平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 それでは、ただいま議長の御許可をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今回は質問数も減らしまして簡潔にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、昨年は、和歌山県にとって明治の大水害以来とも言われるほどの台風12号に伴う大雨で大きな被害を受けるなど、大変な年となりましたが、知事を先頭に全職員が一丸となって復旧活動に取り組んでいただいた結果、傷めつけられた道路や橋や河川の復旧が日々進んでいます。ありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。
 さて、中期的な視点で地域社会の将来を思い、地域社会の心配事として質問をさせていただきたいと思います。
 バブル崩壊後、生活の厳しい時代が続いていますが、それでも人口規模の大きな市域では何とか実生活上の厳しさも和らぎを感じますが、町村地域では行政の各種手だてをいただきながらも生活環境の低下傾向が続いていると考えており、住民の多くは、時代の仕打ちに漠然とした不満を持ちながらも、何をどうすればよいのかわからない中で二重苦、三重苦にあえぎながら日々の生活を続けています。
 そうした中ではありますが、何か改善策は見出せないものかと考えることがあります。
 例えば、私たちの住む地域でも、大型店と言われる店舗の進出が進んでおり、既存の小型店の経営者は戦々恐々として過ごしています。大型店の進出の影響を少し考えてみますと、例えば大型店に年間5億から10億円の売り上げがあるとすれば、年間1000万から3000万未満で辛うじて営業を続けている小型店の30店舗から100店舗分の売り上げに匹敵いたします。
 大型店が進出したからといって、小さな人口規模の町村で消費を広げる効果はそれほど考えられず、小さな地域経済のパイの中で売り上げの分捕り合戦の様相となり、小型店、小売店の経営を大きく圧迫し、その先では閉店へと進んでいかざるを得ません。その結果、商店街と言われたところがシャッター通りのようなさまになり、経営者は職場がなくなり失業し、新たな職を求め、時には引っ越していかざるを得なくなります。小さな地域社会の中では、こうしたことも悪循環の連鎖を引き起こす原因となり、無力感が漂い、人々の生活のための意欲を失っていっているのです。
 こうした現状が今日の地方の現実であると考えています。これは、小規模店の淘汰にとどまらず、恩恵を受けていると考えられている消費者自身も知らないうちに巻き込まれ、蚊帳の外では済まされません。
 例えば、車などの交通手段を持たない高齢者や障害者など生活弱者は、身近にあった店舗の消失とともに、生活難民、買い物難民となってまいります。
 一極集中的に効率を求めた経営方式が進んだ結果、生活に必要な店が身近にないのです。地域のコミュニケーションが消え、最も大切な人と人との会話がなくなり、それは最近のはやり言葉ともなった「孤独死」の出現であり、会話の少なくなった社会からは人々の生きる力さえ弱まり、きずなの弱まった社会では犯罪の増加や自殺者の増加となってあらわれるなど、人々の心の崩壊が進んでいるように感じます。
 ここで、まず1点目の質問です。
 小さな地域社会を守るため、大規模大型店の進出を認めている大規模小売店舗立地法を改正し、出店規制を求めたいと考えます。せめて1万人や2万人規模の町村に対して制限をかけるよう国に対して進言していくべきだと私は考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、高速道の南伸が進んでいます。待ち望んでいた地域に住む者の1人として、今日までの取り組みに対して多くの関係者の皆さんに深く感謝と御礼を申し上げます。また、半世紀近くにわたり、その完成を夢見て待ち続けながらその寿命を終えていった多くの方々の願いを思うとき、胸の内は本当に複雑でございます。
 さて、紀南地域全体の発展や大規模地震への備えとして、その高速道路の南伸を大きく評価しながらも、一方、デメリットも存在しており、心配をしています。それは、紀伊半島南部では、長年にわたり国道42号線とともに住居を構え、店舗をつくり、学校ができ、集落のコミュニティーが構成されてまいりました。県の南部へ行けば行くほどその傾向が高く、国道とともにはぐくまれ、国道に支えられ、生活を重ねてきたまちであり、集落であると考えているからです。
