平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、どうもおはようございます。
 一般質問に入ります前に、6月の6日に御逝去あそばされました三笠宮寛仁親王殿下に対し、謹んで哀悼の意を表したいと思います。
 また、御逝去された同僚の川口文章議員に対しても、謹んで哀悼の意を表したいと思います。昨年、川口議員は文教委員長として活躍され、その委員会でも御一緒させていただきました。本当に親しみやすい人柄で、残念でなりません。心から御冥福をお祈りいたします。
 それでは、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、昨日、中議員から予告がありました署名並びに調査点検について申し上げたいと思います。
 私たち公明党和歌山県本部では、この4月下旬から5月下旬にかけまして、約1カ月間で署名並びに調査点検を行いました。1つは、防災教育の充実を求める署名、2つ目は、県内の小・中・高等学校の学校避難所としての防災機能の調査点検であります。
 1つ目の防災教育の充実を求める署名には、県内30市町村住民の方を対象に行い、14万4820名の方に御賛同いただき、18日には平野文部科学大臣へお届けいたしました。仁坂知事や西下教育長にも御報告を申し上げたところでございます。御協力いただきました党員の皆様、県民の皆様には、この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。
 東海・東南海・南海地震が危惧されている中、防災教育は、学校だけでなく、地域と一体となった防災教育、防災訓練の必要性を強く感じます。
 2つ目の学校避難所調査点検は、小・中・高等学校427カ所を対象に訪問し、水や備蓄食料、トイレ等、15項目にわたって調査し、393校、約92%の回答をいただきました。
 学校施設は、地震、台風、豪雨等の災害発生時においては、児童生徒等の安全を確保するとともに、地域住民の災害時避難場所になっております。東日本大震災や昨年の台風12号被害、先日の台風4号においても、学校施設が避難場所として利用され、地域の防災拠点として評価される一方で、実際に避難所として利用された状況等から、学校施設の避難所として必要な防災機能について、さまざまな課題が指摘されております。
 アンケートでわかったことは、問1の水確保などを問う質問では、約4割の避難所が水の備蓄がなく、それ以外でも、アルファ米や毛布等、他の備蓄品も含め、さらなる充実が必要です。
 問2では、防災倉庫、備蓄倉庫の有無についてお聞きしました。防災倉庫については約8割、備蓄倉庫については約7割の学校がないとの回答でございました。空き教室を活用したり、屋上を利用したりしてスペースを確保すべきではないでしょうか。
 問3では、トイレ、シャワーの有無についてお聞きしました。トイレ、シャワーに関しては、避難生活をするには必要不可欠です。現に昨年の台風12号被害で、紀南の学校では、水洗トイレの水が使えなくて、しばらく休校にせざるを得なかった状況もありました。現在、マンホールトイレが準備されてるところは24校、全体の6%でした。
 問4、問5では、学校施設内の衛星通信電話、災害時優先電話指定の有無をお聞きしました。ほとんどの学校では、衛星通信電話が設置されていません。これも昨年の台風被害の経験からすると、孤立化することが危惧されます。現在、衛星通信電話はほとんどなく、災害時優先電話の指定は4割にとどまっております。対策本部と避難所等の連携がスムーズに行えるよう、複数の情報機器の整備が必要です。
 問6では、自家発電設備の有無をお聞きしました。自家発電設備の設置も約4割にとどまっております。地震が発生し停電すると復旧までかなりの時間がかかるため、最小限度の用意が必要です。
 問7、問8では、太陽光パネル、蓄電池の有無をお聞きしました。太陽光パネルの設置に関しては約15%、蓄電池に関しては4%と低い設置率です。今後は、太陽光パネルと蓄電池のセットで設置することによって災害用の電源を確保する必要があります。
 問9では、災害時要援護者の避難に備えた特別場所の有無についてお聞きしました。約28%があると回答していますが、避難場所が3階に設置してあり、要援護者の負担をもっと考慮すべきと考えます。災害弱者対策のおくれを指摘せざるを得ません。
 問10、問11では、避難所用にラジオ、テレビの有無についてお聞きしましたところ、半数以上がないと回答しています。情報収集のため、最低限度の備えも大事です。
 問12、問13では、防災教育、防災訓練の有無についてお聞きしました。防災教育や防災訓練は、88%が実施との回答です。一定の成果は見受けられますが、学校、地域一体となった防災訓練を実施すべきとの意見もありました。
 問14では、学校避難所マニュアルの有無についてお聞きしました。この学校避難所運営マニュアルの有無については、60%以上がないとの回答でした。学校の先生は、生徒を守るという意識はありますけども、避難所に地域の人が避難した場合、そこまで手が回らないとの危機感があります。避難所運営の役割分担、指揮命令系統を明確にすべきであり、学校ごとのリーダーを決め、運営マニュアルを早急に作成すべきです。
