平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって一般質問をさせていただきます。
 最初に、1項目めは消費税増税問題についてであります。
 野田内閣は、民主、自民、公明3党の談合で、国民の6から7割が反対している増税を何が何でも押し通そうとしています。こういった談合で決めるやり方は議会制民主主義をじゅうりんするもので、断じて許せるものではありません。
 また、民主党政権は「任期中は消費税を増税しない」という2009年の衆議院選挙の公約を投げ捨て、さらに社会保障の公約も根こそぎほうり出そうとしていることに対し強く抗議することを最初に表明して、知事にお伺いいたします。
 国に対して県経済と県民の暮らしに大きな影響をもたらす消費税増税の中止を求めることについて質問いたします。
 まず、消費税を増税すれば日本経済はどうなるかということです。
 1997年、消費税を3%から5%に引き上げ、医療費負担増なども重なって9兆円の負担増が強行されました。このことで、せっかく上向きかけていた景気が一気に冷え込みました。ふえ続けていた勤労者世帯の可処分所得、消費支出は、この年を境に下がり始め、現在までそれが続いています。翌年の98年は、経済成長率がマイナス2%となり、失業者が4%を超えました。この年に自殺者が3万人を超え、ここから14年連続で3万人を超えるという深刻な事態が続いています。
 一方、県内の経済はどうでしょうか。県内総生産額は97年から減少し始め、以後連続して減っていきます。経済成長率は、国より1年おくれて99年にマイナス2%になっています。製造品出荷額は、1995年以降、連続増加してきました。そして、1998年から下降しました。1997年の9兆円の負担増が県経済にも大きな打撃を与えたのです。1人当たりの県民所得も、97年には260万1000円ありましたが、年々減少しました。2009年には239万4000円となり、この12年間では約21万円も平均所得が減っています。消費も長期に落ち込んでいます。
 このときに、さらに消費税の大増税、そして介護保険料の値上げや年金改悪なども含めれば20兆円ものすさまじい負担増を押しつけようというのですから、これでは家計の底が抜け、商売はとてもやっていけない、そういう事態になるのではないでしょうか。
 もう一つ、商店や中小企業の方にお聞きすると、消費税は売値に転嫁できず、身銭を切って納めなくてはならないという問題があります。全国商工会連合会会長は、5%分もの負担がしわ寄せされれば中小企業の利益は吹き飛ぶ、廃業がふえ、国や地方の税収も逆に減るのでないかと述べられています。
 私たちも、和歌山市内の商店街で商店の皆さんがどう心配しているのか聞いてまいりました。10%になれば商売を続けられない、廃業せざるを得ないというのが、大げさでなく、本当に切実な多くの商売人さんの声です。物が売れなくなるとともに、さらに身銭を切らなければならないのです。
 和歌山県は、小規模企業が90%を超える全国一小規模企業の割合が高い県です。小規模企業ほど消費税増税は商売や営業を直撃するわけで、県の経済にとっても消費税増税が甚大な影響を与えると考えますが、いかがでしょうか。消費税増税、また20兆円の負担増による県内経済への影響をぜひお考えいただきたいと思います。
 また、病院への影響も深刻です。全国自治体病院協議会が会員病院を対象に調査したところ、2010年度に負担した消費税は、1病院当たり平均1億2414万円に上ったことがわかりました。消費税が10%になれば、その倍の負担になってしまいます。
 私が聞いたある病院では、100床当たり消費税分年2000万円納めて、赤字ぎりぎりの経営状況ということです。10%になれば全く経営が成り立たないということでした。消費税増税は、病院存続の危機的な状況を引き起こし、地域医療の崩壊につながります。
 このように、暮らしも経済も破壊し、財政危機をますます深刻化させる消費税増税の中止を求めるべきではないでしょうか。知事にお答えいただきたいと思います。
 これで、第1問を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 社会保障制度の機能を維持し、制度の持続可能性を確保するための改革が必要でありまして、そのためには、いわば最後の財源である消費税を充てるということは理解できるということを2月議会で申し上げました。
 消費税は、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点や安定的な財源であることから、社会保障制度を担う財源としてはふさわしいと思います。
 現在、国政の場において議論がなされておりますけれども、消費税の増税については、最後の財源であるということであるからこそ、国民の十分な理解を得つつ進めていくことが大切であると考えております。
