平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

(全文)


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平成24年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成24年9月20日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第107号から議案第143号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第107号から議案第143号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 18番 平木哲朗
〔備考〕
12番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員    柏井洋臣
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第107号から議案第143号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 通告に従いまして、一般質問を行ってまいります。どうぞ、御清聴、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、観光振興について2点質問をします。
 まず、公衆トイレの美化についてであります。
 議会の質問のテーマというのは、時としてはやりがありますが、この議会は、偶然トイレということについて、昨日も新島議員から質問がありましたが、私も1番にさしていただきたいと思います。
 かつて、四国の阪急と言われた高松琴平電鉄がバブル崩壊で経営破綻した後、香川日産出身の真鍋康彦さんという人が社長に就任し、短期間で再建したそうでありますが、最初に力を入れたのが、利用者からの改善要望が最も多かったトイレのリフォームだったと言われています。
 少し前に「トイレの神様」という歌がはやりました。その一説に次のような歌詞があります。「トイレ掃除だけ苦手な私におばあちゃんがこう言った トレイにはそれはそれはキレイな女神様がいるんやで だから毎日キレイにしたら女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで その日から私はトイレをピカピカにし始めた べっぴんさんに絶対なりたくて毎日磨いてた」。
 私も、トイレに女神様がいると思います。自宅のトイレは、私自身が行います。一番汚いとされているところがきれいだと、ほかは大したことがなくても全体のレベルが上がります。逆に、トイレが汚いと、ほかをどんなにきれいにしても帳消しになると思います。
 そういう意味で、観光立県を標榜する本県の公衆トイレは、きれいでなくてはならないと考えます。県では、市町村の公衆トイレ設置に補助金を出し、トイレマップを公表していますが、果たしてきれいなのかどうか。公衆トイレのきれいさがその観光地のレベルをあらわすバロメーターであるとの思いから、公衆トイレを美化する方法として、独自にきれいさ基準を設け、常時基準を達成しているトイレを認定、公表してはどうかと考えます。
 少し内容は違うのですが、イギリスにはイエローブックという個人の庭を調査、登録するガイドブックがあり、イエローブックに何とか掲載されるよう、英国民は競って庭園管理に汗を流すそうです。
 ということで、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 なお、既に和歌山市内のお茶屋さんが、個人的に和歌山市周辺のトイレを調査し、評価・公表されておられます。この際、すばらしいアイデアと行動力に敬意を表しておきます。
 次に、ホテル・旅館業の固定資産税の評価の見直しについて伺います。
 昨年の12号台風からの復旧については、官民挙げての努力により、急ピッチに進んでいると心強く思っております。
 しかし、復興となると、依然、道半ばであると思います。特に、ホテル・旅館については、大勢の従業員を抱え、工場よりはるかに生産性の低い大きい施設を維持していかなくてはならず、全国的にも経営は大変と言われております。
 そんな経営環境の中、耐震化については、6月議会で知事にお尋ねしたところ、力強い御答弁をいただきましたが、ホテル・旅館に係る固定資産税の評価額については、建築後、何年経過してもその評価額が下がらないので困っていると聞いております。ぜひ、その評価の見直しをする必要があるのではないかと考えますが、総務部長の御所見を伺います。
○議長(山下直也君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 観光立県を推進するためには、観光客のおもてなしが大変重要であると認識しておりまして、そのために、毎年策定している観光振興アクションプログラムにおいて、おもてなしを3本柱の1つとして位置づけまして、その中では、公衆トイレの整備、それからホテル・旅館従業員さん、あるいはタクシーの運転手さんの研修、それから観光案内表示の多言語化、こういうものを柱として積極的に取り組んできたところでございます。
 特に公衆トイレについては、最近の例では、熊野古道の十丈王子とか三越峠等に、これはなかなかくみ取りなんかもできないもんですから、水洗でも流すところがない。そこで、バイオ式トイレなどを整備するとともに、紀美野町の生石高原、高野町の女人堂、太地町のくじら浜公園など、市町村の公衆トイレの整備を助成してきたところです。
 公衆トイレについては、整備の推進とあわせて、これまでも維持管理について、市町村、観光関係者と取り組んできたところでございますけれども、例えば和歌山市の和歌公園とか、あるいは有田川町の馬廻橋近くのトイレなどは、住民の方が美化、清掃に協力してくれておりまして、大変頭が下がるところもございます。
 公衆トイレの美化の重要性にかんがみ、議員御指摘のように、今後さらに美化に力を入れていく必要があると考えておりまして、頑張る所存でございます。
○議長(山下直也君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) ホテル・旅館の固定資産税に係る評価ですが、鉄筋コンクリートづくりの場合、50年かけて減価していくこととされてるところでございます。
 議員御質問のホテル・旅館に係る固定資産税の評価の見直しにつきましては、平成24年度税制改正大綱において、実態調査等の結果を踏まえ、家屋類型間の減価状況のバランスも考慮の上、具体的な検討を進め、平成27年度の評価がえで対応することとされており、国において、現在、検討が行われているところであります。
 県としましては、国の検討の状況をフォローし、注視してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな2番目に、防災対策について、4点質問いたします。
 まず、人工島で津波を軽減できないかということをお聞きします。
 この9月6日から3日間、和歌山高専の小池准教授を中心に、御坊商工会議所や市建設業協同組合の有志で構成する津波防災研究会のメンバー15人で、宮城・岩手両県の被災地を訪問してきました。
 今回は、特養施設長で消防団員でもある芳賀大槌町議や南三陸町のホテル役員、津田東北整備局港湾空港部長などから、命からがら避難した体験談や、今なお復旧途上にある現地の課題を直接お伺いすることができました。
 また、震災後1年半が経過し、19兆円もの巨費を投じながら、被災地は、現地かさ上げ、高台移転にかかわらず、ほとんどの地区でいまだに住宅が再建されていない状況を見るにつけ、改めて早期の復興を願うと同時に、できることなら予算は、被災後の復旧・復興に使うよりも被災前の防災・減災対策にこそ回せないものかと思いました。
 我が県でも、一刻も早く東南海・南海地震に対して全力で防災対策を講じ、命を守ることは当然ですが、住宅やライフライン、インフラ、事業所なども何とか防災・減災対策で守り抜かねばと思いました。
 さて、ギネスに載る釜石湾口の大深水防波堤は、高速議連でも視察したこともありますが、一部壊れたものの、津波の衝撃や浸水を食いとめるのに大いに役立ったと東北整備局から伺いました。改めて、ハード整備の必要性を認識いたしました。
 また、天然の要塞とも言うべき松島は、多島海──海にたくさん島が浮かぶ、そういう意味でありますが──の地形が津波の衝撃から町を守りました。
 9月18日付の「朝日新聞」には、松島を参考に、沿岸部の陸上に瓦れきを埋めた小高い防潮林を点在させる「千年希望の丘」と名づけられた計画が紹介されています。計画を推進する岩沼市長は、その理由に、災害時に海岸沿いの公園にある築山に避難して助かった市民の例を挙げています。
 我が県には瓦れきはありませんが、建設残土ならあります。現在、県では、県発注工事の建設残土を、わざわざお金をかけて処分しています。有田─田辺間の4車線化では、トンネルの掘削土が大量に出てきます。このような建設残土を市街地の前面の海中に投入し、人工島を建設することで津波の衝撃を緩和できないかと考えます。
 以前、私は、アメリカの各地で、航路確保のためしゅんせつをした土砂を港湾区域に積み上げた人工島をたくさん見てきました。私は、人工島建設が津波対策の大変有効な施策であると考えますが、技術者である県土整備部長の御所見を伺います。
 次に、新しい被害想定を受けて、防災対策に取り組む市町村への支援について伺います。
 去る8月29日、内閣府から、南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定が公表されました。津波高、浸水域が10メートルメッシュの詳細なデータが示されるとともに、近畿地方が大きく被災するケースでは、最大で約28万人が、本県でも最大8万人が死亡するという大変衝撃的な内容でした。
 ただし、死亡者数は、早期避難率を高め、呼びかけを行うことで、ケースによっては全国で約12万人、本県で4万人を減ずることができるとしています。そうであるなら、直ちに官民挙げての防災対策をスタートさせようではありませんか。
 しかし、防災対策では、中心的な役割が期待される市町村の現状を見たとき、マンパワーの不足のため、今後の計画づくりにも不安が残ります。国にもぜひ応援を求めたいところですが、果たして県としてどのような支援を行うのか、御所見を伺います。
 3番目に、美浜町にある国立病院機構和歌山病院について伺います。
 和歌山病院では、去る9月13日、耐震化のための建築工事の契約をしたようであります。被害想定がはっきりした今日、せっかく建て直すなら、どうして高台へ移転しなかったのか。計画では、鉄筋3階建てで、屋上へ避難できると想定しているそうですが、患者やスタッフは生き残ることができても、病院としての機能は維持できるのでしょうか。
 日高地方では、災害拠点病院は日高病院がなっていますが、日高病院だけで東南海・南海地震のような巨大災害に対応できるわけではなく、ぜひ和歌山病院にも災害医療の一翼を担ってもらいたいと思います。とりわけ、がん治療に有効な放射線科は、本来、日高病院へ集中させてがん拠点病院にすべきところを、わざわざ和歌山病院に残したところです。
 県として、今回の改築決定にどのように対応するのか、福祉保健部長に伺います。
 4番目に、御坊火力発電所の地震・津波対策について伺います。
 今回の被害想定では、御坊火力発電所を震度7の揺れと10メートル以上の巨大な津波が襲うことが予想されております。火力発電所では、福島原発のような事故は想定されていませんが、津波が石油タンクを破壊し石油が流出することは東日本大震災でも現実に発生しており、気仙沼市では流出した石油で大火災になりました。
 私は、石油が御坊のまちに流れ込んで、津波と火災の二重の災害になるのではと心配しております。また、当面は続く電力不足のことを考えると、御坊火力の被災は、関西の住民生活や企業活動に大きな影響を及ぼすものであります。
 そもそも、発電所の防災対策は電力会社の自己責任でありますが、県として、危険物屋外タンク貯蔵所の地震・津波対策について、どのように指導されているのでしょうか、御答弁願います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問のうち、私にというふうに御指定がございました点についてお答え申し上げます。
