平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 皆さん、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従い、質問さしていただきます。
 その前に、今回私は、改新クラブの一員であると同時に、民主党和歌山県連所属の議員として質問いたしますことをまず御認識いただきたいと存じます。
 本来なら、私よりも民主党の考え方について詳しい方が何人かいらっしゃると思うのですが、気がつけば、いつの間にか私が民主党所属の県会議員で1人になってしまいまして、本当に寂しい気持ちでいっぱいあります。
 現在、政権与党である民主党に対して大変厳しい評価があることは重々承知をしておりますが、昨年4月の県議選では、3月11日に起こった東日本大震災の後ということもあり、今以上に民主党に対して大変な逆風が吹いておりました。そのような中で民主党の看板を掲げて選挙すること自体、自殺的行為であるとまで周りから言われました。
 何がつらかったかといって、ずっと応援してくれてた人までが、「私の1票は入れるけれども、ほかの人に頼むのだけは堪忍してくれ」と言われたことであります。まさに針のむしろに座らされているような状況で、夜もまともに寝れない日々が続きました。
 そんなときに、私の壊れてしまいそうな心を支えてくれたのは、我が師、玉置和郎先生の遺言の中にある次のような言葉であります。「政治家が自分の命にかえてでもという腹は、一朝一夕にできるものではない。人様にたたかれ、笑われ、突き放された中から、この国の一大事に対処する腹ができるのだ」という一節でありました。
 もちろん、玉置和郎先生と私では現在の立場もスケールの大きさも違いますが、この言葉を心の支えとして、死中に活を求めるような思いで、大逆風に向かって「逃げも隠れもしない。かかってくるならかかってこい」と1人で叫び続けて、何とか厳しい選挙を勝たしていただき、皆様と同じ空気をこの議場で吸えることの喜びをひしひしと感じております。
 しかし、この選挙を通して私が肌で感じたのは、やはり声なき声の中に民主党の支持者の方も結構いらっしゃるということなんですね。
 御存じのとおり、私は民主党の大きな支援団体から推薦をいただいておりませんので、相手にしてくださるのは政党色のない、いわゆる無党派層と言われる方が多いのではないかと当初思っておりました。しかし、選挙期間中に「頑張ろう日本」の大きな旗を自転車の荷台に立て、東日本大震災の募金箱を持って朝から晩までつじつじに立って頭を下げておりましたら、その募金箱にお金を入れてくれながら、「民主党、頑張ってよ」、「民主党を絶対にあんた、やめんといてよ」、「あんたみたいに一本筋通してくれる人間が民主党にも必要やで」と声をかけてくださる方も意外と多かったんですね。
 マスコミや私の周りの評判では、まず90%あかんなとか、おまえもよりによって貧乏くじを引いたもんやなと──他人ごとですからね──厳しいものばかりでした。実際に、夜、後援会を中心に集会を開いてもらっても、予定の半分も人が集まらないということが続きました。正直言って生きてる心地がしませんでした。しかし、町なかの反応は違ったということであります。
 そんな大逆風の中、民主党として当選させていただいたことに大きな責任感と使命感を持って質問さしていただきたく存じます。
 その前に、なぜ今、民主党に対して厳しい評価があるのか考えてみたいと思います。
 沖縄の普天間飛行場の問題、東日本大震災の後の対応、それにTPPや、最近では消費税増税などのこと、はっきり言い出せば切りがありませんが、しかし、これらすべてをここで語ることができませんので、一般的によく言われるマニフェスト、つまり平成21年8月の総選挙において訴えたマニフェストについて述べさしていただきたいと思います。
 マスコミ、特にテレビ等を通じて、民主党は政権交代のときに約束したマニフェストを何1つ守っていないというような論調のコメントがよく聞かれます。果たしてそうでしょうか。
 私は、平成15年初当選の県会議員1期目のときに、このマニフェストの地方版と言えるローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の共同代表を、マニフェストの提唱者であり、大学の日本拳法部の先輩である北川正恭早稲田大学大学院教授から言われ、2年ほど務めさしていただき、それまでの口約束程度の公約とは違う、数値目標、期限、財源等を明示して選挙を戦うマニフェストについて、私なりに勉強させていただきました。
 そこで感じたのは、国もそうなんですが、どの地方自治体も財政厳しい中、今までのようにあれもこれもできる時代ではない。そんな中で、幾つか的を絞って具体化するためのビジョンを有権者の皆さんにお訴えし、約束して、当選したら誠実にそれらを進めていくことは、本当にこれからの政治を変えるものだなと感じました。
