平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、今回は分割方式で一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、新年度防災対策予算についてお伺いいたします。
 昨年3月の東日本大震災、そして9月の紀州大水害を踏まえて、新年度予算における大きな柱として災害からの復興と防災対策が位置づけられました。今年度に取り組んだ緊急対策に加えて、新年度では、国の震源域や被害想定見直しに合わせた対応や対策、そして何よりも県民、地域の皆さんと一緒になった地道な日ごろの取り組みにより、防災意識と備えをしっかり整えていく必要があると考えます。
 先月25日には、広川町の町民体育館で「津波防災シンポジウムin広川町」が開催され、広い会場いっぱいに集まった住民が参加して、関心の高さを物語っておりました。地元パネラーによるパネルディスカッションに続き、関西大学の河田教授からは、「百年後のふるさとを守る」と題して、地震・津波対策の最新の到達点に基づいて講演をいただきました。東海・東南海・南海地震の想定震源域が、2003年の中央防災会議で示された宝永地震モデルを基本としたものから範囲も規模も拡大され、そして和歌山市近くまでが震源域の可能性がある地域として考えられていること、そしてそれに加えて、地震のエネルギーは小さくても大きな津波を発生させる地震津波、この地震津波を検討する震源域、この領域も示されました。これらに基づく新しい津波想定の報告が、近く国から発表されることになっています。
 興味深かったのは、東北での津波からの生存者約4400名の避難実態調査のデータでありました。実際に避難できたのが、平均しますと徒歩ではわずか11分、440メートル余りだというんですね。車でも16分、2.4キロ余りしか移動できていなくて、そのスピードたるや、徒歩では時速2.3キロ、車でもわずか9キロしか出ていない。駆け足と同じ程度しか出なかったということです。生き延びた方でも思うように避難できなかったんですね。もちろん、多くの方が車で逃げる途中で渋滞や通行不能により津波にのまれて亡くなっていますから、車は条件の許す限られた場合のみしか使えないのは当然ですが、いざというときには本当に日ごろの歩くスピードの半分でしか避難できない、車も当てにできないということでありました。
 そして、加えて、稲むらの火の地元・広川町民に向けて紹介されたのは、地震予知の先駆者であった今村博士の文書でした。昭和南海地震の前、今村博士は南海地震が来ることに警鐘を鳴らし続けたのですが、戦中、戦後の混乱期にあってその警告が生かされずに、稲むらの火の地元である広村でも被害が出てしまったのです。広村に対してさまざまなアドバイスや警告を発していたけれども、被害を防ぐことができなかった、そんな万感のこもった文書を紹介されていました。
 そして、その文書の結びに記された言葉、「およそ災害は忘れたころにやってくると言われるけれども、忘れない、知っている、それだけでは災害は防げるものでもなく、避けられるものでもない。要はこれを防備することである」、このことを強調されていました。
 そして、あわせて、東日本の大震災での教訓である「避難所に来て顔を合わせたのは常々訓練に来ていた人ばかりであった。日ごろやっていることしかできないんだ」、こういった一言一言が参加者に強い感動を与えたシンポジウムとなりました。
 また、このほど県は、地震・津波に関する県民意識調査の結果を発表いたしました。この意識調査は、東日本大震災後の夏に改めて調査をしたものです。これによると、昨年の3月11日には約8割の人が大津波警報などを聞いていて、6割の人が市町村からの避難の呼びかけも聞いていたにもかかわらず、実際に避難した人は16.8%しかいなかったと、こういう数字が出ています。
 また、私が気になったのは、東日本大震災を経験して東南海・南海地震への関心や、また避難行動に関する意識、これが大幅に大きく上がっている。その一方で、東北では地震の揺れが少なかったせいか、家具の固定なんかに関しては数字が全然伸びていないと、こういうことにも注意と対策を考える必要があるというふうに思っています。
 こうした新しい状況や県民の実態を踏まえ、新年度においては県として、広域自治体としての防災対策に主体的に取り組むとともに、住民の身近なところで避難計画や対策に当たる県内市町村としっかりと連携して取り組むことが重要です。私の今回の質問では、市町村や地域との連携の部分に焦点を当てて、新年度防災対策予算について質問をさせていただきます。
 まず第1点目には、「まけるな!!和歌山パワーアップ」事業についてです。
