平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 一般質問は、私で最後となりました。もうしばらくおつき合いいただきたいと思います。
 通告に従いまして質問を行ってまいります。
 まず、電力の安定供給と節電対策について伺います。
 1番目に、安定供給のために何をすべきか。
 目前に横たわる停電という危機に対し政府や電力会社を攻撃するばかりで一向に結論が出ない広域連合委員会や、また、それをあおり計画停電の深刻な影響を伝えないマスコミには任せておけないとの認識で、私たち自民党和歌山県連では、5月21日、関西電力に対して、大飯原発3、4号機の再稼働を促進する要請をしたところであります。
 幸い、その後、広域連合委員会においても、原発廃止を求める橋下市長や影響を心配する京都府、滋賀県両知事が再稼働反対を主張する中で、正論を主張する仁坂知事の御活躍で、とりあえず限定的再稼働ということになり、当面の危機は回避できました。
 しかしながら、依然として電力の安定供給という状況ではなく、国民生活や経済活動の基盤が揺らいでいます。現在、関西電力では、休止していた火力発電所の再稼働を急ピッチで進めていますが、まだ時間もかかる上に、最近は聞かなくなった温暖化や電気料金の高騰という問題があります。ましてや、発電所の建設や自然エネルギーの導入では、当面の危機には間に合いそうもありません。
 電力不足は、ことしの夏だけ越せばよいというものではなく、いつ停電するかわからない後進国並みの電力事情が今後も何年か続きます。
 知事は経済産業省に御勤務された経験もありますが、現在、電力の安定供給のために何をすべきであるとお考えでしょうか、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 電力の安定供給に向けては、安全性を確認した上で、当面は原子力にエネルギー源を頼らざるを得ないと私は思います。
 原子力や火力、水力にも事故のリスクはあります。しかし、原子力をやめ、化石燃料に頼ると、大量の排気ガスが発生いたします。また、化石燃料は、現在のところ日本ではほとんど生産されていませんので、安全保障上の問題があります。いわゆる油断の問題であります。
 量的には余り期待できないけれども、それ自体としては、太陽光や風力、小水力等の自然エネルギーによる供給システムをできるだけ構築していくべきだと思います。また、将来的には、熊野灘沖で埋蔵が確認されているメタンハイドレートなどの新たなエネルギー源の開発にも取り組む必要もあると思います。
 いずれにしても、リスク管理など、すべての要素を含めまして、どういう組み合わせで量的にも価格的にも安定して国民にエネルギーを提供できるかということが重要でありまして、政府はこういうことをきちっと考えて、ぶれないで国民に説明する必要があると思います。
 しかし、現実に起こってることは、現政権だけを考えても、歴代の総理は、鳩山総理は、地球環境問題を考えてだろうと思いますが、原発の大増設を言っておられましたし、事故後は、菅総理は原発を全廃しそうな発言を国際的にもされました。これでは困るのであると私は思います。
 そういうすべてを勘案した上で国も考えるべきですが、県としてもこのような国の政策に──このようなというのは、現に起こってるような国の政策に振り回されるところもありますけれども、そうではいけないんで、秋以降の安定供給についての対応は、情報を十分に収集して慎重に分析した上で、必要な時点で適切に判断し、行動していく必要があると考えております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、15%の節電は可能だったのかということについて伺いたいと思います。
 枝野経済産業大臣が6月15日の記者会見で、大飯原発3、4号機が稼働しても、7月2日から関電管内で始める15%の節電を当面予定どおり進める方針を示しました。大臣は、再稼働には時間がかかり、ふぐあいによる一時停止もあることから、スムーズに発電できる状況にならなければ節電の目標を変えることはできないとしました。ただし、大飯原発が2基とも最大出力に達すると、ピーク時に不足する分とほぼ同じだけの電力を生み出せるので、2基とも順調に稼働した段階で節電目標を15%から5ないし10%程度に引き下げる方針としていました。
 そして、予定どおり、先週の22日、政府は、大飯発電所3号機がスムーズに稼働した場合、節電目標を10%に緩和することを正式に決定いたしました。これに先駆け、県では、夏の節電アクションプランを19日に公表し、県民に節電を要請しました。
 幸い、節電目標は緩和されましたが、昨年は10%の節電要請に対し、家庭で3%、オフィスで5%、製造業で7%だったことや、アクションプランがお願いベースであることを考えると、15%は本当に達成できる目標だったのか、御認識を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西電力大飯発電所3、4号機が稼働せず、家庭、業務、産業の各部門で15%の節電を達成しなきゃいけないということは、これは大変難しいものであると考えております。どう難しいか、これは県民にきちんと説明せないかんもんですから、5月の終わりに県民に真実を発表いたしました。
 議員御指摘のとおり、昨年の夏には、家庭、オフィスには10%以上の節電をお願いしておりましたけれども、実績としては、家庭で3%、オフィスで5%にとどまりました。これは、我々は決してサボっていたとは思っておりませんで、本当に一生懸命やったつもりでございますが、結果的にはこういうことでありました。ただ、関西の中では、和歌山は1%、ポイントが高かったということも事実であります。