 なお、増税がなされる場合には、経済や暮らしへの影響を踏まえ、経済状況の好転のための施策、低所得者対策、適正な価格転嫁への取り組み等の対策が適正になされるべきであると考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁ありがとうございます。
 2月の定例会のときも質問をさせていただきましたが、そのときに、「将来の見通しをしっかり立て、社会保障と税の一体改革の必要性をこの際、国民的に徹底的に議論し、その上で国民の理解を得つつ、これを進めていくことが大切であると考えております」と、先ほどの答弁と一緒にあわせておっしゃられました。
 その点で、先ほどるる申し上げましたように、県民の暮らしに責任を持つ知事として、やはり地方公共団体というのは、住民の福祉の増進を図ることを基本とするものということで、地方自治法にもしっかりと第1条の2に書かれております。こういった点で、県民にどのような影響が来るのか、そういったことを御理解して、また県民の皆さんからの声を聞いて、そういったところ、最後の財源にふさわしいというようなことになってるのでしょうか。その点、もう一度、再度答弁を求めたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民の暮らしとか、それから制度についての妥当性とか、別に答弁のときだけ考えてるわけじゃありませんで、常にそういうことを調べながら、そのための調査だけじゃないんですけど、今どういう状況かなあというようなことを考えながらいろんな行動をしております。
 そう答えたらいいんでありましょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事が、社会保障を維持させるために最後の財源として消費税とおっしゃられましたが、県民の暮らしがこれからどうなっていくのかという点で、まだまだ明らかになっていないと思うんです。
 これから、2015年度までに予定されている負担増の一覧を申し上げると、2014年4月には3%引き上げ、その以後、15年10月には2%引き上げ、年金減額が12年に6月0.3、12月0.9、ずうっと減額が続くんです。それで、子ども手当の減額も12年2月から行われています。年少扶養控除廃止、復興増税、年金保険料引き上げ、そして先日は介護保険料が12年で引き上げられた。
 そういった負担がどんどんどんどんふえていく大変な状況のときに、そういった消費税増税が決して暮らしをよくしていくものではないと思いますが、最後にお尋ねしますが、こういった消費税で暮らしがよくなると、そういった点で言えるでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 消費税の増税というのは、増税でございますから、必ず景気の足を引っ張るという点は否定できないというふうに思います。しかし、財政赤字をこのままでずうっと垂れ流していくと、いつか財政破綻が起こって、国民、あるいは奥村議員が今おっしゃったようないろいろな方々にもその影響は及び、暮らしを破壊してしまうということもまた懸念されます。同時に、じゃあといって大幅に福祉を切り捨てるわけにもいきません。
 現在、そういう意味で、政府では、デフレ脱却とか、経済の活性化とか、財政の健全化による国際社会の信頼の確保に加えて、経済や暮らしへの影響が生じないように低所得者への配慮とか、あるいは円滑かつ適正な価格転嫁とか、さまざまな政策をこれから検討していくんだと、一緒にやるんだというようなことも言うております。そういうところを注視しながら、心配しながら見守ってまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 その点、しっかりと見ていただきたいというのがあるんですが、その上に、いつも知事は、実態をきちっと把握すると、そういうことで政策を立てるんだと言われていますので、そういった点では、ぜひ、3%から5%になったときにも、なかなか中小企業の皆さんが価格に転嫁できない、そういった実態をやはりしっかりとまたつかんでいただいて、今回も今の現状をぜひつかんでいただいて適切な方向で考えていただきたいなと思うんです。
 なかなか国に向かっては中止というのが言えないというようなことだったんですが、最後に、こういった国の財政の行き詰まりというのが、やっぱりこの原因が何なのか、そういったところが十分県民の皆さんもわからないと思うんです。今までの借金が膨らんできて財政が大変やから、まあ増税は嫌やけど仕方ないなという、そういう思いの方も実際いらっしゃると思うんです。
 そういった状況の中で、やはり今の経済の行き詰まりがなぜ起こったかというあたりをしっかりと踏まえていただいて、本当にこの財政再建が国民や県民に負担がかからない、そういった方向でしっかり今後考えていただきたいなと思っています。
 もうこういう状況の中では耐えられなく、命まで本当に危険な状況になっていくんじゃないかと、さらに追い込まれていくんじゃないかということを言いまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、2項目めです。障害者の就労支援の取り組みについて、5点にわたってお尋ねいたします。