 その国道42号線は、紀伊半島の険しい内陸部を避け、わずかばかりの平地がある海岸線にへばりつくようにつくられ、その周辺に集落、まちができているのです。当然のこととして、海岸線近くにはもう余力の平地がなく、新しい高速道は内陸部を、トンネルを縫うように工事が進められていきます。したがって、完成後は他の一般道とは違い、集落との接点は少なく、地域に住む住民とのコミュニケーションは遠ざかっていくおそれがあります。少なくとも、紀伊半島南部に点在する拠点となっているまちの中心街以外の沿線に生活する集落は衰退していくのではないかと大変心配をしています。
 悩ましい問題だと考えますが、これに対する地域活性化案等があればお教えをいただきたいと思います。
 引き続き3点目ですが、農林業をなりわいとする県民を苦しめ続けている鳥獣に対する取り組みをお尋ねいたします。
 和歌山県南部地方では、鳥獣害の被害は海岸部まで広がり、1畝ほどの小さな畑にまで防護さくを張りめぐらせており、収穫間際の作物に対する動物による収奪に無力感が広がっています。県からは、防護さくなどの補助による支援が続けられていますが、そもそも数10年前のその昔は、農作業で疲れた体で防護さくの設置まで、その仕事としてしなければならないことはありませんでした。
 過疎による人口減少に伴い、人のいなくなったところまで動物たちがテリトリーを広げ拡大してきたことにより被害が広がり、そして、繰り返し被害を受けることにより耕作意欲が減退し、耕作を放棄する、すると、さらに動物が活動範囲を広げる、こうしたことの繰り返しで、ついには住みにくくなった集落を後にする、不幸なスパイラルだと感じます。こうした事柄の1つ1つに有効な手だてが必要です。
 そこで、県における鳥獣害被害対策の現状と課題につきまして、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
 4点目に、漁師を取り巻く現実も大変深刻です。いそ枯れや海水温の上昇や開発途上国の漁船の大型化などにより、カツオなど沿岸漁業を支えてきた各種魚類の漁獲量の減少が続いており、先行き不透明感が漂っています。したがって、将来不安のある水産業に子供をつかすことができず、多くの漁師の家庭では後継者が育っていません。
 すさみ漁協の漁師のお話では、現役漁師の年齢はもう70歳から85歳ぐらいだと言います。その数字には、若い世代の姿が見えません。このままあと10年もすると、恐らく産業としては続けられず、行き詰まってしまうとのことでありました。現場は待ったなしの状況でございます。中長期の対策を改めてお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、東関東沖地震と津波により発生した、いわゆる瓦れきの処理についてお伺いをいたします。
 日本政府よりその打診を受け、全国の都道府県ではその協議を重ねてまいりましたが、その結果は、瓦れき処理の受け入れを表明した市町村は思いのほか少なく、私個人としては大変残念で、不満を覚えるものでございました。
 瓦れきの受け入れを表明した首長は、その市民から大反対運動を受けていることが報道されています。あの大災害を目にし、涙した同じ国民が、瓦れき受け入れにプラカードを掲げ、反対集会を重ねているのです。同じ遺伝子を持つ同胞である日本国民が、1000年に一度発生したという大災害で家屋敷、車、船、その他ありとあらゆる財産が破壊され、途方に暮れた生活がまだまだ続いていることを思うとき、支援ができていないことは大変残念でなりません。
 和歌山県下においても、焼却余力がないとのことで、現時点で受け入れたとの情報は知りません。
 自民党県議会の会派会議の中でも、議員の方から、たとえ1トンでも受け入れができないのだろうかといった発言がございました。私も同感です。せめて心を共有できないのか。地震と津波の大被害を受け、さらに放射能汚染を受けるなど、二重苦、三重苦に陥っている上に、大量に発生した瓦れきの山の処分が進まず難儀している現状を見ながら、受け入れを表明できないことに大きなジレンマを覚えてしまいます。
 近く来ると言われている南海・東南海地震で、今度は我々の地域が未曾有の大被害を受けるであろうと言われています。東日本地域の各県と同様に、生活に使っていた家屋敷はもちろんのこと、衣類から車や本など、すべてのものが廃品となり、瓦れきの山となってしまうことが予想されます。当然のこととして、災害が過ぎれば一日も早い復旧に取りかかることになりますが、このときまず最初の仕事は、廃品となり、作業の妨げになるであろう瓦れきの処理であると考えています。
 発生するであろう膨大な瓦れきの山を前にして、県内の現在の炉の処理能力を考えると県内だけでの処理には限界があり、他府県へ支援のお願いをすることになると考えますが、今回、1トンの瓦れき処理も了解しない中でお願いが果たしてできるのでしょうか。そのとき、快く引き受けてくれるのでしょうか。
