平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成24年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成24年6月21日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第86号から議案第102号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第86号から議案第102号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
12番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       藤本陽司
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      半田和雄
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     米田和一
 福祉保健部長     山本明史
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     尾花正啓
 会計管理者      雑賀忠仁
 教育委員会委員    山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼班長 中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷  巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第86号から議案第102号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 25番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 久しぶりに登壇させていただいて、昨年は1年間、議会運営委員長を仰せつかりましたんで、なかなかこの壇上に登壇することができませんでした。1年間の思いを込めて質問させていただきますので、御当局の皆様には簡潔明瞭な御答弁をお願いして、質問に移らせていただきます。
 最初に、昨日、自由民主党大沢会長やほかの議員からもいろんな角度から御質問がありました。少し重複する点もございますが、私からも、国論を二分する議論になりました大飯原子力発電所3、4号機の再稼働について、今夏だけの問題としてではなく、関西圏の将来の産業や住民生活にとって必要な、そして環境にも優しい電力を今後どのように確保していくかという視点で議論を深めたいと思います。
 本当に紆余曲折がありましたが、おおい町長が6月14日、大飯原子力発電所3、4号機の稼働に同意し、16日、福井県知事が同意に向けて政府と協議し、再稼働することが決定いたしました。これでこの夏の大幅節電と計画停電は回避され、一安心ですが、節電、計画停電問題がすべて解決したわけではありません。仁坂知事は、県民の日常生活や県内企業の生産性に大きく影響を及ぼす節電、計画停電の問題ですから、関西広域連合においても、冷静かつ論理的で中長期的視野に立った整合性のある建設的な議論を今後も尽くしていただきたいと思います。
 昨日も大沢会長からもお話がありましたが、私たちは、このままでは和歌山県の経済や県民生活に多大の損害が出ると考え、「電力の安定供給確保に関する緊急要望」を緊急決議し、関西電力八木誠社長に強く要望いたしました。当時、テレビ、新聞紙上にも大きく取り上げられ、各方面からさまざまな御意見等もいただきましたが、私たちは、責任ある政党に所属している政治家として、国家のエネルギーの安全保障とあすの県民の生活や産業、経済を考え、冷静に判断をし、行動をいたしました。
 その後、野田総理初め関係閣僚が「大飯原発の3、4号機再稼働に当たっては電力消費地の理解が必要だ」と述べたことに福井県の西川知事が反発し、議論が混乱をいたしました。後に政府は、「大飯原発を再稼働する場合、まず福井県とおおい町の御理解をいただかなくてはならない」と改めましたが、あわせて、「電力消費地の大阪府や京都府、滋賀県の皆さんには、原発が再稼働しなかった場合、想定以上の節電もしくは計画停電も覚悟していただきたい」と述べるべきでありました。
 西川知事は、政府への不信感を持ちながらも、野田総理に、再稼働に当たり原子力発電の必要性を強く国民に訴えることを求め、首相もそれにこたえ、「国民生活を守るため再起動の必要性と安全性の確保」を国民に強く訴え、理解を求めました。
 私たちにとって電力とは、空気や水と同じく、なくては生活ができない不可欠なものであります。
 戦後、日本は、国民生活向上のため、高度経済成長戦略を立て、厳しい国際競争力の中で勝ち抜いてきました。その高度経済成長を支えたのは、ほかならぬ安価で安定した電力の供給でありました。世界で最も停電の少ない国と言われた我が国は、GDP世界第2位の経済大国となり、名誉ある地位を築くとともに、国際貢献も果たしてまいりました。そして、現在、我々が豊かな暮らしができるのも、原子力発電所を初めとする火力・水力発電所等の電力を安定的に供給してくれる地域のおかげであります。
 バブル崩壊後も国民生活の利便性が向上する中、快適な生活環境を維持するために必要な電力の確保を求めたのは、ほかならぬ私たちではありませんか。特に、電鉄や地下鉄等、公共交通機関が整っている都市であり、きらびやかな照明設備やエレベーター等が設置された巨大ビル群を擁する大都会であり、高圧電力を大量消費する工業地帯であり、そして人口密集地で快適な生活を満喫している都市の住民ではありませんか。
 大阪府知事や市長、京都府知事、滋賀県知事は、自分たちの言葉や態度がいかに福井県民や原発立地地域の住民の心を傷つけたかを反省し、今日まで電力を供給し続けてくれた地域の御労苦に真摯に敬意と感謝をあらわすべきであります。そして、みずから電気を使い放題使いながら、必要な電気を自分たちの地域で起こすことなく、不足分を原子力発電所や火力発電所等の電力に頼ってきた過去を振り返り、速やかに再生可能エネルギーを、自分たちの地域で、自分たちの必要な分、自分たちでつくる具体的な政策や予算措置を行い、その上で原子力発電所の今後の稼働の是非を議論すべきであります。
 原子力発電所は核燃料の危険性、火力発電所は地球温暖化、水力発電所は河川の環境破壊問題と、建設時には町や地域を二分し、議会が紛糾する大変な賛否両論の中、当時の人々は多くの時間と労力を費やし、苦労して建設してきたという過去の歴史があります。電力を消費して、その恩恵を受けているのはすべての国民なのですから、冷静で論理的な議論をすべきであります。
 昨年、関西圏域は小規模の節電で済んだので、実感として余り切実さが伝わってきませんでしたが、東京電力管内1都8県は、5グループに分けられ、約3時間ごとに交代で10日間、計画停電を行いました。
 JR東日本や私鉄各社は、運休もしくは間引き運転を余儀なくされ、通勤・通学のダイヤは大きく乱れました。スーパーマーケットは、生鮮食料品や冷凍食品の品質確保ができないため閉店し、買い物難民が出ました。病院では、予定の手術が困難になり、命にかかわる緊急医療にも大きな影響を与え、工場では、物がつくれない、決まった曜日、時間に働けないなど、首都圏は大混乱に陥りました。
 製薬会社では、インフルエンザワクチンが製造できず、冬場のワクチンが不足し、自宅で人工呼吸器等が必要な難病患者にとっては命の危機に脅かされました。人工透析患者は徹夜で透析をしなくてはならず、金融機関のATMは作動しなくなり、信号機が消えたので、すべての交差点に警察官を配置することは不可能であり、群馬県では、警察官を配置できなかった交差点での出会い頭衝突事故で犠牲者も出ました。
 去る5日、和歌山県警も、電力不足や自然災害による停電時の交差点の安全を確保するために手信号による交通整理訓練を行ったとお聞きし、もしもの停電に万全を期してくれていることを大変頼もしく思いました。
 大飯原発3、4号機の再稼働の正式決定が6月16日までずれ込み、稼働準備期間が約6週間かかることから、梅雨明けが想定されている7月20日再稼働はかなり厳しい状況になってきました。たとえ3、4号機が稼働しても、この半年間、海南火力や御坊火力を初め関電管内の火力発電所にはかなりの負荷がかかっているのですから、近いうちに、定期点検のため、停止を余儀なくされるでしょう。そのことを想定すれば、今から県民に節電の協力を呼びかけ、御理解をいただくようお願いした仁坂知事のこのたびの判断は適切だと考えます。
 さらに、長期的に見ますと、先般、原子力安全・保安院は、稼働40年を超える美浜2号機の今後10年間の運転延長を認めましたが、政府は、原則、稼働を40年とし、20年の運転を1回に限って認める原子炉等規制法の改正案を現国会に提出しています。
 現在、関西電力管内にある原子力発電は11基ありますが、そのほとんどは稼働年数が40年近く経過しております。あと30年先には原子力発電の大半が稼働できなくなり、廃炉となります。
 しかし、新しい原子力発電所の建設には、国民の理解を得ることはかなり難しいと思います。だからこそ、今から再生可能なエネルギーによる発電システムを構築するため、具体的な対応策の議論をもっと真剣に行うべきであります。新しいエネルギーの電力供給システムをつくるのに30年という時間は、余りにも短い期間と言わざるを得ません。
 その昔、自分の田畑に水を引くための争いが絶えなかった時代がありました。近い将来、節電や計画停電を余儀なくされる時代がやってくるかもしれません。そのとき、電気の生産県と消費県でお互いの権利や利益を主張し、電気を奪い合う時代が来るかもしれません。
 現在、和歌山県内の発電実績を見ますと、火力、水力、風力、その他を合わせますと、県内で県民が消費する分を供給することは十分可能であります。昨日、中議員の指摘のとおり、大阪府や京都府、滋賀県は消費が発電を大きく上回っており、自分たちの府県ではとても賄い切れていません。この差額を今日まで原子力発電所が補ってきました。電力を起こすことを他県に頼ってきた大阪府や京都府、滋賀県の知事が、この期に及んで、再生可能なエネルギーの問題を具体的に議論することなく大飯原発の3、4号機の限定かつ暫定稼働にこだわり続けることは、まことに遺憾なことであります。
 昨年暮れからことし2月まで高浜原子力発電所3号機が稼働していたので、冬の節電、停電が大きな議論になりませんでしたが、ことしの冬、稼働しなかったとしたら、乗り切れるのか疑問に思います。
 そこで、お伺いをいたします。
 19日、知事は、ことしの夏の節電目標をできる限り産業界の影響を最小限にするため、「わかやま夏の節電アクションプラン」を公表し、家庭やオフィスでの節電協力を求めると同時に、期間限定稼働について所見を述べられましたが、改めて期間限定についてどのようにお考えなのかをお伺いいたします。
 あわせて、原子力発電所の安全性について、知事にお尋ねいたします。
 昨日、原子力安全委員会設置法案が可決・成立いたしました。今後、地震や津波やその他の要因で原発に不測の事態が発生した場合の安全性の基準等の策定に当たり、政治や行政から独立した5人の専門家から成る委員会に判断をゆだねます。
 福島原発事故は、地震の直接被害もさることながら、稼働中の1、2、3号機及び稼働停止中の4号機も、冷却装置が津波により浸水・流出し、冷却不能となり、メルトダウンを起こし、爆発事故による放射能漏れを起こしました。しかし、震源地に近い女川原発や同じ福島第1発電所の5、6号機は停止し、事故は起こしませんでした。福島原発事故は、安全基準を怠った東京電力の人災であり、事後処理を怠った民主党菅政権の二次災害ではないでしょうか。
 私たちは、原子力にかわり再生可能エネルギーですべての電力が賄えるような社会になり、原子炉が完全に停止、廃棄処分されるまで、原子力発電所が稼働していても、停止状態でも、原子炉が内外から受ける危険性を排除することは不可能であります。
 また、昨日の質問にもありましたが、現在の原子力発電所以外の火力発電所、水力発電所、風力発電所も、決して環境に優しくて安全性が保障されているというわけではありません。私の地元の御坊火力も、原発が停止して以来、休まず稼働していますが、いつまで続けられるのか、点検はいつになるのか、少し気になっています。
 原発が稼働、停止にかかわらずある程度のリスクを有するのであれば、国民生活や経済に対する影響をかんがみ、できる限り安全性を徹底確認した上で当面利用するのも、国民の利益につながる選択肢ではないかと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、電力問題のような府県を超えた広域にかかわる大きなテーマは、当然、政府が責任を持つべきでありますが、電力供給問題は関西電力管内の問題でもあるので、関西広域連合でもそれぞれの府県の責任を明確にして建設的な議論を期待したいと思います。
 そこで、原発に頼らない安定供給できる再生可能な発電システムの構築について、関西広域連合でも具体的な政策の議論が早急に必要と考えますが、いかがですか。
 これで第1問を終わります。
○議長(山下直也君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 橋下大阪市長などの方は、産業活動や国民生活に深刻な影響を与えると予測される電力需給が逼迫する時期だけ──夏だけですね──稼働すればよいという主張でありまして、最大の問題は夏場の電力不足ということですから、それも1つの考え方であると考えますけども、逆にそうでなきゃならないというわけではないと私は思います。
 とんでもなく危ないものならば、すぐにとめる必要がありますが、そんなもんだと思うんならば、幾ら電力不足といっても動かしてはいけないわけであります。それならば、わざわざ大変な作業をしてすぐとめる必要は、私はないと思います。
 政府が決定して表明している期間を限定しない稼働の方針と─別にそんなことは言うてませんけれども─政府が決定した方針は、新たな原子力規制機関が定める安全基準で再検証を行って、不十分な点がある場合は停止させることもあると、むしろ停止させると、そういうことを細野大臣も言っておられたし、そういう決定であると理解しておりまして、これでもまた限定的と考えてもよいんじゃないかと私は思います。
 議員の、安全性を確認した上で当面は原子力にエネルギー源を頼らざるを得ないという御意見には、同感であります。エネルギーの供給について大事なことは、量的にも価格的にも安定して国民にエネルギーを提供できるということであります。
 議員御指摘のように、原子力には福島原発事故のようなリスクがあり、また、火力などにも事故のリスクはあります。原子力をやめて化石燃料に頼ると、排気ガスが大量に出るという問題があります。また、安全保障上、石油や石炭は日本にほとんどありませんから、そういう問題が大きいと言われております。地球温暖化の防止というときに、現在の政権ですけれども、原子力発電所をたくさんつくって、それでそれを防止するんだということを言うたことは記憶に新しいところであります。
 風力や太陽光も大変魅力的でありますけれども、量的にどれだけ電力を供給できるかというような問題があります。
 それから、だれも余り最近指摘しませんが、価格が高くなり過ぎると、産業も弱くなるのはもちろんのことでありますが、実は生活者が大変困ります。
 そういうリスクの管理、これらを全部含めて、どういう組み合わせで量的にも価格的にもリーズナブルなものを提供していけるかということが大事であるというふうに考えております。
 また、新しい原発の建設には国民の賛成が得られない中、原発はいずれなくなる、なくなるまでの間に原発に頼らないエネルギーを消費地である関西で考える必要があるという議員の御指摘には、私も実はそう思っております。好むと好まざるとにかかわらず、そういうふうにせざるを得ないだろうというふうに思っております。
 関西広域連合では、エネルギー検討会を設置し、2020年から2030年ごろを想定した関西における中長期的なエネルギー政策の考え方を今後取りまとめる予定としておりますが、今申し上げましたような考え方でこれにかかわっていきたいと考えております。
 その中で関西における地理的な条件やポテンシャルを勘案し、太陽光発電や風力発電、小水力発電等の再生可能エネルギーによる供給システムを、どれだけうまく供給していくようなシステムができるかという議論は大変重要でありますので、そういう点も含めて熱心に議論をしていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 電気というのは、私の家庭を見ても、もう、冷蔵庫もありますし、クーラーもありますし、テレビもちゃんと置いとります。本当にありがたいなあと、これなかったら全部とまるわけですから。
 だから、それぞれ皆さん、電力を起こしてるその地域の─私は御坊の近辺に住んでるんですけども、これもいつもいろんな議論が出ますけども、そういう地域に住んでる人の思いも皆さんにはわかっていただいて、電気が我々の生活を守ってくれて、そして豊かにしてくれてるということをしみじみ考えるいい機会にもなったと私は思うんで、またそういうことでも議論を深めていきたいというふうに思います。
 電力問題を関西広域連合で議題とするとき、知事には─これは要望ですけどもね─電気、御坊火力から、コンセントを突っ込んでるように、ずうっと高圧電線で大阪のほうへ電気の道、高圧線が向かって伸びておることは、皆さん御承知のとおりです。ぜひ大阪の松井知事にも、電気の高圧線と同じように府県間道路も大阪までずうっと伸びていくように、知事もまた機会があったら一度松井知事にもよく御理解いただくようにお話ししてはいかがというのは、これ、要望と提案です。よろしくお願いします。
 次に、また同じ電力関係ですけども、今度は節電のほう。
 電気を起こすことばかりが議論になっていますが、省エネ社会の構築も急がねばなりません。このたび政府は、電力消費量の多い白熱電球の製造、販売の自粛を求め、それにかわるLED照明の普及促進に力を注ぐと発表されました。しかし、LED照明は、トータルすればコスト減になるのですが、まだまだ初期コストが高いので、なかなか普及していません。
 そこで、民間に先駆け、公的に使用することで、ある程度の生産量を確保し、全体的なコストダウンを図り、一般、民間に普及する道筋をつけることも県政において必要な政策ではないでしょうか。和歌山県のLED照明の利用状況と今後の取り組みについて、知事にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) LED照明については、これまで本庁舎を初め、振興局、地方機関等の県有施設改修に合わせて、率先して導入に努めてまいりました。さらに、地域グリーンニューディール基金を活用いたしまして、市町村のLED防犯灯設置に対して支援を行い、2年間で約4400基のLED防犯灯が設置されるなど、県内各地で公的なLED照明の利用が進みつつあります。
