平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、おはようございます。
 先日、食事中に舌をかんでしまいまして、ふだんでもお聞き苦しいところですが、多少お聞き苦しいところがあろうかと思いますが、どうか御清聴のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、紀南地方における東海・東南海・南海地震の津波高の想定についてお伺いをいたします。
 昨秋の台風12号で甚大な被害を受けた紀南地方では、災害から1年が経過した今でも完全復旧・復興とはいかず、大変厳しい状態であります。
 そんな中で、内閣府より発表されました南海トラフ巨大地震・津波の新たな推計は、紀南地方の皆様には大変ショッキングな発表でありました。特に、被災された新宮、那智勝浦、太地、古座川、串本、すさみの各市町の人たちには、追い打ちをかけるような公表でございました。
 巨大地震・津波による死者の数が、全国で最大32万人と予想されました。この死者数、本県では全国で2番目に多い最大8万人と予想され、県がこれまでに公表していた最大5000人を大幅に上回る数字となりました。
 このうち、私の住む串本町では、全国最速の2分で1メートルの津波高の第1波が到着し、4分で10メートルの津波が到達、また最大津波高18メートルと予想されました。このほか、津波高10メートルの到達時間に那智勝浦町と太地では5分、すさみ町14分、白浜町15分などとされています。
 地震が起きてからの津波到達時間が2分や4分や5分では、お年寄りや幼児はもちろん、大人でさえも避難することは不可能であります。
 この公表を受けて、県の半田危機管理監は、今月12日の東南海・南海地震等対策委員会で、「甚大な被害は衝撃的なものであります。ただし、発生確率は極めて低く、1000年に一度か万年に一度か、いつ来るかわからないし来ないかもしれない、そういうものであります。しかし、発生の可能性がゼロでない限り、県民の生命を守るという観点から住民避難を柱とした対策を行うべきです」と説明をいたしました。
 これまで、串本では、第1波6分、最大8.8メートルの津波高の想定で防災対策を行ってまいりました。他市町村も同じで、県発表の想定に従って計画的に対策を練ってきました。公表されるたびに想定が違っては、防災対策は一歩も進みません。
 そこで、危機管理監にお伺いをいたします。
 早急な対策が不可避な現状で、市町村の防災対策の指針となる地震・津波高の想定をいつまでに行うのか。現段階で結構ですので、お答えをください。
○議長(山下直也君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 地震・津波高の想定についてお答えをいたします。
 県では、国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキングの代表を務める河田関西大学社会安全学部長を会長とした和歌山県地震・津波被害想定検討委員会から助言をいただきながら、現在、被害想定の策定に取り組んでいるところでございます。
 県の被害想定は国の津波断層モデルと同じものを使用いたしますけれども、地形、構造物、土地利用の状況等、より詳しいデータを反映することとしており、今回、国が公表したものに比べて、より精度の高いものとなります。
 国の作業のおくれもあるため、県の作業を行うために必要なデータの入手もおくれているところでありますけれども、来年3月に津波高や被害想定をお示しできるよう、現在、鋭意作業を行っているところでございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 どうもありがとうございました。
 これは、正確性はもう大層、一番大事ですけれど、いつ来るかわからないというこの地震、一日も早く策定のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 次に、地震・津波観測監視システムについてお伺いをいたします。
 今月4日の「日経新聞」の巨大地震についての記事によりますと、独立行政法人海洋研究開発機構は、平成27年度までに地震計や津波を探知する水圧計を備えたシステムを紀伊半島沖から高知県の室戸岬沖の海底に設置し、これを現在東海地域で稼働させているシステムとあわせて稼働させることにより、地震で最大10秒、津波では最大10分も早く検知できるようになると紹介されていますが、どのような予測ができるのでしょうか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 地震・津波観測監視システムについてお答えいたします。
 この地震・津波観測監視システムは、沖合の海底にセンサーを設置することにより、リアルタイムで津波の進行方向や規模などを観測でき、これにより、津波発生から陸地到達までの時間や到達規模が従来より早く観測できるというふうに聞いてございます。
 今回の10分早く津波が検知できるとの記事は、昭和21年の南海地震の場合の破壊開始点と陸地観測との時間差であり、南海トラフの巨大地震を想定したものではないということでございました。