 まず、市町村への支援というところでございますが、国の南海トラフ巨大地震の想定では、県南部の地域において、地震発生から津波の到達時間が非常に短くて、現状では避難が困難な地域も想定されております。
 県としては、すべての住民が避難をあきらめることなく、できるだけ高い場所に避難することができるよう、避難路や津波避難タワー等の整備については、県パワーアップ補助金や国の緊急防災・減災事業により市町村を支援しているところであります。
 また、緊急防災・減災事業につきましては、国の助成策が制度設計では確保されるはずの公共施設の高台移転というような構想が、実は財源が枯渇してしまって、計画どおりやろうとしてもお金をくれないかもしれない、そういうような事態が現在起こっておりまして、これはけしからん話なので、国に対して十分な財源確保をやるように、現在、強く要望してるところであります。
 さらに、現在、まだ被害を受けていないけれども、被害を受ける可能性のある低地に住んでおられる方々を、避難がきちんとできる、あるいは避難をしなくても済むような高台に移っていただくというような、いわばまちの改造みたいなことをしておかないと、避難が十分できないという地域もあります。
 既に、串本町や、あるいはすさみ町ではいろんな構想を考えておられるようでありますけれども、これは市町村がどうぞと言うだけでは、議員御指摘のように、県としての責任を果たせないと考えておりまして、実はどうすればそういうことができるか、これは大変難しい問題だと思いますが、そういうことを、現在、県を挙げて検討している状況でございます。具体的に市町村を助けていくということにしていきたいと思っております。
 さらに、昨年12月に施行された津波防災地域づくりに関する法律に基づく推進計画、これは作成いたしましょうということで、市町を支援するために、本年6月に国、県、関係市町の連絡会議を設置したところでございますが、そういうことも含めまして、県では、引き続き県民の命を守る防災対策を市町村とともに取り組んでいきたい、こんなふうに思っております。
 それから、その次に、御坊火力発電所の地震・津波対策であります。
 これは、消防法では容量1000キロリットル以上の屋外タンクについて、タンク構造や基礎、地盤についてのタンク基準が設けられておりますけれども、東日本大震災で何が起こったかというと、容量1万キロリットル以上のタンクでは被害が少なくて、小さいタンク、これは防御基準もちょっと緩くなってるわけですけど、そういうところで被害が大きかったということで、これは国において耐震基準について見直しをして、それでやり直そうという動きになっております。
 関西電力御坊発電所には、6万キロリットルタンク4基と3000キロリットルタンク2基が設置されておりまして、現行法の消防基準に従って、もちろん耐震対策は講じられているんですけれども、今言ったような事情でございますので、特に今後、この3000キロリットルのタンクについて、国の基準見直しを踏まえた耐震対策が必要ではないかと思います。企業がおやりになるわけですけれども、我々としても、ちゃんとウオッチしていきたいと思っております。
 一方、津波対策といたしましては、国では、津波によるタンクがどのような影響を受けるか予測できるソフトをつくって公表しておりまして、事業所では、これを活用して検証し、対策を講じることになっておりまして、これについても、寄り添うようにうまく指導していきたいと考えております。
 県としては、そういうことで、企業とよく連絡をとって、また各地の消防本部、これとも連絡、連携して指導していきたいと思っております。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 人工島建設による津波対策についてでございますが、人工島の設置は、通常、大規模な事業となるとともに、自然環境や漁業活動に配慮する必要があるなどの難しい面があります。一般的には、津波対策に活用することが難しいのではないかと考えております。
 各地域の津波対策につきましては、県が行うシミュレーションの結果を踏まえ、津波の流入状況やまちの地形といったことを分析した上で、防波堤、防潮堤、避難ビル、避難路、高台造成など、ハード・ソフトのさまざまな手段をいかに効率的、効果的に組み合わせていくかを関係者が一体となって検討していくことが必要と考えております。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 現在、国立病院機構和歌山病院は、診療棟などの改築を計画しているところです。
 津波・防災対策につきましては、まずは国立病院機構本部及び病院が、8月に内閣府から公表されました「南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等及び被害想定」を真摯に受けとめ、適切に取り組んでいるものと考えていますが、県といたしましても、患者の安全を最優先に、また病院機能が維持できるよう病院と協議するとともに、国立病院機構本部や国にも強く働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 実は、ことしだけで、東日本の被災地へ4回行かしてもらいました。行くたびに思うことでありますけども、本当にあの被害の大きさを見れば、もっと大勢の人が亡くなってるんじゃないかと思われるぐらい大変な被害状況であります。
 こういう大きな災害から私たちが国民、県民の生命、財産を守っていくためには新しい法律もやっぱり要ると思いますし、事業をやっていくための財源というのも要るというふうに思いますし、新しい防災・減災技術というのも要るんじゃないのかなというふうに思います。
 人工島がいいんじゃないかとか、それから──今申し上げたのは人工島ですけども──もう1つ、私は御坊のまちを考えたときに、小学校の運動場なんかも、30メーターぐらいかさ上げをしたら1万人ぐらいの人が避難できるわけでありますけども、今までそういうものをつくるという発想がなかったわけであります。私は土木技術者ではありませんけども、現地へ行って、まちが跡形もなくなってる、そんな状況を見たら、そんなものもぜひ必要じゃないかなというふうに思っております。
 だれが開発してくれるのか、よくわかりませんけども、とりあえず私たちは、御坊の人でもできるようなことということで、さっきも申し上げましたが、高専の先生を中心にそういう研究を始めていこうということから始めておりますが、ぜひ県のほうでも研究していただきたいというふうにお願いしておきたいし、国にもそういう要望をしていただきたいというふうに思っております。
 続けて、質問を行ってまいります。
 大きな3番目に、高齢者の農作業事故防止について質問します。
 ことし6月、近所の篤農家のおじいさんが、耕運機の操作を誤り、ローターに巻き込まれて亡くなる痛ましい事故がありました。腰は少し曲がっていても、車で夫婦仲よく買い物にも出かけるすごく元気な人でした。最近は、がんなど病気で死ぬ人が多い中で、病気一つしなくても人は死ぬものだと認識させられました。
 新聞では、時々、農作業中の死亡事故が報道されています。特に台風襲来時に人が亡くなるというニュースは、田んぼの様子を見に行った高齢者が多く、急速に進む農家の高齢化を象徴しています。
 そこで、お尋ねします。
 農作業の事故の発生状況はどうなっていますか。また、その対策についても、農林水産部長に御答弁願います。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 高齢者農作業事故防止に係る2つの御質問にあわせてお答え申し上げます。
 農作業事故の現状について、本県では、近年、年間平均3件程度の死亡事故が発生し、そのうち65歳以上の高齢者の割合は過去10年間で81%です。また、全国的には、年間平均で400件程度の死亡事故が発生しており、そのうち65歳以上の高齢者の割合は過去の10年間で76%と、いずれも高齢者の比率が高い状況となっております。
 県としては、農繁期の3月ないし5月と9月から10月を重点期間と定め、市町村や農業協同組合と連携のもと、ポスター掲示や各種研修会を通じた安全啓発活動に取り組むとともに、農業機械の安全操作や点検に関する研修を実施しているところです。
 農作業の事故防止対策は重要な課題であり、引き続き市町村や農業協同組合と連携を図り、幅広い機会をとらまえ、実情にかんがみて、事故事例の資料を活用した高齢者向けの研修等の安全啓発活動を推進する所存でございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 高齢化する日本農業の振興策には機械化というのが絶対条件でありますけども、農業資材は、省力化も含めて機械化が大変おくれているのが実情であります。ぜひ国や県に機械化の研究をするよう、この際、要望しておきます。
 続きまして、大きな4番目に海洋関連研究所の誘致について質問します。
 私は、平成22年2月定例会で、知事に海洋開発の必要性と取り組みについて伺いました。今回は、その取り組みの手始めとして、海洋関連研究所の誘致を提案したいと思います。
 現在、尖閣列島や竹島など、我が国領土に周辺国から言いがかりをつけられています。その目的は、石油やメタンハイドレートなど、地下資源の獲得だと言われています。
 私たちは、これまで半島性からの脱却に力を入れてきました。しかし、今はむしろ逆に、海洋開発など半島性を生かした振興策も図るべきだと考えます。
 幸い、本県には600数十キロにも及ぶ海岸線があり、排他的経済水域まで含めると広大な海域を有します。海は時として災害を起こしますが、実は宝の海でもあります。
 ただ、現在のところ未開発であり、国内消費100年分と言われるメタンハイドレートや熱水鉱床など、海底の資源、海水や海流の利用など、今後の開発が待たれます。
 知事は、私の質問に対して、極めて重要で、今後、国や大学、研究機関等の動向を注視し、情報収集に努めながら、海を活用した本県の振興策について調査研究を進めるとの御答弁をいただきました。
 以来、私は、果たして県で何ができるのかを考えてきましたが、県には研究者がいるわけではなく、所管も定かでない状況の中、積極・主体的に取り組むのは困難で、みずから取り組むのではなく、研究所や研究者を招聘するところから始めるべきだと気づきました。
 現在、海洋開発に関する研究を行っているところは、独立行政法人海洋研究開発機構や東海大学、佐賀大学など少数で、恐らく今後、設置が進むのではと予測しております。
 残念ながら、和歌山大学には海洋研究者は1人もいないと聞いておりますが、まずできることからという意味で、大学や企業などに海洋関連研究所の誘致、研究者の招聘など、各方面に働きかけてはと考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、さまざまな研究機関によりまして、潮の満ち引きによる潮流や黒潮などの海流のエネルギーを利用する潮力発電や海流発電、波のエネルギーを利用した波力発電等の調査研究が各地で進められております。
 黒潮が沖合を流れる熊野灘、これはもちろんですが、すぐれた港湾施設や造船の実績を持つ日高地域、あるいは潮流の激しい紀淡海峡など、本県はすぐれた研究フィールドとなるポテンシャルを擁していると思っております。
 また、太平洋沖にはメタンハイドレートなど豊富なエネルギー資源が蓄えられておりまして、これらを有効に取り出すことで、次世代エネルギーとしての利用促進が期待されるわけです。
 これについては、国の研究開発が現段階ではちょっと和歌山から離れているということもありまして、もう少し賦存状況なんか調べといたほうがいいかなというようなこともございますので、今、どうしようかといろいろ考えてるところであります。
 現在、このような資源を有効に活用すべく、地元自治体と足並みをそろえまして、国の総合実証実験海域への指定や民間事業体による本県海域での実証実験誘致を働きかけているところでありまして、例えば新宮に「ちきゅう」を誘致してきたなんてのも、その一環なんでございます。
 本県への研究機関の誘致や研究者の招聘などについては、その機関とか組織とか、なかなかつくってくれないという時代に現在あるので、なかなか難しい課題であると考えますけれども、海洋開発への取り組みは、どんな時代であっても和歌山にとっては重要でございまして、議員御提案を含め、それから砂防に関する研究施設なども含めて、さまざまな可能性を積極的に追求してまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、県立医科大学への薬学部設置について質問します。
