すとともに、地域独自に燃料の確保や配送などの取り組みが行われる場合は、産業対策や生活対策といった複合的な事業を組み合わせる過疎集落支援総合対策事業等の適用などできないか、検討してまいります。
○議長(山下直也君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、市町村では、今、特にこの問題を把握されていないようなんですが、実は、まさにこれから問題が起こってくると思います。
 私が聞いてるのは、例えば地元白浜町の旧日置川町の日置川沿いですけれども、お店の方たちにもお話を伺うと、この9月あるいは翌年にも閉めるかもというお話でございます。
 あの奥に深い日置川流域に、燃料を入れるところが1軒もなくなるかもしれないということがすぐにでも起こるかもしれないわけです。こんなことは、行政には事前に一々相談をしませんから、役所はなかなか知らないわけです。でも、閉めたら、地域住民が困ることになるのは明らかです。
 そして、今、災害時の孤立集落の対策が言われてますが、私は、本当に危機管理という点でも大変な問題だと思います。
 ぜひ、これは知事にも頑張っていただいて、何とかこの過疎集落の問題に取り組んでいただけますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 最終の質問をさせていただきたいと思います。
 項目は2項目で非常に少ないんですけども、中身のある、国家を憂える、そういう質問をさせていただきたいと、そのように思います。
 まず、日中関係の問題ですけども、きょうも新聞に国交正常化40周年記念式典中止、そういう新聞記事がありました。まさに、憂慮すべき事態になってきたなと私は思います。
 それで、最近、特に領土問題、北方領土問題、プーチンが上陸して、その監督支配を高めるというようなことも最近起こったし、それから竹島、韓国大統領が、日本の「やめてください」と、そういう願いにもかかわらず強行して上陸して、いわゆる侵略支配を強めようとしている昨今であります。
 そしてまた、尖閣諸島ですね。これも、明らかに日本の領土にかかわらず、中国が領海すれすれに毎日のように接近しておると、こういう状況であります。
 まさに、国難のときであろうと私は思うわけであります。
 そういう中で、北方領土もそうなんですけども、北方領土を県民運動として、これは議長が本部長としてずっとやってきたわけなんですけども、あれなんかも、ゆえなくして奪われて、ソ連が終戦間際に日ソ不可侵条約というものを一方的に破棄して、全く火事場泥棒的に来た、侵略した領土であるわけなんです。領土は民族の母体というわけでありますので、これはどうしても放置することはできない。そういうことで、国も国民運動として現在までやってきたと。
 本来、北方領土というのは、国後、択捉、色丹、歯舞とこの4島だというんですけども、一方では全千島──全部ですね──南樺太、これも全部日本の領土だという主張も国際法上通るわけなんです。
 しかし、一方、百歩譲っても、4島とその千島列島の以南、ウルップ諸島以南、これは日本の明らかな領土であるということは、もう明々白々の事実であるわけなんです。それをロシアが返さないという状況であるわけなんです。
 そういう状況の中で、今回、民主党政権になって、北方領土の問題も竹島の問題も尖閣の問題も、急に緊張が高まってきたわけなんです。これ、やっぱり評価されないということなんでしょうね。
 そういうことで、我々は、我々というよりも私たちは、この問題を──特に我が和歌山県は山東省と日中友好姉妹都市を結んでおるわけなんです。それで、私は、この問題があって、国家間の係争、本当に一触即発の状況の中で、日中、山東省との友好をどうするんかという問題が、一地方にとっても、そしてまた国全体にとっても非常に重要な問題になってくるんではないかと、そんなに思うわけなんです。
 かつて、大アジア主義というのがありました。これは、昔の話なんですけども、孫文が──孫文といえば、毛沢東が政権とるまで、共産党政権がとるまで中国の国父であったわけなんです──その人が、──頭山満という福岡玄洋社の人の紹介で日本に来たわけなんですけども──それで神戸で講演をしたんです。
 その講演の内容、私は非常に感動するものだと思っておるんです。その内容をちょっと紹介しますけども。というのは、これは我々アジアの問題についてということなんですけども、このアジアが本当に目覚めたのは、日本が明治に諸外国との不平等条約というものを撤廃したときと。これは、我々の陸奥宗光がやったわけなんですけども、その日こそがアジア復興の日であるということで、高らかにそういうことを宣言しておるわけなんです。