 いずれにいたしましても、このシステムが稼働し、情報提供が行われれば、大きな減災効果が期待できるものと考えております。県では、このシステムの整備と解析システムからの予測情報の伝達手段を早期に整備するよう、国に対し要望しているところでございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 今の答弁で、このシステムについてわかりましたけど、震源地から離れている地域には津波高もわかり大変有利だなと、津波到達時間が短い紀南地方の私たちの住む場所では余り芳しくない、そういったシステムじゃないかなと、そういう感想を持ちました。
 次に、地震や津波の予知対策の推進についてお伺いをいたします。
 予知については、国はもちろん、東大、京大を初め私立の総合大学など、官民の多くが研究に取り組んではおりますが、予知を出せるのは気象庁だけで、法的整備のあるのは東海地震だけだと聞いております。
 一方、大学などで予知は既に進んできています。その大学の中で、東海大学海洋研究所地震予知センターでは、電磁波の異常が起きる前に起こる電磁現象と、地面など物が壊れる直前の状態を判断できる物理学の臨界現象を調査研究しています。
 同センターの長尾教授によりますと、「地震予知機という機械はないので、地震学だけでなく、測地学や地下水の情報、コンピューターシミュレーションなど複数の手法を組み合わせることで異常を計測することが大事です。今の日本ではできていないので、東海大学ができるようにしたい。5つのうちの4つに異常があれば──その5つといいますと、電磁気学的異常、地震活動、地殻変動、地下水(地球科学で宏観異常)、動物の異常行動などでありますが──『8割の確率でマグニチュード何々クラスの地震が来る』、『地震が近い』と言える。100%は断言できないが、科学なのでトレーニングをして計測することで精度は上がります。地震の前兆現象がわかってきていますので、情報はいろいろ出せるのですが、発表システムがないのです」とおっしゃっております。
 また、2003年の「産経新聞」の記事ですが、東京都は、地震予知は国に任せてはおけない、東京が独自でする、そういう内容の「東京都、地震予知に挑戦」という報道もあったぐらいです。東海大学がその委託研究を受けていたそうでございます。
 本県でも、京都産業大学コンピュータ理工学部の筒井稔教授やスタッフが、白浜町や、最近では串本町の樫野に、地中のプレートの活動や活断層のずれによって生じる電磁波を探る高感度のセンサーを配置するなどして研究に取り組んでおります。
 いろいろな分野で地震予知の研究が進んでいます。1000年に一度、万年に一度の地震・津波が来ようと、予知ができれば死者の数を大幅に減少することができます。県民の生命、財産を守る有効な地震の予知をどのように考えておりますか。危機管理監にお答えを願います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 地震予知について、県としてどのように認識してるのかということにお答えをいたします。
 地震の発生をあらかじめ知ることができれば、最も効果的な防災対策でございます避難につなげることができ、とりわけ津波到達までの時間が短い紀南地方にとっては、被害を大きく減らすことができるものと思われます。
 残念ながら、地震の正確な予知については、最新の科学的知見をもってしても極めて困難であると言われておりますが、今後も地震発生予測等の減災につながる研究開発を積極的に行うよう国に対し強く要望していくとともに、さまざまな機関による調査研究の動向にも注視してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 いろんな地震予知をやってる、そういう情報、国にも伝えてくれるという御答弁ですが、地震の予知というところで、ちょっと皆さんに知っていただきたいんですけど、8月の16日に「朝日新聞」にも「予知の理想と現実に悩む」ということで載っておりました。
 普通、地震学というと、やっぱり我々は予知が主だと、そういうふうに思いがちだと思うんですけれど、その地震の学会のほうでは、海底の地震計であったり、どこでどのぐらいのものが、近い将来じゃなしに長期、短期の中でこの確率で起こるだろうという、そういったものにお金がほとんど使われている。この11年、12年度の計で約800億近くの予算が使われていますが、予知研究の計画予算というのは、わずか4億円です。これを各大学に配りますと、本当に予知の研究にはお金は回っていないというのが現状で、今の科学ではだめだというんではなしに、そういうことをしない方向で動いている。何か地震ムラがあって、そこの力が強くて、ほとんどそっちに国の予算が使われてると、そういうのが現状じゃないかと思うんです。
 それで、一般の人は、地震のことを研究してくれてると考えて。だれだって、地震の大きさやなによりも、いつ来るかを知りたいのは、これはもう人間の本能です。そのほうにお金が使われてないというのが現状ですので、どうか、それも含め、強く国のほうに要望をしていただきたいなと。
 そして、その地震予知、よく言われますナマズが騒ぐとかいう、そのような話がオカルト的に伝えられていますけど、幾つかの事例がありまして、九州大学なんかも井戸を6カ所掘ったんです。でも、その6カ所というのは、地震の予知のために掘ったんではなくて、別の次元で6つの井戸を掘ったときに、福岡県の西方沖で地震が起きました。そのときに、大きな地震と5回の割と大きな余震があったんですけど、そのたびに数日前から、やっぱり直前に異常が見られた。それは5回とも、本震も余震も全部そういうのがあらわれた。それで、福岡の九州工業大学では、今度、もしこういう事例があると記者発表しますとまでおっしゃっております。