 困ったときはお互いさま、いま一度、県下の市町村に相談をすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 これで、1回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大規模小売店舗の問題であります。
 この大規模小売店舗の出店につきましては、平成11年度以前は法律の名前も違いまして、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律と、旧法と言いますけども、これによって当該大店舗と、それから周辺の小売事業者の事業活動を調整することによってその小売業者の事業活動が悪い影響を及ぼさないようにするというようなことをやってきたわけです。
 ところが、一般的に消費者ニーズをちゃんと考えておるのかとかいうことの批判がありますとともに、近いところから結果的に追っ払って遠いところに行かれた結果、その遠いところに自動車で行かれて地域が全滅するというようなことが物すごく起こってきたわけでありまして、かえって地域や周辺の小売事業者の事業活動に悪影響を及ぼされるというようなことも出てまいりました。
 そこで法律を改正いたしまして、旧法では、計画的な地域づくりとの整合性がとれなかったことに加えて小売業は活性化できない一方、新たな問題として、出店に伴う交通量の増加とか騒音の発生など、都市のあり方との整合性といった周辺生活環境への対応は依然として求められると、こういうような考え方になりまして、大規模小売店舗立地法という名前の新法ができたわけであります。
 この法律と、それから都市計画法とか、あるいは中心市街地活性化法というものを3つ使って、いわゆるまちづくり三法による立地調整あるいは地域振興というものをやっていこうというふうに現在は変わってるわけであります。
 このうち、この大規模小売店舗立地法にも、どうぞ御自由にというわけじゃなくて、周辺地域の生活環境への対応を事業者に求めるというような点が残っております。それを無視して強行するような立地は、地方公共団体が勧告をすることになっております。
 そのほか、さらに都市計画法で、用途地域や地区計画によって、あなたはここへ来ちゃいかんとか、ここに行きなさいとか、そういうようなことをすることができますし、また、残された中心市街地のその前からある小売事業者は、商業施設や居住施設の誘致など、市内中心部の活性化を図るというようなことをやっていこうと、こんな考え方になってるわけです。
 したがいまして、市町村は、このようなまちづくり三法を活用して、地域の実情に沿った総合的なまちづくりと、それから適正な大規模店の配置、そういうものを考えることができるというのが現状でございます。
 最近目立つのは、どちらかというと一緒にいたほうがかえっていいかもしれないというような議論もあって、それは大規模小売店舗を中心とするようなゾーンにもとある事業者が店を並べる、駐車場は共有するというようなやり方などもはやっているわけです。
 県としては、今おっしゃったようなこの大規模小売店舗立地法の改正を求めるというんじゃなくて、むしろ市町村のまちづくりに関する取り組みというのを、これ、意識の薄いところもありますので、より一層進めるように適切な助言や指導を行っていくべきではないかと私は思います。
 また、意欲のある商店街等については、我々も政策的な枠組みもつくっておりますし、市町村と一体となって活性化が図れるように可能な限り支援していきたいと、こう思っておる次第でございます。
 次に、瓦れきの広域処理については、大変な深刻な問題であるということは承知しております。私も、気持ちは立谷議員がおっしゃったような気持ちでおります。
 分析いたしますと、不燃物、これは石のたぐいですけども、こういうものは被災地において処分してしまうということがふさわしいと思いますけれども、可燃物は燃やさないといけません。市町村は焼却能力が不足しておりますから、燃やすための能力をどこかが貸してあげるということは合理性があるんだというふうに思っております。
 しかも、実はこの災害の瓦れきというのは一般廃棄物と考えられますので、必ずしも実は県の責任ではないんですけれども、市町村任せにしないで、産業廃棄物業者なんかとコンタクトのある県が、その能力があるわけですから乗り出すべきだと、また、初めから分別をしていかないと物事は処理できないというふうに思っております。
 実は、紀伊半島大水害のときも同じように瓦れきが発生いたしましたが、県が初めから乗り出しまして、それで初めからもう分別を物すごく徹底しまして、それでその結果、実はある部分は県外に持っていってもらったんですけれども、別に摩擦もなく、今、被災地においては瓦れきはありません。