 最後の問15では、御意見や御要望をお聞かせいただきました。教師は生徒を守る役目、避難所運営は行政でという意見があり、学校と防災担当者との連携を再確認する必要があります。防災備蓄倉庫を早く建ててほしいとの要望も多かったです。地域の方との防災訓練や避難所運営なども検討を必要としています。特に、自治会が多くて混乱が予想される地域も見当たります。地すべり地域の学校が避難所になっているという意見がありました。屋上には逃げたいが、さくがないので余計に危険。また、学校を高台に移転してほしいとの要望もありました。
 以上のことを踏まえ、この防災教育の充実を求める署名及び学校避難所調査点検への御見解、御感想について、仁坂知事、そして西下教育長にお伺いします。
 地震が発生すると、建物の倒壊等で自宅が被災し、多くの人々が避難所で避難生活を送ることになります。県の現在の想定では、最大10万4000棟以上が倒壊のおそれとなっています。大勢の方を受け入れながら、だれがどのように運営をしていくのか。県としても、平成20年に「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を出していますが、活用という点では、より避難所に合ったマニュアルが必要になってまいります。
 避難所ごとの運営マニュアルの作成と、リーダー研修の現状と今後について、半田危機管理監にお聞きします。
 県立学校の問題として、避難所としての指定は受けていても、基礎自治体である市や町との連携がとれていないことがわかりました。施設を市町にお貸しするという受け身の姿勢になっている状況です。住民が避難してくることを現実問題として余り考えていないということがうかがえます。
 例えば、昨年の3月11日は高校の入試2日目でありました。住民が高台にある高校に避難してきましたが、入試時間中で、部外者である住民を学校内に避難させるということは全くの想定外でした。学校に入れてもらえず、住民の方は外で待機、そういう状況があったようです。住民の立場からすると、非常時は近くの高等学校より遠くの小中学校へ避難しなきゃならなくなってしまっております。
 避難所として基本的な取り決めを早く決めるべきです。避難所としての協定書を市町村と交わしてる学校は、38校のうち13校しかありません。市町村と早急に協定書を交わし、避難所としての防災機能、その管理の問題等を確認すべきと考えます。協定書についてのお考えをお示しください。
 入試や学校行事のとき、有事の際の対応についての考えを改めてお聞きします。
 また、遠くから通勤する教職員、これには校長、教頭など管理職も含めて、発災後、勤務先の学校に行けない場合も出てまいります。管理職は、特に人事的な配慮も考える時期かもしれません。視野に入れていただいてるのでしょうか。
 また、私が訪問しました高等学校では、海岸に近く、避難所指定を外した学校もありました。避難所以前に学校そのものが危険にさらされ、埋立地に造成された場所ということもあり、津波被害や液状化現象が心配されます。このような立地のところに対し、移転計画等、どのような検討がされておるのかお聞かせ願います。
 以上、教育長にお尋ねをいたします。
 このアンケートや点検調査に関連して、学校施設の耐震化という問題についてお伺いします。
 学校施設の耐震化は、ここ10年で大きく進んでまいりました。10年以上前には、文科省は、全国の学校耐震化のデータすらなかった状態でした。初めてデータをとった10年前、2002年4月1日現在では、耐震化率44.5%でした。
 その後、2003年度より学校耐震化予算も増額され、特に2005年度には、当時の北側国土交通大臣が文科省をリードする形で連携。耐震診断の2006年度中の全校実施を決定。学校耐震化促進の予算の増額、学校耐震化の改修促進計画の策定を決めたほか、文科省は安全・安心な学校づくり交付金を創設するなど、強化策をとりました。
 2008年度には、中国四川大地震で多くの校舎が倒壊。多数の児童が犠牲になったこともあり、公明党挙げて学校の耐震化、病院施設等の耐震化を対象として犠牲者ゼロプランを提唱。特に、国庫補助率の引き上げ、自治体の負担軽減を図るよう、改正地震防災対策法──学校耐震化の促進法─を成立させ、実質的な自治体負担額を従来の31.25%から13.3%へと半分以下に下げました。学校耐震化が加速された大きな要因でございます。
 こうして学校の耐震化は、昨年4月1日現在で80.3%、ことしの夏休みが終わるころには90%近くまでなっているのではないでしょうか。
 民主党政権時には逆噴射が始まり、予算額も約60%削減され、耐震・津波対策が大きく後退いたしました。
 東日本大震災で「釜石の奇跡」と言われる群馬大の片田教授の防災教育の充実の取り組みも、自公政権時の2008年につくった防災教育支援推進プログラムというモデル事業として予算計上し、釜石市を初めとして助成を行ってきたところです。2011年度の予算において、この事業を打ち切ってしまいました。
 「コンクリートから人へ」ではなく、コンクリートも人も大事なんです。人の命を守る防災教育の重要さがわかっていない民主党政権は早く解散し、信を問うべきと改めて申し上げたいと思います。
 和歌山県は、学校耐震化については、全国に先駆けて進んでいると伺っております。現在の進捗率と、補助金が見込める平成27年までには小・中・高を含めて完全実施となるのでしょうか。その見通しをお聞かせください。
 続いて、さらに学校施設の安全性を進めるために、非構造部材への耐震診断、耐震補強準備をお願いしたいと思います。
 東日本大震災では、学校施設にも甚大な被害がありました。被害状況を見ますと、建物の柱やはりといった構造体だけでなく、天井や照明器具、外壁、内壁など、いわゆる非構造部材が崩落し、避難所として使用できないばかりか、児童生徒が大けがをする事故まで発生しております。