 また、今、阪神大震災のときなんかも、その電磁波の現象ですべての放送が聞こえなかったぐらい雑音が出たという、やはりそういう前兆現象が伝えられております。
 それに、これも少し前ですけど、東京都が地震予知に取り組むんだと言った、それの前の宮城県北部の地震のときにでも、やはり電磁波の異常と、それとガス臭いという、この2つの事例が出て、東京都と東海大学の教授が仙台のほうで何か起こるかもしれませんねという話をしたという、そういう報道もございました。それで、そのガス臭いのは、やはり明らかに断層沿いでの証言が非常に多かったと、そういう事例もございます。
 また、今は、国交省のほうで国土地理院がGPSによって地殻変動の測定を24時間ずっとやっておりますが、今、ちまたでは、そのホームページに載せてる地殻運動のあれが載らなくなると地震が来るのではないか、危ないんじゃないかというぐあいに言われているそうでございます。
 また、地震学会の予知研究の検討は、日本だけでなく、国際的にもずっとやっていかなくてはいけないと地震学者の方も言ってますけれど、日本の地震の方向というのは、やはり予知の方向にかじを切っていただきたいなと思いますので、強く国のほうにも要望してください。
 私は、私たちのように1分、2分、5分、6分で津波が来るんだと言われる地域の者にとっては、本当におぼれる者わらをもすがる、そんな気持ちなんです。もう知事室にナマズを飼っていただきたいと、そう思えるぐらい切実な気持ちで毎日を送っております。それだけ、済みません、御要望をしておきます。
 続きまして、知事にお伺いをします。
 内閣府が公表した南海トラフ巨大地震被害想定は別にいたしましても、県が3連動地震で試算した地震、津波も大変大きなものであり、県民はこれから大変な不安を抱えて生活しなければなりません。県民の生命と財産を守るトップとして、県民に対して、南海トラフ巨大地震に立ち向かう知事の覚悟をお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回公表されました南海トラフの巨大地震の想定は、発生時期を予測することはできず、また発生頻度は極めて低いとされていますけれども、起こる可能性がある以上は、県民の生命を守るために対策を怠ることはできないと思っております。
 このような巨大な津波を、防波堤のような構造物で影響を小さくするということはできても、全部防御するということは不可能でありますので、逃げるということが対策の中心になってまいります。
 しかし、県南部においては、極めて短い時間で大きな津波が到達する可能性もございまして、議員御指摘のように、壮健な大人でも避難することが困難なことも考えられます。これらの地域では、将来的な高台移転など、まちの構造から変えていくということも検討する必要があるんじゃないかと思っております。
 これは、まだ被害に遭ってない状況のとこで考えるわけですから、大変難しい問題でありますけれども、難しいと言ってたたずんでいる権利は県庁にはないと思います。したがって、一生懸命考えて、また関連市町村ともよく相談をして、来年度の新政策で芽を出せるように検討していきたいと考えております。
 一方で、これまで県が想定してきた東海・東南海・南海の3連動地震に対するハード・ソフト対策についても、着実に進めていかなければなりません。こちらのほうは、科学的に言えば約100年に一回必ず来るというわけでございますので、しかもかなり大きいものが来るということを前提にして考えていかなきゃいけないので、これは着実に進めなきゃいけないと思います。
 現在、和歌山県地震・津波被害想定検討委員会において、これら2つの想定を行っているところでありまして、その結果を踏まえて、県民の生命を守るために全力で取り組んでいく所存でございます。
 県民の皆さんにおかれましても、住宅の耐震診断とか耐震補強あるいは家具の固定、家族で避難先を話し合って避難路を確認したり避難訓練に参加するなど、できることはたくさんあると思いますので、今回の想定を正しく恐れて、被害を少なくするための取り組みを進めてほしいと考えております。
 また、大規模災害に備える命の道としても、高速道路などの幹線ネットワークの整備あるいは防御施設の整備、そういうものを急がなければなりません。県民の悲願である紀伊半島一周高速道路については、すさみ─太地、新宮─大泊についても計画段階評価が行われておりまして、大きな一歩をようやく踏み出したところでございますけれども、これはできてしまわないと安心できないわけですから、今後も一日も早い事業着手を国に働きかけていく所存でございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ナマズを忘れないように、命をかけてよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、今後の観光施策についてお伺いをいたします。