 家庭やオフィスで昨年の2倍の節電ができたとしても、15%の節電を達成するためには、これは寄せ合わさないといけませんので、生産部門で27%の節電が必要という計算になりまして、これをやろうとすると産業界や社会生活への影響が大きく、到底達成できるものではなかったと思います。
 このたび大飯原発の再稼働が決定され、この夏の電力需給状況が改善されることになり、危機的な状況が回避されるということとなったと一応考えられます。しかし、御指摘のように、原発のフル稼働までは、準備を始めてから2つとも全出力で動くまでに多大の時間、約6週間の時間を要し、またフル稼働しても、ようやく電力需給バランスが昨年並みという現状であります。
 考えてみますと、古い火力発電所などの設備を総動員して動かしておりますから、発電所が故障するリスクは去年より高いんじゃないかというふうに思います。
 このため、このたび県からお示ししたアクションプランでは、家庭やオフィスについては、家計や経費の節約にもつながることから15%の節電を、産業部門については、業務に支障のない範囲での自主的な節電をお願いしてるところであります。
 これは、あくまでも無理のないようにというお願いでございますので、熱中症などのおそれがありますので、健康に無理のない範囲内で家庭では節電に御協力いただいたらいいと思っておりますし、また私どもは、生産活動をとめるようにというような要請は一切しないつもりでございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3つ目に、計画停電で仕事や生活はどうなるのかということをお聞きしたいと思います。
 10%に緩和されたわけでありますけども、一方、政府は、火力発電所のトラブルなど万が一の事態に備えて、使用率が99%を超えた場合、計画停電を実施することも決定しております。それによりますと、使用率が97%を超えそうな場合、前日の午後6時ごろに需給逼迫警報を発令し、停電の対象地域などを公表します。当日も需給見通しが改善しない場合、携帯電話の緊急速報メールなどで節電を求め、それでも99%を超えそうなら、2時間前に予告して停電を実施するというものです。特に需給が厳しい関電管内は、1日2回になる可能性があるとしました。
 関西電力も、22日、計画停電の概要を公表しました。対象期間は、お盆を除く7月2日から9月7日の平日午前8時半から午後9時まで、1回の停電時間は2時間程度、管内を6グループと、さらに8分割した48のサブグループを公平に割り振り、前日18時ごろに停電の可能性がある対象サブグループを予告し、停電を実施する場合、2時間前までに実施するサブグループを最終的に公表するとのことであります。
 節電は、昨年来、関西の共通課題ですが、ことしの15%のように、数字がひとり歩きして現実離れしています。これは、昨年の東京電力が実施した計画停電がいかに不便なものか、関西では余り認識されていないことが原因ではないでしょうか。
 計画停電の対象外となるのは、医療機関の一部、鉄道動力線、空港、防災、安全保障、電力関連施設と原発周辺30キロメートル圏内と言われていますが、計画停電で県民生活や事業活動はどうなるのでしょうか。また、そのことを県民に理解してもらうことが節電促進になると思いますが、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 全く同感でございまして、計画停電となった場合、もちろん緊急全面停電よりははるかにましでございますけれども、例えば病院において、緊急患者の受け入れや緊急手術に支障を来すおそれがあると思います。
 病院の大きいものについては、無理をして電力供給ルートをいじくって供給をするようにすると言ってますので、地域によってはとまらないところが出てくると思いますが、しかし、診療所と医学用語で呼ばれる小さな病院、これも入院患者がおりますが、こういうところでは自家発電装置等が設置されていないわけでございますんで、そういう施設が多いので、人工呼吸器など患者の生命を維持する医療機器がちゃんと動くかどうかというのが大変心配されるところでございます。
 また、特別養護老人ホームなんていうのがありますが、これも停電中に、例えば入居者の容体が急変したときに対応できなかったり、エアコンの停止で熱中症を引き起こすおそれがあるなど、医療機関等においては人命が危険にさらされるということになると思います。
 日常生活においても、これほどの大変なことのほかに、例えば信号機がつかなくなる、それで交通事故が起こりやすくなる、あるいは水道が、これは多分一部だろうと思いますが、断水したりするというようなおそれもあります。また、停電解消時に、例えば電熱器具などが自動的に動くことによって火災のおそれがあるとか、逆に、それがスイッチを押さないと動かないので、今度は別の問題が発生するとかいうこともあります。マンションやビルというのは大体エレベーターがありますが、これが途中でとまってしまう可能性もあって、2時間かもしれませんが、閉じ込められるおそれがあります。
 製造現場では、これはそのときに機械をとめればいいじゃないかということかもしれないんですが、どうも聞いてみると簡単ではなくて、化学のプラントなどによると、一たんとめると再立ち上げに1週間程度を要するというようなことも言われておりました。こうなると、生産活動が全く停止することになって、雇用が大きな打撃を受けます。また、最悪の場合を想定しますと、製造工程中に停電になるといたしますと、化学反応が起こりまして、ガスが発生して大変危険なことになるというような、そういう危険性も考えられなくはありません。
