平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

(全文)


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平成24年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成24年9月21日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第107号から議案第143号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第107号から議案第143号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 18番 平木哲朗
〔備考〕
12番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員    佐藤律子
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第107号から議案第143号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。29番谷口和樹でございます。
 通告に従いまして、一般質問のほうを始めさせていただきたいと思います。
 昨年の9月3日、4日の紀伊半島大水害から1年が過ぎました。災害時、お亡くなりになられました方には、改めて御冥福をお祈り申し上げますとともに、発災当初から被災された方々、今なお御自宅に戻れないで苦労されておられる皆様方にも、慎んでお見舞いを申し上げます。
 せんだって、私の住む田辺市でも、熊野地区、伏菟野地区で慰霊祭がとり行われました。両慰霊祭とも多くの御参列をいただき、熊野地区では、前夜に慰霊のメッセージの入ったあんどんをともしたわけですが、地域の方々や三川小学校の子供たち、復興支援いただいた皆さんやアーチストの皆さん、そして仁坂知事にも直筆のメッセージのあんどんをつくって届けていただきました。本当にたくさんの方々の思いをいただきまして、無事に慰霊祭は滞りなく終了し、亡くなられた方、御遺族にも思いは届いたのかなと思っております。
 御協力いただきました皆様には、心より感謝を申し上げるところですが、両地区とも人口が少なく、過疎、高齢化が進む地区でございますので、今後とも引き続き復興、復旧への御支援をお願いいたします。
 そして、今回の質問項目に移りますが、大きな被害でありましたので、まだまだこれからではありますが、昨年の紀伊半島大水害からの県の災害復旧工事の見通し、あわせて被害の大きかった伏菟野地区地すべり、国道311号滝尻道路災害、熊野河川災害の復旧状況について、県土整備部長にお聞きいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 台風12号による公共土木施設の本格的な復旧につきましては、和歌山県復旧・復興アクションプログラムの中で、平成24年度中に全箇所の95%の箇所の完成を目標に掲げ、全力で取り組んでいるところでございます。
 昨年度より順次工事に着手し、9月15日時点で、県管理施設の復旧箇所1181カ所のうち約97%を契約し、うち437カ所を完成しております。
 このうち、田辺市の伏菟野地区の土砂災害につきましては、伐木及び仮排水路工が完了し、のり面工や掘削工に向けた工事用道路を施工しているところでございます。
 また、国道311号滝尻地区の災害復旧につきましては、現在、富田川対岸に本復旧を兼ねた仮設道路を建設中で、10月初旬には切りかえることができ、雨天時の通行どめ基準がなくなり、一般通行が可能になる予定でございます。
 これらの箇所につきましては、引き続き工事進捗に努め、発災から3から4年程度での完成を目指し、取り組んでまいります。
 次に、熊野地区につきましては、百間谷橋付近上流は国直轄砂防で、下流は県の災害復旧工事で施工中ですが、御質問の県の河川災害復旧工事につきましては、下流から護岸復旧と埋塞土砂の掘削を進めているところであり、平成25年度中の完成を目指してまいります。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。今後とも災害復旧に対して、多大な御協力、御支援をよろしくお願いします。
 続きまして2番目、和歌山のトレッキングと山間観光地への誘客について質問をさせていただきます。
 2012年の総務省の登山客動向では、日本の登山人口は約1200万人。人気の富士山登山のほか、東京高尾山がミシュランに認められるとともに、最近は山ガールブームなどにも後押しをされまして、一部では空前の登山ブームと言われております。
 これらの傾向は、大量消費で物欲を満たしていた時代から、非日常の経験の中で、自己の知的欲求、価値探求を求める時代に変化してきたのかもしれません。
 一方、ここ数年、和歌山への観光の中でも山間部の観光は、大きく苦戦をしております。例えば、田辺市龍神村(龍神温泉・護摩壇山)は、和歌山県観光客動態調査報告では、昨年は10年前の63%、一昨年は84%になっております。
 同様に、どこも山間観光地は苦戦を強いられておる現状ですが、例外がございます。同じく、田辺市の熊野本宮町でございます。昨年は、10年前の165%、一昨年は256%であります。
 要因といたしましては、世界遺産登録があると、そのように思われがちでありますが、高野山が10年前の100%強前後で推移していることを考えますと、明らかにトレッキングや散策などの健康志向が要因で伸びているのかなと思われます。
 田辺市本宮町に置かれております財団法人和歌山健康センター「熊野で健康ラボ」による熊野古道健康ウォーキングなど、それらの取り組みが着実にその成果を上げているのではないかと考えるところでございます。
 現在、専門の出版社からは「和歌山県の山」などのトレッキングの本も出されておりますが、県外から和歌山へのトレッキングの誘致は、観光客動態調査報告書から考察すると、まだまだほんの数%未満であると推測されます。山岳道等の整備充実とあわせて健康志向やヒーリングを重点テーマに注力すれば、10%台まで押し上げるだけの開発の余地があるのではないかと考えております。
 そこで、今後の観光施策の一環として健康志向を軸にしたトレッキングユーザーの山間観光地への誘客、及び誘客の1つとしてカロリー消費量の表示などの実施について商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) トレッキングによる観光振興でございますが、県では、現在、熊野古道や高野山町石道を活用した山歩きによる観光振興に取り組んでおります。
 具体的には、熊野古道健康ウォーキング、10万人の参詣道環境保全ウォークなどを実施しております。
 また、県のホームページでは、時刻、ルート等の検索が可能な熊野古道ウォーキングナビを設け、情報提供を行っております。
 これら以外の山岳等のトレッキングコースの活用につきましては、まだ取り組めていない状況です。
 誘客の可能性のある健康志向のトレッキングのニーズは十分認識しておりますので、今後、市町村等との連携を図りながら、観光振興の観点からトレッキングについて検討してまいります。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 今後とも、山間観光地──今、大変苦戦を強いられております。いろんな施策もお考えになられているとは思いますけれども、ぜひともトレッキングユーザーの取り込みに頑張っていただけたらなと思います。
 和歌山は1382メートルの龍神岳が最高峰でありますが、2012年は辰年ということで、龍神観光協会では「龍(辰)年誘客キャンペーン」として登頂証明書発行プロジェクトというのをされております。シリアルナンバー入りの登頂証明書を発行するものであります。先着2012名様限定でございます。各施設の特典付与型誘客キャンペーンも行っております。ぜひ、こういう取り組みというのも御支援をいただけたらなと思います。
 トレッキングに関してですけども、例えばジオパークでありましたり自然観察会でありましたり、基本はトレッキングからのバリエーションだと思います。ぜひ健康志向の関西圏のトレッキングユーザーの誘客に取り組んでいただきたい、このようにお願いします。
 続きまして、3番のフィルムコミッションについての御質問に移らさせていただきます。
 議長も熱心に取り組みをされておられますフィルムコミッションでございます。
 フィルムコミッションとは、映画、テレビドラマ、CMなどといいましたあらゆるジャンルのロケーション現場を誘致しまして、実際のロケーションをスムーズに進めるための事業、団体でございます。
 映画やテレビドラマなどを誘致することによって、その作品との相乗効果で地域をプロモーションしていけるのと、撮影場所が新しい観光地を生み出したり、地域に対する経済効果、エキストラ、スタッフ等への市民参加による地域活性化が期待できます。
 11月2日から4日まで、田辺・弁慶映画祭が開催されます。きっかけは、やはり7年前に当地で撮影の行われました「幸福のスイッチ」、そして県のシネマーケティングであったかと思います。県の積極的誘致で撮影が実現したわけでございますが、さまざまな経済効果とPR効果、そして何より若者を中心とした映画でまちおこしをしようと、こういう輪が広がったことが大きな成果であったかと思います。
 その後も、順調にドラマや情報番組、旅番組などが撮影されてきたわけですが、その中でつくられた土壌が今の映画祭を支えていると思っております。
 少し変わりますが、日本全体では、現在、JFCという形で100以上のフィルムコミッションが加盟をされております。全国の制作支援のネットワークの強化でありましたり、国内外の撮影の受け入れを初め、日本の映像産業の振興に大変寄与をしております。
 さらには、アジア圏でAFC(アジアン・フィルム・コミッション)という名前で、アジア圏での映像制作の支援や映像産業の振興の活動をされております。