 今後とも県が率先して省エネ対策、温暖化防止対策を推進していくため、国体関連施設の整備や県立高校の施設改修等の機会をとらえてLED照明の導入に努めるとともに、広く県民の方々にLED照明の利用を呼びかけていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 世に「言うはやすし、行うはかたし」と申しますけれども、節電は確かにことわざのとおりであって、こういう公共施設とか、会社とか、事業所というのは、その所属長とかが指示をすれば節電はある程度効果的に実現できるんではないかと思いますけども、なかなか家庭で節電をするというのは非常に難しい状況だろうなと想像します。
 特に昼間、和歌山県なんか高齢者の多い県ですんで、昼間にお年寄りが部屋でテレビなんかを見てられるときは、熱中症になっては困るんで、必ずクーラーを入れてというような─大体1時から4時ぐらいの一番電力を消費するとき、それぞれの家庭で、家にいらっしゃるときはテレビを見てクーラーをつけてるというのも大体想像できるんです。
 できれば、テレビを消していただくことを。そうすれば、その部屋から、いてても楽しくないんで、ちょっと外へ出ようかと。公園でも行って、本でも持っていって読書か何かしていただくと。涼しい木陰で、熱中症にならないようにと、そういう対処法も、そういうことをしていただければ、家庭においてもある程度の、この間の節電プランの目標もかなり達成できるんではないだろうかというように私も考えるんで。今のようにテレビを見るなと私は申しませんけども、昼のひととき、テレビを消してちょっと部屋から出ていただければ随分節電にもつながるんじゃないかと思いますので、また機会があれば、そういうPRもひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、ふるさと納税についてお伺いをいたします。
 このふるさと納税は、安倍内閣のとき、1、納税者が自分の意思で納税対象を選択できるという道を開くものであり、画期的な歴史的意義があるということ、2、日本の中で国民生活を支える上で地方の果たしている役割が極めて大きいことを認める、3、自治体競争が刺激されることにより地方自治体が自治意識を進化させる重要な契機になると位置づけて始まりました。
 ある調査機関の推計によりますと、子供が生まれたときから大学を卒業するまでの費用は、地域にもよりますが、約1500万から2000万円と試算をされております。
 親は子供を育てるために、衣食住はもちろん、病気をすれば病院に通い、保育所、幼稚園、小学校、中学校と育て、やがては高校、そして専門学校や大学へと進学させるため、懸命に働きます。そして、ようやく社会に出て一安心と思ったら、都会暮らしは初任給だけではやっていけないと仕送りし、結婚するといえば結婚資金を出し、子供ができたのでマンションを購入するといえば頭金の足しにとまた支援をいたします。
 そして、この地方出身の子供たちが都会で生活することによって都市は活力を補充し続け、繁栄し続けてまいりました。都市の公共インフラを利用するのですから、納税は当然といえば当然ですが、生まれ育ったふるさとは、交付税措置等の還元策はありますが、人口減少とともにやせ細っていくのであります。
 残された親たちはよわいを重ね、体が弱くなり、通院のため健康保険の制度のお世話になり、やがては介護保険制度のもとで特別養護老人ホーム等に入るのであります。また、都会暮らしをしていた子供たちも、やがては年をとり、働けなくなれば田舎に帰ってくる人もいらっしゃいます。この健康保険制度も、介護保険制度も市町村単位で行ってるため、ふるさとに残った人たちで地域のお年寄りを支えるということになっています。
 また、私たちが日常消費してる商品のほとんどの製造元は、東京を初めとする大都市であります。法人税と消費税は国に納付されますが、法人事業税と法人住民税の2税は事業所や従業員が多い大都市に集中し、地方と都市の格差を生んだのではないでしょうか。東京都を初め一部の都市は、地方交付税の交付がなくてもやっていけるほどであります。1割自治とやゆされる我々地方の自治体と大きな違いであります。
 そこで、安倍内閣は、この不公平感を緩和するため、所得税と住民税の1割を限度とし、現住所以外の都道府県や市町村に納めることができる仕組みを導入し、「ふるさと納税」と名づけました。残念なことに、税と名前はついていますが、徴収に強制力がなく、寄附制度となってしまいました。ふるさとに納税してくれる人が少ないのは、よく制度を知らないのと手続が面倒なのが原因ではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。
 県庁組織に、仮称ですが、ふるさと納税課を設け、これも仮称ですけども、ふるさと納税レンジャーを任命し、積極的に和歌山県出身の高額納税者の皆様に趣旨と諸手続を御説明し、お手伝いすれば、もっとふるさと納税額がふえるのではないかと考えます。そして、毎年納付していただければ、これほど安定した県の収入はないと考えます。創設から現在まで、ふるさと納税の寄附金の推移と、この制度をどのように啓発、推進してきたかを総務部長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) ふるさと納税について、これまでの寄附金及び制度の啓発についてお答えいたします。
 平成20年に導入されましたふるさと納税を活用するために、県では、ふるさと和歌山応援寄附制度を創設いたしました。
 この制度創設から現在までの実績についてですが、平成20年度で112件、3235万3000円、平成21年度で106件、1494万4000円、平成22年度で103件、4890万5000円、平成23年度は128件、1345万2560円でありまして、これまでの総額は1億円を超えております。正確な比較はできないものの、ホームページで公表されている都道府県の間では、例年10位前後で推移してるところであります。寄附額は、遺言による寄附などが含まれておりまして、年度で大きく変動しておりますが、この特殊要素を除けば年間1300万円程度となっております。
 次に、この制度の啓発につきましては、知事を先頭に、県にゆかりのある方々への直接訪問などの活動を積極的に行うとともに、県ホームページやふるさと和歌山応援寄附のパンフレット、また「和歌山だより」等で広く県外の方々に情報発信を行ってきたところでございます。また、利用しやすい環境づくりといたしまして、電子申請による申し込みの受付やクレジットカード払い、郵便局払いの導入など、納付制度の充実も図ってまいりました。
 今後とも、制度の啓発や利用しやすい環境づくりにしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。
 ふるさと納税の推移をお伺いいたしましたが、この金額は、今、総務部長は、やや自慢げに全国10位ぐらいを推移していると言われておりますけども、しかし、和歌山県の出身者の外で活躍しておられる皆さんの数からいうと、昨年の1300万が果たして多いのか少ないかというのは議論の分かれるところだと思います。
 その10位という順位に満足することなく、やはりこのふるさと納税の本当の意義というのを皆さんにお伝えをして、ぜひ自分の育ったふるさとに仕送りをしていただくというか、ふるさとを思っていただくということからしても大事なことでございますんで、啓発に御努力をいただきたいというふうに思います。
 次に、初年度は結構認知度が高かったふるさと納税ですけれども、知事は、和歌山県出身で御活躍されている方に会う機会が最も多いと思いますんで、積極的にふるさと納税の趣旨を御説明し、御協力をお願いしてもらいたいと思います。
 知事の御所見と今後の取り組みについてお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ふるさと納税は、地方と都会の税収格差を少しでも是正し、何よりも、自分をはぐくんでくれたふるさとへの感謝や恩返しをしたいという気持ちを具体化させるものでありまして、県にとっても、元気な和歌山実現のための施策推進に役立てることができる極めて有意義な制度であると思います。
 その背景は花田議員が御指摘になったとおりでありますので、私は、本当はこれは強制的に全部計算して回すべきものだというふうに思っております。しかしながら、残念ながら現在の制度は、技術的な問題もあるのかもしれませんが、自主的な寄附制度にとどまってるわけであります。
 実は、その寄附については、わかっていただかないとなかなか寄附ができません。寄附というのは申告でございますので。したがって、そのためにできるだけわかっていただけるような努力を私も先頭になってやっております。
 例えば、先ほどふるさと納税レンジャーというのを言われましたけれども、特別に秘書課長にそのミッションを与えていまして、これはなぜかというと、県人会など、ほかの地域に住んでおられる和歌山ゆかりの方との窓口なんで、これを納税レンジャーに任じてありまして、日ごろから努力をしております。
 私も、県にゆかりのある方々、特にかなり納税実績がありそうだなと思うような方々に直接お伺いしたり、あるいは電話をしたり、県人会への広報などを積極的に行いまして、御協力をいただいてるところでございます。
 昨年は、実はちょっと遠慮しました。大水害で、その前に、いつもお願いをする方々に大量に寄附あるいは義援金を出していただいたもんですから、ちょっとことしは言うのをやめようというふうに思いました。しかし、またことしは同じような努力を年末にかけて大いにやってまいりたいと思います。議員の皆さんもお知り合いの方にそういう方がいらっしゃったら、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
 今後も多くの方々に、ふるさと納税を通して和歌山を応援していただけるように、周知や働きかけをしてまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 教育長にもお伺いいたします。
 高校教育で、我が国の税制について当然勉強してると思いますが、ふるさと納税についても、その意義を理解させる授業があってもよいと思いますが、いかがですか。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校教育におけるふるさと納税に関する教育の推進にかかわってでございますが、議員御指摘のように、我が国の税制度につきましては、現在、各高等学校で公民科の授業を中心に、税の役割や意義、納税の義務などについて指導いたしております。
 ふるさと納税にかかわりましては、ふるさとに対し貢献したいという思いを実現するものであり、和歌山で育ち、地域に育てられた生徒たちがこうした制度があることを知ることは、ふるさと和歌山を大切に感じる心をはぐくむ上でも重要であると考えてございます。
 今後、県で作成したパンフレットを活用するなど、ふるさと納税の趣旨や意義の周知について、関係部局と協議しながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 一たん県外に出てしまうと「ふるさとは遠きにありて思うもの」みたいになっちゃって、また、先ほど知事部局の秘書課長さんらが、知事も含めてですけども、一生懸命ふるさと納税をお勧めいただいても、それよりもやはり高校卒業するときに、ふるさとにいてるときに、和歌山にいてるときに、このふるさと納税というのを子供たちに種を植えつけとく。そうすれば、今度、当局の皆さんがいろんな県人会の機会なんかでもお願いしたときに、ああ、あのとき学校で言いやったあのふるさと納税やなというて、比較的協力してくれやすい環境ができるんではないかと思いますんで、やはり鉄も熱いうちに打て、ふるさとにいてるときに種を植えつけとくということは大事だと思いますんで、ぜひ学校教育でも、ふるさと納税についての意義とその理解を深めるよう、高校3年の生徒やったらもう十分理解できると思いますんで、よろしくお願いいたします。
 続きまして、御坊駅の早期バリアフリー化についてお伺いをいたします。
 御坊駅は、日高地方の玄関口であり、通勤・通学にとって大変重要な駅であります。1日の乗降客は約3500人余でありますが、特急電車も必ず停車いたします。
 そして、この駅の特徴は、乗り継ぎ駅だということであります。特急電車と普通電車の乗り継ぎはもちろんでありますが、御坊駅の北と南の普通電車の乗り継ぎ駅でもあります。田辺から来た普通電車のほとんどは御坊駅の3番ホームで折り返し、和歌山から来た普通電車も2番線から折り返します。紀伊内原駅から御坊駅を挟んだ隣の道成寺駅に行くときも、必ず御坊駅で下車し、乗りかえなくてはなりません。統計上、乗降客としてカウントされない乗客が大変多いのも御坊駅の特徴であります。
 この御坊駅の2番、3番線の電車とホームの段差が非常に大きく、障害者の皆さんに大変御不便をかけております。視覚障害者の方や車いすの方にお聞きいたしますと、電車からホームにおりるとき、生命の危機さえ感じることがあると申されております。
 必ず乗りかえなくては南にも北にも行けない御坊駅の特殊性と、この駅を利用している障害者の皆さんの窮状を御理解いただき、一刻も早く段差解消とエレベーターの設置を含めたバリアフリー駅になりますよう、JR西日本に働きかけていただきたいと思います。
 御坊駅の早期バリアフリー化について、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 障害者や高齢者の方々を初め、すべての方に安心して鉄道を利用していただくために、駅のバリアフリー化を推進することは大変重要であると考えております。
 議員御指摘のJR御坊駅につきましては、現在、日に3500人余りの乗降客がある上に、乗り継ぎの利用が大変多い駅でもあることから、地域の拠点となる駅として改修の必要性を認識しております。
 平成27年には国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会が開催されることからも、御坊駅ホームの段差解消を含めたバリアフリー化が早期に整備されるように、地元御坊市とも連携しながらJR西日本に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ぜひよろしくお願いします。
 これも、もう3年ぐらい前に視覚障害者の会長さんからお話をいただきまして、一度当局の皆さんに御相談したんですけども、JRにもいろんな計画があって、平成25年、来年以降と言う。以降というのはいつになるのかよくわかりませんけども、そやから、それまではちょっとなかなか御坊駅の段差解消には手はつけにくいという御返答をいただいてたんですけども、いよいよ来年、平成25年以降になりますんで、ぜひ御坊駅の今のバリアフリー化をよろしくお願いいたします。
 次に、建設デフレについてお伺いいたします。
 ヨーロッパ諸国は、ギリシャ国債の債務不履行の危機から経済不安が各国に広がり、円高ユーロ安になり、我が国の経済を圧迫し、アメリカは依然としてリーマンショックから完全に立ち直れず、円高ドル安、中国経済も一時の力強さに陰りが見え始めました。
 そのような世界の経済情勢の中、我が国は、戦後経験したことのない円高、株安、デフレの中であえいでいます。バブル崩壊後の行き過ぎた価格の競争原理が我が国のデフレ経済を定着させ、特に国や県の発注する公共事業の設計単価の算定方法がデフレスパイラルを助長してるのではないかと私は思います。
 一般質問や当局との意見交換の機会にも何度も申し上げてきましたが、もう一度、設計単価の算定方法について質問をさせていただきます。
 最初の要因は、やはり厳しい競争入札から始まっております。落札業者は、少しでも利益を残そうと、人件費や建材費等、できるだけ経費を圧縮しようとすることは非難できません。しかし、ここから問題であります。安く物を購入すればするほど、数カ月先に市場調査を依頼している機関から流通単価が報告され、その単価調査価格により公共事業の設計が積算され、発注されます。次の入札で積算単価が低くなれば、さらに人件費や出入り業者の経費を押し下げ、市場単価を押し下げていきます。落札価格と積算価格がイタチの追いかけっこみたいに縮小を繰り返し、デフレスパイラルが生み出されているのではないでしょうか。
 国は、金融の量的緩和や公共投資、為替介入等、幾つかデフレ対策を打てるでしょう。しかし、和歌山県や市町村のような地方自治体では、そんなにたくさんデフレ対策が打てるわけではありません。地方で最も有効な景気対策は公共投資であり、デフレ対策はその公共事業の設計段階での単価設定の方法の見直しではないでしょうか。
 入札システムは、競争原理が働いてる今の制度がよいと評価していますけれども、設計段階のデフレは、当局においてある程度調整できると思います。建設現場で取り扱われる製品が工場で製造されるとき、そこで働いてる人たちの人件費や材料費、光熱費、減価償却費や消耗費、そしてそれを販売する営業費や諸経費、物流にかかる費用等々、すべての経費が積み上げられ、商品の価格が設定されてるわけでありますが、設計単価ではこの商品価格が採用されず、流通単価が設計単価として反映してるんです。
 この方法は、幾つかの矛盾も生み出しています。デフレスパイラルもそうですけども、一例を申し上げれば、私が生まれた日高川美山地区のガソリン単価は、同じ町内の川辺地区の単価より約10円ほど小売価格が高いのですが、平均単価を積算単価に採用し発注すれば、最初から燃料費は単価割れをしていることになります。こうした地域間格差が生まれることにも留意をしていただきたいと思います。
 このような設計単価の設定が厳しい競争原理を建設業界に生み出し、単なるデフレではなくてスパイラルを生み出していると考えますが、いかがですか。県土整備部長のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 設計単価の決定におきましては、専門の調査機関が、公共工事の入札結果だけでなく民間も含めた工事での実態を調査し、最も頻度の高い価格を採用しております。
 また、発注時期との時間のずれ等により実際に建設業者の方が購入する単価とある程度乖離があるということは認識しておりますが、県としましては、県独自調査の設計単価のうち、工事等の基礎的な資材である生コンクリート、アスファルト合材、骨材などの資材は3カ月に1回調査するとともに、コンクリートの2次製品や軽油などは毎月調査するなど、時間のずれが極力少なくなるよう心がけております。
 今後とも、できる限り実勢価格を設計単価に反映するよう努めてまいります。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 当局にお調べいただいたんですけども、平成4年、20年前の人件費です。これが、普通作業員の人件費1万4100円が設計の単価として計上されておりますが、今、平成24年で1万3700円が単価に採用されております。約400円の差ですけども、これがデフレになってるのか、なってないかというのは、議論の分かれるところでもあると思いますけども、今、建設業界を取り巻く従業員の方々の環境というのは非常に厳しいように思えてなりません。