 このように、緊急停電はもとより、計画停電であったとしても、県民生活や、それから雇用に多大な影響を及ぼすおそれがあると考えられるために、この辺は県民の皆様によくおわかりいただかなきゃいけないし、初めからわかっていただくことによって危険を避けるということもかなりあると思いますので、周知に努めてまいりたいと思います。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、知事のお話を伺いながら、特に企業なんかは、停電に備えて自家発を導入するというようなこともこれから本当に必要なのかもわからないというふうに思いました。来年度の予算編成に当たりましては、そういうような支援もぜひお考えいただきたいというふうに思います。
 4番目に移りたいと思いますが、先月、御坊市内で土産物屋を営む友人から、神奈川県では県職員が訪問して省エネとか節電の個別指導をしてくれるそうだけれども、和歌山県ではないのかとの問い合わせがありました。
 県から一般財団法人省エネルギーセンターを紹介していただきましたが、各事業所で節電をしてもらうことは経営力強化にもなることから、この機会に県でも省エネ、節電の指導やアドバイスができる独自の制度を設けるべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 独自の制度というお話でございますが、相手が大変多いもんですから、したがって、とりあえずと申しますか、現在いる県の職員に大いに働いてもらって、それでいろんな呼びかけをしていきたいと思っております。
 和歌山県では、企業、産業向けには、県の産業別担当者制度──これは独自の制度ですが──動いております。日ごろからおつき合いをせよと、こういうことになっとるんでありますが、こういう職員がじかに主要な企業や産業界を訪問いたしまして──産業界って、団体とかですね、そういうところを訪問いたしまして、それで関係者へ呼びかけを行うということを去年もいたしておりましたし、ことしもこれから大いにやらしていただくというふうに思っております。また、ホームページやメールなども活用してやっていきたいと思っております。
 うんと数が多い、かつ小規模な産業になりますと、なかなか1社1社は行けないので、そういうときは商工業団体等を通じた呼びかけもしていかないかんというふうに思います。その呼びかけにおきましては、こういう担当者に事前に節電研修をしておかないといけません。そういう職員がちゃんとした正しい知識を持って直接企業を訪問し、電力需給の見通しの説明を行った上で、具体的な節電パンフレットを示しながら取り組み状況の聴取や節電ポイントを助言することになっております。
 あくまでもオフィス等の企業に関してはオフィス等の節電でありまして、生産活動を犠牲にして電力を使うなというようなことを言ってるわけではありませんので、その点、個別の産業別担当者などにもちゃんと教育をしとかないと、間違ったメッセージが伝わったら困ります。
 事業者からの節電の問い合わせについては、勤務時間中の対応になるけれども、一元的には産業技術政策課で対応して、それで正しいことを申し上げたいというふうに思っております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、被害想定について伺います。
 昨年の東日本大震災を受け、中央防災会議が東南海・南海道地震の想定を見直し、その結果が去る3月31日に公表されました。それは、静岡県の富士川河口断層帯から宮崎県南部沖まで断層がずれることでマグニチュード9の巨大地震が発生し、千葉県から鹿児島県までの広範囲に最大34メートルの巨大津波が押し寄せるという衝撃的な内容でした。
 本県でも、すさみ町で18.3メートル、御坊市で17.4メートル、串本町で16メートル、田辺市で12メートルなど、15市町で10メートルを超える津波が襲来し、最大の揺れを示す震度7の地域が6市14町に及ぶとしています。報道を聞いた御坊市の新町や名屋地区の高齢者からは、「津波からはとても逃げられんので、地震が来たらもう死ぬんよ」というあきらめの声も聞かれました。
 和高専の小池准教授は、御坊駅の北方にある亀山へ避難するべきと提案されましたが、亀山までは2~3キロもあり、とてもお年寄りでなくても困難で、ましてや1万人以上の人々が崩壊した市街地をすり抜けて高台へ避難することは大変困難であります。
 知事は、2月定例会で私の一般質問に対して、避難困難地域では高台移転なども含めハード整備の必要性を認められ、先般の政府提案でも、羽田国土交通大臣を初め各方面へ要望されたと伺っております。
 被災後、復旧・復興に多額の予算が必要なことを考えれば、災害予防に予算を支出することは大変合理的で、まさに政治が決断すべき事項であると考えますが、知事の今後の取り組みについて伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 世の中では津波高が高いということがよく言われますけれども、それだけではなくて、むしろ本県における大変な問題は、大津波が極めて短時間に市街地に到達するということが予想される地域があるということであります。場所によっては、津波から逃げ切ることが容易ではないというような地域もございます。
 これらの地域における予防的な津波防災対策として、あらかじめ高台など安全が確保できる場所を造成して、それで移転を誘導するとともに、移転跡地の有効活用は、これは逃げやすい人とか、そういうふうにうまく使うというような施策の検討を始めてるところでございます。
