平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号までを一括して議案とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。
 今回、すべて一問一答方式という形で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 1つ目、最初の質問ですが、仮称・和歌山南インターチェンジについての質問をさせていただきたいと思います。
 和歌山市では、平成24年度、調査費として、交通量推計に420万円、予備設計費が3400万円、これが予算案として計上されているところであります。この後、建設準備委員会、地区協議会の立ち上げを図り、この計画を実現させようと動き始めていると聞いているところであります。
 現在、和歌山市の南東部、南部地域には約9万8000人、和歌山市の人口のうち約27%の人が暮らしている地域にこの仮称・和歌山南インターチェンジを設置しよう、こういう計画がございます。計画では、利用方法は上下線とも入り口、出口として利用可能なフルアクセス、いわゆるスマートインターチェンジを予定しているところでありまして、スマートインターチェンジといいますのは、高速道路の本線、サービスエリアから乗り降りできるように設置されるインターチェンジのことで、通行可能な車両を、ETC搭載、この車に限定していることから簡易な料金所で済む、こういう制度であります。
 このスマートインターチェンジ制度といいますのは、平成29年度までの限定的な予算措置で、それまでに予算措置がなされないとこのスマートインターチェンジ制度は活用できなくなる、こういう代物でございます。
 仮称・和歌山南インターチェンジにより期待される効果は、この地域の利便性の向上はもちろんのこと、都市防災、都市開発などの進展も期待できます。そして、和歌山インターチェンジに至る道路は慢性的に交通渋滞が発生していることから、高速道路利用者の分散効果によって和歌山インターチェンジ付近の渋滞緩和、これも期待できるところであります。
 高速道路が防災機能を果たしているということは、東日本大震災を踏まえた提言、そして今議会での同僚議員の質問、知事からの答弁でも明らかであります。和歌山市の南東部へのインターチェンジの設置により付近を防災拠点として整備を図る、救援物資供給場所、防災用トイレ、給水タンク、備蓄倉庫、非常用発電装置、こういったものも設置しようとする計画になっているところが、それを物語っております。また、高速道路に避難できることから、津波から生命を守り、食料や医療の救急救援物資を防災拠点や避難所に届ける緊急輸送路としての役割を果たしてくれるなど、防災機能の強化につながるものと言えます。
 なお、現在、和歌山市では、平成11年度に策定した都市計画マスタープランの見直しが図られています。考え方としては、この地域を交通結節点として整備を進めたいこと、県立和歌山東高校や東部コミュニティセンターと一体的に防災拠点として整備をすること、観光・レクリエーション機能の充実を図ること、そしてお隣の紀の川市との広域的な連携を図る、こういった今後の方向性を組み入れるようだというふうに聞いてございます。
 和歌山市の中心市街地を中心核として位置づけ、地域の方々が日常生活する地域を地域核としての位置づけをこの計画では図り、中心核を地域核が惑星のように取り巻く多角型の都市形成を目指そうと、こういう都市計画の考え方で現在策定が進められているところであります。南東部地域は、市街地に隣接した地域生活の拠点とするために、何としても和歌山南インターチェンジ、これが核施設として必要になっているわけであります。
 そこで、知事へ1問目、質問であります。
 和歌山市が計画している仮称・和歌山南インターチェンジ設置計画について、知事はどのように考えているでしょうか、お願いします。
○議長(新島 雄君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山南インターについては、現和歌山インター周辺の渋滞緩和や高速道路利用の利便性の向上、さらに防災機能の向上などの面から、できることなら実現したいと考えております。
 ただ、これを進める上で整理しなきゃいけない課題が3つあると考えております。
 1つは、接続する既存道路で交通量が賄えるかどうか、特に、市で担当している都市計画道路の進捗との関係でふん詰まりにならないか。2つは、中心市街地活性化を進めるとしながら郊外に新たな交通結節点をつくるということについての整理。3つ目は、既に高速道路も含め、重点的に道路整備を進めている中での優先順位の問題というのがあると思います。
 以上、大橋市長からお話があったときに3点申し上げたのですが、レスポンスはありません。