 その認識をもとに民主党のマニフェスト選挙に注目し、その後、私自身、平成22年10月に民主党に入り、いろいろと資料を集めて調べてまいりました。
 ここに、昨年8月26日に、つまりあの歴史的な政権交代から丸2年がたった時点での民主党マニフェスト検証委員会──これ、政調にあるんですが──検証委員会のマニフェストの中間検証というのがございます。それによりますと、リーマンショック後の景気の大幅な落ち込みは、マニフェスト作成時の前提となった2009年度政府税収見通しを大幅に減額修正──9.2兆円ですが──させることになったことや、現在も続く急激な円高の進行や世界経済の不安定化、また、2010年の参議院選の敗北によって民主党政権は過半数を失い、衆参ねじれ国会になったことなど、さらに、マニフェスト作成時に予想すらされていなかった昨年3月11日に発生した東日本大震災の大きな影響もあって、すべてを約束どおりというわけにはいきませんが、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償制度の創設、行政刷新会議による事業仕分け、10年ぶりの診療報酬プラス改定、生活保護母子加算の復活と父子家庭への児童扶養手当の支給、雇用保険の適用拡大、求職者支援制度の創設、小学1年生35人学級の実現、経済連携協定(EPA)交渉の具体的推進など、また、これは後ほど詳しく述べますが、NPO寄附優遇税制の大幅拡充など、国民と約束した政策の多くが既に実現しております。
 今回、私は、それら1つ1つを取り上げて、和歌山県においてどのような影響があったのか、どう変わったかを検証してまいる予定でしたが、国から直接市町村や県民の皆さんに提供されたものもあり、県の行政がすべてかかわってるわけでもありませんので、また別の機会にさしていただきたいと思います。
 もちろん、まだできていない政策、ガソリン税の暫定税率廃止、郵政改革法の成立、労働者派遣法改正、在日米軍基地の見直し、議員定数削減などの重要政策もありますが、県の行政に直接的に関係しないものも多く、ここでは省かせていただきたいと存じます。
 そこで、ここでは民主党政権のこの2年6カ月にわたってを振り返って、地元和歌山県発展のために頑張る県選出3代議士の働きぶりを中心に、これから知事初め県の皆様への質問に移っていきたいと存じます。
 御存じのとおり、前回の総選挙で、和歌山県では1区、岸本周平、2区、阪口直人、3区、ここでは小選挙区で破れ、近畿ブロックの比例区で復活当選いたしました玉置公良と、全県3区に3人の民主党代議士が誕生したことは、政権交代とともに、和歌山県の県政史上画期的な出来事でありました。
 私はこのときまだ無所属で、しかも浪人中でありましたので、余り応援はできませんでしたが、今まで自民党一色と言ってもいい地域性から考えますと、大きな期待感を持って彼らの活躍に注目しておりました。また、県民の多くの皆さんもそうであったと思います。
 そして、私自身、一昨年の補欠選挙と昨年の統一地方選挙で民主党公認として出馬し、当選させていただき、さらに昨年10月1日に民主党和歌山県連幹事長に就任してから、彼ら3代議士と事あるごとに議論を重ね、行動をともにしておりますと、決してその期待を裏切らない、誠実で真剣にそれぞれの選挙区、また和歌山県全体のことについて取り組んでいることがよくわかり、大変うれしく思っております。
 そこで、以下4項目6点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず初めに、公共インフラ整備についてでありますが、平成21年9月の政権交代で民主党政権になって大変驚いたのは、有田─御坊間の高速道路4車線化凍結ということでありました。私は、これを聞いたときに、えっ、それはないよと驚くと同時に、しばらくして、ああこれが政権交代かと我に返ったのを今でも覚えております。
 ただ、「コンクリートから人へ」というスローガンはいいのですが、やはり和歌山県のようなまだまだ道路が未整備な県は、もっと国も力を入れるべきではないかという思いと、国の財政も大変厳しい中、少子高齢、人口減少が急激に進む我が和歌山県は、経済効果等を考えるとこのような結果になるのかという少々複雑な思いが交錯をいたしました。
