平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第86号から議案第102号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 25番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 久しぶりに登壇させていただいて、昨年は1年間、議会運営委員長を仰せつかりましたんで、なかなかこの壇上に登壇することができませんでした。1年間の思いを込めて質問させていただきますので、御当局の皆様には簡潔明瞭な御答弁をお願いして、質問に移らせていただきます。
 最初に、昨日、自由民主党大沢会長やほかの議員からもいろんな角度から御質問がありました。少し重複する点もございますが、私からも、国論を二分する議論になりました大飯原子力発電所3、4号機の再稼働について、今夏だけの問題としてではなく、関西圏の将来の産業や住民生活にとって必要な、そして環境にも優しい電力を今後どのように確保していくかという視点で議論を深めたいと思います。
 本当に紆余曲折がありましたが、おおい町長が6月14日、大飯原子力発電所3、4号機の稼働に同意し、16日、福井県知事が同意に向けて政府と協議し、再稼働することが決定いたしました。これでこの夏の大幅節電と計画停電は回避され、一安心ですが、節電、計画停電問題がすべて解決したわけではありません。仁坂知事は、県民の日常生活や県内企業の生産性に大きく影響を及ぼす節電、計画停電の問題ですから、関西広域連合においても、冷静かつ論理的で中長期的視野に立った整合性のある建設的な議論を今後も尽くしていただきたいと思います。
 昨日も大沢会長からもお話がありましたが、私たちは、このままでは和歌山県の経済や県民生活に多大の損害が出ると考え、「電力の安定供給確保に関する緊急要望」を緊急決議し、関西電力八木誠社長に強く要望いたしました。当時、テレビ、新聞紙上にも大きく取り上げられ、各方面からさまざまな御意見等もいただきましたが、私たちは、責任ある政党に所属している政治家として、国家のエネルギーの安全保障とあすの県民の生活や産業、経済を考え、冷静に判断をし、行動をいたしました。
 その後、野田総理初め関係閣僚が「大飯原発の3、4号機再稼働に当たっては電力消費地の理解が必要だ」と述べたことに福井県の西川知事が反発し、議論が混乱をいたしました。後に政府は、「大飯原発を再稼働する場合、まず福井県とおおい町の御理解をいただかなくてはならない」と改めましたが、あわせて、「電力消費地の大阪府や京都府、滋賀県の皆さんには、原発が再稼働しなかった場合、想定以上の節電もしくは計画停電も覚悟していただきたい」と述べるべきでありました。
 西川知事は、政府への不信感を持ちながらも、野田総理に、再稼働に当たり原子力発電の必要性を強く国民に訴えることを求め、首相もそれにこたえ、「国民生活を守るため再起動の必要性と安全性の確保」を国民に強く訴え、理解を求めました。
 私たちにとって電力とは、空気や水と同じく、なくては生活ができない不可欠なものであります。
 戦後、日本は、国民生活向上のため、高度経済成長戦略を立て、厳しい国際競争力の中で勝ち抜いてきました。その高度経済成長を支えたのは、ほかならぬ安価で安定した電力の供給でありました。世界で最も停電の少ない国と言われた我が国は、GDP世界第2位の経済大国となり、名誉ある地位を築くとともに、国際貢献も果たしてまいりました。そして、現在、我々が豊かな暮らしができるのも、原子力発電所を初めとする火力・水力発電所等の電力を安定的に供給してくれる地域のおかげであります。
 バブル崩壊後も国民生活の利便性が向上する中、快適な生活環境を維持するために必要な電力の確保を求めたのは、ほかならぬ私たちではありませんか。特に、電鉄や地下鉄等、公共交通機関が整っている都市であり、きらびやかな照明設備やエレベーター等が設置された巨大ビル群を擁する大都会であり、高圧電力を大量消費する工業地帯であり、そして人口密集地で快適な生活を満喫している都市の住民ではありませんか。
 大阪府知事や市長、京都府知事、滋賀県知事は、自分たちの言葉や態度がいかに福井県民や原発立地地域の住民の心を傷つけたかを反省し、今日まで電力を供給し続けてくれた地域の御労苦に真摯に敬意と感謝をあらわすべきであります。そして、みずから電気を使い放題使いながら、必要な電気を自分たちの地域で起こすことなく、不足分を原子力発電所や火力発電所等の電力に頼ってきた過去を振り返り、速やかに再生可能エネルギーを、自分たちの地域で、自分たちの必要な分、自分たちでつくる具体的な政策や予算措置を行い、その上で原子力発電所の今後の稼働の是非を議論すべきであります。
 原子力発電所は核燃料の危険性、火力発電所は地球温暖化、水力発電所は河川の環境破壊問題と、建設時には町や地域を二分し、議会が紛糾する大変な賛否両論の中、当時の人々は多くの時間と労力を費やし、苦労して建設してきたという過去の歴史があります。電力を消費して、その恩恵を受けているのはすべての国民なのですから、冷静で論理的な議論をすべきであります。
 昨年、関西圏域は小規模の節電で済んだので、実感として余り切実さが伝わってきませんでしたが、東京電力管内1都8県は、5グループに分けられ、約3時間ごとに交代で10日間、計画停電を行いました。