 地震等災害発生時には地域の避難所となる学校施設は、児童生徒だけでなく、地域住民の命を守る地域防災拠点であり、最後のとりでとなり得るところです。その安全性の確保、防災機能の強化は待ったなしの課題です。学校施設における非構造部材の耐震強化について、現状と対策についてお聞きし、第1問とさせていただきます。
 ありがとうございます。
○議長(山下直也君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災教育の充実を求める署名と学校避難所としての防災機能調査点検について、私に答えよと言われた点について申し上げたいと思います。
 公明党和歌山県本部が防災教育の充実を求める署名活動を行い、多くの県民から賛同を得られたこと、また県内の小・中・高等学校を対象に学校避難所における防災機能調査点検を実施し、その調査結果を取りまとめられたことは、大変有意義なことであると考えます。
 後者については、具体的には、避難所マニュアルを避難所ごとに作成して事前に自主防災組織と連携し、役割分担を決めておく取り組みとか、あるいは火急の際にだれが開錠するか決めておき、約束を取り交わしておくこととか、あるいは学校長が平時から地域の自治会役員と連携し、顔が見える関係をつくるような取り組みをしておけとかなどなどのそういう御指摘は、災害時に混乱が生じないようにする取り組みとして大変有効だと考えております。
 お聞きしましたので、早速、防災当局と教育長に、これをよく勉強して改善を検討するように指令を出しました。
 一方、調査点検結果を文部科学省にお届けになった際に、一番初めに申し上げました、防災教育の充実を求める署名をお届けになるというふうに言われましたので、それでは和歌山県で行っている大変先進的な防災教育や教材等、御紹介くださいというふうにお願いをいたしました。
 本県では、防災教育については専門家会議の委員であり、「釜石の奇跡」で著名な片田敏孝群馬大学大学院教授にずっと前からアドバイスを受けておりまして、昨年は田辺で教員を対象に大講演会をやってもらいました。その内容は、想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれという避難3原則の思想を取り入れたものでありまして、私も実は聞かしていただきましたが、大変感動的なお話でありました。早速、DVDを県内の全教員に見てもらうようにということを指令を出しまして、それは既に実現しております。
 さらに、この考え方を取り入れて「津波防災教育指導の手引き」という教材をつくりまして、既に全生徒に対して強力に防災教育をやっていく取り組みを始めております。
 これは、関係各所から高い評価をいただいた、避難先に安全レベルを設定し、時間のある限りより安全な避難先を目指す取り組みとか、あるいは家族で避難場所とか避難経路を話し合って避難カードを書く取り組みとか、こういうものもやっておりますが、片田教授との意見交換から県として考案し、命を守るためにもより高く避難する意識が行動につながることが不可欠という願いを具体的な形にしたものであります。こういう点についてもお届けいただいて、評価いただいたと思います。
 こういう先進事例が文部科学省を通じて日本全国に広がり、そして日本全国で命が救われるようになったらよいと私どもも考えております。
 県としては、学校の防災教育、家庭や地域の取り組みと連携して、地域の安全レベルを向上させる方向で、議員御指摘のような点をどんどん取り入れて、さらに取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難所運営マニュアルの策定と避難所運営リーダー研修、その現状と今後についてでございますが、県としましては、自主防災組織などでの共助による防災活動の中心的な担い手であります地域防災リーダーの育成講座といたしまして、紀の国防災人づくり塾を平成17年から開講してきております。昨年度までに821名が修了しており、その中でも、5日間の講座日程のうち、避難所運営に関してはほぼ1日を充てて研修しております。
 紀の国防災人づくり塾については、県長期総合計画において、平成29年度までに1000人の地域防災リーダー育成が目標でありますけれども、目標を大幅に上回るペースで進めることができてございます。
 避難所の設置主体は市町村ですが、過去の大規模災害においては、市町村は管内の救援・救助活動や物資の発注、受け入れなどに人手をとられ、避難所の運営については、自主防災組織を初め地域が大きな役割を担っております。
 県としましては、平成20年3月に「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を策定し、避難所ごとに運営マニュアルが必要ということを市町村へ助言してまいりました。その内容は、自主防災組織などを避難所運営の中心として位置づけることや、避難所業務を各班で分担した効率的な運営などを盛り込んでおります。
 しかしながら、18市町村で運営マニュアルを作成していない現状ですので、県としては、まず作成について、市町村に対して積極的に助言を行ってまいりますとともに、同作成モデルの内容についても、東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓などを踏まえ、さらに充実させる取り組みを行ってまいります。