 災害後の観光客動態調査を見ますと、平成23年の県内の宿泊者数は約433万人で、平成22年と比較して85.2%、日帰り客数は約2327万人で89.9%という結果になっており、また被害の大きかった田辺市本宮地域及び那智勝浦地域ですが、台風直後の10月では、本宮地域が対22年比約35%、那智勝浦地域が約50%に減少していましたが、本年7月には、本宮地域で対22年比約85%、那智勝浦地域では約95%まで回復と聞いております。災害後、大変厳しい状況下で、よくぞここまで当局の皆さんには大変頑張っていただきました。
 また、紀南観光の復旧・復興を図ろうと、昨年末から今年度にかけて、県庁の皆さんらは、あらかじめ県外で予定していた職場旅行を勝浦温泉に変更したり、和歌山市やその周辺での忘年会や新年会を勝浦など東牟婁地方などで開催をしたりしてくれました。
 また、東牟婁振興局では、東日本大震災以来、落ち込みの激しい管内での宿泊客をふやそうと、職員に勝浦などでの家族旅行を呼びかけたり、親戚や知り合いにも声がけするなどして紀南観光の復興に一役を買ってくださいました。振興局のある幹部は、一昨年からことしにかけて月に平均2回、多いときは4回、勝浦温泉などに宿泊したとのことであります。
 知事を筆頭に、県挙げての取り組みのおかげだと思います。心から感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、これに満足することなく、前年比100%以上を目指し、より一層の努力をしていただき、今後の施策にも力を発揮していただきたい、そのように思います。
 そこで、商工観光労働部長に、これからの観光施策についてお答えをお願いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 今後の観光施策についてですが、まず団体客対策として、来年の伊勢神宮式年遷宮からの誘客の取り組みを実施しています。具体的には、確実に伊勢参宮旅行等を実施する神社関係者に対し、和歌山への来訪を御案内した知事メッセージを送付後、現在、全国の主要神社、熊野関係神社の訪問活動を行っており、既に30都府県、約300社を数えます。引き続き、訪問活動を実施するとともに、一般向けにメディアへ展開してまいります。
 また、年金旅行については、継続して多くのお客様にお越しいただけることから、現在、東海地方を中心に信用金庫への訪問活動を実施しているところです。
 さらに、高野山町石道や熊野古道の保全と活用を目的とした参詣道「環境保全」活動の一環として企業のCSR活動を推進しており、関西の企業に対し、企画提案活動を実施しているところです。これらの取り組みについても、強化してまいります。
 次に個人客対策としては、JALとのタイアップ企画として、機内誌「Skyward」10月号での特集や東京でのイベントを開催するほか、JRと協働による京阪神や東海におけるプロモーション活動、NEXCOとのぽかぽか和歌山キャンペーン、アウトドアメーカーや南海フェリー等とのタイアップキャンペーンなどを実施する予定です。
 さらに、11月4日は高野・熊野夢舞台コンサートを熊野本宮大社大斎原にて、11月21日からは首都圏にて大型キャンペーンを実施するなど、メディア、旅行会社、一般消費者に対して情報発信を強化してまいります。
 これらの取り組みには、パンダ誕生を契機としたパンダプロモーションをあわせて実施するとともに、地域の関係者にも参加いただき、取り組んでまいります。
 平成25年には伊勢神宮式年遷宮、平成26年には世界遺産登録10周年を契機とした和歌山デスティネーションキャンペーンの開催、平成27年には高野山開創1200年、紀の国わかやま国体と、本県の観光振興にとって大きな契機となる祭事が続きます。既に、伊勢神宮式年遷宮の取り組みについては開始したところであり、また、世界遺産登録10周年を契機とした和歌山デスティネーションキャンペーンについては準備作業中です。
 今後、高野山開創1200年のプラン作成に取りかかるとともに、紀の国わかやま国体に向けたおもてなしの充実を図るなど、これからの3年間に向け、観光資源の魅力の向上や効果的に連動した観光キャンペーンの実施により本県への誘客拡大に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御丁寧な御説明をどうもありがとうございます。心意気が脈々と伝わってきましたので、ぜひより一層頑張っていただきたいと、そのように思います。
 次に、太地町「森浦湾くじらの海構想」についてお伺いをいたします。
 捕鯨のまちとして知られる太地町が、町内の森浦湾の一部を網で仕切って鯨やイルカを放し飼いにする「くじら牧場」の構想を発表いたしました。阪神甲子園球場のおよそ7倍の規模で、町によると、世界的にも例を見ない試みだと言っております。
 観光客らがカヤックで鯨と遊んだり、海水浴場で一緒に泳いだりでき、鯨の研究施設や古式捕鯨を再現する施設の建設なども周辺に構想、町全体を鯨を中心とした公園とし、観光客誘致や生態研究を目指す、太地に行けば鯨のすべてがわかるようにしたいと町長は言っております。
 心がわくわくしてくるような構想で、紀南地方にとっては大変明るい話題で、紀南は盛り上がっております。落ち込み激しい紀南地方はもとより、和歌山県の観光の目玉にもなる構想だと思います。白浜のアドベンチャーワールド、太地のくじら牧場となるように、ぜひこの構想を実現させたい、そのように思います。