 医師不足や看護師不足、これはよく聞く話ですが、本県では、実は薬剤師も不足しています。人口10万人当たりの薬剤師数は全国平均より少し下回る程度ですが、薬剤師は和歌山市に集中し、和歌山市以外では極端に少ないという状況にあり、これまた医師、看護師と同様に偏在であります。
 県薬務課では、この状況は、薬学部6年修学の学生が卒業し、潜在資格者の掘り起こしをすれば薬剤師不足は解消すると説明しています。しかし、よく似た説明は、かつて医師不足のときも聞いたし、看護師不足のときも聞かされました。
 私は、この際、和歌山県立医科大学に薬学部を新設するべきであると考えます。薬学部の設置は、薬剤師不足の解消はもとより、地域医療の充実になり、医学部との相性もよく、医科大学の発展につながるものと期待します。さらに、優秀な人材を集めることができれば、創薬──薬をつくるという意味でありますが──など、県経済の発展にも資するものと確信します。
 現在、九州、四国や東北地方にある私学の薬学部では定員割れをしており、文科省は許可しないのではないかという説もあります。かつて、和歌山大学に工学部を設置するのに時間がかかり、学部新設は大変難しい課題と思っておりましたが、本県が主張している間に全国の私学には工学部がたくさん新設されていました。本当に必要なら、努力をすれば、観光学部のように可能ではないでしょうか。
 そもそも、医学部のように全国一律に薬学部を設置する政策もとらずに、求められるままに一部地域に偏在させた文科省の失策を、今、薬剤師不足で困っている本県が、なぜその責めを負わなければならないのかと思います。
 知事の薬剤師不足に対しての認識と薬学部設置の可能性について、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案あるいは御指摘の点については、私も大変共感をするところがございます。
 県内の薬剤師数については、御指摘のように、地域偏在等による確保が困難な場合があると認識しております。
 県立医科大学へ薬学部が設置できますならば、不足かどうかにかかわらず、県外の薬学部に今現在たくさんの人が進学しているわけですけれども、そういう人を取り戻すことができます。県内に優秀な薬剤師が確保できるきっかけにもなると思いますので、大変よいことであると私は思います。
 しかしながら、医大でもそうでございますけど、医学部でもそうでございますが、ほかの学部でもそうでございますが、大学の運営をするためには、収入に比して、実は支出が物すごく大変なんでございます。したがって、現実的には、国に設置を認めてもらって初めて交付税措置──これは県立大学なんかでは交付税措置などが期待できて、それで運営がかつかつできるようになるということなんでございます。
 そのためには、大学審議会の議を経て、この場合でいうと文部科学省、厚労省、そして財務省、こういうものの賛成が、すなわち政府全体の賛成が必要でございます。医大の定員増をかち取りましたが、これは実はこの間隙を縫って、何とかこのメカニズムをうまく利用してというか、にもかかわらず時代を読んでやってしまったわけでございます。
 現在、全国的な薬学部の状況については、御指摘がありましたように、一部の大学において入学定員割れが生じたりして定数が削減される状況にあります。大学審議会などでは、こういう環境をいつも見ておりますので、卒業生の求人なんかに加えて、こういう学生の過不足、これが大変問題になります。
 したがって、御指摘のように、新設について国に認めてもらうということは、現状では客観的に言って大変困難だと思います。
 しかし、これはいいことには変わりはございませんので、県は、国のオーケーがどうしたらもらえるかということを常に機会をうかがって、工夫を凝らして、目標としては県立医科大学への薬学部設置の好機をうかがってまいりたいと、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 本当に、九州とか四国、東北には、たくさん私学で薬学部があります。そんなところを閉めてもらって、国公立が少ないので、和歌山県立医科大学につくったら優秀な学生は必ず集まるというふうに確信しておりますが、研究をしてくださるということでありますので、大いに期待いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、昨年の台風12号に伴う紀伊半島豪雨から1年がたちました。当時、9月3日から同4日未明にかけて本県を襲った記録的豪雨は、総降水量が広い範囲で1000ミリを優に超え、本県においては、死者56名、行方不明5名、全壊240棟、半壊1753棟という甚大な被害が発生したわけでございます。そして、現在もなお土砂の撤去作業は続いており、仮設住宅や公営住宅などでの避難生活を余儀なくされている方々の数は、123世帯283名に上っております。
 ここに改めて、犠牲となられた方々に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様方に対しお見舞いを申し上げます。一日も早く平穏な生活を取り戻されることをお祈り申し上げる次第でございます。
 また、当局、また地元自治体及び関係者の皆様方には、その復旧・復興作業に対し、心から敬意を表するものであります。
 さて、私の所属する経済警察委員会は、8月の28日から29日にかけまして県内調査を実施いたしました。世界遺産熊野本宮館の修繕状況を確認し、また熊野川の惨状を川舟から見てまいりました。
 この県内調査から、当時の河川の水量がいかに我々の想像を超えるものであったか、そして、それがどのようにして周辺住民の方々に襲いかかったかを改めて認識させられたところであります。このとき、自然災害の恐ろしさについて、そしてまた自然災害対策の重要性について、いま一度考えさせられたのは私1人ではなかったと思います。
 本日は、まず以上のことを踏まえまして質問さしていただきます。
 昨年、その威力のすさまじさと被害の大きさをまざまざと見せつけられた豪雨災害でありますが、今後、再び同じような自然災害が本県を襲った場合について、危機管理監の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 今後における自然災害発生時の対策について、お答えを申し上げます。
 昨年の紀伊半島大水害の教訓から、災害対策本部の体制や防災訓練の見直し、情報収集体制の強化に取り組んでおります。
 災害対策本部の体制については、本部の総合統制室に救援物資、医療、交通・通信などを担当する新たな班を設置することによって、従来の5グループ60人から7班16グループ144人とし、情報共有の迅速化など、災害対応力の強化を図ってまいりました。
 また、防災訓練についても、災害時にすぐに役に立つよう、できるだけ実践形式で行うよう、すべての訓練について見直しを行い、また実践的な新たな訓練を実施いたします。
 災害時に孤立する可能性のある集落への防災行政無線機の新設、更新をさらに推し進めるなど、情報収集体制の強化を図っているところでございます。
 今後、さらに迅速、的確な対応ができるよう、体制強化に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ありがとうございました。
 昨年の豪雨災害のときに1つ気になったのが、旧の龍神村、ここにこの間──虎ケ峰、今、仮復旧のところなんですが──上がりました。通常のラジオが、なかなか通信が入らないと。もちろん、停電でテレビはだめやし、唯一情報が入ってくるのはラジオだけで、あそこの地域は、雨がたくさん降ると外に出るなという昔からの言い伝えで、ところが家の中でラジオが聞けない、だから情報が全く入ってないという、そういう地域もございますので、ひとつまたいろんな通信関係について整備を整えていただきたいということを要望申し上げたいと思います。
 次に、昨年の台風12号豪雨による出水では、斜面が崩壊したり洪水が川からあふれたりして、那智川流域などで多くの犠牲者が出ました。
 また、最近発生した九州豪雨等では、川があふれなくても、しみ込んだ水で堤防が決壊する浸透破堤の問題が注目されております。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 県管理の河川堤防において安全性が十分に確保されているのでしょうか、御答弁ください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 降雨に起因する堤防決壊の原因には、越流、浸食、浸透の3つのメカニズムがあります。このうち、議員御質問の浸透破堤は、水圧などの外力のほかに堤体の質的な要因が関係してきます。
 県管理河川の堤防内部の詳細調査は、その延長も長く容易ではないことから、県では巡視を行いつつ、変状のある箇所から優先的に堤防の強化を実施しております。
 また、巡視とあわせ、さらにきめ細やかに堤防状態を把握する観点から、河川の堤防を通る方や近くにお住まいの方に、変状を発見した場合には最寄りの建設部等へ通報していただけるような制度を導入してまいります。
 県としましては、今後とも、堤防の状態を常に把握しながら、適切に堤防の安全性確保を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 じゃ、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、先般発表されました南海トラフ巨大地震の被害想定に関連して質問をさせていただきます。
 内閣府は、南海トラフの巨大地震モデル検討会において、科学的知見に基づき、想定すべき最大クラスの地震・津波の検討を進め、本年3月末に、その第1次報告として震度分布及び50メートルメッシュによる津波高の推計結果を取りまとめ、公表されております。
 続いて、この8月には、10メートルメッシュによる津波高及び浸水域等の推計結果が第2次報告として取りまとめられている中で、中央防災会議の対策検討ワーキンググループにおいて、建物被害・人的被害等の推計結果が取りまとめられ、公表されました。
 今回の被害想定の推計結果では、推定死亡者が、従来の2万5000人から、東海地方が大きく被災するケースの最悪の場合には13倍の32万人とされ、また、近畿地方が大きく被災する最悪の場合には本県において約8万人が死亡するものと想定しております。
 まことに憂慮すべき数字でありますが、この発表に際して、内閣府は、対策をとれば被害は減らせるとコメントをしております。まさに、この有効な対策こそが今後の本県の防災の成否を握るかぎになるのではないでしょうか。
 そこで、開会日に開催されました東南海・南海地震等対策特別委員会でも審議されたところではありますが、ここで改めまして、今回発表されました南海トラフ巨大地震の被害想定をごらんになられて、どのような思いを持たれたのか、そして今後どのように有効な対策を講じていかれるのか、知事の御所見をお伺い申し上げます。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国が公表いたしました南海トラフの巨大地震、これは、発生確率は極めて低いものの、科学的知見に基づき想定した最大クラスの地震・津波、これをつなぎ合わせたようなものということでありまして、その被害想定は大変厳しいものであります。
 しかし、私たちは、この厳しい内容に単に恐怖を感じて恐れおののくだけじゃなくて、この内容を冷静に分析して、命を守るために最善の対策を考え、実行していくことが必要だというふうに思います。
 今回の被害想定をよく見ますと、これは国のほうも言ってくれてるんですが、迅速に避難した場合とそうでない場合とでは、想定死者数に最大約4万人の差があります。また、建物の耐震化によっても死者が大きく減少するということも報告されております。
 このことは、昨年4月以来、我々が防災・減災対策の総点検の中で実施してまいりました、強い揺れから命を守るための耐震診断、耐震改修、家具の固定、あるいは津波から命を守るための避難を中心とした防災対策の効果が高いことの証左であると思います。
 そういう観点から、少し時間をかけて、昨年、避難場所の見直しを行いました。しかも、これはレベル1、2、3というスタイルだったんですが、安全と言い得るレベル3が新しい想定でひょっとしたら危ないということであったら困るので、したがって、そこのところは早急に見直しまでいたしました。
