平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成24年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

(全文)


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平成24年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成24年9月19日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第107号から議案第143号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第107号から議案第143号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(37人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(4人)
 4番 藤山将材
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 23番 岸本 健
〔備考〕
12番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第111号及び議案第137号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第107号から議案第143号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 25番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、自由民主党県議団を代表して一般質問をさせていただきます。
 3年前、「政権交代」のワンフレーズで民主党政権を国民は選んでしまいました。甘い言葉のばらまき政策に国民は酔いしれ、政権交代をいたしました。しかし、政権発足早々、鳩山首相の無責任な基地移設発言が沖縄県民を惑わし、日米同盟にも大きな不信感を与え、その結果、中国とは尖閣諸島、韓国とは竹島、ロシアとは北方4島の領有権で緊張が高まり、一触即発の状況になっています。
 中国では反日デモが暴徒化し、日系企業や店舗、工場が放火され破壊されています。とても法治国家の体をなしているとは言えませんが、一刻も早い法人の安全を確保するため、政府は万全を期すべきであります。
 しかし、もとを正せば鳩山首相の無責任な発言がすべての発端であることは明白であり、責任をとって国会議員を今すぐにでもやめるべきだと私は思います。
 また、菅直人首相は、原発事故の初期処理を誤り、我が国経済と国民生活に最も重要な電力の安定需給というシステムを崩壊させてしまいました。
 さらに、野田内閣は、民主党のマニフェストに記載もしていなかった消費税の増税法案を可決・成立させたのですから、「近いうち」などとごまかしていないで、速やかに国民にその是非を問うため、国会を解散し総選挙をすべきであります。
 また、昨年、滋賀県大津市で中学校男子生徒が自殺をいたしました。大変痛ましいことでありますが、当初、教育委員会はいじめによるものではないと発表いたしましたが、その後、生徒のメモや同級生への聞き取り調査から、次々と耳を疑うような証言が飛び出し、市や教育委員会が訂正を繰り返すという事態に発展をいたしました。その後、日本各地で、いじめによるものとされる中学生や高校生の自殺が相次ぎ、社会問題化しています。
 和歌山県においても、当然、教育委員会は各学校にいじめに対する調査を行っておられると思いますが、いじめ被害が表面化するまで、学校関係者ですら認知することが困難なケースも多いと聞いております。後日、会派所属議員からも、この学校におけるいじめ問題についていろんな角度から質問させていただく予定となっておりますが、知事初め教育長、関係機関の迅速かつ適切な対応を強く求めるものであります。
 私たち自由民主党県議団は、すべての県民の生命と財産、そして暮らしを守るため日々努力しておりますが、今後も一致団結して県勢発展に邁進してまいりますことを改めてお誓いし、一般質問に移らせていただきます。
 さて、早いもので、昨年、紀伊半島を襲った台風12号から1年が過ぎました。それぞれの被災地では、9月4日に慰霊祭がしめやかにとり行われましたが、まだまだ私たちの心の傷はいえません。犠牲になられた諸霊のみたまに心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお不明になっておられる方の一刻も早い安否確認と、1年たった今日に至っても避難所で不自由な生活を余儀なくされている方々に、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 台風12号は、多くのとうとい人命を奪い、紀南地方にかつてない甚大な被害をもたらしました。改めて、災害の恐ろしさや防災への備えの大切さを痛感いたしました。私たちは、この多くの方々のとうとい犠牲によって得た教訓を後世に語り継ぐこと、そして、今後、防災対策に生かしていくことこそが諸霊に対する慰霊になると肝に銘じ、災害前よりもさらに強い県土づくりに邁進していこうではありませんか。
 それにしても、昨年の紀伊半島各地を襲った台風12号の豪雨はすさまじいものでありました。大量の雨は、山の深層崩壊とともに土石流を引き起こし、人や家屋を押し流しました。道路や橋は濁流にのみ込まれ、河川の各所で堤防が決壊するという、言葉では言い尽くせないほどの悲惨な状況でした。死者・行方不明者61名、家屋の全壊240棟、半壊1753棟、床上・床下浸水5844棟、道路・橋梁の損壊697カ所、堤防・護岸の決壊1041カ所、田畑や山林の被害は数え上げれば切りがないほどで、全体の被害総額は868億3612万円余となりました。
 しかし、災害発生の翌日から、2次災害の危険も顧みず道路の応急復旧に御尽力をいただいた建設業界の皆さん、すぐさま災害状況を把握し、住民の生活をサポートしていただいた県・市職員の皆さん、行方不明者の捜索に懸命にその任務を遂行していただいた自衛隊を初め消防団の皆さんや各行政機関の皆様に、改めて感謝を申し上げる次第であります。
 また、国会議員の皆さんの御尽力により、国において速やかに激甚災害の指定を行っていただき、復興に弾みをつけていただきました。
 さらに、仁坂知事を初め県当局におかれましては、速やかに被害状況を把握し、災害復興のための予算を執行していただきました。おかげさまで、被災地は予想をはるかに超える早さで応急復旧され、今日の復興へと進んでいます。
 まだまだ傷跡はいえませんが、日に日に復興をなし遂げていく我が郷土の様子に心から安堵感、安心感を覚えるものであります。
 そして、このたびの災害に際し、全国の皆様から寄せられた義援金やお見舞いのお言葉をちょうだいしたことを、私たちは決して忘れてはなりません。
 また、仁坂知事は今回の災害において、国の災害見舞金にプラスして、全半壊家屋を再建する方に対し応分の助成金を出していただき、また零細企業や商店にも新しく制度を設けるなど、心温まる御支援をいただきましたことにも重ねて敬意を表します。
 しかし、それぞれの被災地では、今なお不自由な避難生活を送られている皆さんがおられますし、御高齢の方の中には、家の再建にめどが立たず、途方に暮れている方々もおられるとお聞きいたしました。知事には、引き続き被災された方々の立場に立って、前例や規則にとらわれず、柔軟かつきめ細やかな御支援をお願いするところであります。
 しかし、今回ほどコンクリートでつくった構造物の大切さを思い知ったことはありません。
 昭和28年の大水害は、台風12号と同様、紀伊半島各地に500ミリを超える集中豪雨を降らせました。死者・行方不明者1015人、家屋の全壊3209棟、家屋の流失3986棟、床上浸水1万2734棟、床下浸水1万5313棟、道路損壊8102カ所、がけ崩れ4005カ所、田畑の流出5929町歩、田畑の冠水7322町歩、被災者は26万2000人に上りました。これは、当時の和歌山県民の人口の4分の1に匹敵いたします。
 昭和28年の水害により、戦後、我が国の経済の復興に大きな障害でもあった治水対策が提唱され、河川総合開発事業による水系一貫の総合開発が遂行されるきっかけとなりました。
 以後、堤防の整備や河道の拡張、植林の促進による森林保水力の向上を図り、ダムの建設による洪水調整はもちろんのこと、当時問題となっていた食糧増産のためのかんがい対策や電力不足を補うための水力発電所を併設するなど、経済復興にも大きく寄与いたしました。
 和歌山県も、この大水害を教訓に、県内の有田川に二川ダム、広川に広川ダム、日高川に椿山ダム、古座川に七川ダム等を建設し、あわせて堤防整備や河道拡張を行い、砂防堰堤の建設や急傾斜地の整備等も進めてまいりました。単純に比較はできませんが、こうしたコンクリートによる公共事業による整備事業が、今回の1000ミリを超える集中豪雨にもかかわらず、昭和28年と比べて被害をある程度に抑えることができたのではないかと思います。
 「コンクリートから人へ」などと軽々しく政策を掲げ、人心を惑わし、政治の使命である生命と財産を守るための公共事業をあしきものと決めつけた民主党政権の間違ったマニフェストが、図らずも今回の大災害で露呈をいたしました。
 さきの東日本大震災や台風12号災害を教訓に、自由民主党は二階俊博衆議院議員を会長に、国土強靱化構想を議員立法で立案中であります。しなやかに強固な国土をつくるための政策でありますが、民主党の中には、懲りもせず、公共事業のばらまきにつながるだとか言っている幹部もいます。私たちは、給付に名をかりて現金をばらまく民主党のマニフェストより、はるかに国民の生命と財産を守るための必要不可欠な国策であると考えます。
 また、私は、平成19年2月の定例県議会において、森林整備の重要性を訴えました。もし紀伊半島の山間部に大量の雨が短時間に集中的に降った場合、荒廃した人工林による山は一気に崩壊し、河川をふさぎ、自然のダムができ、この自然のダムがさらに決壊したら下流域は壊滅的被害をこうむるのではないか、人工林の間伐等、森林整備等を早急に進めるべきだと主張いたしました。
 ことし再延長した紀の国森づくり税の基本理念の根幹でもあり、今後の当局の総合的な取り組みに期待をいたしたいと思います。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 昨年の12号台風は、我々に厳しい試練と貴重な教訓を与えました。災害から1年を経過し、この間、災害復旧・復興に対して総括し、この経験をどのように今後の防災対策に生かしていくのかお答えください。
 現在、災害時の緊急避難指示については、それぞれの市町村の判断に任されています。昨年9月3日から4日の深夜に襲った台風12号による災害を顧みますと、混乱する市町村において避難勧告や避難指示が的確に行われたのか、住民に正確な情報を伝えることができたのか等の問題点が課題として残されました。市町村の避難勧告、避難指示等の発令基準の統一化や、現在、警戒区域内に指定されている避難所の見直しによる代替施設の指定等、早急に進めなくてはなりません。
 県民の災害時の避難意識の向上について、危機管理監のお考えをお伺いいたします。
 県土整備部長にお伺いをいたします。
 県営ダムが緊急放流する場合、ダム管理者として県当局は、市町村に、より正確な情報をより迅速に伝達し、住民の避難勧告、避難指示につながるようにしていただきたいと思いますが、今後の対応をお答えください。
 また、このたびの災害において、生活インフラの復旧に一番御活躍をいただいたのは建設業に携わる皆さんでした。
 前々から、私たち自由民主党県議団は、建設業界の協力が災害時にどれほど重要かを訴えてまいりました。ただ単に災害協定を結び、ふだんから協力体制を築いているから大丈夫と当局はお考えなのかもしれませんが、いざというとき一番頼りになるのが建設業界の皆さんであることが、このたびの災害で得た貴重な教訓であります。
 建設業は、営利目的だけに存在するのではなく、私たちの生活を守ってくれる機関であり、今後その機能を維持するために、県当局も建設業界の発展のためにあらゆる御尽力をいただきたいと思います。
 そこで、今回台風12号による災害復旧に対し、建設業界への評価と今後の建設業界の育成についてお答えください。
 また、現在、仮設住宅で暮らしている被災者は、法律上2年で退去しなくてはなりません。しかし、もう既に1年が経過しようとしていますが、この方々のついの住みかがはっきりしていません。自力で家を建てることができない方のために公営住宅の建設が急務であると考えますが、どのようにお考えですか。
 また、台風12号による堆積土砂の撤去の予算が、今議会補正予算に計上されています。そこで、その堆積土砂の処分場所は市町村で用意することになると思いますが、余りに量が多いため、処分場所が確保できるのか危惧しています。堆積土砂の処分方法の見通しについてお答えください。
 農林水産部長にお伺いいたします。
 土砂ダムや深層崩壊を防ぐための対策として、人工林の整備が不可欠と考えますが、今後の対応をお伺いします。
○議長(山下直也君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県に大きなつめ跡を残した紀伊半島大水害から、1年余りが経過いたしました。犠牲になられた皆様と御遺族の皆様、被害に遭われた皆様に対し、改めて心から哀悼の意を表する次第であります。
 少し復旧が一段落をしたところで余裕が少し出ましたので、和歌山県の災害の歴史をもう一度勉強してみました。
 そういたしますと、ちょうど120年ほど前に明治22年の大水害があって、1500人ぐらいの方が亡くなっています。さらに、昭和28年の大水害で1000人ぐらいの方が亡くなっております。その28年の大水害の直後から、我々の先輩が惨禍から立ち上がって、さまざまなハード整備をされました。強靱な県土づくりに取り組んできたことは、今いろんな施設を見ても明らかだったと思いますし、これまで、大変それが有効に機能してきたということは言うまでもございません。
 しかし、さらに大きな自然の猛威の前に大きな被害を出してしまったということについては、痛恨のきわみであります。被害に遭われた方々のことを思うと、心が晴れることはございません。
 現在、可及的速やかな本格復旧をしようということで頑張っておりまして、全体で件数で95%は今年度中にぜひ完成させたいということで頑張っております。ただ、今後同じような豪雨があっても被害が出ないようにするために、一部では、単純な復旧ではなくて改良復旧という形で、より強靱な県土づくりを進めております。そのため、工事期間が局部的に何年にもわたる大きな現場もございます。しかし、必要なハード整備であって、大変重要なことであると考えております。このような災害復旧はもとより、より強靱な県土づくりのため、最大限努力する所存でございます。
 加えて、いまだ不自由な生活を強いられている被災者の方々が、ついの住みかに安住できるようになるまで、対策を緩めないようにしようという覚悟でおる次第でございます。
 また、昨年の東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓などを踏まえ、8月末に県防災会議を開催し、災害対策本部体制の見直しなど新たな取り組みや抜本的見直しを中心に、地域防災計画を大幅に修正したところであります。
 さらに、南海トラフの巨大地震等の大規模災害、これに備えるということが大変重要であります。
 そういうことを踏まえまして、今後も全力で災害対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難意識の向上についてお答えをいたします。
 風水害時における避難勧告・指示等については、発令が早過ぎると避難につながらないことや、夜間の避難行動には危険が伴うなど、市町村長が発令を行うタイミングは、非常に難しいのが現状でございます。このようなことから、避難勧告等の具体的な発令基準を策定するよう県として指導してきたところであり、昨年9月時点で水害に対する発令基準は25市町村、土砂災害に対する発令基準は22市町村のみでありましたが、平成24年3月までに、両基準ともすべての市町村において策定していただいたところであります。
 さらに、より的確な避難勧告等の発令ができるよう、紀伊半島大水害の教訓も反映し、具体的な数値基準等を盛り込んだ県独自のモデル基準の策定を進めているところであります。策定後には、それをもとに、より具体的な発令基準をつくり上げるよう市町村を指導してまいります。
 また、災害時には速やかな避難行動に移るという避難意識が重要ですが、平成23年度から新たに実施した「出張!減災教室」事業を初め、防災啓発研修等において、東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓を通じて避難意識の向上について啓発しており、平成22年度に受講者が1万人であったのが、23年度には2万8000人以上となり、約3倍と大幅に増加してございます。
 今後も、県民意識向上のため、各種防災研修等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県営ダムの緊急放流による避難指示についてでございますが、従来より県営ダムでは、洪水時の情報が下流の市町に確実かつ的確に伝わるように取り組んでおります。
 例えば、ダム管理事務所では、毎年、市町と、いわゆるただし書き操作時の情報伝達も含めた洪水対応演習を実施しております。
 本年6月からは、県営3ダムで緊急時におけるダム利水容量の有効活用についての新運用を開始しましたが、運用開始に当たっては、市町がより迅速に避難を促せるように、新運用の内容やダムの洪水調節の方法、ただし書き操作の意味について市町に改めて説明するとともに、住民の方にも理解してもらえるようにリーフレットを配布するなど、周知を図ってきたところです。