 財政面も含め、全面的にバックアップしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。企画部長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 森浦湾鯨の海構想につきましては、太地町が平成18年に発表した太地町くじらと自然公園のまちづくり構想を具体化するものとして、検討段階から県も参加した森浦湾鯨の海構想検討委員会が本年3月に策定したものでございます。
 構想の内容は、森浦湾の一部を網で仕切って小型の鯨類を放し飼いに近い状態で飼育するとともに、海水浴場や遊歩道等の施設を整備し、森浦湾を鯨と人の触れ合いといやしの場、世界屈指の鯨研究のメッカとすることで地域の活性化に結びつけていこうというものであり、大変有意義なものであると考えております。
 構想の実現によって観光客の大幅な増加が見込まれ、太地町はもとより、隣接の那智勝浦町、紀南地方の観光振興に大きく寄与するものと考えてございます。
 県といたしましては、太地町と十分協議しながら、構想の実現に向けて積極的かつ全面的に協力してまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 検討段階から加わっていたと。本当にうれしく思いましたので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、教育問題について質問をします。
 最初に、いじめ問題についてお伺いをいたします。
 今、日本各地から、いじめによる自殺や傷害事件が連日のように報道され、大きな社会問題となってきています。どのような理由があったとしても、いじめによって子供がみずから命を絶つことはあってはならないことです。子供の命を守り、このような痛ましい事件を二度と起こしてはならないという気概を、学校、教育委員会などの教育関係者がしっかりと持って対応すべきです。
 本県では、先日発表されたように、平成23年度のいじめの認知件数は、公立学校で97件と全国的には少ないようですが、決して楽観視できる状況であるとは思えません。県当局の迅速かつ適切な対応が今こそ求められていると考えます。
 そこで、まず知事にお伺いをします。
 社会で大きな問題となっているいじめ問題について、どのように感じられていますか。また、どのような対応が必要だと考えられていますか。御答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) いじめ問題にかかわってさまざまな報道がなされておりますけれども、学校の対応が不適切だと感じることも大変多く、残念に思っております。
 いじめは、人の命にかかわる重大な問題であり、いかなる理由であれ、人間として絶対に許されることではないというふうに思います。しかし、現実に子供社会の中ではいじめは起こっており、そのため、つらく苦しい思いをしている子供たちがいるのも事実であります。その子供たちを一日も早くいじめから救うために、私たち大人が真剣にこの問題と向き合わなければならないと強く感じております。
 いじめ問題は、教育の大きな問題であります。教育は、最も大事な県の政策であります。したがって、本件を教育委員会だけの問題とするつもりも全くございません。あるいは、教育委員会の制度が悪いから県知事は手を出せないんだなどと言うつもりも全くありません。県も、主体的かつ積極的に取り組むべき問題であると認識しております。
 まず、いじめに関する実態をきめ細かくつかむためには、学校が子供たちにアンケートを実施することが有効だと考えておりまして、これについては、我が教育委員会が既にアンケートについて、公立学校でございますけれども、小中高の公立学校でその実施をいたしております。今後は、私立学校にも協力を仰ぎながら、こういうことでちゃんとした実態をつかもうとしようと思っております。
 学校長がこれについてきちんと把握するというのはもちろんでありますけれども、教育委員会あるいは市町村の教育委員会、あるいは私学の場合は県の総務部、そういうところがきちんと学校当事者にヒアリングをして、それでその当事者が気がついてなかった、あるいは、考えたくもございませんが、当事者がひょっとしたら隠そうとしているようなこと、そういうものをきちんと発見するということも必要だと思います。したがって、学校へのヒアリングを実施するということをやりたいと思います。
 さらに、なかなかこのいじめ問題というのは対応が難しいと本当は思います。したがって、教職員がいじめ問題に適切に対応できるように、いろんな知恵を集めて、マニュアルを教育委員会に早急につくってもらって各学校に配布するということをやりたいと思っております。
 次に、いじめが起こったときに、学校の教職員がまず子供たちに向き合うということになるわけであります。ここが逃げていては話にならんし、教職員の代表として校長先生の責任も重いと思います。
 しかし、子供たちも、いろいろな研究によれば、いじめを受けていることを学校に相談しなかったり、あるいは親にも言いたくなかったりするというケースもあると思いますし、仮に言ったとしても学校の対応に十分満足できなかったりするようなケースもあると思います。そのために、学校以外に相談できるような窓口、これをつくっておくということが大事だと思います。