 1つ目は、障害者総合支援法案をどのように受けとめているかということについて知事にお伺いしたいと思います。
 昨日、障害者の総合支援法が国会の中で通りましたが、これを書いた時点ではまだ案だったんですが、支援法をどのように受けとめてるかということでお伺いします。
 障害者の皆さん71人が、全国14の地方裁判所に、尊厳と生きる権利を奪われたとして違憲訴訟を起こすなど、自立支援法廃止を求める国民的な闘いが広がる中、民主党政権は、2010年、原告、弁護団と同法廃止と新法制定を約束する基本合意を交わし、訴訟は和解、終結しました。自立支援法が障害者の尊厳を深く傷つけたことを政府自身が認め、反省を表明したことは画期的なことです。
 県議会でも、平成20年の12月議会において「障害者自立支援法の抜本的な見直しを求める意見書」が全会一致で採択されています。
 しかし、民主党政権は廃止の約束をほごにして、自立支援法を実質的に継続する障害者総合支援法が昨日成立しました。民主、自民、公明の3党が修正合意した改定案は、障害者とその家族が願う新法から余りにもかけ離れたものとなっていると思われます。
 障害を自己責任として、生きるために不可欠な支援に原則1割の応益負担を強いる過酷な仕組みは温存されました。利用の抑制につながる障害程度区分も存続します。障害者の範囲に難病を加えましたが、すべての難病が対象にはならず、新たな差別が生まれるおそれがあります。
 障害者の声を踏まえた新しい総合福祉法が国会に出し直されることを強く願うものですが、知事は今回の政府の対応や障害者総合支援法をどのように受けとめられておられるか、お答えください。
 次に、紀の国障害者プランでは、今後の主な課題の1つに、就労支援の抜本的強化が挙げられていることから、2点目は、障害者の民間事業所への雇用促進の取り組みについて商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 どのような障害があろうと、豊かで幸せな人生を送りたい、働きたい、そして社会に役立ちたいと思っています。長い入院生活を送っていたAさんは、働くところができ、笑顔が戻ってきました。わずかな収入ですが、それでも自由に物が買えることにとても喜びを感じています。
 現憲法のもとでは、だれもが希望と条件、体力に合わせて働く権利があります。私は、働く意思のあるすべての人に、所得保障を伴う職業訓練の確保が必要だと考えています。
 政府は、15日、民間企業に義務づけられている障害者の雇用率を現行の1.8%から2%に引き上げる法令改正を閣議決定しました。国や自治体も現行の2.1%から2.3%に、都道府県の教育委員会も2.0%から2.2%に来年度から引き上げられます。
 障害者の一般雇用の定着と、一般雇用につくことが難しい人々にとっても雇用が広がるように県の一層の施策を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 特別支援学校高等部卒業者の進路状況を聞かせていただきました。ほとんどの卒業生が進学や就職、障害者自立支援法による福祉サービスの就労移行支援や就労継続支援事業所を利用し、一般就労を目指す生徒がふえてきているということです。
 そこで、3点目の障害者の就労の現状と切れ目のない支援体制の構築についてお尋ねいたします。
 4点目には、障害の種別にかかわらず、県下どこに住んでいても一定の水準の支援が受けられることが重要です。市町村ごとの支援に格差が生じないようにするための県の役割はいかがですか。
 最後に、5点目に、障害者や家族にとって経済的に自立できることは喜びです。保護者の皆さんからよくお聞きします。「この子を残して死ねない」、「1日でも子供より長生きしたい」という痛切な声です。工賃向上の取り組みは重要です。到達状況はいかがでしょうか。
 以上、福祉保健部長、お答えよろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 障害者福祉制度につきましては、障害のある方の立場に立ったサービスが安定して提供される制度の構築が重要であります。
 平成23年8月に国になされた制度の見直しに関する提言は、障害のある方の思いが込められたものと承知しております。
 これまでも、利用者負担について、応能負担であることが法律上明記されるなど、段階的に制度見直しが進められておりまして、今回の障害者総合支援法についてもその一環であると認識しております。法目的も変わりましたし、最後に検討規定3年間というのも置かれております。
 県としても、今後とも国の動きを注視し、障害のある方や事業者の方の意見を十分聞きながら、いろいろと考えてまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 障害者の民間事業所における雇用促進につきましては、県としても労働局と連携して県内事業者への雇用の勧奨や県民への啓発に取り組んでいるところです。また、就職に必要な知識、技能を習得するための職業訓練の実施や、障害者就業・生活支援センターを通じて就労支援者を養成し、民間事業所に派遣すること等により障害者の就労及び職場への定着を支援しております。