 これらの施策は中長期的に取り組む必要がありまして、すぐには改造ができません、人が住んでおられますから。しかし、始めないとやっぱり永久にできません。それからまた、多大な費用が必要となってまいります。したがって、今月初めの政府提案では、国の支援について、国土交通大臣を初め関係省庁に提案、要望したところでありまして、議員御指摘のとおりであります。
 今後も、機会のあるごとに国の積極的な取り組みや支援を要望していきますけれども、我々もしっかり知恵を出して、沿岸の市町とも連携しながら施策の具体化を進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、御坊のまちのようなところを想定すると、町なかに小学校があるんですけども、運動場を30メーターぐらいかさ上げすれば本当にすごい避難場所になると思うんです。しかし、そういうようなことを学術的に検証されたことがありませんので、私は、防災を考える上で防災技術の開発というのは大切だというふうに思います。
 ぜひ、今、予算のことについて知事からお答えいただきましたが、技術開発という方面でもお取り組みをいただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 次に移ります。
 県では、今回策定する被害予測について、中央防災会議でも御活躍の河田惠昭先生初め、各界の有力な研究者を集め、県地震・津波被害想定検討委員会を設立し、去る6月6日に第1回目の会議が開催されました。
 会議では、内閣府が示したマグニチュード9クラスと、従来からの県の想定であるマグニチュード8.7クラスの2つの津波想定で浸水予測を検討していくことや、本年度中に浸水予測図と被害想定をまとめることを決定しました。
 また、会議では、中川正春内閣府特命担当大臣も出席し、3月に発表した内閣府の調査については「数字だけがひとり歩きする形になり、反省している」とし、「6月中に、より詳細な地震と津波、浸水域の想定を手元に届けるようにしたい」と述べたことが報道されています。
 防災では最悪の事態を想定して対策をとることが原則とされていますが、2段階で想定する意味についてお伺いします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3月31日に内閣府から、南海トラフの巨大地震に関する震度分布・津波高の推計結果が公表されました。これを受けて、県では、平成24年6月3日に和歌山県地震・津波被害想定検討委員会を開催し、新たな地震・津波被害想定の策定に着手したところであります。
 その中で、まず30年で70%の確率があると言われる、発生確率が高いという東海・東南海・南海地震の3連動地震の想定、これは県がずっとやっとるんですが、現在の理論や最新のデータによって精度の高いものにしておくということが大変重要なことであって、これにまず照準を合わせて、ハード・ソフト両面から防災・減災対策について全力で取り組むべきだという意見が出されました。このために、3連動地震の被害想定をもう一度きちっと見直すということが必要であります。
 次に、3月31日に内閣府が公表した南海トラフの巨大地震被害想定は、発生確率等々については余り言及しておりませんで、理論的に起こったとしたらこのぐらいになるかもしれないというのを、変な言い方ですが、最大公倍数的に並べたものであります。
 ただ、そういうことはわかっておりますので、中川大臣がおっしゃるほど、そんなに我々それを批判してるわけではないんですけれども、そういうものでありますので、それを前提にして考えるんだけども、それも発生の可能性がある限り県民の生命を守るという観点からはこれを無視することなく、万全の備えとか全部準備するということはできないにしても、そうなったときの住民避難を柱とした対策を行っておく、用意をしておくということが必要でありまして、そのためにどのぐらいまで来るかというようなことを想定しておくことは必要だというふうに言われましたし、我々もそう思っております。
 こういうふうに対応を2つやっとかないかんということでありますが、国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの座長も務める河田先生を会長とした第1回検討委員会において、このように対応を分けた2つの被害想定を持つことがベストであるというふうに言われたわけでありますが、言われるだけで終わってはいけませんので、今度はそれを具体化していくと。国の詳細な情報ももらわないといけませんが、我々もよく考えて、具体化して用意しておくということをこれから精力的にやっていきたいと思っております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 丁寧な答弁をしていただいてまことに恐縮でございますが、時間を見てたらあんまりなくなってきたので、私もこの質問を短くしたいので、御答弁も簡潔にお願いをいたします。
 地震・津波被害想定にもセカンドオピニオンをということでお聞きします。
 さて、現在、県議会ではがん対策条例の制定に向けて準備中ですけども、最近は、がんなどの生命に係る診断や治療に際してはセカンドオピニオンということを聞くことが普通になってきました。私は、1人の命でもセカンドオピニオンを聞くのであれば、数万、数10万の生命にかかわる地震や津波の診断や治療に相当する被害想定やシミュレーション、それから防災計画においても、セカンドオピニオンを聞く必要があるのではないかと考えます。