 JR東日本や私鉄各社は、運休もしくは間引き運転を余儀なくされ、通勤・通学のダイヤは大きく乱れました。スーパーマーケットは、生鮮食料品や冷凍食品の品質確保ができないため閉店し、買い物難民が出ました。病院では、予定の手術が困難になり、命にかかわる緊急医療にも大きな影響を与え、工場では、物がつくれない、決まった曜日、時間に働けないなど、首都圏は大混乱に陥りました。
 製薬会社では、インフルエンザワクチンが製造できず、冬場のワクチンが不足し、自宅で人工呼吸器等が必要な難病患者にとっては命の危機に脅かされました。人工透析患者は徹夜で透析をしなくてはならず、金融機関のATMは作動しなくなり、信号機が消えたので、すべての交差点に警察官を配置することは不可能であり、群馬県では、警察官を配置できなかった交差点での出会い頭衝突事故で犠牲者も出ました。
 去る5日、和歌山県警も、電力不足や自然災害による停電時の交差点の安全を確保するために手信号による交通整理訓練を行ったとお聞きし、もしもの停電に万全を期してくれていることを大変頼もしく思いました。
 大飯原発3、4号機の再稼働の正式決定が6月16日までずれ込み、稼働準備期間が約6週間かかることから、梅雨明けが想定されている7月20日再稼働はかなり厳しい状況になってきました。たとえ3、4号機が稼働しても、この半年間、海南火力や御坊火力を初め関電管内の火力発電所にはかなりの負荷がかかっているのですから、近いうちに、定期点検のため、停止を余儀なくされるでしょう。そのことを想定すれば、今から県民に節電の協力を呼びかけ、御理解をいただくようお願いした仁坂知事のこのたびの判断は適切だと考えます。
 さらに、長期的に見ますと、先般、原子力安全・保安院は、稼働40年を超える美浜2号機の今後10年間の運転延長を認めましたが、政府は、原則、稼働を40年とし、20年の運転を1回に限って認める原子炉等規制法の改正案を現国会に提出しています。
 現在、関西電力管内にある原子力発電は11基ありますが、そのほとんどは稼働年数が40年近く経過しております。あと30年先には原子力発電の大半が稼働できなくなり、廃炉となります。
 しかし、新しい原子力発電所の建設には、国民の理解を得ることはかなり難しいと思います。だからこそ、今から再生可能なエネルギーによる発電システムを構築するため、具体的な対応策の議論をもっと真剣に行うべきであります。新しいエネルギーの電力供給システムをつくるのに30年という時間は、余りにも短い期間と言わざるを得ません。
 その昔、自分の田畑に水を引くための争いが絶えなかった時代がありました。近い将来、節電や計画停電を余儀なくされる時代がやってくるかもしれません。そのとき、電気の生産県と消費県でお互いの権利や利益を主張し、電気を奪い合う時代が来るかもしれません。
 現在、和歌山県内の発電実績を見ますと、火力、水力、風力、その他を合わせますと、県内で県民が消費する分を供給することは十分可能であります。昨日、中議員の指摘のとおり、大阪府や京都府、滋賀県は消費が発電を大きく上回っており、自分たちの府県ではとても賄い切れていません。この差額を今日まで原子力発電所が補ってきました。電力を起こすことを他県に頼ってきた大阪府や京都府、滋賀県の知事が、この期に及んで、再生可能なエネルギーの問題を具体的に議論することなく大飯原発の3、4号機の限定かつ暫定稼働にこだわり続けることは、まことに遺憾なことであります。
 昨年暮れからことし2月まで高浜原子力発電所3号機が稼働していたので、冬の節電、停電が大きな議論になりませんでしたが、ことしの冬、稼働しなかったとしたら、乗り切れるのか疑問に思います。
 そこで、お伺いをいたします。
 19日、知事は、ことしの夏の節電目標をできる限り産業界の影響を最小限にするため、「わかやま夏の節電アクションプラン」を公表し、家庭やオフィスでの節電協力を求めると同時に、期間限定稼働について所見を述べられましたが、改めて期間限定についてどのようにお考えなのかをお伺いいたします。
 あわせて、原子力発電所の安全性について、知事にお尋ねいたします。
 昨日、原子力安全委員会設置法案が可決・成立いたしました。今後、地震や津波やその他の要因で原発に不測の事態が発生した場合の安全性の基準等の策定に当たり、政治や行政から独立した5人の専門家から成る委員会に判断をゆだねます。
 福島原発事故は、地震の直接被害もさることながら、稼働中の1、2、3号機及び稼働停止中の4号機も、冷却装置が津波により浸水・流出し、冷却不能となり、メルトダウンを起こし、爆発事故による放射能漏れを起こしました。しかし、震源地に近い女川原発や同じ福島第1発電所の5、6号機は停止し、事故は起こしませんでした。福島原発事故は、安全基準を怠った東京電力の人災であり、事後処理を怠った民主党菅政権の二次災害ではないでしょうか。
 私たちは、原子力にかわり再生可能エネルギーですべての電力が賄えるような社会になり、原子炉が完全に停止、廃棄処分されるまで、原子力発電所が稼働していても、停止状態でも、原子炉が内外から受ける危険性を排除することは不可能であります。
 また、昨日の質問にもありましたが、現在の原子力発電所以外の火力発電所、水力発電所、風力発電所も、決して環境に優しくて安全性が保障されているというわけではありません。私の地元の御坊火力も、原発が停止して以来、休まず稼働していますが、いつまで続けられるのか、点検はいつになるのか、少し気になっています。