 こういう命を守るための防災対策が県民1人1人に行き渡るように、防災教育を継続的に行い、また住民避難訓練や実際の災害対応にできるだけ近い形で実践的な訓練を行うなど、防災対策にしっかり取り組んでいきたいと思います。しかも、先ほど申し上げましたように、市町村と協力して、避難のための、あるいは減災のための施設整備なども必要になってきますので、主にその市町村を助成していくというような形で頑張っていきたいと思います。
 さらに、公表結果でもそうでございますが、非常に短時間で津波が到達するということから、現状では避難が困難な地域があると思います。そういう地域では、将来的な高台移転など、地域の構造を変えていく必要もあると思います。これは、大変難しい仕事でありまして、すぐにはなかなか確たることができないと思いますけれども、挑戦を始めないと永久にできないわけでございますので、来年度の新施策で、まず、かなり、できるだけ大きな芽を出していきたい、そんなふうに思って検討してるところです。
 また、大規模災害に備えた安心・安全なインフラ整備を推進する必要があると、さらに認識したところであります。現在、計画段階評価が進められている近畿自動車道紀勢線のすさみ─太地間、新宮─大泊──これは三重県ですが──間の早期事業化を働きかけるなど、引き続き、議員各位の御協力を得ながら、命の道としての紀伊半島一周高速道路の早期実現に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ありがとうございました。ぜひとも、有効な挑戦をお願い申し上げます。
 続きまして、防災関連の各論部分について質問をさせていただきます。
 今回発表されました南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等に関する第2次報告と被害想定に関する第1次報告について、京都大学の防災研究所巨大災害研究センター長の矢守教授が、1995年の阪神・淡路大震災と昨年の東日本大震災が合わさったものを想定したものと言われておりました。これらに関して、関係機関等との綿密な協議と行政間の意見交換が必要になってくると思われます。
 そこで、まず県土整備部長にお尋ねします。
 昨年の12月の14日に公布されました津波防災地域づくりに関する法律に基づき、どのような対応をお考えなのでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 昨年12月に津波防災地域づくりに関する法律が施行されたことを受け、国から、ことし1月に基本方針が、また3月に施行通知が出されたところです。法律では、県で実施する津波浸水想定を受けて、市町村が津波防災地域づくりの推進のために行う事業等を記載した推進計画を作成することになっております。
 こうしたことを受けて、6月1日に、国、県、関係市町が参加する東海・東南海・南海3連動地震・津波に強い和歌山地域づくり連絡会議を立ち上げました。県では、この連絡会議を通じ、東日本大震災の事例を初め、さまざまな情報を共有し、浸水想定区域内における土地利用及び警戒避難体制の整備、海岸保全施設や津波防護施設等の整備計画など、ハード・ソフト施策を総合的に盛り込んだ推進計画を市町が速やかに作成できるよう、国とともに支援していきます。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 次に、県内の公共インフラ施設についてですが、現存の施設は、多くが昭和39年に開催されました東京オリンピックを境に、高度経済成長時代を迎えて約50年経過しようとしております。これらの施設の多くは、災害発生時の避難路として、また緊急輸送道路としての役割を担い、家屋の倒壊、道路の陥没、橋梁の落橋等により遮断されてしまうというような、そういう危険性を排除し、常に安全性を担保しておかなければならず、優先的に整備、管理すべきであると考えるところであります。
 我が党も、防災・減災ニューディールという政策を出さしていただいて、10年で100兆円という、そういう規模の、老朽化した、そういったところの公共の施設等に対して、建設国債やニューディール債、また民間の資金、いわゆるPFI等々を重ねまして、落橋するとか、また家屋の倒壊の前に公共施設をしっかりとあらかじめ防御していくという、そういう政策を発表さしていただいたところであります。
 まず、災害時の緊急輸送道路上にある橋梁について、その耐震対策の進捗状況についてお答えください。
 さらに、県管理の橋梁、高架道路、港湾岸壁に関し、長寿命化対策の進捗状況と今後の見込みについても、あわせて県土整備部長にお伺いを申し上げます。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 緊急輸送道路等における県管理橋梁につきましては、平成8年より前の道路橋示方書に基づき設計された橋長15メートル以上の橋梁において、平成16年度から耐震化に取り組んでおります。進捗率は、平成23年度末現在、366橋のうち280橋の対策が完了し、率で77%となっております。
 県管理の国道、県道における橋梁、高架道路の長寿命化につきましては、平成20年度に2383橋の和歌山県道路橋長寿命化修繕計画を策定しました。この計画に基づき、平成21年度から23年度にかけて全橋梁を点検し、236橋で修繕を行いました。
 今後も定期的な橋梁点検を行い、計画的かつ予防的に必要な修繕を行ってまいります。
 また、港湾岸壁につきましては、現在、県管理の主要港湾施設の維持管理を適切に実施していくための計画策定に取り組んでおり、本年度中に完了予定です。その後、これに基づき、計画的に維持管理を実施していくこととしております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 次に、本県内の公立小中学校においては、防災に関して、訓練を含めた研修会が進められております。
 先日、NHKの放送を見ました。「釜石の“奇跡”」で全国的に有名な群馬大学の片田教授の田辺市における特別授業の様子が放送されておりました。その学校現場における防災の実践教育では、逃げる大切さが教えられています。そして、その根底には互いへの信頼ときずなが必要というふうにおっしゃっておられました。
 私は、この防災授業を受けた児童生徒たちが地域の防災意識を変革し、彼らが大人になったとき、1人1人が防災のリーダーになることを期待するものであります。
 また、今回の放送を見まして、おどしの防災教育ではなく、災害にいたずらにおびえるのではなく、その土地を愛し、いざというときにちゃんと行動できる自分であることの大切さが強調されていたように感じました。
 紀南文化会館で開催された学習発表会では、「最善を尽くすのは、地震が来てからではなく、来る前もそうだと僕たちは思います」というふうに子供たちも発表をされておりました。
 そして、片田教授も常に「釜石市の例は釜石の奇跡ではなく釜石の実績である」と言われ、8年前から取り組んでおられる犠牲者ゼロの地域づくりを目標に、子供から親へ、親から地域へ、1人も犠牲者を出さない防災教育の重要性を訴えられております。
 そこで、教育長にお伺いします。
 本県の教育現場においては、現在、どのような防災教育の取り組みが行われているのでしょうか。また、今後、どのように行っていくお考えなのか、お聞かせください。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 各学校における防災教育については、東日本大震災や紀伊半島大水害の甚大な被害を教訓にして、多くの学校が新たに避難経路の見直しや短時間で避難する訓練を重ねるなど、より現実感を持って取り組みを進めています。
 県内の小中学校においては、災害から自分の命を守る力を身につけさせるため、片田教授の「釜石の実績」を参考にして、昨年作成した「津波防災教育指導の手引き」をもとに授業を行っており、また高等学校においては、地域防災の担い手を育てるため、平成16年度から高校生防災スクールを毎年県内5つの地域で実施し、すべての学校に行き渡るよう、順次開催をしてきております。
 一方、地域全体の防災力向上のため、新宮市を初め県内4市町で専門家の指導を受け、地域の地形や住民の実情に合わせた防災教育や避難訓練の取り組みを、学校を中心に行っているところです。
 今後もこうした取り組みを継続し、正しい防災意識を持った子供を育てていくことにより、1人も犠牲者を出さない防災教育を積極的に進めていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 防災教育の徹底に期待を寄せる1人であります。
 もう1点、教育関係でお伺いします。
 公立小中学校における非構造部材の耐震対策の進捗状況についてであります。
 我が党は、宮城・福島両県の一部を除き、災害避難場所に指定されている公立小中学校、全国3万395校の非構造部材の耐震化を推進してまいりました。
 校舎や体育館の天井や照明器具といった非構造部材の耐震対策を終えているのは、本年4月1日現在で全体の約32%に当たる9730校にとどまるという調査結果が今月の4日に文部科学省から発表されました。
 この調査は、東日本大震災の際に学校の体育館の天井の落下などが相次いだことから、昨年より文部科学省が始めたものであります。
 調査対象は、天井材、照明器具、窓ガラスなど7項目でありましたが、非構造部材耐震点検を実施した学校は、対前年度比0.7%増の66%で、そのうち点検で判明した問題箇所すべての耐震対策をしたのは48.5%であったということであります。
 また、都道府県別の耐震対策実施率は、福井県の62.2%が最も高く、以下、神奈川県の58.7%が続き、一方、低いほうから見ますと、山口県が7.9%、岡山県が11.8%、兵庫県が12.3%という結果でありました。
 また、耐震対策が終わっていない理由についての市町村教育委員会の説明に目を向けますと、「建物の耐震化を優先したため」が32.9%で最も高く、その他では、「他の整備とあわせて実施するため」25.9%や「工事費の確保が困難」という19.2%などが挙げられております。
 以上のことを踏まえて、教育長にお伺いいたします。
 本県における公立の小中学校の学校耐震化は、どのような状況にあるのでしょうか。また、さきに述べました非構造部材の耐震調査の本県における結果及び今後の耐震対策実施に向けたお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 公立小中学校における学校耐震化及び非構造部材の耐震対策についてお答えします。
 文部科学省が公表しております平成24年4月1日現在の本県の公立小中学校施設の耐震化の進捗状況につきましては、柱、はり、壁などの構造体の耐震化率は前年度比5.3ポイント増の89.4%となっており、16市町村においては既に耐震化が完了しております。
 しかしながら、天井材、照明器具等の非構造部材の落下防止等の対策につきましては、耐震点検の実施校は79.6%で、耐震対策済みの実施校は、文部科学省の公表後に3市町より訂正の報告があったことから、23.7%となっております。
 学校施設は、児童生徒の命を守るべき安全な施設、安心して過ごせる場でなければなりません。また、震災時には、地域住民の応急避難施設としても活用されます。
 このことから、県といたしましては、構造体の耐震化はもちろんのこと、議員御指摘のとおり、非構造部材の耐震対策についても、できるだけ早い時期に完了させるため、設置者である市町村に対して、耐震点検及び耐震対策の速やかな実施を促してまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 さきの大震災の際に、避難所とされているところが体育館というのが結構あるのですね。
 そこで、私、思いますが、7項目というふうに、学校の通路等々のそういったところも全部含んでという、こういうことでこの数字が上がってるというふうに理解しております。数字が低いから進んでいないという、こういう話ではないというふうに、これはもう理解はしっかりとしておりますが、とにかく、一番重要な、もしそういう場合には、優先順位として、まず体育館でしっかり落下の防止をやっていただく。上のところに網を張るとか、手すりが落下しないようにとか、そういう形で、実のある中身の部分を進めていただきたいということをひとつお願い申し上げたいと思います。
 なお、今回は公立の小中学校のことにつきましてお尋ね申し上げましたが、県立高等学校についても、ゼロ%であるというふうに聞き及んでますので、どうぞ格段なる御努力のほう、お願いを申し上げるということを要望しときます。
 次に、県民の健康保持の観点から質問をさせていただきます。
 皆様のお手元には、資料を配付させていただいております。会報の19号。