 和歌山県の有する自然や文化、そしてそこに住む人、すべての財産を日本や世界じゅうに映像に乗せて発進していくために、今後、関西ほかのFC(フィルムコミッション)と足並みをそろえると同時に、講演会や勉強会の開催など、和歌山のフィルムコミッション傘下の団体のスキルアップや団体育成に本格的に取り組んでいけないか、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) フィルムコミッションについてですが、本県では、平成18年2月に県観光連盟がわかやまフィルムコミッションを立ち上げると同時に、フィルムコミッションの全国組織ジャパン・フィルムコミッションに加盟し、現在は観光振興課長が近畿ブロック長としてジャパン・フィルムコミッションの理事にも就任、その活動範囲を広げることでさらなる人的ネットワークの強化や各地のフィルムコミッションとの連携を図り、本県へのロケ誘致を積極的に進めているところでございます。
 議員御指摘のように、ロケ誘致の結果、地域に及ぼす経済的効果はもちろんですが、映像を通じて地域のよさを再認識したり、新たな魅力を発掘することで地域愛の醸成や地域振興につながることが期待できることから、地域の受け入れ態勢の強化や担当者等の育成も大変重要であると認識してございます。
 県といたしましては、引き続き県観光連盟と連携を図りながら、勉強会の開催やジャパン・フィルムコミッション主催の研修会への参加を推奨していくことでフィルムコミッション担当者のレベルアップに努めてまいりますとともに、県観光連盟、市町村担当者、地域の方々との連携を強化していくことで受け入れ態勢の充実を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。今後とも、引き続きよろしくお願いします。また、議長とともに頑張っていきたいなと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、4番目の質問に入らせていただきたいと思います。
 この夏は、ロンドンオリンピックでひときわ暑い夏でございました。
 本県出身ですばらしい御健闘をされました選手の皆様、そして体操男子団体銀メダルの田中御兄弟、レスリングの湯元進一選手に、改めて御健闘にお喜びを申し上げたいと思います。
 田辺から田辺ジュニア体操クラブの選手も出場をされておりましたので行かせていただいたのですが、田中和仁選手は、帰国後すぐに8月26日の国体近畿予選に出場をされておりました。本当に、和歌山県、和歌山の体操に深い愛情を持たれておるのだなと感じました。
 レスリングの湯元健一君、進一君も、帰国後、何10カ所も積極的に地域の行事に参加をされて、子供たちに夢と希望を与えてくれております。
 私も、子供2人が、地元の熊野路ジュニアレスリングクラブで永野要佑先生に6年間御指導いただいております。おかげで、運動が不向きに思われた子供たちも、瞬発力とバランス、柔軟性にたけてきまして、今では得意な運動が勉強に好影響を与えるようになってきています。
 少しレスリングのお話をさせていただきますと、直径9メートルの円の中で、1対1で赤と青に分かれて試合をするわけです。
 ヨーロッパ発祥のこの競技は、激しく肉体をぶつけ合う中にも紳士のスポーツとして、常にエチケットには非常に厳しく、試合の際には胸に白いハンカチを、万が一の出血のために備えて差し出すと、そのような習慣があります。
 試合方式は、上半身のみのグレコローマンと全身を対象とするフリースタイルがあります。グレコローマンというのは、ギリシャとローマという意味だそうです。もともと、ギリシャのパンクラチオンという競技が源流になっていると言われております。相手の背後に回ったポイントの合計、もしくは背中をマットにつけるか、つけてのカウントワンで勝敗が決まっていきます。
 日本は、長く国際大会、オリンピックなどでも得意競技として実績を残していますが、近年では、2008年の北京オリンピックでの女子レスリング4階級メダル獲得や本県の60キロ級銅メダリスト湯元健一選手、ロンドンオリンピックでは、湯元進一選手銅メダル、吉田沙保里、伊調馨選手のオリンピック3連覇がありました。
 和歌山県も、過去にたくさんの有名選手が和歌山から輩出され、黒潮国体以降、一時はレスリング王国とまで呼ばれておりました。現在、県内8つの高校で全国レベルの生徒が練習をされており、高校指導者の技術力や育成環境にも高い評価を受けています。
 そして、湯元兄弟も御出身でありますジュニアレスリング──小学生以下です──ここ数年、大きく県内でも広がりを見せる中、8クラブ、200人以上のちびっ子レスラーが在籍してやっております。
 ただ、問題は、中学校でレスリング部がありませんので、継続する環境がない、難しいということで、特に女子は小学校から進む段階でほとんどの選手がやめてしまうというのが先進県との大きな違いであります。
 小学校、高校にあって中学校にない競技、ラグビーなどもそうでありますが、ジュニアクラブから高校までの競技の空白を埋めない限り、今後、国体成績の上昇にはつながらないのが現状であるかと思います。
 質問に移ります。
 平成27年度の和歌山国体を目指して、本県では各地でスポーツ施設の改修や新設が進められております。田辺市でも、南紀スポーツセンターの大改修や新しい弓道場の建設が進められております。地域にとりましては、こうした施設が、国体の成功だけでなく、その後の青少年や地域住民のスポーツ振興につながるものと大いに期待をしております。
 さらに言えば、こうした施設が、地域住民のスポーツ振興にとどまらず、県外からも高校生や大学生、さらにはプロスポーツ選手たちの合宿施設として利用できれば、県内の観光振興や地域振興に、子供たちのスポーツ競技力の向上につなげていけるのではないかと夢を膨らませております。
 スポーツキャンプや合宿誘致の先進県は九州の宮崎県だと伺っておりますが、最近では鹿児島県がスポーツキャンプや合宿受け入れ実績を大きく伸ばしていると伺っております。鹿児島県の統計では、平成22年度の受け入れ実績は800団体で延べ9万5341人となり、過去最高の団体受け入れ数を記録したとありました。
 鹿児島は観光資源が豊富で、その魅力が誘致につながった、そういう説もありますが、私は、それ以上に、官民一体となった受け入れ態勢、積極的な誘致活動が功を奏したものと考えております。
 鹿児島県では、教育庁保健体育課や体育協会、ホテル旅館生活衛生同業組合、バス協会などで官民一体のスポーツキャンプ対策県連絡会議を立ち上げ、事務局を県観光課に置いて誘致活動を展開しております。
 観光課では、「かごしまスポーツ合宿ガイド」を作成し、毎年、京阪神で大学生を相手に合宿誘致のためのセミナーを開催しております。昨年度は、10月6日、大阪で、7日には京都で開催されまして、20の大学、52団体、119名の参加があったそうです。
 学生の方からは、スポーツ施設の利用料金、使用時間、交通の便、宿泊施設の規模、送迎の有無などを合宿候補地選択の条件に挙げておるようでありますが、合宿が長期にわたるため、近くにコンビニがあるか、大型コインランドリーがあるかなども条件に挙げているそうでございます。
 こうした積極的できめの細かい誘致活動に加え、市町村など各自治体では参加団体に補助を出しているところもあり、側面からの支援策も見逃せません。
 和歌山県も、国体を契機にスポーツ施設が整備されつつあります。加えて、観光県ですから、各地に宿泊施設もたくさんあります。京阪神から近い、交通の便もよい、スポーツ合宿の誘致条件はそろっております。
 私は、この際、和歌山県でも、市町村、地域総合型スポーツクラブ、宿泊施設など、関係団体とともにスポーツキャンプ誘致協議会スポーツコミッションを立ち上げ、ワンストップでの誘致に向けた対策を進めるべきではないかと考えますが、企画部長の見解をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) スポーツ合宿の誘致につきましては、競技施設の利用促進につながるほか、食事や宿泊等を通じて地域経済への波及効果も期待できることから、本県においても従来から取り組みを進めているところでございます。
 また、紀の国わかやま国体開催を契機にスポーツ合宿の誘致をより一層推進することは、地域の活性化を図る上で有効な手段の1つであると認識いたしております。
 ただ、スポーツ合宿の誘致は、施設管理者である市町村が宿泊業者などの団体と連携しながら進めている現状から、これらの団体が中心となる形でこのような組織をつくられることが好ましいと考えております。
 県といたしましては、これまでも競技団体や大学、旅行会社などへのプロモーションを積極的に進め、観光振興など地域活性化に努めてきたところですが、今後、市町村、関係団体等が連携して組織の設立に対するまとまった動きがあれば、県としてもその支援について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 そうですね、先進県では、やはり県が主導になって、ワンストップでスムーズに合宿の問い合わせに対応したり、受け入れたりできるようにしております。ぜひとも御一考いただけたらなと思います。
 国体に向けてもそうですが、すぐれた指導者と自分以上の練習相手、これが競技力向上への最短距離であります。そして、県を含めたなでしこジャパン合宿の実績報告から見ても、スポーツ合宿の誘致はいずれにも大きく当てはまります。
 こういう、せっかくこのなでしこジャパンの合宿という大きな経験をされたわけですので、この経験を蓄積して、前面に出して、合宿の誘致に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 特に、セキュリティーを要する女子スポーツの合宿を経験してクリアできたというのは、大きなセールスポイントになるはずであります。地元を含めて汗をかくことになろうかと思われますが、何より子供の経験、次世代スポーツ選手の底上げに大きな効果を及ぼしますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 複数の交渉をワンストップで、そして来るたびに体験、経験から交渉が簡素になっていくスポーツコミッションの存在というものが要るのではないかと思っております。
 これだけたくさん県内の選手がロンドンオリンピックで活躍をいただきました。広告塔といいますか、これからの国体に向けてのPRにぜひとも協力いただけたらなと思いつつ、この質問を終わらさせていただきます。
 続きまして、5番目の殿山ダムの建設推進時における知事の発言についてということで御質問をさせていただきます。