 原発が稼働、停止にかかわらずある程度のリスクを有するのであれば、国民生活や経済に対する影響をかんがみ、できる限り安全性を徹底確認した上で当面利用するのも、国民の利益につながる選択肢ではないかと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、電力問題のような府県を超えた広域にかかわる大きなテーマは、当然、政府が責任を持つべきでありますが、電力供給問題は関西電力管内の問題でもあるので、関西広域連合でもそれぞれの府県の責任を明確にして建設的な議論を期待したいと思います。
 そこで、原発に頼らない安定供給できる再生可能な発電システムの構築について、関西広域連合でも具体的な政策の議論が早急に必要と考えますが、いかがですか。
 これで第1問を終わります。
○議長(山下直也君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 橋下大阪市長などの方は、産業活動や国民生活に深刻な影響を与えると予測される電力需給が逼迫する時期だけ──夏だけですね──稼働すればよいという主張でありまして、最大の問題は夏場の電力不足ということですから、それも1つの考え方であると考えますけども、逆にそうでなきゃならないというわけではないと私は思います。
 とんでもなく危ないものならば、すぐにとめる必要がありますが、そんなもんだと思うんならば、幾ら電力不足といっても動かしてはいけないわけであります。それならば、わざわざ大変な作業をしてすぐとめる必要は、私はないと思います。
 政府が決定して表明している期間を限定しない稼働の方針と─別にそんなことは言うてませんけれども─政府が決定した方針は、新たな原子力規制機関が定める安全基準で再検証を行って、不十分な点がある場合は停止させることもあると、むしろ停止させると、そういうことを細野大臣も言っておられたし、そういう決定であると理解しておりまして、これでもまた限定的と考えてもよいんじゃないかと私は思います。
 議員の、安全性を確認した上で当面は原子力にエネルギー源を頼らざるを得ないという御意見には、同感であります。エネルギーの供給について大事なことは、量的にも価格的にも安定して国民にエネルギーを提供できるということであります。
 議員御指摘のように、原子力には福島原発事故のようなリスクがあり、また、火力などにも事故のリスクはあります。原子力をやめて化石燃料に頼ると、排気ガスが大量に出るという問題があります。また、安全保障上、石油や石炭は日本にほとんどありませんから、そういう問題が大きいと言われております。地球温暖化の防止というときに、現在の政権ですけれども、原子力発電所をたくさんつくって、それでそれを防止するんだということを言うたことは記憶に新しいところであります。
 風力や太陽光も大変魅力的でありますけれども、量的にどれだけ電力を供給できるかというような問題があります。
 それから、だれも余り最近指摘しませんが、価格が高くなり過ぎると、産業も弱くなるのはもちろんのことでありますが、実は生活者が大変困ります。
 そういうリスクの管理、これらを全部含めて、どういう組み合わせで量的にも価格的にもリーズナブルなものを提供していけるかということが大事であるというふうに考えております。
 また、新しい原発の建設には国民の賛成が得られない中、原発はいずれなくなる、なくなるまでの間に原発に頼らないエネルギーを消費地である関西で考える必要があるという議員の御指摘には、私も実はそう思っております。好むと好まざるとにかかわらず、そういうふうにせざるを得ないだろうというふうに思っております。
 関西広域連合では、エネルギー検討会を設置し、2020年から2030年ごろを想定した関西における中長期的なエネルギー政策の考え方を今後取りまとめる予定としておりますが、今申し上げましたような考え方でこれにかかわっていきたいと考えております。
 その中で関西における地理的な条件やポテンシャルを勘案し、太陽光発電や風力発電、小水力発電等の再生可能エネルギーによる供給システムを、どれだけうまく供給していくようなシステムができるかという議論は大変重要でありますので、そういう点も含めて熱心に議論をしていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 電気というのは、私の家庭を見ても、もう、冷蔵庫もありますし、クーラーもありますし、テレビもちゃんと置いとります。本当にありがたいなあと、これなかったら全部とまるわけですから。
 だから、それぞれ皆さん、電力を起こしてるその地域の─私は御坊の近辺に住んでるんですけども、これもいつもいろんな議論が出ますけども、そういう地域に住んでる人の思いも皆さんにはわかっていただいて、電気が我々の生活を守ってくれて、そして豊かにしてくれてるということをしみじみ考えるいい機会にもなったと私は思うんで、またそういうことでも議論を深めていきたいというふうに思います。
 電力問題を関西広域連合で議題とするとき、知事には─これは要望ですけどもね─電気、御坊火力から、コンセントを突っ込んでるように、ずうっと高圧電線で大阪のほうへ電気の道、高圧線が向かって伸びておることは、皆さん御承知のとおりです。ぜひ大阪の松井知事にも、電気の高圧線と同じように府県間道路も大阪までずうっと伸びていくように、知事もまた機会があったら一度松井知事にもよく御理解いただくようにお話ししてはいかがというのは、これ、要望と提案です。よろしくお願いします。
 次に、また同じ電力関係ですけども、今度は節電のほう。
