平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時1分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第86号から議案第102号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。
 一般質問の初日の20日に37歳になりました。早いもんで、県議会に寄せていただいてから議員生活も10年目に入りました。この間、本当に、お支えをいただいてきた方々に、この場をおかりして改めて感謝であります。
 とはいえ、まだまだ若輩者、今回も若者らしく理想を求めて質問させていただきますので、当局の皆さんにはどうぞよろしくお願いを申し上げます。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)はい、努力します。
 今回は、大きく分けて4項目について伺います。
 まず最初は、防災対策として津波から逃げる意識づけについてお尋ねをいたします。
 東日本の大災害によって、改めて私たちは、いかに我々の国土が危うい構造の上に位置しているかを知らされました。3つの大きなプレートが日本の足元でひしめき合い、かつ世界最大の火山脈の上にあり、ミッドウエーから西の海底には、日本列島に並行して古代天皇の名前が付された数多くの海底火山が連なっていて、今回の大災害も、こうした地勢からすれば構造的に必然と言わざるを得ないのでしょうか。
 ということで、日本の自治体では、今、防災対策が急務となっているわけですが、対象が対象だけに、膨大な費用と複雑な対策が必要となります。
 津波は、それまで数々の対策を進めてきたはずのまちを襲い、大きな被害をもたらし、和歌山でも県内に初めて大津波警報が出され、避難指示や勧告の対象となったのは合わせて19万人以上となりましたが、避難率はわずかに3.2%にとどまりました。あの日、走行中の車窓から、今にもあふれんばかりに増水した日方川の河口付近を見て背筋が寒くなりましたが、避難する住民を目にすることはなかったように記憶をしています。
 昨年の震災後にNHKが和歌山県内で行った地震・津波避難に関するアンケートによれば、「重要だと思う津波避難に関する施策は」との問いに、自治体からの回答では、津波防災教育や啓発が約59%で、「水門や防波堤などハード施設の整備」はわずか6%でありました。一方、住民からの回答では、「津波防災教育や啓発」が約15%にとどまったのに対し、「ハード施設の整備に期待する」が30%となっていて、今後の防災に関する自治体と住民の考えには隔たりがあることがわかります。
 また、3.2%という低い避難率から見ても、逃げるという意識が県民に余り浸透していないこともよくわかります。
 さらに、津波から避難しなかった人を対象にしたアンケートでは、大津波警報に関する情報について、8割近い人が誤報でないと認識していながら、津波の高さなど、危険を勝手に小さく見積もってしまう無意識の心理が働いていたこともわかりました。だからこそ、日ごろからの意識づけが大事だと思います。
 内閣府の新しい津波想定が出された3月31日の新聞記事で、「想定が幾らと言われてもピンとこない」、「避難所まで距離はあるが、地区では訓練は行われていない」といった和歌山市の沿岸部に住む住民の声が掲載されていましたが、まだまだ、特に県北部の住民に危機意識が浸透されていないと言わざるを得ません。
 以前、当時の防災・環境問題等対策特別委員会で訪れた串本町で、避難訓練を徹底し、中学生に至るまで役割分担がされている自主防災組織の先進的な取り組みのお話を伺い、危機管理に対する意識の高さに大変驚かされたことを覚えています。
 こうしたことから、県民への意識づけが今後さらに重要と考えますが、県としてどういう取り組みを行っていますか、危機管理監にお尋ねをします。
○議長(山下直也君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 津波から逃げる意識づけについてでございますけれども、逃げるという行動がなければ、幾ら市町村が避難場所や避難路を整備しても命を守れないことから、県では、これまで市町村とともに、長い揺れの伴う地震に遭えば、たとえ揺れが小さくても迅速に高台に逃げるという広報啓発、意識づけをさまざまな施策を通じて行っているところでございます。
 東日本大震災直後から取り組んできた防災・減災対策の総点検において、避難先に安全レベルを設定し、時間のある限りより安全な避難先を目指す取り組みや家族で避難場所や避難経路を話し合い、避難カードを書く取り組みなども、和歌山県地震・防災対策総点検専門家会議委員の片田敏孝群馬大学大学院教授との意見交換から県として考案し、関係各所から評価もいただきましたが、まずは命を守るため、逃げる意識が行動につながるようにとの願いを形にしたものであります。
