平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後0時59分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 第1の柱は、和歌山市紀伊地区にある盲学校用地に都市計画道路西脇山口線がかかって校地が削られるという問題であります。
 問題は、敷地が削られて狭くなるというだけではありません。視力障害者の皆さんは、音を頼りにスポーツをします。盲人野球というのは、ピッチャーからバッターにボールを転がして、地面との摩擦音を頼りにボールを打ち、守備側はボールを追いかけます。
 先日、関係者の皆さんが、交通量の多い道路脇のグラウンドで実験をしました。乗用車はそんなに音は大きくないのですが、トラックやバイクが走ったときは、視力障害を持っている教員でもボールがわからなくなると言います。
 もちろん、一般社会は静かな環境ばかりではありません。しかし、子供たちは、まず静かな環境で音を聞き分ける耳を養い、多少の騒音の中でも聞き分けられる耳を鍛えていく、それが教育だろうと思います。
 盲学校では、盲人野球は、近畿大会で昨年、一昨年、準優勝です。それまで、3年連続出場し、全国優勝もしているそうです。盲人バレーは、近畿大会5年連続優勝、弁論大会は11年度、全国優勝したということでございます。
 私も、盲教育については全くの素人ですから、今ここで申し上げているようなことは、このたび問題が起こって、関係者の皆さんからお聞きする中でわかったのです。
 ところで、道路行政の側は、そんなことに関係なく、都市計画決定があるというので工事を進めてこられました。そして、昨年暮れ、盲学校関係者が、どうも敷地にかかるようだと聞き込んできた。県教育委員会が知ったのも、同じころだそうです。
 6月県会の文教委員会でお伺いすると、一たんは盲学校用地を避けてもらえるよう道路関係者と交渉しなさいと指示されたそうですが、ところが、その後、航空写真を見ると、ここまで道路が来ていたのかとびっくりした、そして対策を考え始めたというのがこれまでの経過のようでございます。
 8月の10日には、視力障害者の会との話し合いに私も立ち会わせていただきましたが、参加者の皆さんからは心配なことがるる話されました。道路関係者の皆さんも、十分受けとめていただいたと思っています。
 そこで、質問であります。
 第1点、このたび道路が盲学校の敷地にかかるという問題、どうされるおつもりなのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 都市計画道路西脇山口線につきましては、和歌山市の紀の川北部地域における唯一の東西幹線道路として昭和40年に都市計画決定され、県市協力して工区を区切り、順次整備を進めております。
 県立和歌山盲学校のある田屋工区、延長1540メートルにつきましては、今年度より事業化を行い、現在、測量調査を実施しているところでございます。
 道路建設による教育環境への影響、特に音の問題につきましては、教育委員会及び盲学校と話し合いながら、防音壁、低騒音舗装の活用の検討など、さまざまな体験学習にできるだけ影響を与えないよう、最大限の配慮をしてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 配慮していただくということですが、教育委員会や盲学校関係者との話し合いを十分進めていただきたいと思っています。
 それで、納得を得られないままに、既定方針だからと計画を進めていくというようなことはないのかどうか、もう一度お伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 今回の都市計画道路の問題につきましては、特に西脇山口線、地権者の協力も得て、順次進めております。また、地域全体からも強い要望を受けております。そうした中で、一刻も早く整備は進めていきたいという思いがございます。
 また、今の問題につきましては、音の問題等、できるだけ機能回復を図るとともに、騒音の影響ないような形で、十分話し合いながら進めていきたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 関係者が十分納得されるようにしていただけると思っているんですが、では、教育長はこの事態をどう考えていらっしゃるんですか、お伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育委員会といたしましては、これまでも盲学校を初め特別支援学校について、障害のある子供たちが適切な学習ができるよう、教育環境の整備に努めてきたところでございます。