 実際に、昨年の東日本大震災や12号台風の共通の課題は「想定外」ということでありました。阪神大震災も予告した人はいないばかりか、高速道路の高架橋は絶対倒壊しないと言われていました。
 現在、県では、地震・津波被害想定検討委員会を設置し、検討を始めました。私はその先生方が決して気に入らないわけではありませんが、ここはセカンドオピニオンを求める必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私の個人の感覚でございますけども、責任を持つべきは県であって、それで参考にすべきはこの被害想定検討委員会ではないかなというふうに思うんです。したがって、その被害想定検討委員会はできるだけ多くの方に入っていただいて、それでいろんな意見を言ってもらうということではないかと思います。
 ただ、これで全部、ほかの人の意見は聞かないと言うとまずいんでございますので、随所にその結果を発表いたしまして、今度はもう広く世間からもいろんな意見を聴取して、それで我々がそれを検討委員会なんかにもフィードバックして、それでまた議論していただくと、そういうことをぜひやっていきたいと思っております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次、いたします。フェイスブックの活用についてであります。
 12号台風の復旧については、官民挙げて取り組んだおかげで予想以上に達成されつつあります。今後は、一刻も早い復興を期待するものであります。
 私は、そのときの経験を思い起こし、フェイスブックを利用できるのではというふうに提案するものであります。
 昨年の被災直後に、ヤマザキパンからパンをくれるというお話をいただきました。どこへ聞けばいいのかということでございましたので、危機管理局へ問い合わせしましたところ、パンの提供のような民生的なことは福祉保健総務課へ言ってほしいということだったので、福祉保健総務課長にお話をしました。すると、もう直接連絡があったのか、パンの提供の話は既に御存じで、せっかく知らせたのに少し残念に思いました。しかし、そのときはそれで話は終わりました。
 それから何日か経過いたしまして、別件で、被災した新宮市で復旧活動に奔走される濱口議員に電話する機会がありましたので、「パンはもらった?」というふうに聞きますと、「知らない」という返事でした。「それなら、市役所に連絡がいってるかもしれないので市長に聞いてみてほしい」とお願いすると、しばらくして濱口議員から、「やはり市長も知らないと言ってる。直接、福祉保健総務課へ問い合わせてみる」との連絡がありました。後日、濱口議員から、2回パンの提供があり、市民も大変喜んでくれたとのお話を伺いました。
 私は、そのときの状況は、福祉保健総務課に大量の情報が集中し、パンクしてしまったのだろうと想像していましたが、今回の質問を機会に当時の担当者から事情を伺いました。やはり田辺市役所には連絡できたが、新宮市役所は、衛星電話で連絡したが、なかなか情報が伝達できず、時間がかかってしまったとのことでありました。私は、今回の経験を通して、災害時には役所には大量の情報が集中するので、情報を効率よく処理するシステムが必要であると認識しました。
 そこで、フェイスブックの提案となるんですが、フェイスブックの便利な機能の中に、ささやくだけでみんなに伝えてくれるということ以外に、友達の情報も──友達がほかの友達に伝えたことを一々私にお知らせをしてくれるという便利な機能があります。この有効ないろいろある機能については、午前中、藤山議員も広報に使えないかという、そんな提案もありましたが、私も大変便利なツールだというふうに思っております。
 このツールを利用すれば、パンに当てはめると、和歌山県がパンをもらったということを表明したり、田辺市役所にパンをもらったということを伝えると、新宮市役所にも自動的に伝えてくれるという、こんな機能なんです。
 現在、フェイスブックのサービスがそのまま使用できるということではありませんけども、既に佐賀県の武雄市のように市役所のホームページから切りかえるところもあって、フェイスブックのような汎用性のある情報伝達システムを災害時のシステムとして応用することができないか、御所見を危機管理監に伺います。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) フェイスブックの活用についてでございますけれども、昨年の紀伊半島大水害や想定される南海トラフ巨大地震などの大災害では、非常に多くの情報を迅速かつ正確に処理し、災害対応に当たる必要がございます。特に県と市町村は、避難者やライフラインの状況等について情報を共有し、できるだけ速やかに災害時要援護者対策や物資の提供等を行うことが大変重要であります。
 災害時に県と市町村は和歌山県総合防災情報システムを利用し、災害情報を共有しますが、東日本大震災の教訓を踏まえ、今年度実施する災害情報収集分析システムにより、災害時にリアルタイムで避難者や避難所の情報並びに救援物資のニーズ及び在庫状況等について情報収集するとともに、情報共有するシステムを構築し、必要な情報についてはインターネットで公表する予定であります。
 災害時の情報収集等については、以上の方法により行う予定であり、現在のところ、フェイスブックの利用については検討してございません。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、すばらしい機能だというふうに思います。かわるものを何かお考えのようでありますから、どんなものができるのか、ぜひ注視をさせていただいていきたいと思います。