 以上です。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 防災教育の充実を求める署名及び学校避難所としての防災機能調査点検に係る4点の御質問に対してお答えをさしていただきます。
 まず最初に感想でございますけども、防災教育の充実を求めて14万人余りの多くの方々が署名されたということは、東日本大震災や本県を襲った台風12号による大水害の惨状を目の当たりにして、この世に生をうけたすべての人が、命のとうとさ、かけがえのない人が身近にいるというごく当たり前のことがいかに大切であるかということを改めて感じさせられ、県教育委員会としても極めて重く受けとめてございます。
 とりわけ、みずからの命はみずから守るべきということを柱にした群馬大学大学院の片田敏孝教授の教えのもと、小中学生が率先して避難し、その姿を見て避難した地域住民の多くの方々が助かった「釜石の奇跡」と言われる取り組みには、私自身も深い感銘を受けました。
 この貴重な取り組みを踏まえ、仁坂知事からも適切で、かつ迅速な助言がございました。それを受けまして、県教育委員会としても、直ちに片田教授の直接の指導・支援のもと、本県ならではの「津波防災教育指導の手引き」やDVD等を作成し授業を行うとともに、教員だけでなく、地域の方々も含めた研修会等を行ってきたところでございます。
 現在、この津波防災だけでなくて、他の自然災害に対応する防災学習も積極的に進めてございます。
 こうした──先ほど知事からもございましたけども、先進的な本県の防災教育というのは、他府県からも高く評価されておりまして、今後も物事の本質をしっかりと見抜いて果敢な教育行政を推進し、県民の信頼にこたえる安心・安全な教育の実現を目指してまいりたいと考えてございます。
 特に、今年度の高校生防災スクールでは内容を一新し、高校生が自治会の協力を得て地域のお年寄り宅を訪問して情報を収集し、その情報をもとに支援をしたり、災害発生時には緊急に必要とされる非常用トイレの製作や段ボールを使った個室スペースをつくるなど、より実践的な取り組みを行う予定としてございます。
 学校には、子供の命を守るだけでなくて、さまざまな自然災害時の地域の方々の避難生活の拠点としての役割があり、多くの学校が災害時の避難所として指定されております。
 先ほど知事の御見解にもございましたが、今回、議員の方々が取りまとめられた調査結果では、災害時に混乱が生じないようにする取り組みとして大変有効だと考えておりますので、今後ともそういう調査結果を生かしてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、県立学校の問題点ということで、協定書についてお答えをしたいと思います。
 いつ起こるかわからない自然災害に対しまして、自治体と学校が協力をして常にその事態に備えておくことは、当然のことと考えてございます。避難所に指定されながらまだ協定書を交わしてない学校に対しましては、市町村と学校の役割を明確にしつつ、避難所としてのあり方も含め、必要な取り組みを早急に結ぶよう指導してまいります。
 続きまして、入試や学校行事のとき、有事の際の対応についてお答えします。
 地域の方々にとっては、基本的に学校は安心・安全な場所であると認識されております。緊急避難時の受け入れについて協力するのは、当然のことと考えます。学校行事等を実施しているときの対応については、市町村の避難勧告や避難指示、災害の状況など、常に的確かつ迅速に情報を得ながら柔軟に対応するよう指導してまいります。
 県立学校の管理職の配置につきましては、その職責の重要性にかんがみ、全県的な視野に立ち、学校の実情等を踏まえ、適材を適所に配置しているところでございます。災害への対応につきましても、その重要性から、配慮事項の1つであると考えてございます。
 今後も、議員の御指摘を踏まえ、災害対応の観点からも、より状況等を把握し、適切な配置に努めてまいります。
 県立学校の津波対策につきましては、今後、県が作成する津波浸水予測図の結果に基づき、関係する市町と協議しながら、避難路の確保、整備の見直しや屋上等の避難施設整備、また移転の必要性も含めて検討してまいります。
 小中学校におきましても、特に発達段階に応じ、よりきめ細かで迅速な対応が求められているということを踏まえながら、設置者である市町村に対し、学校の安全性の確保について積極的に助言をしてまいります。
 学校の耐震化の進捗状況と完全実施の見通し等にかかわってですが、本県の公立小中学校施設の耐震化の進捗状況につきましては、平成24年4月1日現在、対前年比5.3%増の89.4%となっており、16市町においては既に耐震化を完了しております。
 今後の見通しにつきましては、文部科学省において平成27年度までのできるだけ早い時期に耐震化率100%を目指すという目標が掲げられたことから、いまだ完了していない市町村に対しては早期に耐震化を完了させるよう指導・助言を行っているところでございます。
 県立学校施設につきましては、本年4月1日現在、支援学校は100%、高等学校では98.7%、来年度には完了の予定でございます。
 公立学校施設につきましては、議員の御指摘のとおり、体育館等が災害時における応急避難場所として活用されることから、非構造部材の耐震化が新たに求められております。