 さらに、新運用による操作を実施する場合には、大規模洪水に対して市町が速やかに避難勧告等の準備、発令等の行動をとれるように確実に情報を伝達し、その後も必要に応じ連絡を密にするよう、情報伝達の方法を見直したところでございます。
 見直し後、七川ダム等において、一昨日も含め延べ7回の事前放流を実施しましたが、町への伝達方法及び防災放送による住民への周知等、情報伝達に関し、確実に効果を確認しているところでございます。
 今後とも、防災情報の充実を図りながら、危機管理部局等と連携し、緊急時に必要な情報が市町に確実に伝達できるよう取り組んでいきたいと考えております。
 次に、台風12号災害における建設業界への評価と今後の育成についてでございますが、昨年9月の台風12号により被災した主要道路や河川の応急工事がおおむね10月までの2カ月間で完了したことは、昼夜をいとわず、危険も顧みず、現地で懸命の活動を続けてくださった地元建設業の方々の御尽力によるものであり、お礼を申し上げます。現在は、平成24年度末95%の完成目標に向け、各地域で本格復旧に御尽力いただいているところでございます。
 また、建設業の皆様方には、インフラ整備だけではなく、雇用の確保、台風などによる災害の復旧、さらに、近い将来、発生が予想される東南海・南海地震による被害の軽減や、救援活動等に重要な役割を果たすことが期待されております。
 県としましては、今後とも必要な公共事業の予算を確保するとともに、県内建設業で施工可能な工事は県内建設業者に発注し、また、より多くの入札に参加できるよう、可能な限り分離・分割発注を行うなど、建設業の方々が将来的に地域を支え、持続ある経営や発展が図られるよう努めてまいります。
 次に、仮設住宅で暮らしている被災者の今後の住居についてでございますが、昨年の台風12号による被災者の方につきましては、現在も122世帯279人の方が仮設住宅や公的住宅に仮住まいされております。県といたしましては、関係市町と協力して被災者の意向把握を行い、住宅再建が可能な方につきましては、引き続き住宅の再建を支援してまいります。また、住宅再建が困難な方につきましては、仮設住宅の期限も考慮し、早急に市町と協議を行い、公営住宅の整備等を進め、被災された方の安定した住宅の確保を図ってまいります。
 次に、堆積土砂の除去についてでございますが、今議会補正予算に計上している河川整備事業は、今後の被害の再発防止のため、災害対策等緊急事業推進費を活用し、緊急的に河道掘削を実施するもので、日高川、南部川、日置川、城川、熊野川で合わせて約40万立方メートルの掘削を実施する計画としております。
 掘削土については、既に実施している台風12号による災害復旧工事でも、砂利資源としての有効活用や公園整備、また土地造成などへの転換利用を図っておりますが、今回の補正予算による掘削土についても、地元市町と相談しながら、他工事への利用や砂利資源としての有効活用を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 杉、ヒノキの人工林では、間伐などの手入れが十分に行われないと、自然災害の防止や水源の涵養など、我々の生活に直接かかわるさまざまな機能の低下が懸念されます。
 県では、こうした森林の機能の維持、向上を図るため、引き続き国の事業を積極的に活用しながら間伐を推進し、林業の活性化を通じて森林の整備を図ることで、人工林を健全な状態に保っていきたいと考えております。
 崩壊防止や水源の涵養など、高度な機能の発揮が求められる保安林については、治山事業による森林整備を実施してまいります。
 また、収益性の低い森林については、切捨間伐に森づくり基金を活用させていただいて、広葉樹がまじる災害に強い森づくりを推進してまいる所存でございます。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 まあまあ答弁をいただきましたんで、もう──答弁漏れはありません。真摯にお答えをいただきました。引き続き、台風12号の関連の復興に対して当局の御支援を、また積極的な政策をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、スマートインターチェンジについてお伺いいたします。
 スマートインターチェンジは、御承知のとおり、高速道路の本線やサービスエリア、パーキングエリア、バスストップから直接乗りおりできるように設置されるインターチェンジであり、通行可能な車両をETC搭載車両に限定したインターチェンジであります。
 関西地域には、西名阪自動車道大和まほろばスマートインターチェンジが平成24年7月4日に開通いたしました。今後、延長される県内高速道路において、通常のインターチェンジの要望があれば、そういうところで難しいというような場合があれば、スマートインターチェンジも手段として取り入れてはどうかと思います。
 工事期間が短く、希望自治体の費用負担が比較的少ないスマートインターチェンジ工法の利活用について、県土整備部長のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) スマートインターチェンジは、ETC車専用のため簡易な料金所で済み、サービスエリアやパーキングエリア等へ設置することで、従来のインターチェンジと比べ低コストで導入できるという利点があります。
 一方で、その設置に際しては、高速道路へのアクセス時間の短縮や周辺道路の渋滞緩和などの社会便益が見込まれることと、有料道路としてのインターチェンジ設置による増収分でその維持管理費が賄えることなどが、その要件となっております。
 その上で、県内におけるスマートインターチェンジの設置については、既存高速道路の利用促進や地域の活性化だけでなく、救急医療や災害救助活動にも有効であると考えますので、設置の可能性について国や関係機関と情報交換してまいります。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございました。
 次に、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに防災機能を持たせ、災害支援基地として強化してはと考え、質問をさせていただきます。
 昨年の東北地方を襲った大震災や津波は記憶に新しいところでありますが、我が県においても、そう遠くない将来、東南海・南海地震が発生することが予想されています。東北を何度か視察させていただいたとき、高速道路が津波から命を守ってくれたお話を随分お聞きいたしました。これから紀南に延びていく高速道路においても、そうした貴重な経験を踏まえ、建設に際しては生かしていただきたいと願うところであります。
 高速道路は、観光や産業発展のためのインフラという機能のほかに、地震や津波から私たちの命を守ってくれました。1つ目は、襲ってくる津波から命を救うための避難場所としての役目、2つ目は、押し寄せる津波を遮断する防波堤の役目、3つ目は、災害時に大けがをした人や急病人を緊急搬送する役目、4つ目は、生きていくために必要な食料や水、医薬品を初め生活用品を被災地に運ぶ役目と、本当に多岐にわたって活躍をしてくれました。
 民主党議員の中には、頼みもしないのに勝手に那智勝浦新宮道路にやって来て、無駄な道路の代表だと決めつけていました。いつ到来するかわからない東南海・南海地震に備え、県民のみならず、観光客やお仕事で来県している皆さんの命を守る道として紀南延長を進めていたのですが、まことに残念であります。
 震災後の東北地方の現状を見ても、高速道路は単に高速移動する手段ではなくて、本当にいろんな機能を備え持っていることがわかりました。
 先般、日高郡の町村会で、新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアの防災への取り組みについて視察されたとお聞きいたしました。そのサービスエリアでは、太陽光発電設備や自家発電設備、井戸設備等の設置や、食料や毛布、テント、簡易トイレ、炊き出し用品等の防災備蓄品を備蓄し、応援部隊の活動拠点としてのスペースを確保し、燃料供給体制確立、ヘリポートの設置等、防災機能を強化し、来る震災に備えています。
 私たちの地域も、東南海・南海地震に備え、万全の体制を備えなくてはなりませんが、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの防災機能を強化することについて、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきの東日本大震災や昨年の紀伊半島大水害で高速道路が防災上非常に重要な役割を果たしたことから、議員御指摘のように、サービスエリアや、あるいはパーキングエリアを防災拠点としてさらに機能強化することは、大変重要であると考えております。
 既に、現在、紀ノ川サービスエリアや印南のサービスエリアでは、国や県とNEXCO西日本など関係機関が連携いたしまして、防災ヘリやドクターヘリの緊急時の離着陸場所として運用しているところであります。さらに、昨年度、NEXCO西日本と災害時における相互協力に関する協定を締結いたしまして、お互いに連携して高速道路を活用した防災対策に取り組むこととしております。既に、高速道路の避難場所としての活用や緊急開口部の設置に向けた協議を進めているところであります。
 今後も、東海・東南海・南海地震などの大規模災害に備え、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアを防災拠点としてどのように活用していけるかを、前例にとらわれることなく真摯に検討していくつもりでございます。
 また、必要に応じ、その整備等について国やNEXCOと協議していくつもりでございます。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 本当に高速道路というのは、私たちの、災害時においては大変有効に機能するということが改めてわかりましたんで、引き続き防災強化をよろしくお願いいたします。
 次に、日本郵政グループは、山間部などの利用者の少ない郵便局での窓口業務を隔日で行うなどの日数や時間を減らす検討を始めたと読売新聞の報道で知りました。郵便局を10から20局程度のグループ単位で運営し、従業員が複数の局を担当することで、経営効率化を推進するとのことがねらいのようであります。今年4月に成立した改正郵政民営化法で、全国一律サービスを義務づけられ、約2万4000の郵便局を維持しなければならないことから出てきた案であると考えます。
 このため、従来は1局ごとに配置していた従業員に複数の局を担当させ、利用者の少ない局は営業日や営業時間を減らして、効率化と維持の両立を図るというものであります。
 しかし、現在ある郵便局の機能は、郵便事業だけに限りません。高齢化が進む山間部において、郵便配達員は高齢者の安否確認等、貴重な情報を私たちに与えてくれます。独居老人宅にとっては、緊急の病気の場合も頼れる存在であります。過疎地域にとっては、唯一の金融機関でもあります。一部自治体では、こうした機能を活用するため、郵便物を定期的に配達してもらうためのシステムづくりや、住民票等の事務を郵便局に委託しているところもあります。
 山間部では、さきの市町村合併により、今までの役場が支所になり、支所が廃止され、小中学校も統合が進んでいます。さらに、各地域にあった農協も合併が進み、支所が相次いで閉鎖されました。こうした状況のもとで、郵便局が隔日営業になり、やがては廃局になるのではないかと地域住民は心配しています。
 そこで、お伺いいたします。
 日本郵政グループは、既に今夏からグループ単位で運営する試みを始めていると新聞報道されていました。日高川町の丹生郵便局と早蘇郵便局では既に住民票が発行できるよう提携していますが、県は、さらに市町村と連携し、過疎地の郵便局に公的役割を委任し、常時営業を確保できるように御尽力いただきたいと思います。
 和歌山県の過疎地域における郵便局の役割と活用について、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私自身も郵便局に大変お世話になっておりまして、特に郵便振替を頻繁に利用しております。何で郵便振替だと手数料がかからないのに、銀行へ行くと840円とかいろいろ取られたりするのかなというふうに思うこともたくさんございますが、ましてや、過疎地域における郵便局は、地域住民にとって郵便、貯金、保険等の生活に必要な機能を確保する上で重要な施設であると認識しております。
 議員御指摘のように、一部の郵便局では、市町村にかわって住民票等の交付などを行ったり、さらには、見守りとか安否確認などのサービスなど、地域社会の安心の拠点として重要なセーフティーネットとなるなど、多方面にわたる役割を果たしているところであります。
 県としては、このような過疎地域における郵便局の役割の重要性にかんがみまして、私どもも、今のような動きを最大限サポートするように努力をいたしてまいるとともに、今後とも住民サービスの低下につながることのないように、関係市町村と連携しながら、国及び日本郵政グループに働きかけをしてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 私は、日高郡旧美山村に住んでおりまして、本当に高齢化が進み、俗に言う限界集落という地域になりつつあるし、もう既になってるんですけども、そういう地域で、私もたまに家へ帰りますと、僕の幼なじみが郵便局に勤めておりまして、うちに上がり込んで世間話をしております。
 「久しぶりやね」といって話をしていると、「きょうは何よ」というたら、今言う簡保やとか、そんないろんなことでお世話になってるんで、その更新の話で来ていただいてたようですけども、本当に僕はめったに家へ帰れないんだけども、僕の同級生がしょっちゅうそないして家へ来て、「お父はん、お母はん、元気でええな」って声かけてもらうだけでも私は物すごい安心するわけですけども、本当に過疎地で郵便局の配達員さんというのは、特にそれぞれの家庭とのつながりが深いもんですから、そういう私たちの目に見えないところでのセーフティーネットの役割を果たしていただいてるということを、改めて感じます。
 そういう特定郵便局が隔日に、また統廃合されて廃止になったりというようなことが本当にないように、県としても市町村と連携を深めて地域の特定郵便局の今後のあり方についても、いろいろ御支援をいただきたいというのを再度要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、電力需給体制についてお伺いをいたします。
 さきの議会でも、私はこのことについて質問したんですけども、もう一歩話を進めて。
 今夏は、県民の皆様の積極的な節電に御協力をいただいたおかげで、関西電力管内では計画停電等、最悪の事態は避けられました。こうした県民の懸命の努力でなし遂げた節電も、一部報道では大飯原子力発電所3、4号機が稼働しなくても補えたのではないかとのような報道がなされています。全く無責任な報道でありますが、電力事業を取り巻く国民感情は依然厳しく、政府は2030年代には原子力発電所を原則全面廃止する方針を固めたそうであります。
 すべての電子力発電所が停止した我が国の経済は、国際競争力を著しく低下させ、やがて企業は電力コストと人件費の安い国外に流出し、国内の雇用の場が失われ、国民の消費力が低下し、国力の低下は社会保障の維持にも影響を及ぼし、悪循環に陥っていきます。
 このたび、必要な電力を原発に頼らず確保するため、政府は再生可能エネルギーの目標数値を試算いたしました。石油、石炭や天然ガス等の火力発電と組み合わせながら、現在の太陽光発電を19倍、風力発電を21倍、水力・地熱発電を3.3倍にすれば原発をゼロにできるという試算であります。
 しかし、石油や天然ガスは国際価格の変動が激しく、エネルギーの安全保障を確保するには限界があり、再生可能エネルギーも発電コストが高く、固定価格買取制度の継続性も疑わしく、最終的には私たちの電気代としてきっとはね返ってきます。
 比較的発電コストの低い風力発電の大規模導入が不可欠であると位置づけていますが、風力発電は低周波の安全基準がいまだに国によって明確に示されておらず、健康被害を危惧する地域住民の反対が今後予想されます。先般、日高町では、建設予定地の地域住民の同意が得られず、計画の大きな見直しか、もしくは計画中止になると新聞報道されていました。
 風力発電の建設候補地は、そのほとんどが林地開発許可を得るため地元住民の同意が必要となり、容易に推進するとは思われません。火力発電は、化石燃料の安定供給やコストの変動の問題、再生可能エネルギーとされる水力発電は河川の環境悪化の問題、太陽光発電は高コストと気象条件に左右されやすいという問題、地熱発電は国立公園や自然公園との共存の問題、現在示されている発電方法にはそれぞれ問題点が多くあります。
 我が国の盛衰にかかわる電力問題ですから、私たちは根拠のない大衆迎合的な理想論やヒステリックな感情論に左右されず、現実を直視し、国民生活はもちろんのこと、経済、医療、福祉、教育とあらゆる角度から分析し、国民的議論を深めていかねばなりません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 政府は、2030年代に原子力発電を廃止し、火力発電と再生可能エネルギーだけで賄うと方針を打ち出しました。原発ゼロ政策は、本当に実現可能なのか。今後、全国知事会や関西広域連合でも電力の安定需給の問題は避けて通れない議題となると思いますので、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 9月の14日に、政府のエネルギー・環境会議において、革新的エネルギー・環境戦略が策定されました。国政に関することでありますけれども、和歌山県に大いに影響があるので申し上げますが、このプロセスには私は大いに問題があると思います。