 これらの課題について、和歌山市の考え方も十分お聞きしながら、県としても必要な協力はすることとして、タイミングを見て戦略的に対応したいと考えております。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今のレスポンスの悪さに関しては、ちょっとこの後、また触れさせていただきたいと思うんですが、まず仮称・和歌山南インターチェンジ計画、これを進めるとしますと県の協力というのはどうしても必要となります。これは、インター付近を通る県道、ここがかなり渋滞するおそれがあること。今でも朝夕の通勤時間帯を中心に渋滞している場所でもあり、今以上に車の流入量が増加すると見込まれることから、県道の整備、例えば2車線化やインター付近の右折、左折、こういった車線の新設などの対応も必要になろうかというふうに思います。
 そこで、仮称・和歌山南インターチェンジに関して、県道和歌山橋本線と県道沖野々森小手穂線とのクランクになっている交差点部分が交通渋滞になる箇所として予測はされるわけですが、これらの県道の渋滞緩和策についての考えはありますでしょうか、県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 南インターの設置が検討されている周辺の県道、特に岡崎交番前交差点は、現状でも朝夕の通勤の時間帯に渋滞が発生しており、新たにインターが設置された場合、交通量が増大し、渋滞を悪化させないか懸念されるところでございます。
 現在、インターの具体的な計画を検討している和歌山市から、こうした周辺道路への影響や対策についてもお聞きし、協議を進めているところです。
 インターの具体的な取りつけ位置や周辺の土地利用動向とも密接に関係いたしますので、引き続き十分に協議を進めた上で、必要があれば対策を検討したいと考えております。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山県が進めている南港山東線、これの東向きへの延伸、それから和歌山市が進めている西への延伸、これを連携させて、仮称・和歌山南インターチェンジの設置計画、ここをあわせて検討することが実は必要だというふうに思います。
 和歌山市からの回答は恐らくまだ来てないだろうなとは思うんですが、南港山東線、ここの事業決定している区間の早期完成、これは図ろうとしているところでありますし、残りの西への延伸についても県の東の延伸と歩調を合わせて取り組みたいと、こういう考えがあるというふうにお聞きしておりますので、何としても連携を図っていただきたいなというふうに思います。
 なお、仮称・和歌山南インターチェンジの完成は、工事着工後6年後、この予定になっております。一体的に進める必要があろうかと思いますので、これらの道路の年次計画はどのような状況になっているのか、県土整備部長から答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 南インターの整備には、市内の幹線道路として、都市計画道路南港山東線の整備が密接に関係することとなります。南港山東線については、現在、県では、和田工区において平成27年国体開催までの供用を目標に整備を進めているところでございます。さらに、東への延伸については、南インターの計画の具体化や、この路線全体の整備状況を見て判断したいと考えております。
 なお、塩屋から国道42号の間の未整備区間については平成24年度から市で事業着手することとなっており、さらに、西の大浦街道までの区間についても市に早期整備をお願いしたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続いて、再生可能エネルギーの取り組みについての質問に移らせていただきたいと思います。
 旧南紀白浜空港跡地を活用して地域活性化を図りたいとする事業者の計画が、先般、発表されました。この用地は、15年間未活用のままであり、有効活用を図ってほしい場所だと思っているところですが、なかなか活用計画がなかったということから、今回、こういった発表を事業者が行ったというふうに聞いてございます。
 なかなか進まない理由は幾つかあるんでしょうけども、この用地は、和歌山県と白浜町の両者が所有していること、空港の隣接にあることから高さ制限によって高い建物は建設できないこと、こういったことも要因かもわかりません。
 そんな折、新エネルギーと観光振興、そして雇用創出を図れる事業計画が民間事業者から打ち出されたということであります。
 資料を取り寄せて確認したところ、事業主体となる具体的な事業者が明らかであり、4つの事業を同時にスタートさせたい、こういう計画になってございます。事業者や具体的な計画案が示されていることからすると、県が支援体制を整えることができたら、あるいは事業化の可能性があるように思います。もし地元から進めたいという意向があれば、その考え方も尊重してほしいところであります。ところが、この旧南紀白浜空港跡地利用計画に関しては、県から複数の課題が指摘されているようです。
