平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(角田秀樹議員の質疑及び一般質問)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

(角田秀樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、昨年の台風12号に伴う紀伊半島豪雨から1年がたちました。当時、9月3日から同4日未明にかけて本県を襲った記録的豪雨は、総降水量が広い範囲で1000ミリを優に超え、本県においては、死者56名、行方不明5名、全壊240棟、半壊1753棟という甚大な被害が発生したわけでございます。そして、現在もなお土砂の撤去作業は続いており、仮設住宅や公営住宅などでの避難生活を余儀なくされている方々の数は、123世帯283名に上っております。
 ここに改めて、犠牲となられた方々に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様方に対しお見舞いを申し上げます。一日も早く平穏な生活を取り戻されることをお祈り申し上げる次第でございます。
 また、当局、また地元自治体及び関係者の皆様方には、その復旧・復興作業に対し、心から敬意を表するものであります。
 さて、私の所属する経済警察委員会は、8月の28日から29日にかけまして県内調査を実施いたしました。世界遺産熊野本宮館の修繕状況を確認し、また熊野川の惨状を川舟から見てまいりました。
 この県内調査から、当時の河川の水量がいかに我々の想像を超えるものであったか、そして、それがどのようにして周辺住民の方々に襲いかかったかを改めて認識させられたところであります。このとき、自然災害の恐ろしさについて、そしてまた自然災害対策の重要性について、いま一度考えさせられたのは私1人ではなかったと思います。
 本日は、まず以上のことを踏まえまして質問さしていただきます。
 昨年、その威力のすさまじさと被害の大きさをまざまざと見せつけられた豪雨災害でありますが、今後、再び同じような自然災害が本県を襲った場合について、危機管理監の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 今後における自然災害発生時の対策について、お答えを申し上げます。
 昨年の紀伊半島大水害の教訓から、災害対策本部の体制や防災訓練の見直し、情報収集体制の強化に取り組んでおります。
 災害対策本部の体制については、本部の総合統制室に救援物資、医療、交通・通信などを担当する新たな班を設置することによって、従来の5グループ60人から7班16グループ144人とし、情報共有の迅速化など、災害対応力の強化を図ってまいりました。
 また、防災訓練についても、災害時にすぐに役に立つよう、できるだけ実践形式で行うよう、すべての訓練について見直しを行い、また実践的な新たな訓練を実施いたします。
 災害時に孤立する可能性のある集落への防災行政無線機の新設、更新をさらに推し進めるなど、情報収集体制の強化を図っているところでございます。
 今後、さらに迅速、的確な対応ができるよう、体制強化に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ありがとうございました。
 昨年の豪雨災害のときに1つ気になったのが、旧の龍神村、ここにこの間──虎ケ峰、今、仮復旧のところなんですが──上がりました。通常のラジオが、なかなか通信が入らないと。もちろん、停電でテレビはだめやし、唯一情報が入ってくるのはラジオだけで、あそこの地域は、雨がたくさん降ると外に出るなという昔からの言い伝えで、ところが家の中でラジオが聞けない、だから情報が全く入ってないという、そういう地域もございますので、ひとつまたいろんな通信関係について整備を整えていただきたいということを要望申し上げたいと思います。
 次に、昨年の台風12号豪雨による出水では、斜面が崩壊したり洪水が川からあふれたりして、那智川流域などで多くの犠牲者が出ました。
 また、最近発生した九州豪雨等では、川があふれなくても、しみ込んだ水で堤防が決壊する浸透破堤の問題が注目されております。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 県管理の河川堤防において安全性が十分に確保されているのでしょうか、御答弁ください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 降雨に起因する堤防決壊の原因には、越流、浸食、浸透の3つのメカニズムがあります。このうち、議員御質問の浸透破堤は、水圧などの外力のほかに堤体の質的な要因が関係してきます。
 県管理河川の堤防内部の詳細調査は、その延長も長く容易ではないことから、県では巡視を行いつつ、変状のある箇所から優先的に堤防の強化を実施しております。