 もうここで複数回、質問もさしていただき、また要望もさしていただきましたブラッドパッチ療法というのが、皆さんの御支援もいただいて、NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の活動を受けまして、厚生労働省は本年6月1日に、ようやくこのブラッドパッチ療法を先進医療として承認いたしました。
 これは、和歌山市に在住されている中井代表以下の関係の方々が、全国各地を歩き回って陳情また要望活動を続けてきた約10年間の1つの大きな成果であります。長年むち打ち症で苦しんでいる全国の患者の方々にとっては、本当に朗報であります。
 大体、このむち打ち症で悩んでるという方は、全国で約30万人というふうに聞き及んでおります。その100分の1と言われるように、和歌山では約3000人ほどの患者さんがおるんではないかなというふうにも推測するところであります。
 先進医療とは、保険適用の前段階としての行政的措置で、硬膜外自家血注入療法いわゆるブラッドパッチ療法には保険が適用されませんが、検査等、その他の費用については保険が適用されるということになります。
 今後は、先進医療を実施する病院や医師がふえた分だけブラッドパッチ療法の効果を多く確認することができるわけでありまして、この7月1日に、私、鳥取県の倉吉において、県主催の研修会にも出席をさしていただきました。開会時間には追加のいすが運び込まれる状況で、患者会の方のほか、医師、警察関係、教育関係者といった方々が多く参加されていました。
 初めに担当部長のごあいさつがあり、その中で、脳脊髄液減少症という病気を広く周知することがこの研修会の目的であるという趣旨が述べられておりました。
 その後、独立行政法人の国立病院機構福山医療センター脳神経外科医長の守山英二先生と、鳥取大学の医学部麻酔・集中治療医学分野教授の稲垣喜三先生がそれぞれ講師となり、映像と資料を中心とした研修会が進行されていきます。
 その後、質問会でも闊達な議論が行われ、たまたま私の隣におられた麻酔科医の方は、脳脊髄液減少症については、これまでほとんど知らなかったが、今後は注意深く取り組むというふうにも述べられておりました。
 会報にも掲載していますが、各県においては、このように県主催で脳脊髄液減少症の周知と啓発等を目的とした勉強会が開催されております。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 本県におきまして、脳脊髄液減少症に関し、どのような取り組みが行われてきたのでしょうか。また、今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 脳脊髄液減少症に対する県の取り組みについて、お答えいたします。
 脳脊髄液減少症については、診断・治療方法が確立されていなかったため、対応できる医療機関が少なく、患者の皆様がどこの医療機関で受診していいのかわからない状況でした。そこで、県では、県内の医療機関に対し脳脊髄液減少症の診療状況に関する調査を行い、平成20年から、治療が可能な医療機関を県のホームページで紹介しているところです。
 このような中で、昨年10月に厚生労働省の研究班により脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準が示され、また本年6月には硬膜外自家血注入療法が先進医療として承認されたことは、患者の皆様がより適切な診療を受けられるようになる第一歩であると考えております。
 県といたしましては、これを1つのきっかけとして、ことしじゅうに医療関係者等に対する研修会を複数回予定しているところでございます。
 今後とも、国の動向を注視しながら、正しい情報提供等に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 むち打ち症の原因というのは、さまざまなものがございまして、交通事故や、また例えばスノボーでしりもちを打ったと、また学校の教育現場においてでも転倒等、またさらに出産時の、そういう女性のケースもございます。いろんなところで、整形、形成等々で診療を受けたけれども、なかなか治らないといった御相談があり、これを10年前からスタートしたのが真実でございます。
 そこで、いろんな治療を受けるけども、どこへ行ってもこれ以上治りませんよと、最終的に、要するに立ち上がることもできないという、そういう方もあります。めまいもする。最終的に、病名、もううつ病やなというふうな不幸な人も中にはございました。
 そういった患者のことを考えて、これからの人生、これをしっかりと我々は推進していく中で、県の総合医療機関においても、こういった診療が一日も早くできるような、そういう体制をぜひとも当局に対して要望申し上げたいというふうに思います。
 続きまして、関西電力LNG火力発電所の建設に関してお伺いをいたします。
 昨日、先輩議員が詳細にわたり御質問をされましたので、重複するところがございましたら、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 8月の11日付「読売新聞」夕刊の記事には、総出力370万キロワットで「原発4基分 火力建設再開」という文字が大きく報じられました。
 もともと、この用地は、住友金属の製鉄・高炉の沖出しのために造成された用地であります。また、私が知る限りでは、工事用の搬入道路として、紀の川右岸の臨港道路も、今現在、もう既に整備されております。
 そこで、建設の具体的な進め方など今後の見通しと、計画実施に関する県の御所見を商工観光労働部長にお伺い申し上げます。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 関西電力LNG火力発電所建設に関する見通し等についてですが、9月14日、政府のエネルギー・環境会議で策定された革新的エネルギー・環境戦略において、エネルギー安定供給確保のため、LNG火力発電所の高度利用が位置づけられております。
 今後、原発への依存度が減らされ、既存の火力発電施設の老朽化が進んでいく中、それらを補完する動力源を確保するため、環境負荷の少ないLNGを燃料とする和歌山発電所の建設再開が必要だと考えます。
 現在のところ、関西電力から建設を再開するということは聞いておりませんが、今まで余り動きがなかった関西電力から、こういった場合はどうなりますかという幾つかの質問があることなどから、和歌山発電所の建設について、従来より積極的な態度に変わってきているのではないかと期待しております。
 今後、関西電力では、国のエネルギー政策や電力需給の動向、企業経営の観点から、長期的な供給力確保対策として検討されていくものと考えますが、県としては、引き続き、和歌山発電所を速やかに着工するよう積極的に働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 はい、ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 最後に、紀の国森づくり基金活用事業についてお伺いをいたします。
 この基金の趣旨は、森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例の両条例に基づき、県民の理解と協力のもと、森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造を図ることであり、和歌山県の豊かな森林資源を県民の力で守り育てるということであります。
 そんな自然環境豊かな歴史的遺産が、2004年の7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され、その霊場や参詣道などの文化遺産を囲む森林が文化的景観として評価されるなど、改めて森林の重要性や人と森林のかかわりが見直されてきたところであります。
 そういった本県の森林環境保全の立場から、議員提案による紀の国森づくり基金条例が平成19年4月の1日に施行され、5年が経過し、本年からさらに5年の延長が議会において可決されております。
 これに伴い、紀の国森づくり基金活用事業の補助金制度が運用されております。これまでの実績につきましては、本年2月議会における予算委員会で御答弁をいただいておりますので割愛はさしていただきますが、この基金活用の事業の選定について、5つの選定基準を遵守し、紀の国森づくり基金運営委員会の審査を経て知事が選定するとされております。
 そこで、お伺いします。
 先般、7月26日付の地方紙に、紀の国森づくり基金から3700万円の補助金を受けていた団体について、苗木購入費として実際に支払った額と県への報告書に添付した領収書の額に約2300万円の違いがあるという記事が載っておりました。また、事業一覧表には8団体の記載があるが、ある団体のみが補助金を受け取り、他の団体はその受け取りを確認していないということが判明したのであります。
 この点に関しまして、事実経過はどうなっているのでしょうか。また、今後、県としてどのように対応していかれるのでしょうか。農林水産部長にお伺いを申し上げます。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀の国森づくり基金活用事業に関する御質問の件につきましては、平成19年度から23年度の5年間に、6団体と2実行委員会の延べ23事業に対して紀の国森づくり基金活用事業と緑の募金事業を合わせて3880万円を交付し、その大半の2976万円が苗木の購入に使用されたという内容の実績報告を受けております。
 今回、地方紙の報道や関係団体役員がみずから行った記者会見での発言に疑念を持ち、直ちに調査に着手いたしました。
 補助金交付団体からの聞き取り、提出を受けた書類や預金通帳における出入金のチェック、領収書発行者など関係取引先への確認等を行った結果、実績報告書に記載のないところからの苗木の購入、実績報告書の苗木単価と実際の取引価格の相違、こうして捻出された財源の流用等、不適正な支出がなされていたことがわかってきました。
 なお、植えられた苗木の本数については、それぞれの事業が完了する都度、現地で本数を確認しておりますが、紀の国森づくり税に対する県民の方々の信頼を損ねる事態となったことをおわび申し上げる次第でございます。
 関係書類が非常に多いため、分析に時間を要しておりますが、全容が解明され次第、結果を公表するとともに、不適正な支出については、県補助金等交付規則に照らして厳正に対処する所存でございます。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ただいま、農林水産部長の答弁をいただきました。
 この件につきましては、私個人とすれば、この選定に当たって、またチェックの甘さ等々、いろんな要素があろうかと思うんです。因果関係については、はっきりとはわかりませんけれども、田辺のある市会議員が辞職されました。ある意味では、大変不幸だなというふうにも思っております。
 この件を機として再発防止策というのをしっかりとつくっていただかなければならないなというふうに思いますので、再度、この件について部長にお尋ねをさせていただきます。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 再発防止策についてですが、議員御指摘の趣旨を踏まえ、原因を分析して、こうした事態が繰り返されることのないよう、再発の防止に必要な施策を講じてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 これはもう要望という形にさしていただきますが、この件につきましては、引き続き適正な対応をお願いさしていただきます。
 さて、私は、ことしの予算の特別委員会でも指摘さしていただきました。いわゆるこの森づくりの基金から花粉症対策でヨーグルトを使うという、森林と共生する花粉症対策という事業について、ちょっとおかしいんではないですかというふうに御意見を申し述べさしていただいたところであります。
 この基金の財源は、言うまでもなく県民税に500円を乗せ、そして徴収する税であります。この事業に係る補助金は1団体200万円までで、2011年度まで296件の応募がございました。そのうち、285件が採択されております。たくさんのところから、この基金で森づくりをしっかりとやっていこうと、こういうことになったと思うんですが、総交付額は4億8000万円でありました。