 皆さんのいろんなお話を聞いたときもそう思うんですけども、そういう業界とか会社として建設業を見るんではなくて、あくまでも普通の一般の会社と同じように、そこには従業員がいらっしゃって、その従業員には、子育てをしてたり、お年寄りと同居してたり、そこには家庭というものがあります。その家庭を─議員は皆さん同じだと思いますけども、常に我々はその家庭と直面して日ごろ活動している。政治家ですから当然のことですけども。そういう立場にある私たちですから、痛切にデフレとか、給料がこのごろ下がった、もうボーナスもことしも出えへんというような、そんな話を我々は直接耳にするわけですけども。やはりもう少し単価の面で、ほかの都道府県とそれこそ乖離した高額な設計単価を僕は要求するもんではありませんけども、もう少し今の言う家庭で生活してる皆さんのほうに目をやっていただいて、心配りをいただいて、できる範囲で結構ですから、今後も設計単価の見直しというのには皆さんの御協力とか御配慮をいただきたいと思いますんで、よろしくお願いしたい。これは要望とさせていただきます。
 知事にお伺いいたします。
 和歌山県経済の深刻なデフレに対応するため、公共事業のあり方について、お考えをお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、和歌山県も、日本全国、みんな不況でありますけれども、そういうときに公共事業が、好むと好まざるとにかかわらず、経済のビルト・イン・スタビライザーとして不況の下支えをするという点は、非常に大事なことだというふうに思います。和歌山県としましては、そういう点から考えても、また本当の必要性から考えても、公共事業を目のかたきにしたり、切ることを自己目的にするという必要は全くないというふうに思っております。
 高速道路を初めとする道路ネットワークの形成や、あるいは中小河川の浸水対策等の公共インフラ整備予算の増額を、そういう意味で図ってまいりました。加えて、今般発生した昨年9月の紀伊半島の大水害からの本格的な復旧の推進を図るため、さらなる予算増額を図ったところであります。
 また、実はこの和歌山において、直轄事業の発注が、今、ピークとは言わんのですが、また大復活をしようとしております。平成23年度、和歌山県における国土交通省の直轄事業費は350億円になります。平成24年度は70%増の596億円を予定しております。そういう意味で、これは直接発注されるところが全部じゃないと思いますけれども、下請等々も含めて、あるいは直接発注するところはかなり仕事がふえるということになると思います。
 また、県土整備部が発注する工事金額は、平成23年度は692億円。これも災害がありましたし、いろんなプロジェクトをどんどん加えておりますから、随分大きくなってたんですが、さらに24年度はちょうど災害復旧のピークを迎えますから、27%増の880億円を予定しております。
 このことは、県だけで計算いたしましても、平成19年度が実は418億円でございましたので、平成23年度は約1.7倍、平成24年度は約2.1倍と大幅に増加しておりまして、これに直轄の直接発注と大手ゼネコンからの下請発注が加わるということになります。
 一方、量だけではなくて、県工事の発注に当たりましては、予定価格1億円未満の建設工事には最低制限価格を設けるなどの工事の品質を確保するとともに、県内業者が適切な利益を上げられるようにいろいろな工夫をして頑張ってるところであります。
 今後とも、必要な公共事業の予算を確保するとともに、県内業者で施工可能な工事はできる限り県内業者に発注し、建設業者の方々の持続ある経営や健全な発展が図れるように、大事なそういう業者が地域の雇用と地域の安定勢力として地域の発展に貢献していただくように、できるだけの工夫をしてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございました。
 仁坂知事が就任して以来、和歌山県の公共事業が安定的、また、むしろまだ公共投資がふえてきたということは、私も高く評価しております。
 さっき、部長答弁のときにちょっと言い忘れたんやけども、23年度の入札状況で契約件数が2265件あったそうですけども、そのうちだれも応札しなかったというのと、また1社しか応札しなかったというのが、合わせて大体1割ぐらいあるんです。これはなぜ、せっかく皆「仕事ない、仕事ない」と世間で言うてるのに、1割以上も応札なし、または1社応札だけになってるのかというのは、これもやっぱり少し単価に影響してるんじゃないかなというのも、ちょっと先ほど言い忘れたんでつけ加えさせてください。
 私、いつもこの質問に立つときに、きょうの第1問、第2問、第3問、第4問、すべて最終的に考えていくと、どうしても都市と地方の格差にやっぱり行き着いてしまうんです。
 僕らのイメージというのは昭和のイメージがありますんで、昭和の私たちの─私は美山村という山間部に育ちましたけども、それでも当時は活力があったなあというのは、もう肌で感じます。たまに家へ帰って、近所のお年寄りが縁側へ来て「健吉、最近頑張っとるか」と声かけていただくんですけども、大体もう皆、75歳から80歳。「なあ、昔、この辺にも、おまえら若いころ、子供ぎょうさんおったんやけどなあ」と言われるんですけども、本当に寂しい思いもするんです。山間地はもう限界集落をはるかに超えております。やがてはその集落自体が消滅するかもしれません。
 こういうときに、私ども、政治の世界でこうしてずうっと一般質問を考えたり、こういうことをしてると、本当にもうだんだん憤りを感じてくるんですけども、私はずっとこれからも、あいつは得手勝手や、都市のほうから見れば、都市に住んでる皆さんから思えば、あんな自分らの勝手、都合のええ質問ばっかりするやないかと思われるかもしれませんけども、私は愚直に、これからもずっと地方の言い分というのをこの議会で問うていきたい。
 そして、地方に住む人も、同じ日本人でも当然ありますし、別にこの和歌山県を東京都のように、どこぞの、隣の府が都になりたいというような、そんな構想を僕は持つ必要はないと思います。和歌山県は和歌山県らしく、そして環境に恵まれた、歴史と伝統に恵まれたこの和歌山県がずっといにしえから続いていく、私たちの子々孫々、みんな暮らしていける和歌山をつくるために、今、私たちが何をしなくてはならないか、その責任を私たちは思ってるから質問になるわけですし、当局の皆さん、ぜひこの和歌山を地方のよさを生かした和歌山にお互いしていこうではありませんか。
 そのことを最後に当局の皆さんにお訴えを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、どうもおはようございます。
 一般質問に入ります前に、6月の6日に御逝去あそばされました三笠宮寛仁親王殿下に対し、謹んで哀悼の意を表したいと思います。
 また、御逝去された同僚の川口文章議員に対しても、謹んで哀悼の意を表したいと思います。昨年、川口議員は文教委員長として活躍され、その委員会でも御一緒させていただきました。本当に親しみやすい人柄で、残念でなりません。心から御冥福をお祈りいたします。
 それでは、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、昨日、中議員から予告がありました署名並びに調査点検について申し上げたいと思います。
 私たち公明党和歌山県本部では、この4月下旬から5月下旬にかけまして、約1カ月間で署名並びに調査点検を行いました。1つは、防災教育の充実を求める署名、2つ目は、県内の小・中・高等学校の学校避難所としての防災機能の調査点検であります。
 1つ目の防災教育の充実を求める署名には、県内30市町村住民の方を対象に行い、14万4820名の方に御賛同いただき、18日には平野文部科学大臣へお届けいたしました。仁坂知事や西下教育長にも御報告を申し上げたところでございます。御協力いただきました党員の皆様、県民の皆様には、この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。
 東海・東南海・南海地震が危惧されている中、防災教育は、学校だけでなく、地域と一体となった防災教育、防災訓練の必要性を強く感じます。
 2つ目の学校避難所調査点検は、小・中・高等学校427カ所を対象に訪問し、水や備蓄食料、トイレ等、15項目にわたって調査し、393校、約92%の回答をいただきました。
 学校施設は、地震、台風、豪雨等の災害発生時においては、児童生徒等の安全を確保するとともに、地域住民の災害時避難場所になっております。東日本大震災や昨年の台風12号被害、先日の台風4号においても、学校施設が避難場所として利用され、地域の防災拠点として評価される一方で、実際に避難所として利用された状況等から、学校施設の避難所として必要な防災機能について、さまざまな課題が指摘されております。
 アンケートでわかったことは、問1の水確保などを問う質問では、約4割の避難所が水の備蓄がなく、それ以外でも、アルファ米や毛布等、他の備蓄品も含め、さらなる充実が必要です。
 問2では、防災倉庫、備蓄倉庫の有無についてお聞きしました。防災倉庫については約8割、備蓄倉庫については約7割の学校がないとの回答でございました。空き教室を活用したり、屋上を利用したりしてスペースを確保すべきではないでしょうか。
 問3では、トイレ、シャワーの有無についてお聞きしました。トイレ、シャワーに関しては、避難生活をするには必要不可欠です。現に昨年の台風12号被害で、紀南の学校では、水洗トイレの水が使えなくて、しばらく休校にせざるを得なかった状況もありました。現在、マンホールトイレが準備されてるところは24校、全体の6%でした。
 問4、問5では、学校施設内の衛星通信電話、災害時優先電話指定の有無をお聞きしました。ほとんどの学校では、衛星通信電話が設置されていません。これも昨年の台風被害の経験からすると、孤立化することが危惧されます。現在、衛星通信電話はほとんどなく、災害時優先電話の指定は4割にとどまっております。対策本部と避難所等の連携がスムーズに行えるよう、複数の情報機器の整備が必要です。
 問6では、自家発電設備の有無をお聞きしました。自家発電設備の設置も約4割にとどまっております。地震が発生し停電すると復旧までかなりの時間がかかるため、最小限度の用意が必要です。
 問7、問8では、太陽光パネル、蓄電池の有無をお聞きしました。太陽光パネルの設置に関しては約15%、蓄電池に関しては4%と低い設置率です。今後は、太陽光パネルと蓄電池のセットで設置することによって災害用の電源を確保する必要があります。
 問9では、災害時要援護者の避難に備えた特別場所の有無についてお聞きしました。約28%があると回答していますが、避難場所が3階に設置してあり、要援護者の負担をもっと考慮すべきと考えます。災害弱者対策のおくれを指摘せざるを得ません。
 問10、問11では、避難所用にラジオ、テレビの有無についてお聞きしましたところ、半数以上がないと回答しています。情報収集のため、最低限度の備えも大事です。
 問12、問13では、防災教育、防災訓練の有無についてお聞きしました。防災教育や防災訓練は、88%が実施との回答です。一定の成果は見受けられますが、学校、地域一体となった防災訓練を実施すべきとの意見もありました。
 問14では、学校避難所マニュアルの有無についてお聞きしました。この学校避難所運営マニュアルの有無については、60%以上がないとの回答でした。学校の先生は、生徒を守るという意識はありますけども、避難所に地域の人が避難した場合、そこまで手が回らないとの危機感があります。避難所運営の役割分担、指揮命令系統を明確にすべきであり、学校ごとのリーダーを決め、運営マニュアルを早急に作成すべきです。
 最後の問15では、御意見や御要望をお聞かせいただきました。教師は生徒を守る役目、避難所運営は行政でという意見があり、学校と防災担当者との連携を再確認する必要があります。防災備蓄倉庫を早く建ててほしいとの要望も多かったです。地域の方との防災訓練や避難所運営なども検討を必要としています。特に、自治会が多くて混乱が予想される地域も見当たります。地すべり地域の学校が避難所になっているという意見がありました。屋上には逃げたいが、さくがないので余計に危険。また、学校を高台に移転してほしいとの要望もありました。
 以上のことを踏まえ、この防災教育の充実を求める署名及び学校避難所調査点検への御見解、御感想について、仁坂知事、そして西下教育長にお伺いします。
 地震が発生すると、建物の倒壊等で自宅が被災し、多くの人々が避難所で避難生活を送ることになります。県の現在の想定では、最大10万4000棟以上が倒壊のおそれとなっています。大勢の方を受け入れながら、だれがどのように運営をしていくのか。県としても、平成20年に「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を出していますが、活用という点では、より避難所に合ったマニュアルが必要になってまいります。
 避難所ごとの運営マニュアルの作成と、リーダー研修の現状と今後について、半田危機管理監にお聞きします。
 県立学校の問題として、避難所としての指定は受けていても、基礎自治体である市や町との連携がとれていないことがわかりました。施設を市町にお貸しするという受け身の姿勢になっている状況です。住民が避難してくることを現実問題として余り考えていないということがうかがえます。
 例えば、昨年の3月11日は高校の入試2日目でありました。住民が高台にある高校に避難してきましたが、入試時間中で、部外者である住民を学校内に避難させるということは全くの想定外でした。学校に入れてもらえず、住民の方は外で待機、そういう状況があったようです。住民の立場からすると、非常時は近くの高等学校より遠くの小中学校へ避難しなきゃならなくなってしまっております。
 避難所として基本的な取り決めを早く決めるべきです。避難所としての協定書を市町村と交わしてる学校は、38校のうち13校しかありません。市町村と早急に協定書を交わし、避難所としての防災機能、その管理の問題等を確認すべきと考えます。協定書についてのお考えをお示しください。
 入試や学校行事のとき、有事の際の対応についての考えを改めてお聞きします。
 また、遠くから通勤する教職員、これには校長、教頭など管理職も含めて、発災後、勤務先の学校に行けない場合も出てまいります。管理職は、特に人事的な配慮も考える時期かもしれません。視野に入れていただいてるのでしょうか。
 また、私が訪問しました高等学校では、海岸に近く、避難所指定を外した学校もありました。避難所以前に学校そのものが危険にさらされ、埋立地に造成された場所ということもあり、津波被害や液状化現象が心配されます。このような立地のところに対し、移転計画等、どのような検討がされておるのかお聞かせ願います。
 以上、教育長にお尋ねをいたします。
 このアンケートや点検調査に関連して、学校施設の耐震化という問題についてお伺いします。
 学校施設の耐震化は、ここ10年で大きく進んでまいりました。10年以上前には、文科省は、全国の学校耐震化のデータすらなかった状態でした。初めてデータをとった10年前、2002年4月1日現在では、耐震化率44.5%でした。
 その後、2003年度より学校耐震化予算も増額され、特に2005年度には、当時の北側国土交通大臣が文科省をリードする形で連携。耐震診断の2006年度中の全校実施を決定。学校耐震化促進の予算の増額、学校耐震化の改修促進計画の策定を決めたほか、文科省は安全・安心な学校づくり交付金を創設するなど、強化策をとりました。
 2008年度には、中国四川大地震で多くの校舎が倒壊。多数の児童が犠牲になったこともあり、公明党挙げて学校の耐震化、病院施設等の耐震化を対象として犠牲者ゼロプランを提唱。特に、国庫補助率の引き上げ、自治体の負担軽減を図るよう、改正地震防災対策法──学校耐震化の促進法─を成立させ、実質的な自治体負担額を従来の31.25%から13.3%へと半分以下に下げました。学校耐震化が加速された大きな要因でございます。
 こうして学校の耐震化は、昨年4月1日現在で80.3%、ことしの夏休みが終わるころには90%近くまでなっているのではないでしょうか。
 民主党政権時には逆噴射が始まり、予算額も約60%削減され、耐震・津波対策が大きく後退いたしました。
 東日本大震災で「釜石の奇跡」と言われる群馬大の片田教授の防災教育の充実の取り組みも、自公政権時の2008年につくった防災教育支援推進プログラムというモデル事業として予算計上し、釜石市を初めとして助成を行ってきたところです。2011年度の予算において、この事業を打ち切ってしまいました。
 「コンクリートから人へ」ではなく、コンクリートも人も大事なんです。人の命を守る防災教育の重要さがわかっていない民主党政権は早く解散し、信を問うべきと改めて申し上げたいと思います。
 和歌山県は、学校耐震化については、全国に先駆けて進んでいると伺っております。現在の進捗率と、補助金が見込める平成27年までには小・中・高を含めて完全実施となるのでしょうか。その見通しをお聞かせください。
 続いて、さらに学校施設の安全性を進めるために、非構造部材への耐震診断、耐震補強準備をお願いしたいと思います。
 東日本大震災では、学校施設にも甚大な被害がありました。被害状況を見ますと、建物の柱やはりといった構造体だけでなく、天井や照明器具、外壁、内壁など、いわゆる非構造部材が崩落し、避難所として使用できないばかりか、児童生徒が大けがをする事故まで発生しております。
 地震等災害発生時には地域の避難所となる学校施設は、児童生徒だけでなく、地域住民の命を守る地域防災拠点であり、最後のとりでとなり得るところです。その安全性の確保、防災機能の強化は待ったなしの課題です。学校施設における非構造部材の耐震強化について、現状と対策についてお聞きし、第1問とさせていただきます。
 ありがとうございます。
○議長(山下直也君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災教育の充実を求める署名と学校避難所としての防災機能調査点検について、私に答えよと言われた点について申し上げたいと思います。
 公明党和歌山県本部が防災教育の充実を求める署名活動を行い、多くの県民から賛同を得られたこと、また県内の小・中・高等学校を対象に学校避難所における防災機能調査点検を実施し、その調査結果を取りまとめられたことは、大変有意義なことであると考えます。
