平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 自由民主党県議団の山下直也でございます。
 ただいまから、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 なお、今回は一問一答方式で4項目にわたり質問をさせていただきます。私自身、今回まで22回目の質問になると思うんですけれども、この一問一答式の質問というのは初めてでございまして、多少もたつく点もあろうかと思いますが、何とぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。
 それでは、早速1項目めの質問に入らせていただきます。
 昨日の新聞一面に、大きく次のような見出しがありました。「3月11日 命を思う日」、このような見出しがありました。
 平成23年3月11日、東日本大震災発生から間もなく1年がたとうといたしております。死者は約1万5000人強、行方不明者は3000人を超え、放射線や家屋等の倒壊により、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされております。また本県では、昨年9月に台風12号による記録的な豪雨により、紀南地方を中心に県内で59人の死者、行方不明を出し、甚大な被害が発生をいたしました。あれから約半年であります。「再び春はめぐってくる」という内容の記事でありました。
 そして今、私たちはこうした自然災害の脅威を思い知らされる一方で、将来起こり得る東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えを早急に推進していくことが何よりも必要であると考えます。
 平成24年度当初予算案では、東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えとして、被害予測の見直しや災害に強いまちづくりの推進、地域の防災体制づくり、避難対策、災害応急体制の整備に取り組むため、約104億円が計上されており、防災対策を積極的に推進する予算となっていることは、まことに意を同じくするものであります。
 こうした中で、長い海岸線を有する本県において、津波対策に取り組むことが最重要課題であると考えます。
 本年2月に、門会長、中村会長のもと、私たち県議26名が高速自動車国道紀南延長促進議員連盟と第2阪和国道・京奈和自動車道・太平洋新国土軸建設促進議員連盟による合同県外調査に参加をいたし、災害時においていかに高速道路が避難場所として重要な役割を果たしたかを調査してまいりました。
 私は都合により2月2日からの参加となりましたが、東日本大震災で津波防止に効果を発揮した宮城県の盛り土式高速道路・仙台東部道路に行き、東日本高速道路株式会社東北支社仙台管理事務所の阿部副所長さんから、震災当時の状況や津波発生時の避難状況、また管理道路としてのり面上に階段を設置した現状をお聞きするとともに、高速道路上における一時避難所の設置についての考え方や現状について説明を受け、高速道路における避難路や避難場所の設置が必要であることを改めて強く感じました。
 続いて2月3日、福島県相馬市の国道6号相馬バイパスに行き、国土交通省東北地方整備局磐城国道事務所の職員の方から、盛り土構造が津波による浸水を食いとめ、被害の拡大を防いだこと、塩害被害を受けず田植えを開始できたこと等の説明を受けました。
 今回の調査により、大震災直後、津波が海岸から約4キロまで到達したが、盛り土構造により市街地への津波、瓦れきの流入を抑制したこと、また、仙台若林ジャンクションと名取インターチェンジの間において約230人が避難したことから、高速道路の果たした役割は大変なものがあったことを痛感いたしました。
 この調査を終えて、産業発展の基盤であるとともに津波発生時の避難場所となり、加えて物資や救援部隊が来る、まさに命の道となる高速道路の早期整備を図ることがいかに重要であるか、改めて感じたところであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 今申し上げましたとおり、津波発生時に多くの県民の命を守るため、高速道路に避難路や避難場所を整備することが必要、またそのことが急務であるというふうに考えますが、改めて県としての取り組みはいかがなものでありましょうか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきの東日本大震災では、高速道路が救助救援活動や、あるいは緊急物資の輸送などにおいて大きく貢献するとともに、一時避難場所や堤防の役割を果たしたということなどから、高速道路の有用性が再認識されたところでありまして、議員御指摘のとおりであります。