 そこで、県としても、県内でいじめに苦しんでる子供や保護者等の声をしっかり受けとめていくために、直接私が意見を聞きたいと思っております。既に、現在開設している「知事へのメール」というのがありまして──私は全部目を通しております──いじめに関する問い合わせをここで受け付けますからということを広く県民に知らせることにしたいと思っております。寄せられた訴えについては、教育委員会と連携しながら、その解決に私たちも全力を挙げたいと思います。
 また、いじめ問題への対応を直接担うのは、もちろん教育委員会でございますので、教育委員会でも同様に、教育長あてのメールで相談できる窓口を設けてもらうように教育委員会に申し上げております。「知事へのメール」のほうは、もう既にあるんですけれども、教育委員会のほうはなかったもんですから、今、これを大急ぎでつくって、それで教育長に言いたいときは教育委員会、それから私に言いたいときは「知事へのメール」ということで言ってくれて結構であるというようなことを周知したい、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 いじめられてる子供の根性焼きのあれとかを見ると本当にかわいそうで、亡くなった方のことを思うと、どうしてあんなことするんだろうなあという、そういう気持ちになります。それで、やはり県も教育委員会だけに任すんじゃなしに、知事もやりますよという御決意いただきましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、いじめの一連の報道に対する感想と対策、学校評価についてお伺いをします。
 いじめに関する報道を見るにつけ、学校や教育委員会の対応に大きな疑問を抱きます。
 滋賀県大津市での市立中学校2年生の男子の自殺に対する教育長の対応、また仙台市私立高校2年生男子生徒が同級生から腕にたばこの火を押しつけられる根性焼きなどの校長の対応、テレビ、新聞などで大々的に取り上げられ、隠ぺいが非難される中、今月の17日朝刊に、兵庫県川西市県立高校2年生男子が自殺した問題で、いじめられていた事実を知りながら不慮の事故ということで生徒たちに説明したいと親に告げ、断られ謝罪した。我々県民には信じられない報道であります。
 このようなことが起こらないよう、また一たびいじめが起こったならば、学校や教育委員会が迅速かつ的確に対応できるよう、何か対策はとれなかったのでしょうか。いじめられている子供を救うために対策が急がれます。
 また、テレビのコメンテーターは、いじめがわかると学校の評価が下がるからいじめがあったとは言わない、いじめを見つけてきちっと解決したことを評価するような制度にしないとこういう問題はなくならない、そのようにおっしゃっております。
 そこで、教育長にお伺いをします。
 一連の報道を見て、どのような感想をお持ちですか。また、いじめを防ぐために新たな対策はお考えでしょうか。さらに、いじめが発覚すると学校の評価は下がるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめの一連の報道に対する感想と対策並びに学校評価についてお答えします。
 いじめについて、連日のように報道されておりますけれども、子供の安全・安心を最優先すべき学校において、子供からのサインが見過ごされ、大変悲しい結果を招いてしまっていることをまことに痛ましく感じております。
 一連の報道等の情報を見る限り、学校や教職員が問題の本質としっかりと向き合っていない様子がうかがえて、同じ教育に携わる者として、また、問題の本質から目をそらしてはいけないと考える和歌山県教育委員会といたしましては、本当にじくじたる思いがいたしております。
 いじめは、人間の尊厳、また人権にかかわる重大な問題であり、断じて許されない行為であります。
 子供や保護者が悩みや不安を抱いたときに早期発見、早期対応ができるよう、学校以外にも相談できる窓口を大きく広げていくことも必要だと考えてございます。
 県教育委員会といたしましては、子供の実態を正しく把握するため、各市町村教育委員会の協力を得ながら、県内すべての学校に対してヒアリングを行うだけでなく、知事の先ほどの御答弁にもございましたように、いじめを初めとするさまざまな教育問題に対応すべく、教育長あてのメール相談窓口を新たに開設することといたします。
 いじめにかかわる相談に対しましては、子供や保護者の願いをしっかりと受けとめ、市町村教育委員会や学校及び警察等、関係機関とも連携しながら、解決に向けて全力で取り組んでまいります。
 また、いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こり得る問題です。学校は、いじめが発覚したか、しなかったかによって評価されるものではなくて、いじめを認知した際、その問題に対して迅速かつ誠実に対応することはもとより、その問題の背景にあるものを含めて状況を的確に把握し、関係者が一体となって取り組んでいくことが評価されるのだと考えてございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 力強い御答弁、ありがとうございました。