 また、東日本大震災の記憶がまだ新しいこともあり、昨年8月から9月に実施をした県民意識調査において、平成19年度調査に比べて「避難する」がほぼ倍増し、約8割になるなど、逃げるという意識について相当浸透しております。
 県として行ってきた「出張!県政おはなし講座」、「出張!減災教室」、「紀の国防災人づくり塾」などの実績についても、平成23年度の延べ受講者数で前年度比約3倍、2万8000人を超えており、意識の高揚のあらわれと考えております。
 しかしながら、年月を経ると記憶が薄れていくことも考えられるため、県としては引き続きさまざまな手法を使って粘り強く取り組んでまいります。
 以上です。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に、和歌山─海南間の道路整備の必要性について伺います。
 今、ソフト面での取り組みを伺いましたが、視点をハードに移してみます。
 現在、マリーナシティを経由して和歌川沿いを走る和歌山市道のシーサイドロードが改修工事のために終日通行どめになっており、国道42号がこれまで以上に大変混雑をしています。通勤時間が1.5倍になったであるとか、海南インターチェンジから県庁まで1時間以上かかったという話も聞きます。渋滞を避けようと42号線から黒江駅前を通り、竈山神社方面へと続く三田海南線などに流れ込み、そのルートがまた混雑してしまうといったぐあいです。
 和歌山─海南間の道路整備の必要性については、これまで何度か産業面から質問をさせていただいてまいりました。東北の被災地を訪れたり報道を見るにつけ、今の状況は防災対策としても放置できないと考えます。
 今さら申し上げるまでもなく、県内最大の人口を有し、経済、産業、文化の中心である和歌山市への交通の流れは、大体3つに大別することができると思いますが、1つ目は泉南などの大阪方面からのルート、2つ目は貴志川筋方面からのルート、そして、3つ目は新宮、田辺、日高、有田等の紀南方面からのルートであります。このうち紀南方面、すなわち海南市から南に位置する地域からの交通は、ほぼ海南市内を通過して和歌山市へと入っていくこととなり、いわば海南市はエントランスホールのような役割を果たしていると言えます。
 ところが、この和歌山市と海南市を結ぶ道路がどう考えても脆弱であると言わざるを得ません。
 何度でも申し上げますが、唯一整備されている国道42号も、紀三井寺付近では1日に4万台を超える通行があり、慢性的に渋滞を引き起こしている状態であるにもかかわらず、和歌山市と海南市を結ぶ7本の県道はすべて曲がりくねり、幅が狭く、中には車1台がやっとという広さの道路もあり、和歌山─海南間の県道は、どれ1つまともに機能していないと言っても過言ではありません。
 前回の質問に対して、知事は、事業中の松島本渡線を県道秋月海南線まで延伸し、国体開催までに一連区間が供用できるように整備を進め、これに接続する県道秋月海南線や岩出海南線についても、都市計画道路の供用に合わせて効果を発揮するよう狭隘な部分から整備を進め、幹線道路となる都市計画道路の整備と周辺道路の狭隘区間の整備を組み合わすなどして、段階的、効率的な整備を図っていきたいと答弁されました。
 さらにさかのぼれば、平成18年の同様の質問には、既存ネットの中で優先度を考慮しながら段階的かつ効率的な整備を検討していくとの部長答弁がありました。
 しかるに、松島本渡線については、和田川を超える橋の計画などあるやに聞いていますが、竈山神社から南側の海南方面については一向に計画が進んでおらず、まさに絵にかいたもちになっていませんか。このままでは、災害発生時にも交通が麻痺することは容易に想像できますし、救急搬送もままならないのではないですか。
 X軸の整備がほぼ終わり、川筋ネットワークの整備を進めると知事はおっしゃっていますが、和歌山─海南間についてはボトルネックになったままであります。今、一番急がれる防災対策にも、この道は欠かすことができないと考えますが、そんなにこの路線の優先度は低いのでしょうか。知事の考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山─海南間の道路としては、現状では国道42号が唯一の幹線道路であり、慢性的な渋滞が発生し、防災上も好ましい状態ではないというのは議員御指摘のとおりであります。
 このため、議員御指摘の点については、ちょっと後で申し上げますが、抜本的な対策といたしましては、新たな幹線道路となる都市計画道路松島本渡線の整備が必要であります。