 また、今回の紀伊半島大水害においても高速道路は健全性を保ちました。救助・救援活動に大いに貢献をしたところであります。このため、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間や那智勝浦道路の平成27年までの確実な供用と、まだ残されておりますすさみ─太地間、それと新宮県境をまたいで三重県の熊野に至るところの早期事業化を国や関係機関に引き続き働きかけていかなきゃいかんというふうに思っております。
 また、路線だけじゃなくて、高速道路ののり面やインターチェンジなどを活用した避難路あるいは避難場所、さらに緊急出入り口の設置などついても、既に国やNEXCOと協議を進めているところでありますが、今後とも、そうした高速道路の防災機能の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 ここでもう1点、津波対策、とりわけ道路についてでございますけれども、要望を申し上げたいと思います。
 実は、県土整備部長は御存じかと思うんですが、四国地方におきまして、徳島、それから高知、愛媛等に、国道なんですけども、国道上におきまして、こういう大きな数字が書かれてあります。(資料を示す)こういう取り組みをやっておるわけでございますけども、これは実は1キロごとに国道に大きな白い数字が書かれてるんですけども、縦2メートル、横が1.5メートルの大きさでございまして、これは実は四国地方整備局の方々と、そして県の方々で実施されたというふうに聞いておるんですけれども、いわゆる災害が起こったときに、その場所を的確に、それから早くつかんでいくために、県庁から何キロという標示がされておるわけでございます。
 防災訓練を行った際に、目立った建物が少ない沿岸部や山間部で、ヘリ上空から細かい現在地を非常に把握しにくかった、そういう結果があったんですね。それではいかんということでございまして、国道55号線でありますとか、それから国道32号線、いろんなところでこの試みが実施されております。整備局の担当の方々は、ヘリが上空から数字を確認することで、現在地を知る以外に、災害で道路が遮断された場所などをすぐに把握できる、また迅速な復旧作業につながると話されております。
 東海・東南海・南海地震、これ、四国も和歌山も多分同じような被害が想定されるわけでありますので、ぜひ和歌山県におきましても、このような取り組みを一度考えていただきたいと御要望させていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 津波対策について2点目でございます。県内市町村の住民データの保管についてお尋ねをいたします。
 東日本大震災において沿岸部の自治体の庁舎が壊滅、損壊したことにより、自治体が保有していた住民データ等の貴重な情報が消失するなどの被害が発生したことが新聞等で大きく取り上げられておりました。そして、被災したが、バックアップしていたデータから復元することにより、厳しい状況下でありながら何とか業務を継続することができ、復興作業等を進められたと聞いております。
 住民基本台帳を初め住民の健康福祉に関する情報など、自治体が保有するさまざまなデータは、住民生活を支えるため、各種施策を実施するための基礎として活用され、特に災害時にあっては罹災証明の発行や災害見舞金の交付など、被災者支援、復旧作業等に欠くことのできないものであり、住民データの重要性は言うまでもなく、それが消失したときに備えるバックアップデータの保管の重要性について認識を新たにしたところであります。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 本県においても、近い将来、東海・東南海・南海地震が発生することが想定され、同様の事態が起こり得ると思われますが、県として県内市町村におけるバックアップデータの保管についてどのようにお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 住民データの保全を図ることは、災害時における迅速な被害者支援等のために極めて重要であると認識してございます。
 県内の市町村においては、これまでにもさまざまな方法でバックアップデータの保管に取り組んでいますが、県といたしましても、その重要性にかんがみ、市町村の意向を踏まえ、バックアップデータの保存先の1つとして耐災害性にすぐれた県庁南館に保管場所を確保し、昨年12月から磁気テープ媒体等の受け入れを行っています。
 今後も、市町村における住民データ等の保全性を高め、災害時における行政機能の早期回復が図れるように、市町村の意向、要望を十分踏まえ、丁寧かつきめ細かい技術支援に取り組んでまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 2項目めの農林水産業の技術開発についてお尋ねをいたします。