 7月には、原発依存度をゼロ、15%、20から25%に減らすという3つの選択肢を政府が示して、国民にアピールして、それでマスコミなどで大いに議論があったわけであります。しかし、この3つをよく見ますと、3つとも代替エネルギーが、たしか私の記憶では35%になっとるわけです。したがって、だから原発ゼロでも、石油依存度がいずれでも、まずまずということになるわけであります。
 まず第1に、本当にできるのかというのは議員御指摘のとおりでありまして、それができると確信をしておらなければ、選択肢を示しておくということはナンセンスということになります。
 その次に、仮にできるとしても、実は代替エネルギーの導入というのは、現在の強制買い取り制度でも、現実には電力会社が赤字を背負うという構造になり、それは電気料金にはね返るということを覚悟して、あの政策をやっているはずであります。そうすると、その分だけ35%もあったら、ひょっとして電気料金はどうなるのかというようなことを考えないといけません。
 さらに、石油、LNG、石炭、そういうものを多分今以上に買わないといけないということになると、その追加購入のためのコストが、これまた電力料金にはね上がってくるはずでありますし、さっき言ったみたいに、そんなことできるのかということができないとすれば、石油、LNGなどに対する依存度が高まって、さらにこの電力料金への圧迫が大きくなると思います。
 その結果、日本の競争力がどうなって、人々の雇用がどうなってというようなことを選択肢できちんと示していかないといけない。
 また、原子力のリスクというのは、我々は福島原発の事故でもう嫌というほど思い知らされました。しかし、石油やLNGや石炭などの火力、あるいは水力や代替エネルギーが、こういう関係のリスクがないかといえば、これは間違いであります。保安上のリスクも、それから公害のリスクもあります。それから、日本の政策であったはずの地球環境問題も、それから安全保障の問題も、すべてやっぱりテーブルの上に出して、みんなで議論をしなきゃいけない。
 そういう議論をしないで、原発ゼロの人気が高かったからゼロにするんだというのは、立派な政府のやることではないと私は思います。
 また、もっと突き詰めて言えば、本来、そういったことを全部議論の対象として国民に説明した上で、政府自身がこのシナリオでいきたいということを、何か人気投票してくださいというんじゃなくて、自分で考えて、それですべてのパッケージを国民に提示し理解を求めるというのが望ましいんじゃないかと私は思います。なぜならば、そのために我々は選挙で政府を選んでいるからであると申し上げたいと思います。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 今の知事のかなり踏み込んだ御答弁をいただきました。
 本当に、我々国民が、今このエネルギーに対してどれほどの理解を深めているのか。福島原発事故において、とにかく原子力発電所の怖さというのを私たちは本当に痛いほど思い知ったわけですけども、だからといって、今言うたように、我々が、この国際社会の中で本当に原発をゼロにして、資源のないこの国が世界の中でやっていけるんだろうか。
 過去を振り返っても、エネルギーの問題に端を発して戦争が起こったことは何度もあります。第2次世界大戦もエネルギーが引き金になったということは、それは1つの事象でありますけども、私たちは覚悟が要ると思うんです。原発をゼロにするというのは、私は国民の覚悟が必要やと思います。
 私も前の議会で、原発ゼロに対するこの大きな流れというのは、これは今の国民の流れですから、それは受けとめたらいいと思うんですけども、そのためにやはり付和雷同して、それぞれのマスコミにあおられて、そういう何の考えもなしに、後から気がついたときに、私たちの国に企業がなくなったと、私たちの働く場所がなくなった、私たちの生活が苦しくなった、そのときに大慌てをして、じゃ、もう1回原子力発電所をつくろうなんていう、そういうような愚を犯さないように、私たち今ある政治の世界に身を置いている者は、それだけの責任があると思いますし、まして知事はそういう発信する、県民を代表して県民の生活を守るという責任の一番重要な役職にありますから、ぜひ、私たち和歌山県は電力の生産県でありますし、知事としての立場で、そういう電力の消費地の意見に流されることなく、堂々と私たちの国のエネルギー問題をも仁坂知事には議論していただきたい、その場その場で議論をしていただきたいと強く求めるものであります。
 いずれにしましても、私たちを取り巻く今の環境は、いじめ問題やとか、中国との厳しい今の国際状況とか、本当に暗いものではありますけども、ぜひ当局におかれましても、この和歌山県の県民が安心して安全で暮らせる県土づくりに、より一層邁進していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。(拍手)
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問及び質疑を行いたいというふうに思います。
 本日は、4項目について、3つについては一般質問、最後の1項目は質疑というふうな形で行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、マスコミ等でも大きく取り上げられておりますいじめの問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 昨年の10月、いじめが原因で自殺をしたとされる大津市立中学校の男子生徒の事件が連日大きく報道されてきました。自死した男子生徒の保護者が、学校や教育委員会に再三にわたり原因究明を求めたにもかかわらず、事実が解明されないため、ことし2月、市といじめをしたとされる同級生3人らに7720万円の損害賠償を求め、大津地裁に提訴をいたしました。その中で、問題点が次々と明らかになってきたというふうな経過であります。
 学校側は、生徒に2回にわたるアンケートを実施していたにもかかわらず、公表しなかったことや、その記述の中にいじめを示唆するものがあったにもかかわらず、市教委が因果関係を認めなかったこと、その後の市教委や学校側の対応が問題であったことが明らかになってきました。
 7月11日には、警察が中学校と大津市役所を家宅捜索するという前代未聞の捜査となりました。また同月には、裁判の中で、加害者とされる同級生3人が刑事告訴され、現在係争中であります。
 大切な息子さんを亡くされ、刑事告訴までされた御両親の無念さは、何をもってもあがなうことはできないと思います。いじめは、どんな形であれ、暴力であり人権侵害であります。被害者側に何ら責任がないことは言うに及ばず、加害者については強い指導や処分が必要なことは言うまでもありません。ましてや、いじめに名をかりた暴力や恐喝や脅迫が人の命を奪ったという事実を、私たち大人はしっかりと受けとめなければなりません。
 しかし、問題は中学校という教育現場で行われたことです。本来、学校とは、人間関係をはぐくみ、仲間をつくる営みがなされるべき場所であります。しかし、学校というある意味保護された空間の中で行われたことにより、複雑な要素を含むものとなっています。被害者も加害者も、指導すべき児童生徒であります。
 インターネットで検索をすると、いじめをしたとされる関係生徒の名前も顔も住所も、保護者の経歴も、親戚のことまで書かれています。個人情報とやかましい日本の中で、すべてがさらけ出され、あることないことが書き込まれ、誹謗中傷と非難の声であふれています。ひどい書き込みを読んでいると、正義を振りかざした暴力に思えて、何ともやりきれない気持ちになってくるのです。
 こうなる前に、もっと早く、もっと初期の段階で手が打てなかったのか、生徒同士の人間関係をもっと知るべきではなかったのか、悔やんでも悔やみ切れない思いであります。
 昨日の新聞にも、川西市の高校生が自死したことを受け、学校の対応に両親は不信を募らせ、「学校は信用できない。真実を知りたい」と話されているようであります。そういった意味では、学校や教育委員会の責任は大変重いと言わざるを得ません。
 また、学校の問題を学校だけに任せてきた私たち大人の責任が問われていると思います。
 そこで、教育長にお聞きします。
 まず、教育委員会として大津市の事件など最近のいじめ問題についてどのような認識を持たれているのか、また和歌山県におけるいじめの現状はどうなっているのか、そして県の取り組みについて、お伺いをしたいと思います。
○議長(山下直也君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) まず、いじめに対する認識についてお答えしたいと思います。
 いじめが原因で中学生がみずからとうとい命を絶つということは、理由のいかんを問わず、あってはならないことであり、極めて深刻なことだと受けとめております。
 いじめは、人間の尊厳、また人権にかかわる重大な問題であり、決して許されないことでございます。また、どの子供にも、どの学校でも起こり得るものであることから、学校教育に携わるすべての関係者1人1人が常にこの問題を厳しく受けとめ、いち早くいじめの兆候を把握して、迅速に、かつ適切に対応する必要があります。
 いじめの問題解決に向けては、学校、教育委員会と家庭、地域が連携して、情報を共有しながら全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。
 次に、本県のいじめの現状でございますが、公立学校における平成23年度のいじめの認知件数は97件であり、前年度と比べて113件の減少となりました。いじめの内容は、冷やかしやからかい、悪口、仲間外れなどが主なもので、近年ではパソコンや携帯電話等での誹謗中傷も見られます。
 今回、いじめの認知件数が減少したのは、各学校や保護者や関係機関との連携を密にし、よりきめ細かな指導を行ったことが未然防止につながったものと考えております。今後とも、いじめを見過ごしているケースは本当にないのか、常に危機意識を持って児童生徒の実態把握に努めるよう指導してまいります。
 次に、いじめの問題解決に向けた本県の取り組みでございます。
 各学校において、日ごろから子供たちの小さなサインを見逃すことなく、早期発見、早期対応に努めることが何よりも大切であることから、市町村教育委員会とも連携をしながら、これまでいじめに関する児童生徒へのアンケート調査を実施してきたところでございますけども、今回の事件を受け、さらにその徹底を図っているところでございます。
 また、児童生徒の心のケアを図るために、スクールカウンセラー等を小学校30校、中学校93校、高等学校43校の合計166校に配置するとともに、関係機関、家庭、地域と連携して問題解決を図るために、スクールソーシャルワーカーを10市町に配置しています。
 さらに、インターネットでの誹謗中傷などのネット上のいじめを見逃さないよう、ネットパトロールを実施しているところです。
 県教育委員会といたしましては、引き続きいじめの早期発見、早期対応を徹底するとともに、いじめを許さない学校づくりに向けて努力してまいります。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 県での取り組みの御答弁をいただきました。
 いじめ件数が97件、前年度と比べて113件減少となっているとのことであるんですが、この数、ほんまに信用してええのかなというのが正直な実感です。
 いじめがあっても気づかないで見過ごす──今、教育長もおっしゃっていただきましたけれども、見過ごしてしまうケースが多いんじゃないかなというふうに思います。そういった意味では、早期発見、早期対応が大切であるという認識は、本当にそのとおりだと思います。
 しかし、今の取り組みで早期発見できるんか、早期対応できるのか、甚だ私としては疑問だなというふうに思うわけです。
 和歌山市内では、中学校で35人学級が実施をされています。これは大変歓迎すべきことなんですが、教員がそれに伴って十分に増員されていないということもあって、学校によっては、2学級に1人配置されていた副担任が3学級に1人というふうに減っている場合があるわけです。そのために、学校の中で何か問題が起こったときに、フリーに動ける教師が大変少なくなって、対応がおくれるという事態が起こっているわけですね。
 そういった中で、今保健室が果たす役割が大変大きくて、不登校児が保健室登校という話はよくありますし、けがとか体の不調を訴える生徒の中で、養護教員がいじめの芽を見つけるということがよくあるわけです。また、学級の中でなじめない生徒が養護教員に相談して、問題解決の糸口を見つけるということもよくあります。
 このように、学校に、教育長はスクールカウンセラーを配置していただいてると言うんですが、学校に週2回程度の勤務をされているスクールカウンセラーよりも、生徒にとっては、身近なところでいつも常に相談できたりとか、いつも逃げ込めるような場所が私は必要だというふうに思うんです。
 また、いじめや問題が起こったときに、学校と教員、保護者の間に入り調整できる第三者機関みたいなんが必要だなと考えます。教育は、保護者と生徒と教師と学校などの信頼関係が大変重要だということは、もうそんな言わなくてもおわかりのことだと思うんですが、その信頼関係を構築されない事態とか、感情的な行き違いで問題解決が困難になった場合なども含めて、調整を任せることのできる機関が必要だなというふうに感じます。
 文部科学省がいじめ対策チームを新設するというふうな新聞発表もありましたが、早期発見とか早期対応のためにも、和歌山県として今後どのような対策を講じていかれるのか、もう1点、お伺いしたいというふうに思います。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県としての今後の新しい施策についてのお尋ねでございますけども、今後、県教育委員会としましては、かけがえのない1人1人の子供たちの命の重さをしっかりと受けとめて、1人の犠牲者も出さないという強い意思を持って取り組んでまいります。
 このため、いじめに関する児童生徒へのアンケート調査等で明らかになったいじめについては、県と市町村、それぞれの教育委員会が主体的に学校へのヒアリングを実施し、必要な指導助言など、いじめに対する迅速かつ適切な対応ができるよう万全の支援体制をとってまいります。
 さらに、いじめに対する初期対応や具体的な対処方法等を示した教員向け「いじめ対応マニュアル」を作成していくとともに、子供や保護者等がいじめに関して相談をかけやすい体制づくりや、いじめ防止に向けての啓発活動についても検討してまいります。
 議員御指摘のように、国においてもいじめ対策関連事業が計画されていることから、こうした動きを踏まえて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員を検討するとともに、外部人材の活用により、子供をいじめから守る支援体制づくりを進めてまいります。
 また、いじめ防止の観点から、教員定数につきましても、国の動向を注視しながら、その確保に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ありがとうございます。
 教育は人を育てる営みでありますので、その根底には、1人1人の人権をやはり尊重する人権教育というのが大変重要だというふうに思います。いじめを許さない社会、そういう人を育てるためにも、人権教育の推進もあわせて要望したいというふうに思います。
 次に、里親制度について質問を行います。
 虐待や保護能力の欠如により保護遺棄され、さまざまな困難を抱えている子供たちの養育についてお伺いします。
 虐待件数が過去最高を記録したとのニュースが流れる中、日本における保護を必要とする子供たちの人数が増加の一途をたどっています。
 その子供たちの処遇がどのようになっているのか、また、その子供の命を守ることの重要さとともに、保護された子供たちにどのような養育が保障されなければならないのか、今回はその点についてお伺いしたいというふうに思います。
 社会的養護という言葉があります。親が育てられない子を、親にかわって社会が責任を持って育てる仕組みのことであります。具体的に言うと、里親制度や児童福祉施設による養育のことであります。
 保護されなければならない子供たちの養育について、厚生労働省は、児童養護施設が3分の1、里親やファミリーホームでの養育を3分の1、グループホームでの養育を3分の1にしていくという方針を打ち出しました。施設中心の制度から、子供の権利を尊重することを基盤とした家庭的環境での養育に変わろうとしています。これは、戦後、施設養護が90%を占めてきた日本の社会的養護の流れを大きく変えていくものとして歓迎するものです。
 しかし、大変残念ながら、なかなか進んでいないのが現状です。
 欧米主要国の里親委託率は、カナダでは63.6%、イギリスでは71.7%、アメリカでは77%、オーストラリアでは93.5%となっており、日本における里親委託率12%という数字は、先進諸国の中においても特異なものとなっています。
 そのような中で、福岡市と大分県が里親の割合を大きく伸ばしています。福岡市では6.9%から24.8%に、大分県では7.4%から22.7%に伸ばしています。福岡市と大分県の取り組みには、学ぶべきものがあります。
 福岡市では、福岡市児童相談所と子どもNPOセンター福岡の協働事業としてファミリーシップふくおかを立ち上げ、里親制度についての市民の意識を変えていくという取り組みを進められました。子供にかかわる各種団体に呼びかけ、実行委員会方式による講演会を開催、その中で子供の現状を訴える、里親体験等々を進める中で、市民が私たちにできることを登録していくなど、市民の力で里親をふやす取り組みが進められてきました。
 また、大分県でも、子供の最善の利益を確保するといった視点で、児童相談所と施設による協働により、一般県民に向け制度説明会を開催する、関係団体などへも積極的に働きかけ予算化を進める、県民に里親体験をしていただく等々、さまざまな努力により里親委託率を伸ばしています。