 次に、ため池廃止事業について伺います。
 私の地元に後谷池という池があります。江戸時代にできた、もう200年も受け継がれてる池であります。平成に入って70メートルの堰堤も改修する、大変大切な池でありました。
 しかし、最近、この池の役員が、私の父に役員をかわってくれというふうに言ってこられました。父も82歳で、とてもお受けできないのでお断りしましたが、改めて池の周辺を見渡しますと、田んぼには草木が生い茂り、かつての田園風景は原野の状態になっております。わずか10年余りでこのような状態になるとは思いませんでした。県内では約5500もの池があると言われてますから、こんな池はほかにも多くあるんではないかと想像します。
 しかし、この池は実は普通の池ではなくて、この池の真下には近畿自動車道が通っております。現在、県では、高速道路を災害時の緊急避難、復旧・復興の基盤として、命の道として延伸や4車線化を要望してますが、上流のため池の破堤で、思わぬことで道路が通れなくなることもあるわけであります。
 これまで行政は、水利など農業振興のために補助金を出してきましたけども、今後は、管理できなくなった池を廃止したり規模を縮小するなど、農業振興とは言えない、そういう事業にも取り組まなければならない、そんな時代が来たのではないでしょうか。
 今後の対応について、農林水産部長にお聞きします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 本県には約5500のため池が存在し、農業用水確保のために活用されております。県では、このうち比較的規模の大きい受益面積2ヘクタール以上の池約1500カ所について、ハザードマップ作成支援の作業を進めているところです。
 議員御指摘のように、近年、農業者の高齢化等で農業の担い手が減少する中で、耕作放棄地の増加等を背景に、ため池管理に支障が生じていることは理解しております。管理者が不在となったため池についての対策は、所有者である市町村等が廃止や余水ばけの切り下げなどの安全管理に努めるべきと考えております。
 県では、ため池決壊等に対する地域の防災安全度向上のため、地域の実情に応じた改修や対策を進めるため池改修加速化計画を策定中でございますが、その中で、ため池の廃止についても1つの手法として検討してまいります。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どんどんいきます。
 3番目に、教育問題についてであります。
 かつて高度成長期に経済指数が上位だった本県が、現在の低迷から脱却し、再び光り輝くためには、国体の選手強化のように、理系や県内産業で活躍できる職業学科を奨励することが必要ではないかと考えます。
 私は、昨年の2月定例会で高校の学科のあり方について質問したところ、知事は、「社会の求める人材育成や本県の特色を生かした教育を行えるよう、バランスよく設置することが大切だ」とし、学科改編についても、「時代の要請に対応しながら考えていく必要があり、観光や物づくりに従事する人材の育成などは特に重要だ」と答弁されました。
 現在、県教育委員会では、職業学科のあり方について議論を始めたと伺ってますが、教育長に今後の取り組みについて伺います。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 職業学科を有するすべての高等学校では、平成22年度から、わかやま版「地域産業の担い手育成プロジェクト」として、企業人による実践的指導や長期企業実習などに取り組み、地域の活性化に貢献できる人材育成を図ってきています。
 さらに、本年度からは、工業科を持つ5つの高等学校で、わかやま産業を支える人づくりプロジェクトとして、各学校ごとに協力企業グループ「校友会」を組織し、産業界との結びつきを一層充実させた取り組みを進めています。
 また、昨年度から、和歌山県地方産業教育審議会に対して地域活性化に貢献できる人材の育成方法について諮問を行い、職業学科のこれからのあり方やキャリア教育、職業教育の推進方策について協議をしていただいているところでございます。
 今後、これらの協議の結果を踏まえ、観光や物づくりなど、地域産業に従事する人材の育成も含め、時代の要請に対応しながら、本県の特色を生かした職業学科のあり方や改編について検討してまいります。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、学力テストの反映について伺います。
 かつて企業誘致の研究に福井県へ訪問したとき、同行の花田議員から学力テスト全国1位の教育についても聞こうと提案があり、事前に本県の内容も知っておこうと2人で教育委員会を訪ねました。分析はまだこれから行うとのことでしたが、福井県では1位の理由を懇切丁寧に教えていただきました。
 詳細は花田議員が平成21年12月議会の一般質問で報告されたとおりですが、改めて福井県の特色を挙げてみると、まず福井県は、昭和の学力テスト以来、途切れることなくずっと県独自で継続して行ってきたことが挙げられます。そして、教員労働組合が教育行政に協力的であること、子供たちの生活環境がよいこと、さらに知事の政策として、30億円余の県費を投じて、小学校低学年は教員2人プラスPTAボランティアのチームティーチングを行っているとのことでありました。予算をかけなくてもできる施策もあり、ぜひお手本にしていただきたいと思います。