 現在の田辺市、旧大塔村の三川地区や富里地区、紀伊半島大水害の後、各議員にも御視察をいただきましたが、日置川の上流部に位置し、ちょうど紀伊半島南部の中央部分に当たるところです。昨年の紀伊半島大水害で大きな被害を受けました、大規模な土砂災害で大きな犠牲を強いられました熊野地区も、旧大塔三川地区にあります。
 この旧大塔村三川地区には、関西電力の殿山ダムがあることは御存じでございましょうか。
 昭和32年に完成したこのダムは、アーチ式ダムの理想形、我が国で初めてのドーム型アーチ式ダム、上部のオーバーハングが特徴的で、最大出力1万5000キロワット、総工費27億5000万、当時世界最高を誇った70メートルの高落差カプラン水車を採用し、後の黒四ダムの建設に影響した、歴史的にも特筆できるダムでございます。
 しかしながら、幾度の交渉決裂、反対運動、強制収用、このダム建設をめぐって村内が大きく揺れた歴史を知る人は少なくなりつつあります。特に、村外の人々にはすっかり忘れられてきております。
 敗戦後、経済復興と国民生活の回復で電力需要は急速に増大し、冬場の渇水期には供給が対応できず、たびたび停電、さらには朝鮮戦争の特需などによって、26年9月、電力使用制限令が公布され、翌年には電源開発促進法が公布されました。
 当時、県内の電力需要は、3億キロワットに対して1億キロワット、資料にも、「問題にならないほど均衡を失している」と、「主要電源地域から送電されているので、送電中のロスが相当量」とあります。国内、そして和歌山県の電力供給と経済発展のために進めていかれたのが殿山発電所ダム建設計画でございました。
 当時の三川、富里地区は、林業立村でございます。年間50万石の木材生産量と数百人という山林労務者、輸送業者が関連産業で生計を立てておりました。
 山で刈られた木材は、日置川を流されて河口部分の日置で製材されており、もしダムが建設され、日置川を使った丸太流しができなくなれば、木材の出荷は不可能であります。すべての林業者が失業し、人口流出、林業立村としては死活問題であり、河川の丸太流しにかわるトラック輸送のための道路の建設は、当時、当初から出た条件でございました。
 その後、無断伐採や補償問題でダム建設反対運動が大きく盛り上がり、ダムの建設計画は行き詰りましたが、そのとき、当時の小野真次知事が、みずから三川村村民大会に出向き、「村に電気がつき、道路もよくなり、村が発展する」、「ダム建設は、県や国の発展につながるので、知事が責任をとるのでダムをつくらせてほしい」と説得。住民は、「県が責任をとっていただけるのならば」と、全員、ダム建設に踏み切ったのであります。
 水没家屋や田畑の補償、丸太流しの作業員たちの失業補償など、さまざまな問題がありましたが、ダム建設の結果、この地域の公共家屋や民家、合わせて88戸が水没し、多くの人々が村外への移住を余儀なくされましたが、村は、こうした犠牲と引きかえに、知事と県の言葉に沿って国策、和歌山の発展のために尽くしたわけであります。
 ダム建設から半世紀余り。三川地区からは、毎年、道路委員会で西牟婁振興局のほうに要望に伺います。建設部長、副部長に対応いただくわけですが、果たして、こういったダム建設時の背景というものを理解して聞いていただいておるか、こんな疑問を持ちながら帰路についております。
 建設から55年たった今、原点に立ち返り、お約束を確かめたいと思います。
 仁坂知事にお伺いいたします。
 当時の三川村、富里村との間で、「ダム建設は県や国の発展につながるので、知事が責任をとるのでダムをつくらせてほしい」という関西電力殿山ダム設立推進の際の村民大会での当時の小野知事の言葉は、現在も踏襲されておられるでしょうか。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 数10年前の話でありますが、一般論といたしまして、以前の知事であっても、知事が約束したこと、あるいは県が組織として約束したこと、こういうものは現在の県も十分責任を持って約束を守らなきゃいけない、そういうふうに考えます。
 ただし、今の時点で、当時の約束の内容が、今から考えると著しくおかしいと、あるいは県民全体の利益を損なうということであれば、理由をちゃんと説明して訂正をしなきゃいけない、そういうことだと思います。
 そういう場合でも、私自身としては、当事者には約束を破るということになるので、理由を説明するとともに、当事者にはいつも「ごめんなさい」ということを、「これはできません」というようなことを言うとるというのが私の経験でございます。
 したがって、殿山ダム建設に係る小野知事の約束についても同じだと思いますけれども、道路整備や補償問題など、具体的に県や地元と関西電力との間で協定された内容については、ほとんどが履行されていると担当部局からは聞いております。
 なお、御指摘のあったというか、材料にお使いになった当地域の道路整備については、現在の問題として大変大事なことだと思っておりますので、今後とも地元の皆さんの意見も十分お聞きいたしまして、地域振興や防災に資する道路の整備に取り組んでまいりたいと思います。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 すべてが履行されているという御答弁をいただきましたけども、履行中であるというふうに解釈をしながら、再度お聞きをさしていただきたいと思います。
 昭和28年1月10日、小野知事来村に合わせまして、昭和27年12月に監第2121号の3、知事が来られる日に合わせて28年の1月10日という期限で出されております。県からの意見聴取の令が来ておられます。このときの答申を持って村民大会に来られ、「県、国の発展となるのでダムをつくらせてくれ」と、こういうふうに言われたわけですが、その経過というのは当局でも御確認をしていただいておるでしょうか。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大変昔のことでありますから、残念ながら私はきのうまでは読んでおりません。
 ただ、もちろん、答弁の打ち合わせがございますので、担当の者はそれを確認して、先ほど申し上げましたとおり、「道路整備や補償問題など、具体的に県や地元と関西電力の間で協定された内容については、ほとんどすべて履行されておるというふうに思います」というふうに説明を受けておりまして、それは疑うつもりはありません。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 担当部局からの報告をいただいての話ということで今言っていただきましたけれども、この監第2121号の3という文書が市町村に回ってきてるんです。当然、公の文書なんで、村から県へ、当然出した村にも保存されてるかと思うんです。
 過去、歴史をひっくり返して、多大な書類の中からそれを見つけるというのは本当に難しい作業ではございます。けれども、ぜひとも調査のほうをお願いできたらなと。多分その書類自体は今確認されてないと思います。
 そのことも含めて、一度確認をしていただけたらと思うんですけども、調査していただけるかどうか、お聞きしていいですか。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 質問を、あるいは御要望をお聞きしてても、何のためにというのがあんまりよくわからない。ではありますが、せっかくの議場で要請がありましたことですから、部下に命じまして、それをどこかから探し出して、それでちゃんと見るように、そういうふうに申し上げたいと思います。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 何のためかわからないというお話でしたので、もう一度御説明させていただきます。
 やはり、生まれたところ、住んでるところが水の中に沈んでしまうというのは、本当に悲しい思いでもありますし、その当時、本当に田舎──田舎と言ったら悪いですけど、僕も生まれたところなんで──本当に山間部の小さな村やったんですね。その人たちが、国でありましたり県でありましたり、そういう国益の話をお聞きして、自分たちの村をもう水の中に沈めるという決断をされたということは、これはもうすごいことやなと思うんです。
 ダムというのは、今も現状、残ってるんです。水利権の更新なんかもありまして、今後、村とともにずうっとこのダムというのは共存していくわけですね。
 当然、そのダムというのは、耐用年数、建設物ですので、あります。例えば、撤去する、更新するといったときに、当然村の人間が一緒に考えていかないけない。そんな中で、長いことたってしまうと、その当時の背景というのがわかった人間がいないと、こういうふうにもなってきます。現状、本当にその当時の出来事を知られている方というのは少なくなってきてるんです。
 やっぱり、そういうこともしっかり把握した上でダムと一緒に村をやっていくというのが1つあると思うんです。
 当時の言葉というのが存在するかどうか、当然、知事が今、認識されているとおりやと思うんですけども、あいまいになってるんです。
 何のためにということにお答えしますと、当時知事が言われた言葉というのを当然僕も引き継いで、例えば40年、50年たった後の後世の地元の人間に引き継いでいかなければならない。これがもう地元の人間の、生まれた人間の使命だと思っております。だから、御確認をさせていただいたということであります。
 当然そのときの約束事というのは、調べていただいたらわかると思うんですけども、現状にそぐわないところはできていかないというのは、それは当然のことやと思うんです。そういうことを無理にしていただきたいとか、そういうことを言ってるわけではございませんけれども、現在履行中であるというのは、また確認の上わかっていただけたらなと思います。
 わかりにくいですか。地元の使命としてお聞きしたかったなということであります。
○議長(山下直也君) 質問ですか。答弁求めるんですね。(「ほな、どうぞ」と呼ぶ者あり)
 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大変申しわけありませんが、実はそれでもわかりませんでした。
 それで、念のため申し上げておきますと、この知事の約束というのが履行されていないと、けしからんと、約束違反だといっていろんな議論があったというふうには、現在理解しておりません。