 後者については、具体的には、避難所マニュアルを避難所ごとに作成して事前に自主防災組織と連携し、役割分担を決めておく取り組みとか、あるいは火急の際にだれが開錠するか決めておき、約束を取り交わしておくこととか、あるいは学校長が平時から地域の自治会役員と連携し、顔が見える関係をつくるような取り組みをしておけとかなどなどのそういう御指摘は、災害時に混乱が生じないようにする取り組みとして大変有効だと考えております。
 お聞きしましたので、早速、防災当局と教育長に、これをよく勉強して改善を検討するように指令を出しました。
 一方、調査点検結果を文部科学省にお届けになった際に、一番初めに申し上げました、防災教育の充実を求める署名をお届けになるというふうに言われましたので、それでは和歌山県で行っている大変先進的な防災教育や教材等、御紹介くださいというふうにお願いをいたしました。
 本県では、防災教育については専門家会議の委員であり、「釜石の奇跡」で著名な片田敏孝群馬大学大学院教授にずっと前からアドバイスを受けておりまして、昨年は田辺で教員を対象に大講演会をやってもらいました。その内容は、想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれという避難3原則の思想を取り入れたものでありまして、私も実は聞かしていただきましたが、大変感動的なお話でありました。早速、DVDを県内の全教員に見てもらうようにということを指令を出しまして、それは既に実現しております。
 さらに、この考え方を取り入れて「津波防災教育指導の手引き」という教材をつくりまして、既に全生徒に対して強力に防災教育をやっていく取り組みを始めております。
 これは、関係各所から高い評価をいただいた、避難先に安全レベルを設定し、時間のある限りより安全な避難先を目指す取り組みとか、あるいは家族で避難場所とか避難経路を話し合って避難カードを書く取り組みとか、こういうものもやっておりますが、片田教授との意見交換から県として考案し、命を守るためにもより高く避難する意識が行動につながることが不可欠という願いを具体的な形にしたものであります。こういう点についてもお届けいただいて、評価いただいたと思います。
 こういう先進事例が文部科学省を通じて日本全国に広がり、そして日本全国で命が救われるようになったらよいと私どもも考えております。
 県としては、学校の防災教育、家庭や地域の取り組みと連携して、地域の安全レベルを向上させる方向で、議員御指摘のような点をどんどん取り入れて、さらに取り組んでいきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 避難所運営マニュアルの策定と避難所運営リーダー研修、その現状と今後についてでございますが、県としましては、自主防災組織などでの共助による防災活動の中心的な担い手であります地域防災リーダーの育成講座といたしまして、紀の国防災人づくり塾を平成17年から開講してきております。昨年度までに821名が修了しており、その中でも、5日間の講座日程のうち、避難所運営に関してはほぼ1日を充てて研修しております。
 紀の国防災人づくり塾については、県長期総合計画において、平成29年度までに1000人の地域防災リーダー育成が目標でありますけれども、目標を大幅に上回るペースで進めることができてございます。
 避難所の設置主体は市町村ですが、過去の大規模災害においては、市町村は管内の救援・救助活動や物資の発注、受け入れなどに人手をとられ、避難所の運営については、自主防災組織を初め地域が大きな役割を担っております。
 県としましては、平成20年3月に「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を策定し、避難所ごとに運営マニュアルが必要ということを市町村へ助言してまいりました。その内容は、自主防災組織などを避難所運営の中心として位置づけることや、避難所業務を各班で分担した効率的な運営などを盛り込んでおります。
 しかしながら、18市町村で運営マニュアルを作成していない現状ですので、県としては、まず作成について、市町村に対して積極的に助言を行ってまいりますとともに、同作成モデルの内容についても、東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓などを踏まえ、さらに充実させる取り組みを行ってまいります。
 以上です。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 防災教育の充実を求める署名及び学校避難所としての防災機能調査点検に係る4点の御質問に対してお答えをさしていただきます。
 まず最初に感想でございますけども、防災教育の充実を求めて14万人余りの多くの方々が署名されたということは、東日本大震災や本県を襲った台風12号による大水害の惨状を目の当たりにして、この世に生をうけたすべての人が、命のとうとさ、かけがえのない人が身近にいるというごく当たり前のことがいかに大切であるかということを改めて感じさせられ、県教育委員会としても極めて重く受けとめてございます。
 とりわけ、みずからの命はみずから守るべきということを柱にした群馬大学大学院の片田敏孝教授の教えのもと、小中学生が率先して避難し、その姿を見て避難した地域住民の多くの方々が助かった「釜石の奇跡」と言われる取り組みには、私自身も深い感銘を受けました。
 この貴重な取り組みを踏まえ、仁坂知事からも適切で、かつ迅速な助言がございました。それを受けまして、県教育委員会としても、直ちに片田教授の直接の指導・支援のもと、本県ならではの「津波防災教育指導の手引き」やDVD等を作成し授業を行うとともに、教員だけでなく、地域の方々も含めた研修会等を行ってきたところでございます。
 現在、この津波防災だけでなくて、他の自然災害に対応する防災学習も積極的に進めてございます。
 こうした──先ほど知事からもございましたけども、先進的な本県の防災教育というのは、他府県からも高く評価されておりまして、今後も物事の本質をしっかりと見抜いて果敢な教育行政を推進し、県民の信頼にこたえる安心・安全な教育の実現を目指してまいりたいと考えてございます。
 特に、今年度の高校生防災スクールでは内容を一新し、高校生が自治会の協力を得て地域のお年寄り宅を訪問して情報を収集し、その情報をもとに支援をしたり、災害発生時には緊急に必要とされる非常用トイレの製作や段ボールを使った個室スペースをつくるなど、より実践的な取り組みを行う予定としてございます。
 学校には、子供の命を守るだけでなくて、さまざまな自然災害時の地域の方々の避難生活の拠点としての役割があり、多くの学校が災害時の避難所として指定されております。
 先ほど知事の御見解にもございましたが、今回、議員の方々が取りまとめられた調査結果では、災害時に混乱が生じないようにする取り組みとして大変有効だと考えておりますので、今後ともそういう調査結果を生かしてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、県立学校の問題点ということで、協定書についてお答えをしたいと思います。
 いつ起こるかわからない自然災害に対しまして、自治体と学校が協力をして常にその事態に備えておくことは、当然のことと考えてございます。避難所に指定されながらまだ協定書を交わしてない学校に対しましては、市町村と学校の役割を明確にしつつ、避難所としてのあり方も含め、必要な取り組みを早急に結ぶよう指導してまいります。
 続きまして、入試や学校行事のとき、有事の際の対応についてお答えします。
 地域の方々にとっては、基本的に学校は安心・安全な場所であると認識されております。緊急避難時の受け入れについて協力するのは、当然のことと考えます。学校行事等を実施しているときの対応については、市町村の避難勧告や避難指示、災害の状況など、常に的確かつ迅速に情報を得ながら柔軟に対応するよう指導してまいります。
 県立学校の管理職の配置につきましては、その職責の重要性にかんがみ、全県的な視野に立ち、学校の実情等を踏まえ、適材を適所に配置しているところでございます。災害への対応につきましても、その重要性から、配慮事項の1つであると考えてございます。
 今後も、議員の御指摘を踏まえ、災害対応の観点からも、より状況等を把握し、適切な配置に努めてまいります。
 県立学校の津波対策につきましては、今後、県が作成する津波浸水予測図の結果に基づき、関係する市町と協議しながら、避難路の確保、整備の見直しや屋上等の避難施設整備、また移転の必要性も含めて検討してまいります。
 小中学校におきましても、特に発達段階に応じ、よりきめ細かで迅速な対応が求められているということを踏まえながら、設置者である市町村に対し、学校の安全性の確保について積極的に助言をしてまいります。
 学校の耐震化の進捗状況と完全実施の見通し等にかかわってですが、本県の公立小中学校施設の耐震化の進捗状況につきましては、平成24年4月1日現在、対前年比5.3%増の89.4%となっており、16市町においては既に耐震化を完了しております。
 今後の見通しにつきましては、文部科学省において平成27年度までのできるだけ早い時期に耐震化率100%を目指すという目標が掲げられたことから、いまだ完了していない市町村に対しては早期に耐震化を完了させるよう指導・助言を行っているところでございます。
 県立学校施設につきましては、本年4月1日現在、支援学校は100%、高等学校では98.7%、来年度には完了の予定でございます。
 公立学校施設につきましては、議員の御指摘のとおり、体育館等が災害時における応急避難場所として活用されることから、非構造部材の耐震化が新たに求められております。
 本県における公立小中学校の体育館等の非構造部材の耐震点検につきましては、学校や市町村において実施されているところでございます。今年度より、文部科学省の補助事業として防災機能強化事業が創設され、公立小中学校施設につきましては、この制度を活用し、防災機能の強化を早期に図るよう指導・助言を行っております。
 県立学校施設につきましては、体育館の非構造部材改修として、既に8棟を実施してございます。今後は、非構造部材につきましては、実施済みの現状調査に引き続き、改修のための点検を行い、実施計画を立て、順次改修を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。
 特に、避難所運営マニュアルにつきましては、今、御答弁いただきましたけども、30市町村の中で12市町村しかマニュアルができていないと、こういうことでございますし、今、一生懸命、地域防災リーダーを育ててるということでございますんで、しっかりそれがリンクできるようにお願いしたいと思いますし、あわせて、地震・津波被害が想定される沿岸部に近いところは、少なくとも準備をしていくことも県として強く御指導していただきたいということを、改めて半田危機管理監に御要望させていただきたいと思います。
 それから、防災機能の充実についてということで、各市町村のいろいろな状況がありました。県立学校も同じ状況です。必要最低限、どこまで県教育委員会の責任で計画していくのか、このことについてはちょっと御答弁いただきたいと思います。
 それから、有事の際の対応ということで、柔軟な対応が必要であるというお答えでございました。その仕組みをつくってあげることが必要ではないかと思います。
 例えば、入試をやってる。こういう入試というのは学校行事の中で一番大事な行事だと思いますけども、それを中断させるのか、それとも避難してこられた住民の方を受け入れながら並行してやっていくのか、そういう有事の際の取り決めはあるのでしょうか。重ねて教育長に御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) まず、第1点目の県立学校の防災機能について、どの程度まで考えてるかという御質問でございますが、県立学校の設置者として、施設面で生徒の安全を確保するための耐震補強や非構造部材の耐震化を行うことで避難所としての安全を今後とも図ってまいります。
 また、避難所としての人的、物的な機能整備についても、担うべき役割について各市町村と協議の上、学校防災の機能を一層充実させていきたいと考えてございます。
 また、県立学校の問題点として、柔軟に対応するという、これはどうするのかということでございますけども、災害時における学校の避難所としての初期対応には、本当にさまざまなケースが考えられます。議員御指摘のように、入試のときにどうするのかとか、あるいは交通麻痺が起こったらどうするのかというふうなことから始まって、学校行事を行っている場合、あるいは休みのときどうするのかとか、夜間はどうするのかと。
 知事の先ほどの見解の中にもございましたけども、それぞれに応じて適切な緊急マニュアルをつくっても、マニュアルにこだわらない柔軟な対応が必要であるという観点から、今後、協定を結ぶ際にも、各学校において、あるいは市町村の防災担当者や地域の方々と一層連携を密にし、協議を重ねながら、まず子供の命を守る、それから地域の方々の安全を守るという観点から、より適切なそうしたマニュアルをつくって、安全・安心な、本当に地域の方々の信頼にこたえられる学校教育の場でありたいというふうに願っておるところでございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 最後に、要望という形になりますけども、これは「日本教育新聞」の6月の11日に掲載された中身なんですけども、その中で、座談会という形で「3・11以後の学校防災 今、校長に求められるもの」と、こんなことが記事に載っておりました。
 ちょっと御紹介をしますと、「教育公務員というのは、子どもを指導するのではなくて、子どもの命を守るということが一番大切なことを、意識して仕事をすべきではないか。いざとなったら自分の命に代えてでも、子どもを守り切るということを意識しないとやり切れない仕事だなと、思った。それから、避難所としての対応というのは、学校の職員は初期対応だけでよい、その後は市役所職員が必ず来るからと言われていたが、現実にはそうではなかった」。
 あと、いろいろあるんですけども、このことを申されてるのが、昨年被害に遭われた宮城県の石巻市立の小学校の校長先生のお話なんですね。非常に参考になる意見だと思いますし、私たちが行いましたアンケートもぜひ取り入れていただいて学校避難所の防災機能強化に努めていただきたい、こういうふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、次の2項目めに移りたいと思います。
 学校通学路の安全確保について御質問させていただきます。
 きのう、岸本健議員から同様の質問がありました。重複する部分は避けたいと思いますけども、この問題への関心は、京都府亀岡市の痛ましい事件以来、全国で多発したこともあり、非常に高くなっております。
 警察庁の統計によれば、登下校中の交通事故で死傷した全国の児童数は、昨年1年間で2485人に上ります。惨事を回避するためには、通学路に危険、盲点はないか点検し、より一層安全対策を強化しなければなりません。
 我が党は、この事件を受け、通学路の安全対策プロジェクトチームを4月26日に立ち上げ、文部科学省、国土交通省、警察庁の担当者の方々にも参加していただき、現在まで都合6回開催をしております。そして、5月16日には、通学路の安全対策についての緊急提言を平野博文文部科学大臣あてに行いました。
 緊急提言では、全国的な通学路安全点検調査をゼロベースかつ子供の視点から実施すること、文部科学省が指導し、警察庁、国土交通省等関係省庁、教職員、保護者や専門家等関係者で構成する通学路安全対策協議会(仮称)等を早急に設置することにより本省及び現場での連携を密にし、通学路の指定や通学路の安全対策等を抜本的に見直すこと、通学路の危険箇所改善のため、予備費の活用も含め新たな対応を検討すること、これらの点検調査、安全対策の見直しの実施状況やその結果についてもあわせて調査することなどがその骨子となっております。
 早速、文科省、国交省、警察庁の3省の副大臣レベルの会合を開いていただき、通学路における交通安全の確保について、1、国レベルの連携体制の強化、2、地域レベルの関係機関による連携体制の整備、3、緊急合同点検の実施と対策の検討を各省庁から通達していただいたと伺っております。
 私は、京都府亀岡市の事故現場にも行ってまいりました。閑静な通りでした。人や自転車、そして自動車の往来をしばし見詰めていました。こんなところで起こったんやなあと改めて考えてしまいました。学校の正門もあとちょっとのところでございました。正門わきの空き地にはテントが張ってあり、花束もたくさん手向けられておりました。
 先日の報道によると、事故があった通学路について、30キロ規制に改めるそうです。事故が起こってからでは遅いと言わざるを得ません。難しい課題をほうっておくわけにはまいりません。特に各幼稚園や学校が定め、市町村教育委員会が主体として取り組む必要もあろうかと感じます。
 今度の通達では、県教育委員会の責務が大きくなってまいります。県教育委員会としての役割、今後どのようにして安全性を高めていくのか、教育長にお尋ねします。
 国土交通省からも通達が届いていることと思います。一般道における歩行者の安全確保という面、特に学校通学路に指定され、安全性を高め、児童生徒を守る道路、その道路管理者として通学路はどんな道路が望ましいとお考えか、歩道整備の現状と今後の通学路対策について、県土整備部長、お答えください。
 マスコミが取り上げるような大きな事故ばかりじゃなく、身近なところでも毎年のように繰り返されておると思われます。和歌山県内での通学路の事故の実態と、警察庁からの通達を受けて本県としてどのように対応されるのか、警察本部長にお答えをいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 道路管理者としての通学路は、歩道として車両と歩行者の通行空間が分離されており、歩道の幅員は、歩行者や車いす等のすれ違いを考慮し、2メートル以上とすることが望ましいと考えております。
 また、通学路の歩道整備の状況ですが、県管理道路について、交通安全施設等整備事業の推進に関する法律第3条で指定された道路における通学路の延長は約450キロであり、そのうち2メートル未満の簡易なものを含めた歩道整備済み延長は約170キロとなっております。
 今後の通学路対策につきましては、事業用地の御協力をいただき、歩道拡幅や歩道設置を進めるとともに、また、防護さくや側溝ぶた設置等の即効性が高い対策も活用し、通学路の交通安全対策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路における教育委員会の役割及び安全向上に向けての今後の取り組みについて、お答えいたします。
 通学路の安全を含め、子供たちの命を守ることは、すべてに優先される学校教育の根幹であると考えております。
 従来、通学路の安全対策については、教職員を対象とした研修会、並びに保護者及び地域の協力を得て行う登下校時の見守り活動など、学校だけでなく、地域全体で子供の安全を守る取り組みを進めてまいりました。