 電気を起こすことばかりが議論になっていますが、省エネ社会の構築も急がねばなりません。このたび政府は、電力消費量の多い白熱電球の製造、販売の自粛を求め、それにかわるLED照明の普及促進に力を注ぐと発表されました。しかし、LED照明は、トータルすればコスト減になるのですが、まだまだ初期コストが高いので、なかなか普及していません。
 そこで、民間に先駆け、公的に使用することで、ある程度の生産量を確保し、全体的なコストダウンを図り、一般、民間に普及する道筋をつけることも県政において必要な政策ではないでしょうか。和歌山県のLED照明の利用状況と今後の取り組みについて、知事にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) LED照明については、これまで本庁舎を初め、振興局、地方機関等の県有施設改修に合わせて、率先して導入に努めてまいりました。さらに、地域グリーンニューディール基金を活用いたしまして、市町村のLED防犯灯設置に対して支援を行い、2年間で約4400基のLED防犯灯が設置されるなど、県内各地で公的なLED照明の利用が進みつつあります。
 今後とも県が率先して省エネ対策、温暖化防止対策を推進していくため、国体関連施設の整備や県立高校の施設改修等の機会をとらえてLED照明の導入に努めるとともに、広く県民の方々にLED照明の利用を呼びかけていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 世に「言うはやすし、行うはかたし」と申しますけれども、節電は確かにことわざのとおりであって、こういう公共施設とか、会社とか、事業所というのは、その所属長とかが指示をすれば節電はある程度効果的に実現できるんではないかと思いますけども、なかなか家庭で節電をするというのは非常に難しい状況だろうなと想像します。
 特に昼間、和歌山県なんか高齢者の多い県ですんで、昼間にお年寄りが部屋でテレビなんかを見てられるときは、熱中症になっては困るんで、必ずクーラーを入れてというような─大体1時から4時ぐらいの一番電力を消費するとき、それぞれの家庭で、家にいらっしゃるときはテレビを見てクーラーをつけてるというのも大体想像できるんです。
 できれば、テレビを消していただくことを。そうすれば、その部屋から、いてても楽しくないんで、ちょっと外へ出ようかと。公園でも行って、本でも持っていって読書か何かしていただくと。涼しい木陰で、熱中症にならないようにと、そういう対処法も、そういうことをしていただければ、家庭においてもある程度の、この間の節電プランの目標もかなり達成できるんではないだろうかというように私も考えるんで。今のようにテレビを見るなと私は申しませんけども、昼のひととき、テレビを消してちょっと部屋から出ていただければ随分節電にもつながるんじゃないかと思いますので、また機会があれば、そういうPRもひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、ふるさと納税についてお伺いをいたします。
 このふるさと納税は、安倍内閣のとき、1、納税者が自分の意思で納税対象を選択できるという道を開くものであり、画期的な歴史的意義があるということ、2、日本の中で国民生活を支える上で地方の果たしている役割が極めて大きいことを認める、3、自治体競争が刺激されることにより地方自治体が自治意識を進化させる重要な契機になると位置づけて始まりました。
 ある調査機関の推計によりますと、子供が生まれたときから大学を卒業するまでの費用は、地域にもよりますが、約1500万から2000万円と試算をされております。
 親は子供を育てるために、衣食住はもちろん、病気をすれば病院に通い、保育所、幼稚園、小学校、中学校と育て、やがては高校、そして専門学校や大学へと進学させるため、懸命に働きます。そして、ようやく社会に出て一安心と思ったら、都会暮らしは初任給だけではやっていけないと仕送りし、結婚するといえば結婚資金を出し、子供ができたのでマンションを購入するといえば頭金の足しにとまた支援をいたします。
 そして、この地方出身の子供たちが都会で生活することによって都市は活力を補充し続け、繁栄し続けてまいりました。都市の公共インフラを利用するのですから、納税は当然といえば当然ですが、生まれ育ったふるさとは、交付税措置等の還元策はありますが、人口減少とともにやせ細っていくのであります。
 残された親たちはよわいを重ね、体が弱くなり、通院のため健康保険の制度のお世話になり、やがては介護保険制度のもとで特別養護老人ホーム等に入るのであります。また、都会暮らしをしていた子供たちも、やがては年をとり、働けなくなれば田舎に帰ってくる人もいらっしゃいます。この健康保険制度も、介護保険制度も市町村単位で行ってるため、ふるさとに残った人たちで地域のお年寄りを支えるということになっています。
 また、私たちが日常消費してる商品のほとんどの製造元は、東京を初めとする大都市であります。法人税と消費税は国に納付されますが、法人事業税と法人住民税の2税は事業所や従業員が多い大都市に集中し、地方と都市の格差を生んだのではないでしょうか。東京都を初め一部の都市は、地方交付税の交付がなくてもやっていけるほどであります。1割自治とやゆされる我々地方の自治体と大きな違いであります。