 国連が、2009年に子どもの代替養育に関するガイドラインを採択しました。その中では、子どもの権利条約の理念に基づき、子供の最善の利益を確保することが優先され、代替養育についてのガイドラインが明示されました。
 福岡市に、子どもの村福岡という施設があります。5軒のホームで構成されており、それぞれのホームにマザーという養母と養母を支えるアシスタントが常駐し、子供たちを普通の家庭のように養育していく営みが行われていました。
 1軒の御家庭では、生後6カ月の乳児と3歳の幼児、小学校2年生の子供が、マザーやアシスタントの女性に見守られながら、伸び伸びと暮らしていました。
 子どもの村福岡というのは、世界的なNGO、SOS子どもの村が日本で初めて設立した子どもの村です。SOS子どもの村は世界133カ国に設立されており、子供の養育、教育、医療、緊急支援など、幅広い分野で活動しています。すべての子供に愛ある家庭をという目的のもと、特に実の親から保護や教育を受けられない子供たちを、愛情あふれる家庭的環境で養育する活動を続けています。
 現在、東日本大震災で親を亡くした子供たちのために、日本で2つ目の子どもの村が設立に向け準備されているとお聞きしました。
 また、大分では、養父母と6人の子供たちが生活しているファミリーホームを訪問させていただき、さまざまな事情を持っている子供たちを、その子の背景も含め、丸ごと受け入れている養父母の姿に感銘を受けてまいりました。
 このように、社会的養護については、各都道府県によって取り組みの格差があるように思います。
 そこで、福祉保健部長に、和歌山県における里親の現状と登録里親数、里親委託率を増加させるための取り組みはどうなっているのか、また、今後の県の方向性についてお聞きしたいと思います。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 和歌山県における里親の現状と登録里親数、里親委託率を増加させるための取り組みについてお答えいたします。
 本県では、平成21年4月に和歌山県子ども虐待防止基本計画を策定し、里親制度の推進に努めております。
 登録里親数につきましては、平成21年度末に52世帯に対しまして、平成23年度末では77世帯となっております。2年間で25世帯増加してございます。また、社会的養護が行われている児童のうち、里親家族で養育されている児童の割合を示す里親委託率につきましては、平成21年度末の8.7%に対し、平成23年度末では9.7%となっており、2年間で1%増加いたしました。
 次に、里親制度の充実に向けて、平成24年度から里親支援機関を設置し、里親委託推進員等を配置することにより、従来にも増して、より細やかな対応を行っているところです。
 特に、登録里親数を増加させるため、広く県民の皆様を対象とした児童養護施設長などの有識者による講演会や、里親制度に関心のある方々を対象とした里親経験者による説明会を開催し、里親制度の普及啓発に取り組んでおります。また、里親委託率を増加させるため、里親と要保護児童のマッチングを初め、里親に対する養育技術の向上のための研修の実施であったり、孤立化防止や負担軽減のための支援に取り組んでおります。
 次に、今後の県の方向性についてお答えいたします。
 議員御指摘のように、日本は欧米主要国と比較として里親委託率が低く、こうした現状を踏まえ、昨年7月に厚生労働省が示した「社会的養護の課題と将来像」では、里親やファミリーホームを増加させ、児童養護施設の小規模化と施設機能の地域分散化を図ることとされております。
 本県におきましても、県民の皆様に御理解をいただく中で登録里親数と里親委託率を増加させることが重要であると考えており、全国の自治体における成功事例も参考にしながら、家庭的な環境に近い里親による養育を一層推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 虐待や他の理由から保護遺棄された子供たちの養育についてお伺いしたわけですが、県としては今後県民の皆さんの御理解をいただくということが、登録里親数とか里親委託率を増加させること、重要であるというふうにお答えいただいたわけです。御理解いただくという中でね。
 しかし、里親登録数も77件と本当に少ない現状でありますし、委託率もまだ9.7というふうなことで、2けたに届いていないというふうなことです。
 虐待の問題が大きくこういうふうにクローズアップされている中で、県民の関心もかなり高くなってきていますけど、保護された子供たちがどこでどのように暮らしているのかというのを知らない方が大勢おられるというふうに思います。和歌山県に児童養護施設がどこにあるかも知らないという方が、ほとんどだというふうに思います。
 先ごろ、「隣る人」という映画を鑑賞しました、「隣る人」という映画です。これは、ある児童養護施設で暮らす子供たちの8年間をずっと追ったドキュメントでありまして、子供たちの日常をただ淡々と描いているだけなんですが、その子供の表情とか、それから言葉遣いからも、その子の持つ寂しさとか切なさが伝わってくるような、そんな内容の映画でありました。
 どの子にも、私は幸せになる権利が保障されなければならないというふうに思います。大人には、その責任があるというふうに思います。社会的養護について関係者だけが知っているというのでは、里親への理解も、それから里親委託もなかなか進まないというふうに思いますので、啓発も含めて、先進県の取り組みを参考にして、さらに推進していただくように強く要望したいというふうに思います。
 次、雇用問題について、特に若年者、女性の雇用についてお聞きします。
 7月5日付で、厚生労働省は生活支援戦略中間まとめというのを発表しました。その中では、抜粋でありますが、基本目標としては、「生活支援戦略は、生活困窮者が経済的困窮と社会的孤立から脱却するとともに、親から子への貧困の連鎖を防止することを促進する」、「国民一人ひとりが『参加と自立』を基本としつつ、社会的に包摂される社会の実現を目指すとともに、各人の多様な能力開発とその向上を図り、活力ある社会経済を構築する」、「生活保護制度については、必要な人には支援するという基本的な考えを維持しつつ、給付の適正化を推進する等により、国民の信頼に応えた制度の確立を目指す」と、こういうふうに示されているわけです。
 生活支援戦略と言いつつ、「必要な人には支援する」といったこの「には」という文言が、どうもねらいは生活保護制度の見直しではないかなと勘ぐりたくなってくるんですが、最近は生活保護受給をめぐって、芸能人の親族に対する扶養が問題とされました。しかし、この問題がクローズアップされたことが原因で、本来保護が必要な方に対して給付されないというような事態にならないように、行政側の適切な対応を望みたいというふうに思います。
 生活支援戦略の抜粋とはいえ、基本目標とされている項目は今さら感が強く、遅過ぎる対策と言わざるを得ません。私は、ここまで国民の状態が困窮してしまった原因は、政府の雇用政策にあったと考えます。
 1996年の橋本内閣により金融ビッグバンが起こり、銀行を中心とした護送船団方式の金融システムにメスが入りました。多くの規制緩和を行った結果、銀行、証券会社、保険会社など、そういうのは垣根が取り払われました。
 その後、小泉構造改革では雇用政策の規制緩和が行われ、派遣労働の自由化が行われました。2004年の小泉・竹中時代には対象業種が原則自由化され、製造業などにも派遣労働が行われるようになりました。これにより、日本型終身雇用の時代は幕を引くことになります。
 そして、右肩上がりの高度成長時代に培われた、学校を卒業して、会社に就職したら結婚して、それなりに安定した生活を送れるといった生活設計は描けなくなりました。近ごろでは、リーマンショックによる不況で大量の派遣切りが行われたことは、まだ記憶に新しいところであります。
 平成19年度、総務省の15歳から34歳までの若年労働者の就業構造基本調査によれば、全国では正規雇用者が65.5%、女性に限ると53.2%となっています。和歌山県においても同様の傾向にあり、正規雇用者が65.7%で、女性に限ると52.6%となっており、平成14年度の70.6、女性が56.3%と比べても大変厳しいものになっています。
 若年労働者の3割が正社員以外であるという背景には、企業、事業所の都合が大きく作用していると思います。企業、事業所の派遣労働者を就業させる大きな理由として、一時的な季節的な業務量の変動に対するためであったりとか、欠員補充の必要な人員を確保するためとしています。派遣労働の業種が自由化されたために、あらゆる産業において派遣労働者が業務量の変動の調整弁としての役割を果たしている実態が浮かび上がってきました。そして、この若年労働者がその一翼を担わされています。
 一方、若年派遣労働者の意識はどうでしょう。将来の働き方としての希望は、常用雇用型の派遣社員として今の派遣先で働き続けたい、派遣社員ではなく正社員として今の派遣先の事業所で働き続けたいという割合が、男女とも7割を超えています。派遣であっても、同じ職場で安定して働きたいという希望が圧倒的に多いわけです。働き続けたいけれど、雇用者の都合でばっさりと切られてしまう若年派遣労働者の姿が浮かび上がってきているわけです。
 パート労働にしても、雇用者の就業させる理由としても、人件費が割安であったりとか、仕事内容が簡単だとか、忙しい時間帯に対処するなどの理由が挙げられています。平成23年6月の厚生労働省調べでは、若年者でパート労働者の割合は──これはパート労働者ですが、男性が13.8%、女性が45.9%となっており、ここにも低賃金で不安定な仕事に従事している姿があります。
 このように、若年層のおよそ3人に1人、女性に限ると2人に1人が派遣やパート等の不安定な働き方をしていると言えます。しかも、パートで働いている男性の25歳から29歳の95%、30歳から34歳で58%、35歳から39歳で54%、40歳から44歳でも55%の方々が配偶者がいないというふうにおっしゃっているわけです。結婚していないということです。女性にしても、25歳から29歳で51.7%、30歳から34歳でも41%が結婚をしていないんです。
 このように、若い人たちが仕事をして、税金を納めて、家庭を持つといった当たり前のことのできない社会に今の日本が置かれている。こんなことでは、日本の将来はないんじゃないかというふうに思います。
 今、少子化と騒いでいますが、その原因が、規制緩和を推し進め、若年層の働く場を奪ってきた政治や社会の問題が大きいと言わざるを得ません。行政も政治も産業界も、雇用問題にこそ真剣に取り組んでいかなければならないと考えます。
 そこで、まず知事に、このような和歌山県における若年、女性の雇用実態について、どのような認識をお持ちなのかお聞きしたいと思います。
 次に、商工観光労働部長に、特に若年、女性、新規高卒者に対してどのような取り組みを行ってきたのか。また、2008年にも、私、雇用問題について同じような質問をさせていただいておりますので、その後、成果は出ているのか、今後の県の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 全国と同様、本県でも若者や女性の正規雇用の割合が低下するなど雇用形態が多様化する中で、若者や女性の雇用環境は厳しいものと認識しております。もう少し別の言葉で申し上げますと、雇用形態を多様化させましたが、それによって日本の産業の競争力と、それから雇用の総数は下げどまりをしたというか、ある程度食いとめられたという面はあると思います。
 しかし一方、それは非正規雇用がふえるという現象になっていて、それで特に本県でも若者や女性の正規雇用の割合が低下するというような現象が起こっていて、そういう意味で、若者や女性の雇用環境はなかなか大変というふうに認識しているということになります。
 県民の雇用の確保は県政の重要課題であり、和歌山県長期総合計画に雇用の推進を位置づけ、若年者雇用を推進するための施策などに取り組んできたところです。
 ただ、雇え雇えと言ってもなかなか大変なので、したがって、ずっと新産業の創出支援や、あるいは企業誘致などの雇用創出の施策をやってまいりましたけれども、これはさらにこの雇用、あるいは労働契約自体に手を入れようということで、新たに工業高校における物づくり人材の育成とか、あるいは、これは大卒者中心ですけども、県外進学者に対するUターン就職促進施策の拡充など、若年者等の雇用確保のためのさまざまな施策に全力で取り組んでいるところでございます。
 今後とも、若者や女性──特に若者や女性ですね、全体なんですけれども、特に若者や女性の雇用を確保し、働く人のニーズに合った雇用環境が実現するように、これらの政策を推進してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 若年、女性、新規高卒者の雇用問題の2点についてお答えいたします。
 初めに、県の取り組みとその成果についてですが、まず若年者に対しては、若年者就業支援センター「ジョブカフェわかやま」でのカウンセリングやセミナーなどを中心に就業支援の取り組みを進めるとともに、Uターンフェアの開催など、県外へ進学した大学生等のUターン就職を推進してきたところです。
 女性に対しましては、ワークライフバランス等をテーマにしたセミナーを開催するほか、就職困難な母子家庭の母親に対し、早期就職を目指した職業訓練機会を提供してきました。
 また、新規高卒者については、労働局、教育委員会と連携して、毎年の求人時期に合わせて県内経済界に対して求人拡大を要請し、その上で約3000の県内企業に対して要請を行ったところです。
 さらに、本年度は、今までの施策に加え、職員の直接訪問などにより74大学に県内企業情報を提供する体制を整備するとともに、本県出身の県外の大学生等で来春卒業予定の約2400名に対し、県内企業情報等を個別に届けることとしたところです。
 また、県内5つの工業高校において、ハローワーク等とも連携し、県内90企業以上の協力を得て、熟練技能者の技術指導や生徒、教員の企業現場体験などにより、新たな和歌山版の物づくり人材の育成に取り組んでいるところであり、結果として県内企業への就職促進を期待しております。
 これまでの成果としましては、ジョブカフェわかやま利用者の就職者数は、平成19年度286名に対し、平成23年度は660名と増加しており、最近5カ年で計2000名余りに上り、年々成果が上がってきております。加えて、本県が実施している大学生等の就職意識調査結果では、県内就職を希望する学生は近年ふえており、Uターン就職に係る施策の成果と考えております。
 次に、今後の取り組みについてですが、今申し上げましたそれぞれの施策を、企業の方々などからの意見も踏まえ、効果の検証や手法の見直しを適宜行い、工夫を凝らして、より効果的に実施することで、若者などの雇用促進を図ってまいります。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 県の当局、担当部局としても、知事も、雇用対策に御努力いただいているということはよくわかります。しかし、その努力がなかなか数字にやっぱりあらわれてきていないという実態が依然としてあるわけで、この辺のところをもう少し分析していただいて、対策を講じていただきたいというふうに思います。
 今後、非正規雇用の問題にどのように取り組んでいくのかというのが、大きな課題であるというふうに考えます。和歌山市内にある企業では、1800人ぐらいの従業員さんが働いておられるところがあるんですが、そこでの正社員は600人、関連企業から200人いらっしゃってて、残りの1000人というのが準社員とか派遣とかパートというふうなことで占められている実態であります。正社員が半分にも満たないというふうな実態です。
 事業者任せとか企業任せでは、この事態が改善できるとはどうしても私は思えないんです。非正規の処遇を改善しているというふうな企業に対して、県としたら応援したり支援を行うというふうな動機づけみたいなんが必要だと考えるんですが、今後さらに取り組んでいただけるように要望します。
 また、工業高校と地元企業の関係強化を進めているとのことですので、それぞれの情報を蓄積していただいて、求める人材と求めている人材とのマッチングがよりスムーズにできるように要望したいというふうに思います。
 最後に、たくさん上程されております条例案について、質疑を行いたいと思います。
 今議会において、義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大に伴って、条例113号から135号まで23本の条例案件が上程されています。これは、国が進めてきた地方分権改革推進計画、地域主権戦略大綱を踏まえたものです。これまでも、第1次一括法、第2次一括法が成立して、これを受け、来年3月までには自治体は法改正に伴う条例制定を行わなければならないというもので、国が一律に決定して、地方公共団体に義務づけてきた基準、施策等を地方公共団体がみずから決定し実施するように求めるものです。
 そのうち、20条例が社会福祉施設等の人員、設備及び運営等に関する基準を定めるものとなっています。その中で、和歌山県として、国の定めてきた従うべき基準以外の部分で独自に定めた条項が示されました。それは、入所者等の人権を擁護するための人権擁護推進員を配備することや、災害対策を推進するために災害対策推進員を配置すること、そして、国が基準で策定を義務づけていない施設でも、災害の防止に関する計画を策定すること、また安全管理対策推進員を配備することです。
 そこで、福祉保健部長にお伺いしたいんですが、この基準に示されたことによって、今後県としてどのように指導とか支援を行っていくのか、また、今後和歌山県の特色を生かした条項の改正等はどの程度考慮されていくのかも、あわせてお聞きしたいと思います。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 今後の県の指導、支援につきましてお答えいたします。