 現在整備中の都市計画道路西脇山口線の予定地が和歌山盲学校の敷地の一部と重なっており、視覚障害のある児童生徒にとっての大切な情報源である音の問題等、さまざまな面で学習に影響を与えることは大きな課題であると認識しております。
 教育委員会といたしましては、学校や関係部局との十分な協議を踏まえ、障害のある子供たちのための教育環境の整備に今後とも努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 教育委員会としては、教育条件を守るという立場に立ち切っていただきたいと思います。
 知事に対しても、メールなどでも要請がなされていると思います。知事は、この事態をどういうふうにお考えでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 都市計画道路西脇山口線は、和歌山市北部地域における重要な幹線道路でございまして、部長が申しましたように、昭和40年の都市計画で決まっております。
 ただ、ほとんど進んでおりませんで、俗な言葉で言えば放置されておったと、そういうことであったんですが、和歌山の発展にはこれは不可欠でございますので、最近力を入れて、早期に全通するように努力をしているところでございます。
 また、関係する地権者の協力はもとより、地域全体で強力な御支援をいただきながら事業を推進しております。これは、例えば地域全体で、どうしても土地を売らないというような地主さんなんかには説得していただくというような協力もしていただいてるわけであります。今年度には宇田森工区を完成させるなど、着実に整備を進めてきておりまして、全線で大体29年度完成を目指しているところでございます。
 メールが何度か私のところに、県政ポストというんですけど、だれでも出せるもんですから、来ております。それは全部私は読ませていただいておりますが、この中身には、特にだれとはおっしゃいませんでしたけど、多分あれだという認識で申し上げておりますが、傾聴に値するところもあって、検討をしてもらっております。
 初めには、盲学校の敷地は一寸たりとも削るなとか、よそへ道を持っていけとか、そういうような意見がありましたが、これはちょっと過去の経緯からすれば少し間違いだというふうに思います。
 しかし一方で、道路建設によって、盲学校のさまざまな体験学習、盲学校そのものの機能ですね、それにできるだけ影響を与えないようにするということは大変重要なことだと思います。
 御指摘のように、視覚障害のある児童生徒にとって、音は重要な手がかりであり、実物に触れる学習は大切であります。先ほども県土整備部長から申し上げたとおり、教育環境を保持できるように全力を挙げて対策を検討していかなきゃいけないと思っております。
 技術的には、技術的な措置による静音化というのは可能だと私は思いますけれども、仮に障害が出るようなら適切に対応するということだと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事を含め、それぞれ教育環境に十分配慮するというふうにお答えいただいています。
 和歌山県の障害児教育の歴史には、たくさんのドラマがございます。この際、知事と県議会が深くかかわるエピソードを1つ紹介しておきたいと思います。
 「和歌山県教育史」という厚い本が出されています。その第2巻の406ページなんですが、「昭和30年9月には、県議会で使用されていたバスが盲学校と聾学校に贈られ、通学の送迎が行われ」と記載されています。
 なぜ、そんなことになったのか。盲聾学校の先生が「スクールバスを買ってください」と当時の小野知事に直訴いたしました。けれども、28水害の後、県の財政は大変です。そこで、「議会専用バスはいつも使っていないから使わしてください」とお願いをした。すると、小野知事は「議会バスは県議会議長の権限だ」と言って、その場に議長に来てもらったそうです。当時の議長は、平越孝一氏でありました。平越議長は、お答えになった。「私も九度山から列車で和歌山駅に通っています。盲学校の生徒が、危ない中、通学している姿を見ています。いいでしょう、各会派と相談します」、こういうふうにお答えになったその一言で、議会専用バスが盲聾学校に貸し出され、その後、贈与されたのです。
 ここまで県教育史には書いてないんですが、知事に直訴された永田先生という先生が、20年ほど前に私に手記を送ってくれました。私は、それを自分のホームページに紹介していたんですが、図らずもきょうは日の目を見ることになりました。
 何と、県民と県知事、県議会が近かったことか。私は、現在の県知事、県議会も、同じように血の通った政治ができることを期待し、信じたいと思っています。