 本県では、平成22年4月に和歌山県農産物・加工食品の販売促進戦略を策定し、首都圏等大消費地での販売戦略の展開や御当地スイーツ「わかやまポンチ」の展開、FOODEX JAPAN和歌山県ブース出展などにより、和歌山県の農産物や加工食品の販売促進に取り組まれているところでありますが、販売を促進するためには、まず農林水産業の技術開発を推進し、品質の向上を図ることにより、和歌山県の農林水産業の競争力をアップさせる必要があると考えます。
 私たちは、スーパーに行くと、糖度12度のおいしいミカンを安心して買うことができます。これは今では当たり前のこととなっておりますが、そのためには、ミカン生産農家の皆様がおいしいミカンをつくるために大変な苦労をしてこられたことはもちろんであります。それに加えて、出荷のときに光センサーを使って糖度を正確に測定することが重要であります。
 この測定技術を開発するため、膨大な量のミカンを調査分析し、非破壊での糖度測定理論を構築したのは、実は和歌山県果樹試験場であると聞いております。現在では、この装置は全国のミカン選果場に標準装備をされるまでになっております。これは研究成果の一例でありますが、他の試験場におきましても、うめどりやうめたまごの機能性の研究、また紀州材の性能試験、長期漁場予測の研究など、さまざまな研究が行われております。
 一方、農林水産業の現場に目を向けますと、大変厳しい現状があります。生産者の高齢化や耕作放棄地の増加、肥料や燃料など資材費の高騰や販売価格の低迷、さらに温暖化による異常気象の影響や鳥獣害被害の増加など、取り組まなければならない課題が山積しております。
 私は、先日も紀の川市のあるイチゴ農家の方をお伺いいたしました。そこで、春から一生懸命育ててきたイチゴの苗が、夏の暑い時期に炭疽病という病気で枯れてしまい、苗を確保するのに大変困ったとの苦労話を聞かせていただきました。また、和歌山市内におきましても、布引地域特産の大根におきまして、白い大根の中に黒く変色する大根黒しん症が発生しており、その発生メカニズムの解明と防除対策技術の確立が急がれています。
 このような厳しい状況を打破し、生産者が安心して農林水産業に取り組めるようにするためには、補助制度や融資制度の充実も必要ではありますが、それに加えて技術開発が果たす役割も大変重要なのではないでしょうか。
 本県には農林水産関係の9つの試験場があり、そこで約110名の研究員が日々研究に取り組んでおられるとのことであります。研究員の方が知恵を絞り、地域の課題解決に取り組めば、本県農林水産業を元気にするための大きな力になるものと考えます。また、試験場には、農林水産業に関する数多くの文献や国内外の最新情報が集まるとともに、さまざまな分析機器も充実をしております。また、最先端の技術実証を行うことも可能であります。
 このように、人材、情報、設備の集積した試験場は、地域の農林水産業の振興拠点としての役割も果たせるのではないでしょうか。試験場の役割は、今後ますます高くなってくるものと考えます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 試験研究機関の機能を強化するため、組織改正に取り組むとともに、平成24年度当初予算案に新たな研究事業として約4000万円の予算が計上されておりますが、これらを有効に活用し、本県農林水産業の活性化につなげるため、今後どのように試験研究を推進していくのか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 厳しい状況にある本県の農林水産業において、技術開発の重要性は一層高くなっていると認識しております。そのため、試験研究機関の体制強化として農林水産総合技術センターを廃止し、農林水産総務課内に研究推進室を新たに設けて試験研究全体を統括させ、現場ニーズや消費動向等を踏まえた行政課題の試験研究への迅速な反映、他部局を含めた関係課室との連携強化を企画しているところでございます。
 また、研究成果の速やかな現場への普及のため、各試験場に経験豊かな研究員による技術普及チームを設け、本庁及び振興局に設置する普及部門を集約した組織と一体となって研究成果の普及に取り組むこととしております。
 次に、新たな研究予算について、激化する産地間競争に勝ち抜いていくため、成果が急がれる課題や戦略的な研究について集中的な投資を行ったり、緊急な課題への迅速な対応を図るため、新たに4050万円の分野横断的な予算をお願いしているところでございます。これにより、例えば先ほど議員御質問の中にございましたイチゴ「まりひめ」の耐病性を強化した新品種の開発に通常5年を要するところを3年に短縮したり、あるいは病害虫発生等により迅速に対応できるものと考えております。