 また、巡視とあわせ、さらにきめ細やかに堤防状態を把握する観点から、河川の堤防を通る方や近くにお住まいの方に、変状を発見した場合には最寄りの建設部等へ通報していただけるような制度を導入してまいります。
 県としましては、今後とも、堤防の状態を常に把握しながら、適切に堤防の安全性確保を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 じゃ、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、先般発表されました南海トラフ巨大地震の被害想定に関連して質問をさせていただきます。
 内閣府は、南海トラフの巨大地震モデル検討会において、科学的知見に基づき、想定すべき最大クラスの地震・津波の検討を進め、本年3月末に、その第1次報告として震度分布及び50メートルメッシュによる津波高の推計結果を取りまとめ、公表されております。
 続いて、この8月には、10メートルメッシュによる津波高及び浸水域等の推計結果が第2次報告として取りまとめられている中で、中央防災会議の対策検討ワーキンググループにおいて、建物被害・人的被害等の推計結果が取りまとめられ、公表されました。
 今回の被害想定の推計結果では、推定死亡者が、従来の2万5000人から、東海地方が大きく被災するケースの最悪の場合には13倍の32万人とされ、また、近畿地方が大きく被災する最悪の場合には本県において約8万人が死亡するものと想定しております。
 まことに憂慮すべき数字でありますが、この発表に際して、内閣府は、対策をとれば被害は減らせるとコメントをしております。まさに、この有効な対策こそが今後の本県の防災の成否を握るかぎになるのではないでしょうか。
 そこで、開会日に開催されました東南海・南海地震等対策特別委員会でも審議されたところではありますが、ここで改めまして、今回発表されました南海トラフ巨大地震の被害想定をごらんになられて、どのような思いを持たれたのか、そして今後どのように有効な対策を講じていかれるのか、知事の御所見をお伺い申し上げます。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国が公表いたしました南海トラフの巨大地震、これは、発生確率は極めて低いものの、科学的知見に基づき想定した最大クラスの地震・津波、これをつなぎ合わせたようなものということでありまして、その被害想定は大変厳しいものであります。
 しかし、私たちは、この厳しい内容に単に恐怖を感じて恐れおののくだけじゃなくて、この内容を冷静に分析して、命を守るために最善の対策を考え、実行していくことが必要だというふうに思います。
 今回の被害想定をよく見ますと、これは国のほうも言ってくれてるんですが、迅速に避難した場合とそうでない場合とでは、想定死者数に最大約4万人の差があります。また、建物の耐震化によっても死者が大きく減少するということも報告されております。
 このことは、昨年4月以来、我々が防災・減災対策の総点検の中で実施してまいりました、強い揺れから命を守るための耐震診断、耐震改修、家具の固定、あるいは津波から命を守るための避難を中心とした防災対策の効果が高いことの証左であると思います。
 そういう観点から、少し時間をかけて、昨年、避難場所の見直しを行いました。しかも、これはレベル1、2、3というスタイルだったんですが、安全と言い得るレベル3が新しい想定でひょっとしたら危ないということであったら困るので、したがって、そこのところは早急に見直しまでいたしました。
 こういう命を守るための防災対策が県民1人1人に行き渡るように、防災教育を継続的に行い、また住民避難訓練や実際の災害対応にできるだけ近い形で実践的な訓練を行うなど、防災対策にしっかり取り組んでいきたいと思います。しかも、先ほど申し上げましたように、市町村と協力して、避難のための、あるいは減災のための施設整備なども必要になってきますので、主にその市町村を助成していくというような形で頑張っていきたいと思います。
 さらに、公表結果でもそうでございますが、非常に短時間で津波が到達するということから、現状では避難が困難な地域があると思います。そういう地域では、将来的な高台移転など、地域の構造を変えていく必要もあると思います。これは、大変難しい仕事でありまして、すぐにはなかなか確たることができないと思いますけれども、挑戦を始めないと永久にできないわけでございますので、来年度の新施策で、まず、かなり、できるだけ大きな芽を出していきたい、そんなふうに思って検討してるところです。
 また、大規模災害に備えた安心・安全なインフラ整備を推進する必要があると、さらに認識したところであります。現在、計画段階評価が進められている近畿自動車道紀勢線のすさみ─太地間、新宮─大泊──これは三重県ですが──間の早期事業化を働きかけるなど、引き続き、議員各位の御協力を得ながら、命の道としての紀伊半島一周高速道路の早期実現に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ありがとうございました。ぜひとも、有効な挑戦をお願い申し上げます。