 今後とも、労働局と連携を密にして取り組みを進めてまいります。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、障害者の就労の現状と切れ目のない支援体制の構築につきまして、県では、障害のある方がその有する能力や適性に応じて自立した社会生活ができるよう、一般就労に向けた支援や福祉的就労など、障害のある方の就労ニーズに応じた支援体制の整備を推進しており、福祉的就労はもちろんのこと、一般就労への移行者数も着実に増加しております。
 また、特別支援学校卒業生や、一般就労していたが離職した方の再チャレンジなど、ニーズもさまざまであることから、各障害保健福祉圏域に自立支援協議会を設置し、雇用、福祉、教育等の各分野の関係機関が十分連携を図りながら必要な支援を行う体制を整備、推進しております。
 次に、市町村格差と県の役割につきましては、県では、市町村間の連携を図るとともに、広域的な観点から施策を進めるため、各障害保健福祉圏域ごとの課題解決を図る場である自立支援協議会に助言・指導を行うとともに、地域における障害のある方の生活を支援するため、各圏域における需要を的確に把握し、サービスの計画的な整備を進めております。
 3点目の福祉施設における工賃向上の取り組みにつきましては、工賃倍増5カ年計画に基づき、官民一体となった工賃引き上げに資する取り組みを進めております。
 具体的には、販路開拓、受注促進のため、障害福祉サービス事業所に対する専門家による指導や、研修会で新商品の開発など成功事例の紹介を行ったり、即売会を開催するなどの取り組みを進めており、平成18年度の平均月額工賃1万2045円から年々工賃水準は向上し、平成22年度の平均月額工賃は1万4414円で、全国12位の水準となっております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 もう一度、知事に障害者総合支援法の成立に当たってお伺いしたいんですが、この間、障害者の団体の皆さんが、私たちの声を聞いてほしいということで、何度もそういった基本合意と骨格提言をつくり上げてきた。そういう経過の中で、今回こういった状況に─たった3時間の国会での審議と聞いておりますが、そういった点で、和歌山の障害のある皆さんも、こういった思いでこの新法を待ちに待ち望んでいたと思う。その気持ちに対して、知事はどのようにお考えなんでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大変お答えしにくい質問をされているという気がしますが、障害のある方に対する配慮は、県政として怠ってはいけないということは、私の県政における基本原則の1つです。そういう意味でも、障害のある方と結構頻繁にいろいろ打ち合わせをさしていただいたりしております。
 今回の法律改正は、自立支援ということを自己目的にしている法律というのがいかがなものかという点では、法目的も変わったし、それからその精神も生かされた。ただ、段階的でありますので、いろんなことはさらに検討して3年後の見直しにかけようというような法律でありました。そういう意味では、気持ちにはこたえ、かつ一歩前進であったんじゃないかなというふうに私としては思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 本当に、皆さんが議論してきてつくり上げてきた基本合意が生かされるような、応益負担でなくて応能負担という立場で、障害のある方が主権になってさまざまな施策が進まれるようにということで、その新法がまたできるように運動を私も強めていきたいなと思っています。こういったせっかく積み重ねてきた議論を、率先して和歌山県としても政策に生かしてもらえるようにリーダーシップを発揮していただきたいなということを要望いたします。
 もう1点ですが、この就労支援で要望をさせていただきます。
 紀の国プランでは、就労支援の抜本的強化について、「『働くこと』は、それを通じて社会に関わることができるとともに、生活の基盤となる重要な分野です。 障害の状態等に応じ、一般就労における職場環境等の整備や、福祉的就労における工賃水準の向上など、様々な支援が求められています」と書かれています。私は、発達の状況や障害の状況に、よりきめ細かな個々人に合った環境を整えていくことが大事だと思っています。
 全国福祉保育労働組合は、2007年に「日本の障害雇用政策に関するILO159号条約違反に関する、国際労働機関規約24条に基づく申し立て書」を提出しています。ILO勧告は、一般雇用につくことが可能でない障害者のために、保護雇用を確立するように政府に勧告しています。