 そこで、安倍内閣は、この不公平感を緩和するため、所得税と住民税の1割を限度とし、現住所以外の都道府県や市町村に納めることができる仕組みを導入し、「ふるさと納税」と名づけました。残念なことに、税と名前はついていますが、徴収に強制力がなく、寄附制度となってしまいました。ふるさとに納税してくれる人が少ないのは、よく制度を知らないのと手続が面倒なのが原因ではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。
 県庁組織に、仮称ですが、ふるさと納税課を設け、これも仮称ですけども、ふるさと納税レンジャーを任命し、積極的に和歌山県出身の高額納税者の皆様に趣旨と諸手続を御説明し、お手伝いすれば、もっとふるさと納税額がふえるのではないかと考えます。そして、毎年納付していただければ、これほど安定した県の収入はないと考えます。創設から現在まで、ふるさと納税の寄附金の推移と、この制度をどのように啓発、推進してきたかを総務部長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) ふるさと納税について、これまでの寄附金及び制度の啓発についてお答えいたします。
 平成20年に導入されましたふるさと納税を活用するために、県では、ふるさと和歌山応援寄附制度を創設いたしました。
 この制度創設から現在までの実績についてですが、平成20年度で112件、3235万3000円、平成21年度で106件、1494万4000円、平成22年度で103件、4890万5000円、平成23年度は128件、1345万2560円でありまして、これまでの総額は1億円を超えております。正確な比較はできないものの、ホームページで公表されている都道府県の間では、例年10位前後で推移してるところであります。寄附額は、遺言による寄附などが含まれておりまして、年度で大きく変動しておりますが、この特殊要素を除けば年間1300万円程度となっております。
 次に、この制度の啓発につきましては、知事を先頭に、県にゆかりのある方々への直接訪問などの活動を積極的に行うとともに、県ホームページやふるさと和歌山応援寄附のパンフレット、また「和歌山だより」等で広く県外の方々に情報発信を行ってきたところでございます。また、利用しやすい環境づくりといたしまして、電子申請による申し込みの受付やクレジットカード払い、郵便局払いの導入など、納付制度の充実も図ってまいりました。
 今後とも、制度の啓発や利用しやすい環境づくりにしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。
 ふるさと納税の推移をお伺いいたしましたが、この金額は、今、総務部長は、やや自慢げに全国10位ぐらいを推移していると言われておりますけども、しかし、和歌山県の出身者の外で活躍しておられる皆さんの数からいうと、昨年の1300万が果たして多いのか少ないかというのは議論の分かれるところだと思います。
 その10位という順位に満足することなく、やはりこのふるさと納税の本当の意義というのを皆さんにお伝えをして、ぜひ自分の育ったふるさとに仕送りをしていただくというか、ふるさとを思っていただくということからしても大事なことでございますんで、啓発に御努力をいただきたいというふうに思います。
 次に、初年度は結構認知度が高かったふるさと納税ですけれども、知事は、和歌山県出身で御活躍されている方に会う機会が最も多いと思いますんで、積極的にふるさと納税の趣旨を御説明し、御協力をお願いしてもらいたいと思います。
 知事の御所見と今後の取り組みについてお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ふるさと納税は、地方と都会の税収格差を少しでも是正し、何よりも、自分をはぐくんでくれたふるさとへの感謝や恩返しをしたいという気持ちを具体化させるものでありまして、県にとっても、元気な和歌山実現のための施策推進に役立てることができる極めて有意義な制度であると思います。
 その背景は花田議員が御指摘になったとおりでありますので、私は、本当はこれは強制的に全部計算して回すべきものだというふうに思っております。しかしながら、残念ながら現在の制度は、技術的な問題もあるのかもしれませんが、自主的な寄附制度にとどまってるわけであります。
 実は、その寄附については、わかっていただかないとなかなか寄附ができません。寄附というのは申告でございますので。したがって、そのためにできるだけわかっていただけるような努力を私も先頭になってやっております。
 例えば、先ほどふるさと納税レンジャーというのを言われましたけれども、特別に秘書課長にそのミッションを与えていまして、これはなぜかというと、県人会など、ほかの地域に住んでおられる和歌山ゆかりの方との窓口なんで、これを納税レンジャーに任じてありまして、日ごろから努力をしております。
 私も、県にゆかりのある方々、特にかなり納税実績がありそうだなと思うような方々に直接お伺いしたり、あるいは電話をしたり、県人会への広報などを積極的に行いまして、御協力をいただいてるところでございます。
 昨年は、実はちょっと遠慮しました。大水害で、その前に、いつもお願いをする方々に大量に寄附あるいは義援金を出していただいたもんですから、ちょっとことしは言うのをやめようというふうに思いました。しかし、またことしは同じような努力を年末にかけて大いにやってまいりたいと思います。議員の皆さんもお知り合いの方にそういう方がいらっしゃったら、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