 これは、市町村が避難路の整備や誘導灯、また家具の転倒防止対策などに取り組むときに、その半額を補助する事業で、今年度は、東日本大震災を踏まえて、当初予算5000万円から1億円の補正予算を加え、避難場所や避難路の見直しなど緊急性の高いものに取り組みました。さらに、新年度では、当初予算から2億円の枠を設けて、引き続き市町村とともに取り組むとされています。
 新年度予算を提案するに当たり、今年度の補正予算での緊急的取り組みでの到達点と課題はどうか。そして、新年度では市町村とともにどういう角度でさらなる取り組みを進めるのか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、災害時要援護者避難対策についてお伺いをいたします。
 高齢化が進む地域の中では、「避難所やからあの小学校まで逃げよと言われても、とても私らよう行かな」、また「ほとんど寝てばっかりのおじいちゃんほってよう逃げやん」、こんな声も聞こえてまいります。建前では避難場所へ逃げることになっていても、これでは実際の避難行動には結びつきません。体の不自由な高齢者を初めとする災害時要援護者の避難対策をしっかり準備することは、地域における避難対策の取り組みの本気度が、私、問われる問題だと思っています。
 福祉避難所の指定が少ない、対応人数が足りない、このことも課題となっています。こういった課題への対応を本格化させるためにも、地域とともに個別支援計画をどうつくり上げるのかが重要なかぎとなってまいります。
 県の新年度予算では、新規事業として災害時要援護者避難対策の推進策を予算化されていますが、災害時要援護者の個別計画の策定など、この課題をどう支援していくのか、お示しをいただきたいと思います。
 以上、防災対策2点について、まず危機管理監に答弁を求めます。
○議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 新年度防災対策予算につきまして、2点お答えを申し上げます。
 まず初めに、新政策「まけるな!!和歌山パワーアップ」事業についてお答えを申し上げます。
 県といたしましては、東日本大震災を踏まえた防災・減災対策の総点検の中で、避難場所の見直しを市町村とともに実施し、避難の方向性を明確にしてまいりましたが、そこで必要となった防災対策事業を進める市町村への支援として、23年度9月補正においては1億円の増額補正を行いました。
 早急な実施が必要となった事業は、避難路整備や避難誘導灯、それから表示板の設置など避難対策や、避難の前提となる家具等の固定といった災害から逃げ切るための対策でございます。特に、耐震化や家具固定などの身の周りの対策については、実数では伸びてはおりますが、津波被害の印象が非常に強烈であったためか、県民意識調査においては特段の変化がなく、課題と感じているところでございます。避難対策、身の周りの対策につきましては、24年度においても引き続き重点的に支援し、早期実施を促したいと考えてございます。
 加えて、24年度では、紀伊半島の大水害の教訓を踏まえ、台風12号緊急対策として、孤立集落への通信手段整備及び被災可能性の高い福祉関係施設への防災行政無線端末の整備を補助対象事業に追加し、取り組んでまいります。
 今後とも、県民の避難・救助対策や地域の減災対策について、早期取り組みを推進するため、市町村を総合的に支援してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、災害時要援護者対策についてお答えを申し上げます。
 災害時の要援護者対策につきましては、災害時要援護者避難支援プランの個別計画策定を市町村と連携して進めてございます。現在、9市町で個別計画を策定しており、17市町が策定に取り組んでおるところでございます。
 この計画は、地域で要援護者を支援していただくための共助の取り組みであり、要援護者への情報伝達、安否確認や避難行動支援を実施するために支援者を確定することが重要になりますが、個人情報の問題や、自治会、自主防災組織等での支援者確保が困難であるため、取り組みがおくれているのが現状でございます。
 新政策「災害時要援護者を支える地域支援」事業においては、支援者の重要性を明確にし、要援護者の避難支援を行う支援者の行動指針となるよう、支援者活動マニュアルの策定を行います。また、地域での支援活動に必要なリヤカーであるとか車いす等の資機材の整備について、市町村とともに支援を行ってまいります。
 以上の取り組みにより、関係部局や市町村と連携をして、支援者や支援に取り組む地域をサポートし、要援護者の方が避難できる体制づくりを促進してまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 防災関係の御答弁をいただきました。今年度の補正予算では主に避難関係の緊急対策に取り組んでいただいたわけですが、スピード感を持って取り組む避難場所の指定見直し、こういったこととは対照的に、地域の避難路を住民の意見をもとに整備をするというような事業は、住民の中でよくもんで、ああだこうだやりながら意識の高まりと相まってやっと実現するといったものもあるわけですから、ぜひ一定の期間も見ながら面的に取り組みを広げていただきたいというふうに要望しておきます。