 実際に、大阪府の箕面市は、障害者の社会的雇用モデル事業の実施を国に要望しています。社会的雇用制度とは、一般就労には至らないが、働きたい思いを持った障害者が、たとえ重度の障害があっても、みずからの能力、適性に合わせて働くことができ、かつ自立して生活するに足る賃金を受け取ることができるようにする制度を言っています。滋賀県や箕面市では、既にこの社会的雇用制度を実施しているということです。ぜひ県においても、今後、研究課題としていただきたいと思います。これは、要望をさせていただきます。
 次に、環境問題について質問をさせていただきます。
 まず、住友金属構内にある共同火力発電所1号機のリプレース計画にかかわってお尋ねいたします。
 共同火力1号機が運転開始48年経過し、更新が必要なこと、また、住金和歌山製鉄所で新第1高炉が操業され、平成24年度に新第2高炉が操業を予定され、増加する高炉ガスを活用する発電所ということで14.7万キロワットの発電所が建設されるものです。この新1号機ができれば現在の3号機との2基を稼働させ、2号機は予備に、1号機は廃止するという計画です。
 この新1号機建設をめぐって、近隣住民の方から不安の声が上がっています。もともと近隣地域は、住友金属による環境悪化がありました。公害工場の沖出しの約束がほごにされて、LNG火力発電所用地とされるなどの問題があり、また、最近は新高炉の稼働などにより生産量が増大し、粉じんがふえた、臭気がひどいなどの苦情が絶えない状況があります。こうした中での新1号機建設であり、住民の懸念が強まるのも当然です。
 住民の方が心配しているのは、1つは、新1号機が現施設より100メートル民家寄りに設置されるということ、また、その煙突が85メートルと現在のものより35メートルも低く、大気汚染がひどくなるのではないか、現在の1、2、3号機を稼働させながら新1号機を建設することで、より粉じんや震動、騒音がひどくなるのではないかということなどです。
 建設に当たって、県は、共同火力の環境影響評価に対し、県の環境影響評価審査会に諮問し、答申を受けて県としての意見を述べました。
 審査会の答申はどういうものだったかというと、新1号機の設置位置について、既設1号機の跡地や海側の土地についても候補地とした中から、現計画地に決定した検討の経緯を、生活環境の保全の観点から検討した内容も含め、環境影響評価書に記載すること、大気質については、大気監視局における二酸化硫黄濃度は環境基準を達成されているものの、気象条件によって高レベルになるときが認められるので、より一層の環境負荷の低減に努めること、低周波音については、3分の1オクターブバンド別の低周波レベルの予測値について記載すること、海生生物への影響を予測するためのデータ、知見が十分でないため影響は極めて小さいと評価することは適切ではないなどが指摘され、その他として、周辺の生活環境については、現状において環境基準はおおむね達成されているが、大気質の調査結果や風向、風速のデータ等によれば住友金属工業株式会社和歌山製鉄所を起因とする決して低レベルでない汚染が認められることから、今後も環境負荷の低減に取り組んでいくことが必要などとしています。
 ところが、この答申を受けた上で、県が共同火力に対して環境影響評価準備書に対する環境保全の見地からの意見として述べたのは、設備の色彩設計の検討、景観への影響評価を記載することだけでした。
 和歌山市からは、「新設備が民家に近くなることに対し、住民の不安があることから、十分な環境保全対策を講じ、これを確実に実施し、周辺への環境影響を現状と同等以下とするよう要望します」という意見が出されましたが、これについても県から事業者への意見には反映されていません。
 県が諮問した審査会からの答申の内容や和歌山市からの意見を反映しなかったのは、なぜなのか。審査会の意見にはどのように対応したのか。特に、大気質の汚染の低減を図ること、低周波レベルの予測、海生生物調査についてお答えください。
 また、住民からの不安や要望が県にも届いていると思うが、どう受けとめたのか、お答えください。
 また、審査会が指摘したように、大気質などでは決して低レベルでない汚染があります。現況の大気汚染物質については、一般環境大気測定局と環境保全協定に基づく周辺の調査地点4カ所で、二酸化硫黄の短期的評価で基準を上回る地点があり、また浮遊粒子状物質では、平成21年度ではすべての地点で短期的評価が基準に適合していません。
 共同火力の新1号機は、現1号機に比べれば、硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんのいずれも排出量は低減されるということですが、それで煙突が低くてもよいとするのでなく、最大限汚染物質を低減するという姿勢で、煙突もさらに高いものを要請すべきではないでしょうか。