 本基金については、今年度から、森林組合の強い要望があって、水源涵養の整備事業にも使えるよということでありますが、森の健全化は海への恵みにつながることは承知のことであり、本県の森の再生に役立つ基金活用であっていただきたいと切望します。
 私は、せっかくいい基金の条例があるにもかかわらず、こういった事件が起きたということについて、本当に残念でなりません。どうぞ、今後とも担当部局におきまして厳正なる対処をお願い申し上げまして、私の一般質問とさしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
────────────────────
  午後0時59分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 第1の柱は、和歌山市紀伊地区にある盲学校用地に都市計画道路西脇山口線がかかって校地が削られるという問題であります。
 問題は、敷地が削られて狭くなるというだけではありません。視力障害者の皆さんは、音を頼りにスポーツをします。盲人野球というのは、ピッチャーからバッターにボールを転がして、地面との摩擦音を頼りにボールを打ち、守備側はボールを追いかけます。
 先日、関係者の皆さんが、交通量の多い道路脇のグラウンドで実験をしました。乗用車はそんなに音は大きくないのですが、トラックやバイクが走ったときは、視力障害を持っている教員でもボールがわからなくなると言います。
 もちろん、一般社会は静かな環境ばかりではありません。しかし、子供たちは、まず静かな環境で音を聞き分ける耳を養い、多少の騒音の中でも聞き分けられる耳を鍛えていく、それが教育だろうと思います。
 盲学校では、盲人野球は、近畿大会で昨年、一昨年、準優勝です。それまで、3年連続出場し、全国優勝もしているそうです。盲人バレーは、近畿大会5年連続優勝、弁論大会は11年度、全国優勝したということでございます。
 私も、盲教育については全くの素人ですから、今ここで申し上げているようなことは、このたび問題が起こって、関係者の皆さんからお聞きする中でわかったのです。
 ところで、道路行政の側は、そんなことに関係なく、都市計画決定があるというので工事を進めてこられました。そして、昨年暮れ、盲学校関係者が、どうも敷地にかかるようだと聞き込んできた。県教育委員会が知ったのも、同じころだそうです。
 6月県会の文教委員会でお伺いすると、一たんは盲学校用地を避けてもらえるよう道路関係者と交渉しなさいと指示されたそうですが、ところが、その後、航空写真を見ると、ここまで道路が来ていたのかとびっくりした、そして対策を考え始めたというのがこれまでの経過のようでございます。
 8月の10日には、視力障害者の会との話し合いに私も立ち会わせていただきましたが、参加者の皆さんからは心配なことがるる話されました。道路関係者の皆さんも、十分受けとめていただいたと思っています。
 そこで、質問であります。
 第1点、このたび道路が盲学校の敷地にかかるという問題、どうされるおつもりなのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 都市計画道路西脇山口線につきましては、和歌山市の紀の川北部地域における唯一の東西幹線道路として昭和40年に都市計画決定され、県市協力して工区を区切り、順次整備を進めております。
 県立和歌山盲学校のある田屋工区、延長1540メートルにつきましては、今年度より事業化を行い、現在、測量調査を実施しているところでございます。
 道路建設による教育環境への影響、特に音の問題につきましては、教育委員会及び盲学校と話し合いながら、防音壁、低騒音舗装の活用の検討など、さまざまな体験学習にできるだけ影響を与えないよう、最大限の配慮をしてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 配慮していただくということですが、教育委員会や盲学校関係者との話し合いを十分進めていただきたいと思っています。
 それで、納得を得られないままに、既定方針だからと計画を進めていくというようなことはないのかどうか、もう一度お伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 今回の都市計画道路の問題につきましては、特に西脇山口線、地権者の協力も得て、順次進めております。また、地域全体からも強い要望を受けております。そうした中で、一刻も早く整備は進めていきたいという思いがございます。
 また、今の問題につきましては、音の問題等、できるだけ機能回復を図るとともに、騒音の影響ないような形で、十分話し合いながら進めていきたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 関係者が十分納得されるようにしていただけると思っているんですが、では、教育長はこの事態をどう考えていらっしゃるんですか、お伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育委員会といたしましては、これまでも盲学校を初め特別支援学校について、障害のある子供たちが適切な学習ができるよう、教育環境の整備に努めてきたところでございます。
 現在整備中の都市計画道路西脇山口線の予定地が和歌山盲学校の敷地の一部と重なっており、視覚障害のある児童生徒にとっての大切な情報源である音の問題等、さまざまな面で学習に影響を与えることは大きな課題であると認識しております。
 教育委員会といたしましては、学校や関係部局との十分な協議を踏まえ、障害のある子供たちのための教育環境の整備に今後とも努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 教育委員会としては、教育条件を守るという立場に立ち切っていただきたいと思います。
 知事に対しても、メールなどでも要請がなされていると思います。知事は、この事態をどういうふうにお考えでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 都市計画道路西脇山口線は、和歌山市北部地域における重要な幹線道路でございまして、部長が申しましたように、昭和40年の都市計画で決まっております。
 ただ、ほとんど進んでおりませんで、俗な言葉で言えば放置されておったと、そういうことであったんですが、和歌山の発展にはこれは不可欠でございますので、最近力を入れて、早期に全通するように努力をしているところでございます。
 また、関係する地権者の協力はもとより、地域全体で強力な御支援をいただきながら事業を推進しております。これは、例えば地域全体で、どうしても土地を売らないというような地主さんなんかには説得していただくというような協力もしていただいてるわけであります。今年度には宇田森工区を完成させるなど、着実に整備を進めてきておりまして、全線で大体29年度完成を目指しているところでございます。
 メールが何度か私のところに、県政ポストというんですけど、だれでも出せるもんですから、来ております。それは全部私は読ませていただいておりますが、この中身には、特にだれとはおっしゃいませんでしたけど、多分あれだという認識で申し上げておりますが、傾聴に値するところもあって、検討をしてもらっております。
 初めには、盲学校の敷地は一寸たりとも削るなとか、よそへ道を持っていけとか、そういうような意見がありましたが、これはちょっと過去の経緯からすれば少し間違いだというふうに思います。
 しかし一方で、道路建設によって、盲学校のさまざまな体験学習、盲学校そのものの機能ですね、それにできるだけ影響を与えないようにするということは大変重要なことだと思います。
 御指摘のように、視覚障害のある児童生徒にとって、音は重要な手がかりであり、実物に触れる学習は大切であります。先ほども県土整備部長から申し上げたとおり、教育環境を保持できるように全力を挙げて対策を検討していかなきゃいけないと思っております。
 技術的には、技術的な措置による静音化というのは可能だと私は思いますけれども、仮に障害が出るようなら適切に対応するということだと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事を含め、それぞれ教育環境に十分配慮するというふうにお答えいただいています。
 和歌山県の障害児教育の歴史には、たくさんのドラマがございます。この際、知事と県議会が深くかかわるエピソードを1つ紹介しておきたいと思います。
 「和歌山県教育史」という厚い本が出されています。その第2巻の406ページなんですが、「昭和30年9月には、県議会で使用されていたバスが盲学校と聾学校に贈られ、通学の送迎が行われ」と記載されています。
 なぜ、そんなことになったのか。盲聾学校の先生が「スクールバスを買ってください」と当時の小野知事に直訴いたしました。けれども、28水害の後、県の財政は大変です。そこで、「議会専用バスはいつも使っていないから使わしてください」とお願いをした。すると、小野知事は「議会バスは県議会議長の権限だ」と言って、その場に議長に来てもらったそうです。当時の議長は、平越孝一氏でありました。平越議長は、お答えになった。「私も九度山から列車で和歌山駅に通っています。盲学校の生徒が、危ない中、通学している姿を見ています。いいでしょう、各会派と相談します」、こういうふうにお答えになったその一言で、議会専用バスが盲聾学校に貸し出され、その後、贈与されたのです。
 ここまで県教育史には書いてないんですが、知事に直訴された永田先生という先生が、20年ほど前に私に手記を送ってくれました。私は、それを自分のホームページに紹介していたんですが、図らずもきょうは日の目を見ることになりました。
 何と、県民と県知事、県議会が近かったことか。私は、現在の県知事、県議会も、同じように血の通った政治ができることを期待し、信じたいと思っています。
 また、盲学校の歴史には、それと違った、県政から冷たくされた事件もありました。それは、和歌山市の中心部にあった盲学校が、昭和38年、現在の紀伊地区に移転させられたことです。猛反対も起こりました。
 この紀伊移転とほぼ同じ時期に、都市計画道路西脇山口線が計画されていたわけです。そういう因果関係があります。
 ここでは、どういうふうに具体的にするというふうにはお答えいただけないと思うんですが、歴史的に評価されるような知事の決断をお願いして、次へ行きたいと思います。
 それでは、続いて、よろしいでしょうか。
 第2の柱は、「いじめ」の問題であります。
 滋賀県大津でのいじめをきっかけにして、改めて、いじめ問題が大きな社会問題になっています。学校名が公表されていませんが、国会論戦では、平成21年度、22年度、文部科学省指定道徳教育実践推進校であったことがわかります。それらしき学校のホームページを見ると、研究発表会の膨大な資料があって、学校環境宣言として、1、いじめのない学校、2、ゴミのない学校、3、あいさつあふれる学校という3項目が挙げられていました。
 道徳教育の研究推進については、校長による道徳教育方針の提示から始まるようで、校長の大きな指導性が発揮されている学校であることが強調されています。表面から見ると、立派な学校、立派な校長に見えます。
 このたびの事件では、警察の捜査が教育委員会や学校に入るという異常な事態にまでなってしまいました。いじめを隠そうとする学校と教育委員会の体質が、何よりも問われるでしょう。
 この事件をきっかけに、いじめは犯罪だから犯罪として取り締まるべきだという議論もあります。それも一理あります。
 また、道徳教育が欠けている、しつけが足りないなど、1つ1つは間違ったことではないのですが、それだけでは私は解決しないというふうに思います。
 そこで、議席のほうに、学習資料「いっしょに考えよう『いじめ』の問題」というリーフレットをお配りさせていただきました。
 16年前に教育相談・講師派遣センターというところが発行したもので、このセンターは和歌山県教職員組合が設置したもので、リーフレットの中身は、教育相談の経験豊かな退職教員の皆さんがまとめてくださったものです。私は、今読み返してみても、すばらしいものだと思っています。
 この学習資料は、どんな理由があってもいじめは絶対に許されないという立場を貫きながら、その根本原因として、教育現場でどの子もストレスを募らせているという状況にあることを指摘しています。
 ですから、いじめはどこの学級でも起こり得る。また、いじめる子が、いついじめられる子になるかもしれない。いじめる子が家に帰れば、親から塾に行けと追い立てられてストレスいっぱいという場合だってあります。ですから、いじめる子に対しては、いじめは許されないという立場に立ち切った上で、その子のストレスや悩みを聞き出しながら教育的指導をしなければならない。力で抑えつけるというだけでは解決にならないことを、このパンフレットは説いています。