 和歌山市秋月地内から和田地内、県道秋月海南線までの一連区間を平成27年の国体開催までに供用できるように、今急いでるところであります。また、その次は、御指摘の海南方面への延伸についても、これに続いて頑張って整備するように努めていきたいと思います。
 その間は、議員御指摘のように、前に答弁したとおっしゃいましたが、この都市計画道路と接続する、あるいは併走する県道秋月海南線や岩出海南線の狭隘区間の整備を進め、当面の円滑な交通の確保にも努めてまいりたいと思います。本来ならば、はるか昔に都市計画道路ができてないといけないんですが、最近、頑張ってできるだけ急いでやっておりますので、今後の努力を一層やっていきたいと思っております。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 先週の大雨の後の水没の関係で、またその東側の県道なんかも大変混雑しておりました。ほんまに、あれを見るにつけても憤りを感じるわけでありますので、ぜひとも早急に整備を進めていっていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に行きます。
 3番目に、身元確認のためのDNA登録について、1点要望させていただきます。
 帰らぬ人のよすがを捜し求めて100日──昨年の夏、身元のわからない遺骨を預かる岩手県内の寺院で百カ日法要が営まれている様子をテレビで見ました。百カ日は卒哭忌とも言われ、泣くことをやめ、悲しみに区切りをつける日とされています。悲しいのはいつまでたっても悲しい、でも、悲しみだけでいたら決して亡くなった人が成仏できない、その苦しみや悲しみを大きなばねとして、次の段階に向かっていける何かがなければいけない、それが百カ日の法要でもあります。
 瓦れきの処理が進む一方で、帰らぬ人を捜す遺族にとって、いつまでも引きずれないというものの、遺骨がないまま葬儀をとり行うことには抵抗があるでしょう。
 人の生死をめぐる感覚については、近代のキリスト教では完全に魂と体を分ける心身二元だと聞いたことがありますが、日本、仏教においては心身一体であり、魂と肉体は一元となっているから、生物学的な命はなくなっても肉体には魂がある、だから遺体や遺骨を弔いたいという意識が日本人には強くあるそうであります。
 神戸の大震災では割と早くにほとんどが身元碓認できたそうですが、津波となると遺体の損傷が激しく、そうはいきません。何とか早期に御家族のもとに帰らせてあげる、弔ってあげることができるすべはないものかと、そう思います。
 自民党では、国家ICT戦略として、ICTの観点から、被災地の復旧・復興と被災者への支援を喫緊の課題として取り組むとともに、東日本大震災と福島第1原発事故を教訓とした超広域災害への備えを固め、さらに、新たな復興・防災の仕組みを経済成長への出発点とすべきと、新ICT戦略を昨年策定いたしましたが、その中では、物理的な存在としての個人を認証する仕組みを社会基盤化することを提案しています。
 もちろん、個人のプライバシーの問題もありますので、任意の登録が望ましいとしつつ、遺体の確認にかかる時間を考えると、DNA登録も視野に入れるべきとしています。私も、先ほどからお話ししたとおり、災害発生時の備えとして、DNA登録について検討を進めていくべきだと思っています。
 災害は決して起こってほしくはないことはもちろんでありますが、今後の対応として国への働きかけ等も考えていただければと思います。これは要望でありますので、答弁は結構であります。
 次に、大きな柱の2つ目として、鳥獣害対策として3点について伺ってまいります。
 まず1番目、ジビエの消費拡大についてであります。
 和歌山県でも野生動物による農作物への被害は年々深刻化をしていて、被害額は昨年度約3億3000万円、5年前よりも2割以上ふえております。
 和歌山県でもイノシシやシカによる農作物の食害に悩まされている中、捕獲数は年々ふえ続けていますが、捕獲されたイノシシやシカが食肉として利用されることはわずかで、ハンターが自家消費をしたり、大半が山中に埋設されているのが現状であります。
 県でも、捕獲した鳥獣の有効利用をすべく、4年前から野生動物の肉の処理施設への補助を行い、肉の消費をふやして農作物への被害を減らそうと取り組んでいます。その結果、イノシシやシカの肉を提供する飲食店はふえて4年前の3倍以上に、肉を販売する精肉店も2倍以上にふえているなど、少しずつ効果が出てきていますが、まだまだ十分とは言えません。今後は家庭での消費をふやすことにも力を入れていく必要があると思います。
 また、昨年度は県の委託先であるJTB西日本和歌山支店が、わかやまジビエプロモーション事業の一環として飲食業者らに野生鳥獣の肉の魅力を知ってもらうための研修会を行うなど、捕獲した鳥獣を食資源として利用するための取り組みを進めています。