 また、盲学校の歴史には、それと違った、県政から冷たくされた事件もありました。それは、和歌山市の中心部にあった盲学校が、昭和38年、現在の紀伊地区に移転させられたことです。猛反対も起こりました。
 この紀伊移転とほぼ同じ時期に、都市計画道路西脇山口線が計画されていたわけです。そういう因果関係があります。
 ここでは、どういうふうに具体的にするというふうにはお答えいただけないと思うんですが、歴史的に評価されるような知事の決断をお願いして、次へ行きたいと思います。
 それでは、続いて、よろしいでしょうか。
 第2の柱は、「いじめ」の問題であります。
 滋賀県大津でのいじめをきっかけにして、改めて、いじめ問題が大きな社会問題になっています。学校名が公表されていませんが、国会論戦では、平成21年度、22年度、文部科学省指定道徳教育実践推進校であったことがわかります。それらしき学校のホームページを見ると、研究発表会の膨大な資料があって、学校環境宣言として、1、いじめのない学校、2、ゴミのない学校、3、あいさつあふれる学校という3項目が挙げられていました。
 道徳教育の研究推進については、校長による道徳教育方針の提示から始まるようで、校長の大きな指導性が発揮されている学校であることが強調されています。表面から見ると、立派な学校、立派な校長に見えます。
 このたびの事件では、警察の捜査が教育委員会や学校に入るという異常な事態にまでなってしまいました。いじめを隠そうとする学校と教育委員会の体質が、何よりも問われるでしょう。
 この事件をきっかけに、いじめは犯罪だから犯罪として取り締まるべきだという議論もあります。それも一理あります。
 また、道徳教育が欠けている、しつけが足りないなど、1つ1つは間違ったことではないのですが、それだけでは私は解決しないというふうに思います。
 そこで、議席のほうに、学習資料「いっしょに考えよう『いじめ』の問題」というリーフレットをお配りさせていただきました。
 16年前に教育相談・講師派遣センターというところが発行したもので、このセンターは和歌山県教職員組合が設置したもので、リーフレットの中身は、教育相談の経験豊かな退職教員の皆さんがまとめてくださったものです。私は、今読み返してみても、すばらしいものだと思っています。
 この学習資料は、どんな理由があってもいじめは絶対に許されないという立場を貫きながら、その根本原因として、教育現場でどの子もストレスを募らせているという状況にあることを指摘しています。
 ですから、いじめはどこの学級でも起こり得る。また、いじめる子が、いついじめられる子になるかもしれない。いじめる子が家に帰れば、親から塾に行けと追い立てられてストレスいっぱいという場合だってあります。ですから、いじめる子に対しては、いじめは許されないという立場に立ち切った上で、その子のストレスや悩みを聞き出しながら教育的指導をしなければならない。力で抑えつけるというだけでは解決にならないことを、このパンフレットは説いています。
 そして、子供の心をつかんでこそ、いじめられた子供の訴えを聞くことができるし、また、いじめる子供にも厳しく指導することができる。私は、いじめ問題は、先生と生徒が向き合って、そして心を通わせる学校をつくってこそ解決の一歩が開かれると考えるわけでございます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 教育委員会では、いじめの現状をどう把握されているのでしょうか。また、いじめ問題にどう取り組まなくてはならないとお考えでしょうか。私が申し上げたことも踏まえて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の状況把握と指導のあり方についてお答えします。
 平成23年度の本県公立学校のいじめの認知件数は、小学校20件、中学校39件、高等学校38件、特別支援学校ゼロ件の合計97件であります。
 いじめの内容は、冷やかしやからかい、悪口、仲間外れなどが主なもので、近年ではパソコンや携帯電話等での誹謗中傷も見られます。
 いじめに対しましては、教職員1人1人が、いじめは決して許されない行為であるという強い思いを常に持ち、どの子供にも、どの学校でも起こり得るものであることを十分認識した上で、すべての子供を守るために、日ごろから子供の悩みや不安をしっかりと受けとめ、心を通わせるきめ細やかな指導に努めなければならないと考えております。