 社会福祉施設等に関する20の条例につきましては、それぞれが国が定める人員、設備及び運営等の基準に加え、利用者等の人権を尊重し、安全な生活環境をより一層確保するという視点から、人権擁護推進員や災害対策推進員の配置など、本県独自の基準を設けております。
 県といたしましては、今後、各施設に対し、取り組むべき内容について十分周知を図る一方、各施設の要望等をお聞きしながら、推進員を対象とした研修等の実施や、実地調査等における指導、助言により、各施設での取り組みが積極的に推進されるよう支援してまいります。
 次に、県独自の条項の改正等につきましてお答えいたします。
 社会福祉施設等の基準を定めるに当たっては、サービスの質と量を確保しつつ、本県の実情を踏まえた、地域にとって最もふさわしいサービスを提供していくことが重要です。したがいまして、今後、条例制定権が拡大された場合や社会環境等の状況が大きく変われば、市町村や施設、利用者等、関係者の御意見をお聞きしながら所要の検討を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 以上で、質問を終わります。本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○議長(山下直也君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、早速、質疑、一般質問をさせていただきます。
 まず、第1の柱はダム問題です。これまでもダムの問題を追っかけてまいりましたが、今議会ではダムの堆砂対策に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 流れ込む土砂によってダム湖が埋まってきて、本来の能力が発揮できなくなる、この堆砂問題は、ダムの寿命ともかかわる非常に重要な、そして避けて通れない課題でもあります。私の地元の有田川にある県営二川ダムでも、計画よりかなり速いスピードで堆砂が進んでいると訴えてまいりました。
 昨年の台風12号により、県内の河川と流域は大変な災害に見舞われました。小規模なものまで入れると数え切れないほどのダメージを受けた和歌山の山と川ですが、流出した土砂、河川に堆積した土砂は、次の災害を引き起こす要因となっています。
 河川の堆積土砂の撤去が切実な住民の要望となっているのと同時に、ダムに流入して堆積した土砂にも注意を払うべきだと昨年12月議会でも取り上げましたが、年度末に行われるダム湖の調査に注目したいとの答弁でありました。
 私は、でき上がった調査報告とこれまでの堆砂の推移を整理してみて大変驚きました。それが配付資料の図1のグラフです。二川ダム、広川ダム、椿山ダム、七川ダムと、この4つの県営ダムの堆砂率を折れ線グラフで示したものです。大変長い年月を凝縮したグラフですが、昨年の台風12号被害により、2010年度の調査と比べて、2011年度の調査がぐんと値がはね上がっているのが見てとれると思います。
 ダム堆砂率のもともと高かった有田川の二川ダムは、さらに上がっています。また、最も注目すべきは日高川の椿山ダムであり、約15%も一気に堆砂が進みました。これは、約10年分に相当する量であり、前年と比べても150万立米もの堆砂量増加になると報告をされています。
 次に、図2はダム堆砂のイメージ図、右側にはダム堆砂付近の写真をつけています。イメージ図は、実際の堆砂データではなく、説明のための単純なイメージ図としてごらんください。
 ダムの計画堆砂量というのはゲートより下の部分であり、ここが埋まってしまうまで、計算上、大体100年分の余裕を持つように設計をされています。しかし、現実には、そんなにお行儀よく堆積することにはなりません。一般的には、ダム湖が埋まってくるというと、池に泥がたまるように底のほうからだんだんと上に向かって堆積が進むと考えられがちでしょうが、そうではありません。
 川の水と一緒に運ばれてきた土とか砂とかは、ダム湖の最下流の底の低い部分から順に積もるんではなくて、流速が遅くなったら水の中にまざっていられなくなって、重さで下に沈むわけです。ですから、流速が急に遅くなるのはどこか。それは、洪水による濁流がダム湖に流れ込む、そのダム湖上流端から順番に下へ下へと伸びていく、どんどんどんどんこの堆砂が伸びていくという形になるわけですね。もちろんこの堆砂容量内も堆積土砂が押し流されていくんですけれども、基本的には上流部から堆積が進むというのが特徴なんです。
 堆砂容量内にお行儀よく堆砂が進めば、堆砂量によってダムの寿命の長い短いは左右されるものの、ダムの能力に影響はないわけです。ところが、ダム湖上流部にたまってしまう堆砂は、水を抜いたりためたりする洪水調整能力を食っていくわけで、ダムの命ともいうべきこの洪水調整能力が年々低下すると、こういう結果となります。そして、ダムゲートの操作というのは、ダムへの流入量、そして放流量を計算して、これ、非常にきめ細やかなルールをつくって決めているわけですが、堆砂によりダム容量が小さくなっていくと、もっとたまるはずがどんどんいっぱいになってきたよと、こういうふうにダム操作を狂わせることにもつながる大変重大な問題だと考えております。
 そこで、1点目の質問は、ダムの堆砂状況についての認識です。
 今、データを示しました県営ダムに加えて、県内には発電用ダムもあります。また、和歌山、奈良、三重、3県にまたがる熊野川流域には多くのダムがありますが、これら電力会社が管理するダムにも多くの土砂が流入し、影響が出ていると聞きます。
 県として、和歌山県内のダム並びに熊野川流域のダムの堆砂状況をどう考えているのか、今日の時点に立っての認識をお示しいただきたいと思います。
 第2点目の質問は、防災対策と台風災害という2つの側面からの対策についてです。
 まずは、防災対策です。
 先ほどから指摘したように、ダム堆砂をこのまま放置すれば治水能力は低下する一方です。ダム堆砂を放置するのではなく、治水能力の維持、長寿命化へと県の対応を切りかえる、そういう政策判断が必要な時期に来ているんではないでしょうか。防災対策として、今後、ダム堆砂の進行を抑えるよう、ダム湖上流端でのしゅんせつなどの手だてをすべきだと考えます。
 ダム堆砂を抑えるという点で皆さんに御注目いただきたいのは、先ほどの堆砂率のグラフ、1つだけ堆砂率の伸びが抑制されているダムがあります。このブルーの古座川の七川ダムです。このダムは、洪水被害に悩まされてきた歴史を持つだけに、ダム建設約10年後から毎年県が予算をつけて、十分な量ではありませんが、ダム湖上流端で土砂撤去を続けてきたんです。この努力が、ダム堆砂に歯どめをかけている効果として実際にあらわれています。しかし、県営ダムの中でこれを事業化できているのは七川ダムだけです。ぜひほかのダムでも事業化をすべきではないでしょうか。
 そして、もう1つの側面は、台風12号災害です。この甚大な災害により、一気に、そして膨大な量の堆砂が進みました。これに対する対策は、通常の河川やダムの維持管理の予算枠組みでは追いつかない問題です。熊野川流域のダムで急激な堆砂に見舞われたところでは、電力事業者も、通常の堆砂進行についてはダム管理者として対応したいが、災害によりもたらされた激増分については、国、県に対して支援を求めていきたいとの要望の声を上げていると報道されています。県としても、甚大な災害による急激な堆砂対策については、国に対しても強く働きかけて、特別な手だてを講じることが必要ではないでしょうか。
 今申し上げました防災対策とともに、台風12号災害による堆砂量増大対策を求めるものですが、答弁を願います。
 3点目の質問は、ダム湖そのものより上流部に位置する河川の堆積土砂撤去について伺います。
 ダム湖上流部では、流速の低下による土砂堆積が進む傾向があります。いわゆるバックウオーターと呼ばれるエリアの問題です。ここにたまった土砂は河床を上げ、ダムより上流部でも洪水被害をもたらす要因となります。有田川でいえば、清水橋付近では、湯川川との合流部に当たることもあり、一部の橋脚が半分隠れるほどに土砂がたまっています。これらの土砂は、次の洪水でダム湖に押し流されてダム堆砂となる予備軍です。ダム堆砂を抑制するためにも、ダム湖上流部河川の堆積土砂撤去にどう取り組んでいくのか、お答え願います。
 以上、3点の質問に県土整備部長より御答弁を願います。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) ダムの堆砂状況についてでございますが、県営の多目的ダムでは、あらかじめ100年分の計画堆砂容量を確保しており、計画堆砂容量に対する堆砂率は、平成23年度末時点で、二川ダムでは約72%、椿山ダムでは約60%、広川ダムでは約40%、七川ダムは約55%となっております。また、関西電力や電源開発の利水ダムにつきましても、昨年の台風12号等による出水で堆砂量が増加したダムがあると聞いております。
 現在の県営ダムの堆砂状況につきましては、緊急に対策を施さなければならない状態ではないと考えておりますが、毎年の調査結果を踏まえ、対策が必要となれば、その時点で対応していきたいと考えております。
 次に、防災対策と台風12号災害による堆砂量増大対策についてでございますが、ダム堆砂の進行抑制については、長期的なダム運用の観点から今後取り組むべき課題と認識しております。ダムの堆砂の進行抑制の方法や台風12号のような大規模洪水による堆砂への対策について、全国的な事例なども参考にしつつ、国とも相談しながら今後研究してまいりたいと考えております。
 次に、ダム湖上流部河川の堆積土砂撤去についてでございますが、ダム湖上流の河川の堆積土砂を撤去することは、ダム貯水池への土砂の流入量を減少させ、堆砂量の増加を抑制する働きがあるものと考えております。その他の手法としては、貯砂ダムや排砂バイパスなどがありますが、今後のダムの堆砂状況を見ながら、効率的、効果的な方法について研究してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、緊急に対策とまではいっていないという認識だけれども、ダムの堆砂進行を抑制することは研究していきたいという答弁だったと思います。また、ダム上流部の河川堆積土砂の撤去も効果ありとの認識を示されました。直ちに問題はないとでもいうような認識はまだまだ残念ではありますが、ダムの堆砂問題、対策を研究していくとの答弁は、これまでの答弁よりも一歩進んだものとして歓迎するものです。
 国とも相談しながらというお話もありました。国への働きかけということがあるので、知事に、この問題、再質問をしたいというふうに思います。
 この問題は、ダムの抱える隠れた維持管理のコストであって、ダム管理者の頭を悩ませてる全国的な問題ですね。今回は、通常ベースの維持管理の転換を求めると同時に、台風の激甚な災害には特別の対応を、私、質問で求めたわけです。今回、ダム堆砂の急激な増加グラフをごらんになっていかがだったでしょうか。
 国のほうは、通常の維持管理としての堆砂対策も、また台風災害による堆砂対策も、県営ダムの管理だから県でやりなさい、国の補助事業の対象外ですよと言っているんです。堆砂堰堤など新たな構造物をつくるハード物は補助対象だけども、堆砂の土砂撤去は対象外だという理屈なんですね。私は、この理屈をそのままにしておいてはだめだと思うんです。この問題、先ほども申し上げましたように、他県でも、また電力事業者も悩んでる問題ですから、共同歩調で取り組める課題だと思います。
 また、先般、河川の土砂撤去では、今議会の補正予算にあるように、追加で国の事業化をしていただきました。ダムへの堆砂対策もこうした国の災害対策事業の対象にするように、政治的課題、政策的課題として、しっかり知事としても国に迫っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの議論につきましては、本県の問題だけではなくて、実は災害関係で国に例えば助けを求められないのが幾つかあります。
 例えば、堤防があって、堤防が壊れて川が荒れたと、これは堤防を直すお金が対象になるんですが、実は堤防のないところがあります。自然に例えば岩場なんかで川が堤防の役目をしてたんだけど、そこがぼかんと壊れて、それでえらいことになったというようなところは、実は災害復旧の対象にならないんですね。そういうこともありますので、この土砂の流れによる、ある意味では悪影響というのが、災害の問題だから国が面倒見て助けてくれというのは、ちょっと難しかろうとは思います。
 ただ、先ほどの話も絶対に正しいことかどうかというのはまた別の話なんで、大きな視野に立っていろいろ議論をしていかないといけない問題かなというふうに思うんです。ただ、そのときに、困ったら何でも国に助けてくれというのは、やっぱり我が地方自治の観点からすれば、これもまた少しやり過ぎは問題ということもございますので、その辺、全体を見ながら考えていかなきゃいかんと。問題意識としては我々も十分前から持っておりますので、この問題を長く放置することはできないということは申し上げられると思います。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 ぜひ部長答弁、そして知事答弁を踏まえて、しっかりと今後とも研究、働きかけを行っていただきたいと思います。
 それでは、次の教育問題のほうに移らせていただきます。
 教育問題で、以下3点、お尋ねをいたします。
 先日、海南高校下津分校と南紀高校周参見分校の募集停止の発表がされましたが、私は大変残念なことだと考えています。県教委の再編計画では、入学者数が2年連続で定員の2割を下回った場合に募集停止をするという基準を示してきて、今回その適用がされたわけです。
 私たち共産党県議団は、この両校関係者を初め、定時制・通信制教育にかかわる関係者の皆様に、現状や御意見、御要望を伺ってきました。
 海南高校下津分校は、分校存続の危機となった20数年前、当時社会問題となってきた登校拒否、不登校の子供たちに対する取り組みを始められました。当時、全日制高校では、中学校でほとんど出席をしてない子供はなかなかとってもらえませんでした。そんな中で、少人数での条件を生かし、教職員が1人1人の生徒としっかり向き合い、また父母の会などを組織し、父母と教職員がしっかりと手をつないで不登校問題などに取り組む先進的な役割を果たされたと考えております。
 また、南紀高校周参見分校は、再編計画での存亡の危機に際して、地元自治体、地域やOBの皆さんが地域の学校として見守り、協力を惜しまずに大事にしてきた歴史があります。また、近年は、不登校を経験してきた生徒がほとんどを占める中で、じっくりと教師との対人関係をつくり、生徒が見違えるような成長を遂げておられるとお聞きいたしました。
 このように、不登校や発達障害、対人関係などさまざまな課題を抱えた子供たちなど、少人数の中でこそ学び直しのできる生徒もいるんです。こうした課題を持つ生徒たちがよりどころとした学習の場を、これからどう保障していくのでしょうか。また、この2校がこれまで果たしてきた役割と歴史について、県教委としてどう認識しておられるのか、御答弁を願いたいと思います。
 次に、県内定時制・通信制高校の現状と課題について伺います。
 募集停止が発表された2校に限らず、県内の定時制・通信制高校はどういう現状でしょうか。
 きのくに青雲高校には、平成4年に設置された昼間定時制のクラスが2クラスあるんですが、募集定員70名に対して約1.5倍の受験者があるというふうに聞いております。また、きのくに青雲高校──陵雲高校ですね──の通信制課程では1400人を超える学生数があるということを初めて知って、私も認識を新たにいたしました。そして、どちらも中学校から直接入学する生徒がふえているということを説明いただいて、学習や対人関係の助走として、緩やかなステップとして定時制・通信制高校を選択、希望する生徒もふえてきてると考えています。
 県教委として、定時制・通信制高校の現状と今日的な課題をどう考えているのか、御答弁いただきたいと思います。
 そして、3点目の質問として、定時制・通信制教育の充実について伺います。
 私は、定時制・通信制課程に学ぶ子供たちが、さまざまな課題や経済的な困難を抱えながら懸命に学校生活を送っていると思います。父母や地域、関係者からは、こうした定時制・通信制教育の条件整備を求めるさまざまな要望が出されているとお聞きしてます。
 受験者数が多い、先ほど紹介いたしました昼間定時制、これの設置や募集拡大を求める声があります。また、通信制高校でのスクーリングがあるわけですが、年度の当初は70名、80名とかで体育の授業をしたり、教室でも立ち見が出ると、こういう状況だそうですが、こうした学習環境の改善を求める声があります。こういった声にぜひこたえて、教育条件の充実を進めていただきたいと求めるものです。
 県教委としては、この定時制・通信制教育の充実をどう図っていこうとしておられるのか、以上3点について、教育長から答弁を願いたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育問題にかかわって、3点についてお答えしたいと思います。
 海南高等学校下津分校と南紀高等学校周参見分校は、地域や卒業生に支えられた定時制課程として、中学校時に不登校であった生徒や他の高等学校から転入学してきた生徒等に対し、少人数できめ細かな対応を行うなど学び直しのできる教育の場として成果を上げてきたと認識しております。今後は、これらの教育実践を本校定時制課程に生かしていくよう努めるとともに、一層充実した教育活動の展開に取り組んでまいります。
 高等学校の定時制・通信制課程は、勤労青少年に対する教育の機会均等を保障するため設けられてきた制度であります。しかし、現在では、全日制課程からの転入学・編入学生徒や過去に高校教育を受けることができなかった方、特別な支援を必要とする生徒など、多様な入学動機や学習歴を持った生徒がふえてきており、こうした個々の学習ニーズに対する、きめ細かで、より適切な指導の充実が課題となっております。