 県教育委員会といたしましては、今回の痛ましい事故を踏まえ、国の指示や依頼を待つまでもなく直ちに対応するとともに、文部科学省からの依頼のあった緊急合同点検の際には、地域の事情に精通した安全ボランティアの方々の意見も十分踏まえるよう、各市町村教育委員会及び県立学校長に依頼をしたところでございます。この調査結果をもとに、県教育委員会、県警察本部及び県土整備部の3者が連携し、情報の共有や、より効果的な対策について検討していきたいと考えてございます。
 今後も、保護者及び地域による子供の見守り活動の充実促進、並びに発達段階に応じた交通安全教育等を推進することにより、子供の危険を回避する能力だけでなくて、危険を事前に予測する能力等の向上にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(山下直也君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) まず、通学路の事故の実態についてでございますが、現在、交通事故統計は、登下校中における項目、事故が登下校中に発生したかどうかにより行っております。
 昨年は、登下校中に25人の小学生が交通事故により負傷しており、本年は5月末現在、昨年同期と同じ6人が負傷しております。登下校中の子供の死亡事故は平成8年に発生しましたが、それ以降の発生はございません。また、過去10年間の推移を見ますと減少傾向にあり、昨年は10年前の半数という状況にあります。
 続いて、警察庁からの通達を受けての本県警察の対応についてでございますが、警察庁からは、5月30日付で「通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検の実施」と題した通達が発出されており、学校、警察及び道路管理者による緊急合同点検を8月31日までに実施するよう指示されております。
 本県警察では、京都府亀岡市や千葉県、愛知県で相次いで発生した登校中の児童が被害者となる重大事故を受け、警察庁から通達が発出される前に、県下各警察署に対して通学路の安全点検を実施するよう指示しており、既に速度規制、信号機、横断歩道の設置などの交通規制の見直しや路側帯の拡幅など、道路管理者関係の対策案を50個程度抽出したところであります。
 今回、警察庁からの通達を受け、再度教育委員会等との連携を図り、緊急合同点検を実施し、これまで抽出した箇所に加えて、安全対策が必要な箇所がないかどうか精査をしていくこととしております。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 そのことにつきまして、和歌山市では、5月28日に緊急交通安全対策会議を早速行っていただきました。その箇所ですけども、小学校で13校、中学校で1校、幼稚園で1園、計14校1園ということで、ちょっと少ない気もしますけども、初めてこういうことで担当者に集まっていただいたということは、非常にすばらしいことだと思っております。
 その中で、岡崎小学校の通学路をちょっと紹介したいと思います。地図を用意いたしました。ごらんいただきたいと思います。
 見ていただければわかりますように、この地区周辺には、小学校、中学校、高校、そして短期大学とそろう文教ゾーンです。児童・生徒・学生、総勢2000人以上が毎日通学しています。
 2005年、貴志川線存続に当たって開発許可の緩和策を講じたため、この貴志川線岡崎前駅周辺では世帯が増加しております。現に岡崎小学校ではふえ続けていますし、昨年、平成23年は389名ですが、5年後には500人近くなるという予想です。主要道路はすべて県道です。
 写真左側は、県道和歌山野上線の西側にガードレールがあり、岡崎小学校の児童生徒の6割が利用する通学路。ガードレールがないところもあります。
 東側は、東中学生や東高校生が利用する通学路ですが、路肩1メートルもないところを、自動車とのすき間を縫って自転車が走っております。大変危険な通学路となっております。これが毎日の光景です。
 赤い丸印の中の数字は、上が昼間12時間、下が24時間の通過交通量です。特に朝の交通量が多く、雨の日は、傘を差した小学生と車両が接触しそうな光景をたびたび見かけます。東側の自転車も同じです。先ほどの県土整備部長に答えていただいた通学路としての姿からすると、到底納得できる箇所ではありません。通過交通がふえる中で、安全対策が置き去りにされている感さえあります。教育委員会として、余りかかわりを持ってこなかったんではないでしょうか。今後、県教育委員会の強い姿勢に期待します。
 3者合同で点検、そして対策への御所見を教育長にお願いします。
 また、どのような解決策があり、安全性を確保できるのか、県土整備部長にもお尋ねします。
 警察本部では、警察庁からの通達以前から安全点検を行い、既に対策案を50程度抽出してると先ほど御答弁いただきました。交通安全の確保を目指すために、新たにどのようなことが考えられるのか、警察本部長にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県道和歌山野上線の岡崎小学校北側の通学路となっている区間につきましては、歩道幅が1メートル程度で、家屋が隣接する箇所ではガードレールもないところを小学生が通行しており、歩道整備の必要性を十分認識しております。
 今後、歩道整備計画を立案し、地元関係者と連携しながら、事業用地の御協力を得て歩道整備に取り組んでまいります。
 また、他の箇所につきましても、交通の状況を見ながら、地元及び関係機関と連携し、交通安全対策を検討してまいります。
○議長(山下直也君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路における教育委員会の安全性向上に対する取り組みという再度の御質問でございますけども、先ほど申し上げましたように、子供の命を守る取り組みというのは、教育の根幹にかかわる極めて重たい責務だと考えてございます。そのために、教育委員会としては、各学校の通学路の実態を踏まえながら主体性を持って関係機関との連携を図り、今後とも改善に向けた取り組みを進めてまいります。特に、警察及び道路管理者あるいは県土整備部とも連携をしながら、全力で取り組んでまいる覚悟でございます。
○議長(山下直也君) 警察本部長。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 議員御指摘の岡崎小学校前の通学路につきましては、警察としても承知しているところであり、私も、先日、現場を実査させていただきました。
 しかしながら、通学路の安全対策につきましては、警察だけでは対応できない場所もございます。
 御質問の岡崎小学校前の通学路の安全対策につきましては、教育委員会、道路管理者等と連携をして、必要な安全対策を講じられるように検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ、本当に危険箇所だという認識のもとで御答弁いただいたと思います。
 しかし、先ほど県土整備部長から、歩道整備を進めていき、通学路安全対策という御答弁をいただきましたけども、それだけでは僕は不十分だと思います。それは、西側だけのことをおっしゃってる感じがいたしますし、十分な、ここの自転車通学ということを考えたら、東側につきましても自転車優先、専用、そういうぐらいの道路の整備をしていただきたいと思いますし、やはり学校の周辺、学校ゾーンというのが、スクールゾーンというのがきっちりわかるような道路整備も必要でしょうし、そういう意識で、子供の命を守るという点でしっかり取り組みをお願いしたいと思います。
 昨日も知事のほうから御答弁がありましたけども、緊急合同会議じゃなくて、岸本議員がおっしゃったように、プロジェクトというぐらいにグレードを上げていただいてしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、知事は、県政報告会ということで、和歌山市もあと1カ所で2巡目が終わるそうでございます。いろんな形で県民からの御要望も聞いていただいてると思いますんで、そういう意味では一番御理解いただいてるんじゃないかと思うんですね。子供を守るという視点で、理解ある県政の運営を知事にお願いさせていただいて、要望とさせていただきたいと思います。
 続いて、人権施策について、あわせて御質問させていただきたいと思います。
 その人本人かどうかの確認をするのに身分は関係ないという考えに加えて、身分というものに対する人権意識を高めていく必要性を昨年6月の人権・少子高齢化・環境問題等対策特別委員会で指摘いたしました。
 これは、ある市民の方の御指摘がきっかけとなりました。早速、指摘された和歌山市が発行しております「暮らしのページ」を調べてみました。
 「暮らしのページ」は3年ごとに発行されており、各家庭に配布されております。市民にとって毎日の暮らしに深くかかわりのある各種行政手続や窓口業務などの行政情報や、観光、歴史、医療情報など、日常生活のガイドとして発行されてるものです。確認すると、12カ所で「身分証明」という表記が使われてました。
 平成20年5月には法務省から、「戸籍の窓口での『本人確認』が法律上のルールになります」とし、「身分」という言葉が消えております。つまり、「本人確認」に改まっています。
 行政上、あるサービスを受けようとする人がその人かどうかを確認するために身分は関係ない。身分というものに対する人権意識を改めるとともに、本来の目的に合わせて本人確認に変更していくことも必要なことと言えます。「身分」という表現に差別的な印象を与えるならば、行政上配慮することは、県人権施策基本方針「すべての人の人権が尊重される社会創造」からすると、当然のこととなるからです。
 昨年の6月以降、県当局として、調査の内容と、人権配慮としてどのように是正されてこられたのかお聞かせ願いたいと思います。
 もう一点、3月23日の和歌山県報によりますと、まだ身分証明書を県の関係者に発行しているケースが見られます。あえて職員の地位を示すのに「身分証明書」という表記を使わなくても済むものが、その表記が残っている事実があります。その方の職務がわかる証明書に改めれば済むことではないでしょうか。このことについての御見解をお示しいただきたいと思います。
 また、同じようなケースもまだ県内に残っているのではないかとも思われます。その実態と、今後どのようになさるのか、あわせて企画部長にお答えいただきたいと思います。
 その上で、県民への告知、身近なところで人権への配慮、それを県行政の新しい取り組みとして「県民の友」やホームページ等でお知らせしていくことも大事ではないかと考えます。企画部長のお考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 人権施策の推進についてでございますが、人権・少子高齢化・環境問題等対策特別委員会での御提言を受け、昨年6月以降、各種申請などに対して本人を確認できる書類の表記について点検しましたところ、医療従事者免許手続などに際し、ホームページ上で「身分を確認できる書類」などの表記が県で41カ所、それから13市町で157カ所見受けられましたので、「本人を確認できる書類」などの表記に改めております。
 また、立入検査等の権限を与えられている職員の地位を示す証明書の表記につきましては、わかりやすく具体的に表記することがより適切であると考えております。
 県で様式を定めているものを点検しました結果、40件が該当したため、現在、職務上の権限をよりわかりやすく表記するよう見直しを行っているところですが、市町村に対しても同様な取り組みを働きかけてまいります。
 また、県の人権施策の取り組みにつきましては、「県民の友」やホームページ等、さまざまなメディアを通じて県民の方々にお知らせをいたしまして人権意識の高揚に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 早速取り組んでいただきましてありがとうございます。
 人権施策というのは、本当にいろんな形で、それぞれの立場の中でやっぱり考慮や配慮していく必要もあるかと思いますんで、今後とも人権施策をますます進めていただきたいということを要望させていただいて、一般質問を終了いたします。ありがとうございました。
○議長(山下直也君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時53分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって一般質問をさせていただきます。
 最初に、1項目めは消費税増税問題についてであります。
 野田内閣は、民主、自民、公明3党の談合で、国民の6から7割が反対している増税を何が何でも押し通そうとしています。こういった談合で決めるやり方は議会制民主主義をじゅうりんするもので、断じて許せるものではありません。
 また、民主党政権は「任期中は消費税を増税しない」という2009年の衆議院選挙の公約を投げ捨て、さらに社会保障の公約も根こそぎほうり出そうとしていることに対し強く抗議することを最初に表明して、知事にお伺いいたします。
 国に対して県経済と県民の暮らしに大きな影響をもたらす消費税増税の中止を求めることについて質問いたします。
 まず、消費税を増税すれば日本経済はどうなるかということです。
 1997年、消費税を3%から5%に引き上げ、医療費負担増なども重なって9兆円の負担増が強行されました。このことで、せっかく上向きかけていた景気が一気に冷え込みました。ふえ続けていた勤労者世帯の可処分所得、消費支出は、この年を境に下がり始め、現在までそれが続いています。翌年の98年は、経済成長率がマイナス2%となり、失業者が4%を超えました。この年に自殺者が3万人を超え、ここから14年連続で3万人を超えるという深刻な事態が続いています。
 一方、県内の経済はどうでしょうか。県内総生産額は97年から減少し始め、以後連続して減っていきます。経済成長率は、国より1年おくれて99年にマイナス2%になっています。製造品出荷額は、1995年以降、連続増加してきました。そして、1998年から下降しました。1997年の9兆円の負担増が県経済にも大きな打撃を与えたのです。1人当たりの県民所得も、97年には260万1000円ありましたが、年々減少しました。2009年には239万4000円となり、この12年間では約21万円も平均所得が減っています。消費も長期に落ち込んでいます。
 このときに、さらに消費税の大増税、そして介護保険料の値上げや年金改悪なども含めれば20兆円ものすさまじい負担増を押しつけようというのですから、これでは家計の底が抜け、商売はとてもやっていけない、そういう事態になるのではないでしょうか。
 もう一つ、商店や中小企業の方にお聞きすると、消費税は売値に転嫁できず、身銭を切って納めなくてはならないという問題があります。全国商工会連合会会長は、5%分もの負担がしわ寄せされれば中小企業の利益は吹き飛ぶ、廃業がふえ、国や地方の税収も逆に減るのでないかと述べられています。
 私たちも、和歌山市内の商店街で商店の皆さんがどう心配しているのか聞いてまいりました。10%になれば商売を続けられない、廃業せざるを得ないというのが、大げさでなく、本当に切実な多くの商売人さんの声です。物が売れなくなるとともに、さらに身銭を切らなければならないのです。
 和歌山県は、小規模企業が90%を超える全国一小規模企業の割合が高い県です。小規模企業ほど消費税増税は商売や営業を直撃するわけで、県の経済にとっても消費税増税が甚大な影響を与えると考えますが、いかがでしょうか。消費税増税、また20兆円の負担増による県内経済への影響をぜひお考えいただきたいと思います。
 また、病院への影響も深刻です。全国自治体病院協議会が会員病院を対象に調査したところ、2010年度に負担した消費税は、1病院当たり平均1億2414万円に上ったことがわかりました。消費税が10%になれば、その倍の負担になってしまいます。
 私が聞いたある病院では、100床当たり消費税分年2000万円納めて、赤字ぎりぎりの経営状況ということです。10%になれば全く経営が成り立たないということでした。消費税増税は、病院存続の危機的な状況を引き起こし、地域医療の崩壊につながります。
 このように、暮らしも経済も破壊し、財政危機をますます深刻化させる消費税増税の中止を求めるべきではないでしょうか。知事にお答えいただきたいと思います。
 これで、第1問を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 社会保障制度の機能を維持し、制度の持続可能性を確保するための改革が必要でありまして、そのためには、いわば最後の財源である消費税を充てるということは理解できるということを2月議会で申し上げました。
 消費税は、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点や安定的な財源であることから、社会保障制度を担う財源としてはふさわしいと思います。
 現在、国政の場において議論がなされておりますけれども、消費税の増税については、最後の財源であるということであるからこそ、国民の十分な理解を得つつ進めていくことが大切であると考えております。
 なお、増税がなされる場合には、経済や暮らしへの影響を踏まえ、経済状況の好転のための施策、低所得者対策、適正な価格転嫁への取り組み等の対策が適正になされるべきであると考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁ありがとうございます。
 2月の定例会のときも質問をさせていただきましたが、そのときに、「将来の見通しをしっかり立て、社会保障と税の一体改革の必要性をこの際、国民的に徹底的に議論し、その上で国民の理解を得つつ、これを進めていくことが大切であると考えております」と、先ほどの答弁と一緒にあわせておっしゃられました。
 その点で、先ほどるる申し上げましたように、県民の暮らしに責任を持つ知事として、やはり地方公共団体というのは、住民の福祉の増進を図ることを基本とするものということで、地方自治法にもしっかりと第1条の2に書かれております。こういった点で、県民にどのような影響が来るのか、そういったことを御理解して、また県民の皆さんからの声を聞いて、そういったところ、最後の財源にふさわしいというようなことになってるのでしょうか。その点、もう一度、再度答弁を求めたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民の暮らしとか、それから制度についての妥当性とか、別に答弁のときだけ考えてるわけじゃありませんで、常にそういうことを調べながら、そのための調査だけじゃないんですけど、今どういう状況かなあというようなことを考えながらいろんな行動をしております。