 議員御提示のリーフレットも十分読ませていただきましたけども、このリーフレットなども参考にさせていただきながら、いじめを許さない学校づくりに向け、努力してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 文部科学省などの調査で、いじめの件数が少ないことがいじめ隠しじゃないかという議論もあります。
 いじめの数が学校評価につながると、そんなことになる。和歌山県の数字がどうかというのはよくわかりませんが、まだまだあるんではないかという気もいたします。
 しかし、それはさておき、きょうは、いじめをどうとらえ、どう対応するかを考えていきたいと、この学習資料を配らせていただいたわけでございます。
 教育長のいじめの指導についてのお考えは、私が考えたことと余り大きな開きはないというふうに受けとめました。教育委員会もマニュアルをおつくりになるそうで、私が申し上げた観点もお配りした学習資料も参考にしていただけるようなので、ひとつ十分生かしていただきたいというふうに思います。
 続いて、次の問題ですが、私が知っている学校では、職員会議などで気になる子を出し合おうという時間をとります。家庭条件や周りから疎外されている気になる子を、担任が名前を挙げていきます。1人1人の子供について、養護教員など担任以外の先生の目から見て、意見を交換します。教員ではない事務職員あるいは校務員や給食調理員の方が、教員では気がつかない子供の側面を教えてくれる場合もありました。
 私は、いじめを見逃さない学校づくりというのは子供を中心にした民主的で温かい教育集団づくりが第一ではないかと考えるものですが、教育長はこの点についてどういうふうにお考えでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめを見逃さない、子供を中心にした民主的な学校づくりということに関してお答えしたいと思います。
 いじめを見逃さない学校づくりを進めるためには、議員御指摘のように、すべての教職員がお互いの信頼関係の上に立って協力し合い、子供たち1人1人としっかりとかかわり合うことが大切であります。こうしたことを通して、いじめが起こらない土壌づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この点でもほぼ私の考えと同じ態度を表明していただけたと思いますが、ちょっと申し上げますが、先日、私は、4月の学校教育方針を決める職員会議で校長が配ったという提案レジュメを見てびっくりしたことがあります。
 提案には、立派なことが書かれていました。その裏には文部科学省が出した指導指針のようなものが印刷されていて、職員会議は校長の諮問機関です、議論はしてもらいますが決定権は校長にありますという意味のことが書かれているのです。
 もちろん、議論をして意見が分かれたとき、「いろいろ意見がありますが、校長の責任でやらせてもらいます」と校長が締めくくる場合も当然あります。しかし、教育論議を尽くして共通理解をつくり出すのが校長の力量であり、指導性です。提案する前から「私に従ってもらいます」などと書いて配る、これはどういうことなのかと思いました。
 こうした学校では、えてして校長の考えをおうかがいするような雰囲気が生まれます。教員以外の職員は、子供と教育については口出しするなど論外だということにもなりかねません。大津の中学校はこんな学校だったのではないかと、ひそかに思うところでございます。
 感想だけ申し上げて、次へ行きたいと思います。
 次に、先生と生徒が余裕を持って向き合えるためには、30人学級を初めとする教育条件整備と、報告や資料づくりに追われる状況をなくさなくてはなりません。
 教育長は、教員がゆとりを持って子供と向き合えるように、どういうことが大事だと考えていらっしゃるでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員が子供と向き合う教育条件の整備ということにかかわってですが、学校現場では教員がゆとりを持って子供たちと向き合うことは大変重要であることから、県教育委員会としましては、多忙化解消のために、これまでも調査の見直しや報告の簡素化等に取り組んできましたが、今後もさまざまな側面から具体的な対応策を検討してまいります。
 また、現在、国は小中学校の35人学級実現に向けて動いておりますので、そうした国の動向を踏まえて、教員の定数確保に努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 少人数学級とともに、きのうのお話でも、スクールカウンセラー増員なども急がれるというお話もありました。私からも、そういうことも含めて要望しておきたいと思います。
 忙しさの解消については、一定の努力もなされているようですが、研究指定校など少なくして、教育実践研究大会を発表の場にしていることなどはいいと思います。