 本県における公立小中学校の体育館等の非構造部材の耐震点検につきましては、学校や市町村において実施されているところでございます。今年度より、文部科学省の補助事業として防災機能強化事業が創設され、公立小中学校施設につきましては、この制度を活用し、防災機能の強化を早期に図るよう指導・助言を行っております。
 県立学校施設につきましては、体育館の非構造部材改修として、既に8棟を実施してございます。今後は、非構造部材につきましては、実施済みの現状調査に引き続き、改修のための点検を行い、実施計画を立て、順次改修を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。
 特に、避難所運営マニュアルにつきましては、今、御答弁いただきましたけども、30市町村の中で12市町村しかマニュアルができていないと、こういうことでございますし、今、一生懸命、地域防災リーダーを育ててるということでございますんで、しっかりそれがリンクできるようにお願いしたいと思いますし、あわせて、地震・津波被害が想定される沿岸部に近いところは、少なくとも準備をしていくことも県として強く御指導していただきたいということを、改めて半田危機管理監に御要望させていただきたいと思います。
 それから、防災機能の充実についてということで、各市町村のいろいろな状況がありました。県立学校も同じ状況です。必要最低限、どこまで県教育委員会の責任で計画していくのか、このことについてはちょっと御答弁いただきたいと思います。
 それから、有事の際の対応ということで、柔軟な対応が必要であるというお答えでございました。その仕組みをつくってあげることが必要ではないかと思います。
 例えば、入試をやってる。こういう入試というのは学校行事の中で一番大事な行事だと思いますけども、それを中断させるのか、それとも避難してこられた住民の方を受け入れながら並行してやっていくのか、そういう有事の際の取り決めはあるのでしょうか。重ねて教育長に御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) まず、第1点目の県立学校の防災機能について、どの程度まで考えてるかという御質問でございますが、県立学校の設置者として、施設面で生徒の安全を確保するための耐震補強や非構造部材の耐震化を行うことで避難所としての安全を今後とも図ってまいります。
 また、避難所としての人的、物的な機能整備についても、担うべき役割について各市町村と協議の上、学校防災の機能を一層充実させていきたいと考えてございます。
 また、県立学校の問題点として、柔軟に対応するという、これはどうするのかということでございますけども、災害時における学校の避難所としての初期対応には、本当にさまざまなケースが考えられます。議員御指摘のように、入試のときにどうするのかとか、あるいは交通麻痺が起こったらどうするのかというふうなことから始まって、学校行事を行っている場合、あるいは休みのときどうするのかとか、夜間はどうするのかと。
 知事の先ほどの見解の中にもございましたけども、それぞれに応じて適切な緊急マニュアルをつくっても、マニュアルにこだわらない柔軟な対応が必要であるという観点から、今後、協定を結ぶ際にも、各学校において、あるいは市町村の防災担当者や地域の方々と一層連携を密にし、協議を重ねながら、まず子供の命を守る、それから地域の方々の安全を守るという観点から、より適切なそうしたマニュアルをつくって、安全・安心な、本当に地域の方々の信頼にこたえられる学校教育の場でありたいというふうに願っておるところでございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 最後に、要望という形になりますけども、これは「日本教育新聞」の6月の11日に掲載された中身なんですけども、その中で、座談会という形で「3・11以後の学校防災 今、校長に求められるもの」と、こんなことが記事に載っておりました。
 ちょっと御紹介をしますと、「教育公務員というのは、子どもを指導するのではなくて、子どもの命を守るということが一番大切なことを、意識して仕事をすべきではないか。いざとなったら自分の命に代えてでも、子どもを守り切るということを意識しないとやり切れない仕事だなと、思った。それから、避難所としての対応というのは、学校の職員は初期対応だけでよい、その後は市役所職員が必ず来るからと言われていたが、現実にはそうではなかった」。
 あと、いろいろあるんですけども、このことを申されてるのが、昨年被害に遭われた宮城県の石巻市立の小学校の校長先生のお話なんですね。非常に参考になる意見だと思いますし、私たちが行いましたアンケートもぜひ取り入れていただいて学校避難所の防災機能強化に努めていただきたい、こういうふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、次の2項目めに移りたいと思います。
 学校通学路の安全確保について御質問させていただきます。
 きのう、岸本健議員から同様の質問がありました。重複する部分は避けたいと思いますけども、この問題への関心は、京都府亀岡市の痛ましい事件以来、全国で多発したこともあり、非常に高くなっております。
 警察庁の統計によれば、登下校中の交通事故で死傷した全国の児童数は、昨年1年間で2485人に上ります。惨事を回避するためには、通学路に危険、盲点はないか点検し、より一層安全対策を強化しなければなりません。