 そう答えたらいいんでありましょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事が、社会保障を維持させるために最後の財源として消費税とおっしゃられましたが、県民の暮らしがこれからどうなっていくのかという点で、まだまだ明らかになっていないと思うんです。
 これから、2015年度までに予定されている負担増の一覧を申し上げると、2014年4月には3%引き上げ、その以後、15年10月には2%引き上げ、年金減額が12年に6月0.3、12月0.9、ずうっと減額が続くんです。それで、子ども手当の減額も12年2月から行われています。年少扶養控除廃止、復興増税、年金保険料引き上げ、そして先日は介護保険料が12年で引き上げられた。
 そういった負担がどんどんどんどんふえていく大変な状況のときに、そういった消費税増税が決して暮らしをよくしていくものではないと思いますが、最後にお尋ねしますが、こういった消費税で暮らしがよくなると、そういった点で言えるでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 消費税の増税というのは、増税でございますから、必ず景気の足を引っ張るという点は否定できないというふうに思います。しかし、財政赤字をこのままでずうっと垂れ流していくと、いつか財政破綻が起こって、国民、あるいは奥村議員が今おっしゃったようないろいろな方々にもその影響は及び、暮らしを破壊してしまうということもまた懸念されます。同時に、じゃあといって大幅に福祉を切り捨てるわけにもいきません。
 現在、そういう意味で、政府では、デフレ脱却とか、経済の活性化とか、財政の健全化による国際社会の信頼の確保に加えて、経済や暮らしへの影響が生じないように低所得者への配慮とか、あるいは円滑かつ適正な価格転嫁とか、さまざまな政策をこれから検討していくんだと、一緒にやるんだというようなことも言うております。そういうところを注視しながら、心配しながら見守ってまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 その点、しっかりと見ていただきたいというのがあるんですが、その上に、いつも知事は、実態をきちっと把握すると、そういうことで政策を立てるんだと言われていますので、そういった点では、ぜひ、3%から5%になったときにも、なかなか中小企業の皆さんが価格に転嫁できない、そういった実態をやはりしっかりとまたつかんでいただいて、今回も今の現状をぜひつかんでいただいて適切な方向で考えていただきたいなと思うんです。
 なかなか国に向かっては中止というのが言えないというようなことだったんですが、最後に、こういった国の財政の行き詰まりというのが、やっぱりこの原因が何なのか、そういったところが十分県民の皆さんもわからないと思うんです。今までの借金が膨らんできて財政が大変やから、まあ増税は嫌やけど仕方ないなという、そういう思いの方も実際いらっしゃると思うんです。
 そういった状況の中で、やはり今の経済の行き詰まりがなぜ起こったかというあたりをしっかりと踏まえていただいて、本当にこの財政再建が国民や県民に負担がかからない、そういった方向でしっかり今後考えていただきたいなと思っています。
 もうこういう状況の中では耐えられなく、命まで本当に危険な状況になっていくんじゃないかと、さらに追い込まれていくんじゃないかということを言いまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、2項目めです。障害者の就労支援の取り組みについて、5点にわたってお尋ねいたします。
 1つ目は、障害者総合支援法案をどのように受けとめているかということについて知事にお伺いしたいと思います。
 昨日、障害者の総合支援法が国会の中で通りましたが、これを書いた時点ではまだ案だったんですが、支援法をどのように受けとめてるかということでお伺いします。
 障害者の皆さん71人が、全国14の地方裁判所に、尊厳と生きる権利を奪われたとして違憲訴訟を起こすなど、自立支援法廃止を求める国民的な闘いが広がる中、民主党政権は、2010年、原告、弁護団と同法廃止と新法制定を約束する基本合意を交わし、訴訟は和解、終結しました。自立支援法が障害者の尊厳を深く傷つけたことを政府自身が認め、反省を表明したことは画期的なことです。
 県議会でも、平成20年の12月議会において「障害者自立支援法の抜本的な見直しを求める意見書」が全会一致で採択されています。
 しかし、民主党政権は廃止の約束をほごにして、自立支援法を実質的に継続する障害者総合支援法が昨日成立しました。民主、自民、公明の3党が修正合意した改定案は、障害者とその家族が願う新法から余りにもかけ離れたものとなっていると思われます。
 障害を自己責任として、生きるために不可欠な支援に原則1割の応益負担を強いる過酷な仕組みは温存されました。利用の抑制につながる障害程度区分も存続します。障害者の範囲に難病を加えましたが、すべての難病が対象にはならず、新たな差別が生まれるおそれがあります。
 障害者の声を踏まえた新しい総合福祉法が国会に出し直されることを強く願うものですが、知事は今回の政府の対応や障害者総合支援法をどのように受けとめられておられるか、お答えください。
 次に、紀の国障害者プランでは、今後の主な課題の1つに、就労支援の抜本的強化が挙げられていることから、2点目は、障害者の民間事業所への雇用促進の取り組みについて商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 どのような障害があろうと、豊かで幸せな人生を送りたい、働きたい、そして社会に役立ちたいと思っています。長い入院生活を送っていたAさんは、働くところができ、笑顔が戻ってきました。わずかな収入ですが、それでも自由に物が買えることにとても喜びを感じています。
 現憲法のもとでは、だれもが希望と条件、体力に合わせて働く権利があります。私は、働く意思のあるすべての人に、所得保障を伴う職業訓練の確保が必要だと考えています。
 政府は、15日、民間企業に義務づけられている障害者の雇用率を現行の1.8%から2%に引き上げる法令改正を閣議決定しました。国や自治体も現行の2.1%から2.3%に、都道府県の教育委員会も2.0%から2.2%に来年度から引き上げられます。
 障害者の一般雇用の定着と、一般雇用につくことが難しい人々にとっても雇用が広がるように県の一層の施策を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 特別支援学校高等部卒業者の進路状況を聞かせていただきました。ほとんどの卒業生が進学や就職、障害者自立支援法による福祉サービスの就労移行支援や就労継続支援事業所を利用し、一般就労を目指す生徒がふえてきているということです。
 そこで、3点目の障害者の就労の現状と切れ目のない支援体制の構築についてお尋ねいたします。
 4点目には、障害の種別にかかわらず、県下どこに住んでいても一定の水準の支援が受けられることが重要です。市町村ごとの支援に格差が生じないようにするための県の役割はいかがですか。
 最後に、5点目に、障害者や家族にとって経済的に自立できることは喜びです。保護者の皆さんからよくお聞きします。「この子を残して死ねない」、「1日でも子供より長生きしたい」という痛切な声です。工賃向上の取り組みは重要です。到達状況はいかがでしょうか。
 以上、福祉保健部長、お答えよろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 障害者福祉制度につきましては、障害のある方の立場に立ったサービスが安定して提供される制度の構築が重要であります。
 平成23年8月に国になされた制度の見直しに関する提言は、障害のある方の思いが込められたものと承知しております。
 これまでも、利用者負担について、応能負担であることが法律上明記されるなど、段階的に制度見直しが進められておりまして、今回の障害者総合支援法についてもその一環であると認識しております。法目的も変わりましたし、最後に検討規定3年間というのも置かれております。
 県としても、今後とも国の動きを注視し、障害のある方や事業者の方の意見を十分聞きながら、いろいろと考えてまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 障害者の民間事業所における雇用促進につきましては、県としても労働局と連携して県内事業者への雇用の勧奨や県民への啓発に取り組んでいるところです。また、就職に必要な知識、技能を習得するための職業訓練の実施や、障害者就業・生活支援センターを通じて就労支援者を養成し、民間事業所に派遣すること等により障害者の就労及び職場への定着を支援しております。
 今後とも、労働局と連携を密にして取り組みを進めてまいります。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長山本明史君。
  〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) まず、障害者の就労の現状と切れ目のない支援体制の構築につきまして、県では、障害のある方がその有する能力や適性に応じて自立した社会生活ができるよう、一般就労に向けた支援や福祉的就労など、障害のある方の就労ニーズに応じた支援体制の整備を推進しており、福祉的就労はもちろんのこと、一般就労への移行者数も着実に増加しております。
 また、特別支援学校卒業生や、一般就労していたが離職した方の再チャレンジなど、ニーズもさまざまであることから、各障害保健福祉圏域に自立支援協議会を設置し、雇用、福祉、教育等の各分野の関係機関が十分連携を図りながら必要な支援を行う体制を整備、推進しております。
 次に、市町村格差と県の役割につきましては、県では、市町村間の連携を図るとともに、広域的な観点から施策を進めるため、各障害保健福祉圏域ごとの課題解決を図る場である自立支援協議会に助言・指導を行うとともに、地域における障害のある方の生活を支援するため、各圏域における需要を的確に把握し、サービスの計画的な整備を進めております。
 3点目の福祉施設における工賃向上の取り組みにつきましては、工賃倍増5カ年計画に基づき、官民一体となった工賃引き上げに資する取り組みを進めております。
 具体的には、販路開拓、受注促進のため、障害福祉サービス事業所に対する専門家による指導や、研修会で新商品の開発など成功事例の紹介を行ったり、即売会を開催するなどの取り組みを進めており、平成18年度の平均月額工賃1万2045円から年々工賃水準は向上し、平成22年度の平均月額工賃は1万4414円で、全国12位の水準となっております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 もう一度、知事に障害者総合支援法の成立に当たってお伺いしたいんですが、この間、障害者の団体の皆さんが、私たちの声を聞いてほしいということで、何度もそういった基本合意と骨格提言をつくり上げてきた。そういう経過の中で、今回こういった状況に─たった3時間の国会での審議と聞いておりますが、そういった点で、和歌山の障害のある皆さんも、こういった思いでこの新法を待ちに待ち望んでいたと思う。その気持ちに対して、知事はどのようにお考えなんでしょうか。
○副議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大変お答えしにくい質問をされているという気がしますが、障害のある方に対する配慮は、県政として怠ってはいけないということは、私の県政における基本原則の1つです。そういう意味でも、障害のある方と結構頻繁にいろいろ打ち合わせをさしていただいたりしております。
 今回の法律改正は、自立支援ということを自己目的にしている法律というのがいかがなものかという点では、法目的も変わったし、それからその精神も生かされた。ただ、段階的でありますので、いろんなことはさらに検討して3年後の見直しにかけようというような法律でありました。そういう意味では、気持ちにはこたえ、かつ一歩前進であったんじゃないかなというふうに私としては思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 本当に、皆さんが議論してきてつくり上げてきた基本合意が生かされるような、応益負担でなくて応能負担という立場で、障害のある方が主権になってさまざまな施策が進まれるようにということで、その新法がまたできるように運動を私も強めていきたいなと思っています。こういったせっかく積み重ねてきた議論を、率先して和歌山県としても政策に生かしてもらえるようにリーダーシップを発揮していただきたいなということを要望いたします。
 もう1点ですが、この就労支援で要望をさせていただきます。
 紀の国プランでは、就労支援の抜本的強化について、「『働くこと』は、それを通じて社会に関わることができるとともに、生活の基盤となる重要な分野です。 障害の状態等に応じ、一般就労における職場環境等の整備や、福祉的就労における工賃水準の向上など、様々な支援が求められています」と書かれています。私は、発達の状況や障害の状況に、よりきめ細かな個々人に合った環境を整えていくことが大事だと思っています。
 全国福祉保育労働組合は、2007年に「日本の障害雇用政策に関するILO159号条約違反に関する、国際労働機関規約24条に基づく申し立て書」を提出しています。ILO勧告は、一般雇用につくことが可能でない障害者のために、保護雇用を確立するように政府に勧告しています。
 実際に、大阪府の箕面市は、障害者の社会的雇用モデル事業の実施を国に要望しています。社会的雇用制度とは、一般就労には至らないが、働きたい思いを持った障害者が、たとえ重度の障害があっても、みずからの能力、適性に合わせて働くことができ、かつ自立して生活するに足る賃金を受け取ることができるようにする制度を言っています。滋賀県や箕面市では、既にこの社会的雇用制度を実施しているということです。ぜひ県においても、今後、研究課題としていただきたいと思います。これは、要望をさせていただきます。
 次に、環境問題について質問をさせていただきます。
 まず、住友金属構内にある共同火力発電所1号機のリプレース計画にかかわってお尋ねいたします。
 共同火力1号機が運転開始48年経過し、更新が必要なこと、また、住金和歌山製鉄所で新第1高炉が操業され、平成24年度に新第2高炉が操業を予定され、増加する高炉ガスを活用する発電所ということで14.7万キロワットの発電所が建設されるものです。この新1号機ができれば現在の3号機との2基を稼働させ、2号機は予備に、1号機は廃止するという計画です。
 この新1号機建設をめぐって、近隣住民の方から不安の声が上がっています。もともと近隣地域は、住友金属による環境悪化がありました。公害工場の沖出しの約束がほごにされて、LNG火力発電所用地とされるなどの問題があり、また、最近は新高炉の稼働などにより生産量が増大し、粉じんがふえた、臭気がひどいなどの苦情が絶えない状況があります。こうした中での新1号機建設であり、住民の懸念が強まるのも当然です。
 住民の方が心配しているのは、1つは、新1号機が現施設より100メートル民家寄りに設置されるということ、また、その煙突が85メートルと現在のものより35メートルも低く、大気汚染がひどくなるのではないか、現在の1、2、3号機を稼働させながら新1号機を建設することで、より粉じんや震動、騒音がひどくなるのではないかということなどです。
 建設に当たって、県は、共同火力の環境影響評価に対し、県の環境影響評価審査会に諮問し、答申を受けて県としての意見を述べました。
 審査会の答申はどういうものだったかというと、新1号機の設置位置について、既設1号機の跡地や海側の土地についても候補地とした中から、現計画地に決定した検討の経緯を、生活環境の保全の観点から検討した内容も含め、環境影響評価書に記載すること、大気質については、大気監視局における二酸化硫黄濃度は環境基準を達成されているものの、気象条件によって高レベルになるときが認められるので、より一層の環境負荷の低減に努めること、低周波音については、3分の1オクターブバンド別の低周波レベルの予測値について記載すること、海生生物への影響を予測するためのデータ、知見が十分でないため影響は極めて小さいと評価することは適切ではないなどが指摘され、その他として、周辺の生活環境については、現状において環境基準はおおむね達成されているが、大気質の調査結果や風向、風速のデータ等によれば住友金属工業株式会社和歌山製鉄所を起因とする決して低レベルでない汚染が認められることから、今後も環境負荷の低減に取り組んでいくことが必要などとしています。
 ところが、この答申を受けた上で、県が共同火力に対して環境影響評価準備書に対する環境保全の見地からの意見として述べたのは、設備の色彩設計の検討、景観への影響評価を記載することだけでした。
 和歌山市からは、「新設備が民家に近くなることに対し、住民の不安があることから、十分な環境保全対策を講じ、これを確実に実施し、周辺への環境影響を現状と同等以下とするよう要望します」という意見が出されましたが、これについても県から事業者への意見には反映されていません。
 県が諮問した審査会からの答申の内容や和歌山市からの意見を反映しなかったのは、なぜなのか。審査会の意見にはどのように対応したのか。特に、大気質の汚染の低減を図ること、低周波レベルの予測、海生生物調査についてお答えください。
 また、住民からの不安や要望が県にも届いていると思うが、どう受けとめたのか、お答えください。
 また、審査会が指摘したように、大気質などでは決して低レベルでない汚染があります。現況の大気汚染物質については、一般環境大気測定局と環境保全協定に基づく周辺の調査地点4カ所で、二酸化硫黄の短期的評価で基準を上回る地点があり、また浮遊粒子状物質では、平成21年度ではすべての地点で短期的評価が基準に適合していません。
 共同火力の新1号機は、現1号機に比べれば、硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんのいずれも排出量は低減されるということですが、それで煙突が低くてもよいとするのでなく、最大限汚染物質を低減するという姿勢で、煙突もさらに高いものを要請すべきではないでしょうか。
 審査会が指摘したように低レベルでない大気汚染があり、その改善に向けてどう取り組もうとしているのか。住金との環境保全協定、覚書には、平成25年4月以降で二酸化窒素総排出量を1時間当たり476立方メートル以下にすること、和歌山共同火力の排煙脱硝装置をそれまでに設置するものとすると確認されていますが、これはどうなっていますか。設置場所が民家に近づいたことで、工事中や供用開始後の振動、騒音も大きくなることが心配されます。そうした問題についてはどう対応するのか、お答えください。
 次に、第3次和歌山県廃棄物処理計画にかかわって、産業廃棄物最終処分場計画についてお尋ねいたします。