 今後とも、地域の皆様方の声をしっかりと受けとめ、その期待にこたえる研究開発に総力を挙げて取り組む所存でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 農林水産部長、ぜひ今御答弁いただいたとおり、前向きで、そして攻めの和歌山県の農林水産業というものを頑張っていっていただきたい、このように申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 次の質問に移ります。
 3項目めであります。がん対策についてお尋ねをいたします。
 平成17年の国立がんセンターの推計値によりますと、日本人のおおよそ2人に1人が一生のうちがんと診断されると推計をされております。
 こうした中で、本県では平成20年3月に和歌山県がん対策推進計画を策定し、がん対策に取り組んでいただいているところであり、また、県議会におきましても、超党派によるがん対策推進に係る条例案検討会を昨年12月議会中に発足し、県議会発議の条例制定に向け、現在、検討といいますか議論を進めているところであります。
 本県における死亡原因を見ますと、本県の平成22年全死亡者数1万2049人のうち、がんによる死亡者数は3440人で、全体の28.6%を占め、第1位となっております。また、がんは昭和54年以降第1位となり、ますます上昇傾向にあります。さらに、がんによる75歳未満年齢調整死亡率で見ますと、平成18年が全国でワースト2位、19年が3位、20年、21年が9位、22年が4位と、非常に高い水準にあります。
 このように、死亡に関するデータはありますが、がんを患っておられるといいますか、その方々のデータは、調査が始まったばかりであるため非常にデータが少なく、今後はデータを集め、がん罹患率や生存率を分析することにより、今後の県のがん対策が進んでいくことを期待するところであります。
 そこで、今回、予防、検診、治療、ケアの4点について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 まず、予防についてお伺いいたします。
 今回の地域医療再生計画に基づき、地域医療再生臨時特例基金を活用して、がん診療体制の強化も図られるものと期待をしているところであります。がん対策としては、県民1人1人がまずがんにならないようにする必要があると思うわけでありますが、予防についてはどのように考え、また取り組んでおられますか、お伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 本県のがんによる75歳未満年齢調整死亡率は全国的に見て高い水準で推移しており、その低減を図るため和歌山県がん対策推進計画を策定し、総合的かつ計画的にがん対策を推進しています。
 県では、がん予防について、2次保健医療圏ごとにある地域・職域連携推進協議会を通じて、県民に生活習慣の改善等を啓発しているところです。とりわけ喫煙はがんの危険因子であることが指摘されていることから、児童生徒向けには防煙教室を、また禁煙教室を開催して、たばこをやめたいと考えている人に対する支援等を行っているところです。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 2点目、検診についてお伺いをいたします。
 がんを早期発見するためには、定期的ながん検診の受診が必要であると思いますが、そのことは国が平成21年に実施いたしました世論調査においても、約95%の方ががん検診は重要と思っているという結果が出ております。一方で、検診の受診率は、国全体で見ると目標として掲げる50%には届いていません。その調査では、未受診理由を「たまたま受けていない」を挙げた人の割合が30%近くもいらっしゃいました。
 このことから、がん検診の重要性は理解していても、なかなか行動に結びついていない状況だということがわかります。こうしたことはどこの県においても余り差はないと思うわけでありますが、本県では、がん検診の受診率を上げるため、どのように取り組んでおられますか、福祉保健部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) がん検診につきましては、健康増進法に基づき、市町村事業として実施されています。本県の市町村が実施した平成21年度のがん検診受診率は、厚生労働省がまとめる健康増進事業報告によりますと、全国平均よりわずかに高いものの、最も高い子宮がん検診で32.7%、最も低い胃がん検診は12.5%となっており、県も目標とする50%には届いておりません。