 しかし、その後、和歌山県選出民主党の岸本、阪口、玉置の3代議士の政府民主党に対する強力な働きかけもあり、第2阪和国道和歌山岬道路深日ランプから大谷ランプまで7.2キロメートル、平成24年度からの残事業費約330億円、また、京奈和自動車道、紀北東道路と紀北西道路を合わせて高野口インターチェンジから和歌山ジャンクションまで29.1キロメートル、約760億円、さらに、高速道路のミッシングリンクの解消ということで、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間延伸38キロメートル、約1420億円分を平成27年度中に供用開始ということを国土交通省の事業計画に初めて3代議士の力で記載させ、できるだけ平成27年9月の第70回わかやま国体までに供用させる努力をしていると伺っておりますが、県土整備部長、用地買収等を含めて、県として、これからこの3年余りの短期間にそれだけ予算がついて対応は大丈夫なのでしょうか。今後の取り組みについてお伺いいたします。
 1問目、終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 昨年国から示された平成23年度国予算に係る直轄事業の事業計画において、第2阪和国道、京奈和自動車道全線、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間については平成27年度に供用予定とされたことは、大きな進展であったと受けとめております。
 これらの路線については、現在、鋭意用地取得や工事の進捗が図られているところでございますが、今後は未買収用地の取得や長大トンネル、橋梁などの大規模工事の実施など、これまでにも増して重要な局面を迎えることとなります。
 このため、これらの計画的な事業展開に必要な予算の確保はもとより、難航している用地の取得や工事に係る地元調整など、円滑な事業の実施に県としても最大限協力し、平成27年国体開催までに供用していただくよう、国や関係機関に対して強く働きかけてまいります。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 2番目に移らせていただきたいと存じます。
 昨年3月11日に起こった東日本大震災は、日本国内だけではなく、世界じゅうに大きな衝撃が走りました。本年3月1日現在、死亡者数が1万5854人、行方不明者数が3276人、避難者数が34万3935人ということで、地震だけではなく、津波、放射能汚染と、今でも復興のめどが立っていないということは、皆さんもよく御存じのとおりであります。
 私も昨年7月に、改新クラブのメンバーとともに岩手県の宮古市から山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、そして宮城県気仙沼市まで三陸海岸を南下し、その沿線の被害の状況をつぶさに見て回りましたが、特に津波の恐ろしさをまざまざと肌で感じた次第であります。
 その前日には、岩手県庁で防災責任者である越野特命参事から地震に伴う津波の被害について説明を受けましたが、そこで私は聞いたのですが、もし地震だけで津波が襲ってこなかったらどれだけの方が助かっておりましたかとお尋ねしますと、越野参事いわく、「恐らく9割方の方は助かっていたと思います」という言葉を聞き、その後、現場の惨状を見たとき、やっぱりなと確信すると同時に、和歌山県のことをすぐ思い浮かべ、決して他人事ではないなと強く感じた次第であります。
 もちろん県議会でも、昨年の6月議会以降、このことについてはいろいろと議論されてきましたが、同じことを質問はいたしませんが、今後30年以内に60%から70%の確率で発生するという東南海・南海地震対策、特に和歌山下津港の整備ということで、可動式津波防波堤についてお聞きしたいと存じます。
 これは、現在の民主党和歌山県連代表で海南市を地盤とする阪口直人が大変力を入れている事業で、海南港の入り口に全長約2キロメートル、可動部230メートル、高さは海面から海底まで13.5メートル、海面上7.5メートルまで浮上するという世界初の直立浮上式津波防波堤であり、総工費250億円であります。
 これは国の直轄事業であり、特に津波の対象地域となる海南市は、住宅・商業施設が密集してる上に、行政、教育、医療、防災関係機関や主要交通施設も集積していることと、世界的なシェアを誇る産業も集積し、海南の企業売上高が2370億円で和歌山県全体の26%を占めているということでありますので、大変重要な事業であります。
 阪口代議士は国際的なNGOの経験が長く、今から7年前のスマトラ沖津波で最大の被災地であったインドネシア、スマトラ島アチェにボランティアとして入り、生活再興支援に従事し、また、東日本大震災発生後は民主党災害対策本部に志願して何度も現地に入り、救急救命活動をサポートしてまいりました。
 それだけに、津波の恐ろしさと悲惨さは我々以上に肌で感じているようで、平成21年初当選以降、この防波堤の一日でも早い完成を目指し、建設予定地を海から視察し、また、地元の商工業関係の方々とこの防波堤建設について意見交換をして、さらに数百軒の地元住民のお宅を訪問して要望を取りまとめ、国土交通省にも強く働きかけてまいりました。