 国は、2000年に循環型社会形成推進基本法を初めとするリサイクル関連法を整備するとともに、廃棄物処理法を改正し、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせた処理計画の策定を都道府県に義務づけました。
 和歌山県は、これに基づき、2002年に第1次和歌山県廃棄物処理計画を策定し、2006年には第2次計画に引き継ぎ、これらの計画の実施。到達状況を踏まえ、2009年度の実態調査をもとに、2011年から2015年度までの目標を定めた第3次計画を策定しました。
 産業廃棄物の最終処分量について見ますと、2009年度は15.9万トンでした。その内訳は、12.2万トンを大阪湾フェニックスに、県内処分は2.0万トン、県外処分は1.7万トンとなっています。
 処理計画は、この最終処分量の目標を2015年度には10.0万トンに削減する計画になっています。現状からおよそ3分の2に減らしていく。また、最終処分場は、大阪湾フェニックスが2027年度まで延伸されること、紀南地域の産廃については、公共関与の最終処分場整備事業を進めるとされています。また、和歌山県越境移動に関する指導要綱に基づき、産業廃棄物を持ち込ませない、なるべく持ち出さないの方針で指導するとしています。この計画でいけば、現在フェニックスで処分している量より県内で発生する最終処分量の総量のほうが少なくなるわけです。
 また、現在、フェニックスを除き、県外で最終処分しているのは1.7万トンです。この量も削減し、紀南環境整備公社での最終処分が計画されれば、それ以外に、御坊市や和歌山市で計画されているような新たな最終処分場は必要ないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、御坊市の管理型最終処分場計画は、規模で年間9万4500トンが処分できるものです。受け入れ8種類の産廃で今県外処分されているのは年間1万5000トンであり、この量の6倍もの処分ができる容量となっています。これは、余りにも処理計画とかけ離れたものではありませんか。これは、どこからの廃棄物の最終処分を受け入れることを想定しているのでしょうか。
 以上、環境生活部長、お答えください。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 環境問題について、共同火力発電所1号機のリプレース計画についてお答え申し上げます。
 審査会の答申内容や和歌山市からの意見につきましては、修文等により事前に評価書に反映したもの及び環境影響評価対象外のものなどは知事意見とはしておりませんが、知事意見に反映すべきものは適正に反映していると考えております。
 個別に御質問のありました大気質の汚染の低減については隣接事業所を起因とするものであることから、また、水生生物調査の意見については条例に基づいて環境保全措置を求めるものではないということから、環境影響評価対象外という判断で、知事意見としておりません。
 また、低周波レベルの意見につきましては、既に修文され、評価書に反映させていることから、知事意見としておりません。
 和歌山共同発電所新1号機のリプレースに関して住民から寄せられました意見等につきましては、その影響評価手続の中で審査会にも諮り、科学的な見地から適切な判断をいただいたと考えております。
 和歌山共同発電所新1号機リプレースによる大気質の変化に関しましては、排ガス脱硝装置等の設置や燃料の変更等により、発電所全体で汚染物質の排出量が低減される計画となっております。
 また、住友金属工業との環境保全協定等に記述された二酸化窒素総排出量の削減や和歌山共同発電所への排煙脱硝装置の設置につきましては、関西電力和歌山発電所の稼働を前提としたものであり、今後の推移を注視してまいります。
 最後に、煙突が低くなり、民家に近くなることなどによる環境影響につきましては、審査会の答申には盛り込まれておりませんが、科学的な見地から適切な判断をいただいたと考えております。
 次に、第3次和歌山県廃棄物処理計画についてでございます。
 県内で発生した廃棄物の種類別処分量を見ますと、瓦れき類や廃プラスチック類等で毎年6万トンから10万トンが処理されております。ほかに、リサイクル等中間処理を目的として県外から搬入された廃棄物で、その処理残渣が県内で最終処分されているものもございます。また、現在、県内で稼働中の最終処分場は3施設で、残容量は、すべて合わせても約2年で満杯になるという状況にあります。
 こうしたことから、御坊市におきます最終処分場の設置計画については、決して容量が大き過ぎる計画ではないと考えております。
 なお、和歌山市滝畑に計画されております最終処分場につきましては、現在、事業者が関係機関との事前協議を行っている段階でありまして、現在、議論できる状況にはないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再質問をさせていただきます。
 共同火力発電所の件については要望です。
 共同火力の発電所新1号機に関しては、この地域の環境改善については、県、市、住友金属で、関連企業も含んで環境保全協定を結んでいるわけです。それでも、大気汚染がある。協定の範囲内だからとか、現状より悪くならないからというのでなく、より環境を改善するよう取り組みを指導するべきではないでしょうか。
 平成25年4月までの排煙脱硝装置の問題も、関西電力和歌山発電所の稼働を前提としたものということでしたが、たとえ和歌山発電所がなくても、可能な限り二酸化窒素排出を抑えるために設置すべきではないでしょうか。
 また、煙突の高さも、汚染物質の排出が少ないから低くてよいというのではなくて、より環境改善を図るよう設定すべきではないでしょうか。
 こういう立場で臨んでいただきたいということを求めておきます。
 また、これから現3基が稼働している上に、新1号機の工事が始まるわけですから、環境影響評価審査会の答申でも指摘されていますが、環境の状況を把握し、必要に応じて適切な環境保全措置を講ずることが必要です。
 ぜひ、周辺住民の皆さんからの苦情や声を受けとめ、事業者に反映させていただくよう強く要望をいたします。
 廃棄物処理計画と産廃処分場の問題について、再質問させていただきます。
 今の処分場があと2年でいっぱいになるという答弁でしたが、しかし、全体として処分量を3分の2に減らすわけですから、今の処分場の残余も伸びるでしょうし、2015年度にはフェニックスと紀南環境整備公社で処分する量になるというのが処理計画ではないでしょうか。2015年度目標の10万トン、鉱滓以外では6万1000トン。フェニックスでの処分量というのはどの程度考えているのでしょうか、お答えください。
 御坊市の計画は、年間9万4500トンもの容量があります。鉱滓以外の年間総量の1.5倍にもなる規模です。さらに、和歌山市にはその倍の規模の最終処分場計画があります。こうした処分場計画は、第3次処理計画とはかかわりなく計画をされるものでしょうか。
 県外からの廃棄物が中間処理のために運び込まれるという答弁がありました。民間処分場ができれば、それは経営として行われるものであり、容量いっぱいの処分量を確保しようとするのが当然です。そのために、当初計画にない品目を追加したり、各地から廃棄物をかき集めるようになるのではないでしょうか。これは、第3次処理計画の理念にも反することになると考えますが、環境生活部長、再度答弁よろしくお願いします。
○副議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) ただいまの再質問にお答え申し上げます。
 まず、大阪湾フェニックスにおきます処分量の御質問でございますが、第3次和歌山県廃棄物処理計画におきましては、目標とする最終処分量は定めておりますけれども、具体的な処分先につきましては想定はしておりません。
 次に、御坊市や和歌山市におきます民間事業者による処分場計画は第3次和歌山県廃棄物処理計画の理念に反するのではないかとの御質問がございました。
 和歌山県廃棄物処理計画では、県内で発生した廃棄物を県内において適正処理する体制の構築を目指し、大阪湾フェニックス計画の推進、紀南地域における公共関与による最終処分場整備事業の推進、そして廃棄物処理施設の確保を必要な取り組みとして位置づけております。
 民間事業者がみずからの経営計画に基づきまして最終処分場を建設することについて、何か規制を設けてるというわけではございません。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の答弁をいただいて、計画と─実際、事業者が計画をしたいということであれば、目標と、それはまた違うというようなことでおっしゃられたように思うんですが。民間が処分場をつくるときに許認可をするということが県の役割なんですが、それだけであれば、どんどん処分場ができていくというのか、処分場をつくっていく、処分量もどんどんふえていくということになるのではないかというふうに思います。
 処理計画で、目標とする処分量に見合う処分場を設けるということを民間の計画にゆだねるのではなくて、県の方針としてもしっかり持つべきではないでしょうか。
 そうでなければ、処分量の減量という処理計画に反することになっていくということを指摘して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 それでは、ただいま議長の御許可をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今回は質問数も減らしまして簡潔にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、昨年は、和歌山県にとって明治の大水害以来とも言われるほどの台風12号に伴う大雨で大きな被害を受けるなど、大変な年となりましたが、知事を先頭に全職員が一丸となって復旧活動に取り組んでいただいた結果、傷めつけられた道路や橋や河川の復旧が日々進んでいます。ありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。
 さて、中期的な視点で地域社会の将来を思い、地域社会の心配事として質問をさせていただきたいと思います。
 バブル崩壊後、生活の厳しい時代が続いていますが、それでも人口規模の大きな市域では何とか実生活上の厳しさも和らぎを感じますが、町村地域では行政の各種手だてをいただきながらも生活環境の低下傾向が続いていると考えており、住民の多くは、時代の仕打ちに漠然とした不満を持ちながらも、何をどうすればよいのかわからない中で二重苦、三重苦にあえぎながら日々の生活を続けています。
 そうした中ではありますが、何か改善策は見出せないものかと考えることがあります。
 例えば、私たちの住む地域でも、大型店と言われる店舗の進出が進んでおり、既存の小型店の経営者は戦々恐々として過ごしています。大型店の進出の影響を少し考えてみますと、例えば大型店に年間5億から10億円の売り上げがあるとすれば、年間1000万から3000万未満で辛うじて営業を続けている小型店の30店舗から100店舗分の売り上げに匹敵いたします。
 大型店が進出したからといって、小さな人口規模の町村で消費を広げる効果はそれほど考えられず、小さな地域経済のパイの中で売り上げの分捕り合戦の様相となり、小型店、小売店の経営を大きく圧迫し、その先では閉店へと進んでいかざるを得ません。その結果、商店街と言われたところがシャッター通りのようなさまになり、経営者は職場がなくなり失業し、新たな職を求め、時には引っ越していかざるを得なくなります。小さな地域社会の中では、こうしたことも悪循環の連鎖を引き起こす原因となり、無力感が漂い、人々の生活のための意欲を失っていっているのです。
 こうした現状が今日の地方の現実であると考えています。これは、小規模店の淘汰にとどまらず、恩恵を受けていると考えられている消費者自身も知らないうちに巻き込まれ、蚊帳の外では済まされません。
 例えば、車などの交通手段を持たない高齢者や障害者など生活弱者は、身近にあった店舗の消失とともに、生活難民、買い物難民となってまいります。
 一極集中的に効率を求めた経営方式が進んだ結果、生活に必要な店が身近にないのです。地域のコミュニケーションが消え、最も大切な人と人との会話がなくなり、それは最近のはやり言葉ともなった「孤独死」の出現であり、会話の少なくなった社会からは人々の生きる力さえ弱まり、きずなの弱まった社会では犯罪の増加や自殺者の増加となってあらわれるなど、人々の心の崩壊が進んでいるように感じます。
 ここで、まず1点目の質問です。
 小さな地域社会を守るため、大規模大型店の進出を認めている大規模小売店舗立地法を改正し、出店規制を求めたいと考えます。せめて1万人や2万人規模の町村に対して制限をかけるよう国に対して進言していくべきだと私は考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、高速道の南伸が進んでいます。待ち望んでいた地域に住む者の1人として、今日までの取り組みに対して多くの関係者の皆さんに深く感謝と御礼を申し上げます。また、半世紀近くにわたり、その完成を夢見て待ち続けながらその寿命を終えていった多くの方々の願いを思うとき、胸の内は本当に複雑でございます。
 さて、紀南地域全体の発展や大規模地震への備えとして、その高速道路の南伸を大きく評価しながらも、一方、デメリットも存在しており、心配をしています。それは、紀伊半島南部では、長年にわたり国道42号線とともに住居を構え、店舗をつくり、学校ができ、集落のコミュニティーが構成されてまいりました。県の南部へ行けば行くほどその傾向が高く、国道とともにはぐくまれ、国道に支えられ、生活を重ねてきたまちであり、集落であると考えているからです。
 その国道42号線は、紀伊半島の険しい内陸部を避け、わずかばかりの平地がある海岸線にへばりつくようにつくられ、その周辺に集落、まちができているのです。当然のこととして、海岸線近くにはもう余力の平地がなく、新しい高速道は内陸部を、トンネルを縫うように工事が進められていきます。したがって、完成後は他の一般道とは違い、集落との接点は少なく、地域に住む住民とのコミュニケーションは遠ざかっていくおそれがあります。少なくとも、紀伊半島南部に点在する拠点となっているまちの中心街以外の沿線に生活する集落は衰退していくのではないかと大変心配をしています。
 悩ましい問題だと考えますが、これに対する地域活性化案等があればお教えをいただきたいと思います。
 引き続き3点目ですが、農林業をなりわいとする県民を苦しめ続けている鳥獣に対する取り組みをお尋ねいたします。
 和歌山県南部地方では、鳥獣害の被害は海岸部まで広がり、1畝ほどの小さな畑にまで防護さくを張りめぐらせており、収穫間際の作物に対する動物による収奪に無力感が広がっています。県からは、防護さくなどの補助による支援が続けられていますが、そもそも数10年前のその昔は、農作業で疲れた体で防護さくの設置まで、その仕事としてしなければならないことはありませんでした。
 過疎による人口減少に伴い、人のいなくなったところまで動物たちがテリトリーを広げ拡大してきたことにより被害が広がり、そして、繰り返し被害を受けることにより耕作意欲が減退し、耕作を放棄する、すると、さらに動物が活動範囲を広げる、こうしたことの繰り返しで、ついには住みにくくなった集落を後にする、不幸なスパイラルだと感じます。こうした事柄の1つ1つに有効な手だてが必要です。
 そこで、県における鳥獣害被害対策の現状と課題につきまして、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
 4点目に、漁師を取り巻く現実も大変深刻です。いそ枯れや海水温の上昇や開発途上国の漁船の大型化などにより、カツオなど沿岸漁業を支えてきた各種魚類の漁獲量の減少が続いており、先行き不透明感が漂っています。したがって、将来不安のある水産業に子供をつかすことができず、多くの漁師の家庭では後継者が育っていません。
 すさみ漁協の漁師のお話では、現役漁師の年齢はもう70歳から85歳ぐらいだと言います。その数字には、若い世代の姿が見えません。このままあと10年もすると、恐らく産業としては続けられず、行き詰まってしまうとのことでありました。現場は待ったなしの状況でございます。中長期の対策を改めてお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、東関東沖地震と津波により発生した、いわゆる瓦れきの処理についてお伺いをいたします。
 日本政府よりその打診を受け、全国の都道府県ではその協議を重ねてまいりましたが、その結果は、瓦れき処理の受け入れを表明した市町村は思いのほか少なく、私個人としては大変残念で、不満を覚えるものでございました。
 瓦れきの受け入れを表明した首長は、その市民から大反対運動を受けていることが報道されています。あの大災害を目にし、涙した同じ国民が、瓦れき受け入れにプラカードを掲げ、反対集会を重ねているのです。同じ遺伝子を持つ同胞である日本国民が、1000年に一度発生したという大災害で家屋敷、車、船、その他ありとあらゆる財産が破壊され、途方に暮れた生活がまだまだ続いていることを思うとき、支援ができていないことは大変残念でなりません。
 和歌山県下においても、焼却余力がないとのことで、現時点で受け入れたとの情報は知りません。
 自民党県議会の会派会議の中でも、議員の方から、たとえ1トンでも受け入れができないのだろうかといった発言がございました。私も同感です。せめて心を共有できないのか。地震と津波の大被害を受け、さらに放射能汚染を受けるなど、二重苦、三重苦に陥っている上に、大量に発生した瓦れきの山の処分が進まず難儀している現状を見ながら、受け入れを表明できないことに大きなジレンマを覚えてしまいます。
 近く来ると言われている南海・東南海地震で、今度は我々の地域が未曾有の大被害を受けるであろうと言われています。東日本地域の各県と同様に、生活に使っていた家屋敷はもちろんのこと、衣類から車や本など、すべてのものが廃品となり、瓦れきの山となってしまうことが予想されます。当然のこととして、災害が過ぎれば一日も早い復旧に取りかかることになりますが、このときまず最初の仕事は、廃品となり、作業の妨げになるであろう瓦れきの処理であると考えています。
 発生するであろう膨大な瓦れきの山を前にして、県内の現在の炉の処理能力を考えると県内だけでの処理には限界があり、他府県へ支援のお願いをすることになると考えますが、今回、1トンの瓦れき処理も了解しない中でお願いが果たしてできるのでしょうか。そのとき、快く引き受けてくれるのでしょうか。
 困ったときはお互いさま、いま一度、県下の市町村に相談をすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 これで、1回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大規模小売店舗の問題であります。