 それから、小野知事が、その当時、どういうふうにお気持ちを持たれたかどうか、それは今はその裏のことまでわかりませんけれど、私は現在の知事でございまして、この三川の地域も、実は公私ともにしょっちゅう行っております。山間の方々がどんなに大変な思いをしながら生活しているかということもよく存じ上げております。
 したがって、さっきも答弁で申し上げましたように、現在の問題として、この辺の地域も含めて山間部、過疎地域の整備は大変大事な問題だということで頑張っていきたいと考えておりますと申し上げておきたいと思います。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 すっきり次の問題に移りたいと思います。
 6番目、食料供給都市和歌山県と原子力発電所ということで御質問させていただきます。
 政府が大飯原発3号機、4号機の再稼働を認めたことについて、知事は、去る6月18日の記者会見で「関西の電力危機が大幅に軽減する見通しがついた」と、そして、大阪市長らが提案しておりました夏季限定運転にはこだわらないと述べられました。同時に、「動かして終わりではなく、安全に対する配慮に揺るぎがないようにやってもらいたい」、このように注文をつけられたと聞いております。
 その後の大飯原発をめぐる事態には、不安材料やリスクが高まっているようでございます。大飯原発は安全ということで、7月1日に3号機が、そして同18日に4号機が再起動しましたが、その後、大飯原発4号機が再稼働したその日、18日、経済産業省の原子力安全保安院は、関西電力の大飯原発と北陸電力の志賀原発の敷地内に活断層があるかもしれないということで再調査を指示いたしました。
 両原発の設置許可申請は1980年代半ばに出されたものですが、調査やり直しによって、その当時の国が推進した原子力政策のぬか床状態が浮き彫りにされたわけですが、同じく原発再稼働への手順も驚きであります。安全を確認せずに原発を動かしておいて、この下に活断層があるかもしれないというのは、本当に本末転倒だと言わなければなりません。
 この夏、仁坂知事は原発再稼働を評価され、そして我々も原発からの電力を受けることになりましたが、一方で、それと引きかえに大きな不安とリスクを負うことになったわけであります。
 こうした状況下で、9月7日、関西広域連合は、1、原子力規制委員会及び原子力規制庁を早急に発足させること、2、新しい原子力規制体制のもとに早急に新しい安全基準を策定することなど、5項目の要望をまとめ、政府に対し、大飯原発に関する適切な取り組みを求める申し入れを行っております。
 安全な体制をつくるため、政府や電力会社に申し入れをするということは、それは本当に大切なことでございますが、和歌山県は農業、漁業、林業が基幹産業であります。放射能の風評被害が出るだけでも大きな被害をこうむります。風評被害が出たときどう対応するのか。放射能測定器は十分用意されているのかどうか。県民に対する放射能への教育は十分行き届いているのかどうか。心配材料というのはたくさんございます。
 例えば、ハイレベルな安全が確認されたとしても、第一次産業で成り立つ和歌山県に直接被害や風評被害などリスクを考えますと、原子力発電所及び関連施設というのは許可できない。当然、同じように第一次産業が主軸で成り立つ他府県においても、この発電施設の設置や再稼働はお勧めできない、そう考えますが、知事の御見解をお聞きいたします。
○議長(山下直也君) 谷口議員に申し上げます。
 通告は、分割質問です。ここで知事に答弁を求めるんでしたら、部長答弁はよろしいんですか。できないでしょう。言われるんだったら続けて言わないと、通告は分割で上がってますから。よろしくお願いします。
○谷口和樹君 はい、済みません。そしたら続けて言います。申しわけありません。
 同じように、農林水産部長にお聞きいたします。
 安全性が確認された発電所から順次再稼働すべき、そういう御意見がありますが、農林水産業と原子力発電所は共存すべきでしょうか。農林水産部長にお聞きいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東京電力福島第1発電所の事故は、地元福島の一部等で放射能汚染によって農業ができなくなるというような深刻な被害を与えています。
 また、放射能汚染を理由として、汚染など全くない地域においても外国で不当な輸入制限が行われていて、当県の農産物も、あるいは食品も影響をこうむっております。
 しかし、それは、後者の例ですが、国際法上違反でありまして、SPS協定には科学的根拠を示さないで貿易をとめるようなことをしちゃいかんと書いてあります。
 この脈絡において悪いのは、違法行為を働く外国政府であります。津波や地震で「日本は気の毒に」と言いながらこんな非道を働いていると、これが国際政治の現実であります。
 もっと悪いのは、戦わない日本政府であります。当然、WTOに訴えれば勝てるはずなのに、何もしようとしない。私は、何度も政府にそれを要求しましたが、あんまりはかばかしい行動がなかったというのが現状であります。
 本県においても、そういう意味で、農産物とか加工品の輸出時に海外から産地証明書の発行が求められてその対応に追われるなど、現在でもなお影響を受けております。
 重ねて、この場で申し上げるのは適当かどうかわかりませんが、各国の輸入規制に対して日本政府はしかるべき対応を講ずるようにすべきだというふうに依然として思っております。
 このように、原発には大変リスクがあります。特に、一度事故が起きたら、その影響の深刻さ、範囲の広さというのは大変なものがありますし、また目に見えないという不気味さというのがあって、それが大きく感じられると思います。
 では、他のエネルギー源にはリスクがないかというと、保安や公害あるいは安全という点だけでもいっぱいあります。地球環境や安全保障、それにあんまり言う人がいないんですけれども、料金の高騰が消費者や市民に必ずかかってきます。
 こういうすべてのリスク、そういうものを全部念頭に置いて、その中であるべき政策を誠実に考えて、自分が守らなければならない人々の幸せのためにはどう行動しなきゃならないかということを考えないといけないと思います。
 さっき、ちょっと言い忘れましたけども、電力が万一不足しちゃったらどうなるかという点については、多分、病気の方や体の弱い人なんていうのは、直接命にかかわるようなことになると思います。そういう意味では、起きるかもしれない原発事故のかわりに、必ず起きそうな人命の危険が容易に想像されるところであります。また、生産活動に影響が出たら、それは人々の暮らしに直接影響が出てまいります。
 そういうことを全部考えて、一番よい、あるいは一番ましなものは何かということを考えて行動していくというのが、私は政治だと思う次第でございます。大飯の再稼働への対応は、そういう立場から行わせていただきました。
 もちろん、安全の確認というのは、これでいいといってたかをくくっていたらいいというものではありません。そういう観点から、関西広域連合でもみんなで相談をしましたが、私もそう思っておりますが、規制庁ができたら基準をもう一回見直して、それで再び適合についての審査もして、それで万一おかしいと思ったら、それはしかるべき手をとってくれというのが正しいのではないかと思います。
 なお、福島原発の事故を踏まえると、現状では原発の新規立地は全国的にも大変難しいんじゃないかと思います。その上、和歌山県では、大津波の影響とか、あるいは御指摘のように農業生産に依存するところが大きいという県であるという事情ももちろん考慮しなければならないと、そういうふうに思います。
 よその県のことについては、これはよその県のことで、よその県の方が考えられたらいいと、こういうふうに思います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農林水産業と原発は共存すべきかという質問であったかと存じますが、現在、農林水産業も、安定的な電力供給体制が整わなければ成り立たない時代となっております。
 電力安定供給のために原発が必要であれば、それを前提として県の農林水産業の振興を考えるのが私の立場であると考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 一応、このタイトルの中で、「食料供給都市」、「第一産業が基幹産業で」、このフレーズというのは、立場をわかっていただいて発言をしていただきたいなという私の希望でもありました。
 第一次産業と原子力というのは共存できないと、部長とは違って私はそのように思ってます。当然、自分とこでも共存できんもんは、他府県であっても、日本国内どこであっても共存できんと思います。私の意見はそうであります。
 希望としては、知事もそうあっていただきたいなと思うので、これからも粘り強く原子力の話はさせていただきたいなと思っております。
 原発だけは絶対にだめだとお伝えいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございます。
○議長(山下直也君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、おはようございます。
 先日、食事中に舌をかんでしまいまして、ふだんでもお聞き苦しいところですが、多少お聞き苦しいところがあろうかと思いますが、どうか御清聴のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、紀南地方における東海・東南海・南海地震の津波高の想定についてお伺いをいたします。
 昨秋の台風12号で甚大な被害を受けた紀南地方では、災害から1年が経過した今でも完全復旧・復興とはいかず、大変厳しい状態であります。
 そんな中で、内閣府より発表されました南海トラフ巨大地震・津波の新たな推計は、紀南地方の皆様には大変ショッキングな発表でありました。特に、被災された新宮、那智勝浦、太地、古座川、串本、すさみの各市町の人たちには、追い打ちをかけるような公表でございました。
 巨大地震・津波による死者の数が、全国で最大32万人と予想されました。この死者数、本県では全国で2番目に多い最大8万人と予想され、県がこれまでに公表していた最大5000人を大幅に上回る数字となりました。