 そこで、幾つかの項目について、知事の見解を聞かせていただきたいと思います。
 旧南紀白浜空港跡地の利用計画案、または県として具体案はありますか。
 同用地のメガソーラーに関しては、買い取り価格の動向によって事業者が撤退する危険性があるとされておりますが、これは、旧南紀白浜空港跡地固有の問題ではなく、他府県あるいは我が県のほかの候補地も同じことだと思います。積極的な府県では買い取り価格が未決定の段階で事業者との協議を進めているようですが、この場所でのメガソーラーの可能性はありますか。
 広域防災拠点の指定があり、指定変更などの調整に時間を要する場所になっている、こういう問題もあります。そのため、早期に事業を進めることは困難だという見解もあるようです。しかし、指定されている理由は理解できるものですが、地域が求める計画が具体化した場合、県として対応していく必要があると思うのですが、このあたりの考え方はいかがでしょうか。
 ほかの企業からも提案があることから、比較検討する必要もあるようですが、ほかの事業者からの具体的提案、こういったものは来ているのでしょうか。
 平成27年度の国体開催、高速道路延伸によって、商業施設がこの地域に進出するという期待感があるようですが、果たしてその可能性は現状ではあるのでしょうか。
 商業施設のほうが、雇用が生まれ、地元観光、そういったことを後押しできるという意見もあるようですが、地元小売店との関係は保てるのでしょうか。数年前から大型商業施設の誘致を行っているが、なかなか進展していないような経緯があるように、今後とも見通しは立っていないのではないでしょうか。
 アウトレットは、立地条件、後背人口に恵まれていることなどの条件が整っていなければ、地方都市への進出は現実的ではないと考えられます。県としての活用方針として何か具体案がありますか。ないとすれば、今回の大型の事業計画は地元にとってメリットがあり、検討する余地があろうかと思いますが、いかがなものでしょうか。
 以上、知事の答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員からお話のあった旧南紀白浜空港跡地の利用について、企業提案という、あるいはグループ提案というものについては、いろんなところからもいただいている提案の1つであるということでございます。跡地の利用の事業提案をいただくということは、大変ありがたいことだと思っております。
 県で対応している個別具体的な案件については、企業誘致活動の一環でありまして、企業情報にかかわることなので、あれはどうだとか、これは可能性があるとか、そういうことはちょっと申し上げることはできません。ただ、今まで私が知事になりましてからやってる基本的な考え方として申し上げますと、やっぱり来てほしいといって1人の人にただにするとか、そういうことをやるといろんな点で副作用がいっぱい出てまいりますので、したがって、皆さん、経済的な時価でいろいろ取引をしていただこうと、これが原則の第一であります。
 その上で、白浜温泉というところを考えますと、ここは白浜温泉の真上でございますので、周囲の環境を考えると、イメージのよい産業とか、あるいは集客能力のある施設がよろしいなあというふうに考えておりまして、少し通常のサイトとは違って、夢も感じております。例えば、ほかで熱心に勧誘している普通の製造業、こういうものは向いてないんじゃないかなあというような考え方で今までやってまいりました。
 当跡地につきましては、エネルギー環境の変化とか、あるいは交通インフラの進展をチャンスと考えまして、さまざまな産業分野の可能性を含め、見きわめ、積極的に誘致活動を進めていきたいと思います。
 地元雇用に貢献する雇用効果のほか、観光振興、地元企業との連携が図れる機能性、また事業の実現可能性、継続性、地域の安全性など、総合的な観点から推進することが大事であると考えております。用地の一部を所有する白浜町とも相談しながら、企業誘致活動など、今後とも積極的にやってまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 現段階では、個別の話にはなかなか触れられないということはわかりますので、案件によっては期待している部分もあります。よろしくお願いしたいと思います。
 さて、和歌山県を含む関西広域連合では、再生可能エネルギーの導入促進、それから低炭素社会の構築に向けて動き出しております。また、メガソーラーに積極的な京都府、三重県、滋賀県、岡山県、徳島県、こういった地方自治体では、候補地を既に公表して事業者を募っている状況になっています。