 ところが、市町村の教育委員会の中には、旧来型の研究発表会をやりたいという地域もあるようです。その点、県の教育委員会の教育的指導性の発揮を期待するところでございます。
 そこで、次へ行かせていただきます。
 教職員定数の改善もさることながら、学校現場には、教員採用試験合格者数が足りないために、定数内講師という不安定な雇用の教員が多くおられます。歴代教育長は、減らすようにすると答弁してきました。
 6月の文教委員会で質問すると、人事課長は「減らすように採用試験募集人数をふやしている」とは言われたんですが、「去年と比べて本当に減ったのか」と聞くと、「実は50人ふえました」と頭をかいておられました。
 今度は、定数内講師を確実に減らせるように採用試験合格者を確保されるのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 定数内講師数につきましては、少人数指導やチームティーチングなどのいわゆる加配定数の増減が年度末に確定すること、あるいは定年前での退職者数などが関係しており、その数については予測が難しい状況にあります。
 教員採用検査における募集予定人員につきましては、定数内講師数や退職予定者数、長期的視野に立った教員の年齢バランスなど、さまざまな要因を検討の上、決定しており、今年度は過去最大の325名を募集したところです。
 今後とも、定数内講師の削減には努めてまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 定数内講師は削減はしていきたいというふうに改めて表明されたんですが、やはりきちんと結果を出してもらわなければならない。
 教育委員会からいただいた資料によると、定数内講師は4年前に比べて80人もふえています。一度にすべてを解消できなくても、少なくとも4年前の80人までは減らすことはできると思います。
 そこで、ことしの教員募集定数ですが、過去最大と言いましても、昨年と比べて8人多いだけです。これでは、定数内講師を大幅に減らせるという保証はありません。
 ところが、ありがたいことに、受験者数は昨年より31人も多かった。ことしの受験者は優秀で、第1次試験の合格者は、昨年よりも95人多い721人いらっしゃいます。2次試験のレベルを下げなくても、さきに発表した募集枠にとらわれなければ、合格者をふやすことは十分にできます。
 ふやして起こる不都合はありますか。学校現場と子供たちは喜ぶ。教員希望者は喜ぶ。知事も、もちろん予算をつけていただいているわけですから、否やはないでしょう。
 このまま今までの流れで何もせずに、半年後にまた、ふえたやないか、減ったやないかというふうに責任を問われるよりも、もう一度教育委員会をお開きになって、そして相談されたほうがいいということを申し上げておきたいと思います。
 それで、次の問題へ進ませていただきます。
 第3の柱は、原発からの撤退と自然エネルギー開発であります。あわせて、コスモパーク加太の活用についても考えてみたいと思います。
 9月の3、4両日、私たち日本共産党県議団は、福島県に参りました。南相馬市の、4月16日から立ち入りが許可されたという地域を、現地の方に案内していただいて、レンタカーで回りました。
 そこでは、3.11大震災・大津波から時間がとまったように見えます。放射能被害がなかったら復興が始まっていたであろう堤防が、田畑が、家屋が放置されている。皆さんは、どんなにか悔しい思いをされているだろうと思いました。
 人々が暮らしている地域でも放射線量は高く、除染は気が遠くなるような大変な作業のようです。原子力事故の恐ろしさの一端を実感してまいりました。
 さて、ことしの夏は大変暑い夏でした。電力需給が心配されましたが、県民の協力もあって乗り切ることができました。県庁職員の皆さんは、県民に率先垂範してクーラーの節電、昼休みは消灯など、御苦労さまでございました。
 県民に節電を呼びかけることは大切です。しかし、6月県議会前に知事が行った電力需給についての記者発表は、それを通り越して過剰に電力不足の危機をあおり、大飯原発再稼働への世論誘導であったのではないかと、私たち共産党県議団は抗議の申し入れを行いました。
 夏が過ぎて、原発は再稼働しなくてもこの夏は十分乗り切れたということが明らかになっています。
 原発というものは、燃料の最終処理まで見通せば国民にとってコストがかかるものですが、電力会社の目先の収支からいえば、原発再稼働したほうが安上がりで利益が上がるという思惑であったのではないかと言われます。
 しかし、今、原発からの脱却の問題は、これから国民的な討論の中で決着をつけていく問題だと思います。