 そのため各学校では、学校外における学習等の単位認定や柔軟な教育課程の編成を行うなど、特色ある教育活動を推進するとともに、卒業後も社会で生きていく力を身につけられるような取り組みを行っているところです。
 また、定時制・通信制教育のさらなる充実のため、本年4月に青陵高等学校と陵雲高等学校の統合校として、和歌山市にきのくに青雲高等学校を開校し、かつらぎ町の紀の川高等学校、田辺市の南紀高等学校とあわせて、3校を拠点とする教育体制を整えました。この3校については、定時制課程と通信制課程を持ち、夜間コースに加え昼間コースも開設しており、県内の定時制・通信制教育の核と位置づけております。
 県教育委員会といたしましては、この3つの学校を中心として、近隣の全日制高等学校に併設する定時制課程6校をサポートするとともに、多様なニーズにこたえられるような魅力ある学校づくりを推進してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 教育長から御答弁をいただきました。
 定時制・通信制教育は、ある意味、現代社会の矛盾の最前線で頑張っておられると思います。そこには、人を育てる、人格形成という教育の本質が問われている営みがあると思います。
 募集停止を発表された2校については、これから先どうしていくのかという中身は、これから相談していかなければならないことも多々あると思います。募集停止はするが、3年間は学校自体が存続ということですが、教員の配置の問題や生徒が留年した場合の対応など、子供の立場に立って、しっかりと学校現場とともに考えていっていただきたい。そして、県内の定時制・通信制教育の充実に一層力を入れていただきますよう、重ねて強く要望しておきたいと思います。
 それでは、最後の柱といたしまして、今議会に上程されました情報公開条例改正案について質問をさせていただきます。この質問については、一問一答方式で答弁をお願いしたいと思います。
 まず、この情報公開条例の改正を議論する前提として、和歌山県の情報公開の状況について認識を伺います。県は、その現状と到達点をどう考えておられるのでしょうか。
 発表された全国情報公開度調査、こういったものの結果などを見ると、和歌山県内の情報公開度はまだまだ低いわけですね。県として、県内市町村を引っ張っていく、牽引していく役割を果たしながら一層の情報公開を前向きに進めるべきであり、現状はそのまだまだ途上だと考えますが、現在の状況をどう考えておられますか、総務部長の答弁を求めます。
○副議長(浅井修一郎君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 本県の情報公開の状況につきましては、平成23年度の開示件数は1万2787件であり、平成14年度と比較して8倍に増加しております。
 また、他府県と比較した場合、一昨年の数値で人口1万人当たりの開示請求件数は97.9件でありまして、これは全国平均の3.2倍になっており、情報公開制度は県民の間に着実に定着してきたものと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 私のほうは、その情報公開度調査における和歌山県の位置、まだまだ中身の上で低いんじゃないかとも指摘をしたわけですが、情報公開は一定の軌道に乗ってきたという部長の答弁、評価だったというふうに思います。
 私は、その点でもまだまだこれからだと思うんですね。情報開示の数も、2006年の1万6000件をピークに、1万1000、1万、8000、1万、そして1万3000件と、実際はまだまだ伸び悩んでいると、全体の情報開示できる文書数から見ればまだまだ一部だというふうに思っています。もっともっとこの和歌山県のすぐれた情報公開条例の精神が生かされて、行政としての説明責任を発揮していくことが求められていると言わなければなりません。
 それゆえに、今回の改正案が積極的な改正の中身なのか、消極的な改正なのか、これが問われてくると思います。
 そこで、2つ目の質問、条例改正案の背景と目的についてお伺いをしたいと思います。
 今答弁されたような認識のもとで今回の改正案が提案されてるわけですが、閲覧手数料の導入など、今回のこの改正案はどういう背景と目的を持ったものなのでしょうか。そして、この改正によってその目的が本当に達成できるものなのでしょうか、総務部長の答弁を求めます。
○副議長(浅井修一郎君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) まず、本県の情報開示の請求の現状を見てみますと、知りたい情報がいかなる公文書に含まれているのかわからずに、結果的に迂遠な開示請求が行われておりますケースや、また、閲覧が無料であることを突いた、いわゆる不適正な請求が発生しております。
 今回の制度改正につきましては、こうした無駄に費やしている行政コストを低減させることを目的としておりまして、情報公開相談員を本庁各課室や振興局各部に置くなど、県民が必要とする情報を一層容易かつ迅速に得られるようにするものであります。
 また、条例改正案につきましては、一連の開示作業のうち、ごく一部に係るコストであります閲覧費用を有料化することにしておりますが、この背景には、閲覧が無料であることに起因する不適正な請求により、開示文書の特定や非開示情報の選別など、開示作業に職員が多大な時間を要している実態がございます。こうした職員の人件費等、情報公開の大半の業務に要するコストは、すべて税金で賄われておりますので、閲覧の有料化により不適正な開示請求を抑止できれば、県民負担の低減につながるものであると考えております。
 さらには、準備作業をしたにもかかわらず閲覧や写しの交付に来庁しない場合に、開示したものとして手続を終了させるみなし開示制度や、超大量請求の場合、事前に一定額を納めていただいた上で開示準備を進める予納制度を導入することとしておりますが、これらの措置は、不適正な開示請求を抑止する効果が期待されるものの、通常の開示請求には何ら影響を及ぼすものではございません。
 したがいまして、今回の改正につきましては、県民の利便性の向上を図るものの、知る権利を抑制したり損なうものではないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 条例改正案の背景と目的について御答弁いただいたわけですが、今回の条例改正に向けての和歌山県情報公開制度懇話会、この議事録、私も見せていただきました。これを見てみますと、県当局のほうから、今もお話のあった不適切な開示請求、無料であるということを悪用したような開示請求への対応などを検討してほしい、こういう旨の問題提起が、まずやっぱり県のほうからされてると思うんですね。
 情報開示が進むための今おっしゃられた情報公開相談員、そういったものの配置などはどんどん工夫をして進めていくべきだという問題ですが、この閲覧手数料を無料から有料化するというのが、今回の改正案の中で県として一番の眼目であったし、社会的に今注目されている問題だというふうに思うんですね。
 この県当局からの提案に対して、この懇話会では、1回目、2回目の懇話会でも、委員の方々から、この閲覧手数料の導入については反対や慎重な意見が数多く実は出されております。例えば、閲覧手数料を徴収しているのが東京都と香川県しかない、そのような状況でなぜ徴収するのかという理由を県民にしっかり説明できなければならない、また、知る権利との関係から手数料を徴収することには抵抗がある、こういった意見が出されているわけですね。
 都道府県レベルでは、東京都と香川県だけ。静岡など以前徴収していたところが無料化になってきた流れの中で、2都県に減ってきたのが現状です。国の情報公開法でも、今、手数料を原則無料化とする法改正案が閣議決定されて国会に上程されています。こういう情報開示をもっと積極的に前に進めていこうという時代の流れ、方向性から見れば、この和歌山県がやろうとしていることは逆であり、後ろ向きなんですね。
 手数料有料化でその目的が達成できるのか。私にはそう思えません。次の質問で具体的にただしてみたいと思います。
 3つ目は、その不適正な開示請求対策についてということで質問をいたします。
 背景、目的の中で、本来の目的から外れた開示請求が見受けられるんだと、これが頭痛の種なんだという説明がありました。これは、当初県が「不適正な開示請求」と呼んでいたものです。開示請求したのに受け取りに来なかったり、膨大な量の閲覧を求めながら用意した資料にほとんど目を通さずに帰ったりするケース、こんなことを説明されていますが、これらは情報公開以外の目的で行われているものだと私も思います。いわゆるクレーマー的なものです。
 これに対しては、情報公開に限らず、自治体全体で対応するクレーマー対策であり、昨年度も民法の権利濫用に当たるといってこの開示を拒否していますが、そういう別途の対策をすればよい問題なんです。大体そんな不適正な請求は、年間の1万数千件ある請求のうちどれぐらいになるのか。県の資料によると、昨年度はそういう対応をしたのはたった1件なんですね。
 こうしたクレーマー対策は、手数料を導入すれば解決するという問題ではないと思います。そういう請求者は、手数料を求めたからといってやめませんし、逆に手数料の管理のために職員の仕事をふやすようなもんです。手数料を請求しても不適正な請求問題は解決しないんじゃないですか。それに第一、こうしたごく一部の不適正な問題を理由に、全体の適正な請求者にコスト負担をかけるのは、理由にならないのではないですか、いかがでしょうか。
 いわゆる不適正な開示請求対策についての総務部長の答弁を求めます。
○副議長(浅井修一郎君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 本県ではごく一部でございますが、全振興局にわたる閲覧請求や過去数10年分の書類の閲覧請求など、県に害意があると判断せざるを得ないような不適正な開示請求に対しては、議員は昨年1件ということで御指摘ありましたけども、一般法理の権利濫用の禁止を当てはめて非開示決定することとしております。
 これは、もう明らかに害意があるという場合ですので、非開示決定をするというのは、やはり非開示決定ですから一定の慎重さが求められると思いますので、そういう意味で、もう明確に害意があるような場合は非開示決定ということで対応さしていただいておるんですが、そこに至らなくても、閲覧が無料であることによって、害意があるとまでは言えないけども不適正な請求というのはございますので、こういうものに対して、今回の条例案で対応しようとするものでございます。
 今回の改正につきましては、議員発言のいわゆるクレーマー対策を理由に全体の請求者にコスト負担を求めるというものではなくて、先ほどからお答えしておりますように、相対的には県民のコスト負担の低減と利便性の向上をあわせて図られる改正であると考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 クレーマー対策という点に限れば、考えは一致いたしました。県は、そうしたごく一部のむちゃな請求も1つの理由にして、手数料導入というトーンでずっと会議を始めたわけですけれども、それは効果がないということになったんだと思うんです。ということで、閲覧無料を悪用した悪意を持った請求は、手数料導入ということの目的というか、抑止効果というふうなことを先ほどおっしゃいましたけども、直接の目的にならない、手段にならないとすれば、残るはやはりコスト問題というふうになってくると思うんですね。
 そこで最後に、知る権利の保障とコスト問題ということで知事に質問をさせていただきたいと思います。
 県が今回持ち出しているコスト問題というのは、これ、大変筋が悪いんですね。県民にもコスト意識を持ってもらうべきだとか、閲覧についても写しの交付と余り変わらないぐらいの手間とコストがかかっていると、このことを理由に閲覧手数料の導入をしようとされています。
 しかし、県としても相当なコストがかかってるんだから、やたらと請求しないでくれと、こういう姿勢にとられませんか。コスト問題を理由に閲覧手数料を求めるのは、知る権利の保障という点からは逆行ではないでしょうか。
 前回、2001年の条例改正のときに設置されました県の情報公開推進懇話会、こちらからも提言をいただいておりますが、これを改めて読ませていただきました。この提言には、受益者負担として手数料を徴収すべきであるという論があるというふうにしながらも、県民に与えられた権利行使にかかわるものであって、実施機関である県は県民に対しての説明責任があるということから、情報公開制度の実施に伴うコストは民主主義の必要なコストと考えるべきだ、現行条例を変更すべきではない、受益者負担論はなじまないという結論をつけたんだと理解しております。この結論を否定されるんでしょうか。
 また、もう1つ、いわゆるコストということを考えるんであれば、情報開示を求める側も、そしてまた準備し提供する行政側も、もっと利用しやすいシステムにすることが、手間をかけない、コストも時間もかけないということになります。そのために、開示ルールの見直しや検索、開示の技術的な改善も図るべきではないでしょうか。
 部長、さっきおっしゃったように、どこにどんな文書がどれだけの分量であるかと、こういう整理、分類をしっかりして請求者にきっちりと情報提供できることがまず必要です。それができないから、なかなか難しいやりとりがあるんだと思うんですね。
 交付の際も、紙ベースの公文書は紙でないと交付できない、今こういうルールになってますけども、CD-Rに焼けば、何10万円ものコピー代が要るような分量のものが1枚70円の手数料でおさまるわけです。デジタル技術の活用もして、開示また交付のための負担軽減こそやるべきだと思いますね。職員の御苦労や行政コストの問題は、軽減のための努力と工夫こそが求められる問題であっても、料金導入のための理由にするべきではないというふうに考えます。
 県の情報公開条例が掲げる知る権利を保障するため、よりスムーズな情報開示、負担軽減こそ進めていくべきではないでしょうか。知る権利とコスト問題について、知事の御所見を伺います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 情報公開制度は、県民の知る権利を尊重し、県が保有する情報を広く公開することによりまして、県が県民に説明する責任を全うするという目的であると理解しております。
 一方、情報公開法あるいは情報公開条例があるからといって、個人情報保護の尊重を初め、さまざまな法益も同様に大事にしなければなりません。
 そういたしますと、私はどちらかというとそういうのは好きですが、何でも見てくれといって、どうぞ御自由にというふうにいたしますと、ある人が明らかにしたくないということも役所の資料の中にはたくさん入っておりますから、そういう問題も勝手に見てくれとは言えないわけであります。
 そうすると、マスキングとか何かいうんですけども、1つ1つの書類を見て、それでここは隠すと、ここは見せちゃいけないけども、残りの趣旨のところは別に構わんというようなことを一々判断して、それ自体が問われるんですけど、そういうことをやっていかないといけないわけであります。そうすると、実はこのマスキングとか1個1個のより分けとか、そういうことに大変な労力が要りまして、貴重な県庁の職員はそういうことをやらないといけないわけです。
 これが仮に、まあとりあえず知る権利だからといって、どばっと物すごく大きな情報量のあるものを請求されたといたします。そうすると、それにこたえるためには、物すごくたくさんの貴重な県庁の職員を使ってマスキングをして、それで資料を用意しないといけないわけであります。そういうことをすると、県庁の職員というのは県民の税金でもって基本的には養われているわけです。県民にとって貴重な資産なわけですね。そうすると、少しそこに問題が生じてはいないかというのがこの問題点なんです。
 そうすると、やっぱりたくさんの不合理な要求をするとコストもかかりますよというインセンティブをその請求者に課して、そして不合理な要求を抑え、正当な要求だけに限ってもらおうというふうに自発的に判断していただくというのが、私たちは一番望ましい姿じゃないかと、そういうふうに思った次第でございます。
 先ほど聞いておりましたら、クレーマー対策と言われました。だけど、これはクレーマー対策ではありません。なぜならば、だれがクレーマーでだれが正当な要求者だということを、果たして県庁の職員が今の目的を達成するためにかなりの権限を持って判断していいのかというようなことについて、我々は大いに慎重でなきゃいけないと思います。現に起こっている大量の請求は、実は請求してるほうの人からすれば大まじめで、それを争おうということのために情報を集めてるわけです。ただ、どこからどこまでというのが余りにも過大で、だれが見てもちょっと不合理なんじゃないですかというようなことを本当は言わないといけない、そういうことだと思います。
 したがって、こういう不合理を抑えるためには、松坂議員がひょっとしたら推奨したかもしれないようなクレーマー対策として我々に判断権を与えるか、あるいは自発的に料金がかかるぞというインセンティブをつけて判断をしていただくか、どちらかの選択が多分必要だろう。我々は、後者を選びました。なぜならば思想統制はしたくない、そういうことであります。
 一方、わからないから多くのものを要求しておくという方々もいらっしゃいます。それはそれで、あんまり合理的なことではないわけです。
 しからばどうしたらいいかというと、そこで我々が考えたのは、情報公開相談員というのをきちっとつくって、あなたが要求しようとしてるのはこういうことじゃないですかということを御納得いただいて、そしてその上で請求していただければ、相談のところは無料ですから、マスキングのところに不必要な人手をかける必要がない、そういうことになるわけであります。そういうことで、我々はあの制度を考えました。