 我が党は、この事件を受け、通学路の安全対策プロジェクトチームを4月26日に立ち上げ、文部科学省、国土交通省、警察庁の担当者の方々にも参加していただき、現在まで都合6回開催をしております。そして、5月16日には、通学路の安全対策についての緊急提言を平野博文文部科学大臣あてに行いました。
 緊急提言では、全国的な通学路安全点検調査をゼロベースかつ子供の視点から実施すること、文部科学省が指導し、警察庁、国土交通省等関係省庁、教職員、保護者や専門家等関係者で構成する通学路安全対策協議会(仮称)等を早急に設置することにより本省及び現場での連携を密にし、通学路の指定や通学路の安全対策等を抜本的に見直すこと、通学路の危険箇所改善のため、予備費の活用も含め新たな対応を検討すること、これらの点検調査、安全対策の見直しの実施状況やその結果についてもあわせて調査することなどがその骨子となっております。
 早速、文科省、国交省、警察庁の3省の副大臣レベルの会合を開いていただき、通学路における交通安全の確保について、1、国レベルの連携体制の強化、2、地域レベルの関係機関による連携体制の整備、3、緊急合同点検の実施と対策の検討を各省庁から通達していただいたと伺っております。
 私は、京都府亀岡市の事故現場にも行ってまいりました。閑静な通りでした。人や自転車、そして自動車の往来をしばし見詰めていました。こんなところで起こったんやなあと改めて考えてしまいました。学校の正門もあとちょっとのところでございました。正門わきの空き地にはテントが張ってあり、花束もたくさん手向けられておりました。
 先日の報道によると、事故があった通学路について、30キロ規制に改めるそうです。事故が起こってからでは遅いと言わざるを得ません。難しい課題をほうっておくわけにはまいりません。特に各幼稚園や学校が定め、市町村教育委員会が主体として取り組む必要もあろうかと感じます。
 今度の通達では、県教育委員会の責務が大きくなってまいります。県教育委員会としての役割、今後どのようにして安全性を高めていくのか、教育長にお尋ねします。
 国土交通省からも通達が届いていることと思います。一般道における歩行者の安全確保という面、特に学校通学路に指定され、安全性を高め、児童生徒を守る道路、その道路管理者として通学路はどんな道路が望ましいとお考えか、歩道整備の現状と今後の通学路対策について、県土整備部長、お答えください。
 マスコミが取り上げるような大きな事故ばかりじゃなく、身近なところでも毎年のように繰り返されておると思われます。和歌山県内での通学路の事故の実態と、警察庁からの通達を受けて本県としてどのように対応されるのか、警察本部長にお答えをいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 道路管理者としての通学路は、歩道として車両と歩行者の通行空間が分離されており、歩道の幅員は、歩行者や車いす等のすれ違いを考慮し、2メートル以上とすることが望ましいと考えております。
 また、通学路の歩道整備の状況ですが、県管理道路について、交通安全施設等整備事業の推進に関する法律第3条で指定された道路における通学路の延長は約450キロであり、そのうち2メートル未満の簡易なものを含めた歩道整備済み延長は約170キロとなっております。
 今後の通学路対策につきましては、事業用地の御協力をいただき、歩道拡幅や歩道設置を進めるとともに、また、防護さくや側溝ぶた設置等の即効性が高い対策も活用し、通学路の交通安全対策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路における教育委員会の役割及び安全向上に向けての今後の取り組みについて、お答えいたします。
 通学路の安全を含め、子供たちの命を守ることは、すべてに優先される学校教育の根幹であると考えております。
 従来、通学路の安全対策については、教職員を対象とした研修会、並びに保護者及び地域の協力を得て行う登下校時の見守り活動など、学校だけでなく、地域全体で子供の安全を守る取り組みを進めてまいりました。
 県教育委員会といたしましては、今回の痛ましい事故を踏まえ、国の指示や依頼を待つまでもなく直ちに対応するとともに、文部科学省からの依頼のあった緊急合同点検の際には、地域の事情に精通した安全ボランティアの方々の意見も十分踏まえるよう、各市町村教育委員会及び県立学校長に依頼をしたところでございます。この調査結果をもとに、県教育委員会、県警察本部及び県土整備部の3者が連携し、情報の共有や、より効果的な対策について検討していきたいと考えてございます。
 今後も、保護者及び地域による子供の見守り活動の充実促進、並びに発達段階に応じた交通安全教育等を推進することにより、子供の危険を回避する能力だけでなくて、危険を事前に予測する能力等の向上にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) まず、通学路の事故の実態についてでございますが、現在、交通事故統計は、登下校中における項目、事故が登下校中に発生したかどうかにより行っております。
 昨年は、登下校中に25人の小学生が交通事故により負傷しており、本年は5月末現在、昨年同期と同じ6人が負傷しております。登下校中の子供の死亡事故は平成8年に発生しましたが、それ以降の発生はございません。また、過去10年間の推移を見ますと減少傾向にあり、昨年は10年前の半数という状況にあります。