 続きまして、防災関連の各論部分について質問をさせていただきます。
 今回発表されました南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等に関する第2次報告と被害想定に関する第1次報告について、京都大学の防災研究所巨大災害研究センター長の矢守教授が、1995年の阪神・淡路大震災と昨年の東日本大震災が合わさったものを想定したものと言われておりました。これらに関して、関係機関等との綿密な協議と行政間の意見交換が必要になってくると思われます。
 そこで、まず県土整備部長にお尋ねします。
 昨年の12月の14日に公布されました津波防災地域づくりに関する法律に基づき、どのような対応をお考えなのでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 昨年12月に津波防災地域づくりに関する法律が施行されたことを受け、国から、ことし1月に基本方針が、また3月に施行通知が出されたところです。法律では、県で実施する津波浸水想定を受けて、市町村が津波防災地域づくりの推進のために行う事業等を記載した推進計画を作成することになっております。
 こうしたことを受けて、6月1日に、国、県、関係市町が参加する東海・東南海・南海3連動地震・津波に強い和歌山地域づくり連絡会議を立ち上げました。県では、この連絡会議を通じ、東日本大震災の事例を初め、さまざまな情報を共有し、浸水想定区域内における土地利用及び警戒避難体制の整備、海岸保全施設や津波防護施設等の整備計画など、ハード・ソフト施策を総合的に盛り込んだ推進計画を市町が速やかに作成できるよう、国とともに支援していきます。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 次に、県内の公共インフラ施設についてですが、現存の施設は、多くが昭和39年に開催されました東京オリンピックを境に、高度経済成長時代を迎えて約50年経過しようとしております。これらの施設の多くは、災害発生時の避難路として、また緊急輸送道路としての役割を担い、家屋の倒壊、道路の陥没、橋梁の落橋等により遮断されてしまうというような、そういう危険性を排除し、常に安全性を担保しておかなければならず、優先的に整備、管理すべきであると考えるところであります。
 我が党も、防災・減災ニューディールという政策を出さしていただいて、10年で100兆円という、そういう規模の、老朽化した、そういったところの公共の施設等に対して、建設国債やニューディール債、また民間の資金、いわゆるPFI等々を重ねまして、落橋するとか、また家屋の倒壊の前に公共施設をしっかりとあらかじめ防御していくという、そういう政策を発表さしていただいたところであります。
 まず、災害時の緊急輸送道路上にある橋梁について、その耐震対策の進捗状況についてお答えください。
 さらに、県管理の橋梁、高架道路、港湾岸壁に関し、長寿命化対策の進捗状況と今後の見込みについても、あわせて県土整備部長にお伺いを申し上げます。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 緊急輸送道路等における県管理橋梁につきましては、平成8年より前の道路橋示方書に基づき設計された橋長15メートル以上の橋梁において、平成16年度から耐震化に取り組んでおります。進捗率は、平成23年度末現在、366橋のうち280橋の対策が完了し、率で77%となっております。
 県管理の国道、県道における橋梁、高架道路の長寿命化につきましては、平成20年度に2383橋の和歌山県道路橋長寿命化修繕計画を策定しました。この計画に基づき、平成21年度から23年度にかけて全橋梁を点検し、236橋で修繕を行いました。
 今後も定期的な橋梁点検を行い、計画的かつ予防的に必要な修繕を行ってまいります。
 また、港湾岸壁につきましては、現在、県管理の主要港湾施設の維持管理を適切に実施していくための計画策定に取り組んでおり、本年度中に完了予定です。その後、これに基づき、計画的に維持管理を実施していくこととしております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 次に、本県内の公立小中学校においては、防災に関して、訓練を含めた研修会が進められております。
 先日、NHKの放送を見ました。「釜石の“奇跡”」で全国的に有名な群馬大学の片田教授の田辺市における特別授業の様子が放送されておりました。その学校現場における防災の実践教育では、逃げる大切さが教えられています。そして、その根底には互いへの信頼ときずなが必要というふうにおっしゃっておられました。