 先ほど松坂議員が、もっと利用しやすい開示ルールをつくったらいいじゃないか、検索制度をつくったらいいじゃないか、まさにそのとおりでありまして、情報公開相談員を設けて便宜を図ろうというのもそういう趣旨でありますし、開示手続のワンストップ化も同時にやりたいと思ってます。それから、情報開示手続の簡略化、これは他条例との関係で、実はコピーをするときは全部情報公開請求にしなきゃいけないというような不合理があるので、そういう点はきちんとするというようなこともあわせて解決をしようとしてるわけです。
 したがって、我々は、松坂議員がおっしゃったような県民の知る権利を侵したり逆行する、そういうような目的で県の条例を改正するという提案をしてるわけでは全くありません。むしろそれを助けようと、それをというか、知る権利を正当に行使していただくことを助けようというがために、以上のような提案をしているわけであります。
 なお、先ほど電子媒体の話がありましたが、電子媒体でも同じことであります。すなわち、1つ1つの書類のマスキングというのは、電子的にやるか、あるいは書面でやるか、書面でやったものを今度はCD-Rに焼くか、いろいろな形がありますが、どうしても必要になってまいります。だから、電子的にできればただじゃないかというような話は、全く本質の違う議論であります。
 さらに、情報公開度調査で和歌山県がいまいちだと言われましたけれども、だれがやった調査であるか、どのような基準でそういうものを評価してるかということについて、やっぱり議論をしてみる必要があると思います。したがって、私としては、成績が悪いと言われてることについて、全部について文句があるわけではありませんが、誤った基準について誤った評価をされるなどとんでもないと言わざるを得ません。
 一例を挙げます。私は、知事になってから、自分の行動について、例えばだれと食事をしたとか、そういうことも含めて、すべての交際を全部公表しております。ただし、前知事は、知事の交際費を公表しておりました。交際費を公表するということはどういうことかというと、例えば県で公費を使ってだれかに飲食の提供をするとき、交際費ではありません。これは、食糧費という名目で支出されます。そういうことを隠して、そして交際費を公表するというほうが情報公開の制度に資するか、あるいはすべての行動について全部明らかにするほうが資するか、どちらがいいかというと、この調査によると、私のやった改善は全く点が悪くなる結果になるのであります。
 このように、ちゃんと中身を議論していただく良識を持っていただく必要があると思いますが、賢明なる和歌山県議会はきっと理解していただけると、そのように信じております。
○副議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事は、情報公開度調査が随分気に入らないようで、そこら辺を随分長く御答弁をいただいたんですが、私は、このコスト問題、非常にもう少しやりとりしなきゃいけないなと思ったんです。というのは、知事の答弁聞いてますと、どうにもこの情報公開というのが、本来の県の業務に支障があるから何とかしなきゃいけないんだというようなトーンであったりとか、──適正であるかないかと考えるのは難しいんだというのは、もちろん知事のおっしゃるとおりです。
 和歌山の情報公開条例は、何人たりとも、その目的がいかなるものであっても公開するんだというのを原則にしている非常に積極的な条例だというふうに思っております。ですから、そういう制限をしようとする改正ではなくて、もっともっと情報公開に資する条例にするべきだと私は思っているわけで、知事は、お金を出すか出さないかでその請求が正当かどうかというふうに受け取れるような答弁だったと僕は思うんですよ。正当であると思うんだったらお金出して請求すればいいじゃないかということにつながるようなお話だったと思うので、僕はそれは違うというふうに思うんです。
 それで、一番、県の行政が情報開示するためのマスキングとか、そういう作業が大変で、その分のコストだと言うんですけども、それは、この県の無料の行政サービスを見直す一環なのかというふうな疑問も、実は県の情報公開制度懇話会の委員さんの意見の中でも出されました。まさに、行政の責務とか行政のサービスの基本に実はかかわる問題だと思うんです。
 受益者負担と言うなら、例えば各種の相談窓口ですね。先ほどあった情報の相談でもそうですけども、福祉や医療、また就職相談、企業への経営相談や県が出かけていくアドバイスもあるでしょう。利用する人としない人があるから不公平だ、お金を取ろうということになりますか。ならないと思うんです。この行政サービスが行政としての仕事そのものだからこそ、無料でしているわけです。また、情報公開は、県としての説明責任を果たすという、こういう責務として開示請求にこたえてるわけですから、なおさらだというふうに思うんですね。だから、そういう役務の対価を求めるのとは私は違うと思うんですが、いかがでしょうか。
 それから、もう1つ、県の懇話会の議事録を追ってみますと、閲覧手数料導入にはずっと否定的、第2回目、第3回目ともに否定的、慎重意見が随分出されていたにもかかわらず、やっぱり県の側から、こんなに手間と暇とコストがかかってるんですと、開示請求の中には企業、法人による商業目的だとか営利目的が多いので、手数料を取っても県民の理解が得られますとか、経済的弱者の減免で知る権利の問題もクリアできますというような、こういう、かなり県がプッシュをして、無理して懇話会の議論を押し切ったという印象を私は持っています。それほど多額でないならばと、手数料が高くないならばと納得をいただいたという印象なんですね。
 開示請求自体を請求者の受益、利益だというふうにとらえるのか、それとも行政の透明性を保つためにしっかり見てもらおうと、それが県の利益、県民全体の利益になっていく、そういうふうにとらえるのか、ここの考え方の私は違いだと思うんですね。
 県に手続をして審査をしてもらうという、例えばそういう手数料ですとか、免許申請をして交付してもらう手数料を払うとか、そういう一定の必要な役務に対する利益、受益に対する手数料とか利用料とかというものと、私は根本的に違うのではないかと思いますが、いかがでしょうか、知事の答弁を求めます。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 松坂議員の今のお話で、ちょっと誤解が多分あると思いますので、訂正をしておきます。
 私は、情報公開の仕事が県の本来の仕事ではないと一言も言っておりません。まず、これも大事な仕事であって、情報公開相談員というのは、担当の部局の人が、県の職員がきちっとやるべき仕事だと、そういうふうに思ってる次第でございます。
 それから、正当な要求ならお金を出せばよいと、そういうふうに思ってないかというふうに言われましたけれども、そんなこと言うた覚えはありません。というのは、私が申しましたのは、一定の料金を取ることによって、結果として不合理な請求を抑制するということができれば、それにこしたことはないというふうな効果をねらいましたということを申し上げたんです。
 というのは、初めに要求を出された方は、クレーマーでなければ、それが正当な要求と自分で思ってお出しになると思います。しかし、それに対してコストもかかるよということになれば、じゃ、どうしようかとお考えになるでしょう。そのときに、情報公開相談員などの者どもがちゃんとオリエンテーションしてアドバイスすれば、ああ、そうかといって納得されれば、それで結果として不合理な請求が抑制されるんですね。こういう料金がなければ、いや、それでも同じだから出しちゃおうということを言われる可能性もあるということの効果だけなんです。
 そういうことでございますが、あえて申し上げますならば、もうどういうことを言うても私は出すんだというときはお金をお出しになるでしょうけど、大抵の方は、御納得いただければ、費用が少なくなって目的を達成するような形の合理的な要求にうまくされるだろうと、こういうことを期待してるわけでございます。
 それから、利用する人、利用しない人に不公平が生ずるという、私も読ましていただきましたけども、報告書の一文を引いて言われましたが、私はその表現について別にサポートしておりません。情報公開を利用する人と、それから情報公開を利用しない人を比べるのは変だと私も思っております。比べる必要はなくて、利用する人の権利をきちんと保障すればよい。
 ただ、その保障するやり方が、料金を取っても、それが合理的な請求をしていただけるようなほうへうまく導けるだろうということのテクニックとして、そういうことをやってるわけで、一方では、情報公開について、むしろ積極的に進めるような手だてを大いに加えて、そして情報公開の制度をより健全な、かつ堅固なものにするというのが私たちの考えでございます。
○副議長(浅井修一郎君) この際、申し上げます。
 所定の時間まで残りわずかであります。質問及び答弁は簡潔にお願いいたします。
 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から答弁をいただきました。料金を取ることで、そういう無料だからという数の多い申請を抑制できればということをまたおっしゃいましたけども、それを抑制する一方で、そのことが県民の普通の請求を抑制するということに、手数料を取ることがなりはしないかという議論があるわけです。
 いずれにしても、主張はいろいろ違いますけれども、今回のこの条例提案が、知る権利と、それから行政の説明責任、これについてどうなのか、そしてまた今回の利用料を徴収するということが県民の理解や納得を得られるのかということを議会内外でしっかりと議論していきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、松坂英樹君の質問は終了いたしました。(拍手)
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 「暑さ寒さも彼岸まで」、そんな言葉があります。本日は、彼岸の入りであります。朝夕少しずつ涼しくなってまいりましたが、まだまだ暑い日が続いております。秋の香りがすぐそばまでやってきているようであります。
 昨年1年間、皆様方には大変お世話になりました。改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 議長のお許しをいただき、久しぶりの質問をさせていただきます。本日4人目ということで、大変皆さんもお疲れだと思いますが、しばらくの間、おつき合いをいただきたい、そのように思います。また、初めての一問一答であります。間違うこともあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 中国が騒がしいですね。邦人の安全が気にかかるところであります。欧米の企業は中国から撤退を始めたという話を2カ月ほど前、聞いたことがあります。現実かどうかはわかりません。これから中国へ進出をする、そのことに関しては、随分と注意を払って、考えて、状況分析をしなくてはいけないな、そのように思います。本当に命がけです。
 また、昨日までの和歌山県に降った雨であります。9月の雨、警報、こうなると本当に心配になってしまいます。今後も注意を怠らないで気をつけていきたいと思っています。
 本日は、2項目において質問をさせていただきます。簡単に、なるべく簡単に進めたいと思います。
 8月11日、「読売新聞」夕刊1面に「原発4基分 火力建設再開 関電方針 電力不足に備え 和歌山」の文字が大きく躍ります。私は、数社の新聞社よりこの記事について質問を受けました。その時点では、何のことを聞いているのかさっぱり用事はわかりませんでした。後で聞くと、この記事が出たことに対していろんな──これは「読売新聞」なんですが、そのほかの新聞社から、どういうようなことを聞いてますかという質問でありました。
 県議会では、2月議会において関西電力に対する決議書を採択しております。和歌山市議会の決議書とともに、4月の20日、関西電力本社に市議会議長とともに出向き、火力事業本部副事業本部長・執行役員と和歌山火力建設所長とに決議書を手渡してきました。
 そのときの関電側の答弁は、国の議論を待ってとか将来の需給見通しを見据えてなど、差しさわりのない返答であったと感じております。それが何の前触れもなく、議会に対して事前説明もなく、突如として新聞に出る。これが公的な電力会社がとる経営方針なのかと疑問を感じてしまうのは、私だけではないと思います。
 また、新聞には、県議会と市議会が早期建設を申し入れたので、地元同意も得やすいと書かれています。兵庫県の高砂市の火力発電所の件にも触れられています。記事の中には、「和歌山県と協議を始めた」と書いています。当然、知事はこのことを知っていたのですね。また、関西電力が建設再開の方針を固めたことも知っていたのですね。知事に答弁を求めます。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西電力が建設を再開するということは聞いておりませんが、今まで余り動きがなかった関西電力から、この夕刊のちょっと前ぐらいから、こういった場合はどうなりますかというような幾つかの質問が私どもの部局にあるということを聞いておりました。
 そこから、これは私の勝手な期待なんですけれども、あるいは想像なんですが、LNG火力発電所、すなわち和歌山発電所の建設について、従来より関西電力が積極的な態度に変わってきているな、あるいはそうではないかというふうな期待を持ったことも事実であります。
 ただし、和歌山発電所建設の再開について、しつこいようですが、関西電力から何か確定的な通知があって、それに基づき県との間でこの協議が始まったというようなことがあったかと言われると、それはあえてまだと申し上げますが、ありませんというのが事実でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今の、知事は知らないという答弁だったわけなんですが、では知事は、「読売新聞」がでたらめを書いた、そのように考えているととらまえてよいですか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大変お答えしにくいわけでございますが、当時のたしか記者会見か何かで同じことを聞かれて、でたらめであったかというふうには聞かれないですが、「あれは本当ですか」と言われて「少しオーバーではないかな」というふうにお答えした記憶があります。「こういった場合、どうなりますか」ということをいろいろ聞いてきているということは事実なんですが、協議を開始したとか、あるいは再開を決めたとか、ちょっと新聞の表現は忘れましたが、ちょっとオーバーだったんじゃないか、そんなふうに思います。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 なかなか答えにくそうですね。でたらめと言うと問題が出るかもしれませんが、新聞社はこの件をどこで知ったとお考えでしょうかということになってきますよね。出どころはやはり関電ですかね。うなずきにくそうですね。
 知事の今の答弁にもありました定例記者会見では、「決して間違いではないが、ちょっとオーバーかな」と記者の質問に答えておるんですね。ということは、知事は知っていたととらまえていいんですか。御答弁をお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 知っていたというのは何をということでございますが、記事の内容を、あるいは再開を、あるいは正式な協議をということであれば、もちろん知っておりませんでした。知っておったのは、先ほど言いましたように、「こういう場合はどうなりますか」という、例えば立地をするに当たっていろんな手続が要りますが、それを客観的にいろんなことを聞いてこられていますと、急に聞いてこられ始めましたというようなことを聞いていたことは、これはもう事実でございます。
 一番初めに言われたので、これ質問になってるんじゃないかなと思って答えますが、だれから出たかというのは、それはもちろんわかりません。私自身が新聞にリークしたことはございません。部下もないと部下が言うております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 私は、県のほうからこの件は出たとは思っていません。なぜならば、この記事の中に兵庫県の高砂のことまで書かれてるわけですよね。和歌山だけの記事ではないということなんで、これはもう言わずもがな関電がリークしたのかなと思わざるを得ないですよね。
 知事はそれに対して──今ちょっとうなずいておったんですが、もう一度、よろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 1つ、ちょっとこれまた限定をつけて申し上げますと、リークをしたというのは、会社としての戦略があってリークしたのか、だれかがおっちょこちょいでぺろぺろっとしゃべって漏れちゃったのかという議論がありまして、この両方とも全く答えられません。
 ただ、この投資案件について申し上げますと、私も実は経済産業省というところにおりまして、産業界を相手にした直接の責任者でもありました。しかし、一番聞くのが難しいというのは、設備投資、外国も含めて、国内外を含めての設備投資についての意思決定であります。もう1つは合併、あとは人事なんですけども。
 したがって、売った、買った、それから幾らで原料を手当てした云々というのはいろいろどんどん言ってくれるんですけど、設備投資だけは、なかなか正式に聞くと口がかたいというようなことがございますので、先ほど言いましたように、諸般の事情から、「ウーン」といってちょっと期待したり、想像したりしてるというのが私の現在の状況です。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 十分わかります。ただ、この問題、ちょっとまだ続けたいんですが、出どころは関電以外にない、考えられないということと、ちょっと新聞が、先ほど知事が言うたように走り過ぎて書いてあるなというのがあります。──と思います、私も。
 ただ、我々はもっと進んでねと思ってるほうなんで、今後ともまたいろいろと質問することもあるかもわかりませんのでよろしくお願いをいたしますが、この質問を部長のほうに続けていきたいと思います。