 地元の海南市でも、下津商工会が「地域食材を活かしたまちづくり」と題して、これまでレストランなどの飲食店で提供されることがほとんどだったジビエ料理を家庭でも味わってもらうことでさらに消費を進めようと、どんぶりやシチューなど家庭でもつくれるメニューの試食会を開くなど、地域からアクションを起こすケースもあり、ジビエ料理をきっかけに鳥獣害への理解も広がればと期待をしております。
 民間企業では、カレーショップのCoCo壱番館さんがイノブタカレーや熊野牛コロッケをメニューに取り入れてくれていましたが、ジビエについても取り入れてくれるかもしれません。日高川町のジビエ工房紀州の「紀州カレー」がレトルトで販売されていますが、おいしいと評判でありますので、売り込みも可能だというふうに思います。
 また、静岡県では県の庁舎内で県産食材を使ったレストランをオープンさせるとのことでありますが、和歌山県においてはジビエを使ってもらってはいかがでしょうか。県の消費拡大についての考え方について、お聞かせをください。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ジビエ料理の消費拡大については、県内外のホテルや料理店を対象としたプロモーション活動やジビエウイークの開催を通じて、「わかやまジビエ」の需要開拓と普及を図ってきたところです。その結果、獣肉を扱う店舗は着実に増加しており、料理店で現在63店舗、精肉扱い店で31店舗となりました。
 今年度も、料理コンテストや家庭用レシピの作成など、一般の消費者に「わかやまジビエ」のおいしさや料理法を広くPRしていくとともに、ジビエウイークを開催し、多くの料理店とともに県施設内の飲食店でもジビエ料理の提供を行ってもらえるように働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に、シシ肉などの品質確保のための等級制の導入についてお伺いをいたします。
 消費拡大を図っていく上で、北海道では東京農業大学と連携をして、ことしの9月からエゾジカ肉に等級制を導入して肉質や価格にばらつきがあるという課題を解消し、消費拡大を目指しているそうです。牛肉を参考にして脂の乗りぐあいや色合いなどにより3段階ほどのランクに分けて、高ランクのものは首都圏に向けて売り込むとの考えですが、和歌山県でもこういった取り組みを参考にして、シシ肉やシカ肉でも取り組んでみてはいかがですか。よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) シシ肉等の等級制については、品質の安定化という観点から重要であると認識しております。しかし、現在のところ、県内では食肉処理施設による解体技術や肉の品質の見方に差異があることから、将来の統一基準づくりを視野に、技術の平準化を図るための講習会の開催や品質安定化に向けた協議を進めてまいります。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 この項の最後に、学校給食でのジビエの使用について教育長に伺います。
 私は、商業捕鯨が禁止されるまで、学校給食で日常的に鯨を食べてきた最後の世代であります。給食で、欠席をした同級生の分の鯨の竜田揚げをめぐって、けんかまでしたことを今でもよく覚えております。ですから、今でも鯨は大好きでありますし、竜田揚げのある居酒屋さんに行ったときには外せないメニューになっております。
 日本ではまだまだなじみの薄いジビエですが、シシ肉についても子供のころから口にしてきましたのでおいしくいただくことができますが、人によっては苦手な方もいらっしゃるようであります。
 日本マクドナルドの創業者である藤田田氏は、「人間の味覚は12歳までに決まる。それまでにマクドナルドはおいしいと植えつけておけば、一生マクドナルドを食べてくれるようになる。だから、おもちゃつきのセットを販売するんだ」と話されていたそうですが、自分自身に置きかえてみても、子供のころに口にしたものはずっと食べているなあと、途中であんまり食べなくなったもんはないなあというふうに思っております。恐らく皆さんもそうだというふうに思いますが。
 そこで、今後、消費の拡大を図っていくためには、学校給食に取り入れて将来の消費者のすそ野を広げるのも1つの考え方だと思います。また、シシ肉やシカ肉を食べることによって鳥獣害や今の里山の現状に対する理解を深めることもできるので、食育の観点からも意義があることだと考えますが、教育長の見解を求めます。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ジビエの学校給食への使用については、現在、日高川町において、町の学校給食関係者を対象としてジビエを取り入れた試食会や、月に1度、同町の保育園でジビエを使った給食が取り入れられてはいますが、価格や保護者の理解など解決しなければならない課題もあり、県内の小中学校の給食ではまだ使われてないのが実情です。