 このうち、私の住む串本町では、全国最速の2分で1メートルの津波高の第1波が到着し、4分で10メートルの津波が到達、また最大津波高18メートルと予想されました。このほか、津波高10メートルの到達時間に那智勝浦町と太地では5分、すさみ町14分、白浜町15分などとされています。
 地震が起きてからの津波到達時間が2分や4分や5分では、お年寄りや幼児はもちろん、大人でさえも避難することは不可能であります。
 この公表を受けて、県の半田危機管理監は、今月12日の東南海・南海地震等対策委員会で、「甚大な被害は衝撃的なものであります。ただし、発生確率は極めて低く、1000年に一度か万年に一度か、いつ来るかわからないし来ないかもしれない、そういうものであります。しかし、発生の可能性がゼロでない限り、県民の生命を守るという観点から住民避難を柱とした対策を行うべきです」と説明をいたしました。
 これまで、串本では、第1波6分、最大8.8メートルの津波高の想定で防災対策を行ってまいりました。他市町村も同じで、県発表の想定に従って計画的に対策を練ってきました。公表されるたびに想定が違っては、防災対策は一歩も進みません。
 そこで、危機管理監にお伺いをいたします。
 早急な対策が不可避な現状で、市町村の防災対策の指針となる地震・津波高の想定をいつまでに行うのか。現段階で結構ですので、お答えをください。
○議長(山下直也君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 地震・津波高の想定についてお答えをいたします。
 県では、国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキングの代表を務める河田関西大学社会安全学部長を会長とした和歌山県地震・津波被害想定検討委員会から助言をいただきながら、現在、被害想定の策定に取り組んでいるところでございます。
 県の被害想定は国の津波断層モデルと同じものを使用いたしますけれども、地形、構造物、土地利用の状況等、より詳しいデータを反映することとしており、今回、国が公表したものに比べて、より精度の高いものとなります。
 国の作業のおくれもあるため、県の作業を行うために必要なデータの入手もおくれているところでありますけれども、来年3月に津波高や被害想定をお示しできるよう、現在、鋭意作業を行っているところでございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 どうもありがとうございました。
 これは、正確性はもう大層、一番大事ですけれど、いつ来るかわからないというこの地震、一日も早く策定のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 次に、地震・津波観測監視システムについてお伺いをいたします。
 今月4日の「日経新聞」の巨大地震についての記事によりますと、独立行政法人海洋研究開発機構は、平成27年度までに地震計や津波を探知する水圧計を備えたシステムを紀伊半島沖から高知県の室戸岬沖の海底に設置し、これを現在東海地域で稼働させているシステムとあわせて稼働させることにより、地震で最大10秒、津波では最大10分も早く検知できるようになると紹介されていますが、どのような予測ができるのでしょうか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 地震・津波観測監視システムについてお答えいたします。
 この地震・津波観測監視システムは、沖合の海底にセンサーを設置することにより、リアルタイムで津波の進行方向や規模などを観測でき、これにより、津波発生から陸地到達までの時間や到達規模が従来より早く観測できるというふうに聞いてございます。
 今回の10分早く津波が検知できるとの記事は、昭和21年の南海地震の場合の破壊開始点と陸地観測との時間差であり、南海トラフの巨大地震を想定したものではないということでございました。
 いずれにいたしましても、このシステムが稼働し、情報提供が行われれば、大きな減災効果が期待できるものと考えております。県では、このシステムの整備と解析システムからの予測情報の伝達手段を早期に整備するよう、国に対し要望しているところでございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 今の答弁で、このシステムについてわかりましたけど、震源地から離れている地域には津波高もわかり大変有利だなと、津波到達時間が短い紀南地方の私たちの住む場所では余り芳しくない、そういったシステムじゃないかなと、そういう感想を持ちました。
 次に、地震や津波の予知対策の推進についてお伺いをいたします。
 予知については、国はもちろん、東大、京大を初め私立の総合大学など、官民の多くが研究に取り組んではおりますが、予知を出せるのは気象庁だけで、法的整備のあるのは東海地震だけだと聞いております。
 一方、大学などで予知は既に進んできています。その大学の中で、東海大学海洋研究所地震予知センターでは、電磁波の異常が起きる前に起こる電磁現象と、地面など物が壊れる直前の状態を判断できる物理学の臨界現象を調査研究しています。
 同センターの長尾教授によりますと、「地震予知機という機械はないので、地震学だけでなく、測地学や地下水の情報、コンピューターシミュレーションなど複数の手法を組み合わせることで異常を計測することが大事です。今の日本ではできていないので、東海大学ができるようにしたい。5つのうちの4つに異常があれば──その5つといいますと、電磁気学的異常、地震活動、地殻変動、地下水(地球科学で宏観異常)、動物の異常行動などでありますが──『8割の確率でマグニチュード何々クラスの地震が来る』、『地震が近い』と言える。100%は断言できないが、科学なのでトレーニングをして計測することで精度は上がります。地震の前兆現象がわかってきていますので、情報はいろいろ出せるのですが、発表システムがないのです」とおっしゃっております。
 また、2003年の「産経新聞」の記事ですが、東京都は、地震予知は国に任せてはおけない、東京が独自でする、そういう内容の「東京都、地震予知に挑戦」という報道もあったぐらいです。東海大学がその委託研究を受けていたそうでございます。
 本県でも、京都産業大学コンピュータ理工学部の筒井稔教授やスタッフが、白浜町や、最近では串本町の樫野に、地中のプレートの活動や活断層のずれによって生じる電磁波を探る高感度のセンサーを配置するなどして研究に取り組んでおります。
 いろいろな分野で地震予知の研究が進んでいます。1000年に一度、万年に一度の地震・津波が来ようと、予知ができれば死者の数を大幅に減少することができます。県民の生命、財産を守る有効な地震の予知をどのように考えておりますか。危機管理監にお答えを願います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 地震予知について、県としてどのように認識してるのかということにお答えをいたします。
 地震の発生をあらかじめ知ることができれば、最も効果的な防災対策でございます避難につなげることができ、とりわけ津波到達までの時間が短い紀南地方にとっては、被害を大きく減らすことができるものと思われます。
 残念ながら、地震の正確な予知については、最新の科学的知見をもってしても極めて困難であると言われておりますが、今後も地震発生予測等の減災につながる研究開発を積極的に行うよう国に対し強く要望していくとともに、さまざまな機関による調査研究の動向にも注視してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 いろんな地震予知をやってる、そういう情報、国にも伝えてくれるという御答弁ですが、地震の予知というところで、ちょっと皆さんに知っていただきたいんですけど、8月の16日に「朝日新聞」にも「予知の理想と現実に悩む」ということで載っておりました。
 普通、地震学というと、やっぱり我々は予知が主だと、そういうふうに思いがちだと思うんですけれど、その地震の学会のほうでは、海底の地震計であったり、どこでどのぐらいのものが、近い将来じゃなしに長期、短期の中でこの確率で起こるだろうという、そういったものにお金がほとんど使われている。この11年、12年度の計で約800億近くの予算が使われていますが、予知研究の計画予算というのは、わずか4億円です。これを各大学に配りますと、本当に予知の研究にはお金は回っていないというのが現状で、今の科学ではだめだというんではなしに、そういうことをしない方向で動いている。何か地震ムラがあって、そこの力が強くて、ほとんどそっちに国の予算が使われてると、そういうのが現状じゃないかと思うんです。
 それで、一般の人は、地震のことを研究してくれてると考えて。だれだって、地震の大きさやなによりも、いつ来るかを知りたいのは、これはもう人間の本能です。そのほうにお金が使われてないというのが現状ですので、どうか、それも含め、強く国のほうに要望をしていただきたいなと。
 そして、その地震予知、よく言われますナマズが騒ぐとかいう、そのような話がオカルト的に伝えられていますけど、幾つかの事例がありまして、九州大学なんかも井戸を6カ所掘ったんです。でも、その6カ所というのは、地震の予知のために掘ったんではなくて、別の次元で6つの井戸を掘ったときに、福岡県の西方沖で地震が起きました。そのときに、大きな地震と5回の割と大きな余震があったんですけど、そのたびに数日前から、やっぱり直前に異常が見られた。それは5回とも、本震も余震も全部そういうのがあらわれた。それで、福岡の九州工業大学では、今度、もしこういう事例があると記者発表しますとまでおっしゃっております。
 また、今、阪神大震災のときなんかも、その電磁波の現象ですべての放送が聞こえなかったぐらい雑音が出たという、やはりそういう前兆現象が伝えられております。
 それに、これも少し前ですけど、東京都が地震予知に取り組むんだと言った、それの前の宮城県北部の地震のときにでも、やはり電磁波の異常と、それとガス臭いという、この2つの事例が出て、東京都と東海大学の教授が仙台のほうで何か起こるかもしれませんねという話をしたという、そういう報道もございました。それで、そのガス臭いのは、やはり明らかに断層沿いでの証言が非常に多かったと、そういう事例もございます。