 私は、この防災授業を受けた児童生徒たちが地域の防災意識を変革し、彼らが大人になったとき、1人1人が防災のリーダーになることを期待するものであります。
 また、今回の放送を見まして、おどしの防災教育ではなく、災害にいたずらにおびえるのではなく、その土地を愛し、いざというときにちゃんと行動できる自分であることの大切さが強調されていたように感じました。
 紀南文化会館で開催された学習発表会では、「最善を尽くすのは、地震が来てからではなく、来る前もそうだと僕たちは思います」というふうに子供たちも発表をされておりました。
 そして、片田教授も常に「釜石市の例は釜石の奇跡ではなく釜石の実績である」と言われ、8年前から取り組んでおられる犠牲者ゼロの地域づくりを目標に、子供から親へ、親から地域へ、1人も犠牲者を出さない防災教育の重要性を訴えられております。
 そこで、教育長にお伺いします。
 本県の教育現場においては、現在、どのような防災教育の取り組みが行われているのでしょうか。また、今後、どのように行っていくお考えなのか、お聞かせください。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 各学校における防災教育については、東日本大震災や紀伊半島大水害の甚大な被害を教訓にして、多くの学校が新たに避難経路の見直しや短時間で避難する訓練を重ねるなど、より現実感を持って取り組みを進めています。
 県内の小中学校においては、災害から自分の命を守る力を身につけさせるため、片田教授の「釜石の実績」を参考にして、昨年作成した「津波防災教育指導の手引き」をもとに授業を行っており、また高等学校においては、地域防災の担い手を育てるため、平成16年度から高校生防災スクールを毎年県内5つの地域で実施し、すべての学校に行き渡るよう、順次開催をしてきております。
 一方、地域全体の防災力向上のため、新宮市を初め県内4市町で専門家の指導を受け、地域の地形や住民の実情に合わせた防災教育や避難訓練の取り組みを、学校を中心に行っているところです。
 今後もこうした取り組みを継続し、正しい防災意識を持った子供を育てていくことにより、1人も犠牲者を出さない防災教育を積極的に進めていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 防災教育の徹底に期待を寄せる1人であります。
 もう1点、教育関係でお伺いします。
 公立小中学校における非構造部材の耐震対策の進捗状況についてであります。
 我が党は、宮城・福島両県の一部を除き、災害避難場所に指定されている公立小中学校、全国3万395校の非構造部材の耐震化を推進してまいりました。
 校舎や体育館の天井や照明器具といった非構造部材の耐震対策を終えているのは、本年4月1日現在で全体の約32%に当たる9730校にとどまるという調査結果が今月の4日に文部科学省から発表されました。
 この調査は、東日本大震災の際に学校の体育館の天井の落下などが相次いだことから、昨年より文部科学省が始めたものであります。
 調査対象は、天井材、照明器具、窓ガラスなど7項目でありましたが、非構造部材耐震点検を実施した学校は、対前年度比0.7%増の66%で、そのうち点検で判明した問題箇所すべての耐震対策をしたのは48.5%であったということであります。
 また、都道府県別の耐震対策実施率は、福井県の62.2%が最も高く、以下、神奈川県の58.7%が続き、一方、低いほうから見ますと、山口県が7.9%、岡山県が11.8%、兵庫県が12.3%という結果でありました。
 また、耐震対策が終わっていない理由についての市町村教育委員会の説明に目を向けますと、「建物の耐震化を優先したため」が32.9%で最も高く、その他では、「他の整備とあわせて実施するため」25.9%や「工事費の確保が困難」という19.2%などが挙げられております。
 以上のことを踏まえて、教育長にお伺いいたします。
 本県における公立の小中学校の学校耐震化は、どのような状況にあるのでしょうか。また、さきに述べました非構造部材の耐震調査の本県における結果及び今後の耐震対策実施に向けたお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 公立小中学校における学校耐震化及び非構造部材の耐震対策についてお答えします。
 文部科学省が公表しております平成24年4月1日現在の本県の公立小中学校施設の耐震化の進捗状況につきましては、柱、はり、壁などの構造体の耐震化率は前年度比5.3ポイント増の89.4%となっており、16市町村においては既に耐震化が完了しております。
 しかしながら、天井材、照明器具等の非構造部材の落下防止等の対策につきましては、耐震点検の実施校は79.6%で、耐震対策済みの実施校は、文部科学省の公表後に3市町より訂正の報告があったことから、23.7%となっております。
 学校施設は、児童生徒の命を守るべき安全な施設、安心して過ごせる場でなければなりません。また、震災時には、地域住民の応急避難施設としても活用されます。