 そして、もう1つ、家具固定の問題です。
 質問でも触れさせていただきましたが、家具の転倒防止、家具固定というのはなかなか進みにくい。わかっているだけでは進まないし、また、市町村が補助事業を組んだらどんどん進むという単純なものでもありません。しかし、災害時要援護者や高齢者世帯などはぜひ家具固定を支援する、そんな行政の施策が必要だと考えます。そして、一般の家庭にもぜひ、地震対策の最も効果的な一歩として広げていきたいものです。
 県のパンフレットを見ますと、現在、県内の30市町村のうち、家具固定の事業に取り組んでいるのは13市町にとどまっている状態なんですね。ぜひ、市町村にも、県の事業も活用いただいて施策が進むよう、これまで以上に働きかけを強めていただきたいと、このことも要望しておきたいと思います。
 次に、ミカン対策の質問に移ります。
 先日、NHKのBS番組で「ウンシュウミカン -進化する“こたつミカン”-」と題した番組が放送されました。温州ミカンの品種改良の歴史や全国的な産地の特徴、これからのミカンの進化に向けた研究も紹介する、なかなかおもしろい番組でした。
 この中で、ミカンの有力産地の条件として、水はけのよい秩父帯と呼ばれる地層、これが和歌山、愛媛、静岡という産地に共通して存在していることや、現在、機能性成分をより多く含むミカンの開発や研究が進められている様子が報道されていました。
 この番組を見て、私は、和歌山県という地域の持つ地理的、気候的、地質的条件はすばらしい、このポテンシャルを大いに生かし発揮させて、食料の世紀と呼ばれる21世紀、健康を保ち増進する果物の生産県として一層頑張りがいがあるなあと、そういう確信を持ちました。
 一方で、ミカン農家の現実は、表年に安値を繰り返しながら、長引く価格低迷と、また農業では食べていけないという後継者難で展望がなかなか見えにくい状況にあります。私は、今議会においても、ミカン対策について、以下4点の質問をさせていただきたいと思います。
 2011年産ミカンは、梅雨明け後の、また秋の高温、そして雨が非常に多かったりと気象変動による厳しい気候条件により、害虫の発生による品質低下やサイズの大きいミカンが多くできてしまい、生産、販売ともに苦労が多かったと聞いています。価格的には、安値に泣かされたこの間の表年よりは何とか持ち直したという状況だそうです。また、販売面でも、行政と生産者の取り組みがさまざまな形で努力が続けられてレベルアップしてきたこととあわせ、首都圏での和歌山県産ミカンの露出や販売量も増加し、県産ミカンの販売量が昨年の2倍になった東京の市場も報告されています。
 私は、和歌山県産ミカンの全国的ブランド力アップのためにも、長くお世話になっている京阪神市場に主軸を置きながら首都圏の市場にも果敢に攻めるという戦略が大切だと訴えてまいりましたが、関係者の皆さんの御努力が実を結びつつある状況だと思います。
 まず第1点目に、2011年産ミカンの生産、販売状況はどのような状況であったのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、生産者からの要望の高い新品種の開発・普及の問題です。和歌山らしい魅力的な新品種を目指してきた成果として、県の果樹試験場と地元農家の協力により、「YN26」、そして「きゅうき」など、こういった新しい品種が生み出され、普及に期待の声が寄せられています。今後、これら新品種の普及のスケジュールや手だてはどうか、お答えください。
 続いて、機能性成分に着目した今後の新品種開発と販売戦略についてお伺いをいたします。
 ミカンの持つ機能性成分については、有名になったベータクリプトキサンチンの抗がん作用、そしてメタボ防止にも効果があるなどの報告がされ、健康ブームとも相まって消費者の関心を呼んでいます。
 現在は、こうした機能性成分をより多く含むミカンを開発するとか、これまでにない機能性成分を品種改良によって取り組むなどの、そういった研究が進められているようであります。今後、こうした機能性成分に着目した新品種開発が一層求められてくると思いますが、県として新品種開発と販売戦略をどう展開していくのか、御答弁を願います。
 4点目に、果樹・ミカン農家の後継者対策について伺います。
 私どもは、これまでも、農業後継者対策としては、事業が軌道に乗るまでの所得補償対策などさまざまな支援が必要であり、農家に生まれた青年はもとより、Uターン、Iターン、退職者など、農業をやりたい人は皆後継者だとして、抜本的な後継者対策で日本農業を守ろうと訴えてまいりました。和歌山県としてもさまざまな施策に取り組んでいるわけですが、先日の県の試験場の技術成果発表会の資料も見せていただきますと、新規就農者の経営課題とニーズについての報告もされていました。