 一方、事こうなってから国が乗り出してまいりまして、今申し上げましたような点も踏まえないで、各地にいきなり処分してくれというふうに言い出したわけであります。それで、しかも、それを引き受けない人は、立谷議員が今おっしゃったような意味での立派な心がけを欠いてる人であるかのようなキャンペーンをマスコミと一緒になって張って、これはおかしいんじゃないかというようなことを私は申し上げた経緯があります。
 さらに不思議なことに、今度は、国がお願いをしますと言っておきながら、実はその最終処分のやり方については規制をかけておるわけであります。これは、実は管理型と安定型という処分の仕方がありますが、管理型でちょっと危ないものということで、危なくなくなるまでは他とまじらないようにじっと管理して見張っておれというような考え方で、したがって海洋投棄をしちゃいかんということになってるわけであります。
 実は、こういうふうに国のやり方について批判ばっかりしておりましたら、放射能が嫌いな全国の、先ほど言われたプラカードを持って運動をしておられるような方々から、大変お褒めの言葉をいただきました。私は、別に放射能が危ないとは思っておらないんですが、結果としてそういうふうになりました。
 しかし、別に和歌山県として反対すべき理由はないので、実はずっと前から市町村に「どうですか」というようなことをお聞きして、照会して、さらに、例えば和歌山市長なんかには「どうですか」というようなことをたまに聞いたりしております。
 その結果、わかったことは、和歌山県では各市町村の保有する焼却施設の余力は大変少ないんです。ある程度、有為の能力があるということだけ見ましても、和歌山市と海南市だけだなあというふうに私は思います。しかも、その両市とも、御承知のように焼却灰の最終処分地は、現状では大阪湾の海洋埋立処分場に依存してるわけでありまして、現実的には、現状では実は空集合なわけです。そういう中で、何とかお願いできませんかというのは一体どういう了見だと、こういうことであります。
 一方、大阪湾のフェニックスにも、実はもう埋め立てが終わって、海洋投棄が終わって陸上になってる部分があります。こういうところに管理型の施設をつくって収容するという手はあるもんですから、実は、フェニックスの中でも特に兵庫県などが中心になって、そういう構想を今進めています。
 また同時に、国の基準だけじゃなくて、我々として自信を持った基準をつくろうということで、広域連合でその受け入れの基準、ちょっと厳し目の基準をつくろうということになっておりまして、それには和歌山県も参加しているところでございます。この基準ができ、そして受け入れ施設のプロジェクトが軌道に乗りますと、埋立地がないという和歌山市、海南市の障害がなくなるわけです。そういうときは和歌山市などにも可能性は出てくると思います。
 ただ、県は自分の施設を持ってるわけではありませんので、これはあくまでもやっぱり和歌山市や海南市が御判断なさることなんで、あんまりああせえ、こうせえと言うわけにもいかんという状態で、その周辺については我々もサービスをしておるというような状況にございます。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 高速道路と地域の生活についてでございますが、高速道路の南伸は、経済活動のチャンスを保障し、新規企業の立地や観光の振興、それから農林水産業の振興など、紀南地域全体の発展の起爆剤となるものであります。
 また、防災の面からも命の道となるものであることから、その一刻も早い完成を多くの住民の方々が待ち望んでおられます。
 議員御指摘の面につきましては、地域全体として訪れる方々が増加することが予想されることから、その波及効果を生かせるよう、資源の掘り起こしや新たな交流の展開などの施策が必要であると考えております。
 県におきましては、埋もれている地域資源を活用するわがまち元気プロジェクトや、過疎地域を元気づけるわかやま版「過疎集落支援総合対策」などの地域振興施策を地元市町村と連携しながら実施し、地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 鳥獣被害対策の現状と課題について、県では平成20年度から鳥獣害対策予算を拡充してまいりましたが、さらに昨年度から予算を大幅に増額し、捕獲を重点に、防護さくの設置や放任果樹の伐採などの集落の環境対策等を総合的に実施しているところです。
 特に、重点である捕獲対策については、有害鳥獣捕獲補助金の拡充により捕獲推進を図るとともに、シカの個体数調整のために県が管理捕獲を実施しております。また、狩猟者確保のため、狩猟免許の取得を推進しております。
 その結果、本県の平成23年度の農作物被害額は3億2800万円と深刻な状況ではございますが、一昨年の3億5000万円に比べ、やや減少いたしました。
 一方、被害対策を実施していない地域に、新たに野生鳥獣が出現するという状況が生まれております。鳥獣の個体数の増加、さくのない田畑や放任果樹園がえさ場となっていることや、狩猟人口の減少などが緊急の課題となっております。