 そして、西洋文化──いわゆる西洋文化というのは覇権主義、覇道主義に対して、一方、我々東洋というのは王道主義やと、道徳、仁義、そういったものを大事にする国であって、一致団結してまとまって世界に対抗せなあかんと、そういうことを孫文が言うておるわけなんです。
 私は、共産主義国家、中共というのは余り好きではないんですけれども、しかし、事中国ということに関しては、ずっと古い歴史の中でつき合いをしてきたわけであります。
 そういうことを考え合わせて、これは知事に聞いたらいいんですけども、企画部長に、具体的にどういう日中友好の観点に立って山東省問題をやっていくのかと、そういうことをまずお尋ねしたいと思います。
○議長(山下直也君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 山東省との友好関係につきましては、昭和59年の友好提携締結以来、毎年相互に交流団の派遣や受け入れなど、活発な交流を行ってまいりました。
 平成19年には、より実質的な効果のある交流を実現するため、人的交流、経済貿易、環境分野等6項目から成る和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書を締結しまして、山東省への職員派遣や、山東省と中小企業団体中央会主催による企業商談会への支援などを行ってまいりました。
 特に、環境分野の交流としては、平成20年より県環境生活部職員等の派遣と山東省からの環境研修団の受け入れを行い、交流を深めております。
 尖閣諸島をめぐり、山東省訪問団来県が取りやめになるなど、官民を問わず、さまざまな分野で影響が発生しておりますが、今後とも、長い交流の歴史を踏まえ、双方に利益をもたらすような実質的な交流を進めていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 山東省の友好関係については、おやじがけんかしても家族は隣と一緒に仲よくするという方針で私はやっていってもらいたいなと、そんなに思います。
 それで、きょうはまた申し上げたいのは、私の友人に楠部君というのがございます。奥さんが中国人なんです。その楠部君が、山東省へ行って、山東省当局といろいろな商談の中で、商社も絡んでるんですけども、緑化事業をやろうということで取り組んでおるんですけれども、なかなか前進しないと。
 その前進しない理由の1つとしては、和歌山県がもっと積極的に──例えば技術提携とか、そういうのを中国とやりたいなという、その取り組みが少し欠けるんではないかということが言われておるわけなんです。
 そういうこともあって、本当に知事に感謝するんですけども、知事も親書を渡して特別に支援していただいたということを聞いてるんですけども、やっぱり和歌山県のいわゆる特別な技術を──技術、これ、経産省とか、そういういろんなところでも評価されておるんですけども──そういうことで、一緒に山東省で事業をやろうかということについては、やっぱり県ももっと積極的に展開をしてもらいたいなと、そういうことを思っておるわけなんです。
 それについて、部長、どうですか。今後の対応は。
○議長(山下直也君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 先ほど申し上げましたように、環境分野とか、いろんな分野でさまざまな交流を進めておりますけれども、そういう経済も含めまして、双方に利益になるような交流については今後さらに進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 まあ、今後とも、知事もひとつよろしく頼んでおきます。
 そしたら、2番目の質問に移らせていただきます。
 鳥獣害対策についての質問であるわけです。
 これについては、この間の2期目の知事の選挙のときも、知事が各中山間地を回られて、大変だなという認識をしてもらったと思うんです。そしてまた、知事の街頭演説の中にも、この問題については、やっぱり県も積極的に対策していきたいと、そういう話も随所であったと私は思っております。
 それで、この鳥獣害対策の問題については、県下で非常に被害が出てきております。推定3億円と言いますけども、3億円どころではないと思うんですね。例えば、自分の身の回りの自給の産品なんかもほとんどやられてるという、こういうものを含めれば相当な額になると思うわけであります。
 そういう中で、そんなことをどんどんどんどん解決できなければ、「もうほんまに農業もやめたいよ」と言う方が、盛んに今、多くふえております。
 イノシシとか猿とか、そういう鳥獣害対策が、最近、特に賢くなってきて、対応しても、またそれ以上の対応をしてくれという、そういう状況がありまして、非常に難しいなということであります。