 今後も多くの方々に、ふるさと納税を通して和歌山を応援していただけるように、周知や働きかけをしてまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 教育長にもお伺いいたします。
 高校教育で、我が国の税制について当然勉強してると思いますが、ふるさと納税についても、その意義を理解させる授業があってもよいと思いますが、いかがですか。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校教育におけるふるさと納税に関する教育の推進にかかわってでございますが、議員御指摘のように、我が国の税制度につきましては、現在、各高等学校で公民科の授業を中心に、税の役割や意義、納税の義務などについて指導いたしております。
 ふるさと納税にかかわりましては、ふるさとに対し貢献したいという思いを実現するものであり、和歌山で育ち、地域に育てられた生徒たちがこうした制度があることを知ることは、ふるさと和歌山を大切に感じる心をはぐくむ上でも重要であると考えてございます。
 今後、県で作成したパンフレットを活用するなど、ふるさと納税の趣旨や意義の周知について、関係部局と協議しながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 一たん県外に出てしまうと「ふるさとは遠きにありて思うもの」みたいになっちゃって、また、先ほど知事部局の秘書課長さんらが、知事も含めてですけども、一生懸命ふるさと納税をお勧めいただいても、それよりもやはり高校卒業するときに、ふるさとにいてるときに、和歌山にいてるときに、このふるさと納税というのを子供たちに種を植えつけとく。そうすれば、今度、当局の皆さんがいろんな県人会の機会なんかでもお願いしたときに、ああ、あのとき学校で言いやったあのふるさと納税やなというて、比較的協力してくれやすい環境ができるんではないかと思いますんで、やはり鉄も熱いうちに打て、ふるさとにいてるときに種を植えつけとくということは大事だと思いますんで、ぜひ学校教育でも、ふるさと納税についての意義とその理解を深めるよう、高校3年の生徒やったらもう十分理解できると思いますんで、よろしくお願いいたします。
 続きまして、御坊駅の早期バリアフリー化についてお伺いをいたします。
 御坊駅は、日高地方の玄関口であり、通勤・通学にとって大変重要な駅であります。1日の乗降客は約3500人余でありますが、特急電車も必ず停車いたします。
 そして、この駅の特徴は、乗り継ぎ駅だということであります。特急電車と普通電車の乗り継ぎはもちろんでありますが、御坊駅の北と南の普通電車の乗り継ぎ駅でもあります。田辺から来た普通電車のほとんどは御坊駅の3番ホームで折り返し、和歌山から来た普通電車も2番線から折り返します。紀伊内原駅から御坊駅を挟んだ隣の道成寺駅に行くときも、必ず御坊駅で下車し、乗りかえなくてはなりません。統計上、乗降客としてカウントされない乗客が大変多いのも御坊駅の特徴であります。
 この御坊駅の2番、3番線の電車とホームの段差が非常に大きく、障害者の皆さんに大変御不便をかけております。視覚障害者の方や車いすの方にお聞きいたしますと、電車からホームにおりるとき、生命の危機さえ感じることがあると申されております。
 必ず乗りかえなくては南にも北にも行けない御坊駅の特殊性と、この駅を利用している障害者の皆さんの窮状を御理解いただき、一刻も早く段差解消とエレベーターの設置を含めたバリアフリー駅になりますよう、JR西日本に働きかけていただきたいと思います。
 御坊駅の早期バリアフリー化について、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 障害者や高齢者の方々を初め、すべての方に安心して鉄道を利用していただくために、駅のバリアフリー化を推進することは大変重要であると考えております。
 議員御指摘のJR御坊駅につきましては、現在、日に3500人余りの乗降客がある上に、乗り継ぎの利用が大変多い駅でもあることから、地域の拠点となる駅として改修の必要性を認識しております。
 平成27年には国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会が開催されることからも、御坊駅ホームの段差解消を含めたバリアフリー化が早期に整備されるように、地元御坊市とも連携しながらJR西日本に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ぜひよろしくお願いします。
 これも、もう3年ぐらい前に視覚障害者の会長さんからお話をいただきまして、一度当局の皆さんに御相談したんですけども、JRにもいろんな計画があって、平成25年、来年以降と言う。以降というのはいつになるのかよくわかりませんけども、そやから、それまではちょっとなかなか御坊駅の段差解消には手はつけにくいという御返答をいただいてたんですけども、いよいよ来年、平成25年以降になりますんで、ぜひ御坊駅の今のバリアフリー化をよろしくお願いいたします。
 次に、建設デフレについてお伺いいたします。
 ヨーロッパ諸国は、ギリシャ国債の債務不履行の危機から経済不安が各国に広がり、円高ユーロ安になり、我が国の経済を圧迫し、アメリカは依然としてリーマンショックから完全に立ち直れず、円高ドル安、中国経済も一時の力強さに陰りが見え始めました。