 平成22年10月には、当時民主党の幹事長であった岡田克也現副総理を現地まで招き、この事業は平成31年度完成ですが、一日も早い完成に御協力をぜひお願いいたしますと強く要望し、特に東日本大震災の後、さらに国交省に何度も働きかけているということであります。
 また、ことしの4月14日には、国交省の担当職員を海南市に呼んで、防波堤についての住民との懇談会を予定しているということであります。
 そこで、県としてはこの可動式防波堤の完成により、どの程度の被害の軽減が期待できるのか、そしてまた、県としてこの防波堤完成のためにどのように国に対して積極的に働きかけていくのか、県土整備部長、お答えお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 海南地区には、住宅・商業施設、行政・防災関係機関や主要な産業・交通施設等が集積しておりますが、可動式防波堤の完成により、平成15年に国において示された東海・東南海・南海地震により発生が想定される津波からの浸水被害を防ぐことができるものと期待しております。
 平成21年度の事業着手以来、琴の浦地区、船尾地区の既設護岸の補強、かさ上げが約8割完成するなど、工事は順調に進んでおります。
 現在、国において、東日本大震災を踏まえた想定地震の見直しの検討が行われているところでございますが、これへの必要に応じた対応を含め、一日も早くこの可動式防波堤が完成するよう、県としましては、引き続き国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 県土整備部長、ありがとうございました。
 私たち民主党和歌山県連も政府民主党に対して強く働きかけてまいりますので、先ほどの道路同様、早期完成を目指してともに頑張りましょう。
 以上でございます。
 次に移らせていただきます。
 台風12号関連のことについてお伺いいたします。
 昨年9月2日から4日にかけて紀伊半島を襲った台風12号は、3日間で1000ミリ余りという観測史上初めての大雨を記録し、現時点でも死者54人、行方不明者5人と大変な被害がもたらされたことは記憶に新しいことであります。このとき民主党和歌山県連では、すぐに岸本周平本部長、阪口直人本部長代行、玉置公良事務局長、そして私も副本部長として台風12号災害対策本部を立ち上げ、対応に速やかに当たりました。
 4日、5日には阿久津防災担当政務官、6日、7日には森本農林水産大臣政務官、平野復興大臣、そして9日には那智勝浦町に野田総理を迎え、現場を視察していただき、仁坂知事、寺本那智勝浦町長、田岡新宮市長を交え、早急な対策を講じてくれるよう直接直訴いたしました。
 国会では、9日に開かれた衆議院災害対策特別委員会で、岸本代議士が平野大臣に、国の迅速な対応に対して、和歌山県の仁坂知事から県民を代表して深く感謝していますというメッセージを伝え、今後、大変な復旧の事業費がかかることが予想されるので、まずは激甚災害への指定をお願いしたいと強く迫ると、平野大臣からは「国としてもあらゆる措置を投入する必要がある」と力強い答弁をいただきました。
 また、玉置、阪口両代議士は、その後、仁坂知事とともに首相官邸や各省庁を訪れ、藤村官房長官、川端総務大臣、平野復興大臣、そして樽床民主党幹事長代行らに迅速な予算措置を含む国の支援をお願いに回りました。
 その結果、本来なら1カ月以上かかるという激甚災害の指定をわずか16日で受けることができ、まずは復旧への大きな希望がわいてきたと地元関係者の皆様に喜んでいただきました。さらに、11月21日に決まった第3次補正予算には台風12号対策等3202億円が計上され、関係者の皆様に一層喜んでいただけたことは、政権政党である民主党のスピード感と力強さを本当に感じた次第であります。
 今回、陣頭指揮に立たれて復旧に当たられた仁坂知事のリーダーシップに対しては、私は、すい星のようにあらわれたとは申しませんが、心から敬意を表する次第であります。
 しかしまた、被災地が地元である玉置代議士の活躍にも目をみはるものがございました。10月25日の衆議院災害対策特別委員会で森本農林水産政務官に対して、急傾斜20度超え、また40万円未満の小さな農地災害支援についても強く主張し、「小災害も対象になる。地方自治体は対応が大変だが、言ってもらえれば小さな被害も救っていきたい」という前向きな答えを引き出し、急傾斜20度超えについては「政令を変えない限り難しいが、皆様の御意見を伺いながら最大限努力をいたします」との答弁を引き出しました。