 日照時間が長く、全国から最も注目を集めている1つの県である和歌山県ですが、現状、それほどの動きというのはないように思います。しかし、3月1日に県内の公共用地でメガソーラー対応可能な用地を公開していることから、エネルギー、地域産業、こういったところに向かう姿勢が見え始めているなあというふうな気がします。
 和歌山県内でメガソーラーの地点として考えている地点の状況はどのようになっているのか。県としてのそれに対する支援体制は整えられているのか。メガソーラー設置を希望する土地所有者があらわれた場合、どのように対応するのか。また、平成24年度予算案にある産業振興、エネルギー振興とはどのような施策なのでしょうか。以上、商工観光労働部長から答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) メガソーラーに関する4点についてお答えいたします。
 まず、県内メガソーラー候補地の状況についてですが、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法による全量買取制度の開始を控え、県内各市町村に対し、メガソーラー候補地の照会を行ったところです。
 具体的には、1ヘクタール以上の面積を有する公有地を対象として、地形や方角、最寄りの送電線の有無等を確認し、あわせて、それぞれの候補地について、各種の法規制を関係機関に確認の上、公表に同意の得られた候補地を本年3月1日から県ホームページで公開しております。今後とも、新たな候補地が見つかれば順次更新していく予定です。
 次に、県の支援体制についてですが、メガソーラーを初め再生可能エネルギーに関する全般的なことは、一元的な窓口として産業技術政策課で対応しているところです。例えば、取り組みを開始するに当たり、事業者から法律や規則などの相談があった場合、関係機関への照会や回答はもちろんのこと、場合によっては各担当者が一堂に会して事業者と意見を交わす場を設定するなど、円滑に事業が推進するよう努めております。
 次に、メガソーラー誘致を希望する土地所有者については、特定の民有地を紹介することの是非も十分検討する必要があり、現在、県では、メガソーラー候補地として公開しているのは公有地のみとさせていただいております。
 なお、企業所有者などの民有地でありましても、事業者あるいは土地所有者からのお問い合わせをいただいた場合は、再生可能エネルギーに関する全般的な相談窓口として、先ほど申し上げたような関係機関への照会、回答など、一元的窓口として対応いたしております。
 最後に、平成24年度当初予算案にお願いしております産業技術・エネルギー振興事業は、国のエネルギー基本計画の見直しや、平成24年7月1日から実施が予定されております全量買取制度の開始を契機とするさまざまな動きに対応するための情報収集や現地調査等を実施する事業でございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、3点目に移らせていただきます。国際人教育についてです。
 文教委員会として沖縄県教育委員会を訪問さしていただきました。沖縄県教育委員会では、国際人を育成するための外国語教育の取り組みを行っておりまして、目指しているのは、英語立県沖縄県、こういうキャッチフレーズをもって、外国語でのコミュニケーション能力を身につける、このための教育を目指している、このことがよくわかりました。
 また、沖縄県立球陽高校、これ、公立ですが、ここも視察してまいりました。この学校の視察では、ここまで外国語教育が進んでいるのかということに驚きまして、改めて、使える英語教育の必要性を強く感じた次第であります。
 和歌山県での英語教育、これも熱心にやっていただいてるとは思ってたんですが、沖縄県と比べると少しおくれてる──固有の問題だと思いますが──感もありまして、もっと覚悟を決めた英語教育、これが必要だなというふうに強く感じた次第であります。
 ところで、この球陽高校というのは、平成元年に創立された新しい学校ですが、既に沖縄県の進学校として名前がとどろいているところであります。理数科4クラス、今回視察した国際英語科、これが4クラス設置されておりまして、教育目標、創造性、国際性に富み、21世紀をたくましく切り開くリーダーとして、地域社会、国際社会で活躍できる生徒を育成することを目標として掲げております。まさにそのための教育が外国語教育ということで、これが実践されているわけであります。
 中でも、これも驚いたことですが、英語を指導する先生がいろんなところから集まっているというか、集められているということが特徴的であります。経歴が物を言うわけではありませんが、ハーバード出身の英語の先生もいるなど、高いレベルの授業が展開されているわけです。
 視察したところがLL教室で、パソコンを活用した英語教育の進め方は新鮮で、少し驚きがありました。当然、英語の授業はといいますと、先生も生徒も英語で進められておりますし、英語の質問に対して英語で答える、こういったことも当然のように行われていました。日本人の先生による英語の授業、それから外国人による英語の授業、両方見せていただいたわけですが、その質の高さを実感した次第です。