 一方、児童生徒が食材を通して地域の自然や産業等への理解を深めたり、食に対する感謝の気持ちをはぐくんだりすることは重要であると認識しております。また、議員御指摘のように、鳥獣害の被害などを学ぶことは大切でありますし、地産地消を推進していくことも必要であることから、給食の実施主体である市町村に試食会の実施などを働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 幾ら農作物を荒らすとはいっても、殺してしまうだけでは殺生になってしまいますので、自然の恵みとして食べてやることで、答弁にもありましたように、食に対する感謝の気持ちをはぐくめると思いますので、ぜひ取り入れていただきたいと思います。
 そしてまた、今回のこの質問をさせていただくに当たって、聞くところによりますと、教育長はちょっとジビエ、苦手だというようなお話を伺ったんでありますが、ぜひ、この試食会というようなことが実施されるようなことになれば、やはり食育の観点からも、現場に教育長自身、足を運んでいただいてPRに努めていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをしておきます。
 次に3つ目、県広報へのSNSの活用についてお尋ねをいたします。
 ソーシャルメディアが行政を変えるという認識のもと、県広報へのフェイスブックの導入について質問をいたします。
 議会へのiPadの導入をしている佐賀県議会の取り組みについて以前調べていましたら、ホームページをフェイスブックに移行し、そこからイベントや生活に関する情報を発信するようにしている佐賀県の武雄市の存在を知りました。何でも、市長のフェイスブック好きが高じてのことだったそうですが、フェイスブック・シティ課まで立ち上げて、それまで月に5万件だった閲覧数は60倍の300万件を超えるようになったそうであります。
 現在、フェイスブックの加入者数は、日本では1000万人を突破し、全世界では9億人に上ります。
 従来のホームページでは、住民がみずからアクセスしなければ情報は得られなかったのが、フェイスブックでは、あらかじめ登録しておけば、自治体が発信する情報をリアルで受け取ることが可能で、同時に市民の側からも要望や意見を即座に返すことができます。行政と住民の間で交わされるやりとりはだれでも閲覧が可能なので、すぐに対応しなければ厳しい批判にさらされることになるので頑張ろうという気にもなるし、評価もされますので、職員の方々も鍛えられるのではないでしょうか。
 フェイスブックで行政サービスのあり方は根本から変わるでしょうし、互いに実名でやりとりするのが原則なので、県民は、担当者と直接コンタクトできる利便性もあり、より行政を身近に感じることができると思います。
 また、県民と行政との距離が縮まることで地域の防災にも役立つケースも考えられます。例えば、県道で土砂崩れが起きた際、危険を感じた住民がそれをスマートフォンで写真に撮り、その場でそのまま行政のフェイスブックに投稿することで、どのニュースよりも早く情報をつかむことができ、災害対策面でも有効だと思います。
 ただ、必ずしもフェイスブックを使える人ばかりではないので、広報紙などを用いたこれまでと同様の情報発信も大切でありますし、NPOなどの協力も得ながらパソコン教室などを開いて利用者をふやすことを考えてもいいかもしれません。
 いずれにしても、スマートフォンの普及でフェイスブックなどのソーシャルメディアの利用が今後もふえ続けることは確実でありますので、行政にとっても無視できないツールになっていくものと考えますが、県の考え方をお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事室長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○知事室長(藤本陽司君) インターネットによる情報発信につきましては、さまざまな惰報提供の手段が開発され、発展してきていることに伴い、各種情報提供手段の特徴を考慮しながら県の広報に活用することが重要であると考えております。
 そのため、本県では、まず日々の情報を日記形式で公開できるブログに着目して、昨年5月に和歌山県広報リレーブログを開設し、本県の広報につながるさまざまな話題や県行政の現在進行形の情報を発信しております。
 また、電子メールで定期的に情報を発信するメールマガジンにつきましても、本年5月、登録者の希望に応じて防災や観光、教育といった分類別の記事を配信できるように一新するとともに、知事を初め県職員が職務上交流のあるさまざまな分野の方々に対し、積極的に登録を呼びかけているところでございます。