 知事は何にも知らん──「何にも」とは言いませんが、少しは話があったんかいなぐらいの答弁やったんですが、部長、知ってたら、知事ほって知ってたよと言うてください。部長、知ってましたか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) お答えいたします。
 記事のことについては知りませんでしたが、先ほど知事からも申し上げましたように、関西電力のほうから建設再開を決定した上での協議はありませんが、「こういった場合はどうなりますか」という幾つかの質問は受けております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 「こういった場合はどうなりますか」、この質問なんですが、ちょっと中身を具体的にお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) お答えいたします。
 環境アセスメントについて再手続が必要なのか、LNG船の大型化が進む中、従前の港湾計画を見直す必要はないかというようなことについて質問を受けております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 そのとき、どのように答えてるんですか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) そういう質問を受けておりまして、現在、県とかのほうで協議、検討をしております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 いろんな質問、相談を受けてるんですが、あくまでもこれは協議じゃないということですね。そのように理解してよろしいですか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 先ほども申し上げたんですけども、関西電力とは、建設再開を決定した上での協議は行っておりません。従来から窓口となっている立地室のほうから相談として受け取っておりまして、ちょっと先ほど申し上げたんですけども、今お互いにいろんなキャッチボールといいますか、これはこうでしょうか、ああでしょうかとお互いにやりとりをしている最中でございます。(「それが協議やしよ」と呼ぶ者あり)
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 後ろのほうから、それが協議やしよという話も飛んできておるんですが、その話をしてる相手側は立地室という話でありますが、それはLNG火力発電所の立地を担当する部署という意味ですか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 立地室は、電源開発について、その計画の段階から建設段階に至るまで、地元関係者の合意形成やとか用地取得等、権利関係の調整などを行ってる部署と聞いております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 その話し合い、ほかの部署も来るらしいですね、ちょろっと聞くと。それだけではないということも聞いておるんですが、それはいつごろから始まってるんですか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 「こういった場合はどうなりますか」といった質問は、7月の下旬にありました。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 7月の下旬というと、記事から考えると、この辺、微妙になってきますね。正式な協議ではないと言うんやけども相談には来てるよと、物すごく微妙なところだと思います。
 これは、商工観光労働部のほうで受けてくれてる、窓口はその中のどちらになるんですか。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 関西電力との窓口は、商工観光労働部産業技術政策課で担当しております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 関西電力が、住金の工場を沖出しするんだということで公有水面を埋め立てたところの分を買い取ったわけですね。で、ここに火力発電所を設置します、やりますという発表があって、平成16年からちょっと待った、ちょっとストップさしてねという話がありました。そこから現在に至っているわけなんですね。
 当然、この建設再開ということになれば、和歌山県に対して何らかのきちっとしたスタートラインに着くことがあると私は考えるんです。電力が余ってるから延期、延期、延期で来てる中で、今この電力の問題があるときにこれを建設するとなれば、きちっと話があると私は思うんですが、関西電力の役員会やら、その他会社の方針などということで、部長のところには何の報告も来てないか、再度質問いたします。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 関西電力のほうからそういった報告は来ておりません。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 なかなか難しいですね。
 じゃ、この問題の最後に知事にお尋ねいたします。県として、関西電力に対して、今後もLNGの火力発電所建設を積極的に要望していくおつもりはあるのかどうか、お聞かせください。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほども申し上げましたように、投資の意思決定というのは、なかなか最後の瞬間でないと正式には通知してくれないもんでございます。したがって、「こら」というのもちょっとなかなか言いにくいんですが、私は県議会の御意向ももちろん踏まえまして、重役さん以上に会ったときは、必ず「はよLNGつくってね」というようなことを申し上げております。
 そういう意味で、従来はちょっと目立った反応なかったんですけども、この今議論されておりますタイミングになっていろんな打診が来てるということは、ちょっと効果が出てきてるのかなと思って、想像ないしは期待をしているということです。
 これで気を許してはいけませんので、今後とも一生懸命説得をして、LNGの火力が和歌山でできますように努力してまいりたいと思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 ぜひとも早急にできることを我々も願っております。せっかくの決議ですんで、よろしくお願いいたします。
 では、2問目に入らせていただきます。
 少しにおいがするかもしれません。トイレの話です。
 私は、小さいころ、余り洋式トイレを利用するほうではありませんでした。あんな頼りないもん気色悪いやろうなという思いがありました。しかし、あれになれてしまうと、人間というのはすごいもんですね。今回、この質問をするに当たって、私のところへ来ていただいた方に「あんたの家、洋式かい、和式かい」と全部聞きました。100%洋式です。
 ところが、今回言いたいのは、それだけ洋式が我々の生活に入り込んでいるにもかかわらず、公共のトイレは和式のほうが多いんではないかという感覚のもとに質問をさせていただきます。
 私なんぞ、今、ひざも腰も悪くなってくると、やはり洋式が大変楽で、もう手放せないもんであります。
 私の友人にこの話を今回しました。こんな質問すんねんと言うと、「わしね」と自慢げに話をし出しました。その人は、「遠くにいてもトイレへ行きたくなれば自分の家まで走って帰ってウォシュレットのあるトイレへ座らんとできないんや」ということを言うてました。実はその人、電気工事屋さんでして、32年前か34年前にこの洋式トイレをある家に初めて設置したんやということをおっしゃってました。「設置したときに、おまえ、どんなんやったんよ」と聞きますと、これが──まあ、ばらしていいんやと思います。納入して、その住まいの人が使わん前に、先、試運転しといた、自分がですね。「おまえ、それはまずいやろ」、「でもね、変な気分やったわ」と言うてるんが、今ではどこにおっても車で走って家まで帰るというような状況であります。
 ここで、学校はどうなんだということであります。幼稚園、小学校、中学校、高校または大学、専門学校、いろいろあります。博物館や美術館、どうですか。ビッグウエーブ、新しいのできました。どんな割合ですか。また、私は、高速道路のサービスエリア、ここはどうなんだろうということも気がかりでした。まちの公衆トイレなんかは、やはり随分とまだまだにおうところが多いですね。近くを通るだけでも大変なにおいがする公衆トイレもあるようです。
 そんなことをいろいろ考えながら、待てよ、このトイレというのは観光客も使うよね、国体に来た人も使うよね、和歌山って、これからこれ大事にならんかな、そんな思いは強くしています。トイレがきれいであれば、美しく、最新設備とまではいかなくても、最低限の設備を備えていれば随分と気分のよくなるもんだと私は思います。公共のトイレは、今、家庭のトイレに追いついていっていないというのが現状だと思います。しかし、これからは追い越していかなければならないのかな、そんなことも思っています。
 そこで、まず実態把握のために現状を教えていただきたいと思います。
 なお、この質問に関しては、大変多くの部署にかかわってきます。国体推進監も危機管理監もと、ずっとやったらもう格好つかんので、教育関係の教育長の部分と、それから公共性の高い県土整備の部門とで答弁をいただけたらありがたいなと、そのように思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育関連施設で状況を把握してる施設について、お答えしたいと思います。
 県立高等学校につきましては、和式トイレが1989個、洋式トイレが619個で、洋式トイレの設置率は23.7%になってます。特別支援学校につきましては、和式トイレが204個、洋式トイレが266個で、洋式トイレの設置率は56.6%になっています。
 また、近代美術館や博物館等の文教施設につきましては、和式トイレが191個、洋式トイレが178個で、洋式トイレの設置率は48.2%になっています。
 私学につきましては、洋式トイレの設置率は、幼稚園では9割、小学校では2割、中学校、高等学校では5割になっていると伺っています。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 和式トイレと洋式トイレの比率の現状についてでございますが、県管理の都市公園では、現在建てかえ中の秋葉山公園県民水泳場を除き、県土整備部所管で和式62%、洋式38%、また県内の道の駅では、和式63%、洋式37%、さらに、西日本高速道路株式会社が管理する県内のサービスエリア、パーキングエリアでは、和式66%、洋式34%となっております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今回、大変皆さんに、いろんなところへ電話をしていただいたり、出向いてくれた方もあるようであります。本当に職員の皆さんには大変な御迷惑をおかけしたんだなということを重々わかった上で、質問を続けていきたいと思います。
 ここで、尾花部長、おもしろいのは、サービスエリア、また道の駅、都市公園、この割合がほとんど一緒なんですね。ということは、ここにトイレ5つつくるとした場合に、じゃあ洋式2つぐらいでええわよという、この感性で全部いってんのかなと思ってしまうわけです。ところが、現実は、現実を考えると、5つのトイレがあれば5つあった4つが洋式でもええんですよ。私はそない思うんです。
 というのは、1つは、私、昔に言われたことがあるんですが、サービスエリアで車いすのおばあちゃんをトイレへ連れていった。和式しかなかったんや。そしたら、おばあちゃん我慢してよと言うて、もう1回車へ乗ったというんですね。それは、障害者のトイレがなくても洋式のトイレがあれば、介護する人があったらそこへ座らすことができる、座ってくれれば大丈夫やということをおっしゃってました。
 また、教育長、あるときにこんな話を聞いたことがあります。子供たちが家で洋式でしかしたことがないのに、学校へ行ったら和式トイレや、これ、ようせん、ようせんと一日我慢をする、我慢することで体調を壊す、また学校が嫌になる、そんなことがありやせんかということも気がかりなんです。
 そこでまず、県の施設ばかりではないんで大変難しいとは思うんですが、市町村やNEXCO西日本も、国の分も含めて、なるべくこれからは洋式トイレを私はふやしてほしいなと思うんですが、部長のお考えをお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 今後も割合は変わらないのかという御質問でございますが、現在、新たに建設中の秋葉山公園県民水泳場では、和式18%、洋式82%の割合となっております。
 今後、他の施設についても、トイレの改修が必要となった際には、利用実態を踏まえ、洋式の割合を検討してまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今のをもう1回整理さしてください。秋葉山の今度の新しいプールですね、今つくっている、これで和式が18%、残りは洋式ということですか。ですね。ということは、個数的にはどんなもんですか。数字をちょっと障害者のも含めて手元にありませんか。私、あるんやけど。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 秋葉山プールの個数でよろしいですか。秋葉山公園県民水泳場につきましては、和式が11個、洋式が42個、身体障害者用が9個、合計62個となっております。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今の数字を足してみると、洋式と障害者のを足してみると51で、和式が11ということだと思います。これは、先ほど私が申し上げた5つあれば4つ洋式でもええよね、1つが和式でというのにほぼ近い数字だと思います。私は、大変この数字を聞いてうれしいです。これからも使い勝手のよいように──それはそうと、尾花さんは和式やったかな、珍しくね──ぜひともお願いしたいと思います。
 教育長にお尋ねをするんですが、担当外の私学まで答弁をしていただきましてすみません。ありがとうございます。やはりまだ洋式が少ないかなというのが素直な感じだと思うんですが、今後このトイレを整備する方法というのは何かありますか。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県教育委員会といたしましても、県立学校及び文教施設においては、建物の新築や建てかえの際はもとより、既存建物の大規模改造時等において、順次トイレの洋式化を図ってきているところです。公立の小・中学校のトイレの洋式化につきましても、文部科学省の補助制度による財政支援を有効に活用しながらトイレの環境整備を推進するよう、設置者である市町村に対しても助言をしてまいる予定です。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 その整備する方法が何らかあるということなんですが、今の現時点で、きょうは数字が出たし、その数字を見た教育長の素直な感じ、どう思ったかというのと、もしトイレに対する保護者からの何か、こんなにしてほしい、あんなにしてほしい、こういうことを直してくれやんのかなというような今まで要望が出てたのなら、それも一緒にお答えをいただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今の状況についての教育長としての感想といいますか、印象ですけれども、県立高校につきましては洋式のトイレの設置割合が23%台ということで、特別支援学校や文教施設と比べ、やはり少ないように思っております。
 本県の公立学校から、トイレの問題で子供が登校拒否になったとか、あるいは体調不良を起こしたというような報告は、現在まだ届いてございません。
○副議長(浅井修一郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 ありがとうございます。
 私、いろんなところへ出向かしていただいて、いろんなホテルへ泊まらしていただいた折に、どこでしたかな、もう全く覚えてないんですが、トイレのドアを開けたらふたがふっとあいたんです。驚いてしまいました。また、別のところで、トイレを立ったときに水がジャーっと流れたんですね。ほんで、ああ、ここまでトイレというのは進化してるんだなということを随分思いました。
 ウォシュレットなんかでも、本当に使っている人はもうやめられないというようなことを言いますが、そこまでの設備は私はまだまだ必要はないんだとは思いますけれども、本当にトイレに気持ちよく行ければ1日爽快だと私は思いますし、まして、和歌山へ行ったらトイレきれいやで、ええトイレやでと言うてもらえるというのは、随分自慢だと思うんですね。
 それも、学校関係の中で、特に子供たちにお金をかけてるよ、我々は子供を育てるのに力を入れてるんだよ、こんなところにも多少無理しながらでも頑張っとるんよというようなもんが目に見えてあればいいと思うんですが、その辺の決意のほどを教育長にお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今の議員の御指摘を真摯に受けとめて、前向きに検討してまいりたいというふうに思います。
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。(拍手)
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時40分散会

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