 さて、学力テストは継続することに最大の効果があると考えますが、本県では学力テストの結果は実際に教育にどのように反映されているのでしょうか、教育長に伺います。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国学力・学習状況調査等の結果、本県の児童生徒は、基礎的、基本的な知識、技能はおおむね習得できていますけども、一部には課題の見られる児童生徒もいます。
 本県では、こうした課題を解決するため、日々の授業の工夫、改善を図るとともに、放課後や長期の休み等を利用した補充学習の充実に取り組んでいます。学んだことがしっかり身についていない児童生徒を対象とした補充学習は、現在、ほぼすべての小中学校で実施されており、基本問題に繰り返し取り組ませたり、質問に答えながらわからないところを教えたりするなど、きめ細かな指導が行われています。
 今後も引き続き、全国学力・学習状況調査等の結果を踏まえて、より効果を上げられる授業改善の取り組みや、本県がこれまで進めてきた補充学習の一層の充実を図り、学力の向上に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、栄養教諭への任用がえについて伺います。
 栄養教諭については、尾崎太郎議員が平成21年9月定例会の一般質問で栄養教諭の役割と配置状況についてただされています。当時の山口教育長が、役割と期待は大きい、今後とも栄養教諭の資質向上を図るとともに栄養教諭を中心とした食育の推進に積極的に取り組むとの答弁をされています。
 私たち県議会も、現在、がん対策条例策定の準備中で、いろんな方からお話を伺いますが、皆さん指摘されることは教育の大切さであります。まず、がんにならないような生活習慣を身につけることが大切で、これは学校教育で行う必要があります。さきに成立した歯科保健条例策定時にも、弗化物洗口など、教育の大切さを痛感しました。
 だれもが一番大切という命、その命を守る健康教育すなわち保健教育は、国民幸福や医療費抑制の観点からも、他の教科と同等に大変重要であります。しかしながら、現状ではそうなっていません。
 そこで、私は、今後の保健教育は体育の教諭だけに任せるのではなく、学校医や学校歯科医師、学校薬剤師のほか、ぜひ栄養教諭にも参画させるべきであると考えています。
 保健教育については改めて伺うこととして、尾﨑議員の質問以後、栄養教諭は20人まで増加したと聞きますが、栄養教諭の任用がえについての今後の取り組みを教育長に伺います。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 栄養教諭は、栄養に関する専門性と教育に関する専門性をあわせ持つ教員として、学校における食育の推進の中核的な役割を担ってございます。本県では、本年度、新たに5名の任用がえを行い、14市町において20名の栄養教諭を配置しているところです。
 今後も、栄養教諭を中心とした食育の推進に積極的に取り組むとともに、各市町村に配置できるよう、栄養教諭への任用がえの促進に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、観光振興について伺います。
 去る5月22日から6月8日まで、我が国とウズベキスタンの外交関係樹立20周年の写真展、そしてシンポジウムを開催させていただきました。知事初め同僚の議員、職員の皆さんにも御参加をいただきました。和歌山県初め御支援をいただいた皆様に、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 さて、その準備の過程で気づいたことがあります。我が国では、大手の旅行社が加入する日本旅行業協会いわゆるJATAに、本県には1000社あるんですけども、1社しか加入してないことがわかりました。しかも、その1社は協力会員でありました。鶏が先か卵が先かという議論はあるわけでありますけども、本県が観光立県でいくとするなら、私は、観光企業の、旅行会社の繁栄なく観光産業の繁栄はないというふうに思っております。
 本県でも、ぜひともこの旅行を企画販売する旅行会社の育成というものにも取り組んでいただきたいと思いますが、商工観光労働部長の御所見を伺います。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 旅行会社の育成についてですが、観光立県実現に向けて着地型観光を推進する上で、旅行会社、特に県内旅行会社には、体験プログラムを含む地域資源を旅行商品化し、お客様に満足いただく、滞在時間を延ばして地域での消費拡大につなげるといった役割を担ってもらう必要があり、そのような観点から県内旅行会社の育成支援は重要であると考えております。
 このため、県では、体験プログラムの現地研修や事業者との商談会の機会を設け、商品化と利用促進に努めておりますが、県内旅行会社の参画をさらにふやしていくために、今後、体験プログラムの充実と商品化の機会の提供など、県内旅行会社による体験プログラムを生かした着地型旅行商品の造成に向けてより積極的に取り組むことで県内旅行業者の育成支援に努めてまいります。
 以上です。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、フリーゲージトレインの導入について伺います。
 昨年の春、鹿児島まで新幹線が通じました。新大阪から3時間45分で結ばれることになりました。同じ和歌山県の我が新宮市まで、やはり3時間45分であります。大阪の隣にあるのに、本当に物理的にも遠い。私は、新宮市へ出かけるたびに、遠いというよりも、同じ和歌山県にありながらまことに申しわけないという気持ちになります。知事は、このことについてどのようにお感じでしょうか。