 県で、単独にこの鳥獣害対策というのをやっておると思うんですけども、それについて県の所見を部長にお願いしたいなと、そんなに思います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 鳥獣害対策は、本県の農林水産部長として最も重要と考える、別の言い方をすれば心の痛む課題の1つでございます。
 その取り組み状況と課題についてですが、平成23年度に、数字の上では3億2800万円の農作物被害が発生いたしました。
 県では、捕獲、防護、環境整備を3本柱として、対策を総合的に実施しているところです。
 捕獲については、有害鳥獣捕獲補助金の拡充により推進を図るとともに、狩猟者の育成確保やシカの個体数調整のための管理捕獲を実施しております。
 また、防護や環境整備については、防護さくや緩衝帯の設置等を推進しているところです。
 それから、課題なんですけれども、近年、市町村を通じて農家の方々からの防護さく設置の要望が大幅に増加しております。
 一方、農林水産省の対策予算が伸びない中で、全国から国庫予算枠の倍近い要望がございます。幸い、平成23年、24年度は、何とか本県の必要額を確保できましたが、今後、予算の獲得が大きな課題となってございます。
 また、狩猟者の育成確保については、狩猟免許の保持者はやや増加に転じましたものの、高齢化が進行し、そして第1種銃猟免許保持者の減少が課題でございます。
 今後とも、被害軽減のため、捕獲を重点に、防護や環境整備を含めた総合的な鳥獣害対策に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 これからが本番の質問なんですけども。というのは、今、部長が言っていただいたように、捕獲者、ハンターの育成についてお伺いしたいと。
 それについては、今まで委員会とか本会議の中でもあったと思うんですけども。去年の委員会でも井出議員が質問されておると思うんです。
 鳥獣対策の中で、いわゆる猟、ハンターの訓練を、実射訓練とか射撃場において訓練をするのについて、県がどういうふうに考えておるかということなんですけども、まず、それからお聞きしたいなと思います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 先ほどお答え申し上げましたように、さくによる防護とともに、鳥獣害対策の柱となるのは、銃やわなを用いて行う捕獲でございます。この捕獲の推進には、狩猟免許を有する狩猟者の育成確保が必要でございます。
 それから、射撃訓練のお尋ねがございましたが、狩猟を安全に行っていただくためには、射撃訓練は必要であると考えております。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 射撃訓練については必要だという答弁をいただきました。
 それで、この間も湯浅町の山田山で猿を1カ月の間に120匹捕獲しました。町単でおりをつくって、えづけをしてとったわけなんですけども、その120匹をどういうふうにして処分するかということなんですけども、これ、猟友会の人にお願いをして──猟友会の方も、猿を鉄砲で撃つというのは、猿が非常にかわいそうだからやりたくないと、そういう思いでやったんだろうと思うんですけども、なかなか撃ってくれる人がおらないと。それは、やっぱりハンターが少なくなっているからですね。そういう状況があるわけなんです。
 そして、部長は、この間の答弁──私、委員会の質疑応答の答弁を読んでみたら、部長の認識が少しちょっとおかしいんではないかと、そんなに思うんです。
 というのは、その訓練をする射撃場、県内に要らないと明確に言うてるわけなんです。いわゆる議事録にも載っております。
 そういう、正確に撃つ訓練とかそういうのは金を出せばよそでもできると、こういうことを答弁で言うてるわけなんですけども、再度お尋ねします。県内には要らないんですか。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 記憶で申し上げます。
 昨年9月の農林水産委員会で、井出先生の質問の中で射撃場に関するやりとりがございました。
 私は、射撃場は県内には要らないとは申しておらないつもりです。私が申し上げたのは、射撃訓練をするには、いろんな手法がございます、例えば、現在、県では県内に射撃場がございませんから、銃の免許取得の補助とか、あるいは猟期前の射撃訓練の補助を行っております、こういうふうに、いろんな施策がある中で、どれが最も有効というんですか、であるかと比較すべきではないかと、そういうことを申し上げたつもりでございます。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 部長が申し上げたことも、部長は答弁をしております。それ以外にも、議事録には──私はその委員会を傍聴したことがないんでわかりませんけども、委員会の議事録読んで質問をさせていただいているんです。明確に、まあ後でまた精査しておいてください。そういうことなんで。