 しかし、今回を逃したら、この急傾斜20度超えの政令改正は難しい、されないと判断した玉置代議士は、次に、11月19日に田辺市役所別館に農林水産省から担当の災害総合対策室長を含め4名、県から担当課長を含め7名、13の関係市町村から田岡新宮市長、寺本那智勝浦町長ら24名、さらにJA紀南や4つのJAから12名、そして私たち民主党和歌山県連災害対策本部から私や阪口本部長代行ら3名と、合計50名を集め、農業関係意見交換会を開催。特に急傾斜20度超えについて話し合われましたが、この場でも農林水産省側は、他の方法の救済で全力を挙げるが、政令改正までは難しいということでありましたが、その後も玉置代議士は粘り強く関係省庁に働きかけ、12月20日には総理官邸まで乗り込んでいき、総理に直接訴え、改正の決断をしていただき、結局、12月22日に60年ぶりに政令改正の閣議決定がなされ、20度を超える農地被害についても災害復旧事業の適用を受けられることとなりました。また、40万円未満の小災害についても、自治体の対応と苦労を省くために、交付金で国が支援をするという取り組みも実現いたしました。
 そこで、急傾斜20度超え並びに40万円未満の小規模農地災害支援がこの台風12号をきっかけに行われるようになり、今後の災害支援対策にどのような影響が考えられるか、農林水産部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 耕作面の傾斜が20度を超える農地の災害復旧は、経済効果の小さいものとして農地・農業用施設災害復旧事業の対象から除外されておりました。
 昨年9月、台風12号により急傾斜農地の災害が多数発生したことを受けて、県議会を初めとする関係者の方々の粘り強い要望活動の結果、12月28日に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律施行令の改正がなされ、傾斜20度以下の農地と遜色のない営農を行っている急傾斜農地の災害復旧事業が国庫補助の対象となりました。このことは、急傾斜農地の多い本県の農業にとりまして大きな朗報でございます。
 一方、国庫補助の対象外である40万円未満の小規模な災害復旧については、激甚災害を受けた場合、市町村が行う復旧事業は農地等小災害復旧事業債の対象となり、起債額のすべてが交付税措置されるという制度がございます。今回の台風12号災害におきまして各市町村が創設した小規模災害対応の補助事業についても、国や関係機関との意見交換会の中で同事業債の対象となることが確認されたことで、市町村にとっては復旧に弾みがついたものと考えております。
 あわせて、県でも農業生産基盤復旧緊急支援事業を創設し、市町村が行う小規模な農地・農業用施設災害の復旧や、農地に流入した土砂撤去への支援を行っているところでございます。
 このように、国、県、市町村及び多くの関係者の連携によりさまざまな支援を行うことで、農地等に甚大な被害をもたらした台風12号災害からの復興が迅速、着実に進むものと考えております。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 被災された農家にとって朗報であり、また市町村にとっても復旧の弾みがつくという農林水産部長の御答弁、まことにありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。
 生活の安全・安心についての3番目でございます。
 この項目の最後になりますが、社会保険紀南病院──以下、「紀南病院」──の維持存続についてであります。
 この病院は、田辺市を中心に紀南地方の急性期医療を担う中核病院で、内科、産婦人科、心臓血管外科など22の診療科目があり、常勤医師数71名、病床数356床の大変大きな病院であります。
 しかし、平成16年に、いわゆる小泉改革の一環として、5年をめどに年金福祉施設等の整理合理化を進めることを自民党、公明党の与党で合意し、平成17年10月に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)を設立、存続期限である平成22年9月末までに適切な譲渡先を検討するということになっておりました。
 しかし、平成21年9月に政権交代が起こり、そのときの民主党マニフェストには、厚生年金病院及び社会保険病院は公的に存続させることを原則に、新たに地域医療推進機構──仮称ですが──を設置し、両病院の管理運営に当たるという記述があり、そして同年10月、民主党政権において病院売却を進めるという方針を転換し存続させるために、RFOから承継し、病院を運営する新機構の設立を目指して独立行政法人地域医療機能推進機構法案を国会に提出。公明党や共産党、国民新党などの賛成も得て衆議院は通過しましたが、平成22年6月、通常国会終了に伴い、法案は審議未了、廃案となりました。
 同年8月に臨時国会において、苦肉の策としてRFOの存続期限を平成24年9月末までに2年間延長としましたが、その後、玉置代議士と真砂田辺市長らが岡本厚生労働大臣政務官に、RFOの存続期限である平成24年9月以降も経営委託方式による運営を維持することを強く要望いたしました。