 審査会が指摘したように低レベルでない大気汚染があり、その改善に向けてどう取り組もうとしているのか。住金との環境保全協定、覚書には、平成25年4月以降で二酸化窒素総排出量を1時間当たり476立方メートル以下にすること、和歌山共同火力の排煙脱硝装置をそれまでに設置するものとすると確認されていますが、これはどうなっていますか。設置場所が民家に近づいたことで、工事中や供用開始後の振動、騒音も大きくなることが心配されます。そうした問題についてはどう対応するのか、お答えください。
 次に、第3次和歌山県廃棄物処理計画にかかわって、産業廃棄物最終処分場計画についてお尋ねいたします。
 国は、2000年に循環型社会形成推進基本法を初めとするリサイクル関連法を整備するとともに、廃棄物処理法を改正し、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせた処理計画の策定を都道府県に義務づけました。
 和歌山県は、これに基づき、2002年に第1次和歌山県廃棄物処理計画を策定し、2006年には第2次計画に引き継ぎ、これらの計画の実施。到達状況を踏まえ、2009年度の実態調査をもとに、2011年から2015年度までの目標を定めた第3次計画を策定しました。
 産業廃棄物の最終処分量について見ますと、2009年度は15.9万トンでした。その内訳は、12.2万トンを大阪湾フェニックスに、県内処分は2.0万トン、県外処分は1.7万トンとなっています。
 処理計画は、この最終処分量の目標を2015年度には10.0万トンに削減する計画になっています。現状からおよそ3分の2に減らしていく。また、最終処分場は、大阪湾フェニックスが2027年度まで延伸されること、紀南地域の産廃については、公共関与の最終処分場整備事業を進めるとされています。また、和歌山県越境移動に関する指導要綱に基づき、産業廃棄物を持ち込ませない、なるべく持ち出さないの方針で指導するとしています。この計画でいけば、現在フェニックスで処分している量より県内で発生する最終処分量の総量のほうが少なくなるわけです。
 また、現在、フェニックスを除き、県外で最終処分しているのは1.7万トンです。この量も削減し、紀南環境整備公社での最終処分が計画されれば、それ以外に、御坊市や和歌山市で計画されているような新たな最終処分場は必要ないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、御坊市の管理型最終処分場計画は、規模で年間9万4500トンが処分できるものです。受け入れ8種類の産廃で今県外処分されているのは年間1万5000トンであり、この量の6倍もの処分ができる容量となっています。これは、余りにも処理計画とかけ離れたものではありませんか。これは、どこからの廃棄物の最終処分を受け入れることを想定しているのでしょうか。
 以上、環境生活部長、お答えください。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 環境問題について、共同火力発電所1号機のリプレース計画についてお答え申し上げます。
 審査会の答申内容や和歌山市からの意見につきましては、修文等により事前に評価書に反映したもの及び環境影響評価対象外のものなどは知事意見とはしておりませんが、知事意見に反映すべきものは適正に反映していると考えております。
 個別に御質問のありました大気質の汚染の低減については隣接事業所を起因とするものであることから、また、水生生物調査の意見については条例に基づいて環境保全措置を求めるものではないということから、環境影響評価対象外という判断で、知事意見としておりません。
 また、低周波レベルの意見につきましては、既に修文され、評価書に反映させていることから、知事意見としておりません。
 和歌山共同発電所新1号機のリプレースに関して住民から寄せられました意見等につきましては、その影響評価手続の中で審査会にも諮り、科学的な見地から適切な判断をいただいたと考えております。
 和歌山共同発電所新1号機リプレースによる大気質の変化に関しましては、排ガス脱硝装置等の設置や燃料の変更等により、発電所全体で汚染物質の排出量が低減される計画となっております。
 また、住友金属工業との環境保全協定等に記述された二酸化窒素総排出量の削減や和歌山共同発電所への排煙脱硝装置の設置につきましては、関西電力和歌山発電所の稼働を前提としたものであり、今後の推移を注視してまいります。
 最後に、煙突が低くなり、民家に近くなることなどによる環境影響につきましては、審査会の答申には盛り込まれておりませんが、科学的な見地から適切な判断をいただいたと考えております。
 次に、第3次和歌山県廃棄物処理計画についてでございます。
 県内で発生した廃棄物の種類別処分量を見ますと、瓦れき類や廃プラスチック類等で毎年6万トンから10万トンが処理されております。ほかに、リサイクル等中間処理を目的として県外から搬入された廃棄物で、その処理残渣が県内で最終処分されているものもございます。また、現在、県内で稼働中の最終処分場は3施設で、残容量は、すべて合わせても約2年で満杯になるという状況にあります。