 また、名高いスティーブ・ジョブズ、これの例の伝説のスピーチ、これを授業で取り上げて、その内容について英語で質疑を交わす、討論するなど、日本の高校の英語教育とは思えない授業がここでは繰り広げられておりました。
 英語に反応している生徒に尋ねると、当たり前のように「理解しているよ」という答えがありまして、理解してなかったら答えることができないわけですから当然のことなんですが、また先生にレベルを尋ねたところ、「高校2年生でCNNのニュース程度やったら聞き取れますよ」と、こういう話がありました。ほんまかなと思いまして生徒にも確認すると、「CNNやったらわかるよ」と、和歌山弁ではないですけど、こういう答えがありまして驚いたわけであります。
 英語を聞き取る力と理解する力、これを学んでいる高校の生徒を見ていると、たくましく、そしてすぐれた学習環境の中で学べることの楽しさ、これを感じた次第であります。これから国際社会で活躍し、日本を支えてくれる生徒に対して、使える外国語教育の重要性、これを強く感じた次第であります。
 ビジネスの世界は、交渉力がすべてとなります。英語で交渉できる力と英語を英語でそのまま理解する力、これらは、これからの日本を背負う人材には不可欠なものだというふうに思います。そんな力を養成しようとしている沖縄県教育委員会の取り組みに、我々は大いに学ぶ必要があるのではないでしょうか。
 今回、文教委員会の国際人教育に関する視察について、教育長は同行者からどのような報告を受けておりますか。沖縄県の外国語教育に学べるものはありますでしょうか。また、和歌山県が取り入れるべきものはありましたでしょうか。教育長にお答えをお願いします。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 国際人教育に係る件で沖縄を御視察いただき、ありがとうございました。
 視察に同行した職員からは、沖縄県では、小・中・高等学校の児童生徒の発達段階に応じて具体的な目標を定め、系統立った効果的な指導が行われているとの報告を受けました。特に、視察先の高校では、時事問題を扱ったりICT機器を活用したりするなど、本当の生きた英語力といいますか、そういう活用できる英語力の習得を目指したものであったと、大変有効だったというふうに報告を受けております。
 こうした取り組みは、本県の国際人育成プロジェクトにとっても大いに学ぶべきものがあると感じておりまして、今後、施策を検討する中で積極的に参考にしていきたいというふうに考えてございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回、文教委員会の視察の行程の中でもう1つ有意義だったことがありまして、同行した教育委員会の職員さんたちと和歌山県の学力、これが全国の平均値を下回っている理由は何なのか、和歌山県の教育界として誇れるものは何なのか、県内の国際科のある高校との比較、それから少し、国際教育ではないんですが、和歌山市にある太田城の歴史とか、こういったものを話し合うなど、教育論議を交わせたことがとても有意義な一面であったというふうに思ってます。この県外視察の議論があった次に、さきの星林高校の国際科、それから太田城の視察につながった、こういうふうに思っております。
 さて、今回視察した先が成果を上げているレベルと同じように、和歌山県でここまでの取り組みをしている高校、これは少ないんじゃないのかなというふうに思います。和歌山県として、外国語教育のあり方について語り合っている段階からもっと先に進まないと、もう留学制度の拡充、英語教育のレベルアップを図っているこれらの県に大きくおくれをとることになります。不利益をこうむるのは、現役の高校生であり、中学生、小学生です。2020年代に世界で戦う学生に対して、英語を武器にできるように教育することが私たちの務めだというふうに思います。
 参考までに、沖縄県立球陽高校では、第2外国語として中国語かスペイン語を必修科目としています。この取り組みを知って、この高校から学ぶことが多々あろうかというふうに思います。
 そこで、教育長に次の質問であります。
 国際人育成プロジェクトの考え方をお示しください。
 また、英語立県沖縄は、小・中・高連携した英語教育に取り組んでいます。ここでは、小学校の5年生と6年生は英語によるコミュニケーション能力、この素地を育成すること、中学校1年生、この英語力の指標は英語検定5級、中学3年から高校1年の英語力の指標は英語検定3級、高校卒業時の英語力の指標、これは英語検定の3級から2級、これを掲げているところであります。目指すところがなければ、そこに到達することはできません。国際人育成プロジェクトによる小学校、中学校、高校での目標はどこに置かれておりますか、教育長にお尋ねします。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 国際人育成プロジェクトの考え方についてでございますが、本県の国際人育成プロジェクトは、外国の人々と対話できる英語力を身につけた広く世界で活躍できる人材の育成を目標としておりまして、小・中・高等学校を通して系統立てた取り組みを行ってまいります。