 このことから、県といたしましては、構造体の耐震化はもちろんのこと、議員御指摘のとおり、非構造部材の耐震対策についても、できるだけ早い時期に完了させるため、設置者である市町村に対して、耐震点検及び耐震対策の速やかな実施を促してまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 さきの大震災の際に、避難所とされているところが体育館というのが結構あるのですね。
 そこで、私、思いますが、7項目というふうに、学校の通路等々のそういったところも全部含んでという、こういうことでこの数字が上がってるというふうに理解しております。数字が低いから進んでいないという、こういう話ではないというふうに、これはもう理解はしっかりとしておりますが、とにかく、一番重要な、もしそういう場合には、優先順位として、まず体育館でしっかり落下の防止をやっていただく。上のところに網を張るとか、手すりが落下しないようにとか、そういう形で、実のある中身の部分を進めていただきたいということをひとつお願い申し上げたいと思います。
 なお、今回は公立の小中学校のことにつきましてお尋ね申し上げましたが、県立高等学校についても、ゼロ%であるというふうに聞き及んでますので、どうぞ格段なる御努力のほう、お願いを申し上げるということを要望しときます。
 次に、県民の健康保持の観点から質問をさせていただきます。
 皆様のお手元には、資料を配付させていただいております。会報の19号。
 もうここで複数回、質問もさしていただき、また要望もさしていただきましたブラッドパッチ療法というのが、皆さんの御支援もいただいて、NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の活動を受けまして、厚生労働省は本年6月1日に、ようやくこのブラッドパッチ療法を先進医療として承認いたしました。
 これは、和歌山市に在住されている中井代表以下の関係の方々が、全国各地を歩き回って陳情また要望活動を続けてきた約10年間の1つの大きな成果であります。長年むち打ち症で苦しんでいる全国の患者の方々にとっては、本当に朗報であります。
 大体、このむち打ち症で悩んでるという方は、全国で約30万人というふうに聞き及んでおります。その100分の1と言われるように、和歌山では約3000人ほどの患者さんがおるんではないかなというふうにも推測するところであります。
 先進医療とは、保険適用の前段階としての行政的措置で、硬膜外自家血注入療法いわゆるブラッドパッチ療法には保険が適用されませんが、検査等、その他の費用については保険が適用されるということになります。
 今後は、先進医療を実施する病院や医師がふえた分だけブラッドパッチ療法の効果を多く確認することができるわけでありまして、この7月1日に、私、鳥取県の倉吉において、県主催の研修会にも出席をさしていただきました。開会時間には追加のいすが運び込まれる状況で、患者会の方のほか、医師、警察関係、教育関係者といった方々が多く参加されていました。
 初めに担当部長のごあいさつがあり、その中で、脳脊髄液減少症という病気を広く周知することがこの研修会の目的であるという趣旨が述べられておりました。
 その後、独立行政法人の国立病院機構福山医療センター脳神経外科医長の守山英二先生と、鳥取大学の医学部麻酔・集中治療医学分野教授の稲垣喜三先生がそれぞれ講師となり、映像と資料を中心とした研修会が進行されていきます。
 その後、質問会でも闊達な議論が行われ、たまたま私の隣におられた麻酔科医の方は、脳脊髄液減少症については、これまでほとんど知らなかったが、今後は注意深く取り組むというふうにも述べられておりました。
 会報にも掲載していますが、各県においては、このように県主催で脳脊髄液減少症の周知と啓発等を目的とした勉強会が開催されております。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 本県におきまして、脳脊髄液減少症に関し、どのような取り組みが行われてきたのでしょうか。また、今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 脳脊髄液減少症に対する県の取り組みについて、お答えいたします。
 脳脊髄液減少症については、診断・治療方法が確立されていなかったため、対応できる医療機関が少なく、患者の皆様がどこの医療機関で受診していいのかわからない状況でした。そこで、県では、県内の医療機関に対し脳脊髄液減少症の診療状況に関する調査を行い、平成20年から、治療が可能な医療機関を県のホームページで紹介しているところです。
 このような中で、昨年10月に厚生労働省の研究班により脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準が示され、また本年6月には硬膜外自家血注入療法が先進医療として承認されたことは、患者の皆様がより適切な診療を受けられるようになる第一歩であると考えております。