 そして、もう一度存続法案を実現するための与野党協議を重ね、平成23年6月に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)法の一部を改正する法律を成立させることができました。念願の存続が実現したわけであります。ここでも、政権政党の地元代表である玉置代議士と政府民主党との呼吸がぴったり合って、まさに大切な地域医療を守ったと言えるのではないでしょうか。
 そこで、県としましては、これらの経過を踏まえ、存続が決定したことにより、紀南地方の地域医療にとってどのような意義があったのか、福祉保健部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構が保有する社会保険紀南病院につきましては、紀南地域の中核的な医療機関であることから、県におきましても、これまで厚生労働省に対して、国の責任において維持存続するよう求めてきました。また、地元の首長や関係議員にも、それぞれの立場から働きかけをいただいたところです。
 昨年6月に、国において独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法が改正され、同病院が担うがん診療連携拠点病院や僻地医療拠点病院、災害拠点病院、それから地域周産期母子医療センターとしての役割を初め、地域の中核病院としての機能が維持されることに一定のめどがついたものと考えております。
 今後も地域医療体制を堅持し、県民の健康を守る安心医療の充実に努めてまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。我々民主党県連も、和歌山県、また今の紀南地方の医療体制を守っていくために協力は惜しみませんので、ともに頑張りましょう。
 以上でございます。
 次に移らせていただきます。
 さて、第3項目め、新しい公共についてであります。
 この「新しい公共」という言葉自体、決して新しい言葉ではなく、実は私が10年余り前にわかやまNPOセンターを同じ志を持った仲間と立ち上げたときに、今までの公は官の占有物であったが、これからは民も公を担うことが大切である、そのためのNPO、ノンプロフィット・オーガニゼーションであるということをよくその当時から議論をしておりました。
 民主党は、平成21年8月総選挙のマニフェストにおいて、市民が公益を担う社会を実現すると訴え、特定非営利活動法人初め非営利セクター、NPOセクターの活動を支援するとし、具対策として認定NPO法人制度を見直し、寄附税制を大幅に拡充するとともに、認定手続の簡素化、審査期間の短縮などを訴えてきましたが、昨年6月に特定非営利活動促進法の一部を改正する法律を成立させました。これは、初めに申し上げましたとおり、100%マニフェストを守ったわけであります。
 この見直しにより、認定NPO法人や学校法人、社会福祉法人などへの寄附金の2分の1を税金から差し引くことが可能になりました。仮認定の制度など、条件を緩めることもできるようになりました。これで和歌山県のNPOや介護などの現場にもお金が回り、地域の活性化に役に立つことが期待されております。
 今まで1万円寄附しても、減税額は普通のサラリーマンで500円でしたが、今回の改正では約半分の4000円が税金から免除されます。つまり、国に税金を納めて役所が使い道を決めるのではなく、自分の応援したいNPOや卒業した学校、親が世話になっている介護施設などに自分の税金を使えるということであり、税金の使い道を自分で決めるという全く新しい社会が実現しようとしているのであります。まさに、これこそ「コンクリートから人へ」の民主党マニフェストの真骨頂と言っていいようなものであると思いますが、この法律をつくるため、議員連盟の事務局次長として法案の趣旨説明役などを一手に取り仕切ったのが、和歌山1区選出の岸本周平代議士であります。
 彼は、御存じのとおり元大蔵省主計官で、平成17年9月の衆議院初挑戦で落選後、地道な活動を重ね、4年後、圧倒的な勝利で自民党現職を倒し、代議士になりました。現在、1年生議員ながら党の主要なポストにつき、和歌山県の予算獲得に大きな力を発揮しているだけではなく、ほかにも、例えばJA和歌山からの陳情を受けて、平成22年度、食料自給率向上・産地再生緊急対策として、育苗施設グリーンステーション建設のため3億7600万円、うち国から1億7410万円の予算をつけ、平成23年度、6次産業化推進整備事業(地産地消タイプ)として、農産物加工施設のための1億1100万円、うち国から5287万円の予算をつけるなど、さまざまな予算獲得に他の追随を許さないほど活躍していることは、県の方もよく御存じであります。
 さて、この認定NPO法制度により、和歌山県の事業計画としては、平成23年度から平成24年度の2年間で、1、NPO等活動基盤整備事業、2、新しい公共の場づくりのためのモデル事業、3、つなぎ融資における利子補給などの合計1億3500万の事業が行われる予定となっておりますが、私の実感からいたしましても、NPOとしてはけた違いに大きな予算がつけられたなと大変驚いております。