 そこで、この問題については、私は後で知事にも同じ質問をさせていただくつもりでおります。それはもう、知事の答弁というのは簡単で済むからそういうふうに思っておるんですけども、今、もっと部長にお尋ねします。
 それで、部長ね、そういう委員会でのやりとりの中で、平木委員長が見かねて、この問題については一度もっとゆっくり議論してくださいと、こういう趣旨のことを言ってるんです。
 というのは、射撃場については、かつて国体で、和歌山誘致で、射撃場も県内開催しようという運動があって予算化されたことも──まあまあ、これも鳥獣害対策の予算であるわけなんですけども──いわゆる射撃場の予算については、国体で使う、競技に使う、そういう予算と、それからいわゆる、もうやむにやまれぬ、やむにやまれぬというより、この現今の状況を見たときに、鳥獣害対策で、いわゆるハンターの練習場として、研究施設として射撃場をつくらなければいけないというのとおのずから違いますよということは、委員長が見かねて言うてるわけなんです。だから、この問題を一度整理して、私は知事にも考えていただきたいと。
 知事は、本会議の答弁でも、地元の協力、それから運営主体、それから地元の同意、そういう3条件とか言われておりましたけれども、これは国体の射撃場をつくるかどうかについてに端を発した議論であると私は思うんです。
 ここに至っては、鳥獣害対策ね。ハンターをどう育成するのか、事故をどうして防止するのか、そういうせっぱ詰まった観点で私は答弁をいただきたい。部長、どうですか。その答弁、もう一度お願いします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 先ほど申し上げましたが、狩猟を安全に行っていただくためには射撃訓練は必要である。射撃場の建設につきましては、国の補助金を断念しました後も、地元市町村の応分の負担、市町村による住民同意の取りつけ、運営主体の存在という3条件のもとで考えております。
 その後、幾つかのところから、要望といいますか、提案がございました。調査いたしましたところ、地形が急峻である、高圧線が走っているとか、それぞれのところに問題点がございました。
 現在、地元から地元の自治体から正式の申し出がなく、具体的な検討をする候補地がないというのが実情でございます。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 部長、私、そんな質問してないでしょう。私は、一に戻って、射撃場が必要であるかどうか、新しい視点で物を考えなあかんと思うんですよ。
 例えば、この間もツキノワグマが湯浅町で捕獲されたんです。これは本当に人命に危機がある。そして、私はどこへ放ったかとこの議場で言いませんけど、どっかへ放ったと。それがまた、どっかで捕まえられたと。こういうことがあるわけなんです。
 だから、部長、広域な視点で物事を考えなもうあかんようになってきてるんです。市町村1つの、有田川町で考えなさい、湯浅町で考えなさいというような、いわゆる射撃場の問題と違うわけなんです。新しい広域的な視点でこの鳥獣害対策というものを考えてもらわんと、部長、だめなんです。
 そういう、あなたが今おっしゃった観点は、国体競技における射撃場の話でしょう、それは。なぜ、市町村が、そんなもん単独で射撃場を考えなあかんのですか。なぜ、市町村が単独で射撃場の用地を確保せなあかんのか。運営についても考えなあかんのか。そうでしょう。
 県の責任において、広域的な視点に立って、いわゆる鳥獣害対策等を考える上においては、射撃場、県内に必要ではないですか。私は、必要であると思うんです。
 きょうも、猟友会の方、たくさん傍聴に来てくれていますけども、納得してくれるような答弁がなかったら、これ、なかなか帰っても寝られんの違いますか。
 最後に、知事にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 射撃場の必要性については、御指摘のように、当初は、国体と鳥獣害対策の両面で考えておりました。どちらかというと、国体でまず考え、ああ鳥獣害でも必要だということで、やや積極的に私も転じたつもりでありました。