 県といたしましては、これを1つのきっかけとして、ことしじゅうに医療関係者等に対する研修会を複数回予定しているところでございます。
 今後とも、国の動向を注視しながら、正しい情報提供等に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 むち打ち症の原因というのは、さまざまなものがございまして、交通事故や、また例えばスノボーでしりもちを打ったと、また学校の教育現場においてでも転倒等、またさらに出産時の、そういう女性のケースもございます。いろんなところで、整形、形成等々で診療を受けたけれども、なかなか治らないといった御相談があり、これを10年前からスタートしたのが真実でございます。
 そこで、いろんな治療を受けるけども、どこへ行ってもこれ以上治りませんよと、最終的に、要するに立ち上がることもできないという、そういう方もあります。めまいもする。最終的に、病名、もううつ病やなというふうな不幸な人も中にはございました。
 そういった患者のことを考えて、これからの人生、これをしっかりと我々は推進していく中で、県の総合医療機関においても、こういった診療が一日も早くできるような、そういう体制をぜひとも当局に対して要望申し上げたいというふうに思います。
 続きまして、関西電力LNG火力発電所の建設に関してお伺いをいたします。
 昨日、先輩議員が詳細にわたり御質問をされましたので、重複するところがございましたら、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 8月の11日付「読売新聞」夕刊の記事には、総出力370万キロワットで「原発4基分 火力建設再開」という文字が大きく報じられました。
 もともと、この用地は、住友金属の製鉄・高炉の沖出しのために造成された用地であります。また、私が知る限りでは、工事用の搬入道路として、紀の川右岸の臨港道路も、今現在、もう既に整備されております。
 そこで、建設の具体的な進め方など今後の見通しと、計画実施に関する県の御所見を商工観光労働部長にお伺い申し上げます。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 関西電力LNG火力発電所建設に関する見通し等についてですが、9月14日、政府のエネルギー・環境会議で策定された革新的エネルギー・環境戦略において、エネルギー安定供給確保のため、LNG火力発電所の高度利用が位置づけられております。
 今後、原発への依存度が減らされ、既存の火力発電施設の老朽化が進んでいく中、それらを補完する動力源を確保するため、環境負荷の少ないLNGを燃料とする和歌山発電所の建設再開が必要だと考えます。
 現在のところ、関西電力から建設を再開するということは聞いておりませんが、今まで余り動きがなかった関西電力から、こういった場合はどうなりますかという幾つかの質問があることなどから、和歌山発電所の建設について、従来より積極的な態度に変わってきているのではないかと期待しております。
 今後、関西電力では、国のエネルギー政策や電力需給の動向、企業経営の観点から、長期的な供給力確保対策として検討されていくものと考えますが、県としては、引き続き、和歌山発電所を速やかに着工するよう積極的に働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 はい、ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 最後に、紀の国森づくり基金活用事業についてお伺いをいたします。
 この基金の趣旨は、森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例の両条例に基づき、県民の理解と協力のもと、森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造を図ることであり、和歌山県の豊かな森林資源を県民の力で守り育てるということであります。
 そんな自然環境豊かな歴史的遺産が、2004年の7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され、その霊場や参詣道などの文化遺産を囲む森林が文化的景観として評価されるなど、改めて森林の重要性や人と森林のかかわりが見直されてきたところであります。
 そういった本県の森林環境保全の立場から、議員提案による紀の国森づくり基金条例が平成19年4月の1日に施行され、5年が経過し、本年からさらに5年の延長が議会において可決されております。