 そのため、未受診者対策として、市町村が休日等に行うがん検診を支援するとともに、企業との連携により、顧客窓口や啓発イベントを通じてがん検診の重要性を広報しているところです。また、市町村の健康づくり推進員等のヘルスボランティアに対する啓発活動への支援も実施するなどして受診率の向上に努めているところです。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 3点目、治療についてお伺いをいたします。
 国による計画では、原則全国すべての2次医療圏において、おおむね1カ所程度がん診療連携拠点病院を整備することになっており、本県では、県立医科大学附属病院を初め7医療圏のうち4医療圏に6病院が指定されておりますが、それだけでは県内すべてのがん患者に対応するには十分とは言えないと思います。がん治療については、手術、化学療法、放射線療法のそれぞれの専門医に看護師、薬剤師、臨床心理士や放射線技師などによるチーム医療が中心になっていると聞いております。
 また、平成23年の6月議会で県のがん対策について質問した際には、医大を初めとするがん拠点病院等で実施している放射線治療の高度化を図っていくとの答弁がありましたが、今回の基金を活用してどのように取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 県では医療体制の整備ということで、がん診療連携拠点病院に加え、独自に和歌山県がん診療連携推進病院制度をつくり、国保日高総合病院と労災病院を指定して地域のがん診療水準の向上を図っています。これらの病院では、手術、化学療法、放射線療法を効果的に組み合わせた集学的治療が行え、かつ議員御指摘のチーム医療等が実施されているところです。
 放射線治療の高度化につきましては、今回、地域医療再生臨時特例基金を活用して、医大などの病院で強度変調放射線治療が対応可能な機器を整備し、高度化を図るとともに、放射線専門医を初めとする人材の育成、確保に注力していただくこととしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 4点目、最後であります。ケアについてお伺いいたします。
 患者は、がんによる痛みによって身体と心をむしばまれていきます。さらに、患者の家族の精神的な苦痛ははかり知れないものがあり、そうした患者と家族の苦痛の軽減を図るため、緩和ケアが拠点病院を中心に実施されていると聞いておりますが、緩和ケアの充実を図るため、どのような取り組みを行っておられますでしょうか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 拠点病院等では、がんと診断された時点から患者の身体的、精神的苦痛の緩和を図るため、さらには家族の苦痛も緩和するために、専門的知識及び技能を有する医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー等から成る緩和ケアチームによる緩和ケアが提供されています。
 また、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修を実施することにより緩和ケアに対する医療従事者の意識を高めており、和歌山県では、関係各位の協力により、国の基準による研修を修了した医師は昨年3月末で449人となり、医師1人当たりの患者数が全国最少で1位となっております。
 なお、拠点病院では相談支援センターが設置され、患者及び家族からのさまざまな相談にも応じております。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま4点について、福祉保健部長から御答弁をいただきました。
 本県が現在、計画に基づきがん対策を進めていただいているとともに、IMRT・強度変調放射線治療を実施するための機器の整備に取り組んでおられますことはよくわかりましたが、最先端のがん治療は、昨年の6月議会において和歌山県立医科大学に設置を提案、副作用の少ない重粒子線がん治療装置を初め、エックス線集中照射「サイバーナイフ」や手術の後遺症をなくすMM3などの機器の開発により、日進月歩、推進をいたしております。
 私たち議会も検討会を設置し、がんの予防、早期発見、緩和ケアを含めた質の高い医療の提供等、和歌山県のがん対策をより一層推進し、1人でもがんで亡くなる方を減らすため、またがんとともに働ける社会にするため、多くの方々の意見を聞き、条例制定に向け超党派で頑張ってまいりますので、今後とも県当局も一緒になってがん対策に取り組んでいただきたいと思います。