 また、今は、国交省のほうで国土地理院がGPSによって地殻変動の測定を24時間ずっとやっておりますが、今、ちまたでは、そのホームページに載せてる地殻運動のあれが載らなくなると地震が来るのではないか、危ないんじゃないかというぐあいに言われているそうでございます。
 また、地震学会の予知研究の検討は、日本だけでなく、国際的にもずっとやっていかなくてはいけないと地震学者の方も言ってますけれど、日本の地震の方向というのは、やはり予知の方向にかじを切っていただきたいなと思いますので、強く国のほうにも要望してください。
 私は、私たちのように1分、2分、5分、6分で津波が来るんだと言われる地域の者にとっては、本当におぼれる者わらをもすがる、そんな気持ちなんです。もう知事室にナマズを飼っていただきたいと、そう思えるぐらい切実な気持ちで毎日を送っております。それだけ、済みません、御要望をしておきます。
 続きまして、知事にお伺いをします。
 内閣府が公表した南海トラフ巨大地震被害想定は別にいたしましても、県が3連動地震で試算した地震、津波も大変大きなものであり、県民はこれから大変な不安を抱えて生活しなければなりません。県民の生命と財産を守るトップとして、県民に対して、南海トラフ巨大地震に立ち向かう知事の覚悟をお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回公表されました南海トラフの巨大地震の想定は、発生時期を予測することはできず、また発生頻度は極めて低いとされていますけれども、起こる可能性がある以上は、県民の生命を守るために対策を怠ることはできないと思っております。
 このような巨大な津波を、防波堤のような構造物で影響を小さくするということはできても、全部防御するということは不可能でありますので、逃げるということが対策の中心になってまいります。
 しかし、県南部においては、極めて短い時間で大きな津波が到達する可能性もございまして、議員御指摘のように、壮健な大人でも避難することが困難なことも考えられます。これらの地域では、将来的な高台移転など、まちの構造から変えていくということも検討する必要があるんじゃないかと思っております。
 これは、まだ被害に遭ってない状況のとこで考えるわけですから、大変難しい問題でありますけれども、難しいと言ってたたずんでいる権利は県庁にはないと思います。したがって、一生懸命考えて、また関連市町村ともよく相談をして、来年度の新政策で芽を出せるように検討していきたいと考えております。
 一方で、これまで県が想定してきた東海・東南海・南海の3連動地震に対するハード・ソフト対策についても、着実に進めていかなければなりません。こちらのほうは、科学的に言えば約100年に一回必ず来るというわけでございますので、しかもかなり大きいものが来るということを前提にして考えていかなきゃいけないので、これは着実に進めなきゃいけないと思います。
 現在、和歌山県地震・津波被害想定検討委員会において、これら2つの想定を行っているところでありまして、その結果を踏まえて、県民の生命を守るために全力で取り組んでいく所存でございます。
 県民の皆さんにおかれましても、住宅の耐震診断とか耐震補強あるいは家具の固定、家族で避難先を話し合って避難路を確認したり避難訓練に参加するなど、できることはたくさんあると思いますので、今回の想定を正しく恐れて、被害を少なくするための取り組みを進めてほしいと考えております。
 また、大規模災害に備える命の道としても、高速道路などの幹線ネットワークの整備あるいは防御施設の整備、そういうものを急がなければなりません。県民の悲願である紀伊半島一周高速道路については、すさみ─太地、新宮─大泊についても計画段階評価が行われておりまして、大きな一歩をようやく踏み出したところでございますけれども、これはできてしまわないと安心できないわけですから、今後も一日も早い事業着手を国に働きかけていく所存でございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ナマズを忘れないように、命をかけてよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、今後の観光施策についてお伺いをいたします。
 災害後の観光客動態調査を見ますと、平成23年の県内の宿泊者数は約433万人で、平成22年と比較して85.2%、日帰り客数は約2327万人で89.9%という結果になっており、また被害の大きかった田辺市本宮地域及び那智勝浦地域ですが、台風直後の10月では、本宮地域が対22年比約35%、那智勝浦地域が約50%に減少していましたが、本年7月には、本宮地域で対22年比約85%、那智勝浦地域では約95%まで回復と聞いております。災害後、大変厳しい状況下で、よくぞここまで当局の皆さんには大変頑張っていただきました。
 また、紀南観光の復旧・復興を図ろうと、昨年末から今年度にかけて、県庁の皆さんらは、あらかじめ県外で予定していた職場旅行を勝浦温泉に変更したり、和歌山市やその周辺での忘年会や新年会を勝浦など東牟婁地方などで開催をしたりしてくれました。
 また、東牟婁振興局では、東日本大震災以来、落ち込みの激しい管内での宿泊客をふやそうと、職員に勝浦などでの家族旅行を呼びかけたり、親戚や知り合いにも声がけするなどして紀南観光の復興に一役を買ってくださいました。振興局のある幹部は、一昨年からことしにかけて月に平均2回、多いときは4回、勝浦温泉などに宿泊したとのことであります。
 知事を筆頭に、県挙げての取り組みのおかげだと思います。心から感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、これに満足することなく、前年比100%以上を目指し、より一層の努力をしていただき、今後の施策にも力を発揮していただきたい、そのように思います。
 そこで、商工観光労働部長に、これからの観光施策についてお答えをお願いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 今後の観光施策についてですが、まず団体客対策として、来年の伊勢神宮式年遷宮からの誘客の取り組みを実施しています。具体的には、確実に伊勢参宮旅行等を実施する神社関係者に対し、和歌山への来訪を御案内した知事メッセージを送付後、現在、全国の主要神社、熊野関係神社の訪問活動を行っており、既に30都府県、約300社を数えます。引き続き、訪問活動を実施するとともに、一般向けにメディアへ展開してまいります。
 また、年金旅行については、継続して多くのお客様にお越しいただけることから、現在、東海地方を中心に信用金庫への訪問活動を実施しているところです。
 さらに、高野山町石道や熊野古道の保全と活用を目的とした参詣道「環境保全」活動の一環として企業のCSR活動を推進しており、関西の企業に対し、企画提案活動を実施しているところです。これらの取り組みについても、強化してまいります。
 次に個人客対策としては、JALとのタイアップ企画として、機内誌「Skyward」10月号での特集や東京でのイベントを開催するほか、JRと協働による京阪神や東海におけるプロモーション活動、NEXCOとのぽかぽか和歌山キャンペーン、アウトドアメーカーや南海フェリー等とのタイアップキャンペーンなどを実施する予定です。
 さらに、11月4日は高野・熊野夢舞台コンサートを熊野本宮大社大斎原にて、11月21日からは首都圏にて大型キャンペーンを実施するなど、メディア、旅行会社、一般消費者に対して情報発信を強化してまいります。
 これらの取り組みには、パンダ誕生を契機としたパンダプロモーションをあわせて実施するとともに、地域の関係者にも参加いただき、取り組んでまいります。
 平成25年には伊勢神宮式年遷宮、平成26年には世界遺産登録10周年を契機とした和歌山デスティネーションキャンペーンの開催、平成27年には高野山開創1200年、紀の国わかやま国体と、本県の観光振興にとって大きな契機となる祭事が続きます。既に、伊勢神宮式年遷宮の取り組みについては開始したところであり、また、世界遺産登録10周年を契機とした和歌山デスティネーションキャンペーンについては準備作業中です。
 今後、高野山開創1200年のプラン作成に取りかかるとともに、紀の国わかやま国体に向けたおもてなしの充実を図るなど、これからの3年間に向け、観光資源の魅力の向上や効果的に連動した観光キャンペーンの実施により本県への誘客拡大に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御丁寧な御説明をどうもありがとうございます。心意気が脈々と伝わってきましたので、ぜひより一層頑張っていただきたいと、そのように思います。
 次に、太地町「森浦湾くじらの海構想」についてお伺いをいたします。
 捕鯨のまちとして知られる太地町が、町内の森浦湾の一部を網で仕切って鯨やイルカを放し飼いにする「くじら牧場」の構想を発表いたしました。阪神甲子園球場のおよそ7倍の規模で、町によると、世界的にも例を見ない試みだと言っております。
 観光客らがカヤックで鯨と遊んだり、海水浴場で一緒に泳いだりでき、鯨の研究施設や古式捕鯨を再現する施設の建設なども周辺に構想、町全体を鯨を中心とした公園とし、観光客誘致や生態研究を目指す、太地に行けば鯨のすべてがわかるようにしたいと町長は言っております。
 心がわくわくしてくるような構想で、紀南地方にとっては大変明るい話題で、紀南は盛り上がっております。落ち込み激しい紀南地方はもとより、和歌山県の観光の目玉にもなる構想だと思います。白浜のアドベンチャーワールド、太地のくじら牧場となるように、ぜひこの構想を実現させたい、そのように思います。
 財政面も含め、全面的にバックアップしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。企画部長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 森浦湾鯨の海構想につきましては、太地町が平成18年に発表した太地町くじらと自然公園のまちづくり構想を具体化するものとして、検討段階から県も参加した森浦湾鯨の海構想検討委員会が本年3月に策定したものでございます。