 そのような世界の経済情勢の中、我が国は、戦後経験したことのない円高、株安、デフレの中であえいでいます。バブル崩壊後の行き過ぎた価格の競争原理が我が国のデフレ経済を定着させ、特に国や県の発注する公共事業の設計単価の算定方法がデフレスパイラルを助長してるのではないかと私は思います。
 一般質問や当局との意見交換の機会にも何度も申し上げてきましたが、もう一度、設計単価の算定方法について質問をさせていただきます。
 最初の要因は、やはり厳しい競争入札から始まっております。落札業者は、少しでも利益を残そうと、人件費や建材費等、できるだけ経費を圧縮しようとすることは非難できません。しかし、ここから問題であります。安く物を購入すればするほど、数カ月先に市場調査を依頼している機関から流通単価が報告され、その単価調査価格により公共事業の設計が積算され、発注されます。次の入札で積算単価が低くなれば、さらに人件費や出入り業者の経費を押し下げ、市場単価を押し下げていきます。落札価格と積算価格がイタチの追いかけっこみたいに縮小を繰り返し、デフレスパイラルが生み出されているのではないでしょうか。
 国は、金融の量的緩和や公共投資、為替介入等、幾つかデフレ対策を打てるでしょう。しかし、和歌山県や市町村のような地方自治体では、そんなにたくさんデフレ対策が打てるわけではありません。地方で最も有効な景気対策は公共投資であり、デフレ対策はその公共事業の設計段階での単価設定の方法の見直しではないでしょうか。
 入札システムは、競争原理が働いてる今の制度がよいと評価していますけれども、設計段階のデフレは、当局においてある程度調整できると思います。建設現場で取り扱われる製品が工場で製造されるとき、そこで働いてる人たちの人件費や材料費、光熱費、減価償却費や消耗費、そしてそれを販売する営業費や諸経費、物流にかかる費用等々、すべての経費が積み上げられ、商品の価格が設定されてるわけでありますが、設計単価ではこの商品価格が採用されず、流通単価が設計単価として反映してるんです。
 この方法は、幾つかの矛盾も生み出しています。デフレスパイラルもそうですけども、一例を申し上げれば、私が生まれた日高川美山地区のガソリン単価は、同じ町内の川辺地区の単価より約10円ほど小売価格が高いのですが、平均単価を積算単価に採用し発注すれば、最初から燃料費は単価割れをしていることになります。こうした地域間格差が生まれることにも留意をしていただきたいと思います。
 このような設計単価の設定が厳しい競争原理を建設業界に生み出し、単なるデフレではなくてスパイラルを生み出していると考えますが、いかがですか。県土整備部長のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 設計単価の決定におきましては、専門の調査機関が、公共工事の入札結果だけでなく民間も含めた工事での実態を調査し、最も頻度の高い価格を採用しております。
 また、発注時期との時間のずれ等により実際に建設業者の方が購入する単価とある程度乖離があるということは認識しておりますが、県としましては、県独自調査の設計単価のうち、工事等の基礎的な資材である生コンクリート、アスファルト合材、骨材などの資材は3カ月に1回調査するとともに、コンクリートの2次製品や軽油などは毎月調査するなど、時間のずれが極力少なくなるよう心がけております。
 今後とも、できる限り実勢価格を設計単価に反映するよう努めてまいります。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 当局にお調べいただいたんですけども、平成4年、20年前の人件費です。これが、普通作業員の人件費1万4100円が設計の単価として計上されておりますが、今、平成24年で1万3700円が単価に採用されております。約400円の差ですけども、これがデフレになってるのか、なってないかというのは、議論の分かれるところでもあると思いますけども、今、建設業界を取り巻く従業員の方々の環境というのは非常に厳しいように思えてなりません。
 皆さんのいろんなお話を聞いたときもそう思うんですけども、そういう業界とか会社として建設業を見るんではなくて、あくまでも普通の一般の会社と同じように、そこには従業員がいらっしゃって、その従業員には、子育てをしてたり、お年寄りと同居してたり、そこには家庭というものがあります。その家庭を─議員は皆さん同じだと思いますけども、常に我々はその家庭と直面して日ごろ活動している。政治家ですから当然のことですけども。そういう立場にある私たちですから、痛切にデフレとか、給料がこのごろ下がった、もうボーナスもことしも出えへんというような、そんな話を我々は直接耳にするわけですけども。やはりもう少し単価の面で、ほかの都道府県とそれこそ乖離した高額な設計単価を僕は要求するもんではありませんけども、もう少し今の言う家庭で生活してる皆さんのほうに目をやっていただいて、心配りをいただいて、できる範囲で結構ですから、今後も設計単価の見直しというのには皆さんの御協力とか御配慮をいただきたいと思いますんで、よろしくお願いしたい。これは要望とさせていただきます。
 知事にお伺いいたします。