 いや、ああいう態度をとる校長初め教育長、本当にしてないとなれば、同じように思われて大変腹立たしいことだろうかと思うんです、同じ立場にある人間として。でも、そのいじめの問題、やはり我々住民も見逃すことなく、協力して取り組んでいかなくてはいけないんだろうなと、そのように思います。ともに頑張っていきましょう。
 次に、コミュニティ・スクールについてお伺いをします。
 平成16年6月、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参加することを可能とするコミュニティ・スクールが導入されました。
 コミュニティ・スクールとは、保護者や地域住民が教育委員会に任命される委員で構成される合議制の機関である学校運営協議会を通じて、校長の作成する学校運営の基本方針の承認、学校運営全般について教育委員会、校長に意見を述べることなど、一定の権限と責任を持って学校運営に参画する、そういう仕組みであります。
 平成23年4月1日時点では、コミュニティ・スクールの数は2県99市区町村789校となっております。
 文部科学省では、学校と地域が一体となって子供をはぐくむ「地域とともにある学校づくり」の有効な仕掛けとして、コミュニティ・スクールを今後5年間で約3000校に拡大する目標を策定し、設置促進を図っていると聞いておりますが、コミュニティ・スクールの県の取り組みについて、その現状と成果、今後の方向性について教育長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) コミュニティ・スクールについてお答えをしたいと思います。
 本県では、平成14年度から平成22年度まで、4地域6つの小中学校で、国が制度化したコミュニティ・スクールの研究を進めてきましたが、現在、コミュニティ・スクールとして新宮市立光洋中学校がただ1校、学校運営協議会を設置し、地域とともにある学校づくりに取り組んでいるところです。
 これまでの研究を通して、各学校からは、コミュニティ・スクールというのが地域の方々の学校に対する信頼や理解を深め、地域で学校を支えようとする機運を高めることができたとの報告があります。その一方で、地域によっては、地域住民の参画への偏り、それから継続的な取り組みを進めるための人材や経費の確保、学校運営の参画のあり方など、さまざまな課題が指摘されてきております。
 コミュニティ・スクールの設置につきましては、市町村教育委員会の判断によるところでありますけども、本県としましては、コミュニティ・スクールについて、指摘されてる課題等を考慮しながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 どうもありがとうございます。
 次に、地域共育コミュニティについてお伺いをします。
 本県教育委員会では、コミュニティ・スクールと並行して、平成20年度から、学校、家庭、地域が子供を取り巻く問題や教育の課題、願いを共有し、共同して解決に取り組む地域共育コミュニティの形成を進めていますが、現状と成果、今後の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 地域共育コミュニティについてお答えします。
 県教育委員会では、平成20年度から、子供も大人もともに育ち、育て合い、地域のつながりを再構築することを目指した地域共育コミュニティづくりを進めております。
 各市町村では、図書室ボランティアや登下校の見守りなど、地域住民が学校教育活動を支援する学校支援ボランティアの活動や、学校と地域が合同で清掃活動を行うなどの取り組みが行われております。
 早急な津波防災対策が必要な串本町や那智勝浦町などでは、子供と大人が地域防災について話し合い、地域を挙げた避難訓練が行われております。
 また、昨年度からは、県内の8割を超える小中学校において、学校と地域住民がさまざまな課題について語り合う共育ミニ集会を開催しております。
 子供たちへのアンケート調査によれば、本県の子供たちは、地域共育コミュニティの取り組みが始まる前に比べ、「近所の人に会ったときにあいさつをする」、「人が困っているときには進んで助けたいと思う」、「人の役に立つ人間になりたいと思う」などと答える割合がふえてきております。こうした取り組みを通して、子供たちが多くの大人と出会う中で、人を思いやる気持ちや、だれかの役に立ちたい、だれかに必要とされたいという豊かな心がはぐくまれるなど、着実に成長していることがうかがえます。
 今後も引き続き、学校と地域が結びつき、子供たちの豊かな育ちと学びを支える基盤をより強固なものにするためにも、市町村教育委員会と連携しながら、地域共育コミュニティの充実に向け、積極的に取り組みを進めてまいります。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 大変いい取り組みだと思いますので、ぜひ続けてください。独居老人も多い中、子供たちと話できる、そういう人も大変喜ぶんじゃないかと思います。福祉の面からも非常に有効だと思います。よろしくお願いします。
 次に、全国学力・学習状況調査についてお伺いをいたします。
 この調査の目的、教科に関する調査では、平成22年度は、小学校では、国語A、B、算数A、Bともに全国平均正答率を下回り、中学校調査では、国語A、B、数学Bともに全国平均正答率を下回り、数学Aが若干全国平均正答率を上回る状況にある。