 いずれにしても、つくろうと思えば、将来の県民の負担も考えないといけません。きちんと維持できるようにならないといけない。たくさんの追加的経費が毎年毎年かかるようだと困る。それから、住民の中には、賛成も反対も両方あると思うので、地元の説得もきちんと地元でやってもらわないと困る。そういうような考え方で4つの条件をつけました。
 国庫補助金の問題は、これは時間切れとなりました。だからだめだというのは、これはちょっと余りにも酷だと思いますので、これはこだわらなくてもいいと思っております。
 したがって、昨今の議会で何度も申し上げておりますが、地元市町村の応分の負担と。応分というのは、別に半分出せとか、そういうことではありません。それから、市町村による住民同意の取りつけ。それから、運営主体の存在。これは大事な問題だと思います。
 特に、ぜひつくってくれというふうに言われた方は、昨今の鳥獣害被害の状況から見て、必ずもうかる施設だというふうに言われました。それならば、ちゃんとそれを証明するように運営主体になってくれないかというのは当然だと思います。
 したがって、3つの条件が必要であると申しましたが、これは先ほどの御議論でありますが、国体だけではありません。鳥獣害対策も考えた上でのことであります。なぜならば、1つ根拠を申し上げますと、国の補助金、これがなくなってしまいましたけど、これ、実は鳥獣害の名目でできた補助金でございます。議会でも何度も言明して、私も申し上げ、議会でもそれでずっと来ているので、やっぱりその考えは維持したいというふうに思います。
 実は、私は、3つの条件が何らかの形でクリアできたらいいなというふうに思っておりましたが、たくさん、これはどうだという話はあるんですが、途中の段階で壁に当たってしまうわけです。アイデアはたくさん出されるが、例えば出される方あるいは地元の方に覚悟を迫ると、「それは県で」ということで、どうも進まない。
 したがって、国体の開催時期がだんだんと迫ってまいりまして、国体に向けての準備はそろそろ時間切れになってきます。射撃場の問題は、国体の会場とするということを切り離して鳥獣害対策として考えなければいけない時期にそろそろ来ているというふうに思います。その場合でも、3条件という考え方は、私は同じであります。
 これまでは、国体があるから急いでいたけれども、国体を切り離したとしても、この問題が終わるわけではありません。鳥獣害対策として、なぜならばハンターの養成という問題が残るからであります。
 この問題を射撃場の整備という形でやるか別の方式でやるかは、その時々の状況を見て考えなければならないと思います。現に、射撃場が、今、県内にないわけでありますので、直接ハンターの方に県外に行って練習してもらわなきゃいけない。そういうために、現在、助成金を交付している。そういう状況にあります。
 いずれにしても、射撃場を設置しようとする場合、県の将来のことも考えて、プラスの面、マイナスの面、そういうことを、また皆さんとよく議論をしてやっていきたい、そんなふうに考えております。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 ただいまの知事の答弁、私、わかりません。
 知事、ずっとこの鳥獣害対策の話をさせていただいて、私は、射撃場をつくる場合には地元の同意というのはわかりますよ。やっぱり音とか安全対策とか、そういうのはやっぱり地元でなければ、地元の方が同意しないと私はだめだと思うんです。
 ところが、運営、いわゆる地元の負担金、それは知事がどれだけと言うてないと言いますけども、それは県が主体性を持って、こういうものを広域的に必要なんだから県がやるんだという姿勢があれば、私は地元に負担を求めるのは少し酷ではないかと、そんなに思います。
 それから、運営の問題。これは、知事、もうかるか、もうからんか、それは、みんな、国体の施設つくってほしいと、もうかるからという、そう、簡単に話しされたと思うんですけども、私は一概にはそうだと思わなかったです、初めから。
 しかし、いわゆるこの問題も、もうかるか、もうからないかの運営の問題も、やっぱり私は、最後には県が主体性を持って、どこかの方にやってもらうとか、やむを得ん赤字になれば県が責任を持ちますよという、住民に対してもいろんな方に対しても責任を持ちますよという、そういう姿勢でなかったら、私はできないと思うんです。
 知事、部長も「委員会になれば知事の考えが変わらんのでできませんよ」という、そういうかたいことを言うわけなんです。また、「議員の提案を受けて、できるだけ知事とも相談してやっていきますよ」という、そういう答弁ができてないんです。