 小学校では、英語の歌やゲーム、読み聞かせ教材などを活用して、まず英語に興味を持たせ、中学校では反復練習を徹底し、身近な話題などについて英語で会話できる生徒を育成してまいります。さらに、高等学校では、従来の読み書きに加えて、自分の考えや意見を英語で伝えられるよう、実践的コミュニケーション能力を高めてまいります。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 沖縄県立球陽高校の国際英語科の在校生、これが464名おります。平成22年度の実績を示させていただきます。英検準2級154名、2級83名、準1級2名、平成23年12月現在では準2級82名、2級23名の実績があり、具体的な数字の成果を上げているところであります。
 県内で国際科のある高校の実績とこの数字を見て、教育長、感じることはありますでしょうか。世界で広く活躍できる人材を育成するための成果が期待できる取り組みというのがありますでしょうか。あわせて教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内で国際科のある高校の実績と比較して、成果ができる取り組みについてということについてお答えしたいと思います。
 先ほど御指摘いただきましたように、沖縄の球陽高校では、外国語検定試験について大変大きな成果を上げているというふうに実感をいたしております。
 本県の国際科のある高校では、検定というよりも、特に姉妹校との交換留学や交流活動に特色を持たせて進めてまいりました。今後は、御指摘の点を踏まえ、こうした国際科を持つ高校に限らず、英語の授業にディベートやディスカッション等を取り入れ、その学んだ成果を試す機会として、和歌山県高校生英語ディベート大会や、わかやま高校生クイズ in Englishを開催するとともに、高校生の海外語学研修や海外留学を一層促進してまいりたいと思ってございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、教育長にお答えいただきました国際人育成プロジェクトというのが、この予算、24年度の案によりますと1100万円計上されているわけであります。教育予算としてはかなり確保してくれたほうだというふうに思いますが、この予算で小学校から高校生まですべての段階で国際人育成に資することは、果たして可能なのかなあというふうに思っております。
 小学校では英語になれ親しむことを目指し、中学校では積極的な活用を目指そう、そして高校ではスピーキング力の充実、英語スーパースター育成、こういった取り組みもあるようですが、外国人と対話できる英語力を身につけた広く世界で活躍できる人材の育成を行うという、こういう大きな計画がこの予算で図られようとしているわけです。なかなか具体的な数字というのは、目標というんでしょうか、到達地点が出てこないわけなんですが、この予算内で県も、それから小学校・中学校教育をつかさどる市町村も、外国語教育の機会を果たしてふやし、質を保つことができるのかなというふうに思っております。
 国際人を育成する教育に必要な予算を、教育長のお考えとしては十分確保できたと言えますでしょうか。教育の効果は、数年先あるいは10年先以上になるかもしれない大きな課題であります。教育と予算の兼ね合いをどのように考えておりますか。仮に財政面から確保できないという現状があるとしたら、和歌山県から目標に掲げているような国際人を輩出させることはなかなか容易ではないというふうに思います。教育への投資について、教育長の答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育への投資についてでございますけども、今回の国際人育成プロジェクトにつきましては、教材の開発、教員の研修、留学促進等を盛り込んでございまして、こうした取り組みを進めるための予算を一定、確保することができたと考えてございます。
 御指摘のように、これからの和歌山県を支える、あるいは日本を支える人材育成のためにも、本プロジェクトの目的の達成に向けて必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 平成23年度まで和歌山市内で実施されている小学校外国語活動支援・サポート事業、これが23年度末、もう今月で一たん区切りをつけよう、終了しようと、こういうふうなことをしております。今週、ちょうど2つの小学校の英語の授業で、この計画は終わりということになってございます。