 そして、子供の心をつかんでこそ、いじめられた子供の訴えを聞くことができるし、また、いじめる子供にも厳しく指導することができる。私は、いじめ問題は、先生と生徒が向き合って、そして心を通わせる学校をつくってこそ解決の一歩が開かれると考えるわけでございます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 教育委員会では、いじめの現状をどう把握されているのでしょうか。また、いじめ問題にどう取り組まなくてはならないとお考えでしょうか。私が申し上げたことも踏まえて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の状況把握と指導のあり方についてお答えします。
 平成23年度の本県公立学校のいじめの認知件数は、小学校20件、中学校39件、高等学校38件、特別支援学校ゼロ件の合計97件であります。
 いじめの内容は、冷やかしやからかい、悪口、仲間外れなどが主なもので、近年ではパソコンや携帯電話等での誹謗中傷も見られます。
 いじめに対しましては、教職員1人1人が、いじめは決して許されない行為であるという強い思いを常に持ち、どの子供にも、どの学校でも起こり得るものであることを十分認識した上で、すべての子供を守るために、日ごろから子供の悩みや不安をしっかりと受けとめ、心を通わせるきめ細やかな指導に努めなければならないと考えております。
 議員御提示のリーフレットも十分読ませていただきましたけども、このリーフレットなども参考にさせていただきながら、いじめを許さない学校づくりに向け、努力してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 文部科学省などの調査で、いじめの件数が少ないことがいじめ隠しじゃないかという議論もあります。
 いじめの数が学校評価につながると、そんなことになる。和歌山県の数字がどうかというのはよくわかりませんが、まだまだあるんではないかという気もいたします。
 しかし、それはさておき、きょうは、いじめをどうとらえ、どう対応するかを考えていきたいと、この学習資料を配らせていただいたわけでございます。
 教育長のいじめの指導についてのお考えは、私が考えたことと余り大きな開きはないというふうに受けとめました。教育委員会もマニュアルをおつくりになるそうで、私が申し上げた観点もお配りした学習資料も参考にしていただけるようなので、ひとつ十分生かしていただきたいというふうに思います。
 続いて、次の問題ですが、私が知っている学校では、職員会議などで気になる子を出し合おうという時間をとります。家庭条件や周りから疎外されている気になる子を、担任が名前を挙げていきます。1人1人の子供について、養護教員など担任以外の先生の目から見て、意見を交換します。教員ではない事務職員あるいは校務員や給食調理員の方が、教員では気がつかない子供の側面を教えてくれる場合もありました。
 私は、いじめを見逃さない学校づくりというのは子供を中心にした民主的で温かい教育集団づくりが第一ではないかと考えるものですが、教育長はこの点についてどういうふうにお考えでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめを見逃さない、子供を中心にした民主的な学校づくりということに関してお答えしたいと思います。
 いじめを見逃さない学校づくりを進めるためには、議員御指摘のように、すべての教職員がお互いの信頼関係の上に立って協力し合い、子供たち1人1人としっかりとかかわり合うことが大切であります。こうしたことを通して、いじめが起こらない土壌づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この点でもほぼ私の考えと同じ態度を表明していただけたと思いますが、ちょっと申し上げますが、先日、私は、4月の学校教育方針を決める職員会議で校長が配ったという提案レジュメを見てびっくりしたことがあります。
 提案には、立派なことが書かれていました。その裏には文部科学省が出した指導指針のようなものが印刷されていて、職員会議は校長の諮問機関です、議論はしてもらいますが決定権は校長にありますという意味のことが書かれているのです。
 もちろん、議論をして意見が分かれたとき、「いろいろ意見がありますが、校長の責任でやらせてもらいます」と校長が締めくくる場合も当然あります。しかし、教育論議を尽くして共通理解をつくり出すのが校長の力量であり、指導性です。提案する前から「私に従ってもらいます」などと書いて配る、これはどういうことなのかと思いました。
 こうした学校では、えてして校長の考えをおうかがいするような雰囲気が生まれます。教員以外の職員は、子供と教育については口出しするなど論外だということにもなりかねません。大津の中学校はこんな学校だったのではないかと、ひそかに思うところでございます。
 感想だけ申し上げて、次へ行きたいと思います。
 次に、先生と生徒が余裕を持って向き合えるためには、30人学級を初めとする教育条件整備と、報告や資料づくりに追われる状況をなくさなくてはなりません。
 教育長は、教員がゆとりを持って子供と向き合えるように、どういうことが大事だと考えていらっしゃるでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員が子供と向き合う教育条件の整備ということにかかわってですが、学校現場では教員がゆとりを持って子供たちと向き合うことは大変重要であることから、県教育委員会としましては、多忙化解消のために、これまでも調査の見直しや報告の簡素化等に取り組んできましたが、今後もさまざまな側面から具体的な対応策を検討してまいります。
 また、現在、国は小中学校の35人学級実現に向けて動いておりますので、そうした国の動向を踏まえて、教員の定数確保に努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 少人数学級とともに、きのうのお話でも、スクールカウンセラー増員なども急がれるというお話もありました。私からも、そういうことも含めて要望しておきたいと思います。
 忙しさの解消については、一定の努力もなされているようですが、研究指定校など少なくして、教育実践研究大会を発表の場にしていることなどはいいと思います。
 ところが、市町村の教育委員会の中には、旧来型の研究発表会をやりたいという地域もあるようです。その点、県の教育委員会の教育的指導性の発揮を期待するところでございます。
 そこで、次へ行かせていただきます。
 教職員定数の改善もさることながら、学校現場には、教員採用試験合格者数が足りないために、定数内講師という不安定な雇用の教員が多くおられます。歴代教育長は、減らすようにすると答弁してきました。
 6月の文教委員会で質問すると、人事課長は「減らすように採用試験募集人数をふやしている」とは言われたんですが、「去年と比べて本当に減ったのか」と聞くと、「実は50人ふえました」と頭をかいておられました。
 今度は、定数内講師を確実に減らせるように採用試験合格者を確保されるのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 定数内講師数につきましては、少人数指導やチームティーチングなどのいわゆる加配定数の増減が年度末に確定すること、あるいは定年前での退職者数などが関係しており、その数については予測が難しい状況にあります。
 教員採用検査における募集予定人員につきましては、定数内講師数や退職予定者数、長期的視野に立った教員の年齢バランスなど、さまざまな要因を検討の上、決定しており、今年度は過去最大の325名を募集したところです。
 今後とも、定数内講師の削減には努めてまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 定数内講師は削減はしていきたいというふうに改めて表明されたんですが、やはりきちんと結果を出してもらわなければならない。
 教育委員会からいただいた資料によると、定数内講師は4年前に比べて80人もふえています。一度にすべてを解消できなくても、少なくとも4年前の80人までは減らすことはできると思います。
 そこで、ことしの教員募集定数ですが、過去最大と言いましても、昨年と比べて8人多いだけです。これでは、定数内講師を大幅に減らせるという保証はありません。
 ところが、ありがたいことに、受験者数は昨年より31人も多かった。ことしの受験者は優秀で、第1次試験の合格者は、昨年よりも95人多い721人いらっしゃいます。2次試験のレベルを下げなくても、さきに発表した募集枠にとらわれなければ、合格者をふやすことは十分にできます。
 ふやして起こる不都合はありますか。学校現場と子供たちは喜ぶ。教員希望者は喜ぶ。知事も、もちろん予算をつけていただいているわけですから、否やはないでしょう。
 このまま今までの流れで何もせずに、半年後にまた、ふえたやないか、減ったやないかというふうに責任を問われるよりも、もう一度教育委員会をお開きになって、そして相談されたほうがいいということを申し上げておきたいと思います。
 それで、次の問題へ進ませていただきます。
 第3の柱は、原発からの撤退と自然エネルギー開発であります。あわせて、コスモパーク加太の活用についても考えてみたいと思います。
 9月の3、4両日、私たち日本共産党県議団は、福島県に参りました。南相馬市の、4月16日から立ち入りが許可されたという地域を、現地の方に案内していただいて、レンタカーで回りました。
 そこでは、3.11大震災・大津波から時間がとまったように見えます。放射能被害がなかったら復興が始まっていたであろう堤防が、田畑が、家屋が放置されている。皆さんは、どんなにか悔しい思いをされているだろうと思いました。
 人々が暮らしている地域でも放射線量は高く、除染は気が遠くなるような大変な作業のようです。原子力事故の恐ろしさの一端を実感してまいりました。
 さて、ことしの夏は大変暑い夏でした。電力需給が心配されましたが、県民の協力もあって乗り切ることができました。県庁職員の皆さんは、県民に率先垂範してクーラーの節電、昼休みは消灯など、御苦労さまでございました。
 県民に節電を呼びかけることは大切です。しかし、6月県議会前に知事が行った電力需給についての記者発表は、それを通り越して過剰に電力不足の危機をあおり、大飯原発再稼働への世論誘導であったのではないかと、私たち共産党県議団は抗議の申し入れを行いました。
 夏が過ぎて、原発は再稼働しなくてもこの夏は十分乗り切れたということが明らかになっています。
 原発というものは、燃料の最終処理まで見通せば国民にとってコストがかかるものですが、電力会社の目先の収支からいえば、原発再稼働したほうが安上がりで利益が上がるという思惑であったのではないかと言われます。
 しかし、今、原発からの脱却の問題は、これから国民的な討論の中で決着をつけていく問題だと思います。
 きょうは、そのことを議論するのではなくて、電力不足の危機感を訴えたのと同じぐらい自然エネルギーの開発に力を注いでいたら脱原発、自然エネルギーへの道が開けるのではないかということを申し上げ、その立場から質問をしたいと思います。
 和歌山県としても、一定の努力はいただいています。島ノ瀬ダムの小水力発電、コスモパークの傾斜地をメガソーラーに活用したことは評価できます。しかし、転換期にふさわしい積極的施策を求めたいと思います。
 今回は、太陽光発電を中心にしてお伺いいたします。
 まず第1点、和歌山県の個人住宅や県有施設での太陽光発電のこれまでの導入状況はどうなっているでしょうか。国の補助件数、県独自の補助件数について、環境生活部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 県内の住宅への太陽光発電につきましては、国による太陽光発電システム等の普及動向に関する調査と太陽光発電普及拡大センターが公表しております国の住宅太陽光補助の実績を合算した数値によりますと、設置件数は約1万件、発電能力は累計で約4万キロワットとなっております。
 また、県有施設への太陽光発電につきましては、設置件数37件、発電能力は累計で582キロワットとなっております。