 こうしたことから、御坊市におきます最終処分場の設置計画については、決して容量が大き過ぎる計画ではないと考えております。
 なお、和歌山市滝畑に計画されております最終処分場につきましては、現在、事業者が関係機関との事前協議を行っている段階でありまして、現在、議論できる状況にはないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再質問をさせていただきます。
 共同火力発電所の件については要望です。
 共同火力の発電所新1号機に関しては、この地域の環境改善については、県、市、住友金属で、関連企業も含んで環境保全協定を結んでいるわけです。それでも、大気汚染がある。協定の範囲内だからとか、現状より悪くならないからというのでなく、より環境を改善するよう取り組みを指導するべきではないでしょうか。
 平成25年4月までの排煙脱硝装置の問題も、関西電力和歌山発電所の稼働を前提としたものということでしたが、たとえ和歌山発電所がなくても、可能な限り二酸化窒素排出を抑えるために設置すべきではないでしょうか。
 また、煙突の高さも、汚染物質の排出が少ないから低くてよいというのではなくて、より環境改善を図るよう設定すべきではないでしょうか。
 こういう立場で臨んでいただきたいということを求めておきます。
 また、これから現3基が稼働している上に、新1号機の工事が始まるわけですから、環境影響評価審査会の答申でも指摘されていますが、環境の状況を把握し、必要に応じて適切な環境保全措置を講ずることが必要です。
 ぜひ、周辺住民の皆さんからの苦情や声を受けとめ、事業者に反映させていただくよう強く要望をいたします。
 廃棄物処理計画と産廃処分場の問題について、再質問させていただきます。
 今の処分場があと2年でいっぱいになるという答弁でしたが、しかし、全体として処分量を3分の2に減らすわけですから、今の処分場の残余も伸びるでしょうし、2015年度にはフェニックスと紀南環境整備公社で処分する量になるというのが処理計画ではないでしょうか。2015年度目標の10万トン、鉱滓以外では6万1000トン。フェニックスでの処分量というのはどの程度考えているのでしょうか、お答えください。
 御坊市の計画は、年間9万4500トンもの容量があります。鉱滓以外の年間総量の1.5倍にもなる規模です。さらに、和歌山市にはその倍の規模の最終処分場計画があります。こうした処分場計画は、第3次処理計画とはかかわりなく計画をされるものでしょうか。
 県外からの廃棄物が中間処理のために運び込まれるという答弁がありました。民間処分場ができれば、それは経営として行われるものであり、容量いっぱいの処分量を確保しようとするのが当然です。そのために、当初計画にない品目を追加したり、各地から廃棄物をかき集めるようになるのではないでしょうか。これは、第3次処理計画の理念にも反することになると考えますが、環境生活部長、再度答弁よろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) ただいまの再質問にお答え申し上げます。
 まず、大阪湾フェニックスにおきます処分量の御質問でございますが、第3次和歌山県廃棄物処理計画におきましては、目標とする最終処分量は定めておりますけれども、具体的な処分先につきましては想定はしておりません。
 次に、御坊市や和歌山市におきます民間事業者による処分場計画は第3次和歌山県廃棄物処理計画の理念に反するのではないかとの御質問がございました。
 和歌山県廃棄物処理計画では、県内で発生した廃棄物を県内において適正処理する体制の構築を目指し、大阪湾フェニックス計画の推進、紀南地域における公共関与による最終処分場整備事業の推進、そして廃棄物処理施設の確保を必要な取り組みとして位置づけております。
 民間事業者がみずからの経営計画に基づきまして最終処分場を建設することについて、何か規制を設けてるというわけではございません。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の答弁をいただいて、計画と─実際、事業者が計画をしたいということであれば、目標と、それはまた違うというようなことでおっしゃられたように思うんですが。民間が処分場をつくるときに許認可をするということが県の役割なんですが、それだけであれば、どんどん処分場ができていくというのか、処分場をつくっていく、処分量もどんどんふえていくということになるのではないかというふうに思います。
 処理計画で、目標とする処分量に見合う処分場を設けるということを民間の計画にゆだねるのではなくて、県の方針としてもしっかり持つべきではないでしょうか。
 そうでなければ、処分量の減量という処理計画に反することになっていくということを指摘して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

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