 実は、先週末で英語の授業を終えた市内のある小学校から、不安に感じながらも1年間英語学習に取り組み、英語に親しんだ生徒から文集というのが届けられております。見えないと思いますが(資料を示す)、こんなかわいい、これ、小学校6年生が、こういった初めて英語教育に5年、6年と触れて、しかも、いい教育をしてくれたということでこういう感想文が届けられてるわけなんですが、この中の一部を紹介させていただきたいと思います。
 「英語をぺらぺらしゃべりたいと思います。だから中学校でも英語を頑張りたいと思います」。「みんなに英語を教えてくれてありがとうございます。来年から英語を見てくれなくなると──要はこの授業というんかな、こういう取り組みがなくなると──英語が楽しくなくなったり、わからない英語があってもわからないままになってしまうかもしれないので、自分は小学校を卒業するけれど、この学校で引き続いて授業をしてほしいです」。「もっと英語をしゃべれるようになって、先生と英語で会話をしてみたいです」。生徒からこんな感想が寄せられています。
 先生に聞いたところ、「ほかの府県で英語を習っている小学校の生徒と比較しても負けることはありません」と、こういう答えが返ってきておりました。そして、「小学校では十分英語に親しんで関心を持ってくれるようになったので、これからも──つまり中学生になっても──この生徒たちは伸びると思いますよ」と、こういう答えが返ってきております。
 それから、小学校5年生、6年生を担任した先生からも、これ、かなりの意見なんですけど、すべての先生から意見、こういった形で文書としていただいております(資料を示す)。この中からも幾つか紹介をさせていただきたいんですが、これ、先生からの感想です。
 「外国語活動が週1回の授業になり、どう対応していいのかわからなかった。しかし、3年間の研修サポートを受けさせていただき、外国語の授業を自信を持ってできるようになりました」。また、ある先生は、「校内サポートをしていただいたおかげで余裕を持って授業をすることができました。3年間の研修のおかげで本校の英語教育の基礎のようなものが構築できたと思います」。また、別の先生、「外国語の事業は──授業じゃなくて事業のほうなんですが──何らかの形でサポートが必要だと思います。初任者でもよい経験となりました。少しでも広げていけたらと思うので、ほかの小学校でも続けてほしいと思います」。それから、もう1つ、「英語の授業の持ち方、楽しみ方などを学びました。この研修がなければ英語の授業なんてとてもじゃないけどできなかったし、子供たちがかわいそうでした。今ではどの生徒も楽しく取り組める英語の授業になりました」。こういった素の感想が寄せられているところであります。
 先生たちも真剣に小学校での外国語活動に取り組んだ結果、このような感想や意見というのが聞かれるわけです。教育委員会が主体として実施している年に数回程度の研修だけでは、生徒が本当に楽しめる、親しめる授業、そして中学校に向けて基礎力が身につくような外国語の授業にすることは、なかなか容易ではなかったのではないかなというふうに思います。
 そこで、最後に教育長にお尋ねしたいと思います。
 平成23年度から本格的に導入された小学校の外国語活動について、現時点でどのように評価していますか。それから、平成24年度の取り組み、先生の外国語授業力の向上や県全体の外国語力向上を図るべきだと思いますが、昨年度までと比較して発展させるべき取り組みはありますか。昨年度というのは平成23年度、本年度ということです。小学校での英語教育の成果及び評価について、教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 小学校での外国語活動の成果と評価についてでございますけども、小学校の外国語活動につきましては、本県では平成17年度からすべての小学校で既に実施しておりまして、デジタル教材を活用するなど、外国になれ親しむための工夫が各学校で現在行われております。児童生徒が生き生きと英語を使って活動する姿が見られてきております。
 また、本県独自の取り組みとしましては、日本昔話を英語に訳した読み聞かせ教材を作成し、すべての小学校に配布したところでございます。
 さらに、来年度につきましては、現在進めておりますけれども、和歌山県の民話を日常でよく使われているわかりやすい英語で教材にして配布することといたしております。
 今後も引き続き、教員の指導力や教材開発など、学校現場の求めにこたえられるよう支援に努めてまいります。
○議長(新島 雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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