 構想の内容は、森浦湾の一部を網で仕切って小型の鯨類を放し飼いに近い状態で飼育するとともに、海水浴場や遊歩道等の施設を整備し、森浦湾を鯨と人の触れ合いといやしの場、世界屈指の鯨研究のメッカとすることで地域の活性化に結びつけていこうというものであり、大変有意義なものであると考えております。
 構想の実現によって観光客の大幅な増加が見込まれ、太地町はもとより、隣接の那智勝浦町、紀南地方の観光振興に大きく寄与するものと考えてございます。
 県といたしましては、太地町と十分協議しながら、構想の実現に向けて積極的かつ全面的に協力してまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 検討段階から加わっていたと。本当にうれしく思いましたので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、教育問題について質問をします。
 最初に、いじめ問題についてお伺いをいたします。
 今、日本各地から、いじめによる自殺や傷害事件が連日のように報道され、大きな社会問題となってきています。どのような理由があったとしても、いじめによって子供がみずから命を絶つことはあってはならないことです。子供の命を守り、このような痛ましい事件を二度と起こしてはならないという気概を、学校、教育委員会などの教育関係者がしっかりと持って対応すべきです。
 本県では、先日発表されたように、平成23年度のいじめの認知件数は、公立学校で97件と全国的には少ないようですが、決して楽観視できる状況であるとは思えません。県当局の迅速かつ適切な対応が今こそ求められていると考えます。
 そこで、まず知事にお伺いをします。
 社会で大きな問題となっているいじめ問題について、どのように感じられていますか。また、どのような対応が必要だと考えられていますか。御答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) いじめ問題にかかわってさまざまな報道がなされておりますけれども、学校の対応が不適切だと感じることも大変多く、残念に思っております。
 いじめは、人の命にかかわる重大な問題であり、いかなる理由であれ、人間として絶対に許されることではないというふうに思います。しかし、現実に子供社会の中ではいじめは起こっており、そのため、つらく苦しい思いをしている子供たちがいるのも事実であります。その子供たちを一日も早くいじめから救うために、私たち大人が真剣にこの問題と向き合わなければならないと強く感じております。
 いじめ問題は、教育の大きな問題であります。教育は、最も大事な県の政策であります。したがって、本件を教育委員会だけの問題とするつもりも全くございません。あるいは、教育委員会の制度が悪いから県知事は手を出せないんだなどと言うつもりも全くありません。県も、主体的かつ積極的に取り組むべき問題であると認識しております。
 まず、いじめに関する実態をきめ細かくつかむためには、学校が子供たちにアンケートを実施することが有効だと考えておりまして、これについては、我が教育委員会が既にアンケートについて、公立学校でございますけれども、小中高の公立学校でその実施をいたしております。今後は、私立学校にも協力を仰ぎながら、こういうことでちゃんとした実態をつかもうとしようと思っております。
 学校長がこれについてきちんと把握するというのはもちろんでありますけれども、教育委員会あるいは市町村の教育委員会、あるいは私学の場合は県の総務部、そういうところがきちんと学校当事者にヒアリングをして、それでその当事者が気がついてなかった、あるいは、考えたくもございませんが、当事者がひょっとしたら隠そうとしているようなこと、そういうものをきちんと発見するということも必要だと思います。したがって、学校へのヒアリングを実施するということをやりたいと思います。
 さらに、なかなかこのいじめ問題というのは対応が難しいと本当は思います。したがって、教職員がいじめ問題に適切に対応できるように、いろんな知恵を集めて、マニュアルを教育委員会に早急につくってもらって各学校に配布するということをやりたいと思っております。
 次に、いじめが起こったときに、学校の教職員がまず子供たちに向き合うということになるわけであります。ここが逃げていては話にならんし、教職員の代表として校長先生の責任も重いと思います。
 しかし、子供たちも、いろいろな研究によれば、いじめを受けていることを学校に相談しなかったり、あるいは親にも言いたくなかったりするというケースもあると思いますし、仮に言ったとしても学校の対応に十分満足できなかったりするようなケースもあると思います。そのために、学校以外に相談できるような窓口、これをつくっておくということが大事だと思います。
 そこで、県としても、県内でいじめに苦しんでる子供や保護者等の声をしっかり受けとめていくために、直接私が意見を聞きたいと思っております。既に、現在開設している「知事へのメール」というのがありまして──私は全部目を通しております──いじめに関する問い合わせをここで受け付けますからということを広く県民に知らせることにしたいと思っております。寄せられた訴えについては、教育委員会と連携しながら、その解決に私たちも全力を挙げたいと思います。
 また、いじめ問題への対応を直接担うのは、もちろん教育委員会でございますので、教育委員会でも同様に、教育長あてのメールで相談できる窓口を設けてもらうように教育委員会に申し上げております。「知事へのメール」のほうは、もう既にあるんですけれども、教育委員会のほうはなかったもんですから、今、これを大急ぎでつくって、それで教育長に言いたいときは教育委員会、それから私に言いたいときは「知事へのメール」ということで言ってくれて結構であるというようなことを周知したい、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 いじめられてる子供の根性焼きのあれとかを見ると本当にかわいそうで、亡くなった方のことを思うと、どうしてあんなことするんだろうなあという、そういう気持ちになります。それで、やはり県も教育委員会だけに任すんじゃなしに、知事もやりますよという御決意いただきましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、いじめの一連の報道に対する感想と対策、学校評価についてお伺いをします。
 いじめに関する報道を見るにつけ、学校や教育委員会の対応に大きな疑問を抱きます。
 滋賀県大津市での市立中学校2年生の男子の自殺に対する教育長の対応、また仙台市私立高校2年生男子生徒が同級生から腕にたばこの火を押しつけられる根性焼きなどの校長の対応、テレビ、新聞などで大々的に取り上げられ、隠ぺいが非難される中、今月の17日朝刊に、兵庫県川西市県立高校2年生男子が自殺した問題で、いじめられていた事実を知りながら不慮の事故ということで生徒たちに説明したいと親に告げ、断られ謝罪した。我々県民には信じられない報道であります。
 このようなことが起こらないよう、また一たびいじめが起こったならば、学校や教育委員会が迅速かつ的確に対応できるよう、何か対策はとれなかったのでしょうか。いじめられている子供を救うために対策が急がれます。
 また、テレビのコメンテーターは、いじめがわかると学校の評価が下がるからいじめがあったとは言わない、いじめを見つけてきちっと解決したことを評価するような制度にしないとこういう問題はなくならない、そのようにおっしゃっております。
 そこで、教育長にお伺いをします。
 一連の報道を見て、どのような感想をお持ちですか。また、いじめを防ぐために新たな対策はお考えでしょうか。さらに、いじめが発覚すると学校の評価は下がるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめの一連の報道に対する感想と対策並びに学校評価についてお答えします。
 いじめについて、連日のように報道されておりますけれども、子供の安全・安心を最優先すべき学校において、子供からのサインが見過ごされ、大変悲しい結果を招いてしまっていることをまことに痛ましく感じております。
 一連の報道等の情報を見る限り、学校や教職員が問題の本質としっかりと向き合っていない様子がうかがえて、同じ教育に携わる者として、また、問題の本質から目をそらしてはいけないと考える和歌山県教育委員会といたしましては、本当にじくじたる思いがいたしております。
 いじめは、人間の尊厳、また人権にかかわる重大な問題であり、断じて許されない行為であります。
 子供や保護者が悩みや不安を抱いたときに早期発見、早期対応ができるよう、学校以外にも相談できる窓口を大きく広げていくことも必要だと考えてございます。
 県教育委員会といたしましては、子供の実態を正しく把握するため、各市町村教育委員会の協力を得ながら、県内すべての学校に対してヒアリングを行うだけでなく、知事の先ほどの御答弁にもございましたように、いじめを初めとするさまざまな教育問題に対応すべく、教育長あてのメール相談窓口を新たに開設することといたします。
 いじめにかかわる相談に対しましては、子供や保護者の願いをしっかりと受けとめ、市町村教育委員会や学校及び警察等、関係機関とも連携しながら、解決に向けて全力で取り組んでまいります。
 また、いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こり得る問題です。学校は、いじめが発覚したか、しなかったかによって評価されるものではなくて、いじめを認知した際、その問題に対して迅速かつ誠実に対応することはもとより、その問題の背景にあるものを含めて状況を的確に把握し、関係者が一体となって取り組んでいくことが評価されるのだと考えてございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 力強い御答弁、ありがとうございました。
 いや、ああいう態度をとる校長初め教育長、本当にしてないとなれば、同じように思われて大変腹立たしいことだろうかと思うんです、同じ立場にある人間として。でも、そのいじめの問題、やはり我々住民も見逃すことなく、協力して取り組んでいかなくてはいけないんだろうなと、そのように思います。ともに頑張っていきましょう。
 次に、コミュニティ・スクールについてお伺いをします。