 就農前の不安や課題としては、所得・収益性の低さや、また知識・技能の習得が多く出されているとともに、資金と、そして農地の確保が大きな課題となっています。そして、実際に今度は就農した後の意識や課題としては、収入についての不満が強いものの、農家出身者と非農家出身者との間ではほとんどの項目で差がなくなってきている。10年経過すれば収益の差もほとんどないという、そういう状態だと報告されています。うまく軌道に乗れば順調に頑張っておられるんですね。後継者対策を進めるためには、新規就農者のニーズに細やかに、そしてしっかりとこたえていくことが大切であり、農業後継者対策を一層強化する必要があると考えさせられました。
 県として、農業後継者対策の実績、評価はどうか、そして、今後の取り組みについてどう考えているのか、お示しいただきたいと思います。特に、果樹は本県農業の柱でもあることから、果樹・ミカン農家の後継者対策についての答弁を求めます。
 以上、ミカン対策の4点、いずれも農林水産部長に御答弁願います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミカン対策4点の御質問にお答え申し上げます。
 2011年産ミカンについては、表年であったものの生理落果が多く、台風や秋雨の影響で傷果や大玉果等が多かったため、出荷量は前年比118%、同じ表年である2009年産に比べて92%の出荷量となっております。
 こうした中で、県は、JAグループとともに厳選出荷を推進し、単価につきましては186円・パー・キログラムと前年度の80%、2009年産に比べて130%の単価で取引が行われております。
 次に、YN26及びきゅうきなど新品種の普及についてですが、ゆら早生から育成されたYN26につきましては、9月下旬から出荷でき、食味がよいのが特徴で、本年1月に品種登録がなされ、今春から苗木が販売される予定でございます。
 また、向山温州の変異と言われているきゅうきにつきましては、12月から出荷できる浮き皮の少ないミカンで、昨年3月に品種登録の申請を行い、2014年からの苗木販売に向けて、現在、増殖に努めているところでございます。
 今後、極わせからおくてまでの県オリジナル品種によるシリーズ出荷を推進するため、県単独事業の果樹産地再生緊急対策事業などにより、これら品種への改植の支援を行い、早期の産地化を図ってまいる所存でございます。
 次に、機能性成分に着目した今後の新品種開発と販売戦略についてですが、県では、これまでも、ベータクリプトキサンチンの発がん抑制効果等ミカンの持つさまざまな効果をPRするとともに、現在、果樹試験場では、花粉症に効果があると言われているジャバラを親にした新品種の育成に着手しているところでございます。さらに、2012年度は、県オリジナル品種の開発など、産地から要望の高い試験研究を重点化するための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 また、昨年11月には、JAグループと連携し、首都圏のメディア関係者を対象に、ミカンやカキなど県産果実の機能性に関するフォーラムを開催いたしました。
 健康志向が高まる中で、果実の需要拡大を図る1つの方策として、今後とも新品種の育成を重点的に実施するとともに、機能性成分に着目した販売戦略を推進してまいる所存でございます。
 最後に、果樹・ミカン農家の後継者対策につきましては、県では、農業大学校や就農支援センターにおいて、新規就農希望者に対して農業技術研修を実施しております。就農初期における経営安定のため、新農業人あんしん自立支援事業において、就農奨励金や無利子の生活安定資金、農地無償一時貸し付け等の支援を行っております。また、平成21年度から実施している「和歌山で農業しませんか」プロジェクトにより、新規就農者の確保に努めております。
 これらの対策により、最近2年間の新規就農者数は、平成21年度が193名、22年度が180名の2年間で計373名であり、そのうちミカン等の果樹を基幹品目とする就農者は約半数の191名、それ以前の5年間と比較しますと、最近2年間の新規就農者数は年間で約50名の増加となっております。
 今後、県としましては、技術研修のさらなる充実に向けた就農支援センターでの社会人課程と、JAと連携したトレーニングファームを新たに開設するとともに、国の支援制度等も積極的に活用して、新規就農者の確保と就農定着を促進してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からお示しいただきました答弁では、新品種のYN26の品種登録が完了、苗木も販売するということや、きゅうきも非常に有望で、再来年ですか、苗木販売に向けて取り組んでいるということでした。YN26という品種名だけでは味気ないので、新年度にはかわいいニックネーム、商標登録も考えているそうでありますが、ぜひ、いい名前を皆さんと考えていただけたらと思っています。