 平成24年度は、国庫補助事業を積極的に活用し、予算をさらに拡充して広域での防護さくの早期設置を推進するとともに、市町村、狩猟者団体、農業者が一体となった地域の捕獲体制の整備を推進することとしております。
 次に、水産業に係る中長期対策についてですが、水産業については、水産業活性化アクションプログラムを作成し、漁業コストの削減や資源の保全、流通の改革、魚礁の設置、観光業との連携などの振興施策を展開してるところです。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、近年、燃油の高騰やデフレの進行など、厳しい情勢の中で、漁業生産量、生産額、漁業就業者が減少し、担い手の高齢化が進展しております。
 今後、漁業経営の合理化を進めながら、水産物の販売力の強化、流通の効率化、高付加価値化、新たな養殖水産物の開発、放流や適切な管理による漁業資源の増大などを図るとともに、観光業との連携を通じて漁家所得を向上させ、漁業就業者をふやしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 丁寧な答弁をいただけたと感じています。
 まず、知事のほうから御答弁いただきました大規模小売店舗の出店の規制です。
 我々は国ではないので、法律のことであったりとか、いろいろ難しい問題があって、簡単にいく話ではない。それは重々わかった上ではあるんですが、今、知事のほうからも、るる法律の成り立ち、あるいはそれを新しく法律の組みかえをしたりとか、いろいろそうした中で今日の一番いいであろうという形で取り組みを国がしていただいたと、こうだというふうに思いますが、ただ、しかし現実問題としては、ほんまにもう小さな50軒、100軒の集落でも生活が困難な事態になってきているというのは現実です。
 本当に、ちょっと買い物に行くんでも、大型店に行かなければ商品がそろわない。それはもう悪循環でして、小型店ではやっぱり商品も古くなってきたりとか、今の新しい─どうしても回転がしませんので古くなって、だんだんだんだんそれでまたお客さんの足が遠のいていくと、その悪循環が続いているわけです。
 私は、今回お願いさせていただいたのは、いろいろ考えてみたんです。いろいろ考えてみて、せめて1万人から2万人という表現を使わしていただきましたが、それがもう少し落とさせてもうても、せめて5000人、1万人ぐらいのそういうまちに対して、何か保護網をかぶせてもらうわけにいかんやろうか。
 今、特に大型店と言わなくても、もう1000平方メートル未満の200坪、300坪、そうした店舗でも、いわゆるチェーン店的な店が出てきていまして、これ1個できるだけでもオールマイティーで、薬屋さんかしらんと思ったら、何かティッシュペーパーからお菓子の端まで売ってて、雑貨店と一緒です。
 そういう店が1個できると、その地域のいわゆる消費の、そういうものを投網にかけたように入り込んでいくというのが現実です。これによって、その店ができたから、すぐ次の日から地域小売店が3軒ほど閉まったよというふうにはなっていないんではないかと思いますが、真綿で絞めたように、3年、5年、10年と、知らん間にここにあったお店がこんなふうになっててと、そういう事態が進行しています。
 そこで働いておられた方々、経営主もそうですが、そこの息子さんがおられたら息子さん、娘さんがおられたら娘さん、2人、3人の雇用だったところがなくなって、ついにはその集落から出ていかなきゃならん。そんな店が、2つ、3つしかなかったものが出ていくと、あとの人がまた生活できやんと。
 みんな、1人減り2人減り、これが我々の日本経済の発展を支えた人口を供給した地域であったと私は思うわけです。そうした地域が崩壊していくということは、日本経済全体が行き詰まっていく日がいずれ来ると、そんなふうに思えてなりません。
 また、簡単にいかない問題であるということは重々わかっておりますので、ただ、当局の皆さん方にやはり問題意識を持っていただいて、きめ細かい施策をいただければありがたいかな、そんなふうに思った次第でございます。
 それから、知事のほうに、さきに瓦れきの答弁もいただきました。これを、きょう議会で発言さしていただこうとすると、きのうの夕刊に、これはもうお読みいただいたと思いますが、大阪市が瓦れき3万6000トンの処理を受け入れる、それから、その下のほうにも、北九州市も受け入れを発表する、3万9500トンを受け入れる計画でと、こんなことが載っています。
 この3万や4万という、こういう大量の瓦れきを、先ほど知事からも説明いただきましたように、そうした状態の中で受け入れていくのは難しいと思いますが、ああした災害を受けて日々難儀を続けている生活を思ったときに、やっぱり今を生きる我々が、その心意気をどういう形で被災を受けた地域の皆さん方に伝えることができるか。本当に心で理解いただけるとこってかなりあるように思うんです。