 この大規模小売店舗の出店につきましては、平成11年度以前は法律の名前も違いまして、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律と、旧法と言いますけども、これによって当該大店舗と、それから周辺の小売事業者の事業活動を調整することによってその小売業者の事業活動が悪い影響を及ぼさないようにするというようなことをやってきたわけです。
 ところが、一般的に消費者ニーズをちゃんと考えておるのかとかいうことの批判がありますとともに、近いところから結果的に追っ払って遠いところに行かれた結果、その遠いところに自動車で行かれて地域が全滅するというようなことが物すごく起こってきたわけでありまして、かえって地域や周辺の小売事業者の事業活動に悪影響を及ぼされるというようなことも出てまいりました。
 そこで法律を改正いたしまして、旧法では、計画的な地域づくりとの整合性がとれなかったことに加えて小売業は活性化できない一方、新たな問題として、出店に伴う交通量の増加とか騒音の発生など、都市のあり方との整合性といった周辺生活環境への対応は依然として求められると、こういうような考え方になりまして、大規模小売店舗立地法という名前の新法ができたわけであります。
 この法律と、それから都市計画法とか、あるいは中心市街地活性化法というものを3つ使って、いわゆるまちづくり三法による立地調整あるいは地域振興というものをやっていこうというふうに現在は変わってるわけであります。
 このうち、この大規模小売店舗立地法にも、どうぞ御自由にというわけじゃなくて、周辺地域の生活環境への対応を事業者に求めるというような点が残っております。それを無視して強行するような立地は、地方公共団体が勧告をすることになっております。
 そのほか、さらに都市計画法で、用途地域や地区計画によって、あなたはここへ来ちゃいかんとか、ここに行きなさいとか、そういうようなことをすることができますし、また、残された中心市街地のその前からある小売事業者は、商業施設や居住施設の誘致など、市内中心部の活性化を図るというようなことをやっていこうと、こんな考え方になってるわけです。
 したがいまして、市町村は、このようなまちづくり三法を活用して、地域の実情に沿った総合的なまちづくりと、それから適正な大規模店の配置、そういうものを考えることができるというのが現状でございます。
 最近目立つのは、どちらかというと一緒にいたほうがかえっていいかもしれないというような議論もあって、それは大規模小売店舗を中心とするようなゾーンにもとある事業者が店を並べる、駐車場は共有するというようなやり方などもはやっているわけです。
 県としては、今おっしゃったようなこの大規模小売店舗立地法の改正を求めるというんじゃなくて、むしろ市町村のまちづくりに関する取り組みというのを、これ、意識の薄いところもありますので、より一層進めるように適切な助言や指導を行っていくべきではないかと私は思います。
 また、意欲のある商店街等については、我々も政策的な枠組みもつくっておりますし、市町村と一体となって活性化が図れるように可能な限り支援していきたいと、こう思っておる次第でございます。
 次に、瓦れきの広域処理については、大変な深刻な問題であるということは承知しております。私も、気持ちは立谷議員がおっしゃったような気持ちでおります。
 分析いたしますと、不燃物、これは石のたぐいですけども、こういうものは被災地において処分してしまうということがふさわしいと思いますけれども、可燃物は燃やさないといけません。市町村は焼却能力が不足しておりますから、燃やすための能力をどこかが貸してあげるということは合理性があるんだというふうに思っております。
 しかも、実はこの災害の瓦れきというのは一般廃棄物と考えられますので、必ずしも実は県の責任ではないんですけれども、市町村任せにしないで、産業廃棄物業者なんかとコンタクトのある県が、その能力があるわけですから乗り出すべきだと、また、初めから分別をしていかないと物事は処理できないというふうに思っております。
 実は、紀伊半島大水害のときも同じように瓦れきが発生いたしましたが、県が初めから乗り出しまして、それで初めからもう分別を物すごく徹底しまして、それでその結果、実はある部分は県外に持っていってもらったんですけれども、別に摩擦もなく、今、被災地においては瓦れきはありません。
 一方、事こうなってから国が乗り出してまいりまして、今申し上げましたような点も踏まえないで、各地にいきなり処分してくれというふうに言い出したわけであります。それで、しかも、それを引き受けない人は、立谷議員が今おっしゃったような意味での立派な心がけを欠いてる人であるかのようなキャンペーンをマスコミと一緒になって張って、これはおかしいんじゃないかというようなことを私は申し上げた経緯があります。
 さらに不思議なことに、今度は、国がお願いをしますと言っておきながら、実はその最終処分のやり方については規制をかけておるわけであります。これは、実は管理型と安定型という処分の仕方がありますが、管理型でちょっと危ないものということで、危なくなくなるまでは他とまじらないようにじっと管理して見張っておれというような考え方で、したがって海洋投棄をしちゃいかんということになってるわけであります。
 実は、こういうふうに国のやり方について批判ばっかりしておりましたら、放射能が嫌いな全国の、先ほど言われたプラカードを持って運動をしておられるような方々から、大変お褒めの言葉をいただきました。私は、別に放射能が危ないとは思っておらないんですが、結果としてそういうふうになりました。
 しかし、別に和歌山県として反対すべき理由はないので、実はずっと前から市町村に「どうですか」というようなことをお聞きして、照会して、さらに、例えば和歌山市長なんかには「どうですか」というようなことをたまに聞いたりしております。
 その結果、わかったことは、和歌山県では各市町村の保有する焼却施設の余力は大変少ないんです。ある程度、有為の能力があるということだけ見ましても、和歌山市と海南市だけだなあというふうに私は思います。しかも、その両市とも、御承知のように焼却灰の最終処分地は、現状では大阪湾の海洋埋立処分場に依存してるわけでありまして、現実的には、現状では実は空集合なわけです。そういう中で、何とかお願いできませんかというのは一体どういう了見だと、こういうことであります。
 一方、大阪湾のフェニックスにも、実はもう埋め立てが終わって、海洋投棄が終わって陸上になってる部分があります。こういうところに管理型の施設をつくって収容するという手はあるもんですから、実は、フェニックスの中でも特に兵庫県などが中心になって、そういう構想を今進めています。
 また同時に、国の基準だけじゃなくて、我々として自信を持った基準をつくろうということで、広域連合でその受け入れの基準、ちょっと厳し目の基準をつくろうということになっておりまして、それには和歌山県も参加しているところでございます。この基準ができ、そして受け入れ施設のプロジェクトが軌道に乗りますと、埋立地がないという和歌山市、海南市の障害がなくなるわけです。そういうときは和歌山市などにも可能性は出てくると思います。
 ただ、県は自分の施設を持ってるわけではありませんので、これはあくまでもやっぱり和歌山市や海南市が御判断なさることなんで、あんまりああせえ、こうせえと言うわけにもいかんという状態で、その周辺については我々もサービスをしておるというような状況にございます。
○副議長(浅井修一郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 高速道路と地域の生活についてでございますが、高速道路の南伸は、経済活動のチャンスを保障し、新規企業の立地や観光の振興、それから農林水産業の振興など、紀南地域全体の発展の起爆剤となるものであります。
 また、防災の面からも命の道となるものであることから、その一刻も早い完成を多くの住民の方々が待ち望んでおられます。
 議員御指摘の面につきましては、地域全体として訪れる方々が増加することが予想されることから、その波及効果を生かせるよう、資源の掘り起こしや新たな交流の展開などの施策が必要であると考えております。
 県におきましては、埋もれている地域資源を活用するわがまち元気プロジェクトや、過疎地域を元気づけるわかやま版「過疎集落支援総合対策」などの地域振興施策を地元市町村と連携しながら実施し、地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 鳥獣被害対策の現状と課題について、県では平成20年度から鳥獣害対策予算を拡充してまいりましたが、さらに昨年度から予算を大幅に増額し、捕獲を重点に、防護さくの設置や放任果樹の伐採などの集落の環境対策等を総合的に実施しているところです。
 特に、重点である捕獲対策については、有害鳥獣捕獲補助金の拡充により捕獲推進を図るとともに、シカの個体数調整のために県が管理捕獲を実施しております。また、狩猟者確保のため、狩猟免許の取得を推進しております。
 その結果、本県の平成23年度の農作物被害額は3億2800万円と深刻な状況ではございますが、一昨年の3億5000万円に比べ、やや減少いたしました。
 一方、被害対策を実施していない地域に、新たに野生鳥獣が出現するという状況が生まれております。鳥獣の個体数の増加、さくのない田畑や放任果樹園がえさ場となっていることや、狩猟人口の減少などが緊急の課題となっております。
 平成24年度は、国庫補助事業を積極的に活用し、予算をさらに拡充して広域での防護さくの早期設置を推進するとともに、市町村、狩猟者団体、農業者が一体となった地域の捕獲体制の整備を推進することとしております。
 次に、水産業に係る中長期対策についてですが、水産業については、水産業活性化アクションプログラムを作成し、漁業コストの削減や資源の保全、流通の改革、魚礁の設置、観光業との連携などの振興施策を展開してるところです。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、近年、燃油の高騰やデフレの進行など、厳しい情勢の中で、漁業生産量、生産額、漁業就業者が減少し、担い手の高齢化が進展しております。
 今後、漁業経営の合理化を進めながら、水産物の販売力の強化、流通の効率化、高付加価値化、新たな養殖水産物の開発、放流や適切な管理による漁業資源の増大などを図るとともに、観光業との連携を通じて漁家所得を向上させ、漁業就業者をふやしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 丁寧な答弁をいただけたと感じています。
 まず、知事のほうから御答弁いただきました大規模小売店舗の出店の規制です。
 我々は国ではないので、法律のことであったりとか、いろいろ難しい問題があって、簡単にいく話ではない。それは重々わかった上ではあるんですが、今、知事のほうからも、るる法律の成り立ち、あるいはそれを新しく法律の組みかえをしたりとか、いろいろそうした中で今日の一番いいであろうという形で取り組みを国がしていただいたと、こうだというふうに思いますが、ただ、しかし現実問題としては、ほんまにもう小さな50軒、100軒の集落でも生活が困難な事態になってきているというのは現実です。
 本当に、ちょっと買い物に行くんでも、大型店に行かなければ商品がそろわない。それはもう悪循環でして、小型店ではやっぱり商品も古くなってきたりとか、今の新しい─どうしても回転がしませんので古くなって、だんだんだんだんそれでまたお客さんの足が遠のいていくと、その悪循環が続いているわけです。
 私は、今回お願いさせていただいたのは、いろいろ考えてみたんです。いろいろ考えてみて、せめて1万人から2万人という表現を使わしていただきましたが、それがもう少し落とさせてもうても、せめて5000人、1万人ぐらいのそういうまちに対して、何か保護網をかぶせてもらうわけにいかんやろうか。
 今、特に大型店と言わなくても、もう1000平方メートル未満の200坪、300坪、そうした店舗でも、いわゆるチェーン店的な店が出てきていまして、これ1個できるだけでもオールマイティーで、薬屋さんかしらんと思ったら、何かティッシュペーパーからお菓子の端まで売ってて、雑貨店と一緒です。
 そういう店が1個できると、その地域のいわゆる消費の、そういうものを投網にかけたように入り込んでいくというのが現実です。これによって、その店ができたから、すぐ次の日から地域小売店が3軒ほど閉まったよというふうにはなっていないんではないかと思いますが、真綿で絞めたように、3年、5年、10年と、知らん間にここにあったお店がこんなふうになっててと、そういう事態が進行しています。
 そこで働いておられた方々、経営主もそうですが、そこの息子さんがおられたら息子さん、娘さんがおられたら娘さん、2人、3人の雇用だったところがなくなって、ついにはその集落から出ていかなきゃならん。そんな店が、2つ、3つしかなかったものが出ていくと、あとの人がまた生活できやんと。
 みんな、1人減り2人減り、これが我々の日本経済の発展を支えた人口を供給した地域であったと私は思うわけです。そうした地域が崩壊していくということは、日本経済全体が行き詰まっていく日がいずれ来ると、そんなふうに思えてなりません。
 また、簡単にいかない問題であるということは重々わかっておりますので、ただ、当局の皆さん方にやはり問題意識を持っていただいて、きめ細かい施策をいただければありがたいかな、そんなふうに思った次第でございます。
 それから、知事のほうに、さきに瓦れきの答弁もいただきました。これを、きょう議会で発言さしていただこうとすると、きのうの夕刊に、これはもうお読みいただいたと思いますが、大阪市が瓦れき3万6000トンの処理を受け入れる、それから、その下のほうにも、北九州市も受け入れを発表する、3万9500トンを受け入れる計画でと、こんなことが載っています。
 この3万や4万という、こういう大量の瓦れきを、先ほど知事からも説明いただきましたように、そうした状態の中で受け入れていくのは難しいと思いますが、ああした災害を受けて日々難儀を続けている生活を思ったときに、やっぱり今を生きる我々が、その心意気をどういう形で被災を受けた地域の皆さん方に伝えることができるか。本当に心で理解いただけるとこってかなりあるように思うんです。
 これだけの量を受け入れたからこれだけの心になったという話だけではなくて、やっぱり平素のその言葉1つ、あるいはこの取り組みの、難儀であれば難儀の言葉の発信1つによって伝わるような言葉で伝えていただくことも、また我々の世代が全体を見た中で、やむを得ん対応であったというふうな理解をいただける。そんなことも、細かいことを言うて申しわけありませんが、考えて、感じてなりません。どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、あと高速道路の地域の生活についてということで御答弁をいただきました。
 このことにつきましても、いろいろとお話をいただきました。しかし、高速道路は国道から離れたところにどうしてもつきますので、国道とともに生活──先ほど朗読させていただきましたが、生活している皆さん方というのは、もう本当に30軒、50軒の集落が点在している。そういう状況の中で、なかなか資本力とか、マンパワーとか、発想力であったりとか、日々の生活に追われた中で、どうしても、この高速道路の大きなエネルギーにうまくリンクさせて地域を何とかこの機会に活性化しようと、なかなかそこまで届かないというのが現状だと思うんです。
 そういった意味で、こうした地域にもきめ細かい視線を注いでいただきたいと、そのことのお願いをさせていただきまして、この項について終わらせていただこうと思います。
 それから次に、農林水産部長のほうから、最後にですが、鳥獣害被害、それから水産業にかかわる問題について御答弁をいただきました。この中で、2点ほど。
 昨年の被害が3億2800万で、一昨年の3億5000万に比べるとやや減少したと。このこと自体はありがたい数字であると考えます。ただ、農産物で3億2800万という数字は、ジャガイモ1個10円や20円の数字でいくとどれだけの被害であるかと、そう思うわけです。
 これからも、この被害がゼロになる、ゼロに向かっての取り組みをこれからも強力に続けていただきたいなと。せっかく額に汗して、我々のようにネクタイを締めさせていただいて出勤をさせていただくという、そういう仕事とはまた違うて、三つぐわを持って年に1度しか収穫ない、そういう農業事でございます。その中で3億数千万円も被害が年間あると、このことに対して、ぜひいま一度、そうした取り組みのさらなる進化を要望さしていただきたいと思います。
 それから、ちょっとこれも辛口のことで申しわけありませんが、今後も、24年度も「予算をさらに拡充して広域での防護さくの早期設置を推進するとともに」という御答弁をいただきましたが、農家の本当の願いは、この防護さくを設置していただきたいということではないわけです。こんなもの要らない時代に戻してほしいというのが本当の願いなんです。
 そういった意味で、これからも気を緩めることなく、こうした鳥獣害の被害対策について真剣な視線を持ち続けていただきたいと、要望させていただきたいと思います。
 それで、もう1つ、最後です。
 水産業に係る中長期的対策なんですが、これも本当に深刻な問題になってきている。あと、恐らくまた数年もすると、本当にどうしたらええやろかというほどの事態にならへんかと、そんな危惧をいたします。
 それは、先ほど聞いていただきましたが、大方の漁協の構成されている漁師の皆さん方の年齢が、あと10年の年齢ももたないんと違うかという年齢に達してるというところにあると思うんです。
 我々の健康を維持してくる─戦後何もなかった、食べ物のないときに、たんぱく源として海の幸をふんだんに我々はいただくことができました。これで、本当に健康的な体をいただくことになりまして、世界でも1~2と言われるこういう長寿大国という国を迎えることができた大きな要因の1つは、この海の幸にあったというふうに思うんです。
 これを、最近の若い人は海の幸を余り好まない人がふえてるようですけれども、やっぱり健康というキーワードから考えても、それから資源のない我々の国の立場を考えても、これからもこの海の幸の健全な漁獲というのは我々自身の食生活も豊かにするし、また漁師の方々もこのことによって、何千年と続いてきた漁をなりわいとするこの文化を次の世代に引き継いでいってもらえる。このことを我々の世代がとめてしまうような結果になるようなことにならないように、そういった視点でこれからも漁師の、水産業のほうにも強い行政のお力を注いでいただきたいと、そんな勝手なお願いを申し上げまして、今回の一般質問を終わらせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時41分散会

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