 また、先月25日に開催されました紀の川市がん検診啓発講演会において、東京大学医学部附属病院放射線科、中川恵一准教授の講演によると、食生活の欧米化により肉の消費が増加し、その結果、性ホルモンが上昇することにより乳がんを発症しやすくなることなど、がんの原因は、若いころから悪い食習慣やたばこの喫煙、常習的な過度の飲食などであり、生活習慣をよくすればがんの予防につながると言われておりました。
 このため、大人中心の啓発を見直し、教育委員会と連携をし、例えば中学生を対象に、がんの正しい知識を習得するための啓発を実施していっていただいてはいかがでしょうか。がんの予防や早期発見、早期治療につながるものと考えますので、教育長への質問は今回はいたしませんけれども、御検討いただきますよう、この際、要望させていただきたいと思います。
 また、がん診療体制の充実強化に向けて、がんの薬物療法の進歩に対応するため、県がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院に腫瘍内科を開設するなどの検討も進めていただくよう、あわせて要望させていただきたいと思います。
 では、次の質問に移ります。
 4項目め、介護職員の人材確保と処遇改善についてお尋ねをいたします。
 高齢化社会が進む現在、介護保険導入時期と比較して、介護サービスを提供する人材の確保が困難になりつつあるとの事業者の声が多く、福祉人材の確保が非常に難しい状況にあります。一方、高齢化の進行を背景に、介護サービスに対するニーズが増加するとともに、質的にも多様化、高度化してきております。
 また、認知症の方やひとり暮らしのお年寄りの増加など、社会生活における介護の重要性はますます高まっており、熱意と専門性を持って介護と向き合う介護職員なしには、これからの高齢社会は到底支えられないところまで来ていると私は思います。
 こうした中で、私は平成22年度と23年度の2年間、厚生労働省の調査研究の委託を受け、老人保健健康増進等事業として実施した介護職安定化・人材確保のための情報提供・普及啓発及びモデルインターンシッププログラム構築事業委員会の委員として、介護職員の人材確保等について取り組んでまいりました。
 まず、平成22年度におきましては立命館大学が調査研究の実施主体となり、福祉人材安定化に関する調査・研究および人材安定化対策事業を行う中で、立命館大学と県老人保健施設協会、和歌山県等、多くの方が協力連携して県内の事業所の職員や高等学校の生徒を対象にアンケート調査を実施したところ、回収率は8000件を超え、その回収率86.5%と大変高く、多くのデータを得るとともに率直な意見を聴取することができ、有意義な報告書にまとめることができました。
 まず、このことに対し、教育委員会、各学校長、そして生徒の皆様、総務学事課、長寿社会課にお礼を申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。
 この報告書によると、高校生を対象とした調査におきましては、介護保険制度の認知は低く、介護分野に就職したいと思う者は全体の1.6%しかなく、その原因は、自分のやりたい仕事ではない、体力的にきつい、休みが少ない、給料が安いというものでありました。
 また、介護や看護等に就業されている方を対象とした調査におきましては、離職を経験した介護職員が多いこと、その離職理由は結婚・出産のため、給料が安いためというものであります。その一方で、介護職の志望理由は、やりたい仕事だから、働きがいのある仕事だからというのが多くなっております。
 その結果、未就業者においては、介護に対するイメージの確立、介護業界と教育機関との連携、介護サービス関係者の役割に取り組む必要があり、また就業者調査においては、職場環境の整備、多様なキャリアへの方策に取り組む必要があると考察をされております。
 この報告書に基づきまして、平成23年度は未就業者に対して介護に対するイメージを確立するため、調査研究委員会において検討を重ね、その成果として、高校生等を対象とした「介護のお仕事~みらいのなかまたちへ~」という啓発用冊子と──これなんです(現物を示す)──この中にDVDを作成して入れておりますけども、このDVDを作成いたしました。本当に中身はいいものができ上がった、私はそのように思っております。
 この冊子は、介護に関する「知ってる度」をチェックするものや、どうして今介護なのか、どんな職種があるのか、介護職の働き方、日々のスケジュールなどを掲載したコンパクトなわかりやすいものとなっておりまして、介護の仕事と必要資格等を正しく理解できる冊子となっております。
 また、DVDは、一般の若者や介護職員へのインタビューを行い、若者の介護に関するイメージは、きつい、給料が安い、コミュニケーションが大変、勤務時間が長い、不規則等であると回答しております。また、介護職員へのインタビューでは、仕事につくきっかけや、実際に飛び込んでみて、やりがい、大変さ、自分の高校時代、大切にしていることなど、介護の世界へ進んだ先輩たちの働きぶりや彼らからのメッセージが入っております。