 平成16年6月、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参加することを可能とするコミュニティ・スクールが導入されました。
 コミュニティ・スクールとは、保護者や地域住民が教育委員会に任命される委員で構成される合議制の機関である学校運営協議会を通じて、校長の作成する学校運営の基本方針の承認、学校運営全般について教育委員会、校長に意見を述べることなど、一定の権限と責任を持って学校運営に参画する、そういう仕組みであります。
 平成23年4月1日時点では、コミュニティ・スクールの数は2県99市区町村789校となっております。
 文部科学省では、学校と地域が一体となって子供をはぐくむ「地域とともにある学校づくり」の有効な仕掛けとして、コミュニティ・スクールを今後5年間で約3000校に拡大する目標を策定し、設置促進を図っていると聞いておりますが、コミュニティ・スクールの県の取り組みについて、その現状と成果、今後の方向性について教育長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) コミュニティ・スクールについてお答えをしたいと思います。
 本県では、平成14年度から平成22年度まで、4地域6つの小中学校で、国が制度化したコミュニティ・スクールの研究を進めてきましたが、現在、コミュニティ・スクールとして新宮市立光洋中学校がただ1校、学校運営協議会を設置し、地域とともにある学校づくりに取り組んでいるところです。
 これまでの研究を通して、各学校からは、コミュニティ・スクールというのが地域の方々の学校に対する信頼や理解を深め、地域で学校を支えようとする機運を高めることができたとの報告があります。その一方で、地域によっては、地域住民の参画への偏り、それから継続的な取り組みを進めるための人材や経費の確保、学校運営の参画のあり方など、さまざまな課題が指摘されてきております。
 コミュニティ・スクールの設置につきましては、市町村教育委員会の判断によるところでありますけども、本県としましては、コミュニティ・スクールについて、指摘されてる課題等を考慮しながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 どうもありがとうございます。
 次に、地域共育コミュニティについてお伺いをします。
 本県教育委員会では、コミュニティ・スクールと並行して、平成20年度から、学校、家庭、地域が子供を取り巻く問題や教育の課題、願いを共有し、共同して解決に取り組む地域共育コミュニティの形成を進めていますが、現状と成果、今後の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 地域共育コミュニティについてお答えします。
 県教育委員会では、平成20年度から、子供も大人もともに育ち、育て合い、地域のつながりを再構築することを目指した地域共育コミュニティづくりを進めております。
 各市町村では、図書室ボランティアや登下校の見守りなど、地域住民が学校教育活動を支援する学校支援ボランティアの活動や、学校と地域が合同で清掃活動を行うなどの取り組みが行われております。
 早急な津波防災対策が必要な串本町や那智勝浦町などでは、子供と大人が地域防災について話し合い、地域を挙げた避難訓練が行われております。
 また、昨年度からは、県内の8割を超える小中学校において、学校と地域住民がさまざまな課題について語り合う共育ミニ集会を開催しております。
 子供たちへのアンケート調査によれば、本県の子供たちは、地域共育コミュニティの取り組みが始まる前に比べ、「近所の人に会ったときにあいさつをする」、「人が困っているときには進んで助けたいと思う」、「人の役に立つ人間になりたいと思う」などと答える割合がふえてきております。こうした取り組みを通して、子供たちが多くの大人と出会う中で、人を思いやる気持ちや、だれかの役に立ちたい、だれかに必要とされたいという豊かな心がはぐくまれるなど、着実に成長していることがうかがえます。
 今後も引き続き、学校と地域が結びつき、子供たちの豊かな育ちと学びを支える基盤をより強固なものにするためにも、市町村教育委員会と連携しながら、地域共育コミュニティの充実に向け、積極的に取り組みを進めてまいります。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 大変いい取り組みだと思いますので、ぜひ続けてください。独居老人も多い中、子供たちと話できる、そういう人も大変喜ぶんじゃないかと思います。福祉の面からも非常に有効だと思います。よろしくお願いします。
 次に、全国学力・学習状況調査についてお伺いをいたします。
 この調査の目的、教科に関する調査では、平成22年度は、小学校では、国語A、B、算数A、Bともに全国平均正答率を下回り、中学校調査では、国語A、B、数学Bともに全国平均正答率を下回り、数学Aが若干全国平均正答率を上回る状況にある。
 平成23年度は災害のために中止、平成24年度には初めて理科も追加されましたが、やはり全国平均正答率を下回り、国語、算数ともに22年度と変わりません。
 一方、生活習慣や学習習慣に関する質問調査におきましても、例えば児童問題では、「家で学校の授業の予習をしてますか」、「授業ではノートを丁寧に書いてますか」など、生徒質問では、「家で学校の宿題をしていますか」、また「学校の規則を守っていますか」などがありますが、全国平均を下回っているものが多く見られます。
 この調査結果を見て何が見えてくるのか、教育長の所見をお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国学力・学習状況調査等の結果についてお答えします。
 本年度の全国学力・学習状況調査の結果、本県の児童生徒の学力は、議員御指摘のとおり、全国平均に比べ低い状況にあり、特に国語、算数、数学のB問題で問われている根拠を示しながら説明する力、みずからの考えや意見を整理し表現する力など、知識を活用する力に大きな課題があるととらえています。また、学力の基盤となる生活習慣や学習習慣が十分に身についていないという現状もあります。
 県教育委員会としましては、これらの結果を大変厳しく受けとめ、市町村教育委員会と一体となって対策の強化に取り組まなければならないと考えております。
 本県では、これまで、中学校のすべての国語科教諭を集めての研修を実施するなど、教員の授業力の向上のため研修の充実を図るとともに、ノート指導を通した授業改善や補充学習の徹底等に取り組んでまいりました。その結果、とりわけ課題の多かった中学校国語の平均正答率が着実に改善されつつあります。また、小中学生への学習や生活等に関する調査においても、目的意識を持って主体的に学ぼうとする子供が増加する傾向があらわれ、成果もあらわれてきております。
 今後も、わからない子を取り残さない、伸びる子はさらに伸ばすという方針のもと、これまでの中学校教員研修の成果を踏まえ、小学校教員を対象とした研修の拡充を図ることで授業改善を進めるなど、学力の向上に向けた取り組みを一層進めてまいりたいと思ってございます。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 次に、全国体力・運動能力・運動習慣等調査結果についてお伺いをします。
 同調査も、全国学力等調査と同じように全国平均より下で、小学校5年生も中学2年生もともに芳しくないのが現状です。年々、少しずつ点が上昇ぎみですが、全国平均も上がっていて、差と順位は余り変わらないように思います。
 本県の同調査結果の実態と傾向、課題を教育長にお伺いをいたします。時間が迫っているので、早目によろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国体力・運動能力、運動習慣等の調査結果についてお答えします。
 議員御指摘のとおり、本県児童生徒の体力は、全国と比較すると低位にあり、その差は小学校よりも中学校のほうが大きくなる傾向が見られます。
 また、国の調査では、運動・スポーツの実施時間や睡眠時間が長い子供、毎日朝食を食べる子供のほうが、そうでない子供に比べて体力合計点が高くなるということが示されており、運動習慣や生活習慣の確立が体力の向上につながることが明らかになっております。
 教育委員会では、体力は心と体の健全な発達を促し、生き抜く力の根源であると考え、平成21年度から紀州っ子の体力向上支援委員会を設立し、教員の指導力アップを図る研修会を開催したり、運動習慣の定着を目指して縄跳びの回数や一輪車でのタイムなどを競うきのくにチャレンジランキング事業を展開するなど、学校体育の充実や運動機会の拡大に努めてまいりました。
 その結果、体力・運動能力は、どの校種においても徐々に向上する傾向はあります。しかしながら、小学校から運動する子供としない子供に分かれる二極化傾向や中高女子の運動離れなど、運動習慣にも課題が見られます。
 今後は、子供や保護者がスポーツや健康の重要性を理解し、進んで運動やスポーツに親しむ子供を育成するため、創意工夫を凝らしたさまざまな施策を展開し、本県の児童生徒の体力向上に向けてより一層取り組みを強化してまいります。
○議長(山下直也君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 済みません、ありがとうございます。
 いろんな施策をやっていただいて、体力も学力のほうも上がってるかと思うんですけど、秋田県や福井、いつも学力のほうも上位でありますし、運動のほうも上位であります。何か、やはりそこに特別なものが何かあるんじゃないかなという感じがします。
 一応いろんな施策はしてますけど、やはり一番違うのは生活習慣のような感じもいたしますので、ぜひその辺の調査もしていただいて、和歌山県の学力、それとまたやっぱり体力もぜひ上昇さしていただきたいと思いますので、これからも一生懸命頑張っていただきたいと思います。
 以上で、質問を終わります。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、9月24日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午前11時54分散会

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