 これに伴い、紀の国森づくり基金活用事業の補助金制度が運用されております。これまでの実績につきましては、本年2月議会における予算委員会で御答弁をいただいておりますので割愛はさしていただきますが、この基金活用の事業の選定について、5つの選定基準を遵守し、紀の国森づくり基金運営委員会の審査を経て知事が選定するとされております。
 そこで、お伺いします。
 先般、7月26日付の地方紙に、紀の国森づくり基金から3700万円の補助金を受けていた団体について、苗木購入費として実際に支払った額と県への報告書に添付した領収書の額に約2300万円の違いがあるという記事が載っておりました。また、事業一覧表には8団体の記載があるが、ある団体のみが補助金を受け取り、他の団体はその受け取りを確認していないということが判明したのであります。
 この点に関しまして、事実経過はどうなっているのでしょうか。また、今後、県としてどのように対応していかれるのでしょうか。農林水産部長にお伺いを申し上げます。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀の国森づくり基金活用事業に関する御質問の件につきましては、平成19年度から23年度の5年間に、6団体と2実行委員会の延べ23事業に対して紀の国森づくり基金活用事業と緑の募金事業を合わせて3880万円を交付し、その大半の2976万円が苗木の購入に使用されたという内容の実績報告を受けております。
 今回、地方紙の報道や関係団体役員がみずから行った記者会見での発言に疑念を持ち、直ちに調査に着手いたしました。
 補助金交付団体からの聞き取り、提出を受けた書類や預金通帳における出入金のチェック、領収書発行者など関係取引先への確認等を行った結果、実績報告書に記載のないところからの苗木の購入、実績報告書の苗木単価と実際の取引価格の相違、こうして捻出された財源の流用等、不適正な支出がなされていたことがわかってきました。
 なお、植えられた苗木の本数については、それぞれの事業が完了する都度、現地で本数を確認しておりますが、紀の国森づくり税に対する県民の方々の信頼を損ねる事態となったことをおわび申し上げる次第でございます。
 関係書類が非常に多いため、分析に時間を要しておりますが、全容が解明され次第、結果を公表するとともに、不適正な支出については、県補助金等交付規則に照らして厳正に対処する所存でございます。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ただいま、農林水産部長の答弁をいただきました。
 この件につきましては、私個人とすれば、この選定に当たって、またチェックの甘さ等々、いろんな要素があろうかと思うんです。因果関係については、はっきりとはわかりませんけれども、田辺のある市会議員が辞職されました。ある意味では、大変不幸だなというふうにも思っております。
 この件を機として再発防止策というのをしっかりとつくっていただかなければならないなというふうに思いますので、再度、この件について部長にお尋ねをさせていただきます。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 再発防止策についてですが、議員御指摘の趣旨を踏まえ、原因を分析して、こうした事態が繰り返されることのないよう、再発の防止に必要な施策を講じてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 これはもう要望という形にさしていただきますが、この件につきましては、引き続き適正な対応をお願いさしていただきます。
 さて、私は、ことしの予算の特別委員会でも指摘さしていただきました。いわゆるこの森づくりの基金から花粉症対策でヨーグルトを使うという、森林と共生する花粉症対策という事業について、ちょっとおかしいんではないですかというふうに御意見を申し述べさしていただいたところであります。
 この基金の財源は、言うまでもなく県民税に500円を乗せ、そして徴収する税であります。この事業に係る補助金は1団体200万円までで、2011年度まで296件の応募がございました。そのうち、285件が採択されております。たくさんのところから、この基金で森づくりをしっかりとやっていこうと、こういうことになったと思うんですが、総交付額は4億8000万円でありました。
 本基金については、今年度から、森林組合の強い要望があって、水源涵養の整備事業にも使えるよということでありますが、森の健全化は海への恵みにつながることは承知のことであり、本県の森の再生に役立つ基金活用であっていただきたいと切望します。
 私は、せっかくいい基金の条例があるにもかかわらず、こういった事件が起きたということについて、本当に残念でなりません。どうぞ、今後とも担当部局におきまして厳正なる対処をお願い申し上げまして、私の一般質問とさしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
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