 また、機能性成分に着目という点では、花粉症に効果のあるジャバラを親にした取り組みが出されました。この効果は一般的に本当によく知られておりますし、何よりも和歌山県らしいインパクトのあるものだと思います。ぜひ力を入れていただきたいと思います。後継者対策や、また身近な基盤整備などともあわせ、果樹王国和歌山県として一層のミカン対策強化を要望しておきます。
 次に、3つ目の質問であります県消防学校移転整備について、知事にお伺いをいたします。
 新年度予算では、老朽化し手狭な県消防学校が抱える課題を解決するため、現在の和歌山市冬野からコスモパーク加太への移転新築に向けた予算が計上されています。これまでも県内消防長会からも要望が出されていたように、専門的な訓練や資格の取得という点から見れば課題がありました。
 水難事故に対応する潜水隊員として業務に当たろうとすれば、潜水の講習、資格が必要になります。交通事故や災害時にレスキュー車、いわゆる救助工作車についているクレーンを使って助けに行こうと思えば、クレーンや玉かけの免許が必要になります。ところが、これら専門的な訓練が設備や規模の制約もあって要望にこたえられず、遠く県外の消防学校へ講習に行っている、訓練に行っているという実態もあったわけです。
 長い海岸線や河川、ダムを持ち、自然災害の多い和歌山県として、大規模災害への備えや救急救命活動の高度化、こういったことに対応できるよう、県消防学校の整備、充実が期待されてまいりました。時代の求める消防職員の養成とともに、地域の消防団員や企業や団体の消防組織など、地域社会の防災力向上に向けての取り組みも一層強める必要があると考えております。
 県として、和歌山県消防学校の果たすべき役割と機能についてどのように考え、そして施設の移転整備によりどう対応しようとしているのか、消防学校の移転整備の基本的な考え方、構想について知事の答弁を求めます。
○議長(新島 雄君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の消防学校は、消防職団員を初め、自衛消防隊等が初任教育や専門的な専科教育、訓練を受け、知識や技術を習得する機関として昭和52年に開校いたしました。以来、本年度末までに約2万人を超える消防職団員等に対して各種教育、訓練を実施し、人材の育成に努めてまいりました。
 しかし、御指摘のように、消防業務の複雑化、高度化に伴い、新たな消防需要に十分対応できる消防職団員等を育成するとともに、大規模地震に備え耐震化対策を講じた消防学校の移転整備が、早急に取り組まなければならない重要な課題と認識しております。
 これらの課題を踏まえまして、新たな消防学校の移転整備に向けての基本的な考え方は、東海・東南海・南海地震等の大規模災害や救急業務の高度化に対応できる教育・訓練施設の整備、あるいは女性消防職員を受け入れることができるような施設規模の確保、消防学校の施設等基準に基づく施設・設備の充実、そういうものだと思います。
 そこで、県民のとうとい生命や財産を守るため、消防職団員等が高度で専門的な知識や技術を習得するとともに、消防精神の涵養並びに体力の向上が図れるような教育、訓練の環境が整った移転整備を計画的にこれから推進してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事からは、移転整備の基本的な考え方とともに、重要課題として計画的に進めていくとの答弁がありました。
 コスモパーク加太の防災用地の一部を活用ということですから、かなりの規模の施設となるわけで、事業総額を抑えながらも求められる機能と能力をしっかりと備えた施設となるよう、消防学校の現場や、また研修を実際に受ける立場の消防職員、消防団員等の皆さんの要望にもよく耳を傾けて、計画的に整備を進めていただけますよう要望をしておきたいと思います。
 最後に、今度はJRの利便性向上へという柱で質問をさせていただきます。
 2012年春のダイヤ改正とあわせて、この3月17日からJRきのくに線の特急「くろしお」に新型特急車両が導入されます。去る2月25日には展示会が和歌山駅、海南駅、紀伊田辺駅で開催され、3月4日には和歌山─紀伊田辺間で試乗会が行われたところです。私も、和歌山駅での展示会に出向いて新型くろしお車両を見てまいりました。ゆったりした客車やバリアフリーにも配慮された新型車両を一目見ようと、大勢の家族連れや鉄道ファンが来場していました。