 これだけの量を受け入れたからこれだけの心になったという話だけではなくて、やっぱり平素のその言葉1つ、あるいはこの取り組みの、難儀であれば難儀の言葉の発信1つによって伝わるような言葉で伝えていただくことも、また我々の世代が全体を見た中で、やむを得ん対応であったというふうな理解をいただける。そんなことも、細かいことを言うて申しわけありませんが、考えて、感じてなりません。どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、あと高速道路の地域の生活についてということで御答弁をいただきました。
 このことにつきましても、いろいろとお話をいただきました。しかし、高速道路は国道から離れたところにどうしてもつきますので、国道とともに生活──先ほど朗読させていただきましたが、生活している皆さん方というのは、もう本当に30軒、50軒の集落が点在している。そういう状況の中で、なかなか資本力とか、マンパワーとか、発想力であったりとか、日々の生活に追われた中で、どうしても、この高速道路の大きなエネルギーにうまくリンクさせて地域を何とかこの機会に活性化しようと、なかなかそこまで届かないというのが現状だと思うんです。
 そういった意味で、こうした地域にもきめ細かい視線を注いでいただきたいと、そのことのお願いをさせていただきまして、この項について終わらせていただこうと思います。
 それから次に、農林水産部長のほうから、最後にですが、鳥獣害被害、それから水産業にかかわる問題について御答弁をいただきました。この中で、2点ほど。
 昨年の被害が3億2800万で、一昨年の3億5000万に比べるとやや減少したと。このこと自体はありがたい数字であると考えます。ただ、農産物で3億2800万という数字は、ジャガイモ1個10円や20円の数字でいくとどれだけの被害であるかと、そう思うわけです。
 これからも、この被害がゼロになる、ゼロに向かっての取り組みをこれからも強力に続けていただきたいなと。せっかく額に汗して、我々のようにネクタイを締めさせていただいて出勤をさせていただくという、そういう仕事とはまた違うて、三つぐわを持って年に1度しか収穫ない、そういう農業事でございます。その中で3億数千万円も被害が年間あると、このことに対して、ぜひいま一度、そうした取り組みのさらなる進化を要望さしていただきたいと思います。
 それから、ちょっとこれも辛口のことで申しわけありませんが、今後も、24年度も「予算をさらに拡充して広域での防護さくの早期設置を推進するとともに」という御答弁をいただきましたが、農家の本当の願いは、この防護さくを設置していただきたいということではないわけです。こんなもの要らない時代に戻してほしいというのが本当の願いなんです。
 そういった意味で、これからも気を緩めることなく、こうした鳥獣害の被害対策について真剣な視線を持ち続けていただきたいと、要望させていただきたいと思います。
 それで、もう1つ、最後です。
 水産業に係る中長期的対策なんですが、これも本当に深刻な問題になってきている。あと、恐らくまた数年もすると、本当にどうしたらええやろかというほどの事態にならへんかと、そんな危惧をいたします。
 それは、先ほど聞いていただきましたが、大方の漁協の構成されている漁師の皆さん方の年齢が、あと10年の年齢ももたないんと違うかという年齢に達してるというところにあると思うんです。
 我々の健康を維持してくる─戦後何もなかった、食べ物のないときに、たんぱく源として海の幸をふんだんに我々はいただくことができました。これで、本当に健康的な体をいただくことになりまして、世界でも1~2と言われるこういう長寿大国という国を迎えることができた大きな要因の1つは、この海の幸にあったというふうに思うんです。
 これを、最近の若い人は海の幸を余り好まない人がふえてるようですけれども、やっぱり健康というキーワードから考えても、それから資源のない我々の国の立場を考えても、これからもこの海の幸の健全な漁獲というのは我々自身の食生活も豊かにするし、また漁師の方々もこのことによって、何千年と続いてきた漁をなりわいとするこの文化を次の世代に引き継いでいってもらえる。このことを我々の世代がとめてしまうような結果になるようなことにならないように、そういった視点でこれからも漁師の、水産業のほうにも強い行政のお力を注いでいただきたいと、そんな勝手なお願いを申し上げまして、今回の一般質問を終わらせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時41分散会

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