 近年、国内でも利用者数が急増している議員御指摘のフェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービスにつきましても、有力な広報手段の1つになり得ると認識しており、その活用方法を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 御答弁いただきました。
 先月からですかね、登録者の希望に応じての分類別の記事を配信するようにされたと。登録しても、何でもかんでも届くと、また煩わしさを感じてしまうので。これもうすごくいい取り組みだというふうに思います。
 また、あと、昨年の6月からのブログですかね、職員さんが持ってきていただいたカルビーの新ジャガのニュースの記事ですけども、僕もポテトチップスは主食のように毎日のように食べてるんで、こういう新商品が出ても新商品の棚まで行かないので、こういうので知ることができて本当にええなあというふうに思うわけでありますけれども。
 このフェイスブックに関してですけども、ブログにしても、今されてるメルマガにしても、一方通行になるんですよね。
 それで、武雄市でお話を伺ったときに聞いたんですけども、エピソードの1つとして、例えばフェイスブックでやりとりしてるときにアクセス数がふえたので、市のイベント自体が物すごく宣伝効果が上がったと。ある毎年やってるイベントで、すごく参加者がふえ過ぎまして、バスの対応が全然追いつかなかったと。それで、市民のほうからフェイスブックで市のほうに「どうなってるんだ。バス全然来ないぞ」ということで、フェイスブックに出たんですが、たまたまお休みだった職員さんがそれを見てバス会社に増便を手配したと。そういうすごい臨機応変なやりとりも可能でありますので、またこれから和歌山県も国体を控えてイベントの発信とか、そういう情報発信も含めて、国体でも観光でも県産品のPRでも、いろんなことにこのソーシャルメディアが活用できると思いますので、ぜひともいいところをとらまえて取り入れていっていただきたいということで、要望しておきます。
 最後に、科学に関心を持たせる取り組みについて、教育長に伺います。
 昨今、子供たちの外遊びが少なくなり、体力の低下などが叫ばれると同時に、自然に触れる機会が減少したことで理科に対する生徒や児童の興味や関心が低くなったり授業における理解力が低下したりと、科学に興味を持つ子供が少なくなって、日常生活での基礎的な科学知識を持たない子供が多いと言われております。
 かねてから家庭や教育の現場で科学に触れる機会をふやすことが必要だと考えていましたが、5月の21日に金環日食を観測できる機会がありました。和歌山県では、観測の適地であるということで、観光面で売り込みがされているくらいでありました。私としては、この世紀の天体ショーを通じて子供たちに自然や科学に関心を持たせる絶好の機会であったと思いますが、県内の小中高においてどのような取り組みが行われたのでしょうか。教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 子供たちの科学への関心を高めるためには、本物に触れさせることによって大きな感動を与えることが大切であると考えています。
 先日の金環日食はこうした意味で絶好の機会でありましたので、県内のほとんどの小中学校では日食グラス等を用いて観測会を実施しました。また、天文台の協力を得て事前の学習会を開いた学校や、共育コミュニティの取り組みを生かして地域の方々と観測会を行った学校もありました。多くの高等学校においても希望者による観測会が開かれ、スーパーサイエンスハイスクール指定校では、気温や照度といった環境データの測定も行うなど、より科学的な観測が行われました。
○議長(山下直也君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 5月の金環日食に続いて、今月初旬には金星の太陽面通過がありました。また、来月には木星食、8月には金星食が観測されるそうで、ことしはさまざまな天体ショーが観測されるそうです。
 まさに天体ショーの当たり年と言われておりますけれども、今後も、こういった天体ショーに限らず、さまざまな機会をとらえて子供たちに科学に関心を持つ機会を与えていっていただいて、いつの日か「ネイチャー」や「サイエンス」などの科学誌に取り上げられるような科学者が育って、行く行くはこの和歌山からノーベル受賞学者が出るような、そういうことを心から祈念申し上げて、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。

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