 その岸本代議士が、全国的に見て少子高齢、人口減少の進む和歌山県のために見直しを行ったと言っていいこの認定NPO法制度を和歌山県としてはどのように生かし、新しい公共を確立して市民社会を切り開いていくのか、環境生活部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 本県は、他の都道府県より早く少子高齢化や人口減少などの課題に直面しております課題先進県であり、全国に先駆けてさまざまな問題を解決していくためには、県と県民の皆様が力を合わせて困難に立ち向かうことが必要となります。
 今回の改正NPO法は、寄附金控除制度の見直し等により、地域課題の解決に向けたさまざまな県民活動の機運を高める大きなきっかけとなるものであり、県ではこの機会を最大限に活用すべく、平成23年度より国の交付金をもとに造成した基金を財源とする新しい公共支援事業において、認定NPO法人制度の利用促進を含めたNPO等の活動基盤の整備を進めているところです。
 今後も県が行政としての役割を果たしつつ、県民の皆様と切磋琢磨しながら地域課題の解決に当たる仕組みづくりを目指して、NPO等の自主自立した活動の活性化や協働の推進に取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 環境生活部長、力強い御答弁、まことにありがとうございました。
 先ほども申し上げましたとおり、私は10年余り前からこのNPOにかかわっておりまして、これは余談なんですが、8年前にNPOセンターの若者たちと──彼ら2人と私と、まず最初、始まったのは3人なんですけども、紀州よさこい祭りを立ち上げました。そのときに我々考えたことの中で、大変な予算がかかったんですが、最初800万という予算でやろうとしたんですが、とてもそんなお金は我々集めることができないと、みんな後ずさりしたんですけども、やっぱし和歌山のために頑張ろうじゃないか、市民がやっぱり立ち上がらないかんということで私も大分ケツをたたきまして、いわゆる協賛だとか宣伝広報だとか、いろいろ皆さんにお願いして、800万の予算が1490万集めて、第1回目の紀州よさこい祭りが立ち上がりました。そのとき、市にも県にも1円のお金もいただいておりません。
 和歌山県も和歌山市もそうですが、私は市民が本当に意識を持って立ち上がってくだされば、それは十分まだまだ余力があると思ってますんで、今後とも、そのための下支えとサポートを県の皆さんにもお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 さて、最後に仁坂知事にお伺いしたいと存じます。
 仁坂知事は、民主党政権に対して、過去の議事録を拾い読みいたしますと、かなり厳しいことをおっしゃっております。本日、私が申し上げたとおり、和歌山県選出の3代議士は、それぞれの立場で地道にそれぞれの地域並びに和歌山県発展のために頑張っておると私は思います。今まで鳩山、菅政権と2代にわたり、民主党政権には知事は余りいい印象はお持ちでなかったと存じますが、この3代議士の仕事ぶりも含めて、民主党、今の野田政権に対して知事の御所見をお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は和歌山県知事でございますので、できるだけ、例えば自分の職責と関係ないところで特定の政党の悪口を言うとか褒めるとか、そういうことはしないようにして答弁をさしていただきます。ただ、真実は申し上げないといけませんので、そういうことを申し上げます。
 まず、台風12号被害からの復旧に当たりましては、自衛隊や国交省など、政府には迅速な対応をいただいたと評価しております。自分の印象も含めて申し上げますと、当時の平野防災大臣とその指揮下にあった内閣府の方々の働きは、私は尊敬に値すると考えております。ただ、それは政府なら、ある意味では職責上当たり前の話でありまして、何党だからどうのとか、政治主導で何かマニフェストに書いてあったからどうだというような問題とは関係ないと思います。
 浦口議員が農地の20度問題についてお話しになりました。これは、過去ほったらかしていた、法律の運用上からすると非常に論理的な話であって、それを正すというのは、我々、必要性もありますけれども、当然の権利でございます。
 ただ、農水省は根本的に直さないで、先ほど国会答弁なんかにメンションしておられましたけれども、ちょっと直すからいいじゃないかというようなことをさんざん言ってこられました。それをやられますと、実は我々の負担が大きくなるわけでございます。それが当然論理的ならばしようがないけれども、非論理的なんですから、それを要求するのは当たり前でございます。