 私は、老人保健健康増進等事業において実施したアンケート調査や冊子、DVDの作成を通じて、また委員会での意見交換の中で、高校生等への啓発や介護職員の人材確保と処遇改善の重要性を痛感したところであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 ぜひ高校生に配布していただきたいこのDVDなんですけども、多分ごらんいただいているとは思うわけでありますが、福祉保健部長の御感想といいますか、聞かせていただければ大変ありがたいというふうに思います。率直な感想を聞かせていただきたいと思います。
 また、県が取り組まれている処遇改善交付金が平成24年度から介護報酬加算になるとのことでありますが、介護職員の人材確保や処遇の向上に向けた現状をどのように考えておられますか。また、今後どのように取り組みを進めていかれますか。この点についてお伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 御紹介のありましたDVDの教材は、高校生が介護の仕事の内容、やりがいや働きがいを認識し、理解しやすいように創意工夫されており、貴重な教材として、今後は高校生だけでなく、就職相談会などさまざまな機会を通じて活用させていただきたいというふうに考えております。
 次に、介護職員の人材確保や処遇改善についてでございますが、介護の人材確保に当たっては、県民への介護サービスの評価を一層高めることが重要と考え、そのためには、介護職員の技術や専門性を高めることで、良質なサービスを提供できる介護職員を養成していくことが必要です。また、事業所においては、女性が安心して就労できる職場環境づくりや、職場内研修の機会をふやすことなどにより、介護人材を育成していく取り組みが大切であると考えております。
 そのため、県では、介護分野を目指す方への就業支援事業や就職相談会、介護体験事業などを実施するとともに、事業者や介護職員の各種研修会を充実させることにより、介護職員が仕事にプロ意識ややりがいを感じることで、事業所全体のサービスの向上を図れるよう支援しているところです。
 また、介護職員の処遇改善については、国の緊急経済対策として創設された介護職員処遇改善交付金が廃止され、新年度からは介護職員処遇改善加算が創設をされます。これまでの交付金による県内介護職員1人当たりの賃金改善額は、昨年度実績で1万5723円であり、国の制度設計時の改善額である1万5000円を上回る水準となっております。このたびの新たな加算については、この交付金と同様の仕組みであり、これまでと同等の効果が期待できることから、できるだけ多くの事業所において活用されるよう積極的に呼びかけてまいります。
 県といたしましては、介護事業所や関係団体、教育委員会と連携を図り、介護に対する県民の理解を一層深めるための啓発を行うことにより介護職場への人材の参入を推進していくとともに、介護職員のキャリアアップや環境改善の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁ありがとうございました。
 最後に、介護職員の人材確保や処遇の向上により一層積極的に取り組んでいただくようお願いをするとともに、先ほど申し上げましたが、この作成された冊子とDVDを県内の高校生や教員、また就職希望者など多くの方々にごらんをいただき、有効活用していただくため、総務学事課を初め長寿社会課、教育委員会等の御協力を再度いただけるようお願いを申し上げたいと思います。
 随分時間が残ってしまいましたが、私の質問はこれで終わりますけども、最後に、一般質問の初日、中村議員が次のような発言をされたと思います。私たち議会も頑張る、そして知事初め県当局の皆さん方、どうか一緒になって頑張ろうじゃないですかという趣旨だったと思います。私がきょう質問させていただきました4項目、これはすべて新年度予算のときに知事がおっしゃった安全で安心で挑戦、そういうことにつながっていくものばかりだというふうに思って質問をさせていただきました。
 もう一度申し上げます。私ども県議会も懸命になって頑張るわけでございますので、どうか県当局、知事を先頭に幹部の皆さん方、我々議会と一緒になって、復興元年の年でもありますし、いろんな意味におきまして、和歌山県勢発展のため、ともに頑張ろうではありませんか。そう申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。

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