 だから、やっぱり知事も謙虚に、こういう大きな問題点があれば、「もう一度考え直すよ」ということを言ってもらわないと。これだけ答弁してるんだから、それに変わりはないという、そういう態度であれば、やっぱり我々議員だってそれだけの覚悟があると思いますんで、もう一度答弁お願いできませんか。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、3条件と言っておりますのは、別に頭ごなしに勝手に決めて申し上げているわけではありません。
 というのは、まず地元の同意というのは、やっぱりなかなか「どうぞ」と言われると大変だと。それは、議員が御指摘のとおりであります。
 それから、例えば湯浅のときのことを考え直してみますと、初めは湯浅町営でやるからという話なんです。だんだんだんだん、じゃあ土地だけ出すから、あと勘弁というようなことで、実はもうそれでいいやということでおったんですが、そういう熱意もやっぱり欲しいということは、言って悪いことではないというふうに思います。
 それとともに、やっぱり県全体のことを考えると、鳥獣害被害は大変なんですけども、そのために射撃場をつくることの利益と、それからどのぐらい県負担が将来県民にかかってくるかなというようなことも考えると、例えばそれは、初め猟友会の方とかもおっしゃってたように、自分たちも運営してもうかるんだから後年度負担なんかないんだよということであれば、それは随分意思決定が変わってくる。
 だけど、そうじゃなくて、毎年、例えばある試算によれば何千万円も維持経費を出さなきゃいけない。そんなことになったときに、本当に県民がそれを望むんだろうかというようなことは、やっぱり考えなきゃいけないということだと思うんです。
 もちろん、それは今のような議論をもとにして申し上げてることなんで、片意地に3条件というようなことではありませんので、もとの議論に戻って、それで県民全体で考えるべき問題ではないかとは思います。
 ただ、そこがクリアできないと、やっぱりおかしいなあということは、知事の立場として無責任なことは申し上げられないと、こういうことであります。
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 それは、いわゆる後年度負担、費用対効果で決めていかなけりゃいけないということは十分わかります。十分わかるけれども、当初の国体用の射撃場を間に合わすという議論は、もう済んだんですね。ほとんど済んだんです。
 私が言ってるのは、鳥獣害対策で、いわゆるもう高齢化してどうしようもない、猟友会というよりもハンターの育成を図っていく上には、やっぱり和歌山県に──近畿でないのは和歌山県だけですね、その射撃場。全国競技できるような射撃場は近畿にありませんけども、和歌山県がひとつ観光の目玉として、いわゆるほかにも波及効果のある施設だと私は思うんですね。
 それを考えて、一度ゼロにして、一遍知事、考えてみてくれませんか。ゼロにして。とにかくいろいろ総合的に考えて。
 だから、県民もそういうことを考えれば、射撃場の後年度負担、そんなものは、私は、大きくないと考えるんではないかということを信じておるんです。
 だから、そういうことについて、一度また議論し直しということで。そのことだけ最後に一遍、知事、し直してやっていきましょうと、そういう答弁をひとつお願いします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただ、さきに答弁申し上げたとおり、私は別に片意地ではありません。
 したがって、すべての問題は議論の対象だというふうに思っております。そのときに、いろんな材料を出して、それで議論をしていけばいいいうことではないか、そんなふうに思います。(「ちゃんとした話、聞いてくれよ。いつも断るばっかりやで」と呼ぶ者あり)
○議長(山下直也君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 あのように、井出議員も怒っておるわけなんです。
 私も井出議員から強く厳命をいただいてこういう質問に立って、また私も猟友会の顧問をさしていただいておりますので、今後もできるだけこのことにかかわってやっていきたいと思いますんで、よろしくお願いします。
 以上で、質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第107号から議案第141号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、9月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時34分散会

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