 続いて、警察庁からの通達を受けての本県警察の対応についてでございますが、警察庁からは、5月30日付で「通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検の実施」と題した通達が発出されており、学校、警察及び道路管理者による緊急合同点検を8月31日までに実施するよう指示されております。
 本県警察では、京都府亀岡市や千葉県、愛知県で相次いで発生した登校中の児童が被害者となる重大事故を受け、警察庁から通達が発出される前に、県下各警察署に対して通学路の安全点検を実施するよう指示しており、既に速度規制、信号機、横断歩道の設置などの交通規制の見直しや路側帯の拡幅など、道路管理者関係の対策案を50個程度抽出したところであります。
 今回、警察庁からの通達を受け、再度教育委員会等との連携を図り、緊急合同点検を実施し、これまで抽出した箇所に加えて、安全対策が必要な箇所がないかどうか精査をしていくこととしております。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 そのことにつきまして、和歌山市では、5月28日に緊急交通安全対策会議を早速行っていただきました。その箇所ですけども、小学校で13校、中学校で1校、幼稚園で1園、計14校1園ということで、ちょっと少ない気もしますけども、初めてこういうことで担当者に集まっていただいたということは、非常にすばらしいことだと思っております。
 その中で、岡崎小学校の通学路をちょっと紹介したいと思います。地図を用意いたしました。ごらんいただきたいと思います。
 見ていただければわかりますように、この地区周辺には、小学校、中学校、高校、そして短期大学とそろう文教ゾーンです。児童・生徒・学生、総勢2000人以上が毎日通学しています。
 2005年、貴志川線存続に当たって開発許可の緩和策を講じたため、この貴志川線岡崎前駅周辺では世帯が増加しております。現に岡崎小学校ではふえ続けていますし、昨年、平成23年は389名ですが、5年後には500人近くなるという予想です。主要道路はすべて県道です。
 写真左側は、県道和歌山野上線の西側にガードレールがあり、岡崎小学校の児童生徒の6割が利用する通学路。ガードレールがないところもあります。
 東側は、東中学生や東高校生が利用する通学路ですが、路肩1メートルもないところを、自動車とのすき間を縫って自転車が走っております。大変危険な通学路となっております。これが毎日の光景です。
 赤い丸印の中の数字は、上が昼間12時間、下が24時間の通過交通量です。特に朝の交通量が多く、雨の日は、傘を差した小学生と車両が接触しそうな光景をたびたび見かけます。東側の自転車も同じです。先ほどの県土整備部長に答えていただいた通学路としての姿からすると、到底納得できる箇所ではありません。通過交通がふえる中で、安全対策が置き去りにされている感さえあります。教育委員会として、余りかかわりを持ってこなかったんではないでしょうか。今後、県教育委員会の強い姿勢に期待します。
 3者合同で点検、そして対策への御所見を教育長にお願いします。
 また、どのような解決策があり、安全性を確保できるのか、県土整備部長にもお尋ねします。
 警察本部では、警察庁からの通達以前から安全点検を行い、既に対策案を50程度抽出してると先ほど御答弁いただきました。交通安全の確保を目指すために、新たにどのようなことが考えられるのか、警察本部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県道和歌山野上線の岡崎小学校北側の通学路となっている区間につきましては、歩道幅が1メートル程度で、家屋が隣接する箇所ではガードレールもないところを小学生が通行しており、歩道整備の必要性を十分認識しております。
 今後、歩道整備計画を立案し、地元関係者と連携しながら、事業用地の御協力を得て歩道整備に取り組んでまいります。
 また、他の箇所につきましても、交通の状況を見ながら、地元及び関係機関と連携し、交通安全対策を検討してまいります。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路における教育委員会の安全性向上に対する取り組みという再度の御質問でございますけども、先ほど申し上げましたように、子供の命を守る取り組みというのは、教育の根幹にかかわる極めて重たい責務だと考えてございます。そのために、教育委員会としては、各学校の通学路の実態を踏まえながら主体性を持って関係機関との連携を図り、今後とも改善に向けた取り組みを進めてまいります。特に、警察及び道路管理者あるいは県土整備部とも連携をしながら、全力で取り組んでまいる覚悟でございます。
○議長(山下直也君) 警察本部長。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 議員御指摘の岡崎小学校前の通学路につきましては、警察としても承知しているところであり、私も、先日、現場を実査させていただきました。
 しかしながら、通学路の安全対策につきましては、警察だけでは対応できない場所もございます。
 御質問の岡崎小学校前の通学路の安全対策につきましては、教育委員会、道路管理者等と連携をして、必要な安全対策を講じられるように検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ、本当に危険箇所だという認識のもとで御答弁いただいたと思います。