 きょうは、そのことを議論するのではなくて、電力不足の危機感を訴えたのと同じぐらい自然エネルギーの開発に力を注いでいたら脱原発、自然エネルギーへの道が開けるのではないかということを申し上げ、その立場から質問をしたいと思います。
 和歌山県としても、一定の努力はいただいています。島ノ瀬ダムの小水力発電、コスモパークの傾斜地をメガソーラーに活用したことは評価できます。しかし、転換期にふさわしい積極的施策を求めたいと思います。
 今回は、太陽光発電を中心にしてお伺いいたします。
 まず第1点、和歌山県の個人住宅や県有施設での太陽光発電のこれまでの導入状況はどうなっているでしょうか。国の補助件数、県独自の補助件数について、環境生活部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 県内の住宅への太陽光発電につきましては、国による太陽光発電システム等の普及動向に関する調査と太陽光発電普及拡大センターが公表しております国の住宅太陽光補助の実績を合算した数値によりますと、設置件数は約1万件、発電能力は累計で約4万キロワットとなっております。
 また、県有施設への太陽光発電につきましては、設置件数37件、発電能力は累計で582キロワットとなっております。
 このうち、昨年度の住宅用太陽光発電導入補助の状況につきまして、国の補助件数は2062件となっており、一方、県では、申し込み総数1562件に対して抽せんにより195件の補助を行っており、抽せん倍率は8倍となっております。
 本年度、県では、昨年度の太陽光発電のみの補助に加えて、太陽光発電を補完し、CO2削減、省エネ効果を高めるエネファーム等を併設した場合の補助枠を創設し、予算額2960万円に増額しております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私が手にしている資料でも、県内の住宅太陽光発電設置は、近年、伸びてきております。しかし、日照時間が長い県でありながら、全国順位でいえば36位、37位あたりにある。
 県の独自補助は、御答弁があったように8倍という高い競争率になっています。たった2900万円の補助金予算であります。もっと大幅にふやすお気持ちはあるのでしょうか。今度は知事からお答えいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 申し込み件数は毎年大幅に増加しているため公開抽せんとさせていただいておりますが、太陽光発電の導入を奨励する事業としては、一定の効果を発揮できているものと考えております。
 さらに補助金予算をふやしていくことは、限られた財源の中でなかなか難しいと思われますが、自然エネルギーへの転換が求められる中、県としても、引き続き太陽光発電導入について最も効果的な推進策を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 太陽光発電についての全国の資料をお見せいただいたんですが、その限りで、県で補助総額頭打ちというのは余りその資料では見当たりませんでした。
 奈良県では、1件の補助は10万円で和歌山より少ないんですが、1000件で打ち切りです。つまり、予算総額では1億円です。滋賀県も1億円になっている。和歌山県の3倍以上です。
 今、転換期にあるということで、いろいろ検討されるというので十分検討していただきたいとお願いをして、次に行きたいと思います。
 では、メガソーラーについてはどのぐらい進んでいるのでしょうか。商工観光労働部長からお答えをいただきます。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 県内のメガソーラーの進捗状況についてですが、現在、株式会社ウエストホールディングスがコスモパーク加太で、ノーリツ鋼機株式会社のグループ会社であるNKワークス株式会社が自社敷地内で建設工事中であり、また、三井物産株式会社が串本町内の南海電気鉄道株式会社の所有地内で準備工事を進めているところです。
 さらに、今月6日に県、広川町及び事業者で協定を締結したところですが、大阪ガス株式会社のグループ会社である株式会社広川明神山風力発電所が、自社風車サイト内で建設を計画しているところです。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 いろいろな工夫もあることはわかりました。
 和歌山県は、メガソーラー候補地を県内4カ所、ホームページで紹介しています。