 鉄道の高速化については、平成7~8年にオーシャンアロー号の導入と線形改良をやりましたが、その後、ありません。和歌山県は、新幹線計画がない数少ない県であります。何とかフリーゲージトレインをというのは、一縷の望みであります。県でも毎年要望してくれておりますけども、私は要望だけというような印象を持っております。ぜひ一歩進めていただくように、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新宮市までの時間距離を短縮することは、本県の地域経済の発展と観光振興を図る上で大変重要でありまして、少しでも時間短縮をしたいという思いを強く持っております。
 フリーゲージトレインにつきましては、九州新幹線長崎ルートでの導入が予定され、また国から北陸新幹線における敦賀までの整備とあわせた導入が関係府県や関西広域連合に対して提案されるなど、近年、技術開発が進展し、実用化に向けていよいよ動き始めております。
 本県の阪和・紀勢本線は国のケーススタディー7路線に選定されているところでありまして、紀勢線、阪和線も忘れないでくれというようなことを実は広域連合でも言うておりまして、かつ、どの方面に向けてもそれを熱心に働きかけて、かつ関係市町村とも連携して、早期導入に向けて取り組みを進めてまいりたいと思います。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、ホテル等観光産業における地震対策について伺います。
 昨年の12号台風の復旧・復興対策として、県では被災した企業の損害額の10%を支援することとし、各種融資と相まって、悲嘆に暮れる企業経営者を大いに励まし、大いに効果を上げたと伺っております。この補助金は、企業誘致資金を応用した地域企業等事業再開支援事業で、知事の画期的な御判断を評価したいと思います。
 そこで今度は、この事業をホテルなど観光産業の地震対策に拡大できないものか、お尋ねします。
 平成20年の9月にも私はこういう質問をしたわけでありますけども、知事も、ホテルの経営も大変だけども要請をしていくという御答弁をいただいております。
 しかし、ホテルの耐震化が進んでるという実感はありません。観光立県を標榜する本県が、役所や学校の耐震化が進む中、耐震化の進まないホテルに積極的に観光客を内外から誘致することはいかがかと思います。
 観光産業における地震対策について、知事の御所見を改めてお伺いいたしたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ホテルや旅館などの宿泊施設での耐震化につきましては、観光客の安全・安心の確保という観点からも非常に重要であると認識しております。
 県では、建築物の耐震化に関しましては、安全・安心な住まいづくり、まちづくりに向け、和歌山県住宅・建築物耐震化促進計画を策定いたしまして、所有者に対して指導・助言等を行い、耐震化を促進しております。
 また、災害拠点病院等が行う耐震化に係る建てかえや耐震補強工事に対しては、国の医療施設耐震化臨時特例交付金を活用し、耐震化に取り組んでおります。
 昨年の台風12号による紀伊半島大水害の被災事業者に対して実施いたしました御指摘の地域企業等事業再開支援事業については、地域の復旧・復興を早急に実現するための非常時の特別対策でありまして、議員御提案のホテル等観光産業の恒久的な地震対策に拡大することは、直ちには難しいと考えております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、災害に備えて耐震化を促進していくことは大変重要でありまして、ホテル、旅館、病院等、耐震化が必要な建物がいろいろある中で、どのように耐震化を進めていくべきか、実は頭の痛いところでございます。ホテル、旅館もそんなに経営に余裕のある方ばっかりではないんで、むしろ逆の場合が多いんで、なかなか進まないというところがあるわけであります。
 今後、県としては、ホテル、旅館等事業主の要望に応じ担当者が現地に出向き、現状の施策や国の融資制度などの情報提供や個別具体的な相談を行うとともに、ホテル等の耐震化の現状把握に努めた上で、今後どのように耐震化を進めればよいのか、議員の御指摘を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 時間がありませんでしたので意見を述べる時間はございませんが、大いに取り組んでいただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第96号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第86号から議案第95号まで及び議案第97号から議案第102号まで、並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号は所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月26日及び27日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、6月26日及び27日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月28日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時49分散会

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