 ところが、すぐに政府が言われたことを納得してしまう向きがあるわけでございます。先ほどの議会答弁でも、農水省が少しやるからいいじゃないかと言われて、そんなことじゃ承知しないとだれが言ってくれたでありましょうか。
 それから、先ほどメンションされた田辺市の説明会において、少しやるからいいじゃないかという説明を、そこにいらっしゃった方々全員が、ああそうですかといって納得して帰してしまった。これを聞いて、とんでもないと、それは私が主張してることの足を引っ張るのと同じだということで、その直後に知事会があったもんですから、森本政務官に詰め寄って──そのとき大臣がいらっしゃらなかったんで、森本政務官がいらっしゃったんですが──とんでもないと、何だあれはと言って抗議をしました。そしたら、あれでいいんじゃないですかと言われたので、全然自己負担が違うんだから、そんなことでは満足しないと言いました。
 それから、「20日の決断」というのがありました。しかし、3週間前から既にもう政府は意思決定をして、実は政令を変える手続を進めていました。ただ、言わないでねと言われたので、我々は、政府がお決めになることですから、それを勝手に申し上げることはできません。したがって、20日に決断があったというのは明らかに事実の誤認であります。
 そういうようなことをきっちりやっていただける政府であってほしいと思いますが、本来ならば官僚の不作為を政治主導で正すべき人が3カ月もかかったということは、そんなに評価をすることはできません。ただ、ちゃんとやっていただきましたから、今は文句はありません。
 そもそも民主党政権が発足した際に、少子高齢化、過疎化が進行し、経済が停滞するなど、多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大切にする政策を選択してほしいと、実はいろんな記者会見等々の場でもずっと言ってまいりました。
 しかしながら、現政権は、例えば近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間の4車線化の凍結とか、あるいは農業分野の投資的経費、特に果樹生産をするような和歌山にとっては大変重要であったところの投資的経費の半減とか、あるいは地方における研究開発助成、これをもうかなりなくしてしまうとか、そういうような本県の発展に必要不可欠な将来への投資となるような政策を少し軽視された嫌いがあると思います。それは、これから追いつこうとする本県のような地方を余計に不利にする、幾つかの面でそういう効果があったんじゃないかというふうに思います。
 もっとも、政府に対して粘り強く将来への投資の必要性を訴えた結果、平成27年までの近畿自動車道のすさみ延伸、京奈和自動車道、第2阪和国道の開通、こういうものが、約2年間の停滞と遅延を挟んだものの、ようやく昨年初めに実現しました。しかし、これは政治主導によって意思決定が凍結された結果、実は遅延された。なぜならば、こういう問題については国債の割り当てというのがあるんですけども、その国債の割り当てが大臣の命によって凍結されたので、本来ならやってくれるべきところをやってくれなかったということではないかと思います。
 台風12号の被災後は、大規模災害に備えた幹線ネットワークの整備の必要性を否定するような、そういう発言は政府の中にはなくなったので、大変喜ばしいことだというふうに思っておりますが、ただし、それでは地震・津波に備えて紀伊半島一周の高速道路の未整備部分、すなわちミッシングリンクをつくることを決めてやろうというようなところまではまだいっておりませんし、4車化を復活さしてやろうというようなところまではいっておりません。そういう点ではこれから大いに期待したいし、今のところは残念だというふうに言わざるを得ないと思っております。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、民主党に対しまして温かな叱咤激励をいただきまして、まことにありがとうございます。
 民主党は「国民の生活が第一」、「コンクリートから人へ」というスローガンで前回の衆議院選を戦いましたが、公共インフラの整備などでもわかるように、必要なものはつくっていくという姿勢も十分にあります。
 和歌山県の発展、繁栄を望む気持ちはどの政党に所属しておりましても変わらないと思いますので、私も今後とも和歌山県発展のために、議会、行政の皆さんとともに民主党の一員として頑張らせていただきますことをお誓い申し上げまして、私の一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前12時0分休憩
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