 私は、ことしの3月に、メガソーラーをコスモパーク加太に設置することを検討したいという業者から話を聞いたんですが、1平米100円から150円ぐらいで、設備投資の関係で20年間借りられることが最低条件だというふうにその業者は言っていました。
 県が候補地としている用地は、場所によって違うでしょうが、1平米幾らぐらいで貸し出しができるんでしょうか。また、引き合いはあるのでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 現在、県有地2カ所をメガソーラー候補地として紹介しているところですが、うち1カ所は売却のための公募中であり、賃貸が可能な用地は日高港工業団地の1カ所でございます。
 当該土地につきましては、企業用地として鑑定評価に基づき賃貸価格を決定しているため、平米当たり年間1020円となっております。
 引き合いにつきましては、4候補地を中心に問い合わせが84件あり、現地案内が35件です。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 普通、100円から150円というので業者は探しているところ、1020円というのでは、恐らく問い合わせただけで「ああ、そうですな」と、これで帰っていくでしょうね。やっぱり、もっと遊休地、もっと安く提供できる方法に知恵を絞らなくてはならないと思います。
 そこで、コスモパーク加太について少し考えてみたいんですが、県は土地開発公社から1平米560円で土地を借りています。加太菜園株式会社には、20億円かけて整地をし、それを1平米100円で貸している。期限まで貸して6億円しか入らない。しかし、それも加太菜園縮小で全部は入ってこない。整地費用も出てきません。
 ここで、加太菜園が使わなくなった整地した土地と、それから全く整地していない土地が両方あるんですが、企画部長にお伺いいたしますが、整地された土地を誘致企業には幾らで売ったり貸したりするのか。また、未造成地の場合にはどういうふうに考えているんでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 加太菜園につきましては、当時、県議会のコスモパーク加太対策検討委員会からの「民間企業へは、無償も視野に入れて貸し付けるなど、相当思い切ったインセンティブを導入すべき」との御報告も踏まえまして、雇用・経済波及効果及び他県の状況を勘案しながら賃料を設定したものでございます。
 御質問の誘致企業へは、時価である土地鑑定価格での売却を、賃貸の場合につきましては、その5%を賃料としてございます。
 ただし、未造成地につきましては、造成した上で売却もしくは賃貸をする方針でございます。
 県土地開発公社といたしましては、未造成エリアをより有効に利活用するために、土地を平たんにし、雨水排水対策や隣地との境界対策、それから必要に応じ進入路などをあわせて整備をした後で企業へお渡しすることといたしております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 企画部長にもう一度お伺いするんですが、今お答えしたことを私が調べた資料と突き合わせてみますと、加太菜園には100円で貸しているのと同じ条件の造成地は、1000円程度で貸したいというふうに思っておられるようです。それで借りに来る企業はあるんだろうかと思います。
 未造成地は300円余りで、これも加太菜園に貸している造成地よりも高い。それでも、メガソーラー用地として宣伝している土地よりはずっと安いわけです。
 こうした用地に対して、企業進出の引き合いありますか。また、メガソーラーについてはどうでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 問い合わせの件でございますけども、そういう問い合わせとか現地案内等につきましては、平成23年度につきましては38件ございまして、そのうち25件がメガソーラーでございました。
 平成24年度、現時点でございますけれども、27件の問い合わせ、現地案内をいたしておりますが、そのうち19件がメガソーラーでございます。
 御承知のとおり、現在、2メガワットの太陽光発電が間もなく完成予定でございますけれども、今、東日本大震災以降につきましては、沿岸に立地する企業が移転時に高台を希望する、そういうケースも幾つか見受けられておりますので、コスモパーク加太は標高100メートルであること、それから強固な岩盤であること等を今後一層アピールしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 次の質問をした上で感想も述べたいと思うんですが、6月県議会で、コスモパーク加太の県市共有地を解消することを求める質問がありました。知事もいろいろ説明をされて、結論として解消する方向を出されたから、それはそれでいいと思うんですが、もう1つ、県が土地開発公社から借りている期間は、あと12年しかありません。そうなると、民間企業はメガソーラーの設備投資をあきらめて手を引くわけです。