 しかし、先ほど県土整備部長から、歩道整備を進めていき、通学路安全対策という御答弁をいただきましたけども、それだけでは僕は不十分だと思います。それは、西側だけのことをおっしゃってる感じがいたしますし、十分な、ここの自転車通学ということを考えたら、東側につきましても自転車優先、専用、そういうぐらいの道路の整備をしていただきたいと思いますし、やはり学校の周辺、学校ゾーンというのが、スクールゾーンというのがきっちりわかるような道路整備も必要でしょうし、そういう意識で、子供の命を守るという点でしっかり取り組みをお願いしたいと思います。
 昨日も知事のほうから御答弁がありましたけども、緊急合同会議じゃなくて、岸本議員がおっしゃったように、プロジェクトというぐらいにグレードを上げていただいてしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、知事は、県政報告会ということで、和歌山市もあと1カ所で2巡目が終わるそうでございます。いろんな形で県民からの御要望も聞いていただいてると思いますんで、そういう意味では一番御理解いただいてるんじゃないかと思うんですね。子供を守るという視点で、理解ある県政の運営を知事にお願いさせていただいて、要望とさせていただきたいと思います。
 続いて、人権施策について、あわせて御質問させていただきたいと思います。
 その人本人かどうかの確認をするのに身分は関係ないという考えに加えて、身分というものに対する人権意識を高めていく必要性を昨年6月の人権・少子高齢化・環境問題等対策特別委員会で指摘いたしました。
 これは、ある市民の方の御指摘がきっかけとなりました。早速、指摘された和歌山市が発行しております「暮らしのページ」を調べてみました。
 「暮らしのページ」は3年ごとに発行されており、各家庭に配布されております。市民にとって毎日の暮らしに深くかかわりのある各種行政手続や窓口業務などの行政情報や、観光、歴史、医療情報など、日常生活のガイドとして発行されてるものです。確認すると、12カ所で「身分証明」という表記が使われてました。
 平成20年5月には法務省から、「戸籍の窓口での『本人確認』が法律上のルールになります」とし、「身分」という言葉が消えております。つまり、「本人確認」に改まっています。
 行政上、あるサービスを受けようとする人がその人かどうかを確認するために身分は関係ない。身分というものに対する人権意識を改めるとともに、本来の目的に合わせて本人確認に変更していくことも必要なことと言えます。「身分」という表現に差別的な印象を与えるならば、行政上配慮することは、県人権施策基本方針「すべての人の人権が尊重される社会創造」からすると、当然のこととなるからです。
 昨年の6月以降、県当局として、調査の内容と、人権配慮としてどのように是正されてこられたのかお聞かせ願いたいと思います。
 もう一点、3月23日の和歌山県報によりますと、まだ身分証明書を県の関係者に発行しているケースが見られます。あえて職員の地位を示すのに「身分証明書」という表記を使わなくても済むものが、その表記が残っている事実があります。その方の職務がわかる証明書に改めれば済むことではないでしょうか。このことについての御見解をお示しいただきたいと思います。
 また、同じようなケースもまだ県内に残っているのではないかとも思われます。その実態と、今後どのようになさるのか、あわせて企画部長にお答えいただきたいと思います。
 その上で、県民への告知、身近なところで人権への配慮、それを県行政の新しい取り組みとして「県民の友」やホームページ等でお知らせしていくことも大事ではないかと考えます。企画部長のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 人権施策の推進についてでございますが、人権・少子高齢化・環境問題等対策特別委員会での御提言を受け、昨年6月以降、各種申請などに対して本人を確認できる書類の表記について点検しましたところ、医療従事者免許手続などに際し、ホームページ上で「身分を確認できる書類」などの表記が県で41カ所、それから13市町で157カ所見受けられましたので、「本人を確認できる書類」などの表記に改めております。
 また、立入検査等の権限を与えられている職員の地位を示す証明書の表記につきましては、わかりやすく具体的に表記することがより適切であると考えております。
 県で様式を定めているものを点検しました結果、40件が該当したため、現在、職務上の権限をよりわかりやすく表記するよう見直しを行っているところですが、市町村に対しても同様な取り組みを働きかけてまいります。
 また、県の人権施策の取り組みにつきましては、「県民の友」やホームページ等、さまざまなメディアを通じて県民の方々にお知らせをいたしまして人権意識の高揚に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 早速取り組んでいただきましてありがとうございます。
 人権施策というのは、本当にいろんな形で、それぞれの立場の中でやっぱり考慮や配慮していく必要もあるかと思いますんで、今後とも人権施策をますます進めていただきたいということを要望させていただいて、一般質問を終了いたします。ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時53分休憩
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