 このうち、昨年度の住宅用太陽光発電導入補助の状況につきまして、国の補助件数は2062件となっており、一方、県では、申し込み総数1562件に対して抽せんにより195件の補助を行っており、抽せん倍率は8倍となっております。
 本年度、県では、昨年度の太陽光発電のみの補助に加えて、太陽光発電を補完し、CO2削減、省エネ効果を高めるエネファーム等を併設した場合の補助枠を創設し、予算額2960万円に増額しております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私が手にしている資料でも、県内の住宅太陽光発電設置は、近年、伸びてきております。しかし、日照時間が長い県でありながら、全国順位でいえば36位、37位あたりにある。
 県の独自補助は、御答弁があったように8倍という高い競争率になっています。たった2900万円の補助金予算であります。もっと大幅にふやすお気持ちはあるのでしょうか。今度は知事からお答えいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 申し込み件数は毎年大幅に増加しているため公開抽せんとさせていただいておりますが、太陽光発電の導入を奨励する事業としては、一定の効果を発揮できているものと考えております。
 さらに補助金予算をふやしていくことは、限られた財源の中でなかなか難しいと思われますが、自然エネルギーへの転換が求められる中、県としても、引き続き太陽光発電導入について最も効果的な推進策を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 太陽光発電についての全国の資料をお見せいただいたんですが、その限りで、県で補助総額頭打ちというのは余りその資料では見当たりませんでした。
 奈良県では、1件の補助は10万円で和歌山より少ないんですが、1000件で打ち切りです。つまり、予算総額では1億円です。滋賀県も1億円になっている。和歌山県の3倍以上です。
 今、転換期にあるということで、いろいろ検討されるというので十分検討していただきたいとお願いをして、次に行きたいと思います。
 では、メガソーラーについてはどのぐらい進んでいるのでしょうか。商工観光労働部長からお答えをいただきます。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 県内のメガソーラーの進捗状況についてですが、現在、株式会社ウエストホールディングスがコスモパーク加太で、ノーリツ鋼機株式会社のグループ会社であるNKワークス株式会社が自社敷地内で建設工事中であり、また、三井物産株式会社が串本町内の南海電気鉄道株式会社の所有地内で準備工事を進めているところです。
 さらに、今月6日に県、広川町及び事業者で協定を締結したところですが、大阪ガス株式会社のグループ会社である株式会社広川明神山風力発電所が、自社風車サイト内で建設を計画しているところです。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 いろいろな工夫もあることはわかりました。
 和歌山県は、メガソーラー候補地を県内4カ所、ホームページで紹介しています。
 私は、ことしの3月に、メガソーラーをコスモパーク加太に設置することを検討したいという業者から話を聞いたんですが、1平米100円から150円ぐらいで、設備投資の関係で20年間借りられることが最低条件だというふうにその業者は言っていました。
 県が候補地としている用地は、場所によって違うでしょうが、1平米幾らぐらいで貸し出しができるんでしょうか。また、引き合いはあるのでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 現在、県有地2カ所をメガソーラー候補地として紹介しているところですが、うち1カ所は売却のための公募中であり、賃貸が可能な用地は日高港工業団地の1カ所でございます。
 当該土地につきましては、企業用地として鑑定評価に基づき賃貸価格を決定しているため、平米当たり年間1020円となっております。
 引き合いにつきましては、4候補地を中心に問い合わせが84件あり、現地案内が35件です。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 普通、100円から150円というので業者は探しているところ、1020円というのでは、恐らく問い合わせただけで「ああ、そうですな」と、これで帰っていくでしょうね。やっぱり、もっと遊休地、もっと安く提供できる方法に知恵を絞らなくてはならないと思います。
 そこで、コスモパーク加太について少し考えてみたいんですが、県は土地開発公社から1平米560円で土地を借りています。加太菜園株式会社には、20億円かけて整地をし、それを1平米100円で貸している。期限まで貸して6億円しか入らない。しかし、それも加太菜園縮小で全部は入ってこない。整地費用も出てきません。
 ここで、加太菜園が使わなくなった整地した土地と、それから全く整地していない土地が両方あるんですが、企画部長にお伺いいたしますが、整地された土地を誘致企業には幾らで売ったり貸したりするのか。また、未造成地の場合にはどういうふうに考えているんでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 加太菜園につきましては、当時、県議会のコスモパーク加太対策検討委員会からの「民間企業へは、無償も視野に入れて貸し付けるなど、相当思い切ったインセンティブを導入すべき」との御報告も踏まえまして、雇用・経済波及効果及び他県の状況を勘案しながら賃料を設定したものでございます。
 御質問の誘致企業へは、時価である土地鑑定価格での売却を、賃貸の場合につきましては、その5%を賃料としてございます。
 ただし、未造成地につきましては、造成した上で売却もしくは賃貸をする方針でございます。
 県土地開発公社といたしましては、未造成エリアをより有効に利活用するために、土地を平たんにし、雨水排水対策や隣地との境界対策、それから必要に応じ進入路などをあわせて整備をした後で企業へお渡しすることといたしております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 企画部長にもう一度お伺いするんですが、今お答えしたことを私が調べた資料と突き合わせてみますと、加太菜園には100円で貸しているのと同じ条件の造成地は、1000円程度で貸したいというふうに思っておられるようです。それで借りに来る企業はあるんだろうかと思います。
 未造成地は300円余りで、これも加太菜園に貸している造成地よりも高い。それでも、メガソーラー用地として宣伝している土地よりはずっと安いわけです。
 こうした用地に対して、企業進出の引き合いありますか。また、メガソーラーについてはどうでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 問い合わせの件でございますけども、そういう問い合わせとか現地案内等につきましては、平成23年度につきましては38件ございまして、そのうち25件がメガソーラーでございました。
 平成24年度、現時点でございますけれども、27件の問い合わせ、現地案内をいたしておりますが、そのうち19件がメガソーラーでございます。
 御承知のとおり、現在、2メガワットの太陽光発電が間もなく完成予定でございますけれども、今、東日本大震災以降につきましては、沿岸に立地する企業が移転時に高台を希望する、そういうケースも幾つか見受けられておりますので、コスモパーク加太は標高100メートルであること、それから強固な岩盤であること等を今後一層アピールしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 次の質問をした上で感想も述べたいと思うんですが、6月県議会で、コスモパーク加太の県市共有地を解消することを求める質問がありました。知事もいろいろ説明をされて、結論として解消する方向を出されたから、それはそれでいいと思うんですが、もう1つ、県が土地開発公社から借りている期間は、あと12年しかありません。そうなると、民間企業はメガソーラーの設備投資をあきらめて手を引くわけです。
 コスモパーク加太と銀行の約束、調停に代わる決定には、私たち共産党県議団は県民に大きな負債を負わせるものと反対しましたが、20年後の執行までにできるだけ県民負担を減らさなくてはならないと考えています。
 そのために、メガソーラーを含めて、引き合いに担当者が対応できるようにしておかなくてはならない。それで、12年で一遍相談しますというのはちょっと困ると思うんですが、企画部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 調停に代わる決定につきましては、県議会で賛同を得た上で決定されたものでございますが、返済のスキーム上、さまざまな制約はありますが、早期売却や長期賃貸を進めることは返済の負担を軽くすることにつながるため、現在、あらゆる可能性を否定せず、企業の提示条件に基づき、スピード感を持って職員一丸となって対応しているところでございます。
 なお、現在建設中の太陽光発電につきましても、債権者と協議いたしまして、20年間の長期賃貸を可能としてございます。
 今後も商工観光労働部と連携を強めまして、全力で企業誘致を進めながら、経済波及効果を見据え、さまざまな利活用に知恵を出して地域の活性化につながるよう、引き続き取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 誘致企業ではメガソーラーの引き合いが多いということが先ほどの答弁からわかりました。しかし、価格で折り合わない。貸し出し期間については、業者から「20年借りたい」と言われてから「銀行と相談してみます」というのでは商談にならないんですが、そんな心配はないようにするというふうに、スピード感を持ってやられているなら、それで結構でございます。
 私たち議員は、県当局のような情報を持っているわけではありませんから、「コスモパークを借りに来る企業もあるのです」と言われると、「そうですか、期待します」としか言いようがないのですが、県民の負の遺産を少しでも軽くし、同時に自然エネルギーへの転換につながるようなことがあれば、検討されたらいいのではないかと思います。
 自然エネルギーの開発、例えばメガソーラーというのは、利用されない荒れ地を利用する場合もあれば、高速道路ののり面を使う場合もある。いろいろ小さな可能性でも、酌み尽くす必要があると思います。私はそのためのプロジェクトチームをつくれと言ったんですが、市町村を含めた担当者会議で、和歌山県新エネルギー利用研究会を立ち上げられたということもお聞きをいたしました。
 それ自体はまだ小さな取り組みなんだけれども、市町村でも補助制度をつくるところも、少しずつ進み出していることも相まって、私は、そういう研究からでも大きな可能性を切り開いていることを期待して、次に行きたいと思います。
 第4の柱でございます。県警科学捜査研究所主任研究員による鑑定書類捏造疑惑についてお伺いいたします。
 私は、これまでも冤罪問題を取り上げ、足利事件のようなことを引き起こしてはならないと訴えてきた立場から、今回の問題は大変重大に受けとめています。
 事実の究明と今後の再発防止について、どういうことを考えておられるのか。警察本部長のほうからお答えをいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) 議員御質問の事案につきましては、警察捜査の信頼を損なう不適正な事案として重く受けとめ、事案の全容解明に向け、徹底した捜査を進めているところでございます。
 また、今回の事案は、鑑定人による検査、鑑定書の作成といった業務の中で発生したことから、今後は、鑑定業務のチェックをより強化するなど業務管理を徹底するとともに、職員に対する職務倫理教養等を反復継続して実施するなど、再発防止に全力を挙げてまいる所存でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、警察本部としても事の重大性をもう十分認識されておると思いますので、これ以上は余り申し上げません。
 今後、事態の全容を究明されて、そしてその後にしっかりした対策をおとりいただけるようにお願いいたしまして、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時57分散会

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