 これまでの現行車両はかなり古くて、加えて振り子式ゆえの激しい揺れが苦手だという声も大変多かっただけに、きのくに線特急のイメージが一新されることだと期待しています。また、利用者の快適性向上とともに、観光面においても、和歌山県の台風災害からの復興の呼び水として期待もするものですが、新型車両導入と新ダイヤによる効果についてお答えいただきたいと思います。
 最後に、駅のバリアフリー化など利便性向上に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 新年度予算では、和歌山市駅と箕島駅のエレベーター設置に向けた予算が計上されているのを歓迎したいと思います。これまでも、駅ホームの段差解消、エレベーターの設置や点字ブロックの整備などを求めてまいりましたが、こういった公共交通、地域交通の改善が一層広がっていくよう願うものです。
 JRの湯浅駅では、この間、歴史的な町並みが伝統的建造物群として指定を受けたことにより観光客の利用がふえてきている一方で、駅の売店が閉鎖されたり窓口駅員不在の時間帯が出てきたりと、利用者から困惑の声もお聞きをいたしております。湯浅駅も、この間、点字ブロックや手すりの整備などを進めていただきましたが、改札を入るとすぐにホームへの階段が立ちはだかって、そして横にあるスロープも傾斜がきつくて長くて、車いすでは介助なしに自力で上がることはできません。こういったことに、駅前地域の商店街の皆さんや湯浅町も、駅のバリアフリー化や活性化を目指して働きかけを強めているようです。
 JR駅舎のバリアフリー化や利用客の利便性向上に向け、今後、県としてどう取り組んでいくのか、以上2点について、企画部長の答弁をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) まず、JR西日本が3月17日のダイヤ改正に伴いまして導入いたします新型車両の特徴につきましては、客席の足元スペースの拡大、女性専用トイレや車いす対応多機能トイレの設置、さらには授乳時や気分が悪くなった方々にお使いいただくための多目的室の完備などが施されており、利用される方々がより快適に和歌山の鉄道の旅を楽しんでいただけるものと考えております。
 また、このダイヤ改正では、朝夕のビジネス利用に配慮するとともに、昼間は観光地への速達性を向上させるため、特急の停車駅が見直されることにより利便性が向上し、復興支援にもつながるものと期待しているところでございます。
 次に、鉄道駅のバリアフリー化に関しましては、国が定める移動等円滑化の促進に関する基本方針において、1日当たりの平均的な利用者数が3000人以上である鉄道駅については、平成32年度までにエレベーターや障害者対応型便所の設置など、移動等円滑化を可能な限り実施するとされています。
 本県におきましては、利用者数3000人以上の16駅のうち既に9駅が完了しており、来年度は南海和歌山市駅とJR箕島駅のバリアフリー化に向けた予算を計上しています。今後とも、県内の利用者数が3000人以上の駅や、それ未満でも特急が停車したり観光の拠点となる駅など、いわゆる地域拠点駅を中心に、地元市町及び鉄道事業者と連携の上、バリアフリー化を推進してまいりたいと考えています。
 また、駅の利便性向上につきましては、駅と目的地をつなぐ2次的な交通体系の整備や、観光案内所の併設による駅機能の充実などに取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。駅のバリアフリー化に向けた状況と方向性、また駅機能の充実という点でもお答えをいただきました。
 湯浅駅に関して言えば、この駅が湯浅の町なかにあるという条件からも、お隣の藤並駅や広川ビーチ駅などと比較しても高齢者や、また交通弱者の方々の利用が非常に多いのが特徴だと思うんですね。それだけに、歴史的な町並みを楽しんでいただく観光面、これとあわせてこの取り組みが進んでいくよう、住民の皆さんや湯浅町ともよく連携して取り組みを強めていただきますよう要望いたします。
 また、もう1点、最後に要望ですが、駅舎のトイレの問題です。
 以前、JRは、きのくに線でトイレなし列車をふやそうとして県民の強い批判を受け、議会でも取り上げられました。今ではすべての列車にトイレがつけられて、ハンディーのある方を含め喜ばれておりますが、今度は、電車にトイレをつけたから駅のトイレのほうはもう改修しませんというのが最近のJRの方針だというんですね。やってほしければ市町村でやってくださいということなんです。
 公共交通という点では、行政もしっかりと支援しながらですが、JRにも働きかけて、一緒になって駅の利便性向上に取り組み、乗客もふやしていってほしいということを最後に要望いたしまして、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
────────────────────

このページの先頭へ