 コスモパーク加太と銀行の約束、調停に代わる決定には、私たち共産党県議団は県民に大きな負債を負わせるものと反対しましたが、20年後の執行までにできるだけ県民負担を減らさなくてはならないと考えています。
 そのために、メガソーラーを含めて、引き合いに担当者が対応できるようにしておかなくてはならない。それで、12年で一遍相談しますというのはちょっと困ると思うんですが、企画部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 調停に代わる決定につきましては、県議会で賛同を得た上で決定されたものでございますが、返済のスキーム上、さまざまな制約はありますが、早期売却や長期賃貸を進めることは返済の負担を軽くすることにつながるため、現在、あらゆる可能性を否定せず、企業の提示条件に基づき、スピード感を持って職員一丸となって対応しているところでございます。
 なお、現在建設中の太陽光発電につきましても、債権者と協議いたしまして、20年間の長期賃貸を可能としてございます。
 今後も商工観光労働部と連携を強めまして、全力で企業誘致を進めながら、経済波及効果を見据え、さまざまな利活用に知恵を出して地域の活性化につながるよう、引き続き取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 誘致企業ではメガソーラーの引き合いが多いということが先ほどの答弁からわかりました。しかし、価格で折り合わない。貸し出し期間については、業者から「20年借りたい」と言われてから「銀行と相談してみます」というのでは商談にならないんですが、そんな心配はないようにするというふうに、スピード感を持ってやられているなら、それで結構でございます。
 私たち議員は、県当局のような情報を持っているわけではありませんから、「コスモパークを借りに来る企業もあるのです」と言われると、「そうですか、期待します」としか言いようがないのですが、県民の負の遺産を少しでも軽くし、同時に自然エネルギーへの転換につながるようなことがあれば、検討されたらいいのではないかと思います。
 自然エネルギーの開発、例えばメガソーラーというのは、利用されない荒れ地を利用する場合もあれば、高速道路ののり面を使う場合もある。いろいろ小さな可能性でも、酌み尽くす必要があると思います。私はそのためのプロジェクトチームをつくれと言ったんですが、市町村を含めた担当者会議で、和歌山県新エネルギー利用研究会を立ち上げられたということもお聞きをいたしました。
 それ自体はまだ小さな取り組みなんだけれども、市町村でも補助制度をつくるところも、少しずつ進み出していることも相まって、私は、そういう研究からでも大きな可能性を切り開いていることを期待して、次に行きたいと思います。
 第4の柱でございます。県警科学捜査研究所主任研究員による鑑定書類捏造疑惑についてお伺いいたします。
 私は、これまでも冤罪問題を取り上げ、足利事件のようなことを引き起こしてはならないと訴えてきた立場から、今回の問題は大変重大に受けとめています。
 事実の究明と今後の再発防止について、どういうことを考えておられるのか。警察本部長のほうからお答えをいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) 議員御質問の事案につきましては、警察捜査の信頼を損なう不適正な事案として重く受けとめ、事案の全容解明に向け、徹底した捜査を進めているところでございます。
 また、今回の事案は、鑑定人による検査、鑑定書の作成といった業務の中で発生したことから、今後は、鑑定業務のチェックをより強化するなど業務管理を徹底するとともに、職員に対する職務倫理教養等を反復継続して実施するなど、再発防止に全力を挙げてまいる所存でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、警察本部としても事の重大性をもう十分認識されておると思いますので、これ以上は余り申し上げません。
 今後、事態の全容を究明されて、そしてその後にしっかりした対策をおとりいただけるようにお願いいたしまして、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時57分散会

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