 平成23年度は災害のために中止、平成24年度には初めて理科も追加されましたが、やはり全国平均正答率を下回り、国語、算数ともに22年度と変わりません。
 一方、生活習慣や学習習慣に関する質問調査におきましても、例えば児童問題では、「家で学校の授業の予習をしてますか」、「授業ではノートを丁寧に書いてますか」など、生徒質問では、「家で学校の宿題をしていますか」、また「学校の規則を守っていますか」などがありますが、全国平均を下回っているものが多く見られます。
 この調査結果を見て何が見えてくるのか、教育長の所見をお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国学力・学習状況調査等の結果についてお答えします。
 本年度の全国学力・学習状況調査の結果、本県の児童生徒の学力は、議員御指摘のとおり、全国平均に比べ低い状況にあり、特に国語、算数、数学のB問題で問われている根拠を示しながら説明する力、みずからの考えや意見を整理し表現する力など、知識を活用する力に大きな課題があるととらえています。また、学力の基盤となる生活習慣や学習習慣が十分に身についていないという現状もあります。
 県教育委員会としましては、これらの結果を大変厳しく受けとめ、市町村教育委員会と一体となって対策の強化に取り組まなければならないと考えております。
 本県では、これまで、中学校のすべての国語科教諭を集めての研修を実施するなど、教員の授業力の向上のため研修の充実を図るとともに、ノート指導を通した授業改善や補充学習の徹底等に取り組んでまいりました。その結果、とりわけ課題の多かった中学校国語の平均正答率が着実に改善されつつあります。また、小中学生への学習や生活等に関する調査においても、目的意識を持って主体的に学ぼうとする子供が増加する傾向があらわれ、成果もあらわれてきております。
 今後も、わからない子を取り残さない、伸びる子はさらに伸ばすという方針のもと、これまでの中学校教員研修の成果を踏まえ、小学校教員を対象とした研修の拡充を図ることで授業改善を進めるなど、学力の向上に向けた取り組みを一層進めてまいりたいと思ってございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 次に、全国体力・運動能力・運動習慣等調査結果についてお伺いをします。
 同調査も、全国学力等調査と同じように全国平均より下で、小学校5年生も中学2年生もともに芳しくないのが現状です。年々、少しずつ点が上昇ぎみですが、全国平均も上がっていて、差と順位は余り変わらないように思います。
 本県の同調査結果の実態と傾向、課題を教育長にお伺いをいたします。時間が迫っているので、早目によろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国体力・運動能力、運動習慣等の調査結果についてお答えします。
 議員御指摘のとおり、本県児童生徒の体力は、全国と比較すると低位にあり、その差は小学校よりも中学校のほうが大きくなる傾向が見られます。
 また、国の調査では、運動・スポーツの実施時間や睡眠時間が長い子供、毎日朝食を食べる子供のほうが、そうでない子供に比べて体力合計点が高くなるということが示されており、運動習慣や生活習慣の確立が体力の向上につながることが明らかになっております。
 教育委員会では、体力は心と体の健全な発達を促し、生き抜く力の根源であると考え、平成21年度から紀州っ子の体力向上支援委員会を設立し、教員の指導力アップを図る研修会を開催したり、運動習慣の定着を目指して縄跳びの回数や一輪車でのタイムなどを競うきのくにチャレンジランキング事業を展開するなど、学校体育の充実や運動機会の拡大に努めてまいりました。
 その結果、体力・運動能力は、どの校種においても徐々に向上する傾向はあります。しかしながら、小学校から運動する子供としない子供に分かれる二極化傾向や中高女子の運動離れなど、運動習慣にも課題が見られます。
 今後は、子供や保護者がスポーツや健康の重要性を理解し、進んで運動やスポーツに親しむ子供を育成するため、創意工夫を凝らしたさまざまな施策を展開し、本県の児童生徒の体力向上に向けてより一層取り組みを強化してまいります。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 済みません、ありがとうございます。
 いろんな施策をやっていただいて、体力も学力のほうも上がってるかと思うんですけど、秋田県や福井、いつも学力のほうも上位でありますし、運動のほうも上位であります。何か、やはりそこに特別なものが何かあるんじゃないかなという感じがします。
 一応いろんな施策はしてますけど、やはり一番違うのは生活習慣のような感じもいたしますので、ぜひその辺の調査もしていただいて、和歌山県の学力、それとまたやっぱり体力もぜひ上昇さしていただきたいと思いますので、これからも一生懸命頑張っていただきたいと思います。
 以上で、質問を終わります。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、9月24日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午前11時54分散会

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