 和歌山県経済の深刻なデフレに対応するため、公共事業のあり方について、お考えをお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、和歌山県も、日本全国、みんな不況でありますけれども、そういうときに公共事業が、好むと好まざるとにかかわらず、経済のビルト・イン・スタビライザーとして不況の下支えをするという点は、非常に大事なことだというふうに思います。和歌山県としましては、そういう点から考えても、また本当の必要性から考えても、公共事業を目のかたきにしたり、切ることを自己目的にするという必要は全くないというふうに思っております。
 高速道路を初めとする道路ネットワークの形成や、あるいは中小河川の浸水対策等の公共インフラ整備予算の増額を、そういう意味で図ってまいりました。加えて、今般発生した昨年9月の紀伊半島の大水害からの本格的な復旧の推進を図るため、さらなる予算増額を図ったところであります。
 また、実はこの和歌山において、直轄事業の発注が、今、ピークとは言わんのですが、また大復活をしようとしております。平成23年度、和歌山県における国土交通省の直轄事業費は350億円になります。平成24年度は70%増の596億円を予定しております。そういう意味で、これは直接発注されるところが全部じゃないと思いますけれども、下請等々も含めて、あるいは直接発注するところはかなり仕事がふえるということになると思います。
 また、県土整備部が発注する工事金額は、平成23年度は692億円。これも災害がありましたし、いろんなプロジェクトをどんどん加えておりますから、随分大きくなってたんですが、さらに24年度はちょうど災害復旧のピークを迎えますから、27%増の880億円を予定しております。
 このことは、県だけで計算いたしましても、平成19年度が実は418億円でございましたので、平成23年度は約1.7倍、平成24年度は約2.1倍と大幅に増加しておりまして、これに直轄の直接発注と大手ゼネコンからの下請発注が加わるということになります。
 一方、量だけではなくて、県工事の発注に当たりましては、予定価格1億円未満の建設工事には最低制限価格を設けるなどの工事の品質を確保するとともに、県内業者が適切な利益を上げられるようにいろいろな工夫をして頑張ってるところであります。
 今後とも、必要な公共事業の予算を確保するとともに、県内業者で施工可能な工事はできる限り県内業者に発注し、建設業者の方々の持続ある経営や健全な発展が図れるように、大事なそういう業者が地域の雇用と地域の安定勢力として地域の発展に貢献していただくように、できるだけの工夫をしてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございました。
 仁坂知事が就任して以来、和歌山県の公共事業が安定的、また、むしろまだ公共投資がふえてきたということは、私も高く評価しております。
 さっき、部長答弁のときにちょっと言い忘れたんやけども、23年度の入札状況で契約件数が2265件あったそうですけども、そのうちだれも応札しなかったというのと、また1社しか応札しなかったというのが、合わせて大体1割ぐらいあるんです。これはなぜ、せっかく皆「仕事ない、仕事ない」と世間で言うてるのに、1割以上も応札なし、または1社応札だけになってるのかというのは、これもやっぱり少し単価に影響してるんじゃないかなというのも、ちょっと先ほど言い忘れたんでつけ加えさせてください。
 私、いつもこの質問に立つときに、きょうの第1問、第2問、第3問、第4問、すべて最終的に考えていくと、どうしても都市と地方の格差にやっぱり行き着いてしまうんです。
 僕らのイメージというのは昭和のイメージがありますんで、昭和の私たちの─私は美山村という山間部に育ちましたけども、それでも当時は活力があったなあというのは、もう肌で感じます。たまに家へ帰って、近所のお年寄りが縁側へ来て「健吉、最近頑張っとるか」と声かけていただくんですけども、大体もう皆、75歳から80歳。「なあ、昔、この辺にも、おまえら若いころ、子供ぎょうさんおったんやけどなあ」と言われるんですけども、本当に寂しい思いもするんです。山間地はもう限界集落をはるかに超えております。やがてはその集落自体が消滅するかもしれません。
 こういうときに、私ども、政治の世界でこうしてずうっと一般質問を考えたり、こういうことをしてると、本当にもうだんだん憤りを感じてくるんですけども、私はずっとこれからも、あいつは得手勝手や、都市のほうから見れば、都市に住んでる皆さんから思えば、あんな自分らの勝手、都合のええ質問ばっかりするやないかと思われるかもしれませんけども、私は愚直に、これからもずっと地方の言い分というのをこの議会で問うていきたい。
 そして、地方に住む人も、同じ日本人でも当然ありますし、別にこの和歌山県を東京都のように、どこぞの、隣の府が都になりたいというような、そんな構想を僕は持つ必要はないと思います。和歌山県は和歌山県らしく、そして環境に恵まれた、歴史と伝統に恵まれたこの和歌山県がずっといにしえから続いていく、私たちの子々孫々、みんな暮らしていける和歌山をつくるために、今、私たちが何をしなくてはならないか、その責任を私たちは思ってるから質問になるわけですし、当局の皆さん、ぜひこの和歌山を地方のよさを生かした和歌山にお互いしていこうではありませんか。
 そのことを最後に当局の皆さんにお訴えを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。

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